05/05/30 第9回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第9回 医療計画の見直し等に関する検討会                        日時 平成17年5月30日(月)                           15:00〜                        場所 厚生労働省共用第7会議室 ○谷口指導課長  ただいまから、「第9回医療計画の見直し等に関する検討会」を開催します。委員の 皆様方には、本日お忙しい中、ご出席を賜りまして、誠にありがとうございます。  検討会委員の尾形委員、納谷委員、ワーキンググループの河口委員が本日はご欠席と いうご連絡をいただいています。また信友委員、松田委員、長谷川敏彦委員は若干遅れ るようです。それから私どもの岩尾局長は、残念ながら公務で急に出席かないません で、欠礼をさせていただいています。どうぞ、よろしくお願い申し上げます。  それでは座長、よろしくお願い申し上げます。 ○黒川座長  今日も、よろしくお願いします。議事に入りますが、お手元にあるような議事次第で す。まず、事務局から提出されている資料について説明をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  事務局から、資料についてご説明します。資料1「医療制度改革を念頭においた医療 計画の見直しの方向性に係る論点整理(案)」、資料2「基準病床数制度に関する現状 の評価と今後のあり方について(メモ)」です。前回に引き続き、各委員からのペーパ ーですが、鮫島先生からいただいています。以上です。 ○黒川座長  よろしいでしょうか。早速ですが、議題に入ります。今日の議題は最初に書いてあり ますように、「平成18年度の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向」と いうことです。いろいろ議論をいただいて、まだ出口が見えているわけではないけれど も、いろいろなステークホルダーがありますが、方向性としては是非そのようになれば いいなと思います。  そこで、前回の検討会では各委員から医療計画に関する検討についてご意見をいただ いて、今日は鮫島委員からもメモが入っていますので、まず前回ご欠席でありました鮫 島委員と古橋委員からご意見をいただきたいということで、10分ずつお願いします。鮫 島委員、よろしくお願いします。お手元の資料のいちばん最後です。 ○鮫島委員  前回、欠席して失礼しました。前回はこの会議に参加していなかったので、少し流れ がよくわかっていないようなところがあって、ピント外れのことを言うかもしれません が、どうか勘弁していただきたいと思います。もう1つは、私は精神科医療について関 わってきていますが、今回のこの意見については精神科医療、特に診療ネットワークの 問題や地域医療の問題は、精神科の場合はまた別の角度からの検討が必要だと思いま す。これは多分、社会保障審議会の精神障害分会でまた検討されるのではないかと思い ますので、その点にはあえて触れていません。  前置きが長いですが、各病院団体の先生方から詳しいものが出ていて、おおむね今回 の医療計画の見直し案については高い評価をされているような感じがしますので、私は あえて、この討議の中で時々感じたことを拾い集めて羅列して、報告に替えたいという ことで資料を出しています。  まず、医療計画の見直しの方向性ということで、大体3つぐらいの方向性が出されて います。住民・患者の視点を尊重したわかりやすい体制の実現、質が高くて効率的な云 々、都道府県の自主性・裁量性を発揮させるということで、いずれもこれに反対できる ようなものではありません。そういう形で実現すればそれでいいのではないかと、大枠 では賛成したいと思いますが、実際に具体的にどうするかという各論になると大変複雑 で非常にややこしくて、大変な問題があるというのが現場で医療に関わっている者の感 覚です。その点を今後の検討の中で十分検証していただきたいと思います。  その前に当然、いろいろな詳しい調査が行われると聞いていますが、どういう調査を どういう形で行うかというのも非常に大きな問題だと思います。これについては、全日 病のあたりからいろいろと提案もされているようですので、十分な検討の上での調査を していただきたい。その調査結果について、従来、国や県の調査というのはなかなか外 には見づらいところがありますので、その辺を国民に知らせるというだけではなくて、 医療機関や医療関係者にも十分わかるような形で情報を公開してほしい。  それに基づいて、医療計画というものが検討される。場合によっては、病院がその結 果を見て、自分の所の医療機能の変更を考えざるを得ないということも出てくるでしょ うから、そういう場合は国や県が、ある程度それに対してバックアップすることも必要 になってくるのではないか、ということを申し上げたかったわけです。  2つ目の基準病床数制度の問題は今日の資料にも出ているし、ワーキンググループの 議論の中でも病床規制を撤廃するかどうか、撤廃するためには、最低4つの条件をクリ アしなければいけないということが出ていました。4つの条件をクリアするのはなかな か難しいだろうと思いますので、当分病床規制は続くと考えられるわけです。でも、そ の病床規制を継続するというのはあまり積極的な理由ではなくて、消極的な理由で継続 するというふうに聞こえているわけです。  ところが、ご存じのように、精神病床では10年間で約7万床の減少を促すような基準 病床数算定式等が設定されています。これは、社会保障審議会の精神障害分会で行われ ています。逆にいうと、かなり積極的で政策的な病床規制です。そうすると、病床規制 を撤廃しようという意見と、これとはまさに逆行するようなことなので、この辺はどう いうふうに頭の中で整理したらいいのかということがあります。  事実、ある県では精神病床は基準病床より500床以上、下回ったということで、その 間に隙間ができたことによって新しい精神病院がいくつかできた。それも、医療計画、 記載事項等々で、あるいは精神病院全体の中から考えても必要とするような救急病床と いったものを作るのではなくて、あまり必要のないような病床がそれによって増えて、 病院が増えるという結果が起こっている。  これは何なのだと。何か非常に一貫しないようなところがありますので、この点は病 床規制というのは消極的な意味で継続するとしても、病床規制のあり方というのをきち んとすべきではないだろうか。あるいは、どこにその権限を持たせるのかといったこと もきちんとすべきではないだろうか。そうしないと、必要な病床は増えないで不必要な 病床が増えるということは、これからも繰り返される危険性があるのではないかという ことを申し上げたいのです。  記載事項に関しては、あまり多過ぎると焦点がぼけて駄目なのではないかというご意 見もあったかと思いますが、ずっと見ているとすべて必要なものは記載事項として挙げ られていると思います。それが、なぜ実現しないかというのは行政側の問題でもあろう かと思いますが、都道府県でできないものはブロックでやるとか、国が責任を持ってや るという形できちんとやるべきではないかと思います。  4つ目は日常医療圏、診療ネットワークの問題です。これについては一般の医療のこ とですので、精神科の病院は日常医療圏の中では、専門病院という形で位置づけされる かと思います。精神はまたほかの形でのネットワークが必要なので、この点については 別にしまして、そこに書きましたように、いろいろ問題点があるのではなかろうかとい うことで挙げています。特に疾患別に日常医療圏を設定するというのは、アイディアと しては非常によさそうですが現実はなかなか難しいのではないかと思います。これは私 だけの感想なのかは、よくわかりません。  かかりつけ医の機能が非常に重要だと思います。かかりつけ医自体が昔と今とではか なり変わってきていますし、地方と都会では違うし、いろいろな意味でこれも再検討の 必要があるのではないか。それから、イメージ図の中に一般病院の姿が出てこない。専 門病院や療養型病床群というのは出てきますが、一般病院というのは出てこないので、 これはどんな位置づけにしようとしているのだろうか。  いずれにしても核になる病院を設定して、それによってネットワークを作ろうという やり方ではなくて、もう少しかかりつけ医を中心にした病診連携、あるいはいろいろな 形での連携を強化し評価することによって、同時にIT化などいろいろあると思います が、カルテの標準化などのいろいろなことを通じて情報のネットワークを充実させる。 そちらからまず手を付けるほうが筋ではなかろうかと考えています。  最後はちょっと手前味噌みたいな話ですが、例えばがん、糖尿病、脳卒中などの患者 の中にも、かなりの精神障害の方がいらっしゃる。これを早期にうまく治療することに よって、在院日数も短縮できるという報告もありますので、そういったことも考えてい ただきたいです。長々とまとまりのない話になりましたが、以上で終わります。 ○黒川座長  もし2、3質問がありましたら、これは結構共通の議論をしているところですので、 何かありましたらどうぞ。 ○津委員  いまの鮫島委員の話の最後で、2枚目の4に「日常医療圏と診療ネットワーク」とい う話がありましたが、1年ぐらいの間でいろいろなことを見ていますと、基準病床の問 題と主要疾患の問題と、いまの診療ネットワークの問題があると思います。主要疾患と 基準病床の問題というのは、どちらかというと上から下ろしてきたような感じがして、 いちばん大切な現場での話というか、帰納法的に現場の話から上に上がってくるという のは診療ネットワークではないかと思います。  その中で、キーワードとしては二次医療圏、いま日常医療圏という話がありました。 どうもその辺の範囲で論議されると現場の私たちのところでは、どこの地区でもそうだ と思いますが、何々地区医師会、歯科医師会、薬剤師会というのは大体同じような分割 の中で行動していますから、その中の話の診療ネットワークがあまりうまくまとまって いない感じがしています。  その中でかかりつけ医、かかりつけ歯科医、かかりつけ薬局というのが住民にとって いちばん大切な身近な問題であって、下から上がってくる問題がもうちょっと入り込ん でいかないと、これが都道府県に下りたときに、また上からだけの問題で、現場の二次 医療圏の中のもう1つ下の地域の医療に全然話が伝わってこない感じがします。まとめ 方としてはそういうところも、末端の話イコール診療所を中心にした患者との関わりと いう中で、もう少し揉んでもらいたい感じがしています。 ○黒川座長  そのほかにはいかがですか。そうしましたら、またあとで追加発言その他がありま す。ありがとうございます。そのとおりだと思います。  次に、古橋委員からよろしくお願いします。 ○古橋委員  私の医療計画の見直しに関する意見については、お手元の前回の記録の綴り「第8回 検討会資料」のいちばん最後に、日本看護協会としての意見を2頁にわたりまして要約 しています。それに沿いまして、述べさせていただきます。  