05/06/17 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会第15回議事録        第15回厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会議事録          日時:平成17年6月17日(金)/10:00〜12〜15          場所:厚生労働省専用第18〜20会議室  井村部会長  それでは、定刻となりまして、出席者の方も定足数を超えましたので、会議を始めさ せていただきたいと思います。第15回の厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会で ございます。  本日も、委員の方々におかれましては大変お忙しい中を御出席いただきまして、あり がとうございます。ちょっと暑いようでございますので、行政の方々に倣って上着やネ クタイをおとりいただいてもよろしいかと思います。  また、きょうのメインイベントはヒアリングでございまして、そのためにわざわざ遠 方からお越しいただきました各意見陳述人−−と呼ばせていただきますが、その方々に つきましても、本当にお忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございま す。よろしくお願いいたします。  それでは、本日の議事に入ります前に、委員の出欠状況をお願いいたします。  事務局  本日の委員の出欠状況でございますが、現在、委員20名のうち15名の御出席をいただ いております。厚生科学審議会令の規定によりまして定足数に達しており、会議が成立 いたしますことを御報告いたします。  田島委員及び宗像委員からは御欠席との連絡をいただいております。  また、本日、オブザーバーといたしまして、専門委員会から荻原専門委員にもお越し いただいております。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。  本日は、前回の部会におきまして皆様方に御了承いただいているとおり、先ほど申し ましたように、ヒアリングを実施することになっております。最初にそのヒアリングを 行いまして、意見を伺って、それに基づく質疑応答、意見の交換を行います。その後、 前回の部会に引き続きまして、皆様方のお手元にあります資料1−1の検討項目6にご ざいます情報通信技術の活用及び検討項目8のその他というところにつきまして、審議 をすることになっております。  では、まず、事務局の方から配付資料の確認とヒアリングの実施方法について御説明 ください。  事務局  それでは、まず、資料を確認させていただきます。  お手元にお配りしております本日の資料でございますが、1枚目に議事次第をお配り しております。  次に、資料1−1といたしまして、検討項目5「消費者への周知等」、検討項目6 「情報通信技術の活用」及び検討項目8「その他(インターネット販売、特例販売業者 等のあり方)」についてでございます。  資料1−2といたしまして、検討項目5及び6に関する第14回部会での発言等の整理 でございます。  資料2−1といたしまして、意見陳述人名簿。  資料2−2といたしまして、意見陳述人からの説明資料等について。  さらに、参考資料といたしまして、医薬品販売制度改正検討部会委員名簿、論点の整 理、論点審議予定についてお配りしております。  また、各意見陳述人からパンフレット等についても提出がございまして、あわせてお 配りしております。  さらに、メインテーブルでのみの配付となりましたが、森委員からも資料を2点提出 がございましたので、お配りしております。  資料は以上でございますが、落丁などございましたら事務局までお申し出ください。  井村部会長  よろしゅうございますか。そろっておりますでしょうか。  それでは、ヒアリングについての御説明をお願いいたします。  事務局  それでは、ヒアリングについて御説明させていただきます。  まず、資料2−1の意見陳述人名簿をごらんください。前回部会で御承諾いただきま したとおり、各委員からの御推薦などを踏まえ事務局において調整した結果、こちらに ございますとおり、研究団体から1名、被害者団体から1名、医薬品販売業者の組合か ら1名、小売業の団体から1名、そして自治体から1名、合計5名の方に御出席いただ くことといたしまして、本日、ここに御参集いただいた次第でございます。  各意見陳述人を御発表の順に御紹介をさせていただきます。   医薬食品情報研究所代表の瀬戸真紀男様、SJS患者会代表の湯浅和恵様、全国医 薬品小売商業組合連合会常務理事の青野博様、日本フランチャイズチェーン協会CVS 担当部長の伊藤廣幸様、大阪府健康福祉部薬務課長の織田美夫様。以上でございます。  医薬食品情報研究所の瀬戸様からは、御経験のある医薬品の仕入れや流通の実態に即 しまして御意見を賜りたいと思います。  SJS患者会の湯浅様からは、副作用による被害を御経験された立場から、本部会の 議論などについての御見解を賜りたいと思います。  全国医薬品小売商業組合連合会の青野様からは、地域で通商の店舗を経営し、医薬品 小売に携わっている御経験から、本部会での議論ですとか販売のあり方についての御見 解を賜りたいと思います。  日本フランチャイズチェーン協会の伊藤様からは、コンビニエンスストアでの商品販 売の実態などに即して、本部会での議論や販売のあり方についての御見解を賜りたいと 思います。  大阪府薬務課長の織田様からは、大阪府の諸地域における医薬品の供給のあり方や地 域における医薬品の販売業の位置づけなどを踏まえて、御見解を賜りたいと思います。  なお、各意見陳述人より意見の内容等について簡単にまとめた資料をあらかじめ提出 いただいており、それを資料2−2としてまとめてお配りしてございます。さらに、パ ンフレットなどにつきましてもあわせてお配りしておりますので、こちらも御参照くだ さい。  なお、これから議事に入りますので、カメラ撮りの方はこの時点までとさせていただ きます。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。  それでは、ヒアリングに入らせていただきたいと存じます。進め方でございますが、 今説明がありましたように、各団体からお越しいただきました5名の方から、御紹介い たしました順に御意見を賜りまして、その後、質疑応答・意見交換を委員と行っていた だきたいと思います。  まことに申しわけございませんが、時間が限られておりますので、ヒアリングにおき ましては御意見を賜る方々は大体10分程度で御説明をいただきたいと存じますので、よ ろしく御協力ください。その後の質疑応答・意見交換は大体30分くらいを予定しており ますので、これにつきましても、委員の皆様方もぜひ御協力いただきたいと存じます。  それでは、まず、医薬食品情報研究所の瀬戸様から、よろしくお願いいたします。  瀬戸  おはようございます。九州・中四国を中心にコンサルタント業及びセミナーや講演、 または研修会などを主催して、販売者側の混乱の状況や、消費者サイドの不安や不信を 肌身に感じている1人として、このような場をいただきましてまことにありがとうござ います。  私が提出させていただいた内容をもし説明すると1時間は優に超すだろうと思います ので、ポイントだけを10分くらいでお話をし、もしよろしければ、その後に時間をいた だいたところで御質問等々をいただければ、解説をさせていただきたいと思います。  ポイントでお話しさせていただくともう簡単な話でまとめてしまう形になりますけれ ど、現場サイドの混乱というのは、私がよく言うのは、床屋さんや美容室に行ったとき に、資格のない人がカットをしたり顔を当たったりすることはできない、明確にそうい う規制はあるわけですね。ところが、一番命にかかわる、それに近い内容の医薬品販売 において、明確な販売責任が発生しない、店頭においてはだれが販売してもいいという 状況において、企業や団体でいろいろ勉強会や努力をされていますが、基本的に医薬品 を販売するのは販売資格者のみであるべきはずなのが、そうでないという問題がまず現 場において大きく取り上げられて、消費者においても、だれに聞いていいのか、聞いた ところで、気がついたらその人は薬剤師さんだったのかどうかもわからない。もしく は、薬種商というOTCを販売するプロの方々がいるにもかかわらず、そういうことが 国民の目にもほとんど理解されていない。  今現在大きな問題として店頭においてよく質問を受けるのはそういうことですし、私 は、販売者側の企業や団体においての研修会などを長年やってまいりましたが、一から 教えなければいけないところもあります。そういう問題がありますので、私が提案した いのは、議事録を全部読ませていただきましたが、ことしの4月から薬事法が改正され て、医療用に処されるものは処方箋薬と明確にされましたが、処方箋薬と非処方箋薬と いう大きな分類をすることによって、販売責任と販売者、もしくは情報提供においても っと明確な形に国民に提示できるようにすべきだと思います。  その非処方箋薬というのは、店頭以外でも、医療用以外が販売されるものすべてにお いてきちっとした分類を設けて、それに伴う販売責任、もしくは情報提供義務を明確に すべきだと思います。現在、日本でもされておりますが、諸外国の例をそこに書いてお りますけれど、スイッチOTC、いわゆる指定医薬品といわれるものをもっと明確に、 パッケージから何から、印刷されたもので、販売においては直接消費者が手にとれない ようなところに陳列すべきだろうと思います。この販売については販売資格者が自己の 判断もしくはお客様の要望にこたえて、対面において明確な形で情報を交換しながら販 売するという、分類1というものをきちっと規定する方がよろしいかと思います。  もう一つは、今言われているOTC(一般医薬品)についても、これが大きな問題に なっているのは、なぜ資格者でない者が勝手に売れるか。いくら管理者が店頭にいると はいうものの、そのあいまいさが非常におかしいと思っています。他の業種・業態にお いては、資格者でない者がその業務を行っていいということはないにもかかわらず、こ の業界においてそれが明確でないというのが混乱を起こしている原因の第一だと思いま す。  医薬部外品が今かなり出てきておりますが、できたら、名称にしても、これは適切か どうかはわかりませんが、自由販売医薬品等々の医薬品という名称を残して、非処方箋 薬の中で明確に管理責任、販売責任、そして情報提供の責任をきちっと国民の目にわか るような形にすべきではないかと思います。  この情報提供においては、現在、処方箋薬においてはちゃんとしたツールが構築され ていて、例えば緊急の安全性情報とか副作用情報は末端の薬剤師にまで間違いなく流れ るようにできております。ところが、非処方箋薬については、そういうツールもなけれ ばシステムもありません。各企業や団体に任せっぱなしで、メーカーさんもその状況に おいては、従来、ちゃんとしたシステムを構築してきていなかったというのが大きな問 題だと思います。これにおいて、資格者が明確にその部分のツールを利用し、まして や、全国どこでも一律、同じレベルの安全と同じレベルの情報提供をされて当たり前の ことがされていないというのが、非常におかしいと思います。  薬剤師が薬についてすべて責任を持っているといいますが、非処方箋薬においてはい ろいろな形態の販売体制があります。一般販売業もあれば薬種商という販売業もあれ ば、配置業というものも、特例というものも、ましてやインターネットや個人輸入の形 もあれば、そういったものについても、統一資格試験を行って、一般販売医薬品につい ての明確な資格者を制度化すべきだと思います。その資格者が直接でなければ販売でき ないようにすべきです。  アメリカにおいては、御存じの方もたくさんいらっしゃると思いますが、アメリカの 場合は自由販売ですけれど、店頭において従業員の無資格者が消費者に質問されたり、 「これとこれとどっちがいいの」と聞かれても、彼らは答えることはできません。そう いう規制がはっきりしています。そして、あそこに資格者がいる、薬剤師がいる、サプ リメントアドバイザーがいることを明確にしている、それが当たり前なんですね。自己 責任において購入する側に対する我々の情報提供については、販売責任が必ずついて回 らなければいけないところが明確にされていないことが一番大きな問題だと思います。  ですから、たとえ薬剤師でも、はっきり申し上げると、大学を卒業した薬剤師が店頭 に立ったときにはほぼ素人と同じです。