労働契約の成立に関する実態について(追加)


○ 採用内定
 ・ 採用内定時の労働条件明示について

○ 試用期間
 ・ 6か月を超える試用期間を設けている理由等



採用内定時の労働条件明示について


 労働政策研究・研修機構の「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査」(2005年5月)において、新規学卒者の採用内定時に労働条件を知らせる方法として「労働条件を書いた説明書の配布」と回答した企業等に対して、電話による聞き取り調査を行ったところ、次のような事例があった。

 新規学卒者について
 入社当初3ヶ月は本社研修であり、この旨は採用決定前の会社説明会において、口頭で説明している。また、4月採用の場合2月ごろにも改めて文書でも通知する。
 なお、本社研修後、全国の営業所に配属されることがありうることは、採用決定前の会社説明会において、全営業所及びその所在地が列挙された会社概要を配付した上で、口頭で説明している。研修後の配属先が本人に書面で通知されるのは、本社研修中となる。(建設業 A社)
 入社当初は全員が本社兼第一工場に配属される。採用選考過程において全員に工場見学会への参加を求めており、見学会の際にその旨を口頭で説明しているし、そもそも本社所在地は会社案内をはじめ様々な書類に記載されている。(製造業 B社)
 入社当初2ヶ月は大規模店舗での研修であり、その後正式配属先が決定する。研修先・正式配属先ともに関西地区の店舗であり、募集要項において就業の場所が同地区の店舗である旨を明示している。店舗一覧は示していない。
 具体的な入社当初の就業の場所(研修先)は、4月採用の場合2月ごろに文書で通知する。正式配属先が本人に書面で通知されるのは、研修終了時である。(サービス業 C社)。
 北海道、東北、関東などブロックごとに採用を行っている。入社当初数年間はブロック内のいずれかの営業所に配属されることを、採用決定前の会社説明会及び採用内定後の懇談会において、口頭で説明している。実際に当初配属される営業所は、4月採用の場合3月ごろに文書で通知する。(建設業 D社)

 中途採用者について
 中途採用の契約社員(有期契約労働者)について、就労開始を予定する1か月程度前に会社説明会兼面接を実施し、採用する者については、その場で労働条件について説明の上、雇用契約書を交わしている。その際、雇用契約書の写しは本人に交付する。
 雇用契約書には職務内容、賃金、労働時間、残業に関する規定等を記載しているが、就業場所は既に募集の段階で明示している(その店舗で勤務できる者を募集する)ので、特に記載・説明していない。(サービス業 E社)



6か月を超える試用期間を設けている理由等


 労働政策研究・研修機構の「従業員関係の枠組みと採用・退職に関する実態調査」(2005年5月)において、6か月を超える試用期間を定めていると回答した企業に同機構が電話による聞き取り調査を行ったところ、以下のような結果であった。

 本件追加調査時に6か月を超える試用期間を定めていることの確認がとれた企業は、新規学卒者について22社、中途採用者について24社であり、具体的な試用期間の長さは以下のとおりであった。

  新規学卒者 中途採用者
11か月 1社 1社
1年間 ※ 21社 23社
合計 22社 24社
「最大1年間」、「1年前後」との回答を含む。

 6か月を超える試用期間を定めている理由としては、以下のようなものが挙げられた。
 以前からの慣習(サービス業A社ほか多数)
 新入社員の教育期間(建設業B社)
 山林では季節ごとに状況が違うため、夏場(又は冬場)を経験してもらう必要があり、1年間は労働者の適性を見る期間として必要である。(林業C社)
 会社の業務を行うには法令上資格が必要とされており、資格取得には採用後、学校で1年間学ぶ必要があるため。(サービス業D社)
 年間を通して仕事密度に差があり、ドライバーは1年を通じてみないと適格性を判断できないため。(運輸業E社ほか)
 中途採用者は即戦力を期待し、職種限定で採用していることから、例えば現場の施工管理で採用する場合、実際に現場を一つまかせるのが適格性を見るために有効であり、それには一定の期間が必要なため。(建設業 F社)

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