05/06/30 治験のあり方に関する検討会第4回議事録            第4回治験のあり方に関する検討会議事録                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                             平成17年6月30日(木)                                 10:00〜12:00                          於:弘済会館 4階 「菊梅」 ○事務局  それでは定刻を過ぎましたので、ただいまより、第4回治験のあり方に関する検討会 を開催させていただきます。  本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。本日は、北 田委員がご欠席予定でございます。今井委員がまだお見えでございませんけれども、そ れでは池田先生、以降の議事進行をお願いいたします。 ○池田座長  池田でございます。おはようございます。よろしくお願いします。本日で4回という ことになったわけでございますけれども、最初に、いつものように事務局から配付資料 の確認をお願いしたいと思います。 ○事務局  はい。それでは、事務局から配布資料の確認をさせていただきます。本日、お配りを いたしました資料でございますが、本検討会の議事次第。本日は「速やかに検討すべき 事項」短期的なものと、それから「今後議論が必要な事項」中期的な事項、2つを並行 するような形での議論を考えておりまして、議事は2つ一応考えております。  それから次が配付資料の一覧、それから座席表という形でございます。座席表は3枚 目でございますけれども、一部プロジェクターの関係で配付しているものと実際の配置 が変わっておりますが御了解ください。それから後が配付資料ということになります。  配付資料一覧を御覧いただきながらと思いますが、資料1が、開催要綱で、これは前 回もお配りしたものでございます。  資料2は、メンバー表でございます。  資料3でございますが、これも前回配付しましたもので、それまでにいただきました 御意見につきまして短期的に、すなわち「速やかに対応すべき事項について」というこ とで意見を論点整理の素案という形で整理をさせていただいたものでございます。ここ は、前回事務局の改善の方向性案も入れた形でこのままお配りをしたということでござ います。  それから資料4でございますが、これにつきましては「今後議論の必要な事項につい て」ということで、中長期的な対応が必要な部分の意見につきまして、事務局で論点整 理の素案という形で項目ごとに整理をさせていただいたというものでございます。これ につきましては、前回、特にまだ議論には入っておりませんで、前回はお配りしたまま という形でございます。  それから資料5でございますが、「事務局論点整理(素案)速やかに対応すべき事項 」につきまして、GCP研究班で検討いただいた合意事項という形になっております が、検討経過について、この親委員会の方への報告のペーパーという形でございまし て、後ほどその関係で景山委員の方から御報告をいただくことを考えております。  資料6が、これは中長期的な検討事項とかなり関連してまいりますけれども、「全国 治験活性化3カ年計画」の概要ということで、一部全国治験活性化3カ年計画の関連で は、資料を既に配付しておりますけれども、今回中長期的な部分につきましても議論を 並行して行なっていただくということで、改めて資料を取り揃えまして配付させていた だいております。資料6が、その「治験活性化3カ年計画」の概要ということでござい ます。  資料7は、「治験活性化3カ年計画」に係るフォローアップがございますけれども、 そのフォローアップの状況につきまして、これも後ほど事務局研究開発振興課の方から 御説明をさせていただきますが、フォローアップの状況についての説明のペーパーとい うことでございます。  それから資料8−1、8−2といいますのは、資料7のもとになりましたフォローア ップの段階での治験等に係る関係者からの御意見をテーマ別にまとめたもの、それから その懇談会ごとにまとめたものという形で整理をしたものでございます。  資料9は、それらの3カ年計画に係る今後の論点候補の(案)ということで、事務局 でとりあえず整理したものをお付けいたしております。  それからその後は、参考資料の1から2、3、4、5となりますけれども、これはい ずれもこれまでにお配りをしたものでございまして、薬事法関連及びGCP関連、それ から治験活性化3カ年計画の関連の資料でございます。  配付資料の関係は以上でございますが、前回、会合におきまして事務局で検討するこ ととされていました事項の対応状況の関係について、合わせて報告をさせていただきま す。  前回、私どもの審議官の黒川の方から提案がございました、国際医科学組織委員会、 通称シオムス(CIOMS)と言われておりますけれども、このワーキンググループに よります、治験中の安全性情報についてのレポートが2週間ほど前に出版をされたとい うことでございまして、現在事務局の方で取り寄せているところでございます。治験中 の副作用の報告体制につきましては、現在GCPの研究班においても御議論をいただい ておりますので、このCIOMS報告につきましては出版物ということもございまし て、今後の検討資料としてGCP研究班に提供して少し御検討をいただいてはどうかと 考えております。  それから2番目としまして、前回藤原委員より御指摘がありました「最新の毒性試験 データの取り扱いについて」でございますけれども、これにつきましても国内で未承認 かつ海外で既承認の医薬品品目における医師主導治験のあり方を含めまして、GCP研 究班で検討中でございますので、そこでの検討をまたここの委員会で受けるというよう な形での検討の形を考えさせていただければと考えております。  それから3点目で、これも藤原委員から御指摘をいただきました「GCPの査察調査 における指摘事項」というものが、医薬品の承認審査におきましてどのように今評価さ れているかといった点につきましては、現在どのような資料が出せるか事務局で引き続 き検討中でございます。  それから前回加藤委員から御依頼といいますか、御意見がございました「海外の被験 者保護の法体系の資料」につきましては、一部文献的なものを入手しておりまして、そ のものにつきましては加藤委員宛に送付をいたしておりますけれども、現在引き続き事 務局で調査、収集中でございます。次回にでも必要があれば、文献ということもござい ますのでリストで報告をさせていただきたいというふうに思っております。以上、資料 の説明と追加の報告でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。配付資料については先生方よろしいでしょうか、特に不備 等がございましたら事務局の方へ連絡をお願いしたいと思います。  それから今課長からもお話がありましたように、前回会合において事務局が対応する ことということで御説明があったわけですけれども、それらの事項についてもよろしい でしょうか。 ○加藤委員  この治験のあり方に関する検討会の目的の中に、被験者の安全性の確保ということ、 そのためにさまざまな、特に被験者の人権に関する問題というのは非常に重要なベース になることだろうと思っていますので、早い段階で諸外国の法制については、各委員の 共通の認識になってしかるべきものだという気持ちがあります。そのため、次回には必 要があればということだったのですが、ぜひ出していただきたい、集まっている範囲内 で結構ですから配付はしていただきたいと強く希望したいと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。事務局の方にも、ぜひこの問題は避けて通れない非常に重 要な問題ですので、法体系の資料について収集して先生方にお配りすることでよろしい ですか。 ○事務局  ちょっと文献のような場合に、傍聴の方も含めまして著者の方の了解を得ずに全体と して配っていいかどうかというような問題も少しあるかと思いますけれど、そのへんも 含めて確認をしまして、委員の先生方にお配りできるようにしたいと思います。 ○池田座長  そうですね、非常に重要なことですのでよろしくお願いしたいと思います。  それでは、本日の議題は先生方のお手元にありますように、速やかに対応すべき事項 と今後議論が必要な事項を並行して進めていこうということでございます。最初に速や かに対応すべき事項については、はじめの1時間ほど議論をしたいと思っています。こ の部分については、前回も申し上げましたように本検討会での検討事項をGCP研究班がさ っそく景山班長以下検討していただいたというふうに伺っていますので、その検討結果 の御報告をしていただき、それを踏まえて討議を1時間ほどしたいと思っております。 全てに対して結論が出ればそれでいいし、結論がもし出なかった事項については次回以 降に持ち越したいと思っています。  その後は、今後議論が必要な事項に関しては、現在、先ほど課長が言われましたよう に、全国治験活性化3カ年計画に基づいてさまざまな施策が行なわれておりますので、 医政局研究開発振興課の安達課長から、その3カ年計画の進捗状況等について御紹介い ただい上で、さらに各委員の先生方からご意見をいただきながら議論を進めていきたい と、そんなことでお願いしたいと思います。よろしいですか。  それでは早速、景山委員から恐縮ですけれどもGCP研究班での検討状況について御 報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。 ○景山委員  それではお手元の資料5を御覧ください。これは「速やかに検討すべき事項について 」です。左側の列と真ん中の列、これは前回配付された資料そのままです。右側の研究 班の意見、これが私どものGCPに関する研究班での検討結果を記載したものです。ま ず、その問題提起と当局の改善の方向性の案に関しましては、リマインドするために簡 単にもう一度触れて、その後研究班の意見を述べたいと思います。この研究班の意見と いうのは、専門家の集団が考えた一つの方向性を示した意見というぐらいにお考えいた だければと思います。  まず1番です。「国内未承認で欧米既承認の医薬品の個人輸入等によるマーケットか らの調達を許容し、その際、治験薬GMP準拠を求めないようにすべきではないか。G MPと同様にGLPについても医師に求めるのは困難である。」という課題の提起です けれども、それに対する改善の方向性(案)、当局案は真ん中に記載されたとおりで す。まず、このGMP関連について議論いたしましたけれども、これはGMPに関する ことですが、やはり研究班の意見としては、まずは製薬企業から直接提供を受けること が望ましい。なるべく提供を受けるよう努力してほしいというのが最初の意見です。そ れから企業主導治験と同時並行して医師主導治験が行なわれている場合には、治験薬の 企業から提供してもらえるよう努める。ということで、まずはいずれの場合も、企業か らダイレクトに調達してほしいということです。しかし、市場からどうしても調達しな ければならないという場合には、やはり何らかの方法で品質保証が求められるというわ けです。その場合どうしたらよいかということで、一つの案として、薬学部等の信頼の おける機関に依頼して品質の保証をしてもらうということ。