私はあるいくつかの企業で毎年研修会を長年や っておりますが、大学を出て病院や調剤薬局で働いていた方がパートでドラッグストア でといったときには、ほとんど自信がないということをはっきり言われております。  ということは、一つの職能として明確な形にし、一つの資格として制度化し、それを 国民の目にわかるような形の販売形態をとらないと、この混乱は相変わらず続いていく だろうし、いろいろな販売形態がこれからも生まれてくると思いますが、その一線をき ちっと守ってもらうようになれば、そういう形での販売をすることによって責任が明確 になるし、情報ツールを制度化しさえすれば、処方箋薬のようなシステムを導入し、必 ず末端にまで情報が届き、受信や発信ができる状況をつくり上げれば、国民に対して間 違った形でない内容で全国どこでも同じ情報が提供できるようになるのではないかとい うことを感じておりまして、この席でお話しさせていただきました。ぜひそういう形で 議論を展開していただければと思います。  ありがとうございます。  井村部会長  どうもありがとうございました。非常に明快な御説明をいただきました。この御発表 についての御意見等は後ほどまとめて伺うことにいたしますので。  それでは、続きまして、SJS患者会の湯浅様、御意見をちょうだいしたいと思いま す。よろしくお願いいたします。  湯浅(SJS患者会)  SJS患者会の湯浅と申します。こういう場に余りなれておりませんので少し上がっ ておりますけれども、きょうは、薬の副作用によって健康被害を受けた側としてお話を させていただきたいと思います。  まず初めに、皆様御承知と思いますが、SJSに関しては60%が薬の副作用だと言わ れています。しかし、そのメカニズムは解明されておりませんので、だれもがどんな薬 でも発症する危険性があると言われております。  私は、SJSの海外のメーリングリストに参加しておりますけれども、アメリカと日 本は非常にSJSの患者が多いのが現実です。ヨーロッパなどはほとんどおりません。 それから、SJSの発症のうち1割が一般薬と言われています。ほとんどが処方薬で発 症しているのですが、1割が一般薬で発症しております。うちの患者会におきましても 大体そのくらいの割合で、1割と言われています。  私たちのそういう状況をわかっていただくために、うちの患者会にいる何例かについ て、実際にOTCによって発症したものの例を少しお話ししたいと思います。  まず、30代の男性で、地方公務員なのですが、家族と旅行に行くということで、風邪 ぎみでしたので、テレビコマーシャルで名前を知っていた総合感冒薬を買って、旅行に 行く前に2回飲みました。それで、家族と旅行に出かけたのですが、少しよくなったか なと思いながら、倦怠感と発熱などの症状で、前に飲んだ薬は効かなかったのかなと思 って、別の総合感冒薬をまた旅先で買って飲みました。後でわかったことですけれど、 最初の総合感冒薬によってこの人は発症したと言われています。  また、別の人で、30代の女性ですけれど、仕事が忙しくて医者に行けなかったので、 近くの薬局で風邪薬を買ってきて飲んだと。そして、2〜3日飲んだけれども、さらに 仕事が忙しくてとても医者に行けないので、治らないなと思いながら1週間それを飲み 続けて、1週間飲んだ後に熱がひどくなってきたのですが、さすがに同じ薬ではだめな のかなと思って、別の感冒薬を買ってきて飲んだと。1週間たって別の薬を飲む前には 非常に高熱が出ていますので、これもやはりその時点で発症したのではないかなと言わ れています。  それから、昨年の1月に発症した50代の女性ですが、年末から具合が悪くて、風邪か なと思いながら、近所の薬局で、漢方だったら安心だろうということで、箱に「漢方」 と書いてあるアンプル剤を買ってきて飲んだと。そして、その後、発症してしまった と。  また、別の患者ですが、痛みどめを近くの薬局で買ってきた。そして、2回飲んだら 熱が出てきて、またその薬局に行って、今度は「熱が出たので」ということで解熱剤を 買って飲んだけれども、下がらなかった。これは商品名は違うけれども、同じ成分だっ たということです。  これは最近私が近所のドラッグストアで経験したことですけれども、私の前に並んで いた若いお母さんが、1歳児の赤ちゃんが鼻水が出るということで、薬剤師さんと相談 をしていたのですけれど、薬剤師さんはカウンターの上に何種類かの薬を並べて、4〜 5種類だったと思いますが、「この中から自分で選んでください」という感じでした。 私以下、レジには3〜4人の人が並んでいたと思いますので、その薬剤師さんはその精 算に行ってしまって、お母さんはその箱をとって一生懸命箱を読んでいました。そうい う経験をしました。  そういうことがありまして、私たちは、医薬品は医薬品としてカウンター越しに買う のが当然だと思っております。そのときに、薬剤師さんというのは薬のプロとして、利 用者からの情報を、症状ですが、「頭が痛い」といっても、本当にどういう頭の痛さな のかを聞くことができるし、今、ほかの病気で飲んでいる薬など、そういう情報を会話 によって得ることができると思いますので、より的確なアドバイスをして、そういう症 状に合った薬を選べるのではないかと思っております。  来年度から薬学部も6年制になりまして、実習期間がかなり大幅に延びると聞いてお りますが、うちの娘が去年薬学部を卒業したのですけれど、病院実習に1カ月行ってお りましたが、こういう患者さんとの対話とか、患者さんと関係しているという実習では なく、調剤室にこもりまして薬を調剤するとか、そういうことに1カ月間費やしていた と思います。  私は歯学部を卒業しておりまして、6年のときに1年間、臨床実習をしまして、直接 患者さんと会話を繰り返しながら、「この治療はこういうのですよ」というきちっとし た会話を通して臨床実習に臨んだと思っておりますので、薬学部は、病院または調剤薬 局、そして普通の薬店、こういうところで少し方向性は変わってしまうのですが、患者 と直接接して応対ができるような実習をぜひやっていただきたいと思っております。  それから、添付文書においては、うちの会員たち、一般薬でなった患者はほとんど見 ておりません。それはなぜかというと、まず薬を買うときには添付文書を見てどうのこ うのと選ぶことはできません。買ってきて、うちで開けてから添付文書というのは見な ければいけないものですから、でも、買ってきても、すごく量が多くて、専門的なこと もかなり書いてありまして、その辺を読んだ時点で、一般の人はそれで「もうこれはい い」ということになっておりまして、ほとんど読んでいないというのが実情です。  添付文章というのはすごく長くて、成分から効能から副作用からとりあえず全部書い ておくというのではなくて、利用者にとって本当に必要なものを簡略に書いていただき たいと思っております。  これは余談ですが、私たちのSJSTENに関しては、最初はめったにない副作用と いう欄に書いてありまして、「発熱、倦怠感、のどの痛み」という症状が最初は書いて あったのですが、最近は、スティーブンスジョンソン症候群と病名が書いてあるわけで すけれど、これでは一般の人には何が何だかわからないと思うので、できることならも とに戻してもらいたいと私は思っております。  最後に、販売の単位ですが、先ほどのように1週間飲み続けたという例もありまし て、総合感冒薬などは2〜3日分、最低の単位で売っていただきたいと思いますし、解 熱鎮痛薬も数回の単位で売っていただければ、私たちは発症はまれですけれど、ほかの 副作用が出た場合にも、成分を変えて飲むとか、そういうことが可能でしょうから、ぜ ひそういうこともやっていただければありがたいなと思っております。  最後に、こういう販売制度を検討していただくのは非常にいいことだと思いますが、 それだけではなくて、私たち一般も、先ほど言いましたように、日本というのは薬を安 易に飲む傾向があると思いますので、それは国民皆保険制度で保険によってお医者さん へ行けば簡単に薬をもらうし、お医者さんは患者が来たら必ず薬を出すということで、 そういう形態が長年なれてきてしまって、ちょっと鼻水が出たりすると薬をすぐ飲んで しまう。  そういう国民の薬に対する知識レベルを何らかの方法で徐々に上げていってもらいた いと思います。この辺の具体的なことは私にもわかりませんが、販売制度を検討するの と同時に、私たち一般国民の薬に対する認識度というものをよく理解していただいて、 さらにこういう薬のことを検討していただく機会を設けていただきたいと思います。  以上です。  井村部会長  どうもありがとうございました。  引き続きまして、全国医薬品小売商業組合連合会の青野様、よろしくお願いいたしま す。  青野(全国医薬品小売商業組合連合会)  医薬全商連の青野と申します。この1年間のこの部会及びリスク委員会等を傍聴させ ていただいていたわけですが、今回、こういう発表の場を与えていただきまして、あり がとうございました。  医薬全商連は:中小企業団体法によって決められております従業員数が21名以下、売 り場面積にしまして30坪以下の零細なお店がほとんどなのですが、主に経済行為に対し ての運動をしている団体でございます。  そのうち、薬局及び一般販売業の管理薬剤師は日本薬剤師会に属しておりまして、薬 店の管理者である者は全日本薬種商協会の会員でありまして、その両方の団体から当部 会に委員の方々が出ておられて、職能的な御意見はこれまでさまざまに陳述されており ますので、私は、経営上のことに絞りまして、現在の小売が置かれている現状、そして 医薬全商連としての運動、そしてこれからの販売のあり方についての要望を述べさせて いただきます。  まず、薬の流通ですが、御存じのように、大型量販店のシェア争いが非常に熾烈にな っておりまして、セルフ陳列、大量販売が主流でございます。医薬全商連の会員店は、 資料の1と2にも書いてありますが、リスクを前提とした対面販売ということを徹底的 に教育し、運動として取り上げております。そして、必ず、薬は物としてだけではな く、情報提供を前提として販売するということでございます。  幸いといいますか、小型店なものですから、有資格者である店主みずからが店頭に立 っている、いわゆる顧客と同じ生活圏に居住しているということで、比較的お客様の顔 の見える顧客管理がしやすい立場におります。しかしながら、現在の流通傾向ではセル フ販売が大半でございまして、はっきり申し上げまして、医薬品の購入は大型店で、相 談は我々中小の専門店で、いわゆる副作用相談など苦情の方はこちらが受け持つという ような図式が成り立ってきております。  それから、3に上げましたように、対面販売による相談販売−−相談机に座っていた だいての販売というのは、実際にお買い上げいただけるお客さんというのは、このたび の発表で調査しましたけれど、1日当たり10人ぐらいが限度でございます。そうなりま すと、これだけ価格競争の激しい時代でございますから、売買差益が限りなく減少して おりまして、そういった意味で、有資格者を確保するとか、そういうコストの吸収が完 全にできておりません。  したがいまして、調剤に適したようなところに開局しておりますお店は調剤に特化し て、OTCはもうやめてしまうという傾向も出ていますし、それから、お子さんが薬学 を卒業しましても、結局はメーカーさんへ勤めてそのまま帰ってこない。それで、店を 閉めてしまう。そういったことで、一番身近な相談の場所である我々の同志がどんどん 減っていってしまうというのが実情でございます。そういった経済性、便利性を優先す るセルフ販売、これが相談の機会を逸することが非常に多くなっていると思います。  大型量販店をいろいろと見せていただいたのですが、ほとんどが、もう全部と申し上 げていいと思いますが、セルフ陳列で、対面による相談カウンターはございません。極 端な例ですけれど、このままですと、尼崎のJR西日本のような事件が薬の業界におい ても顕在化してくるのではないかという恐れを抱いております。  例えば、スイッチOTCでありますH2ブロッカーがスイッチされたとき、私たちは 全員が日本薬剤師会の音頭取りで各地区別に販売講習会を実施いたしまして、その販売 講習会に出たお店だけが取り扱えるということでスタートしたわけですが、いざスター トしてみますと、「比較的効きます」というだけのコマーシャルが行き渡っておりまし て、結局は、ほとんどの店がH2ブロッカーはセルフ陳列でございます。  それから、この間、薬物濫用防止指導委員会で問題になったのですが、リンコデやエ ヘドリンが入っておりますせきどめのシロップは、指導員の仲間では「麻薬と覚醒剤が 入っているカクテルだ」という表現がなされているわけですが、そういうものがセルフ 陳列で自由に、中学生が小遣い程度のお金で簡単に手に入る。