意見は大きく2つに分けまして、折々でも発言をさせていただいていますが、国民す なわち住民や患者にわかりやすい保健医療提供体制を実現する必要があるということ と、次の頁の2番目の質が高く効率的で、検証可能な保健医療提供体制を構築する。こ の2つの柱について、意見をまとめました。  国民にわかりやすい保健医療提供体制の実現に関しては、ただいまもご発言、ご意見 がありましたが、都道府県が日常医療圏に必要な医療資源を把握して、主要な疾病ごと の診療ネットワークを構築することがこれまで検討されてきています。しかし、日常医 療圏の診療ネットワークのイメージ図の中では、かかりつけ医、診療所が前面に出され ていますが、日常医療圏の医療機関の役割や実態、地域性を踏まえた計画とする必要が あると思います。  特にかかりつけ医については、例えば病気の本人あるいはその家族が、自分のかかり つけ医として明確に認識している医療機関というのはいかほどあるかというと、そのあ たりはやや不鮮明ではないかと思います。そういう点で、特にかかりつけ医について は、国民にその実像がわかるような概念・規定や要件を明確にし、このネットワークの イメージ図が、実効性のあるものに深められていくということが大切だと考えていま す。  わかりやすい保健医療提供体制の2つ目は、疾病予防や重症化の予防、疾患の継続的 管理や介護予防及び家族のレスパイトという点から、地域保健や福祉等との連携が非常 に重要で、単独にセクト的に検討されていくというよりは、総合的な医療計画というも のが必要だろうと思います。そういう点では、日常医療圏の定義や概念については、地 域保健や話題にもなっている障害者福祉、介護保険等を含めて制度の横断的な共有とい うものが大事でありまして、そうしないと国民にはわかりにくいと思えてなりません。  制度間の整合性や連携を図ることができるものとするということで、ここには明文化 していませんが介護保険のほうでは、地域包括支援センターという構想が出てきまし た。こういう構想が国民、地域住民の皆さんにとって、相談や支援の拠点的な機能が介 護のみならず、医療領域、保健領域でも機能する点から、あってもいいのではないかと 思います。地域包括医療支援センターに高い関心を持っております。  わかりやすい保健医療提供体制の3つ目は、チームで提供していく医療という点で す。介護施設や訪問看護ステーション、保健所、市町村保健センター、助産所、薬局等 の連携がネットワークのイメージの中に描かれて、これらの存在がわかるように国民に 明示されることが必要ではないかと思います。そういうものをさらに補完するものとし て、患者会といったものや老人クラブ等々の地域住民の主体的活動や、ネットワークも 併せて共存的に関わる。そうしたものが計画的に位置づけられていくことが効果的では ないか。すなわち、住民参加、患者参加の視点という点でも提供体制が検討される必要 があるのではないかと思います。  また医療法には、医療提供の理念が法の第1条の2に明記されているとおり、医療の 担い手というのは医師、歯科医師、薬剤師、看護師、その他の職種であります。  そういう点から、連携の形、連携の実際が国民にわかるようになって、かつ相談もま た必要によって区分けされながら、そういうところへ国民がアクセスできるようなもの にしておくことも大事ではないかと思います。国民にわかりやすい医療提供体制の構築 というものを前提として、病院と診療所の役割、機能などについても実態を踏まえ、診 療所の構造設備等の基準を明確にして、また有床診療所における医療内容、医療技術の 適正な評価がなされ、そこでの夜間看護体制、看護技術の評価もなされた上で、これら が診療報酬にも反映する。  すなわち、診療所も国民の医療を提供する所として、非常に重要であるという評価を し、その評価は医療計画の中に含めながら考えていくことも大切ではないかと思いま す。そういう点では診療所のそうした実践が診療報酬に反映され、質が上がった分はそ れなりの評価が与えられて、安心で安全な医療や看護の提供という点で決められてい く。診療所の看護職の適切な人員配置というのも見直され、検討される必要があると思 います。  2つ目の柱は、質が高く効率的で、検証可能な保健医療提供体制に触れています。数 値目標の設定や、数値目標を達成するための活動計画としての医療計画の立案に当たっ ては、人材の養成確保、医療安全等を非常に重要視し、それらを核にしながらきめ細か な計画を立てることも重要と捉えています。また都道府県が自主性、裁量性を発揮する ことによる、地域に適した保健医療提供体制ということも議論されてきたわけです。  日常医療圏における医療機能の把握あるいは各医療機関のそれぞれの機能や内容に関 しては、住民にわかりやすく利用しやすい情報が提供されることが非常に大事で、そう したものが各都道府県によってよりよく実践されること。そして地域住民、患者団体等 のニーズを把握すること、各都道府県の保険者等々を含めた協議会についても、この機 能を重視することが大事ではないかと思います。総論的でしたが、以上です。ありがと うございました。 ○黒川座長  ありがとうございました。何かご意見、ご質問がありましたらどうぞ。もしなけれ ば、この間の続きといってはおかしいのですが、今回の各委員からのご意見、前回の各 委員からのご意見がここにありますが、それについて一般的な議論、意見の交換をした いと思います。前回は池澤先生、佐々先生、豊田先生、・津先生、山本先生、福島先生 からいろいろ話をしていただきました。それも含めて記憶に定かでないところもあるか もしれませんが、ご意見、ご質問をいただければと思います。 ○濃沼委員  指標に関して患者の視点中心というのはアピール性があります。では、患者の視点は 何かといえば、安心、安全、良質の医療という3拍子で、このうち良質の医療は疾病の 指標等で、見ていくことができる。ただし、十分また整理をする必要があります。一 方、安心と安全は見えてこない。  安心については、住民の視点であれば救急、アクセスなどが重要。アクセスについて 言えば、高齢者にはフレンドリーな仕組みだけれども、サラリーマンには意外とアンフ レンドリーな仕組みとなっている。多くの施設がワーキングタイムしか開けていません ので、出勤前あるいは帰宅前にかかれないことです。安心という意味からいうと、アク セスの不十分の点検、すなわち、住民のニーズが高い時間帯に応需体制が整っているか チェックする必要があるのではないか。  安全については、相談窓口がきちんと整備されているかとか、安全に関する指標を把 握する必要がある。これらを加え、3拍子をバランス良く見ていけるようにする必要が あると思います。相互に関連する指標もある。各都道府県に指標を明示していく場合 に、そういう配慮が大事ではないか。 ○黒川座長  この前の議論もそうですが、地域によってかなり違いますよね。伝統も歴史もある し、ここのところ40年で急激に都市化している。都市化だと、クリニックとドクターの 自宅は全然違う所という急激な変化が起こっているという話は、全部包括的にここで出 すよりは、なるべく地域で考えてという話にはなっています。しかし、そういうときの 財政的なものや地方分権の話になってくると、その辺は行政的にもどうやるのか。シス テムをサジェストするのはいいけれども、その辺がなかなかの問題かもしれません。都 市と地域によって、全然そういうニーズが違うだろうなというのは確かにあります。そ のほかにはいかがですか。 ○池澤委員  1頁に改めて、がん、脳卒中、心筋梗塞から災害医療、へき地医療までが列記されて いますが、これを実際に考えてみて、日常医療圏というものをこれでそれぞれ作ってい くことは、非常に行政の側にも患者の側にも医療機関の側にも、弾力的な発想法を持た ないと難しいのではないかと思います。  というのは、脳卒中、心筋梗塞というのは患者がパッと出て、さあ大変だということ で、できるだけ近くで、しかも設備が完備した所に運んでいくという問題がまず起こる わけです。糖尿病とか、そういうものについては緊急性という点では非常に少ない。が んについていえば、最近のマスコミの報道にもいくつかありますが、かなり広域的にな っている。東京から札幌に通っている例などで、非常に難しい部分があるわけです。  小児救急というと、確かに一部には救急救命的なものもあるけれども、一般的に押し 掛けてくる患者のほとんどが一次救急でという問題もある。そういう意味でいうと、救 急医療の場合も実際に入院するのは、東京都内ですと20%をちょっと超えるぐらいはあ るわけです。そういうことでいくと、それぞれの診療圏を作るといっても、かかりつけ 医を中心としてそれぞれ組み立てていくのは、現実には本当に難しい作業だと思いま す。この辺は行政が相当にそれなりの政策をもって、都道府県単位で考えていくことを しないと、患者が勝手に作っていくという問題になるのではないかと思います。 ○黒川座長  それはありますね。おっしゃるように中核とか、いろいろな話も病気によって全然性 格が違うことがありますね。 ○河原委員  前回は欠席だったので、議論に出ていましたらお許しください。資料1の2頁の下か ら2つ目で、5年ごとの計画の見直しは従来からそのとおりですが、医療計画が停滞し ている1つの理由は、5年ごとの見直しです。すべてのものが、5年ごとに見直される という行事的になっていると思いますが、例えば、大きな戦略は5年ごとでもいいと思 いますが、指標によっては5年あるいは10年先に結果が出るもの、1年で出るものもあ ります。あるいは戦略以外の事業計画や事業の執行など、その進め方のあり方というの は5年ではサイクルが長過ぎるのではないか。こういうのは現場の意見も聞きながら、 1年ごとでも見直すことは可能ではないかと思いました。 ○土屋委員  この「日常医療圏」という言葉が耳障りで、何か独り歩きをしてしまっています。例 えば、がんを考えてみると、がんは日常医療ではないわけです。がんの治療を受けると いうことは、かかりつけ医に通常は相談して、そこで適切な医療機関を紹介してもらう というのが普通のルートですが、入院というのは一時的な避難行為で、極めて非日常的 なものですよね。入院を中心に日常医療圏を構築するという考え方は、あまり適切では ないのではないか。  いうなれば、非日常医療圏とでもするなら話はどこかで合うかもしれませんが、もっ というと都市部ではこの日常医療圏というのは、全くナンセンスです。では地方ではど うかというと、地方ではそれなりの地域の提供体制ができているわけです。今日の説明 の中で、また医療機能調査というのをやることになっています。その結果によってどこ か足りないところ、薄いところを補強することになればいいのでしょうけれども、従来 は二次医療圏ということでいろいろ整備されてきていますので、地方ではほぼ二次医療 圏と同じになるのではないかと考えられるわけです。  いままでの説明の中で現状がわかりにくいとか、非効率的であるという具合に決めつ けていますが、後ほどネットワークの際に申し上げたいと思いますが、診療ネットワー クを構築するに当たってその中心にかかりつけ医なるものを持ってきて、それが大事で あるということが何人かの委員から出ました。