05/06/20 第5回 医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する 検討会 議事録 第5回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検討会 日時 平成17年6月20日(月)15:00〜 場所 厚生労働省省議室(9階) ○赤熊補佐 ただいまから、「第5回医療安全の確保に向けた保健師助産師看護師法等のあり方に関する検 討会」を開催いたします。委員の皆様方におかれましては、ご多忙のところ当検討会にご出席いただき、 誠にありがとうございます。本日は、谷野委員、辻本委員、平林委員がご欠席です。  では、山路座長、議事進行のほどよろしくお願いいたします。 ○座長(山路) どうもご苦労さまでございます。本日もよろしくお願いいたします。はじめに事務局より 資料の確認をお願いいたします。 (資料確認) ○座長 それでは議事に入ります。本日は、本検討会の中間まとめについて検討していきたいと思います。 事務局から中間まとめ案(骨子)が資料2として出されています。初めに、資料1の前回の主な意見につ いて、事務局より説明お願いいたします。 ○野口看護職員確保対策官 資料1です。前回は再教育に関して活発にご議論いただきありがとうございま した。そのことについて事務局として主な意見をまとめたものです。事務局限りでまとめておりますので、 修正、追加、変更等ありましたら言っていただければと存じます。   最初に再教育の必要性自体はどうなのかです。多くの方々は、再教育自体はやはり必要ではないかとい うご意見だったかと思います。看護業務は生命に直結する業務である、看護師の倫理観、知識・技術など の資質が重要である、したがって、医療事故を起こし行政処分を受けた看護師個々人の再教育は必要では ないかというご意見。あるいは、最近は医療安全、懸命に努めておりますが、医療安全の確保を図る観点 からも、当然看護師の再教育は必要だというご意見でした。   また、再教育の位置づけですが、再教育をしただけでは解決しないのは確かである。医療安全確保方策 の1つなので、全体としての医療安全確保の枠組みの中で位置づける必要がある、ただし、再教育自体は 必要だろうというご意見です。行政処分を受けた看護職員自身にとっても、行政処分を受けたことで悩ん でいるという状況もある、彼らたちのためにも、きちんと再教育をし、評価をしていく道筋が必要ではな いかというご意見がありました。   一方、やや疑問ではないかなと思われるようなご意見もありました。1つは、医療事故で行政処分され る者というのは、結局氷山の一角ではないか、その一部の者だけを再教育することは本当に有効なのだろ うか、というような観点からのご疑問がありました。また、そもそも安全な環境があって初めて、きちん と看護師は安心して仕事ができるので、処分を受けた看護師だけに責任を押しつけたり、あるいは再教育 を課すことをやっても全体の安全確保につながっていかないのではないかという疑問。また、優秀な看護 師がベテランと若い看護師との間で事故が起きるというようなことになっている場合に、その管理責任の ような問題がある。そういう問題を問わずして、事故を起こした看護師だけの倫理・技術の教育をするこ とについての疑問がある、という声もありました。ただ疑問はあったのですが、だからといって再教育を しなくていいということでもないだろうということで、概ね再教育自体は、いろいろな問題があるにして も必要なのではないか。一言で言えば、そのようにまとめられたのではないかと考えております。   また、(安全管理体制の問題)についてはかなりご意見を賜っております。1つは、医療安全対策その ものですが、44万件のインシデント報告がある、医療安全対策を考える上でその対策が必要である、医 療機関の医療事故対策そのものが強力に是正されなければいけない。医療事故は本人の不注意もあるが組 織全体の医療安全対策が不十分なために起こるのであるから、医療機関の責任者自身が再教育、指導、事 故原因をきちんと分析して対策を進めていくことが重要である。個人に対する再教育と組織的な安全対策、 体制整備をセットで取り組んでいく必要がある、またそのことを国が監視していく必要があるのではない かというご意見です。外からの指導、あるいは外からの評価があることにより組織は変わっていく、した がって、外部からの指導で安全対策をきちんとやったかどうかを見ていくべきだというご意見です。   また、医療安全は非常に国の責任が重い。さらに、お金もかかるし人員もかかる。医療費がアップすれ ばよいが、それだけの問題ではなくて、国は医療安全に対してきちんと予算投入すべきであるというご意 見もありました。人員という面については、現在医療現場では非常に人員配置が薄いではないか、この薄 い中ではいくら安全のためのマニュアルを作ってもそのとおり実行できないのではないか。かといって、 特に問題となっている夜勤について看護師の配置を厚くしようとすると経営的な問題も出てくる、国がこ の人員配置をどう考えるべきなのかをきちんと考えるべきではないか、規制をかけるべきではないかとい うご意見がありました。同じようなご意見で、もっと人が必要なのだということを打ち出すべきだ、そう していかなければいけない時期なのではないかというご意見がありました。   再教育の中身は、再教育には交通違反なり医療事故なりとあるわけですが、医療事故により処分を受け た場合には医療安全に関する研修が必要であるというご意見。看護職はチーム医療の中で看護業務を行う ということで、チーム医療の視点が非常に重要ではないか、多職種との関わりの中でどのように役割、責 任を持って働いていくのかについて、再教育の中身として検討したほうがいいというご意見。これは患者 の立場からのご意見でしたが、医療事故関係で処分された人と、わいせつなり交通事故で処分された人の 再教育を一括りにすることは非常に強い違和感があるというご意見。   それから、再教育の具体的で非常に効果的な方法として、被害者あるいはその家族の話を直接聞く、ま たは医療事故の事例に即したケース検討といった教育を行うことが非常に重要である。具体的な事故事例、 個々の処分に即してどういう再教育であるべきかを考えていく必要がある。いずれも当然なご意見かと思 いますが、このようなご意見が出ております。   関連して、(基礎教育)の部分で医療安全に取り込んでいったらいいのではないかというご意見で、予 防的な意味で看護の基礎教育の中でも行政処分の実例などを取り入れて、よく理解を求めていくべきでは ないか。あるいは、卒前の教育、基礎教育の段階から看護の仕事は一体どのような役割を持っているのか、 どのように安全面に配慮しなければいけないのかをきちんと教育していく必要があるという意見もあり ました。その後、職に就いてからの教育、(現任教育)ということでまとめておりますが、学生として基 礎教育を修了して免許を受ける、免許を受けて職業人となった入口のところの教育がいちばん大事ではな いか。学生の間では身体の侵襲性の高い技術を実施することは事実上なかなかできなくなってきている、 したがって、まさに実際に侵襲的な行為を行っていく、それを初めてやっていくような新人の業務、新人 のトレーニングをどうするのかが非常に重要ではないかというご意見です。また、行政処分の再教育とい うことにとどまらず、医療安全対策を進めようという立場からは、看護師全体に定期的な再教育を考える 必要があるのではないかというご意見です。あと新人の看護職員の研修の中で、きちんとこの医療安全の ことを確保していくべきだというご意見をいただいております。再教育の仕組み、例えばどのような中身 にするのか、誰が責任を負うのか、何をもって修了とするのか、とさまざま考えなければいけない課題が あるわけですが、再教育の仕組みを具体的にどのようにするのか今後検討するべきだというご意見です。  (その他)として幾つかほかのご意見をまとめました。1つは、事故を起こした当事者にPTSDといっ た障害が残って心理的ケアが必要である、専門家による支援により再教育をした期間だけではなく、再教 育後のフォローも、やはり長期的に見ていく必要があるのではないかというご意見もありました。また、 行政処分を受けた人にレッテルを貼ってしまうことがないように、あくまでも業務を再開できるという前 提に立てば、そういう観点から人権保護も必要ではないか。患者の立場からみますと、看護職員の比率 「2:1」の表示の意味がよくわからない、常時2:1という意味に取らえてしまうので、もっとわかり やすい表示にしてほしいというご意見がありました。   また、行政処分となり得る事例の把握の問題も出ました。