「これは何とかしてくだ さいよ」ということが一般指導員の方から薬剤師側に要望がございました。要するに、 この資料の5、6にも書いてありますが、有資格者がその権利を十分に自覚して、義務 を確実に履行していかなければならないと思います。全商連の運動としましては、地域 別の健康相談所として自分の店を位置づけまして、各店が健康情報発信基地−−業界で はヘルスナビステーションと言っておりますが、その運動を全国的に展開しておりま す。  お手元に配付させていただきましたこの緑色の資料の中にチェック票が入っていると 思いますが、このチェック項目に従いまして、毎月、各店が自己点検しなさいという運 動もやっております。この言わんとすることは、とにかく薬は全部対面販売にしなさい と。必ず相談して売りましょうということでございます。  いろいろ申し上げたいことは多いのですが、そういった各零細店が薬の専門店として 認識されるように、それぞれが皮膚病の得意な薬局さん、生活習慣病をよく研究してい るお店、ぜんそく等に強いお店、そういう専門店志向と、あるいは、従来からいわれて います「かかりつけ薬局・薬店」として、何とかしてこの競争に生き残っていこうとい う運動を行っているところでございます。  常連客の固定化ということも大きなテーマでございまして、ロイヤルカスタマ−−要 するに、来店される顧客の3割を確実に管理サービスを徹底すれば、売り上げの8割が 確保されると言われているわけですが、前の会で児玉委員さんが提示されておりまし た、薬歴、お薬手帳、そういったこともOTCの方にも取り込みまして、とにかくお客 さんが来たら座っていただこうと、相談カウンターで相談していただいて、その結果と して販売が成り立つということに努めております。  それから、有資格者の識別の問題ですが、私どもの業界では、有資格者はフォーマル な長袖、そして長い裾の白衣、名札を着用する。栄養士の方もスタッフに結構おります ので、その人たちはライトグリーン、普通の従業員の人たちは淡いブルー、あるいは女 性は薄いピンクというふうに、色分けによって区別できるようにし、それを店頭で表示 してございます。  それから、今後の薬の販売のあり方ですが、繰り返しになりますけれど、とにかく薬 である以上、リスク分類がこれからなされて、いくつかの段階にOTCが分かれていく とは思うのですが、いずれをとりましてもリスクがあることには変わりないわけでござ いまして、その頻度の差だけでございます。ですから、対面販売はもう原則としていた だく。したがいまして、各店には、レジコーナーだけではなく、それと分離した相談コ ーナーの設置を義務づけていただく。  それから、今、薬剤師不足が問題になっておりますが、確かに今は非常に厳しい状態 です。いくら募集しても来ていただけない。人材派遣会社などでは、1人紹介すると年 俸の1割−−初任給で 500万円としますと、紹介料として50万円お払いする。それか ら、緊急な欠員ができた場合のパートの補充をお願いした場合は、こちらに資料がござ いますが、時給 4,300円というのが現状でございます。そういったことを当座カバーす る意味で、販売助手、調剤助手という資格を、これは医薬専門学校を出たスタッフが結 構来ておりまして、そういう人たちは一生懸命勉強しておりますので、これらを国家的 に、あるいは都道府県別にでも結構だと思うのですが、資格試験をぜひ実行していただ きたい。しかし、その資格試験は民間団体によるものは一切排除していただきたい。公 的に統一された資格試験をぜひとも実施していただきたいと思います。  それから、陳列ですが、セルフ陳列はできるだけ規制していただく。薬局開設時に は、「薬はここに置きます。雑貨はここです」といった図面を保健所に提出するわけで すが、実際、許可がおりてしまいますとそれはもう有名無実になっておりまして、非常 にセルフ優先の乱雑な−−という表現はちょっときつい表現になりますけれど、そうい う陳列が現状でございます。何よりもこれらの当部会の成果が販売制度改正に結びつく と思うのですが、要は、有資格者が対面販売でゆとりある生活ができるように、また、 完全に医薬品が対面販売で消費者の手に渡るようにぜひお願いしたいと思います。  それから、大衆薬の地盤沈下が著しい現状でございますので、現在、日本大衆薬工業 協会の御援助で、これもお手元に行っているかと思いますが、こういう「セルフメディ ケーション・ハンドブック」、これらをもとに消費者に相談販売を呼びかけているとこ ろでございます。  まだまだ申し上げたいことはいっぱいあるのですが、時間が過ぎましたので、以上で 終わらせていただきます。  井村部会長  どうもありがとうございました。  続いて、日本フランチャイズチェーン協会の伊藤様、お願いいたします。  伊藤(日本フランチャイズチェーン協会)  おはようございます。日本フランチャイズチェーン協会を代表いたしまして、お話を させていただきたいと存じます。  お手元に資料を3枚配らせていただいてございますが、冒頭、まず、フランチャイズ チェーン協会の概要について簡単にお話をさせていただきます。  団体の概要というところにございますが、当協会につきましては、1972年4月、34年 前に、当時の通産省の認可をいただきまして設立された社団法人でございます。当協会 は、コンビニエンスの他に、外食、あるいは小売・サービス業界でフランチャイズチェ ーン展開されておられる、ザーいわゆる本部が加入している団体でございます。特にコ ンビニエンスに関しましては、現状、当協会に加盟しております社としては13社、店舗 規模としては約4万 500でございまして、今の日本のコンビニエンス業界の約95%近い 構成になっているという状況にございます。そのコンビニエンス業界を代表いたしまし てお話をさせていただきたいと存じます。  この医薬部外品につきましては、昨年の7月30日に、医薬品から成分を変えずに医薬 部外品への移行ということで施行されることになりました。これに伴いまして、まず、 厚生労働省様の方から、この販売に当たって留意点というものが示されまして、その大 要をまず販売の前にこのコンビニエンス業界といたしまして対応してきたということで ございます。  簡単に申し上げますと、4点、販売者に対して要請が来ていると認識をしてございま す。  その第1点が、まず、医薬部外品であるけれども薬ということの中から、消費者の誤 解や誤用を未然に防止するために、他の商品との識別や品質の維持・管理が可能な方法 で陳列をしていただきたいという要請を受けてございます。  2点目に、販売時の消費者への確認事項を、パッケージの情報等について、これをき ちっと知らせていくようにしてほしいという要請でございます。  3点目に、苦情等の申し入れがあったときに、相談窓口をきちっとして速やかな対応 をしてほしいということでございます。  4点目に、不良品等の発生があったときには、すみやかに製造業者等との連絡体制を 密にしてほしいという要請をいただいてございます。  これに対しまして、当協会として、まずこの要請事項につきまして協会全体としてガ イドラインというものを定めました。この要請に従ってのガイドラインとして大きくは 5点対応してございます。  1つが、医薬品の部外品ですけれど、他の商品との区分をきちんとするということに つきまして、当協会としては医薬部外品コーナーというものをきちんと設置して、そこ に部外品を集合陳列しながらきちんとPOP等で認識をしていくという訴求方法をとっ ていくことにいたしました。  2点目に、販売時にお客様への注意の呼びかけということにつきましては、マニュア ル等を整備いたしまして、レジの接客時におけるお客様への外箱等、あるいは医薬部外 品ですよ、あるいは使用の注意等についてといったことを、簡単なことでございます が、注意を申し上げるということをきちんとマニュアルで明記して従業員を指導すると いう体制をとらさせていただきました。  3点目に、相談窓口ということでございますが、これは通常の中でもいろいろな苦情 等々を受け付けてございますので、そうした中からきちんと対応ができるようなシステ ムそのものがもう過去からできてございましたので、その周知徹底をさらに図っていく という対応をしてございます。  4点目に、製造業者との窓口担当者を明確にいたしまして、クレーム等々、あるいは 問題になった商品があったときには、すぐ連絡体制が密にとれるような体制を整えたと いうことでございます。  最後に、全般的にマニュアルをきちんと整備した上で、販売員の教育を徹底して、そ れから販売に臨もうということで取り組んでまいりました。  お手元の資料の2枚目をごらんになっていただきたいと思います。CVSにおけます 医薬部外品の取り扱い状況でございます。それぞれ医薬部外品コーナーの愛称、取り扱 い総数という形で出してございますが、コーナーを設置するということで各社それぞれ 工夫を凝らしてございます。医薬部外品コーナーというケースで設置している場合が多 いのですが、そのほかでも、サークルKサンクスの「こまったときのコンビニ救急箱 」、セブン−イレブン・ジャパンの「健康広場」、デイリーヤマザキの「ヘルスケアス テーション」、ファミリーマートの「ヘルスケアコーナー」、ポプラの「コンビニ・ヘ ルスケア」、ミニストップの「ミニ救急箱コーナー」、そしてローソンの「Dr. ちょい ケア」といった形でコーナーを設置して、お客様に部外品のコーナーであるということ が認知できるような体制を整えました。  取り扱い総数に関しましては、 371品目が部外品に移行になったということでござい ますが、そのうち、各メーカー様の方と打ち合わせをさせていただいて、コンビニの中 で、さらにこの中から扱える商品というものを絞り上げてございます。そういった中 で、各社、大体このように取り扱い数字というものが出てございますが、30品目ぐらい のところに並んでいるといったことになろうかと思いますけれど、実際にお店の場で、 売り場の棚板の方に陳列されている商品ということになりますと、約この半分ぐらいの レベルでございます。ですから、実際には棚板を2段ぐらい使って、15品目ぐらいを扱 っているという状況でございます。  3枚目の資料に写真がついてございますが、今回、 371品目が解禁になって部外品へ 移行になりました商品群と、従前から医薬部外品として扱ってございます商品、また衛 生用品など、こういうものを組み合わせまして棚をほぼ1段、各社工夫して使っている という状況でございます。しかし、先ほど申し上げたとおり、医薬部外品に今回移行さ れた商品としては、2段程度の展開という状況でございます。  実際の販売状況でございますが、お客様のコンビニエンスが医薬品を扱っているとい う認識につきましては、ある調査データを見ておりますと、間違いなく7割以上の人が コンビニエンスストアで医薬品を扱っているという認識は持っているという答えを得て いるという調査結果もございます。しかし、実際には、私たちの販売データを見ており ますと、それほどの販売動向を示しているということはございません。その理由と致し ましては、医薬品ということから、緊急性の高い、何かけがをした、あるいは熱が出 た、こういったときにしか買わないという特性がございますので、この春のように花粉 が大量に飛散するような季節には、関連した商品が動くといったことはありますけれど も、今のような時期は動きが鈍いという状況にございます。  又、基本的にはお客様からほとんど質問を受けないという状況にございまして、お客 様は買いたいものを自分の手でとって、レジに持ってこられ、その場で質問するという こともほとんどなかったというのが実態です。  最後になりますが、今回の意見陳述ということで述べさせていただきますが、その全 体の販売状況を確認している中で、お客様からの要望として上がってきているものが、 どうしても緊急性に対応した商品−−4の(1)に書いてございますが、解熱鎮痛剤、総合 感冒薬、胃腸薬、止しゃ薬、目薬、湿布薬等、こういったものを置いてほしいという声 が非常に高いことは事実でございます。当然、安全という観点から、その取り扱いにつ いては十分な注意を払っていかなければならないことは重々承知してございますが、私 たちコンビニエンスストアも、今、社会的な公器としての機能を有しているという状況 にございます。  そして、緊急時のライフラインとしての機能も有し始めているという状況の中で、私 たちとしても医療機関の補完機能の一助として社会に貢献していきたいという気持ちが ございます。