それならば、このかかりつけ医というの は、行政が「あなたはかかりつけ医を持ちなさい。この人にしなさい」などということ ではなくて、すべての患者がすべての医師の中から自分で選ぶというものです。かかり つけ医ですから1回では決まらないわけで、何回かしているうちにその先生なり、自分 のいまの状況から疾病や何なりによって決まってくるのだろうと思います。  大分、かかりつけ医機能はいままでも大事でしたが、そうなればこのかかりつけ医機 能を一層推進するという意味で、医療計画の中の記載事項とすることを考えてみてはい かがか、ということを申し上げておきたいと思います。 ○濃沼委員  資料1の3頁で、流れとして検診からリハビリ・在宅・ターミナルとなっています が、これはやや古いステレオタイプの疾病対策ではないか。これらの生活習慣病は二次 予防だけでは不十分。一次予防あるいは子供のころから対応しないと、十分な成果が得 られない。  死亡にスポットライトが当てられているが、生まれるところも重要。例えば、乳児死 亡率は宮城県は悪化傾向です。幼児、青少年のところから対策を取ることが生活習慣病 の予防として重要。医療機能としてこれらの活動が評価されるようにすべきでしょう。  検討会の初めの頃にライフステージとして生涯を通じた疾病対策の重要性が語られた と思いますが、指標の取り方についてもこれと連動させるなど、もう少し概念整理をし ていただきたいと思います。 ○黒川座長  事務局に伺います。「健康日本21」という大きなフレームが出ているのは、明らかに 生活習慣病が多くなってきて、自分でかなりコントロールができるところがあるけれど もそれをしないし、あのときにたばこを吸う人を10年で半分にしろというのも削られて しまったわけですよね。  ワーワー言っているうちに、今度はたばこのベンディングマシーンを出す所を少し限 るかという話が出てきた。それからいまのところ、日本ぐらい、たばこが安い所はない わけよね。それについて、実際に政策的に何かありますか。最初は税収が減るからなん て言ったけれども、高くすればいいわけで、日本ぐらい安い所はない。ヨーロッパでも アメリカでも、大体1パック8ドルぐらいではないですか。1,000円近いと思います。  どこにでもベンディングマシーンがあるというのは、かなり国家的な陰謀ではないか と言っているけれども、厚労省は何かしていますか。最近は、そういうのがニュースに 出ていますよね。人が見える所でないと、たばこの自動販売機はやめようという動きが あるのではないですか。何かありますか。「健康日本21」をやってもしょうがないか ら。 ○岡島審議官  ちょうど明日から禁煙週間も始まるところですので、「健康日本21」で生活習慣病予 防、健康づくりという観点からさまざまな目標を定めています。手元にないので正確な ことはわかりませんが、喫煙というのは非常に重要な内容として定めていて、ちょうど 本年が中間評価の年に当たっていますので、具体的な目標はいますぐに出ませんが、そ れがどれだけ達成されたか。そして、それをさらに進めていくためにどうしたらいい か、という目標値の見直しも含めて進めていこうとしています。 ○黒川座長  それは、「健康日本21」の話ですか。 ○岡島審議官  そうです。 ○黒川座長  あれは見直しの中間がありましたよね。 ○岡島審議官  今年です。さらに、喫煙対策として各省を含めまして、どういう取組が必要かという ことも検討しているところです。 ○黒川座長  それは模範答案だけれども。 ○岡島審議官  確かに、その中の議論でWHOなどでも言われていますが、また厚生労働省がという よりも別の審議会の中でも、委員の方々からいろいろなご意見が出ていまして、たばこ の価格をもっと上げたほうがいいのではないかと。それが、たばこの消費を減らすこと につながるとか、その他いろいろな議論、ご意見が出ています。そういったものも含め て、これからどうしていったらいいかというのは、まさに検討をしていくことになるか と思います。 ○黒川座長  それは政治的な意思の問題ではないですか。そんなのは前から言っているのだから。 ○岡島審議官  ただ、具体的にどれだけのことを政策的な目標として、あるいは「健康日本21」の目 標として。 ○黒川座長  厚労省はそうだけれども、財務省は税収が減るからと言っていた。だから、値段が安 すぎるし、自動販売機がどこにでもあるというのは馬鹿げているのではないですか。日 本は安いよね。 ○岡島審議官  それは、おっしゃるとおりです。 ○黒川座長  それをどう言うかというのは、戦略の問題ではないのですか。 ○岡島審議官  戦略の問題としても含めて、検討をしていくと。 ○黒川座長  検討ではなくて、政治的な決断を迫られたらどうしたらいいかということを考えてく ださいね。 ○土屋委員  たばこの価格が上がると、確かに消費者、喫煙者が減ることは事実ですが、そのため に税収が落ちるかというと、そんなことはないです。欧米のデータから見ると、税収も 上がるのです。ところが、財務省あたりの考え方は、そこはどうしても触れないので す。もっと言うと、たばこ産業のさらなる発展を願うようなことが中の分科会等でも出 ています。そうではないのです。  いま座長がおっしゃったように、欧米は日本の2、3倍ですが、そうやって上げて倍 にしても2、3割減るというデータです。税収は大体8割は確保できるということで す。価格を上げておいてそうですから、さらに税収は増えるということになります。で すから大変結構なことで、私ども日本医師会では三医師会、看護協会を含めて、明日は 世界禁煙デーになりますので、そこでひとつ皆さんにアピールしようということで準備 をしています。だから、たばこの価格を上げることによって、一石何鳥という効果があ るということです。 ○黒川座長  自動販売機の問題とは前から言っているけれども、そういう話をしないで、「健康日 本21」とか、生活習慣病の場合はみんな血管疾患だし、がんの話もあって、なぜアクシ ョンが取れないのかというのはアプローチがまずいのかな。戦略的に、どうやったらい いかというのを考えたらいいのではないですか。それで医療費のこととかを全部考えれ ば、はるかにプラスが多いと思います。すみません、そんなことです。みんな各論は言 っているけれども、ファンダメンタルなところは、いま濃沼委員が言ったように疾病構 造も変わっているし、いま言ったがんの検診はこれかもしれないけれども。  それから、いま肥満がアメリカ中で大問題になっているから、肥満のキャンペーンを どうやって子供のときからやるかという話をずいぶんやっていますよね。3分の1の人 が医学的に肥満で、3分の1は医学的でなくても一般的な肥満というか、3分の2が肥 満だという話ですから、その経済的なコストはすごいのではないですか。一方で、ファ ーストフードは猛烈にビジネスだと言っているけれども、社会的にそれがいかにまずい かという話になれば変わってくるだろうと思います。それは一般論です。頑張ってくだ さい。「健康日本21」が出てから、5年が経っているのでしょ。 ○岡島審議官  ちょうど5年です。 ○黒川座長  早くやればいいのに、5年が経っても何も動かないし、値段も上がらないというのは 変な話だなと思います。1カ月ぐらい前に、そういう話が出ていたではないですか。た ばこの自動販売機は人が見える所に限るとか。そういう話はなぜかというと、がんの患 者の要求と同じことで、もうちょっとメディアが書いてくれないと動きにならないです よね。一石三鳥か四鳥もあるのに、なぜしないのかがよくわからない。 ○土屋委員  これはWHOにたばこの枠組条約というのができまして、日本もこれに批准し署名し たわけですから、もうこれは国としての責務です。いままでは省庁間でいろいろな思い があったのかもしれませんが、これは一致してそれに取り組まなければならないという 状況だと思います。 ○黒川座長  そのほかに、日常医療圏の話等々があったけれども。 ○山本委員  先ほど津委員からは、ボトムアップの議論をして積み上げていくべきだというお話 と、土屋委員からは日常性と非日常性のお話がありました。入院が日常かどうかはとも かく、私も少なくとも日常とはかけ離れた部分だろうと思うので、その意見には賛成で す。そういった意味では、いまの医療計画の見直しというのを患者からわかりやすい仕 組みにしよう。安心、安全、良質というものを患者から見やすい、わかりやすい仕組み にしましょうということで議論が進んでいるわけです。  例えば資料1で、日常医療圏に必要な医療資源をどう確保するか、把握するかという 問題であったり、チーム医療の問題であったり、あるいは医療の担い手がどう活躍する かという議論があるわけです。前回はそうした視点から意見を述べさせていただきまし た。  資料1の4頁以降に、診療ネットワークについてということで、この論点整理に従っ て、診療ネットワークをどう作っていくかというねらいが羅列されています。前回まで いろいろな議論が進んできたものすべてが、この中に盛り込まれるわけではないとは思 いますが、しかし全くこの中に一顧だにされていない、記載されていないということも 問題があるのではないかという気がします。  薬剤師という立場から、8回目の資料を見ると、さまざまな部分で薬局の役割が記載 されていますので、そうしたことを踏まえて意見を述べさせていただきました。今回は そうしたことが論点整理の中で、どのような形で反映しているのかお伺いしたい。  つまり資料1を拝見すると、具体的なネットワークの中にも、医療機関の連携であっ たり病院と医療機関という書き方がありますが、医療提供体制を考えたときに、医薬品 はいったいどうするのかという視点がこの中にはないような気がします。この論点の整 理は案ということであるからと言われればそれまでですが、いったいこれまでの意見は どのような形で反映されているのかをお伺いしたいのです。 ○針田医療計画推進指導官  順番が逆になって申し訳ないのですが、資料1の説明を全体的にさせていただいて、 またご意見等をいただきたいと思います。 ○黒川座長  では、これから説明してもらって少し議論しましょう。 ○針田医療計画推進指導官  まず、資料1の説明をさせていただきます。論点整理ということで、前半が医療機能 調査と指標について、後半がネットワークについてとなっています。前々回にポンチ絵 というか、シェーマというか、いろいろな図をお示しさせていただきました。いろいろ な捉え方があるというさまざまなご意見をいただいて、本当にありがたかったのです が、ある程度論旨をまとめるというか、骨格の部分を改めて確認の意味で文章にさせて いただいた形になっていますので、すべての議論がここに入っているわけではありませ ん。事前にお断りさせていただきます。  いままでのポンチ絵等を含めてどのようなことを言っていたかというと、1頁は住民 ・患者の主張を尊重するということ。また、わかりやすく説明するというものを前面に 立てたいということで、主要な疾患・事業、がん、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病、小児救 急を含む小児医療、周産期、救急医療、災害医療、へき地医療というものをお示してい たところであります。  