平成17年度第1回目安に関する小委員会議事録


1 日時  平成17年6月24日(金)13:00〜14:20

2 場所  厚生労働省専用第21会議室

 出席者
【委員】公益委員 今野委員長、石岡委員、中窪委員、樋口委員
労働者委員 加藤委員、久保委員、中野委員
使用者委員 池田委員、川本委員、杉山委員、原川委員
【事務局】厚生労働省 松井審議官、前田賃金時間課長、名須川主任中央賃金指導官、
 山口副主任中央賃金指導官、梶野課長補佐

 配付資料

 資料1 中央最低賃金審議会日程 (PDF:17KB)
 資料2 主要統計資料
 (1〜10ページ(PDF:370KB)  11〜23ページ(PDF:410KB)
 24〜30ページ(PDF:408KB)  31〜42ページ(PDF:383KB))
 資料3 最低賃金の決定基準等について
 (1〜5ページ(PDF:370KB)  6〜13ページ(PDF:238KB))

5 議事内容

○今野委員長
 ただ今から「目安に関する小委員会」を開催いたします。本日より目安審議が始まることになりますので、よろしくお願いいたします。本日の議題は、「平成17年度地域別最低賃金額改定の目安の決定について」であります。まず、本日以降のこの小委員会の公開について、ご相談申し上げたいと思います。従前より、中央最低賃金審議会運営規程第7条に基づき議事録は原則公開としておりますが、会議については運営規程第6条の「率直な意見の交換若しくは意思決定の中立性が不当に損なわれるおそれがある場合」等に該当することから、これまで非公開としております。各委員には事前に事務局よりご意向を確認いたしておりますが、今年度も同様の取扱いにしたいというふうに考えております。よろしいでしょうか。

(異議なし)

○今野委員長
 次に本年度の目安審議の日程につきましては、諮問の本審の際にご確認いただいているとおり、お手元にお配りしてありますNo.1の資料に日程があると思います。これに沿って、今年も審議を進めていきたいと思っておりますので、ご協力のほど、よろしくお願いをいたします。それでは事務局に、お手元にお配りしてある資料について、ご説明いただきたいと思います。例年どおり、各種指標を用意していただいておりますが、最低賃金を取り巻く諸状況について、極力共通のご認識をいただくことが重要であると考えておりますので、そのことを念頭においていただきたいと思います。それでは、よろしくお願いします。