そのために、今申し上げたようなこれらの商品群についても御検討いただ ければと感じてございます。  なお、医薬品の販売体制といったことがこれからまた議論されていくかと思います が、一つの販売体制というものを見ていったときに、全店が全店、24時間営業の中にす べて薬剤師さんを置いて販売するということは事実上不可能でございます。そういった 観点から、当然、コンビニエンスストアの中で扱える医薬品ということについては、我 々としても相当絞り込んだ、そしてお客様がほとんど知っていて安全が確認できるよう な商品に限定していくということではございますが、そういった医薬品販売の際にも、 例えば「相談承りセンター」等を設置して、そこに薬剤師さんに常駐していただき、お 客様からの相談に応ずるといったような対応で医薬品の販売が可能になっていければ、 さらに世の中の医療機関の補完機能として社会に貢献していけるのではないかと考えて ございますので、ぜひよろしくお願いいたします。  以上でございます。  井村部会長  どうもありがとうございました。  それでは、大分時間も押してまいりましたが、最後に、大阪府健康福祉部薬務課長の 織田様、お願いいたします。  織田(大阪府健康福祉部薬務課)  大阪府の薬務課の織田でございます。私どもの方では、医薬品の供給体制としまして は、薬局が 3,334軒、一般販売業が約 932軒、薬種商販売業が 1,031軒、特例販売業が 341軒、配置販売業が 494軒という許可状況です。  薬事法に基づく立入り指導、管理指導という業務をしておりますが、この中で問題に なりますのは、要指示医薬品−−今回、処方箋医薬品という形になりましたが、そのも のの無指示販売等が、少ないですが、相変わらずあるということです。また、薬剤師の 管理状況等が私どもの一つの課題になっています。  しかしながら、その件数は限られた範囲であり、ほとんどの部分につきましては医薬 品の管理が適正になされている状況であると考えています。特にほかの国で見られるよ うなにせ医薬品の流通や、適正品の回収不適といったような健康被害に直結する恐れの 高い事例は見られません。  また、これは私どもに対する直接の状況ですが、市民の皆さん方から家庭薬の供給の あり方に対して、「こういう状況で困っている」といったことは、幸い、直接的には寄 せられていないという状況です。  特例販売業の今後のあり方ですが、現在、私どもとしては、特例販売業の許可権者で もある政令市等の保健所とも協議をしながら、特に医療ガスと歯科用医薬品等は除きま すが、従前からある酔いどめ薬の中の汽船内、あるいは空港内等々の限られたところが 許可されている状況があるわけですが、これについてしか特例販売業の許可は認めてお りません。従前のものにつきましても、できるだけ御相談をしながら、一般販売業の方 に切りかえていただくように現在しているところです。  3番目の医薬品の販売改正のあり方ですが、使用後の安全問題の取り組みなど、特殊 性を持つ医薬品というもの、医薬品の特性ということから、その供給は原則として資格 者(専門家)による対面販売にこだわるべきと考えています。  市民の利便性の声ということもお聞きしていますが、そういうものに対しては、地域 の薬剤師会あるいは業種団体等々と責任を持っていろいろお話し合いいただきながら、 その地域ごとに御相談をいただくということが適切であろうと思います。この利便性の ために供給体制を変更するというのは少し本末転倒ではないかと考えます。  また、先ごろ我が国でも非常に問題になっております健康食品ですが、医薬品成分を 含む健康食品ですが、この健康被害を見ますと、ネットサイトからの購入ということ が、私どもとしては非常に気になっています。これは健康食品だけではなく、医薬品の 中でもこういうネットサイトから海外から直接購入するという、あるいは個人代行輸入 によって購入するというケースがあります。むしろこの問題の方が非常に大きな問題で はないかと考えます。医薬品に対する人々の信頼を保つためには、許可に基づく店舗か らの供給という現在の原則というものはやはり正しいことではないかなと、健康食品の 関連、あるいは個人代行輸入、ネットサイトからの医薬品の購入を見ますと、そのよう に感じます。  この本日の部会の中で、医薬品のリスクに応じての販売方法と資格者を関連づける新 しい医薬品の供給体制の検討ということでお聞きしておりますが、基本的には私ども は、先ほど前段で申しましたような、医薬品は原則として資格者による対面販売によっ てこだわるべきではないかと考えておりますので、こういうものを外すとする場合は極 めて危険なものであるということから、慎重な議論をお願いしたいというところです。  井村部会長  どうもありがとうございました。  それでは、各意見陳述人よりいただきました御意見につきまして、委員の皆様から御 質問または御意見を出していただきたいと存じます。オブザーバーとして御出席の荻原 専門委員も、ただいま席を立っておられるようですが、お帰りになりましたら御参加い ただきたいと存じます。お一人おひとりということではなく、順不同でやりましょう か。どうぞ。  児玉委員  瀬戸委員と伊藤委員にお聞きしたいと思います。  まず、瀬戸委員でございますが、今いろいろと御説明いただきました。その中で何度 も、消費者のために販売者責任を持った販売をしなければいけない、メリハリをつけな ければいけないとおっしゃっておられましたので、それは私もずっとお願いしているこ とでありますから、それはそれでいいのかなと思います。ただ、その中で、ここにお出 しいただいております資料2の一番上でございますが、先ほど、薬剤師の薬学教育の場 でOTCのことについて戦力にないということも含めたお話がございました。  実はこの部会でもその話がございまして、私の方から申し上げたのですが、今、薬学 教育も随分変わってまいりまして、御承知だと思いますが、現時点で既に全国の薬学部 の中の約18校が一般用医薬品に関する何らかの教育を行っているということであります ので、これはもう以前と随分変わってきているということをまず御承知おき願いたいな ということでありまして、これは湯浅先生がおっしゃるとおり、やはりそういう教育を しなければいけないということで、その点は今後また御検討いただければありがたいな というのがまず1点であります。  それと同時に、今、薬局の店頭における実習というのはほとんどやっていないのが実 情でありますが、今後、 2.5カ月以上の実習が義務化されますので、その点も随分変わ っていくのかなという気がいたします。ようやく大学側も、薬局も医療現場の一つとい う御認識をいただいて、そういう教育体制に変わっていくということは、私どもはあり がたいと思っております。  ただ、もう一つは、先ほどのお話の中で、OTCのプロの概念のお話がございました が、私も薬局でOTCを随分長く供給してまいりましたし、薬剤師のスタッフもおりま すのでよくわかるのですけれど、プロという言い方は2つあると思います。一つはOT Cの販売テクニックのプロと、もう一つは、先ほどから議論がありますように、医薬品 という特性を考えれば、やはり副作用を起こしてはいけない。そういう医薬品に対する 知識のプロ。そういう2つあるわけですね。  そういう意味では、薬剤師というのは、確かに販売テクニックというのは、実務であ りますからすぐには無理というのはよくわかるのですが、その点、一般用医薬品といえ ども、医療用成分も含めていろいろな薬もございますし、消費者そのものが医療用医薬 品もいろいろな医薬品もサプリメントも飲まれていますから、そういう意味では、医療 用からOTCからサプリメントから、いろいろな範囲の知識がなければいけない。ある いは、受診勧奨するための病理病態をわからなければならない。そういう意味では、私 は、プロという概念はその2点の要素があってプロなのかなという気がいたしますの で、その点もまたよろしくお願いしたいと思います。  それから、伊藤委員にお尋ねいたしたいと思います。医薬部外品について大変御努力 いただいていることを感謝申し上げます。それで、医療機関の補完的な機能ということ で、私ども薬局をやっている者からすれば、おっしゃるとおり、年中無休で長時間営業 というのは非常に大事な要素であろうと思いますが、御案内のとおり、日本の場合は全 国で夜間急病診療体制ができておりまして、私も地域に参加しておりますので、夜中に 熱が出たとか頭が痛いとか、子供さんも含めてよくお見えになります。したがって、そ ういう体制はある程度できていると思います。しかしながら、全部とは言いません。し たがって、おっしゃるとおり、そういうことが薄い部分がありますので、そういうとこ ろは補完的に協力するというのは非常にいいと思います。  ただし、医薬品を扱うわけでありますから、特に専門家を置いた体制をとっていただ きたいなと。そこで、今、規制緩和の流れで、一般販売業薬店の開設が今非常に簡素化 されています。したがって、私はいつも申し上げるのですが、そこまでおっしゃってい ただくのなら、ぜひ一般販売業薬店をやっていただけるとありがたいなと思うわけであ りますが、その点についてどのようにお考えでしょうか。  もう一点は、消費者の視点からというのはおっしゃるとおりでありますが、この部会 で厚生労働省さんが消費者アンケート調査をされています。その中に、消費者が医薬品 販売店等、医薬品を供給するところに対しての希望があるわけでありまして、その1位 が「気軽に質問・相談ができる」、2位が「薬についてわかりやすく十分説明していた だきたい」ということなんです。ですから、その消費者の視点に立てば、おっしゃると おり利便性もあるのですが、こういう要素も医薬品にはあるんですね。したがって、先 ほどの御説明で、現状としてお客さんからその質問はほとんどないとおっしゃったので すが、そうではなくて、それは対応の考え方に問題があるのかなと。そういうことも今 後お考えになる一つの要素ではないかなと。もし消費者の視点とおっしゃるのならば、 それもあるのかなという気がいたします。  以上であります。  井村部会長  それでは、瀬戸さん、どうぞ。  瀬戸(医薬食品情報研究所)  私も福岡の薬剤師会の会員で、毎月のようにセミナーや勉強会にも出ておりますし、 全国大会にも出ておりますが、残念ながら、現場にいると、薬剤師はオールマイティで はないということが認識できるんです。なぜかというと、薬学教育においても、6年制 になっても医療用医薬品についての実習制度は入るかもしれませんが、確かに18の大学 がOTCのカリキュラムを入れておりますけれども、実習において、テクニックではな く、接客においての情報提供といったシステムづくりが現場においてされているわけで はないんですね。  ですから、逆に言うと、スペシャリストになるべき薬剤師−−これからもっと病棟に 入っていかなければいけないだろうと思うような、チーム医療の中に入り込むために臨 床薬剤師という研修もスタートするでしょうし、調剤においても、テクニシャンを入れ るかどうかは別にしても、そういうものに教育や体制が特化しつつある現状で、OTC の販売において、経験でやってきた薬剤師は確かに経験は持っていますが、最初に現場 に出てきた薬剤師はほとんど素人に近い状態だということは現場で認識されるべき問題 であって、ここで議論していただきたいのは、OTCの部分について国民に見える形 で、国民に販売責任が持てるプロを制度化すべきだと。その中に薬剤師が当然いなけれ ばおかしいわけです。  薬剤師さん、薬剤師さんと言っていますが、店頭における販売のプロはだれかという 問題をもう少し認識していただきたいのは、先ほど申し上げましたように、だれでもが 売っていいという体制自体がおかしいんです。販売責任はどこに行くんですか。管理者 がいるからですか、薬剤師がいるからですか。違います。ニーズがずれているわけです よ。消費者は見えないわけです。消費者が不安に思っている現状というのは、現場サイ ドにもう一度立ち返って考えていただくと、薬剤師がすべてではないということをもう 一度認識してください。  私はこんな話をすると薬剤師会から追放されるかもしれませんが、私は現場で研修会 や講演で常にその問題にぶち当たって、もう長年やってきておりまして、薬学教育の中 にそういうものがきちっと入るかというと、そういうことは方向性としては考えられな い。かといって、これだけOTCが販売されている中でプロはいるのかというと、いな いわけはないわけですね。薬種商さんという方々もいるし、その他、勉強されて企業で 努力されているかもしれませんが、販売責任と情報提供の面からいうと、明確にある資 格を持った者でなければ販売できないと、こんなわかりやすい制度にしたら国民の目に 見えるわけですから、それは薬剤師でなければいけないという論点は成り立たないはず です。  