05/06/13 第6回医師の需給に関する検討会議事録              第6回 医師の需給に関する検討会                       日時 平成17年6月13日(月)                          15:00〜                       場所 厚生労働省共用第8会議室6階 ○矢崎座長  ただいまから、第6回「医師の需給に関する検討会」を開催いたします。委員の皆様 方には、お忙しいところをお集まりいただきましてありがとうございました。委員の出 欠状況について、事務局からお願いいたします。 ○医事課長  皆様ご多忙のところお集まりいただきまして大変ありがとうございます。本日は、江 上委員がご欠席です。 ○矢崎座長  本日の資料の説明をお願いいたします。 ○中村補佐  議事次第、座席表、メンバー表、資料1は事務局で用意いたしました「中間報告書 (案)」です。参考資料1は、吉村委員からご提出いただきました。参考資料2は、小 山田委員からご提出いただいた資料です。 ○矢崎座長  本日は、前回までの議論を踏まえた中間報告をご検討いただきます。これは、年度末 に予定しております、医師需給の定量的な分析・解析の結果についてはそこでまとめる として、いま喫緊の課題である医師不足に関して、どのような手立てがあるかを、いま まで5回にわたってご議論、ご提言をいただきました。  中間報告の議論に入る前に、資料をご提出いただいた吉村委員と小山田委員から簡単 にご説明いただきます。 ○吉村委員  私が提出した資料で訂正していただきたいところがあります。  1頁のいちばん最後の「専門」というところから、2頁の上1行と、2行目の「って 」というところまで削除していただきたいと思います。  4行目の、「大学病院の研修医の遅れに対して、諸要因が重なって初年度」と書いて ありますが、これは、導入前平成15年の研修先の割合が大学病院が「72.6%」、研修病 院が「27.4%」でした。  その次の、「わずかながら上回っており」というところから、「評価している」とい うのは、「上回っている」というふうに削除、訂正させていただきます。  次の「しかし」も取っていただき、その後の「さらに大学病院の立場から見ると」と いうところの3行後の「長期の専門家研修が不可欠であり、係る長期的視野を欠いた今 回の研修システムでは」と書いてあるのは、「専門研修が不可欠である」とさせていた だきます。  簡単にご説明いたします。1頁の1番は、既に皆さんにご議論いただきました、医師 の偏在がある。特に、地域の偏在、専門性の偏在、夜間の時間帯での偏在がある。  2番は、医師不足が顕在化した要因。1番の専門化、分化したインフォームド・コン セントなどで時間がかかる。医療安全、危機管理への対応。女医の増加、というのは決 して悪いという意味ではなく、女医が増加していることも1つの要因である。勤務医の QOLが低くて、開業医指向が非常に高まっていること。厚生労働省による勤務条件の 指導。新医師臨床研修制度の導入により、大学の医局員が減ってしまった。これに伴 い、専門医の養成システム、医師の派遣システムがうまくいかなくなったことが挙げら れるのではないかと思います。  3番は、医師の不足は、プライマリケアを担う診療医とともに、やはり専門の医師が 足りないのではないか。小児科、産婦人科、麻酔科、がん治療の専門医、心臓カテーテ ルの専門医、内視鏡、心臓外科といった高度の専門医療の医師が非常に不足してきてい る。ただ単にプライマリケアを担う、特に初期の研修医が増えたから、減ったからとい う問題ではないのではないかということです。  それから、プライマリケアを担う家庭医は2年の研修で育成されるものではなく、や はり5年、10年とかけて、他の専門医と同じようにしっかりした研修システムが必要で ある。しかも、これは1施設だけではなかなか養成できるものではなく、大学病院、あ るいは国立病院を含めた専門病院、地域の基幹病院、そして一線の病院をローテートし ながら、場合によっては海外留学や、大学院などの高等教育機関を経験しながら育成さ れるべきものではないか。  4番は、新医師の臨床研修制度です。この研修制度の趣旨は皆さん賛同しておりま す。幅広い分野における、基本的な臨床能力の習得、経済的な身分保障ということで す。ただ、研修先の病院が、この度指定条件が非常に緩和され、現在2,168施設になっ ています。その結果、大学病院から市中の病院へ研修医がどんどん出ていったというこ とです。  大学病院では、研修の経済的な限界もありますし、プライマリ教育ということで、大 学は専門医療中心であったことが重なり、先ほど数字を訂正いたしましたが、導入前は 大学病院で72.6%の研修医、そして臨床研修病院では27%。ところが、本年度は一般の 臨床研修病院で50.8%と大学病院を既に上回っている、ということです。  先ほど申しましたように、医師の研修は2年間で修了するのではなく、5年、10年に わたる地域の専門病院、総合病院との連携した、また、そのプライマリケアの研修を含 む、長期の専門研修をしっかりと構築しなければいけないのです。  5番は、医師の偏在、不足については、ただ単に入学定員を増やすことでは決して解 決されない。むしろ、新たに誕生した新卒の医師の研修、さらにそれに引き続く専門の 教育の課程で解決しなくてはならないのではないか。そのために、地域医療を包含した 研修システム、ネットワークの構築が必要ではないか。これがないと、抜本的な解決策 にはならないのではないかということです。  今回、新医師臨床研修制度が導入され、大学では医局の入局者が減っている。例え ば、研修医が20名以下しか入らないというのが14施設ありますが、名前は控えさせてい ただきます。いずれも地方の国立大学、ないし公立大学の病院です。5名、6名、7名 が2施設、9名が1施設、あと10名、13名、その他で、14施設は、研修医が20名しか入 ってこないということで、地方の国立大学では、医師の減少が顕著であります。  もちろん、研修医が減ったからといって、大学の医療が直ちに具合が悪いとか、ある いは地方の地域医療にかかわるというわけではありません。もちろん地域医療は研修医 が担っているわけではありません。しかし、これが長く続くと、しかも地域の偏在があ り、大都市は増える傾向にあることは出ております。大都市に移った研修医が、そこで さらに後期の研修をそのまま続けることになると、地方の国立大学、そして周囲の地域 医療が大変難しくなるのではないか。これは誰が悪いとかかれが悪いということではな く、医療界を挙げて、しっかり検討しなければならないのではないか。  特に研修医自身が、3年目以後のさらなる専門研修について大変不安を持っておりま すので、これを医師の需給検討会でやるべきかどうかわかりませんけれども、医療界を 挙げて検討していただきたいということです。 ○矢崎座長  続いて小山田委員お願いいたします。 ○小山田委員  資料を出すに至った経緯は、私ども自治体病院、特に地理的条件の悪い、民間病院も 少ない、あるいはないという所で、医師の不足、引き揚げということが、その地域の医 療を崩壊させつつあります。昨日もありました、一昨日もありました。NHKが、全国 のいくつかのブロックを「クローズアップ現代」ということで、とり上げていました。 そして、最後にはどの放送局でも、解決策はない、どうにかしてくれという声だけで す。  私どもは、何もしていないわけではない。しかし、できない面があるということで す。この検討会でもまだ、具体的な詰めがなされておりません。私どもは、そうした環 境にありながら、もう待っていられない状況に追い込まれております、もう活動します のでご理解いただきたい、国に対してもこういうことを要求しています、ということを 是非お話させていただきたいということで本日提出させていただきました。  全体としても医師の数は少ない。そこで、大学の入学定員をもう一度見直して、いま とられている削減策は撤廃する方向でやってもらいたいということが前提にあります。 とくに私どもが困っておりますのは、地域偏在と分野別の偏在です。地域偏在について は、いろいろな委員会からいろいろな提案を受けています。5年前から、私どもは各県 にある大学の定員の中に、地域枠をつくってくれということを要求したわけですが、よ うやく昨年からご理解を得て、今年度中に8つの大学にそうした姿勢を見せていただき ました。これについても、もっともっと増やしていただきたいということを、これから も要望していきたいと思っております。  