05/05/27 薬事・食品衛生審議会医薬品第一部会 平成17年5月27日議事録 薬事・食品衛生審議会 医薬品第一部会 議事録 1.日時及び場所   平成17年5月27日(木) 14:00〜   厚生労働省共用第8会議室 2.出席委員(10名)五十音順   青 柳 伸 男、 井 上 和 秀、 首 藤 紘 一、 田 島 知 行、    谷川原 祐 介、 土 屋 文 人、◎永 井 良 三、○長 尾   拓、    長谷川 紘 司、 村 勢 敏 郎、 (注) ◎部会長 ○部会長代理   欠席委員(4名) 岩  崎   学、 堺   秀  人、 早 川   浩、 樋 口 輝 彦 3.行政機関出席者   黒 川 達 夫(大臣官房審議官)、 川 原   章(審査管理課長)、    平 山 佳 伸(安全対策課長)、   豊 島   聰(医薬品医療機器総合機構審査センター長)    古 澤 康 秀(医薬品医療機器総合機構審議役)、    坂 本   純(医薬品医療機器総合機構新薬審査第二部長)、   牧 野 ゆり子(医薬品医療機器総合機構新薬審査第三部長)、   田 中 克 平(医薬品医療機器総合機構生物系審査部長)  他 4.備  考   本部会は、企業の知的財産保護の観点等から非公開で開催された。 ○審査管理課長 それでは定刻になりましたので、薬事・食品衛生審議会医薬品第一部 会を開催させていただきます。本日はお忙しい中、お集まりいただきましてありがとう ございます。  当部会委員数14名のうち10名の委員の御出席を頂きますので、定足数に達しており ますことを御報告申し上げます。田島委員でございますけれども、こちらに向かってお られるということで、途中の交通事情で少し遅れられるということでございます。なお 欠席委員でございますけれども、岩崎委員、堺委員、早川委員、樋口委員でございまし て、一部の先生からはコメント等を頂いております。では永井先生、以後の進行をよろ しくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございます。それではまず事務局から配付資料の確認、それ から資料作成に関与された委員の報告をお願いいたします。 ○事務局 それでは御確認いたします。まず資料でございますけれども、先生方の机の 上に議事次第を置かせていただいております。資料1〜4までは事前にお送りした資料 でございます。本日の当日配付資料といたしまして、ただいまの議事次第、座席表、委 員名簿のほかに、資料5といたしまして優先審査品目指定の審査結果についてという資 料をお配りしております。それから資料6といたしまして審議品目の薬事分科会におけ る取扱い(案)という1枚紙でございます。資料7といたしまして専門委員のリストでご ざいます。また資料ナンバーを打っていないのですが、一番下に本日御欠席の岩崎先生 の方からコメントを頂いておりますので、お配りしてございます。  それから関与委員の報告でございますけれども、本日の品目につきまして資料作成に 関与された先生はいらっしゃいません。以上、御報告申し上げます。 ○永井部会長 ありがとうございます。本日は審議事項が4題、報告事項が1題でござ います。それでは早速議題1につきまして、機構から概要を御説明ください。 ○機構 それでは議題1、資料1でございますが、医薬品サラジェン錠5mgの輸入承認 の可否等について医薬品医療機器総合機構より御説明いたします。  サラジェン錠の有効成分は塩酸ピロカルピンで、ムスカリン受容体刺激作用を有して おり、本邦では既に緑内障に対する点眼薬が承認されております。今般、本薬の錠剤が 開発されまして、ムスカリン受容体刺激に伴う唾液分泌促進作用を利用して、頭頸部に 対する放射線治療後の口腔乾燥症を効能・効果とする申請が行われました。本剤は、米 国、英国、フランス等27か国で承認されており、一部の国ではシェーグレン症候群患者 における口腔乾燥症に対しても承認されております。  本申請の専門委員といたしましては、先ほどの説明にありましたが、資料7に記載さ れております青柳委員、市村委員、小池委員、下野委員、竹内委員、林委員、松岡委員、 水野委員、三森委員、安田委員、山村委員の11名を指名させていただきました。  それでは審査内容について簡単に御説明いたします。  規格・安定性につきましては記載整備等を行っておりますけれども、特に問題となる 点はないと判断しております。  