05/05/31 第23回社会保障審議会児童部会議事録              第23回社会保障審議会児童部会              厚生労働省雇用均等・児童家庭局 第23回社会保障審議会児童部会 議事録 日時:2005年5月31日(火) 13:30〜15:30 場所:ホテルフロラシオン青山「はごろも」 出席者:  委員   岩男部会長、阿藤部会長代理、大日向委員、小笠原委員、柏女委員、   中村委員、堀委員、前田委員、松原委員、吉田委員、渡辺委員  事務局   伍藤雇用均等・児童家庭局長、高井総務課長、山口少子化対策企画室長補佐、   北井審議官、尾崎保育課長、   山田家庭福祉課長、山本虐待防止対策室長、   安沢育成環境課長、八神企画官、大塚児童手当管理室長 議事:  1. 開会  2. 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会 第1次報告について  3. 児童相談所実情調査結果等について  4. 次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況について  5. 総合施設モデル事業の採択について  6. 当面の児童部会の進め方について(案)  7. 閉会 配布資料:  資料1-1 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会 第1次報告  資料1-2 児童虐待等要保護事例の検証に関する専門委員会 今後の進め方について  資料2-1 児童相談所実情調査結果(速報版)概要  資料2-2 児童相談所実情調査結果(速報版)  資料2-3 「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」の開催について  資料3  次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況について  資料4  総合施設モデル事業の採択について  資料5  当面の児童部会の進め方について(案) ○岩男部会長  それでは、まだ遅れてお見えになる方もございますけれども、定刻となりましたの で、ただいまから第23回社会保障審議会児童部会を開催させていただきます。  本日は大変お忙しい中をご出席いただきましてありがとうございます。  それではまず本日の出席状況について、事務局からご報告をお願いいたします。 ○高井総務課長  本日ご欠席の報告をいただいておりますのは、網野委員、遠藤委員、津崎委員、服部 委員、無藤委員、山縣委員、山崎委員が、所用によりご欠席となっております。 ○岩男部会長  それでは議事に移りたいと思います。  まず初めに、最初の議題といたしまして当部会に設置されました、「児童虐待等要保 護事例の検証に関する専門委員会」において、これまで4回にわたり児童虐待による死 亡事例の分析検討が行われてまいりました。  それを受けまして4月28日に「児童虐待による死亡事例の検証結果等について」が第1 次報告として取りまとめられました。本日はまずその内容につきまして、委員長を務め られた松原委員からご説明をお願いします。 ○松原委員  それではお手元の資料1-1に基づきまして報告をさせていただきます。既に新聞報道等 でも一定の情報をお持ちかと思います。あらかじめ事務局の方から15分程度と伺ってお りますので、内容をまとめのまとめという形で少し省略もしながら報告をしたいと思い ます。  まず、この死亡事例の検証をさせていただく中で私も含めて各委員が共通して持った 思いというのは、24件・25人という数字を、後でお話しすることになりますけれども、 どうしても数字になってしまうと、数字だけが歩き始めることになりますが、やはりそ れだけの尊い命が失われているということの思い、大切さというものを、改めて我々は 検証しながら感じ取りました。  そこで冒頭の2行目のところですけれども、子どもの死を決して無駄にすることのな い、そういう形でこの検証をし、事件の再発防止等をしていきたいと考えて、この第1 次報告をまとめさせていただきました。これも後ほど述べますが、この専門委員会は一 回限りのものではなくて、今後も継続をして続けていくことになっておりますので、そ ういう意味合いでこの思いを継続して持っていきたいと考えております。それでは2ペ ージ以降、順次ご報告をさせていただきます。  今回の24件・25人の死亡事例につきましては、平成15年7月1日から同年12月末日まで の時期の中での死亡事例ということで、検証をさせていただきました。(2)のところ から概要がずっと示されていますが、先に、7ページの総括的な課題というところをお 開けいただいて、必要があるごとに前に戻りながら説明をします。  総括的な課題・対応ということで、まず1番目、共通の要素ということで何点か挙げ させていただきました。1点目、乳幼児に対する虐待が非常に多かった。2ページ、それ から3ページ表の1、2を見ていただくとわかるのですが、亡くなった子どものすべてが 就学前児童ということでした。特に0歳児44%という結果が出ております。8ページに いきます。なぜ乳幼児が多いかということで、我々の検証の中では、8ページの2段落目 になりますが、低年齢であるがゆえの抵抗力の弱さというようなことを考えますと、こ の年齢の低さということが特に重大な結果を及ぼすことになるという認識を持つべきで ある、という結論を出しました。  2番目、親の精神疾患ということで、4事例が精神疾患で報告されています。こういう 精神疾患に援助者の注意が集まってしまって、逆に虐待の認識までには至らなかった。 それで子どもへの対応が不十分な事例もございました。  3番目、養育環境及び養育者の状況。これは戻っていただきまして、4ページのところ に表の一覧になっておりますが、表5を見ていただきます。地域からの孤立というのが 13事例、それにその一つ上の、転居して間もないというのを入れますと21事例、そうい うものが挙がっております。もちろんこれは延べ件数なのですが、考えてみますと、や はり関係機関も含めてサポートがないということが死亡事例につながっていく大きな要 因になっていると思います。そのことが9ページの(6)関係機関の援助に対する保護者の 拒否ということにもつながると考えております。  8ページの(4)子どもが泣きやまない状況ということに我々は着目しました。後に事例 等でも出てまいりますが、家庭への引き取りということを考えていく時に、どうしても 現場で親と子の良い関係のシチュエーションだけを見て判断をしてしまう。例えば、子 どもが様々な状況で泣き始めて泣きやまないという、ある種、親の思いどおりにならな い時にどのような対応を親ができるのか、そういうことをきちんと見て判断をしていか なければいけないのではないかと、感じ取りまして、(4)を挙げました。  (5)として、虐待が高まってくる危険性を示唆する兆候がいくつかございます。9ペー ジのところには具体例としていくつか挙げさせていただきました。こういったものを、 注意していく必要があると思います。  児相関係機関の対応ということでは、前回の厚生労働省の報告よりも児童相談所が関 与している事例が増えております。これは、児童相談所について、住民等への啓発運動 が浸透としたということがあるかと思います。今回の事例、表6、5ページに戻っていた だいて、関係機関と全く接点がなかったというのは3事例ですから、そのほかは児相が 関わっている、あるいは関係機関が何らかの形で関わっていたということになります。 逆に言えば、だとするとこの関係機関とのネットワークということも大きな課題になる かと思います。  そういう意味で、一つは関係機関における組織的な対応に関する問題ということを9 ページから10ページに挙げました。10ページには、市町村の虐待防止ネットワークある いは他機関との連携がうまくはかられなかった、そういう事例もあるということを指摘 しております。  2番目、援助の方針と姿勢に関する問題ということで、やはり保護者の同意を重視し 過ぎるという姿勢、保護者との摩擦を回避する対応というようなことで、基本的対応、 方針に課題があったということをこの24事例の中からは指摘することができると思いま す。やはり子どもの命を救うということで、介入的視点からの対応の重要性をきちんと 認識をしていくことが必要だろうと思います。そういうことも含めて、事例の見立てと 判断、対応方針の決定というようなことが必要かと思います。そういうことをするため に、アセスメントと援助計画の設定も非常に大切だろうと考えて、(3)のところで指摘 をしました。特に援助計画がうまくいかなかった時に、次はどうするのかということが なかなか考えられてなく、一旦たてたものがうまくいかない。そのままずるずると時が 過ぎてしまって子どもが亡くなってしまう。あるいは援助が拒否された時、次はどうす るかというようなことは、そこまで考えられていなかったということがあります。そう いう意味で、いわゆるケースマネジメント・進捗管理について、組織的な対応が不十分 だった事例も見受けられました。5番目のところで連携、特に福祉施設との連携という ことを挙げさせていただきました。施設に入ったから大丈夫だ、あるいは施設の認識と 児相の認識がずれたというようなことを指摘されております。  6番目、医療機関の認識と対応に関する問題、12ページに挙げております。医療機関 が関わった事例が多い。そういったことで、医療機関がもう少し、この虐待に関する認 識をいっそう高めるということ、それから連携を含めた対応を充実させていく必要があ ると考えております。  防止ネットワークについてはそこにいくつか課題を挙げておきました。特にこの時点 ではまだネットワークが構成をされている、設置をされている市が少なかったというこ ともございます。そのことも含めて課題を指摘しました。  こういった中で、あらかじめ様式を定めて各都道府県から事例を挙げていただきまし たが、もう一段踏み込んで我々としても検証したいということで三つの事例についてヒ アリングをしました。13ページからずっとその事例の内容について記載して、17ページ にこの3事例に共通する教訓ということで何点か挙げさせていただいております。  一つは、援助の基本的な方針や姿勢、先ほど申し上げたように、家族との関係を重視 しすぎる姿勢ということを教訓の一番目に挙げました。2番目に、これも述べましたけ れども、状況に対応した援助方針の見直しということが、なかなかできていない。3番 目にハイリスク要因がきちんと認識をされていなかった。4番目、担当者の専門性の向 上とスーパービジョン体制の強化ということで、どうしても人員あるいは専門性の向上 がないと、ここに挙げたような課題の認識をし、対応するということができないという ことで4番目の教訓を挙げました。