ただ、同じ都道府県の中でも偏在が甚だしいのです。地域条件の悪い所に、いかにし て継続的に医師の供給をするか、あるいはそれらの人たちに働いていただくかというこ とになると、ある程度の義務化がないと誰も行かない、いくらお金を積んでも行かない という状況があります。これも、私どもは開設者、知事、市長、村長、議会等々の委員 会で云っているのは、最終的には住民の健康、生命に責任を持つ首長ではないかという ことをやりました。県単位である程度の人数を確保し、その方々の労働環境を良くしな がら、継続的に医師を確保する体制が必要だということですが、これがなかなかうまく いかない、いろいろな壁がありますが、これを国が主導的にあるべき姿を出していただ きたいと願っております。昨年から各県に、地域医療対策協議会がつくられました。し かし、この会も具体的なことになると、例えばこの地域に何人確保するといった、名指 した具体的な案を出している所は1県もありません、全部総論だけ書いてあります。そ れでは駄目なので、国として一定の基準を決めて、それを具体化したものを公開すると いう形でやっていかないとできない。是非それをやってくれ、ということをお願いして いるわけです。  これは何度もお願いしているのですけれども、17日に3省に参りまして、私ども3団 体が、私どもではどうしてもできない、国がそうしたものを国策として考えてほしいと いう要望をしたいと思っています。これは全国的な問題でありますが、その中でも産婦 人科、小児科については、一昨日もNHKでやったことですけれども、それぞれの学会 長と私、それから私の所属団体といろいろな会合を持ちました。どうしたらいいか、こ こで共通するのは、集約化しかないのです。そうした所での医療を確保し、さらに質の 安全を考えるとこれしかない。  しかし、これができないという現実があります。これについても、これら学会と医師 会、あるいはいま困っている所が集まる会を、国の指導で開いていただければ、すぐに でもこれは具体的な国としての施策については提言する用意があります。これを一日で も早くつくっていただいて、これを地方に流し、医療計画に具体的に明示し、その評価 を明確にしていただきたいということを要望していく次第です。  分野別の偏在についても、学会ができるか、大学で調整できるかというと、いろいろ な大学関係、学会の関係をお聞きしましても、現状では調整は無理だということがわか りました。国の権力でやるというのは望ましくないのですけれども、我々もギリギリの 立場に立たされますと、国として一定の明確な国策を出してとらなければならない、と いうことでお願いしているわけです。  麻酔科については、麻酔科学会長と、私ども協議会の中でいろいろな検討会をやりま した。麻酔科では、ナース・アネシェティストは駄目だ、看護協会も駄目だというのは よくわかります。それではどうするかということになると、麻酔科学会と、私どもの所 から出た答申によると、現在1万5,000人いる標榜医を活用する方法があるのではない かということ。  もう1つは、麻酔専門看護師とは違った形での、麻酔補助師という初めて出た言葉で すが、そういう方に看護師あるいはME、あるいは薬剤師といった方々にある程度の基 礎教育をやった上で、介助をしてもらうといいということが出ております。いろいろな 提言がありますが、他職種から私に言われているのは、医師の中で解決できるのではな いか、標榜医をどうして使えないのか。これは、いろいろな学会とも相談いたしまし た。それは、麻酔学会もよくわかっていますが、大学、あるいは学会関係、とくに外科 学会は中々理解してくれません。  そうしたことからすると、私どもとしては麻酔医の労働の軽減をどのような形で、関 連する診療部門の他職種が、どのようなサポートをすればいいのか、パートナーシップ をどうしたらいいのかについて苦悶しているところですが、なかなか解決のできないと ころであります。これは、私どもが国にお願いすることではない。私ども自治体病院自 体で、そうしたことを解決しなくてはならないのではないかと考えております。  以上申し上げましたことは、いままで私どもが国に対してお願いしてきたことでもあ り、今後も強力にこれを進めていく考えです。これまで申しましたことは、国のすべて の組織がこうあるべきだとか、すべての大学がどうだということではありません。最低 限、いま私が私の職場で、そして地域医療でいま崩壊しつつある医療について、民間病 院も少ない、ない所で医療が崩壊しつつある所について、最低限やればできることをお 願いすればできるのではないかということを、お話させていただいた次第です。ありが とうございました。 ○矢崎座長  いまのお2人のご意見、過去5回のご意見も含めて中間報告、即ち「医師の不足感解 消のための緊急提言」という中間報告を検討してまいります。初めに、全体の説明を事 務局からお願いいたします。 ○中村補佐  資料1「中間報告書(案)」です。こちらは、前回、前々回と事務局で骨子案を提出 させていただき、委員の皆様にご議論いただきました。その議論を踏まえ、骨子案を文 章化したものとお考えください。  タイトルの中に、「医師の不足感解消のための緊急提言」という文言を入れておりま す。中間報告書(案)では、「1 はじめに」ということで、どうしてこの中間報告書 を出すに至ったかを説明いたしました。「2 医師の需給に関する現状についての議論 」ということで、1頁の下から2頁の上に(1)(2)という大きな2つに分けられるのでは ないか。(1)「現状で、患者及び医師の双方から見て、医師は不足していると感じられ る場面が多い」ということですが、この原因として需要側の変化と供給側の変化と大き く2つに分けられるのではないかと考え、1番で「需要側の変化、2番で「供給側の変 化」と書いております。  3頁で「当面の対応策」というのは、いままで委員の方々からご指摘いただきました 点を踏まえ、5頁の次に別紙という形で「当面の医師確保対策」ということで2頁あり ます。地域偏在、診療科偏在の2つに関しては、別紙という形で今回はまとめておりま す。  4頁は「今後の検討課題」ということで、労働法規、女性医師の就業のマルチトラッ ク化など、こちらも委員の方々からいただきましたご意見をまとめております。 ○矢崎座長  この全体を討議することも考えられますが、この間、そもそもの本文についてもう少 し十分記載したほうがいいのではないかというご意見をいただきました。本日、本文を お出ししたわけですが、これについてご意見はございますでしょうか。内容がたくさん あるので、ご議論は難しいと思いますが、初めに本文についてご意見をいただき、また 追加のご意見があれば事務局にいただくこともお考えいただいて、本日コメントできる ところはコメントをいただくと同時に、別添の資料にある「当面の医師確保対策(地域 偏在の解消について)」ということと、「診療科偏在の解消について」を少し議論を進 めていきたいと思っています。1頁から5頁にわたる、現状の認識についての話と、当 面の対応策、今後の検討課題と分かれております。 ○水田委員  このタイトルですけれども、「医師の不足感解消」というのはどういう意味でしょう か。不足はしていないけれども、不足しているような気がするという意味ですか。 ○医事課長  2の医師の需給のところで、1頁の下のところに「今後最終報告書に向けて、定量的 な調査・分析を行っていく」ということですので、いま現在不足しているのかどうか。 実際にいま全体として不足しているかどうかというのは別にして、この地域偏在と診療 科偏在の話は、委員の意見にも出ておりましたので、緊急的にそこをやろうということ でこういう書き方をしております。 ○小山田委員  それにも関係するかと思いますが、これまでの委員の方々のご意見、国の話からし て、現在、医師は不足しているという認識では一致しているということは言えないので すか。できたら、その確認を委員の方々にお願いしたいと思います。  医師数が、足りているのだということであれば、また議論をしなくてはならないと思 うのですし、不足だということであれば、そういう方向で議論すべきだと思います。 ○医事課長  不足ということになると、ここにも書いてありますように、定量的な分析をして、ど れだけのニーズがあって、それに対して何人なので、何万人分不足しているとか、何万 人分過剰になっているという議論をすべきだと思うのですが、今回はいまの時点でそこ までできておりません。  ここで出ている議論の多くは、少なくても特定の分野では足りないのではないか。