あるいは製薬企業が市場に 出荷する段階で保証してもらう。それからEUの臨床試験指令では、QP(qualified person)の署名というのがあります。qualified personがGMP全体、製造の全工程に ついて目を光らせて責任を持っているわけです。そういう人の署名があります。それか ら製造書の証書のラベルあるいは行政の査察といったことが規定されておりますので、 これらを参考にしてなんとか品質保証を得るような努力をすべきであろうということで す。  ちなみに、局長通知第26条の3関係には、「自ら治験を実施する者は、改正GCPの 要件を満たす治験薬の提供を受けられるよう、治験薬の品質確保に関して、治験薬提供 者との間で文書等により、明確な取り決め等を行なうこと。」というふうに記載されて おります。  次に2番です。「国内未承認で欧米既承認の医薬品を個人輸入で調達した場合、たと えばFDAの公開毒性試験成績で毒性試験等の実施が終了しているものと判断すべきで はないか。あるいは、非臨床試験等の成績は企業からの提供が必要ではないか。」とい う御意見です。これに対する、当局の方向性(案)としては、そこに記載されておりま すけれども、「国内未承認で欧米既承認の医薬品の場合、治験を実施するために必要な 試験は終了しているものとみなし、その資料としてはFDA等で承認時に使用された毒 性試験等のまとめ(日本語訳)あるいは添付文書でさしつかえないものとしてはどう か。」といったものですけれども、研究班の方で検討した際の意見としては、「治験予 定の効能効果が欧米で承認されている場合、治験届けの段階では、非臨床試験の詳細よ りも欧米での臨床成績が重要ではないか」ということです。すなわち既に、欧米で人で 使われているのであれば、動物実験の詳細よりも、この時点ではやはり非臨床よりも臨 床成績の方がより重要な意味を持つのではないかということです。そこで「欧米の治験 薬概要書の要約を日本語で作成し、これに英語の原文の治験薬概要書(Investigator’s Brochure)を添付するのでよいのではないか」という意見です。これは医師主導治験 では、マンパワーも予算も研究費も限られておりますので、その中で円滑に行なう一つ の方策としてこういったことが示されているわけです。  ただし、届けの段階では上記のようなことでよろしいのではないかということです が、承認審査になりますと、非臨床試験成績も審査対象になるということがありますの で、この際には、日本語による詳細な資料が必要であろうということで、この研究班の 会議の時ではないですが、その後の情報によりますと、省令になるのでしょうか薬事法 施行規則には「日本語で記すこと」という記載があるのだそうです。となりますと、そ れとの兼ね合いがでてまいりますので、やはり最終の段階では日本語の資料が必要にな るのかもしれません。あるいは薬事法施行規則の改正が必要なのかもしれません。  それから3番目です。「国内未承認で欧米既承認の場合、欧米市販品の添付文書で治 験薬概要書の代用とみなすべきではないか。」という御意見ですけれども、これは2と 重複いたしますけれども、やはり添付文書だけでは少し簡略化しすぎであろうというこ とで、2番に記載したようなことを研究班としては考えているということでございま す。  次に視点が変わり別の問題点になります。モニタリングと監査に関するもので「同一 医療機関の者が行なう場合、どの部署であればよいか明確にしてほしい。」という御意 見です。これについては、当局の方向性としては、「モニター担当と監査担当の部署 は、治験を実施する部署とは別の部署であって、医療機関の組織上の指揮命令系統が別 であり、かつ日常診療においても指揮命令の関係が存在しなければ可としてはどうか」 ということです。「あわせて客観性を高めるために、モニターと監査担当者の指名を現 状の治験責任医師から実施医療機関の長に変更してはどうか。」ということですけれど も、これに関しては、同一機関の者が行なう場合、少し気になるということですが、 「モニタリングと監査を行なう者は同一医療機関の者あるいは他の医療機関の者でなけ ればならない」と、そういった記載はGCPにはしていないということで、そういった ことが記載がないと、いざ実施する側となると気になることでありますので、そういっ た考え方を通知あるいはQ&Aで、明確にすることによって対処できるのではないかと いうことです。例えば「厚労省あるいはQA研究会が、医療機関のスタッフに対して講 習会を行なうことも一案である。」という意見が出されました。基本的には、改善の方 向性案どおりで結構ではないかという意見です。  次に5番に移らせていただきます。「海外市販品について、治験薬の管理において、 海外添付文書の使用を認めてはどうか。」ということですけれども、真ん中の列は、 「国内未承認で欧米既承認の医薬品の場合、治験薬の溶解方法及びその他の取り扱い方 法を説明した文書として海外添付文書の使用を認めてはどうか。」ということですけれ ども、これに関しましては、添付文書とりわけ米国の添付文書は記載が詳細です。そこ で海外の添付文書、これも一つの文献と考えてよろしいであろうということで、これに 関しましても真ん中の列に記載されているような、改善の方向性案どおりでよろしいの ではないかという意見でした。  次に6番です。「現行の改正GCPは、多施設共同治験を想定されて作成されていな いので、多施設共同治験を想定した内容にすべきではないか。たとえば、それぞれで、 治験届を提出するためのタイミングのずれが治験副作用・感染症症例報告書の提出を複 雑化しているのではないか。」という御意見ですけれども、これに関しましては真ん中 の列、当局の方向性(案)としては、「多施設共同治験については治験調整医師をおい て調整することになっており、多施設共同治験を想定していないわけではないが、現行 GCP上、多施設共同治験を行なうにあたり手続上、煩雑である点については改正して はどうか。」ということです。  これにつきましては、現在も施設ごとでなく連名による提出というのは認めているの です。恐らく現時点では、施設ごとに届出をしているのかもしれませんが、連名も既に 認められております。ただし、あまりに特定の施設が遅れて年単位による遅れがあると いうような場合には、副作用・感染症の報告に関しましても全く同じでよいかどうかと いうことに問題点があるようで、これは現実的な問題ですが、副作用報告のシリアルナ ンバーというのが、ちょっと私も現場のことは十分には理解しておりませんけれども、 実際に治験を自ら実施する者の立場になりますと、相当煩雑でペーパーワークを複雑に していることのようです。これに関しては、厚労省と総合機構の方で、治験届の若干の 遅れに関しては同一のシリアルナンバーで受け付けることができるようにすり合わせを していただいたらどうかということです。  将来は、考え方として医師主導の治験においてもsponsorあるいはchief investigator、 principal investigatorこういった関係を明確にする必要があろうということです。 少しこれ細く説明いたしますと、各施設の責任医師がプリンシパル・インベスティゲー ターです。マルチセンタートライアルを行なっている場合、そのマルチセンターの中の 責任者がチーフ・インベスティゲーターです。それからスポンサーというのは、日本語 でスポンサーというと経済的な支援をする人という意味だろうと思いますが、ただGC Pあるいは臨床試験で言う英語のsponsorというのは、研究費、資金を提供することは もちろんですが、試験全体についてその科学性、倫理性全て含めて、試験についてのオ ーバーオールリスポンシビリティをとる人という理解がありますので、医師主導の試験 におきましても、将来的にもスポンサーというのはなかなか難しいのかもしれません が、やはりチーフ・インベスティゲーターあるいはプリンシパル・インベスティゲータ ーの、こういった関係を明確にする必要があろうという意見です。  次は7番の副作用です。「副作用情報については、海外の日常診療や我が国の適応症 下の有害事象が含まれるため報告件数が膨大である。海外で標準薬として確立している 医薬品については、治験薬概要書あるいは添付文書の改定の情報で十分ではないか。あ るいは当該医師が実施している治験で発生する有害事象以外のものを医薬品医療機器総 合機構に報告することは不要とするなどEU並としてはどうか。EU(Clinical Trial Directive)では、実施している臨床試験のなかで発生した有害事象で未知、重篤なもの のみを報告している。副作用報告について、企業主導の治験とは異なるルールの設定も 必要ではないか(合理的に判断しえる範囲で、同一適応症、あるいは同様なプロトコー ルに関する安全性情報に限定することも適切かもしれないのではないか。)」という問 題提起です。  これに関しましては、海外既承認、国内でも既に承認されていて効能追加治験を行な っているという場合、現在動いている、医師主導の治験はこれに相当するわけですが、 この場合について検討しました。その結果、右側の列ですが(1)ですが、既承認の適 応症下の使用に関しては安全性情報のシステムは確立されています。したがって、既承 認の適応症下の使用に関しては添付文書の改訂等の報告を受けることでよいのではない か。ということです。それから(2)として、新規適応症については、その適応症特有 の副作用の存在もあり得ます。したがって、実施している治験の中で発生した有害事象 で未知、重篤のものについては報告することとしてよいのではないか。ということで す。  そして「医師主導の治験に限らず治験中の副作用報告に関する現状は97年の新GCP 制定時には想定できなかったことであり、速やかな現実的な対応が必要である。シグナ ルを検出するためにはある程度質の高い情報に限定することも必要である。」という意 見が出されました。少し補足説明いたしますと、国内で既に承認されているわけですか ら、これは日常診療で使われているわけです。それらに関しては、日常診療であろうと 治験であろうと取り扱いを変える必要はないであろうという考え方です。そして、新規 の効能追加、適応症の追加に関しては、その適応症の患者さん特有の副作用も考えられ ますので、これらに関しては従来どおり未知、重篤なものに関しては報告をしていただ いたらよいであろうという考え方です。それから下の方に書かれている番号が書いてあ りませんけれども、有害事象の報告というのは、97年の制定時に、GCP制定時には想 定できなかったような膨大なものが来ております。したがって、我々のIRBなり治験 責任医師の持っている能力、人間の能力が有限であること、また時間も有限であるとい うことを考慮すると、やはり現実的な速やかな対応が必要であろうという考え方です。  次に8番に移らせていただきます。「医師主導治験におけるモニタリング、モニタリ ング報告書のあり方を抜本的に考え直す必要があるのではないか。治験の質を保証でき る範囲で、欧米の臨床研究で標準的にとられている方法や実施レベルを参考にしつつ、 効率的な実施方法を考える必要があるのではないか。具体的には、On-site モニタリン グだけに固執することなくセントラルモニタリングを許容する必要があるのではない か。」という御意見です。  これに関して当局の方向性の(案)は、「医師主導治験は最終的に企業による承認申 請が前提であることから、セントラルモニタリングを許容してはどうか(ただし、モニ タリングは抽出によるOn-site モニタリングとの組み合わせで行なう。)