どのような対策が講じられるのかといったものを、わかりやすく医療計画に書く、明 示することによりまして、サービスを提供する側も受ける側も、住民も患者も情報を共 有することによって、客観的に評価できる方法を検討していくべきではないかという形 になっています。また、客観的なデータをお示しするに当たりまして、国としてもその 体制を構築することを支援するために、いろいろと把握したデータを公表し、またすべ ての国民が活用できるような情報の環境整備をすることが、重要であるというお話があ ったと思います。  併せて、日常医療圏というディスカッションもありました。基本的にそれは患者の受 療行動に応じた圏域であろうということで、ここはそのように書いています。3つ目 は、患者の受療行動に応じた圏域です。決して上からボンという話ではなくて、患者の 受療行動を考えた形でやる圏域であろうと。圏域ごとに医療サービスが把握できるよう に、疾病動向や医療機能等を把握する指標のようなものを作る必要があるのではないか ということです。また、その指標を用いまして都道府県においても、数値目標などを医 療計画に明示して、その改善プロセスを住民に公表する。そのようなことによって、実 効性のある医療計画ができるのではないかということを書いています。  次の頁は、国が示す全国共通の指標です。これは何度もお話していますが、おそらく 患者の視点というものを中心にして作らなければいけない。また量的なものもあります が、質的な観点も重視すべきではないかということで、国民に対し良質かつ適切な医療 を効率的に提供できる体制の構築に向かうべきである。また、個別の医療機関の医療機 能だけの視点ではなくて、地域全体の医療機能というものを概観するような、複数の視 点をもってやるべきではないかという考えが示されたと思います。  また都道府県においても、国が示すのと同じような形で、これに準拠する数値目標の ようなものを作っていく必要があるのではないかということを示しています。その指標 ですが、「構造」面の指標の評価というものもあったのですが、できるだけ「プロセス 」や「アウトカム」といったものの評価も導入して、検討すべきではないかということ のお話がありました。  また先ほどお話にありましたが、5年ごとに見直す医療機関において、その把握・分 析をする。もっと短いのもあるかもしれませんが、ここで言いたいことは把握・分析し て評価していく。また、全国共通の指標だけではなくて、都道府県も任意の指標を用い て分析・評価することが大事ではないかということを言っています。  最後に、この指標は患者の視点に立って疾病予防、治療・診療、リハビリテーション ・在宅医療・ターミナルケアと書き方は不十分かもしれませんが、患者の病状の変化や 治療プロセス、当然ライフステージというものを意識しておりますし、これまでもライ フコース・アプローチというものも検討していますので、そういった感じのものをイメ ージしながら指標も立てなければいけないということで、最終的に質の高い効率的な保 健医療提供体制の構築に資するものとすべきであるということを書いています。  次の頁です。いままで、いくつか疾患ごとのペーパーを作った指標がありましたが、 これは疾病系で、1枚にまとめてみました。これも例示ではありますが、大体こんなイ メージでどうかということをお示ししています。左端は予防や検診の部分、ヘルスの部 分も当然大事ですし、それから治療・診療に関することでリハ・在宅・ターミナルとい うものも含めて、一連の流れの中で考えていくべきではないかということです。当然、 厚生労働省としては健康部分については検討していますし、医療の部分も検討している ということで、連携を取りながらやっているところです。  医療につながる部分として、左のほうでまず把握したい概念として、患者と住民がど んなものに関心があるか。例えば、どのくらい健康に関心があるかというものを指標と して持ってくる。なかなか難しいのですが、住民がどのくらい健康に関心があるかとい う指標として、健・検診の受診率と仮定した場合、それぞれの疾患ごと、がんであれば がんの検診受診率だろうし、脳卒中、心筋梗塞、糖尿病とうまくマッチするかはわかり ませんが、基本健康審査受診率や何かにおいて、評価できるのではないかという案をお 示ししています。  次に、どのくらい自覚しているのか。精密検査に行くことも大切ですので、そこら辺 の受診率というものを指標として用いるのはどうかということを考えています。また、 それには合致しない疾患もありますので、それはほかのもので考えなければいけないと いうことで空欄にしています。その他の指標として検診異常発見率、または保健指導実 施率みたいなものも大切な部分があろうかと思いますので、それぞれの都道府県等で考 えていただく参考にはなろうかと思います。  次は、同じように住民・患者の立場から見て、どのようなものを捉えようとしている のかということで書いています。有病者の受診割合、病気の人が行かなくなってもいけ ないので、そういったものを図るべきではないか。また、日常生活に復帰するというの が国民の願いだと思いますので、そういったものを図るために早期社会復帰率のような ものを指標にすべきではないか。これは、すぐにははかれませんが、例えば平均連結入 院日数ということで、1年間にどれだけ入院しているのか。できるだけ入院しないで、 個々の医療機関に入院することも大事ですが、全体としていかに社会復帰するかという のがいちばん大事だと思いますので、そこら辺を評価できないかということで案として 示しています。  また地域医療カバー率は非常に大きな概念ですが、その地域で患者が希望する治療が 受けられるかどうかというものを把握できる指標を用いるべきだと思います。これは本 当に1つの指標ですが、診療科医師割合みたいなもの、患者値のものでほとんど代用に なると思います。これは※の2で下に書いてありますが、何が言いたいかというと県民 ニーズ、その地域のニーズにどれだけ医療資源が応じることができるのかということ で、適正配置みたいなものもあるだろうし、ミスマッチ解消もあろうと思いますが、そ ういったものが指標として表わせないかということを示しています。  また、地域連携、医療機関がどれだけ切れ目なくサポートしてくれているのかがわか ると、安心する部分があろうかなと思います。連携パスのようなものがいいのかなと思 っていますが、こういったものを指標として用いながら、地域の住民に対して提示して いくという考え方です。  これでは個々の指標についてもいろいろ疑義があろうかと思いますが、全体の流れと いいますか、ライフコースというか、計画プロセスに応じて指標を用いて、それで地域 全体を評価していきたいといった表を示しました。最後、死亡率、あとは在宅支援とい うものをイメージしています。以上が指標についてです。  4頁以下は、ネットワークについてです。これも患者を中心とした医療機能の連携、 これは大事なことです。いろいろ誤解もあったのですが、基本的にお話したかったとこ ろは、医療機能の連携であって、それはネットワークなのだろうと。患者は疾病ごと に、例えばがんであればどうなのかとか、そういった切り口で物事を考える場合もあろ うかと思うので、疾病ごとまたは事業ごとに書くことに意味があるのではないかといっ た視点で書かれています。そして、わかりやすく、どのような医療機能があるのかが住 民・患者にわかるようになれば、安心感が持てるのではないか。  2つ目、ネットワークにおいて医療情報をお互いに共有することによって、患者の医 療への参加意識も高まると思いますし、納得して医療が受けられるのではないかと思っ ています。それは患者とかかりつけ医を中心とした、質の高い効率的な保健の構築に資 するのではないかといった視点です。  3つ目、これはあくまでも押しつけで、何人かの先生からのご指摘もありました。今 までの個々の医療機関から地域連携へという形でありますが、あくまでも病院の自主的 な機能分担との連携を推進するものである。そこから発展していくものであるという認 識で書いてあります。  下に留意点が書いてありますが、決して過度な専門性を追及しろというべきではな い。ネットワークはそういうものではないだろう。また、地域独占のようなものではな くて連携しながらいく。これによって質の低下があってはいけないというのは、当然な ことだろうと思います。  3つ目として、あくまで医療機関の自主的な機能分担等を支援するものであって、決 して強制的に何かするものではないという形、当然なことですが、そういうことを書い ています。  最後の頁ですが、診療ネットワークの内容として、その地域でどのようにして治療を 行うのかは、地域連携クリティカルパスのようなものを用いて、それをベースにそれぞ れの医療機関が、院内クリティカルパスのようなものを使うことに意義があるのではな いか。そうして地域の医療機関が連携をとって、日常生活への復帰に向けた作業を患者 と共にやっていくことが、あるべき姿ではないかと考えています。そして、そのデータ を再検証する必要性というのは、医療の質の向上に必要なデータの整備といいますか、 エビデンスを求めることに非常に意義があるのではないかと考えています。  診療ネットワークにおける医療機関と国・都道府県の役割ですが、地域がまず医療連 携を目指してやっていただく。そして、地域が選んだ調整役のようなもの、なかなかそ ういうものがなくて、うまくいかなかった地域があると聞いているので、地域が選んだ 調整機関が核となる医療機関になるのだと思いますが、そういったものを定めて、より 円滑に推進できる体制を作るほうがいいのではないかと思っています。そういう調整役 を担う所が情報提供とか、患者に対しては、切れ目のない医療サービスを提供するため の調整をするとか、または医療機関従事者の研修を行っていただきたいと思います。  最後に、国・都道府県の役割ですが、基盤整備の推進または自主的に取り組まれてい る連携を、一層推進するための施策を考える必要があるというところでまとめていま す。以上です。 ○黒川座長  これも踏まえていかがでしょうか。 ○濃沼委員  細かいことで恐縮ですが、資料の3頁の指標一覧の3行目に、「有病者の受診割合」 とありますが、具体的に分母と分子を伺いたい。有病者は受診してはじめて有病者であ ることがわかるのでは。例えば、がんと診断された者が受診しないことはほとんどない ので、がんで割合を出すことの意味がよくわかりません。り患率、有病率、有訴率など は調査で把握できますが、有病者の受診割合は、どのように把握するのでしょうか。 ○針田医療計画推進指導官  是非そういうご指摘をいただきたいのですが、基本的に患者、地域の住民、または医 療機関が一緒になって、病気を治していこうというもの、それを指標にして提示してい きたいという思いで書いています。確かに委員の言われたとおり、有病率というものは 把握できない疾患も実際にありますし、できるほうが少ないのだと思います。そういっ たものを研究していきたい。今まで受療率、有病率、有床率がありましたが、なかなか 合致するものがないということで、新しい言葉を用いています。