○前田賃金時間課長
 資料No.2をご覧いただきたいと思います。主要統計資料ということで、例年、主要な統計を第1回の小委員会でご説明させていただいております。目次を見ていただくと、全国統計資料編と都道府県統計資料編、それから業務統計資料編と大きく3つに分かれております。
 まず全国統計資料編ですが、1頁をご覧ください。景気の状況について、最近の月例経済報告などでは、「弱さを脱する動きがみられ、緩やかに回復している」というふうにされております。そういう中で、まず主要指標についてみておりますが、いちばん左がGDPについてです。平成16年が名目で1.5%増、実質で2.7%増というところであります。今年に入って1月〜3月も名目で0.6%増、実質1.3%増ということでプラスになってきています。
 その横の鉱工業生産ですが、生産指数が平成14年が92.0で底でありまして、その後回復して、平成16年が100.2というところです。今年につきましても、100を超えているというところです。さらに製造工業稼働率につきまして、これも平成13年度の92.4というところが底になっていまして、その後上昇して、平成16年が102.0、今年も100を超えています。さらに、その横の倒産件数ですが、平成13年が1万9,164ということで、ピークでした。その後、減少に転じているということであります。平成17年1月〜5月もずっと減少傾向が続いているというところです。さらに完全失業者数につきましては、平成14年の359万人というところがピークで、その後減少に転じて、今年1月〜4月も20万ぐらいの減少ということで、完全失業率が4月で4.4%まで改善されているというところです。
 2頁ですが、求人倍率につきましても、新規が平成14年0.93であったのがその後1を超えてきたということで、今年については1.3から1.4ぐらいという感じになっています。有効求人倍率も平成14年の0.54から、その後上がってきて、平成17年4月で、0.94まで上昇しているというところです。消費者物価については、ずっとデフレ傾向であったわけですが、平成16年が0.0ということで、横ばいでした。今年に入っては、若干マイナスになっているというところです。一方、国内企業物価は、平成16年が1.3%上がっています。特に最近素材価格が上昇しているということで、国内企業物価はやや上昇しているというところです。
 その横が毎勤でみた現金給与総額でありますが、調査産業計の名目指数でみますと、平成10年以降ずっとマイナスになっているということです。ただ、この中でパート比率が年々上昇しているということで、平成16年には21.4%まで上昇してきたということで、パートの比率が増えてきた影響もあるということです。平成17年に入って、3月を除いて、名目指数は前期比ではプラスになっている。特に4月は97.3ということで、かなり上がっているわけですが、4月のパート比率が20.93%で、パートの比率が下がっています。これについては、労働需給が改善されて、フルタイムの労働者が増加したということで、現金給与総額が上がったと。さらに考えますと、4月にかなり新規採用、学卒などが就職したということであるかと思います。今後2007年問題など、団塊の世代の引退ということもあって、若干フルタイムの正規の雇用が増えているかなというところです。
 製造業の場合は、パート比率がそんなに高くないのと、最近パート比率があまり上がっていないということで、名目指数は平成15年、16年はプラスでありました。平成17年は、4月の名目指数が1.0%減になっています。製造業は逆に4月にパート比率が若干上がっているということがあります。3頁は、有効求人倍率について、ランク別にみたものです。平成16年ですと、Bランクがいちばん高かったということで0.94倍なのですが、平成17年のほうはランク入替え後のランクでやっていますので、愛知が非常に求人倍率が高いということで、平成17年4月でみると、Aランクが一番高くなっています。
 4頁、年齢別の常用求人倍率の推移ですが、これはいずれの年齢においても上昇してきています。5頁、賃金の関係ですが、現金給与総額の30人以上のところは、先ほどみたのと同じような動きであります。平成16年までずっとマイナスになってきたものが、平成17年は3月を除いて増加になっています。ただ、現金給与総額の中で、5〜29人規模の所については、平成17年に入っても引き続きマイナスであって、4月が0.0ということで横ばいとなっています。さらに定期給与額は、現金給与総額との関係でいきますと、臨時に支払われるものが除かれるわけですが、定期給与額でみた場合には、やはり30人以上規模は、今年に入ってからは1月以外はプラスになっています。4月が0.8%増です。カッコ内は所定内給与額ですが、2月、3月、4月がプラスになっています。これはパート比率などの影響もあります。一方、5〜29人については、平成13年から平成16年までマイナスが続いていまして、平成17年に入って3月まではマイナスでしたが、4月に定期給与額はプラス0.1です。ただ、所定内給与額については、ずっとマイナスが続いているというところです。
 6頁が賃金の動きと関連して、毎勤のパート比率なのですが、いずれの規模においても、パート比率が4月は下がったというところです。平成16年と比べたときに、30人以上ですと21.43%から20.93%ということで、0.5ポイントぐらい下がっています。ただ、5〜29人ですと、30.73%が30.53%ですので、0.2ポイント下がってはいますが、規模の小さい所はそんなにパートの比率は下がっていないというような感じもうかがえると思います。
 7頁、初任給の上昇額・率でありますが、これは労務行政研究所の「労政時報」で大手企業を中心に集計したものですが、引上げはいずれにしても、0.0あるいは0.1ということで、ほぼ横ばいというところです。
 8頁が、賃金と労働時間の関係でみたものです。毎勤で30人以上について、所定内給与、所定内労働時間及び時間当たり所定内給与をみていますが、所定内給与が平成12年からずっとマイナスになってきたものが、平成17年1〜3月は0.1%増ということです。所定内労働時間についてみますと、平成16年が若干増えたのですが、平成17年1〜3月は暦の関係などもありまして、マイナス1.5ということです。ですから、時間当たり所定内給与は、平成17年1〜3月は1.7%増という形になっていまして、平成14、15、16年とずっとマイナスでありましたが、今年は一応プラスになっています。
 9頁はさらに5〜29人で、毎勤で同じようにみたものです。こちらの方は、所定内給与は平成17年1〜3月とマイナスになっています。ただ、所定内労働時間がやはりマイナス幅が大きいので、時間当たりでみた所定内給与は前年比で1〜3月はプラスになっているということです。10頁は、賃金構造基本統計調査で、一般労働者の賃金及び所定内労働時間等をみていますが、平成16年で10人以上でみると、所定内給与が若干下がったということで、時間当たり所定内給与が少し下がっているということです。ただ、10〜99人は、所定内給与が上がって、所定内実労働時間が下がっていますので、時間当たりの所定内給与が若干上がっています。5〜9人も所定内給与が若干上がったというところです。規模が小さいところは、賃構でみた限りでは、所定内給与がちょっと上がったというところです。
 11頁は、労働時間の関係ですが、毎勤で所定内労働時間は、30人以上については、先ほどもありましたように暦の関係もありまして、平成17年は特に2〜4月は前年比マイナスになっています。5〜29人についても、同様です。所定外労働時間については、平成15年、16年と増加傾向にあったということです。平成17年はやや横ばいというようなところでありますが、いずれしても、所定外労働時間はかなり高い水準にあります。5〜29人については、所定外は依然として増加傾向にあるというところです。
 12頁は、今年の春闘の状況でありますが、連合の集計では、いずれの規模においても、平均賃上げ方式でみた場合に昨年の引上げ率よりも、0.05から0.09ポイント高いというような状況です。それから日本経団連の大手企業の集計につきましても、昨年より若干引上げ率が高く、中小企業も同様ということです。13頁は、中小企業春季賃上げ率の推移です。これは平成16年までのものですが、平成16年は1.3%ということで、平成15年より若干上がったということです。ランク別にみた場合に、Aランクが1.6%ということで、Aランクの上がり幅が他と比べると、大きかったというような状況です。ちなみに大企業は昨年1.7%ということです。