ということで す。  これに関しましては、現行のGCP26条の7、3項に「On-site モニタリング以外の 方法も他の方法により十分にモニタリングを実施することが可能かつ適当である例外的 な場合には認めている」。と認めているのです。その他の方法により、十分にモニタリ ングが実施できる医師主導治験はこの「例外的な場合」に該当すると考えて、Q&Aで 明記してはどうかということですが、このGCPの条文に「例外的な場合」というふう に記載されているために、CROにモニタリングを医師主導治験で委託した場合に、C RO側が非常に厳格にあるいは過度にこの「例外的な場合」という記載にこだわって、 なかなかセントラルモニタリング、On-siteモニタリング以外の方法をやってくれない ということです。安心してそれができるようにQ&Aで明記してはどうかという意見で す。  次に9番です。「自ら治験を実施する者」がモニターを指名するとの記載となってい るが、GCP15条の7においては「自ら治験を実施しよとする者」がモニタリングに関 する手順書を作成し、その手順書内でモニターの氏名の記載を求められており、治験届 前のモニターの指名が必要と読める矛盾点があり改訂が必要ではないか。」という御意 見です。  それに対して当局の方向性(案)は、「治験届け前のモニターの指名は必要であり 「自ら治験を実施する者」を「自ら実施しようとする者」に改めてはどうか。」という ことで、このへんは非常に細かな日本語の表現の問題ですけれども、なかなかこういっ たGCPを制定する方にしてみると、統一的にうまく矛盾なくするものとしようとする ものは必ずしも明確にできない部分があるということですので、このへんは改善の方向 性(案)どおりでよろしいでしょうということで、このへんの細かな点は通知で対応で きるのではないかという意見です。  次に10番です。「医師にICH E3ガイドラインに従った総括報告書を要求するこ とは不要ではないか。厚労科研費の報告書並のもので許容し申請資料に用いる場合は別 途作成すべきではないか。」という提案です。  これに関しましては「総括報告書は承認申請に使用するのであればICH E3ガイ ドラインへの準拠が必要であるが、その作成者については、治験責任医師に限らないも のとしてはどうか。」ということです。研究班の意見としては「自ら治験を実施した者 」の監督下で作成されたものであれば外部委託も可とする。分量は企業主導治験の場合 ほど大部でなくも要件を満たしていればよしとし、要件については通知に明記する方向 で検討してはどうかということです。今後、治験推進協議会が講習会を開催することも 一案であるという意見も出されました。また薬学系の講習会のみならず、医学系の学会 との議論も必要である。ということです。いずれにしましても、自ら治験を実施する医 師個人が総括報告書を記載しなくとも、その監督下で作成されたものであれば外部委託 してこれは問題ないであろうということです。  次に11番です。「事務処理の負担が大きいが、CROやSMOに委託すると委託費が 高額であり、誰が負担するのか。」ということですが、そこで真ん中の列では「添付文 書の活用、必須文書の見直しにより事務処理を減らしてはどうか。」ということです。 これに関しましては、確かに必須文書の数は多数にのぼりますので、複数の必須文書を 一つにまとめる方向で検討してはどうかということです。具体的には厚労省あるいは総 合機構の方に検討をお願いするということになろうかと思います。  次に12番です。「外部機関(例えばCRO)にモニタリングを依頼した場合の経費は 膨大であるので、委託を考えるのであれば相当額の予算措置が必要である。」というこ とですが、これは先ほどの8番、医師主導治験におけるモニタリングのところでも記載 しておりますので、それとほぼ同じ内容だと。重複しております。  それから13番、「必須文書の負担が大きい」ということは、ただいま申し上げたとお り11番に記載されているとおりです。  次のページに移りまして、今度は(2)の治験の透明性を確保するための利益相反に関す る考え方の明確化という問題点です。  その1番、「第10号「治験の費用に関する事項を記載した文書」は、利益相反問題を 十分に考慮した内容に改訂すべきではないか。」ということですが、利益相反conflict of interestは、恐らく米国で最初に議論されているのだろうと思います。最近、この 何年間か我が国でもだいぶ話題に上るようになってまいりました。しかし大変大きな問 題ですので、それを他の事項と一緒に1回の班会議で何か結論めいたことを申し上げる ということは無理ですので、今後の検討課題の一つというふうにさせていただければと 思います。  それから(3)の国際化、高度先進医療への対応、国際共同治験への参加のためのGC Pの見直し等ということですけれども、これについては検討課題に上ったのは3番の副 作用情報の資料が膨大であるということで、これは先ほども申し上げましたけれども、 先ほどは医師主導の治験でかつ国内既承認で効能追加治験の場合という、きわめて限定 的な問題については、比較的結論を出しやすいので、先ほど申し上げたとおりのことを 研究班とし用は述べているわけですけれども、副作用情報全般となりますとGCPの研 究班でも一昨年以来しばしば検討はしておりますが大きな問題ですので、これに関しま しても今年度の検討課題の一つというふうにさせていただければと思います。  それから次のページ(4)です。治験外の適応外使用時に生じた有害事象情報の治験医 師への提供ということに関しては、これは時間等の関係もありますし、まだ研究班では 検討をしておりません。以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。早速GCP研究班で御議論いただいたわけですけれども、 ただいまの景山委員の御報告について委員の先生方から御意見を伺いたいと思います。 いかがでしょうか。 ○吉村委員  吉村です。今研究班の意見を出されたわけですけれども、これに対してここで何かデ ィスカッションをして結論を出そうということになるのでしょうか。 ○池田座長  ここでもし、委員の先生から合意ができましたら、その線に沿って事務局の方でまた お考えいただくということになると思いますが、課長それでよろしいでしょうか。 ○事務局  はい。一応研究班からの報告を受けて、その報告の中には、大体今検討の方向性のと おりでよいだろうという御意見をいただいたものと、それから今後引き続き検討させて いただきたいというものとまざっておりますけれども、主には一応方向性が出て研究班 の意見としてもこういう方向性というような提言をいただいたものにつきましては、こ こで御議論いただきまして、ここの親委員会の方でも大体御了解いただければ具体的な 例えば通知の見直しですとか、Q&Aを追加するとか、ちょっとそういう御意見もいた だいておりますので、具体的な対応方法については次回にでもこの親委員会の御了解が 得られれば事務局から提示させていただくということを考えております。 ○吉村委員  一つ引っかかるのは、「一案である」というのが割りとたくさんあるのです。その 「一案である」ということに対して、我々がここで「いやいや、これはこういうふうな ことをすべきである」というのか、あるいは「そんな意見もありますね」ということに なるのかという、いわばどういう結論の出し方をするのかというのが一つ疑問でしたの でこれについてはどうするのかということをお聞きしたいということです。  それからもう一つは、この内容に関する意見です。2ページの4のモニタリングと監 査の右の端に、「厚労省あるいはQ&A研究会が医療機関のスタッフに対して講習会を 行なうことも一案である。」と書いてあるのですが、私の意見は、もう少し積極的にモ ニタリングと監査を行なう者の教育が必要であると。教育というかなんらかの形で、ど ういうことをやらなければいけないか、どういうことを注意しなければいけないかとい うことを明確にしなくてはいけないという、少し強い内容にした方がいいのではないか というのが私の意見です。といいますのは、現在は幾つかの大学ではそういうことに対 して医学部などで教育をしようという動きがありますけれども、少なくとも過去におい てはそんなことはなかったわけですから、既にある程度の立場に立っている人には、過 去においてそういう教育を受けていないわけです。しかも実際そういうことに関する合 意自身すら現在の社会でそれほど明確にはできていないように思いますので、これは何 かのシステムできちっとやらない限りはうまくいかないだろうと思うのです。そういう 意味では、積極的にもう少し主張した方がいいのではないかと思っております。 ○池田座長  ありがとうございました。景山委員から、幾つかの項目についてそれぞれ御議論いた だいたところを御報告いただいたわけですけれども、一つ一つ先生方に御意見をいただ こうと思っていたのですが、早速モニタリングの話が吉村委員から出ましたので、4番 あるいはその他、モニタリングのことで少し先生方に御議論をいただいて、その他に項 目が少し似通ったところをまとめながら議論を進めたいと思います。 ○寺岡委員  具体的なことを一つ、モニタリングではないのですが質問です。寺岡でございます。 4ページの11番の事務処理の負担が大きいがCRO、SMOに委託する委託費が高額で ありというところです。ここの御意見というのは、事務処理を簡素化するということに よって経費をより軽減するという、これは誰が考えても理解できることですが、それ以 外に本質的にCRO、SMOの委託費が非常に高額であるのだけれども、委託をする側 からいうとなぜそんなに高いのかということが透明性といいますか、説明性がよく理解 できない。情報の不対称とかいろいろなことがあるのかもしれませんが、このような状 況なのでそこらへんのところはどうなのでしょうか、もう少し本質的なところをかれこ れしかじかで高いのだという説明ができないものなのでしょうか。ちょっとお教えいた だきたいと思います。 ○池田座長  景山委員どうでしょうか。 ○景山委員  その前に、吉村先生からの御指摘で「一案である」ということが何ヵ所か記載されて いるということですが、「一案である」というふうに記載されているのは2ページの4 番、これは厚労省がQ&A研究会が講習会を行なうことも一案であると。それから4ペ ージの10番です。治験推進協議会が講習会を開催することも一案である。それからその 下JCOGのひな形を利用することも一案である。ということで、研究班が主体ではな くて第三者機関にこういうことを委託してはどうかということで、第三者機関の別に了 解を得ているわけではありませんので、こういった部分は一案であるという極めて控え めな表現を用いているのであって、別に研究班の方向性の意見が全て「一案である」と いうような多くの選択肢の中の一つに過ぎませんという意味ではございませんで、外部 に委託するものに関しては一案であるということです。  それから次に寺岡先生のCRO、SMOの経費がなぜ高いかと。これは私よりもCR O、SMOの方、あるいは製薬企業にお聞きいただいた方が。 ○寺岡委員  それはそのとおりなのです。ですからそこらへんをもっと透明性をもって、説明がで きるように明確にすべきであるというような御指摘がいただければありがたいなと思う わけです。 ○景山委員  治験の場合には、1年早く出れば薬によりますが何十億とか、あるいは何百億という 売り上げにつながりますので、結局は開発する立場になりますと1品目開発するのに 100億とか150億とか、あるいはそれ以上ということも言われておりますので、どうして も少々CRO、SMOの費用が高くても出してしまうというのが現状なんだろうと思い ます。ただ、医師主導の治験あるいは治験に限らず研究者主導の臨床研究になります と、そういった「潤沢な」と申しますか研究費はありませんので、そこで同一のCR O、SMOを利用するとなると、そこに大きな齟齬を生じているということです。お答 えになりましたでしょうか。 ○池田座長  生駒委員、何かその点ございますか。 ○生駒委員  CRO、SMOの費用の高さについては、実際、具体的になぜかという議論をしたこ とありませんが、恐らく企業側のモニターが実際やっているようなものについては表立 って人件費はほとんどみえませんので、金銭的な面でいくとそんなに高いという意識を 感じないのではないか。CRO、SMOの場合は、やはり人件費がそこに入っています ので、更にプラス利益とかそういうものが全部入っていますので、恐らくそういうとこ ろを全て加味されているためどうしても高くなってしまうのだろうという感じはいたし ます。 ○池田座長  ありがとうございました。それでは個別のものについて先生方の御意見を伺いたいの ですが、1から3までについては、国内未承認で欧米既承認の医薬品についての取り扱 いについてのことが議論されていまして、2と3は同じような考え方ということで、こ れについては特に問題ございませんでしょうか。何か御指摘ございますか。藤原委員ど うですか。 ○藤原委員  藤原です。僕は検討班の班員なので一応は述べたのですが、班会議の時に言い忘れて いたことで一つあるのは、治験の場合、対照薬、特に第三相試験をやる場合に対照薬の 選定というのは非常に臨床的な観点から大事です。よくあるのは、製薬企業さんが自分 の薬と競合する品目の治験薬の対照薬を選定しようとすると、「それは業界の紳士協定 でその治験薬の提供はできません」というようなことをおっしゃるのを聞いたことがあ るのです。そういうふうに言われていると、治験薬として企業から提供、例えば医師主 導治験で受けようとすると「それは紳士協定があるから出せません」といわれると、本 来の臨床的意義をしっかり検討すべき第三相試験が組めなくなるので、こういう「マー ケットからの調達などを可能にする方策を考えたらいかが」というのが一つ背景にあっ たので、そこをちょっとコメントさせていただきました。 ○池田座長  わかりました。この医薬品が国内未承認で欧米既承認の医薬品の取り扱いについて は、この研究班の意見ではやはり医師主導の臨床試験がかなりやりやすくなっている と。そしてまた問題も比較的解決されたというふうに考えてよろしいでしょうか。ここ の部分についてはよろしいですか。 ○加藤委員  1番の点ですが、市場から調達した場合の品質保証の点です。現実に使おうとする薬 がそれだけのクオリティ、要するに海外できちっと使われているものと同一のものであ るという、そういうところの確保のこと、薬学部等の機関に依頼してスムーズに協力が 得られている現状があるのでしょうか。 ○池田座長  いかがでしょうか。これは例えばということで、3つほど、行政の査察が求められて いるというようなことも含めて案として挙げられておりますけれども、そのへんはいか がですか。 ○景山委員  ちょっと私は、現状は存じません。意見としてこういう意見が出されたということ で、薬学の先生の方がお詳しいのではないでしょうか。 ○事務局  そういう御議論があったということですが、現実には既承認の医薬品をマーケット調 達、先ほどの藤原委員の話とも少し関係してくるのですが、既承認のものであればある 程度分析法とかそういったものもオープンになっている場合がございますので、これは 薬学とかそういったところでも分析とか定量とかそういったものはある程度できると思 うのですけれども、未承認薬の場合とか非常に定量法とか分析法が難しいような場合に は、薬学部等の専門機関でも少し品質保証というのは難しいのではないかと。したがい まして、先ほど別の局面でもでてまいりましたけれど、景山先生のところの研究班で も、欧米でも既承認で日本でも物自体は承認されて販売されているものの効能追加の治 験のような場合と、欧米既承認で日本未承認とか、全世界で未承認とかそういうパター ンによってかなりいろいろこのへんは大きく異なるなという御意見でございました。 ○池田座長  そうですね。ありがとうございました。欧米で既に承認されているという薬剤ですの で、なんらかの安全性の確保、品質の保証ができていればよろしいという考え方という ふうに理解してよろしいのではないかと思います。よろしいでしょうか。  先ほど吉村委員から問題が提起されました、モニタリングの問題ですが、モニタリン グの問題もまた非常に重要な問題ですけれども、4番あるいはそのほかに8番あるいは 9番とでてきます。このモニターのことについて何か御議論ございますでしょうか。同 一医療機関のもの、あるいは他の医療機関のものでなければならないと記載されていな いので、考え方を通知あるいはQ&Aで明らかにすることにより対処できるのではない かという考え方で、しかし、モニターという非常に重要なこと、また、その監査をする ということをやはり周知徹底させるような、なんらかの補足を考えるというような研究 班のお考えだと思いますけれど、この点についていかがですか。 ○藤原委員  これも班会議の時に言い忘れて申し訳なかったのですが、モニタリングに関して将来 的に班でも考えてもいいかなと思ったのは、イギリスなどではMHRAという規制当局 がモニタリングをする際に、臨床試験のリスクですね、被験者に対する危なさを規制当 局の方が判定して、そのリスクを幾つかのカテゴリーに分けて、この患者さんに与える リスクが高い場合にはインテンシブなモニタリングをする。あるいは被験者に対してそ れほどリスクが高くない場合には、モニタリングの度合いを少なくするとか、そういう リスクベースのモニタリングというのをされているので、やはり将来的にはなんでも同 じようなOn-siteモニタリングで、何でも同じようなサイドビジットというのではなく て、その臨床試験の被験者に与えるリスクに応じたモニタリングの制度というのは日本 でも構築されるべきではないかと思います。 ○池田座長  これは景山委員、On-siteモニタリング以外の方法も考えて、十分その効果を挙げる ようにというそういう考え方が基本的にはあるわけですね。 ○景山委員  そうです。医師主導治験の場合にはOn-siteモニタリング以外のものも認める例外的 な場合に相当するであろうというふうに考えているわけです。 ○池田座長  その点について、委員の先生方どうでしょうか。9番もモニターを指名するとの記載 となっているが、自ら治験を実施しようとする者がモニタリングに関する手順書を作成 し、というようなことについて、法令の改訂の必要があるのではないかという問題に対 して、また研究班での意見がでているわけですが、この点についていかがですか。よろ しいですか。 ○生駒委員  通常モニタリングと監査というのは、企業主導においては確かに別の部署できちっと 明確に分担がなされております。医師主導治験の場合においては、そのモニタリングが 浸透されているということであれば、このQ&Aで対応十分可能ではないかという感じ はいたします。 ○池田座長  ありがとうございました。そのほか、このモニタリングの問題、医師主導の臨床試験 をやる場合に非常に重要な問題だと思うのですけれども、何かございますでしょうか。 それでは、吉村先生どうでしょうか。 ○吉村委員  先ほど言った意見をもう少し補足いたしますと、例えばいろいろな承認審査などのと きに責任者の名前があったときに、その責任者に対しては責任者であるだけの能力があ るということを経歴書みたいなもので確認するということがあるものですから、モニタ リングあるいは監査をやる人に対しても、そういう意味でそれだけのちゃんとリスポン シビリティを与えるということ、かつそれを確認できるようなことが必要だろうと思い ます。  それから先ほどのOn-siteモニタリングその他に対して条件を多少グレードといいま すか、レベルといいますか、つけてもいいのではないかということをおっしゃって、私 もどちらかというとそれに賛成でして、ただそのときに、どういうレベルあるいはどう いうグレードをつけるかということだけはいろいろな議論をしていただきたいなと思い ます。以上です。 ○加藤委員  監査というと、やはり一番厳しいのは外部監査でしょう、そういう意味でいうと、方 向としては同一医療機関でないところからの監査を受ける仕組みというようなことを検 討することは難しいのでしょうか。 ○池田座長  いかがでしょうか。藤原委員、何か御意見ございますか。 ○藤原委員  理想的にはその方が、私ども医師主導の治験も国立病院機構の方々にお願いして自分 たちの試験を監査してくれというふうにはしているのですけれども、いろいろな監査が あっていいと思うのです。例えば、今の病院の中でほかの医者が何をやっているかと か、カルテをどう見るかというのを系統的にたぶんチェックする機能というのは、日本 の医療機関にあまりないと思うのです。ですから、そういう意味の将来性を育てるとい う意味では病院の中にも、自分たちの診療グループ以外の方々がほかのグループのカル テをときどき見るとか、そういう機能を持たしておいた方が病院のクオリティの維持に はよくなるのではないかと思います。ですから、二通りあっていいいと思います。 ○池田座長  そうですね。今どうでしょうか、医療の透明性というものに対してかなり医療関係者 が真剣に考えるようになってきているということを考えると、この監査というのもだん だんそういう面で出てくるのではないかと思うのですけれど。 ○加藤委員  やはり内部だけではしにくいという面が今までの文化としてあったのではないかとい う気がするので、方向としてはなるべく同じ機関ではないところの監査が受けられると いうのが望ましいという方向性は指導していく必要があるのではないかという気がしま す。 ○寺岡委員  医療機関の立場で現状といいますか、考えを申しましと、監査機能というのは、やは り藤原委員御指摘のように今までの医療機関あるいは医療提供施設としての、組織とし ての監査機能というものが非常に不十分であったというようなことが、いわゆる医療不 信とかそういったものにつながっている面がある。医療安全に対してもそういう面があ ると思うのです。そういった意味では、確かに外部に置くということも一法ですが、医 療機関内部での監査機能をいかにして高めていくかという点と、それをきちんと透明性 のある形で外部にわかるような形で設置するということが、一つのステップとしての目 標として置いていいのではなかと思います。ただし、外部監査を否定するものではない わけで、そういった院内監査の機能についても機能を高めるようにということは必要な ことではないかと思います。 ○池田座長  これは企業の治験ではなく医師主導の臨床試験なので。 ○事務局  申し訳ございません。