その辺、委員の言われ たようなものをもう一度、指標として用いてやっていきたいと思っています。それは研 究をしていきたいと思います。 ○長谷川(敏)委員  2000年のWHOのワールド・ヘルス・リポートにコンセプトが掲載されています。こ れは英語でカバレッジという概念です。ターゲットのポピュレーションを例えば高血圧 とした場合にこの何パーセントが発症するか、あるいはワクチン摂取をその対象となる べき人にどれほど行えているか、それが必要な人をどれくらいカバーできているかとい う指標として、WHOではカバレッジという言葉を使って、そのいくつかの段階、つま り治療がうまくいくところまでいくのか、あるいは予防することが可能なのかといった ことをみています。だから是非日本でも使ったらいいのではないか。実際、有病率が捉 えられないような疾患がありますね。それは少なくともその調査を使いますと、ハイリ スク群のグループのどれくらいの割合にアプローチできていて効果をあげているかとい うことが分かります。 ○津委員  3頁の所です。主要疾患でいくつか具体的に入っていますが、いろいろな地域のこと を考えますと、歯科でも歯周疾患というのは慢性疾患で、これは40代ぐらいからきちん といろいろなデータを取り始めて、これがまた全身の疾患の糖尿病とも関わりが深かっ たりという、いろいろな意味で歯周疾患のライフステージの所の一部分を取り扱うの も、緊急性とか疾患の重要性というのはあまりないかもしれませんが、地域でのいろい ろなことを考えるときに必要かなということを改めて感じました。  それから先ほど濃沼委員から、ライフステージということで子どものころ、小さいと きからという話がありましたが、こういうものを見ていますと遺伝子のほうの情報が全 然考えられないので、もしかしたらもうどうしようもない部分をもってきている人たち のいろいろな管理というか、そういうものが何か必要ではないか。  細かいことはわかりませんが歯科だけで見ますと、例えば60歳半ばぐらいまではカリ エスがなくて良い歯をしてきて、突然60歳後半からガタガタッときて駄目になる。親、 兄弟、三代遡った辺りのところまで見ていきますと、大体年の後半になると、ガタガタ になってくる。実際に臨床現場ではそういうことも現れます。例えばこういったことを やるときには、後天的な問題ではなくて、遺伝情報がかなり入ってくるのではないかと いうことは感じました。 ○黒川座長  こういう話は最近の個人情報の話とかなり関係がありますか。どういう枠組でこうな るのか教えていただきたいのです。 ○長谷川(友)委員  最初の歯周疾患云々というのは、ワーキングとしては、例えばいろいろな疾病の社会 的な負担から、国としていくつか決めることができるだろう。ただ単に計算をするだけ ですと、壮年期以降に頻度が高い病気ばかりになってしまうのです。そうすると、ライ フサイクルコース全部を見るのではなくて、壮年期、老年期の成人・老年保健の話にな ってしまうので、それはよくない。例えば小児なら小児で多い病気、あるいは若年なら 若年で多い病気というのは、それなりに見ていったほうがいいということを提案させて いただきます。  また、いろいろな視点で、いろいろな病気のそれぞれの社会的負担はあり得る話なの で、是非いろいろ教えていただいて、例えば歯科の病気の社会的負担、疾病負担はまた 見させていただきたいと思うのです。  本当のところは、きちんとした情報システムを作って、個人情報保護との絡みです が、例えば現在の情報システムでは、健診1つをとっても、地域の総人口に対して何パ ーセントの方が受けているか、これはすぐに出るのですが、これだけなのです。ところ がその地域には、非常にハイリスクの方もおられるし、あるいはそういった受診のチャ ンスの少ない方もおられるわけです。例えば家庭に入っている方とか、自営業の方、そ ういった方々が本当にきちんとカバーされているか、そういうことがサブグループごと の健診受診率に当たります。これは個人情報なしでもいけます。  最終的には個人履歴管理です。この方は何年間、全然受けていない、そしてハイリス クだといった方々に、どういった形で受診を促すかは非常に難しいのですが、保健医療 の点から見ると、履歴管理まで出来るのがおそらく理想なのです。最終段階はもちろん 個人情報保護と非常に密接な関係があって、例えばいくつかの疾病の登録であるとか、 健診の精度管理のために、精密検査の結果をリファーするとかいうのは、一応、個人情 報保護法での第三者請求での例外となっています。これについてはコンセンサスがなけ ればできないことですから、もう少し議論が必要だと思います。あくまで保健医療とい う観点からは、そのレベルでの情報構築が望ましいというのは、個人的な意見として申 し上げておきます。 ○土屋委員  確認しておきたいのですが、1頁の下から4行目「あわせて、都道府県が」という所 です。「地域として、(患者の受療行動に応じた圏域)」と書いてありますが、これが 従来日常医療圏といっていたことを、こういう具合に書き直したということですか。あ まり適切かどうかはわかりませんが、まだこのほうがいいのかもしれません。  5頁の真ん中ほどです。「地域が選んだ医療連携の調整を進める医療機関(核となる 医療機関)を定める」となっています。これは医療連携の調整を進める医療機関、へき 地の医療支援機構とか、あるいはへき地の医療拠点病院の中にそれを設置するとか、い ろいろな形があります。これはあくまでもドクターを支援することが主体なのですが、 これを医療機関なり患者を主体に支援するための機関ということでも結構なのですが、 これは皆さんが当初言っておられた、いわゆる拠点病院を指すわけではないのですか。 ○針田医療計画推進指導官  積極的な事例をお見せすればよかったのですが、地域の連携パスのようなものをやっ ている地域があります。大体調整役のようなものがいらっしゃるというのを聞いていま して、そういったイメージで作っていました。まず拠点病院をボーンと決めて、ネット ワークを作っていくという誤解もありましたが、そうではなくていまいろいろ地域で研 究されているネットワークが発展していく、下から上がっていくというイメージがベー スにあります。しかし、そうなると地域によってはいろいろありますので、一概にどう だという話ではないのです。その地域に適した形でネットワークを作っていただきたい という思いで書いたのが、この表現になっています。 ○黒川座長  今までの議論では、そういう基本的なコンセプトでものは動いていると思うのです が、自分で律している地域のリーダーは、地域によってかなり違うし歴史的なこともあ るので、そういう関係でなるべくやったらどうですかという話をしている方向には動い ていると思うのです。それから拠点の小児とか精神科の救急もそうですが、できればあ る所の拠点をオープンシステムみたいに作ってやったらどうでしょうか、という話がこ この意見では出ているわけで、具体的なイメージが湧いてこないのだろうというのは確 かにあるなと思います。 ○豊田委員  診療ネットワークについて4頁、5頁に書かれていることですが、私も賛成なので す。ただ、このネットワークがここに書かれているとおりにうまく回転していくか、こ れが実際に動くのかということが問題だと思うのです。拠点病院、核となる医療機関の ことが書かれていますが、地域によっては存在する核となる病院の重さとか、いろいろ な意味でばらつきがあります。ですからこのように書かれたことが実際に機能していく ためには、これを動かすモーターといいますか、その原動力は核となる病院を指定した だけでいいかという問題があります。  これではただ書かれて努力目標を示されたような形になって、あまり機能をしないと 私は思うのです。これを地域で積極的に機能させていくためには、例えば各地域には医 師会がありますし、もちろん行政があり、それと核となる医療機関です。こういったも のがある程度の合議体をもって、このネットワークを推進するための核になって、積極 的に地域に働きかけていくという体制を作らないと、これは絵に描いた餅に終わる可能 性が高いと、それを危惧しています。 ○黒川座長  そうですね。それも議論が出ていたところです。 ○土屋委員  いまのご意見に付け加えてといいますか、関連しての話なのです。資料の4頁のいち ばん上、診療ネットワークを「主要な疾病又は事業ごとに医療計画に明示する」となっ ているのですが、これは先ほど委員のどなたからかも出ていましたが、もともと患者は 自分が最初からどんな病気かわかっているわけではないので、受診をして初めて自分の 病気が何なのかがわかるわけです。  その疾病ごとのネットワーク構想は豊田委員が言われましたが、頭で考えるとそうか もしれませんが、最初は患者はそんなことはわからないで医療機関に行くわけです。だ から病気にかかる前からネットワークをいくら示しても、こういう病気になったら私た ちはこうだというような概念的なことは、イメージとして住民に与えることはできるか もしれませんが、実際面にあっては、まず病気になったらかかりつけ医の所に行って相 談をし、あるいは診断してもらった結果、そこでできなければ然るべき所に紹介してい ただく、これが実際的だと思うのです。絵に描いた餅にはならないのです。  行政は何をやるべきかといいますと、行政が先ほど遠慮がちに「上からじゃない、下 からだ」というお話をされましたが、まさしくそうなのです。官が疾病ごとのネットワ ークなんていうことを作ること自体無理です。先ほど座長も言われましたが、その地域 ごとに歴史的、あるいは現実的な実情を踏まえてそれなりのネットワークはできている わけで、それをいかにいいものにしていくかということに支援をしてもらう。  4頁のいちばん上で疾病又は事業ごとにこれこれと言いながら、下のほうでは自主的 な機能分担を支援するものであると。これは病院の自主的というよりも、その地域にお けるネットワーク、自然発生的に現実的な対応として構築されてきたそのネットワーク の支援をする場合に、それは決して国とか都道府県が強制的に機能分担を迫って、そう いうことを作るものではないということを、明確に記載しておくことが必要かと思いま す。  「疾病又は事業ごと」となっているのですが、疾病ごとは先ほどお話がありましたよ うに、糖尿病の患者が自分が糖尿病だからと、ネットワークを通じて診てもらおうかと 考えたにしても、既にそのときは遅いわけです。医療機関に行って、あなたはどうも糖 尿病の気があるから、これからこういうことを守っていきましょう、というところから スタートをするのです。そのネットワークは頭で考えるとそういうものかもしれませ ん、透析患者になるまで長いスパンでそれは考えられるかもしれませんが、現実的には 医療機関を訪れて初めてわかることなのです。  皆さんの最初のころの説明の中に、患者が、自分が胃が悪かったらどこに行ったらい いかわかったほうがいいというのですが、胃が悪いかどうかというのは受診してみない とわからない、ということを大前提に考えてもらわなければいけないわけで、受診をし たところから始まるわけです。ですから疾病ごとは難しいにしても、救急をはじめ、こ の事業は小児救急、災害医療、へき地医療に対する対策事業のようなことがいまやられ ているので、そのことを言うのだろうと思います。