5番目、事例の中に、どうしても施設からさまざまな 状況で引き取りということになって、その後の在宅の支援サービスかないがゆえに、状 況がまた厳しくなるということで、在宅支援サービスの重要性を挙げました。  2番目のところ、地方公共団体でもぜひ、こういう死亡事例等の検証をしていただき たいということで提言、どういった形で検証していただきたいか、そのためにはどうい う方法でやったらいいか、特に22ページに挙げましたけれども、専門家等の第三者によ る関与をして、外の目をぜひ入れていただきたいというようなことを提言しました。  「おわりに」のところ、24ページになりますが、今回、検証しておりまして一部の地 域ではその一時保護所・施設の受け入れ体制に余力がなくて、一時保護をためらってい たり、措置解除の判断に影響を与えた事例、あるいは援助にかかる機関の人事体制等が 要因でその対応が左右された事例などがあります。そういう意味で社会的養護全般の充 実強化ということが必要だと考えております。  さて、先ほど申し上げましたように、この専門委員会は報告を1回出して終わりとい うことではなく、これは第1次報告とさせていただきました。資料1-2に今後のこの専門 委員会の進め方について4点挙げました。この死亡事例の検証結果というのも、概ね年2 回のペースで報告書を公表できるように、今後とも継続して検証作業を進めていく予定 です。次回の検証は平成16年1月から同年12月までに発生した児童虐待による死亡事例 を対象としたいと思います。  3番目に関係都道府県・指定都市での調査にあたっては、前回のものよりも情報の精 度を向上させて、分析がより緻密にできるように改善をし、昨日、調査を各都道府県・ 指定都市へお願いしたところです。4番目に、その報告を受けて7月以降また専門委員会 を再開して検証作業を進めていきたいと考えております。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  松原先生はじめ委員の先生方に、まずお礼を申し上げたいと思います。また引き続き よろしくお願いいたします。  それでは、ただいまのご説明につきまして何かご質問、ご意見がございましたら、ど うぞ発言いただきたいと思います。  お手が挙がる前に私が伺いたいのですけれども、親の年齢が3ページに表の4にまとめ ておられますけれども、これは例えば、20代の場合に20代というくくりになっています けど、今後20代の前半かどうかということでもかなり違うのではないかと思いますの で、そこは分けてお示しいただけるとありがたいと思います。 ○松原委員  そうですね。  子どもについては月齢を示していますから、次回そうしたいと思います。 ○岩男部会長  医療機関との連携が出ておりまして、渡辺先生に伺うことになるのかもしれないので すが、どういう形で医療機関との連携がとれるようになるかということで、なかなか個 別にやっても効率が良くないような気がしますけれども、学会を通じてというのはいか がなんでしょうか。一つの方法として。 ○渡辺委員  どうもありがとうございます。  これはとても大事な問題点です。小児科医は特に救急医療で虐待の重いケースを多く 持っておりますが、小児科医は自分の地域の児童相談所が機能しているかいないかを、 経験的に伝達しあっています。このケースを児童相談所に連絡してしまうと児童相談所 がその権限で医者の側の話をよく聞かないで、被虐待児にとり二次トラウマになるよう なパターンで処理してしまう事例がよくあって、多く小児科の中では論議されておりま す。  そのことがあるから逆に小児科医は、その子どものより安全な対応のために、児童相 談所と良い連携ができるまで連絡しない傾向があります。それはまさに今、岩男先生が おっしゃったように、大人同士の連携の問題が子どもの救済を阻んでいることだと思い ます。その意味では、小児科学会、小児心身症学会、児童青年期精神学会では児童虐待 はメインテーマですから、そこにぜひ児童相談所と小児科医、あるいは児童精神科医が 対等な立場で連携していくことが必要だと思います。これは私も持ち帰って、ぜひ実現 したいと思います。 ○岩男部会長  いかがでございましょうか。ほかのご意見あるいはご質問。はい、どうぞ。 ○小笠原委員  私は保育所という立場でお願いしたいことがあります。児童虐待に何件か今、関わっ ているのですが、今日のこのご説明の事例の中で、関係機関ごとの接点の中で、保育所 の存在が出ていますが保育所が関わってきたこの事例は数的には多いと思っておりま す。  虐待のことを保育の現場からご報告しますと、過日、当方の保育園で、保護者が就労 していないのにもかかわらず、しかも定員に満たされているのに役所から突然、入所の 指示がありました。当方としては、非就労で入園条件を満たしていて入所して来ること が不可思議なことで、そこで入園の為の面接にて保護者から話を伺っておりますと、保 護者が突然に涙を流し、保護者本人が子ども時代に虐待を受けていたことを告白いたし ました。それがいま自分の子どもを0歳児から虐待している、という告白を聞き、当方 としては驚きました。保護者は、市役所にも同じ話を担当課にしているのですが、行政 は虐待の恐れがあるくらいの報告をすることが必要ではないでしょうか。  当方職員が、保護者の気持ちを共感してくれたからと、涙ながらに自分が虐待してい ることを話し出したのです。これがもし告白されなかったら・・・と思うと非常に不安 です。  虐待の場合は、保育所は当然、児童相談所と連携を取るのですが、児童相談所は大変 お忙しいようです。松原先生のお話のように、子どもの年齢が高くなってくると、ネグ レクト的な状況も見られます。暴力的虐待をする保護者が暴力を振るうのが少しずつ減 ってくるという現実もあります。それは保育所では、集団で子どもが生活しており、他 の保護者の視線もあるのか、虐待を防止する役割というのはかなり大きいのではないか と感じております。  お願いしたいことは、市役所でありますとか、児童相談所などの行政機関が個人の情 報を知らせるには難しい時代になっておりますが、保育所がそういう情報を貰える、貰 えないとでは全く変わってくるのではないかと思います。  行政関係者は、保育を委託するときには、こっそりとでもいいから、施設長なり、担 当者に教えていただきますとずいぶん変わってくるのではないかと思います。それから 児童相談所は大変お忙しいようで、土曜日や日曜日に虐待のことで相談したいことがあ れば、「私の携帯電話にしてください」と言って土曜日でも日曜日でも夜でも、わざわ ざ駆けつけてくださり、フォローしてくださいます。本当に寝る暇もないくらいお忙し くて、ケースを多く持っていらっしゃるようです。保育所は、ネグレクトでありますと か実際に暴力を振るう親に対して抑制させる役割は大変大きいと思っています。保育所 で保護者と話をしたり、あるいは、悪いところはきちっと「お母さん、これはだめだ」 と厳しく言ったりしますが、ほとんどの保護者が保育所を辞めないのです。  保育園を自ら去ろうとか、ここは説教をするから辞めるという人は1人もいません。 私どもはありがたいと思っており、子どもにとっての救いだと感じております。役所か ら観て虐待の疑いがある場合は、保護者の情報を入れると、保育所が保護者の先入観や 予見を与えるように感じており、偏見に似た扱いになることを恐れて、ということもあ るでしょうが。私どもはそれなりの研修を受けておりますので心配ないと思っています が、そういう事例がある時には一報入れていただくように配慮していただくと大変助か ります。 ○岩男部会長  ほかには、いかがでございましょうか。どうぞ。 ○堀委員  質問ですが、よく虐待の態様として、身体的虐待とか心理的虐待とかネグレクトとか ありますが、これはどこかに載っているのでしょうか。 ○松原委員  今回、死亡事例ということで取り扱いましたので、基本的には身体的虐待が死亡に至 っていると理解をしていいと思いますが、その間におそらく子どもへの暴言等、心理的 な虐待というのも含まれていたと理解しております。 ○堀委員  虐待の調査は、今後は死亡事例だけに限っていくということですか。 ○松原委員  この辺のところは私が落としておりました。私どもの専門委員会では死亡に至らなく ても、子どもの成長発達に重大な影響を与えたものについては、ぜひ取り上げて今後や っていきたいと考えておりますが、まだ当初スタートを切ったところですので、少し足 元を固めながら将来的な課題には、そのことも視野に含めております。 ○岩男部会長  はいどうぞ、中村委員。 ○中村委員  最近、身近に起こったことで、とてもショックを受けているのです。虐待とは違うの でしょうか、母子心中というのが最近多くて。岩手県水沢ですけれども、子どもの病気 を苦にして、とっさに子どもの首を絞めて殺し、自分も刃物で傷つけて自殺を図ったと いうケースがございました。こういう分野に関しては虐待とはまた違う取り扱いになる のでしょうか。子どもの命が失われたことに関しては同じだと思うのですが、これを何 とか発見してケアしていく、救っていくような方法はないものでしょうか。 ○松原委員  全体の理解になっているかどうか、専門委員会の中でも自信がないのですが、私個人 としてはそういう母子心中なども虐待ということで検証の対象にしていきたいと考えて おります。というのは、とっさであったものにしても、その前の子育てのところでさま ざまな課題を抱えていたり、場合によっては、子育ての経過の中でネグレクトがあった り、身体的虐待があったり、心理的虐待があったりという事例も見受けられますので、 私としてはあがってくる報告の中にそういうものが含まれてしかるべきだと考えており ます。 ○岩男部会長  はい、大日向委員。 ○大日向委員  教えて頂きたいのですが、虐待を受けている子どもの状況は、発達が遅れていたり、 外傷など外側から虐待の事実を把握しやすいと思うのですが、養育者の状況の中で、感 情が情緒不安定とかございます。一般のお母さんたちも、疲れがたまっていたり、スト レスからたたいてしまって、私は虐待じゃないかとかずいぶん悩んでいるのですが、そ うした場合とこういう死亡事例に至らしめる程に虐待をする親とを、周囲がどう見分け ることができるのか、その辺りを教えて頂けますでしょうか。 ○松原委員  非常に難しいご質問で、私どもも全事例についてすべて直接担当者の方からヒアリン グをしておりませんので、各都道府県・指定都市からあがってきた報告書を読み、3事 例をヒアリングさせていただいた印象で申しますと、一時期、非常に児童相談所等とも 関係が良くなるんです。感情的にも安定をしている。何かのきっかけで、あるいはその きっかけもわからず、非常に拒否的になる。激昂する。場合によると、通っていた保育 園を転園してしまう。そういう中で援助者側が戸惑ってしまう。