05/06/17 第3回母性保護に係る専門家会合議事録 第3回母性保護に係る専門家会合                        日時 平成17年6月17日(金)                           15:00〜             場所 厚生労働省専用第17会議室 ○中林座長 岸委員が少し遅れるということですが、ただいまから第3回母性保護に係 る専門家会合を開催いたします、本日は皆様お忙しい中をお集まりいただきまして、大 変ありがとうございます。  早速議事に入らせていただきます。本日の議題は報告書(案)についてです。事務局 から資料について説明をよろしくお願いします。 ○職業家庭両立課課長補佐 (資料1−1、本専門家会合報告書原案朗読)  続きまして、資料1−2について説明いたします。こちらは前回までに提出された資 料のうち、今回の報告書に関係するものについて、ピックアップして報告書としてまと める際に参考資料として付けることを予定しているものです。資料2については、労働 基準法と女性労働基準規則の抜粋を用意しています。  資料3−1、3−2として、過去の研究会報告書を提出しています。いずれにしても 前回までに説明していますので、内容についての説明は省略いたします。 ○中林座長 ただいま説明のありました報告書に対してご議論をいただきたいと思いま すが、後ほど項目ごとに議論をしていただきます。まず全体的にお気づきの点がありま すでしょうか。例えば定義その他の言葉、文言等でもよろしいのですが、全体的にはい かがでしょうか。その流れとして1、2、3と皆さんで既に2回ご議論をいただいた項 目が、手際よくまとめられていると思いますが、あらかじめお読みいただいたことで何 かございますか。森委員から全体として何か。個々のことであれば後ほどになりますが。 ○森委員 これは非常に今までの議論が反映されている原案だと私は思います。 ○中林座長 私もそう思います。それぞれが委員の皆様方が言われたことが上手に織り 込まれていると感じました。最後の第4項目になりますが、岸委員のご意見もずいぶん 入っているように思います。 ○岸委員 はい。 ○中林座長 佐藤委員も大体読まれて、全体としてはよろしいですか。 ○佐藤委員 これでいいのではないでしょうか。ただ、6頁の最後の文言ですが、こち らのほうが正しいのかもしれません。いちばん上、読みにくいというか、見にくいのは 「常時生産された精子によりも」よりも「精子よりも」でいいのではないかと思うので す。 ○中林座長 そうですね。精子に対するよりもという意味なのでしょうが、精子よりも、 そうですね。城内委員、前回はご欠席でしたが、城内委員のところも重量物のところで 少し入れて、また後ほどのディスカッションになるかもしれませんが、これは全体とし てはよろしいですか。 ○城内委員 はい。 ○中林座長 全体として皆さんそれぞれお読みいただいて、結構だというお話です。ま ず「はじめに」の項です。「はじめに」は今までの経過、今回の主なことを以下のように 取りまとめたという文章です。この中で文言または定義、言葉等で気になる所がありま したらおっしゃっていただきたいと思いますが、これはよろしいですね。「はじめに」は 結構だと思います。  次が「産前産後休業について」ということになりますが、ここでは私が気がついたの ですが、「妊娠高血圧症候群(重度なものを除く)」で、これは重症を除くということな のですが、重度なものというのが何回も出てくるので、これは学会の言葉としては「妊 娠高血圧症候群重症」となっていますので、それに合わせるという意味では重症とした ほうがいいのではないかと思います。4カ所ぐらいありましたので、一応「妊娠高血圧 症候群・重症」というふうに。 ○育児・介護休業推進室長 「重症」ですか。 ○中林座長 続けて「重症」、ちょっと奇異な感じがするかもしれません。一般的には「重 症妊娠高血圧症候群」と言えばよろしいと思うのですが、専門家としては「妊娠高血圧 症候群」の中に「重症」と「軽症」がありますよというので、「妊娠高血圧症候群・重症」 というふうな言い方に定義上決まって、国家試験等でもそのように出されていますので、 そのように訂正をお願いいたします。  ここに関しては今回のデータでは「妊娠高血圧症候群」と「早産」に関するデータで、 これは平成8年度に出したものとほとんど同じであったものですから、新たに変える必 要はないのではないかということと、村田委員からもご本人の請求に基づく休業である から、こういうことでよろしいのだろうと。 ○村田委員 少し抵抗を感じるところがあるのですが。これ分娩というのは40週を境 にして、正規分娩するわけですね。 ○中林座長 そうです。 ○村田委員 定義上36週以前を早産と言いますから、こういうベルシェイプ、正規分 布のところでいちばん多くなるのは、どうしても36週の早産です。現在の産科、新生 児科の能力をもってすると、34週、35週、36週の早産というのはあまり問題にならな いのです。