毒性につきましては、腺房細胞への影響等について審査の段階で確認を行っておりま すが、最終的にはこの臨床用量を加味すると臨床的に大きな問題となるものではないと 考えております。  薬理でございますが、モデル動物における唾液分泌促進作用が確認されておりまして、 この作用は主にムスカリンM3受容体を介すると考えられました。  薬物動態でございますが、本薬は経口投与後主に腎排泄され、エステラーゼとCYP2A6 が代謝に寄与すると考えられ、CYP2A6との相互作用につきましては添付文書で注意喚起 いたしております。  臨床成績でございますけれども、初期の開発では1日当たり9mgが至適用量と考えら れておりましたが、9mgという用量で実施いたしました第III相プラセボ対照群間比較試 験でプラセボに対する優越性を示せなかったため、1日当たりの用量を15mgに増量し て、再度プラセボ対照試験が実施されております。その結果、本剤はプラセボよりも有 意に口腔乾燥症のVASスコアを改善し、本剤の有効性が検証されております。また52 週間までの長期投与試験も実施されておりまして、長期投与時の安全性及び有効性が確 認されております。なお、本剤につきましては漫然と投与しないよう添付文書で注意を 喚起しております。  安全性につきましては本剤の薬理作用に起因する循環器系、消化器系障害等に十分な 注意が必要と考えておりまして、製造販売後には使用成績調査及び長期特別調査を実施 し、本剤の安全性等について十分検討するよう求めております。  以上の審査を踏まえまして、本剤の頭頸部に対する放射線治療後の口腔乾燥症に対す る適用を承認して差し支えないとの結論に達し、第一部会で御審議いただくことが適当 と判断いたしました。本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品のいずれにも該当せず、 本申請は新投与経路医薬品であることから、再審査期間は6年、薬事分科会には報告を 予定しております。  先ほど御説明がありましたとおり、岩崎委員から事前にコメントを頂いておりますの で、その点に関しまして簡単に御説明いたします。岩崎委員から頂いているコメントが 皆様の机の上にあるかと思いますが、一つは用法・用量が当初は「1回3mg食前投与」 から「1回5mg食後投与」になっていると。その根拠がはっきりしないという御指摘で ございます。この点についても審査の過程で検討いたしておりますが、最終的には検討 不十分なところもあろうかと思いますけれども、海外で承認されている用法・用量を採 ってきたということになっております。海外では当初から一般的な副作用の軽減を期待 して食後投与でのみ検討されておりまして、もともとは食前投与とすることで摂食障害 の改善を期待していたのですが、それほどの唾液分泌が見込めないということで、最終 的には海外の用法・用量に合わせて再度検討したという状況でございます。  それから摂食障害のVASスコアの投与開始時からの差が改善しているということに 関しましては、この摂食障害のVASスコアについてはvisitの3日前の状況を患者の 記憶にたどって評価するというものでございまして、食事中のスコアを直接リアルタイ ムでスコア化したというものではございません。したがって、ある程度の唾液分泌の改 善、唾液分泌量が増えているということで患者がそれを認識すれば、1日を通して障害 の程度が減っているということで、摂食障害スコアについてある程度の影響が出てきて もおかしくはないのだろうと考えております。いずれにしても25mmの改善率というとこ ろでは有意な差は得られておりませんので、残念ながら大きな改善には至っていないと いう状況であると考えております。以上でございます。御審議よろしくお願いいたしま す。 ── 説明中、田島委員着席 ── ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御討議をお願いいたします。 いかがでしょうか。これは劇薬指定ということでございますね。 ○機構 製剤は劇薬に該当するという判断をさせていただいております。 ○永井部会長 かなりクラシカルな薬で薬理学の教科書に出てくるものですけれども。 よろしいでしょうか。御指摘はございませんか。 ○長尾部会長代理 添付文書の使用上の注意ですけれども、問題があるということはな いのですが、慎重投与の(8)に「前立腺肥大に伴う排尿障害のある患者」とあって、要 するにこの排尿障害に多分逆の薬が使われますので。