05/05/19 厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する 専門委員会第23回議事録             第23回 厚生科学審議会科学技術部会        ヒト幹細胞を用いた臨床研究の在り方に関する専門委員会             平成17年5月19日(木)15:03〜17:07             経済産業省別館 10階 1020会議室 ○事務局  それでは定刻となりましたので、ただいまより第23回ヒト幹細胞を用いた臨床研究の 在り方に関する専門委員会を開催いたします。まだ持田委員がいらしておりませんが、 特に御連絡はいただいておりません。  以降の進行は中畑委員長にお願いしたいと思います。どうぞよろしくお願いいたしま す。 ○中畑委員長  本日はお忙しい中お集まりいただきまして、どうもありがとうございます。本日は前 回行われました論点整理について確認するとともに、まだ議論が残っている点について 議論を進めていきたいと思います。  まず事務局から資料の確認と御説明をお願いします。 ○事務局  それでは資料の確認をさせていただきます。まず委員会における議論の合意状況とい うペーパーが1部。  参考資料としまして1〜5までございます。ヒト幹細胞等を用いる臨床研究に関する 指針でございますけれども、こちらは平成15年11月28日に開催された第15回委員会で配 付させていただいたものでございます。  参考2としまして、妊娠4カ月未満の中絶胎児の取り扱いに関する調査結果等につい てでございますけれども、前回の委員会で配付の御要望がございましたので御用意させ ていただいております。  参考3としまして、ヒト胎児幹細胞を用いた前臨床研究について、高坂委員の方から 御提出いただいたものでございます。  参考4としまして、FDAの資料、岡野委員から御提出いただいたものでございま す。  参考5としまして、関連の指針等を6種類まとめたものをお配りさせていただいてお ります。  なお、参考3について簡単に御説明申し上げますけれども、妊娠4カ月未満の中絶胎 児の取り扱いに関する調査結果等について、雇用均等・児童家庭局母子保健課の方で行 った、自治体に対する中絶胎児の取り扱いに関する調査結果と、これを踏まえて、自治 体に参考となる取り扱い例を通知したものでございます。  事務局からの説明は以上でございます。 ○中畑委員長  ありがとうございます。次に、高坂委員から配付された資料について、高坂委員から 御説明願います。 ○高坂委員  参考3です。前回の議事録を拝見しておりましたら、私が1年ほど前に提出していた 資料がまだ未提出であって、どうなってるんだというお言葉があったので驚いたんです が、要するにヒトの神経系由来の幹細胞についての実験の現状がどうなっているかとい うことの資料だったと記憶しておりますが、これは一部でしかありませんが、皆さんが 一番知りたいところは、ヒト幹細胞を実際にヒトの脳の中に入れてやった研究成果があ るかどうかという点だと思いますが、それについてはまだございません。あくまでも前 臨床段階の、どちらかというと基盤研究あるいは基礎研究系の仕事でありまして、ヒト の胎児由来の神経幹細胞を動物レベル、すなわち、ラット、マウス、ジャービル、サ ル、こういった脳の中に入れて、その中で神経細胞やグリア細胞に分化している、ある いはモデル動物でいえば症状が一部改善されているという仕事。もう少し前の段階とし て、ヒト幹細胞を培養後の中でいろいろな処理をして、それがニューロンあるいはドー パミンニューロンにどのように分化していくかという仕事が、ここに参考資料として提 出した代表的なものです。  したがって、実際にヒトの胎児幹細胞をマニピュレートしておりますけれども、そう いったものはあくまでも動物レベルでの仕事に終わっていると。そういう段階において はかなり、どこまでやれば科学的根拠になるかということは別として、少なくともかな り臨床応用してもいいのではないかというような結論を出している方が多々ある。次に どういうステップに進むかというところで、今回議論になっている臨床研究への応用と いうここを今後模索していけばいいかということの、参考のために提出したということ になります。以上です。 ○中畑委員長  『New England Journal of Medicine』なんかに出されている、あの辺の資料はここ には出されていないんですか。 ○高坂委員  これは去年の段階ですから、それ以降はまた多々出ていると思います。 ○中畑委員長  ただいまの御説明に対する御質問ございますでしょうか。ヒトに移る前の前臨床試験 のデータをまとめられていたということで、それではかなり臨床効果も期待されるよう なデータが報告されている。ただ、使っているのはヒトの細胞、胎児の幹細胞を使って 前臨床試験を行われているということでございますが。  それでは岡野委員の方からよろしくお願いいたします。 ○岡野委員  参考資料4をごらんいただきたいと思います。これも1年以上前に私が提出させてい ただいておりますが、きょう初めて議題となりました。  これは何かといいますと、FDAの細胞治療などについての基本的な考え方を示した PowerPoint資料でありまして、シンシア・ラスクというFDAの方が去年の2月20日に バンクーバーで、脊髄損傷を対象とした先端的治療をどうやっていくかということに関 するミーティングがありました。いろいろなトライアルを考えている先生、既にやって いるいろいろな臨床家の方々、あるいは基礎研究者が多く集まった会において、FDA においては新しい臨床研究についてどのようにレギュレーションしていくか、あるいは どのように審査していくかということに関する基本的な考え方を示したものでありまし て、本指針においても、どういう考え方で安全性を確認していくかということに関して は参考になるのではないかと思いまして提出させていただいております。これを全部読 むつもりはございません。重要なところだけ、そして皆さんが御存じのところは適当に 割愛させていただきます。  まず、ヒト細胞由来の生物製剤について、どのようにして臨床研究をやっていくかと いうことに関する考え方を示したものでございます。2ページ目を見ていただきたいん ですけれども、臨床研究をやるに当たってFDAの認可が必要なもの、要するにフェー ズ1、2、3を行う前にFDAの書面審査が必要な場合と、不必要な場合について分け て考えております。  まず不必要なものに関して見ますと、例えば死体由来の角膜移植、皮膚粘膜疾患、こ れは本指針ともかなり合致していると思いますけれども、骨髄移植です。造血幹細胞移 植で、それがminimally manipulated、これがどこまでであるかはここには書いてあり ませんが、それがhomologous useであると。これは何かというと、造血能再建を目的と した骨髄移植は、これはFDAのアプルーバルは不要である。一方、FDAのアプルー バルが必要な、Non-homologous use of cells or tissues、これは例えば骨髄間質細胞 などを使った神経系の再生医療とか、心筋梗塞の治療とか、こういったものは Non-homologous useだと。本来、骨髄間質細胞や心筋や神経細胞に分化するものではな いけれども、そういったものの再生医療として使えるのではないかという前臨床試験の データが得られておりますので、そういったことを臨床研究やる場合はFDAの認可が 必要であるということであります。これは非常に大事ではないかと考えます。  Manipulated cell tissueというのは、例えば培養下でふやした幹細胞、こういった ものはManipulated cell tissuesの範疇に入る。こういったものに関してはいろいろな 尺度で安全性その他が、臨床研究する前にFDAの審査が必要である。こういった分類 をしております。これは非常にリーズナブルではないかという結論になっております。  