老人保健事業について
○ |
制度概要
老人保健法に基づく保健事業には
1) |
健康手帳の交付 |
2) |
健康教育 |
3) |
健康相談 |
4) |
健康診査 |
5) |
医療等 |
6) |
機能訓練 |
7) |
訪問指導 |
がある。事業内容の概要は別紙1を参照。
|
○ |
実施主体:市町村
|
○ |
対象者
「医療」 |
については75歳以上の者および65歳以上75歳未満の寝たきり老人等で、約1000万人 |
「その他 |
の保健事業」については40歳以上の者(職域等においてこれらの事業に相当する事業の対象となる場合を除く)で、約1800万人 |
|
○ |
費用負担
「医療」 |
については国20%、都道府県5%、市町村5%、各制度の保険者70%。
患者一部負担金は1割、診療所によっては定額800円(月4回まで) |
「その他 |
の保健事業」については国、都道府県、市町村で1/3ずつ。
ただし、健康診査(基本健康診査、歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウィルス検診)については、費用の一部を対象者から徴収することができる。 |
|
別紙1
保健事業の概要
種類 |
対象者 |
15年度実施状況※ |
健康手帳の交付 |
・ |
老人保健法の医療の受給資格がある者 |
・ |
健康診査の受診者、要介護者等で希望する者 |
|
医療受給者証の交付数1512万件 |
健康教育 |
・ |
個別健康教育 |
・ |
集団健康教育 |
・ |
介護家族健康教育 |
|
・ |
基本健康診査の結果「要指導」の者等 |
・ |
40歳以上の者、必要に応じその家族等 |
・ |
40歳以上の者のうち、家族の介護を担う者等 |
|
・ |
指導開始人数2.9万人 |
・ |
開催回数32万回、参加人数880万人 |
|
健康相談 |
・ |
重点健康相談 |
・ |
総合健康相談 |
・ |
介護家族健康相談 |
|
|
開催回数53万回、参加人数703万人 |
健康診査 |
基本健康診査 |
・ |
基本健康診査 |
・ |
訪問基本健康診査 |
・ |
介護家族訪問健康診査 |
|
・ |
40歳以上の者 |
・ |
40歳以上の寝たきり者等 |
・ |
40歳以上で家族等の介護を担う者 |
|
受診者数1294万人(受診率44.8%) |
歯周疾患検診 |
40,50,60,70歳の者 |
8.3万人 |
骨粗鬆症検診 |
40-70歳の5歳刻みの女性 |
9.1万人 |
健康度評価 |
40歳以上の者 |
|
受診指導 |
基本健康診査の結果「要医療」等と判定された者 |
|
肝炎ウィルス検診 |
・ |
節目検診:40-70歳の5歳刻みで老人健康法に基づく基本健康診査の受診者 |
・ |
節目外検診:肝機能異常、広範な外科的処置を受けた人などハイリスク者 |
|
|
機能訓練 |
A型(基本型) |
40歳以上の者で、疾病・外傷その他の原因による身体または精神機能の障害または低下に対する訓練を行う必要がある者 |
実施施設数2639カ所、被指導人数93.7万人 |
B型(地域参加型) |
虚弱老人 |
実施施設数6740カ所、被指導人数139万人 |
訪問指導 |
40歳以上の者であって、その心身の状況、そのおかれている環境等に照らして療養上の保健指導が必要であると認められる者 |
94万人 |
※地域保健・老人保健事業報告より |
がん検診について
がん検診は平成9年までは老人保健法に基づき老人保健事業として実施されていた(国、都道府県、市町村が1/3ずつ費用を負担)が、平成10年からは財源が地方交付税となり、同時に「市町村事業」となり「老人保健事業」から外れた。
しかし、国はがん検診実施のための「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を示して、その実施基準を示した。
指針で示しているがん検診
検診 |
検診項目 |
対象者 |
H15年度実施状況※ |
受診者数
(万人) |
受診率
(%) |
肺がん |
問診
胸部X線検査
喀痰細胞診(必要な場合) |
40歳以上 |
784 |
23.7 |
子宮がん |
問診、視診
子宮頸部の細胞診
内診
必要に応じてコルポスコープ検査 |
20歳以上の女性 |
409 |
15.3 |
乳がん |
問診、視診、触診
マンモグラフィー |
40歳以上の女性 |
349 |
12.9 |
胃がん |
問診
胃部エックス線検査 |
40歳以上の者 |
451 |
13.3 |
大腸がん |
問診
便潜血反応検査(2日法) |
40歳以上 |
640 |
18.1 |
総合がん検診 |
がん検診のすべて+直腸検査 |
40歳、50歳の者 |
|
|
※地域保健・老人保健事業報告より |
|
その他、自治体によっては、前立腺がん等を加えているところがある。
個人負担額は市町村ごとに定めていて、例えば、胃がん検診では無料〜2500円となっている。 |
労働安全衛生法と老人保健法の健康診断項目の比較
|
労働安全衛生法 |
老人保健法 |
対象 |
全労働者 |
40歳以上の者 |
診察等 |
問診 |
○ |
○ |
身体計測(身長体重等) |
●1 |
○ |
視力 |
○ |
|
聴力 |
○ |
|
他覚症状の有無の検査 |
○ |
○ |
血圧 |
○ |
○ |
胸部エックス線検査 |
○ |
|
喀痰検査 |
□ |
|
貧血検査 |
ヘマトクリット |
●2 |
□ |
血色素量 |
●2 |
□ |
赤血球数 |
●2 |
□ |
肝機能検査 |
GOT |
●2 |
○ |
GPT |
●2 |
○ |
γ−GTP |
●2 |
○ |
血中脂質検査 |
血清総コレステロール |
●2 |
○ |
血清トリグリセライド |
●2 |
○ |
HDLコレステロール |
●2 |
○ |
血糖検査 |
空腹時血糖 |
■ |
○ |
ヘモグロビンA1c |
■ |
□ |
尿検査 |
蛋白 |
○ |
○ |
糖 |
●3 |
○ |
潜血 |
|
○ |
心電図検査 |
●2 |
□ |
クレアチニン |
|
○ |
眼底検査 |
|
□ |
歯周疾患検査 |
|
40,50,60,70歳の者 |
骨粗鬆検診 |
|
40-70歳の5歳刻みの女性 |
○ |
: |
必須項目 |
□ |
: |
医師の判断に基づき実施する項目 |
●1 |
: |
20歳以上の者の者については、医師の判断に基づき実施する項目 |
●2 |
: |
35歳及び40歳以上の者については必須項目(それ以外の者については、医師の判断に基づき実施) |
●3 |
: |
血糖検査を受けた者については、医師の判断に基づき実施する項目 |
■ |
: |
35歳及び40歳以上の者については必須項目(それ以外の者については、医師の判断に基づき実施)、いずれかの項目の実施で可 |