第1回 障害者の把握・確認ガイドライン検討会議 議事要旨



1. 日時
 平成17年7月19日(火)15:30〜17:30

2. 場所
 厚生労働省 職業安定局第1会議室(13階)

3. 出席者
 ・   委員
稲川委員、鬼丸委員、黒木委員、小金澤委員、笹川委員、舘委員、長谷川委員、藤井委員、藤原委員、堀江委員、松井委員代理、松友委員、松矢委員、輪島委員
 ・   事務局
金子高齢・障害者雇用対策部長、土屋障害者雇用対策課長、今井調査官、白兼主任障害者雇用専門官
(欠席された委員)
  福井委員、松井委員、森戸委員

4. 議題
 (1)  精神障害者に対する雇用率制度の適用について
 (2)  障害者雇用促進法に基づいて事業主が実施すべき報告等について
 (3)  個人情報保護法等の関係法令等について
 (4)  ガイドラインの基本的考え方(案)及び論点について

5. 資料
  資料1   障害者の把握・確認ガイドライン検討会議開催要綱
  資料2   審議会等会合の公開に関する指針
  資料3   今後の検討スケジュール(案)
  資料4   障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律概要
  資料5   精神障害者に対する雇用率制度の特例適用
  資料6   精神障害者保健福祉手帳について
  資料7   労働政策審議会障害者分科会意見書(平16年12月25日)(抄)
  資料8   障害者の雇用の促進等に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(抄)
  資料9   障害者雇用促進法に基づいて企業が実施すべき報告等
  資料10   労働者の個人情報保護に係る関係法令・指針等
  資料11   ガイドラインの基本的考え方(案)及び論点

   参考資料1   個人情報の保護等に関する法律
   参考資料2   雇用管理に関する個人情報の適正な取扱いを確保するために事業者が講ずべき措置に関する指針
   参考資料3   雇用管理に関する個人情報のうち健康情報を取り扱うに当たっての留意事項について
   参考資料4   労働者の個人情報保護の基本的な考え方について

6. 議事要旨
 ・  金子高齢・障害者雇用対策部長の挨拶の後、事務局から、委員、事務局の紹介と検討会議の開催要綱の説明があり、その後、要綱に従い座長の選任が行われた。
 ・  座長の選任については、松友委員から、障害者福祉の専門家であるとともに、精神障害者の雇用の促進等に関する研究会や障害者雇用問題研究会を通じて、精神障害者の雇用率適用の問題の検討に参画されてこられた松矢委員が適任であるとの推薦があり、他の委員も賛同し、松矢委員が座長に決定した。
 ・  調査官から、資料2「審議会等の公開に関する指針」に基づき説明がなされ、本研究会の扱いについて、原則公開となるが、会議の開催の都度、その議題を踏まえ会議及び議事録の公開についての取扱いを判断することについて了承を得た。
 ・  調査官から、資料3〜10に基づき、議題の「(1)精神障害者に対する雇用率制度の適用について」「(2)障害者雇用促進法に基づいて事業主が実施すべき報告等について」「(3)個人情報保護法等の関係法令等について」について説明が行われた。
 ・  その後、以下のようなやりとりがあった。

  ○  委員
 資料9の添付資料である様式103号であるが、障害者手帳の番号を書かせるのであれば、障害の種類については、情報として必要ないのではないか。ここまで詳細に書かせる必要があるのか。精神障害者については手帳の所持如何によって障害の確認を行うのであり、障害疾患別の情報は不要なのではないか。
  ●  調査官
 現在納付金の申告に当たり雇用する障害者について障害に関する詳細な情報を求めているのは、納付金の徴収は最終的には国税滞納処分の例により徴収することができるほど強い公権力の行使であることから、確かに会社において障害者である労働者を雇用し、その確認を行っているという点を明らかにするためである。
 ただ、これほど細かく情報をとる必要があるのか、障害者手帳の番号を確認すれば障害の種類までは情報として必要ないのではないか、という議論はあると考えられることから、業務の実施主体である独立行政法人高齢・障害者雇用支援機構とも相談しつつ、様式を簡略化できるところはするということも含め検討してまいりたい。
  ○  委員
 ガイドラインは法的根拠を持つものなのか。
  ●  障害者雇用対策課長
 職業安定局長名の通知という形で発出したいと考えている。ガイドラインの中には禁忌事項なども盛り込む予定だが、禁忌事項に抵触することがあった場合の担保措置としては、例えば個人情報保護法が規定する罰則に抵触するようなことが考えられる場合は、その旨記載する等の対応をとりたい。雇用率達成指導等を通じて、実効性のある指針となるよう努めてまいりたい。