次に、臨床研究をやる場合の実際の考え方に関して、これはいろいろな国の出身の方 がいましたので、鉄則ということで、Principles of Good Product Development、これ は比較的当たり前のことが書いてありますのでお読みいただきたいと思います。  次のページですけれども、これはなるほどと私なりに思いましたのは、アメリカ合衆 国はいろいろな宗教のバックグラウンドの方がいらっしゃいますので、それぞれの生命 倫理観によって相当議論が異なる。しかしながら、FDAが第一義に問題とするのはい つも安全性であるという考え方をやっております。例えば、ここで議論されているよう な問題についてどう考えるかというのは、各インスティテュートに任せている。FDA の審査で問題としているのは安全性だという明快な答えが返ってきております。  結局、FDAの治験新薬の審査に当たっての第1相を含むすべてのフェーズにおい て、安全性の担保が大事だと。第2相と第3相においては生物製剤の有効性と安全性の 科学的評価の担保である。これは当たり前とされることが書いてありますけど、こうい った安全性の担保といったことに関して、もう少し本指針も考えてもいいんじゃないか と私は考えておりました。  次に、クリニカル・トライアルの考え方に関しまして、これは皆さん御存じのことだ ろうと思いますので割愛いたします。  次に、臨床プロトコール。FDAに申請を出すとき、どういったことを必須事項とし て文書で書いてもらうかということが書いてあります。当たり前のことなんですけど、 非常に重要だと思いますので、少しお話しさせていただきます。目的及び背景、意義、 さらに適正基準。どういった状況の病態を対象とするか、あるいは除外基準をどうする かといったことが問題になります。例えば脊髄損傷の場合、胸髄の損傷でどれだけの麻 痺があるかとか、非常に細かい基準が決められていて、その場合はこういった形でやる と。それはそれぞれの疾患によって細かく審査されるべきであるということで、これに 関して、再生医療全体の指針に、ここでディテールを盛り込むのは不適切だと思います ので、それに関しては実際の審査が始まってから参考事例として出させていただきます けど、除外基準、インクルージョン基準、これを明確にするということ、当たり前のよ うですが非常に大事なことと考えます。それから安全性と有効性の判断基準。統計的な 解析方法をどのようにしているか。これを必ず明記せよということであります。  インフォームドコンセントに関しましては、新規のプロトコールの審査においては、 インフォームドコンセントとしてどういったものを出しているか。説明文書、署名文 書、それの例文を必ず出すということと、さらに、臨床研究に加わることによって可能 性のある危険性を必ず明記すること。もう1つ大事なことは、ベネフィットを余りにも 強調し過ぎるなということを警鐘として出していまして、これはもっともなことだと考 えております。  次のページは、フェーズ1、2、3、それぞれ何を目的とするか、これは教科書的な ところですので割愛させていただきますが、実際のスタディのデザインに関しては、そ れぞれの専門家が詳しくインクルージョンとエクスクルージョン、さらにデザイン、ア ナリシスを書くべきだということが書いてありまして、実際に何を書かなければいけな いかということに関して、例文的ではありますけど、ここのホームページアドレスにい きますと、Cellular & Gene Therapyとくくってありますけど、例えば移植する細胞の 微生物学的検査をどうしているかとか、非常に細かく書いてありまして、こういったこ とをチェックしていますかと。我々が言っていますチェック項目的なところがここにか なり記載されていますので、これは参考になりますので、別の機会に見てはいいのでは ないかと考えております。  サマリーとしまして、Safety is FDA's primary concern in all phases of clinical development、これは繰り返し強調しておりました。これは国際会議で、かなり宗教的 背景の違う人たちを相手に言っておりましたので、このコンセプトを大事にすべきだと いうことでお話ししておりました。実際、FDAに関して、ヒト胎児神経幹細胞に関し てどういう状況になっているかといいますと、カリフォルニアにありますSTEMCELLS.inc という会社から、ヒト胎児神経幹細胞を使った、難治性代謝性疾患のバッテン病に対し ての申請がFDAに提出されて審査されている状況であると聞いています。まだ承認さ れたわけではありませんが、そういった議論は始まりつつあるというのが米国での状況 であります。  これは一般的なガイドライン、それぞれの審査をする上での一般的な考え方を示した ものでありますけれども、御参考にしていただければ幸いでございます。以上です。 ○中畑委員長  どうもありがとうございました。ただいまの岡野委員の御説明に対して、どなたか御 質問ございますでしょうか。はい、どうぞ。 ○位田委員  先ほどの高坂委員の資料と、岡野委員の資料と両方にかかわるんですが、ヒト胎児幹 細胞を用いた前臨床研究、かなり有効性があるというのが高坂委員の資料が物語ってい ることなんだろうと思うんです。けれども、大分前に京都大学の福島教授の方から、ヒ ト胎児幹細胞はあまり有効ではないんだというシンポジウムでの議論とか、御自分の論 文だったと思うんですけれども、そういうものが委員の方に送られてきて、それについ てどなたかにお答えをいただいて、福島教授の考え方は必ずしも正しくないという主旨 であったかと思います。そのときに岡野委員が同じシンポジウムに出ておられました。 前回は岡野委員はお休みになっていたので御意見聞けなかったんですが、ヒト胎児幹細 胞について福島教授とは評価が違うというふうに考えてよろしいんでしょうか。 ○岡野委員  この件に関しては、クローン胚の委員会で参考人として呼ばれまして、かなり長いプ レゼンテーションをしまして、その議事録の校正がきょう終わったばかりで出てきまし たので、詳しくはそちらで見ていただきたいんですが、フクシマ教授が根拠として有効 性がないと判断していますのは、『New England Journal of Medicine』に報告されま したフリードとオラノ、それから、『Annals of Neurology』に発表したオラノらのス タディであります。いずれにしても、ダブルブラインドスタディで行われております が、先行する研究としてスウェーデンのルンド大学のグループが、オープンフィールド スタディでありますが、有効性があるといった研究が出ております。よく論文を読んで みますと、かなり細かい点で実験条件が違っております。特にアメリカのグループは、 フリードのグループは免疫抑制剤を全く使っていないという問題点があります。オラノ らのグループは、6カ月間非常に低用量の免疫抑制剤を使っておりますが、免疫抑制剤 を切った直後からパーキンソン病の症状が激しくなっているということがあって、これ は免疫抑制をしていないことが非常に問題であるということが議論されて、それは『ト レンジンニューロサイエンス』などに、この2つのスタディに関するクリッサイズが発 表されております。ですから、決して胎児幹細胞が有効ではないという普遍的真理を提 出するものではなくて、その2つのスタディに欠陥があるということを意味するもので あります。しかしながら、胎児脳を使ったパーキンソン病治療は、1人の患者さんに数 体の胎児脳が必要であるという倫理的問題があるのは間違いないところでありますの で、そこで胎児脳そのものではなくて、試験管の中でふやして大量に調製できて、同じ 規格で研究できる幹細胞を使った前向きな検討が必要であると現在考えられております ので、まず胎児脳を使ったオラノとフリードがそういう報告を出したということはアグ リーします。ただ、それら2つの研究に関しては非常に問題点がある。