関係のいい時期があっ たから、何とかその状況に戻したい、あるいはいずれそこへ戻ってくれるんじゃないか と期待して待っている間に、お子さんが亡くなってしまう。あるいは手がつかない間に お子さんが亡くなってしまう。そういう形で社会支援、関係機関等との関係の中での感 情の起伏ということは、この3事例をヒアリングさせていただいて、共通して出てきた 点かと思います。 ○岩男部会長  はい、渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  ページ4 の表5の中に当該家庭の養育背景というのがありますけれども、これはこれ で大変参考になるのですが、もう一つ国民運動として、「健やか親子21」が打ち出して いる指標の中で、産後うつ病を減らそうということがあります。産後うつ病は、周産期 から産後、そして幼児期の育児の大変さをアピールするものですけれども、疫学的な実 証研究では、日本では、産後の10人の1.35人の母親が産後うつ病になることが知られて います。しかも国際的には産後うつ病のお母さんのうつ状態にさらされた子どもは、そ れが数カ月であっても、特に男の子はその後学習障害とか、多動などいろいろな発達の 問題をひき起こすということが、乳幼児の研究では10年前ぐらいからかなりよく知られ ている。  その意味で産後うつ病をもう少し早期に市民が、国民が理解し、把握し、啓蒙・啓発 が進んできますと、ここら辺で育児不安とかいろいろ書かれているものの中にかなり産 後うつ病と言っていい、つまり、もうお母さんが動けない、育児をしたくてもできない 状況に当てはまるものが入っているのではないかと思います。そのときは赤ちゃんは、 すごく育てにくくなります。赤ちゃんはお母さんが産後うつ病ですと、特に男の子はぎ ゃんぎゃん泣くか、こんこんと寝たり、熱を出したり、吐いたりです。ですから産後う つ病と赤ちゃんの育てにくさは表裏一体であることが知られています。3歳児以前の赤 ちゃんの問題は、それが虐待であれ何であれ、赤ちゃんのぐずる育てにくさは、必ずお 母さんのアンハピネスと一致していると言われています。せっかく、「健やか親子21」 で打ち出した産後うつがありますので、産後うつがどれくらいあったかということも検 討していただきたい。  もう一つ、今申し上げた乳幼児期の特性、母子臨床の特性においては、母と乳児は一 体と見ていくわけです。その母子の関係性の障害が、小さなレベルから放っておかれて 悪循環になってマクロのレベルになったときに、目に見えた虐待、致死に至るものにな るのです。私たちはミクロのマルトリートメント、ミニのマルトリートメントが見逃さ れて、マクロのマルトリートメント、つまり虐待になり、社会的な記事になっていくと 考えています。虐待は私たちの社会システムの敗北なのだと臨床家は考えます。4死亡 例から建設的に学んでいくときに、私たちは、その虐待という言葉の使い方自体もどう なのかと吟味したいのです。  この報告書は、とてもよく作られていて、本当に感謝しますが、一方でアセスメン ト、ネグレクト、スーパービジョンと英語がいっぱい使われていますが、虐待が日本語 になっている。小児科医のスタンダードな英文のネルソンの教科書にはアビューズとい う言葉はもう使わず、アビューズではなくてマルトリートメント、つまりあやまった扱 いという語を使いましょうとある。活発な赤ちゃんには、アパートの一室に閉じ込めら れていることが間違った扱いになるから、ぎゃんぎゃん泣いて暴れる。おとなしい赤ち ゃんには、あちこち遊園地に連れて行かれることがストレスで下痢を起こしたり、いろ いろなことになって、ぎゃんぎゃん泣いたり寝付けなくなったりするのだと。  マルトリートメントで理解していかないと、虐待という言葉が二次的にだれかを悪者 にしていって、その烙印を押されたお母さんは一生かなり努力しても、自分が虐待する 親と烙印を押されたという苦しみを背負うことになる。それは個人にとって絶望的です が、お子さんや家族にとっても大変苦しいと思うのです。そういう意味では、日本的な 親心を含んだ言葉を何とか使えないか。今、現にマルトリートメントという語が一つの 流れになっているので、マルトリートメントということばも少しお使いになっていただ く、あるいは思い切って虐待の代わりにマルトリートメントにしていただければと思い ます。これは感想ですが。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  マルトリートメントの方がずっと広範な対象を扱うことができるという利点があると いうことではないかと思います。  もう一つ、私はもっと簡単なことを伺いたいのですけど、4ページの表5で、子どもの 状況のところで双子・三つ子、子どもの疾患・ 障害、発育の遅れというように分類さ れているのですけれども、素人考えでは、全部発育の遅れとなるのではないだろうかと いう気がします。例えば、三つ子のお子さんはだいたい非常に小さく生まれると思いま す。必ずしも未熟児ではなくて、月がちゃんと満ちて生まれてはいますが、やはり生ま れたときの大きさとかその他で、私はこの辺の区分がよくわからなくて。全部発育に関 して何か問題を抱えているという、はっきりとした問題があるというケースなのか。 ○松原委員  いちばん左を見ていただくとわかるのですが、重複してカウントしておりますので、 例えば多胎児であって、発育の遅れがあれば、2 個ずつカウントされていくことにはな っている。おっしゃるように、ここの分類をもう少し精査していく必要があるかと思い ますので、今後の課題とさせていただきたいと思います。6ページ・7ページを見ていた だきますと、保健医療機関とはかなり今回の事例が関わっておりますので、この辺の連 携が進んでいく中で、そういう子どもの見立てということについても改めていくべき点 があるかと考えております。 ○岩男部会長  それでは引き続きどうぞよろしくお願いいたします。特にご質問がなければ先に進ま せていただきます。  次の議題として、厚生労働省が昨年度下半期に実施いたしました、児童相談所実情調 査結果を取りまとめたものが本日資料として提出されております。また本年2月に今後 の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会が設置されておりますので、一括して事務 局からご説明をお願いいたします。 ○高井総務課長  資料の2-1、2-2、2-3でございますが、児童相談所の実情調査ということで資料の 2-1、2-2でございます。2-2が報告書ですが、大部でございますので、2-1の概要をご覧 いただければと思います。  先ほど松原委員にご報告いただきました、死亡事例検証委員会の設置、昨年9月に部 会に報告させていただきましたけれども、そのときに、この実情調査をさせていただく という報告をして進めたものでございます。2-1の、この1ページ目の3の調査手法のと ころにありますように、調査票を各都道府県指定都市に本庁の所管課・担当課用と、児 童相談所用に調査票を配布して、さらにそれを受けて、当局の職員と有識者の方で直接 訪問をして、60カ所の児童相談所を調査してきたという内容です。県の、あるいは指定 都市の所管課・担当課のものと児童相談所に聞いたものと、大きく二つに分かれており ます。2ページ目をご覧いただければと思います。ポイントをはしょって紹介しますが、 4の(1)の(1)です。教員、警察官との人事交流、活用状況、いろいろ指摘があるのでお 聞きしたところ、教員との人事交流、常勤で行っているのは60都道府県指定都市のう ち、21県・市、35%であると。警察官との人事交流はなかったのですが、非常勤職員ま たは嘱託による活用というのがいくつか図られている所があったことがわかっておりま す。  それから(3)ですが、今後の児童相談体制をどう考えているのか、本庁に聞いたとこ ろでは、そこにありますように、今後市町村合併であるとか指定都市への昇格というの が予定されているので組織再編を考えているというものとか、離島・遠隔地への支所、 分室、駐在の設置、虐待対応班の設置等を検討している自治体が多く見られたというこ とでございます。  (4)が人事異動の基本的な考え方ということで、専門性という観点からも含めて聞い ておりますけれども、異動年数としては3年異動を原則とするところが多いということ ですが、中には5年、10年という自治体もあったということです。2つ目の○にござい ますように、専門性を確保するためには、少なくとも5年から10年程度の経験が必要と の指摘も多く見受けられたという報告です。  一つ飛びまして(6)ですが、児童相談所の現状認識についてということで、よく言わ れますように、ここにあります所管課の担当課の認識としては、虐待相談件数の増加、 困難事例の増加により、業務過多、職員の負担が増加している現状認識が、圧倒的に占 めているところです。これは児童相談所の方にも見受けられます。  次の3ページですが、(8)児童相談所の独自の取り組みについてお聞きしたものです。 回答の中では職員を増員するということで、人的体制の強化をしていく、虐待対応のた めの専従組織を設けている、弁護士・医師などの専門家によるサポートシステムをつく っている、親子再統合に向けた親支援プログラム実施をしている、電話相談を実施して いることがあげられています。  (9)が緊急時の対応、休日・夜間の相談体制ということでございますが、一つ目の○ にございますように、緊急対応が必要な場合に、担当の児童福祉司、あるいは専従組織 で一時対応という実態が多いのですけれども、一時保護所職員や昼夜で対応者を分けて いる自治体もあるということです。休日・夜間については、一次対応者は一時保護所の 職員または専門の相談対応職員が対応することが多く、そこから緊急連絡を入れて、職 員が招集されるという形式が多く見られたということです。また、当番制で携帯電話を 所持しているということも報告されています。  それから各関係機関との連携の現状と課題ということで、課題を拾いますと、児童相 談所と福祉事務所、中には家庭児童相談室が多く設置されておりますが、二つ目の○に ありますように、課題としては、児童相談所と福祉事務所の役割分担の明確化、あるい は法改正後の福祉事務所の位置づけ、福祉事務所自体の資質、こういった課題を指摘す るところがあるということです。  それから児童家庭支援センターを社会福祉法人等に設けていただいておりますが、課 題として二つ目の○にございますように、現状の連携体制が大変好評ということで、今 後児相毎に設置できないかということでありますとか、委託内容として不登校、虞犯ケ ースも依頼できないかというような、積極的な評価もあります。  次の4ページの上でございますが、不安視する自治体もあって、評価も分かれている 状況が報告されています。  