障害者自立支援法案に関する国会での主な議論の状況について
(要約)
詳細は国会議事録をご覧下さい。

1. 改正の趣旨関係

 支援費制度を今回新たな自立支援制度に変更するその必要性如何。(5/11衆・厚労委 古屋範子議員)
   支援費制度については、障害福祉サービスを実施する市町村が増え、それまでサービスを利用できなかった知的障害者や障害児を中心に多くの方が新たにサービスを利用できるようになったことなど、障害者の地域生活を進める上で重要な役割を果たしているものと評価をしている。
 しかしながら、同時に、利用者が急増する中で、制度を維持することが難しくなっており、サービス提供の水準について地域における格差が大きい、精神障害者が対象になっていないことなどの課題がある。
 このため、支援費制度の自己決定、自己選択、利用者本位といった基本理念を継承しながら、障害者の皆さんの自立した地域生活の支援を一層推進して、安定した基盤作りを確保していくため、障害者自立支援法案を提案しているところである。(大臣)

2. 利用者負担関係

 利用者負担は本人の所得に着目すべきで、親、兄弟に負担を求めるべきではないのではないか。(5/18 衆・厚労委 五島正規議員他)
   介護保険制度などと同様に生計を一にする世帯全体の負担能力を判定するという提案をしているが、障害者の自立という観点から本人の所得のみをみるべきという強い要望があることは承知しており、このことは十分踏まえていきたい。一方で、民法上の生活保持義務が課されている配偶者について親、兄弟と同一に取り扱うのがよいか、税制面で扶養控除を受けている場合や健康保険制度の被扶養者になっている場合とどう整合させるかといったいろいろなご意見があり、これからご意見を伺いながら、結論を出していきたい。(部長)

 定率負担、応益負担をやめるべきではないか。(5/11 衆・厚労委 山口富男君他)
   支援費制度が施行されてから新たなサービス利用者が増えてきたが、制度を持続可能なものとするため、私どももすべての努力を尽くしますが、障害者の皆さんにも助け合い、支え合いをお願いしたい。ただ、そうした中で過重な負担とならないようきめ細やかに対応させていただきたい。(大臣)

 福祉工場など働く場で負担を求めるべきではないのではないか。(5/11衆・厚労委 石崎岳議員他)
   他の障害福祉サービスと同様に原則として1割の負担を求めることとしているが、就労継続支援のうち、雇用関係が結ばれているものについては、事業者の判断で事業者の負担により利用料を減免することができる仕組みを導入したいと考えている。(大臣)

3. 新支給決定手続き関係

 審査会に障害当事者を入れるべきではないか。(5/13衆・厚労委 中根康浩議員他)
   審査会は公平、客観的に専門家の方に審査していただく場なので、障害を持っていて専門性のある方がいれば私はぜひ入っていただきたいと考えており、最終的には市町村長が常識的に沿った賢明な判断を必ずされると考えている。(部長)

 審査に当たって、当事者からの申し出があれば意見を聴くべきではないか。(5/11衆・厚労委 園田康博他)
   障害者個人のいろいろな個別の事情などは、市町村やアセスメントの相談員が聞いてそのデータを審査会にかけ、審査会は必要があれば意見を聴取するものであると考えており、ご本人が意見を言うことをできるという制度を設ける必要はないと考えている。(部長)

4. 新事業体系関係

 移動支援は、個別給付とすべきではないか。(5/13衆・厚労委 中根康浩議員)
   重度の方などについては個別給付と整理し、その他の方については地域生活支援事業ということで、自治体でニーズに応じて弾力的にできるようという観点で整理している。(部長)

 小規模作業所の新事業体系への移行を支援するととともに、現行の補助金を維持すべきではないか。(5/13衆・厚労委 馬淵澄夫議員他)
   小規模作業所についても、自立支援法に規定する事業を選択することにより、ご活躍いただけるものと期待しており、17年度予算案においては小規模作業所の移行のためのモデル事業の予算を盛り込んだところである。移行しない小規模作業所への運営費の補助については、新体系への移行状況を踏まえて対応してまいりたい。(大臣)

 重度の人と軽度の人が共に暮らせるグループホームを認めるべきではないか。(5/13衆・厚労委 馬淵澄夫議員他)
   現に様々な障害の程度の方々が同居しておられる実態があるので、良質なサービスを提供することを前提に、グループホーム対象者とケアホーム対象者を一つのホームで支援を行うための具体的な条件について今後検討してまいりたい。(大臣)

5. 精神通院医療関係

 精神通院医療の負担が上がると受診抑制、治療の中断につながるのではないか。(5/18衆・厚労委 水島広子議員他)
   現在の仕組みは一律5%であり、大変高額になり低所得者に厳しいと言う問題があり、そうしたものを解消しながら制度を変えていきたいと考えている。まずは1割の負担をしていただくが、低所得者などの方に対して無理のない負担になるようきめ細やかに配慮し、よりよい制度としたい。(大臣)

6. その他

 雇用も含めて、所得保障について改めて取り組むべきではないか(5/18 衆・厚労委 桝屋敬吾君他)
   年金制度や各種手当制度については、現在の国の財政状況を勘案すると大きく改善することは難しい面もあるが、社会保障制度の一体的な見直しの流れも留意しながら、障害者の所得保障のあり方について十分検討していかなければならないと考えている。(大臣)

 介護保険の普遍化に向けて、早急に議論の場を設置し議論を急ぐ必要があるのではないか。(5/11衆・厚労委 園田康博議員)
   普遍化に向けた検討をちゃんとやるというのは介護保険法の附則に盛り込まれていることから、私どもも早急に取りかからなければならないと認識している。(大臣)

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