05/06/30 社会保障審議会介護給付費分科会第23回議事録          社会保障審議会 第23回介護給付費分科会議事録 1 日時及び場所 : 平成17年6月20日(月) 午前10時から12時           東京會舘ロイヤルルーム 2 出席委員:浅野(代理:加藤参考人)、井形、池田、石井、井部、漆原、大森、        沖藤、喜多(代理:猪塚参考人)、木下、木村、見坊、田中(滋)、        田中(雅)、対馬、永島、野中、花井、村川、矢田(代理:森田参考人)、        矢野(代理:松井参考人)、山本(代理:高橋参考人)、        横山(代理:福間参考人)の各委員 3 議題  (1)介護保険制度改革に伴う介護報酬の見直しについて  (2)その他 ○大森分科会長より挨拶。新委員より挨拶。 ○三浦老人保健課長より資料に沿って説明。 (木下委員)  介護予防WTの設置について、「介護給付費分科会に報告することとする」と書いてあ るが、その議論の範囲や決定権はどうなるのか。 (三浦老人保健課長)  このワーキングチームでは、何か議決するということではない。あくまでこの介護給 付費分科会での議論が基本と考えている。 (大森分科会長)  介護予防については専門的技術的な事項であるので、本分科会の下にワーキングチー ムを置き、技術的な事項について議論いただき、審議の参考としたいと考える。本日了 解があれば設置したいがどうか。    (特に異議なし)  では、設置することとする。 (見坊委員)  ユニット型個室、ユニット型準個室、従来型個室、多床室について全国的にどういう 比率か。 (川尻計画課長)  特養、老健あるいは療養型のいわゆる旧型の個室は、平成14年で特養が4万室、老健 が2万6,000室、療養型が9,000室。現在は、それより少し増えていると思う。  その後、特養はユニット型ができ、300弱の施設数が現在あるので、それが50人定員 と仮定すると1万を超えるユニット型の個室があることになる。 (野中委員)  日本医師会としては、従来から居住費と食費については本来の社会保障の理念に反す るとの意見を述べているが、利用者負担の公平性と、施設と在宅との負担の公平性が重 要ならば、利用者自らが選択できる状況がなければならない。  現在の状況で、さまざまな理由で施設に入所し、あるいは在宅で生活をしている。例 えば特養ならそこを住む場所として、老人保健施設なら在宅に復帰するためのリハビリ を目的とし、介護療養型ならある程度医療依存度が高いために入らざるを得ないといっ た状況がある。在宅での基盤整備がなされ、サービスが充実しその中で選択ができ、か つ費用が払える状況であれば、公平性について理解できるのだが。  なぜ10月から実施しなければならないのか。利用者は、保険料も払いながらやむなく 払うことになる。  また、10月からの費用負担の説明は、施設のサービス提供者が行うことになる。3か 月という時間を設けても、利用者に果たして理解してもらえるのか。  また、現場で今、同居の家族がいる場合には訪問介護は利用できないと言っている。 給付費用が10%伸びていることに対して1%削減してほしいという運動のためだ。  日本医師会としては、ケアマネジメントの徹底を主張しているが現場ではこういうこ とが起きている。施設も在宅も本人の自己実現のための適切なケアマネジメントがまだ 不足している。その不足している中で費用の公平性を言うことは、利用者をいじめるだ けにすぎない。確かに財源は必要、保険料を適切に払うことも必要だが、利用者が満足 する状況をどうつくるか。これは現場の職員だけでなく、この制度をつくる方々も一緒 になって考えなければいけない。 (漆原委員)  私個人として、地域の利用者と説明会や意見交換会をしたが、10月からホテルコスト と食費が徴収されることをほとんどの利用者が知らない。一挙に3万円近い費用負担増 は、低所得者対策が取られているとはいえ、今までの政策、制度の中で初めての経験で はないかと思うほどのアップである。また、個室利用時の費用についてだが、認知症、 疾病の問題、あるいは性格、抑うつ状態などの身体や精神の状態によってやむなく利用 している人が入ることも知るべきで、段階的導入とか、緩和、経過措置が必要ではない か。  10月までの短い期間に国民への周知や広報、あるいは十分な理解を求めることは大変 で、行政、保険者側の努力が非常に必要である。  