現状では正確に把握することが困難な実状も あるという話の中で、やはりきちんとした調査権限が必要ではないかというご意見もありました。また、 再教育を受けるときの費用負担ですが、医師の場合は、基本的に再教育を受ける、処分を受けた医師自身 が、基本的にその費用は負担するという報告書でまとまっていたわけですが、それについてご意見があり ました。看護職の場合は、もちろん本人の不注意もあるが、組織的な体制の問題もあることもある。その ような場合も含めて、すべて個人が負担を負うのは酷ではないか、場合によっては病院が持ってもいいの ではないかというご意見であったかと思います。  以上が前回出された主なご意見ということで紹介いたしました。 ○座長 いまの説明に対してはよろしいでしょうか。  それでは議事に入ります。本日の本題は、「中間まとめ」についてご検討をいただきます。進め方ですが、 はじめにとか1、2に分かれておりますので、事項別にご意見をいただき、最後の段階で、言い足りない ところをご意見をいただくということにさせていただければと思います。その順番に従ってご意見をいた だきたいと思います。「はじめに」について、何かご意見があればお願いします。 ○野口看護職員確保対策官 とりあえず、はじめにざっと事務局から説明したほうがよろしいかと思います が。 ○座長 それでは改めて事務局からご説明をいただいて、その上でということにいたします。 ○野口看護職員確保対策官 議論の前提として私のほうから中間まとめ案の(骨子)について説明をいたし ます。日程的には、本日と来週の月曜日の2回に分けて中間まとめ案をお願いできたら有難いと考えてお ります。本日は第1回目ですが、中間まとめに向けた骨子を提示しております。全体の構成がこのような 構成でよいのかどうか。論じるべき点がいいかどうかという論点的なものがどうなのか。それについて議 論を賜れば幸いと考えております。   全体の構成は、Iはじめにです。II個別の論点で、個別の問題について方向性が出せるかどうかという ことです。III終わりにで、この3部構成になっております。   Iのはじめにでは、検討会の趣旨、検討会の開催経過です。IIでは4つの論点についてそれぞれ述べて、 IIIの終わりにでは、中間まとめということで4つの課題についてまとめていただく予定ですが、7月以降 に検討再開いただき、年末に向けてまた意見の取りまとめをいただきます。そこで残された課題があるの ではないかということで、その課題をいくつか明らかにして、この辺についてまた検討するということに なっております。それでは、こうした全体の構成を頭に置いていただき個別の中身に入りたいと思います。   まず、Iのはじめにです。検討会の趣旨ですが、1つは医療部会において、現在平成18年改正に向け た検討が進められています。その中においても、一定の論点整理が行われており、その論点に沿いながら、 患者の視点に立って医療安全を確保する、大きな改革の見直しの視点の中で個別の議論が進められており ます。その論点の中に、保助看法等看護職員に関連する課題がいくつかあり、それについて特別に検討会 をお願いし、そのことについて検討を深めていただき、一定の方向性が出せるものなら出していただきた い、というのがこの検討会の趣旨です。医療部会に対して私どもの検討会のまとめをお出しし、医療部会 において、医療部会としての方向性に反映していただければ有難いという趣旨です。その医療部会の中間 まとめが6月末から7月にかけて、具体的な作業が行われるだろうと考えており、それに間に合わせたい のが1つです。今年も12月ぐらいに医療部会としての意見の取りまとめの時期がきますので、それに合 わせる形で、この検討会の意見の取りまとめという段取りになろうかと思います。   2の検討会の開催経過ですが、これは開催回数で、次回で終わることになれば6回になるわけですが、 この辺はまだわかりません。開催して5つの課題についてご検討をいただいてきております。ただし、最 後の助産所の嘱託医師の問題については、現場の助産所の先生方、あるいは産婦人科の先生方の参加もい るのではないか。嘱託医師の実態については更に調査が必要ですので、少し時間をいただき、もう一度議 論しようということになったわけです。したがいまして、今回の中間まとめの範囲には助産所の嘱託医師 問題は入っていません。   II番目からは個別の論点です。いちばん最初は、看護師資格を持たない保健師及び助産師の看護業務に ついてです。論点ごとに、大体が現状と問題の所在、それを踏まえた今後の方向性というパーツです。問 題に応じては、そのほかに特有の論点も提示しております。   最初の保健師、助産師の看護業務の問題ですが、現状維持の問題の所在です。現状の保助看法において は、看護師免許を持たない保健師や助産師は看護業務を行うことができるとなっておりますが、現実にそ のような実態が出てきているということです。これまではそうだったのですが、これからを考えると、特 に4年制大学の急増により、そのような方々が今後さらに増加する可能性が高くなるのではないかという ことです。   そのことをどう見るか、あるいはどういう問題意識を抱くかですが、看護業務の実施に求められる知 識・技術の確認がなされていない。しかしその中で看護業務の実施されるということになります。これも 結構議論になりましたが、それによる医療安全上実際どのような不都合があるのか、どのような危険があ るのかについては、実際問題不明です。しかし、医療安全を制度的に高めていこうという流れの中では、 やはりきちんとした対応を図っていくことが望ましいのではないかというまとめにしております。   患者の視点から見て、これもご議論をいただいたところですが、看護師資格を持っていない保健師、助 産師が看護師という名札を付けながら看護師業務をしているという実態は誠に想定外である。そのような 実態があるとすれば、それは患者の不信を招くことになるというご指摘をいただいております。この問題 を考えるに当たりましては、これもご議論をいただきましたが、そもそも保健師、助産師はどのような資 格であるべきなのか、その理念はどうなのかを詰めるべきであるというご指摘をいただいております。   それが(2)で、保健師、助産師は、制度的には看護教育修了を前提とした資格で、その看護教育修了 の上に、保健師教育、助産師教育を受けて、保健師、助産師となるのが現行法の組み立てです。もう1つ は、保健師なり助産師の実際の業務と看護業務との関係は、保健師の業務を行う際、あるいは助産師の業 務を行う際に、やはり看護業務の実施が不可欠ではないか。看護業務を行わない保健師、助産師は、資格 としては十全ではない、万全の働きをすることはできない。そういう観点からすると、看護業務の実施は 保健師、助産師資格に内在している要素であるとまとめられるのではないかということです。   また、過去の経緯についても説明しましたが、過去においては、保健師、助産師について看護業務につ いての知識、技能の確認という作業が行われておりました。試験において、昔保健師は看護師の試験科目 があった。また、看護師の国家試験合格を条件としていた時代もあったわけです。それが過去のさまざま な経緯の中で、なされないままきてしまったという問題もあるということです。そのような経緯もあり、 やはり単に看護教育を修了したことにとどまらずに、一定数字に到達していることを公に確認することが 求められている、それが資格の理念として必要なのではないかというまとめにしております。   以上を踏まえ今後の方向性として、看護業務に必要な基本的な知識、技能の確認ができるような、制度 的な措置を講じることが考えられるのではないか、ということになろうかと思います。ただし、その際に はさまざまな方法が考えられます。その方法を考えるとき、これもさまざまなご議論をいただきましたが、 ここでは仮に書いておりますが、法改正をせずに改善する方法もあると。そういう方法もあるのではない かというご意見もあったものですから、そういう方法を模索することも望ましいと、ここでは仮に書いて おります。もちろん、こういう考え方で皆さんのご意見が一致したかどうかという点もありますが、この 辺についてもご議論をいただければと考えております。   2つ目は免許保持者の届出義務です。医師、歯科医師、薬剤師については、大臣に対して免許保持者が 届出をすることになっておりますが、看護職員については、現状は都道府県知事に対して業務に従事して いる者が届け出ることになっています。特にここで問題にされているのは、55万人と推計されている潜 在看護職員の状況が把握できないのが問題である、と以下のようにご指摘をいただいております。1つは、 看護師等については国家資格であるということで、国家資格であることから離職した看護職員のフォロー を何らかの形で国が行う必要があるのではないか。