児童委員・主任児童委員に関しましては課題というところに書いておりますが、主任 児童委員の取り組みの個人差、あるいは資質の向上の必要、守秘義務についての研修の 必要性といった課題を指摘する自治体が多かったということでございます。  (2)が児童相談所に対する調査の関係でございます。先ほど申しましたように、そこ に書いてございますように、60カ所の児童相談所の分をまとめたということですので、 お含み置きいただければと思います。  (1)ですが、立ち入り調査を実施しているかどうかを聞きましたところ、36児童相談 所、60%で実施されている、44児童相談所で警察官の援助要請が行われているという状 況です。  それから常勤職員の平均在任期間についてお聞きしたというものでございまして、所 長が2年5ケ月、児童福祉司は3年6ケ月、心理判定員は4年8ケ月、一時保護所職員は3年9 ケ月という状況になっております。  (3)は職員が加害行為を受けたケースについてお聞きしたところ、60カ所中43カ所、 71.7%ということで、いくつかの新聞で取り上げられておりましたけれども、7割のと ころで被害を受けたと報告されております。  次の5ページでございますが、(5)の医師、弁護士との協力関係ということで、先ほど もお話がございましたが、医師との協力関係では小児科医・精神科医を嘱託医としてい る児童相談所が多い。それから定期的に受診・カウンセリングという形で協力関係を結 んでいるケースが多かったという事であります。常勤の医師を配置している児童相談所 は中央児相のようなところに限られる、ごく少数にとどまっている状況です。  (6)が児童相談所長の現状認識についてですが、先ほどと同じく、虐待相談件数の増 加、困難事例増加による業務過多、専門性向上の必要性、人的不足の認識というのが指 摘されているところです。  (8)・(9)が施設に入所した児童のその後のかかわり方、あるいは施設入所後の保護者 の指導の状況についてですが、概括いたしますと、入所後の児童・親への関わりという のがまだ十分ではないのではないかということで、年1〜2回程度の関わりでとどまって いるところが多く、これからの課題だという報告になっているところでございます。  それから6ページに移りまして、(11)の現行の児童相談体制の課題、問題点も繰り返 しですが、総じて職員不足、人事異動サイクルが短いために専門性の確保が困難といっ た、職員体制についての課題の指摘が多かったと。それから、虐待を受けた子どもの保 護の受け皿となる施設の不足を訴える意見もあったということです。また、介入と支援 の両方の役割を果たすということの困難さですとか、家族再統合のための取り組みの不 十分さやノウハウの欠如の指摘もあったということです。  (12)の関係機関との連携方法及び課題ということですが、3行ぐらいにございますよ うに、そういった協議会・連絡会・委員会という形でメンバーとして加わって、連携の 仕組みができているということですが、4行目から5行目にありますように、個別援助を 巡っては、スタンスの違いから対応にズレがあり、相互理解を深める必要があるという 指摘が多く、こういった点が課題である。先ほども議論いただきましたが、こういう連 携機関との相互理解が指摘されています。  それから2つ目の○にありますように、医療機関との連携については、通告や情報提 供に理解を得ることの困難さを指摘する回答が多く見られたことも報告されています。  (13)が市町村に対する援助、今回の児童福祉法の改正も含めて、援助ということです が、一つ目の○にいろいろな援助の点が指摘されております。具体的にはネットワーク 会議とか、ケース会議への参加・研修という形で支援をしていくという回答がなされて いるところでございます。  最後の7ページが一時保護所の課題ということで、一つ目の○が夜間休日体制につい て、職員とアルバイトや非常勤職員と宿直体制をしいているというところが多いという ことです。正規職員のいない一時保護所も中には見受けられたということです。  二つ目ですが、非行児童が入所した場合の対応について、個室化が図られていない中 で、部屋割りに配慮するとか、他児童と同じ部屋にならないように、あるいは職員を手 厚くするといった、いろいろな工夫をしているのが実態ということでございます。  四つ目の○として学習という点ですが、いろいろ工夫をしているということで、カリ キュラムを組んで学習指導を行っているところ、それから教員のOBを配置することに よって学習保障に努めているという例もあったということです。  最後の一時保護所の保護期間の長期化の要因については、受け入れ施設に空きがない というのが多く、保護者との調整に時間がかかるという要因も報告されております。  以上、60カ所あるいは都道府県の協力を得て、まとめました。資料2-2が報告書です が、今後これらの得られた情報、報告をさらに課題を抽出いたしまして、各自治体にこ の状況を提供し、課題を提供したいと思っています。一方で、先進的な取り組みとか工 夫の紹介も、あわせて自治体に出しまして、取り組みの共有化を図っていきたいと思っ ております。  さらに資料の2-3ですけれども、より具体的にしようということで、「児童家庭相談 体制のあり方に関する研究会」を今年の2月からスタートしておりますが、ここの中に これを報告して、今後の都道府県、都道府県指定都市の体制、市町村の体制等の検討を 進めておりますので、この中に入れて、この研究会では本年末を目途に、報告書をまと めるというスケジュールで動いておりますので、この中に反映をさせ、関係者にフィー ドバックしていきたいと考えております。  以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。  それではただいまのご説明につきまして、ご意見あるいはご質問がございましたら、 どうぞご発言お願いします。  はい、どうぞ阿藤委員。 ○阿藤部会長代理  先ほどの虐待の話とも関係しますが、今の報告書の4ページ(2)の(1)に、立ち入り 調査等の実施状況についてということで、44児童相談所で警察官の援助要請が行われて いたというように、かなり児童相談所と警察の関係が強いように書かれている。ところ が、私の読み違えかもしれませんが、先ほどの24の死亡事例における7ページの表7-2で は保健医療機関が100%そういう死亡事例の児童虐待に関わっているにもかかわらず、 警察機関の関わりは3事例と非常に少ない。当然、死亡事例のほうが、よほど深刻な事 態なのだから、もっと警察が関わっていても不思議はなさそうですが、今の数字とギャ ップがあるような気がして仕方ないです。その辺どう考えたらよろしいでしょうか。 ○松原委員  一つは、この事例の検証は、平成15年の7月1日からいうことで、児童虐待防止法の改 正が16年3月でしたので、もちろん、改正前の児童虐待防止法でも警察官の協力は書か れていますが、少し状況が違っているのかなというのが一つと、関わっていたといって も、いろいろな関わり方がありまして、保健所の場合にはゼロ歳児検診とか、先ほど渡 辺委員がおっしゃったように、いろんな形で子どもが生まれたということで関わること も多いので、数があがってきていて、その分、日常的な連携がかなりのようです。  警察の場合は関係機関の認識が一定程度進まないと、家庭支援ないしは介入のプロセ スが始まってからの関わりだというところで、この検証事例では保健所に比べて数が少 なくなっていると思うのです。比較については事務局の方でご意見がおありになるかと 思います。 ○高井総務課長  直接の回答ではありませんが、児童相談所数は警察官の援助要請を行った児童相談所 数ですので、個別の件数とリンクしておりません。1件でも確かに援助要請すれば1つ とカウントしておりますので、具体的にその件数と合わせていく必要があるかと思いま す。 ○前田委員  どなたにお聞きしたらいいのかわからないのですが、自治体の現場にいる者として、 2点ほどお聞きしたいことがあります。横浜市では、福祉職というのを採っています。  今年は60人福祉職を採用しました。これのほとんどの要因は、生活保護の受給者が増 えておりますので、それをあわせて採っているのですが、近年、社会福祉職の採用が非 常に増えております。一般行政職と違って、福祉職を採っている自治体は少ないので、 全国から受験者が来てくださって、すばらしい人たちが来るのですが、その中での一つ の問題は、皆さん児童はやりたがりません。大変ですので。もちろん、採った方をうま く育成できていない今の児相の状況もあります。特にスーパーバイザー的な仕事ができ る中堅層が非常に薄くなっております。この人たちも難しいケースを自ら持っています ので、部下の育成がなかなかできないという問題もあります。社会福祉職の中で児童虐 待の問題が脚光を浴びれば浴びるほど、児童の現場の厳しさが際立ってきますので、社 会福祉職で福祉の仕事に携わりたいという若い方たちでも、児童はできれば避けたいと いう方が増えていて、児童を希望する人が少なくなっているのが現状です。これは非常 に問題です。ですから、児童福祉司や社会福祉士の育成現場で、どういうふうに育成さ れているのかということが疑問です。実際に実習生を一時保護所や養護施設で受けるの ですが、中にはコミュニケーション能力の全然ない実習生とか、どういうオリエンテー リングを受けて学校から送り込まれたのか、よくわからないような子たちもいたりしま す。もちろんオンザジョブトレーニングが一番重要で、採用して採った私たちの育成も 問題です。少子化の中で、もともと福祉職を目指す人たちの層が薄くなっている中で、 どう育成していくか、福祉職養成の学校現場のこともこれから長期的に考えていただけ たらと思います。  それから二番目は、なかなか言いにくいことなのですけれども、おわかりの通り、 今、試験をすると何でも女性の方が優秀ですので、問題発言でしょうか、すみません。 特に女性の方は、男女雇用機会均等法以降も、やはり公務員というのは民間企業に比べ いろいろと制度が整っておりますので、優秀な女性が殺到します。行政事務職でも7:3 で今年は女性が多いです。福祉職はずっと以前から女性比率が高い職場です。ところ が、今何が起こっているかと言いますと、児童虐待のケースが非常に厳しくなり、暴力 性の傾向がある、アル中で暴力をふるうお父さんの家に行ったり、子どもを施設に一時 保護するために、親を説得に行くと、親御さんは意地悪をしたいので、夜中の2時に来 いとか、酔っ払ったお父さんが来いというわけですので、女性を1人で派遣することが、 非常に難しいのです。  理想的にはどんな職場も男女比率が半々だと思うのですけれども、他の市町村は知り ませんが、私の市の場合は、圧倒的に福祉職は女性職に偏っています。どんどんきつい 暴力傾向などが見られる、虐待のケースなどがある中で、夜中の訪問ケースとかに男性 職員をどうローテーションを組んで回すのかというのが、非常に厳しい状況になってい ます。