05/06/03 薬事・食品衛生審議会医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会合同開催 平成17年6月3日議事録    薬事・食品衛生審議会 医療機器・体外診断薬部会/医療材料部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年6月3日 14:00〜   厚生労働省専用第18〜20会議室 2.出席委員  部会ごと五十音順(両部会とも所属の委員あり)   (医療機器・体外診断薬部会:11名)    井 街   宏、 上 野 照 剛、 小 野 哲 章、 鎌 倉 史 郎、    許   俊 鋭、 澤     充、 田 島 知 行、◎土 屋 利 江、    富 田 基 郎、○中 原 一 彦、 山 口 照 英   (医療材料部会:16名)    飯 田 寛 和、 小 田   豊、 笠 貫   宏、 菅 野   純、    北 村 惣一郎、 許   俊 鋭、 倉 根 一 郎、 勝 呂   徹、    高久田 和 夫、 田 島 知 行、 田 野 保 雄、◎土 屋 利 江、    橋 本 久 邦、○長谷川 紘 司、 松 村 英 雄、 山 口 照 英 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員  部会ごと五十音順   (医療機器・体外診断薬部会:4名)    岡 部 信 彦、 小 俣 政 男、 仁 田 新 一、 橋 本 信 夫   (医療材料部会:2名)    橋 本 信 夫、 牧 野 恒 久 3.行政機関出席者 黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、   川 原   章(審査管理課長)、 山 本 弘 史(医療機器審査管理室長)、   豊 島   聰(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審査センター長)、   揚 松 龍 治(独立行政法人医薬品医療機器総合機構審議役)、   木 下 勝 美(独立行政法人医薬品医療機器総合機構医療機器審査部長) 他 4.備  考   本部会は、両部会合同案件は公開で、各部会個別案件は、企業の知的財産保護の観   点等から非公開で開催された。 ○事務局 定刻となりましたので、ただいまから医療機器・体外診断薬部会及び医療材 料部会の合同部会を開催いたします。委員の先生方におかれましては、御多忙中に御出 席いただきましてありがとうございます。本日は医療機器・体外診断薬部会の委員数15 名のうち10名、それから医療材料部会の委員数18名のうち13名に御出席いただいてお り、両部会とも薬事・食品衛生審議会令第九条第3項に基づき定足数に達していること を御報告いたします。本日の会議のうち合同開催案件につきましては、平成13年1月 23日の薬事・食品衛生審議会決議に基づきまして公開とさせていただきます。合同開催 案件が終了した後、引き続きまして医療材料部会及び医療機器・体外診断薬部会の案件 へと移らせていただきますが、こちらの方は個別品目の審議であるため企業の競争と地 位を脅かす可能性があるということで、非公開とさせていただきます。  それでは合同開催部会案件につきまして土屋委員に座長をお願いしたいと思います。 土屋先生、以後の議事進行の方をよろしくお願いいたします。 ○土屋座長 それでは審議に入ります。最初に事務局より資料の確認をお願いいたしま す。 ○事務局 それでは資料の確認をさせていただきます。今回の合同部会に関する資料は あらかじめお送りしております。なお本日お手元に配付させていただいております資料 は差し替え資料と追加資料でございます。まず座席表がありまして、議事次第、委員名 簿、また配付一覧が一式あります。本日の追加資料は資料3-2、参考資料3-1でござい ます。なお、お手元に資料がない委員の方は御連絡等をお願いいたします。以上です。 ○土屋座長 それでは審議に入ります。審議事項1でございますが、本日は七つの医療 機器の認証基準を御審議いただきます。まず事務局より御説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは事務局より審議事項の議題1、認証基準に関しまして御説明をさせ ていただきます。本認証基準におきましては、合同部会に先立ちましてクラス分類基準 等検討小委員会の委員の方々により御審議いただいております。ただ委員の方々の日程 調整の都合が付かなかったことによりまして、小委員会委員長に御相談の上書面による 審議を行わせていただきました。なお各委員から頂いた御意見に関しては事務局と委員 長の間で相談させていただき、各委員了承の上本日配付させていただいた資料に反映さ せております。また併せまして、5月12日〜6月2日の間に本基準に関するパブリック コメントを実施させていただいておりまして、その際に頂いた御意見についても反映さ せておりますので、基準の説明の中で適宜御紹介させていただきます。その件も含めま して、各委員におかれましては御審議いただけますよう、よろしくお願いいたします。  それでは具体的な資料の中身について御説明いたします。当日差し替えとしてお配り いたしました参考資料1-1をお手元に御用意ください。1枚めくっていただきまして、 まずそもそも大前提としての認証基準の位置付けとしまして制度の御説明からさせてい ただきます。今年の4月1日より薬事法改正が行われ、医療機器にあるカテゴリーとし て医療機器をリスクに応じてクラスI〜IVの4段階に分類しております。今回御審議い ただく認証基準というのが、この四つのクラスの中のクラスIIの品目に関する基準にな っております。  3ページをお開きください。「第三者認証制度における個別品目の認証フロー(医療機 器)」と書いてあるページですけれども、このクラスIIの品目におきましては厚生労働省 ではなく第三者認証機関において適合性認証確認を行わせていただくために、今回御審 議いただくような認証基準というものを作成しております。各機関におきましては、こ の認証基準との適合性確認を行うことによって、そのクラスIIの医療用具を認証するに 値するかどうかということを確認していただくことになっております。  もう1枚めくっていただいて4ページを御覧ください。「適合性認証基準への適合性 の判断方法」でございます。適合性認証基準におきましては、そもそも適用範囲である 一般的名称がどの範囲であるか、適合性認証基準の中で引用しているJISは何である のか、適合性認証基準で設定している使用目的、効能又は効果が何であるのかといった 三点を定めております。各登録機関はこれら3項目についてそれぞれ適合性認証基準に 合致しているかということを個別品目ごとに判断していただくことになっております。  次のページをめくっていただけますでしょうか。これは各第三者認証機関が審査を行 う際に添付する資料の一覧になっております。右の方に大きな柱が2本書いてございま すが、一つが今御説明いたしました適合性認証基準への適合性を証明する資料として、 認証基準に合致しているかどうかということを御判断いただくと。もう一つは基本要件 基準への適合性を証明する資料として基本要件チェックリストというものを認証基準と 併せて制定させていただきまして、これについて告示で定める基本要件に合致している のかということを併せて御確認いただいて、登録機関の方に御判断いただくことになっ ております。本部会の審議においては、この7品目における適合性認証基準と基本要件 基準への適合性チェックリストを御用意させていただいて、各委員に御審議いただけれ ばと考えております。  もう1枚めくっていただけますでしょうか。「医療機器の認証について」というペー ジがあるかと思いますが、ここが今御説明したことをまとめたような紙になっておりま して、告示で定める認証基準の中に含まれる適用範囲、JIS規格、標榜できる使用目 的、効能又は効果の範囲というものを認証基準として、ひとつ御審議いただきたいと思 います。もう一つは基本要件への適合性を確認するための基本要件適合性チェックリス トを御用意しておりますので、これについても併せて御審議いただきたいと考えており ます。  それでは各個別品目の概要に移らせていただきます。7ページを御覧いただけますで しょうか。「X線CT組合せ型循環器X線診断装置認証基準(案)」でございます。この 品目の概要といたしましては、X線CT装置と循環器X線診断装置という二つの医療機 器を組み合わせて一つにしたような医療機器を対象としております。各X線CT組合せ 装置及び循環器X線診断装置におきましては既に昨年3月末をもって認証基準を制定し ております。今回の基準ではそれら両方の認証基準を満たすことを要件として、「(2) 基準作成方針」としてJIS Z 4701〜4704まで、またJIS Z 4751-2-44の両方に適合する ことを要求し、本基準の規格基準として制定させていただいております。主な論点とい たしましては、組み合わせて両方の機能を有しているのですけれども、同時に使用する ことが想定上考えられないことから、X線CTと循環器X線診断装置を同時に使用する ことは不可であるという旨を認証基準の適用範囲に明記させていただいているものにな っております。  続きまして「ホルタ心電計認証基準(案)」について御説明いたします。この品目にお きましては現行制度において承認基準等の申請資料等の定められた手順などはございま せんので、基準作成方針としてはJIS T0601-1に適合性を求めることにさせていただい ております。その上で、個別の性能においてはIECの性能項目を検討することによっ て認証基準に合致し、なおかつ基本要件に適合していることを御確認いただく基準にな っております。ホルタ心電計の認証基準においては縦長の資料1-2が具体的な認証基準 案になっているのですが、表紙が当日差し替えの資料1-1となっているものの中ほどに 資料1-2についても書かせていただております。先ほど御説明させていただいたように、 ホルタ心電計基準としてJIS T 0601-1に適合しているということを書かせていただいて おります。後ろのホルタ心電計のチェックリストの2〜3ページのところに「(医療機器 の有効性)」として第6条が書かれていると思うのですけれども、ここで医療機器の性能 を担保するIEC 60601-2-47に規定されている性能項目について確認することによって、 基本要件に適合していることを併せて確認するといった基準になっております。  続きまして横長の紙に戻っていただきまして、「筋電計電極認証基準(案)」について 御説明させていただきます。筋電計電極認証基準は筋電計に用いられる電極に対する認 証基準でございますが、これはJIS T 0993-1という生物学的安全性に関する規格に適合 していることを要件としております。縦長の資料1-3をお開きいただくとお分かりにな ると思うのですけれども、筋電計電極基準としてこちらに書かれておりますように、日 本工業規格T 0993-1に適合するものとしてJISを引用しております。この品目におけ る各性能についての規定に関しては、先ほどのホルタ心電計と同じように後ろのチェッ クリストの2枚目を御覧になっていただきますと、第6条のところに医療機器の有効性 として意図した性能を規定するということで、既存の品目における一般的な性能値とし て測定するのが妥当であると考えられる項目である導電率、引抜強さ、曲げ強さといっ た性能項目を規定しております。この基準におきましてはその後ろの第7条の2の枠に ある医療機器の汚染物質及び残留物質に関する危険性について、事前にお配りした資料 にはこの項目は不適用という話になっておりますが、クラス分類検討小委員会の先生の 御意見により電極からの溶出物が完全には否定できないと考えられていることから、こ こに関しては適用という形にさせていただき、チェックリストで確実に評価するという 基準にしたいと考えております。          続きまして「経皮血中ガス分析装置認証基準(案)」に移らせていただきます。縦長の 資料を更にめくっていただきますと資料1-4があるかと思いますけれども、これにおき ましては先ほどのホルタ心電計と同じように日本工業規格T 0601-1に適合していること を要件として定めております。更に2ページめくっていただきますと、第6条の医療機 器の有効性のところでIEC 60601-2-23に従った各性能項目について検証し、基本要件に 適合確認を行うということを要求事項として定めております。またこの品目においても、 4枚ほど後ろの方に第14条の「(エネルギーを供給する医療機器に対する配慮)」という 基本要件のチェックリスト項目がございます。これにつきましても事前にお配りした資 料においては第14条の3が不適用になっていましたけれども、クラス分類の先生から適 用にするのが妥当ではないかという御意見を頂きましたので、委員長と事務局で相談し、 クラス分類委員の御意見を反映させて適用に変更させていただいております。  続きまして「耳音響放射装置認証基準(案)」、資料1-5をお開きいただけますでしょ うか。この耳音響放射装置基準におきましても認証基準に引用するJISはJIS T 0601-1に該当することを要件としております。さらに2ページおめくりください。基本 要件のチェックリストの第6条として、耳音響放射装置の既承認の品目において今まで の審査で要求させていただいている一般的な各性能項目について試験方法と一緒に測定 することを明記し、性能に関してはこの項目について基本要件に適合していることを御 確認いただくことになっております。さらに2枚おめくりください。チェックリストの 第7条の2の枠でございますが、ここにおきましても事前にお配りした資料では不適用 になっているのですけれども、耳音響放射装置というのが外耳道にイヤホンのようなも のを差し込むことになっているので、それに関する汚染の可能性が完全には否定できな いということから、クラス分類小委員会の委員の先生に御意見を頂きまして、ここにつ いても適用という形に反映させております。  続きまして「発声機能検査装置認証基準(案)」について御説明させていただきます。 縦長の方の資料1-6をおめくりください。発声機能検査装置基準として資料1-6という ものを定めさせていただいておりまして、この品目につきましても日本工業規格T 0601-1に適合していることを要件として定めております。また各性能項目を確認する事 項としましては、先ほどの耳音響放射装置と同様に医療機器のチェックリストの第6条 において既存品目の性能項目として必要不可欠なものを挙げさせていただいて、ここに 示すような試験方法で測定することによって性能の確認ができるという基準になってお ります。さらに1枚おめくりください。この基準につきましても、発声機能ということ で呼吸器をチューブで機械の中に通すことが想定され、それによる汚染の可能性は完全 に否定できないとの考え方から、第7条の2において事前にお配りした資料では不適用 となっていたものを適用としております。  最後に7番目の認証基準、「単回使用縫合針認証基準(案)」について御説明させてい ただきます。横長の参考資料1-1の一番最後のページを御確認いただけますでしょうか。 