特 に、大学をはじめ病院の医師は非常に忙しそうにしている、という議論はずっとありま した。そこから、オールジャパンとして、いま医師が不足しているということを言切る だけの根拠となる定量的な数はまだ出ていないのではないかと思っています。 ○吉新委員  前回の検討会に出ていたものの1人として、前回は、大元の医学部の定員を議論した わけです。前回も今回も同じだと思うのですが、総量はあるのだと思います。都会には たくさんのドクターが余っています。私は、大都市で開業している仲間がいっぱいいま すが、ドクターストリートではないですけれども、たくさんの開業医がいるような町が 日本の中にもたくさんあります。  総量の議論をするのであれば、その前のデストリビューションをどのように分布する かということを、この検討会が権限を持つかどうかわかりませんけれども、しかるべき 組織がそういう権限をある程度持つという議論をしないと、総量の議論を出してしまう とおかしいと思うのです。  いま現在は、小山田委員がおっしゃるように分布がおかしいのだと思います。総量も 足りないかもしれませんけれども、短期的にはそういうことも必要かもしれませんが、 分布をどうするかという議論をある程度しなくてはいけないのではないかと思います。 ○小山田委員  そのとおりなのですが、その前提として、世論などからして不足だというのが多いの ではないか。いや、不足ではないかもしらんという方があったら、そういう議論から始 めなくてはならない。なぜ間に合っているのかという全体、例えば、これは長谷川委員 から講義をいただきましたように、国際的な感じ、そうした総数からすると、何をもっ てあれかということはありますけれども、そうしたものも感覚ではなくて1つの尺度で はあります。そうした面も含めますが、いま私自身はこの検討会の意見、他の職種から のこと、国際的なものからすると、医師が不足だという認識がほぼあるのではないか。 多いのだ、これでいいのだというご意見があれば、そこからまた議論がないといけない と思います。  それからいまの問題は、先ほどは私の立場、しかも地理的条件の悪い所ばかり言いま したけれども、それは地域だけではなく、全国的な問題です。これは具体的な面で意見 を出していただきたいと思います。 ○土屋委員  デストリビューションの問題をもう一回分析すべきだ、というのはおっしゃるとおり だと思います。現在、偏在しているということについては、絶対数が足らないのかどう かということを別にして、絶対数は足りているとするならば偏在という言葉でいいので しょうけれども、この際、地域における医師不足は、場所によっては確実であります。  地域といいましても県単位、都道府県単位、その下には郡市区単位があるわけですけ れども、いずれにしても地域によっては不足しているというのは現実です。不足してい ない所もあるかもしれませんが、この際、地域における医師不足対策といいますか、地 域における医師不足対応策についての緊急提言ということで、皆さんのご意見を集約で きるのではないかと思います。 ○山本委員  医師の総量不足に関しては、確かにいまの時点ではエビデンスがないのかと考えてい ます。この問題は大事ですから、いずれこの答えはきちんと出さなければいけない。現 在、総量不足に対して何かできるのかというと、緊急的にやる対策はないわけです。  学生を増やすとか、そういうことになってきます。その場合には、本質的に医師が全 体として少ないかどうか、という議論は別にやらなければいけないと思います。現在は 確実に偏在があるということ。不足という点では、これも偏在と一致しますけれども、 例えば麻酔科の医師は絶対に不足している。ある地域においては医師が不足している、 というのは確かなことだと思います。  そういう意味でこのタイトルは、「医師の偏在・不足解消のための緊急提言」といっ た言葉に直したら、ここの文章は生きてくるのではないかと思います。 ○古橋委員  私も同じような感覚です。最初に読み上げられたときに、「感」の字はいいのかと思 いました。皆様と同じように、総量で過不足状況はどうなのか、というデータ的なもの の大規模調査はできていないとしても、この検討会のいろいろな現状の認識、現実的場 面や事態から不足の状況がある、ということは確認できたわけですので、不足状況に対 して解決が要るのだ、ということの意思表示は意向決定というか、方針決定というか、 意見の集約は声を大にしてきちんと固めていく必要があると思います。  私も、いま山本委員からご意見のありました、「偏在・不足」、あるいは「不足状況 解消のための」という言葉のほうが、「不足感」よりは妥当ではないかと思っておりま す。 ○長谷川委員  2点申し上げます。私の話の引用もありましたので、誤解のないように申し上げたい ところがあります。確かに2000年代に入り、国際的に医師の不足感が高まり、多くの国 々で需要の見直しが行われているのは事実です。その理由の大半が日本にも当てはまる のですが、一部当てはまらないところもあります。私が申し上げたのは、全体的な数と しては、もう少しきちんと分析をし、調査をする必要があるということです。したがっ て、現時点ではインコンクルッシブということです。  2点目は、現在は不足がないのかというご議論に対してです。研究の一環で、学会と 学校にアンケート調査をいたしました。その結果、不足しているとはっきりいった学会 と、過剰とはっきり書いてありましたから、ここの文章を「医師の偏在」はいいと思う のです。「不足」といってしまうと、すべて不足となってしまう可能性があると思いま すから、私の提案としては、特定の地域では過剰の地域もありますから、「特定の地域 ならびに診療科における不足」というのが正確な言葉ではないかと思いますがいかがで しょうか。 ○矢崎座長  いまの皆さんのご意見で、長谷川委員の出された題に変更させていただきたいと思い ますのでよろしくお願いいたします。そのほかについてはいかがでしょうか。 ○古橋委員  2頁は、「需要側の変化と供給側の変化」の2つに整理されていますが、現場的に見 ていると、例えば医学の進歩により、手術の適応というものに大変幅が出てまいりまし た。そうすると、供給する側では、ここの言葉にはあるのですが、医学の高度化とか多 様化により医療の内容が増幅してきている部分があると思うのです。そういうものは、 どこに謳われていくのかと思います。  需要側から見ると、A)のところには高齢化でこういうことが起きている、B)のと ころではチームで医療を行うからこういうふうになっている、ということが書かれてい ます。例えば、手術件数が非常に増えてきて、麻酔医の絶対数も増えているのに、やは り総体的に不足状態が急激に起きてきたことを考えると、医療の質・量が非常に増大し てきているという辺りが、どこで読み取れるかと思ったのです。その辺りはいかがでし ょうか。 ○医事課長  古橋委員のお話でいきますと、本来そこは供給側のほうに書く話なのかと思っていま す。いまの感じだと、需要側の@)−B)のところが高度化、専門化、細分化でチーム 医療のことだけ書いているのですが、ある意味で高度化のところは、古橋委員がおっし ゃったように、すべてをチーム医療にだけ結び付けるというのはちょっと違うのかと思 います。それと、供給側のほうで書く話なのか、それは検討したいと思います。 ○矢崎座長  量的、質的、全体的に増加しているということを加えてほしいというお話だと思いま す。 ○水田委員  2頁の供給側の、A)とB)は大学院大学の入学定員が増えたから、医師が臨床に行 かないというけれども、大学院を終わっても臨床に行く人もいるわけです。そこのとこ ろを、このような書き方をするといまの医学教育が悪いようになってくるので、それは ちょっとおかしいのではないかと思います。  B)の「いきすぎた専門化」というのは、ちょっと言葉が言いすぎではないでしょう か。そこまで言わなくてもいいのではないかと思うのです。 ○吉新委員  昭和61年の医療法の導入で、地域医療計画でベッド数が規制されました。ベッドが規 制されて、既に持っている人と持ってない人がいました。日本では中小病院で、どちら かというと療養型に近いような病院もたくさんあるわけです。  新しくドクターになって入った方々には、そういう病院を持つという機会は全く失わ れているというか、中小病院で地方の自治体病院などは拡大することがなかなか難しく なってきて、そういう意味ではポスト不足が総体的に起こっているのではないか。魅力 あるポストが、若い人たちにとってあまりない。