ネットワーク化というなら、一口で 言いますと、疾病ごとにそういうものを作るのは難しいし、現実的ではありません。し たがってこれは事業ごとにならば、そういうことも必要かもしれないし、可能かもしれ ない。ここを明確に整理しておいたほうがいいと思います。  もっと言いますと、国立がんセンターなるものは、高度な医療をやっていることはみ んなわかっていますが、これは地域の医療機関でできる一般的な医療をやる所ではない わけです。要するに本来、特定機能病院として課せられたことをやるべきであって、例 えばその1つの機能としてはがんの専門医が少ないというのならば、その養成に相当力 を入れてもらわなければいけません。一般的な通常の医療機関ならどこでもできるよう な医療をやるべきではないか。そうすると本来の機能が発揮できなくなるのではない か。  それは拠点病院を指定することについても同じです。そこをまず指定してしまうと、 そこに患者が集まってしまう。小児救急の例でわかるように、結局、本来機能を発揮で きないことが、前例としてわかっているわけなので、その地域にあるいまのネットワー クを、いまの医療資源を最大限に活かして、必要ならば先ほどの調整的な機能を持った 機関を設置するかということになるのだろうと思います。  我々と患者が情報を共有するというのですが、ネットワークを図ったからといって、 患者に果たして情報が同じようにいくとは考えられないのです。その辺のところを整理 していただくといいのかなと思います。  今まで皆さんがお考えになっていた例のイメージ図で、一般病院があそこにないとい うお話が出ていましたが、私もこれはしきりに言っていたのです。なぜああいうことが 起こったかというと、あれはそれぞれの医療機関が持っている機能だけを切り出して並 べてみたのです。そしてネットワーク化してみたのです。現実に地域の医療はそんなこ とで成り立っているわけではないので、それを医療機関として明示したのが専門医療機 関、リハビリの医療機関、救急の医療機関としたものだから間違いなので、そういうも のを総合的に地域で何とかみんなで、いまでも機能分担をしてやっているのだという現 実を、十分に理解をしてもらわないといけないですね。それほど未熟で幼稚ではないの だということを、認識してもらう必要があるのだろうと思います。  本来、医療というのは疾病ごとにネットワークを考えるなんていう話ではありません で、糖尿病の合併症まで持ち出すまでもないと思いますが、全人的に本来これはみてい くものだろうと思います。疾病ごとのネットワークというのは、先ほど申したように、 事実上不可能だと思うのですが、各医療機関が医療に関する情報を、その地域にあって 共有することの大切さ、重要さは、我々が日々それは身にしみて十分認識しているとこ ろです。従って医療機能の分化も必要だというのですが、これも外から、上から、特に 官が強制的に機能分化させて、こういう具合に分担しなさいということではないのだ、 ということを申し上げておきたいと思います。 ○信友委員  こういう検討会の資料が現場に流れていくと、既に官だとか民だとかという発想でせ ざるを得ない、という気持になってしまっているのですね。だから事務局のほうを見な いで、座長を見ながら話をするということも、ここでまだ習慣化されていない。言いた いのは国の責務と開設者たる知事だとか理事長の責任は何であるか、また経営者の責任 は何であるか、ドクターの責任は何であるか、患者の責任は何であるか、患者の上にい る健康保険組合の責任は何であるか。責任の配分を明示して、だから何をどうしていか ないといけないかというときに、情報源はここにあります、指標はこういうものがあり ます、構造的に見ればこうですと。何をどういう手順でやっていかなければいけない か、というプロセスだけを今回は提示していけばいいのではなかろうかと思うのです。  いま横浜市の市立医療センターの見直しをやっていますが、みんな国がこういうこと を言っているということで、いちばん肝心な、横浜市内で救急患者として収容されて、 その中に脳卒中が何割いたかというのが掴めるのですが、市外に行ったのは掴めないの です。だから横浜市民を守れているか守れていないかはわからない。  何を掴まないといけないか、特に必要な指標はこうである。指標がこうであるときに は責任配分を言いましたが、例えば患者にとっても、患者と共有するときに病名は付い たけれども、治療中断率というのがあります。それはドクターの説明が悪いというのも あるだろうし、患者がただ同然だからもらっておこうかということもある。だから治療 中断率についても入れておく。すると患者にとっても、健康保険にとっても何が問題か というのが出てくると思うのです。  医療計画は誰がかかっているのか、ステークホルダーは誰であるか、それがピンとく るための指標は何であるか。だからまず何から取り上げていくのか、プライオリティを 作りなさい。そういうプロセスをやっていけばいいと思うのです。大幅に整理して出す ときには、現場、現場が自分で考えていけるようにする内容にしたらいいと思います。  2つ目は国が何を言っているかは放っておいて、隣の日常医療圏は何をやっているの か、隣の郡市医師会は何をやっているかがわかるようなことを、国が支援するとかいう ことだろうと思います。だからステークホルダーを明確にして責任配分をすることが、 今までの議論ではなかったかなと思います。 ○黒川座長  そうですね。おっしゃるとおりで、今までの議論ではそういう方向についてはだんだ ん共通の理解が増えてきているのですが、具体的になると、今までの考え方と常識で、 これは国からというわけではないけれども、みんなこちらを向く。一旦文書が出ると、 みんなで考えてというけれども、何かこれでいいことがあるのではないかという話にな る。みんな横並びにして、こちらに相談に来るという話になってしまうから、その辺の 考え方がどう変わるかというのは、隣の日常医療圏は何をしているのか、いいモデルが どんどん出てくれば、全体として上がってくると思います。 ○古橋委員  いまのご意見で国の意見は放り投げておいてと言われてしまうと、ちょっと怯んでし まうのですが、私は例えば日常医療圏の医療の内容とか、提供される医療というのは連 動している日常医療圏内にいまある医療機関の実態にかなり影響されたり、そういう反 映の下に動いていくのだろうと思っているのです。ただ、医療というのは、例えば車と か交通と違って、全体的な市場原理とか、マーケットの実態が必ずしも反映しないで、 個々の医療機関の努力で、サービスの温度差が出たりしているという現実があると思い ます。  先ほど濃沼委員から出ましたが、サラリーマンたちが受ける医療内容の質とかサービ スの中身は、ある病院によっては、早朝、糖尿病クリニックを開いたり、あるいは学童 の糖尿病の子どもたちを念頭に置いて、登校前のクリニックを開いたりしている所もあ る。ただし、それらは個々の医療機関のアイディアとサービス、努力によって、まちま ち、ばらばらなわけなのです。  私は受療者のニーズを比較的よく色濃く反映していくためには、5頁に診療ネットワ ークの構築に向けた医療機関の役割と国・都道府県の役割の中に、最初の印の所に住民 とか学識者、医療提供をする人、拠点病院、診療所開設者とかさまざまな人が、日常医 療圏ごとの協議会とか懇談会というものを置きながら、住民、あるいは受療者と医療提 供者がかなり実のある情報提供や意見交換を進めていくことが、効果があるのではない かなという気がします。  全国一律、では、日常医療圏で見事にこれらが動くかどうかは別ですが、私は患者の 視点の重視の点からいきますと、国民や患者、受療者に、もう少し賢く成熟した自分の 病気の問題を考えていける人になっていただかなければならない、ということがあると 思います。でも、まだ国民や受療者は医療機関を聖域視している、踏み込めない所と感 じている。たくさんクレームもあれば、患者側のさまざまな行動もあって、医療提供者 は困惑しているところもありますが、でも、大方はまだ医療機関を聖域視して踏み込め ないという思いもあろうかと思います。  地域コミュニティ意識はずいぶん高まりました。それはごみの問題、地域の治安の問 題、住宅の問題等から、いくら都会でも地域意識というのが上がってきていますから、 この点では日常医療圏を単位とした、患者層を十分に入れ込んだ懇談会とか協議会が動 き出せる。あるいはそうしたものを設置を促す形にして、患者の医療に対する姿勢を成 熟させてもらうことが必要ではあると思います。5頁の真ん中辺りの意見は、具体化で きないものだろうかと思っています。 ○山本委員  先ほど事務局から資料1の説明がありましたが、私が伺いたかったのは、今までの議 論がどのように反映されているのかという点なのです。実は信友委員が言われたよう に、国が考えるよりも都道府県が考えるべきだろう。確かにそうですが、反面、国が書 かないと何もしないというのも実態なので、やはり国がきちんとした方向性が示される べきだということも事実だと思います。  そうした意味から、今回の医療計画を見ますと、例えば資料1の1頁を見れば保健医 療提供体制を実現するために、患者・住民にわかりやすい内容を医療計画に明示して、 それを客観的に評価するとか、患者の受療行動に応じた圏域の中でのサービスの状態が 把握できるようにしたいとか、あるいはその機能を概観するような形で、複数の視点を 持って体制を作ろうということが示されているわけです。そうした意味を受けて、3頁 の全体の資料の説明がされていると思うのです。  その中で、例えばステージに応じていろいろな仕事ができていますが、いちばん最後 の所でいえば、がんがどのぐらい進んだら、一体在宅で医療がどのぐらい受けられるの か、この部分はこの検討会に出された資料でも、がんの在宅医療の中では麻薬等が必要 だということが明確に示されているわけです。そうした点からすると、一体それは誰が 供給するのだという論点が欠けているのではないか、そうしたことを踏まえて前回、意 見を言わせていただきました。  4頁以降の医療ネットワークについては、これは施設ではなしに機能連携を中心にし たネットワークを組むというのが、事務局の説明であったと思うのです。そうします と、マークの上から3つ目あたりを見れば、1つの医療機関だけで完結を目指す医療か ら、地域全体で患者を見ていく医療に変えるのだと示されていて、そうしたものを進め るという意味からすると、この中に医療を提供をする。実際、薬局が医療提供施設かど うかというのは、さまざまな議論がありましょうが、少なくとも機能としては医療のか なりの部分を担っていると理解をしていますので、そうした意味でもあります。  5頁でいえば、例えば古橋委員が話された診療ネットワークの全体の構築の部分を考 えますと、この3つだけでは多分、十分な対策がとれないだろうという気がします。1 つは努力目標だと豊田委員が言われましたが、努力目標としては、私どもこれ大変賛成 できるのですが、このままでは、では一体、地域で必要な医薬品の供給に対して、誰が どのような努力をすればいいのかということが、ここには明確に示されていないのでは ないか。