実際のそういう現場で聞くと、やはり女の子の方がしっかりしていると。もちろ んしっかりしている人たちでそういうケースに男女かかわりなく、立ち向かえる人たち もたくさんいますが、上司としては、アル中で暴力をふるう人がいた場合に、女性のケ ースワーカーに行かせるかというと、行かせられないわけです。そういう意味で、非常 に厳しい男女の人員の割り振りが起こっています。採用は優秀な人から採る、優秀な人 から採れば動機づけもしっかりしていて、ペーパー試験もいい、面接もいい、非常にし っかりしている女性がどんどん通るのですが、男性が少なくなる。実際には一時保護所 は24時間です。一時保護所や養護施設というのは男の子の比率の方が高い。特に中高生 などで非行傾向がある子がいたり、精神的に不安定で、暴力振るったりする子ども達は 一時的に力で抑えることも必要になる。そうすると体力的に男の人がどうしても必要に なります。で、そういう人達は結局、アルバイトや非常勤で入れるという状況が起こっ ています。現実の現場では、男女同じ仕事をして、同じきつい仕事ができるはずだとい う理屈だけでは、解決できない問題がかなり起こっているということをお伝えしたい。 これは避けられない問題だと思っています。 ○高井総務課長  お答えにはならないのですけれども、確かにその課題というのが、2-2とこの分厚い 方の資料をご覧いただいても、この2-2の9ページあたりでも、この人事異動について、 その専門性を確保するという点で、各自治体が苦労されているという状況が見えている と思います。  おっしゃるように、専門性という点で福祉職を採用するようにまた戻ったという自治 体も聞いたりしますし、この辺を分析して、いろいろなご苦労を抽出できればと思いま す。特に一時保護所と、あるいは立ち入りの場合の、職員の男女の問題というのは、オ ープンになるから出ていないのか、私も聞いています。現場で、配置をいろいろ考えて いるというのは、耳にするところでございます。答えになっておりませんけれども、現 場で大変苦労しているというのを聞いています。 ○事務局  事務局でございます。まず、職員の採用育成の関係でございます。調査の中では、確 かに人員登用の関係で、庁内公募をかけて児童相談所を希望するかどうかというような ことを、試みている自治体もいくつかは見受けられたのですが、いずれも、あまり手が 挙がらないということで、せっかくの公募制もやめたという、残念な結果が見受けられ ました。  それから、先ほど紹介がありました「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究 会」の中での議論を少し紹介させていただきます。この研究会は、メンバーをご覧いた だくとわかるのですが、主として、自治体の実際の現場で、直接、援助活動に関わって おられる方を中心に、メンバーの選定をいたしまして、ご苦労等お話をいただいていま す。  その中で出ている意見として、今の児童相談所が認められるべき専門性を確保するた めには、調査結果にもありましたけれども、5年10年という、専門性の蓄積は、不可欠 であろうということと、その一方で、やはり非常に過酷な現場ですので、5年10年、完 全に一気通貫でいるのではなくて、人事上、何年かいれば少し、別の部署に異動させ て、さらに、また戻ってもらうというようなそういった工夫が必要ではないかというご 指摘などもございました。  第1回の研究会の時に、児童相談所の福祉司の数を大変増やしたことで有名な青森県 の課長さんにメンバーに入っていただいていますので、お取り組みを紹介いただいてい ます。その中では、その体制を強化してきて、基本的にケースに複数で対応できるとい うような状況が生まれたことによって、職員のストレスも相当軽減をされ、また、それ までは異動希望が非常に多かったのが、ほとんどなくなったといったような報告をいた だいています。人事体制の中でも、複数で、何らかの形でフォローし合える体制の重要 性というのが、全般的に指摘されています。そういったことを今後、踏まえていく必要 があるのかと思っています。  それから、先ほどの、女性の関係でございますけれども、網羅的な調査ということで はありませんが、確かに前田委員からご指摘をいただいたような、同じような悩みを抱 えている自治体の例というのは、いくつか聞いています。  その一方で、通常の、そういった福祉職採用をしていないところで、これまでの経緯 からやっているところでは、逆に、女性のワーカーが育っていなくて、例えば性虐待な んかのケースについて、もう少し女性ワーカーの登用が必要なのではないかというよう なご指摘をさせていただいた自治体もあります。これは事実関係だけですけれど、調査 結果から、そのような状況が見受けられたということでございます。 ○岩男部会長  その関連なのですけれども、教員・警察官との人事交流状況というご報告が入ってお ります。警察官が実際に、常勤で交流したのはゼロという結果はある意味で、私は当然 ではないかなと。前に公安委員を長くしていた関係で、若干警察のことを知っている人 間では、これは驚かないのですけれども。ただ、先ほどの前田委員のお話からも、私 は、必要な時には警察に関わってもらうというか、夜中の2時に酔っ払って、かなりリ スクが高そうな現場に赴くというような場合には、私は、警察官に同行してもらうとい うようなことが、一つの問題の解決かと思うのですけれども、いかがでしょう。 ○前田委員  松原先生の方がお詳しいとは思うのですけれども。素人の私があれこれ言うのも何で すが、私も最初岩男先生と同じように思ったわけです。しかし、やはり児相の人は、親 とのいい関係を作らなきゃいけないんですね。  警察が入っていくということは、それは親を犯罪者扱いすることで、もう親と児相と の関係が断ち切られることになる。それはもう最悪なことなのです。ですから、そこが すごく難しいのは、子どもを引き離す、その時はもう親は、児童相談所は敵と思うわけ です。しかしその後は、その児童相談所が援助を入れて、親子関係の再統合をしなけれ ばならないので、犯罪者から子どもを奪うわけではないのです。ですから、横浜市の場 合、警察官を連れて行かない場合でも、子どもを引き離す場合は、やはり親は、児相の そのケースワーカーを敵視します。ですから、別に、家族再統合専門のスタッフチーム を作って、やってみようということも、今年から始めています。それが本当にうまくい くかはどうかわからないんですけれども。難しいのは、親との絆を児相も切るわけには いかない。親との信頼感を、少しでも築きつつなので、最初のスタートに警察官を持っ ていくということは、それはもうできないですね。子どもの命に危険があるケースは別 ですけど。 ○岩男部会長  そうですね。外で待っているとか、影にいるという存在でなければいけないという、 最初から、そういうことだろうと思いますし、警察の方もいろいろ、訓練や研修などを いろんなことをしておられますけど、なかなか非常にデリケートな問題、特に、家庭の 問題に入っていくのは、決して得意ではない、今は少しずつ変わりつつありますけれ ど。ですから、おっしゃることは大変よくわかります。何かいい解決方法があるとよい のですが。渡辺委員どうぞ。 ○渡辺委員  前田委員と共感する立場からの発言ですけれども。結局、家族にとって悲惨になるか もしれない状況に入っていく、児童福祉司やその他の方たちというのは、その人の本当 に行動一挙手が、家族の運命をつぶしてしまう可能性があるわけです。例えば、警察の 呼び方一つにしても、上手に信頼関係を作ってから、いいおまわりさんがいるから、応 援してもうらおうねと呼ぶのか、それともにらみあって呼ぶのかで、全く体験が違って しまうわけですね。  私は、ここまで日本で虐待が問題になり、かつ、国民全体が、エネルギーを注ごうと している時に、前からずっと思っている、繰り返し言っていることですけれども、児童 福祉司をですね、児童福祉司の機能がきちっと発揮できるだけの研修システムに乗せ て、1人のちゃんとした専門家として公費で育てるべきだと思います。  というのは、虐待の問題は家庭での虐待に限って申しますと、それは家族精神学、家 族精神保健、人間学の、最も複雑で最も破壊的な個々のケースを扱うわけですから、そ れなりに、やはり、その人達に、力量をつけてあげなければいけない。  私は毎年、家庭裁判所や家庭裁判所の調査官の研修所に行って乳幼児期のトレーニン グをします。研修所は和光市にあって、毎年1学年、60名を約6時間に渡って、トレーニ ングをします。  毎年、私が思うのは、家庭裁判所にも前にも言っているけれども。私が講義する相手 が児童福祉司の方であって、児童福祉司の方が、ちょうど若い調査官のように、人間 学、社会学、精神医学の全ての基本的なコースを、日本を代表する全てのいろんな文学 部や、精神医学や、そういう人達の、講義を受けられる。しかも、全国から集まって来 ている人達と1年間、そこで同期として仲間になりながら、ケース事例をお互いに、積 み重ねたり、いろんな交流をするという。そういうことがありますと、3、4年で、例え ば別のところに行きましても、バトンタッチのしかたとか、それぞれの新しい場所の、 適応の仕方なども含めてですね、児童虐待なら児童虐待、あるいは家庭の問題を扱う専 門家として基本的な姿勢をトレーニングされると思うんですね。  先ほど、親に挨拶ができないことなどを前田委員がおっしゃいましたけれど全く同感 です。残念ながら児童相談所によっては、私が電話をしますと、電話口の対応が、私が 親であったら2度とかけたくないような応対であったりする。  ところが、若い家庭裁判所研修所の調査官は、挨拶の時に、最大限の挨拶をするよ う、先輩にトレーニングされていますから、私が行っただけで、みんなさっと立ち上が って挨拶する。それぐらいの気合いを入れて、現場に出す姿勢を、私達が支えなけれ ば、厳しい現場に出て、いいケアはできないと思います。  ですから、皆でネットワークを作ったり、いろいろな部署で、自治体がやるのもいい ですが、同時に、どんなケースもやがてはマネージできるような、その専門性を持っ た、実践力を持った人を育てていく、研修所・研修コース、あるいは研修期間を本気で 考えていくことが、急務だと思います。 ○岩男部会長  ありがとうございました。まだ他にもいろいろご意見あるかと思いますけれども、ど うぞ。 ○堀委員  この調査結果は児相一般の調査と虐待に関する調査がごっちゃになって、どこかよく わからないようなかんじがします。明らかにできないものもあると思うのですが、明ら かにしてほしいと思います。  例えば、2ページの(2)は、これは虐待だけの申し立てなのか、どうか。