その裏返しが、専門医に早くなって開 業することにつながっているのではないかという気がするのです。ベッド数の総量規 制、及び病院の新規参入が事実上不可能であるということが、今日の1つの大きな背景 にあるのではないかと思うのです。  かつて医療法を作ったとき、自治医大の前の学長の中尾先生が、「君らの時代はもう 病院が持てない時代が来たぞ。だから大変だね。新しく事業を起こすということは、こ れからは不可能になるんだ」とおっしゃいました。そういう意味では、昭和61年の第1 次医療法の改正以降、随分大きく流れが変わってきました。  ベッド数の総量規制、新規の病院を設立することは事実上ほとんど不可能になったと いうことが、今日の背景のベースにあるのではないかと思うのです。そういう意味で は、供給側の変化のところに、ベッド数の総量規制で、ある意味では医師の選択肢が狭 まったというような、ちょっと適切な表現はできませんけれども、そういうことが書い てあってもいいのではないかと思います。 ○矢崎座長  先ほど、小山田委員から集約化という言葉がありましたがいかがでしょうか。 ○吉村委員  需要側の変化のB)は、供給側の問題とは違うのでしょうか。医療人側のほうではな いかと思うのです。もう1つ疑問に思いましたのは、いまここでは一言で「医師」とい う言葉が出ておりますけれども、医師というのは、勤務医も開業医も全部医師です。そ れから家庭医も医師ですし、いろいろ専門分化した医師もすべて医師です。勤務医の中 でも、大学の先生、国立の先生、がんセンターなどのセンター病院の先生、小さい所に 勤めている先生もみんな医師ということになっていますので、どの分野の、どの医師が 足りないのかということ。  いま話題になりましたけれども、特に開業の先生は十分なのでしょうか、やはり足り ないのでしょうか。それとも、勤務医が足りないのでしょうか。 ○土屋委員  開業医は、どんどん増えつつあります。病院医師が不足しつつあります。しかし、も っと山間へき地へ行きますと、一人医師の診療所すら、医師不足の影響を受けていま す。ですから、病院医師の不足ということを言ったらいいのかと思いましたけれども、 それだけでは言い尽くせないことがあります。長谷川委員が「特定の地域に」とおっし ゃったものですから、そういうことでいいのかと思って納得しました。大まかには、都 市部を除いた、周辺の地域の病院の医師不足、さらにもう少し先へ行くと、山間へき地 の診療所の医師不足、これは喫緊の課題の1つです。  いま、へき地・離島の医療確保の検討会を行っていますけれども、特定の地域は、ま さにそれも含めた、要するにへき地と同じ状況にあるのだという認識をする必要がある と思います。 ○吉村委員  本当のへき地の医師というのは幅広く診られる家庭医というジャンルの方だと思うの です。意外に近郊でも、例えば麻酔科とか専門科の医師が足りないということですか ら、それを一言で医師というと混乱するので、少し分けて考えたほうがよろしいのでは ないかと思います。 ○長谷川委員  いままでのご議論と、先ほどの委員のご議論で、まずは病院と診療所の医師が必要で す。私の分析によりますと、病院の医師は確かに地域保健計画以降増えておりません。 その分新しく卒業した医師は主に開業のほうにシフトしている状況があります。それに もかかわらず入院回数、病院の退院回数は増えております。しかも、単に数が増えただ けではなく、高齢化しておりますので、総体的な病院の入院の重みに対して、病院医師 の労働が重くなっているということがいえます。  一方、診療所のほうはなかなか微妙な課題で、多いか少ないか判定しにくいところが ありますが、まさしく地域的には偏在しているのは間違いないです。一方である一部の 診療科、あまり言うと具合が悪いかもしれませんが眼科などはかなり過剰であるという 状況はあると思いますので、一概に言えないところはあろうと思います。  病院に戻りまして、全般的に診療科を超えた分析はそうなっておりますが、一部の診 療科、端的には心臓外科、脳外科では医師が過剰であることは明確です。 ○泉委員  これまでの議論では、卒後臨床研修の影響についていろいろな委員からお話がありま したが、ここに明確には書かれていないと思います。卒後臨床研修の影響は、一般的に は入局が2年遅れたことにより、その分人が足りなくなったという説明もされますが、 むしろ指導に当たる10年目ぐらいの中堅の先生を大学、あるいは中核的な、大きな教育 的な病院に集める、という傾向が続いているということだと思います。  これは、2年経ったら解消されるという話ではなくて、そうした病院間の競争が激し くなればますますそういう傾向が出てくるのだと思います。卒後臨床研修による、医師 の働く場所の変化ということは、供給側の要因になるのか、地域偏在の理由になるのか わかりませんが、どこかに入れていただくべきだろうと思います。 ○長谷川委員  その点についてちょっと気になるのは、1年しかまだ経っていません。2年経つと専 門特化ということで、大学やそのほかの病院に再分布するということがあります。確か に現在は大学も大変でしょうけれども、もう少し見ないとよくわからない点があるので はないかという点があります。 ○矢崎座長  また、そこが読めないところで難しいですね。 ○池田委員  この中には、小山田委員が言われたように、特定の地域というか、自治体の中核にな る病院が、著しい医師不足を起こしているというところは、どうしても緊急に解決しな ければいけない問題が非常に多いと思うので、それは何かの形で書かなければいけない と思います。  それから、診療所の医師の数は確かに増えていると思うのですけれども、同じ診療所 の医師でも、9〜5時でかかりつけ医というか、その地域を支えるような開業の先生方 とは違った形の診療所の医師が明らかに増えている。我々も大学にいて、「どこかの地 域の病院を支えようや」と言うと、「それだったら、私はビル開業しますよ」と。この ビル開業というのもそれなりに役割はあるのですけれども、日本の医療全体にしてみる と、非常に困った問題というと言いすぎだとは思うのですが、そこのところは何かメン ションしておかなければいけないのかという気がしております。 ○水田委員  私がもう少し心していただきたいと思うのは、女性医師のことです。女性医師が増え ているから、全体として医師の仕事力がへって医師不足となっていると言われると、諸 悪の根源が女性医師というふうに取る人がいるわけです。女性医師が増えているのは事 実ですし、男性医師の割合が減っているのも事実でしょう。女性医師の中には妊娠や育 児のために100%医師の仕事ができない人もいることは事実ですが、その人達が医師と して100%仕事するためにはそれができるような環境の整備が必要であると書いて頂け ればと思います。 ○泉委員  関連で女性医師のところの記述ですが、2頁の(A)の@)のところの「出産・育児 による労働の一時的な中断等」とありますが、私がいろいろ聞いている範囲では、中断 する方はむしろ稀で、労働の仕方を変えて軽減するという形が多いようです。「中断等 」と書かれてしまいますと、辞める方が多いような誤解を受ける可能性がありますの で、明確なデータがないのであれば、少し書き方を考えていただきたいと思います。 ○山本委員  この記載の方法ですが、需要側の変化、供給側の変化と項目を立ててきちんと書いて あります。地域における医師の偏在の問題と、日本全体にわたって専門性という部分か ら見たら、東京でもどこでも足りないものは足りないということがあります。その辺は 多少分けてきちんと書いたほうがわかりやすいのかと思います。対策も検討しやすいの かと思います。その辺の問題がごっちゃになって、足りないですねという記載になって しまっていて、整理がちょっとしにくいかと思ったのですが、その辺はいかがですか。 ○矢崎座長  ここは、事務局が総論的な立場で書いていて、個別的には後で議論しようと。 ○医事課長  そうです。 ○矢崎座長  吉新委員の、総量抑制というのは、医療提供体制の極めて大きな課題なので、緊急提 言にはあまり合わないのではないかと思います。その点はご了承いただきたいと思いま す。 ○山本委員  確かに、総量規制の問題は緊急提言には合わないのですけれども、3頁のA)のとこ ろに出てきているように、「労働基準法が適用された」云々というのがあります。そう すると、おそらく日本のドクターの勤務も将来はシフトになってくるだろうと。いま、 実際の数が足りているのか足りていないのか、という調査は緊急に必要だと思います。 緊急の中で、その調査をやるぐらいは書いたほうがいいのではないかと思います。 ○矢崎座長  何回も繰り返しますが、最終報告にはそれをしっかりと踏まえた、定量的な解析をし て示すことになりますので、そのほうでご議論いただければと思います。 ○吉村委員  2頁の供給側の変化のA)「大学院の定員が増えて臨床に出る医師が減った」という のはいかがかと思います。いま、大学の医局では医師が非常に減ってきているというこ とが、私ども大学におりますとあちこちの病院から医師を出してくれという要望がたく さん来るのですがとても応じきれません。これが良いとか悪いという問題は別にして も、A)は逆のような気がします。先ほど泉委員からもありましたように、現在では地 方の大学で入局者が減った、ということを一言書いていただけるとありがたいと思いま す。 ○小山田委員  B)専門化というのはいきすぎだということではないのです。この辺の表現をもう少 し変えたほうがいいと思います。 ○矢崎座長  確かに表現が妥当でないところもありますので、いまご議論いただいたのに沿って、 もう一度修正を加えて、またご議論いただきたいと思っております。今後の検討課題が 4頁以降にありますが、これは本文の出だしをもう少しブレークダウンして書きまし た。これについてもご議論をいただきたいと思いますが、ここで是非議論、あるいは付 け加えることがありますでしょうか。 ○土屋委員  文言の問題です。「産婦人科や救急医療のような重労働で医療事故の多い診療分野に 云々」とありますが、「重労働で医療事故が多い」という決めつけた言い方はあまり適 当ではないのではないか。確かに医療安全という面からすると、現状のような過重労働 では、そういうことが起こっても不思議ではないと言われていますが、どうしても書く のだったら、「救急医療のような過重労働を強いられる分野に」という言い方でしょう か。それを嫌って若いドクターたちは、では開業でもしようというわけですので、地域 の従来の先輩の開業医みたいに朝も昼も夜もないようなのはご免だ。そうするとビル開 業となるわけです。それが現状ですので、「そういうものではないのだ」といくら言っ ても、過重であるのをしばらくの間なら何とか堪え忍ぶでしょうが、それを何年もとい うわけにはいかないということなのでしょうから、せいぜいそんな表現にしていただい たらいかがでしょうか。医療事故が多いなどと軽々しく言うことは、国民との間の不信 感を煽るだけだと思います。 ○矢崎座長  そのほかにいかがでしょうか。3頁まではよろしいですか。多くの箇所をご指摘いた だきましたので、それに沿って文章を変えたいと思います。「今後の課題」で、大きな 項目の労働法規の遵守の影響と女性医師の就業のマルチトラック化、医療関連職種等と の連携、医師養成の在り方、医療提供体制と医師需給、将来の医師需給ですが。 ○小山田委員  この中で特に私が強調したいのは労働法規との関係です。これは医師、私のような古 いドクター、病院長、患者の代表と言われる方々の考え方は、医師の労働について、労 働法規との関係などより、寝ないでもいいから、いい医療をやってくれという声が強い のです。しかし、もうそういう時代は過ぎて、女性医師の問題だけではなく、労働法規 の遵守が絶対に必要だという認識が足りないのです。  この前、私が聞きましたら、国も労働法規を作りながら守らなくとも何らペナルティ ーがない。ということでしたが、そんなおかしいことはないでしょう。これを厳守する だけで医師の数は当然、病院での当直回数などが算定できるのです。片方では労働法規 を守れと言いながら、片方ではペナルティーがない。そして倫理とか使命感を求め、国 民もまたそれを受容している。ドクターについてももっと労働条件を変えなければ、医 療、特に地域の偏在地に行って働くドクター、病院勤務医は減っていくのです。こうい うことを医師の必要数の基礎にすることを是非お願いしたいと思います。 ○古橋委員  5頁の「医療提供体制と医師需給」に加えられないかと思って発言させていただきま す。先ほども出ました夜間や休日に対応しないビル開業医が増加している問題です。私 はこの委員会で以前も小児救急医療のところで同様の意見を出したのですが、小児救急 医療センターなどの病院医師がおしゃるには、小児科医が確かに足りないけれども、絶 対的不足というよりは、この現象は小児科医も大変なので開業をしていく。そして夜 間、あるいは重労働からの開放を願って、ある意味でさっさと開業してしまうのだとい うことでもありました。  そういう中で、診療所開設者たる人たちが、公共的な医療提供の立場に立って、何ら かの形で供給体制の一翼を担うような連携に参加するというように謳えないのかと思う のです。その辺りは法律的には無理なのですか。業務が過重であればあるほど、ビル開 業医への選択志向は増えるかもしれない。でもそれは夜間・休日対応をしないという魅 力に方向づけられるとしても、応召の義務を法的にも担う医師としてそれでいいのかと いう気もするのです。増加傾向にあるビル開業医と協働と協調をすることついて、ここ で何か提言ができないのかという気がします。 ○矢崎座長  それでは、後ほど提言のほうにそれも加えさせていただければと思います。 ○土屋委員  最後の「将来の医師需給」ですが、これは前段では医師の需要側の変化を謳ってあり ますが、供給側の変化も入れておかないと片手落ちになるのではないでしょうか。需給 ですので、需要と供給の両側の変化があるわけです。それについてどれもまだはっきり しないことばかりですから、将来の医師の需給を推計するに当たっては、それらのファ クターを、ただ供給と需要の数だけではなく、その他、いろいろなファクターも計算に 入れた将来推計をしなければ、数そのものはいい加減だと思います。ドクター1という ドクターが、本当に1の役割を果たしている者がどのぐらいいるのか。場合によっては 0.8か0.5かもしれませんし、一方では、病院医師で本当に燃え尽くさんばかりに働いて いる人たちは2か3に近いかもしれないのです。病院に泊まり込んで、ほとんど寝る暇 もないぐらいです。そのようなことも厳密にはなかなか難しいかもしれませんが。先ほ どそういう調査をしたらというお話もありました。そういうものに基づいた推計でなけ れば、ただ数字の上だけのものになってしまうのではないかと思います。 ○矢崎座長  難しいご注文ですが、把握はいかがですか。 ○山本委員  4頁の「医療関連職種等との連携」の3行の文を読んでいると、医師側に立つと、 「もっと俺たち楽にしてくれよ」という表現に終わっているのかなと思います。例え ば、患者の視点から見て、患者のために医師がそれなりの負担を負うことは当たり前の ことですから、チーム医療でみんなでやりましょうという中で、医師の負担だけを軽減 するという意味ではないだろうと思います。  そういう中で、「医師の業務の効率化」という言葉にしてしまうと、いろいろな形で 受け取られるのかなと思います。例えば、みんなでチーム医療をやることによって、医 師本来の業務に専念できて、患者を効率的に診られて、質の向上につながるという趣旨 がちゃんと伝わるような文章にしていただきたいと思います。 ○吉新委員  今後の検討課題という意味では、最初の不在・偏在の解消ということですので、でき れば検討課題の1つに、「不在・偏在を解決する手法」とし、手法も先ほど小山田委員 からは診療報酬やいろいろな誘導策があったのですが、どういう方法があるのかも、こ の委員会で検討するべき事項だと思うのです。ですから、医師の不均衡分布図解消の手 法としてどういう手段があるかということです。 ○矢崎座長  それは最終的な対策ということでまとめることができればと思っていますので、よろ しくお願いします。 ○泉委員  「今後の検討課題」の中は、供給側をどう変えるかということが中心に書かれている と思いますが、「国民の方々の理解を求める」ということを1つ入れていただければと 思います。例えば、小児救急システムを作ると、夜のほうが便利だということでたくさ ん患者が来るのですが、それに対して夜よりは昼間来たほうがきちんといい医療が受け られますということを教育する、あるいは子供の症状について、どのように対応するか ということを教育するという取組をしていますが、そういうことが結果的に医療現場の 過重な負担や、本来しなくてもいい負担を減らすのではないかと思っています。 ○本田委員  国民の理解、患者側の理解という部分と、先ほど小山田委員は、労働法規の部分で、 患者は寝ないでもいいから、いい医療を医師にという意識がまだあるとおっしゃってい ましたが、最近の医療事故の問題などを考えると、医師が当直明けで手術や診察をした りしているのを、患者自身も心配しています。