中間取りまとめ以降の論点 | 考え方 | ||||||||||
1 労働契約法制の対象とする者の範囲 | |||||||||||
労働基準法の労働者以外の者を労働契約法の対象とする必要性について、どのように考えるか。その際、どのような者について、どのような条項を適用する必要性があるか。 例えば、個人で業務を請け負い又は受託する者であって発注者に経済的に従属している者について、どのように考えるか。 |
近年、就労形態の多様化に伴い、SOHO、テレワーク、在宅就業、インディペンデント・コントラクターなどといった雇用と自営の中間的な働き方の増加が指摘されており、その中には一つの相手方と専属的な契約をしており、主な収入源をその相手方に依存している場合も多いと考えられる。 労働基準法上の労働者について労働契約法の対象とすることは当然であるが、この他に、使用従属性まではなくとも、請負契約、委任契約等に基づき役務を提供してその対償として報酬を得ており、特定の者に経済的に従属している者については、相手方との間に情報の質及び量・交渉力の格差が存在することから、労働契約法の対象とし、解雇権濫用法理を適用するなど一定の保護を図ることとしてはどうか。 その場合、労働基準法上の労働者でなくとも労働契約法を適用する者としては、次の要件を満たす者が考えられるのではないか。
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2 労使委員会 | |||||||||||
労働者と使用者が実質的に対等な立場で労働条件を決定するために労働組合制度があることを踏まえつつ、労働組合が存在しない場合でも労働者の交渉力をより高め、また、多様な労働者の意見を反映するための恒常的な労使委員会の意義や必要性について、どのように考えるか。 | 労働組合の組織率の低下に伴い労働組合がない事業場が増加する中で、集団的労働条件決定システムが機能する領域が縮小している。こうした状況の下で、労働者と使用者が対等な立場で労働条件の設定・変更について協議することができるようにすることが重要な課題となってきている。 また、過半数組合がある事業場であっても、労使が対等な立場で労働条件について恒常的に話し合えるようにすることは意義がある。 このような観点から、各事業場において、常設の労使委員会の設置が促進されるようにする必要があるのではないか。 労使委員会の決議の効果としては、就業規則の変更の合理性の推定や解雇の金銭解決と金銭の額の基準に関する事前の労使合意が考えられるのではないか。 |
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また、労働組合と労使委員会との関係について、どのように考えるか。 | 労使委員会制度の検討に当たっては、少なくとも労働組合の団体交渉権を阻害しないものとすることが必要と考えられる。 過半数組合が存在する場合にも労使委員会の設置は認めてよいのではないか。 労働組合が存在する場合の労使委員会の決議の効力(就業規則の変更、解雇の金銭解決)についてどのように考えるか。労使委員会が労働組合の団体交渉を阻害することがあってはならないのではないか。 労働協約と労使委員会の決議の関係についてどう考えるか。労使委員会が労働協約の機能を阻害することがあってはならないのではないか。 |
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これを踏まえ、労使委員会の委員の選任等の手続や、労働者委員の独立性を確保するための方策、労働者委員が当該事業場の労働者の意見を適正に集約するための方策について、どのように考えるか。 | 労使委員会の委員の選任手続については、非正規労働者が増大している中で、できる限り多様な労働者の利益を公正に代表できるような委員の選出方法とすべきではないか。 労働者委員の公正代表性を確保するために、使用者による労働者委員の不利益取扱いの禁止などの規定が必要ではないか。 労使委員会が就業規則の変更を承認する決議を行う際の労働者の意見の適正な集約について、どのような措置が必要か。 社会経済情勢の変化に対応するためには、労使委員会の決議の有効期間や委員の任期をあらかじめ定めておく必要があるのではないか。 現行の労働基準法の企画業務型裁量労働制における労使委員会との関係を整理すべきではないか。 |
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3 総則規定の必要性 | |||||||||||
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労働契約に関する基本理念として、例えば、労働契約は労使当事者が対等の立場で締結すべきこと、労使当事者は信義誠実の原則に従って権利を行使し、義務を履行しなければならないこととしてはどうか。 労働契約においては、雇用形態にかかわらず、その就業の実態に応じた均等待遇が確保されるべきことを総則で明らかにしてはどうか。 |
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人種、国籍、性、信条等を理由とした差別的取扱いの禁止については、民事的な規定のみならず罰則や行政の積極的な関与により履行が確保されるべきであり、実際にもそのような観点から下記のとおり対応が図られている。このため、純粋な民事法である労働契約法において、このような事由に基づく差別禁止規定を重ねて設ける理由はないのではないか。
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4 労働契約法制における指針の意義 | |||||||||||
労働契約法制における指針の意義について、どのように考えるか。 | 労働契約法を制定するに当たって、労使当事者間の基本的な権利義務関係を明確にするための規定は法律で定めるべきであるが、具体的な規範は社会状況の変化等に応じて変化することが多いことから、むしろ労使当事者の参考となるガイドラインとして指針を定めることが、規範が適切に運用されることとなり意義があるのではないか。 <指針を定めることが考えられる事項>
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