これにつきましては現状JIS T 3102の1985年版というものが存在したのですが、規格 自体が古いこともございまして昨年の3月25日にJISを改訂させていただき、JIS T 3102の2005年版を発出いたしました。今回の認証基準としてはこの2005年版のJIS T 3102を要件として満たすことを要求しておりまして、これに適合していることを確認す ることによって適切な単回使用縫合針の認証基準として制定できると考えております。 ただ最後のページの「(3)主な論点」に書かせていただいているのですが、JIS T 3102:2005の「4.1縫合針の種類」及び「6.4寸法」にある項目について、各縫合針の種 類の分類とそれに対応する寸法がJIS T 3102の表1及び表3の方に規定されているので すけれども、ここにつきましては1985年からあったJISを2005年版に改訂してすぐ に各製造メーカーがこの項目について対応して製品を早急に流通させることは早々には 困難であると考えておりまして、この項目については当分の間適用しないこととし、各 製造メーカーにJISの中身が周知徹底したころを見計らって適用に移ることを検討し ております。以上、長くなりましたが、認証基準7品目について御説明させていただき ました。 ── 説明中、上野委員、勝呂委員、医療機器審査管理室長着席 ── ○土屋座長 ありがとうございました。クラス分類基準等検討小委員会の委員長を務め ておられます小野委員長から何かございますでしょうか。    ○小野委員 小委員会においては、書面によりまして資料1-1〜1-7の認証基準を検討し ております。各委員から意見が寄せられましたが、今御説明がありましたように各委員 の了承を得た上で資料に反映させております。以上です。 ○土屋座長 どうもありがとうございます。それでは事務局の御説明に御質問等はござ いませんでしょうか。クラス分類等小委員会で既に御意見を頂いて、それに伴って修正 されておりますので、もし特にございませんようでしたら次の方に移りたいと思うので すが、いかがでしょうか。特にないということでございますので、本部会といたしまし てはJISのクラス分類小委員会でも十分審議されたということで御了承いただいたこ ととさせていただきます。それでよろしいでしょうか。それでは今月27日に開催されま す薬事分科会に報告させていただきます。どうもありがとうございました。  それでは次に二つ目の審議に入ります。審議事項の議題2でございますが、本日は二 つの医療機器の承認基準案を御審議いただきます。事務局より御説明をお願いいたしま す。 ── 笠貫委員着席 ── ○事務局 事務局から2品目の承認基準に関する説明をさせていただきます。お手元に 「(当日差し替え)」と書かれております資料2-1、参考資料2-1を御用意いただけます でしょうか。横長の参考資料2-1を中心的に使って御説明させていただきます。1ペー ジめくっていただきますと、先ほどの認証基準のときと同じクラス分類のカテゴリーの 表が書かれているかと思います。認証基準と違いまして、この承認基準というのはクラ スI〜IVの中でもリスクが高いと考えられ、厚生労働省の方で審査をさせていただくク ラスIII及びIVの審査に利用するための基準として、今回2基準定めさせていただくこと を予定しております。  1枚めくっていただけますでしょうか。医療機器の承認基準を利用する承認審査は独 立行政法人医薬品医療機器総合機構において行われるものでございまして、総合機構が 審査するに当たって、基準が定められるものについては承認基準という形で定め、その 基準に適合しているかどうかを確認することによって審査の迅速化・効率化を図ること を目的として予定しております。  さらに1ページめくっていただけますでしょうか。これは総合機構の方で行っていた だいている承認審査の審査分類でございます。臨床試験をしなければいけない品目から 臨床試験をするまでもない品目まで区分が分かれ、各区分ごとに審査に掛かる時間若し くは費用が段階的になっております。その中で、「(3)承認基準あり臨床なし」という ふうに、医療機器として承認基準に適合するかどうかということを確認することによっ て効率的な審査が行えることになっております。  続きまして具体的な承認基準の内容に移らせていただきますので、2ページほどおめ くりください。まず「インスリンペン型注入器承認基準(案)」について御説明させてい ただきます。これら二つの承認基準におきましても、先ほどの認証基準と同様にクラス 分類検討小委員会で書面による審議を行っていただき、各委員からの御意見を反映させ た資料を御呈示しております。インスリン以外の医薬品を注入することを予定している ペン型注入器はクラスIIの認証品目として既に認証基準が定められておりますが、イン スリンを注入するペン型注入器はもし事故等が起こったときに人体への影響がより一層 高いことが想定されますので、こちらの注入器のみクラスIIIとしてリスクが高くなって おりまして、それに関する承認基準を今回定めさせていただくというのが背景にござい ます。ただ今回承認基準として定める技術基準といたしましては、インスリンペン型注 入器に関する国際規格であるISO 11608という基準を翻訳したJIS T 3226-1:2005を利 用することを考えております。先ほど御紹介したインスリン以外の注入を目的としたペ ン型注入器の認証基準の方にも同様のJIS T 3226-1を引用しているのですが、クラスIII のインスリンペン型注入器におきましても同様にJIS T 3226-1:2005の基準を引用する ことが適切だと判断してこちらを技術基準とし、これに適合していることをもって適合 性確認が行えることになっております。  続きまして「輸液ポンプ承認基準(案)」について御説明いたします。現行制度におけ る取扱いとしましては、旧法における承認審査の時点で医療事故防止対策についてとし て輸液ポンプを製造し申請する際の注意事項に関する通知がございまして、現状の承認 審査においてはこれに従って申請書を作成していただき、この要件を満たしている製品 を申請していただいております。今回承認基準を定めるに当たりましては、IEC 60601-2-24という国際的な輸液ポンプの基準が存在しておりまして、これを基にJIS 基準を作成しております。その際に先ほど御説明した日本独自の通知で要件を求めさせ ていただいた注意事項等を国際規格にプラスして2005年3月25日にJISを制定いた しました。今回その国際規格に日本の独自規格を加えたJIS T 0601-2-24:2005を引用す ることによって輸液ポンプの承認基準とすることが適切であると考えております。  さらに1枚めくっていただきますと、この輸液ポンプ承認基準の一番の留意点をまと めております。輸液ポンプ使用時に同時に別の医療機械である輸液セットを使用するこ とが想定されるため、輸液ポンプの基準と輸液セットの基準の整合が取れていることが 非常に重要であると考えております。輸液セットはクラスIIの扱いになっておりまして、 既に昨年度の3月25日に適合性認証基準が制定済みでございます。その制定された輸液 セットの基準はJIS T 3221を引用しているのですが、ここにおきまして滴数によって流 量を制御する輸液セットに関して1mL当たり20滴又は60滴であることを定めておりま す。これは今現在滴数で制御する輸液セットの種類が複数混在している現状において、 何とかそろえて一律的なものを供給していただこうということを念頭に定めたものでご ざいます。この認証基準を踏まえまして、輸液セットと同時に使う輸液ポンプにおいて も同様に1mL当たり20滴又は60滴の輸液セットを想定した設計を行うことというのを 承認基準に明記しております。また輸液ポンプ、輸液セット共に20滴又は60滴につい て一律的にそれのみ認めるというのを平成21年3月31日までの経過措置期間として設 けておりまして、これによってそれ以降の品目は輸液セット、輸液ポンプ共に20滴又は 60滴に統一した製品が審査・承認される形になっております。これが輸液ポンプの承認 基準の一番の留意点になっております。以上承認基準について二点御説明させていただ きました。以上です。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。二つの重要な承認基準案の説明でござい ます。クラス分類基準等検討小委員会の委員長を務めておられました小野委員長の方か ら何かございますでしょうか。 ○小野委員 小委員会においても先ほどと同様に書面審議の結果各委員から寄せられた 意見を今のように承認基準に反映させておりますので、十分に議論がされております。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。それでは、ただいま事務局の説明に対し て御質問等はございませんでしょうか。 ○富田委員 インスリンペン型注入器のことです。今日お配りいただいた資料2-1の14 ページですが、JIS T 3226-2:2005を準拠しろということになっていますね。これだけ は患者さんが使うので医療機器として基準がなかなか難しかったとは思うのですけれど も、14ページのJIS規格の基準の中に「g) ペン型注入器は、目視、聴覚的若しくは 触覚的な方法又はそれらの組合せによって、所定の注入動作が完了したことが確認でき るものとする」とありますが、この「触覚的」という、眼が見えない人はこうやって分 かるというのを付けなければ駄目だというのがこの基準になるのですか。そこがちょっ と分からないのですが。特に眼が見えなくなる可能性がかなりありますので、私として は患者さんのために安全性を見込んでいていい方法だと思うのですが、この「触覚的」 というのがどういう…、これを付けなければ基準に入らないのかというのが、なかなか …。       ── 倉根委員着席 ── ○土屋座長 私のコメントですが、多分このところペン型注入器で過量の不具合報告が 出ていまして、かなりメーカーとも話し合いまして、追加で要求事項というのは修正な りが出されてきました。眼と聴くところと触るところをすべてより厳しく書いているの だと思うのですが、事務局の方で御説明できますでしょうか。 ○事務局 今の御質問に対して説明させていただきます。今御指摘のあったところとい うのはJISの中には一般的要求事項として定められているところでありまして、「ペ ン型注入器は、目視、聴覚的若しくは触覚的な方法又はそれらの組合せよって、所定の 注入動作が完了したことが確認できるものとする」ということでございます。その注入 動作の完了が使用者に明確に確認できるように目視、聴覚的、触覚的な方法のどれか、 若しくはそれらの組合せということで、今おっしゃったように「触覚的」を必ず満たし ていなければいけないということではないですけれども、これらの方法を組み合わせて 完了を明確に知らせるような機構を踏まえた設計がされていなければならないというJ ISの一般的な要求事項になっております。 ○富田委員 患者さんにとってはいいことなのですけれども、やはり使う人にとっては、 これは一部の人ですからかえって高くなるのも嫌だったので、そういう2種類作るのか、 それとも一つに全部しなければいけなくなったのかというのがちょっと気になったもの ですから。 ○土屋座長 恐らく不具合でロック感がないとか、触った感じで一定量出ているような 感じがきちんとしないようなものをトータルで押さえるのに、見て、聴いて、触った感 じのものをすべて入れているのだと思います。 ○富田委員 分かりました。 ○土屋座長 そのほかにございませんでしょうか。 ○橋本(久)委員 インスリンのペン型注入器のチェックリストなのですが、14条の3項 目で不適用ということになっているのですけれども、これは適用ではないかと思うので すが、いかがでしょうか。これはどういうふうに解釈されて不適用となったのですか。 ○土屋座長 事務局の方はいかがでしょうか。 ○事務局 当該品目におきましては、医療機器を制御若しくは表示する機械の機能にお いて操作に必要な指示を医療機器に明確に表示する場合の事項でありますので、インス リンペン型注入器というのはその制御若しくは表示部を有して、そこに使用方法の指示 を操作者に明確に与えるというものはちょっと想定しにくいことから、この項目につい ては不適用という形にさせていただいております。 ○橋本(久)委員 私はこの文章を誤解しているかもしれません。インスリンペン型注入 器は投与するボリュームあるいは単位を表示しています。これは操作に必要な指示を明 確に表示することに該当しないのですか。 ○土屋座長 制御器、表示器の範囲というものをどうとらえられるかということだと思 うのですが、確かにペンのところに数字が出てくる部分がございますので、いかがでし ょうか。それがほかにどこかで担保されているところがあるのかどうかということもあ ると思うのですが。 ○事務局 お答えいたします。先生がおっしゃったところ、確かにペンの表示の部分で どれぐらいの量が表示されるか、どういうふうに行っているかということ、またそれぞ れのインスリン注入器によって必ずしも画一的かどうかというところまでは、今はちょ っと資料がございません。実際にどういうものがあって、これがすべての場合において 不適用になるのかどうかということは確認いたしまして再度お答えしたいと思います が、いかがでしょうか。 ○橋本(久)委員 それで結構です。どうもありがとうございました。 ○土屋座長 いろいろなタイプのものがございますので、一応そこを調査してより安全 性を確保するような方向に持っていきたいと思います。そのほかございませんでしょう か。 ○長谷川部会長代理 チェックリストの9条の3項でしょうか、いわゆる廃棄の取扱い なのですが、今回議題になっておりますものの処理としては通常の医療産業廃棄物とし て処理するもの、一般廃棄物として処理されるもの、あるいはそれ以外のものもござい ますけれども、医療産業廃棄物としてはこういったものが該当するというようなはっき りした判断基準はあるのでしょうか。つまり、いわゆるインスリンのペン型注入器につ きましては不適用、一般の廃棄物として取り扱って構わないということになっておりま すけれども、この辺で一般の廃棄物として処理されていいのかどうか若干疑問がござい ますのでお聞きしたわけです。 ○事務局 お答えいたします。こういう廃棄物の規制につきましては廃棄物の清掃に関 する法律、略して廃掃法というものがございます。こちらの所管は昔は厚生省で行って いたのですが、環境省の設立とともにそちらに移管いたしました。こちらの中で私ども がよく「ごみ」と言っておりますすべての廃棄物の処理に関する規制を定めております。 この廃掃法の中で今先生がおっしゃいました医療廃棄物ですとか、あるいは産業廃棄物 の中でも例えばその程度だとか一般廃棄物の定義、それからその中での処理方法等をす べて規制させていただいております。よくこの医療機器の場合に出てきますのは、例え ば注射器のようなものがございます。こちらは使用した後のものであれば血液などが付 くとか、血液の中にリスクがあるなど、その含まれているものによって新しい疾患の感 染のおそれがございますので、そうしたものは従来から医療廃棄物として厳重な廃棄の 手法が決められているところでございます。