そういう労働の在り方と医療の安全のこ ともきちんと患者にわかるような、この関係がどうなっていて、それが医師需給にどう いう影響を与えるのかという調査があってもいいのではないか。それが患者にとって分 かりやすいものになっていくのではないかと思います。  もう1つは、女性医師の働き方ばかりが書いてあります。女性医師ももちろんです が、これからは高齢医師がドッと増えると思いますので、そういう方々の働き方を考え なければいけません。全体の需給の中で、どういう影響があるのかというのを是非入れ ていただきたいと思います。  これは感想ですが、4頁の「医師養成の在り方」で、国民の専門医志向が進んでいる のは、患者側だけが悪いと書いていませんが、患者だけが専門医志向に走っているので はなく、両方の問題だと思います。プライマリーケアというか、全体を見て、この人は あそこに紹介しなければいけない、などという連携をきっちりできていない現状がある から走っているわけで、その辺の表現を、患者が走っているだけではないということを 確認したいと思いました。 ○矢崎座長  そのほかにいかがでしょうか。 ○水田委員  これの趣旨とはちょっと違うかもしれませんが、医療費の問題などは全然考えなくて よいのでしょうか。と言いますのは、私は明治時代のような保険料で現代の医療を受け ようという気持はいけないと思います。どんどん進んだ高度化の医療を受けるには、や はりお金がかかるということを国民もみんなが知って、いかにして医療費を抑えるかを みんなで考えないといけないのではないかと思います。そういう面でもみんなに知らし める、知ってもらうということを、このうような委員会から情報を発信しないと、いつ まで経っても同じことの繰り返しではないかと思います。 ○本田委員  医療費の問題は私も本当にそう思います。きっちり示されていないというか、わかる ように示されていないというか、選択の問題だと思います。ここまで求めるのだった ら、医師を養成していくのに、それを維持していくのにこのぐらいかかる。でもこのぐ らいで押さえたいのなら、このぐらいの現状しかない。偏在の部分だけで何とかしなけ ればいけないということがある程度わかるような、国民も考えなければいけないような 具体的なものを出して、もう少し関心を持ってもらうことが、とても必要ではないかと 思います。 ○矢崎座長  なかなか本文だけで具体的な対策まで行かないうちに議論が進んでしまいましたが、 確かに具体的な対策とバックグラウンドは、なかなか切り離して議論できないのでやむ を得ないと思います。例えば、先ほど小山田委員が提案されたところも含んで、医師の 育成の在り方など、事務局が主体的に書いたわけではなく、皆さんのいろいろなご意見 を汲み取って書いたので、また少し筋道を立ててまとめていきたいと考えています。実 際に喫緊の課題に対する対策はどうなのかということで、地域偏在に関してはA、B、 C、Dの4つの対策を委員の皆様方からいただいて、それを挙げたというところです が、これについては何か付け加えるとか、こうしてほしいというご意見はありますか。 ○土屋委員  喫緊の課題を解決するべく具体的な対応策として、自衛隊病院の医師をへき地・離島 等に派遣したらどうかということを申し上げました。これはCに「自衛隊医師の活用」 とありますが、活用などという失礼な言い方はいけないのではないかと思います。  2つ目は、臨床研修2年目の医師に地域における、これは中にもきちんと謳ってあり ますので、これを義務化させるぐらいのことをどこかに書き込んだらよろしいのではな いか。これは今後検討しなければいけない分野ですが、臨床研修が始まって、また見直 しの検討があると聞いていますので、それはいかがかということです。  3つ目は、全国規模の医師紹介・派遣システムを構築してはいかがかということです が、これはいろいろな分野で検討され、実施されようとしております。できたらそうい うものが一本化できたらと思いますし、大学の医学部長、病院長会議でもそういうこと が提言されていますし、自治体病院でもそういうことを実際にやっておられるようで す。またへき地の医療に一生懸命ご努力いただいている地域医療振興協会でも、インタ ーネットを利用したことをやっているとも伺っていますし、都道府県あるいは郡市区の 医師会でも実際に派遣業をやっています。いずれもそれぞれが別々にやっていても、そ れぞれのドクターにはいろいろな事情がありますので、これを一本化して全国ネットワ ークにすることによって、このネットワークがより機能化するのではないかということ を提案しました。自衛隊と臨床研修と派遣紹介システムの3つを、この中のどこかに書 き込んていただきたいと思います。 ○矢崎座長  自衛隊医師というのは、自衛隊医師のへき地への派遣ということですか。 ○土屋委員  そうです。自衛隊の医師から非公式ですが、地域医療を研修したい、やりたいという 意向が示されていますので、それに対して地域における医療というのは、実践の場所で すし、絶好の研修の場になるだろうと考えられます。  一方で自衛隊病院が地域にクローズドの現状をオープン化したいという意向もあるよ うに聞いていますが、地域によってはそういう要請があるかもしれませんが、急にそん なことは地域の医療環境を乱すということですぐ実施することはできないと思います。 地域における医療の危機を我々で解決するのだ、少々の災害などというものではありま せんので、使命感を持ってやっていただけたらよろしいのではないかと思います。そこ で先ほど申し上げたように、活用などという失礼な言葉を使うのはいかがかと申し上げ たわけです。 ○小山田委員  私は土屋委員に答弁する立場ではないのですが、いろいろかかわって模索したのはあ ります。このCの中の、特に(2)(3)(4)で自治医大の定員枠もいろいろいわれています が、これを議論しますと、自治医大を創るときに、どういうことで創ったかということ にまで話が行ってしまいます。いまやっていないことは貸し借りです。それぞれの自治 体の長が貸してくれという話が1、2ある程度です。  (2)(3)は、自治医科大学の卒業生は、確かにそういう議論がありますが、自治医大で これ迄にに卒業した方は3,000人ぐらいいます。その方々は義務年限の9年間ずっと地 方いるのですが、そのあとをもっと義務づけて長くするという議論も、ありますが、実 態を見ますと、卒業して義務年限を終えた方は2,000人いますが、その70%がその都道 府県で勤務しており、さらに71%の中の30%は山間・へき地・離島で働いているので す。その方々にもっと義務づけていいのか。私はよくやってもらっていると感謝してい ます。自治医大の見直しは是非省いていただきたい。  自衛隊も確かにいろいろ折衝しました。実態は防衛医大を卒業している方々が、卒業 した後、ずっと義務年限の中で働いているかどうかが問題で、これまで防衛医大を卒業 し、自衛隊の各駐屯地の医師が足りないのです。医師の不足について、どうしたらいい か困っているのです。自衛隊病院で医師不足で困っている人たちに対して、是非理解が ほしいと思いますので、この辺は入れるにしても緩やかにお願いしたいと思います。  へき地や条件の悪い所で医師を確保するには、もっと交流を良くするためには、国の システムとして医師の供給を考えるのは当然です。私どもは県だけでもと言っても、な かなかできません。民間などの競合もありますので、私どもは4月から無料で、しかも 自由意思で選択という形で、自治体病院に限りということでやっております。これも毎 日のように増えています。これは自治体病院だけのことではないので、全国的な規模で こういうものを作ることは賛成ですが、今すぐできるということで、先ほど提案しまし た。 ○泉委員  地域偏在、都道府県格差、地域内での格差の2つに分けたことは、非常に有難い視点 だと思います。都道府県別で見て、医師数に2倍の格差があることは厳然とした事実 で、国民に対して医療を保障するという観点で2倍もの格差が本当に許されるのかとい うことを、問題提起するものだと思います。  対策の中で、都道府県格差を是正するために役に立つものがあるかと考えると、1つ はCの分布への関与だと思います。(1)で医学部定員の地域枠の問題を書いていただき ましたが、私の立場では、是非医学部定員の地域格差を変えていく。全体としてどうす るかという問題があるにしても、地域格差があるということを変えていただきたいと強 く要望したいと思います。  