実は、医師主導の治験は企業主導の治験を、医師自ら行なうと いう形での構造に置き換えたものでございますので、GCPの構造からいきまして企業 がモニタリング監査をやる部分を医師自ら行なうということになっていますので、そう いう構造上、外部監査のまた話を持ってまいりますと、今度は逆にもともとありました 企業主導の治験の場合の監査とかモニタリングの部分にちょっとはねる部分もございま すので、ちょっと全体の構造から見てどうかということは、ここでの御意見を踏まえて まだ研究班等でも少し御議論をいただいた方がよろしいかなとは思います。 ○池田座長  わかりました。寺岡委員がおっしゃられたように、これは医師主導の治験ということ で、やはり仕組みというものを考えていかなければいけないのではないかと思いますの で、少しそれでは研究班でも考えていただくということでいきたいと思います。生駒委 員どうぞ。 ○生駒委員  やはり通常のモニタリングと異なり、いわゆる監査というのはかなり厳しい目でいろ いろなところを細部にわたってチェックできる能力というのもまた必要です。当然、将 来申請という形になりますと、そこの監査のところがあまりゆるゆるですと、後々問題 になるということもありますので、やはり院内にもし監査部門のようなものをつくると いうことであれば、そのへんの教育といいますかきちんとしたチェック機能ができるよ うな人材の育成というものを十分考えていく必要があると思います。 ○池田座長  そうですね。ありがとうございました。院内にも医療関係でもいろいろな職種がござ いますし、それぞれがチェック機能を持つということもございますので、それは施設の 中で十分にやっていけるのではないかと思います。 ○寺岡委員  そのようにお考えいただきたいと思います。医療機関の中だからゆるゆるであるとい う解釈はちょっと困る。そうでないように私たちは努力をしたいということであります ので御理解いただきたいと思います。 ○池田座長  ありがとうございました。それからもう一つ、副作用情報の問題がございますのでこ れについて少し先生方の御議論をいただきたいと思います。副作用情報の報告等につい て、どのように医師主導の試験でやっていくかということが議論されておりますけれど も、その点についていかがでしょうか。 ○望月委員  景山先生に教えていただきたいのですが、3ページ7番のところで、国内で既承認の ものの効能追加の治験について今回は御検討されたということですが、国内未承認のも のについての御検討はこれからなさる予定ということでよろしいでしょうか。 ○景山委員  はい。 ○望月委員  そちらは今後回答がでてくるということですね。 ○景山委員  そうですね。国内未承認となりますと、国内既承認の効能追加治験とはだいぶ状況が 違いますので、1回の会議で何か結論めいたことというのは難しいと思いますので、今 回に関しましては国内既承認の効能追加治験に限って、これですと全体のコンセンサス の理解が非常に得やすいので、それについてのみ今回は御報告しております。 ○望月委員  ありがとうございます。それでしたら7番については、御提案の内容で私はよろしい かなと思います。  言葉使いのところだけ、ちょっと確認したいのですが、(2)の中で、前回からこの 議論はありますが、「発生した有害事象で未知、重篤」のこの「、」は、「未知かつ重 篤」という意味でよろしいですか。 ○景山委員  そうですね。「未知かつ重篤」です。 ○池田座長  ありがとうございました。どうぞ加藤委員。 ○加藤委員  未知でかつ重篤でないと報告しなくていいという、そういうことになるのですか。重 篤なものはもちろんでしょうが、未知のものがでてきた場合は報告というのはしなけれ ばいけないように思うのですがいかがでしょうか。 ○景山委員  そのへんはいろいろな考え方があるとは思いますけれども、未知ということは既承認 で効能追加ですから添付文書に記載されていないという意味ですね。それであって重篤 でないもの、例えばちょっと手がかゆいとか、あるいはほんのちょっと何か症状がある というようなたぐいのものを全て、すなわち有害事象の中でも因果関係が否定できない ものについて報告するわけですので、どうでしょうか、そこまでする必要があるかどう か、研究班では「未知かつ重篤」という意見だったのですけれども。 ○事務局  ちょっと事務局の方で現行規定の詳細を確認させていただきます。既知でも重篤は現 在報告対象にはなっております。 ○池田座長  既知でも重篤はそうですか。 ○加藤委員  基本的な安全性の考え方としては、その適応症特有の副作用という存在もあり得ると いう前提に立てば、一見軽微と思われたものも一つの重大なサインということがあり得 るわけです。ですから、未知のものがでてきたという場合には、報告というのはなんら かの形で拾ってもらわないと、それが適応症が広がって広く使われたときにはある限ら れたところだけで出たものとは違った危険が出現してくるということはあり得るのでは ないでしょうか。 ○事務局  申し訳ございません、事務局の方の最初の検討の方向性案のところの書きぶりの説明 が不足していたのが原因かと思いますけれども、一応新規の適応症の部分すなわち適応 追加をしようとする適応症の部分については、いわゆるこれまでの治験のルールに則っ てということでございますれば、未知のもの、それから既知でも重篤なものについては 報告の対象になるということでございますので、そういう趣旨であればちょっと…  この既知重篤は、緊急報告の対象にはなっていないと。これは報告の必要はあるので すね… ○池田座長  やはり私も臨床医の立場として、加藤委員が言われたように、ある疾患で新たに薬を 使い始めると、ほかの薬では使っていると、この疾患で使い始めたときに今まで報告さ れていない明らかな因果関係が、明らかと言えるかどうか因果関係が想定されるような 未知のものがあれば、一応それは挙げておくと。それは重篤なものにつながる可能性を 秘めているというふうに考えておいた方がいいのではないかと思いますけれども、どう でしょうか。木村先生どうでしょう。 ○木村委員  私も臨床家としては同感です。今まで違う疾患に使うとなるとどういうことが起こる かわからないと思いますので、先生のおっしゃるとおりです。未知かつ重篤でなくて も、なるべく挙げた方がいいと思います。 ○審議官  この問題につきましては、例えば一番左側のEUにおける、これ恐らく1年を超える ディスカッションの結果こういう形になったこと。それからCIOMSでも大きいテー マとなって議論された経過がございます。それで問題は、ベストなものは例えば重篤な 副作用については逐次治験担当医師の方に刻々と入手できるようにするべきであると、 しかしながらそれが医薬によりますけれども、毎日毎日相当な数に上っていて、しかも 担当医師も十分わかっている場合、あまりにも煩雑でかつ形骸的に流れるという点か ら、ここでちょっと抜けている議論になるわけでありますけれども、例えば既に使用上 の注意に記載されているようなものについては、定期的な時間的なアキミレーションを 行なってからそれぞれ医師に報告してはどうかというようなこと。あるいは頻度が変わ った場合は随時、そういうような時間的な軸での分類。それからあと、直ちに治験を中 止しなければいけないような事項があった場合には、これはちゅうちょうなく行なうよ うなこと。それからインフォームド・コンセントの取り直し、これが必要な問題につい てはどうするか。こういった多少精密な議論が行なわれている経過があります。  したがってこれは一つのサゼスションですけれども、本日いただいた示唆をもとに例 えばCIOMSとEUなどの国際的なものの考え方も踏まえながら、あるいは研究班等 で精密なディスカッションを資料を添えていただいて、また新たにこちらの方へという ことはどうでしょうか。 ○池田座長  ありがとうございます。もしよろしければ、そのようにさせていただきますので、ま た申し訳ございませんが景山先生にお願いしたいと思います。  最初にお約束いたしましたように、速やかに対応すべき事項というものを議論して、 その後に今後議論が必要な事項について討論するということでした。1時間ちょっと過 ぎてしまいました。それで実は先ほど寺岡委員の方から、CRO、SMOのコストがな ぜ高いかということで生駒委員にも少し御説明いただいたのですが、確かに高いという 指摘がこれまであったわけで、この先この会に参考人のような形でCRO、SMOの方 に来ていただいて、活動の実績とか国際事情などを合わせて御説明していただける機会 は可能性として考えられますでしょうか。 ○事務局  はい。それは検討させていただきたいと思います。 ○池田座長  もしそういう可能性があれば、寺岡先生どうでしょう。少し全体がわかりやすくなる かと思いますので、そういうことでお願いいたします。  ということで予定の時間が過ぎてしまいました。先生方には幾つか、景山委員の研究 班で議論された考え方でいいのではないかというご意見もいただきました。引き続き議 論をしなければいけない点もございますので、事務局から景山班の検討結果あるいは各 委員からの意見について、どうでしょうか。対応をお伝えいただいて、また少し御議論 いただくというような格好にさせていただけますでしょうか。 ○事務局  はい。どうもありがとうございました。その前に私の先ほどのちょっと審議官の方か ら発言をいただきましたけれども、治験の既知・重篤の関係で、実は死亡につながる恐 れのある症例とか別の施行規則の表現等ともございまして、先ほどの私のやり取りの中 に一部不正確な面がございましたので、それは先ほど審議官からまとめていただきまし たように、次回以降の回答の中できちっとまとめさせていただきたいと思います。お詫 びして私の先ほどのやり取りの部分については訂正をさせていただきます。  それから、池田先生の今のまとめていただいた部分でございますけれども、本日いた だいた御意見の中には人員とか予算に関係するもの、それから新たにどなたか呼んでプ レゼンテーションしてもらうということもございます。これは全てについて次回にお答 えすることはできないかもしれませんけれども、GCPの運用に関する事項につきまし て、あらかたここで合意が得られたと思われる部分につきましては、具体的にこういう 通知の修正でございますとか、こういったことを考えてみたいというようなことにつき まして、具体的な対応方法について示させていただければというふうに思います。 ○池田座長  ありがとうございました。それでは次回はこのあたりは合意が得られたので、その先 少し進みたいということと、それからまだ積み残したところについて議論を進めるとい うことでお願いしたいと思います。  それでは続いて先ほどお話しましたように、安達課長の方から「全国治験活性化3カ 年計画」について説明をお願いしたいと思います。安達課長よろしいでしょうか。 ○安達課長  はい、医政局研究開発振興課長をしております安達でございます。座ったままで説明 させていただきます。  お手元の資料6があるかと思いますが、全国治験活性化3カ年計画につきまして資料 6から9までと使いまして御説明させていただきます。  まずこの「全国治験活性化3カ年計画」につきましては、第1回の会合におきまし て、資料配付をさせていただいておりますので、お時間の関係もありましてごく手短か に御紹介させていただきます。そちらのスライドの方にも示してございますが、御案内 のとおり治験の空洞化という問題、これは先進国共通の問題でございますが、そういっ た状況を踏まえまして、我が国の医療関係者あるいは患者さんたちに対する先端医療の アクセスが遅れる、あるいは医薬品、医療機器産業の国際競争力の低下という問題に対 処するということで、まず左側の細い部分でございますが、平成14年には医薬品産業ビ ジョンというものを策定いたしました。