 14頁、賃金の引上げ等の実態に関する調査で、引上げ額、率等をみています。これも平成16年までしかありませんが、平成16年は賃上げが加重平均で1.3%、単純平均で1.1%ということで、平成15年よりは若干引上げ幅が大きかったということです。その右に賃金の改定に際して、どういう要素を重視しているかということでありますが、引上げ、引下げいずれにしても、企業業績を重視しているというのが圧倒的に多いということです。15頁、消費者物価指数の対前年上昇率ですが、平成16年が0.0ということで横ばいでありましたが、平成17年に入って、若干マイナスになっています。特にAランクのところが消費者物価指数の下がり幅が今年に入って、他と比べて大きいというような感じです。
 16頁は、地域別最低賃金の時間額の全国加重平均と未満率、影響率です。未満率、影響率については最低賃金に関する基礎調査によってみたものですが、平成16年は未満率、影響率とも1.5%ということになっています。17頁は、同じく未満率、影響率を賃金構造基本統計調査でみていますが、こちらでみますと、平成16年、未満率1.1%、影響率1.2%という形になっています。18頁は、地域別最低賃金額と一般的な賃金水準との関係ですが、賃金構造基本統計調査の一般労働者について、時間当たり所定内給与をみたものです。平成16年が1,817円という形で、若干所定内給与が下がっている関係で下がっています。その関係で、一般のこの平均の賃金1,817円に比べた地域別最低賃金の、時間額665円が時間額比でみますと36.6%ということで、若干上がっています。10〜99人でみた場合には、所定内給与が上がった関係で時間当たり所定内給与も上がっていまして、時間額比は若干下がっているというところです。
 19頁は、パートタイム労働者について、同じように賃金構造基本統計調査でみたものですが、パートについては平成16年に時間額がかなり上がったということです。10人以上でみると、所定内で時間額が13円上がっています。その関係で時間額比は下がっています。特に10〜99人でみると、パートの時間額が34円とかなり上がって、時間額比がその関係で71.2ということで、平成15年よりは下がっています。
 20頁は、同じように毎勤の30人以上で同様にみたものであります。毎勤でみた場合に所定内給与が特に平成16年は下がっていまして、時間単価も下がったということで、時間額比が上がっています。これはパートが増えたということも影響しているということです。21頁は、企業の業況判断等です。まず日銀短観の業況判断ですが、平成16年から規模計の製造業でみると、「良い」から「悪い」を引いたものがプラスになってきている。平成17年もほぼ昨年と同様かなというところです。非製造業につきましても、マイナス幅が1桁で、平成16年から若干改善されています。中小企業については、特に非製造業でかなり悲観的ではあるのですが、以前と比べると改善をしているというところです。
 22頁は、経常利益の増減です。規模計でみた場合、製造業では平成度16年まで2桁、20%以上経常利益の伸ひが見込まれています。平成17年度は2%で、若干伸びが鈍っています。非製造業についても、平成17年度4.4%ということです。ただ、中小企業については平成16年度、17年度で、製造業がやや伸び率が下がってきていますが、非製造業はむしろ伸び率は上がっているというような形になっています。売上高経常利益率ですが、平成16年、17年いずれも製造業が5.2、非製造業が2.9から3.0ということで、以前と比べると高い水準にあります。23頁は、その業況判断等を時系列でグラフにしたものですので、説明は省略いたします。
 24頁は、経常利益率の時系列のグラフです。25頁は、中小企業景況調査による業況判断ですが、これについても中小企業ですので、かなり悲観的な見方であるわけですが、マイナス幅は平成16年と比べてほぼ横ばいというような感じです。26頁は、それを時系列でみたものです。
 次は都道府県統計資料編です。27頁は、1人当たり県民所得を都道府県別にみて、東京が一番高いのですが、沖縄が最も低くて、東京の約半分というような感じです。標準生計費については、家計調査でありますので、サンプルサイズの問題もあるのですが、神奈川が一番高く、沖縄が一番低くて55.9ということでした。高卒初任給については、東京が男性、女性とも一番高いわけですが、最も低い沖縄が男性で72.7、女性で77.9というような数字です。28頁は、有効求人倍率の推移ですが、平成16年の年間でみますと、愛知がいちばん高くて1.4です。群馬が1.29でその次に入っています。あとは三重、東京、栃木といったような所が高くなっています。いちばん低いのが青森で0.33というところです。
 29頁は、毎勤の地方調査で、30人以上についての定期給与ですが、平成15年で東京が一番高くて、36万7,771円、一番低いのが鳥取で24万8,185円ということです。30頁は、労働時間ですが、都道府県ごとの産業構造とか、あるいはパートの比率が影響しますが、総実労働時間でみますと、群馬が162.7ということで、平成15年でみた場合には一番長くなっています。あと、佐賀、岩手、宮崎、長崎といった辺りが長くなっています。所定外でみた場合には、広島が平成15年で14.4ということで、一番長くなっています。高知が9時間で一番短いというところです。
 31頁は、春季賃上げの状況ですが、都道府県別でみますと、やはりAランクの引上げ幅が他と比べると高いということです。32頁は、消費者物価指数の推移ですが、平成16年でみた場合には、プラスの所とマイナスの所がほぼ同じような感じになっています。平成17年に入って、マイナスの所が増えているという感じで、4月についてはプラスがちょっと多いかなというところですが、Aランクの所はマイナスがかなり多い。33頁は、消費者物価地域差指数の推移ですが、平成15年で東京を100とすると沖縄が91.1ということで、平成7年で東京を100とすると、沖縄が86.8で、地域間の物価の格差は縮小傾向にあるということです。
 次に業務統計資料編で35頁です。昨年の地域別最低賃金の改定審議の状況ですが、昨年は2円引上げが東京、愛知、静岡、宮城と4つでありました。据置きが富山、和歌山、高知の3つ、それ以外が1円の引上げということです。1円引き上げた所が多かったということで、採決状況をみますと、使用者側反対という黒丸がかなり多くなっています。36頁は、目安と各地方最低賃金審議会での地賃の改定額との関係で、平成13年までは日額に地方で、それぞれいくら上積みがあったか、平成14年からは時間額についての上積みということです。先ほども申し上げたように、平成16年は富山、和歌山、高知を除いて、1円ないし2円プラスということです。
 37頁は、地域別最低賃金の効力発生年月日ですが、平成16年で改定があった所については、9月30日ないし10月1日でありますが、茨城だけが10月17日ということで、ちょっと遅くなったというところです。38頁は、ランク別に加重平均額と引上げ率をみたものですが、平成16年は全国では665円で、0.15%引上げということです。ランク別には、Aランクが708円ということで0.28%、Bランクが672円で0.30%、Cランクが642円で0.16%、Dランクが607円で0.00%ですが、Dランクも引上げた所が多かったのですが、ここでは四捨五入の関係で0.00になっています。39頁は、地域別最低賃金の最高額と最低額及び格差の推移ですが、平成13年までは日額での格差ということで、86.2、平成13年から時間額で比較しますと、平成16年では85.4、平成13年では85.3ということです。時間額になると、若干差が広がっているというところです。