ですから、むしろ36週の早産を予防するために34週から休めるというのは 何かこう。この間もこのディスカッションが少しあったと思うのですが、本来を言うと それ以前の早産のほうが我々としては困るわけです。 ○中林座長 そうですね。 ○村田委員 だから、これを理由というのも少し抵抗を感じます。それから「妊娠高血 圧症候群」の話も出ましたが、34週から休職したから「妊娠高血圧症候群」が減少した という事実はありますか。 ○中林座長 それはないと思います。 ○村田委員 私の知っているかぎりではそれはないですよね。ただ、あまりこんなふう に言ってしまうのはと思うのですよ、何か理由をつけられないかと。 ○中林座長 この辺に関しては森委員から、そのときのご意見で出たのですが、私のほ うからも、これは1つの現象であって、34週とか、36週ぐらいから母体に対する負荷 が増加している。その負荷に対して少し軽減する時期がいつかということをどこか決め ないと、取りづらいだろうと。しかし委員の言われるように、病気を予防するというこ とになると、どの人もみんなそうしなければいけないということになるので、委員から は「妊婦の希望により」という言葉が入っているからよろしいのではないかという話で したので、そういうことで今回も本人の請求に基づいて取ることができる権利を言って おかないと、状況の悪い方でも取りづらいという問題があるので、そういう形のほうが 森委員としてはよかろうというご意見だったと解釈してこのようになったと思います。  この病態と休みと直接繋げることはなかなか難しいということは、我々も十分理解し た上、この全体の統計からこのように一応しておきましょうと。そのほか新たに、むし ろこういう時期よりも全体的にはこの時期から休んだほうがいいという新たな知見がま とまってくれば、我々産科医としては20週ぐらいから32週ぐらいまでは、特に重要に してもらいたいという気持がありますので、その辺は新たな知見によって追加されます。 この前は産前28週から定期検診に行く2週間ごとだったのが、24週から2週間ごとに 変えて、その中期の重要性がこの法令でも若干盛り込まれているということから、今回 はこのようにまとめて、更に積み重なればまた次なることで課題にしていきたいと、こ の点については考えています。その他はよろしいですか。 ○森委員 事実関係なのですが、いまの産後休業のあり方のところで、6週間の後のそ の後の2週間なのですが、本人の請求というのは十分理解したのですが。これはいまど こかに医師が支障がないということを認めることが条件、というのが文言としてあるで しょう。多分企業の中で医師が認めたという証明を出しなさいということは、まずされ ていないと思うのですが、されているのですか。 ○中林座長 企業によってはどうでしょう。6週間から働いていいという場合には。 ○森委員 その場合に医師のオーケーの証明書を出しなさい。逆に先生方は書かれたこ とはないですか。 ○中林座長 私はアメリカ系の企業で出さされたことがあります。 ○森委員 あるのを確実にやろうとすると、そういう要求を企業がすると理解すれば。 ○中林座長 日本の企業でこれをうるさく言う企業はあまりなくて、外資系で珍しく書 いてくださいと、そうでないと6週間後は働けないのですと。 ○森委員 法律上というか、規則がどこに書いてあるかはわかりませんが、「医師が支障 がないと認める」と、どこかに書いてありますね。 ○中林座長 書いてありますね。 ○森委員 使用者は場合においては、「医師が支障が」と第65条の所にははっきりと書 いてあるのですね。それが実態として、そこまで証明を求めているかどうかというのは、 企業ごとによって違うけれど、日本の企業はそうしていない企業が多いというのが事実 だということですね。 ○中林座長 実際にはそうしていなくて8週間が認められていることが多いようですが。 ○森委員 ほとんどの人は取っているのではないですか。 ○中林座長 これは早めに、逆に6週間でもう働きたいという人の場合には証明を書か ないと働けないというところが出てくるのですね。 ○森委員 勉強になりました。 ○中林座長 私も珍しくこの前1通書きました。産前産後に関してはよろしいですね。 続きまして、第3「重量物取扱業務について」です。ここも文言のことですが、「子宮脱 垂」とありますが、これは多分、子宮脱・下垂の略ですね。子宮脱垂という言葉があり ましたか。 ○佐藤委員 あまり使わないです。 ○森委員 脱垂という言葉は聞きませんね。 ○中林座長 子宮脱、マルポチ。子宮脱と言ったら全部出てしまったことで。マルポチ の下垂、子宮が途中まで下がったものと。 ○森委員 下垂が先ではないですか。 ○村田委員 子宮下垂・脱垂でしょう。 ○中林座長 形状からいうとそうですね。子宮下垂・脱ですね。実は前はこのままだっ たのですね。 ○大臣官房審議官 そこは60年の所をカギ括弧でひいていまして、60年の報告書の中 に全部書いてあるのです、その言葉が。先ほど佐藤委員が言われた「精子により」とい う所も、日本語としてはおっしゃるとおりだと思うのですが、あれもたしかカギ括弧で ひいている所なのです。 ○育児・介護休業推進室長 この脱垂というのは何回も出てきますから、そこを注意し ていただいて。 ○中林座長 脱垂は多分60年以降ずっと同じように使われて平成8年も。 ○佐藤委員 その部分を変えないでそのまま持ってきたということなのですね。 ○中林座長 気がついたときに産婦人科学会の定義に従ったほうが、その次の人によろ しいということで。 ○職業家庭両立課課長補佐 過去の報告書を引用する場合はそのままで、今回の結論に 臨むについてはそのように修正させていただきます。 ○中林座長 今回からはこれが引用されるようになれば、「子宮下垂・脱」となる。妊娠 高血圧症候群もその前は妊娠中毒症という言葉で、その時代時代の定義によって報告書 は変えていったほうがよろしいかと思いますので、一応、学会の定義に従って書いてい ただきます。ここに関しては、佐藤委員からもいくつか議論がありましたし、また、城 内委員からもお話がございました。この辺に関してはどうでしょうか。また、最終的に は今後は「当該労働者の体重の40%以下に努める」とか、全体に見れば「男性の60% 程度であることが示されている」ということがそこに事務局の好意で入っています。そ ういうことで「引き続き検討を」と書かれているので、内容的にはこのようなことにな ると思います。  委員のお話が抜けてしまったので、新たなサービスとして宅配便、女性ばかりの引越 し業者とか、そういう方の場合はどうでしょうという話も出てきますし、介護の問題で、 介護をするときに物ではなく人だからここには入らないというお話もありましたが、そ の辺を含めて何か積極的に次回に追加するようなことがありますか。 ○城内委員 印象から言いますと、1つはこれはどうしようもないというか、報告書上 どうということではないのですが、30キロと20キロというのは、多分かなり議論があ るところだと思います。現状の法律を、どちらかというとこの報告書のトーンは20キ ロ、30キロというのは否定する根拠がないから、このままいきましょうということだと 思うのですが、それはそれで反対はしていません。ただ、20キロ、30キロというのは、 やはり第1回目に佐藤委員からもお話があったと思うのですが、本当にこれで起きるの かどうかということと、子宮下垂・脱の原因として取り上げられた数値として、正しい のかどうかということ等が不明確なような気がします。いま座長からもお話がありまし たように、腰痛の基準としていくかどうか等も含めて、この20キロ、30キロというの は、見直す必要があるだろうと思っています。腰痛のほうの指針もたしか昭和60年に 出ていると思いますが、それも世界的には日本で言われている数値は、マックスの値で あり、普通の人の職場で扱う重量としても重いのではないかという方向なので、もう少 し考えたほうがいいのではないかと思っています。それは報告書とは別の話で1点です。  あと1つは、いま先生のほうからも言及していただいたのですが、私が気になってい るのは、介護労働のことです。それは重量物ではないのですが、実際に作業をしている 方が多いということと、腰痛の罹患率も建設業、製造業に比べてもかなり多いというこ とがもう調査でわかっているので、それが実際に母性保護と係わるかどうかは別として も、やはり今後議論をしていく必要があるのではないかと思っているので、最後の女性 一般に対しての所等でもいいと思いますが、少しその辺の問題意識というものを入れて くださればありがたいなと思っています。 ○中林座長 私も同感です。例えばいま委員の言われた腰痛というものが、母性保護に 係わるという範囲に入るのですか。子宮下垂・脱というのは生殖に係わるということで、 こういった言葉が入っていたように思うのです。確かにこういう重い物を年中持てば、 いちばん先に人間が感ずるのは腰痛かもしれません。腰痛があっても別に生殖生理に関 係ないではないかと言われると、このあれから外れてしまうのかもしれませんが、これ はどこか取り扱いが別になるのでしょうか。 ○育児・介護休業推進室長 直接的に腰痛と母性というのはあまり関係がないかもしれ ません。ただ、いまお話に出ている介護作業は重量的に負担の大きな作業であり、それ に就いている女性労働者も多いということで、そういう作業をしている方がそういう作 業によって、例えば妊娠とかに影響があるかどうかについては、今後の課題というふう にも考えられると思います。そういう問題意識として重量的に負担が大きい作業に、女 性労働者が多く就いているという文言、内容を、城内委員が言われたように問題意識と して報告書に盛り込むということで、考えさせていただきたいと思います。 ○中林座長 これが女性の健康に関するであればいいのでしょうけれども。 ○育児・介護休業推進室長 腰痛であればまさにそういうことになります。 ○佐藤委員 腰痛と脱とか下垂とかいう問題は別と言いますが、腰痛のことで具体的に 書いてありますね、18歳以上の男性が労働者のおおむね40%以下の重量を持ちなさい と。