さらに、介護保険三施設については、それぞれの施設機能に応じた考え方をするべき である。  例えば、在宅ケアを支援する施設で在宅ケアの駆け込み寺的な施設利用と、居住目的 で長期に入所する施設との考え方など、各施設の機能を明確に分けて考えることを期待 したい。  栄養については、食事の管理費、栄養マネジメント、特別食加算などに十分配慮し、 いい食事環境を整えていくということなので、これらが推進できるような給付水準にす べきである。 (木下委員)  日数がない中で10月から利用者負担の増加の実施は非常に現場で混乱があると思われ る。介護保険が始まったときも、保険料負担が半年繰り延べということもあったので、 段階的実施が可能か検討いただきたい。  負担の説明が全部現場にかかってくることは非常に心苦しいので、保険者なり、厚生 労働省の方でその辺は徹底をお願いしたい。  老健、介護療養型医療施設のユニットケアというのはいつから開始になるのか。廊下 などの基準はどうなっているか説明いただきたい。 (三浦老人保健課長)  今回の制度見直しの中で幾つか視点があると考えるが、その中で制度の持続可能性を いかに担保していくかが大きな論点として議論されてきたと理解している。  居住費、食費については、在宅と施設の利用者の負担の公平性、あるいは年金給付と の調整という観点で、見直しを行うことになる。いつ施行するかについては、財政影響 なども考えれば、できるものから早くやるということで10月に実施するということに今 の法案の内容はなっている。  利用者に対する説明について、それぞれの施設での説明をお願いしなければいけない 部分があるかと思うが、それに加えて国としても保険者と協力しながら、制度の変更に ついては十分説明していきたい。  ユニットケアの開始時期は、今回、個室を含めた報酬の改定が行われることを考えれ ば、この10月から介護療養型や老人保健施設についてもユニットケアの報酬の導入をし てはどうか。廊下などの基準についての具体的内容については次回説明したい。 (野中委員)  今度の介護保険法の中で一番評価できるのは、保険法の中に「尊厳」という言葉が入 ったこと。制度持続可能はある面で理解するが、お金の問題だけでなく払ったお金で自 らの尊厳がどうやって担保されるか。そのことが一番大事であり、そのことが保険料を 払い続けるという国民の社会保障に対する期待にもなるはず。今回の10月からの話はま さに利用者いじめであり、一番喜んでいるのは有料老人ホームとか、お金を取ってもそ ういうことができる営利を目的としたところだろう。利用者の尊厳を十分考えることが 制度の持続可能性を考えることだ。 (永島委員)  入所者の介護度は通常低くなく、在宅介護ではどうしても賄い切れなくなった人が多 い。  妥当かどうかは別として、こんなに負担が上がるとは実は思っていなかった。えっと いう感じを利用者は持っていると思う。  1割負担は要介護度の低い人の1割負担と、高い人の1割負担では実質の負担が違 う。  それにプラス3万円なり5万円となると、一軒の家の財布から実質負担が増えること になる。低所得対策などあるとは思うが、やはり野中先生の意見に賛成。 (横山委員(代理:福間参考人))  在宅とのイコールフッティングで最低限受け入れるべき部分はあるかと思うが、居住 費の設定について、減価償却費のデータとか、室料プラス光熱水費等々という説明があ るが、 個室ユニット型で初めて居住費というものが3年前に導入された。そのときの 考え方は、個室とユニット部分に関する減価償却費相当で設定されてきたと思うが、今 度は、建物全体の費用プラス備品等が入るのではないか。これを利用者に転嫁するの が、本当に妥当なのか。  およそ個室ユニットで6万ということはあり得ないと実感している。  個室や準個室の負担額が増えていく一方、多床室、場合によっては準個室の負担が低 くて、そちらの方がいいといった方が増えてくると、個室というアメニティを進めよう という方向とは反対の状況がどうしても出てくるのでないか。  データについて本日示されているだけでなく、もう少し詳細にデータが出され、この 分科会で議論いただきたい。 (三浦老人保健課長)  低所得者対策についての状況が不明との指摘もあり、次回のこの分科会では低所得者 に対する補足給付の内容についても示したい。  