あと、いろい ろわからないところがありますが、4ページの(2)の(1)なんかも、立入調査というのは 虐待だけなのか、そういうような、わからないところがありますので、その点明らかに した方がいいと思います。  それから、4ページの(2)、常勤職員の在任期間ですけれども、所長とか、児童福祉司 に分けて統計とるのも意味があると思うのですが、通算してどれくらい児童福祉に関わ っているか、既に調査がされているのかわかりませんが、それがわかるといい。例え ば、所長だけじゃなくて、所長と児童福祉司の、通算してどれくらいとかです。専門性 という意味の判断で、よくわかるのではないかと思います。 ○高井総務課長  1点目については、児童相談所の体制についてお聞きしているということですので幅 広く入っているということでございます。ものによっては虐待ということにもなります けれども、全てについて、児童相談所の体制について、お聞きしているということでご ざいます。  2点目は、その児童相談所で何年かと聞いただけですので、確かに、通算するという のは、今回はとってないので、別途とってみないと本当の姿が見えないというのがある かと思います。 ○岩男部会長  それでは、ちょっと時間がおしておりますので、次の議題に移らせていただきたいと 思います。本年4月より施行されました次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況に ついて、事務局からご説明をお願いいたします。 ○山口少子化対策企画室長補佐  少子化対策企画室の山口と申します。今日、本来ですと、室長の度山がこの場で皆さ ま方にご説明申し上げる予定でしたが、ちょっと急な用事ができまして、代わりに私が 説明をさせていただきます。よろしくお願いいたします。私どもの資料は、資料の3、 次世代育成支援対策推進法に基づく取組状況についてということで、中に3種類の資料 が入っています。  まず1ページからでございます。まず、次世代育成支援対策推進法ですが、ご承知の ように平成15年の7月に成立いたしまして、16年度中、今年の3月までに、国・自治体・ 企業は、それぞれ、行動計画を作る、次世代育成のために、それぞれがどのような対策 をとるのかということについて、行動計画を策定するとなっています。  その結果につきまして、4月1日現在の状況を調査しましたので、この場でご報告をさ せていただきます。  行動計画は、大きく分けて2種類ございますので、説明させていただきます。  まず一つは、資料の1ページからの部分ですが、地域行動計画と言われている部分で す。これは、都道府県と市町村が、それぞれの地域であるとか、地域住民に対して、ど のような施策をとるのかというようなことを定めたものです。  それから、資料でいきますと4ページ以降でございますが、今度は自治体や企業が、 それぞれが自分の職員ですとか、社員に対して、次世代育成支援のためにどういう対策 をとるのかという、大きく分けて2種類あるわけでございます。  それを調査した結果でございます。  まず、1ページからでございます。1ページにつきましては、これは、都道府県・各市 区町村が、地域の住民に対して、どのような対策をとるのかというようなことの都道府 県と市町村の行動計画の策定状況でございます。  まず、1番の都道府県の行動計画の策定状況におきましては、3都県を除きまして、今 年の3月の末までに44道府県で、策定が終了しております。未策定のところ、その(2)の ところに書いていますが、3都県ございます。このうちの東京都につきましては、4月25 日に既に策定済みということで、あと山形も6月、富山県も年度内には策定をするとい う予定となっています。そのように聞いております。  次に資料の2ページでございます。2ページは、各市町村の行動計画の策定状況です が、市町村につきましても、2314市区町村、95.7%にあたりますが、その部分が策定済 みということでございます。それで未策定のところは、(2)のところですが、あと104市 区町村残っております。4.3%。それぞれ都道府県ごとにいくつの市町村が策定できてい ないのかという数字を挙げさせていただいております。これだけ見ますと、果たしてそ の策定率がいいのか悪いのかというのがあまり判然としないと思いますので、コメント させていただきます。  未策定市町村が10%を超えておりますのが、左の方から順番にいきますと、宮城県で ございます。宮城県が45市町村のうち7市町村ができてないということでして、15.6%が 未策定です。それから東京都でございます。62市区町村のうちの9市区町村、14.5%が未 策定です。  それから主なところで、中段の下から二つめでございますが、鳥取県、20市町村のう ち、6市町村ができていないということで、30%が未策定。それから右の方の列になり まして、真ん中あたり、高知県、48市町村のうち12市町村ができてないということで25 %が未策定。それから沖縄県です。1番下。49の市町村のうち6カ所ができてないという ことで、12.2%が未策定ということでございます。  次の3ページでございますが、今のその未策定市区町村がいつそれぞれ策定をするの かという時期について、確認をしたものでございます。多くは4月5月、それから年度内 前半で、ほぼ策定をする予定となっています。あと9月以降というのが9.6%ほどありま すが、できるだけ早期の策定ができるように、私どもとしてもいろんな機会をとらえま してお願いをしてまいりたいと思っています。  (4)は、未策定の理由について主なものをあげております。ちょうど合併の時期と重 なりまして、いろいろな計画が各市区町村にあるわけでして、それとの整合性の問題で ありますとか、それぞれ作ったものをどういうふうに取り扱うのかという関係でありま すとか、いろいろありまして、合併がネックでできなかったというのが1番多うござい ました。あと、行動計画の取りかかりが遅かったというのがありました。  次に、3ページの真ん中以降。大きな2番目でございますが、これが合併した市町村に おける計画の策定状況ということで、昨年度中に合併した市区町村で、どういうふうに 行動計画を取り扱ったのかということでございます。合併後の新の市町村の計画とし て、一本化して、あらかじめ策定したというのが70%ありました。また、それぞれ作っ たけれども、それを合併後の新市町村が引き継ぐ形をとったところも、26.7%あったと いうことで、それなりにそれぞれ考えていただいて対応していただけたのかなと思って います。  続きまして、4ページでございます。ここからは、大きく分けた二つめの行動計画の 方でございます。これは、一般事業主行動計画といいまして、これは一般の民間の企業 がそれぞれの自分の会社の社員に対して、どういう行動計画を作ったのかということで す。これにつきましては、301人以上の企業については、義務化をされておりまして、 300人以下の企業につきましては、努力義務ということになっています。  2番のところですが、全国の301名以上の企業が12730社ございますが、そのうち策定 をして届出があったのが、1番のところの内訳の1つめですが、4609社。比率につきま しては、1番下の行でございますが、36.2%の策定状況ということでした。  ここで、300人以下の企業につきましても、479社が、届出をいただいているというこ とでございます。ここはちょっと特筆すべき数字なのかなと思っています。36.2%につ きましては、評価が分かれるところと思いますが、よくやっていただいている。4月1日 の時点での調査でございますので、こんなものなのかなというかんじでございます。  続きまして、5ページでございます。5ページが、国と各自治体が、その職員向けに作 っている行動計画の策定状況でございます。まず5ページ目が、国の機関でございます が、国につきましては、法律で定められております機関については、全て策定済みでし た。  次、6ページでございますが、これは都道府県の状況でございます。知事部局のデー タですが、策定済みの都道府県数が43都道府県ということになっていまして、未策定が そこに書かれてあります4県となっております。  市区町村につきましては、策定済みの市区町村数が、1310市区町村、54.2%で、7ペ ージをご覧いただきますと、未策定の市区町村数が、差し引きの1108市区町村、45.8% ということで、地域行動計画に比べますと、市区町村の方の職員向けの行動計画の策定 状況については、悪くなっているということでございます。  未策定の理由につきましては、(3)のところでございますが、合併に伴っていろいろ と、合併した市町村間での勤務条件に関する調整作業があったために難航したというよ うなことであるとか、職員組合であるとか、関係機関との協議に時間を要した。また、 地域行動計画の策定を優先したということなどでございました。  今後の対応でございますが、市町村レベルでの取り組みにやや遅れが見られるという ようなことでございますので、早期に策定が行われるように、いろいろな機会をつかま えて、お願いをしていきたいと考えております。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。ただ今のご説明についてのご質問は、次のご説明と一緒 に、一括してお願いをしたいと思います。  それでは、4月6日に公表された総合施設モデル事業の採択について、事務局からご説 明をお願いいたします。 ○尾崎保育課長  はい。お手元の資料4が、総合施設モデル事業の採択についての資料でございます。 全部で4ページございます。3ページの1番、趣旨のところに書いていますけれども、平 成17年度に試行事業をやると、それから18年度から本格実施を行うというスケジュール になっておりますことは、ご案内の通りでございます。今回のモデル事業におきまし て、教育保育の内容ですとか、職員配置、施設設備等について、実験をやるということ でございます。1ページ、2ページに書いていますけれども、全部で35都道府県、36カ所 の施設の採択をしました。これを 決めるにあたりまして、予算上の箇所数が30カ所で したが、予算の範囲内で36カ所できるということで、こういうふうにさせていただきま した。  決定するにあたりましては、各都道府県から意見や推薦をいただきましたし、それか ら、公立私立のバランスも考えました。申請のうちの8割ぐらいが、私立の施設からの 申請でしたので、ご覧いただきます通り、私立の採択が多くなっています。  それから、地域バランスとしては、過疎地、都市部、そのへんをバランスよく考えた つもりでございます。その施設の類型をいちいち個別にわかりやすく整理をしておりま せんで、申し訳ございませんが、4ページをご覧いただきたいのですけれども、4ページ の1番上のところに、実施形態と書いています。  今回、実験をやってもらいます施設には、大きく三つの類型がございまして、(1)は、 既存の幼稚園と保育所が連携して実施してもらう幼保連携型。