例えば60キロの男性であれば0.4で24キロですよ、それでまた女性が60キロだ として、その60%程度だとすると、その以下の物というと計算をすると14.4キロです。 そうするとはじめから20キロ、30キロというのは全くおかしな話です。その基準から いえばもう15キロ以上は持ってはいけないとすべきなのではないですか。腰痛のとき にはものすごく軽くて、脱や下垂で言っている20、30というのは矛盾しているように 思うのです。 ○育児・介護休業推進室長 いま言われたように、ある意味で整合はしていないと考え られます。ただ安全衛生上の指針というのは、あくまでも腰痛防止をするために望まし いレベルという設定のされ方で、努めるべきであるというふうにされています。そうい う指針とその20キロ、30キロがいいのかどうかは別にして、労働基準法の就業制限の かかっている最低基準としての数値というのは、当然性格は異なってくるのだろうと思 っています。 ○城内委員 私が介護労働のことを入れてほしいと申し上げたのは、腰痛のこともある のですが、現状の20キロとか30キロということを考えてさえも、介護労働では人間を 扱いますので、それ以上の重量なのです。ですから、現状の数値も先ほど少しおかしい のではないかと申し上げたのですが、それを受け入れたとしても、介護労働を考えた場 合には、現状の数値からもかなり多いので、そういう意味でも補足してほしいという意 味なので、よろしくお願いします。 ○中林座長 それは何か別なところがありますか。介護とかそういうものに対する過重 労働を避けるようなものというのは、何か法律的に。多分この項ではないようなことに なるかもしれませんが。 ○育児・介護休業推進室長 法律的ではないのですが、腰痛の防止のためのガイドライ ンの中でも、重量物取扱作業とは別の項目として、介護作業の指針が出ています。介護 作業に関しては何キロ以下にするのが望ましいとかという数値的なものは示されており ません。 ○中林座長 そうすると、そちらの方の問題になりそうですね。また、ここでは佐藤委 員が言われたように、妥当なのはおそらく健康を考えればこのようなものだけれども、 働いていいという基準というか、これ以上はやめましょうという基準としてはこの辺が 出ている。しかし実際にはそれより下のほうが望ましいといった形で、自分は少し重く ても力があって仕事をしなければいけないからやりたいという人もいるという範囲での 基準が、いまのところそう決まっていると解釈していいのではないかと思うのです。こ れは新たな基準が出てきたり、またいまのところは一律ですから、これが腰痛と同じよ うにある程度の体重、年齢、その他によるものが、もう少しきめ細かく出ていったほう がいいようなニュアンスがあるので、その辺は文言を上手にすることで、今後の検討課 題という形で加えていただくとよろしいのではないかと思います。それは事務局と私の ほうで少し調整させていただきます。  続きまして第4、「有害物の発散する場所における業務について」ということですが、 これについてはいかがですか。岸委員からいろいろご意見をいただきました。文言的に は先ほどの「精子に」というのを取ったほうがよさそうだということと、方向性として は欧州委員会というかEUの基準を参考にしながら、現在規制を検討中であるというこ とで、情報が新たになってくればそれに応じて変えていくということが趣旨かと思いま す。 ○岸委員 最近の国内と国際的な様子もよく書いていただけましたので、この報告にあ りますように、日本で生殖毒性等の分類が済みましたら、その後またどのようにするか ということを改めて。 ○中林座長 そうですね。特にリスク評価をしてそれから次の対策というふうに欧州で はなっているようですから、そういう方向になっていったほうが、日本もいいのではな いかと思います。 ○森委員 私もこの化学物質に関しては基本的にエビデンスに基づくことと、母性保護 だけではなくて、一般的に国内の化学物質の労働衛生上の規制の手法との整合性を整え ることが、基本的には重要だと思います。この最後の結論は両方ともきちんと盛り込ま れているので、私は賛成をしています。 ○中林座長 ここはずいぶん気をつかって書いていただいたように、私も読めました。 ○城内委員 化学物質のところ、ほかもそうですが、非常に前進といいますか、すごく いい報告書になっていると思い感激しました。私、化学物質に少し関係していると思い ますので発言したい。GHSの勧告に基づいて、もしかしたら労働安全衛生法も変わる かもしれなくてですね。そのほか消費者製品についても1,500物質が分類されると、そ れについての結果がラベルに表示されるわけです。それを見たときに、例えば生殖毒性 みたいなものが出てくる、それについて、出たときにどうするかを考えなければいけな いと思うのでその対策を考えてほしいと思っています。  例えば1,500物質が分類されて、その中に生殖毒性等があったとしても、それは必ず しもリスク管理をしなければいけないものだけではないと思っています。