 40頁は、地域別最低賃金について、各都道府県別に引上げ率の推移をみたものです。41頁は、最低賃金の履行確保を主眼とする監督指導ということで、特に最低賃金の履行面を中心にした監督指導の結果ということです。平成16年が監督実施事業場数が1万2,337に対して、違反事業場が678ということで、違反率は5.5%ということになっています。違反事業場の認識としては、金額は知らないけれど、最賃は適用されることは知っているというところは、53.1%でいちばん多いということです。最賃未満の労働者については、1.3%ということです。違反率が平成15年、平成16年と下がっていますが、特に最近、最低賃金の引上げがあまりないということで、違反が少なくなっているのかなというところです。
 42頁が、更にそれを最低賃金の種類別にみたものでありますが、地域別最低賃金が1万147事業場を監督して、532の違反で違反率が5.2%、産業別最低賃金が2,190事業場を監督しまして、146の違反で違反率が6.7%という状況です。以上が主要統計資料です。
 次が資料No.3をご覧いただきたいと思います。これは前回の中央最低賃金審議会で目安の諮問を行った際に中野委員からご要望があったものについての資料です。1頁、最低賃金の決定基準について、ということです。現在最低賃金決定の3要素ということで、最低賃金法第3条に、労働者の生計費、類似の労働者の賃金及び通常の事業の賃金支払能力というものがあるわけですが、その決定方式ごとに3要素のウエートが異なるかどうかということについての法解釈はどうなっているかということです。
 法律的に1頁をご覧いただきますと、これはコンメンタールという最低賃金法の解説書ですが、そこでの記述であります。この3原則はいずれも考慮されるべき重要な要素であって、そのうちの何に重点があって、何が二の次という順位はつけ難いということで、3つの観点から総合勘案して最低賃金を決定すべきものである。いま法律上、地域別とか産業別とか書き分けていませんので、いずれにしても総合勘案して決定すべきということです。ただ、業種別、職種別、地域別それぞれの実情に即した最低賃金を決定するということであるので、個々の事案について、実情に即して総合的に勘案されるべきということです。
 2、3頁は、OECDによる相対的貧困率ということです。これについては、この前の審議会の議論で、一般労働者の中位数の60%、あるいは50%というものを貧困ラインという定義をして、OECDとかで調査をしているので、そういったものも参考にすべきではないかということです。2頁、OECDの相対的貧困率ということですが、この定義は世帯規模の違いを標準化して、可処分所得がその中位数の50%を下回るという人口の、全人口に占める割合というものです。
 27カ国についてあるわけですが、日本でみますと、80年代半ば11.9、90年代半ば13.7、2000年で15.3ということで、徐々に相対的貧困率が上がっているというところです。平均でみると、いちばん下の「OECD−25」が90年代半ばで9.8で、2000年が10.2となっていますので、若干上昇しています。フランスなどは貧困率は下がってきています。ドイツは上がって、イギリスも上がっています。メキシコは20%で、一番高いという感じで、国によって様々です。更に3頁で、それをグラフにしたものですが、黒い所が今の50%のラインで、更に白い所が60%まで広げた場合にどうなるかというようなところです。いずれにしても、相対的貧困層の状況を国際的に比較するという形で、このような資料が1つあるということです。
 生活保護の水準について、現在水準均衡方式という形で改定がされているということですが、その決め方についての資料を出していただきたいということが前回のご指摘です。まず生活保護費の体系が4頁ですが、生活保護については扶助が生活扶助、住宅扶助以下、8種類の扶助があるということです。生活扶助について、更に第1類と第2類に分かれていまして、第1類が食費等人数当たりでかかるような経費、第2類が光熱費等世帯単位でかかるような経費ということです。それに更に老齢とか母子とかの場合に加算がされるというような形になっています。
 具体的な金額が5頁ですが、第1類費については級地ということで1、2、3に分かれ、さらに2つに分かれていますが、全国で6つの区分があるということです。そういう級地ごとに、年齢別に第1類費について1人当たりの金額というものが決まっている。第2類費についても、級地別に世帯人員ごとに金額が決まっている。更に加算ということで、老人、障害者、あるいは母子世帯等についての加算がなされるということです。
 更に、住宅扶助ということで、実際に支払っている地代、家賃が扶助されるということで、1級地、2級地が1万3,000円、3級地が8,000円以内となっています。ただし、地域によって、この額以上の特別基準額というものがありまして、例えば東京都ですと、最高53,700円まで出るという形になっています。
 6頁は、生活保護の水準についての問題ですが、生活保護で保障すべき最低生活の水準というのが一般国民の生活水準との関連での相対的なものだということで、具体的には年間収入階級の第1〜10分位の世帯の消費レベルに着目するというふうに考えられています。ここでは生活保護基準の生活扶助金額という、右の表の上から3つ目ですが、それが14万3,400円、これは勤労者3人世帯における消費実態との比較ですので、3人世帯を前提にしています。それと第1〜10分位の収入階級における消費水準ということで、これは家計調査の特別集計でみた場合ですが、左から4つ目の第3〜5/50分位平均というところの生活扶助相当支出額というものが14万3,807円となっています。この水準と生活扶助保護の基準がほぼ均衡しているということで、こういうことを踏まえて生活保護のレベルについては、現状において、基本的に妥当であるという評価がされているということです。
 7頁は、生活扶助基準の改定の考え方ですが、現在の考え方が水準均衡方式ということで、政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びを基礎として決定するということです。具体的にはその民間最終消費支出の伸びを基礎として、生活扶助以外の扶助の対象であります家賃などを除くとか、人口増減の影響を調整して改定率を設定しているということです。改定の状況をみますと、平成15年、平成16年が若干マイナスになりまして、平成17年は0.0ということです。
 8頁で、生活保護制度の在り方に関する専門委員会の報告が昨年12月に出されています。(1)の評価・検証ですが、先ほど申し上げたように勤労3人世帯の生活扶助基準について、その低所得世帯(第1〜10分位の世帯)の消費支出額との比較において、検証・評価した結果、その水準は基本的に妥当ということです。ただし、今後定期的な検証ということで、全国消費実態調査等を基に5年に一度の頻度で検証を行う必要があると言われています。
 生活扶助基準の設定の中で、多人数世帯について第2類費の構成割合、あるいは多人数世帯の換算率についての見直しを行うとか、世帯規模の経済性を高めるような設定について検討する必要があるという指摘がありました。
 9頁は、更に単身世帯については一般低所得世帯との均衡を踏まえて、別途の生活扶助基準を設定することを検討する必要があるという指摘もされています。
 10頁は、諸外国の最低賃金制度の動向についてです。まずイギリスについて今年の10月から22歳以上については5.05ポンドに引き上げるということが決まっています。18歳から21歳についても4.25ポンドに引き上げるということです。過去の推移は、この11頁にありますように、大体毎年引上げが行われてきている状況です。
 12頁、アメリカの最低賃金です。1997年から、5.15ドル/時間ということになっています。アメリカでは最低賃金引上げ法案が今年に入ってからも出されているということですが、i)民主党議員案がケネディ議員による提案で、70セントずつ3回引き上げて、7.25ドルにするという案です。ii)共和党議員案は55セントずつ2回引げて6.25ドルとする。ただし、この中では公正労働基準法で割増賃金を週40時間超から2週間80時間超にするとか、そもそも適用範囲を売上高50万ドルから、100万ドルに引き上げるというような中身も含まれていたということです。この両方の案は、いずれも否決されたということです。13頁で更に、5月にケネディ上院議員は再度引上げ法案を提出したということですが、それについてはまだ提示されたという状況です。