さらにその翌年には書いてございませんが、医 療機器産業ビジョンを策定、さらには政府のBT(バイオテクノロジー)戦略大綱等に おきましても治験の重要性について記載され、特に両ビジョン、医薬品医療機器の両ビ ジョンにおきましては、その取り組みの必要性について記載されたところでございま す。  それらの状況を踏まえまして、平成15年4月に文部科学省と厚生労働省共同で全国治 験活性化3カ年計画を策定いたしました。言い換えますと、治験の空洞化に対する対応 のアクションプランを策定したというものでございます。  まず、内容的にはそこにございますように5本柱からなっております。1番と2番と いうのは、いわゆる治験実施機関の環境整備あるいは人づくりを図っていこうというも のでございます。内容につきましては、後ほど御説明させていただきます。3番目が患 者あるいは被験者の方々に対する参加の支援。さらに4番として企業における治験負担 の軽減。それから治験を含みます臨床研究全体の基盤整備ということで5本柱になって ございます。  具体的な取り組みの進捗状況につきましては、参考資料5に示してございますが非常 に内容が多岐にわたりますので、その概要につきまして資料7のスライドを用意してご ざいます。  1.治験のネットワーク化の推進まず治験環境、特に実施医療機関の整備という取り 組みの一つといたしまして、治験のネットワーク化ということを行いました。この治験 のネットワーク化の目的といいますと、一つはただいま申し上げました企業主導治験、 医師主導治験についてのネットワークを通じまして実施医療機関の底上げといいます か、向上を図っていくというのが一つの目的です。もう一つ、平成15年から導入されま した医師主導治験を実際にこのネットワークを使ってやってみることによって、医師主 導治験のモデル事業としての役割を果たすという2つの目的を持っております。  具体的には、そこにございますようにまず大規模治験ネットワークの構築ということ で、日本医師会の治験促進センターに対する助成によりまして実施しております。現 在、このネットワークへの参画医療機関は本年3月31日現在で991になっております。 また、このネットワークにおきまして8課題、今現在は10の被験薬についての医師主導 治験の準備を行なっております。この10の被験薬のうち3課題、3つにつきましては、 すでに医師主導治験の治験届が提出され受理されて実際に治験が実施されております。  それからこれは全国ネット、全国レベルでのネットワークでございますが、それと同 時に地域ごとのネットワークというものの支援も必要だろうということで、これは大き く分けて2つの事業を行なっております。一つ目のポツでございますが、そういった地 域のネットワークをまず構築することについての支援を行なうということで、平成13年 度から3年間、さらに16年度からの3年間のモデル事業を行なっております。それから もう一つ、こういった事業によりまして構築された地域ネットワーク、あるいは自発的 にかなり多くの地域のネットワークができてきておりますので、そういった既存の地域 ネットワークに対する支援、整備に対する助成、あるいは人づくりに対する助成等の事 業を、これは平成16年度から開始し、現在北海道、名古屋、大阪等々14カ所の地域ネッ トワークに対する支援を実施しております。次のスライドお願いします。  2.医療機関の治験実施体制の充実等ということで、まず人づくりの観点からはCR C(治験コーディネーター)の養成確保ということで、3カ年計画の最終年度でありま す17年度中に5000人の研修を終了しようという目標を立てまして、平成16年度までに約 3900人の研修を終了し、ほぼこの計画は17年度中に達成できそうな見込みになってきて おります。なお、それと同時に、医療機関だけではなくSMO等のCRCの方々に対す るこの研修への参加を可能にするなど、弾力的な運用を図りつつ拡大しているところで ございます。  次に、医療機関における治験専門外来あるいは管理室等の整備につきましては、国と 県の補助金によりまして平成16年度3施設、17年度3施設についての整備事業を行なっ ております。また、医療関係者への治験に関する理解の促進ということでは、全国治験 推進協議会にお願いしまして、毎年7つの地域におきまして地方での推進協議会を開 き、その地方毎の有力な医療機関の長の方々に入っていただいて、治験に関する情報交 換等を行なうなど、その他さまざまな機会をとらえまして治験に関する理解の促進に努 めております。  それから治験のかなりの部分を担っております国立病院あるいは国立大学等における 治験実施体制の充実ということでは、いずれも独立行政法人化をされたということで、 例えば150の国立病院よりなります独立行政法人国立病院機構におきましては、法人化 を契機としまして治験推進室を本部に設置するなど、さまざまな積極的な取り組みを行 なっております。その一環としまして、CRCにつきましても128名の配置を行なう等 の取り組みを行なっております。次、お願いします。  3.患者の治験参加の支援ということでございますが、まず一つは国民に対する普及 啓発ということで、これも日医の治験促進センターにお願いしまして普及啓発ポスター を作ったり、あるいは待合室で使うようなビデオの作成を検討したりということをお願 いしております。それから3つ目の○にございますように、治験推進のための産官学合 同フォーラムを昨年度開催しております。それから一番上の一つ目のポツでございます が、厚生労働省のホームページに、新たに「治験」のホームページを開設する等の試み を行なっております。また、製薬協、日本製薬工業会におきましてもホームページにお いて治験についての情報提供に努めておられます。それから4つ目の○でございます が、被験者や患者あるいは国民の方々に対して、治験あるいは臨床研究についての情報 提供を進めていくという観点から、臨床研究登録制度についての検討に着手しており、 昨年度は厚生労働科研費での意見交換会を実施、今年度に入りましてより具体的な取組 み方策について検討を進めているところでございます。次、お願いします。  4.企業における治験負担の軽減につきましては、例えば国立病院機構におきまして は、契約症例による治験実施、つまり約束した症例をちゃんとやった分だけお金をもら うというような契約の徹底でありますとか、あるいは複数年度契約の導入等について実 施しております。また、医薬品総合機構におきましては相談体制の充実に取り組んでお ります。施設間での契約書等の様式の統一化あるいはIT化等につきましては、例えば 国立病院機構におきましてはアンケート調査を実施しまして統一様式について先般見直 しを行なったところでございます。さらに一番下の行にございますように、国立病院機 構本部に企業のための相談窓口等を設けまして、契約事務等の簡素化に努めているとこ ろでございます。次、お願いします。  5.臨床研究全体の推進ということで、治験に至るような被験薬づくりのための基盤 的研究など関連する研究を含めて臨床研究全体を推進する必要があるということで、 Evidence Based Medicineのための臨床研究、あるいはトランスレーショナル・リサー チの推進といったことに努めております。さらに、こういった研究データのいわゆるデ ータマネジメントをする人たちの育成というのも重要でございますので、国立保健医療 科学院におきましては、平成15年度から生物統計学教育プログラムを開始したところで ございます。  また、被験者の方々の保護はもとより、実施する方々が安心して自信をもって臨床研 究を実施していただけるよう、臨床研究に関する倫理指針を策定しております。今年度 から個人情報保護法の全面施行もございましたので、それを踏まえていわゆる医学研究 関連4指針、ゲノム指針等を含みます医学研究関連4指針の見直しを昨年度行いまし て、その普及啓発に努めているところでございます。次、お願いします。  6.その他全国治験活性化3カ年計画につきましては、その進捗状況の確認、フォロ ーアップをしていくことが重要でございます。このため、関係業界の方々にも参加して いただいてフォローアップ連絡協議会を定期的に開き、また実務者レベルの会合も平成 16年度から年数回開きまして、その進捗状況の確認を行なっております。また、この3 カ年計画策定後の動きといたしまして、御案内のとおり本年1月より「未承認薬使用問 題検討会議」が設立されておりますし、また本検討会が本年3月より設置されていると ころでございます。次のスライドをお願いします。  資料8−2、治験等に係る関係者からの意見概要先ほど3カ年計画のフォローアップ 会合あるいは実務者レベル会合が開かれている、あるいは医薬品医療機器産業ビジョン に対する懇談会が開かれているというお話しを申し上げましたが、このような意見交換 会等におきましてそれぞれの計画の進捗状況の確認だけではなく、いろいろな御意見を いただいております。この中で治験に関わる主な意見を資料8−1と8−2にお示しし てございます。  資料8−2が資料に示してございますような意見交換会等でいただいたご意見の主な ものでございます。さらに、資料8−2の中には、当然重複した意見等もございますの で、それらを整理し、さらに事務局の方で勝手ながらテーマごとに整理し直したものが 資料8−1でございます。それでは、資料8−1をもとに簡単に治験に関しまして、こ れらの意見交換会等でどのような意見が出たかについて御紹介させていただきます。  時間の関係で非常にはしょらせていただきます。  まず治験環境の充実の観点から幾つかの御意見をいただいております。例えば、(1) の治験ネットワーク化の推進ということで、ネットワークのさらなる充実あるいは疾患 群ネットワークのあり方についての見直し等の御意見をいただいておりますし、また地 域における治験推進拠点医療機関の育成が必要との御意見をいただいております。  また(2)から(4)では、人づくりあるいは施設の整備についての取り組みを求める意 見。さらに(5)では、治験推進のための中核的医療施設、いわゆる治験センターのよう なものの整備が必要という御意見をいただいております。またタイムリーかつ責任ある 審査を行なえるIRB体制の整備の御意見。それから(7)でございますが、これはSM Oの適正な活用を含めた医療機関のサイトマネジメント能力の育成。それから(8)から (11)については、人づくりや意識改革についての御意見をいただいております。それか ら(12)から(14)は、医療機器の特性、ややもすると医薬品と横並びで考えられがちな医 療機器の特性に配慮した取り組みの必要性についての御意見をさまざまいただいており ます。  それから2ポツでございますが、患者等の治験参加の促進につきましては、主に情報 提供の充実等に関わる御意見を多くいただいております。  それから3つ目のポツ、企業における負担の軽減でございますが、(1)から(4)につき ましては、主に手続等の合理化・簡素化についての御意見でございます。また(5)では、 治験経費の見直しあるいは治験に係る交渉の合理化について御意見をいただいておりま す。(6)、(7)はSMO、CROに対する御意見でございます。  4ポツの医薬品医療機器の開発に係る研究全体の推進ということでは、まず臨床研究 の推進についていろいろと御意見をいただき、さらにめくっていただきまして、(2)で は医学教育の充実についての御意見をいただいております。