すみません、ちょっと強い調子で申し上げました。  井村部会長  恐らく、見ている薬剤師が少し違うのかもしれないとは思いますが。  では、伊藤さん、お願いいたします。  伊藤(日本フランチャイズチェーン協会)  先ほどの御質問でございますが、1点が、夜間救急体制が整っているという状況の中 で、ほぼ間に合っているのではないかという御指摘もございました。確かにそういった 点では、体制がきちんと整っているというのが今の日本の状況かと感じております。  コンビニエンスの方で申し上げているケースというのは、実はこういう医療に係るよ うなレベルの救急措置をしたいという方の手当てではなくて、もっと簡易な、ちょっと 切ってしまった、あるいはちょっとけがをしてしまった、あるいはちょっと飲んでおき たいといったときに気軽に対応できる、そういうレベルの商品群ということで認識して ございます。ですから、重度のものについては我々としても当然扱える状況にもござい ませんし、今も医薬部外品ということで安全性に特に問題がないという観点から解禁さ れてございますので、そういった点をもう少し拡大していければと考えている最中でご ざいます。  実際に医薬店を展開してはどうかということでございますが、これにつきましては、 現在薬局を経営されておられる方に、コンビニエンスチェーンに加盟していただいた り、あるいはまた、コンビニエンスに調剤薬局を併設した店舗も積極的に展開するなど して、広がってきているというのが実態でございます。このようにきちんとした形での 補完も重要と考え、今後とも強力に進めていきたいと考えてございます。  もう一点、消費者の視点から、供給する側として、お客様の方から見たときに質問が 気軽にできて、そしてわかりやすい説明ができればありがたいというお声があるという ことでございました。確かにこの点についてはもうおっしゃるとおりでございまして、 実際に、先ほども申し上げましたが、これは裏返せば、質問をしてもわからないだろう から質問をしないというところがやはり見受けられるかと考えております。この点につ いては、私達も工夫しております。例えば、のどの痛みでしたらこういう商品ですよ、 胃のむかつきでしたらこういう商品ですよ、滋養強壮でしたらこういうものですよと、 わかりやすくPOPで表示し、極論すれば従業員が説明しなくても良いようにボードで きちんと説明していこうと各社とも工夫を凝らしているところでございます。そうした 形で少しでも補完していければと考えております。  以上です。  井村部会長  ありがとうございました。この点につきましてもこれから先もいろいろと議論が出る だろうと思いますので。  ほかにいかがですか。鎌田委員、どうぞ。  鎌田委員  まず、瀬戸先生にお尋ねしたいのですが、資料を拝見いたしまして、(1) 医薬品のリ スクの程度の評価というところで、「非処方箋薬」を安全性等で3つに分類するという 趣旨のことが載っておりますが、その3つの仕分けの内容的なお考えをお聞かせ願いた いと思います。  それから、2ページの(4) 医薬品販売に関する責任ということで、(1)薬局の開局者 は薬剤師に限定すべきであると述べられております。それは先生のお考えでしょうけれ ど、逆に、私の方としましては、例えば一般販売業などはどのようなお考えなのかをお 聞きしたいと思います。  それから、伊藤先生にお尋ねします。先ほど、医療機関の補完的なということで、私 どもも心強い面もあるのですが、一つお尋ねしたいのは、最近、東大の赤門前のコンビ ニ店の中に調剤薬局を併設されております。ああいうお店を、部外品がどうのこうので はなくて、せっかくそういう調剤薬局があって、OTCも置いてあるという現状を見さ せていただきまして、ああいうところは薬剤師さんもお見えになりますし、例えばその お店はローソンさんだったと思いますが、ローソンは24時間営業していて、調剤薬局は 8時間で閉めてしまうという形をとってみえるのか、それとも、24時間体制に持ってい こうと、それが医療機関の補完を強化していく方法であると、そういうお考えがあるか ないかをお聞きしたいと思います。  以上であります。  井村部会長  それでは、瀬戸さんからお願いいたします。  瀬戸(医薬食品情報研究所)  「非処方箋薬」を安全性等で3つにという分類の仕方ですが、今まで処方箋薬として 使われていたお薬の中からある程度の安全性が認められたものがまず一般薬として発売 してもいいが、効果がかなり強いということは副作用の問題もあるということで、市販 後調査を義務づけられている。ということは、この部分については市販後調査の結果を 見て通常の一般薬として販売していいという、2段階に分けられた形のものを1分類に 考えています。  2番目の通常の一般薬と言われるものに指定解除を受けるまでには、やはり何年かの 市販後調査の結果を見た上で、より安全性を確認されたものとは明確に分けるべきでは ないかという分け方です。  2つ目の御質問ですが、薬局の開設者は薬剤師に限定すべきであるというのは、欧米 の大半はこの形をとっていますし、法人においても必ず薬剤師が1人入っています。そ こに管理責任等を明確にしているのだろうと思います。そして、一般販売業というの は、これは先ほど申し上げていませんが、販売形態をこれから検討されると思いますけ れども、薬局と一般医薬品販売業と2つだけでいいと思っております。  一般医薬品販売業においては、先ほど私がお話ししている統一試験を持って職能とし てはっきり明確にでき上がったものの資格者の中の経験者もしくは薬剤師であって、こ のOTCの販売に、私の中では3年以上と考えていますが、そういった有資格者の中の 有位にある者に開設義務を負わせることの方が、販売責任を含め、管理責任を明確に国 民に提示できるのではないかと思っております。  井村部会長  それでは、伊藤さん、どうぞ。  伊藤(日本フランチャイズチェーン協会)  はい、お答えします。先ほども申し上げておりますように、今、コンビニエンスでの 薬局併設という展開としては大きく2つ進めていることがございます。  1つは、先ほど申し上げたとおり、薬局の経営者の方に、ローソンあるいはセブン− イレブンに加盟していただいてオーナーさんになっていただくという方法がございま す。  2つ目は、調剤薬局さんとの併設という形式でございますが、これは実は調剤薬局そ れぞれの専門店のチェーンがございますので、こういう方たちと一緒に同じ店の中で構 えますけれども、別々に経営をしていきましょうと、こういう形態で展開しているとい うことでございます。  実際にこれらは消費者のそういう利便性というものを考えて併設をしてきているとい うことでございまして、この両方のケースで進めていきたいということをやってござい ます。しかし、今申し上げたように、調剤薬局さんの方につきましては、経営形態が全 く別ということがございまして、一方のローソンが24時間営業をしているから、こちら もやってほしいというわけにはなかなかいかないというのが実態でございます。ですか ら、ここについてはどうしても先方さんとの兼ね合いが出てくるという問題が一つ出て おります。  そして、もう一つの薬局屋さんに経営していただくという方式でございますが、これ も24時間営業に切りかえていきたいということはございますが、実際に深夜の時間帯に きちんと薬剤師さんを配置していくということになりますと、今のコンビニエンススト アの経営の状況を考えていきますと、それではなかなか採算ベースに合っていかないと いうところがございまして、その辺が我々としても非常に悩みが深いところでございま す。  井村部会長  ありがとうございました。  ほかにございませんでしょうか。  増山委員  4つあるんですけれど。  まず、今お答えいただいた伊藤さんに質問ですが、先ほどの御説明では、ちょっとし たけがや病気のときに、それに対応できるような医薬品を想定しているとおっしゃった のですが、きょうの意見書の中には、鎮痛剤とか風邪薬あるいは胃腸薬といったものが 入っていて、これはかなりリスクが高い医薬品に入ると思うのですが、先ほどのお答え と少し矛盾を感じたので、それについてどう思うかということが1つです。  それから、これは皆さんにお聞きしたいのですが、皆さん、有資格者が販売してほし いというお考えだと思うのですけれども、では、その有資格者と一口に言っても、今こ の議論の中では、有資格者の資格の新設という話も出ているんですね。試験やそのプロ セスで、もう少しリスクの低いものが売れないかという話が出ているので、そのことに ついてお伺いしたいと思います。  3点目は湯浅さんにですが、SJSの患者会の中で、旅先で薬を買われて、それが発 症の原因になったというケースは難しいと思うのですが、その販売源の方は、その薬が 原因だということをその後で知るのか知らないのかということをお伺いしたいと思いま す。  4点目は瀬戸さんにですが、私は聞き落としていて間違って理解しているかもしれな いのですが、有資格者が確固たる責任の中で、プロ意識の中できちんと医薬品を売られ なければならないということは、本当にそうだと思うのですが、ただ、この会議の中 で、無資格者が売っているというよりは、資格のある人の指導のもとに無資格者が売っ ているというふうに置きかえることができると思うのですが、専門家が売るべきだと言 っていても、実際は専門家がいる場でそういうことが起きているわけですよね。それに ついてはどういう方法で是正できるのか、何かお考えがあればお聞かせいただきたいと 思います。  井村部会長  それでは、最初に伊藤さんからお願いいたします。  伊藤(日本フランチャイズチェーン協会)  それでは、1点目のことについて御回答させていただきたいと思います。  解熱鎮痛剤あるいは総合感冒薬についてはリスクが高いのではないかというお話でご ざいました。今、私たちの方で要望させていただいているのは、基本的にはこれは部外 品に移行ができないかということを考えているのですが、今の商品をそのまま移行する ということではなく、リスクの部分をどう取り除いてその効果が持てるのか、こういう ことも含めて検討していただきたいという要請でお話をさせていただいたつもりでござ います。今のリスクを負ったまま、例えば「バッファリン」をそのまま成分を変えずに 医薬品外にしてほしいという要請ではないということでございます。  増山委員  今のことで、薬事法上、資格のある人がきちんと売るということにはなっていると思 うのですが、その中でもたくさんの副作用情報というものが寄せられていたりしますけ れど、もともと医薬品というものは利便性を追求する商品とは異なる性格のものではな いかということがこの中で随分議論されたのですが、どのように安全が担保できるかと いうのがちょっとよくわからないので、そこをお答えいただきたいと思います。  伊藤(日本フランチャイズチェーン協会)  今のようなお話というのは、今までのこの医薬品が医薬部外品に移行してきたという 流れの中の一つのものだと考えておりますが、実はそれについては私たちの方も、専門 家の方たちがいろいろな角度から分析をしていただいて、基本的にはこれは医薬品を部 外品に扱ってもいいだろうという判断をされてきただろうと認識をしてございます。で すから、こちらについては私たちの方でどうのこうのというレベルにはないと考えてお りますし、そういう危険性というのは十分に承知しているつもりでございますので、そ ういう点では、やはり専門家の方たちが十分に検討していただいた上で判断していただ ければと思います。  井村部会長  2番目の御質問については恐らくたくさん意見があって、差し当たって収拾できない かなと思うのですが、瀬戸さん、どうぞ。  瀬戸(医薬食品情報研究所)  これは私が現場の方々とお話をして私なりに考えていることで私見でございますが、 統一試験における有資格者の資格内容、知識・能力については、今、薬剤師が持ってい る職能の中の1分野をまずベースにします。次に、薬種商さんという方々が各県で統一 試験があり、その試験の内容もベースに加えなければ意味がないと思いますが、それと 日本チェーンドラッグストア協会さんが年間の通信教育を今実施されておりまして、あ の部分をミックスするような形になりますけれど、まずベースには薬理学と薬物動態学 まではある程度覚えていただかなければいけないところから始まって、OTCはほとん ど総合や複合になっておりますので、薬学の中では総合のお薬のあり方についての勉強 が疎かになっている−−と言うと失礼かもしれませんが、そういったものをメーカーさ んに協力させた上で、そういう知識と副作用とそれに対する情報提供というものをメイ ンにした内容で、それともう一つは、消費者のニーズに合った形にいくと、今、「健康 日本21」という国民運動を実施しておりますが、健康という概念を認識して生活習慣病 の予防もあれば、健康食品被害がこれほど出ておりますので、健康食品と医薬品の相互 作用も含めた総合的に包括した知識を要求する形の試験だと私は考えております。  