資料5


助産所の嘱託医師制度に関する論点


【問題意識】

 自宅分娩がほとんどで医療機関の整備も途上にあった制度創設時代と大きく異なる現在、産科医療の安全性を高めるためには、助産所に嘱託医師の配置を義務付けるよりも、適切な医療機関との連携を図らせることとした方がよいのではないか。


【現状】

 医療法において、助産所は、嘱託医師を決めて置くことが義務付けられている。

 産婦人科のしかるべき嘱託医師の確保が困難な現状も指摘され、専門外の嘱託医師が選任されている例も見受けられる。

 嘱託医師確保の困難から助産所開設への支障が生じているとの指摘もある。

 助産所から他の医療機関へ転院・搬送される母体、新生児は分娩数の1割程度存在し、後方支援の医療機関の必要性は高い。なお、嘱託医師とは別に、後方支援を行う医療機関を予め選定している助産所も見られる。


【問題となりうる点】

 専門外の嘱託医師が選任されている場合、本来期待されている機能が発揮できているのか疑問である。

 緊急時の対応としては、嘱託医師を経由するよりも、救急対応可能な医療機関に直接搬送することの方が望ましいのではないか。

 検査の精度管理、高度な医療サービスの提供などの面で、医師個人には限界もあり、医療機関として組織的に後方支援を行う方が医療安全も高まるのではないか。

 助産所の開設を支援する観点からも嘱託医師制度を見直すべきではないか。


【論点】

 現行規定は、医師の応招義務を前提とするものであり、そもそも必要なのかどうか考えるべきではないか。その上で、必要であるとするなら、医師個人に関する規定として存続すべきではないか。

 制度の見直しについては、嘱託医師とは別に連携医療機関を設置することとするのか、嘱託医師と助産所と連携する医療機関との選択制を認めることとするのか、それとも連携医療機関に一本化するのか。

 連携する医療機関としての要件を決めるのか、決めるとするとどのような内容とすべきか。

 連携する医療機関について、嘱託医師制度と同様、広告規制を含め、妊産婦等への情報提供を行わせるべきではないか。

 妊産婦等の個人情報の保護、連携医療機関受診についての同意の確保についても検討すべきではないか。

 産科医療の確保が重要な課題となっている中で、正常産を取り扱うことができる助産師及び助産所について、産科医療の担い手の一つとしての役割がさらに積極的に果たせるように配慮していく必要があるのではないか。

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