行政処分を受けた保健師助産師看護師の再教育に係わる論点


【問題意識】

 医師と同様に、行政処分を受けた保健師助産師看護師に対する再教育の仕組みを考えてはどうか。


【現状】

 業務停止処分を受けた看護師等は、業務停止期間を過ぎれば、特段の条件なく、業務に復帰することができる。

 免許取り消し処分を受けた者について、その取消しの理由となった事項に該当しなくなったとき、厚生労働大臣が医道審議会(看護倫理部会)の意見を聞いて、再び免許を与えることができる。

 安全で安心な医療の提供に対する国民の関心と期待が高まっている中、近年、行政処分の件数、とりわけ、医療事故による業務上過失致死(傷害)による処分が増加している現状がある。


【問題となりうる点】

 現行の行政処分のみで、業務復帰後、患者への安全で確実な看護技術の実施が可能なのか。また、長期業務停止による技術の低下があるのではないか。技術の適切性を確保、確認する仕組みが必要ではないか。

 現行の行政処分のみでは、業務復帰後、看護師等として適切な職業倫理に基づく業務の実施が確保できないのではないか。

 医療事故等によって行政処分を受けた者が、時間の経過のみで業務に復帰することは、国民の医療に対する信頼を回復することにならないのではないか。


【再教育制導入に対する議論】

<積極論>

○ 職業倫理上の観点から、また安全で確実な看護技術の提供を図る観点から、行政処分を受けた保健師助産師看護師に対する再教育の仕組みを導入し、行政処分を受けた者によって再開される看護業務の質を確保し、国民の信頼に応えていくことが必要である。


<慎重論>

○ 看護師等が関わる医療事故の場合、施設の安全管理体制上の不備が影響している場合等もあり、行政処分を受けた個人に対する再教育の実施が本当に有効かどうか疑問がある。



【再教育のしくみを検討する際の考慮点】
  再教育を受けるべき対象者の範囲
再教育の内容
再教育の助言指導者
再教育の修了評価基準と認定
再教育の実施主体
再教育の実施責任者 等

トップへ