要は、幼稚園と保育所が チームプレーでやっていただくというような形。それから、(2)は、幼稚園に保育所的 機能を付加する。すなわち保育に欠ける子どもを追加して受け入れていただくような、 そういう幼稚園実施型。それから(3)は、逆ですけれども保育所に、保育に欠けない子 どもを、追加で受け入れる保育所実施型ということで、全部で36カ所です。実際の数と しては、(1)の幼保連携型が18、(2)の幼稚園型が10、保育所型が8ということで実験を していただいております。  今後、本格実施のための準備に役立つ資料を収集しなければいけないわけですが、有 識者を交えて、文部科学省とも協力をして、成果をまとめて検証していきたいと考えて おります。以上です。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、先ほどの次世代育成支援対策推進法に基づく取 組状況と、それから、ただ今の総合施設に関するご説明と、その両方について、ご質 問、ご意見等ございましたら、ご発言をいただきたいと思います。  はい。阿藤委員、お願いします。 ○阿藤部会長代理  次世代育成支援対策推進法の届出状況なのですが、一般事業主の行動計画、301人以 上で、36.2%というのが、高いのか低いのかという話がございましたけれども、本来、 これは法律で計画を作ることは少なくとも義務づけられているわけですよね。そのペナ ルティーがあるかないかは別にしまして。そういう観点から、しかもそれは実施するの は、平成17年4月からということでいえば、3分の1しかやってないというのは、あまり にも低すぎるんじゃないかと個人的には思うのですが。このへんの経緯と、さてこれか ら、どれぐらいはっぱをかけて、企業については、どれぐらい実際に作っておられるの かというあたりはどうですか。 ○高井総務課長  36.2%というのは全国平均でございます。実は高い県を見ますと、70%ぐらいの県も ございまして、これまでの経緯、説明あるいは県の中の取り組みのいろんな働きかけ等 があったのだと思いますので、こういうのを踏まえまして、今、馬力をかけて、この6 月末までにしっかり出してくれということを申し上げていますので、6月末には、相当 な率になっていると、私は期待をしています。  義務でございますので、ぜひやっていただきたい。東京、大阪と大都市は数が多いの で大変ですけれども。いろいろ各地方の局の方で働きかけをしておりますので、6月末 にはまた違う数字を出したいと思っております。 ○阿藤部会長代理  その各県等に、事業主の団体がございますよね。日本経団連の支部とか、そういう団 体を通じてというふうな働きかけもなさっているのでしょうか。 ○北井審議官  補足の説明をさせていただきます。今、総務課長から申し上げた通り、届出状況は都 道府県別にかなりの差があります。1番上は、7割ぐらい、下の方になりますと、15%ぐ らいのところがあるということで、平均すると36.2%と、4月末ではこうなっておりま す。もう少し見てみますと、都道府県別では、西高東低のきらいがあって、関西の方が 比較的高くて東北の方が低い。あるいは、業種別に見ますと、男性、あるいは中高年齢 者が多い企業は、やや策定意欲に乏しい傾向があります。それから規模別に見ますと、 大企業の方が迅速で、中規模になればなるほど、その策定のスピードは遅いという感じ です。  前向きな方でいえば、先端的な企業がいろいろ自己PRして、我が社はこういうことを やりましたということを発表なさっているのを見れば見るほど自信がなくなってきて、 やや中身を見合わせているというような企業があるとも聞いております。  それから、労使協議を慎重にやっていて、作ってはいるけど、まだ届出が済んでいな いというところもあります。それから、計画を策定していただいて、実施をして、目標 を達成すれば、認定ができるわけですが、認定が1回しかもらえないと誤解しておられ て、それで最初作る内容に慎重になっているというようなケースも聞いております。  いずれにしても、次の届出状況の締め切りは6月末ということになっておりますので、 各都道府県労働局を挙げまして、策定をしていただくように、啓発をしているところで す。今、阿藤委員からもありましたように、やり方としては、まず、事業主団体に最大 限ご理解を得て協力をしていただくということ。特に、遅れている業種の団体には、積 極的にお願いをしていっているところであります。それから中小企業につきましては、 中小企業団体を次世代育成支援センターとして指定をして、協力をしていただくシステ ムがありますから、そのセンターの活用ということもやっています。  それから各労働局が、周知をしていくわけですが、雇用均等室だけでなくて、労働局 長、あるいは労働基準部や職業安定部の部長など幹部が、ありとあらゆる会合の場等で 一言言うことが大事です。また、知事が自ら言っていただいているところは、やはり大 きな成果を挙げています。したがって、都道府県の幹部、労働局の幹部挙げて、必ず、 いろんな機会に一言言っていただくということを、お願いしているところでございま す。各都道府県別の数字がありますから、低いところは、これではいけないと思ってが んばっておりますし、大都市部におきましても、周知にいろんな工夫をしてがんばると いうことで、6月の締め切りでは、かなりあがってくることを期待しているところでご ざいます。 ○岩男部会長  大日向委員、お願いします。 ○大日向委員  ちょっと確認させていただきたいのですが、この企業が提出した行動計画に関して、 優良認定を受けたいという企業の行動計画の内容は公表されると思いますが、それ以外 の企業がどんな行動計画を策定なさったか、知りたければ、請求すれば、何らかの形 で、私たち一般は見せていただくことが可能でしたか。それとも、だめでしたでしょう か。 ○高井総務課長  届出だけでして、公表ということにはなっていないので、企業側が任意で公表すると いうことになります。そういうオープンにしているところは知ることができます。 ○大日向委員  まずは届け出るという、中身まではまだまだチェックできない段階なんですね。 ○高井総務課長  自信のあるところは、認定を受けていただくというのでしょうか、そういうところは 認定を受けてマークをつけられると。このような仕組みになっております。 ○大日向委員  チェックしない場合でもこの数字だということですね。随分低いということですね。 わかりました。 ○岩男部会長  他にいかがでしょうか。はい、どうぞ。 ○阿藤部会長代理  今のお話に続けてなんですけれど、個別の企業の中身については公表できないとし て、例えばこちらの方で、どういう項目をどれぐらいの企業がやっているかという、集 計ベースでは出されるのでしょうか。 ○高井総務課長  届出書の中に、丸をつけるようになっていますので、そういうのはいずれ集計すると ことになると思います。具体的な内容というよりも書いている事項についてです。 ○前田委員  市町村は、自分のところの地域にある企業が出しているかどうかの情報はいただくこ とができるのですか。  私たちもこの地域の次世代支援対策推進法の自治体の計画を作りました。一般の方の 反応は、やはり、企業に働きかけてくれないと、職場が変わらないとだめだということ を言われるのですけれども。私たち市は、中にある企業が出しているかどうかでさえ、 情報を得ることはできないんですね。もちろん、一部の女性の活用で有名な企業は、も う早くから発表されているのを知っています。むしろそうじゃない企業に働きかけたり しなきゃいけないのですけれども、その情報をいただくことは、県にお願いしても今の ところできないのです。 ○高井総務課長  届出があったということを集計はしますけれども、公表はすることになっていないの で、一般的な協力依頼をお願いするということしかないですね。 ○前田委員  市町村は義務として、職場にも働きかけて、会社も働きかけをしなきゃいけないと。 しかし、どの企業が出しているか出していないか、わからない状態でがんばってくださ いということなんですね。ターゲットがわからずに。 ○高井総務課長  市町村は、自分のその住民向けの行動計画を作ります。それから職員向けの行動計画 は作らないといけないということですが。企業の方は、法律上の義務があるので、それ は都道府県の労働局に届けてもらうと。 ○前田委員  しかし、市民からの意見は、何回も申し上げたように地域、横浜の場合は横浜市内に 住んで、横浜で働いて、企業も多いですから、市内企業の職場が変わらない限り、次世 代の環境を達成できないから、自治体としてぜひ企業に働きかけて欲しいというお声を いただいています。それに応える必要な情報やツールを自治体はいただけないという現 状なのですね。 ○高井総務課長  法律を作るときの経緯もありますので、なかなか公表できないことになっています。 ここは、ご協力をいただくしかないと。これを作るときに、やっと作ってもらうように したという経緯があります。 ○岩男部会長  マイナス評価になるような形だと、これは皆さん非常に嫌だということなんでしょう けれど。  それを自分のところは作っていますよというのを、例えば、今、就職戦線、まっただ 中ですけど、そういうところに、わが社は、こういうことをちゃんとやっていますとい うのを、宣伝の意味でお出しになって、より良い人、人材をとろうという、それに使う ような形に、プラスの方にもって行く以外にないようです。出してない会社の企業名を 公表しますというわけにいかないわけです。 ○前田委員  企業名は公表しないですからね。出していないところにこそ来ていただいて、なぜこ れが必要かと働きかけないといけないですよね。しかし、市内でこういう会をすると、 必ず、ファミリーフレンドリーで表彰受けている企業ばっかり来るんですよ。市民の方 は中小企業や、男性の多い会社にこそ働きかけて欲しい。私たちはその会社がわからな いのです。だいたい予想はつきますけどね。 ○高井総務課長  さっき言いましたように働きかけております。最後は行政的にいろいろできることで あればやりますけれども。そういうことで進めていきたいと思っております。 ○岩男部会長  それでは特にご意見がなければ、最後の議題。当面の児童部会の進め方について、事 務局からご説明をいただきたいと思います。 ○高井総務課長  はい。資料の5でございます。当面の児童部会の進め方について、案と書いていまし て、今後の進め方について、案を作ったものでございます。  1番上をご覧いただきますように、今の行動計画はスタートしておりますし、これま で、この児童部会、あるいは各方面からのご指摘などもございますので、今後この次世 代育成支援をよりいっそう推進するという観点から、今後の子育て支援策のあり方につ いて、関連する動きなどを随時報告させていただきつつ、幅広い観点から、ご議論をい ただきたいということでございます。  