05/06/08 薬事・食品衛生審議会医薬品等安全対策部会 平成17年6月8日議事録        薬事・食品衛生審議会 医薬品等安全対策部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年6月8日(水) 16:00〜   厚生労働省専用第22会議室 2.出席委員(21名)五十音順   ○池 田 康 夫、 井 上 章 治、 岩 崎   学、 上 田 志 朗、     大 澤 真木子、 甲 斐 知恵子、 北 村 啓次郎、 倉 田   毅、     倉 田 雅 子、 相 楽 裕 子、 柴 川 雅 彦、 首 藤 紘 一、     田 島 知 行、 田 代 眞 人、 土 屋 文 人、 埜 中 征 哉、    長谷川 隆 一、 堀 内 龍 也、◎松 本 和 則、 山 口 照 英  渡 辺   亨    (注) ◎部会長  ○部会長代理   欠席委員(2名)五十音順    菊 地 博 達、 岸 田   浩 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 平 山 佳 伸(安全対策課長)、   山 田 雅 信(安全使用推進室長)、   岸 田 修 一(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全管理監)、   伏 見   環(独立行政法人医薬品医療機器総合機構安全部長)  他 4.備考   本部会は、公開で開催された。 ○事務局 それでは定刻になりましたので、平成17年度第1回医薬品等安全対策部会を 開催させていただきたいと思います。本日の部会は従前の取扱いと同様公開で行うこと としておりますけれども、もしカメラ撮りをする方がいらっしゃいましたら議事に入る 前までとさせていただきますので、よろしくお願いいたします。  本日御出席の委員の先生方におかれましては、お忙しい中お集まりいただきまして誠 にありがとうございます。本日の委員の先生のうち菊地委員と岸田委員には事前に御欠 席という連絡を頂いております。それから相楽委員が少し遅れているようでございます けれども、ただいま20名の委員の先生方に御出席いただいております。この部会の定員 が23名でございますので、本日の部会は定足数に達しております。それでは議事に入ら せていただきます。部会長、よろしくお願いいたします。 ○松本部会長 よろしくお願いいたします。それではまず事務局から本日の配布資料を 確認してください。 ○事務局 それでは配布資料を確認させていただきたいと思います。委員の先生方のお 手元には座席表と委員の名簿があると思いますが、資料といたしましては議事次第の一 枚紙と配布資料一覧の次に資料ナンバーの付いた資料を配布させていただいておりま す。資料1-1は「平成16年度の安全対策について(まとめ)」と題した資料でございます。 資料1-2は「医薬品等の使用上の注意の改訂について」でございます。資料1-3-1は「ゲ フィチニブ検討会における検討の結果について」でございます。資料1-3-2は「ゲフィ チニブに関する米国がん治療学会における研究発表」でございます。資料1-4は「平成 16年度第1回伝達性海綿状脳症対策調査会の結果」でございます。資料2-1は「薬事法 第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への副作用・感染症等報告につい て」でございます。資料2-2は「国内副作用報告の状況(医療用医薬品)」でございます。 それに続けて個別の医薬品ごとの副作用件数が書かれた厚い資料がございます。資料2-2 参考資料といたしまして「薬効分類表」を付けております。資料2-3は「国内副作用報 告の状況(一般用医薬品)」でございます。資料2-4は「国内感染症報告状況(平成16年 12月1日〜平成17年3月31日)」でございます。資料2-5は「外国での新たな措置の 報告状況」でございます。資料2-6は「研究報告の報告状況」でございます。資料3-1 は「医薬品等の回収報告の状況について」でございます。資料3-2はA4横で「平成16 年度医薬品等自主回収一覧」でございます。資料4-1はA4横の左上の方に「感染症定 期報告の報告状況」とあるものでございます。資料4-2は「報告文献別一覧表」でござ います。資料5は「一般用医薬品の指定医薬品解除について」でございます。最後の資 料6は「日本脳炎ワクチンと急性散在性脳脊髄炎(ADEM)について」でございます。 以上の資料でございますけれども、もし足りないもの等がございましたらお知らせくだ さい。 ○松本部会長 よろしいでしょうか。それでは早速議題に入りたいと思います。まず議 題1の医薬品等の市販後安全対策についてです。事務局から資料に沿って説明をお願い いたします。 ○事務局 資料1-1、「平成16年度の安全対策について(まとめ)」を説明いたします。 「(1)副作用等の報告数の推移」についてでございます。医薬品等の副作用・感染症研 究報告等に関する企業からの報告については、薬事法第77条の4の2第1項の規定によ り報告をまとめております。また、医薬関係者からの副作用報告についてはモニター報 告制度から始まりまして、医薬品等安全性情報報告制度を経て、現在は薬事法第77条の 4の2第2項の規定により医薬品・医療機器等安全性情報報告制度として報告をまとめ ております。また、薬事法第77条の4の4の規定により平成15年7月30日より医薬品 等の副作用・感染症研究報告については薬事・食品衛生審議会にその報告状況を報告す ることとなっておりまして、今回感染症定期報告、措置報告については年度単位での報 告状況がまとまりましたので、今年度より件数を示しております。下表を御覧ください。 医薬品としては、企業からの国内副作用報告は25,142件、医薬関係者からの報告は4,594 件、合計で副作用は29,736件の報告がございました。また、研究報告は1,311件、感染 症定期報告は1,093件、措置報告は420件の報告がございました。  3ページを御覧ください。「(2)安全対策上の措置」といたしまして医薬品につい て、平成16年度に実施した使用上の注意の改訂等の安全対策については承認の取消しは ゼロ、効能・効果の制限はゼロ、用法・用量の制限はゼロ、厚生労働省緊急FAXはゼ ロ、緊急安全性情報の配布はゼロ、「医薬品・医療機器等安全性情報」への情報掲載は 38件、使用上の注意の改訂は161件、動物実験、臨床調査の実施指示等はゼロ件でござ います。次のページを御覧ください。5年間の実施状況についてまとめております。  次の5ページの「(3)緊急安全性情報」ですけれども、先ほど申しましたように平成 16年度に配布を指示した緊急安全性情報はございません。  最後の6ページを御覧ください。「(4)医薬品・医療機器等安全性情報」、平成16年 度に発行した医薬品・医療機器等安全性情報の発行状況について紹介いたします。医薬 品に関係する部分の記事について、平成16年4月の200号で、アリストロキア酸等に関 係して「呼称が類似していることから、誤って輸入された場合に副作用が問題となる生 薬及び製剤について」という記事を紹介しております。また、「独立行政法人医薬品医 療機器総合機構設立に伴うホームページアドレスの変更」ということで紹介しておりま す。また医薬品ではございませんが、「健康食品・無承認無許可医薬品による健康被害 について」ということで、健康被害については保健所等に届けていただくという旨の紹 介をしております。  平成16年6月の202号について、医療安全の観点から「取り違えることによるリスク の高い医薬品に関する安全対策について」ということで、タキソール-タキソテール、ア マリール-アルマールの件について紹介しております。  平成16年7月の203号でございますけれども、「医薬品による重篤な皮膚障害につい て」ということでSJSの件数等について紹介しております。  平成16年9月の205号において、「平成15年度インフルエンザワクチンの副反応の 報告等について」ということで、平成15年度のインフルエンザの副反応等について報告 させていただいております。また、「塩酸チクロピジン製剤とCypherステントの市販後 安全対策について」ということで、チクロピジン製剤の適正使用等について記事を紹介 しております。  平成16年10月の206号において、「注射用抗生物質製剤等によるショック等に対す る安全対策について」ということで、皮内テストの推奨が中止になった旨の経緯等につ いて紹介しております。「イレッサ錠250プロスペクティブ調査(特別調査)調査報告書 について」ということで、特別調査報告書について御紹介しております。「血糖検査用 グルコースキットの安全対策について」ということで、その概要について紹介しており ます。  平成17年2月の210号において、「レフルノミドによる間質性肺炎について」を紹介 しております。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま平成16年度の安全対策について説明 していただきましたが、どなたか何か御質問、御意見ございますでしょうか。ないよう でしたら次に進ませていただきます。次をお願いします。 ○事務局 続きまして資料1-2、「医薬品等の使用上の注意の改訂について」を御説明 いたします。一部誤植がございまして、平成17年2月23日〜平成17年5月11日分の 指示分ということで御紹介させていただきます。まず2月23日発出分でございますけれ ども、フマル酸クエチアピンについて「重大な副作用」の項に「無顆粒球症、白血球減 少」を追記いたしました。塩酸ラロキシフェンの「重大な副作用」の項に「肝機能障害」 を追記いたしました。ほか4成分について指示を出しております。  3月23日にフマル酸テノホビルジソプロキシルについて注意喚起をしています。これ は合剤について新薬が承認になったことに伴う改訂でございます。  3月25日にゲフィチニブについて、ゲフィチニブ検討会の検討結果に基づく改訂指示 を行っております。  次のページを御覧ください。4月1日発出分でございます。トラセミドについて「重 大な副作用」の項に「肝機能障害、黄疸」「低カリウム血症、高カリウム血症」につい て追記をしております。続きましてARBの4製剤について、「重大な副作用」の項に 「低血糖」を追記しております。セフトリアキソンナトリウムについて、「重大な副作 用」の項に「胆石、胆嚢内沈殿物」「腎・尿路結石」を追記しております。日本脳炎ワ クチンについて「重大な副反応」の項に「特発性血小板減少性紫斑病」「脳症」「けい れん」について追記いたしました。沈降精製百日ジフテリア破傷風混合ワクチンについ て、「重大な副反応」の項に「脳症」「けいれん」を追記いたしました。ほか18成分に ついて指示を出しているところでございます。  4ページを御覧ください。5月11日発出分でございます。塩酸ドネペジルについて「重 大な副作用」の項に「横紋筋融解症」を追記いたしました。アルプロスタジル、アルプ ロスタジルアルファデクスについて「重大な副作用」の項に「心筋梗塞」を追記いたし ました。