国家資格を有する者として、いわゆる応詔義務的なも のがあるのではないか。求めに応えるという倫理観を持つべきである。その1つの現われとしての届出義 務を課す、また届出義務に応じることは当然ではないか。あるいは、国全体の、いわば危機管理的な発想 として看護職員の把握は必要ではないかというご意見がありました。医療安全の立場からは、看護職員を いかに充実していくかが医療安全に、いわば直結していく時代になってきている。特に確保対策として重 要になっている潜在看護職員をどうやるのかについて、その把握を進めるために必要ではないかというご 意見をいただいております。   他方、届出をしていくということについては極めて慎重なご意見もあります。1つは潜在看護職員の把 握など、看護職員の確保対策をすること。そのためのデータを集めるのはよろしいことではあるが、その ことと届出制は全く別次元の問題ではないかというご指摘。また、届出制を仮に制度化したとしても本当 に潜在看護職員は届出をしてくれるのだろうか、その実行性が期待できるだろうか、期待できないのでは ないかというご意見です。また未就業者、特に就業されていない方に届出義務を課していくことになるわ けですが、届出を義務付ける場合に、届出違反に対して罰金が科せられる、その罰金は非常に重すぎるの ではないかというご指摘もあります。   今後の方向性ですが、方向性はなかなか難しいということですが、1つご議論がありましたのは免許更 新制の議論です。将来の課題として免許の更新制が検討され得るのかどうかということに関して、仮に免 許の更新制が導入されることになれば、今回のような免許保持者の届出義務の問題は自ずと解消していく。 したがって、免許届出制そのものについての検討も更に続けて、結論を得ていく必要がある問題ではない のか、届出義務だけを別に論じるということではなく、免許の更新制も併せて考えなければいけないので はないかというご意見もあり、そういうことになっております。   他方、少し視点を変えて、保助看法といった法律本体に触れず、人材確保の観点から、むしろ潜在看護 職員の届出と、把握に着目して別の方法、政策手段をとることもあり得るのではないかというご意見もい ただいております。  3点目は名称独占の問題です。これについてはほぼ皆様方のご意見が一致したのではないかと思います。 まず現状は保健師だけ名称独占があります。その保健師に関しても、保健指導業務上に名称独占が認めら れています。これについては問題点が指摘されており、他の医療関係職種や福祉関係職種において名称独 占があるのに比べて、看護職員にないというのは極めて不整合ではないか。名称独占がないことにより過 去に不適切な事例が存在した、副看護婦問題などです。特に、最近求められている患者に対する正しい情 報提供という観点からも問題ではないのかというご指摘です。   看護職員については平成13年に守秘義務が作られましたが、守秘義務が作られた資格でありながら名 称独占がないという結果、その名称が勝手に使われて、その人にとっては守秘義務がないから秘密が漏洩 してしまうおそれがあり、そうすると、逆に資格としての信頼感が欠けるおそれがあるのではないかとい うご指摘です。一般論としては、医療の質、安全の確保を図る上で名称独占がないこと自体が問題だ、な ぜ今までなかったのか、というお叱りのお言葉もあります。保健師についても、保健指導業務に限らない、 社会的にはさまざまな重要な役割を果たしているということで、業務を限定せずに一般的な名称独占にす べきである、というご意見をいただいております。そういうことで今後の方向性ですが、次期医療法改正 と併せて保助看法に助産師、看護師及び准看護師の名称独占を導入すべきである。保健師についても業務 を限定しない名称独占をすべきである、とまとめることができるのではないかと考えております。   4番目は再教育の問題です。まず現状は、看護職員も行政処分事例が増えているのは前回説明したとお りであり、特に医療事故をめぐる処分が増加している状況です。その中で、医師、歯科医師については再 教育の実施という方向性がすでに打ち出されて、今後さらにその中身を検討する状況になっております。 医師もそうですが看護職員についても、特に業務停止の行政処分を受けた者が一定の時間が経つことによ り、業務を自動的に再開できることについては問題点があるということです。   1つ目は、技術が不足することにより医療事故が起きた場合、本当にその技術が身についたのかどうか、 その保証がないままに業務再開ができることが問題ではないか。2つ目は、看護職員の場合も長期の業務 停止の事例があったことはご案内のとおりですが、そのような長期間の停止の場合に、現場から離れれば 離れるだけ腕が落ちるということで、医療知識・技術が低下する危険性がある、それをどう補うのか、補 わなくてもいいのかという問題です。3つ目は、特に被害者の立場から見た場合、医療事故再発防止に向 けた取組み、絶対にこの事故は繰り返さないということがないと納得できないわけです、それがない限り 信頼を回復したことにならないのではないかというご指摘です。   この問題については、そもそも再教育が必要かというところについて議論があったわけですが、ほぼ必 要なのではないかというご意見だったかと思います。行政処分を受けた看護職員については倫理の問題、 知識・技術の問題、この両面において、やはり資質の再確認を行ったほうがいい、そのために再教育制度 の必要性がある。特に医療安全の立場から見れば、やって当然であるというご意見です。ただし、医療事 故が起きるのは複合的な要因が関係することもあるわけで、単に処分を受けた個人だけの問題ではない、 組織の責任者も含めて、組織全体の指導・教育等も併せて推進されなければいけない。ここに明記してお りませんが議論が出たのは、人員配置が薄いのではないか、というご指摘もいただいております。   今後の方向性ですが、医師、歯科医師に対する再教育と同様に、看護職員についても基本的に同様の再 教育の仕組みを考えていくべきではないか。その仕組みを検討する際には、誰が再教育を受ける対象者に なるのが適当なのか、再教育の中身はどうしたらいいのか、再教育に当たって重要と考えられる助言・指 導者はどのような人がなったらいいのか、その人はどうやって養成したらいいのか、再教育は終わったと 認められるのはどのような基準にあるのか、それは誰が認定するのか、再教育自体を誰が実施するのか、 再教育の仕組みについては誰が責任を負うのか、これらの点について更に検討を続けるべきであると考え られるわけです。   IIIは終わりにです。今後残された課題について検討を行うということで、この検討会の趣旨を説明した ときに明らかになっていたのは、新人看護職員の問題と産科における看護師等の業務のところです。助産 師のところは、引き続きということです。この3点は、その後委員の皆様方からのご意見の中で、看護記 録についても取り上げるべきである、看護職員の専門性の向上についても取り上げるべきであるなどのご 意見。その他、保助看法の全般的な見直しを図る時期である、それに向けて考えていくべきであるという ご意見。保助看法の全般の見直しと言った場合に、どのような論点があり得るのかを整理することも考え られるのではないかということで、このようなことについて、今後年末にかけて議論をしていったらどう かということです。 ○座長 それでは検討を進めてまいりたいと思います。先ほど申し上げたように、この案に沿ってご意見を いただきたいと思います。まず「はじめに」というところですが、これについてはよろしいですね。   では、個別の論点についてご意見をいただきたいと思います。できるだけご意見をいただいたほうが、 まとめもしやすいということですので積極的なご意見をお願いしたいと思います。まず、1の看護資格を 持たない保健師及び助産師の看護業務について、このまとめ案についてご意見をいただきたいと思います。 ○菊池委員 1頁の「現状及び問題の所在」の2つ目の○のところ、「4年生大学の急増により看護師資格 を持たない保健師及び助産師が増加する可能性が高くなってきている」と。この表現の仕方についてです が、実際のところ実態がよくわからないという話がありましたので、もう少し事実に即した書き方にした ほうがいいのではないか、という観点から意見を申し上げます。  第2回委員会資料の28頁に、同時受験した人の不合格者の数が出ております。例えば保健師と看護師を 同時受験した人で看護師が不合格だった人の割合を見ますと、大体1%前後でこの間きています。看護大 学が少なかった平成6年に比べたら、確かに不合格者がゼロだったところが今2桁台になっている。ある 程度の人がいるという事実はあるのですが、実際にいちばん多い時は、看護師国家試験の合格率に非常に 影響されて96人までいっているということがあります。