この辺の位置でいいかどうか分か らないですけれども、意外にこういうケースはあるのかなという気もしないでもないの です。この辺の位置でいいですか。 ○機構 禁忌、それから重要な基本的注意、慎重投与の項等につきましては、今既に同 じ作用機序の塩酸セビメリンという薬がシェーグレン症候群の適応を持っておりますけ れども、基本的にはその薬と添付文書の注意喚起はそろえているということがございま す。今御指摘の点につきましては、排尿障害のある患者については慎重投与、それから 膀胱の閉塞のある患者については禁忌ということです。この点につきましても今のセビ メリンと全く同様の記載にいたしております。 ○長尾部会長代理 了解しました。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。御意見がないようですので、それでは承認可とい うことで報告させていただきます。それでは議題2にまいります。医薬品FDGスキャ ン注の輸入承認の可否等について、また議題3も同じ問題でございまして、放射性医薬 品基準の一部改正について機構から御説明をお願いいたします。 ○機構 それでは議題2、資料2、放射性医薬品FDGスキャン注及びFDGスキャン- MP注について御説明いたします。  FDGスキャン注及びFDGスキャン-MP注の有効成分は、フルデオキシグルコース (18F)(以下、18F-FDGという)であり、本剤は陽電子放出断層撮影法(PET)に用いられ る診断用薬剤であります。18F-FDGはグルコースの2位の水酸基を18Fで置換したグルコ ースの誘導体でありまして、静脈内投与により、グルコースの取り込みと代謝が亢進し ている腫瘍細胞、心筋虚血領域細胞及びてんかん領域細胞に取り込まれ、それをPET により撮像するものであります。  これまでPETによる検査を実施するには、18F-FDGを自家製造するための設備が必要 で、製造設備は既に医療用具として承認されておりますが、その設置に多額の費用がか かることもあり、限られた医療機関でしか臨床使用されておりません。平成14年4月に は医療機関で自家製造された18F-FDGによるPET検査に関し、悪性腫瘍、虚血性心疾 患及びてんかんの診断が保険診療の対象にされております。平成14年10月には日本核 医学会から、18F-FDGの製造施設を有しない医療機関においても医薬品として18F-FDGが 使用できるように早期の供給開始と、既に保険適用となっている範囲と医薬品として開 発されている18F-FDGの適応疾患の整合性をとることを望む旨の要望書が厚生労働大臣 あてに提出されております。  本申請の専門委員としては資料7にありますとおり、森山委員ほか井上委員、宮崎委 員、溝口委員、吉村委員、新見委員、谷川原委員の計7名が指名されております。  次に臨床試験成績等について御説明いたします。国内臨床試験として、第I相臨床試 験、用量の検討を行ったファントム試験及び第III相臨床試験が実施されましたが、第III 相試験が本剤の効能・効果を裏付ける検証的な試験としては不十分であったことから、 平成12年3月の承認申請後に追加第III相臨床試験が実施されました。しかしながら、第 III相試験、追加第III相試験とも、GCP調査において試験の信頼性及び結果の評価に影 響を及ぼすと考えられる事項が見いだされたため、これらの試験成績については安全性 のみ評価しております。  提出された臨床試験成績のみでは本剤の有効性、安全性を十分に評価できないと考え られましたが、先に述べましたように18F-FDGの院内合成用の放射性医薬品合成設備が 医療用具として承認されていること、医療機関で自家製造されている18F-FDGを用いる PETについて、悪性腫瘍、虚血性心疾患及びてんかんの診断が保険診療の対象となっ ていること、18F-FDGについては多数の論文等が公表されており、教科書や各種ガイドラ インにも記載されていること等を踏まえ、信頼できる学術雑誌等に掲載された悪性腫瘍、 虚血性心疾患及びてんかんに関する臨床試験成績について、申請者による診断能及び安 全性に関する解析が行われた上で参考資料として提出されております。  専門協議におきまして、本剤の位置付けに関し、18F-FDGについては既に自家製造によ る本邦の臨床現場における使用実績も相当ある状況であり、本剤は新有効成分含有医薬 品ではあるが、既に本邦の臨床現場に用いられている18F-FDGと本質的な相違はなく、 事実上新規性のある医薬品ではないとの機構の判断は専門委員からも支持されました。  