もう一つは、お薬の販売テクニックについては、それは個々でやってもらえばいいの ですが、4番目の内容についてむしろ答えてよろしいでしょうか。  井村部会長  どうぞ。  瀬戸(医薬食品情報研究所)  現状、資格のない者が販売せざるを得ない実態にあるのですが、私は、あるドラッグ ストアさんで実習などもよくやるのですけれど、資格者−−その場合は薬剤師ですけれ ど、薬剤師が横についた形で、従業員さんがお客様に接するときに、「私は今研修中の 人間なので、この程度の内容までしかお答えはできませんが、よろしいですか」という ことでロールプレーイングさせたりもします。  その後で、薬剤師さん、もしくはお店によっては薬種商さんがいらっしゃいますが、 そういう方々がバトンタッチをするタイミング、そして受診をお勧めする場合にはその 有資格者の方がするようにということで、その辺は連動させていますが、これは少し余 裕のあるところでなければ企業としてなかなか難しいのですけれど、そういうロールプ レーイングを過去も今もいくつかでやっております。そうやって育って、実習し、それ で試験を受けるという段階を踏むような形を私の中では考えておりますけれども。  井村部会長  ありがとうございました。  湯浅さん、どうぞお願いします。  湯浅(SJS患者会)  最初にSJSを発症した患者のことを薬局が知っているかということで、私たちには 医薬品副作用の救済制度というものがありまして、薬局で購入した薬に関しては販売証 明書というものが必要でありまして、先ほどの家族旅行をしたという患者に関してはま だ3年しかたっておりませんので、発症した後、救済制度を利用するに当たって販売証 明書を書いてもらいに行っているので、それは知っていると思います。  こういった例もありまして、先ほどの漢方の、普通に売られている葛根湯が入ってい るアンプルですが、発症した後に販売証明書を書いてもらいに行ったときに、「この薬 はうちで取り扱っていない」と言われたケースもあって、非常に困ってしまった例もあ りますが、それは実際に飲んだ箱とか瓶などを提出すればそれに代わると、最近、機構 で言われていますので、そういうものを利用したわけですが、10何年前に発症したケー スもありまして、その場合は恐らく知らないと思います。  それから、ここでいろいろ言われておりますが、世の中は緩和の方向に向かってい て、一般がそれになれてきてしまって、本来の薬というものをきちっとわかっていない 人が多いと思います。うちの患者会でも、薬を買うに当たって、相談しなかったのは、 薬店で売っているからそんなに強い薬じゃないだろうとか、先ほどおっしゃいましたけ れど、総合感冒薬は何種類も入っていて、その一つに私たちは感作してしまったという こともあって、何種類もあるということは非常に危険なんですね。  この薬を使うに関しても、どれを避けたらいいかということも出てこないし、この 間、医薬部外品になった「トローチ」に関しても、うちの会員の息子さんが「トローチ 」で薬疹が出て2日ぐらい入院したというケースもあって、今後、一般が買うときに、 「部外品だから安全だろう」とか、「薬店で売られているから、医者でもらうよりは軽 いんじゃないか」とか、そういう間違えた考えをしてしまっているのをもとに戻すため にも、規制を強化してもらうのがいいと思っています。  有資格者というのはもともと薬学部を卒業しているわけですから、薬に関してはやは り勉強していなければいけないことであって、それからさらに資格を別に設けるとか、 そういうことは全然必要ないと思います。そんなことをやっていたらどんどん収拾がつ かなくなるので、やはり原点に戻って、それがわかっていないなら、きちっと薬学教育 の上で全部教育を徹底的にし直すべきであると思いますので、そういうことを考えてい ただきたいと思います。どんどん新しい方向にとかそういうことは考えないでもらっ て、薬と一般と、そして薬剤師と、そういうことを改めてもとに戻って考え直していた だきたいと思います。  井村部会長  ありがとうございました。  増山さん、一言ありますか。  増山委員  いえ。  井村部会長  2番目の質問につきましては、皆様方から御意見を伺うにはもう予定の時間が来てし まっておりますので、ここでは省略させていただきたいと思います。  ほかに特に御質問はございませんでしょうか。お医者様の方からございますか。  高橋委員  瀬戸さんの発言が非常に活発な議論の原動力になっているように思うのですが、要 は、資格のない人間が物を売るのはおかしい、有識者をちゃんと定義して確保してほし いという御意見だと思います。その一方で、いろいろなところで薬局がないと僕らは困 りますので、十分な数の有識者の確保もできないようなルールをつくっても仕方ないと 思うのですが、私はその答えを持っておりません。瀬戸さんの話をお聞きして、例え ば、薬剤師の方は現場においては素人と同じだというのは、それは私どもが、医者の免 許を持っていても、若い医者は素人と同じだと御批判を受ける場面に非常に似ていると 思うのです。それでは彼らが素人と同じかというと、そういうことではございません で、素人を連れてきて教育すれば若い研修医と同じことができるかというと、そういう ことでもございませんので、大変難しい問題だなと感じました。  例えば、私は小児科医でございますが、小児科医が足りないということはもうどなた も御存じだと思います。小児科医になるためには専門試験に通らなければいけないので すが、これは医者の免許をとってから5年間の小児医療に携わって、そして試験を受け て、合格した者だけが小児科医になれるんです。ところが、そんなものではとても追い つかないと。では、ここでルールを改正して、ほかの科のいろいろな勉強はしなくてい いから、小児科に特化した別の資格をつくろうかと、そういうことにはなかなかならな いと思うのです。医学部で勉強した後に、やはりそれなりの経験を積んで資格をとる必 要があると我々は思っています。  ただ、今の議論の薬の販売における有資格という概念が、そういったものに例えてい いものかどうかということについて、私はまだ答えは持っておりませんので、ぜひ御意 見を伺いたいと思います。  井村部会長  できるだけ簡単に御意見をお願いします。  瀬戸(医薬食品情報研究所)  薬剤師の薬学教育が6年制になるときに、当然のことですが、これから医療が高度に 進めば進むほど薬剤師は臨床の方に職能としてはかなり進んでいかなければいけないだ ろうと思います。それがまず一つありますね。ということは、薬剤師免許というのは普 通免許だと思うのです。そこから各研修や専門領域の勉強をし、経験を積んで、それぞ れの分野で活動すべきだと思います。  ですから、OTCを販売するというのも一つの職能として認識して、選択肢の中の一 つとしてとらえられて、そこで研修と実習をやりさえすれば、素人が勉強するよりは随 分早いうちに、私は大体半年かけて毎月1回ずつ教育していますが、そういう形で十分 間に合います。ですから、選択肢の一つの中にきちっと取り入れるべきでしょう。薬学 教育の中にも、カリキュラムの中にそうものも落とすべきだと思います。そして、その 後、免許をとった者が自分の意思でどれを選択するかという、その選択肢のないところ で薬剤師の免許だけで店頭に出てこられるというのが私は非常に困ると言っているだけ で。  そして、人数をたくさんつくってほしいということですが、例えば、今、薬種商の方 は1万 5,000人ほどいらっしゃいますし、毎年試験も行われておりまして、薬剤師も薬 学部はかなりふえております。どれくらい出てくるかよくわかりませんけれど、人数的 には、店頭における研修をクリアすれば、職業選択の自由ということもないですけれ ど、そこでまじめに資格をとりたいという人材がこれから集まってくれば、全国的には 最低でも10万ぐらいの有資格者を輩出できるところまで10年かければできるのではない かと思います。  それで、今、チェーンドラッグストア協会はそれに近い形で団体として努力されてい ますが、そういうことを考えれば、私は、一つの方向性として、専門職として育てるべ きではないでしょうか。薬剤師も選択肢の一つの中にそういうものを取り入れるべきと いうことを常々思っております。  井村部会長  ありがとうございました。  もうお一方、望月委員、どうぞ。  望月委員  薬学教育における薬剤師の教育のありようが大分議論になっておりますので、教員の 1人として、現状と今後について一言申し上げておきたいと思います。  先ほどから瀬戸さんが御指摘のように、これまでの薬学教育においてOTCの教育と いうのが十分に行われてきたとは私も思っておりません。ですから、今現在、直ちにO TCに特化した薬剤師が出ていくかというと、そういうわけではないということはある と思います。  ただ、先ほど児玉委員がおっしゃっていましたように、これから6年制に向けて薬剤 師教育は随分変化しようとしています。先ほど、6年制になると病院での病棟活動に比 較的特化した教育が行われるのではないかという御指摘がありましたが、これは全くそ うではなくて、もちろん病院での実習も含めた教育というのは十分行っていきますが、 病院で行う実習が 2.5カ月に対して、薬局で行う実習も 2.5カ月という割合で、薬局で の薬剤師活動について決して重点を置いていないわけではございません。  OTCの教育に関しましても、薬局での実習の中で受診勧奨ができるという到達目標 が立っていたと思うのですが、医薬品の選択へのアドバイス、あるいは受診勧奨に対す る技能というのを到達できるという目標は立っております。そういう意味では、これか らもう少しOTCの部分に知識・技能を持った薬剤師が出ていくことになるだろうと思 います。  そこでなのですが、イギリスというのは、たしか最終学年で病院薬剤師のコースと薬 局薬剤師のコースと2つコースを分けて教育をしております。そういう教育の仕方をし ているイギリスですら、薬局で実習をしている学生さんは、オーバー・ザ・カウンター で患者さんに御説明をして、薬剤選択あるいは受診勧奨をする場に立っている薬剤師を 見ながら、「私は何年かたったらあのような活動をしたい」と言うんですね。  つまり、卒業したてですぐにその場には立てない。それで、「大体何年ぐらい経験を 積むと立てるのですか」と学生さんに聞きますと、卒業して4〜5年は少なくとも経験 が必要で、イギリスは卒業してから、AランクからFランクまでたしか薬剤師の資格が 分かれていて、徐々にそのランクが上がっていくのだったと思います。そのランクに合 わせて何ができるかというところの範囲があるようなのです。先ほど、卒業直後には役 に立たないと、これは先ほどの高橋先生のお話にもありましたように、医師でも薬剤師 でもそういうところはあるかなと。ある程度は卒後の教育もきちんと、それぞれの販売 をする立場の、その販売店なり何なりの責任者が教育をしていく部分も含めて必要なこ とかなと思っております。  井村部会長  ありがとうございました。  それでは、予定の時間を大分超過しておりますので、この辺でヒアリングを打ち切ら せていただきたいと存じます。  御意見を陳述してくださった皆様、どうもありがとうございました。  お忙しいでしょうから御退席いただいても結構でございますし、もしこれから先の議 論を聞きたいということでしたら、どうぞそのままおとどまりいただいても結構でござ いますので、よろしくどうぞ。  それでは、次の審議に入らせていただきます。  前回、論点24がまだ議論の最中だったかなと思うのでございますが、その続きを行お うかなと思いましたけれど、前回、その論点につきまして、きょうお配りした資料1− 2の5ページ以下に、委員の皆様方がどういう意見をお出しになったかということが書 いてあります。個別の医薬品につきましての消費者への情報提供のあたりを中心に御議 論いただいたと思っております。  資料1−1の19ページを見ていただきますと、そこに論点24というのが載っておりま して、(1) から次のページの(4) まで項目が整理されております。