しかも胎児脳そ のものではなくて、胎児脳由来の神経幹細胞をふやした状態で、同一規格でやっていく 研究が必要である。それに関してはいまだバッテン病以外の申請が出ていないわけです が、それを有効性を確認する上での前臨床試験の研究がこれだけ集まってきたという状 況で、それを踏まえて今後どうするかという議論になっていくと理解しております。で すから、フクシマ先生がその2つに関してのネガティブリザルトを報告したこと自体は アグリーしますけれども、それによる結論に関しては私は少し意見が違うところです。 以上です。 ○位田委員  続きなんですけど、FDAではヒト胎児幹細胞を使った臨床研究というのは認めた例 があるんでしょうか。 ○岡野委員  先ほどのSTEMCELLS.incが初めての申請です。それがどうなったかは聞いておりませ ん。申請するという話をSTEMCELLS.incの人が来日したときに伺いまして、それがどう なるかということは興味深いところだと思います。 ○中畑委員長  ほかに何かございますでしょうか。はい、長沖委員。 ○長沖委員  フクシマさんの書いていらっしゃるものを読むと、世界の科学者は胎児細胞を使った 実験から撤退してるとまでおっしゃってますよね。そういう事実はないということなん ですか。 ○岡野委員  もう一度言いますと、胎児脳そのものを使った臨床研究は、1人の患者さんに数体必 要になるので、積極的に進めていく根拠として乏しいので、それに関しては積極的には やっていないと思います。しかしながら、その反省を踏まえて、胎児脳由来の、 in vitroでふやした神経幹細胞についてどうするかを今議論していて、その前臨床試験 が進んでいる。さらに、その第1号としての臨床研究の申請がFDAに上がっていると いうところです。ですから、胎児脳由来の神経幹細胞について撤退したわけではありま せん。胎児脳そのものを使った、1人の患者さんに何体も必要であるといったことに関 しては、若干撤退傾向にあるのは間違いないと思います。ただ、やり続けているグルー プはありますけど、大分少なくなってきているのではないかと思っています。 ○中畑委員長  よろしいでしょうか。先ほどのSTEMCELLS.incという会社自身が胎児脳由来の神経幹 細胞を増殖させて、それで臨床プロトコールを出して、それをFDAに出して、できた ら本年度から始めたいという会社の意向を昨年お聞きしましたけれども、そういう状況 にもあるということでございます。  ほかに何かございますか。はい。 ○長沖委員  これは岡野さんにお聞きすることなのかどうかわからないんですけど、以前ヒアリン グをしたときに、大阪医療センターで中絶胎児を使った細胞の培養ということを行って いるとおっしゃっていて、つい最近の新聞報道では、あのとき12件とおっしゃってたの が、それだと14件と言っているんですけれども、今も日本で続いているんでしょうか。 ○岡野委員  私の知る限り、この委員会の結論を見るために、しばらく新しい採取は見合わせてい ると聞いております。既に採取した細胞をふやすという作業に関してはやっていると理 解しております。 ○中畑委員長  ほかにございませんでしょうか。ないようでしたら、前回の議論について、資料に基 づいて確認を行いたいと思います。事務局の方から御説明をお願いします。 ○事務局  資料1について御説明いたします。本日は前回の議論の確認と、残された論点につい て御議論いただくことになっております。資料の体裁は前回お配りしたものと同じとな っておりまして、前回御議論いただいた事項については、方向性ということで整理をま とめさせていただいております。  まず2ページでございますけれども、対象となる臨床研究の範囲についてということ でございます。指針が対象としている臨床研究を改めて確認する必要があるのではない かという主旨で、指針が適用される体性幹細胞について、どこまでが体性幹細胞か。ま た、人体に投与しない研究についても対象となるかという点について御議論いただきま した。その結果、対象となる研究は、研究計画においてヒトへの投与が記載されてお り、将来的にヒトへの投与が想定されるというだけの場合には、指針が適用される研究 ではない。また、指針が適用される幹細胞を限定するということは困難であり、具体的 な研究例を提示することで、提供される研究を例示する。また、リンパ球、樹状細胞等 を用いた免疫細胞療法等は、幹細胞としての性質を用いた治療法とはいいがたいことか ら、指針の対象とはしない。こういった方向で議論いただいております。  次の審査についての論点でございますが、これまでの議論では、現在、臨床研究の審 査を行う機関内倫理審査委員会の審査水準がばらばらであり、そういった問題意識のも とに国が関与する必要があるというような議論が出ておりました。この点については、 研究の審査自体は各IRBが行うものの、主に安全面や技術面で一定の水準のもとで審 査が実施される必要があることから、国の関与は必要であり、そのために、例えば遺伝 子治療臨床研究に似たような形で、国に意見・助言を求めることのできる仕組みが必要 ではないかというような方向で御議論いただいております。  3ページでございます。代諾によるドナーからの幹細胞の提供についてですけれど も、この論点は、臨床研究に関する倫理指針及びヒトゲノム遺伝子解析研究に関する倫 理指針に規定されている取り扱いと同じ形をとれば、幹細胞治療臨床研究として取り扱 いを異にしなければならない特段の事情があるかどうかという点について御議論いただ きました。これまで指針案の中においても、代諾者による同意は原則として本人による 同意が困難であること、研究上の重要性及び必要性があること、倫理審査委員会が承認 していることという条件を満たした場合のみ認められるという形で御議論いただいてお りましたが、幹細胞治療臨床研究の場合には、提供と投与が兄弟間で行われ、代諾者が 親となるような例が想定される。このような場合に対しての対応が必要ではないかとい う御意見が出ております。しかしながら、実際はこのような事例に対する取り扱いを個 別に規定することは困難であることから、このような事例は運用上限定的に取り扱って はどうかというような意見もいただいております。こうしたことを踏まえ、代諾に関す る規程については、基本的には既存の指針との整合性を確保し、運用面で限定的に扱う ことで対応するという方向で御議論いただいたものと認識しております。  4ページでございますが、死亡胎児細胞の利用についてという点でございます。この 点については、これまでの議論でお示ししているような論点について御議論いただいて おりますけれども、前回、この論点について今後の進め方について改めて御議論いただ きました。その結果、本指針で死亡胎児の利用について規定しない場合、どのようにな るのか。また、今後議論の進め方をどのようにするのかといったような御意見もござい ましたが、大まかな方向性として、死亡胎児の問題は臨床研究のみならず、基礎研究も 含めた研究全体に由来する問題ですので、慎重に議論を進めることとして、先に指針を まとめるという方向で御議論いただいております。  以上、前回までの整理の状況について御説明申し上げました。 ○中畑委員長  ありがとうございました。もう一度確認させていただきますが、対象となる臨床研究 の範囲についてということで、今後の方向性ということで3つに分けていただいており ます。こういった方向性でよろしいかどうか、再度確認をするということで、リンパ球 とか樹状細胞等の免疫細胞療法はこの指針の対象にはしないということでございます が、あるいは一番上にありますような、研究計画書の中に、臨床に移る、患者さんへの 投与が実際に行われるという方向が出されていない研究は、一応この指針の中には含め ることはできないだろうということで御議論いただいたと思いますが、この指針は基礎 研究までを含めるようなものではないということで御同意いただいたと思いますが、そ れでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○長沖委員  今後の方向性の一番上の部分の後半なんですけど、「将来的にヒトへの投与が想定さ れるものの、IRBの審査時点での研究計画においてヒトへの投与が予定されていない 研究」というのはどういう研究に当たるんでしょうか。