個室、準個室への方向との矛盾という指摘があったが、これは利用者の志向として準 個室、個室への志向は一定の流れがあると考えており、今回個室を含めて利用者に一定 の負担をお願いする。その際、所得の低い方について特別な対策を打っていくことを考 えている。  もう少し詳細なデータをとのことだが、もう少しお示しできるものがあればお示しす るが、例えば先ほどの居住系の施設などのデータを見ても、ある程度の費用負担が行わ れていことが分かるのではないか。 (大森分科会長)  尊厳問題が今回の法律に入ったことは非常に重要で、これを施設との関係で言えばで きるだけユニットケアの方へ大きくシフトさせていきたい。そのことが、尊厳問題にこ たえていく道筋ではないか。  しかしこの金額を示されるとやはり多床室の負担が低い方へ人が動くのではないか。 そうすると、全体としてその方に向かうのではないか。 (三浦老人保健課長)  個室への志向が強いというのは間違いない。個室、準個室を含めてより生活環境、居 住環境のよい方向に進めていくべきだと考える。その一方、一定の費用がかかる部分を どう評価するかということがある。個室などを含めた生活環境、居住環境をよい方向に 進めることをこれによって阻害するのは本意ではない。 (田中(雅)委員)  従来型個室についても費用徴収するということだったのか。現状では、従来型個室に 対しても、準個室と同様の費用負担を求めるという考え方に対して、利用者、家族の理 解が得られるものではない。  感染症対応や入居者間の人間関係の調整のために、選択の余地も無く、止む無く個室 を利用せざるを得ない人にとって、居住空間やアメニティに問題がある中で準個室と同 様の費用負担を求めるという考えは、介護の現場にいるものとして納得できるものでは ない。  むしろ、従来型特養で、居住空間は個室ではないが、よりよいサービスを提供するた めに、ケア単位の小規模化を図り、人員配置も手厚くしたケアをしている場合、その部 分については十分評価すべきではないか。 (沖藤委員)  同じ従来型個室といっても面積が非常に違うものがある。そのばらつきに対して、狭 くても広くても月5万と決めるのか。ある程度面積に応じて決めるのか。多床室でも同 様。 (花井委員)  ユニット型準個室には、共同生活室もあるのか。多床室といっても2人部屋から8人 部屋まである。すべて同じ金額なのか。環境によっても金額が違ってくるのか。  光熱水費は家計調査に基づくが、この調査は毎年出ており、基準額も毎年なのかある いは3年ごとの見直しをするのか。 (木下委員)  個室、準個室に対しての一定の流れについて証明するデータなり調査があれば示して いただきたい。 (矢野委員(代理:松井参考人))  在宅サービスと施設サービスの公平性は貫かなければいけないし、低所得者への補足 給付も設けられることから、本年10月に実施していくことが必要である。  多床室については光熱水費だけを除外することになっているが、コストがかかってい るなら、そこも除外するのが原則ではないか。これは激変緩和措置であると理解したら いいのか。 (田中(滋)委員)  介護報酬を決めるときは原価計算を積み上げることはわかるが、利用者から取る費用 を原価計算して取るというのは理解できない。  原価計算において面積按分とすると、光熱水費が部屋にかかり過ぎる。光熱水費は食 堂などに非常にかかる。  多床室では、1部屋当たりの費用か。1人当たりだと4倍で3万2,000円になるが、 そんなに高くなるのか。  家計調査での光熱水費の約3分の1は基本料金なので、人数割ではなくて、基本料金 を引いてから人数割しないと正しい値にならない。理念を実現するため、費用徴収につ いて無理やり説明していると感じる。更にデータを示していただきたい。 (三浦老人保健課長)  従来型個室の費用負担については、機会を通じて説明してきた。従来型個室において 居住面積を個別に勘案していくと非常に複雑な手続きが必要になり、技術的問題があ る。従来型個室の報酬の適用については現行の特別な室料にかかる基準、実態等を踏ま えて一定の場合に経過措置を講ずるとの議論はあるのではないか。  ユニット型準個室の共同生活室については、個室と同様に必要だと思うが、次回以降 具体的な基準を示すので検討いただきたい。  