○今野委員長
 資料についてご説明いただきましたので、ご意見なりご質問をお願いたします。

○加藤委員
 ただ今のご説明の中で、コメントがされたのかもわかりませんけれども、確認の意味で2点ほど質問をさせていただきたいと思います。1つは、各ランク別に示しているものがございます。各都道府県別のデータではなくて、主要統計資料の中での全国統計資料編に関連するものでありますが、そこで、使われている各ランクについては、各年度における適用ランクであるというコメントが付いています。今年に入ってからの1月〜4月までのデータが載っているものは、いわゆる昨年の目安制度の見直しで確認をした新ランクを使っているのか、まだ最低賃金改定前なので旧ランクなのかということが1点です。見方としては、その年々の適用ランクを使っているということは、時系列を比較するときには若干留意が必要なのかというふうに思うのですが、そういう解釈でいいかどうか、それが第1点です。
 もう1点は、今年は毎勤についてのパートタイム労働者比率の推移についての表も詳しく記載をされております。大変ありがとうございます。6頁ですが、これはこの比率について、各年平均については対前年比ということだろうと思うのですが、平成17年の1〜4月も対前月比ではなくて、対前年同月比という理解でよろしいのかどうかということです。もし、対前年同月比ということであれば、参考までにで結構なのですが、平成16年の1〜4月がどういう傾向であったのかも教えていただければありがたいと思います。以上2点です。

○今野委員長
 今2点目におっしゃられたのは6頁ですね。それでは2点ご質問がございましたのでお願いします。

○前田賃金時間課長
 まず1点目のランク別で集計したものについて、各年における適用ランクということで、平成17年につきましては、昨年の目安全協で、ランクの入替えを決めたということで、そこで決めた新しい都道府県のランクでやっておりますので、Aランクであれば、愛知と千葉が入っているということです。例えば3頁の求人倍率でいくとAランクの所は5つの都府県ということになります。ですので16年からの時系列の比較でいくと、16年はBランクが一番高くなっているということで、単純に時系列で比較できないということは、加藤委員のご指摘のとおりでございます。
 2点目のパートタイム労働者比率の関係で、6頁の30人以上の所について申し上げますと、昨年の1月が21.20%、2月が21.30%、3月が21.23%、4月が21.13%ということでした。一方、5〜29人について申し上げますと、昨年の1月が30.57%、2月が30.42%、3月が30.55%、4月が30.75%ということです。3月まではいずれも昨年に比べて対前年比でパート比率は上がっているということであろうと思います。4月についてはいずれの規模もパート比率は下がったということです。0.2ポイントぐらいです。