この前、委員長のお話では、最 初からヒトに投与するというインフォームドコンセントがとれていない細胞をヒトに移 植することはあり得ないとおっしゃっていましたよね。だとすると、将来的にヒトへの 投与が想定される研究計画というのはあり得るのでしょうか。 ○中畑委員長  この文書自身は、先ほど岡野委員が言われたような、例えば神経幹細胞をふやす技術 を進めて、将来それが患者さんに投与されるということはあり得るかもしれないと。た だ、そういったところまではこの指針は含めることはできないだろうということです。 実際、ふやしている細胞そのものを使って、将来、患者さんにその細胞を投与するとい うことはあり得ないことになりますので、そういった基礎研究が十分成果が得られそう だということになれば、患者さんに投与することを目的とした臨床研究がIRBに出さ れて、それが中央に回ってくるという過程をとることになりますので、具体的に患者さ んに将来投与するかもしれないというような研究というのは、具体的にはこの指針の適 用とはならないという解釈だと思うんですが。はい、どうぞ。 ○西川委員  いろんなケースがあると思うんですね。例えば死亡胎児にしても、それを研究に使っ てくださいとおっしゃる両親の方というのは、できたらほかの人のために使いたいと思 って出されることが多いわけですね。臍帯血もそうですね。そういう希望を最初から拒 否するような形でのインフォームドコンセントのとり方はないと思うんですね。そうす ると、初めからインフォームドコンセントに書いておく、おかないは別として、インフ ォームドコンセントの内容から考えれば、そういう条項はついてくることだってある し、そういうことはフレキシブルに考えていけばいいんじゃないですかというのがポイ ントじゃないかと思うんです。だから、どちらであるとかいうことはなくて、僕ら研究 で、こういうものは臨床に使ってほしいと思われているということが、その気持ちがず っとつながれていくような仕組みを考えていくべきで、それは逆に言うと、使える状況 であれば使ってあげるのがドナーの気持ちをくむことだと思います。 ○中畑委員長  先生のおっしゃることはよくわかるんですが、一応この指針としての範囲は、あくま でも臨床の患者さんに投与するということのための指針に限定すると。それよりも前の 基礎研究、あるいは患者さんへの投与というところまでまだいっていない研究というの は指針の中の範疇には含まれないという、範囲としてある程度規定するということなん ですが。指針の範囲としては一応そういう範囲に限定するということです。 ○西川委員  その内容でインフォームドコンセントの内容が全部規定されるものではないというこ とですか。 ○石井委員  理解が違ってるかもしれませんが、始めるときには投与が予定されていなくても、将 来投与が可能になったら投与するということではないんですね。 ○西川委員  患者さんであったり両親の意向を尊重するような、気持ちがつながるような仕組み、 匿名化したときにそれが残るかどうか、いろんな問題はあるにせよ、そういうものが残 るような仕組みは研究する側が考える必要があって、例えばここでは死亡胎児について 一切指針の対象外ですよという話をしたときに、対象外になるようにインフォームドコ ンセントをとれという話にはなれませんよということです。 ○石井委員  研究が大変うまくいったら投与可能になるかもしれない研究であっても、提供してい ただくときに、将来投与するということにも承諾していただく、そういう研究であれば 指針の対象になる。 ○西川委員  基本的には、インフォームドコンセントというのは患者さんとお医者さん、あるいは 研究者との中で、割とフレキシブルにあっていいだろうということが1点。それから、 指針の対象について、例えばこれ自身が将来投与を仮定するとか仮定しないということ が、将来投与を仮定しつつ、なおかつ研究に使って、なおかつモラトリアムもあるとい う問題についても対象とするかどうかを議論していただければいいことで、僕は対象で なくてもいいし、対象になってもいい。対象でないというモラトリアム、例えば最初か らGMP基準できちっとした細胞がつくられて、インフォームドコンセントもとれてる けれども、基本的には日本ではモラトリアムをしておきましょうという話になれば、そ れは当然、変な意味で言うと指針のインフルエンスはあるけれども、基本的には指針の インフルエンス下で対象外になっているわけですね。ですからいろんなケースがあるだ ろうと。 ○中畑委員長  先生がおっしゃることは非常によくわかるんですが、もちろんそういった方向にこれ からの基礎研究も進んでいくと思うんですが、この指針に関しては実際に臨床研究とい うことで、患者さんに投与するということを前提とした研究ということになりますの で、一応その指針の範囲には含めないということで前回はアグリーしていただいたと思 うので。ただ、先生の方向性というのは当然大事なことですので、例えば死亡胎児につ いても当然基礎研究も含めた議論をこれからしていくということになると思います。と いうことでよろしいでしょうか。 ○石井委員  委員長がおっしゃったことの確認なんですが、初めから投与することを予定して行わ なかった幹細胞については投与できないということですと、今、慶應で培養してふえて いるという幹細胞は、この臨床研究指針に基づいて患者に投与することはできないとい うことですね。 ○中畑委員長  当然できないですね。  ほかに1番についてはよろしいでしょうか。それでは2番の審査についてということ で、各機関のIRBにかなり審査基準のばらつきがあるんじゃないかということ……は い。 ○岡野委員  少し理解の違いがありまして、今ふえている細胞に関して安全性と有効性、すべての 面が前臨床試験で出された場合、それをどうするかということは、できないということ を最初から規定するんですか。それはわからないんですけど。 ○中畑委員長  そうじゃなくて、今やっている細胞については患者さんに投与するということを前提 にしてやってないわけですね。だから、もしそれが実際に患者さんに投与するというこ とになれば、別に申請をしてくるということになるわけです。 ○岡野委員  それは本指針の対象になるということですよね。そこら辺がちょっと、私は法律に疎 いものでわからないんですけど。 ○西川委員  例を言ってアグリーかどうか聞きたいんですが、例えばES細胞の指針があって、E S細胞は臨床には使わない。例えばこういうケースで、しかしながらES細胞というの は、これだけ報道の方が言っておられて、将来的な臨床を目指してつくっていられると いうのはほとんどのドナーの方も知ってるわけですね。それがメリットであって、ただ サイエンティフィックな研究のためだけにES細胞があるわけじゃない。そうしたらぜ ひ私たちのものもいつかは臨床に使ってくださいというインフォームドコンセントがと られる。そのときに、最初からGMP基準で、例えばES細胞をつくるということはあ ると思うんですね。ところが、最初からGMP基準をつくってるということは、使おう としてるからそれは間違いであると前もって言うのはいけませんよと。そこに関しては 皆さん、前もって臨床の利用も考えてモラトリアム下で行うということに関してはアグ リーされるかどうかです。 ○中畑委員長  西川先生のおっしゃることはもっともなことだと思いますので、将来的にもしかした ら患者さんに投与するということを前提として行う場合は、最初からGMP基準で安全 性にも十分配慮して細胞を取り扱うということになると思うんですが、ただ、そういっ たところまでこの指針の中には当然含まれていない。