この2桁の人たちが、その翌年にもう1回国家 試験にチャレンジして、受かったか受からなかったかについては把握されていないということですし、そ もそも片方だけ受けた人はここに出てきていないということで、その人たちの数もはっきりしないという ことですので、確かに可能性はあって、これから高くなっていくと言えるのかもしれませんが、必ずしも そうではないというところがありますので、表現としては、この表を説明するような表現の仕方にしたほ うがいいのではないかということです。 ○野口看護職員確保対策官 次回報告書(案)という形でお示しするときに、いまの委員のご指摘を踏まえ て、客観的な根拠を明らかにした表現に工夫させていただきたいと思います。なお、既卒者の場合、1年 後に試験を受けてどのぐらい合格するかですが、それは第2回の資料29頁目に付けておりますが、やは り合格率は格段に落ちるということですので、翌年チャレンジしたとしても、相当数が不合格という形で 残る可能性はあるのではないか、という推察はできるかなと思っております。 ○青木委員 私も最初の「現状及び問題の所在」の表現が少し弱いと思います。本来、保健師も助産師も看 護師の資格を取得された、もしくは、そういう知識を基礎にしての職域だと考えます。現在の助産師国家 試験は助産に関することだけで、保健師の国家試験は、いわゆる公衆衛生のと、一言で言うと間違いかも しれませんが、それに関連することだけで、しかも問題の数も少ない。こういう現状に鑑みれば、「看護 師資格を持たない者が看護師や保健師資格を取得することができる現在の状態は、可及的速やかに是正す るべきである、」というような強い文章をここに入れていくのが当然ではないかと考えます。 ○座長 ほかにいかがでしょうか。 ○坂本委員 私も強く言っていくべきだと思います。もう1つは、患者に看護師を持って保健師を持ってい る、看護師を持って助産師を持っているということをきちんと見せていくというか、開示していく必要が あるのではないかと思います。今の状態では誰が何かよくわからなくて、中身も不明確であるならば、や はり患者に情報を開示していく中においては大変ややこしくなってくると思います。青木委員が言われた ような意見にプラス、それを開示していくということをここに強く入れていただきたいと思います。 ○座長 そうすると、今後の方向性の1の(3)のところに、きちんと資格を出せと、まとめ方に付け加え ろということですね。 ○坂本委員 はい。 ○座長 ほかにはいかがでしょうか。 ○遠藤委員 今後の方向性の○の2番目「法改正をせずとも改善する方法を模索することが望ましい」と。 法改正をせずともというのがご説明にありましたように、何を考えているのかが非常に。これからさらに 検討しなければならないということで非常に難しいと思いますが、例えば先の会議で検討されたように、 保健師や助産師のところに看護師に必要な知識・能力等を国家試験に組み込んでいくというようなご意見 もあったかと思います。そうしますと、同時受験の方にとっては看護師と助産師との試験問題の数が膨大 になってきますし、助産師の教育を受けた方がそれを受験するとしたならば、例えば20年看護師として 働いていて助産師になった方で、教育を受けて助産師の国家試験を受けようとする方もいるわけです。そ うするとき、今度は国家試験の出題に関して非常に困難を極める、どの辺りに、ということでとても大き な問題になるような気がいたします。その辺りが、法改正をせずともという意味合いが、伺っていても、 どのことを指しているのかがわかりにくいのが現実です。 ○野口看護職員確保対策官 法改正をせずともという趣旨は、法改正を伴うような、かなり抜本的な改正に 近いようなことをすると、保助看法自体の抜本的な改正の議論にブレーキになりかねないというご意見が 一方ではあります。ただ、そうは言っても現状を正すとすれば、抜本的な議論に踏み込まなくても、正せ る方法があるのなら正したほうがいいというご意見もあったので、それを足して2で割ったような表現に なっております。そういう意味では、これが本当に多数派なのかどうかというのは、最初にお答えしたと おりよくわからないのですが、一応まとめとしては、仮にこういう形にしたということです。  具体的に「法改正をせずとも」というのは何を念頭に置いているのかということですが、これは第2回の 資料3の中にありますが、保健師なり助産師の国家試験の試験科目の中に看護師の国家試験科目を追加す ると。そうすると試験科目をどうするかによって実行上の問題として解決できるのではないか、というこ とを頭に置いているということです。その際、すでに看護師の資格を持っている方であれば看護師の国家 試験科目は免除すればいい、という形でやれば現場の困難もそんなに生じないのではないかと。前回もそ のようなご議論もあったかと思いますが、一応そのようなことを念頭に置いております。それをもう少し はっきり書くべきかどうかというご議論かと思います。 ○座長 まとめの段階で「法改正をせずとも」というのは、確かに誤解を呼ぶくだりがあるので、その辺の ところは委員のご指摘のとおり修正をしていただきたいと思います。  ほかにはいかがでしょうか。 ○金川委員 法改正というときの内容がどの辺までの厳密さがあって法改正と、そこのところがあるのです が。「法改正をせずとも」という意味の中で、実は現実的な問題を申せば、例えば保健師を合格して看護 師が不合格だったと。でも実際にはその方は病院に就職という形で、たまたま保健師も受けようかなとい う場合も結構あるのです。看護師が不合格の場合は、病院側で採用は難しいと雇用者側から、現時点では、 していたかどうかはわかりませんが、拒否されている現実があるということなのです。採用という場合、 看護師の資格がない場合に、いくら保健婦があったとしても駄目ということを採用者側で、例えば一定に という。そういう場合、それが徹底するためには制度改正でいかないとまずいのでしょうか。それが1つ です。  それから、逆に採用する場合に、看護師としての採用の場合とか保健師としての採用というような、はじ めからそういう条件があって、例えば、あまり私も行政の条件について云々というのはちょっとあれなん ですが、実際に、例えば市町村保健センターとか保健所の場合に、看護師という資格がなくても、あるい は、あるかないか問わずに保健師という資格のみで就職を、雇用というようなことが、もしかしたらあり 得るのではなかろうかということで。そういう意味で雇用の条件のときに、そういうようなことも考えて いくというようなことも1つ考えられるのかなと思うのです。それは場合によっては、甘いという場面か なと思うのですが、そういう雇用条件というのは、実際にはきちんとなっているという感じでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 雇用については、当然雇用主と雇用される方、労働者との契約ですからさまざ まなやり方があると思います。私もこの間、看護部長クラスが集まる会合があって聞いてみました。例え ばこのような場合があったときに、あなたの病院では採用されますかどうですかと。そうすると大半が、 採用はできないでしょう、内定取消しでしょうと。ただ一部、やはりかわいそうだから採用しますでしょ う、という方もおられました。実際には採用されている方も、おそらく中にはいるだろうとは思います。  今回方向性で出している問題は、看護師の国家試験科目を保健師の国家試験科目にみなしてやりますので、 看護師部分が落ちれば保健師の資格は得られないのです。今のような試験科目を見直しすれば、看護師が 取れなければ保健師自体が取れなくなるということですから、今のような問題はなくなります。いまの保 健センターの場合も、保健師としての資格、そういう意味では意義と理念がこのまとめのとおりであれば、 看護師としての業務の確認ができていないのですから保健師自体与えられない。したがって市町村保健セ ンターへの就職もできないという結論になります。 ○金川委員 わかりましたけれど、現実問題として、例えば非常勤というような場合、常勤まではちょっと よくわかりませんが、保健センターや保健所という所で、看護師試験がたまたま不合格で保健師だけOK という場合、就職は不可ということですか。現時点での行政の領域においては。 ○田村看護課長 採用の現状の問題とは次元が違うように思いますのでお答えしにくいのですが、現実に保 健師の資格しかなかったという人は、保健師として採用されている可能性はあると思います。それは非常 勤であれ常勤であれ可能性としてはあるかと思います。ただ、私どもの認識は、市町村保健センターや保 健所に勤めていたとしても、その業務の中に看護業務というのは内在しているのではないかと考えており ます。