酢酸リュープロレリンについて「重大な副作用」の項に「下垂体卒中」に関す る事項を追記いたしました。ロピナビル・リトナビルについて、「禁忌」の項に「塩酸 バルデナフィル水和物」を追記し、「重要な基本的注意」の項に体脂肪の再分布/蓄積に 関する項の記載整備を行い、「重大な副作用」の項に「徐脈性不整脈」「多形紅斑、皮 膚粘膜眼症候群」を追記いたしました。以下16成分について改訂の指示を行っておりま す。以上でございます。 ○松本部会長 ただいまの医薬品等の使用上の注意の改訂について、どなたか御意見、 御質問ございますでしょうか。どうぞ。 ○堀内委員 今ここに出てきている使用上の注意の改訂は厚生労働省の方から指示を出 して改訂したものということですか。自主的改訂は入っていないと考えてよろしいので すか。 ○事務局 こちらについては厚生労働省から指示を出したもので、自主的改訂は含んで おりません。 ○松本部会長 ほかにございませんか。ないようでしたら次に進ませていただきます。 次をお願いいたします。 ○事務局 それではゲフィチニブ関係について資料1-3-1と1-3-2に基づきまして説明 させていただきます。ゲフィチニブに関しては昨年12月にISEL試験、すなわち、プ ラセボと比較した試験で全体としては延命効果が認められなかったという海外の試験デ ータが出ましたので、1月20日にゲフィチニブ検討会を開催したという結果を前回のこ の医薬品等安全対策部会で報告させていただいているところでございます。そのときに 追加の情報が得られれば検討すると御案内していたかと思いますが、今年の3月に3回 にわたってこのゲフィチニブ検討会を開催し御検討いただきまして、3月24日に検討会 の結果がまとまっておりますので、その結果について資料1-3-1で説明させていただき ます。  資料1-3-1を1枚めくっていただきまして、右上に「平成17年3月24日ゲフィチニ ブ検討会」とある「ゲフィチニブISEL試験結果の評価とゲフィチニブ使用に関する 当面の対応についての意見」という検討会の意見の結果を説明させていただきます。「1 ISEL試験結果について」ということで、この検討会で検討していただいたISEL 試験結果についての考え方、評価をまとめております。「(1)全症例を対象とした場合、 ゲフィチニブ投与群とプラセボ投与群との比較で腫瘍縮小効果(奏効率)では統計学的に 有意な差が認められたが、主要評価項目である生存期間について、プロトコールに記載 された解析手法により解析した結果、統計学的に有意な差は認められなかった」という ことで、これは1月の検討会と同じような結論が3月の検討会でも得られております。 「(2)東洋人を対象としたサブグループ解析において、ゲフィチニブの投与が生存期間 の延長に寄与することが示唆された。このサブグループ解析の結果は頑健性が認められ た」ということで、東洋人のサブグループを見てみますと延命効果が示唆されたという 結果が得られたとのことで、さらに3月の検討会で統計の専門家も入って検討していた だきましたけれども、この結果については頑健性が認められたという結論を頂いている ところでございます。  「2 EGFR遺伝子変異の臨床応用について」でございます。これは1月の検討会で EGFR遺伝子変異についての様々な意見がございましたので、3月の検討会でこのE GFR遺伝子変異の臨床応用について御検討いただいて、このような意見を頂いている ところでございます。「(1)EGFR遺伝子変異は、ゲフィチニブの有効性(腫瘍縮小効 果)を予測しうる重要な因子であること」と意見を頂いております。「(2)EGFR遺伝 子変異検査については、(1)標準的な測定・評価方法が確立していないことや、EGFR 遺伝子変異検査の結果に偽陰性がありうること、(2)EGFR遺伝子変異が確認されない 症例においても、奏功する症例が少数ながら存在することから、現在の測定・評価方法 において、EGFR遺伝子変異が確認されていない場合でも、その結果がゲフィチニブ の投与を行わないこととするだけの決定的な根拠とはなり得ないこと」という意見を頂 いております。  「3 ゲフィチニブ使用に関する当面の対応について」ということで、どういった対応 をしていくのかという意見を頂いておりまして、大きく(1)〜(4)までに分かれており ます。「(1)国は、ゲフィチニブの適正使用を進めるため、以下のような方法により、 本ガイドラインの医薬関係者及び患者に対する周知を図ること」ということで、上の部 分に書いてありますけれども、ゲフィチニブの使用に関して日本肺癌学会が「ゲフィチ ニブ使用に関するガイドライン」を既に作っていたのですが、このISEL試験の結果 が出たことを踏まえて改訂を行っておりますので、国はそのガイドラインの周知を図る ようにという意見を頂いております。「(2)企業は、患者情報の把握に一層努めると ともに、関係学会と協力するなどして、ゲフィチニブの有効性と関係する変異の解明、 EGFR遺伝子変異検査方法の確立等に向けて努力し、得られた成果については積極的 に公表し、医薬関係者及び患者に対して情報提供すること」という意見を頂いておりま す。三番目は1月の検討会で言われているのと同様ですけれども、「(3)ゲフィチニブ の日本人における生存期間に対する有効性を評価するためには、現在実施中のドセタキ セルを対照とした非盲検無作為化群間比較試験の結果が必要であり、企業は早急な試験 の完了に向けて努力すること」という意見を頂いております。最後に「(4)企業は、急 性肺障害、間質性肺炎発症原因の解明や回避方法の策定に向けて努力し、得られた成果 については積極的に公表し、医薬関係者及び患者に対して情報提供すること」というと ころで、大きく今御紹介したような意見を頂いております。  この内容については、先ほど事務局から資料1-2の「医薬品等の使用上の注意の改訂 について」ということで紹介をさせていただきましたが、その1ページの一番下の3月 25日発出分、検討会でこのガイドラインの周知という御意見を頂いたのは3月24日で すけれども、その翌日の3月25日の日付で、ゲフィチニブ使用に関するガイドラインを 参考にして投与するようにということを添付文書に追記するような指示を出していると ころでございます。これが3月に行われたゲフィチニブ検討会の結果とその後厚生労働 省から出している通知についての御紹介でございます。  その次の資料1-3-2は「ゲフィチニブに関する米国がん治療学会における研究発表」 ということでございまして、このような資料を厚生労働省から5月16日付けで発表させ ていただいております。資料を説明させていただきますと、アメリカ時間で5月14日土 曜日にアメリカのがん治療学会において、米国の国立がん研究所(NCI)が資金提供し ておりますがん治療研究者グループ(SWOG:South West Oncology Group)がゲフィチ ニブ(イレッサ)に関する研究報告をしております。  その内容でございますけれども、「その概要は以下のとおり」とあるように、まず放 射線化学療法(抗がん剤(シスプラチン及びエトポシド)+放射線)という治療法を行った 後に、引き続いて抗がん剤(ドセタキセル)を投与するという治療を行います。さらに維 持療法としてゲフィチニブを投与する、あるいはプラセボを投与するという比較を行っ た試験について学会発表が行われております。こういった試験を行ってきているのです けれども、その中間解析を行ったところゲフィチニブ投与群はプラセボ投与群に比べて 延命効果が認められなかったという結果が得られ、この中間解析を行った段階で臨床試 験は中止になったということで、このような内容の研究成果が学会で発表されておりま す。  2の厚生労働省としての対応ですけれども、この臨床試験で行われたような放射線化 学療法の後にドセタキセルという抗がん剤を投与して、その後、維持療法としてイレッ サを使うという投与方法は、専門家に意見を聞いたところ、我が国の通常のがんの治療 方法としては行われていないということでございます。しかし、念のため製薬企業に対 しては今回の研究発表について医療関係者に情報提供するようにという指導をするとと もに、この内容を踏まえて、先ほど3月の検討会で話が出た日本肺癌学会が作成してお ります「ゲフィチニブ使用に関するガイドライン」の改訂が必要かどうかということに ついて、日本肺癌学会に依頼するという対応をしております。実際、既に厚生労働省か ら日本肺癌学会に対してはガイドライン改訂の依頼をしておりまして、まだ日本肺癌学 会の方では作業中と聞いております。ゲフィチニブに関しては以上でございます。 ── 相楽委員着席 ── ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま「ゲフィチニブ検討会における検討 の結果について」と「ゲフィチニブに関する米国がん治療学会における研究発表」につ いて御説明いただきましたが、このことに関して御質問、御意見はございますでしょう か。どうぞ。 ○堀内委員 二つございます。一つは最後にお話になった米国がん治療学会の放射線療 法との併用のことですけれども、これは白人が対象ですか。東洋人ではないですね。 ○事務局 この対象について詳細は発表されていないのですけれども、試験自体がアメ リカとカナダで実施されたということで、ほとんど東洋人は含まれていないと聞いてお ります。 ○堀内委員 生存率にまで有意な影響が出るのはEGFRに変異がある患者ですね。今 回の発表で、有効性が出ないというのはある面では当たり前のことなので、イレッサに ついていろいろな研究がある中でも、あえてこのことだけを取り上げる意味があるのか なという気がいたしますが、いかがですか。 ○事務局 堀内委員がおっしゃるように、これは先ほども御説明いたしましたけれども、 まず一つは維持療法としてイレッサを投与するという使い方自体が通常の治療ではエビ デンスを得られておらず、また我が国で現在行われていないので、我が国での通常の治 療に対する影響は大きくないと考えております。ただ、イレッサについてはいろいろ御 意見があるところでございますし、延命効果が得られなかったというこのような発表が アメリカのがん治療学会で出されたということですので、先ほど御紹介いただいたよう な発表を厚生労働省の方から5月の段階でさせていただいているところでございます。 ○松本部会長 少し堀内委員が言われたことのお答えになっていないかもしれませんけ れども、一応ゲフィチニブ検討会で検討されたことに織り込み済みであるということで よろしいわけですね。 ○堀内委員 もう一点よろしいですか。3月の検討会のまとめを今御紹介いただきまし たけれども、ここは医薬品の安全対策部会ですから安全性を特に問題にしたいわけです が、一番最後のところで「(4)企業は、急性肺障害、間質性肺炎発症原因の解明や回避 方法の策定に向けて努力し、得られた結果については積極的に公表し」となっています。 3月から2ヶ月経ってますが、どのようなことが具体化されているか伺いたいのですが。 ○松本部会長 いかがですか。 ○事務局 この3月の検討会の後ですけれども、先ほど御紹介したように、3月25日付 けで企業に対して添付文書の改訂を指示しておりますが、それに加えて同時に3月の検 討会のまとめが載っている資料1-3-1の一番最後に書いてある、「患者情報の把握に一 層努める」ということでありますとか、国内におけるドセタキセルとの第III相比較試験 を早急に終了するように努力することに加えまして、先ほど堀内委員がおっしゃった間 質性肺炎の発症原因の解明や回避方法の策定に向けて努力するということを厚生労働省 から指示しておりまして、定期的にその状況を報告するようにということも指示してお ります。現在までに企業の方からこの間質性肺炎の発症原因の解明などについてどうい うことを行っているのかと聞いているところによりますと、既に2003年11月からのケ ースコントロール試験を実施しているということで、その中でリスクファクターの同定 と同時に間質性肺炎と薬物血漿中濃度の関係を検討することを考えているというのが一 点。それと間質性肺炎に関係するSNPの同定をするということで、そういう探索的な 研究をしているという報告も受けております。更に加えまして、プロテオミクス解析技 術を用いて間質性肺炎にかかわる微小たんぱく質の同定という研究も進めていると聞い ておりまして、このケースコントロール試験の目標症例数は2005年中にはほぼ集まると 見込んでいるということで、解析結果については2006年の上期には得られるのではない かという現状の報告を受けているところでございます。 ○松本部会長 よろしいですか。 ○堀内委員 今のSNPの探索的研究も含めて2006年ということですか。 ○事務局 今聞いているところではそのようでございます。 ○堀内委員 要するにこのイレッサについては副作用が起こるということで検討会で検 討されてきたと思います。有効性についてはかなりはっきり科学的エビデンスが出てき たと思いますけれども、副作用については全く不明であるというのが現状だと思います。 それに対して原因を解明していくことについて厚生労働省の方から常に具体的な指示 と、その結果どうなっているかを是非定期的に確認していただきたいと思います。 ○松本部会長 事務局の方よろしくお願いします。ほかに御意見ございませんでしょう か。どうぞ。 ○池田部会長代理 今の堀内委員の意見と少し関係しているのですけれども、ドセタキ セルとの非盲検無作為化比較試験は今何例でどのレベルで進んでいるのか、ちょっと教 えてほしいのですが。こういう臨床試験は関係する学会は自分たちの責任だという格好 で、もちろん厚生労働省がプッシュすることも大事なのですけれども、やはりやってい る医師の側も安全に使うという責任があるということで取り組まなければいけない問題 なので、今の進行状況といいますか、本当にいつまでに完了するつもりなのかをはっき り打ち出して、それまでには症例をきちんと登録するということをしないといけない責 任があると思うのですが、その辺はどういう状況になっていますか。 ○事務局 このドセタキセルとの対照試験の進行状況についても報告を求めて受けてお りまして、この登録の目標症例数が484例なのですけれども、5月末現在では315例の 登録を完了していると聞いております。登録が終わるのが2006年3月中になるのではな いかという予定で今考えているとのことで、その後1年の追跡を行って2007年上期ぐら いには結果が得られるのではないかという予定であると企業からは聞いております。 ○池田部会長代理 ペースが遅くないですか。 ○事務局 これも先ほどの3月末の検討会で、早期の試験完了に向けて努力することと いう意見を頂いておりますので、早めるようにという指示を出しておりますけれども、 なるべく早めるということで企業も考えたようでして、参加施設はその後17施設を増加 させて症例をなるべく早く集めるという努力はしているようなのですが、この程度のス ピードになっているという状況だということです。 ○松本部会長 よろしいですか。どうぞ。 ○堀内委員 追加でよろしいですか。先ほど幾つかのメーカーが検討しているというお 話を伺いましたけれども、例えばSNPsの探索的研究をやっているということでした が、具体的に何をターゲットとしてやっているのでしょうか。細胞内の情報伝達系のカ イネース活性を持っているたんぱくにはかなり変異があり、変異に人種差があるという ことが報告されていますけれども、何をターゲットとしてやっているかによって本当に 関連するSNPsが得られるかどうかが決まってくるのではないかと思います。今はな くても次回でも結構ですけれども、どのような検討をしているかもう少し具体的に提出 していただければと思いますが、いかがでしょうか。 ○松本部会長 答えられますか。 ○事務局 今企業から聞いているところでは、間質性肺炎の発症に関連しそうな遺伝子、 SNPsを探し出すということで、どういうものが関係しているのか、どの位置にある のかということ自体分からないのでそれをまず探し出して、関係しそうなものが特定で きたら一体どのSNPsはどういう遺伝子上にあるのかという特定をしていくと聞いて おります。ですから現段階では、どういうSNPsが間質性肺炎の発症に関係している のかということもまだ分かっていないという状況であると聞いております。 ○堀内委員 今のようなことですとそれほど早く解明されないような気がいたします。 ちょっと漠然とし過ぎているように思います。 ○松本部会長 臨床試験とこのことに関しては少し急がせるようにしていただければと 思います。ほかにございませんでしょうか。どうぞ。 ○倉田(雅)委員 患者への情報提供についてなのですけれども、患者さんが勘違いをし ないかなと心配になったものですから申し上げたいと思います。アストラゼネカのホー ムページを見てみますと、「このお薬の分かっていること」としてイレッサの効果と安 全性について書いてありまして、まずフェーズIIの試験結果が最初に書かれています。 その次に日本人の70.6%、外国人の38.5%でがんの進行が止まるなどの効果が見られま した。また、日本人の27.5%、外国人の9.6%の患者では、がんの大きさが半分以下に なりましたと解説してあるのですが、これを見ますと日本人の70%には効くと考えてし まうと思うのです。というのは患者さんは効くということがイコール延命できると誤解 するのではないかと思います。私もそのように思ってしまううちの1人なのですが、そ ういう勘違いをしてしまうのはまずいのではないでしょうか。縮小効果がイコール延命 効果と勘違いしてしまうというのが一番心配されることです。先ほどからお話しいただ いておりますように今のところ延命効果は不明ということですから、それを患者さんに 何回も説明して分かってもらうようにしていただかないと、特にこの進行がんの末期の 患者さんというのは既に体中のいろいろなところに転移していて、きっと無理だと周辺 の人も分かってはいても、ひょっとしたら突然いいお薬が現れてそれを飲めば自分は快 方に向かうのではないかと思われる方が、私たちも話を聞く中でどうしてだろうと思う くらい結構大勢いるのです。ですから誤解をされないようによくその辺の説明をしてい ただきたいと思います。 ○松本部会長 ホームページの内容はチェックするわけですか。 ○事務局 ホームページの内容まで厚生労働省の方で細かく確認はしておりませんけれ ども、患者さんがイレッサを投与される前には今インフォームド・コンセントというこ とで、添付文書でも患者さんの同意をとるように、よく説明するようにということで情 報提供しているところでございます。これは検討会の中でも企業からこういう資料で情 報提供を行っているということを御紹介させていただいたのですが、現在医療機関で患 者さんに説明をしていただくときのひな形としてこういった説明文書、同意文書を使っ たらどうですかというものを企業が医療機関に提供しているのですけれども、その中を 見ますとイレッサは延命効果について海外の試験では証明されず、日本においては認め られるかどうかは分かっておりませんということも文書で入っているので、あとは医療 機関の中で医師が投与する前に患者さんによく説明していただいて、そういったことを 理解した上で医師が患者さんに投与していただくのが重要ではないかと思っておりま す。 ○渡辺委員 今倉田委員の御指摘の点は非常に重要ではあるのですが、私はアストラゼ ネカ社のホームページを確認しておりませんけれども、恐らく70%という数字は腫瘍が 半分以下に縮小した患者さんと、24週以上にわたって腫瘍の増大が認められない患者さ んの割合を合わせて7割、それをクリニカルベネフィットレートという定義がございま す。それを持ってきて7割の患者さんに効果があったという表現をしているのだろうと 思います。ただ、腫瘍縮小に関しては数年前からそれが本当に患者さんに何かベネフィ ットがあるのかという議論になっているので、恐らく良心的な企業であるならばそうい う情報を提供しているホームページの欄外か何かに、クリニカルベネフィットレートで あるということを必ず書いてあるはずですので、その辺りを御確認いただきたい。それ から、もしそういう点が書いていなければやはり情報提供に不備があるということにも なりかねないので、企業側に何らかの指導が必要かなと思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。倉田委員、よろしいですか。 ○倉田(雅)委員 今渡辺委員におっしゃっていただいたように、書いてあるのかもしれ ません。私はまだ見ていないのですけれども、もし書かれてあるとしても読んだだけで は分からないのが私たち一般医療消費者ですので、医師の方から補足説明をしていただ きたいと思います。 ○渡辺委員 飽くまで企業側の提供というのは補助資料という位置付けですので、当然 医師の責任として患者さんが納得できる説明をした上で同意を頂くということ、そのプ ロセスはとられるべきだと思います。 ○松本部会長 ほかにありませんか。ホームページの内容に関しては事実関係を調べま して、問題があれば行政の方から指導していただければと思っております。よろしくお 願いします。ほかに御質問等ございませんか。なければ次の議題に進ませていただきま す。次をお願いします。 ○事務局 続きまして、資料1-4に基づいてエタネルセプト製剤に関する伝達性海綿状 脳症対策調査会における審議結果について御報告いたします。背景でございますが、ワ イス社のエタネルセプト製剤(販売名:エンブレル)を投与中にクロイツフェルト・ヤコ ブ病を発症した海外2症例(米国1例、フランス1例)について、平成17年3月17日に 同社より医薬品感染症症例報告が提出され、これを受けて平成17年3月24日に平成16 年度の伝達性海綿状脳症対策調査会を開催、御審議いただいたところです。調査会にお ける審議結果の概要でございますが、現時点で得られている提出されたデータから判断 して、今回報告のあった2症例については変異型CJDである可能性は非常に低く、同 製剤の販売を見合わせる必要はないとされたということでございます。以上です。 ○松本部会長 これについて御質問等ございませんでしょうか。よろしければ次の議題 に進ませていただきます。議題2は医薬品等の副作用等報告の状況についてです。事務 局から説明をお願いします。 ○事務局 まず資料2-1、「薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議 会への副作用・感染症等報告について」の一枚紙を御覧ください。平成15年7月30日 より施行された薬事法第77条の4の4の規定に基づく薬事・食品衛生審議会への報告に ついては、前回に引き続き平成16年12月1日〜平成17年3月31日までに受けた副作 用等の報告について御報告いたします。  報告事項としては大きく二つに分かれていまして、一つは製造業者等からの副作用報 告、もう一つは医師、薬剤師等の医薬関係者からの副作用報告です。製造業者等からの 報告の(1)として国内症例については、医療用医薬品と一般用医薬品はデータベース上 は分かれておりませんが、分かりづらいということがございまして、今回は分けて資料 を作成しております。医療用医薬品の報告件数は8,808件、一般用医薬品の報告件数は 113件、合計で8,921件の報告がございました。これらの報告数のうち医療用医薬品の 副作用報告は資料2-2、一般用医薬品の副作用報告は資料2-3として個別の症例につい て補足資料として配布しております。また、感染症報告については医療用医薬品が94件、 一般用医薬品については生物由来製品がございませんので、「−」で示させていただい ております。医療用医薬品の感染症報告については資料2-4として詳細の補足説明資料 を配布しております。  (2)外国症例の報告状況でございます。薬事法施行規則において国内承認の医薬品と 成分が同一で海外で売られているものについて、副作用の報告をする規定がありまして、 これに基づき報告された副作用報告は19,781件、感染症報告は34件でございました。  (3)外国での新たな措置の報告状況でございます。これは国内で承認の医薬品と成分 が同一の外国の製品において、海外で回収その他添付文書の改訂等の重要な安全性に関 する措置が採られた場合にその旨を報告する制度でございまして、それに基づく報告が 105件ございました。その詳細については資料2-5として配布しております。  (4)研究報告の報告状況でございます。国内の医薬品あるいは海外で売られている成 分が同一のものの副作用等により、がんやその他重大な疾病が発生するおそれのあるも のについて報告することとなっております。今回の報告期間中453件の報告がございま した。  2.医薬関係者からの医薬品の副作用・感染症報告について、本報告期間中に1,402件 の報告がございました。本報告については製造業者等にすべてフィードバックしており まして、製造業者等は安全性情報として活用するとともに、必要に応じて詳細な調査を 行った上企業報告として提出すべきものについては報告をしております。その意味では 医薬関係者の情報の内容はすべて製造業者等からの報告に含まれているということにな ります。  次に副作用・感染症報告の集計結果についての注意事項として、資料2-1の下段の方 について説明いたします。1)副作用・感染症報告については、医薬品との因果関係が不 明なものを含め製造業者等及び医薬関係者から報告されたものであり、個別に医薬品と の関連性を評価したものではございません。  2)副作用・感染症報告については、平成16年12月1日〜平成17年3月31日までに 提出された報告の件数を示したもので、同一の症例で複数の被疑薬が存在し、当該症例 が複数の企業からそれぞれ報告された場合は重複してカウントしているものです。ここ に示された報告件数がそのまま症例数になるというものではございません。  3)副作用・感染症報告の件数については、報告者が本報告期間中に報告した後に追加 情報により因果関係が否定され、本報告期間中に取り下げられた場合は件数から除外さ れております。  4)外国症例の報告及び医薬関係者からの報告件数は、医療用医薬品と一般用医薬品の 合計でございます。  5)資料2-2、2-3の報告件数は、副作用名別の件数を示したものでございまして、1 症例で複数の副作用を発現する場合には副作用の件数を合計した数が報告件数になるわ けではございません。  6)資料2-2、2-3の副作用名は用語の統一のため、ICH国際医薬用語集日本語版に 収載されている用語で表示しております。  7)資料2-4の感染症報告については、報告症例ごとに被疑薬及び感染症名を記載して おります。  続きまして資料2-2について簡単に説明させていただきます。この資料は非常に厚い 表となっております。医薬品ごとの集計表は現在は独立行政法人医薬品医療機器総合機 構の医薬品医療機器情報提供サービスに掲載しているところでございます。注意事項に ついては今御説明しましたので省かせていただきます。本資料の見方としては医薬品の 一般名ごとの副作用別件数を薬効分類順に並べて示させていただいております。薬効分 類表については資料2-2参考資料として次に配布させていただいておりますので、御参 照をお願いしたいと思います。  次に資料2-3、国内副作用の報告状況の一般用医薬品について簡単に説明いたします。 医療用医薬品と同様に成分名ごとの副作用別報告件数を示しております。一般用医薬品 は配合薬が多くございますので、成分名だけではどのような医薬品か分かりづらいとい うことがございます。よって一番左に「薬効別」ということで薬効群を示させていただ いております。 ○事務局 続きまして資料2-4に基づいて国内感染症報告の状況について御説明させて いただきます。お手元の資料は既に血液対策部会運営委員会に報告されたものと同じも のでございますが、安全対策部会では報告期間が平成16年12月1日〜平成17年3月 31日までの4か月分を集計しており、その間取下げ等も含め報告数が異なっております。 今回御報告するものは総数として疑い症例も含め94例、内訳としては輸血用血液製剤で 89例、血漿分画製剤が5例となっております。  表の7列目の「感染症名」の項目がございますが、感染症別ではB型肝炎が45例、C 型肝炎が36例、その他の感染症が13例でございます。いずれの報告についても日赤、 企業等によって保管検体の検査、患者調査などが実施されています。B型肝炎、C型肝 炎、E型肝炎については献血者の個別NAT陽性事例が7例で、製剤による可能性が否 定できないものがございますが、一方で保管検体のNAT検査陰性のものが76例あり、 製剤による感染があったのかどうかは不明で、この中には再検査で陰性であるものなど もございます。製剤によるものではないと思われるものも含まれております。その他の 感染症については細菌感染症、敗血症などが10件ございますが、無菌検査はいずれも適 合とされております。製剤による感染なのか、また別の原因によるものなのか、特定が できないものになっております。一般に調査の結果投与前からキャリアであることが判 明した場合、検査値のみ疑陽性であった場合など、感染そのものがなかったと確認され た場合には医療機関の意見を聞いて取下げとなる場合もあり、今後調査が進みますと報 告の取下げが増える可能性がございます。  また最後のページでございますが、ナンバー94の3月25日に報告のあったC型肝炎 疑い症例についてでございますが、製造販売業者からの報告によると原料血漿について は陰性、ウイルスの不活化・除去に係るウイルスクリアランス値も11以上であることか ら判断して、当該製剤による感染の可能性は低いと考えられますけれども、ジェノタイ プ1aであるとの情報も踏まえまして念のための措置として4月22日付けで業者に対 して詳細調査等の指示をしたところです。現在調査継続中ということでございますが、 5月20日時点で同一ロットによるC型肝炎の感染報告はないとのことです。また、すべ ての供血血漿について遡及調査を実施され、同一ドナーが再度供血したときの検査につ いてはすべて陰性であったとの報告を得ております。  以上これらの症例についての情報収集や対応は企業あるいは医療機関を通じて既に実 施されておりますが、今後は輸血医療の安全性確保のための総合対策などにより、特に 輸血製剤の安全性確保については血液対策課など関係部局と連携をとりながら対応を進 めていきたいと考えております。以上です。 ○事務局 続きまして資料2-5、外国での新たな措置の報告状況について御説明いたし ます。本資料は報告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。報告の多くは日 本における影響がなく対応の不要なものや、日本における副作用報告がなく現時点で対 応をとる必要性に乏しいと判断されるもの、あるいは既に日本において添付文書に必要 な注意喚起が行われて対応が不要なものが大半でございます。実際に措置が必要だった 事例について御紹介いたします。  13のインフリキシマブについて、米国の添付文書に肝不全、黄疸、肝炎が追記された ということで、国内における副作用症例の報告状況を含め検討した結果、資料1-2の 05-008にありますように必要な使用上の注意の改訂を指示しております。また20のゲ フィチニブについては、先ほどのゲフィチニブ検討会での評価検討を行い、必要な使用 上の注意の改訂の指示を行っております。いずれにしてもこのような措置報告について は機構の専門家の意見を聞いた上、必要に応じ薬事・食品衛生審議会当部会の委員の意 見を踏まえつつ、必要な対応を行っているというところでございます。  続きまして資料2-6、研究報告の報告状況について御説明いたします。本資料につい ても同様に報告順に医薬品の成分名と報告内容を示しております。研究報告についても 日本において既に添付文書に必要な注意事項が記載されている場合や、文献における1 例報告のみの副作用症例であったり、詳細情報が不明で因果関係の評価が困難である等 の理由で、現時点では対応をとる必要に乏しい場合が多くございます。本報告分につい て実際に使用上の注意の改訂の指示を行った例についてお知らせいたします。  まず4ページの79でございます。セフトリアキソンナトリウムの腎結石について資料 1-2の05-003にありますように、必要な使用上の注意の改訂指示を行っております。次 に185〜190、及び205〜209にありますポピドンヨードのヨード中毒については、資料 1-2の2ページ、05-010にありますように必要な使用上の注意の改訂の指示を行ってお ります。このように研究報告についても機構の専門委員の意見を聞いた上で、必要に応 じ薬事・食品衛生審議会当部会の委員の意見を踏まえつつ、必要な対応を行っていると ころでございます。以上でございます。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。ただいま医薬品等の副作用等報告の状 況について説明を頂きましたが、御質問、御意見等ございませんでしょうか。どうぞ、 土屋委員。 ○土屋委員 ちょっと確認なのですが、例えば資料2-3の一般用医薬品の国内副作用状 況というものはホームページ上で公開されているのでしょうか。 ○事務局 安全対策部会の資料についてはすべて厚生労働省のホームページで公開され ております。 ○土屋委員 先ほどお話もありましたけれども、実は一般用医薬品は配合剤がほとんど で、これを見ると結局は総合感冒剤で随分起きているとはいうものの、本当は公開とい うことからいうと販売名が見えた方がもう少し分かりやすいのかなという気がしないで もないのですが、その辺は名前はあえて伏せるというルールなのでしょうか。 ○事務局 医療用医薬品も含めて一応成分として評価しているという現状でございま す。 ○土屋委員 ただ、医療用医薬品の場合は一般名がかなりはっきりしている単味剤です ので、それで見ていけばいいのですけれども、配合剤でこれが一々何なのかなと見るの はかなり難しいという感じがするものですから、載せなくてはいけないとは思いません けれども、その方が分かりやすいのかなという気はいたします。 ○松本部会長 いいですか。どうぞ、田代委員。 ○田代委員 体外診断薬のことなのですけれども、資料2-5の例えば29〜32のマイコプ ラズマとかC型肝炎のRNA検出キットで、輸入品のあるロットについてバックグラウ ンドが高くなったので回収されたと書いてありますが、こういうロットが国内で見付か った場合にはどうなるのでしょうか。 ○事務局 国内でも外国で回収した事例と同一の事象が起こっているロットが発見され た場合には、当然自主回収という形で回収しております。 ○田代委員 我々は今まで国内ではそういう報告を受けたことがないのですけれども、 体外診断薬についてはどうでしょうか。 ○事務局 本日後ほど資料3-2で報告させていただく中に、幾つかは体外診断薬での自 主回収がございます。資料2-5に付いている「外国での新たな措置の報告状況」には、 先ほど田代先生が御指摘のHCV-RNA検出試薬などが入っているかどうかすぐには分かり ませんが、この事例が日本でも起こっていれば当然回収は行われております。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにございますか。どうぞ。 ○堀内委員 資料2-2で二つあります。まず一つは43ページのインフリキシマブの肺炎 の副作用が12月1日〜3月31日までに25例あります。これについては多分平成16年 6月に既に安全性情報が出ていると思うのですけれども、それにもかかわらず4ヶ月間 で25例あるというのはかなり多いのではないかと思いますが、推移はどうなっているの でしょうか。分かりましたらお願いします。 ○松本部会長 分かりますか。 ○事務局 推移についてはちょっと手元に資料がございませんので、調べてということ でよろしいでしょうか。 ○堀内委員 申し上げたいことは、安全性情報などを出したことによってどう変化した か、例えば副作用報告が減っているのかどうかをチェックをしていただきたいというこ とです。それと関連して同じことですけれども、86ページのイレッサについてこの4か 月で80件の間質性肺疾患が報告されています。これも従来のペースからするとそれほど 減っていないのではないかと思いますが、この中で死亡に至っているのはどのくらいあ るでしょうか。スピードの問題と死亡に至っていることについてお尋ねします。 ○事務局 イレッサの間質性肺炎については従前からこちらでも御説明させていただい ているかもしれませんけれども、毎月ごとに厚生労働省に報告されるのが大体20〜30例 程度というところで、そのうち10例前後で死亡例があるということで推移しているよう な状況でございます。ここ半年間ぐらいでもトータル20〜30例ということと、死亡例に ついてはこの半年では10例かそれ以下ぐらいということで報告を受けているような状 況で、特段増加傾向にはないということは確認しております。 ○堀内委員 あまり増加すると困るので、減少しているかどうかということですが、相 変わらず副作用が起こっているのですね。死亡例も一定程度コンスタントに出てきてい ると考えてよろしいですね。これだけいろいろ検討してガイドラインも出たわけですの で、これからどのようになっていくかを是非フォローしていただきたいと思います。 ○松本部会長 細かい数字はありますか。 ○事務局 大体トレンドとして具体的な数値というよりは今年の2月に報告された数で すと、一時的にその他の月よりもかなり少ない数字が来ているのですけれども、堀内先 生がおっしゃるようにやはり一定程度は副作用として間質性肺炎が厚生労働省に報告さ れている状況でございます。 ○松本部会長 よろしいですか。もう少し正確な数値をいずれ報告してもらえますか。 よろしいですか。 ○堀内委員 ずっとフォローしていただきたいということです。 ○松本部会長 ほかに御意見ございますか。どうぞ。 ○長谷川委員 ちょっと内容の確認なのですが、資料2-5の3ページの20のゲフィチニ ブですけれども、この中身を読んでいますとEMEAの申請を取下げということで、措 置国が米国となっているのです。これは試験をしたところが米国だからという形で記載 されているのでしょうか。 ○松本部会長 これはどうですか。確かにこの措置国が米国になっていますね。 ○事務局 先生がおっしゃるとおり、このISEL試験が公表されたのが米国なのです けれども、承認申請を取り下げたのはEMEAでヨーロッパということなので、この措 置国が米国になっているというのは今すぐには分からないのですが、確認させていただ きたいと思います。 ○松本部会長 よろしいですか。ほかにございませんか。 ○岩ア委員 先ほど推移という話があったと思うのですが、これは部会に合わせたのか どうか知りませんけれども、大体4か月ごとにこういった集計をされて推移を見ている と考えてよろしいでしょうか。 ○事務局 推移といいますか、今回部会に報告させていただいている、これは毎回医薬 品別副作用別の件数を報告させていただいておりますけれども、平成15年7月以降は薬 事法の規定に基づいてこういった形で安全対策部会を開催するごとに医薬品別の副作用 別報告件数を報告させていただいております。平成15年7月以降は平均して年に大体3 回くらい安全対策部会を開いていますので、平均すると4か月になるのですが、集計の 報告期間は部会の開催時期によって微妙にずれていたりしますけれども、今回は4か月 ということでまとめて医薬品別の副作用別報告件数を報告させていただいているところ でございます。 ○岩ア委員 重篤なものに対してその都度措置を採るということは分かるのですけれど も、いろいろたくさんありますので、例えば何週間とか1か月ごとには多分見られない と思うのです。しかし、やはり全体的に見直して、先ほど言いましたようにこういった ものについては増えている、減っているというのを見る必要があると思うのですが、そ れを見るのはこの資料を作るということもあると思うのですけれども、大体4か月くら いと考えてよろしいのですか。あるいは1か月にするとか、そういった議論は特にない のですか。 ○事務局 各品目についていろいろあるとは思いますけれども、イレッサについては毎 月の報告状況の推移についてフォローしていると考えてよいかと思います。他のものに ついては随時必要な期間で必要に応じて集計評価するという形になっているかと思いま す。 ○松本部会長 確かにイレッサについては大きな変化があった場合は報告するというこ とになっておりましたので、事務局としては大きな変化とは見なかった、それほど変化 はなかったということだろうと思うのです。いかがでしょうか。ほかに御意見ございま せんでしょうか。機構の方で何かその辺について検討されていることはありますか。あ りましたらお願いします。 ○安全管理監 機構の情報提供ホームページに副作用の症例一覧を掲載しております。 ただ、今までは各年、年度ごとの集計を載せておりますので、年間での数の推移といっ たものは出していけるのではないかと思います。また今後、もう少し利用しやすいよう にしていきたいとは思っておりますけれども、現在の状況はそのようになります。です からもう少し細かい分析となるとまだ準備が必要であります。 ○松本部会長 機構の方が小回りがきくかもしれませんので、よろしくお願いいたしま す。ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら次に進ませていただきます。議 題3は医薬品等の回収報告の状況についてです。事務局の方から説明をお願いします。 ○事務局 それでは資料3-1を御覧ください。医薬品等の回収報告の状況について御報 告させていただきます。平成8年の薬事法改正によりまして、医薬品等の回収に着手し た場合には厚生労働大臣又は都道府県知事にその旨を報告することが薬事法第77条の 4の3で義務付けられております。この報告事例はすべてインターネット上で公開して おりまして、総合機構のホームページ上で公表しております。本日は薬事法第77条の4 の4の規定に従いまして、薬事・食品衛生審議会に御報告するということですので報告 させていただきます。  下の表を御覧ください。回収件数の年次推移ですが、平成16年度は医薬品が199件、 医療用具が370件、医薬部外品が15件、化粧品が60件で合計644件となっております。 平成15年度が643件ということで、比べますとほぼ同様の数字となっております。医薬 品に関しては255から199という形で若干減少しておりまして、平成14年度から比べま すと大幅に減少しておりますが、これは平成14年度のときに不適切な製造方法を行って いた原薬を回収しておりまして、その原薬を使った製剤が大量に回収されたために平成 14年度が402件と突出しておりますので、それがなくなったためと考えております。  続きまして裏のページを御覧ください。平成16年度の回収件数のクラス分類別の集計 でございます。表の下の方に説明がありますので御覧いただきたいのですが、クラス分 類が3段階になっておりまして、クラスIは重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る 状況のもの、クラスIIは一時的若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能 性がある、又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況の回収のもの、クラス IIIはその製品の使用が健康被害の原因とはまず考えられない状況、表示のミスなどとな っております。クラス分類別の数字ですが、医薬品についてはクラスIが73件、クラス IIが72件、クラスIIIが54件の合計199件、医療機器はクラスIが14件、クラスIIが 286件、クラスIIIが70件、合計370件、医薬部外品・化粧品に関してはクラスIとなる 重篤な健康被害につながる事例は想定されませんのでクラスIの回収はゼロ、クラスII で医薬部外品が5件、化粧品が19件、クラスIIIで医薬部外品が10件、化粧品が41件と なっております。  医薬品73件のところに*印で注釈を付けさせていただいておりますけれども、医薬品 のクラスI回収73件となっておりますが、この中には日赤の血液製剤の対策強化に基づ いて血液製剤の遡及調査等を行いまして、その献血後の情報等に基づいて使用前に回収 したものがございます。