第3回懇談会の議論のポイント

I. 献血時の事前説明、同意について

現行の「説明」と「同意」の在り方について再検討を行う必要があるか否か。

 <意見>
  ○ 問診時の説明はパンフレットを使用し、必ず説明したうえで、献血者が「同意」した場合に問診票(申込書)に署名することで「同意」を得たこととする(日本赤十字(案))。
  ○ 問診票(申込書)の改訂は現段階では行わない(日本赤十字(案))
  ○ 補償についての説明がない。


II. 献血者の健康被害の救済の在り方について

1. 現行体制の問題点

 <意見>
  ○ 見舞金の運用がケースバイケースであり、各センターでまちまちでになっていることから、透明性を保つためには限界がある。
  ○ 公平性、透明性を確保するためには現行体制の見直しが必要。
  ○ 現行の献血者事故見舞金の性格付けがかなり曖昧で、本当の意味でのお見舞いという側面と、損害賠償としての側面が混在している。
  ○ まず血液センターが支払って、その後医賠責という手続きで丸く収めてきたために、本来の性質が曖昧になってきている。手続きも含めて全面的に考え直す必要がある。
  ○ 保険会社が賠償という性質の金銭をスピーディーに支払っていることの裏側が、重症例や長期になった分については、保険ではなく日本赤十字社側が負担してきたというバーターがあったのではないか。
  ○ 普通の医師賠償責任とか補償の問題とは少し意味合いが違うので、献血についての特定の枠組みが必要。
  ○ 現在日本赤十字社が利用している保険は、通常の医師賠償責任保険であり、献血についての特約もないため、そこから漏れる問題もあるだろうし、補償の程度が本当に妥当なのか疑問が残る。

2. 新たな制度の在り方について

 (1)  献血者の健康被害に対する補償の原則(迅速性、公平性、透明性)

 <意見>
  ○ 現在は、採血事業者が献血者の健康被害があった場合、直接献血者の対応をしているが、これは迅速性と的確性のためにやっていることで、保険会社に連絡して保険会社からいくら支払われるかというのは後の問題。


 (2)  制度の責任主体について

 <意見:責任主体の議論の必要性について>
  ○ 国だ日赤だという一義的な割り切りではなくて、本当にどういう制度がいいのかということを法律にも照らして議論していただきたい。

 <意見:日赤の責任重視>
  ○ 迅速に救済が行われるために誰が前面に立って面倒を見るかといくことが重要であって、その後に過失・無過失、責任の所在を検討すればよいのであって、献血者の救済が先であるということであれば、少なくとも日赤が前面に出るべき。
  ○ 採血をしているのは日本赤十字社なので、日赤が一義的には責任を負うという考え方もある。
  ○ 献血者にとっては、日赤イコール国という認識。国がアシストということで全く異論はないが、主体をはっきりさせないと困る。事故にあった人は日赤が対応してくれるという意識でいる。したがって、採血事業者が責任を負うということを明確にする必要がある。
  ○ 日赤が基本的に前面に出て、補償についてきちんと責任をとれるという形をとらない限り、前に行かないと思う。
  ○ 血液法で、採血事業者は安全に献血者から献血するという条項があるので、第一義的な責任は採血事業者である日赤が負う、前面に立つ立場にある。これは法的に決まった話ではないか。
  ○ 献血者と最後まで対置しあう責任者も、財政負担をする者も日本赤十字社となるように思える。ただし、中間の組み立ては少し丁寧に論じた方がよいのではないか。

 <意見:国の責任重視>
  ○ 血液法の中で、基本的なものは国が策定してそれを実施していくということから、広くは国という考え方があるかもしれない。国がかなりの責任を負い、関与を強く持つという考え方があるかもしれない。
  ○ 安心して献血者が献血に参加できるよう、国からのメッセージが補償の問題として明示されることが大切。
  ○ 国が積極的に献血者に呼び掛けて行くという考え方の中で、国の救済制度という位置づけはできないか。
  ○ 現在被害救済は日赤の責任で行っているが、こういう制度をきちっと国の責任において作ってもらえれば、現場を預かる者としては非常にやりやすくなる。
  ○ 自分にメリットがないのにボランティアで来た人に事故が発生したということから考えれば、国の立場からすると全面的に補償するべきであり、そこに過失があった場合に国から事務的に日赤に求償して日赤の責任も明らかにすると言う考え方もある。

 <意見:責任の考え方について>
  ○ 無過失の場合の責任は二通り考えられる。
@)  「無過失であっても事業者に損害賠償責任があるという考え方(危険責任又は報償責任)」
 リスクが内在している事業を運営している場合は無過失であっても損害賠償責任があり、顕在化したリスクに対して事業者が責任をとり、また、そのリスクに対応するだけの組織的な準備も必要。
A)  「特別犠牲の考え方に立って補償という考え方」
 社会的にどういう救済を考えていくかということで、救済の在り方は様々。
  ○ 狭義の補償は「特別犠牲」という考え方によるもので、特に誰に過失がある訳でもないがある程度発生してしまう事故に対して、事故にあわない人が財政負担していく、つまり、益を受けるグループが自分のところにメリットが来るまでの間に起こった事故について責任を持つという考え方である。


 (3)  制度の具体的枠組みについて

 <意見>
  ○ 迅速に対応する機関ができれば、まずそこが対応して、医師の過失があれば後で医賠責を論じればよく、場合によっては日赤が医賠責に話を持ち込むという形であってもよいのではないか。ただし、日本赤十字社の中に一義的に事柄を的確に判断できるシステムを作れるかどうか疑問がある。
  ○ 迅速に公的に一度補償してから、その後その責任の所在、過失の有無によって医賠責を使うとか、あるいは先に払ったものについて日赤の方に求償していくような措置を考えてもよい。
  ○ 骨髄バンク団体障害保険は、過失・無過失不問となっており、健康被害に対する補償を行うものであることから、献血も同様の補償制度を講ずる必要があるのではないか。
  ○ 全てを無過失責任という観点から新たなる制度を作る必要がある。
  ○ 過失・無過失を問わない形での制度ができればと思っている。


 (4)  財政負担の在り方について

 <意見>
  ○ 医療機関側の意見として、受益者負担という考え方でいうと、患者がメリットを受け、その分は薬価として血液製剤に載せられており、それを患者が保険として払っていることを考えると、日赤が採血事業者として恩恵を受けていることになり、これを念頭に、最終的な責任者を議論するべき。


 (5)  その他

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