それ以外の例えば普通の製造工程で出てき たものについては産業廃棄物として取り扱うことになっており、そちらの方に該当しな いものについてはすべて一般廃棄物、通常私たちが日常生活において捨てているごみの 廃棄と同じような取扱いがなされることになっております。  今回の製品でございますが、こちらの前提にありますのはインスリンペン型注入器の 機械の側だけの話でございまして、針先などは必ずしもこちらの中に入れているわけで はございません。ですからそういう意味で、通常の一般廃棄物と同じような処理ができ るだろうということで不適用とさせていただいているものでございます。 ○土屋座長 よろしいでしょうか。 ○中原部会長代理 私もクラス分類小委員会でこれを拝見いたしまして、実は今御説明 があったように恐らくこれは針は別になっていて注入器だけなので、医療機器として廃 棄しなくてもいいのではないかと思ったのです。ただ今考えますと、やはり注射すると きにどうしたって機器に血液が付く可能性があるわけですね。そうすると、恐らくやは り医療材料としてきちんと廃棄した方がいいようにも実は思いまして、これは適用にし た方がいいのではないかと今思ったのですが、いかがでしょうか。もちろんきちんと処 理すれば血液は付かないのですが、患者さんによっては結構付く可能性があると思うの です。 ○土屋座長 田島先生、どうぞ。 ○田島委員 私は今環境省の在宅医療廃棄物の処理に関する委員会に出ておりますが、 現在環境省と我々の間での一つの認識といたしましては針はまた別途考え、それ以外の ものはやはり家庭内で出てくるので法的には一般廃棄物であると規定せざるを得ない部 分がございます。もしそれを変えるのならば法律自体を変えなければならないので、現 在のところは医療廃棄物で非感染性のものに限ってはやはり一般廃棄物として扱うべし というのが一つの考えの流れになっている状況です。以上でございます。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。先生、よろしいでしょうか。 ○長谷川部会長代理 大筋では結構なのですけれども、これもたまたまペン型の注入器 の説明ビデオを見る機会がありまして、調子の悪いときにはそれを使わないでというこ とで患者の手元に未使用のものが残るとか、あるいはそれが針は付いていなくても一般 のごみとして流れてしまうというようなところでちょっと懸念を持っただけでございま す。法律的に針は針としての取扱いのガイドラインがあるということであれば、それは それで結構でございます。濃度も幾つかありますので、その辺が入ったままで廃棄され るのはどうなのだろうかということも含めて御質問させていただきました。 ○土屋座長 どうもありがとうございました。ほかに御意見ございませんでしょうか。 それでは、特にないようでしたら先ほど橋本委員の方から頂きました点について事務局 の方で調査いたしまして、より安全性の保たれる方向に橋本先生と確認して修正してく ださい。それ以外につきましては本日この合同部会で御了承いただいたということでよ ろしいでしょうか。どうもありがとうございます。それでは本部会はこれを了承したと して、今月の27日に開催されます薬事分科会に報告することといたします。以上です。  それでは引き続きまして報告事項に移らせていただきます。それでは医療機器JIS 規格の制定及び改正について、事務局から報告をお願いします。 ○事務局 報告させていただきます。お手元に当日差し替えの資料の中から資料3-1、 当日配付の資料3-2、及び参考資料3-1を御用意いただければと思います。まず資料3-1 についてですけれども、こちらは昨年度まで議論されてきまして、平成17年3月25日 に公示された分の医療機器関係のJISになります。制定されたものが129件、改正さ れたものが57件、合計186件のJISが制定・改正されております。資料3-2になりま すが、まずこちらのタイトルが「告示第122号」となっておりますけれども、「告示第 112号」の間違いなので、この場で訂正させていただきます。こちらの告示により、比 較的リスクの低いクラスIIの管理医療機器につきまして、基準を定められたものについ ては第三者の登録認証機関による認証へ移行するという薬事法の改正がなされました が、そのときの基準として定められたのが資料3-2の基準になっておりまして、全部で 363基準あります。先ほど資料3-1の方で御説明いたしましたJISの規格がこの認証 基準の中で多数引用されております。また参考資料の方に4月1日付けで登録された全 部で11の登録認証機関のリストをお示ししておりますので、参考までに御覧いただけれ ばと思います。報告は以上でございます。 ○土屋座長 ありがとうございました。事務局の報告について御質問等はございません でしょうか。JIS化ということで、こういった規格が整備されることによって審査を 進めやすくなるということでございまして、承認基準とともに急ピッチで様々な方々に 御協力いただいて前進させているところでございます。それでは特にないようですので、 審議事項及び報告事項は以上でございます。事務局から連絡事項はありますでしょうか。 ○事務局 次回の医療機器・体外診断薬部会、医療材料部会合同部会の開催は8月31 日水曜日の2時からとなっております。会場は未定でございます。お忙しいとは存じま すが、御都合を付けていただいて御出席いただきますよう、よろしくお願いいたします。 以上です。 ○医療機器審査管理室長 それでは以上で医療機器・体外診断薬部会と医療材料部会の 合同部会を終了いたします。以後医療材料部会、医療機器・体外診断薬部会それぞれに つきましては審議は非公開となっておりますので、傍聴の皆様方におかれましては御退 席をお願い申し上げます。委員の先生方は暫時お待ちいただければと思います。          ――― これより医療材料部会 ――― ○医療機器審査管理室長 まず医療材料部会から始めさせていただきます。医療機器・ 体外診断薬部会のみに属している先生方におかれましてはいつもと同様にそのまま御着 席いただいていても、あるいは席を外していただいても結構でございますが、医療材料 部会の方は約10分程度と比較的短く終了する目途でございますので、お含みおきいただ ければと思っております。 ○事務局 先ほど合同部会の最後に御説明いたしました4月以降の施行について少し御 説明させていただきます。先ほどJISと第三者認証基準をたくさん作ったことを報告 させていただいております。先生方御存じのとおり、第三者認証基準というのは今まで 国際的にはクラスIIと言われている管理医療機器という品目についての認証基準を作っ ていこうということでございますが、3月の段階で管理医療機器と言われているものの 一般的名称としての数は全部で1,785名称ございます。今回の3月25日の段階で基準を 作ったのは363基準の765品目になっております。まだ残り約1,000ぐらいの品目数が ございまして、こちらの方についても今後鋭意技術的に可能なところから作っていきた いと考えています。この合同部会では今日も皆様方は御意見を控えていらっしゃるのか なと思っているのですが、本部会におきましてもある程度品目数を作れるところまで進 めさせていただきたいと思っておりますので、まだこれが続くのかと思わずにお付き合 いいただきたいと思います。  なぜこのようなものを作るのかといいますと、説明にもありましたとおり、やはり今 まで国が承認を行うことによって時間が掛かって遅いという問題がございましたが、あ る基準をこちらが定めることによって国が行っていた責務を民間の力、たくさんいる人 たちにできる限りやっていただき、その基準に従ってより早く品目を出していくという ことが重要だと思っております。それが今日本政府全体の中の一つの総意となっており ますので、薬事法におきましてもそういう努力をさせていただきたいと思っております。 まだしばらくこういう形で続きますけれども、審議の中で皆様方は多分控えられている のかなと思うのですが、もっとアグレッシブに御意見、あるいは中身が分からないとこ ろは分からないと言っていただくのも我々事務局としては非常に刺激がございますの で、よろしくお願いしたいと思っております。 ○中原部会長代理 第三者認証機関の件なのですけれども、その認証機関が適正かどう かという判断はどこがどういうふうにやるのでしょうか。 ○事務局 第三者認証業務を行いたいと言っている事業者は、まず厚生労働大臣に対し て認証機関になるための申請をいたします。認証機関になるための要件というものが定 められておりまして、ガイド62と65という国際的な基準がございますが、一つは製品 認証が信用できるかどうかと言われている要件。もう一つは品質に係る認証ができるか どうかという要件。こちらの方が国際的に基準が定められておりまして、これができる かどうかということを確認させていただきます。もう一つは製造販売業者からきちんと 独立しているかどうか。例えば認証機関の親会社が製造販売業者だった場合には指示さ れている中なかなかうまくいかない、あるいは株主関係でも2分の1以上の資本を持た れていますと、やはり結果的に商法上支配されている会社に意向が及びますので、そう したところで独立性を保つということでございます。それから、例えば過去に薬事法違 反をして刑が執行された後に2年以上たっているかなど、幾つかの絶対的な欠格要件が ございます。そちらの方をクリアしたものについて行わせていただきます。  その機関が適切かどうかの最初の判断は国際的な基準に従っていると先ほど言いまし たが、この国際的な基準に従っているところの認証機関と言われているものは薬事法に おいても行われておりますし、最近ですと労働安全衛生法においても行われております し、あるいは経済産業省では電気用品安全法などのいろいろな法律で進められておりま す。そうしたところの横のつながりも共通解釈をさせていただきまして、できる限り同 じようにできるような形にしておりますので、そうした中で変な認証機関が出てこない ような最初の登録、それからその後のフォローアップの監督などを行わせていただきた いと考えています。 ○中原部会長代理 ありがとうございます。 ○医療機器審査管理室長 それでは、次に医療材料部会に入らせていただきます。よろ しくお願いいたします。本日医療材料部会の委員数18名のうち16名に御出席いただい ておりますので、定足数に達しておりますことを報告申し上げます。それでは土屋部会 長、議事進行の方よろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 それでは議題に入ります前に資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料の方は先ほどお配りいたしました資料4-1のみになります。以上です。 ○土屋部会長 それでは報告をよろしくお願いいたします。 ○事務局 平成17年2月1日〜平成17年4月30日に承認された品目のうち、本部会へ の報告対象となっている品目について御報告させていただきます。今回の品目数は全部 で10品目ございます。詳細につきましては実際に審査を行った独立行政法人医薬品医療 機器総合機構から御説明いたします。 ○機構 それでは総合機構の方から御説明いたします。資料4-1を御覧ください。まず 1品目め、株式会社 高研より製造承認申請のあった「コーケンアテロコラーゲンインプ ラント」でございます。本品目はコラーゲンを主成分とする製品であり、形成外科領域 において皮下組織等欠損部位に対する隆起を目的とした注入剤でございます。今回の申 請は形状の異なるシリンジを追加するものでございますが、本品は滅菌方法がろ過滅菌 であるため改良医療用具として一部変更承認申請がされたものでございます。  次に2品目めでございます。東レ株式会社より製造承認申請のありました「トレライ ト」でございます。本品目はポリスルホン系の膜を使用した中空糸型透析器でございま す。ポリスルホン中空糸膜を使用したウェットタイプの透析器は同社が既に承認がござ いますが、本品はドライタイプにする目的で膜の製造方法等の変更がなされたこと、そ れから既承認品のスペーサーに代えて膜にウェーブを付与したことから改良医療用具と して申請されたものでございます。  3品目めは株式会社 シードより製造承認申請のありました「シード バイフォーカル オーツー」でございます。本品は二焦点の光学構造を持つ酸素透過性ハードコンタクト レンズでございます。その使用方法は終日装用及び最長1週間の連続装用となっており ます。屈折力の差によるイメージジャンプを低減させるために遠用光学部と近用光学部 の間に移行部があるため、改良医療用具として承認申請されたものでございます。  次のページをめくっていただきまして4品目め、デンツプライ三金株式会社より輸入 承認申請された「セルコン ベース」でございます。本品は陶材を円柱状に加圧成型した 歯科用セラミック材料です。従来の加圧成型されたセラミックス材料は曲げ強度等の物 性が低いために単冠のみの作製が可能でございましたが、本品は主成分を酸化ジルコニ ウムにすることで強度を高め、3本ブリッジ用フレームの作製が可能となった製品でご ざいます。  5品目め、ジョンソン・エンド・ジョンソン株式会社より輸入承認申請された「アキ ュビュー ナチュラル」でございます。本品は新規原材料でありますlenefilcon Aを用 いたソフトコンタクトレンズでございます。使用方法は終日装用で2週間サイクルで交 換されるものでございます。  6品目めは旭化成アイミー株式会社より製造承認申請された「アイミークリアライフ」 でございます。本品は終日装用のバイフォーカルハードコンタクトレンズでございます。 既承認品のバイフォーカルレンズはセグメント型でございましたが、本品はレンズデザ インを同心円型に改良したものでございます。  7品目めはオカモト株式会社より製造承認申請された「スキンレス ポリウレタン」で ございます。本品はポリウレタン製のコンドームでありまして、既承認品のポリウレタ ン製のコンドームが原材料を有機溶剤に可溶化して製造するのに対し、本品は界面活性 剤中に原材料を乳化することにより製造されるものでございます。  8品目めはオカモト株式会社より製造承認申請された「スキンレスS」でございます。 本品はJIS適合のラテックス製コンドームの内側にメンフェゴールを主薬とする殺精 子製剤を付与したものでございます。  9品目めは株式会社エイコーより輸入承認申請された「ソフトS」でございます。本 申請はレンズデザインにバイフォーカルデザインを追加する一部変更承認申請でござい ます。  最後の10品目めは旭化成アイミー株式会社より製造承認申請された「アクティブカラ ー」でございます。本品は終日装用のソフトコンタクトレンズでございます。既承認品 と原材料は同一ですが、視認のために原材料のレンズに黄色あるいはオレンジ色を着色 した点が改良点となっております。以上でございます。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。何か特にコメント等はございますでし ょうか。特にないようですので、議題は以上でございます。事務局から連絡はあります でしょうか。 ○事務局 次回の医療材料部会につきましては、先ほど申し上げました合同部会に引き 続きまして8月31日に開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上 です。 ○北村委員 一番最初の「コーケンアテロコラーゲンインプラント」のコラーゲンは何 から採ったものなのですか。ウシからですか。生物製剤ですね。このコラーゲンを注入 するのは膜で包まれているのか、それともダイレクトに生体と接触するのでしょうか。 ○機構 コラーゲンはウシから採ったもので、膜に包まれているというのは、コラーゲ ンをそのまま成型したものです。 ○北村委員 それはBSE関連はもう解決しているわけですか。 ○機構 これは生物系審査部の方で審査を受けまして、それについては問題がないと判 断されております。 ○北村委員 これは日本のウシで製造しているのですか。輸入でなく製造と書いてあり ますね。 ○機構 後ほど調べて御回答したいと思います。 ○北村委員 コラーゲンなどの生物製剤はまだウシだから駄目だとか、そこら辺がきち んとなっているのがあるのでしょうか。非常にややこしくて、そのコラーゲンがBSE 国から来ているからコラーゲン培地に飼っている細胞も使ってはいけないとか、そのコ ラーゲンを生きているヒトの細胞などが取り込んでいるからいけないのだなどと言われ ることもある。もうこの場合は承認になっていますからウシのコラーゲンがどこのもの かも知らないまま使えているという話もありますし、生物コラーゲンがどれなら認可で きて、どれがまだ問題なのかが分からないのです。 ○審査管理課長 後で山口先生の方からも補足していただけると思いますけれども、医 薬品も医療機器もこのBSEの関係はかなりきちんとやっております。ただ先生がおっ しゃいますように、例えばもともとBSEフリーだったアメリカに急に狂牛病が出たり しますと、またそこで対応を採らなければならなかったりなどということで、その辺が ちょっと分かりにくいことになっているのではないかと思います。 ○北村委員 期間的には…、ですからこのコラーゲンはウシだけれども…。 ○審査管理課長 これは恐らくウシですが、BSEフリーの国から入れているものか…。 ○北村委員 ですからBSEフリーというのはどこの国なのですか。 ○審査管理課長 一般的にはオーストラリアとかそういうところだと思いますが、ちょ っとそこは再度確認してもらうようにしましょうか。 ○事務局 確認いたしますが、少なくとも今課長が言ったように今回アメリカ合衆国の 原材料であるものを除くという形で処理されまして、最終的にはオーストラリアとニュ ージーランド、このどちらだったかは確認させていただきたいのですけれども、安全性 については完全に担保できる原材料の国から得たものです。さらにここではブタも原材 料として使っていたと記憶しております。ここはちょっと確認させてください。 ○北村委員 そういうコラーゲンをベクターに使うのがあるのですけれども、それらな ら生体に応用してもいけないとか…。このコラーゲンはよろしいですよというものを知 りたいのです。ですから、これが使われているのならこのコラーゲンはなぜ認可されて いるのかを明確に教えていただければそれで解決するのです。 ○山口委員 まだすべてがきれいに片付いているわけではございません。というのは、 例えば今アメリカのウシ由来原料をすべて止めるとリスク・ベネフィットの関係で非常 に混乱するわけです。それはもちろん移行期にはありますが。そういう意味では今安全 国とされている国がありますけれども、その安全国に指定されている国プラス特定危険 部位を除いた部位を使っているものに関してはオーケーと。ただしそうでなくて、アメ リカの場合にはとり方によっては危険部位が入ってくる可能性もありますから、そうい うものについてはできれば一変なりして変えてくださいということで、今多分一変の作 業をPMDAの方でやっておられると思います。しかしオーストラリアで発生しないと は限りませんので、正直言いまして完全にどこも安全だというのは将来は分からないわ けです。ただ現時点ではオーストラリア、あるいは国内できちんとすべての検査を行っ たものの特定危険部位を除いたものについては多分オーケーになるのだろうと思いま す。ただ日本は多分今はまだ駄目だと思いますが。発生しなくなってから何年間か必要 ですので、クリアされた国とはなっていないと思います。 ○北村委員 これは輸入とは書いていなくて製造と、我が国で作っているみたいに書い てありますよね。 ○山口委員 製造は日本で製造することができて、原材料を輸入することができます。 例えば血清もそうですので。 ○北村委員 ちなみに日本のウシのコラーゲンはよいとなっているのですか。 ○山口委員 発生が確認されなくなってから数年が必要ですので、クリアされている国 にはまだ指定されていないと思います。オーストラリアとかニュージーランドがその対 象となっているわけですが、その国には日本は入っていません。 ○北村委員 日本では昨日もBSE牛が出ていましたね。 ○山口委員 はい。 ○土屋部会長 私の個人的な情報ですと、高研は昔は米国で入手していまして、やはり 発生してからはオーストラリアに切り替えたということです。企業も苦労しているよう です。 ○審査管理課長 先ほど北村先生がおっしゃった培地の関係も、オーストラリア産のコ ラーゲンの培地とかそういうものであれば認可されるということです。そういうところ を高研なども含めて努力しているということです。 ○土屋部会長 多分組織工学にコーティングからいろいろなところで使われているので 御質問されたと思うのですが、私が思いますのは、今のところは承認された高研のもの をゲル培養とかに使っています。かなり高額なものです。やはりそういうものは組織工 学でも利用されていると思います。 ○北村委員 そういうコラーゲンにBSEのたんぱくは入っているのですか。それを科 学的に、コラーゲン内には…。 ○山口委員 ちょっとこれは私個人の考えとTSE調査会の考えとずれるかもしれない ので答えにくいのですが、種類によって違いますけれども、コラーゲンそのものが非常 に強固な処理をしますし、かつ原材料をどこから採るか。コラーゲンは皮膚と骨と両方 ありますけれども、皮膚の場合にはほとんどゼロだと私は思ってはいますが、TSE調 査会ではまだそういう結論にはなっておりません。 ○北村委員 科学的にプリオンがある、ないということは証明できないのですか。 ○山口委員 結局バイオアッセイをして、例えば何単位の感染単位があるというのは大 体計算できるわけですけれども、それの検出限界というのはその10の4乗分の1しかな いのです。そうするとそれ以下の濃度であれば検出できないということで、みんなその リスクを10の−4乗を掛けた値しか言わないのです。ということは結局検出限界があっ て、あるかないかは分からない。けれども経験則で言えば、イギリスであれだけのウシ に発生して人に感染したのはこの程度でしかない、そしていろいろなマウスにたくさん 投与してどの部位が危険かというのはそういう形でリスク分類がされているわけです。 あのリスク分類に関して言えば、私は非常に妥当だと思います。それから、もしかした ら危険部位を除けば筋肉でも安全ではないかと思っていますけれども、これは私の個人 的な見解ですので、今のTSE調査会の見解とは異なると思います。 ○北村委員 ここでやめておきます。 ○土屋部会長 ここでようやく活発になりました。どうもありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 どうもありがとうございました。以上で医療材料部会を終了 させていただきます。次回につきましては先ほどお話し申し上げましたが、8月31日に 開催いたしますのでよろしくお願いいたします。それでは医療材料部会のみの先生方に おかれましては、どうもありがとうございました。        ――― これより医療機器・体外診断薬部会 ――― ○医療機器審査管理室長 それでは医療機器・体外診断薬部会に入らせていただきます。 本日は部会委員数15名のうち10名の先生に御出席いただいておりますので、定足数に 達しておりますことを御報告申し上げます。本日の審議品目に関しましては関与委員は いらっしゃいません。それでは以後の議事進行につきましては土屋部会長にお願いした いと思います。よろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 それではまず資料の確認をお願いいたします。 ○事務局 資料は今お配りいたしましたパワーポイントの資料5-3、6-2、8-1、また当 日追加分の資料としてクリップ留めの「当日追加資料一覧」という表題のものになりま す。以上です。お手元にありますでしょうか。 ○土屋部会長 皆様、資料はございますでしょうか。それでは審議品目の議題1、医療 機器コンタックCD(他3名称)の概要について事務局より説明をお願いします。 ○事務局 それでは医療機器コンタックCD(他3名称)及び医療機器イージートラック ・リード(他3名称)の生物由来製品又は特定生物由来製品の指定の要否、輸入承認の可 否及び再審査期間の指定について、御審議お願いいたします。  本品目は心不全症状を改善するために、両心室の心筋に長時間連続して電気刺激を与 え心室の収縮を同期化する心再同期治療を行うことができる胸部植え込み型パルス発生 器と、経静脈法により冠静脈洞口を介して冠静脈に留置し、左心室のセンシング及びペ ーシングを行う単極型の導線の2品目になります。詳細な審査概要及び委員の皆様から 頂いたコメントの説明につきましては、実際に審査を行いました独立行政法人医薬品医 療機器総合機構の方から説明いたします。 ○機構 それでは御説明させていただきます。資料5-1と5-2は組み合わせて使う製品 でございますので、まとめて説明いたします。まず最初に本品目の審査に当たりまして 本日御出席いただいております小野先生、及び鎌倉先生、北畠先生のお三方の専門委員 の先生に御意見をちょうだいしております。  資料5-1の方を品目1と呼ばせていただきます。こちらにつきましては心不全症状を 改善するために両心室の心筋に長時間連続して電気刺激を与えることによって、心室の 収縮を同期化する心再同期治療(CRT)を行うことができる胸部植え込み型パルス発生 器及びその付属品でございます。心室細動、心室頻拍に対し除細動治療、カーディオバ ージョン治療、抗頻拍ペーシング治療を行うこともできます。本品目は除細動器、ペー スメーカであることから特定医療機器に該当いたします。  本品目の外観はこのような形をしておりまして、通常のICDと類似したものでござ います。  品目2の概要でございます。品目1を使用する際に経静脈法により冠静脈洞口を介し て冠静脈に留置し、左心室のセンシング及びペーシングを行う単極型の導線でございま す。ガイドワイヤをリードの先端から出して留置したい静脈へ先に進ませることにより、 従来のスタイレットでリードを押し出していく方法に比べて冠静脈に到達するまでの操 作性の向上が図られております。これも心臓ペースメーカのリードということから、特 定医療機器に該当いたします。品目2の外観は御覧いただいているとおりでございます。 このリードはステロイドが急性期の閾値上昇を抑制することが広く知られていることか ら、酢酸デキサメタゾンを使ったステロイドカラーが使われております。同じ溶出機構 を持ったエンドタック エンデュランスというものが既に承認されておりまして、本品目 に使われているステロイドについては問題がないものと考えております。  本品目の適用でございます。ジェネレーターから3本のリードが出ておりまして、1 本が右心室へのリード、1本が右心房へのリード、もう1本が左心室用リードというこ とで、これが品目2に該当いたします。また経静脈洞口から入れた品目2は、タインに よって冠静脈の中で引っ掛かるという構造をしております。  海外での承認・販売状況等でございます。米国におきまして2002年5月から販売され ておりまして、□,□□□台。その他の国を含めたトータルで□,□□□台が既に販売さ れております。  審査の概要でございます。規格及び試験方法、性能試験につきましては、ここに示し ておりますような規格及び試験方法が設定されており、すべて適合ということでござい ます。また性能試験につきましては植え込み型心臓ペースメーカ基準に適合していると いうことが示されております。  続きまして電磁干渉(EMI)に対する安全性でございます。AAMIペースメーカ基 準に適合しているということでございます。さらに盗難防止装置につきましても prEN45502-2-2に適合しております。また携帯電話による影響は、NTTの試験施設に おいて全く影響を受けなかったという報告書が添付されております。また本品目の審査 中に他社の製品におきましてX線CTの影響を受けてリセットされたという報告がござ いましたので、この品目についてはそういった影響がないのかということを申請者に確 認いたしました。申請者からは、海外においてX線CT装置の影響を受けたという報告 はない、また日本のペースメーカ協議会によって国内での統一プロトコールを作成し、 それを実施する予定であること、ただし海外での問題は何もないということではあるが、 念のために添付文書に注意事項を追加するという回答が得られました。これらは国際的 な基準に基づく影響の評価が行われていること、及び使用上の注意に注意喚起が記載さ れているということから、これを妥当なものと判断いたしました。  次にリードの方でございます。イヌのモデルを用いまして植え込み特性、生物学的適 合性、電気生理学的データ、被験動物の臨床観察等、24か月までのデータが添付されて おりますが、特に大きな問題点は認められてございません。   続きまして臨床試験デザインでございます。これにつきましては間違った資料をお送 りして申し訳ありません。画面の方を見ていただきたいのですけれども、臨床試験のデ ザインとしては無作為化多施設二重盲検試験、このデバイスを植え込みましてCRT機 能を onにした群とoffにしたままの群の二群に分けた二重盲検試験が実施されており ます。サブグループ解析としては、全症例を観察したもの、重症心不全群(植え込み時に NYHAクラスがIII/IVであったもの)、安定重症心不全群(植え込み後安定期2週間を経 過した後に、NYHAクラスがIII/IVであったもの)という三つの層別解析を行っており ます。  プライマリーエンドポイントでございますけれども、心不全の進行度評価が行われて おります。ここに示しております左から全患者、重症心不全、安定重症心不全という形 で、いずれの群においても改善が認められております。さらに副次評価項目といたしま してピークVO2、QOLの評価、6分間の歩行距離及びNYHA心機能分類の1クラ ス以上の改善者数等について比較されており、CRTをonにした群に明らかに改善が認 められております。  その他の評価項目でございますが、心エコーでLVIDd等につきましてCRTありの群 の方がCRTなしの群と比較して改善傾向が認められており、左室の駆出率の改善が本 デバイスによって行われたことが示されております。また神経体液性因子等の評価で、 CRTをonにした群においては血清ノルエピネフリンあるいは安静時の心拍数が減少 していることから、交感神経系の病的興奮抑制が行われたものと考えられます。複合反 応評価といたしまして、トータルで考えますと心不全症状の改善兆候が認められたとい うことでございます。  有効性に関する総合評価でございます。