それが70件ございまして、その他となりますと3件のみが医薬 品のクラスI回収となっております。  続きまして資料3-2を御覧ください。先ほど説明いたしましたクラスIに分類されて おりますが、そのうちの70件に含まれる日赤の血液製剤での回収事例については1ペー ジの中段にあるようなものが典型の事例でございます。読ませていただきますと、平成 15年6月12日の血液対策課長通知に基づいて遡及調査を行った結果、HBc抗体検査 が陽性だったということが分かりまして、採血された血液を原料とした輸血用血液製剤 でまだ使用されていなかったというものを引き上げたということで、クラスIで上がっ てきているのがこのような事例となっております。  その他のクラスIの事例について紹介させていただきます。4ページを御覧ください。 上から三番目になります。5月11日付けで回収している照射赤血球M・A・P「日赤」 でございます。内容はRh0の血液型の誤判定でございます。これは検査結果では陽性 だったのですが、誤って陰性と判定結果の記録表に記載してしまった結果、誤った表示 をした製剤が市場に流通してしまったということで回収となっております。  続きまして11ページの上から二番目、8月11日付けで回収している赤血球M・A・ P「日赤」と照射赤血球M・A・P「日赤」でございます。これらは、献血者の問診履 歴が正しく反映されておらず、献血をお断りすべき人の血液から製造された血液製剤を 回収したというものです。これは問診履歴を管理するソフト上のプログラムのバグがあ り、プログラムを更新したときにバグを見落として献血時の問診の前歴が新しく反映さ れていなかったということで、お断りすべき方の血液が4本出ていまして、うち2本を 回収し2本は既に使われていたというものです。  続きまして18ページを御覧ください。上から二番目の11月9日付けで回収している リザルミン注1000でございます。伊藤ライフサイエンス株式会社のもので、一般名はダ ルテパリンナトリウムです。こちらは同一ロットの未出荷分の検査においてカビ様の異 物を発見し、滅菌性が保証されていないということで回収しております。クラスIの3 例は以上御説明したとおりです。ほかにもここに書いたものがございますが、時間の関 係上割愛させていただきます。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいま医薬品等の回収報告の状況について 説明いただきましたが、どなたか御質問、御意見ございませんでしょうか。もし御意見 等がないようでしたら次の議題に進ませていただきます。議題4は医薬品の感染症定期 報告の状況についてです。事務局から説明をお願いします。 ○事務局 説明に先立ちまして、先ほど御指摘いただきました資料2-5の「外国での新 たな措置の報告状況」で、3ページの20のゲフィチニブの措置国について米国との記載 がございますが、今確認しましたところこちらはイギリスということでございますので 修正させていただきます。  続きまして感染症定期報告の状況についてでございます。お手元の資料4-1と4-2に 基づき御説明させていただきます。薬事法第68条の8に基づく医薬品の感染症定期報告 の状況について御報告させていただきます。まず横長の資料4-1の「感染症定期報告の 状況」でございますが、平成16年12月1日〜平成17年3月31日までに生物由来製品 の製造販売業者等から報告された感染症定期報告のうち、文献の調査について報告登録 順に表にして並べたものでございます。合計で321件の報告が寄せられておりまして、 これを同一文献ごと、感染症ごとに整理してまとめたものが資料4-2の「報告文献別一 覧表」でございます。今回の資料4-2に基づいて概要を御説明させていただきます。  今回の報告ではおよそ40の感染症に関して214件の文献等が提出されております。文 献が提出された主な感染症はクロイツフェルト・ヤコブ病が49件で最も多く、またウイ ルス性肝炎が31件、インフルエンザが23件となっております。論文については事前に 評価委員の先生方に御確認いただき、国立感染症研究所長の倉田委員と御相談しながら、 感染症研究所の先生方に学術的コメントをお願いするなど措置を講ずる必要性を含め御 意見を頂いております。感染症定期報告の制度についてはスタートして2年ということ で、本委員会において一通り感染症については御検討いただいたところでございますが、 今回の文献等について主なものを御紹介させていただきます。  まず1ページにA型肝炎に対する論文がありますが、7に輸血によるA型肝炎の感染 に関する論文、11は米国FDAにおけるHBc抗体陽性者の供血者リエントリーに関す る報告でございます。18から2ページにかけてはE型肝炎に関する報告でございます。 32からはHIVに関する報告、34では米国FDAの核酸検査に関するガイドライン、3 ページでは38で感染の動向などが報告されております。  47から4ページの69までインフルエンザの論文が多数報告されておりますが、アジ アを中心に各国でトリインフルエンザの発生、また前々回から同じ傾向の論文が提出さ れております。49にはH5N1型のブタへの感染、また4ページの66にはアヒルへの 感染能などについて報告されています。これまで安全対策部会において各国のトリイン フルエンザの発生が医薬品制度に与える影響、可能性については事前評価委員の先生方 からは否定的な御意見を頂いているところでございます。  4ページの70からは原因不明のウイルス感染を中心に、各国における発生や対応など が並んでおります。  5ページの真ん中辺りの84からウエストナイルウイルス感染に関する文献が続いて おります。87、90で米国におけるウエストナイルウイルスに対する供血停止期間延長に 関する報告、89では米国アリゾナ州におけるウエストナイルウイルスの発生状況などが 報告されております。  続きまして6ページでございます。95〜97までケニアなどにおける狂犬病に関する報 告があります。  99からクロイツフェルト・ヤコブ病に関する文献等が報告されております。海外にお けるvCJD患者の事例など、前回の安全対策部会で御報告させていただいたものが引 き続き報告されております。特殊なフィルターによるプリオン除去、プリオンの検出法、 また白血球の分離除去による感染性への影響や基礎的な研究に関する報告などが提出さ れております。121でフェリチンは種間で保存性を示すため、遠く離れた種のPrPが 腸管から吸収されるのを促進し、ヒトにキャリアーの状態をもたらす可能性があるとい った学術的な報告。8ページの132は129位のアミノ酸がバリンであるプリオン蛋白質 がvCJDの発現を阻止するとの報告。133で人工プリオンによる感染性実験に関する 報告が提出されております。  また138でクロイツフェルト・ヤコブ病に関連して、2月4日に英国に約1か月の渡 航歴がある男性について国内初のvCJDであることが確認されました。これを受けて 厚生労働省では当該vCJD患者の欧州滞在歴等に関する調査結果が明らかになったこ とを踏まえまして、血液事業部会運営委員会及び安全技術調査会において更なる検討を 行ったところ、新たな安全性に関する情報が得られるまで当分の間予防的な措置を講ず る観点から、1980〜1996年の間に1日以上の英国滞在歴を有する方から献血を見合わせ ることとしております。合わせて国民の医療に必要な献血製剤の供給に支障を来すこと がないよう、献血による血液の確保、血液製剤の適正使用等の対策の一層の推進を図る こととしております。また今回の措置及び背景に関してもQ&Aが6月1日付けで厚生 労働省ホームページに掲載されております。  続きまして9ページでございますが、結核、口蹄疫に関する報告などが続いておりま す。11ページ以降についてはそのほか感染症に関する外国で発生した報告等が続いてお ります。これらの概要について倉田委員、甲斐委員、山口委員にも御覧いただいたとこ ろ、今回は目立って措置が必要な報告は見当たらないが、今後とも引き続き情報収集に 努めるようにということでございます。追加の御発言などありましたらよろしくお願い いたします。事務局からは以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。倉田委員、御意見ございますでしょうか。 ○倉田(毅)委員 特に意見というわけではございませんけれども、前回も少し触れまし たが、この報告は非常に大事なものを全部カバーしていると言っていいくらい、きちん としていると思います。我々の研究所では1か月少し前にこれを整理したものを頂きま して、部長、室長、主任研究員も含めて全員に送って、自分の分野とあるいは横に見る 分野もありますが、そこを見ていただき検討してコメントを全部もらって、それを整理 して事務局の方に上げております。しかし、これは会社もさることながら患者を扱う側 あるいはいろいろな研究領域で、こういう問題をきちんとリスク評価した上で上げてい ただくことは非常に大事だと思います。海外の感染症発生とか、これは動物だけの問題 も人の問題もありますが、生物製剤に関していえば基準を守ってきちんとプロセスバリ デーションが行われていれば、製剤に関しても動物由来製剤であればこれを介して人の 社会に入ってくる可能性は非常に低いということが言えると思います。病原体の検出、 除去のための方法の開発というのはまだまだ引き続き行っていくべき状況だと思いま す。  また、後で山口先生も触れると思いますが、ウシのBSEの問題、それからスクリー ニング、この問題というのは今大丈夫という話では全くなくて今後注意していく、ここ では医薬品ですが、食品も今大きな問題になっている。政治とサイエンスの問題が大き な問題になっているわけで、こういうこともきちんと監視していく必要があると思いま す。お好きで食べるのは結構ですが、そのツケが周辺に来ると困るということでありま す。この発生国については今後も注意していく必要があると思っています。もう一つは 今EU関係も食品は安いところから高いところへ、高いところから安いところへ国を越 えて出回っていまして、つまり日本のスーパーマーケットもそうですが、国を越えてチ ェーン化されていますので、どこにでもいろいろな国の安い高いものがずらっと並ぶわ けです。そうすると今回のはイギリスだけですが、イギリスでウシを食べたのが悪いか どうかという話だけではなくなって、ヨーロッパ全体の問題だということも市場調査を されればすぐ分かります。昔ヨーロッパにいたことがあってそういう関係の人に聞きま すと、そんなことはナンセンスであると。安いものは安い方へ、高いものは高い方に消 費者の要求に応じて流れているわけで、一国で感染のあったものが一国でとどまってい るならその問題はそれでいいかもしれないということですが、現状の物資の流れはEU 内は国境はないのでそういうことに関しても少し気を付けて、マーケットがどう動いて いるかということもいずれ何かのときに調査されてはいかがかと提案しておきます。  それから1ページの7、A型肝炎の輸血の事故ですが、日本ではキャリアが非常に少 ない、ウインドウ期が短いということと、患者数が減少の一途をたどっており、またい いワクチンがあると。