それはGHS の委員会でもそうなのですが、発がん性とか生殖毒性、感作性については、強弱をつけ て分類しましょうという話がいま進んでいます。現在は発がん性とか生殖毒性はカテゴ リーに分けられてはいるのですが、その中でも発がん性等について強弱は考えられてい ないわけです。その証拠がどれだけかということだけで分類されています。  そうするとそういうものは勘案されないでラベルとして出てきますので、それは取扱 う人がどういうように注意すればいいのか、行政としてはどこまでプライオリティをつ けてリスク管理をすればいいのかというのは、また別な問題が起きてくると思います。 その辺を考慮してハザードコミュニケーションをどうするのか、ではリスクマネージメ ントをどうするのかということを平成18年12月に施行後、ラベルが出てくる前に是非 考えていただいて、消費者、労働者がどのように対応すればいいかという指針を作って いただければと思っています。 ○中林座長 確かにこれは言葉の問題で、母性ということ、また女性ということがある ので、生殖毒性ということを特に挙げていますが、やはり生殖毒性の前には女性の健康、 またがんになったら健康ではないわけですから、そういうものを含めて全体的な規制を 考えていただきたいと思うわけです。これに関してはいろいろ違った方面からの規制に なるのだと思いますが、いま城内委員が言われたようなことは、どのように対応される のでしょうか。 ○育児・介護休業推進室長 この報告書に載っておりますように、現在作業が進められ ていて、その結果、こういう物質については生殖毒性が人に対してあるとかという結果 が出ると思うのです。では、その際にどのレベルで、例えばどの濃度で出てくるのかと いう検討もその後で必要になるでしょうし、また、こういう形で規制をすれば、労働の 場でどういうふうにして用いられているのかといういろいろなことを調査した上で、規 制するなら規制するとか、その辺の検討をやっていく必要があるだろうとは思っていま す。 ○中林座長 岸委員、よろしいですか。 ○岸委員 いま城内委員が化学物質のラベルが出ると、その段階で働いている人や雇用 主がいろいろ心配をされるので、リスクコミュニケーションのことを考えて、方策をと るほうが望ましいと言われたのですが、私もそういう意味で厚生労働省のほうもまだ時 間がありますので、どういうふうに準備をするといいかということをされると、現場に とってはいいのではないかなとは思います。化学者のほうはラベルは簡単につけますが、 厚生労働省のほうはある意味、責任がありますので、私どももお手伝いできることはい たします。それほど心配がないのに非常に心配するということが、働いている人も雇用 主にもあるので、その丁度いいモデルになるかもしれません。 ○中林座長 リスク評価ということになって、そのリスクに応じて対応はどうするかと いうのは、これから女性を排除するということではありませんよ、ということでよろし いですか。 ○岸委員 疫学的なエビデンスがもしあったとしても、それが日本以外の国で相当高濃 度でばく露したときに、例えば先天奇形の頻度が上がったというような報告があるかも しれないのですが、国内では実際に労働者がばく露している濃度は現実にはそれほど高 くはないということも、いろいろな状況からわかるかもしれないわけです。そうすると 働いている女性の労働者の方は、それほど心配する必要がないはずなのです。  これは化学物質ばかりではなくて放射線もそうなのですが、「ああ、大変だ、放射線ば く露しちゃったから自分の子どもはどうなるのだろう」と、非常に心配になる場合があ るわけです。それに対して適切なコミュニケーションとか相談も、いま内外でそういう 論文は出ていたとしても現実にばく露している濃度はもっともっと低いのだから、「ほと んど心配はないのですよ」ということを言ってあげれば、そんなに心配ではないわけな のです。 ○中林座長 それは佐藤委員からもお話があったように、インフォメーションをきちん としないと、いろいろな人が心配しますよ、混乱を起こすということで、公衆衛生の先 生から、産業衛生の立場からは、できるだけ公表はしましょうと。しかし、それに対す るリスクと評価は、それぞれに関してそんなに心配ないものと、城内委員の言われるよ うに非常に心配のあるものと違うといったことを、よく広報してほしいということかと 思います。 ○森委員 いまの最低基準で禁止のレベルの話の規制の話と、多分そのレベルではなく てガイドラインとかマニュアル作りみたいな形で、適切なコミュニケーションができる という行政上の措置という、積極的な措置と2種類ある。いまの話は積極的な措置に関 しては準備できるし、そういうものに間に合うようにやっていってほしいというふうに 私は理解をして、それが望ましいと思います。 ○中林座長 わかりました。いま担当の事務局でもその方向で、いろいろ整備をされて いるということがここに盛り込まれています。一定の水準を定めて一律に就業を禁止と いうことではないようなリスク評価と、それに対応する適切な対応という委員の言われ たようなことが最後のほうに「結論及び今後の課題」の所に出ているように思います。 