それと、最初のお話にありましたような、看護師が落ちた人はすべて採用取消しということではな いということも現実に私どもは把握しているところです。 ○金川委員 わかりました。そういう意味では、両方の条件がきちんと揃う場合は、やはり制度的な形にも っていかないと難しいということですね。 ○座長 雇用上で縛りをかけるのは、現実問題難しい、という実態があるということなのでしょうね。 ○小島委員 その雇用の状況のことですが、例えば、今年の4月も保健婦の試験には合格したがナースを落 としてしまったという例があります。それで私どもは雇用の段階で、病院で働くわけですから、当然ナー スのライセンスのない人は、不採用となります。しかし、非常に人が不足している場合は保健センターや 健康管理センターに、1年間だけ限定をと、それは法律上全部、法の制度をチェックしたり、社会保険事 務局等に確認をしながら1年1年ごと慎重にやっていくと。それは1人では仕事をしないで誰か、リセプ ターのようなものをつけてというように、いずれにしても慎重にやっていきますが、そういう意味で、や はり制度上の整理をきちんとつけていくことになれば、こういった問題は自ずから整理がついてくると思 っておりますので、現実問題として、その整理が行われることが、多分こういう混乱を避けることにつな がっていくのではないかという考え方をしております。 ○坂本委員 採用されるときはその施設施設で違います。それはともかくとして、看護はきちんとした資格 を持っていない保健師でいいのですかというところだと思うのです。そこがいい状況になってきている、 国家試験は受からないで、そして保健師で働く状況が少なからず出てきているということにおいて、私た ちが保健師、助産師、看護師とみたときに、いいのですかというところはきちんと必要だと思うのです。 それは看護をきちんと基本のベースで学んで、そして公衆衛生、それから助産にいくべきであるだろうと いうふうに踏まえれば、大学卒で出てきたわけですから同時に取れるのはしようがないとして、やはりそ れはきちんと取るべきだろうと。そういうことをここで押さえておかないと、私はいけないと思います。 ○川端委員 論理的な疑問があるのでお伺いします。看護業務の実施が保健師の資格に内在している要素で あると考えて、今後保健師の試験科目の中に看護師の科目を入れると、今後についてはそれで論理一貫す ると思います。従来、保健師の資格だけ取られている方については、その場合手当をするのかしないのか という点はどうでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 いま念頭に置いている方法は、法改正をしないで実行上手当をする、そのうち 今後手当をするという問題だけです。これまでの方については、手当をすることは法律が改正されません のでできないという結論です。 ○青木委員 先ほど発言したことと矛盾するかもしれませんが、保助看法の不備によってというと問題かも しれませんが、保助看法のあり様で現状の看護師資格を、厳密に言えば持っていない保健婦も、保健婦と していま認められていると、こういうふうに考えられますよね。そうすると、現在の法律のままでは、そ の人たちの権利を奪うことにはなりませんか。法律は法律でしょう。その辺りがよくわかりませんので。 ○野口看護職員確保対策官 説明がまずくて申し訳ありません。現行法上のやり方は否定はしないというこ とです。したがって、現に働いている方に、看護業務はやめてくださいということは言わないわけです。 適切かどうかは別にして、いま保助看法上は看護業務はできるとなっておりますから、現に働いている看 護師資格を持たない保健師の方は、そのまま業務を続けることができます。ただ、今後については、看護 師の国家資格と同じレベルに到達しないと保健師の資格を与えません、という整理ができるのではないか という趣旨です。今後についてそういう手当を講じたいと。これまでは社会的に顕在化していなかったの ですが、今後増えてくるのではないかという中においては、今後の手当をしたほうがいいのではないかと いう意図です。 ○坂本委員 今後の手当の中に、法改正がすぐできないということになれば、国家試験の中身に対して、こ れが看護婦の国家試験が通ったようなレベルの内容を盛り込んで、そこを到達点にするという、クリアす るということですね。 ○座長 これについては、制度的に何らかの措置が必要だという点では、ほぼ一致したと。それで今後の方 向性について若干手直しをいただくということでよかろうかと思います。  では、次の2の「免許保持者の届出義務について」、ご意見をいただきたいと思います。ここは意見は出 たのですが今後の方向性のところでどういう形でまとめるのかということですね。このまとめ(案)につ いて、何かご意見ありますか。 ○川端委員 私はそのとき議論に参加していないのでちょっとお伺いします。免許の更新制の導入は現実的 な課題になっているのでしょうか。それとも、これは全く仮にということで、どなたかが意見を言われた ということなのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 現実が一体どのぐらい先までの現実なのかによって答え方も変わるかもしれ ませんが、当面、私ども平成18年改正を念頭に、この検討会で検討をお願いしています。少なくとも平 成18年において、この免許、看護職員に関する更新制について制度化を図ることは、事実上困難ではな いかと考えております。将来の課題として、今後の保助看法の見直しの中の論点として、この免許の更新 のあり方はさまざまご指摘をいただいておりますので、検討課題としてなり得るものであろうと考えてお ります。 ○川端委員 医療安全の確保を図る観点から、ある程度の看護職員を確保する必要があるので潜在看護職員 の活用を図るために把握が必要であるという議論がされていますが、医療あるいは看護の技術の進歩が非 常に激しい中で、潜在看護職員は一旦看護職の仕事を離れて何年かたっておられる方なのでしょうから、 そういう方を教育なしに現場に戻すということは、医療安全の確保を図るという観点からは、むしろ逆効 果なのではないかという気もするのですが、その点はどうなのでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 現実には都道府県のナースセンター等を通じて、再就業の促進という形で、潜 在看護職員にターゲットを置いて働きかけを行っていただいておりますが、その1つが、再就業するに当 たって、いかに技術をもう一回身につけていただくかということで、さまざまな研修や講習という手だて を講じていただいております。これにつきましては更にやっていかなければいけません。  先ほどの再教育の問題でも、現場からずっと離れていた方について、そのままではいけないのではないか という、ご議論と全く同じ問題意識があろうかと思いますし、当然、医療安全のことも考えて、きちんと する。そうでないと、実際に再就業される方自身も、不安で再就業できないということがありますので、 ご本人も自信を持って取り組んでいただけるような環境はつくっていかなければいけないだろうと思っ ております。  また、今後は介護現場や慢性病棟等、急性期で極めて忙しくない職場も増えてくるかと思いますので、ご 自分の適性に応じた就職先を見つけていただくということではないかと考えております。 ○青木委員 川端委員のお話なのですが、医療安全は質を高めて当たり前のことであるが、量が全く足りな いときにどちらを求めるかという話も比較しながら頭の中で検討していることであります。この言い方が よいのか悪いのか、よくわかりませんが、子どもを育てたなど家庭の事情で看護については空白の期間が あった人について、就業前にもう一度教育や研修を受けられるということは、非常に大事なことではあり ますが、量と質という点から考えていくと、いまの状態というのはなかなか難しい話ではないかと私は考 えています。今の状態がよいと申し上げているわけではありませんが。 ○菊池委員 潜在看護職員の復帰に当たっては、川端委員のおっしゃるように、何らかの研修があって、質 を確保して就業するというのが望ましいと考えます。そういう意味でナースセンターで再教育の研修会を 実施したりしているわけですが、一方、受け入れる病院や施設のほうでも、その人個人の能力というもの を最初の入職の時点で確認して、後の研修のことも考えながら、それにふさわしい活用の仕方をしていく という対応をしている所も多いのではないかと思います。  医療安全という観点から、量の確保ということは絶対必要で、人員配置基準を引き上げるようなことは必 要だと思うのですが、そのためにも、潜在看護職員を今後活用することは非常に重要だと思います。