指針に書かれて、もし将来的な臨 床応用ということまで考えるとすれば、この指針に書かれているような安全性も十分配 慮したような細胞の処理とか、そういったことを考えて基礎研究を進めていただきたい ということだと思うんですが、よろしいでしょうか。 ○岡野委員  わかりました。時間もありますので、一応この場は理解したつもりで、もし理解が違 っていればまたコメントさせていただきます。 ○石井委員  新たに投与について申請すればできるということではないですね。基礎研究だから指 針の範囲に入らないといいながら、それが結局臨床に用いられることになるということ は、問題だと思います。 ○高坂委員  石井先生、よろしいですか。ちょっと議論がさっぱりわからなくなってきてるんです が、医学研究というのは、基礎であれ臨床であれ、必ず将来患者さんのために役立ちた いという大きな目的があるんですね。ということは、もしそういうことがあるならば、 どんな基礎研究であれ、将来これを臨床応用に持っていきたいということが前提となっ ているんだったら、この指針で全部網をかけますよということをおっしゃってるのと同 じなんですよ。ということは、将来我々としてはなるべく治療に持っていきたいという ことはもちろん持ってるけれども、現状としてはそれまでにいろんなエビデンスを重ね ていく。例えばこの細胞がどういう細胞に分化するかとか、そういう基礎的な研究も一 方ではやらなければいけないわけです。でも、その段階であれ、将来あなたは臨床応用 に持っていきたいなという希望があったら、この指針に書けますよということをおっし ゃってることになるので、そのレベルの仕事はこの指針では除外するというのは当然だ と僕は思います。そうじゃなければ全部の研究がそうなっちゃいますよ。例えば細胞を 扱う研究であれば。 ○中畑委員長  少なくとも、この指針に書かれているような細胞の処理とか、そういったことをやっ ていない基礎的な細胞というのは、臨床に使うということはあり得ないということです ね。  それでは2番に移ってよろしいでしょうか。審査については、施設間のばらつきがあ るということも含めて、中央で何らかの審査といいますか、助言を与えるような仕組み が必要だろうということで今までずっときておりますので、この点については皆さんほ ぼ合意いただいているのではないかと思いますので、よろしいでしょうか。  それから3番目、代諾によるドナーからの幹細胞の提供についてということでござい ますが、基本的には今後の方向性の一番上にありますように、代諾者による同意は原則 として本人による同意が困難であること、研究上の重要性及び必要性があること、及び 倫理審査委員会が承認しているという、この3つの条件を満たしたものに限られると。 ただ、幹細胞の持つ特殊な場面というのも想定されると。例えば兄弟間で行うとか、あ るいは代諾者の兄弟と親のような利害関係をある程度持つような場合もありますので、 その辺についての議論が少し必要だと。ただ、基本的には、従来いろいろな指針が出て おりますので、倫理指針とか、ヒトゲノム、遺伝子解析研究に関する倫理指針等が出て おりますので、一応その指針と整合性を持って、この指針というのも出されなければい けませんので、基本的にはこういった指針に合わせる形にすると。幹細胞の持つ特有な 問題というのは、運用面という形で別に附則のような形で出すという方向でいいのでは ないかということになったと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。長沖委 員。 ○長沖委員  「運用上限定的に認める」というのはどういう意味でしたでしょうか。具体的にお伺 いしたい。私自身は何を思っているかというと、代諾というのは、現在の段階で臨床研 究の段階である。だから確定した技術の場合に、どうしても代諾で同意を得なきゃいけ ないケースで使わなきゃいけないということはあり得るかもしれないけれども、まだ研 究の段階で代諾を使うということは本来はない方がいいと思っていますので、この場合 で「運用上限定的に認める」というのはどういう想定なのか、もう一回説明していただ きたいと思います。 ○中畑委員長  先生おっしゃるように、通常は代諾者による同意ではない、ほんとの意味での同意の もとで行われる臨床研究というのが一番望ましいわけですけれども、どうしても代諾者 による同意というのが必要なケースというのもある程度あり得るのではないかというこ とで、その場合、限定的に運用するということだと思うんですが。はい、どうぞ。 ○西川委員  逆に僕は、将来的にも代諾者のやつが一番多いと思うんです。臍帯血を考えていただ いたら一番わかりやすいわけで、例えば培養して何かをするという場合にはほとんど臍 帯血が最初に行われるだろうと思うんですけれども、それはほとんど代諾ですよね。 ○長沖委員  というケースだけなんですか。臍帯血というケースだけを考えているのか。「運用上 限定的に認める」というのは、だれがどういうシステムで運用上限定的に認めるのかと いうことをお伺いしたかったんです。そういう意味では、臍帯血を使った臨床研究とい うのは、臍帯血自身がある程度既に使われていますよね。それ以外のケースもあり得る わけで、この「限定的」というのが臍帯血だけを使うという意味でもないですよね。 ○中畑委員長  そうですね。今、代諾で行っている医療というのも結構あると思うんですけれども、 例えば骨髄移植なんかでも、兄弟間の骨髄移植というので、子供が非常に小さい場合に 代諾という形で兄弟から骨髄をいただいて移植をするという、その場合は当然、その施 設のIRBにかけて認められた場合に行うということになるわけですけれども、そうい ったことが一般的な医療としてもかなり行われているわけですね。はい、どうぞ。 ○町野委員  この「限定的」の意味は、「なるべく認めないようにする」ということじゃないと思 います。今までは親であればすぐ代諾者になれるという考え方があったと思いますが、 やはり本人の立場を理解した上で承諾を与え得る者ということです。その意味での「限 定的」ということだと思います。 ○中畑委員長  事務局の方から何かありましたっけ。この「限定的」というのを入れたのは何かあり ましたっけ。 ○事務局  以前お配りしております指針案、参考資料1をごらんいただきたいんですが、7ペー ジから8ページにかけて、ドナーの人権保護というところで代諾についての案文が記述 されております。「ドナー本人が説明を受け、同意を与えることが困難な場合、または 単独で完全な同意を与える能力を欠いている場合において、やむを得ずそのヒト幹細胞 を用いる必要性があり、なおかつその理由が医学的根拠に基づき明らかにされている場 合」と。その下に詳細な条件を設定しておりまして、実際上はこういった点を各研究計 画ごとに審査しながら細かに見ていく、そのケースの事情等も踏まえながら判断してい くということになると思います。その辺が「運用上」というふうに書かせていただいた 理由でございます。 ○中畑委員長  よろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○位田委員  2つ目の「・」のところの、「未成年の兄弟間で行われ、代諾者が兄弟の親であるよ うな場合〜を想定する必要がある」というのは、それはそうなんですが、それはなるべ く認めないようにという主旨で限定的ということではないですよね。こういうケースは 多分あると思うんですけれども。私が思うのに、先ほど事務局がお読みになった7ペー ジから8ページにかけての規程を個別にIRBが審査するときに、きちっとドナーの人 権もしくは最上の利益に反しないような形で代諾者が選ばれているか、実際に代諾が行 われているかということを厳密に判断するということだと思います。それ以外に条件の つけようがないという気がするんですけど。  もう1点、非常に素朴な質問なんですけど、臍帯血というのは代諾の対象なんです か。ドナーの側ですから……。 ○西川委員  例えば骨髄移植の現状なんかも考えると、ものすごくレアなケースを除いて、子供の 場合、代諾が必要な場合、生きた子供から何かをとって移植するということはほとんど ないと思うんですね。