2つ目に、今後、例えば茨城のように、全国下から2番目の地域で、どうやって医師 を確保していくのかと考えると、魅力ある病院を育てていかなければいけないというこ とだと思います。いまの医療計画の仕組みは、今後新たに地域の医療機能を考えていく 際に、非常に制約が強いと言えます。医師不足地域については、ある程度医療計画上 で、柔軟な医療の設計ができるように考えていただけると有難いと思います。  最後に、本当に解消しようと思えば、医師が過剰な地域、多い地域からまとめて何人 か移民していただくのがいちばん有難いのですが、そうもいきませんので、特定の科、 例えば産科とか小児科などの少ない領域についは、比較的医師が潤沢にいらっしゃる地 域から、一定期間応援のような仕組みを、つまり、医師の少ない茨城県の中で調整する のは限界がありますので、全国的に見た応援派遣のシステムのようなものを作っていた だけると非常に有難いと思います。 ○山本委員  土屋委員、小山田委員、泉委員のおっしゃったことと関係するのですが、地域医療支 援センターみたいなイメージの中で人材派遣のネットワークに3つの研修医、自治体、 派遣の紹介システムと言われましたが、現実には自治体の問題は難しいのだというお話 がありました。私はこれは非常に重要な問題で、特に喫緊の支援対策としては、偏在が もしあるとすれば、ある期間限定で、そこに行き放しになりなさいということは難しい のですが、全体で助け合うというスタンスの中では1カ月なら出せる、何なら出せる。 それが永続的にみんなで助け合えるシステムができれば、本当の意味で要件を決めて、 いま医療が必要だという所には出せるようなシステムを考えなければいけないのではな いか。それは人材登録センターみたいなものを作って、大学、国公立、公的病院ぐらい が対象になると思いますが、500床以上の大きな病院で、100人も120人もいるような病 院では、義務的にある期間、必ず支援をする。できればそれに対しとて補助金を出して いただきたいと思います。そのようなシステムを一緒に加えて、今ここで医師が要ると いう所には応援できるような仕組みを考えなければいけないのではないか。それが当面 の医師確保対策の中に、いくつかの項目で入っていると思いますが、いい言葉で入れて いただければ有難いと思います。 ○小山田委員  そのとおりなのですが、各県の地域医療対策協議会について、どこでも言われるので す。賛成です。医師会も入りますし、私どもも入っていますが、どの病院にどれだけ集 約するかということができないのです。それはなぜか、わかりますね。それを明確にす るにはどうしたらいいかということを、私は問うているわけです。産婦人科も含めて方 法はあります。地域偏在、県内の二次医療圏でできる方法は先生方がおっしゃったとお りですが、その具体化ができないのにはいろいろな理由があります。それを乗り越えて やるには、国が主導してくださいと。国の主導で医療団体、医師会、患者代表が集まっ て、そこでどうあったらいいかという国の基準を作る。これを私は今国に対して強く要 望しているのです。  それに従って各県で婦人科はここに集約する、小児科はここに集約する、その枠づく りは国で、中央でやらないとできない。地方に任せては全然駄目なのです。それを是非 お願いしたい。 ○山本委員  先生がおっしゃるとおりで、地域の地方自治体では地方自治体としての役割がある。 いま私が言ったのは、人材センターというのは国としてきちんとやって、全国からそこ に登録していただく。これは病院を助けに行くのではなく、あくまでも患者を診るとい う視点で、いまこの患者が必要な医療が受けられないとすれば、そういう支援ができる のではないか。そういう視点で先生がおっしゃるように、国のシステムとして考えてい くべきです。ですから、義務化したほうがいいのではないかということです。 ○池田委員  確かに地方の偏在というのがあって、全く患者がその地域で治療を受けられない人が いるわけです。一方、地域で非常にうまくいっている所があることは確かです。なぜう まくいっているかというと、核になる指導医がいるのです。私は慶應大学ですが、東京 大学でも、最近、研修医で北見赤十字に応募する人が、毎年2、3人いるのです。東京 から北見に行くというのは、ちょっと信じられません。なぜかと言ったら、そこには本 当に熱心に指導する人がいるのです。その点は考えなければいけない。  先ほど土屋委員が言われたように、研修医の長期研修の必修化で、地域医療というこ とをもっと広げてもいいのではないかという気がしていて、それは大賛成です。そのと きにチューターとしてのインストをそこに必ず派遣するような学校、そのチューターに は動機づけをしてインセンティブを明らかに、皆さんがわかるような形であげるという 格好なら、私は初期研修医が選ぶ方向に行くのではないか。あまりに楽観的かもしれま せんが、1つの考え方ではないかと思います。ですから、どこに、どういう指導医がい るかを初期研修医は非常によく知っていて、サーチしています。そういう考え方に立っ てみたら、私は本当に核になる中堅クラスの医師をきちんと育てていくというか、ある いはインセンティブを持たせて、1人でもいれば初期研修の人たちはかなり行くのでは ないかと思っていますので、私のここ1、2年の感想として意見を言わせていただきま した。 ○吉新委員  Cの(2)と(3)ですが、私は自治医大の卒業生の第1期生ですが、定数枠の見直しとい う意味では、私立医科大学は定数の厳守ということだったのですが、自治医大も厳守を し始めてから、各47都道府県から2名ずつ94名で、6県だけが3名入ることができるの です。  そういう意味では、30を超える都道府県から3名採ってくれと言われて、その通りし ますと、たちまち120数名になってしまいます。そういう意味では、自治医大だけ特別 にしろということになるわけですが、都道府県である程度自治医大卒医のプールがある と、突然ドクターが不足した場合に手当てすることも可能ですし、義務明けの人たちが 手伝うこともあります。自治医大のCの(2)に限っていうと、都道府県枠で難しいとい うのではなく、3名希望する県は3名採ってもいいのではないか。それは泉委員の意見 に近いのですが、都道府県レベルで知事の命令で診療所に行ったり、中小病院に行った りということは、自治医大の人たちは義務年限内に、突然勤務場所が変更したり、研修 のタイミングが狂ったりすることがありますが、そういうことで激変の地域医療の変更 をある程度緩和する機能もあると思いますので、自治医大に限ってというのは言い方が ずるいかもしれませんが、できれば都道府県枠を優先して、100名を超えて採ってもよ いというお許しをいただけないかと申し上げたいと思います。 ○長谷川委員  3点提言したいと思います。まず第1番に、Dの既存のマンパワーの活用ですが、水 田委員もおっしゃったので、4番目に女性医師の活用というか、実は診療科偏在のとこ ろにはCで女性医師のというのがありますが、地域偏在でも同様のことがあり得るのか と思いました。  2番目に、Cの医師の分布への関与です。一部の自治体ではやっていると聞いていま すが、例えば、外国人の医師の期限付の受入れや、そういう類の可能性はいかがなもの か。Cの分布にもう1つ、少し過激な意見で恐縮ですが、事実過剰県があります。そこ の定員枠をはめてしまう。そうすると、そこから足りない東北の県のほうに移動する。 先ほどははがせというご意見がありましたが、型をはめてしまうとそこから他へはみ出 るということも、病床規制というのがありましたが、医師定員規制もあり得るのかなと 思います。 ○古橋委員  私はDの「既存のマンパワーの活用等」について発言いたします。3月に長谷川委員 から、世界の医師不足等の潮流というレクチャーを受けました。その中で、いろいろな 国が、今の日本の現状と重なる部分があるのだなと記憶しています。お話の中にこれか らの需給の方向としては、いろいろな国がチーム医療という概念で取組が始まっている ということと、その中で新たなスキルミックスと各職種間の役割の再構築が必要だとい うご意見をいただいたと記憶しています。  そういう中で(2)に、「医療関連職種の活用等」と至極あっさり書かれていますが、 私は看護職でもありますので、医療関連職種の参画によるチーム医療の拡大と推進とい う方向にしていただいて、医師が本当にお忙しくて大変なのはそばで実感しています。 これからは薬剤師とナースとの連携を検討して、医師がその領域をすべて支配するので はなく、薬剤師、ナース等の専門性から、チーム医療とスキルミックスという点での各 職種の役割再構築が検討されていいと思っています。  