 ・  事務局より資料11について説明。その後、次のようなやりとりがあった。

  ○  委員
 「(1)初めて障害者を把握・確認する場合」のうち、「(1)採用段階から障害者であることが明らかな場合」については、これで問題がないと思う。問題は、「(2)採用後に障害を有することとなった場合等」。職場で働く障害者の中には、障害者であることを知られたくない人と知られてもいい人の両方がいる。原則は、メールやリーフレット、社内報などを労働者全員に対して配信して、今回の制度改正のこと等を情報提供することが第一である。一方、例外の場合については、この場で慎重な議論を行うことが必要である。
  ○  委員
 本人や家族のなかには、自らが障害者であることを受け入れられない者もいる。また、休職と復職を繰り返している者もいる。そこで、手帳の取得に関しては、主治医がどのように判断するかということが重要。
  ○  委員
 資料7の添付資料に、委員の発言で、「掘り起こし、手帳の強要ということがあった」とある。過去にそのような例があったのであれば、同じことを繰り返さないよう、そうした例を集めてほしい。
 また、資料11に画一的に呼びかけるとあるが、企業にとって参考となるガイドラインということであれば、呼びかけのメールについて、適当と考えられる例も示すくらいの具体性が必要。
  ○  委員
 現在、職場で障害者であることを明らかにせず、クローズで働いている人がほとんどであるので、オープンにするためには、そのことによって絶対に不利益な取り扱いが行われないということが保証されていなければならない。
  ○  委員
 特に精神障害者の場合には、オープンにすることによって障害者にとってのメリットがない。障害をオープンにした場合、会社は障害があるからとは言わないが、別の理由をつけて不利益取扱いをするのではないか。その点をどうすればいのかという問題がある。
  ○  委員
 「採用後に障害を有することとなった場合等」という中には、採用前から障害者であって、採用後にそれをオープンにした方や、採用前は手帳を取得していなかったが、採用後症状が重くなり、手帳取得に至った方などが含まれる。知的障害の場合、18歳までに発症しないと手帳の対象とはならない。また、例えばてんかんは薬で抑えられるので、障害を職場でオープンにするメリットが少なく、多くの場合、現場で発作を起こして発症し、周囲に明らかになり、解雇されて問題となる。また、数年に一度しか発作が起きない方については、手帳の対象とはならない。こういったことも情報として、議論の念頭においていただきたい。
  ○  委員
 ガイドラインのできあがりのイメージはどのようなものか。
  ●  調査官
 素案を提示するつもりであるが、その際には、モデルケースのようなものを出来るだけ入れるようにしたい。
  ○  委員
 産業医の視点からは、産業医は本人の健康情報について人事労務の部署には直接渡さず、なるべく必要な範囲に限定するといった工夫をしている。障害者であるということが分かった場合、企業から行政に出す場合は、その前に産業医から意見を聴取しなければ行けないというような形にすればいいのではないか。
  ○  委員
 企業の中では、今回の法改正によって、手帳取得により安定して雇用されるということと、メンタルヘルス対策を充実させるということを、車の両輪として対策を打っていっている。今回の制度改正を労働者に周知し、労働者にとってのメリットも明確にしていくことが重要。また、障害者手帳所持者であることを申し出ることによって、労働条件の不利益変更や、解雇等は行わないことも明確にしなければならない。法的根拠はないが、ガイドラインなので労使ともに「努力しよう」ということ。また、周知の方法として良い事例、悪い事例を詳しく書くべき。
  ○  委員
 雇用率カウントは、労働者本人にとっては直接的なメリットはない。ただ、間接的に雇用継続というメリットはある。重要なのは、ガイドラインの中にどのくらいメリットを盛り込めるかということ。


(以上)


照会先
 職業安定局高齢・障害者雇用対策部障害者対策課雇用促進係
 TEL 03(5253)1111(内線5855)

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