○今野委員長
 よろしいですか。先ほど加藤さんがこの数字は対前年比とおっしゃいましたか。

○加藤委員
 対前年比です。

○今野委員長
 これは絶対比率ですよね。

○前田賃金時間課長
 パートタイム労働者比率ですので、この全労働者の中でのパートタイム労働者の比率です。

○今野委員長
 ほかにありますか。

○中野委員
 お忙しい中、丁寧な資料を作っていただきましてありがたいと思っております。最低賃金の目安審議に当たって決定3要素についての法的な解釈については、十分理解をしたつもりでございます。ただ、ここの事案について、実情に即した具体的な方法を考えるということですが、この仕事はおそらくこの審議会なり目安小委員会の仕事になるのではないかというふうに思っておりまして、そういう意味からいいますと、去年の目安の全協報告と同じように、各資料を総合的に勘案して、審議するという立場をよろしくお願いしたいと思います。もう1つは、諸外国のところでアメリカとイギリスだけご紹介をいただいておりますが、私も少し調べて参りましたら結構高い所もございまして、例えばフランスですと、日本円にすると1,016円程度ということになるようですし、オランダなどでも1,035円という数字がございますので、そういう所があるということも併せてご報告を申し上げておきたいと思います。更にアメリカでは州の最低賃金が今年になって上がっておりまして、10以上の州でおそらく州の最低賃金が既に上がることが決まっているというふうに認識をしております。したがいまして、アメリカやイギリスなど、いわゆる自由主義経済といいますか、それが強まったところで格差が拡大したという認識が強まった国においては、かなり最低賃金が引き上げられているという傾向が強まっています。日本の中でも特に若年層を中心に格差が拡大しているという調査研究なども出ている昨今でございますので、その辺りも十分勘案の上、今年ご審議をしていただければというふうに思います。資料の中で春の交渉の資料がございますけれども、今年の春の交渉の特徴は一時金が非常に上がったというのが特徴でございます。一時金が上がったけれど賃金が上がっていないという特徴でございますので、その辺りのことも審議の中で十分ご審議いただくようにお願いをしたいと思います。以上でございます。

○今野委員長
 ご意見ということでよろしいですか。

○中野委員
 結構です。

○今野委員長
 イギリスの最低賃金が時給1,000円ぐらいですよね。これは全国一律ですよね。例えばスコットランドの田舎とか、ウエールズの田舎も1,000円。

○前田賃金時間課長
 そうです。

○今野委員長
 ほかにご意見ご質問はございますでしょうか。経営側の委員の方で何かございますか。

○中窪委員
 27頁の各都道府県の資料の中で、標準生計費というのが大阪が43位というのがものすごく低いような気がするんですけれども、消費者物価では割に高いのに、こんなに違うというのはどういう要因なのでしょうか。

○前田賃金時間課長
 標準生計費を出すときに家計調査などでやりますと、非常にサンプルが限られておりまして、その調査に当たった所が、ある年に非常に高価な物を買ったりすると非常にぶれるんですね。標準生計費というのは、特に都道府県別のものがなかなか安定しないというのが統計的な問題としてあって、そういう要素も1つはあるのかなというふうに思っております。

○今野委員長
 ほかにございますか。

○樋口委員
 規模別にみているデータのときに、特に従業員の階層別、人数階層別でやるわけですが、常用雇用の人数でやっているんですか。正社員でやっているのか。多分、先ほどのパート比率が規模によってだいぶ上がったり下がったりしているものがありますけれども、もともと正社員の数でやるとすれば、分子というかコントロールするべきもので片方で基準を作ってしまっているということになるわけですね。それはまずいんじゃないかと申し上げたいところなのですが。例えば500人以上とか、100〜499人というふうになっていますね。特に100〜499人というのがパート比率が下がっている。3月から4月にかけて下がっているようにみえるわけです。これは、もともと100〜499人のところではなくて、本来90人とか95人だったところが人数を増やしたわけですよ、正社員を。それでランクが実は30〜99人というのが100〜499人に上がってしまって、それでもともとパート比率が高かったから、規模が小さいほどパート比率が高いので、ここが上がっているようにみえるだけであって、本当に上がっているのという問題が出てくると思うのです。それは、毎勤は前からいろいろ問題を提起されているところで、今回もそれに基づいた区分なんですか。人数区分。

○前田賃金時間課長
 人数区分はいずれにしても両方入ってきますので、そうなります。

○樋口委員
 30人以上というのは、正社員30人以上ですか。常用、パートも入っている30人なのですか。

○前田賃金時間課長
 両方入ってです。

○樋口委員
 パートも入れた人数なんですか。

○前田賃金時間課長
 はい。

○樋口委員
 ああそうですか。するとそういうことは起こって来ますよね。人数区分でやるときに、いろいろなところで指摘されているところですけれども、例えば人数を昨年に比べて増やすと、本当は実態は同じ企業であっても、ランクが上にいくことがあるわけですね。去年までは例えば90人雇っていた。今年15人増やしたので105人になりましたと。区分は本来だと30〜99人で昨年はとらえていたのが、今年から100人のほうにランクが上げられるというようなことが起こってきますよね。そうなってくると同じ企業で、正社員の数が増えたのかどうかというのはわからないんですよね、規模別にみていくと。全体でみる分には構わないんですが。

○前田賃金時間課長
 そういう意味で、規模別に区切ったところで増減をみると確かに限界があるんですが、30人以上でも5人以上でもパート比率が下がっているので、全体としてみれば正社員が増えたということではあると思います。

○樋口委員
 正社員の比率が上がったというわけですね。

○前田賃金時間課長
 絶対数も増えてますし、比率も上がったと。4月については。

○樋口委員
 そうですか。

○今野委員長
 こういう区分をすると必ず起こる問題ですよね。

○樋口委員
 必ず起こるんです。このようにやると。

○今野委員長
 1社ずつトレースしていけば別だけど。

○松井審議官
 精密にやるとそういう話ですけれども、問題は移行する企業群の確率というか、頻度ですよね。それが母数に及ぼす影響ですけれども、境界線で、毎年しょっちゅう1割以上が行き来するということであればどうかということが、1つの問題提起ですね。だけど、今回の結果は全体を通じて正社員が4月期に少し増えて、パート部分が減ったという傾向値でみる分には差し支えないと思うんですよ。厳密に、どれぐらい上がったかどうかをランクごとに分析するということの正確さに欠ける部分は確かにおっしゃるとおりあると思います。