前回、山本委員から救命救急医療の中での救急対応の成功という辺りで、日本の良さ をご指摘されました。私もこういう点でメディカルコントロールが、医師が強い支配を しようとするよりも、ある領域から救命救急師に委譲がなされたメディカルコントロー ルが効果を上げていると思えてならないのです。ここは言葉をもう少し強調する方向 で、「チーム医療の拡大と推進」としていただいて、これが実効性ある現実のものにな ると、パスを見ていたり、地域医療ののパスということを、最近情報で学んだりする と、そういうことは効果があるのではないかと思っています。 ○矢崎座長  そのほか、診療科偏在の解消というのは、何か付け加えるべき点がありますか。 ○小山田委員  先ほど私が申し上げましたように、これは学会も大学も困っていることなのです。全 国的な傾向ですが、特に地方ということなのです。いまできることは集約化しかないの です。これを阻害している因子がいくつもあるので、これも国として先ほどのような国 策として作る。そのための委員会や検討会を早急に立ち上げてもらいたいと思います。 ○長谷川委員  各学会での努力も必要なのかと若干思うところがあります。実際にいろいろな計画を 立てておられる方もあると思います。例えば、具体的な形としては、糖尿病学会などの 場合には、療法士を養成して、医師とチーム医療を組む形でやっています。それによっ て、だんだんマンパワーが増えてくるということもあるかと思いますが、いかがでしょ うか。 ○池田委員  私は血液学会ですが、学会も各学会あって、血液学会も入る人がなかなかいないと、 厳しいかなと。ほかの学会も聞いていますが、その学会に人が入るためには何をしなけ ればいけないかということを、委員会などがそれぞれできています。それを救急学会も やっておられると思いますし、麻酔科学会もやっていると思いますので、その辺を学会 として意見を至急まとめて、何をやったらいいかといういろいろな知恵をもらってもい いのではないか。実際には厚生労働省の方もここにいらしてプレゼンテーションもした わけですが、学会全体として、そういうことを真剣に考えてもらって、意見を出してい ただくというのは、非常に大事なことではないかと思います。 ○小山田委員  アレルギー学会も糖尿病学会もそうかもしれませんが、少なくとも私どもが賛同して いるのは産婦人科と小児科で、学会が提唱している医師の集約化ということです。まず それをやる。そのことも難しい。それを国策として、いまできる問題を取り上げてもら いたいと要望しているのです。これは決して他の学会をどうしろということではなく、 今すぐできる、いま困っているところでより効果的なものがあったら、是非教えてほし いと思います。 ○山本委員  小児科と産婦人科はお話がついたということですが、麻酔科の問題は非常に大きな問 題としてあると思います。精神科には、例えば臨床心理士というサポートのシステムが ありますし、細胞診断士、超音波技士、糖尿病などドクターを支援する仕組みはいろい ろな分野であります。その中で麻酔だけが何も支援の仕組みがないのです。指導医、標 榜医ですが、標榜医は多くの場合、現実に外科や脳外科など、いろいろな科で標榜を取 ったあとは、自分の分野で仕事をしています。麻酔を掛ていないという現実がありま す。この辺の問題に関して、まさに緊急で麻酔の支援をどうするかは、先ほどいくつか 案を言われましたが、基本的に早急に検討して、何か仕組みを入れないと麻酔の問題は 非常に緊急に解決を要する問題ではないかと思います。特にここに取り上げてもいいの ではないかと思っているのです。 ○小山田委員  これは私も随分深くかかわったり、学会、大学、病院等で意見交換をやりました。そ こで、私にこういう答申が出たのです。標榜医の協力は当然です。たくさんありますか ら、その次には麻酔補助士の養成と認定です。これは看護師が分野としていちばんよろ しいでしょう。やるのはどういうことかというと、麻酔をかけさせるわけではなく、麻 酔の準備や術後をやらせるのですが、それには教育が必要です。ある期間教育をして、 それに資格を与える。2人で1人の患者の麻酔をかけるよりは1人でも済むことがある かもしれないという答申が出ています。  しかし、このことについて、私どもも看護師協会などといろいろ検討しました。今日 は看護協会の会長と会ってきました。これについてはいろいろ問題があります。やるな ら検討はいいのですが、明日からできる方法ではありません。その議論のなかで協力も できるのは標榜医ではないか、1万5,000人もいるのですから。それをまず、と言うの ですが、これには厚い壁があって、なかなかできません。そうしたことは国がいくら指 導しても、いくらいいことを言っても駄目で、明日からできることは、それぞれの病 院、あるいは病院団体でもいいのですが、医師同士が、なぜ協力しないのかということ になるのだろうと思います。そうした考えで医師が足りない所は看護師や他の職種で補 うしかない。そういうことで国にお願いしても解決できることではないと思います。こ れは我々が自分の病院でそれぞれ解決する、協力し合うことだという考えを持っていま す。 ○長谷川委員  いまのお話は、いろいろな可能性も含めて、ここに書いたほうがいいと思います。小 山田委員のご指摘はプライオリティーというか、緊急度や重篤度の中で、特にこれとこ れとが重要ということを言われたような気がしますので、この報告書にふさわしいかど うか知りませんが、この中でこれとこれはやろうという形にすると、先ほどのお話にな るのかなと思いましたが、いかがでしょうか。 ○矢崎座長  どうもありがとうございました。たくさんのご意見をいただきまして、事務局で整理 が大変ではないかと思います。私が座長として言うということではなく、私個人として 言う立場にあまりないかもしれませんが、先ほど集約化というお話をいただきました し、地方に勤務する方のインセンティブづくりをどう進めるか、女性医師が働きやすい 環境を作って参画していただくとか、いろいろな職種の方が一致協力して患者を含め て、いまの危機的状態をサポートしていただくということで、いろいろご意見をいただ きました。現場に行くと、総論賛成、各論反対ということになって、最終的に国でがっ ちり規制してやっていただいてはという議論になります。地域医療というのは、地域で 事情が違いますし、地域で解決しないと。国に持っていっても、これからは中央集権と いうよりは地方の時代という流れになっていますので、国で対策ということもなかなか 難しい状況にあるのではないか。そうすると、医療機関、大学を中心にした地域ごとの 医師の育成、中核病院の今後の地域医療を視野に入れた医師の育成などを積み上げてい かないと、こんがらがった糸の結び目を太刀で一刀両断するような解決法は絶対あり得 ないのではないか。この報告で厚生労働省に出すということですので、できるだけそれ ぞれの立場、ご経験、知識から提言をしていただいて、それを何とかまとめて中間報告 案を作成できればと思っていますので、何度でも繰り返し練っていただかなければいけ ないかもしれませんが、次回、たたき台を提出しますので、よろしくお願いしたいと思 います。 ○医事課長  どうもありがとうございました。次回は6月30日(木)15時から、こちらの会議室で 開催する予定です。議事については、引き続き中間報告書についてご討議いただきたい と考えております。本日の意見を踏まえて修正いたしますが、できればお配りしてある 連絡先に文書等で事前にご意見をお寄せいただき、それを反映した形で出せれば、より 効果的かと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。 ○矢崎座長  それでは、どうもありがとうございました。                                     −了−                         ┌─────────────┐                         │照会先          │                         │厚生労働省医政局医事課  │                         │課長補佐 宮本(内線2563)│                         │指導係長 双川(内線2568)│                         │代表 03-5253-1111    │                         └─────────────┘