新た知見定を踏まえて見直すことも妥当であるということも出ているので、最後の7の 項目に関していかがでしょうか。 ○佐藤委員 その前に7頁の(5)の表マルからわかるようにというこの「表」という のは、ここのどれなのですか。 ○職業家庭両立課課長補佐 参考資料の9番、12頁です。 ○中林座長 参考資料9ということです。そのほか追加等はいかがですか。まとめの所、 結論としてこのように書かれていますが、今後の課題というところも、できるだけ盛り 込んでおいたほうが次の会議のときに有用かと思いますので、委員の皆様がおっしゃっ たことが十分に入っているかどうか確認していただきたいと思います。 ○佐藤委員 この提言は前の会議にもありましたが、平成18年12月までに国際的に、 あなたの国はどうですかという生殖毒性などの発がんとかの程度の分類をいまやってい て、その結論を出すと言っていましたが、その前にこの提言は出るわけですね。 ○中林座長 そのはずです。 ○佐藤委員 そうすると、流れとしてはそれが出てからまた何か変えなくてはいけない というようなことが起こり得るわけですか。 ○中林座長 そうですね。これが出たものですぐにということではないと思うのです。 多分そういうものが出て、それで実際に運用されてから、本当にこういうものを更に検 討する必要があるかどうかということを、再度一定の時期に検討をするのだろうと私は 理解をしているのですが、そのような理解でよろしいのですか。 ○佐藤委員 これが終わってからやったほうがリーズナブルのような気がするのです。 ○職業家庭両立課長 室長から申しましたように、ここの結論のところですが、いま就 業制限の対象になっている化学物質は、最初に決めたときから長い時間が経って本当に 必要かどうかとか、新たに追加すべきかどうかを見直すべき時期がきているという基本 認識で書いています。ただ、何を追加したり抜いたりするかということについて、実質 的に重複する作業がGHS勧告への対応として、政府全体で進んでいますので、その結 果が出てきたところで、では見直し作業をしましょうというのが、ここの考え方です。 ○佐藤委員 そういうストーリーになるわけですね。 ○城内委員 追加させていただきますが、約1,500の物質というのは、日本で法規制が かかっている物質1,500だと思います。そうすると、日本で法規制のかかっていない物 質というのがそのほかにもたくさんあって、それは海外の情報を参考にして、各企業が 自分の所で使っている物質に生殖毒性があるか、発がん性があるかというラベルを付け るわけです。そうすると、この1,500というのは、国の政策としてやる物質だけなので、 そのほかにも情報がウワッと出てくる可能性があるのですが、それについて皆さんどう 考えるのですかという指針がないと、それは国としては1,500やりましたと、それで済 むことではないので、もっと広く考えないといけないのではないかということだと思う のです。 ○佐藤委員 わかりました。そういう意味ではいまやっている意義は十分あるというこ とですね。 ○岸委員 産婦人科の先生方と厚生労働省に今後のというか、今回は私は結構だと思う のですが、産前産後の休業を、EUとかILOのように、トータルで14週というふう にすることに関しては、これから先はどのようにお考えでしょうか。と申しますのは、 例えば出産ぎりぎり、要するに産前6週を取らないで子どもがほとんど生まれてしまう こともあるのです。そういう場合はかなり子どもが小さいわけです。  前回も私が唯一の女性委員ですので申し上げたのですが、私は産前ゼロで産んだこと があります。要するにぎりぎりまで働いていたということです。それは規則によって産 前はゼロ。当時私は公立大学に勤めていましたので産後は8週だったのです。子どもが 幸いなことに健康では生まれましたが非常に小さかった。20年以上も前の経験ですが、 産前産後は14週の中で選べるほうが、生まれた子どもにとっては、いまの産前6週、 産後8週より望ましいのではないかと思っています。  今回、全くこれで私は異存はないのですが、そういう方向性もあるのではないかとい うことを一言だけ申し上げます。次の検討のときに、これを見ますとEUが14週です し、ILOも14週で、ひょっとするとそういう考え方のほうが。ドイツ、フランスも いまEUに入っていますから変わる可能性があるのではないかと思うのです。この報告 書に関して申し上げているのではありません。 ○中林座長 1つは先生のお話ですと、自分が全く健康で問題がない場合には、産前ゼ ロで、産後を14週取ったほうが。 ○岸委員 私が健康でというよりも、人によっては産前。 ○佐藤委員 人によって選ぶことができたほうがいいということですか。 ○岸委員 そういうことです。早産などで産前をほとんど取らないで不幸にして生まれ てしまう場合もあります。その場合は産後12週とか14週残っているほうがと思います。 大体それらの場合は子どもが小さいのです。 ○中林座長 わかりました。