○樋口委員
 ただ、例えば今までですと、5〜29人で5人以下は取っていないわけですよね。そうするといままで4人だったからサンプルに上がってこなかったところが多くて、そういうところはパート比率が高いんですよ。もともとね。今度、1人増やしたためにデータ、サンプルとして上がってくるわけです。

○松井審議官
 その母数が100の中に1つ入ってきたときの影響度と、100の中に200入ったときと全然違いますから、それに及ぼすほど、景気が拡大という局面ではないと思います。

○樋口委員
 その片方で分析はかなりなされていて、賃金とか人数についても区分の違いというのが大きく反映するらしいということなんです。

○松井審議官
 おっしゃるとおりです。当該該当する社についても処遇の引上げなのか、単に相対的に上がったようにみえるだけなのかとか、逆のコースかというのがあります。ここでやるのは個々の比較ももちろん重要ですけれども、トータルの傾向値ぐらいしかいままでもみていないわけでして。

○樋口委員
 そうですか。

○松井審議官
 過去のやり方はそうですよね。今回初めてではなくて、ずっと比較していますね。

○樋口委員
 毎勤なんていうのは同じ企業でずっとやっていますから。トレースしているのについては。区分の仕方さえ替えてくれれば同じ企業で全部できるんです。同じ企業で上がったのかどうかというのは。

○松井審議官
 正確にトレース調査した経年的なものでもう少しみるというほうが正確ではないかというご指摘ですか。

○樋口委員
 例えば最賃の引上げというと、同じ企業の中での最賃の引上げでしょうから、そういう方が本当は正確にみられるだろうと。平均値が上がったか、下がったかというだけになっているのです。

○松井審議官
 おっしゃるとおりです、傾向値ですよね。我々がみますのは、今回の事態は4月期は新規の大量学卒者を雇うという時期があって、常用が増えた可能性、傾向値があるのではないかと。それからもう一つは2007年問題をにらんで、これから2、3年のうちに特に大企業を中心に定年退職者等が出るのが見込まれるから、この期に新規学卒者を少し増やそうという傾向があったと。そうすると、今のパートの雇いの圧力が減るということで、常用が増えパートが減ったというのが4月期に出たというふうに、傾向として読めるんではないかと思ったわけです。

○樋口委員
 その指摘と、もう一つあるのは、60歳の人が辞めていって、若い人が入ってきた。給与水準が全然違うわけです。3倍ぐらい違っているわけです。若い人が入ってくれば、それで比率が高まると平均賃金が下がるんですよ。多分、そういったものを比較しているのです。

○松井審議官
 そのときに退職者がどっと出てきて入替えが起こったときには、相当ギャップが出てきて企業に資金力が出てくるはずですから、それを雇用の拡大でやるか、そのまま合理化してほかに設備投資するかということが起こるんですけれども、まだ2007年より少し前ですから、今言われたような厳密な資料はこれからやっていく目安のときにはより重要になるだろうということはわかるんです。今回これで傾向値ということをとりあえず押さえていただきたいということであります。

○今野委員長
 こういった区分をずっとみていて、我々がそうだよなと思っていることは出入りの比率が一緒だと考えているということですよね。

○樋口委員
 今まではね。

○今野委員長
 今はどちらかというと入る比率もある。出る比率もあるわけですね。

○松井審議官
 それが打ち消して大体。

○今野委員長
 同じだろうと。

○松井審議官
 それはかなりアバウトだというご指摘だと思うので、もう少し精密にはおっしゃるとおりですね、出入りを入れて。それから言われたように2007年になると、大量に高い所得者が出ていったあとの企業の負担を考えるとすれば相当構成比が違いますから、負荷が違ってくるはずで、定常的に入って出ていくのとはモデルは違うというのがここでも起こるわけですね。だから、企業分の規模の入替えと負荷がかかる賃金層の入替えが起こるので、もう少し丁寧にした方がいいとおっしゃるわけですね。

○今野委員長
 そこまで厳密にいうと、今の話は大企業の話ですよね。中小企業はあまり影響はないということもあって。

○松井審議官
 そうするとまた企業区分を分けてですね。こういう資料の作り方をもう少し精緻にして。

○樋口委員
 僕は初めて参加させていただいているのでわからないんですが、昨年の議論でパートの構成比が上がった下がったというのがこれまでの賃上げに大分影響しているということで、別個に指数を使いますということになったという議論を聞いたんですけれども、全く同じことが年齢階層とかということであるわけです。そのために賃金構造基本統計調査はそういったものを調整した賃金指数というものを作っているわけです。あれは年に1回しか出ないから、毎勤だって同じようなことをやっているんだろうというふうに思うのですが、年齢構成だとかというのは。そうでないと、人数を増やすときには、若い人が入ってくる。したがって、平均賃金は低く出てくる。でも逆に人を採らないと若い人が入ってきませんから、定昇のところだけでみんな上がってくるという形になっている。指数で本来みないといけない。ウエートをコントロールした上で。

○松井審議官
 今までのモデルが定常的に例えば10人入ったら10人出る。10人入ったときは、出る方の7割掛けで、もし定常モデルであると捉えて傾向だけと。それぐらいのモデルだったというふうに思うしかないんですね。委員が言われたのは入る人数と、ロットが違ってきたしウエートが違うということで、これからのいわゆる少子化の中で、定年退職で団塊の世代がぐっと抜けるという社会事象の中で、いままでのモデルだけでみるのはどうかというご指摘と受け止めているんですけれども。