また(3)では、先ほどの患 者等の治験参加の促進のところにもございました臨床研究に係る法令や指針の周知と遵 守という意見をいただいております。  それから全体についての御意見もございました。(1)では、3カ年計画に盛り込まれ たCRCの養成等の取り組みについて継続的に取り組んでいただきたい。(2)では、こ の3カ年計画の効果についての客観的な評価が必要である。それから(3)では、国際的 な治験への参画や同時申請できるような環境整備。(4)でございますが、アジア地域に おける日本のイニシアチブ形成あるいは環境整備。(5)でございますが、医師主導治験 の適正な運用及び治験薬提供者等の協力体制の検討。(6)では、医療機器の特性にあっ た治験の環境整備と具体的なマイルストーンの設定というような御意見をいただいてお ります。  また、治験制度に係るものについては、1の医師主導治験に関しましては、手続の合 理化等についての御意見をいただいております。また、企業治験を含めます治験全般に つきましては、(1)にございますようにGCP基準の改正については、ICH−GCP に近づける方向で検討していただきたいというような御意見もいただいております。さ らに(2)では、これはいわゆる他業種から参入された方からの御意見でございましたが、 ブリッジングを活用して海外データを最大限利用できるような仕組みを検討してもらい たいという御要望もございました。またIRBに対する御意見。さらに(4)では、国内 未承認薬や適応外使用への対応についての検討が必要であるというような御意見もござ いました。  3ポツでは医療機器につきまして、医療機器の特性を考慮したGCPの運用について の御意見でございました。  めくっていただきまして、審査・承認制度。これは非常に多くの御意見をいただいた ものでございます。まず医薬品に関しましては審査の迅速化についてさまざまな御意見 がございました。また、医療機器につきましても迅速化、合理化とともに医療機器の特 性を踏まえた対応についての御意見がございました。  その他関連する御意見でございますが、(1)では、産官学連携。あるいは(2)では、ベ ンチャーの基盤整備。(3)では、小児医薬品に対する薬価加算についての御意見。(4)で は、研究開発費の税額控除措置についての御意見。(5)では、規制の撤廃と業界の再編 についての御意見。さらに(6)では、特許制度についての日米の違い。(7)につきまして は、新薬の価値にあった薬価評価を求める御意見。それからTLO。あるいは(9)では、 日本におけるドラッグラグの解決法はあらゆる要素を具体的に検討すべきということ で、敏速な審査承認を含めた薬事関連あるいは研究開発投資の回収を含めて考える必要 があるというような包括的な御意見もございました。さらに(10)では、国立機関の倫理 上の制限の問題等等、概要でございますが、以上のような御意見がございました。  これらの御意見を踏まえまして、先ほど申し上げました3カ年計画のフォローアップ の実務者会合におきまして、これらの御意見を踏まえた論点候補について整理いたしま したのであわせて御紹介させていただきます。資料9でございます。スライドをお願い します。  検討にあたって留意すべき事項これはあくまでフォローアップの実務者会合、言い換 えますと行政あるいは関連産業の方々よりなる会合におきまして検討のうえ、まとめた ものでございまして、その点は割り引いてご判断いただく必要があると思います。  まず今後の検討にあたりまして、どういう視点から検討すべきかということで、検討 にあたって留意すべき事項として5つまとめてございます。一つが、国民や医療関係者 への先端技術へのアクセスの確保を図っていく。それから臨床研究に参加する患者・被 験者の保護の強化。それから医薬品・医療機器産業における国際競争力の確保。さらに 我が国の知的財産の確保と有効活用。それと現在、医療供給体制の見直しについて、社 会保障審議会の医療部会において検討を進めておりますが、そういった検討との整合性 も図りつつ考えていく必要があるということで、留意事項を5つ示してございます。次 のスライドをお願いします。  論点候補(案)でございますが、まず全体についてでございます。3カ年計画が平成 17年度、今年度で終了するということを踏まえまして、治験活性化のための新たな計画 の必要性というのが一つでございます。2が、国際共同治験への参画や同時申請の促進 の意義や方策について、であります。3つ目でございますが、これは御議論ある部分か と思いますが、日本のみならずアジアにおける治験環境の整備の必要性と実施する場合 の方策ということで、御案内のとおりインド、中国、韓国と急速にその臨床研究あるい は治験の基盤整備を進めております。そのような中で日本の果たすべき役割というよう なことが論点になってくるかと思います。次のスライドお願いします。  I.治験を含む臨床研究基盤の整備についてでございます。幾つかの論点案を例示し てございます。まず、医療機関の治験実施体制の充実等ということにつきましては、既 存の大規模治験ネットワークの質の向上をどのように図っていくかという問題。それか らデータマネジメントや関係職員の研修等行う中核的医療施設、先ほどの意見の中では 治験センターという言い方をされておりましたが、仮称として臨床研究情報センターと いったようなものの整備が必要ではないかという論点。それから3つ目が、地域の治験 実施施設の計画的な整備を図っていくということで、特に地方自治体の役割等もこの論 点の中に入ってくるのかというふうに考えております。  それから2番目としましては、関係職員等の養成・確保ということで、医師の治験参 画意識とインセンティブの向上。あるいはCRC等の養成と質の向上ということで、せ っかく養成したCRCが、その職についていないというような定着率の問題も含めた対 策の必要性。(3)でございますが、企業を含む関係者によるGCPについての理解の促 進。これは先ほど吉村委員の方からも御指摘ございましたように、モニターや監査の方 々の養成・確保の問題につきまして問題提起したものでございます。それから(4)、C RO、SMOの健全な育成と適切な選択の促進。費用というのは、あくまで適切な選択 が確保されていてはじめて適切な費用ということになるかと思いますので、こういった 問題についても検討する必要があるのではないかということでございます。  3番でございますが、患者等の治験参加の促進ということでは、まず治験の意義等に ついての効果的な啓発。それから(2)にございます治験登録制度これも仮称でございま すが、いわゆる臨床研究登録制度といいますか、そういったものの整備によります患者 や被験者の方々に対する情報提供の拡充を図っていく必要があるのではないかというこ とでございます。次のスライドお願いします。  I.治験を含む臨床研究基盤の整備についての続き  4番の治験における企業負担の軽減ということでは、まず(1)治験業務にかかるIT 化、あるいは手続、書式の標準化の促進という問題。さらに現在実施しております(2) 研究開発税制による支援。あるいは(3)治験制度や審査・承認制度の合理化。(2)、(3) につきましては、別途検討すべきものかなというような感じでおりますが、基本的にこ ういった問題点もあるということでございます。  それから5番、医薬品・医療機器の開発に係る研究全体の推進ということにつきまし ては、(1)基盤研究や医薬品・医療機器の融合領域研究の推進。あるいは(2)トランスレ ーショナル・リサーチを含む臨床研究のための公的資金による支援の充実。それからこ れはむしろ文科省のほうで中心になって検討すべき問題かと思いますが、(3)治験を含 む臨床研究に関する医学教育の充実。さらに(4)としまして、また再掲でございますが データマネジメントや関係職員の研修等を行う中核的医療施設の整備。それから(5)と しまして、臨床研究に係る指針等の普及ということでございます。次のスライドお願い します。  II.治験制度について以上が、実施体制の充実と臨床研究基盤の整備についてでござ いますが、それ以外にも運用だけではなくて制度も含めた検討が必要なものとしまして ギリシャ数字のIIの治験制度についてということでまとめてございます。これも例示で ございますが、既に医師主導治験については先ほどから御審議いただいております(1) 治験手続の合理化、これは企業主導治験も含めた治験手続の合理化という問題でござい ます。それから、これは意見をそのまま持ってきたわけでございますが(2)ICH−G CPに近づける方向での見直し。それから(3)に、中央IRBの検討を含むIRBの質 や機能の向上。それから(4)が、被験者募集の合理化、これちょっとわかりづらいので すが、いわゆる広告規制との関連で米国ではかなり日本と比べると緩いといいますか、 日本が米国と比べると厳しいというのかそういった被験者募集広告についてのあり方に ついての論点でございます。それから(5)が、医師主導治験において関係企業の果たす べき役割ということで、先ほどから景山委員の御指摘にもございましたように、医師主 導治験であっても、あくまで企業による承認申請のためのデータ収集の手法でございま すので、そういった中でスポンサーあるいはチーフインベスティゲーター、その他関係 者の方々の役割の明確化といったことを含めた問題提起でございます。それから(6)が、 医療機器産業ビジョンの懇談会で多くの意見が出されたものですが、医療機器の特性を 考慮したGCPの運用についてでございます。それから(7)が、患者の希望による治験 薬等の未承認医薬品の適正な使用。これも少しわかりづらいですが、必ずしも治験制度 そのものに結びつくと限るものではございませんが、未承認薬の速やかな治験実施につ いては、御案内のとおり未承認薬承認問題検討会議が設置されております。こういった 国内未承認薬の適正使用の問題もございますが、海外で治験をやっているというものへ のアクセスについての検討といった、こういった未承認薬あるいは海外治験薬等につい てのアクセスの確保をどのようにしていくのかという検討も必要ではないかという問題 提起でございます。次のスライドお願いします。  III.審査・承認制度につきましては、(1)は総合機構における審査体制のさらなる改 善について望むものでございます。また、医療機器につきましては医薬品と同等といい ますか、医薬品で認められているような仕組みについて例えば二課長通知あるいは一変 中の一変の申請であるとか、そういった問題も含めて医療機器に対する制度の検討をし てはどうかというものでございます。  以上、3カ年計画フォローアップのための実務者会合においてまとめました、今後の 論点として御検討を期待する項目を御紹介いたしました。冒頭申し上げましたように、 あくまで行政と産業界が中心なってまとめたものであり、これだけが論点であるという ふうには全く考えてはおりません。私どもとしては、ぜひこれらの事項についても本検 討会で御判断いただき一つでも多くの事項について本検討会での論点として採用してい ただけたらと考えております。なお、この3カ年計画のフォローアップ実務者会合につ きましては、本年度が3カ年計画最終年度でもございますので、今後は、3カ年計画の 成果の評価を中心に議論していく予定といたしております。以上で説明を終わらせてい ただきます。 ○池田座長  ありがとうございました。