例えば30週で生まれた人がいます。すると本来34週から 取ろうと思っていたけれど、産前ゼロで全然取らなかった。しかし、30週で1,200〜1,300 だという子を育てるのは大変だから、その後14週あったらどうだろうかと。 ○岸委員 非常に低体重で生まれる子どもにとって、いいのではないかと思います。 ○中林座長 子どもが正常産の場合の産休と、子どもが低小性体重児で生まれたときの 産休とか、そういうものはいまどういう考え方になっているのですか。育児休暇との関 係があろうかと思いますが、産休というのは、あくまでお母さんの産褥期がどのぐらい で回復するかということを今回検討をしていたので、産褥期はこうですという形でされ ていますが、小さい子どもを育てるための休みというのは、これはむしろ育休のほうに 入るのではないかと思いますが、これはいまのところどうなっていますか。 ○職業家庭両立課長 育児休業について子が1歳に達するまでということで、通常は産 後休業が終わった後、女性が取る場合には連続して子が1歳に達するまで取れるという ことです。 ○村田委員 岸委員の言われたこと、たしかにそうだと思うのです。ここは正常の分娩 と、病理と分けなければいけないと思うのです。そういう状態は全く予期しないことで も起こるわけで、産前を取らなかったからそれを後ろに持ってきていいということにな ると、これはどうですかね。オプションにするか、そうしないといけないとなると、こ れは女性の働く権利をかなり侵害することになると思うのです。だからここではっきり と病理と正常とを分けて、あくまでもこの話は満期産に対応するもので、病理のときは 例えば早産であるとか何かの理由で帝王切開をしないといけないとかいう理由がある場 合には、個々の医師の判断に委ねないといけないと思うのです。 ○岸委員 先生がおっしゃるのは産婦人科学的にはそうだと思うのですが、一般的に働 く人の休暇の取り方の制度なのです。 ○村田委員 育児休業のほうは育児のほうで、1年間取る権利がありますね。 ○岸委員 育児休業というのは女性は全員取っているのでしょうか。 ○職業家庭両立課長 育児休業は必ず取らなければならないというものではなくて、労 働者の選択できる権利ということですが、最新の統計では、出産した女性労働者全体を 分母にしたときの、育児休業を取る女性の割合は7割を超えている状態です。 ○岸委員 育児休業は3割は取っていないわけですね。 ○職業家庭両立課長 産後の休業の後、職場に復帰していると考えられます。 ○育児・介護休業推進室長 育児休業の場合は労働者が取りたいと言えば、事業主は絶 対に与えないと駄目です。 ○岸委員 私の経験を申し上げたのは、いろいろなケースがあるという意味で申し上げ ました。小さく生まれる子どもが結構増えていますよね。比較的小さくても子どもが生 存するようになりましたし、いろいろな場合を考えて弾力的にやる方向もあるのではな いか。今回のことに関してもずいぶんいろいろ議論をされています。 ○中林座長 私の病院で医長が高年齢出産をされまして、当時はすぐ働きたいという希 望があったのですが、そのお子さんにたまたま心臓に若干の異変があったために、1年 間休ませてくださいということで、1年間の育休を取りました。これが元気なお子さん であればその方は大学病院の隣に幼児保育もありますので、そこに預ける予定だったの ですが、そういう形で飲みとかが悪いので、自分で育てたいということで1年間の休業 を取りました。先生のようにお立場が上になると取りづらい人が多いのですが、これは 子どもさんのためには女性がきちんと取れることが必要だろうと思うのです。それを岸 先生は心配されて、産後の休みは取りやすいけれども育休は取れないのではないかとい うニュアンスが少しあって、それで延ばしたほうがいいのではないかというご発言のよ うに聞こえました。 ○岸委員 育児休暇も1年取れれば、それはとてもいいことだと私は思ってはいます。  ○中林座長 場合によっては1年半ですか。この前延びましたね。 ○職業家庭両立課長 保育所に入れない等の特別な事情がある場合には、さらに1歳6 カ月まで取ることができます。 ○岸委員 そういうふうになってきたのはとても喜ばしいことだと思います。全体的な 考えとしては、いろいろなケースに対応するためには、フレキシブルな14週のほうが いいという考えもあるのではないかと、これは将来的な検討課題でやっていただきたい ということで、決してこれを今回どうのということではありません。 ○中林座長 今回は村田先生も言われたように、産前に関しては女性の希望ですからゼ ロでもよろしいのではないか、産後は医学的には回復がこの時期ですよということで、 先ほど重症の高血圧症候群のような場合には12週までかかることもありますよと。し かし、それは特殊な例なので個々に対応しましょうというニュアンスですが、より女性 の委員が多くなってみると、これはこのほうが望ましいとかいうことがあれば、また次 回の検討事項にしたいと考えます。そのほかに全体を通していかがですか。 ○森委員 先ほど城内委員が言われたハザードコミュニケーションのことは、非常に重 要なのです。ずうっと内容を見ていると、いちばん最後のところに「化学物質等の有害 性を有する要因について十分な情報が得られる」と、かなり踏み込んだそういった整理 をすると書いてあるので、ここで合わせて、有害性の伝達手法についてもそういう情報 とか手法が得られるようにと一言入れればバランスよくなるのではないかと思います。 ○中林座長 これは確かにそういった情報の広報というか、そういうものをできるだけ スムーズにいくようにしましょうということを最後のほうに入れておくと、確かにこれ としては非常に踏み込んだ発言になりますね。  私も全体を読んで、今回皆さんの言わんとした意図が上手にまとめられているように 思いますし、本日の追加討論でもその辺が強調されていたように思います。 ○村田委員 固執するようで誠に申し訳ないのですが、最初の産前休業のところが、な んとなくエビデンスはもっと長いような。実際には妊婦が4週間、6週間の準備期間が あって、分娩に入るというのは私、何の抵抗もないし、これはこれでいいと思います。 本来は妊娠の後半になってくると妊婦さんの心血管系、呼吸器系が非常に不安定になっ てきます。例えば呼吸困難とか、そういうコンファートのために、これは私はあっても いいと思うのです。それから精神衛生上もですね。だから決してそれだけではなくて、 そういう意味もあるということは、これなどは36週だと早産が防げる、妊娠高血圧症 候群が寛解するぞというエビデンスがあるように見えるのです。 ○中林座長 もう少し幅広く母体の循環動態その他の負荷を考えてということですね。 ○村田委員 そうですね。それが問題だと思うのです。現に就業をしていて、整形外科 的な事故が起こるというのは36週以降、非常に多いのです。非常に不安定になって人 体もホルモンのせいでゆるくなって転倒しやすくなる。これはそういうことを加味して いますよということを少し付け加えたほうが。 ○中林座長 もう少し女性のアンケートその他で、どのぐらいになると歩くのに転びや すくなるかとか、普段の動作を早くすると息切れがしやすくなるかとか、疲れやすくな るかとか。運動神経とかそういうものもこの時期になるとホルモンの関係で非常にゆっ くりになるのです。  東京女子医大等にいて論文を書いていただくと、妊娠して後半になると、とたんに筆 が進まなくなるのです。だからいろいろと仕事には差し障るということがあるかもしれ ません。そういうはっきりしたデータは私は持ちあわせなかったのですが、そういうデ ータがいろいろそろってくれば、いつぐらいから女性の産休が適切かと。 ○村田委員 かなりそういうデータはあるはずです。先ほど言われた循環動態、それに よる正常の動作で呼吸困難、心拍数上昇があって、不快感を訴える。大体36週からず うっと増えてきます。そういう意味ではとてもリーズナブルだと思うのです。整形外科 的な障害が起こるのは36週以降が多いですから。 ○中林座長 そういったエビデンスも少し加えて、これの妥当性というか、それよりも っと妥当な時期がいつかということまでも踏まえて検討をしたいというご希望ですので、 是非これはよろしくお願いいたします。この報告書の今後の取り扱いに関しては、いま 委員の皆様からいただいたご意見に関してはほぼマイナーな文言のことなので、事務局 と座長の私にある程度ご一任していただきたいと思いますがよろしいですか。 (了承) ○中林座長 ありがとうございます。では、この報告書の今後の取り扱いについて事務 局からお願いいたします。 ○職業家庭両立課長 ただいま座長からございましたとおり、内容については座長と事 務局で相談をさせていただきまして、内容を確定し、その後公表をいたします。来月に 行われる労働政策審議会雇用均等分科会で、いま丁度、男女雇用機会均等について検討 をしているところですが、そちらに報告させていただきたいと思います。内容を確定し て公表をする際には改めて委員の皆様にもご連絡をさせていただきます。 ○中林座長 ありがとうございます。この会議の最後にあたりまして、本日は雇用均等・ 児童家庭局長がいらっしゃいますので、ご挨拶をお願いいたします。 ○雇用均等・児童家庭局長 先生方には3回にわたりまして、大変遠い所からご足労を いただき、熱心にご討議をいただきまして、大変ありがとうございました。座長に一任 をされて報告書が取りまとめられるということですが、これを基に私ども、また行政政 策を進めてまいりたいと思います。先ほど特に有害物の辺りに関しては実質的な作業が これから残されている課題もございますので、そういった過程で引き続き先生方にご指 導をいただく場面もあろうかと思います。引き続きまたご協力をお願いいたします。ど うもありがとうございました。 ○中林座長 どうもありがとうございました。審議会に3回ともご出席いただきまして ありがとうございました。それでは母性保護に係る専門家会合を終了させていただきま す。 照会先:厚生労働省雇用均等・児童家庭局職業家庭両立課 法規係 (内線7856)