○今野委員長
 前回の合意はこういうことだったと思うのです。いまおっしゃられたように年齢の影響がすごくあるかもしれない。性別の影響もあるかもしれない。パートの比率の影響もあるかもしれない。そのとき、どうみても認識としてこれは大きいということが起きたらば、それは考慮しようと。今回、大きいと思ったのはパートだったということで、そういう合意だったと思うのです。ですから今後もし年齢別にものすごく効いてきたら、それはそのときどうするかということは考えましょうと。

○松井審議官
 今後の課題じゃないでしょうか。検討いたします。

○今野委員長
 ほかにございますか。

○池田委員
 外国の最賃の額ですけれども、アメリカは97年から変わっていないんですね、実際的には。州は変わっているのですけれども。97年から5.15ドルというのは一切変わらなかつた。州は変わっているんですね。

○松井審議官
 合衆国レベルで。

○池田委員
 他の国との比較も、例えばドイツなんていうのは消費税が40パーセントぐらい取られるんですよね。どれだけ社会保障があるかによって全然貧しさの違いが違ってくるだろうから、一概にアメリカの州なんかもほとんど例外のように思うものに入っていて、組合費も取られるだろうし。だから単に収入だけではなくて、どういう費用がかかっているんだという観点からみないと、実質的に収入が100なのか80なのか、実質的に取られる部分が多ければ実体賃金というのは安くなるので、一つの目安だけとしてみていただかないと、こっちが高いからという比較だけではならないという感じがします。

○松井審議官
 外国の話につきましては、事務的に用意させていただきました。ご意見いただけるもので合意をいただければなるべく可能な資料を出すということをやっておりますが、事務的にはあくまで日本における最賃でありますので、諸外国の制度を精密に調べるというのが本論ではないということだけご了解をいただいて、その外国の制度のエッセンスをわが制度にどういうふうにフィードバックするか、そのエッセンスを入れるか入れないかと、そんなレベルでの議論だとご了解いただければと思います。そのような前提でお願いします。

○杉山委員
 いま制度的な問題が出てきているように思うのですが、本来目安小委員会でやるべきことか。もう一つ、委員会もせっかくあることですから、諸外国と比較してどうかということは、そちらでやるべきことであって、今年、目の前のベースアップがどうで、いくら上げるかというときに、オランダがどうだ、スペインがどうだということを論議する必要があるかどうか、非常に疑問を感じるんですが。

○今野委員長
 あの、私はこう考えていまして、その制度自身を議論するようになったらやめてほしいと私はいいます。ただ、周辺にありますので、その辺の範囲内で情報を取るとか、勉強するということはあってもいいと。制度それ自身の話になったら私もやめてくれといいます。ですからその程度で私も考えておりますので。

○中野委員
 私もそういうふうに制度をここで議論するために資料をお願いしたわけではございません。ただ全体に世界的に最低賃金がかなりいろいろな動きがありますので、どこか念頭におきながら目安というのは考えないといけないのではないかと。そういう意味でお願いをしたわけです。もう1つ、パートの比率の問題なんですけれども、確かに主要統計資料の2頁のところをみますと、パートタイム労働者比率が4月は下がっているのですが、これでトレンドが変わったというふうに捉えられるのでしょうか。たしかに1月と2月についても若干下がっています。2月、3月は逆にパート比率は上がっているという感じです。4月というのは先ほどおっしゃいましたように、正規社員が大量に採用されるというような特異性がありますので、これでトレンドが変わったというふうに認識をしていいものかどうか。たしかにこの数字は大事な資料なんですけれども、その辺りはトレンドが変わったというようにお考えなんでしょうか、事務局は。

○松井審議官
 事務局はよくわからないんです。それは皆さんの評価でこれから議論していただきたい。実績を示した中でどう評価するかはまさに労使の評価の問題だと思います。

○中野委員
 わかりました。

○今野委員長
 これだけでトレンドを判断するのは無理ですよ。4月1カ月だけで判断するのは。

○中野委員
 おそらく賃金改定状況調査が出てくると思いますから、そのときは先ほど樋口先生がおっしゃったようなことも含めて、かなり精緻なものが出てくるというふうに理解をしておりますので、そこでの判断をせざるを得ないというように思っています。

○今野委員長
 あの調査はトレースですからね。

○中野委員
 そうですね。企業も人も一緒だということで考えるわけですから。

○今野委員長
 ほかにございますでしょうか。それではこの辺で終わりにさせていたただいて、今後の審議の進め方について、いくつかお願いをしたいと思います。次回の第2回目安小委員会は7月14日に予定されております。この小委員会で審議を円滑に進めるため、例年そうなんですが、その場において本年度の目安について労使双方の基本的な考え方を表明していただきたいと思います。そのためにも第2回目安小委員会で提出予定の賃金改定状況調査につきましては、次回の会議の前に事務局より労使各側に対して説明をさせていただきたいと思います。そういう進め方でいきたいと思いますがよろしいでしょうか。

(了承)

○今野委員長
 今日予定されていた議題はここまでです。ほかに何かございますか。

○前田賃金時間課長
 全国労働組合総連合から小委員会の委員宛に要望書が出ておりますので配付させていただいております。併せてDVDも配付させていただいております。

○今野委員長
 ほかに何かございますでしょうか。それでは本日は終了したいと思います。本日の議事録の署名委員ですけれども、久保委員、川本委員にお願いいたします。よろしくお願いします。先ほど言いましたように次回の小委員会は7月14日木曜日の午前10時から、ここで開催をしたいと思います。それでは終わります。ありがとうございました。


(照会先)
 労働基準局勤労者生活部勤労者生活課最低賃金係(内線5532)



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