ただいまの安達課長の御説明について、委員の先生方から 御質問あるいは御意見を伺いたいと思います。どうぞ木村委員。 ○木村委員  木村です。このように膨大なインフラ整備とさまざまな意識改革ということが計画に ありますが、速やかに実施をするということがこの日本における治験を推進するために は一番大事なところだと思います。そのために医療機関における医師の治験参画意識と インセンティブの向上というのはいつも議論になっています。これに関して実際に個々 の医療機関がどのように努力すべきものか、あるいは、しているのか。あるいは国とし てどのような方策が今まで考えられてきたのでしょうか、教えていただきたいと思いま す。 ○安達課長  これまで国としてとってきた対策につきましては、資料7の1と2、あるいは参考資 料の5の(1)の治験ネットワーク化の推進と医療機関の治験実施体制の充実等にお示 ししてあることが主に取ってきた対策でございます。例えば、治験外来を整備するのに 補助金を出したり、治験推進協議会というような格好で、地域のオピニオンリーダー的 な方を集めていろいろな情報を提供したり、あるいは地域でのネットワーク化を推進す るための日医の治験促進センターを通じた助成であるとか、そういったさまざまな取り 組みをとってまいりました。しかし、医療機関の先生方も「忙しくて仕方ないし自分の 得にもならないけれど企業の人が頭下げてくるから仕方がないからやってやろうか」と いうような状況から、急に、「これは我々の仕事だから一生懸命やるよ」というふうに はなかなかならないと思います。海外と同じように治験をやるということが、ステータ スになるような状況にならないことには海外のようにはいかないだろうと思っていま す。国立大学が一つ一つ独法化され国立病院も独法化されたということで競争が生まれ つつあり、かなり病院側も変わらざる得なくなっている要素はあるのかなというふうに 思っております。 ○木村委員  今おっしゃっていただいたことまさにその通りだと思います。医師が毎日臨床の場で は忙しい日常臨床をやっていますので、治験の意義がはっきりわかって「これはやらな ければ」という意識をもっている医師がいる一方で、そうでない医師もいるわけです。 全体の底上げをするためにはインセンティブという面で、根本的に考えていかなければ いけないのではないかなといつも思っています。 ○寺岡委員  日本医師会の治験促進センターの取り組みについて、若干説明させていただきます。 根本的な問題は今御議論あったとおりですが、また我々の取り組みもやや迂遠な面もあ るのですが、治験促進センターでさっき御紹介があった登録医療機関が900台から現在 直近ですと1,000を超える登録機関も増えましたし、地域等ネットワークが各地域に14 できています。そうしますと治験促進センターとそのそれぞれの参加医療機関との間 に、情報ネットワークができる必要があるというようなことで今整備しているところで あります。そこにいろいろな情報の掲載をしたり、ネットワークを通じての意見交換が できるような整備をしている。それは具体的にもすでに動き始めていますから、そうい ったことを通じてもっと各医療機関、特に大学や大きな医療機関ではなくて、地域の診 療所とか一般の医療機関の意識改革というものが、恐らくこの1、2年、3年の間に相 当達成されるのではないかと思っております。  そのほか教育という面からいきますと、例えば私ども日本医師会に心筋梗塞のABC とか糖尿病のABCといった障害教育シリーズを出しておりますが、このたび『臨床試 験のABC』というようなテキストもつくりまして、全会員に配布するということも実 行できる、今計画して出版準備しているところでございますが、そんなふうなこともや っておりますし、それから研修医等に対するパンフレットや教育冊子というものもつく るとか、相当に迂遠な話になりますが、さまざまな試みを使って取り組んでいるという 状況でございます。 ○池田座長  ありがとうございます。どうぞ生駒委員。 ○生駒委員  資料9の下段の方に2として、治験制度について、その中の5番、医師主導治験にお いて関係企業の果たすべき役割(費用負担を含む)ということが記載されております が、この産業界からすなわちメーカー側から費用を負担するというような意見は恐らく 出ていないと思っておりますし、やはりここは医師主導治験については国費で負担する 制度をもう少し考慮していただきたいと考えております。したがいまして、ここの文章 はどうしても費用負担が前提で何か議論されるように誤解をされるということもござい ますので、例えば関係企業の協力体制の検討というようなことで修正いただければと思 っております。 ○安達課長  これはあくまで実務者会合においてまとめたものでございます。実務者会合では、こ れでいわゆる3団体からの参加者の御了解も得たペーパーでございます。ただ、本検討 会でどういう論点で議論するかは、こういったものも参考にして委員の方々が御判断い ただければいいものであり、あくまで実務者会合でのまとめはこうでしたということを 御紹介したものでございます。 ○池田座長  そのほかいかがでしょうか。 ○景山委員  CRCの養成も、この3カ年計画の一つに入っているようですが、目標の数が5000名 ということですが、この5000名の算定根拠というのはどのへんにあるかを教えていただ きたいと思います。それと今の資料9の治験制度について、ICH−GCPに近づける 方向でのGCP省令の見直しというのは、具体的にどの部分を指しておられるのかとい う点です。  それともう一つは質問でなくて私の感想というか個人的な意見です。「大規模治験ネ ットワーク」というのは、どうも表現に引っ掛かりがあるのです。大規模治験というと どうして大規模臨床試験のことを思い出すのです。当初これを見たときに、治験にそん な大規模なものがあるのかなと。サンプルサイズが千のオーダーあるいは最近のコモン ディジーズですと万のオーダーですが、そんなものがあるのかと思って非常にいぶかし く思っていたのですが、だいぶ時間が経ってからこの大規模というのはネットワークの 方に係るということがわかったわけで、それまでに相当な時間を要したのです。ですか らもう少し何か、私の個人的な感想ですけれど変えていただけると、例えば「治験大規 模ネットワーク」の方がわかりやすいかなと思います。これは私の勝手なコメントで す。 ○安達課長  まず5000の目標設定でございますが、率直に言いまして、これあくまで研修が終わっ た方の数についての数字でございます。この計画策定時に研修コースをどの程度拡大で きるかというのも踏まえまして、実現可能かつ努力すべき数字ということで、ちょうど 3年終わったあたりで5000弱ぐらいまで行くなと、それを努力目標として5000というふ うに設定しております。  それから2点目のICH−GCPに近づける方向でのという、この部分は説明のとこ ろで申し上げましたが、御意見をかなりそのまま持ってきたところでございまして、意 見を出された方のお話しを聞くと例えば書類等の必要書類の数がICH−GCPと比べ て我が国は多いとか、そういった内容だというお話でございました。  それから3つ目は、御指摘のとおり大規模ネットワークという意味でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。そのほかいかがでしょうか。 ○生駒委員  ただいまのコーディネーターの養成が5000人ということで、計画が順調に進んでいる ということはありがたいのですが、この方々のCRCになる割合については、国立病院 は125名ということになっていますが、実際どのくらいなっていただけるのか。即ち、 看護師さんなり、薬剤師の方がスムーズにCRCになっていただく、いわゆる転職のよ うな形になると思うのですが、そのへんの環境整備をぜひとも一緒にお願いしたい。 ○池田座長  何かコメントございますか。 ○安達課長  御指摘のとおり、今後の重要な論点候補だと思っております。実際、こうやって養成 したCRCの方々、研修を終えた方々が、現にどういう方でどういうところに勤めてお られるかという基礎データをまず集めることが必要だろうということで、今年度そうい った調査も行ないまして、その結果を踏まえてできましたら論点として御指摘のような ことを御議論をいただけたらと思っております。 ○池田座長  ありがとうございました。私の不手際で、まだまだ安達課長にも御質問等があるので はないかと思いますが、お約束の時間が過ぎましたので、ここで事務局から今後どのよ うな方向で議論を進めていくかお考えをお聞かせいただけますか。 ○事務局  どうも御議論いただきましてありがとうございました。次回につきましては、いわゆ る短期的な部分と中長期的な部分と2つを並行して議論するということ、今回も行なっ ていただきましたけれども、次回も先ほど座長が御発言されましたように、そのように させていただければというふうに考えております。  まず、短期的な検討事項につきましては、先ほど座長が御発言されましたように、G CP研究班の報告におきまして本日おおむね合意の得られた項目につきましては、事務 局から具体的な対応方法をお示しすることにいたしたいと思っております。それからま た景山先生の研究班の検討もその間にあるようでございますので、その検討の状況など もございますけれども事項が残っていればその議論を行なわせていただければと思って おります。そちらが短期的な事項の部分でございます。  それから先ほどまで御議論いただいておりました今後の議論の必要な事項、項目とい うことで、中長期的な項目の部分でございます。本日、先ほどまで御議論いただいてお りました資料9の論点候補というものと、それから先に先生方から御意見という形で出 していただいております資料4の論点整理の素案というもの両方ございますので、この 両方につきまして、ちょっとまだきょうのところは時間が少なくて十分な議論をいただ いておりませんが、次回もこの資料9と資料4を御用意させていただきますが、その上 で両方のすり合わせといいますか、つき合わせ等を事務局の方で行ないまして、まとめ た形での論点整理の案といったようなものももし提示できれば、それをもとに議論を継 続していったらどうかというふうに考えておりますがいかがでございましょうか。 ○池田座長  ありがとうございました。よろしいでしょうか、そのような形でまた議論を継続させ ていただきたいと思います。先ほど、申し上げましたように少し時間が過ぎまして不手 際で申し訳ございません。本日の議題は以上ですので、これで終わりたいと思います。 長時間にわたる御議論ありがとうございました。  今後の日程について事務局から一言お願いします。 ○事務局  はい、次回の日程につきまして7月22日、10時からということで既にお決めをさせて いただいておりますので、その予定で開催させていただきます。資料等につきましては 追って御連絡を申し上げます。  なお、8月でございますけれども本検討会はお休みとさせていただきまして、9月か ら再開という形にいたしたいと思います。9月の日程の調整につきましては、近日中に 先生方の御都合をお伺いしたいと思っておりますのでよろしくお願い申し上げます。 ○池田座長  それではありがとうございました。本日はこれで閉会させていただきたいと思いま す。お忙しいところありがとうございました。                                     <了> 照会先: 医薬食品局審査管理課 清水・近澤(内線2736、2737)