今のところ対応の必要はないから直接やることはないのではない かと。もう一つ、E型肝炎はこの前にも少し話が出たと思いますが、これはブタ、イノ シシ、シカなどについて生で食べないということ、それだけのことです。こういうこと も食べた人のミステイクで、その結果がほかの人に及ぶということは非常に問題が大き いので、これはこの部会がやることかどうかは別として、食品の問題にきちんと提起し て一般消費者がそれを知るべきだと思います。それ以外にはどうやってもこれを防ぐ方 法はないのです。そういうことをきちんとやる必要がある。Q&Aがあっても食べる人 は多分そういうものを見ていないと思います。  それから5ページのウエストナイルはもう北海道の函館の真西ウラジオストックまで 来ていますから、いつ国内に入りますかと野鳥に聞いてみるしかないのですが、そうい うことでこれは警戒したところでしようがないのです。一応動物関係のサーベイランス からワクチンの研究その他全部やっています。ワクチンの問題というのは開発等を含め てきちんと対応していく必要があろうと思います。それからロタウイルスですが、これ も動物がよく持っているものでして、これも特別の対応はないし、日本ではきれいな水 がたくさんありますから、それを飲んでいたらロタウイルスに直接感染するということ は余り大きな問題ではないと思います。しかし情報収集はしておくことだと思います。 そういうことで、今回も事務局が先ほどおっしゃいましたように、特に話題性があると か緊急対応が必要だというものはないように思います。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。山口委員、いかがですか。 ○山口委員 事務局から報告していただいたとおりだと思いますが、ちょっと数点追加 させていただきたいと思います。13番目の報告でHBVの成人の透析患者のグループを 対象とした検討が行われていまして、HBVの低濃度キャリアについての論文があるの ですけれども、こういうグループではHBs抗原陰性で血中ウイルスゲノムが102〜10 4個/mLのドナーが3.8%も存在することが報告されていまして、要するに非常に低濃度 のドナーが存在し得るという問題があります。我が国はこの血液製剤のHBVの検査用 試験としてはHBs抗原ばかりでなくコア抗体の試験とかの三つの方法を使ってやって いるわけですから、ルーチンの事項ではちょっと難しいのですけれども、HBsの遡及 調査の検討の際にも多くが低濃度キャリアだったということが非常に問題になっており まして、こういう102のコピーしかないような非常に低濃度のキャリアについては現在 のミニプールでも検出がちょっと難しいとは思います。ですから日赤は今検討されてい ると思いますけれども、よりNATの感度を上昇させるなどということがこれから必要 になってくるのではないかと思います。  それから14番の報告で、NATの陽性と血清学的に陽性なHBVやHCVの陽性のバ ックグラウンドを解析した日赤の論文があるのですけれども、こういうNAT陽性ドナ ーというのは血清学的には陰性ですので、割とウインドウ期に近いというものなのです。 初期感染やこういう低濃度キャリアが含まれているわけですが、こういうグループには 低年齢で、ジェノタイプが今までのバックグラウンドのジェノタイプと大分違うという ことがありますので、この血液製剤のNATガイドラインが昨年作られたわけですけれ ども、それに沿ったいろいろなサブタイプ、ジェノタイプのきちんとしたNAT試験の バリデーションを行っておくことが必要と思います。それはもうガイドラインに沿って やっていただければ、そういうことが担保できるのだろうと考えております。  それから、やはり先ほど事務局もちょっと説明されていたのですけれども、87番目の 報告でウエストナイルの疑いのある人とウエストナイルにかかった人の供血期間の延期 についてFDAからの勧告がありました。日本は米国から帰ってきた人は28日献血でき ないようにしているわけですけれども、FDAの勧告に含まれているのは一度かかった 人がバイデミアにある期間が相当長いということでこういう措置を採っておりますの で、要するに日本に帰られた人のウインドウ期の問題で、28日というのは現時点では変 える必要がないのではないかと考えております。  もう一つは先ほど倉田先生もおっしゃいましたけれども、我が国で英国滞在歴のある vCJDの患者さんが見付かりまして、TSE調査会でも議論になったわけですが、運 営委員会と安全技術調査会の合同部会で英国滞在歴1日の方も御遠慮いただくというこ とを、多分この6月1日からスタートしたのではないかと思います。問題は献血が少な くなるために供給の減少が起こるというか、実際に貴重な輸血などが行われなくならな いように、きちんとした対応が必要だと思います。それは現在対応されているのだと思 います。  それからもう一点、これは109番目の論文なのですが、フランスで新たなvCJDの 患者が発生したと。10年間に10回献血をしていて、その献血したものが回収されてい るという報告がございます。幸いにしてこのフランスの輸血用製剤が日本に入ってきて いるわけではないのですけれども、先ほど倉田先生がちょっとおっしゃいましたように、 ヨーロッパは地続きですので日本に輸入しているところにいつそういうものが発症する かも分かりません。分画製剤について言えばプロセスバリデーションということがあり ますので、それがきちんとされていればそのリスクは非常に低いものと考えていますけ れども、そういうことが起きたときの情報提供というのはきちんと考えておく必要があ るのではないかと思います。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。甲斐先生はいかがでしょうか。 ○甲斐委員 この感染症定期報告は今問題になっている感染症をよく調べ上げておられ まして、今回は目立って措置が必要な報告は見当たらなかったと思います。これらの情 報はメーカーが自社の製品に対してきちんと安全対策を実施していく上で重要ですの で、ほかのメーカーの方も報告した情報について共有していただくとよろしいと思いま す。  今回の定期報告には新しい検査法や不活化方法に関する文献が幾つかありましたけれ ども、安全性などを確認しなければいけませんので、これらを導入するにはしばらく時 間が掛かると思います。  クロイツフェルト・ヤコブに関してですけれども、120番目の論文でハムスターのス クレイピーの実験的感染の研究結果ですが、筋肉内にプリオンが認められたという報告 があります。BSEでは異なっておりまして、まだ筋肉にはないということになってお りますが、現在もそういう研究が大変進められておりまして、今後もこれらのような情 報の収集に努めていただければと思います。  輸血用血液製剤については血漿分画製剤のようなプロセスバリデーションが行われま せんし、感染性の検査にも限界がありますので、まずは献血時の問診と診察をきちんと 行って、実用化できる新しい技術があれば一つ一つ検討して導入していくということが 大事ではないかと思います。そのほかについては事務局の説明でよろしいと思います。 ○松本部会長 どうもありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。 ないようでしたら次に進ませていただきます。  議題5は一般用医薬品の指定医薬品解除についてです。事務局から説明をお願いいた します。 ○事務局 それでは、資料5に基づきまして一般用医薬品の指定医薬品解除について御 説明させていただきます。  一般用医薬品の指定医薬品解除でございますが、「指定医薬品」とは薬事法第29条に 基づき厚生労働大臣の指定する医薬品でありまして、薬局又は一般販売業において薬剤 師による取扱いを必要としているものでございます。一方で、医療用医薬品の成分のう ち薬剤師等の指導の下、一般の使用者自らの判断によっても十分に安全かつ適正な使用 が確保されると考えられるものにつきましては、一般用医薬品の成分として承認してい るところ(いわゆるスイッチOTC)でございますが、このスイッチOTCとしての承認 時には一般用としての使用経験が少ないことから、指定医薬品として薬剤師による取扱 いが必要とされているところでございます。(3)でございますが、指定医薬品の解除に つきましては平成11年以降、本部会における審議を踏まえまして品目ごとの解除を行っ てきているというところでございます。  1ページの2でございますが、今回御検討いただく一般用医薬品は(1)テプレノンと して3.75%以下を含有する細粒剤、商品名「セルベール」、(2)インドメタシンとして 3.75%以下を含有する貼付剤、商品名「インサイドテープ」の2品目でございます。セ ルベールについては資料の2〜3ページにまとめておりますが、2ページの一番下の方 に市販後調査の結果の概要を記載しております。市販後調査は販売開始の平成13年10 月〜平成16年10月まで3年間実施されております。報告された副作用等を記載させて いただいておりますが、ほとんどが既知で軽微なもの、また発現頻度も低いことから、 特段安全性上の問題は見られないものと考えております。その次のページは外箱と添付 文書の写しになっております。  さらにその次のページをめくっていただきますと、インドメタシンのインサイドテー プについてでございます。平成15年2月から市販後調査が実施されておりまして、そち らの結果を記載させていただいております。これまでの2年間で既に特別調査の症例数 約950例が集まっておりまして、認められている副作用はかゆみ、かぶれ等の軽微なも のであり、また副作用発現率は1.4%と低い値になっております。以上、インサイドテ ープにつきましても現在まで得られている市販後調査の結果、またインドメタシンとし ては既に一般用医薬品として十分実績があることなどから、事務局といたしましては特 段安全性上の問題はないものと考えております。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。この議題に関しまして御意見、御質問等はご ざいませんでしょうか。ないようでしたら、これはお認めいただいたと解釈させていた だきまして、次に進ませていただきます。  議題6はその他ですが、これは事務局から何かありますか。 ○事務局 その他に入ります前に、先ほどの岩ア委員の御質問を踏まえまして少し補足 させていただきます。通常の副作用報告を受けてこちらはどのように評価しているかと いうことを御説明させていただきます。  まず副作用報告を受けますと、日々こちらの方に報告がありますので、それにつきま しては担当の方ですべて目を通させていただいております。また日々の報告の評価とと もに、1週間の集積ということで1週間まとめてどれくらい来ているか、そこにつきま しては累積として今までどれくらいの報告があったかということも発現頻度等を踏まえ まして評価をさせていただいております。日々の副作用における重篤性と1週間の集積 における頻度とを兼ね合わせて評価しているということ。