実際にどういうケースがあるだろうかと考えると、脳死であった り、心臓死なんですね。心臓死でも膵臓移植ができますし。そういう場合は基本的には 代諾という形をとらざるを得ない。それから、臍帯血に関しては基本的にはここで言う 代諾の範疇に入る。 ○位田委員  臍帯血というのはお母さんのものではないんですか。 ○西川委員  子供のものです。どちらの体に属しているかといえば、もちろん子供の体のもので す。 ○位田委員  そういうふうに取り扱われているわけですね、今まで。 ○西川委員  生物学的には子供のものです。 ○位田委員  いやいや、実際の制度上の取り扱いが、臍帯血については、お母さんは同意ではなく て代諾だという取り扱いをされているんですか。 ○西川委員  基本的には同意ですね。 ○位田委員  ちょっとその辺が、今出された例では私はよくわからなかったので。 ○事務局  既存の指針における代諾のところの書きぶりを先に御説明させていただこうと思うん ですが、お配りしております各指針の中で、臨床研究に関する倫理指針については、参 考資料5の16ページに、代諾者からのインフォームドコンセントの取得が規定されてお ります。また、ヒトゲノム指針の方については23ページのところに、代諾によるドナー からのインフォームドコンセントについて記載されております。そちらも御参照いただ ければと思います。細則の部分でかなり場合が限定されるということを記載しておりま す。  あと臍帯血移植ということに関連しての代諾ということなんですが、恐らく日本の公 的臍帯血バンクが行っている移植では、今回例の方に示したような兄弟間での臍帯血移 植というのは基本的にはないケースだと考えておりまして、あり得るのは、骨髄移植で 兄弟間の移植が行われるような場合が考えられると思います。現在のところ、兄弟間で の骨髄移植の場合は、親が骨髄を提供する側の代諾になって、レシピエントである兄弟 のもう一方に対しての移植を行うということが、それは移植医療の現場において行われ ているという状況だということでございます。 ○位田委員  私も基本的にはそういうケースだろうと思っているんですけど、そのときに、そうい う事例を想定する必要があるという今後の方向性が書かれているというのは、より審査 を厳しくするという意味なのか、もしくは何らかの条件を新たに、こういうケースにつ いてつけ加えるという意味なのか、その辺がよくわからなくて。それは「運用上限定的 に」というところに係ってくると思うんですけど。  それからもう1つ、先ほどお伺いした、臍帯血の提供というのは同意なのか代諾なの かというのは、今のお答えではよくわからなかったので、決まってなかったら決まって ないとおっしゃっていただいていいんですけど。同意は本人がやる場合を同意といい、 代諾は本人ではなくてほかの方がかわりに承諾をすることです。先生がおっしゃったの は、臍帯血の提供は代諾だとおっしゃったので、ほんとに日本の制度上そうなっている かということだけお聞きしたかったんです。ないんだったらないで決めればいい話なん ですけど。 ○西川委員  お母さんのインフォームドコンセントがとられていて、それを代諾と呼ぶかどうか は、臍帯血自体がどちらに属すかということの議論をするかどうかだけの問題ですよ ね。 ○位田委員  それが大きい問題だと思ったのでお聞きしたんですけど。 ○西川委員  それは喚起されたらいいことだと思います。 ○中畑委員長  恐らく臍帯血移植の場合は親からインフォームドコンセントをとるという形で、それ が代諾か同意かというような議論はなかったと思います。だから、その辺を突き詰めて いけば、臍帯血は確かに子供の体の一部ということにもなりますのであれですけど、そ の辺はしっかりした議論は行われていないし、国際的にもそれは行われていないのでは ないかと思います。  それから、先ほど西川委員の発言の中で、子供の脳死で代諾で臓器提供ということに ついては、今いろいろ議論があるところでありますので、ちょっとそこは取り消してお いていただきたいと思います。現時点では、小児科学会としては12歳の時点でというこ とで……はい、どうぞ。 ○疾病対策課長  今、委員の方々におやりいただいているのは、前回の御議論をもう一度復習していた だいているということで、これからのお話がまだ進んでいないわけでありまして、ここ に「しかしながら」と書いているのは、あくまでも前回このような事例が特殊事例的に 挙がったということで、この事案についてかなり議論が盛り上がりましたので、私ども としてはこういう事例を書かせていただいた。しかしながら、ここの運用に当たって は、臨床研究の指針の、代諾からのインフォームドコンセントを受ける手続に準じて、 今後指針をつくるに当たってもこれを見ながら策定していきましょう。これもかなり限 定的に代諾の適用というのを考えておりますので、そのような仕組みも持ちたいという ことでございます。ただ、よく状況も加味しながら、個々についてIRBの中で御検討 いただくということになるかと思います。 ○中畑委員長  先ほども申し上げましたように、基本的には従来出ている指針と整合性を持って、こ の指針の中にも織り込むということでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○長沖委員  先ほどから兄弟間の話が出てきていますが、基本的に代諾というのは、既に生まれち ゃった人たちの個体からとるということを想定しているということだと思いますが、単 に未成年だけではなくて、例えば知的障害を持っていたり、心理的にある状況にあって 自分が判断できないケースも含まれるわけで、そういう可能性もあるんだということを 想定して考えていただきたいなと思っているんです。日本の中で代諾があって、代諾者 が判断したことによって何らかの被害を受けたときの法的な保護というのは実際にはあ るんですか。つまり、代諾されてしまった人の法的保護というのは、何らかの規程がど こかにあるんでしょうか。 ○疾病対策課長  代諾を行うという制度、これは臨床研究の指針で明記している。それを保護とみなせ ば、それは保護の仕組みを導入しているということです。  それと、申しわけございませんが、私どもとしては方向性について本日御議論してい ただきまして、今のようなかなり細にいる御議論については、指針案なるものを事務局 で整理させていただいたときに御議論していただければ、より深い御議論をしていただ けるのではないかと思っておりますが、そのようにしていただければありがたいと思っ ておりますが、いかがでしょうか。今のお話も、仮定のもとの議論が大分なされており ますので、もう少し文面を見ながら御議論を今後進めていただいた方が、より確実な議 論ができるのではないかと思っておりますが、よろしいでしょうか。 ○長沖委員  でも、今おっしゃったことは保護ではないということだけ申し上げておきます。保護 ではなくて代諾の規程があるだけで、代諾された人間を保護する規程はないとおっしゃ ったということだと理解しています。だからこそ、「限定的に」というのがどういう限 定的なのかというのが重要だろうということを申し上げたかったということです。 ○中畑委員長  大まかな方向性を出すということできょうは御議論いただいているということで、基 本的には従来出ている、特に一番関係する臨床研究に関する倫理指針というのが出てい ますので、それと整合性を持って進めていくと。ただ、運用面で書かなければいけな い、この指針の特殊な面があれば、それは後で追加していただくということで先ほどお 話ししたわけですが、そういった方向でよろしいでしょうか。 ○石井委員  もちろん臨床研究指針と整合性をとることは大事なんですが、ヒト幹細胞を用いた臨 床研究のために特別につくる指針だから、その研究に特殊に考えられる事柄について は、なるべく指針の中に盛り込む方がよい。それが細則になるのかもしれませんが、最 初から規定することは困難であるといって個々のIRBに任されることは困るのではな いかと思います。 ○中畑委員長  規定するのが困難であるということではなくて、一つずつの例を指針の中に入れると いうのは、例えば先ほどの兄弟間の骨髄移植のときにどうのこうのというような、個々 の事例を指針の中に織り込むということは、指針の持つ本来のあれとは違うのではない かということで、ここでは規定することは困難であるということで、指針の中に入れな いと。そのかわり運用面とか、あるいは細則のような形で、幹細胞に関する指針の持つ 特有なものはその中に落とし込むという意味でございます。 ○疾病対策課長  委員長がおっしゃったように、指針自体は告示で出していくと。しかしながら、運用 上については通知等で出ていく状況もございます。したがって、我々としてはそういっ た通知の中でどれだけ盛り込むことができるかということになろうかと思っておりま す。 ○高坂委員  一委員としてのお願いなんですが、私も疾病対策課長と同じことをお願いしたいんで す。例えば代諾の問題も、この委員会が始まって2、3回目のときにかなり議論をし て、私は長沖先生からしかられた覚えもあるんですけど、そのときに最初の委員会等で やったことは、この指針づくりというのはあくまでも、逃すことができない大事な骨格 をつくろうと。非常にまれな例とか細かい例というのは、それぞれのIRBで議論し て、それを中央に戻したときにまた議論するかもしれないと。だから、基本的なところ をまずつくっていくという作業を進めていただきたいんです。非常に細かい事例が多過 ぎる。それを挙げていったらきりがないですよ。我々が思いつくものを列挙していけば いいんですけど、そうでない事例も多々出てくると思うんですね。それまで勘案して指 針づくりをやったら、これは絶対できないです。まず大筋をきちっとつくっていただき たいと思います。 ○岡野委員  私も基本的に賛成であります。もちろん細かいことが重要でないと言っているわけで はなくて、私からすれば安全面の担保、その他に関する記載が危ういなと思っていまし て、そこにいくまでに別の細かいことでいつも議論が終始して時間切れになってしま う。ですから、きょうは一通りざっといこうというのが趣旨じゃないかと思いますの で、この点に関しては打ち切るべきじゃないかと思います。 ○中畑委員長  ありがとうございました。よろしいでしょうか。それでは4番目の死亡胎児細胞の利 用についてということで、さまざまな議論が今までなされてきたわけですが、前回、死 亡胎児由来の細胞の利用については慎重な議論を要すると。先ほど事務局からもお話が ありましたように、基礎研究も含めて、死亡胎児の問題については、そのためにこの指 針を出すというのがおくれているということもありまして、死亡胎児由来の幹細胞以外 の幹細胞の利用について先に議論を行って、まず指針をまとめるということで前回合意 いただいたと思うんですが、そういう方向にしたいと思うんですが、その点いかがでし ょうか。前回も御議論ありましたように、基礎研究も含めて死亡胎児を我が国でどう取 り扱うかということについては、できるだけ早く結論を出すような形で今後努力してい くということになろうかと思いますが。それをどこでやるのかというようなことは、委 員長と事務局にお任せいただけたらと思うんですが。はい、どうぞ。 ○位田委員  方向はこれで構わないんですけど、死亡胎児由来の幹細胞の利用についての計画は出 てこないというふうに考えていいんでしょうか。つまり、どこかで決められるまでの間 なんですけど、例えばこの指針を今年に作って、実際にどこかで死亡胎児の取り扱いに ついて決めるというのに1年とか2年かかる、その期間は、この臨床研究指針に当たる ような死亡胎児由来の幹細胞を用いた臨床研究の計画は出てこないと考えていいんでし ょうか。ここから外すということは、出てくる可能性もあるわけですよね。 ○中畑委員長  当然そういったケースも予想されると思います。ただ、そのときに死亡胎児を用いた 臨床研究というのが各IRBにかかって、それが中央に上がってくるという場合には、 恐らく別の場所でそれについて議論が行われているので、もう少し待ってほしいという 形で結論を各機関に戻すという対応になるんじゃないかと思います。はい、北村委員。 ○北村委員  この指針は臨床研究が対象ですから、ヒトに戻すという操作を含まない研究ははいっ てこないと思うんですね。基礎研究は別にこの指針の外であると思うんですけど。 ○岡野委員  それはいいんですけど、そうするとこの指針の規定する範囲が少し問題になってくる と思うんですね。GMPレベルで将来的に投与するかもしれない細胞を、安全性を担保 するという研究自身が対象になってしまうということになりますので、そのステップさ えこの指針の対象にすると、やはり難しいのではないかと。実際ヒトに投与しないので あれば、GMPレベルでふやすということに関しては外していただかないと、将来的に 使うかもしれない細胞の安全性をいつまでたっても調べられないということになります ので、これは非常に多くの面で支障を来しますので、そこはよく考えていただきたいと 思います。 ○中畑委員長  当然、患者さんに投与するということを前提としない研究であれば、この指針の中に 含まれませんので。 ○岡野委員  ただ、クオリティ的に投与することが可能な細胞を培養するということに関しては外 していただかないと、それは厳しいなと思うんですね。 ○西川委員  もちろんインフォームドコンセントを出される方も、それにかかわって、それをいた だいて何かやる人も、インテンションとしては明らかに臨床応用を考えるということは あり得ます。しかし、指針というものが別にあって、それを使ってあした治療しますと いうものに関しては指針の対象外になるということであるわけですね。しかしながら、 将来にわたって、例えば外国でこういう細胞があるから、新しい指針ができたときには 外国の細胞を使ってもいいですよというようなことが起こってくるんだろうから、その ときには日本の細胞も使っていいという話にはなるわけで、ですからディシジョンが2 つあるというふうに考えておけばいいんじゃないですか。 ○中畑委員長  患者さんに投与する研究についてはこの指針に含まれますので、死亡胎児を使った臨 床研究のあれが出てきて、実際に死亡胎児からとった細胞を患者さんに投与するという 計画が出てきて、それが各施設のIRBに出されて、さらに中央に上がってきたという 場合には、中央からの返事としては、現在検討中なので待ってほしいという返事以外で きないと思うんですね。当然、患者さんに投与する場合は、この指針に書かれているよ うな厳密な安全面に配慮した細胞しか投与することはあり得ないことになりますので。  ただ、多少危惧しますのは、外国で死亡胎児からつくられた細胞というのがあって、 それが会社レベルで世界的に臨床研究を進めたいという方向が出されているんですね。 これは米国だけではなくて、将来は日本でもそういった研究をやりたいということが出 されていますので、その取り扱いについてどうするかということが出てきますけれど も、その場合にも、今のような方向がはっきりすれば、日本での臨床試験というのは結 論が出るまで待っていただくことになろうかと思います。私自身はそう理解していま す。はい、大野委員。 ○大野委員  私の理解が違ったんですけど、死亡胎児の利用に関して皆さんのお話を聞くと、この 場での結論を出すのをあきらめたというようなニュアンスに聞こえるんですけれども、 私はそこの議論は残しておいて、ほかの部分をまとめてから最終的にまた取り上げる と。そこでまとまらなかったら別のガイドラインでまとめることになるかもしれないけ ども、まだあきらめたというところまでいってないと思いますけども。 ○中畑委員長  先生のおっしゃるとおりでありまして、死亡胎児の問題を除いてまず指針を出そう と。死亡胎児については、この委員会で引き続きやるのか、あるいはもうちょっと広い ところが必要ではないかという意見があったわけです。