多床室は何人部屋かにかかわらず一定の光熱水費がかかり、家計調査でも自宅でも1 万円程度の費用がかかっていることを勘案して1万円という数字を示した。  居住費用については、家計調査等のデータが新しくなるにともなって見直しをするの が基本と考える。  利用者からの徴収額と減価計算は必ずしも一致しない点について、いわゆる市場で費 用の徴収額が決まる要素はあるだろうし、所得の高い方に対して必ずしも減価償却費用 以外は徴収できないということではない。 (木村委員)  栄養のケア・マネジメントについては、各個人の施設ケア計画の一部としてしない と、栄養以外のマネジメントが抜けてしまうおそれがある。  「栄養ケアを効率的・効果的に実施していくために、多職種協働による実施体制を整 える」についてだが、三施設それぞれの資格者の配置基準がばらばらである。一方、口 腔ケア、摂食・嚥下リハを行うのは歯科医師や歯科衛生士、言語聴覚士など、服薬指導 は薬剤師である。これらの資格者を施設に配置するのはかなり難しい。外部からうまく 連携がとれる仕組みを今後の検討項目とすべき。 (大森分科会長)  今まで栄養状態の把握が不十分だったという指摘があるが、何がされてなかったの か。食が大事であるにもかかわらず、どうして施設では不十分なまま放置されてきたの か。 (三浦老人保健課長)  すべての施設で不十分だったということではないが、栄養に対する取り組みについ て、個々の利用者を見るのでなく施設全体でどう提供されているのかを見ていたのでは ないか。  低栄養を把握する一番の方法は、身長に対する体重を見ることで比較的簡単につかめ る。  しかし、施設に入ったとき必ず体重を量るとか、月に1度は体重を量るとかが、必ず しもすべての施設で行われてきてはいないのではないか。  個々の利用者、あるいは入所者、入院者の栄養状態をつぶさに把握し、栄養状態が悪 い方がいればその方はどんなものが食べられるのか、あるいはどんなものが好みなのか も含めて考えながら、栄養状態の改善に取り組むことが必要なのではないか。  もちろん、全体としてのケアマネジメントは不可欠なので、その中で栄養の改善を行 ってはどうかという提案である。 (石井委員)  栄養ケアに関して、経口摂取が一番低栄養に効果があるとわかっているが、そういう 努力がほとんどなされていないということが施設に行くとよくわかる。  特別養護老人ホーム等では、例えば歯科医の協力は努力義務となっており、関与して いない施設も大変多い。関与したとしても、ほとんど入れ歯が入っていない方が多い。  今後の栄養ケアに関して多職種協働の実施体制を整えるとあるが、それをきちんと整 備しないといけない。従来もケアマネジメントができていれば乗り越えられた課題が多 くあった。今度こそ本来のケアマネジメントができ、なおかつ医療と介護のマネジメン トもできるような仕組みをきちんとつくっていただきたい。 (井部委員)  個人の費用の負担が増えると、サービスの質の向上は非常に重要になると思う。それ からユニット型のケアが推進されるとますます個別ケアということが重要になる。  それを考えると、これまでの人員配置では極めて貧弱ではないか。サービスの質は提 供する人の質と量に関わってくると思うので、いろいろな職種の人たちの連携と人員配 置基準を考え直さなければいけない。 (沖藤委員)  栄養ケア・マネジメントについて、つくるという部分においては非常に熱心に考えら れているが、高齢者はつくったものを全部食べるわけでない。残飯はかなり出る。その 残量の計算はどうするのか。これは非常に人手がかかる。  食事介助だが、経管ではなくて口を開けてその瞬間をねらってスプーンを入れるとい う食事介助が非常に多い。食事中に寝てしまうこともあり人手が非常にかかる。残飯の 量も計量しない、そういうことも計画の中に入れ込む必要があるのではないか。  施設に入ると年寄りは太るという話を聞く。施設の悩みは肥満対策だと。その一方、 低栄養の問題があるというのは、利用者はどのように考えたらいいのか。施設に入ると 太るのか、栄養失調になるのか、これははっきりしてほしい。 (木下委員)  今の施設での低栄養の原因としての説明で身長、体重が測定されていないのではと か、嗜好調査がされていないのではという指摘があったが、是非そういう実態を調べて おいてもらいたい。栄養改善計画が導入以前と比較検証するためにも現在のデータが必 要。  