また、FDG-PETについては既に本邦の臨床現場においても使用実績があり、教科書に 記載されるような事柄であること、米国FDAにおいても文献の評価により18F-FDGの 評価が行われていること等を勘案し、国内臨床現場における使用実績の認められている 範囲内では、提出された文献等に基づく本剤の有効性及び安全性の評価は可能との機構 の判断も専門委員から支持されております。  本剤の効能・効果については、基本的に既に保険診療で行われている範囲内とするこ とが適当と考えております。また本剤の安全性については、糖尿病患者等の撮像上注意 すべき患者の選択や、放射性医薬品であることを踏まえた取扱い等に注意する必要があ りますが、本剤が適当な対象及び環境下で使用されるという前提の下で、承認の可否に 影響するような安全性に関する重大な懸念は認められないと判断しました。  以上のような検討を行った結果、本申請を承認して差し支えないと判断し、医薬品第 一部会で審議されることが妥当と判断いたしました。  本剤は新有効成分含有医薬品であることから、再審査期間は6年とすることが適当で あると判断しております。なお、本剤は生物由来製品及び特定生物由来製品には該当せ ず、原体、製剤とも毒薬及び劇薬のいずれにも該当しないと判断しております。薬事分 科会へは報告を予定しております。  次に議題3、資料3の放射性医薬品基準の方でございますが、本剤の承認に伴いまし て放射性医薬品基準に「フルデオキシグルコース注射液」を追加する必要があり、資料 3として基準案をお示ししております。基準案につきましても薬事分科会への報告を予 定しております。  それから岩崎先生から事前に頂いているコメントについてでございますが、市販後に きちんと成績を取得して、薬剤としてのプロファイルを確定するように望むということ です。申請者に市販後の調査に関する計画案の提示を求めましたところ、用量の妥当性 については使用成績調査において、本剤の投与量と有効性、画像の評価及び有効な情報 が得られたかどうかに関する項目を設定して、それの関係を確認すること。遅発性の有 害事象については投与後48時間までの安全性を確認できるよう調査票を設定し、追加試 験及び市販後臨床試験では継続的に観察可能な入院患者では投与翌々日まで自覚症状及 び他覚所見、問診、身体的特徴、脈拍、血圧、臨床検査について追跡調査する調査計画 案が提出されました。また、心筋バイアビリティについて市販後の臨床試験を実施する 旨の回答がなされております。以上、御審議をよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。それでは御質問、御意見をお願いいたします。 谷川原先生は専門委員としてお加わりでしたけれども、何か追加等ございませんでしょ うか。 ○谷川原委員 特にございません。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。いかがでしょうか。出荷時のスペックはおおよそ そろえておくということでよろしいのでしょうか。 ○新薬審査第二部長 さようでございます。本剤の場合は放射性医薬品で、かつ半減期 が短いので、資料に書いてありますが、検定の日時で185MBqという形での調製をされて おりますので、その時間を見ていただいて実際投与するときの時間でどれだけあるか判 断いただくことになります。現場で実際に測ってから投与されることが現実には多いそ うですが、添付文書に表も付けておりまして、投与するときにどれだけあるのかという ことが確認できるようになっております。 ○永井部会長 半減期が2時間半ですのできちんとスペシフィックアクティビティーが 高いうちに使ってもらわないと、何をやっているのか分からなくなってしまいます。特 にフォルスネガティブが出てしまう可能性がありますが、この医薬品としての承認とは また別の話になります。管理をいかにするかということと、これを承認するかどうかと いうことを分けて考える必要があるかと思います。岩崎先生の御指摘にありました、以 前に何か問題があったと。最初の国内臨床試験に不備があったと。ちょっと御説明いた だけますでしょうか。 ○新薬審査第二部長 国内臨床試験におきまして、こういう検査薬でございますが、比 較する病理検査の方が治験の範囲外のデータになってしまっており、要は一般診療のデ ータでして、そちらのデータを使うということに関して患者さんへの同意等に不備もご ざいまして、GCPの観点から申請者より追加臨床試験のみならず最初の第III相臨床試 験も参考資料にするという申出があったものでございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。これは国内では何か所ぐらいでこれから製造が始 まるのでしょうか。 ○新薬審査第二部長 申請者が2社ございますが、予定されているところは2社併せて 9か所でございます。 ○永井部会長 搬送等には問題ないのでしょうか。途中でのいろいろなトラブルを避け るために…。 ○新薬審査第二部長 交通事情などのお話になりますとこれはもう何とも言い難いとこ ろがありますが、9か所ありまして、基本的に聞いておりますところでは、ほとんど受 注生産、何時ぐらいに持って来るようにということを受けて、生産の方を考えてやるよ うなことで、できるだけ遠距離も対応することを考えていると言っております。先生が 言われましたように途中の交通事情のところまでは、ちょっとやってみないと分からな いような場合は当然出てくるかもしれないと思っております。 ○永井部会長 現実にはどの辺までデリバーが可能なのでしょうか。 ○新薬審査第二部長 検定の日時の話がございますので、申請者の方としては、3時間 程度の輸送距離であれば使ってもらえる間に持ち込めると考えているということでござ います。 ○機構 追加ですけれども、全国で札幌、東京、神奈川、愛知、石川、京都、神戸、岡 山、福岡のラボで作って各地に出荷するという予定でございます。 ○永井部会長 いかがでしょうか。あと運動するなどして骨格筋に取り込まれるとまた 画像が乱れるという話もちょっと聞いたことがありますが。 ○新薬審査第二部長 添付文書(案)の方に「7.適用上の注意」の(2)のところで、「投 与前後:本剤の生理的集積の増加を避けるため、本剤投与前から撮像前は安静にして、 激しい運動等は行わないこと」と記載しております。本剤ではございませんが、先ほど 来御説明していますようにFDGはもう既に本邦の臨床現場で使われておりまして、専 門協議の際にも、実際の御経験として、患者さんが待っている間に階段の上り下りをさ れて、撮ってみて疑問があって聞いてみたらどうもそういうことをされていたことが分 かったという事例も聞いておりますので、使用上の注意でもその辺の注意喚起をするこ とにしています。 ○永井部会長 いかがでしょうか。よろしいでしょうか。 ○村勢委員 使用上の注意の点でございますけれども、今の添付文書の「7.適用上の注 意」で、糖尿病の患者さんに関して「場合によっては検査中止の判断が必要である」と ありますが、ちょっと言葉がなじまないのでもう少し具体的に何かこの辺の言葉の使い 方でも検討いただければと思います。 ○新薬審査第二部長 ここの趣旨は血糖値が高い場合には画質が低下するということを 言いたかったのですが、その趣旨はいいけれども、表現がよろしくないということでご ざいますか。 ○村勢委員 そうです。 ○新薬審査第二部長 分かりました。血糖値が高い場合には画質の劣化で診断能がかな り低下してしまって、そのようなときには検査してもむしろ意味がないという趣旨でご ざいますので、その辺は表現等工夫するようにします。 ○村勢委員 この表現のこととフォルスネガティブという言葉もどこかに入れていただ けるといいと思います。そういう理由でというようなことを入れていただくのがいいか なと。 ○新薬審査第二部長 検討いたします。 ○永井部会長 そのほかいかがでしょうか。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 今添付文書を見ていて気が付いたのですけれども、製造販売元が2か所 でこれは製造業者から直送だと思うのですが、一つが財団法人という形で、いわゆる情 報提供というのはどちらがやることになっているのでしょうか。 ○新薬審査第二部長 これは法律的には製造業者がそれぞれやりますが、2社の共同申 請でございますので添付文書の内容なども基本的には一致させております。公的な義務 はそれぞれの製造業者にかかるということになりますが。 ○谷川原委員 企業ではなくて財団法人の場合にも全く同じように取り扱ってよろしい ということですか。 ○新薬審査第二部長 法律上の義務に差はございません。 ○審査管理課長 財団でいわゆる業として製薬をしているところというのは、例えばワ クチンのメーカーや、それから日赤などは非常に特殊な会社ですけれども、そういうも のもございますので、特にそれは同じでございますが、この場合はたしか財団の方は石 川のラボなのでこの近辺の…。 ○新薬審査第二部長 北陸地方のみ供給を受け持つということで、これは工場の近くで しか使っていただけませんので、この会社が例えば、関東の辺りまで出荷するというこ とは想定されていないはずでございます。 ○永井部会長 よろしいでしょうか。そのほかいかがでしょうか。もし御意見がござい ませんでしたら、それでは承認可ということで基準の一部改正も含めて薬事分科会に報 告させていただきます。ありがとうございました。では議題4にまいります。事務局か ら概要の御説明をお願いします。 ○事務局 それでは議題4、エダラボンを希少疾病用医薬品、いわゆるオーファンドラ ッグとして指定することの可否について御説明いたします。  資料4を御覧ください。医薬品エダラボンについて、筋萎縮性側索硬化症(ALS)を 予定される効能・効果といたしまして、希少疾病用医薬品として指定することの申請が なされております。申請者は三菱ウェルファーマ株式会社でございます。資料4の右側 にタグが付いてございますけれども、一番上の事前評価報告書を御覧ください。本申請 に関し、医薬品医療機器総合機構が事前評価を取りまとめております。指定の判断基準 である「1.対象者数について」、「2.医療上の必要性について」及び「3.開発の可能 性について」の三点に基づき、希少疾病用医薬品としての該当性に関する事前評価を行 っておりますので、本評価報告書を基に御説明いたします。  まず「1.対象者数について」ですが、本申請の対象疾患であるALSについて、厚生 省特定疾患ALS患者等の療養環境整備に関する研究班が実施したアンケート調査よ り、1997年の時点における本邦の患者数は、4,400人と推計されております。また1999 〜2003年までのALSの特定疾患医療受給者証交付件数は、5,023〜6,774件です。以上 二点から、希少疾病用医薬品の指定要件である国内対象患者数5万人以下を満たすもの と判断いたします。  次に「2.医療上の必要性について」でございます。事前評価報告書の2ページを御覧 ください。まず対象疾患であるALSは、筋萎縮と筋力低下を中心とする進行性の疾患 であり、人工呼吸器を用いなければ通常発症後2〜4年で死亡に至ります。またALS を対象とする医薬品として、現在国内ではリルゾールが販売されているものの、承認に 当たっての本邦での治験成績では、有意な効果が認められていないという状況にありま した。さらに、国内でのALS治療法としては、対症療法が中心となっており、根治療 法につながる治療法に乏しい現状にあります。以上より、対象疾患の重篤性及び既存の 治療法として十分なものがないことから、医療上の必要性があるものと判断いたします。  最後に「3.開発の可能性について」ですが、本剤はラジカット注として、国内におい て脳梗塞急性期に伴う神経症候、日常生活動作障害、機能障害の改善を効能・効果とし て2001年4月に承認、販売されておりますが、作用機序として、本剤がフリーラジカル スカベンジャーとして過酸化脂質やハイドロキシラジカルを消去することで作用を発現 すると考えられております。一方、ALSについては、酸化ストレスが原因の一つであ る可能性が示唆されております。したがって、本剤の投与によりフリーラジカルを除去 し、ALSの病勢進展を抑制することが期待されます。また第II相試験において層別解 析を行った結果、患者の機能障害が軽度な場合に、呼吸機能の改善が見られることが示 唆されております。有効性・安全性については、今後第III相プラセボ対照二重盲検群間 比較試験によって検証する計画でございます。以上より、開発の可能性は十分あるもの と考えられます。  以上、対象患者の観点、それから医療上の必要性の観点、今後の開発の可能性の観点 から考えまして、希少疾病用医薬品としての要件を満たすということで判断しておりま す。御審議のほどよろしくお願いいたします。 ○永井部会長 ありがとうございました。オーファンドラッグへの指定ということでご ざいますが、御質問等ございますでしょうか。これまでに行われた臨床試験について簡 単に御説明いただけますでしょうか。指定申請書の中にございますが、5ページの臨床 試験IIです。それほどたくさんの症例で行われたわけではないのですけれども、しかも 14日間の点滴を行って試験期間は8週間、20例で30mg、プラセボが20例ということで す。 ○事務局 試験結果の簡単な記述でございますけれども、耳のウというところを御覧い ただきますと、その中の68ページから今まで行われました臨床試験の結果のサマリーが 記載してございます。 ○永井部会長 国立精神・神経センター国府台病院で行われたということですが、今日 は樋口先生がいらっしゃらないので分かりませんけれども、このALSという疾患は根 本的な治療法がないという状況の中で、何か新しい薬を応用できないかということで話 が出ているのだと思いますが、いかがでしょうか。腎障害が起こる可能性はあるという ことでございますね。 ○事務局 本剤は既に市販されていますけれども、平成14年10月に急性腎障害の関係 で緊急安全性情報が出されておりますので、それから結構日がたっておりますが、今後 の開発に当たりましてもこの辺りもよく注意した上で行ってもらうように企業の方にも 指導したいと思っております。 ○永井部会長 それから臨床開発計画は最後の耳のエの開発計画の中に記載されており ます。プラセボを対照とした無作為化二重盲検並行群間試験を行うということでござい ます。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。いろいろな状況を考えて指定を可とい うことで報告させていただきたいと思いますが、御異議がなければそのようにさせてい ただきます。ありがとうございました。それでは報告事項にまいります。事務局から御 説明をお願いいたします。 ○事務局 それでは報告事項1でございます。本日お配りいたしました資料5に基づき まして御報告を申し上げます。「優先審査品目指定の審査結果について」という報告で ございます。恐縮ですが、この資料一番最後の4ページをお開けいただきたいのですけ れども、優先審査の取扱いについてということでその概要を記させていただいておりま す。優先審査の指定に当たりましては、一つがその適応疾病の重篤性というものと、そ れから二つ目として医療上の有用性という二つの項目を総合的に評価いたしまして、判 断するという取扱いにしております。  恐縮ですが、また資料の冒頭の1ページを御覧いただきたいのですけれども、今回指 定いたしました品目は全部で四つございます。それで1ページのイントロンと、2ペー ジのペグイントロン、それから2ページの下側の3のレベトールの三つにつきましては、 いずれもC型慢性肝炎に対するインターフェロン、あるいはペグインターフェロンとリ バビリンの併用療法に関するものでございますので、併せて御報告を申し上げます。  このイントロンとペグインターフェロンにつきまして、現行ではリバビリンと併用し て使う場合には、適応の対象が血中HCV-RNA量ですとかウイルスのタイプによりまして 限定されているという状況がございまして、今回の申請はこれらの限定を外してC型慢 性肝炎全体に広げようというものでございます。厚生労働省といたしましては医薬品総 合機構におきます審査の結果を踏まえまして、一つはC型慢性肝炎という適応疾病の重 篤性と、それから国といたしましても、今C型肝炎対策に積極的な取組をしている中で の本剤の医療上の有用性というものを総合的に評価いたしまして、本剤につきましては 優先審査品目に指定するという判断をいたしております。以上が1〜3でございます。  二つ目が資料3ページをお開きいただきたいのですけれども、こちらもインターフェ ロンでございますが、適応が違っておりまして、成分名がインターフェロン ベータにつ いて一番下の下線を引いてあるところでございますけれども、「C型代償性肝硬変にお けるウイルス血症の改善(HCV セログループ1の血中HCV-RNA量が高い場合を除く)」 というものの効能を追加するものでございます。こちらにつきましては総合機構におけ る審査結果を踏まえまして適応疾病の重篤性と、それから現行ですと対症療法のみしか ないという状況におきまして、本剤によってウイルス血症の改善が図られれば医療上の 有用性は高いと考えられますことから、本品目につきまして優先審査品目に指定すると いうことでございます。これにつきましてはもう申請がなされておりますけれども、今 後データに基づいて承認審査をやっていきますが、その際に順番待ちといいますか、そ ういう意味で優先的にやるという趣旨でございます。以上、御報告申し上げます。 ○永井部会長 何か御質問ございますでしょうか。谷川原先生、どうぞ。 ○谷川原委員 優先審査の場合は通常の審査よりも半分ぐらいの期間で審査、承認だっ たでしょうか。何かどれぐらいの期間を目標というのがたしか設定されていたと思うの ですが、まずそれが何か月を大体目標にされているのかということと、それは一体申請 日からカウントするのか、この優先審査の…、申請は去年の11月16日ですよね。既に 半年たっていますけれども、いつからカウントするかといいますか、その扱いというの はどうなのでしょう。 ○審査管理課長 現在は標準的事務処理期間は一般的に1年となっています。12か月で ございます。ただこれはいわゆる審査側の持ち時間ということで、通常はやり取りをし ますと、向こう側から回答が出てまいりますのに大体こちらと同じぐらいの時間が掛か りますので、トータルとしては通常ですと2年前後要しているという品目がいわゆる中 央値といいますか、メジアン的なところにあると思います。優先審査品目の場合には大 体それが半分ということになっておりまして、これは事務局側、審査側の持ち時間は一 応6か月ということでございます。それでもう場合によっては実際上はやり始めている と思うのですけれども…。 ○谷川原委員 今から6か月ですか。 ○審査管理課長 これは申請から…。 ○谷川原委員 申請から6か月ですか。それとも指定から6か月ですか。 ○審査管理課長 申請日からです。 ○谷川原委員 申請から6か月ですか。 ○審査管理課長 ですから向こうがゆっくり回答を出してくればいいのですけれども、 回答がさっと来る場合にはこちらの時計がどんどん回り始めますので、その6か月とい うのは審査をされている方々にはかなり大変な部分がございます。しかも私どもは本省 での部会でございますから、ちょっと事務処理の関係等もございますので、そういう意 味では実質的に機構で審査をされている方々は時間的にはかなりきつい中で審査いただ いているという状況になります。 ○審査センター長 補足しますと、まず申請されてから2か月ぐらいのうちに優先審査 をするかしないかというのは決めてしまいます。非常に早く決めなければいけないこと になっています。機構における優先審査品目の標準的事務処理期間は半年であり、これ を50%達成というのが今の目標値になっています。メジアンというのは大体50%達成ぐ らいのところをとっていますから、今の目標ではうちの事務処理期間を半年として申請 品目の半分ぐらいはこなさないといけないと思っています。通常のものについては標準 的事務処理期間が1年になっていまして、それが今の目標では70%達成になっており、 こちらはこちらでまた厳しくなっています。優先審査品目については、通常の審査品目 は全部押しのけてそれだけにかかることになりますので、半年というのもある程度うま くいくというか、目標にすることができるようになっています。しかし、余り優先審査 品目が増えると通常の審査品目の方がどんどん遅れてしまう可能性があるという問題が あります。 ○谷川原委員 ありがとうございました。実は私自身がこの優先審査制度の議論をする ときに加わっていましたもので、非常に多くの期待を集めていると思いますから、現実 に具体的にこのように適用が進んでまいっていますから、どのように考えたらいいかと いうことでちょっと質問させていただきました。ありがとうございました。 ○永井部会長 そのほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。それではただいま の件は御確認いただいたということで処理いたします。本日の議題は以上でございます けれども、何かございますでしょうか。もしよろしければ、事務局の方からお願いいた します。 ○事務局 それでは事務的な御連絡ですけれども、次回のスケジュールにつきまして御 報告でございますが、次回は7月下旬に開催させていただく予定でございまして、今先 生方のスケジュールを調整いたしておりますので、来週早々にはFAXで御連絡を申し 上げる予定でございます。今後の第一部会でございますけれども、7月、8月、10月、 11月と年内4回の開催を予定しております。来週のFAXで併せてその4回分の御連絡 を申し上げる予定でございますので、よろしくお願いいたします。以上です。 ○永井部会長 大分時間が予定よりも早くなりましたけれども、何もなければこれで本 日は終わらせていただきます。どうもありがとうございました。 ( 了 ) 連絡先: 医薬食品局 審査管理課 課長補佐 佐藤(内線2734)      - 1 -