そして、(1) から (2) ぐらいにかけて皆様方の御意見を伺ってきたのですが、残りました(3) と(4) に関 しまして内容を見てみますと、その件に関しましては、恐らく今でもかなりこの手の利 用はやっているのではないかと解釈できますので、特にここで御発言のお求めがなけれ ば、ここをスキップして先に進ませていただきたいと思いますが、いかがでございまし ょうか。  児玉委員、どうぞ。  児玉委員  1点だけ。20ページの(3) の医薬品の管理のところですが、これから医薬品の安全性 を担保するために、もちろん医薬品の有効期間から始まって、いろいろな管理をしっか りしなければいけないと。何を申し上げたいかといいますと、医薬品コードですが、 今、パッケージに医薬品コードがあるのですけれど、実態は非常にいろいろなコードが ありまして、我々も困るわけであります。それで、医療用医薬品、一般用医薬品、いろ いろな医薬品を扱う上でもそれぞれが違うコードを使ったり、そういったところをぜひ 今後、きょうは大山委員がもう帰られましたが、もう少しコードの統一をお願いしたい なと思います。  井村部会長  児玉先生、もし大山先生に伺いたいとしたら、どういうことだったのですか。実は御 退席になるときに、ちょうど傍聴席の方に助教授の山口先生がいらっしゃいますので、 もしどうしてもということであればお答えをいただけると伺っておりますけれど。  児玉委員  もちろん御専門でしたら実態を御存じだと思うのですが、いわゆる流通段階で、メー カーさん、卸さんから私どもの方に来るわけでありますが、そのコードが微妙に違うわ けなんです。  井村部会長  それを簡単に統一できるかということですね。  児玉委員  それはそう簡単にはできないのはよくわかっているのですが、できるだけしていただ きたい、その方向性を模索していただきたいということであります。  井村部会長  その辺は、恐れ入りますが、山口先生、いかがでございましょうか。  山口(傍聴)  コードの統一に関しては、技術を適用する以前に、それぞれの分野の実情に応じてコ ード自体を統一していただくことが必要で、システムの方ではその上で使うということ になると思います。  井村部会長  わかりました。当然のお答えで(笑)。児玉先生、それでよろしゅうございますか。  児玉委員  いや、それは当然のことなのですが。  井村部会長  それはしょうがないですね。要するに、テクニックの方はちゃんと用意されているの でということですね。いつも大山先生のお答えはそれに類したお答えだと思いますので (笑)、こちらでこういうことをしてほしいと言えば、大抵のことはできるよというの が大山先生のお言葉だと思っております。  それでは、もしよろしければ先に進ませていただきます。  次の論点は、21ページの論点25です。インターネット販売、カタログ販売及び個人輸 入の販売形態についてですが、事務局から簡単にこの点について説明をお願いします。  事務局  それでは、簡単に御説明を差し上げます。  論点25「インターネット販売、カタログ販売及び個人輸入の形をとった販売形態につ いて、専門家による情報提供の観点から、どう考えるか」  インターネット販売及びカタログ販売と個人輸入とに分けてございまして、インター ネット販売及びカタログ販売というのはインターネットを用いて医薬品を販売するとい うところですが、売り元は国内で許可をとっている人という形になってございます。一 方、個人輸入というのは、輸入とありますとおり、外国から手に入れるという形になり ますと、国内での許可はおよそとられていないということの違いがございます。  それぞれ共通して考えられるのが、専門家による情報提供の機会や内容が少ない、そ ういうものが余り期待できないのではないかということでございます。  個人輸入について簡単に御説明をさせていただきます。  事務局  個人輸入についてでございますが、21ページの(2) 個人輸入の形をとった販売形態と いうことで、個人輸入そのものについては、薬事法の規制が及ばないものであるととも に、専門家による情報提供が担保されていない、このような個人輸入のあり方について どう考えるか。個人輸入の手続の代行についてどう考えるか。このようなことが論点に なっております。  個人輸入につきましては、参考資料としては24ページの一番上に書いてありますよう に、輸入者自身が自己の責任において使用することが目的の場合におきまして、一定の 数量であれば、ここに示した手続によって個人輸入を認めていいということになってお ります。  また、後ろの方にパンフレットをつけさせていただいておりまして、個人輸入という のは基本的には危険なことでして好ましくないということ、また、危ないという注意喚 起を示した上で、個人輸入についての手続を示したパンフレットを御参考に配付してお ります。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。  それでは、委員の皆様方から御意見を賜りたいと思います。特にポイントは決めない で御意見を賜りたいと思います。インターネット販売、カタログ販売、個人輸入につき まして、何となく感じとしては、ない方がいいなという感じをもちろん皆さんお持ちな のではないかと思いますが、いかがでございましょうか。  児玉委員  今度こそ大山委員にお聞きしたいぐらいでありますが、この点につきましては前に私 も資料を出したわけでありますけれど、はっきり申し上げて、カタログ販売の範囲とい うのは決められておりますが、それが全く形骸化しているというのが実情でございま す。それどころか、どう考えても自殺を目的とするような、今それは非常に社会問題に なっていますが、そういう薬剤までも平気で売られているという実態は、皆さん御承知 のとおりですね。  加えて、数年前に、例のやせ薬と称した中国のお茶は、結局、医薬品成分が入ってい ますから、あれで随分お亡くなりになった、そのことが生かされずに、今回また同じよ うな事件を起こしているという実態でありますから、何とか歯どめをおかけいただきた いと思います。  これは個人輸入とは別々とはいいながら、どちらも同じケースが多いですね。個人輸 入も、専門家が自分の判断でと、本来はここに書いてあるとおりなんです。ところが、 医薬品に関してはこれも全く形骸化されているという状況でありますので、そこで先ほ ど申し上げたように、このシステムである程度の部分は供給はやむを得ないと思います が、その実態を押さえつつ、そういうことが管理できないのか。例えばある特定の医薬 品についての管理はできないのか。あるいは、よく増山委員がおっしゃるように、一方 通行でありますから、逆に副作用の出所などの管理も全くできない。そういうところは どうなんでしょうね。  井村部会長  難しいことで申しわけないのですが、いかがでしょうか。  山口(傍聴)  カタログ販売とインターネット販売で少し違うと思いますが、インターネットの場合 には全く管理されていない世界であるということが重要なポイントだと思います。その ときに、ネットワークを通じて、今、そのホームページを見たとしても、販売者がだれ なのかということが、そこに名前が書いてあったとしても、本当にその人が売っている のかということを確認できないというのが、インターネットの現状かと思います。  それに対しては、まず売る側と買う側が、お互いを本当に正しいものであるというこ とを認証するような技術があります。そういった認証をすることで、例えばある一定の 基準を満たすものについて認証されていることを消費者の側が確認をした上で利用する ことや、それが認証されているかどうかを監査することなどの手段は考えられます。  井村部会長  その認証するのは、だれが認証するのでしょう。  山口(傍聴)  それぞれの分野で、例えば、ここは薬局として許可されているということを認証する 場合には、薬局として許可されていることを確認できる母体が必要で、そこが認証する ことになります。また、ある団体に加盟をしているということを認証する場合にはその 団体が認証するということになります。実際に技術的には、そこが認証していることを 確認できる仕組みをネットワークの中につくり込むということになります。  井村部会長  それはできるわけですね。  山口助教授(傍聴)  はい。  増山委員  インターネット販売、カタログ販売、あるいは個人輸入でもそうなんですが、受け取 る際にそれを、輸送ではなく、きちんと専門家の、例えば薬店とか一般販売の窓口でそ れを受け渡して説明を受けるような形にできないかなということを考えています。  それから、特に個人輸入の販売方法についてですが、近年、サリドマイド剤が未承認 薬のまま大量に国内に流通したということで、マスメディアでも随分騒がれていると思 いますが、その中で本当に深刻な問題としてあるのが、未承認薬が個人の輸入という形 でどんどん入ってくることが、以前はインターネットを利用して購入するということは それほど一般的ではありませんでしたが、今はネットを使ってそういう情報を入手して 購入するということが、以前に比べてずっと容易にもなったと思います。  そういうことを踏まえると、私自身は、未承認なのに個人の輸入だったら買えてしま うということであれば、最終的には、医薬品の登録制度そのものを揺るがすような事態 にもなりかねないと思っているので、これはきちんと個人輸入という形を認めるのであ れば、必ず病院等を通して、その中で医者から診察を受けた上で輸入するという形をと るというような、全くの個人任せではない形に改めるべきだと感じています。  井村部会長  ありがとうございました。  行政の方では、これにはどのように対応しようとなさっているのか。もしよろしけれ ば伺わせていただきたいと思いますが。  植林監査指導室長  まず、個人輸入の件については、24ページに図がかいてございますが、個人輸入のと きに、一般の方が輸入者自身の自己の責任において使用するということで市販されてい る薬を購入されて、持ち帰ってこられるケース、あるいは荷物で輸入されるケース。そ れから、例えば海外に一定期間在住をされていて、お医者様の治療を海外で受けられ て、それで途中で帰国する際に、お医者様の現地での処方なり指示に基づいて処方され た薬を持ち帰って、継続的な治療として日本で使いたいということで持ち込むケース。 また、24ページの図の上から2段目のところにありますが、医師等が自分の患者さんの ためにどうしても必要であるという場合に、治療上の緊急性もあり、国内に代替品がな いということで、どうしても輸入をする必要があるケース。そういういくつかのケース のパターンがあるわけでございます。  それで、例えば、一般用の医薬品で明らかに自分で使う範囲の量であろうということ から、実際、税関で関税法という法律において薬事法の違反がないかどうかということ のチェックをするわけでございますが、明らかに自分が使う量の自分の薬を持って入国 されるということで、一般用医薬品のケースでありますと2カ月分以内の数量であれ ば、それは特に通関の手続を必要とせずに、そのまま税関限りで通関して構わない青ラ ンプの方を通って構わないということになるわけでございますが、それがもし2カ月分 を超えて多量な場合には、これが本当に自分の疾病の治療のために用いるものであるの かどうかということで、他人に譲渡・販売をする目的を持っていないかどうかを証明す るために、地方厚生局の方で行っておりますが、薬監証明という手続をとるということ で、一般の方がお薬を持ち込む場合には、この2カ月というところが指標になって手続 が違ってくるということになってまいります。  また、お医者様が外国から薬剤を入手されるという場合には、全部右側の薬監証明の 手続になるわけでございまして、日本でどうして承認を受けていない薬剤が必要になる のかということに対して、患者さんに必要な数量だけどうしてもこの荷物が必要である ということの輸入手続の報告をいただきまして、その報告が妥当であるということを地 方厚生局で確認したケースのみ薬監証明を発給して、その荷物を輸入して、お医者様が その患者さんのためにお使いいただくという形態になってございます。  それで、今、例示にもありましたサリドマイドの場合には非常に厳重な取り扱いが必 要であるということから、昨年の12月に適正使用のガイドラインを徹底する際に、お医 者様がサリドマイド剤を輸入される際にも、そういった厳重な管理がきちんとされると いうこと、あるいはガイドラインを遵守して御使用いただくということも確認しなが ら、この薬監証明という手続でもって確認した数量のみ輸入できると、そういうやり方 で運用されているところでございます。  