また加えて注目すべき品目が ございましたら、先ほどのイレッサではございませんけれども、1か月ごと、ないしは 必要に応じた期間におきまして集積して評価しているというところでございます。そう いう担当における評価とともに、必要に応じて専門の先生の御意見を踏まえつつ、添付 文書の改訂等の必要な安全対策について日々こちらで評価、検討しているというのが現 状でございます。以上、補足説明をさせていただきます。 ○松本部会長 ありがとうございました。それではその他について御説明をお願いいた します。 ○事務局 引き続きまして資料6、日本脳炎ワクチンと急性散在性脳脊髄炎(ADEM) につきまして御説明申し上げたいと思います。お手元の資料6の2ページにございます とおり、本年の5月30日に健康局結核感染症課より日本脳炎ワクチン接種の積極的勧奨 を差し控える旨公表するとともに、各都道府県へその旨を通知しております。これらの 措置は予防接種法に基づくものでございますが、本日は現行日本脳炎ワクチンに関する 薬事法上の対応につきまして御報告いたしたいと思います。  まず日本脳炎ワクチンと急性散在性脳脊髄炎(ADEM)の現況につきまして御報告い たします。お手元の資料の5ページでございますが、薬事法に基づいて行われます日本 脳炎ワクチン製造販売業者によるADEM副反応報告につきましては、このとおりに平 成14年度には0件、平成15年度は5件、平成16年度は2件、平成17年度の5月末現 在までで0件と年間延べ400万人以上の方に使用されている中で、その副反応報告の状 況に大きな変化が見られていないと考えております。またお手元の資料の6〜7ページ に日本脳炎ワクチンの現在の添付文書がございますが、その7ページの左上の部分にご ざいますとおり、ADEM発生の可能性につきましては添付文書上で既に医療関係者に 注意喚起を行っているところでございます。なお5月30日の予防接種法に基づく措置に 関しましては、8ページにございますように日本脳炎ワクチン製造販売業者に対して医 療機関へこの件に関する適切な情報提供をするよう既に指示しているところでございま す。  以上の状況を考えますと、現時点におきまして薬事法に基づき現行日本脳炎ワクチン を直ちに回収するなどの措置は必要ないものと考えまして、更に本件について慎重に判 断するために複数の薬事・食品衛生審議会の専門家の先生方に御意見を聴取しておりま す。その専門家の御意見をまとめますと9ページのとおりでございました。すなわち、 日本脳炎ワクチンとADEM発症の因果関係について、医学的な証明は困難ではあるけ れども、否定することはできないということ。添付文書にはADEM発症に関する注意 喚起が記載されており、その点では妥当と考えるが、ADEM副反応の報告件数(年次推 移)などの情報や報告のあった症例の経過概要は医療関係者にとって有用であるという こと。現行ワクチンを細胞培養によるものに切り替えていく方向で検討すべきというこ と。結論として、現行ワクチンについて有効性・安全性のバランスを失しているとは言 えず、現行ワクチンの回収などの措置は必要ないと考えるということ。現行ワクチンの ADEM報告件数の年次推移や症例の経過概要などについて医療関係者に情報提供すべ きということ。このような御意見を頂いているところでございます。  以上を踏まえまして、今後の薬事法に基づく対応といたしましては、日本脳炎ワクチ ンのADEM報告件数の年次推移やADEM報告症例の概要などにつきまして医療関係 者へ情報提供することとしております。以上でございます。 ○松本部会長 ありがとうございました。ただいまの日本脳炎ワクチンに関しまして、 どなたか御意見、御質問ございませんでしょうか。倉田先生、何か御意見ありませんか。 ○倉田(毅)委員 意見というよりも、このADEMというのはごちゃごちゃにいろいろ なもの、神経症状のあるものを全部含んでいると考えていいと思います。ちなみにちょ っと調べてみましたが、1994〜2001年まで日本脳炎は3,700万ドーズ使われています。 その中で脳炎、脳症、特に神経症状が出た例が19例あります。ですから約180万ドーズ に1例あるかないかということになります。これは正式に報告されたものからの数値で す。ですからある1世代、2世代まで行きませんが、ある年代とそのもう一つ上、下で もいいのですが、そういうものの半分よりちょっと超えるぐらいに対して1例出ると。  そういう問題は、例えばいわゆるワクチンを接種したことによるのか、あるいは自然 感染によってこういう症状が出るのかという問題の資料は、日本には割とそういうフィ ールドのものがないのですが、これは米国ではワクチンの前に非常に緻密に行われてい る例があります。軽い重いはありますが、はしかでもこういう症状は明らかに1,000に 1例出ます。そのほかワクチンと関係なくいろいろなウイルスの感染症で出てきます。 ではワクチンの160万〜180万、平均してです。この平均してというのは製法が変わっ ていない段階のものですね。それを多いと見るか少ないと見るか。それを副作用として どう見るかというのはワクチンに対するとらえ方で個人差はあるのではないかと思いま す。ですから、我々のところは物をチェックしている立場ですので、これに関してコメ ントをいろいろ言うのは差し控えたいと思います。ただ統計的に見たときにそういう数 字が出ているということは事実です。  ですから後は、例えばワクチンを打つ人がいなくなったときに病気が出るかと。特に 関西地方から九州にかけては東側に比べますとウイルスの保有率は非常に高いわけで、 日本脳炎の発生が減ってきたのはウイルスがいなくなったから減ったわけではないので す。全然違います。昔の養豚場というのはどこでも都市のすぐ外にあって、今は非常に 限られた場所に行ったということが一つと、蚊の管理が何かうまくいったという話では 全くなくて、豚のいる周辺には日本脳炎のウイルスを持った蚊は幾らでもいるわけで、 豚が感染してそこからまたその豚を刺した蚊が人に来るというわけです。ただ非常に限 られたところにいますと、そこと人が多数いるところとの蚊の飛程距離というのもあり ますから、そういうことで多少減っているように見えているわけです。ウイルスがいな くなったわけでもなければ野鳥が運んでくるものがなくなったわけでもないと。今後の ワクチン対策を考えるときに、そういうことは知っておく必要があると思います。 ○松本部会長 ありがとうございました。実際に現在日本脳炎は概略で年間何人ぐらい 発生しているのですか。 ○田代委員 報告されている数は1年に数人です。10人以下といいますか、ゼロか数例 です。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。どう ぞ。 ○山口委員 ちょっと気になるのはやはり倉田先生がおっしゃるように、要するにワク チンの接種をやめたために将来増えてくるのではないかという、そこが非常に心配なの です。最後の9ページにあります「3.その他」のところで、現行のワクチンを細胞由 来ワクチンに切り替えていくという方針が出ているのですけれども、アプリオリに細胞 由来が安全かと言われるとやはりそうではないのではないかという気がちょっとするの です。結局安全性というのは個々の製品ごとにきちんと評価するべきであって、そうす るともしこの製品がきちんと評価できないものであったら、より接種は延びてしまう可 能性が高いという危惧があります。言ってしまえば省内の連絡の不統一かなと、そのよ うな気がするのですが。ここの部分についてはもう少し慎重にならざるを得ないなとい う気がいたします。 ○松本部会長 ありがとうございました。どうぞ。 ○倉田(毅)委員 病気がなくなっているのになぜワクチンを接種するのか。これは医学 関係のかなりいろいろな見識のある先生方でもおっしゃることで、唖然とすることがあ ります。あらゆるワクチンがありますが、ワクチンを接種しているからなくなっている ように見えているだけというものと、明らかになくなっているものもあるかもしれませ ん。そこのところをもっと常識を持っていただかないと困るかなと思います。結構な有 識者にそういう方がおられるということで、私はこのワクチンを見ている側からして、 もう少しそこのところを勉強していただく必要があるかなと思います。以上です。 ○松本部会長 ありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。どう ぞ。 ○田島委員 話を元に戻すようで大変恐縮ですが、教えていただきたいのは、イギリス では輸血用血液というのはどのように集めているか。例えばそれが国内の献血なのかど うか、そこを教えていただきたいということと、それによって明らかに因果関係がある と思われるクロイツフェルト・ヤコブが出ているのかという、そこら辺の事実をちょっ と教えていただきたいと思います。 ○松本部会長 輸血のことですね。この日本脳炎に関しましてはこれでよろしいですか。 日本脳炎に関しましては9ページの専門家の結論がありますが、このような結論で今の ところよろしいでしょうか。御異論ございませんでしょうか。それではそれはそのよう にさせていただきます。  それでは先程の質問について答えていただけますか。どうぞお願いいたします。 ○事務局 血液対策課でございます。英国でのいわゆる採血ですとか血液製剤という問 題でございますけれども、英国でも基本的には日本と同じような形で、National Blood Serviceというところが献血をやって、その血液を使って血液製剤を作っております。 ただ英国の場合はいわゆる輸血用製剤、赤血球製剤や血小板製剤といったいわゆる有効 期間が短いものについては外国から輸入ができませんので、自国の血液について当然リ スクを承知の上で使っていると。ただ血漿分画製剤については、基本的にはアメリカで すとか他の国から購入して使っているというのが実情でございます。 ○田島委員 もう一つ教えていただきたいのですが、それによってクロイツフェルト・ ヤコブに、発症までには長い時間が掛かるとは思いますが、そこら辺で明らかに因果関 係があるような症例というのがあるかどうか教えてください。 ○事務局 明らかな因果関係というのは非常に難しいところではございますけれども、 知り得る範囲では、英国において献血後にvCJDが発生したドナーの方が15人見付か っておりまして、その15人の方から48人の方に輸血がされております。レシピエント の方が48人いらっしゃると。そのうち2名の方がvCJDを発症しております。もちろ んその2名の方も食事によってBSEからvCJDに発生していったケースの疑いは当 然否定できません。ただいろいろな蓋然性から見ると、輸血による感染というものも否 定できないという状況でございます。 ○田島委員 どうもありがとうございました。 ○松本部会長 よろしいですか。全体を通じてほかに御意見、御発言ございませんでし ょうか。ないようでしたら本日の部会はこれで閉会させていただきます。どうも長い間 ありがとうございました。                                    ( 了 )   連絡先: 医薬食品局 安全対策課 課長補佐 渡邊(内線2748) - 1 -