今申し上げましたとおり、従来の内科的治療 では治療困難と思われますNYHA心機能分類の重症度が高い患者にとって、本デバイ スが有効であるという結果が示されております。  続きまして安全性の評価でございます。本臨床試験における全観察期間中の死亡率は 19.2%でございます。この死亡率は中等度以上の心不全を対象として同時期に行われて いた他の大規模臨床試験(SOLVD試験やSAVE試験)と比較しても低いことから、本デバイ スを使うことの安全性は高いことが示唆されているものと思われます。  心室性頻脈でございます。本システムの除細動及びカーディオバージョンの機能につ きましては、従来のICD植え込み型の除細動器と全く同じでございます。両心室抗頻 脈ペーシング効率を考えますと、誘発エピソードに対しては64.2%、自発エピソードに ついては88.0%ということで、誘発のエピソードに対して若干低めの数値が出てはおり ますが、これは飽くまでも治験ということがございまして、心不全の重症度の患者には 余り誘発試験を行わないというふうに慎重にやったためと申請者は主張しております。  その他の安全性評価項目でございます。合併症といたしまして、重症なものはテレメ トリー不全とかリードの移動、あるいは装置の故障というものがございました。それ以 外については従来の心臓ペースメーカ等と変わりありません。続きまして臨床観察所見 におきましては、本機器に依存すると思われるような重症なものとしてアナフィラキシ ー、あるいは原因不明の貧血等が3例ございましたが、その他については特に重篤なも のはなかったということでございます。  また本リードにつきましては先ほど概要のところで簡単に御説明いたしましたが、ガ イドワイヤによって留置することから、従来のスタイレットによって押し込むものより 留置操作性がよくなることが想定されましたけれども、植え込み術を実施した517例中 448例におきまして適切に留置が可能であることが示されておりました。これは仮説と して設定した95%信頼区間の75%を上回っておりまして、本製品によるリードの植え込 みは容易であったことが想定されます。  これらのことをまとめますと、品目1の使用目的としては心不全症状を改善するため に両心室の心筋に長時間連続して電気刺激を与え心室の収縮を同期化する心再同期治療 (CRT)を行うことができる胸部植え込み型パルス発生器及びその付属品であります。 本装置はレート対応機能を有しており、さらに心室細動、心室頻拍、又は徐脈を自動的 に検出し、除細動治療、カーディオバージョン治療、抗頻拍ペーシング治療を行うこと ができるというものでございます。また品目2につきましては、経静脈法により冠静脈 洞口を介して冠静脈に留置し、左心室のセンシング及びペーシングを行うリードという ことが妥当と思われます。  また適応基準ですが、至適薬物療法が行われているにもかかわらず、症状が改善しな い(1)の基準すべてを満たす心不全患者であり、(2)又は(3)を満たす患者(ただし、一過性又 は可逆性の原因に由来するものを除く)ということでございます。(1)の心不全の条件は、 NYHAクラスIII又はIV、左室駆出率が35%以下、QRS幅が120ms以上。(2)の次のい ずれかの心臓突然死のリスクを有する患者としまして、致死性不整脈による心停止から の蘇生既往がある患者、血行動態が破綻する心室頻拍又は心室細動、非持続性心室頻拍 が確認され、かつ電気生理学的検査により心室頻拍又は心室細動が誘発される患者。(3) の条件としては、本邦における植え込み型除細動器の植え込み基準に適合する患者とい うことが妥当と判断いたしました。  最後になりますが、承認の条件としましては、1.再審査期間中においては本品使用症 例全例につき登録の上、使用成績調査を行うこと、2.適切な教育プログラムを受講する ことにより本品の有効性及び安全性に関する情報を理解し、適切な取扱いを習得した医 師が使用するよう必要な措置を講じることという条件を付すことが妥当と判断いたしま した。以上でございます。 ○土屋部会長 それでは事務局の方から何か説明はありますでしょうか。 ○事務局 承認条件につきまして追加資料がありますので、事務局の方から御説明させ ていただきます。当日追加資料一覧の当日追加資料1、承認条件の変更についてという 資料を御用意しております。この趣旨としましては、先ほど総合機構の方から御説明が ありましたような承認条件を付すことという審査報告書を頂いているわけですが、承認 条件の2について厚生労働省内部で検討したところ、申請者に的確に承認条件の意図等 を伝えるために、より具体的な書き方にすべきではないかという議論がありまして、そ の中から2のような書き方により具体的な承認条件を付す形の提案をさせていただきた いと思います。2については「心不全治療を目的とした心臓再同期療法、冠静脈用リー ドの挿入手技などに関する適切な教育プログラムを受講し、本品の有効性及び安全性に 関する情報を理解した上で、本品の適切な取扱いに習熟した医師のみが使用するように、 必要な措置を講じること」という形に修文する案を提案させていただきたいと思います。  なお事前に先生方からファックスでコメントを頂いておりますので、御紹介いたします。 許先生の方からでございますが、要旨としては、「私の知る限りでは、国内のこの領域 のエキスパートの中に本デバイスの使用経験を持つ医師を見付けることができなかっ た。また本品の安全性を確保するためには国内の使用者側の施設認定あるいは術者資格 認定、教育プログラムなどの実施が重要である。また国内の臨床試験は行われておらず、 米国の臨床試験のみで申請されており、このこと自体は特に問題はないと思われるが、 国内の医師の植え込み技術のレベル評価の意味で臨床試験は実施することも検討すべき ではないか」ということでございます。それについてこちらといたしましては、新たな 技術を要する機器を本邦に初めて導入する際には、本邦の医師が適切に使用できること を確認する場も必要であろうとの先生の御意見はご最もだと思っております。しかしな がら、医師の植え込み技術のレベルアップの方法については、臨床試験の実施によるも ののみではなく、学会等と協同して専門医に対する教育プログラム等を設定するなどし て、適切な取扱いについて習熟した術者が使用するよう対策を講じることが最も必要で はないかと私どもは考えておりますので、今回のような承認条件を付させていただいて いるということで御理解いただければと思います。事務局からは以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。総合機構と事務局両方から御説明があ ったわけですが、許先生、特に御意見ございませんでしょうか。 ○許委員 もう一つ臨床試験の話で教えていただきたいと思います。この7ページにC RTのonとoffの群、それから男性33例、女性6例を対象ということで、ちょっとこ ちらの文章と読み違えていたような気がするのですけれども、これは仮説として設定し た25%のリスクには到達しなかったということで臨床効果を評価しておられるのです が、我々は通常on群の248とoff群の253で比較してどういうふうに効果があったかと いうのを検討し、それで有効性を評価するわけです。私は外科医ですからこの統計の部 分が極めて弱くて、仮説として設定した25%とは何ぞやと。2群を作って比較評価して いるという割には、仮説の25%とは何ぞやということが第一点でございます。  それから、上の臨床試験のデザインの中にCRT群がn=248とn=253のon、off群、 それから下の39例…、これは何ぞやというのが、もちろん膨大な資料を詳細に読めば出 てくるのでしょうけれども、ちょっと時間的な関係で全部は目を通すことができなかっ たので、この評価のところを教えていただきたいということが第二点です。  それから第三点としまして、このデバイスの臨床使用経験を持つ国内のお医者さんが 一人もいない。通常我々はデバイスを導入するときには、やはり大概その道の国内のエ キスパートがいろいろな形で数例植え込んでみて…。日本のお医者さんとアメリカのお 医者さんが持っているテクノロジーは違うものですから、私たちが次に臨床で実際に使 い始める場合は、確かにトレーニングプログラムもありますけれども、それ以外にやは り国内のエキスパートに詳細な使い方を教えてもらったり、あるいはその人に来ていた だいて指導を受けたりというように、やはり医療機器である限りは日本国内にある程度 の経験を持つ人というのが必要なのではないかと思います。アメリカでトレーニングプ ログラムを受けるというのも我々は人工心臓などでやりましたけれども、ただし実際に 患者さんが発生したときにその方について国内の身近なところに全く経験者がいないと いうのはまずいような気がしています。というのは、医療機器というのは術者の技術に 依存しているところがかなりございます。私もこのCRTの治療を内科でやっているの を見まして、冠静脈洞から最も適切な位置に後壁にリードを入れるというのが非常に大 事なのですが、それはかなりのテクニックが要りますし、このリードについてどういう 具合にうまくやるのかというのは大切なことだとは思っています。そういう意味で、単 に業者さんがオーガナイズする教育コースだけではなくて、やはり日本国内で常に相談 できるエキスパートというのは非常にデバイスが技術依存性の高い場合必要なのではな いかということで、そういう意見を述べさせていただきました。 ○土屋部会長 どうもありがとうございます。それでは、まずは総合機構から説明をお 願いします。 ○機構 最初に先生におわびしないといけないことがございます。まず一点目の試験デ ザインのところでございますけれども、お手元にお配りした資料では男性33例と女性6 例と書いてありますが、下の二つのものについては全く違うデータが載っております。 今画面の方でお示しいたしますが、臨床デザインとしましてはCRTon群とoff群、さ らにその解析の過程としてサブグループ解析のことを書いたつもりではございましたけ れども、お配りした資料はちょっと古いものでした。大変申し訳ございませんでした。 ですから男性、女性というのは関係ありません。  続きまして心不全の進行度の評価で25%の目標値を設定したのですが、この目標値と いうのがCRTを植え込みながら本デバイスを使わない患者さんがございまして、それ は倫理的によろしくないということがございますので、治療薬については自由に使って いいというプロトコールでございます。当初はon、offについて25%ぐらい差が出るも のと想定していたのですが、この試験が行われたのが1998〜2001年ぐらいの時期で、当 時サルタン群といいますか、アンギオテンシンIIのレセプターブロッカー、ARBの薬 が出始めまして、薬物群の効果が見積もりより非常に高くなってしまったという想定が あったため25%という目標には達しませんでした。しかしながらこのグラフを見ていた だくとおり、すべての群においてCRTをonにしたものが有意に心不全の進行を抑えて いるという結果が出されております。 ○許委員 このグラフがよく分からないのですけれども、これはon群とoff群の比較な のですか。どれがoff群なのですか。 ○機構 差をとっているのがこの表でございます。 ○許委員 「相対的進行抑制率」というのは、要するにoff群よりもon群の方が全患者 さんで15%進行をより抑制したということでしょうか。ネットのデータは何%と何%な のですか。通常こういう重症心不全の治療というのは、薬物治療にしましても3か月の 評価というのは観察期間としてはかなり短いのです。通常はあらゆる薬物でも大体3年 ぐらいの評価をすると思います。ある薬物においては1年で差が付き過ぎたのでそこで 倫理的にやめたというものもございますけれども、3か月というのは評価としては極め て短いし、心不全による死亡というのはそういうものではないように思います。ちょっ と頂いたデータを見ても単純な理解が非常にしにくい。というのは、私たちは通常on 群とoff群でバーを作りまして、それで改善率がどうのこうのと2群で比較を出すわけ で、その差だけを出すというのは…。鎌倉先生、どうですか。こういう表現は普通余り 見ないように思うのですが。 ○鎌倉委員 これは一部だけを取り出しているので非常に分かりにくいグラフになって いるのですけれども、一般的な生命予後のほかに、有用性に関するプラスマイナスを含 めていろいろな検討がなされております。心不全を伴うような症例ですので、確かに先 生がおっしゃるように短い期間になってしまうのです。特にNYHAIII、IVという重症 例は2年もフォローアップすると心不全でかなりの方が死んでしまいますので評価が難 しいということで、恐らく短期間の評価になったのだろうと思います。コンタックCD 試験の論文が出ていますが、これを見ますとかなり詳細に検討されています。  それから続いてお話ししてよろしいでしょうか。今回のこういうデバイスをCRT- Dといいます。これは心不全の治療機器であるCRT、つまり両室ペーシングと、致死 性不整脈の治療機器であるICDが合体したものです。ICDは昨年本邦で大体2,400 台植え込まれています。一方心不全治療機器のCRTは半年間に大体500台植え込まれ ています。ICDが必要な人から見ると、この心不全の治療が必要な人が大体2割ぐら いいらっしゃいます。逆にCRTを植え込んでいる人から見ると、致死性不整脈に対す る治療が必要な人が大体3〜5割いるということになります。そういうことで、恐らく この二つが一緒になったCRT-Dは日本では年間500〜600台ぐらいは必要だろうと考 えられています。このように心不全の治療も致死性不整脈の治療も必要な人の場合、今 までは両方の胸に一台ずつ入れていたわけです。今回はそれが一つになるということで、 患者にとっては非常にメリットがあるのです。まずそれを御説明したいと思います。  それからもう一つ、今回の審議で初めて日本ガイダント株式会社のイージートラック ・リードというのが出ているのですが、今までは日本メドトロニック株式会社というメ ーカーが同じような左室に入れるリードを出していまして、それはスタイレットという ものをリードの中に入れて冠静脈に押し込むという方式だったのです。CRTでは冠静 脈から分岐した末梢の静脈にリードを入れないといけませんので、スタイレットから先 で分岐した静脈が非常に急な角度で出ているような場合は入れることができなかったの です。実際に入れられない症例が10%ぐらいいましたし、何とか入れることはできても、 ものすごく時間が掛かった。一般にCRTを入れないといけない患者さんというのは心 不全を伴っている非常に重篤な方なので、時間が掛かることによってかえって全身状態 が悪化するようなことがあったわけです。今回のイージートラック、この後出てくるア テインリードというものも冠静脈から分岐した末梢の静脈にダイレクトにガイドワイヤ を入れて、その上をリードが誘導されて直接末梢の冠静脈に入っていくために、だれで もと言っては言い過ぎかもしれませんが、非常に容易にリード留置が可能な方式になっ ています。大きなメリットとしてはこの二つがあると思います。 ○許委員 では先生はこれの同種のものを大分経験なさっているのですね。 ○鎌倉委員 ICDとCRTでそれぞれ経験があります。二つの機器を入れなくてはな らないケースがあって非常に困ったことがあります。 ○許委員 そうではなくて、これなのですが。 ○鎌倉委員 これ自身はないのですけれども、結局技術的には同じことなのです。これ まではどちらかの胸にICDが入っていてその調節をする一方で、片方の胸にはCRT が入っていて、その調節をしていたのですが、それらの機械が一つになったということ ですから。 ○許委員 ですから私はそのリードが同じ…、要するに今まで別個に入れていたものを 入れていくわけですよね。 ○鎌倉委員 リードを入れる技術は同じなのです。CRTではリードは右室の心尖部に 1本、左室の冠静脈の中に1本と、心房に1本の計3本が入ります。一方CRT-Dでは この右室のリードが除細動用のリードとして用いられるだけですから、基本的に挿入操 作は余り変わらないのです。ですから私はCRT-Dになったとしても技術的には余り差 がないのだろうと思っております。 ○許委員 そうですか。私はその辺が全然分からないものですから、国内のいろいろな 人にこれについての経験を聞いてみたのですが、このデバイスに関しては私の知ってい る人ではだれも実際に使った人はいないと。 ○鎌倉委員 一つになった機械がありませんでしたので日本で実際に使われた人はいな いのでしょうが、基本的には技術的な差はないと私は考えています。 ○許委員 全く同じものなのですね。 ○鎌倉委員 ほとんど同じです。特殊なテクニックを要するものではないと思います。 かえってイージートラック・リードによってリードの挿入が容易になっていると私は考 えています。 ○許委員 分かりました。 ○鎌倉委員 それからもう一つ、研修のことでお話しさせていただいてよろしいでしょ うか。現在ICD、CRTはそれぞれ心臓ペーシング・電気生理学会が年に2回研修セ ミナーを行っております。そしてその研修に参加して受講証を得た者でないと治療がで きないシステムになっております。CRT-Dだけを対象とした研修システムが必要かど うかは今のところ分からないのですが、これまで独自のシステムがありますので、それ を統括したものはあえて要らないかもしれません。今までの研修システムが十分流用で きるのではないかと考えています。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは上野委員、お願いします。 ○上野委員 6ページの電磁干渉に関して御質問いたします。いろいろなことが書いて ありますけれども、一番肝心なMRI等による影響が一言も書いていないのがちょっと 気になるのですが、どうなっていますでしょうか。 ○機構 MRI等は原則使用しないということになっておりますので、特に調べてはご ざいません。 ○上野委員 分かりました。 ○澤委員 許先生がおっしゃられたことは非常に大事だと私は思います。その点という のは、治験がすべて米国のもので、日本でないということです。医療用具の場合、特に 手術を要する際には日本人の個人差といいますか、医者の技術がアメリカの技術と本当 に同じかどうかというところの検証は一つもないのです。ですから、手術を要する医療 機器に関しては、やはり日本の医療施設である程度行ってみるということをしませんと、 日本人の技術でいいのかどうか、担保するものがありません。私見ですが、欧米の診方 というのは非常に荒っぽいのです。日本人の基準で合わないという感じが時々あります。 以上はそうしたことを踏まえた、全般的な意見です。要するに医療用具で手術を要する 場合にはすべて外国のデータだけでの申請というのは危険があるということであり、私 は許先生と同じ意見です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。 ○審査管理課長 海外臨床データの受入れの関係についての御意見というふうに受け止 めさせていただきますが、海外データの受入れについては、医薬品も含めて医療機器も 全体的にはプレッシャーは高まっているという状況でございます。ですから医療機器に つきましては実際問題として医療環境、もちろん術者の先生方も含めて当然最終的な医 療の成績には影響すると思われるわけです。特に薬などでも抗がん剤のような場合には、 専門の医師が使用しない場合は薬だけ欧米で認可されているから日本でなぜ使えないの だという話が最近はかなり強うございまして、私どもも患者さんの団体が押し掛けてき たりしてなかなか大変でございます。そこで私どもとしては、できるだけ日本でのデー タの必要性みたいなものについては説明はしているわけでございます。もちろん物によ りましては患者さん方も御理解されて、確かに欧米で先行している場合には日本でもき ちんと導入できるかどうかということについての治験ということで、世界的に全く新し いものについて治験をするという形ではないわけですけれども、導入がうまくいくかど うかという確認面での治験みたいな形になりますが、そういうものは必要だなというふ うに御理解いただくこともあります。非常にせっぱ詰まったがんの治療などというもの になりますと、なかなか私どもも外への説明にちょっと苦しむところもございます。  そういう意味では、実はこの医療機器の海外データの受入れにつきましては、もう10 年ぐらい前に一度政府間の交渉とかいろいろな形で決着が着いておりまして、基本的に 海外データを受け入れるということになっております。薬の方も、海外のデータが日本 人に受け入れられるようなブリッジングトライアルで海外のデータが日本人に外挿でき ることが確認できれば、かなりの部分で海外データを使えるところがございます。そこ ら辺はなかなか難しいところがございまして、先生方がおっしゃいましたように最終的 には日本で医療が…、物だけありましても実際にきちんと使えるような形になっていま せんと。そこは先生方が御心配のとおりなのですけれども、実際に物だけ認可…、その データを採るためにはそういうものに慣れている研究者と言いますか、専門の先生方が ある程度の数いませんと、実際現場の先生方は治療に追いまくられてなかなか新しい機 器の治験ができないといったこともあって、やはり一部の専門の先生方や患者さんの団 体からは日本への導入が遅れているではないかなどという御指摘があったりして、なか なか厳しい状況がございます。そういうことで、それぞれの物については個別にある程 度申請前の段階の例えば機構での相談とか、それから薬の場合ですと治験の段階での相 談といったところで、日本の医療現場への導入可能性のようなところも含めて相談に乗 って、適切に指導するという形しかないのかなとは思っております。 ○土屋部会長 許先生、お願いします。 ○許委員 私は海外でしっかり承認されて普及しているものに関して日本で治験しろと いうようなことを申し上げているわけではございません。ただ、例えば4月22日に腹部 大動脈瘤のステントグラフトが三つ提出されたと思うのですけれども、そのうち一つは 国内治験をおやりになった一番早いもので、後の二つは欧米のデータだけで審査された ということでございます。そうしますと一番先に治験をおやりになったものがやはり古 いわけでございまして、今おっしゃられたように本当に専門家から見ればなぜもっと早 く審査しなかったというような意見も出るわけです。その辺は治験をやるとなると審査 が非常に長くなって、欧米のデータだけで行くと早くなるので非常に大きな不公平がで きると思います。  ただ別にその不公平は私は議論しようとは思わないのです。私が議論しようと思って いるのは、治験という形でなくても外科医として臨床経験というものが必要だという考 え方です。治験という形をとると非常に長く掛かるわけです。ところが、やはりいろい ろなデバイスでも臨床経験という形でどうやって日本人の体に植え込むかというのは非 常に必要なことでありまして、例えば私の専門領域であります補助人工心臓においても、 「ノバコア」と「ハートメイト」という二つの植え込み型人工心臓がこれまで日本で治 験されました。それは各々それほどたくさんはできないわけで、6例、6例のプロトコ ールでやらせていただいたかと思うのですけれども、それも有意差を出すような形の治 験としては全く不十分であることはよく存じております。ただし日本の外科医によって きちんと日本人に手術された結果、欧米のデータと同等の結果が達成されるかどうかと いうことを確かめる意味で必要だったかと思うのです。私どもが主幹させていただいた 「ハートメイト」の日本でのスタディーでは、数少ない症例であり多くの外科医がやっ た割には欧米よりも1年の生存率では高い生存率が達成され、いい成績が出ていると私 は思ったわけです。技術デペンデントでございますので、そういう意味でいろいろなデ バイスにおいて治験という形ではなくても日本の術者が経験している方がベターだとい うことで申し上げているわけであります。今のGCPにのっとった本当に有意差を出す ための治験をやるとなると、今おっしゃったようにそれは非常にコストもかかりますし、 新しいテクノロジーが患者さんに与える恩恵を考えますと、そのタイムディレイは場合 によっては許されないと私は考えております。ちょっと趣旨が違うので訂正させていた だきました。 ○審査管理課長 そういたしますと、どちらかいうと速やかに認可して、それから実際 に例えば保険適用などというふうになるまでの間にできるだけ術者の先生方が慣れると 言いますか、そういう機会、場があるような形になればよいのではないかという御意見 というふうに受け止めればよろしいでしょうか。 ○許委員 実際に使ってみてやはり日本では具合が悪いということもあり得るわけです から。 ○鎌倉委員 よろしいでしょうか。今日追加資料を頂いたのですが、変更案に更に少し 追加すべきかと思った点があります。いずれも「教育プログラムを受講し」という記述 があるのですが、これに関しては心不全治療に関してだけしか述べられていません。今 回の機器は除細動器の機能が付いていますので、やはりICDに関する教育プログラム も同時に受講する必要があるのではないかと思います。  もう一つ、これまでICD、CRT両方とも既承認の製品ですが、これらを植え込む ためには施設基準というものがございます。頂いている資料に植え込み基準のほかに施 設に関する条件が二つ書かれておりますが、このように電気生理学検査を何十件しなけ ればいけないとか心室性不整脈に対する検査の経験があるなどというような幾つかの条 件をクリアする必要があるのです。このためCRT-Dに関しましても、ICD並びにC RT両方の施設基準を満たすという条件も付け加えるべきではないかと考えています。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。井街先生、お願いします。 ○井街委員 ちょっとリードの構造的なことでお伺いします。これはガイドワイヤを先 端から患者さんに入れていくわけですね。手元に資料がないので何という名前だったか 分からないのですが、先端にシリコンのカバーが付いているのですけれども、そこの構 造が申請書からは見えないですね。多分小さな穴が開いていてバルブの役も兼ねていて、 ガイドワイヤを抜いた後はそこが閉じて血液が逆流しないようになっていると思うので すけれども、そのことは何も書かれていません。それから、もしもそういう機構が付い ているのだとしたらそれに対する、例えば圧をこれだけかけたときは逆流が起こります よといった試験規格が必要になってくるのではないかというのが一つ。  それからもう一つは、これはこの後のメドトロニックのリードもこれも全く同じなの ですが、24時間掛けてステロイドが初期に徐放されるということが書いてあるのですけ れども、これもポリウレタンと混ぜるようなことがどこかにちらっと書いてあったよう に思います。構造的にステロイドが抜けた後のポリマーの表面の状態がどうなっている かというのは何かデータがあるのかどうか。その抜けた後が凸凹になっていますとそこ に血栓ができてこないかという心配がちょっとあるものですから、そこはどうなってい るのかということです。  それから、臨床的なデータとしては私はほとんど目を通していないのですが、一番気 になったのはガイドワイヤを付けることによって87%が留置に成功したということな のですけれども、これは従来のスタイレットでやったもののデータと比較してよくなっ たのか同等なのかがどこにも記載されていないということで、それもどこかに記載しな いとおかしいのではないか。今回の申請が従来のスタイレットでやる方法の改善という ことで出されていますので、それもどこかに記載されていないとおかしいのではないか。 その三点です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは総合機構の方からお願いしま す。 ○機構 第一点目の御質問ですけれども、この品目に関してはふたのない完全にオープ ンの形で、自由に血液が出入りするタイプでございます。 ○井街委員 そうするとリードの先端、コネクタのところまで血液が行ってしまうわけ ですね。それでも差し支えないのですか。 ○機構 はい。そういったことでございます。この後出てくるアテインオーバーザワイ ヤというのはふたがしてありまして、きちんと切り込みを入れてあってそこを自由にガ イドワイヤが通るタイプで、一応容易には血液が出入りしないものではございますけれ ども、これは逆に自由に出入りさせることによって安定を保つという概念で作られたも のでございます。 ○井街委員 血液が電極のところまで行っても、そこから漏電とか変なことは起こらな いわけですね。それは大丈夫なのですか。 ○機構 動物実験ではございますけれども、一応2年間までの調査の中では何も起こっ ていないということでございます。 ○井街委員 原理的にそこに水が入ってきても起こらないようになっているのですか。 ○機構 血液が完全に自由に出入りできる形になっていますので、逆にちょっと入って それが滞留するというような形ではないというものでございます。 ○井街委員 ただガイドワイヤを抜いた後、ぬれた状態で電極を最後に本体に差し込む わけですよね。それでも原理的に大丈夫なようになっているわけですね。要するに、冠 静脈ですからそれほど圧はかからないでしょうけれども、どこかクランプするわけでも 何でもないので一応逆流することが考えられますよね。そうすると、血が滴り落ちるよ うな状況の中で本体にガチャンと差し込むというイメージがあるのですが。実際に物を 見ていないので分からないのですけれども。 ○鎌倉委員 私もそれほど詳しくはないのですけれども、一部は入るかもしれませんが、 どちらにしてもリードはジェネレーター、本体の方につなぎますので、そこから血液が 逆流してくる可能性は非常に少ないと思います。 ○井街委員 逆流はしないのですけれども、導通しますよね。 ○鎌倉委員 それがあると大変ですので、恐らくその辺は完全に試験はなされていると 考えます。 ○井街委員 ですけれども、もしもその試験がなされているのならその規格が必要なの ではないかということです。野放しでいいならいいのですが。 ○審査管理課長 ちょっと時間が掛かるかもしれませんので、もしよろしければほかの 項目について答えてもらっている間に少し調べてもらいたいと思います。 ○土屋部会長 それではその次にポリウレタンと混ぜた場合の後の状態の…。 ○井街委員 混ぜたかどうかははっきり書かれていないので分からないのですが…。 ○機構 これはポリウレタンを混ぜた形で成形されております。