そのために前回意見を言わせていただきました。そのことがこの医療計画の論 点整理あるいは地域診療ネットワークのまとめの中では、どのように反映されているの かを教えていただきたいのが私の質問です。  資料の説明ではその部分がなく、全部は入れられないというお話がありましたが、何 も入れてあげないという話はなかったと思うのです。ですからそれは一体どのような形 になっているのか、示していただきたいのです。 ○針田医療計画推進指導官  このペーパーで今までの議論をすべて取りまとめたというわけではありません。今ま での骨格の部分でのいくつかの誤解等々では、要は官があって何だかと、そういったも のを整理したペーパーなのです。前回、委員からお話もいただいていますし、今後、検 討をしていくべき話だと思います。 ○黒川座長  今までの議論をザックリ、大枠によくまとめてくれているなと思うのです。各論とか いう話はもう少し別のテーブルだとは思います。これザクッと終わらないと、いつまで 経っても各論で、あまりディスパースっていうことになってもいけない。 ○田中委員  今までのザックリとしたまとめとしてはいいかと思うのですが、いろいろな意見で出 ていたのは、国あるいは官がこうしろと命ずることは、確かに好ましくないけれども、 指標を客観化して全国ベースでそろえる努力は、とても大切なことです。企業、財務の 世界でも、介護保険の世界でも、どのように行動するかは自治体ごとの工夫であり、事 業者ごとの工夫であり、会社ごとの工夫であるけれども、指標は共通化されていない と、そもそもどこが頑張っているかわからないですよね。  別に会社も介護事業者も自治体も、それぞれ努力をしていても違いが出ることはいい ことです。違ったときに標準化されたデータがないと、なぜ違うかを説明できない、ア カウンタブルにならないという意味で、指標を標準化する話と、診療ネットワークはこ ういうふうに作りなさいというあり方を標準化する、両者は違います。ここで言ってい るのは指標の標準化だと捉えれば、私はこれはこれで意味のあることだと考えます。  もう1点、全体として構造指標だけではなく、これからプロセスやアウトカム評価を 導入していく。これは当然で賛成です。そもそも供給量が比較的少ないとか、足りない というものについては、まだ構造指標が大切な場合があります。私は具体的には2つ考 えています。ほかにもたくさんあるかもしれませんし、ワーキングで既に考えていると 思います。  1つは在宅医療を行えるドクターです。がん死亡が年間30万人を超える時代にあっ て、がんの死亡率だけがここに載っていますが、まだまだそれよりも構造指標で在宅医 療を主に行うような医療機関がどのぐらいあるか、これを地域で整備しないといけない と思います。  もう1つは座長も盛んに言っておられた小児医療、小児救急について拠点となる病院 にいろいろな医療機関の人が来る方向ですね。24時間いつでも安心な小児救急の受け皿 の数、これはまだ構造指標が必要な段階にあるものの例として、挙げられるのではない かと思います。以上2点です。 ○信友委員  そのとおりで異論は何もないのですが、ただ、死亡率と出た場合に、標準化ですか ら、死亡率に関わるステークホルダーの整理が必要ですよね。死亡率が年々下がってき ています。あたかも脳血管医療センターが機能しているからです、というような印象を 与えるのですが、「発生率は年々どうなっているのですか」と聞いたら、「あっ、わか りません」と言うのです。では「救急搬送時間は年々短くなっているのではないでしょ うか」、「それもわかりません」と。だから死亡率に関わるステークホルダーは誰々で すねということを明記した上で云々という、そういうものの意味づけの仕方を標準化し て提示するのが国の役割だと思うのです。だから先生とは全く異論はないところです。  2つ目、小児だとか産科ですが、こういう相談に乗ることが多いのですが、これは国 が関与したほうがいいことだという1例なのです。小児科だとか産科がいないと総合病 院だとか、臨床研修指定病院が名乗れない。だからどんな若い者でもいいから1人いて もらったらいいのだ。そうすると地域には、未熟なドクターから60歳以上のドクターが 混在しているのですが、全く地域では機能しない。  では、誰が障害になっているのだ。それは国が、臨床研修指定病院はこういう要件が ないといけないと決めたレギュレーションかもしれないし、もしそうであれば、そのレ ギュレーションは変更を許すとかいうふうにして、国の責任と現場の責任。いまみたい に、一般病院よりは総合病院のほうが格付けが高いと思っている経営者がいるのも事実 でしょう。だからステークホルダーは誰か、何が障害になっているかを具体的に出して いくということ。その中で国が何に関わらないといけないのか。知事は何に関わらない といけないのか、という責任配分をしていくことがわかりやすい医療です。もちろん患 者責任があるということの明示も必要です。 ○黒川座長  確かにそういうことだと、こういう話から実際に必要な国と自治体の役割、それから 皆さんも言っておられますが、だんだん日本の意識がシビルソサエティーのような意識 になっているのですが、今まではそうではなかったから、なかなか難しいというところ があるわけです。それをどうプロモートしていくか、最近のNPOがだんだん出てきて いるというのもそうですし、患者たち主体の病院が出ているのもそういう動きですが、 その辺のトランジションで非常にいろいろな所が、少しずつ進んでいるのかなという話 ですね。  いまの田中委員と信友委員のポイントはもっともで、そういう話が出てくると、次の 政策はどうなのかという指標の提供ができるということになります。ありがとうござい ました。 ○松田委員  国の役割とかいろいろな話が出てきたと思うのですが、土屋委員が言われたみたいに 地域連携のあり方、それぞれの地域のいろいろなやり方があるだろうと思います。その いろいろなやり方ができるためには、やはり共通の情報がなければできないだろう。そ の共通の情報があって、情報基盤があって、その情報に基づいて、それぞれの地域のア ベイラブルな地域資源を、どういうふうに使っていくかという議論が関係者の中から出 てくるのだろうと思います。  先ほど田中委員からご指摘もありましたが、例えば在宅医療のドクターがどのぐらい いるのか。いま日本が持っているデータで、こういうものを作ることができます。それ は何かというと診療報酬、レセプトというデータです。例えばレセプトのデータの中か ら在宅医療をやっている件数がわかるので、それを医療機関別に見ていけば、どこの医 療機関でどのぐらいあるというのがわかります。ところが残念なことに日本のレセプト が標準化されていない、電子化されていないために使えない。使える情報の基盤を作っ ていくことがいま、いちばん求められることではないかと思います。そういうデータが あれば多分、もう少し具体的な議論ができるようになるのだろうと思います。  日常医療圏とかいうものを考えるときにも、多分、傷病によって違うというのは、そ れはいま患者の要求があるからなのだろうと思います。要するに、患者が自分が例えば 乳がんと言われたときに、どこに行けばどういう医療が受けられるのかという情報を欲 しがっている。それに我々医療者の側がいま応えきれていないのではないか。そういう ものに応えることができるためにも、共通の情報の整理を今やらなければいけないので す。それができれば多分地域医療計画の中に、実質的ないろいろな中身を入れることが できるのではないかと思います。技術的にはできない話ではないので、あとは関係者間 の合意形成をどこでやるかということだろうと思います。 ○長谷川(友)委員  いちばん議論が白熱した部分がネットワークだと思うのです。ワーキングとして当初 考えたのは、疾病を患者の視点から記述する。しかもそれぞれのステージというか、ス テップごとに指標も使う。その情報公開の情報をいかに整備して公開するかは、これは 行政の役割として徹底して行う。そうするとどこの医療機関がどういう機能をやってい るかがわかるようになると思います。自然発生的に、ここは急性期の例えば手術を中心 にやる。ここはかかりつけ機能をやる。ここはリハ機能をやる。それがわかるようにな ればネットワークというのは自然に形成されるし、自然に進化するはずなのです。ここ がいちばんのポイントなのです。だから決して、お上が何とか病院を認定するところか ら始まるという発想は全くとっていなかったのです。  たまたま事務局のポンチ絵で、都道府県の認定した病院とか、ちょっと引っかかるよ うな言葉はあったのですが、どうもお上が先に認定という意図はなかったというふうに 私自身は、ここの場での質問では確認していますし、ワーキングとしてはそういった発 想は全くとっていないのです。  では行政は何をやるのか。主要疾患を決めましょう、臨床指標を決めましょう。情報 の収集と開示は行政の役割です。ネットワークが自然発生的にできるに当たって、多分 何らかの形で調整する部分は出てくるのです。そういったときに、あるいは住民と医療 機関との間の対話をするときのまとめ役というと変ですが、テーブルとジュースを出す 役かもしれませんが、こういったものが行政のある種の信用であるとか、いろいろな所 に顔が効くという点を活かせば、おそらくいちばんあり得る調整役、これは二次的な役 割です。  ここははっきりさせておかないと、どうも官がしゃしゃり出てくると、医療というの はそんなものではないというのは、私自身もある程度同意する部分があります。ちょっ と主と従を間違えたような部分が感じられて、それが非常に大きい議論を起こしている のではないかと思います。 ○黒川座長  いろいろ建設的なご意見が出ていて、今までの官主導ではなくて、全国一律ではなく てとなれば、必ず例外があるし、社会的な背景も変わってきているし、疾病構造も変わ ってきている。しかし、1961年にあった国民皆保険制度が、今のそういう社会構造、疾 病構造、いろいろな検査とか医療技術が進んだときに、必ずしも合っていないのではな いかという話からいうと、それを官ではなくてなるべく自治体と皆さんで考えよう、そ れについては情報がどうだと。それから医師がだんだんそういうことから、市民社会へ の移行期にあるという認識はあるということからいうと、いまの議論では官の役割、こ この全体の意見ではそういうふうに動いていますが、それがわかるような格好で出てく ればいいなというのは、皆さんのご意見のようですし、それは正しいと思います。  事務局も一生懸命に知恵を絞ってやっているのだけれども、出るとすぐ誤解されてい るわけではなくて、ここでは意思の疎通は比較的に図られていると思いますし、だんだ ん出口が見えてきているのだけれども、具体的にどうインプリメントするか。そこで国 の役割はどうなってくるのかというのが丸投げにはならないのだけれども、役割がどこ かというところをいま苦労をして考えているところだと思います。そういう意味では、 それぞれの意見が、それぞれの立場であっても、ここ全体として流れる方向は、かなり 共通の認識があると思うので、それをどうやってステークホルダーに共有してもらって いくかということが、すごく大事でしょうね。