そう いう意味で、今後の方向性で、人材確保の観点から措置を講じることも考えられるという視点、また、自 信のない潜在看護職員が就業できるような措置や対策を講じるための何らかの対策をこれから強力に進 めることは、やはり必要なのではないか。それを前提に潜在看護職員の活用ということを考えたほうがよ いのではないかと思っております。 ○遠藤委員 人材確保の観点から措置をどのように講じるかということは、まだここで検討していないわけ ですし、また、どのように描いていくかというのは非常に難しいわけです。「現状及び問題の所在」の中 で、医師等については厚生労働省に対する免許保持者の届出となっているが、看護職員については都道府 県知事云々というくだりがあります。私は助産師の問題に関連することが非常に多いので、あえて発言さ せていただきますと、例えば、毎年1,500人の卒業生が出ていて、20年で3万人いるはずなのです。そ れが現実に2万5,000人の就業者しか出ていないというのは、本当にその方が潜在なのか、実は看護師と してカウントされて働いていらっしゃるのか。その辺自体の仕組みがはっきり見えてこないと、結局、養 成力が足りないのか、あるいは潜在の問題なのかという辺りで、現実的に非常に把握が困難です。  (1)で免許保持者の届出ということで罰則規定がないということも承知しておりますが、免許保持者は、国 の免許をいただいて登録しているという点で何らかの責任を持つ。免許更新制は現実的にはまだまだ年数 がかかるということであるならば、我が国の医療の仕組みをつくっていくうえでも、数は把握されなけれ ばならないのではないかと危惧しております。 ○川端委員 単純に資格があるのに途中で退職されて潜在看護師になっているというような方を現場に呼 び戻したいということであれば、呼び戻す際の障害になり得る再教育をきちんと行うということは必要で す。そして、いちばん重要なのは、待遇が確保されているということではないかと思うのです。私から見 ても、看護師の労働というのは非常にきついのに、それほどちゃんと処遇されているわけではないという ことから、こういう潜在看護職員がどんどん生まれているという現状なのではないのかなという気がする ものですから、人材の量を確保したいというのであれば、待遇を改善するというのが、経済学的にいえば いちばん簡単な方法ではないかと思うのです。届出制を課すことがそういう意味での問題の解決にどれぐ らい意味があるのかというのは、非常に疑問に思ってしまうのです。 ○座長 かつて教員の人材確保法案というのは、5%公務員よりも上乗せするということでの待遇改善との セットになっていましたからね。ただ、そこら辺の問題までいくとなると、ここの場ではなかなか解決し 切れないというか、まとめ切れない大きな問題だろうと思うのですが。 ○坂本委員 いま外国からナースが入ってくる道が開かれていく状況の中では、何十万人もいる私たちの国 家試験を通った人についてそのままなのかということにおいては、登録制でどういう形になるかわかりま せんけれども、ここできちんと把握をしていかないと、何か矛盾があるような気がするのです。私は一度、 ナースの試験を受かったけれども結婚して10年仕事をしなかった人と働いたことがあるのです。1日同 じように職員として働くというよりも、研修を受けて、ある部分だけ。その方は助産師だったので、分娩 のときだけ来て分娩をやるというような形で入っておられましたが、大変優秀でした。だから、職員とし て雇うのでなくても、フレックスとか、いろいろな形で働く場をつくっていけば働けるのではないかと思 います。ただ、研修については、きちんと研修をしてあげないと、お互いに不安があるということですの で、そういうことは、やはりここに付けていただければと思います。 ○小島委員 いまの坂本委員の意見に似たようなことになりますが、やはり、数の把握はきちんとしていた だくことが非常に重要だろうと思います。しかし、私ども臨床の現場では、3交替で大変厳しい条件がご ざいますので、潜在看護師の方も今後も長く仕事を続けられるような働きやすい仕組みをつくる。いま言 われましたように、分娩のときだけ仕事に従事するというような、働きやすい仕組みが、待遇問題と絡ん で、人材確保をするという観点からは出てくるのではないかと思います。外国から看護の職員たちがどの ような形で入ってくるのか、議論がいろいろあろうかと思いますが、それ以前に、我が国の潜在看護職員 が本当にどれだけいるのかということを把握したうえで、働きやすい仕組みというものをこれから検討し ていくということも重要な論点ではないかと考えております。 ○金川委員 働きやすい環境の問題、またサラリーを上げればというのは、そんなに簡単にはいかない部分 もあると思うのです。私個人は、非常に意識づけにもなるということで、免許の更新制というのは大事な ことだと思うのです。ただ、「今後の方向性」の中で、仮に云々されればという表現なのですが、非常に 数の多い看護職の中で、潜在、非潜在を含めて、更新制というのは技術的に可能でしょうか。遠き将来の 可能性か、近き将来の可能性かによって、「今後の方向性」の表現も違うと思うのですが、どんなもので しょうか。 ○野口看護職員確保対策官 免許の更新制自体について現実的に検討をしているわけではございませんの で、お答えはなかなか難しいかと思うのです。免許の更新制と言った場合に、一体どのような仕組みを念 頭に置いてご発言されているのか、人によって違う可能性もあります。運転免許のようなイメージなのか、 それとも、かなりきっちりと、免許を持っていた以前は何をやっていたのかをチェックするのかとか。そ れから更新制が始まったとして、そのとき以後の話なのか、それとも、以前の人も含めて更新制に対処す るのか等さまざまな問題をどう考えるかによって全然答えが変わってくるのだと思いますので、一概に現 実的かどうかということのお答えは難しいと思います。具体的に検討したうえで、こういう場合にはこう だということになっていくのではないかと思うのです。 ○金川委員 この中間報告の形としては、こういう方向性というのは表現としてよいのかなということが少 し気になるのです。今もしそういう可能性が確率的にかなり高いとすれば、こういう表現を入れても問題 はないと思います。私も、簡単に自動車の免許のように。自動車の免許でも問題は確かにいろいろありま すが、それでも、講習を受けるとか罰則を設けるとか。数が多いわけですから、いい加減な形でのコスト・ ベネフィットから見れば問題かもしれないのですが、ないより、あってもいいと。その辺の可能性が気に なりましたので質問したのです。 ○菊池委員 免許の更新制は既に諸外国で取り組まれている例があります。そのやり方は、先ほど看護課の ほうから説明がありましたように、方法がいろいろと違っていることなので、日本に合ったあり方という のを、そろそろ検討してもよいのではないかと思います。どういう形をとるかで、現実的にどこまででき るかというのは違ってくるかと思うのですが、今後の検討課題として免許の更新制ということを一度議論 してもよいのではないかと思います。 ○座長 免許の更新制については、この中に盛り込んでもよいというお考えですね。 ○菊池委員 更新制を検討するということを。 ○座長 わかりました。 ○小島委員 「免許の更新制を検討する」という文言を入れていただければという、同じ意見です。 ○座長 意見はほぼ出つくしたようです。どういうまとめにするのか、ここのところは難しいのですが、潜 在看護師の何らかの形の把握は必要であるという点については、共通認識として、ほぼ一致していただけ るのではないかと思うのです。問題は、ここで言われている今後の方向性の中で、人材確保の観点からど ういう措置を講じるのかですが、それについては今いくつか意見をいただきました。再教育の問題もあり ますし、待遇改善というか、働きやすい条件をどう整備するのか。これは賃金を上げろとかということだ けではない、なかなか難しい問題です。例えば短時間勤務とか、もう少しフレキシブルに働けるような働 き方、そういうことも含めて考えて、潜在看護職員の人たちが働きに出やすい環境整備をするということ については、意見はほぼ一致したのではないかと思われますので、そういうことも含めて、まとめの中に 入れていただきたいということでよろしいですか。  それでは次の検討課題に進ませていただきます。「助産師、看護師、准看護師の名称独占について」、こ の点についてご意見をいただきたいと思います。 ○坂本委員 これは何の異論もなく、名称独占ということを出していただきたいのですが、看護というとこ ろにおいて、いろいろ聞いてみますと、何も付けなくて「看護」という名前の人もいたと聞きます。それ から、いまユニークな動物看護などというものも出てきたり。