この品目そのものには 付いていないのですけれども、同じポリウレタンと混ぜたものについて既に承認された ものがございまして、表面が凸凹になるというところまで多量にステロイドを混ぜるわ けではないという観察が付いたものがございます。全く同じ溶出パターンと言いますか、 顔料のものを使っておりますので、本品についても同じものというふうに想定しており ます。 ○土屋部会長 第三点はスタイレットの方法と比べてどれだけよくなったのか。 ○機構 申し訳ありません、このもの自体については書いていないのですが。 ○井街委員 臨床データを詳しく見ていないので、書かれてあったかどうか…。 ○機構 これは書かれていなかったと思います。ただ前回のアテインリードの場合も成 功率は80%前後あったと思うのですが、恐らく留置までの時間がかなり違うと考えられ ます。 ○土屋部会長 今御指摘いただいた漏電のところは間違いはないのだろうと思うのです が、それはきちんと確認して井街先生にお答えいただきたいと思います。それからいわ ゆるしっかりした治験ではないけれども、その間の医師の経験のようなものをシステム として文章の中に、先ほどの心不全対象だけではなくてICDも入れると。それから両 方の教育プログラムはもちろん、そこに施設要件を入れるとなると、施設基準である程 度カバーできるものなのでしょうか。 ○鎌倉委員 それに対してはいろいろな意見がございまして、施設基準があるためにか えって本来必要な患者さんに入れられないという不満も結構聞かれます。これまでの基 準はかなり厳しい施設基準とはなっておりますが、技術的なものは別として少なくとも 実際にICD、CRTの患者さんを経過観察する上では非常に適切な基準ではないかと 私は考えています。 ○医療機器審査管理室長 施設基準の関係でちょっと補足的な御説明を申し上げます。 両室ペーシングの施設基準といいますのは、これに先行して以前こちらで承認したメド トロニックの品目「InSync」の際に、薬事の審査としては今回原案のような承認条件で あったところですが、先ほど鎌倉先生から御紹介がありましたように、さらにそれに対 して医療保険の方で電気生理検査、あるいは開心術、冠動脈大動脈バイパス移植術を併 せて年間50例以上実施などというような具体的に例数を限定した施設基準を設けて、そ れを保険適用のための施設基準ということでやっております。そういう点で、薬事にお いては抽象的な基準で、それを保険においてより具体化したというのが先行した品目の 基準の作り方になっております。  これにつきまして、この両室ペースメーカ移植施設基準がそのまま適用につながるか どうかということについてはまた別途の議論になると思いますけれども、今鎌倉先生か ら御提案があったように、何らかの医療機関の基準が必要だということについての基本 的な要件については承認条件の中に言及し、そういう具体的なことについてはまたその ようなところでブレイクダウンしていくというやり方がひとつあるのではないかと思い ます。 ○土屋部会長 ほかにいかがでございましょうか。 ○許委員 私が最初の方で質問させていただいた成績のことについていかがですか。と いうのは、参考資料の159ページ辺りにサブグループ分けなどがありまして、それから 166ページ辺りにその詳細があるのですけれども、これをどう計算してもよく分からな いのです。167ページの「全グループの複合指数の発生数及び発生率」というのがあり まして、全症例が490例で重症心不全患者が328例で安定心不全患者が227例と、これ を足すのか引くのかよく分かりません。それで、重症心不全患者と安定重症心不全患者 が別の群だとすると、あらゆる原因による死亡が真ん中のところのCRTあり群で11 例、そして最後のところはCRTなし群が二つ同じものが並んでいたり…。もうこの表 を見ても全然分からないのです。その成績の説明というのは臨床データで非常に大事な ので、ちょっとしていただけますか。 ○土屋部会長 お願いします。 ○機構 ただいまの御質問について御説明させていただきます。まず層別形式のことな のですけれども、これは重症心不全患者と安定重症心不全患者というのは重なった患者 さんがいらっしゃいます。というのも、全患者というのはもちろんすべての患者なので すが、重症心不全患者というのがエントリーした段階でIII、IV度の患者さんのことを言 っております。安定重症心不全というのがこの機器を植え込んだ後2週間経過後にIII、 IV度の患者さんを入れておりますので、かなりの部分はダブっているとお考えいただけ ればと思います。ですから全患者というのを一つだけ見ていただければこのデバイスそ のものの有効性が確認できるのではないかと思います。  その全患者に関してCRTon群とoff群での心不全に関する有効性なのですが、死亡 率を見てみますとon群が4.5%、off群が6.5%、心不全による入院がon群で13.1%、 off群が15.9%。また心不全による有害事象というのがon群が6.1%に対してoff群が 13.1%。相対的に測りますとグラフのような結果になるものでございます。ですので、 これは足し算や引き算ではなかなか答えが出ないものですから、非常に分かりにくい結 果になっておりまして、申し訳ございません。 ○許委員 実は外来での心不全治療を除くと38.4と51.4で、それを引き算すると差が 余りなくなってしまうのです。その辺が修正で出してきていて、実際のネットの評価の ところはよく分からないのですけれども、これは単に引き算すれば余り差が出ない…、 15%も出るのかなと思いながら見ているのですが、この引き算、足し算で数値を割れば そのようなものが出るのですか。私もこれを詳しく計算すればいいのですけれども、こ れがどうも私たちの頭をこんがらからせるようにいろいろなところで数値の重複があっ たりと様々な操作が加わっているような気がして、単にぽんと出してon群とoff群を比 較すればいいのに、いろいろなものが入っています。それからVT、VFのDの方のも 入っていて、ここのところの数値を見ると内科の先生はいいでしょうが、我々外科医の シンプルな頭では理解し難いというところがあります。  ── 田島委員退席 ── ○土屋部会長 総合機構の方、お願いします。 ○機構 これにつきましては当初はシンプルな解析でFDAの方に申請したのですけれ ども、想定した25%をクリアできなかったということで、FDAの方からレトロスペク ティブな解析をいろいろやれという指示が出されたそうでございます。それでいろいろ 解析した結果、それをそのまま日本語に訳したものでこのような非常に分かりにくい結 果になったのですけれども、本品そのものの有効性については全患者というのを見てい ただければ、先ほども申し上げましたけれども、死亡で4.5〜6.5という差が出ておりま すので15%の差があることは間違いありません。 ○審査管理課長 恐らくまとめのときに159〜160ページにありますように中止とか脱 落とか重症度の重なりとか、いろいろなものが生じたためだと思いますけれども、そこ はまた事務局の方で再度確認はしておきますが、FDAでも評価をされたものというこ とで、全体的に間違いはないものと思います。 ○機構 通常よく見る解析ですと、すべて層別に分けて足し算すると全患者になって分 かりやすいと思うのですが、これは私どもも最初読んだときに全く分からなかったとい うのが正直なところではあるのですけれども、確かにそういった層に分けて考えると25 %を超えるような群が初めて出たというところで、こういった幾つにもわたるレトロ的 な解析が行われてしまったと。それをそのまま申請資料として我々が受けてしまったと いうところは、もしかしたらよくなかったのかもしれません。  それから先ほどの許先生からの本デバイスが日本で実際に使われなくてもよいのかと いう御指摘なのですけれども、鎌倉先生にお話しいただいたと思うのですが、まずこの もの自体、ICDにつきましては第四世代と言われている初めて胸に植え込むことがで きるようになったものとほとんど同じぐらいの大きさのものでございます。それに左心 室に持っていくリードというのは昨年メドトロニックで承認された「InSync 8040」で既 に確立しておりましたので、このデバイスだから新しい何かがということではなくて、 同じような施設基準を持ってくればと考えております。 ○土屋部会長 許先生、いかがでございますでしょうか。 ○許委員 別に反対しているわけではなくて、無理やり設定の25%に持っていこうとし ていて非常にデータが分かりにくいという結果になったのだと思います。私は何もこれ を悪いと言っているわけではないのです。ただこのように幾つかデータを無理やり作っ ているもので、国内の治験も省略して入れるとなるとかなり問題が大きくなると思いま す。一方では、私はむしろそちらの方を言いたいわけですけれども、世界の心臓移植の 標準的なブリッジデバイスである「ハートメイトVE」のLVASなどは非常に大きな コストをかけて厳しい治験をやって、まだ全くこういう審査に上がってこない。そこに どういう基準で治験をやって、どういう基準で治験をやらないのか疑問がわいてきます。 治験をやらないのは私はいいと思うのですが、ただやはり日本での経験がゼロでいいの かという素朴な疑問を呈しているだけです。この数値をごちゃごちゃいじっているのは もっとシンプルに、15%でいいならいいでそれを出された方がいいのに25%の設定ライ ンに近づけるために無理やり何かいろいろな操作をやっておられる。それは普通の臨床 医としては何となく苦労しているなという感じで、本当にすぱっと有意差と言っていい のかなと感じるわけでございます。 ○土屋部会長 ですから全症例とこれの両面のデータを出された方が一番説明しやすか ったのかと思うのですが。それから、やはり「ハートメイト」でなかなか上がってこな いのは臨床しなくていいのかというのは…。 ○許委員 それはただ要望でありまして、今日の議論には関係ございません。 ○審査管理課長 先ほど説明がありましたけれども、本日のデータもFDAでいろいろ な解析をやらされたのをちょっとそのまま持ってきたものですから、何か意図的にデー タをまとめているように誤解を受けやすい形のものだったのかもしれませんが、そこの 信頼性の方は十分確認しているようでございますので、御了解をいただければと思いま す。それから先ほどのいろいろなものの関係ですけれども、医療機器につきましてもこ れから開発の段階で日本での治験のやり方とか申請前の相談などの体制がようやく徐々 に整備されてきまして、そういったところの交通整理といったものもできてくるかと思 いますので、また今後とも先生方の御理解、御協力をお願いしたいと思います。 ○土屋部会長 私も人工臓器学会に行ったときに、やはり先生方になぜなかなか承認さ れないのだと、臨床試験をしないといけないのかということをよく言われます。手技は 非常に難しいものからいろいろあると思うのですが、今回のものはかなり高度なテクニ ックが必要なものだと思いますので、本省から出されてきた変更案に先ほど鎌倉先生が 言われたことを加えて、施設要件のところで、例えば最初は鎌倉先生のような方に確実 にやっていただいて、次第に訓練された方が広まるとともに様子を見て広げるというよ うにソフトランディングに実行できないのでしょうか。そういうことはなかなか難しい のでしょうか。 ○審査管理課長 先ほど医療機器審査管理室長からも説明がございましたように、保険 適用の際の縛りといったようなこともございますので、そこも含めて…。保険適用の際 にも当然保険局の担当部署が、具体的には医師会を通してという形になるかもしれませ んけれども、各学会の御意見を聞いて決めていくと思います。薬事の方で余りがちっと 決めておきますと今度はまた保険適用のところでの不整合も生じますので…。大体趣旨 は承りましたので、そのような形で薬事の承認条件の方は事務局にまとめさせていただ ければいかがかと思います。 ○井街委員 こういうクラスIIIとかIVの機器というものも、輸入業者がこれを入れたら 将来もうかるからという単純な発想で入れて、それで外国のデータを使って申請をする という状態でいいのでしょうか。今回の多分FDAから持ってきたデータをだれが訳し てだれが責任を持っているのかということは私には分かりませんけれども、やはり許先 生が言われるようにそれを輸入するのに積極的な医者が一人でも二人でもいないと、そ のデータの見方も違うでしょうし、いろいろなところで支障が来ます。それから承認は したけれども、全然使われない機器がどんどん増えていくというおそれも将来的には出 てくる可能性もありますよね。ですから、やはりクラスIII、IVというのは相当考えて審 査にかけないといけないのではないかという気がするのですが。 ○医療機器審査管理室長 その点は御指摘のとおりでございます。まず今般の薬事法改 正におきましても、輸入業者というよりもむしろ製造販売業者という形で、単に承認を 取りさえすればいいのではなくて、それぞれの品目において市販後のフォローアップに ついても責任を持つのが輸入業者の重大な責務という体制でやる制度に改めたところで ございます。  一方この両室ペーシングのような機械につきましては、実際に導入した業者は確かに 米国のデータを導入してやるわけでございますけれども、教育プログラムなどは当該輸 入業者が国内で責任を持って実施する形になりますので、単に輸入しただけということ にはなりませんで、相当な専門の先生とタイアップをした専門医の一種の教育プログラ ムを当該企業ができなければ実際に国内での活動はできないというのがこういった機械 の実態となっております。そういう点では、単なる商社的なところが思い付きにしてそ れきりということは大変やりにくい、あるいは許さないという体制にはなってきている と思いますけれども、一方では先生の御指摘のような傾向が過去にあったことも否めな いわけですので、その点につきましては確かに是正していく必要があるかと思います。 ○土屋部会長 よろしいですか。 ○井街委員 今回のものもだれが教育プログラムを作って、だれがそれの責任を持つの かというのは承認条件として何も明確にされていないですね。 ○医療機器審査管理室長 基本は企業でございます。 ○井街委員 ですから基本は企業ですよね。しかしそこに医者がどれくらい関与してい るかというのはだれが最終的にチェックするのですか。何かが起こったときに企業が悪 いと言うのは簡単ですけれども、そうではなくて、要するに条件付きで承認した場合に その承認を満たしているかどうかというのは最終的にだれがチェックするのですか。そ のときに、やはりその教育プログラムに経験を積んだ医者が関与しているかどうかとい うのは非常に重要な問題になるだろうと思うのです。 ○医療機器審査管理室長 まずチェックをするのは言うまでもなく私ども厚生労働省の 企業に対する市販後の指導における責務でございます。 ○井街委員 しかし市販後ではなくて…。 ○医療機器審査管理室長 条件を付けるときも当然そうでございます。 ○井街委員 条件付きですよね。ですから今回の場合も条件が満たされないと市販も許 されないはずですよね。きちんとした医者がバックにいるかどうかというのは厚生労働 省の方でチェックするわけですね。 ○医療機器審査管理室長 はい。 ○井街委員 それなら結構です。 ○土屋部会長 いかがでございましょうか。どうぞ。 ○機構 先ほど鎌倉先生の方からも少しお話があったのですけれども、教育プログラム につきましては一応心臓ペーシング・電気生理学会の方で見ていただくということにな っております。「InSync」というのはもう既にできておりまして、これのために新たに 作るかどうかというところについてはまだ完全に議論は収束しておりませんけれども、 一応同じように心臓ペーシング・電気生理学会において御検討いただくということに…。 ○井街委員 そういう専門家がバックにいるなら全然問題ないと思います。そういうの がある程度規則の中にないと今後もまずいのではないかと。 ○許委員 私もつい先日その講師をやらせていただきましたけれども、皆さんまじめに 熱心に参加されていることだけは間違いございません。それから、このデバイスは日本 での経験などをもっとしっかり確立するべきだということで述べさせていただいただけ で、これ自体は日本の患者さんにとって本当に必要なものだと考えております。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは議論もそろそろ終わったと思 います。このデバイス自体は従来のものに比べれば侵襲性が低いということで必要であ ろうということですけれども、ただし日本の場合には経験している医師がいないという ことで、そこの最初の一歩のところを先ほど来のいろいろな御意見を参考にして総合機 構、厚生労働省の方が承認の方向に持っていっていただき、それをここで御意見いただ きました各先生方に御確認いただくという条件付き承認でいかがでございますでしょう か。どうもありがとうございました。それでは次の説明をお願いします。 ○機構 それでは引き続きまして、アテインOTWリードについて御説明させていただ きます。本品目の基本的な考え方はイージートラック・リードとほとんど同じでござい ます。本品目につきましては先ほどと同じく鎌倉先生、北畠先生に御意見をちょうだい しております。左心室用のリードでございます。適用は書いてあるとおりでございます。  外観ですが、先ほどのものはアンカーが付いておりましたが、これは先端が太くなって 引っ掛かるような形のもので、若干先端形状が違いますけれども、目的はほぼ同じもの でございます。先ほどの議論の中で既に何度も出てきましたが、両心室ペーシングの専 用治療器ということで日本メドトロニック株式会社から「InSync 8040」というものが承 認されております。それにはアテインリードというリードがセットで承認されておりま すけれども、スタイレットで押し込むタイプですから操作性がなかなかよくないという ことで、留置は可能なのですが、時間が掛かるとか、場合によっては穿孔してしまうこ ともあるということでございます。  海外での承認・販売状況ということでございます。世界40か国以上において□□万本 が使用されております。海外ではアテインリードよりはほとんどこちらのアテインOT Wリードが使われているのが現状でございます。不具合につきましては従来のペースメ ーカとほぼ同じような感染、リードの離脱、ペーシング異常等が見られているというと ころでございます。  植え込み型心臓ペースメーカ基準に基づいた試験が適切に実施されていると考えてお ります。  規格及び試験方法ですが、外観試験、製造工程中の試験、無菌性保証試験、残留エチ レンオキサイドガス濃度試験等が実施されております。  先ほど御質問ございましたリン酸デキサメタゾンナトリウムの単位を用いたものでご ざいます。これにつきましては全く同じものがキャプシュア?SP NOVUSリードというも ので既に承認されております。  安定性につきましては、すべての原材料は既承認医療機器に使用されているものと同 じでございますので、安定性に関する試験は省略されております。安全性につきまして も、生物学的安全性の試験は省略されております。  性能ですが、使用方法を裏付けるということで動物試験が行われており、イヌの冠静 脈に本品をスタイレット又はガイドワイヤのいずれかの方法により留置して、操作性及 び電気的性能の評価が行われております。既承認と同等又はそれ以上の性能を示すとい うことで、13か月の試験が添付されております。またその操作性を評価するために血流 路モデルというものを用いまして、ガイドワイヤを追随する状態で蛇行性血流路におけ る操作性等の評価が行われております。  臨床試験(参考)といたしまして、従来のスタイレットタイプでの成功率が92.6%に対 して、本品のOTWタイプが96%ということではございますが、これはそもそも別の品 目の臨床試験のために実施された試験ですので、スタイレットで押し込まれたタイプの 成功率もかなり高くなっているのではないかと考えられます。  また本品につきましては、OTWにすることにより新たなリスクがあるのではないか ということで、リスク評価に関する資料が添付されております。想定されるハザードと して被覆損傷とかリード離脱、リードへの血液の侵入、ガイドワイヤの挿入・抜去困難 あるいは心臓・血管壁の穿孔等という項目が挙げられておりますが、それぞれ評価がな されているというところでございます。  総合評価といたしまして、使用目的としては左心室用リードが使用可能なポートを有 する植え込み型心臓ペースメーカの冠静脈用リードとして用い、十分な薬物療法にもか かわらず改善の見られないQRS幅が130ms以上及び左室駆出率35%以下を伴う重症心 不全に対する病状改善に用いると。再審査につきましては、新性能医療用具であり、再 審査期間は3年が妥当と思われます。  承認条件につきましては先ほどの品目と同じく全例の調査を行うこと、及び適切な教 育プログラムを受講し本品の有効性及び安全性に関する情報を理解した上で適切な取扱 いを習得した医師が使用するよう必要な措置を講じることでございます。以上です。よ ろしくお願いいたします。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。それでは御意見等ございますか。 ○事務局 承認条件の変更について御説明させていただきます。当日追加資料2になり ますが、こちらは先ほどと同様の変更案を提示させていただいております。こちらの品 目の本体につきましては日本メドトロニック株式会社の「InSync 8040」ということで、 除細動機能が付いていないものですので、先ほどの議論の中のICDのところについて は不要になるかとは思いますが、その件を踏まえまして文言等を検討させていただきた いと思います。以上です。 ○土屋部会長 ありがとうございました。 ○医療機器審査管理室長 補足でございますけれども、今ほどの品目で承認条件等の御 議論いただいたのと全く同じことをこちらの方にも反映させる修文を更にしなければい けませんので、医療機関に関することが何らかの形で浮かび上がってくるような修文を 同様に付け加え、ただしこちらの方は除細動が入らないというようなものに修文案を変 えるということでお願いしたいと思います。 ○土屋部会長 それでは御意見ございませんでしょうか。先ほど来のことで出尽くした のかもしれませんけれども、先ほどのことで問題のある点についてはただいま室長の方 からありましたように変更を加えていただいて、大筋で承認ということでよろしいでし ょうか。どうもありがとうございました。それでは先ほど来のものは、一部承認ものに ついては御意見いただいた先生に確認していただいた後承認ということにいたします。 ○医療機器審査管理室長 それでは承認条件の文言につきましては、後ほど明確なもの を先生方に更にもう一度お送りして、それを御確認いただくようにいたします。 ○土屋部会長 分かりました。ということで、それを確認されて承認されますと今月の 27日に開催されます薬事分科会に報告することにいたします。  それでは次に三つ目の審議に入ります。審議事項の議題3の血液型判定用抗体基準の 一部改正の概要について、事務局から御説明お願いいたします。 ○事務局 血液型判定用抗体基準の一部改正案についてということで、資料7-1になり ます。この改正なのですが、血液型判定用抗体製品について当該品の操作方法に関する 内容が既存の血液型判定用抗体基準に合致しないために改正するというものです。本品 はゲルカラム遠心凝集法血液型判定用試薬でありまして、要は既承認品と全く同じ製品 であれば従来からのゲルカラム遠心凝集法血液型判定用抗体の80(G)の10分間に従う のですが、当該品については固有のゲルカラムとそれに合致した専用遠心機を使用する ということで従来品と異なってしまいまして、110(G)の9分間遠心という抗体基準を用 いることになります。それに伴って抗A血液型判定用抗体や抗B血液型判定用抗体、抗 D血液型判定用抗体、抗ヒトグロブリン抗体の力価試験に変更が生じるものです。以上 です。 ○土屋部会長 ありがとうございました。それでは事務局の説明に御質問ございますで しょうか。これは80(G)10分を110(G)9分というところの変更で…。 ○事務局 追加になります。 ○土屋部会長 ということでございます。特に問題はないということで、それでは次に 進ませていただきます。これは本部会で特に反対はございませんでしたら御了承いただ きましたということで、また27日の薬事分科会で報告いたします。よろしいでしょうか。 どうもありがとうございました。  それでは次に報告事項について事務局よりお願いいたします。 ○事務局 引き続きまして、平成17年2月1日〜平成17年4月30日に承認された品目 のうち、本部会への報告対象となっている品目について御報告させていただきます。医 療機器が7品目、体外診断用医薬品が3品目でございます。詳細につきましては実際に 審査を行った独立行政法人医薬品医療機器総合機構から説明いたします。 ○機構 それでは総合機構より説明させていただきます。資料8-1を御覧ください。ま ず一番目、二番目に日本ビタトロン株式会社の「クリスタルライン ActFix」と日本メド トロニック株式会社の「キャプシュアーFIX NOVUSリード」が出ておりますが、これら は申請者と販売名が異なりますが同一の品目です。これはいずれも輸入承認申請がなさ れたものでございます。品目の概要を説明いたしますが、本品は既承認の「キャプシュ アーFIX シリコンリード」に、(1)導線コイルと導線皮膜の間にPTFEチューブ(ライナ ー)を追加したこと、(2)導線直径が2.0mmと細径化を図ったこと、(3)全長にバリエーショ ンを加えたことの三つの変更点を加えたものでございまして、使用方法、使用目的等に 変更はございません。  次に三番目でございますが、ボストン・サイエンティフィック ジャパン株式会社より 申請された「RFA システム」でございます。本品は高周波による発熱を利用して肝悪 性腫瘍組織を焼灼するラジオ波焼灼装置でございます。新規な点は最高出力が200Wへ 増加したこと、展開径4cmの電極の追加等でございます。なお先行して新医療用具で承 認された「ディスポーザブルハンドピース」というものがございますが、現在再審査期 間中ということで、本品は追っかけ新規ということで再審査期間が「ディスポーザブル ハンドピース」の再審査期間の終了日の平成17年7月22日までと指定しております。  2ページを御覧ください。四番目としてアイシン精機株式会社より製造承認申請があ りました「モバート」でございます。本品は左心補助、右心補助に用いる補助人工心臓 の駆動装置でございます。本品は空気圧ポンプを油圧ポンプに変えたこと等により小型 軽量化を図ったものでございます。  次に五番目ですが、東芝メディカルシステムズ株式会社より製造承認申請のあった「東 芝スキャナ Aquiduo PCA-7000B」でございます。本品はPET装置とX線CT装置を組 み合わせたPET-CT装置でございます。内部に密封線源は保持せず、PETの吸収補 正はX線CTデータを活用するものでございます。X線CT装置の部分は同社の既承認 品を使用し、PET装置は既承認のPET装置の検出器(LSO結晶)を高密度化(1ブロ ックにおける素子数を64個から169個に増大)したものを使用するということでござい ます。  次に六番目ですが、日本メドトロニック株式会社より輸入承認申請のありました「シ ンクロメッドプログラマ」でございます。これは3月の本部会で御承認いただきました 日本メドトロニック社のバクロフェンの植え込み型薬液注入ポンプである「シンクロメ ッドELポンプ」をコントロールするプログラマでございます。  3ページを御覧ください。七番目ですが、これも日本メドトロニック株式会社より輸 入承認申請のありました「インデュラカテーテル」でございますが、これも先ほどのプ ログラマと同様にシンクロメッドポンプに接続して、髄腔内にバクロフェン注を持続投 与するために用いる髄腔内投与用のカテーテルでございます。 ── 澤委員退席 ── ○機構 次に体外診断薬について御報告申し上げます。まず一番目は富士レビオ株式会 社から申請がありました「ルミパルスII」でございます。品目概要としては、本品は効 能効果の欄に1〜11がありますけれども、CLEIA、化学発光酵素免疫測定法を原理とす る構成品11品目から成るシリーズ品です。今回シリーズ中の構成製品についての効能・ 効果欄の変更、主な変更点というのは従来まで血清のみだったというものについて、検 体種として血漿を追加したものが3品目あるということでございます。更に製造方法欄 の記載整備(11品目)のために製造承認事項一部変更承認申請がなされたというもので ございます。  次に二番目がアボットジャパン株式会社から申請がありました「HIV Ag/Ab コンボア ッセイ・ダイナパック」でございます。本品はEIA法を原理とした抗HIV-1抗体、 抗HIV-2抗体、抗HIV-1グループO抗体及びHIV-1p24抗原を検出する第四世 代のエイズ関連検出試薬ということでございます。  次のページに行っていただきまして、三番目が株式会社ニチレイバイオサイエンスの 「クオンティフェロン TB-2G」でございます。品目の概要ですが、本品は全血とヒ ト型結核特異たんぱくをin vitroで共存させ培養することにより、T-リンパ球の細胞 性免疫応答により産生されるインターフェロンγ量をEIA法で測定することにより結 核菌感染の有無を判別するキットであるということです。以上です。 ○土屋部会長 どうもありがとうございました。もう予定時刻を過ぎておりますが、特 にコメント等はございますでしょうか。ございませんか。それでは以上で審議、報告事 項を終わります。 ○事務局 次回の医療材料部会につきましては先ほど申し上げた合同部会に引き続きま して8月31日に開催させていただきますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○医療機器審議管理室長 それでは以上で医療機器・体外診断薬部会を終了させていた だきます。本日の部会はこれですべて終了いたしました。本日は長時間にわたりまして 熱心な御審議を賜りありがとうございました。                                    ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 医療機器審査管理室 室長補佐 束野(内線2912)                                     - 1 -