いろいろな意味での広報活動などがある と思います。  この続きは次の時にやろうと思っていますが、進行上の問題もありまして、資料2に ついて事務局からお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  資料2について簡単に説明いたします。現在この検討会等におきまして、患者の視点 の尊重、質の高い効率的体制の構築という観点から、幅広く検討していただいていると ころですが、もう一度、基準病床数制度についても整理のための議論をお願いしたいと 思いまして、資料2を出しています。  1枚目、ワーキンググループの報告書、また規制改革・民間開放推進3か年計画の改 定等の指摘を踏まえて、患者本位の効率的で質の高い医療提供体制の構築のための現状 の基準病床数制度について、いろいろ検討する。この必要性について、単に基準病床数 制度の存否にとどまらず、医療の質の向上と効率化という観点に立って、基準病床数制 度の現状の評価、今後のあり方などを考えてはどうか。ワーキンググループから適切な 医療提供体制を確保するために、最低限必要な条件として4つ提示がありましたので、 これについて2頁目に整理したペーパーをつけています。これが医療の質の向上と効率 化に関する条件と現状の評価の案です。  2頁、これは4つあったのですが、I、IIはセットで書いています。入院治療の必要 性を検証できる仕組み、入院治療の必要がなくなった時点で退院を促す仕組みが必要で はないかという指摘がありました。現在のところ、EBMの推進や、地域連携クリティ カルパスの導入などによって、疾病ごとの標準的な治療とか、入院治療の必要性等々に ついて、いろいろな取組がなされているところで、その効果も検証されつつあります。 EBMはまだ特定の疾患に限られている、徐々に広がっていますがそういう段階です。  地域連携クリティカルパスについても、全国的な展開というところに、いまだ行って いない。いまその途上であると思われます。このため、現状ではさまざまな病態の患者 ごとに、それぞれの必要性等々を考えるのはなかなか難しいところがあるというところ で、患者の自らの選択という視点も加味しつつ、治療の必要性や退院の時点を客観的に 判断できる仕組みが存在していないことから、いまだ整っていないと判断すべきではな いかとまとめてみました。  III、診療内容等の情報が公開されて、患者による選択ができ、質の向上、効率化が 図られる点が必要だということに対して、現状では診療内容等の情報については、都道 府県が取りまとめて医療計画等を通じて公開する仕組みを検討することによって、例え ば患者の医療サービスの質について選択できるような基盤構築等々について、いままさ に検討をしているところではないかと思っています。現段階においてはこれらの仕組み を作っている最中なので、まだ整っていないと判断してはどうかと思っています。  IV、救急医療、へき地医療などの政策的に必要な医療について、採算に乗っていない 地域が実際にある状況の中で、補助金、診療報酬上の評価等によって、引き続きそのサ ービスが提供され、もしくは推進される仕組みが絶対に必要ではないかということがあ ります。これに対しても医療機関に関して、現在検討している救急医療、へき地医療等 について、例えばいま地域で必要な医療サービスの指標で客観的に把握して、それに基 づいて都道府県は実効ある医療計画を立案するという過程を通じて、政策的に必要な医 療サービスの提供を促進することができるのではないか。これに関しても、いまだ整っ ていないのではないかというところで、現状等の評価をまとめてみました。これについ て皆様方のご意見等々をお願いできればと思います。残りは参考資料として付けていま す。 ○黒川座長  ご意見をいただければと思います。先ほどからの議論の1つの延長線上にあることだ と思いますが、いかがでしょうか。これは皆さんの意見をいただいた所で、その評価の 指標とかいろいろな話を信友さんなどが言われているような、そこのところでどういう 話が考えられるかという話を乗せているのです。 ○古橋委員  資料2の2頁のIです。大筋として概念的にはわかりますが、地域連携クリティカル パスというものは、実態としてどういう形で動いているか、何かモデルとして動いてい るもので教えていただけることがあれば知りたいと思っています。 ○針田医療計画推進指導官  比較的有名なところでしたら熊本でやっていまして、いくつかの急性期の病院、リハ ビリの病院などが連携をとって、整形の疾患について、個々の医療機関の入院だけでは なくて、入院から退院まで全体の医療を見た形のスケジュールのようなものを作ってや るものですが、それがいまはもう学会等を踏まえて、いろいろな疾患に拡大中だと理解 しています。いままさに検討途上、発展途上にある素晴らしい考え方かと思っていま す。 ○黒川座長  どの程度そういうのは知られているのですか。 ○針田医療計画推進指導官  事務局で整理しまして一度。 ○黒川座長  是非また、そういう話というのは、例えばウエブサイトがあるとかそういう話もある のですか、ないですか。確かに熊本モデルなんて、かなり自発的にどんどんやっている ところがあるから、そういうのは確かにそうですね。その辺は工夫しましょう。参考に なるかどうかは皆さんが考えればいいわけです。そのほかに何かありましたらメールな りで。  相当な意見をどうまとめていくかはすごく大事な問題なのですが、できるだけ根幹に なる部分と、大きな枝の部分と葉の部分といろいろあると思いますが、基本的には考え 方はかなり共有しているのではないかという気がします。するとこの指標なども今日の 議論でもいいアウトプットというか意見が出て、問題点が少しずつクリアになってくる ような気がしますので、これで今日の議論は終了させていただいてもよろしいですか。 ○池澤委員  資料2の2頁のIII及びIVの議論で言わせていただきます。この4つの条件というこ とを言われますが、これは単に医療だけのレベルでやるのではなくて、医療機関に来る 患者というのは、単に真新しいと言ってはなんですが、どこにも入っていなかった人が 突然病気になって入ってくるわけではない。現在のように介護のシステムがかなり発達 していますと、多くの場合、介護の施設から、新しい疾病にかかって入院してくること が多いわけです。一旦それを入院させてしまうと、元の介護施設では次の患者を入れて しまって取らないのです。そういう問題は東京だけではないと思うのです。医療と介護 の両方にわたっての連携のパスができていなければ何にもならないと思うのです。  IIIの言葉で、いかに患者に医療機関の診療内容等の情報が公開され、患者による選 択が促進され、医療の質の向上云々ということを言っても、患者が戻りたくても、戻す ほうは次の患者を入れているからもう入れないということになってしまう、そういうこ とで空きがないのです。介護施設との間の連携も強調しておかないと、ベッドを減らす という問題の解決はつかないと思います。 ○黒川座長  そうですね。これ最初のほうの議論で出ていたわけで、田中委員などが言われるよう に、介護とか高齢者の施設の問題が全体として、そこの地域ごとに確保されているかと いう問題があるという話は最初から指摘されています。医療体制の部分はそこなしで は、5人に1人が65歳以上の社会になってしまったわけですから、今までの機能とは全 く違っているという話は確かにおっしゃるとおりです。そこのところがどのぐらいバッ クアップというか、介護その他の施設があるかというのは、田中委員のご指適どおりで す。そこのところを加味して考えるというのはそのとおりだと思います。それを忘れて はいけないわけで、そこのところが基本的な前提としてあるということを確認しておき たいと思います。 ○古橋委員  私も今日、当初の発言のところでも申し上げたのですが、本当に池澤委員の言われた とおりで、国民、受療者側にとっては、かかる所、別々に事態が起きるわけではありま せんで、介護問題は即ち医療問題と裏腹ですから、本当に制度横断的にこの体制づくり が考えられないと、国民も統合失調になりますから、そういう視点は本当に重要ではな いかと思っています。したがいまして厚労省の組織も、組織横断的に医政局の領域だけ ではなくて、老健局とも保険局とも連動して、ものを考えないと、国民は混乱する、わ かりにくくなると思いますので、是非ともそこは繰り返し要望をしたいと思います。 ○黒川座長  全体としては大前提という認識で話をしていると思いますので、時々思い出さないと ついつい忘れてしまうということがあります。ご指摘ありがとうございました。今日の 議題はまだ燃焼不全のところもあるかもしれませんが、いろいろな意見をいただいたの で、全体としては座標軸がだんだん固まっているような気もします。それをどうやって 推進させるかについては工夫が要るなということで、皆さん、事務方も大変だと思いま すが、まとめていただいて本日はという話にさせていただきます。 ○谷口指導課長  どうも今日はお忙しいところをありがとうございました。座長からもご発言がありま したが、特に資料の1については、これまで議論をしていただいた中での論点整理で、 大きな柱を少し整理していただいたということです。それにつきましてまだ少し枝葉を 付け加える部分も当然ございますから、そういった部分について、次回以降またご検討 いただければと考えています。次回については、6月20日(月)15時から開催を予定し ていますので、よろしくお願い申し上げます。 ○黒川座長  最後にワーキンググループの先生方にお聞きしたいのですが、日本の場合は1961年か ら国民皆保険が入ってきて、それから経済成長と医療の技術とかいろいろなものの成長 が同時に変更しているから、あまり調子が悪くなかったのです。それで当たり前になっ ているのですね。公的な医療制度で、患者が誰でもどこでもいつでも行けるよなんてい う医療制度をやっている国があるのですか。救急とか時間外はもちろんそうなのです が、そういう国がありますか。あまりないのではないですか、日本だけですよね。  その辺のパブリックイメージも変えないと、公的な資金と官がやってくださいという ことは、あなたたちの税金でやっているのだからそれでいいのかという話をしないかぎ り、なかなかうまくいかないと思うのです。  消費者だ、消費者だと言うけれど、私はいつもタックスペイヤーはそれでいいかとい う話をしているのですが、みんなが陳情すればするだけ官が肥大するだけの話になるわ けです。いつでもどこでもいいですよなんて言って、3割負担は嫌だと言っているけれ ども、疾病構造が変わり生活習慣病が増えて、糖尿病とか肥満なんていうのも自分で面 倒をみてくれということを、どういうふうにインセンティブをつけるかが大事なので す。  消費者とか、いつでもどこでもなんていうのは日本だけですね。ほかのところはそん なことはあり得ないと思います。それも考えて、どうやって価値観とか制度を共有する かはすごく大事だと思いますので、またよろしくお願いします。どうもありがとうござ いました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)