私はこの「看護」という名前を使うという ことにおいても少しここに入れていただきたいと思うのです。できれば、看護という言葉は使わない。 ○座長 そこのところは「看護師」は使わないということでもいいかもしれないのですが、「看護」という ことについては、一般名詞ですので難しいのではないかと思うのですが、事務局、いかがでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 たしか前回もそのようなご主張をいただいたかと思うのですが、現実問題とし て「看護」という言葉自体が非常に広まって、一般的に使われている。それをあえて罰則付きで規制する ということが可能かどうかというところが、現実にはかなり難しかろうなと。むしろ、看護師としての社 会的信用を害するかどうか。例えば動物看護師というのは、動物ですから、人と間違うことはまずない。 現実に動物看護師というのは、ご主張としてもあり、また、仕組み的にそれを導入しようとする動きもあ るように聞いております。動物看護師が人間の看護師の社会的信用力に影響を与えるかどうかというのは、 はっきりしませんが、与えないということであるとすれば、あえてそれを規制する必要はないかもしれな いという判断もあり得るのではないかと思います。  それから、看護補助者とか、さまざまに「看護」を業界用語としても使っておりますので、そこは、どこ まで許されて、どこまで許されないのかというのは、細かく判断をしていかなければいけない問題が、更 に詰めるべき問題としてあることは事実かと思いますが、「看護」という言葉自体を使わせないというの は、なかなか厳しいのかなと、私どもなりにはそう考えています。 ○坂本委員 結局、患者さん自身がとても紛らわしいところにいらっしゃって、どうやってそれを見ていた だくかということなのです。例えば助産師に関しましても、この病院には助産師が何人いるのですかとか、 あなたは助産師ですか、あなたは看護師ですかということも聞かれるわけです。そういうところをきちん と責任を持って開示していくという形をとること、それから名称独占を一緒にしていきたいと思いますの で、そういうことも入れていただくという形ではいかがでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 委員がおっしゃっているのは、保健師で看護師でない人が「看護師」という名 札を付けて病棟で勤務しているというような実体がよろしくない、というご指摘だったと思いますが、名 称独占規制が入れば、保健師であっても、看護師でなければ「看護師」という表示はできませんので、そ ういう問題はおのずと解決されるのではないか。逆に言えば、そういう問題もあるからこそ、今日的には 名称独占を導入したらよいのではないかという1つの理由になるかと考えています。 ○田村看護課長 いまの坂本委員のご発言に加えて、医療部会のほうでは、医療機関の側から患者さん方へ の情報の提供をもっとうまく進めていくために、どのような仕組みがあるのかというご議論をいただいて おります。自分の病院には何人の助産師がいる、あるいは何人の看護師がいるといったことについては、 既に公告できる事項にはなっておりますが、そうしたことと併せて進めていくべきものと考えております。 ○坂本委員 私の病院は急性期病院ですが、産科を持っております。産科の妊産婦さんたちは、助産師が何 人いるかということを、なぜかよくわかりませんが、すごく気にされているのです。当然、そのレベルや 中身について詳しく、どういう質なのかということを見てこられていると思うのですが、名称独占、また 公開ということになれば、それがはっきりできるということですね。 ○座長 この項については、前回からの議論の中でほとんど異論はなかったように思いますので、4番目の 「行政処分を受けた看護師等に対する再教育について」に進みます。ここはいちばん議論のあるところだ ろうと思いますので、いままでの意見を踏まえてご意見をお願いしたいと思います。 ○菊池委員 4頁の下のほう、再教育の有効性、必要性のところです。最初の○は個人の再教育の話ですが、 2番目の○で、個人の再教育だけでなく、組織の責任者を含めて、と入れていただいたのは非常によかっ たと思っております。この前の検討会でも出ていましたが、看護師の医療事故の場合には、医師と違って、 当事者個人の倫理や知識、技術というよりも、その医療機関の中の医療安全体制上の不備、例えば手薄な 人員配置だとか、医師の指示のあり方、それから教育・研修体制、多数の医薬品の管理の仕方、また、多 様な医療機器が導入され、同じ人工呼吸器でも、扱いの違う種類のものが同じ病棟の中に混在している等 エラーを起こしやすい環境が非常に多く、そのために医療事故が起こるということがあります。  ただ、現在の法の下では、実際の裁判になって罰せられるときには、職場環境や業務管理の問題があって も、ミスを起こした個人の責務だけが厳しく問われるという状況があります。医療機関によっては、今後 の予防のために、医療事故の分析を行う前に、施設のリスク管理として、看護職員を早々に解雇してしま うような状況も見られます。ですが、医療事故を防ぐためには、当事者個人の倫理や知識、技術教育に終 わらせないで、組織として事故原因を分析して、同じ事故を起こさないような環境をつくるとか、安全な 医療を提供するための機材をきちんと使用するというような組織的な取組みが不可欠であると思ってい ます。  実際に医療事故が発生した施設の中には、当事者となった看護職員の職場復帰に向けて個別に教育も既に 実施していて、組織としても医療安全のための対策を新たにとる施設も結構あります。ある病院では、二 度と同じ医療事故を繰り返さないために、事故が発生した業務について技術・業務基準を組織全体として 見直すと同時に、当事者の看護職員だけでなくて、看護職員全員を対象に技術チェックをして、教育指導 プログラムを作成して実際に教育をする、そこまで努力している所もあります。今後はそういう姿勢が必 要かなと思うのです。  一方、こういう状況の中で、当事者になった看護職員の中には、処分による清算を終えて業務開始が可能 になっても、実際には業務に復帰できない看護職員が結構多い。実際には、生命に直結しない業種や業務 に変更になったり、あるいはPTSDとなって社会復帰さえできない状況もあるということです。この前 も出ていましたが、再教育プログラムの中に、個人の資質の向上ということはもちろん必要なのですが、 それに限定せずに、社会復帰支援のプログラムも含んでいくということが必要ではないかと思います。5 頁で、再教育の中身は今後検討するということになっているのだろうと思うのですが、その内容として、 当事者の社会復帰支援という部分も必要ではないかと考えます。 ○青木委員 再教育が必要であるということにおいては全く異議はないのですが、いわゆる行政処分者の数 は、医師と比較した場合、それほど多くないですよね。実行上の問題として、各医療機関がそういうこと を考えてやっていくべきなのか、国の単位で考えて、そこで行っていくべきなのか。もう少し個々の問題 を把握して考えてみないと、ここで今こういう形の結論は出ないのではないか。また、出してしまうと間 違うのではないかという気がします。医師が行政処分を受けた場合の再教育というのは、今ある程度のル ールが出来たわけですから、医療関係者という意味で、同じようなカテゴリーで同じような教育をという ことを考えることが自然だろうと私は思います。ですから、別個にそういう会議をつくっていただいて専 門家、それこそワーキンググループで考えていただくのが最初のステップではないかと思います。 ○座長 いまの青木委員のご意見は、実施主体が1つの大きな問題だろうと思うのですが、これについて、 結論はこの場でまとめづらいところはあるかもしれませんが、いまのご意見に関連して何かご意見があれ ば、どうぞ。 ○金川委員 いまの関連、1と2についてです。1つは先ほど青木委員もおっしゃったように、医師、歯科 医師の再教育等いろいろなところを見ながら看護職員のことも考えていったらよいのではないかという ことで、すぐに仕組みや細かい各論までは、というお話だと思うのです。  私も、再教育の必要性は非常に高いと思うのですが、その仕組みについて国の責任と。何でも国の責任と いうのもあれなのですが、公的なのか私的なのか、あるいは再教育を受けなければいけない人の組織であ るのか、いろいろな所が出てくると思います。細かいことを言えば、経費をどうするのか、また、再教育 を受けている間の補償の問題等、各論的にはたくさん出てくると思いますので、次の点に考慮するという 形でもいいのか、あるいは、具体的なことに関しては今後、という形でもいいのかと思ったりしておりま す。 ○遠藤委員 この問題は医療安全の観点から提起されたわけですので、国民の側に立った場合に、3か月と か6か月の停止期間が終わったら、場所を変えれば、表面的には何もわからずその方は就業できるという 実態があるわけです。あり方は変わっていったとしても、やはり、これは何らかの形で出発しなければな らないのではないかと私は思っております。  ただ、調査権限の問題で、現在のところ、都道府県で調査をして国に上がってくるという実態です。数の ことを考えたら、本当にどこでしたらよいのか。調査権限も含めて、20件ぐらいあるかも、ないかもと いうようなところを都道府県で本当に請け負ってやっていけるのか。そういう問題がありますので、早急 にやっていく必要はあると思いますが、この段階では項目出しぐらいのところでひとまず医療部会に上げ る、ということで致し方ないのではないかと理解しております。 ○座長 この件については、こういう形での方向性にとどめる、というようにせざるを得ないということで、 ほぼ意見の一致がみられたということにいたします。最後に「おわりに」についてご意見をいただきたい と思います。今後議論する課題について、これが挙げられているわけですが、「その他」の中に何か具体 的にこういう議題を挙げるべきだというご意見があれば出していただきたいのです。既に挙がっている議 題も含めて、今後の検討課題についてご意見をいただければと思うのです。 ○青木委員 「今後の検討課題」の下から2番目の○、看護職員の専門性の向上ということについて、もう 少し詳しくご説明をいただけないでしょうか。 ○野口看護職員確保対策官 実は、規制改革等の答申を踏まえました閣議決定がありまして、医師もそうで すが、看護職員も含めて、専門性を更に高めていくべきであるという方向性が打ち出されております。私 どもとしては、一方でそういう宿題があるわけですが、他方看護界においても専門性の確保、向上という ことが大きな課題になっていて、それをどのように進めていくかについて、1つの大きなご議論になるだ ろうと考えております。 ○青木委員 いまの規制改革の閣議決定というのは、平成15年3月28日の答申ですか。 ○田村看護課長 平成17年、今年3月のものです。 ○青木委員 私は、看護協会でいろいろ考えられ、協会として検討され、実行されておられる専門看護師と か認定看護師という捉え方、それだけでものを考えるのではなくて、助産師、保健師を含めた看護全体と いうのですか、そういうもののあり方というところから出発した看護の専門性というのですか、保助看法 の根本のところを考えるというのですか、そういうところがこの際必要なのではないかと思います。そこ から出発しないと、専門性ということが上手には議論されないのではないかと考えます。 ○座長 具体的にその議題の中で青木委員のほうからいろいろな意見を出していただきたいと思います。ほ かに、いかがですか。 ○坂本委員 今後残された課題の1つに、これはいま問題になっていることですが、助産経験をしないで助 産師になっていくという人たちがいまして、決まっているお産を取り上げられないのです。私どもの病院 でも若干お産が増えてきている状況で、まだ受け入れていないのですが、そういう人たちの実習場がなか なか無くなってきているという現状を聞いているわけなのですが、そういうことは、ここで取り上げるこ とであるのかどうか。 ○田村看護課長 それにつきましては、カリキュラム等の改善に関する検討会というものも今年予定をして おりますので、ここでは議論の対象にしないでいるつもりです。助産経験をせずに助産師になるというこ とは、本来、あってはならないことであります。学校・養成所指定規則によれば、10例程度のお産を扱 うということが、受験資格を与える際、学校・養成所の指定を受けた設置者に対して求められているわけ です。文部科学大臣が指定した看護大学、厚生労働大臣が指定した助産師養成所、それぞれにおいて、そ れを求められているのが現状です。  カリキュラム等を考える中で、実習施設の確保が非常に困難であるという問題は、私どもも最近よく聞い ているものですから、どのように考えていったらよいかということについては、議論をしていきたいと思 います。 ○菊池委員 看護職員の専門性の向上については、是非今後検討していただきたいと思っています。先ほど、 専門看護師や認定看護師だけでなく、保健師、助産師のあり方も含めてというようなご意見がございまし た。中長期的な視点では、保助看法全般の見直しという中で全体の資格制度のことを考えることは必要に なってくると思うのですが、一方、現行法の保助看制度の中で、専門看護師や認定看護師も独自に発達し てきて、それなりの成果がちゃんと上がってきており、看護サービスの質の向上や患者の満足度に、非常 に寄与しているということが現実にあります。専門看護師や認定看護師の重要性は、これはこれでまた議 論していただければと思います。 ○坂本委員 新人看護職員研修については、一応、安全の視点からもある程度ガイドラインが出て、これか ら普及していくということでストラクチャー的な状況があるのですが、免許の更新制も含めて、助産師看 護師保健師の質を高めていくということにおいて、それぞれの施設や看護協会以外に、国が何らかの形で 関与していただくということは、いかがでしょうか。新人看護職員の研修体制が今やっと出ましたので、 現任教育も含めてもう少し。1年だけで終わるのではなくて、やはり5年ぐらいまでの状況について国が 何らかの形で出していくというようなことは、いかがでしょうか。 ○座長 そのことは中身の議論のときに改めてお願いするということで、よろしいですか。 ○坂本委員 はい。 ○青木委員 菊池委員のご意見についてです。いま専門性の議論をするという場合、一般的に話をすること には全く問題がないと思うのですが、医師の場合、いま各学会が策定しております専門医、認定医、こう いうものに対する問題点というのが非常にたくさん出てきているわけです。  例えば、先日ありました特定機能病院の取消しの場合においても、これは専門医が行っている手術である というような事柄もありまして、そういうことが大変な反省材料になってきているという現状にあるわけ です。  一方、医師の世界にあって国で議論をしていることは何だということになりますと、いわゆる専門医とい うのは、麻酔の標榜医以外にはないと私は思います。変に診療報酬の中に学会が策定した専門医という形 が入ってきている部分があるものですから少し混乱している部分はありますが、国としてこういうふうに やっていくのだというものを議論する、それがこの場だと思います。医師の場合で国がしてきたのは、麻 酔の標榜医のものだけなのです。  私は日本医師会の代表で出ておりますので、医師会のことを少し言わせていただければ、医師会としても、 学会が行っている認定医制度、専門医制度に相当問題点があるということは認識しているわけです。それ で、同じようなことが起こってほしくはないと思うのです。それから、国の場で議論をするときには、学 会だとか、いわゆる職能団体の定めているところを公的なものと認識しながら議論したら、これは間違い だと思います。ですから、国としてどうするのかということを最初から考えたらいい、私はそう申し上げ たいのです。 ○座長 それも中身のところで議論していただくということでよいだろうと思うのです。いまは検討課題を どういう形でこれから考えていくのか、進めていくのかということですから。そのほかに、どうぞ。 ○金川委員 表現のことです。いまの専門性のことに関しましては、いろいろな学会、看護でいえば看護協 会、学会で何々療法士というようなことを含めて、いろいろなことがあります。ここは「専門性の向上」 という表現になっているのですが、その前に、専門性のありようということと、その向上。何か「向上」 が先に行ってしまうので、是非「ありよう」というようなところを課題にも入れていただきたいと思いま す。 ○座長 「専門性のありようと向上」ですか。 ○金川委員 はい。 ○座長 ただ「向上」と言う場合には、当然「専門性」とは何かということの議論が前提になりますから。 ○金川委員 では結構です。 ○座長 何もなければ、これで本日の会を閉じたいと思います。次回は、ただいまの意見を踏まえて事務局 で取りまとめ案を作成してもらい、改めてご意見をいただきたいと思います。また、本日の議論について 更に追加のご意見があれば、事務局にご連絡をいただくということでお願いしたいと思います。事務局よ り、スケジュールの関係も含めて、改めて確認をお願いいたします。 ○赤熊補佐 次回は、本日の議論を踏まえて、事務局において中間取りまとめ(案)を作成したいと思いま す。本日はありがとうございました。 照会先 医政局看護課 課長補佐 岩澤 03-5253-1111(2599) 1