開催頻度は当面年末まで、概ね1、2ヶ月に1回程度。計3、4回程度の開催を頭におい ております。年末を目途にそれまでの議論の内容を整理してはどうかということでござ います。  参考に掲げたこの2つは、これまでこの児童部会のご議論の中で、こうした幅広い点 について、ご指摘をいただいたところを抽出しております。  この15年11月の時は児童虐待に関するご議論をいただいて、報告書をいただいたわけ ですけれども、その最後の今後に向けてというところで、その時の要保護児童等に対す る児童福祉法の改正、これについて、まず着実に取組むことを期待すると。その実施状 況を踏まえつつ、適時適切な検討が継続的に行われて、必要な措置が講じられようとい うことと、さらに、子育て支援サービス、保育サービス、社会的養護システムというも のを含めた子どもと家庭に関するサービス全体を通したサービスを提供主体のあり方や 措置制度のあり方や幅広い観点からの議論が行われることを期待するということが報告 書に書かれております。  それから昨年10月の三位一体の改革のご意見の時にも、そこにございますように、少 子化の進行は止まらない中で、社会に深刻な影響を及ぼす。また虐待や少年非行などの 深刻さを増している中で、次世代育成対策は喫緊の課題であって、国、地方、企業を挙 げて取り組む必要がある。国において先導的な役割を果すことが期待されると。  そして、社会保障給付の中で、児童分野に思い切った財源投入が強く求められてい る、どう考えるかという視点も重要であると。次世代育成についての全体的な底上げが 必要であるというようなことを指摘いただいているところでございます。  2ページ目は政府の方の話でございますけれども、少子化社会対策大綱、昨年6月に閣 議決定いたしておりますけれども、少子化社会対策大綱の3の(4)というところで、子ど もの最善の利益を基本として、親のニーズを踏まえた効果的な施策というのを求められ ているということで、例えばということで、そこに書かれているような、幅広い点につ いて、検討を進めていく必要があると。それから、次世代育成支援の推進を、社会保障 の枠にとらわれることなく進めるということが書かれております。昨年12月24日の子ど も子育て応援プランにおいても、同趣旨の、次世代育成支援推進を図るという点と、そ れから、下から3行目あたりですけれども、多様な子育て支援であるとか、働き方にか かわる施策、児童手当等の経済的支援など、多岐にわたる次世代育成支援策について、 総合というかつ効率的な視点に立ってその在り方を幅広く検討するということが書かれ ております。こういう点から、幅広くご意見を頂戴できないだろうかということでござ います。  3ページからは、関係の資料ということでございますが、3ページから5ページは、3ペ ージの1番上に書いていますが、第7回の児童部会に提出した論点ということで、左側が その当時のものです。15年4月ぐらいまで、子どもや家庭、地域の状況に応じて、議論 を進めてきたということで、論点整理をしたものでございます。  右側にその後、対策、あるいは法律を作ったものですとか、あるいは現在検討中のも のもありますけれども、こうした論点について、その後の動きを書かせていただいたも のでございます。細かくなっておりますので、省略いたしますけれども、次世代育成の 関係の法律とか、子ども子育て応援プラン等々、積み上げてきているという内容になっ ております。  それから、6ページからが、関係の動きということでございまして、簡単にご紹介い たします。6ページが、経済財政諮問会議でございます。政府におかれております経済 財政諮問会議で、今年の6月末に新たな骨太の方針、経済財政運営と構造改革に関する 基本方針が決定される見込みでございます。参考にその枠囲みは去年のものでございま すけれども、去年の骨太方針においても、国の基本政策として、少子化の流れを変える ための施策を強力に推進する。高齢関係給付の比重が高い、現在の社会保障制度の姿を 見直すと。また保育についてご指摘も記述がございます。  それから7ページからが規制改革の関係でございまして、毎年規制改革の議論、規制 改革・民間開放推進会議で行われておりますけれども、7ページの上にございますよう に、今回は少子化ワーキンググループ、いくつかワーキンググループございますけれど も、少子化のワーキンググループを作って、真ん中より少し上にございます検討事項例 と書いてありますが、多様な育児に対応した規制制度。それから、働き方の多様化に対 応した労働法制・規制(派遣労働等)といった、労働法制・規制についての議論をする ということが運営方針として打ち出されております。  それから、8ページ、9ページが、昨年もこの場で、随分ご議論いただきました。三位 一体の関係でございまして、8ページが昨年の暮れに政府与党で合意した内容でござい ます。内容省略いたしますけれども、その下の方の3の(1)にございますように、平成17 年中に以下について検討を行い、結論を得るということで、現在、生活保護児童扶養手 当に関する負担金について、9ページにあります関係者協議会、メンバーが9ページにご ざいますように、この構成員でもって、この協議会を進めているという状況でございま す。  こうした関係の動きも逐次報告をさせていただきつつ、ご審議いただいたらどうかと いう提案でございます。以上で終わります。 ○岩男部会長  ありがとうございました。それでは、ただ今のご説明にありましたように、今後の児 童部会の進め方について、どうぞご自由にご意見をいただければと思います。はい、ど うぞ、柏女委員。 ○柏女委員  課長さんのお話にもありましたように、ぜひ、この12月ですか、年末を目途にそれま での議論の内容を整理というところで、この間、1、2ヶ月に1回程度とありますが、こ の時に、全体の家庭福祉の基礎構造の議論を、1度、何度かに分けて、やっておきたい と思っています。これまで、虐待とか、児童相談とか、次世代育成支援とか、あるいは 就学前保育、教育とか非行とか、母子家庭とかいろんな分野では議論をしてきたとは思 いますけど、その基礎構造のところは、もう矛盾だらけになっています。  例えば、先ほどあがっていた事業主の行動計画の中で、例えば育児休業を一つとって も、育児休業と乳児保育の関係を整理しない限り、育児休業は進んでいかないのだろう とも思いますし、それから児童相談についても、例えば施設入所は、県の仕事で、それ から在宅サービスは、市町村の仕事というこの構図がある限り、両方のキャッチボール は永久に続いていくだろうと思います。こういう基礎的な構造について、ぜひディスカ ッションをしたいと思っています。  それから先ほどの、社会的養護とか虐待の問題も、まさに、その行政機関の職員であ る児童福祉司の専門性だけを議論していても、らちがあかないわけで。行政機関として は行政機関の役割があるわけで、児童福祉司も行政マンですから、行政マンとしての役 割と、それから専門性を持った臨床職の役割というのは、当然違うわけです。その臨床 的な援助は誰がするのか、それはおそらく民間機関の役割だろうと、病院等も含めてで すね。でもその民間の育成とか、あるいは民間の役割をどう作っていくのか。あるいは その財源をどうしていくのか。そういう議論をしていかない限り、今の児童相談所の児 童福祉司の議論にしても、いわゆる中を切り裂く、判断・ジャッジする役と、それから つなぎつける役を、本来、別の機関で担わなければいけないものを、行政マンとしてさ せられているという、この問題なんだろうと思うのですね。このへんはやはり、全体の 基礎構造の問題として、考えていかなければならないと思いますので、ぜひ、その議論 をしたいと思っています。 ○岩男部会長  どうぞ、堀委員。 ○堀委員  少子化の原因というのは様々議論されているのですが。その一つ、あるいはその大き な一つとして、子育て費用の問題が、しばしば挙げられます。児童部会ももう何年も経 ってきているのですが、育児の経済的支援の問題というのはあまり議論されてなかっ た。  これは、制度改革だけの問題じゃなくて、お金が大変要る問題です。児童部会で議論 するのがいいかどうかは別として、児童手当のあり方というのは児童部会の役割の一つ だと思うのですが、それを超えて育児の経済的支援のあり方について、議論をする必要 がある。  ただ、年末までと書いてありますので、そう短期間で、大きな仕掛けを作るというの は非常に難しい。それから、2、3年前ですか、児童部会の関連ではないのですが、一応 研究会の報告は出してあるのですけれども、何か議論が必要ではないかと思っておりま す。 ○岩男部会長  そうですね。社会保障費のうちの児童にいく分をどうやって増やしていくか、どこを 増やすのか、そうするとどこを減らして、児童の方に持ってくるのかということにもな るわけですけれども、それも非常に大きな大事な基本的な問題と思っています。 ○堀委員  かつて経済界は、経済的支援は負担が増えるということで、消極的だったと思います が、経済界も含めて、今やそれが必要だという認識が広まってきた。負担はしないけれ ど、経済界はきちんとやれと、こういう立場だとは思いますけれども、ぜひとも、議論 する必要があると思います。 ○岩男部会長  ええ、そうですね。はい、課長、どうぞ。 ○高井総務課長  この年末を目途にと、議論の内容整理を書かせていただきました。結論がなかなか出 にくい問題もたくさんあるし、今、言われましたように、財源とか、経済的な問題にな ってきますと、いろんな時期の問題もあると思います。それを見ながら、ご相談させて いただきたいという気持ちもあります。今おっしゃられたような、ご議論を内容整理し ていけば、いろんな時期にも対応できるのではないかと思います。 ○岩男部会長  他に、ぜひこういう問題を取り上げるべきだというご意見ございましたら、ご発言い ただきたいと思います。よろしゅうございますか。  それでは、事務局の方で案をお作りいただいて、進め方については、一応ご了解をい ただいたというようなことで、計画を立てていただきたいと思います。それでは、最後 に、今後の日程について、ご説明をお願いいたします。 ○高井総務課長  次回以降の日程でございますけれども、ただいま、ご審議いただいた進め方に沿いま して、おおむね1、2ヶ月に1回程度、開催を予定させていただきます。次回の開催につ いては、追って連絡させていただきますので、よろしくお願いいたします。 ○岩男部会長  それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しい中、ご協力いただきま してありがとうございました。 (照会先) 厚生労働省雇用均等・児童家庭局 総務課 企画法令係 03−5253−1111(内線7825)