基本食事サービス費が1日2,120円で調理、材料、栄養管理等とあるが、その内訳は どうなっているのか (見坊委員)  口から食べることは大事だが、なかなか難しい。だから点滴で補給する訳だが、入院 すると病院では体重を毎日量る。医者は私の体を見て栄養状態を判断する。だが、老人 ホーム、在宅では難しい。  体重は一つの目安になる。実態調査にある高齢者施設における低栄養の状況について は医療施設のものだろうが、特別養護老人ホームなど生活の場になっているところの調 査結果はあるのか。そこではどのように高齢者の低栄養を判断するのか。 (横山委員(代理:福間参考人))  通所リハ、通所介護では食事提供加算の廃止だけが説明され、栄養ケア・マネジメン トは主に入所施設のことで議論されているが、今の低栄養の問題というのは在宅が一番 重要。  施設とはシステムが違うと思うので、きちんとした評価や体制が必要ではないか。 (野中委員)  栄養状態の考え方はいろいろあるが、施設よりも在宅で自分らしさを発揮できるほど 栄養の状況がいいという見方もできる。それは施設が悪いとかでなくて、現場でケアマ ネジメントをきちんとしなければならないと思う。  医学的にはアルブミンとか、体重とか、腕の太さとか、いろいろな部分でみるが、介 護の面では、患者にはその人らしさという視点で見ることが必要。 (三浦老人保健課長)  個人別にどれぐらい食事を摂っているか、その施設全体でどれくらいの残飯が出てい るかを把握する仕組みはある。しかし、そのことがどうすればもっと食べられるように なるかにつながっていないかもしれない。そこが栄養ケア・マネジメントの大事なとこ ろで、個人の状態を十分把握した上で、より食事を摂れるようにしていくことが大事で はないか。  入所すると太るかどうかだが、それは個人差。  基本食事サービス費の内訳だが、整理して次回以降に示したい。  医療系の施設以外での低栄養の実態については、3.5を下回ると栄養状態のリスクが 生じていると判断される血清アルブミン値を一つの指標としてみると、A施設、B施設 は療養型病床群で、要介護度が高くになるに従って低栄養状態の方の出現率が高い。特 にAはもともとベースラインが非常に高い。Cが複合型の医療系の施設で、さまざまな 通常の急性期の病床も含めてあるところだが、ここでも要介護が高くなると高い割合で 低栄養状態の方が発生している。老健施設Dは、ほかの病床よりも比較的栄養状態がい い。  4施設みると要介護度が高くなればなるほど低栄養状態の方が多く存在することを示 している。 (池田委員)  家賃にしろ、食費にしろ、地域によって随分価格の水準が違うので、地域に着目した 値段の付け方あり得るのではないか。  高齢者1人当たりの給付をみると保険者ごとの格差というのは大きい。関東は比較的 控え目に使っているので、保険給付の問題はほとんど起きないと思うが、西日本は非常 に高い傾向がある。この給付を押し上げる要因は施設給付である。特に療養型病床群と 老人保健施設である。  療養型病床群はコストが非常に高くて45万円を超える。療養型病床群の病床数が多い ところは、コストがはね上がって保険料が上がる。だが保険者にはそれをコントロール する機能がない。つくられたくない療養型病床群、老人保健施設がどんどんつくられ、 在宅でいられる者もそこが吸収してしまう。  そういう意味で地域密着型は市町村長にかなり権限が与えられたのでいいが、施設と りわけ医療施設については何らかの規制ができないのか。  人間の尊厳と財政の安定は、地域によって実現するしかない。地域性に着目した対応 がどの程度可能なのか聞かせてほしい。 (三浦老人保健課長)  居住費、食費の関係での地域差について、現在の報酬というのは、若干地域差はある が、基本的には全国一律である。そういう点から、今回報酬の対象から除外される部分 は、全国一律というのが基本ではないか。  しかし、個別具体的に利用者からどの程度徴収するかとなれば、地域の状況も考慮す ることがあるのではないか。 (川尻計画課長)  介護療養型医療施設の指定は、都道府県の介護保険事業支援計画に基づいて圏域ごと のベッド数を定めた上で指定をしていく仕組みとなっている。  保険者との関係については、今回の改正法案の中で、都道府県知事の指定という仕組 みは継続しているが、その指定に当たっては、関係市町村から意見を聴取する仕組みを 新たに入れている。 (池田委員)  人件費や家賃は明らかに東京と鹿児島では全く違う。そのことに対応した仕組みがで きないのか。 (野中委員)  居住費を課すことで利用者が追い出されることがないよう配慮してほしい。  在宅での基盤整備が重要であるのでその辺は検討いただきたい。  特養であろうが、老人保健施設だろうが、入所、入院している方に必要な医療が制限 されることは不幸だ。  ターミナルで医療がどうあるべきか十分議論をしておくべきだろうが、施設での医療 提供について今後の介護報酬の中で検討いただきたい。 (田中(滋)委員)  在宅の場合、その土地の値段が高いと居住費が高くなる。アパートの家賃でも同様  ところが、減価償却は土地代を反映してないので、減価償却で計算すると全国一律に なる。利用者からの徴収についてある程度市場経済的に決まるにもかかわらず、減価償 却で一律に報酬を下げると施設によっては赤字になるおそれがある。その場合はどうな るのか。 (三浦老人保健課長)  居住費、食費の報酬を対象外にすることについて、全国一律、土地が高いところと、 土地が安いところと関係なく減価償却で抜いていくというのは一つの考え方ではない か。  一方で、利用者から求める部分についてはいろいろな事情があるだろうから、それは 施設と利用者との契約で決まってくる部分もある。それについて、もう少し論理だてを して次回以降、説明したい。 (香取振興課長)  食費の場合は食事療養費が別掲され、積算として2,120円という金額。それを保険か ら一旦外に出し、その上で栄養の部分を改めて保険で見るかどうか、見る場合にどう見 るかとの議論がある。  居住費の場合には、いくら保険で報酬として積算しているか明示されてないので、保 険からはずす議論をするときには、介護保険法上どういう形で居住費が積算されている か、減価償却の考え方なり光熱費の考え方が議論になる。  他方、はずした後の居住費について本人からどれだけ負担を求めるかとういう議論が これとは別にある。個室ユニットは完全に外へ出すので、本人から自由に取ることにな る。中間段階の形態の場合にどういう負担を求めるかとなると、現実の負担能力の問題 やアメニティの問題などの要素も含めて実際に取れる額は決まってくるので、そもそも の考え方でどうなるかという話と、実際に費用を求めるときの積算をどう考えるか、光 熱費、減価償却費をどう考えるか整理をしたい。  個室ユニットの場合は、ケアの中身が違うからハードだけでなくソフトの問題もある のでは。人の配置の議論があったが、そこは全体の報酬の話になるので、今回の議論と 18年4月に向けてどう考えるかという2つ両方を考える必要があるのでは。そこも含め て次回は事務的に整理をして示したい。 (井部委員)  栄養ケアに関して、口から食べることの評価が重要視されていることは評価できる。 これは積極的にやるべき。  医療の中では経管栄養、胃瘻の造設が特に高齢者には多く見られるが、そうした医療 との関係をどのように調整するのか。不必要な医療をある程度抑制しながら、口から食 べることをどう推進したらいいのか。 (三浦老人保健課長)  「口から食べること」についての評価だが、経管栄養、鼻腔栄養、胃瘻などを実施さ れている方々が、食事の一部でも口から入るようになることは、その方の生きがいの点 から重要である。そうするためには、いきなり口から食べられるようにするかという と、例えば摂職・嚥下についての訓練とか、あるいはその方に最も適した食事の形態と か、そういう調整が細かに行われないと、かえって例えば誤嚥性の肺炎を起こしたり、 無理なことが生じる可能性がある。よって移行のための計画の作成や、移行への準備も 含めて進めることを評価してはどうか。  「経管栄養のための濃厚流動食」について、現在のように経管栄養を行っていること を評価するよりも、むしろ口から食べることに変えていくことを評価する方向の方が適 切ではないか。 (矢野委員(代理:松井参考人))  個室については、減価償却を居住費で見るという説明があったが、それならば多床室 の減価償却について介護保険の対象外としないということの説明を厚生労働省事務局と して、次回きちんとお願いしたい。 ○大森分科会長より閉会の宣言 照会先 老健局 老人保健課 企画法令係  TEL03(5253)1111(内3948 3949)