個人輸入は、自己責任ということによって、販売譲渡がされるものではないというこ とが、法律の違反がないという観点から、現状、関税法をクリアするために、薬事法上 問題がないことの確認がこういう手続で行われているということでございまして、一般 の旅行者の方などには空港などでこういったパンフレットで御紹介させていただいてい ますのと、私どものホームページにもそういった情報を流させていただいておりまし て、特に平成14年、健康食品、あるいは健康食品と表していて実は無承認・無許可医薬 品であったものということの有害性などがございました。そういった点についての注意 喚起、あるいはそういったことで何か健康被害が疑われる場合には、医療機関あるいは 保健所で相談なり受診なりをしていただきたいという注意の呼びかけもさせていただい て、行政ではそういう情報をもとにフィードバックをするということ、あるいは製品名 の公表をするといった体制をとっておりますが、そういった注意なども含めて、ホーム ページの方にも掲載させていただいておりますので、安易な個人輸入は行わないように という呼びかけも含めて、ホームページを御利用いただければと思っております。  増山委員  1つ質問をしていいでしょうか。  井村部会長  はい。  増山委員  ちなみに、大体1年間でどれぐらいの量の医薬品が個人輸入で入ってきているのでし ょうか。  植林監視指導室長  24ページに申し上げたように、左側のルートの2カ月分以内ということの数量ですと 、これは実際の輸入における手続が実施できるかどうかという実効性から現状そうなっ ておりますが、2カ月分以内の数量であると事務的な手続はノーチェックで輸入するこ とができるというケースがたくさんあるわけでございまして、要するに、ここの部分は わからないと申し上げるしかないのが現状でございます。  松本部会長代理  規制当局にお伺いしたいのですが、毎日のように英語の迷惑メールが山ほどやってま いりまして、そのうちの半数ほどはバイアグラとかあのたぐいの医薬品なんですね。イ ンターネット・ファーマシーとかそういうものなのですが、日本の薬事法の適用として は、そういう海外からの、そして日本に居住している者に対する直接の宣伝勧誘行為 は、医薬品の販売行為というところではまだとらえていなくて野放しなのか、違法だけ れども規制のやり方がないということなのか、いずれなのでしょうか。  植林監査指導室長  薬事法におきましては、我が国では承認をされていない未承認無許可医薬品の広告と いうのは禁止をされております。海外から来ます情報サイト、あるいはホームページ上 に医薬品を揚げて購入できますよということで、これは違法性がある、薬事法違反に該 当するというケースに対しては、インターネット監視を私どももしておりまして、メー ルを受け付けるアドレスがありますので、そのメールアドレスに対して警告メールとい うものを発するわけでございますが、その発した先の相手が国内にあるのか外国にある のか、あるいはそういうサイトというものは絶えず変化をしているということで、いわ ば追いかけっこの状態にあるということでございます。  それから、先ほども御指摘がありました個人輸入代行という手続についても、個人輸 入代行といって個人が輸入をするということの手続だけ代行しますということが、ウェ ッブ上で示されているというケースもあるわけでございますが、それも掲載されている 内容を見て、これは不特定多数の方に広告宣伝しているということが認められる場合に は、インターネット監視における警告メールで、広告の違反に当たるということをこち らから警告させていただいておりますが、現状、なかなかそれだけでは鎮静化しない、 次から次といろいろな情報が流れておりまして、私どもも絶えず追いかけてはおります が、そういう状況であるというところでございます。  井村部会長  ありがとうございました。さしあたって、きちっとした対策がとれないようでござい ますが、これについてはこれから先もかなり問題が起こる可能性があるので、十分対策 をお考えいただきたいという要望をして、先に進ませていただきたいと思いますが。  児玉委員  今のお話のように、大変難しいのはわかるのですが、しかし、現実はそれで消費者は 大変な目に遭っているわけですから、何とかしてもらわなければいけない。  そこで、私は不勉強かもしれませんが、この前、国の方針として、自殺サイトとか爆 弾の製作とかということで、今、インターネットによるいろいろな社会問題が起こって いる。それを踏まえて、国として、この秋をめどに何か検討するということを聞いてい ますが、それはインターネットを使ったいろいろなものの供給全般だと聞いていますけ れど、その中にはこの問題は提起できるのでしょうか。  植林監視指導室長  インターネットの問題については、先般、山口の高校のケースのみならず、その前か ら、内閣府が各関連省庁に−−関連省庁も多岐にわたるのでございますが、そこを全部 招集いたしまして、関係省庁と連携をとった対策ということをさせていただいておりま す。それで、インターネットを通じての犯罪性なり違法性ということを、サイバーテロ 等を含めて、いろいろな形での社会的に有害な情報が流れているわけでございますが、 そういう有害情報の中に、例えば薬物の問題であるとか、拳銃などの取り扱いもそうで ございますが、そういう有害情報をどう排除していくかということの議論がされている ところで、水際対策ということもございますので、関係省庁と連携をとった対策という ことが討議されているところでございます。  森委員  今、違法サイト的なインターネットのことについては随分御議論があったかと思いま すが、例えば医薬品メーカーさんですとか薬局、あるいは一般販売業の店舗がホームペ ージとして立ち上げて、そこで医薬品を販売しているということがあります。本来許可 を持っているところがインターネット上で店舗によらない販売をすることについてどう 思うかということが多分カタログ販売と相通ずる部分があると思いますので、そこをち ょっと御議論いただけたらと思います。  井村部会長  森委員は、その辺についてどのようにお考えでしょうか。  森委員  行政といたしましては、国から出ている通知に従って業者を指導しておりますので (笑)。ただ、基本的には、本当に通知の品目だけなのかどうかということの確認がで きにくい。それから、増山さんも心配していらっしゃるように、双方向性をどう保って いくかということの問題もあります。店舗による対面販売が原則だという御意見がきょ う皆さん多かったわけですから、それを前提とした上でいつも使っているのだけれど、 きょう買いにいけないから注文するというものぐらいは、利便性という意味でやむを得 ないのかなと思うのですが、インターネット上で広く宣伝をして注文を集めるという形 の販売は店舗による販売ではないと思います。  井村部会長  ありがとうございました。確かにそういう感じがいたしますが、この点については特 に事務局の方からはないですか。  それでは、まだ議論をし足りないというところでしょうけれども、先に進ませていた だきたいと思います。  次は、25ページ、論点26の特例販売業についてでございます。特例販売業をどう考え るかということにつきまして、事務局の方から御説明がありますでしょうか。  事務局  それでは、論点26「特例販売業に関する調査結果」を御説明させていただきます。  専門家の関与がない特例販売業についてどう考えるかということでございます。先ほ ど織田課長からもお話がございましたが、特例販売業というものは医薬品の一般販売業 の中にも類型がございまして、さらにその中に大まかに3つ類型が分けられると。  卸売に関する特例として、医療用ガス類や歯科用医薬品を販売するもの、医薬品販売 業者のいない山間部−−先ほどのお話の中では、汽船など船酔いの薬を売るようなとこ ろ、そういった薬局などがないところに関する特例、もう一つは特産品として昔からず っとつくって売られている薬がある、そういうものに関する特例ということで、世の中 に3つ特例がございまして、参考の1.に、特例販売業に関する国会附帯決議とござい まして、「専門家の関与がない特例販売業というものは、極力新規の許可をなさざるよ う努力し」ということが、昭和35年、現行の薬事法の制定時ですが、その昭和35年から このような形の附帯決議がございまして、そういった方向で今も「極力新規の許可をな さざる」という方向で進んでおりますが、山間部など必要なところもこれまたあるとい うのが現状でございまして、そういったもののあり方については極力新規の許可をしな いという形で取り組んでいるところでございます。  現状としては以上でございます。  井村部会長  ありがとうございます。規制を強めていくということでございますが、何か御意見は ございますでしょうか。  私からちょっと伺ってよろしいですか。次の26ページの表に、「かつては周辺に薬局 ・薬店がなかったが、現在はある地域の店舗」ということで、 1,000軒以上の店舗があ るのですが、これはどのようになさるおつもりなのでしょうか。  事務局  これは恐らく、今、許可を持っていて営業していて、その許可をとった時点では何も なかったということだと思われまして、それが市街化が進むなどによって周辺に薬局・ 薬店などができてきたということになりますので、それを先ほど申し上げた薬事法の附 帯決議の趣旨からいいますと、これは新規の許可へ移転するとか、新たに開設するとい うものはもうしないでいくという方法になるかなと考えております。  井村部会長  今あるのはしょうがないと、そういう意味だと思いますが。  児玉委員  昭和35年の附帯決議があるという御説明をいただきました。本当にこのとおりであり まして、もう随分の年月を経ながらまだこれが残っているというわけでありまして、特 に、従来の特例販売業の精神からしますと、この中の離島・山間部・僻地の 1,210店 舗、そして強いて言えば旅客・船内の67ぐらい、ですからこの1万なにがしのある中 で、極端に言えばもうそれだけでいいわけでありますね。したがいまして、そういう方 向に行政としてこの附帯決議の実行を早くしていただきたいと思うわけであります。  それともう1点は、先ほどの議論の中で、新しい技術を使ったという中に、私はむし ろ、今の日本の中においては、離島・山間部・僻地といえど、むしろ逆にその新しい技 術を使えば、果たしてこの特例販売業というものは必要なのだろうかと、そこまで私は 議論が進んでいくのかなという気がします。  井村部会長  ありがとうございました。ほかに特に御意見はございますか。  よろしゅうございますか。  それでは、予定の時間もそろそろ参りましたので、きょうの審議はこれまでとさせて いただきます。これまで5回にわたりまして検討してまいりましたが、この論点につい ていただきました御意見を全体としてまとめて整理をさせていただきまして、それをつ くり上げて、今度はそれを皆様方にお渡しして、それに基づいて改めてトータルで審議 をしていただくということになるかと思います。  いつも申し上げていることでございますが、きょうの審議につきましてさらに何か御 意見のある方は、必要に応じて文書で出していただければと思いますし、また、次回の 検討項目につきましては資料をなるべく早く送らせていただきますので、事前配付の資 料につきましてもし何かありましたら、こちらの方にお申し越しいただければと思いま す。  それでは、今後の予定につきまして事務局から御説明をお願いいたします。  事務局  次回の第16回の部会につきましては、前回の部会で御案内を差し上げましたとおり、 7月8日・金曜日、13時より開催させていただく予定でございます。場所は未定でござ いますので、追って御連絡をさせていただきます。  なお、以前、6月末云々で調整をさせていただきましたが、開催しないこととなりま したので、御報告をいたします。  以上でございます。  井村部会長  では、次回は7月8日となりますが、時間が午後1時からということになっておりま すので、どうぞよろしく御承知おきください。  それでは、これをもちまして本日の部会を終了させていただきます。どうもありがと うございました。特に意見を陳述してくださった方々、本当に御苦労さまでございまし た。ありがとうございます。                                    −了−                 (照会先)                  厚生労働省医薬食品局総務課                  TEL:03-5253-1111(代表)                  担当:生田(2725)、目黒(2710)、石井(2713)