基礎研究も含めたような国とし ての方向を出すべきではないかという意見がありましたので、どういった場で議論する のがいいのかということについては、委員長と事務局で少し検討させていただきたいと いうことで先ほどお話ししたんですが。よろしいでしょうか。高坂委員、何か。 ○高坂委員  再生医療の分野というのは非常に発展して、恐らく神経系以外はかなり臨床に近づい ている段階だと思います。そういう意味でこの指針づくりは急がなければいけないとい うことは私も理解していて、そういう意味では今後の方向性で書かれていることは、残 念であるけどもこれが正しいんだろう、こういう方向性しかないだろうと思います。た だし、胎児の問題というのは神経系にかなり特化した問題で、モラトリアムにするとい うのはやむを得ないんですが、その間、神経系で苦しんでおられる方々の時間が非常に 長くなるということだけはぜひ覚えておいていただきたいと思います。したがって、ほ かのところで胎児問題に特化して議論する場所をつくるかどうかは別にして、ある程度 約束していただきたいんですね。早急にそれを議論するということをですね。そうしな いと、神経系の疾患だけが取り残されてしまうという危惧が非常にあると思うんです ね。ですから、ぜひそれだけはお願いして、ある程度約束していただけるならば、もっ と進んでいる分野をやっていただくことはやぶさかではない。 ○中畑委員長  事務局からその辺について何か御意見ございますか。 ○柴田委員  よろしいですか。私は何回か欠席したので、こういう意見を言う資格はないことは十 分承知の上であえて言うんですけど、この議論は始まって大変長くなっているわけで す。非常に難しい問題だから拙速がよくないことはよくわかるんですけど、こういう問 題で指針が長引いた場合に起こってくるのは、必ず既成事実が先行してしまうというこ とだと思うんですね。そういう恐れが現に生殖補助医療などではたくさん見られるわけ です。そういうことを考えると、そろそろこの議論も目標時期を決めた方がいいのでは ないかという気がしているんです。胎児の問題が一番難しいことはよくわかりますが、 ここまでの議論でまとまらないなら、そこはモラトリアムにするというような形の、決 め方のスケジュール的なものをそろそろ議論した方がいいのではないかという気が、や や外野席的な発言で恐縮ですが、そんな感じを持っています。 ○疾病対策課長  死亡胎児の幹細胞の利用ということも重要ですが、それ以外の体性幹細胞の利用とい うのも重要でありますので、胎児細胞の利用については3年近く、かなり慎重な議論が なされている。今までの先生方の御議論を踏まえますと、非常に難しい問題もある。し たがって、まずはそれを除いた形で、今、体制として研究が動いていきつつある細胞を 念頭に置きながら、早く指針をおまとめいただくのが現実的であろうと考えておりま す。ヒト幹細胞についていつまでに結論を出すかというのは、死亡胎児の幹細胞を除い た細胞の取り扱いを決めた後で、果たして目標が決められるかどうかもございますの で、慎重な議論を要するということだと思います。それはまたこういった場で御議論し ていただくなり、それに当たっては座長ともよく御相談させていただきながら対応させ ていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。進行のほど 御協力いただきたいと思います。 ○中畑委員長  よろしいでしょうか。死亡胎児以外のものについてまずまとめると。それの時期とい うことでは、できるだけ早く、少なくともあと1、2回で先生方には最終的な指針案と いう形で提示して、それで指針案の最終版について御議論いただいてという形に、委員 長としてはそういう方向に持っていきたいと考えております。再生医療が爆発的に進ん でいて、特に細胞の安全面ということで、ほんとに大丈夫かなということが危惧されて いる状況ですので、できるだけ早急に指針案を出すということで御協力いただきたいと 思いますので、よろしくお願いいたします。はい、どうぞ。 ○岡野委員  全体的な流れとしては賛成なんですけど、3年間議論してきた者として最後に一言言 わせていただきますと、モラトリアムにする、あるいは胎児細胞に関してモラトリアム にする、禁止するというのは簡単なんですが、実際これだけ有効性が言われて、治療を 待っている患者さんからよくお手紙や電話もかかってきます。そういう方に対してどう 説明するかというので、私個人的には断腸の思いであるんですが、全体的な流れとして は従わざるを得ないと。ですから、これに関してだらだらとモラトリアムにするのでは なくて、ある程度目標を持ったモラトリアムというのを考えていただきたいという柴田 委員の意見に賛成であります。実際、アメリカの研究者に、ここまでデータが出てるの になぜやらないかとよく言われます。私は全体の仕組みを決める委員でもあるから、自 分自身がルールを遵守したいと答えております。しかも、細胞採取に関しても、可能な 限りの倫理的配慮は尽くしてきたつもりでありますが、それでもいいか悪いかというこ とに関しては、有効性と安全性、さらに倫理面を深めた議論というのは別の場で、ある 程度期間を決めた形で、無限のモラトリアムではなくて、それは早急に検討すべき問題 としての提言をしていただいた形であれば、断腸の思いではありますが、それでいいと 思います。 ○中畑委員長  私自身も全く先生と同感でありまして、この委員会の俎上に乗せた以上、この委員会 として何らかの形で、施設を限定する、あるいは中央審査をするというような限定した 中で、日本でも開始するという方向でずっときていたと思うんですが、その後いろいろ な、中絶胎児をめぐる社会的な問題が起こってまいりまして、今この時期にこの委員会 で、すぐにその問題についても結論を出して指針を進めるというのはちょっと難しいの ではないかと。そうかといって、この指針が、ずっと出すのがおくれておりますので、 ほかの再生医療の安全性ということを考えれば、死亡胎児を除いた部分だけでも早急に 出すと。死亡胎児についてはできるだけ期限を限定して、早急に何らかの結論を出すと いう方向で努力したいということで、いついつまでということはなかなか難しいかと思 いますが、一応早急にということで、それについては委員長と事務局に任せていただき たいということでお願いしているわけですが。 ○岡野委員  そういう内容で了承したいと思います。 ○中畑委員長  ありがとうございました。 ○西川委員  多分アメリカの中絶問題でも、やる、やらない、いけない、正しいという議論はいく らやっても意味がないと思うんですね。こういう議論が起こるということは、少なくと もやろうという方向で提案がなされるわけですから、やってはいけないと思う人も、や るとしたらどこまでどういうことが必要かという議論をまずしていただいて、それ自身 がアプルーブされるかどうかについては、やるとしたらこういうディスクロージャーと こういうインフォームドコンセントと、例えば中絶胎児に関してはこういう限定でなら できますよというものをつくっていただいて、それをどこかでアプルーブしてもらうと いう形にしないと、結局は同じことが繰り返されると思いますから、やる、やらないの 議論はしないでほしいと思います。 ○中畑委員長  ありがとうございます。当然、今まで何回もこの問題については議論をして、かなり ポンチ絵的な形で、最終的に死亡胎児を臨床研究に用いる場合はどういう手続を踏んで いったらいいかというようなことも何回も議論していただいて、かなり最終案に近いと ころまで議論されてきていたと思うんですが、今回切り離すということについても、今 までの議論を十分生かして今後検討していくということになりますので、できるだけ早 急にその結論を得たいということですが、その時期を何月何日までと限定するのはちょ っと難しいと思いますが、できるだけ早急に、今までの議論を生かした形で結論を出す という方向で事務局で委員長で検討させていただくということで。  それでは次に移ってよろしいでしょうか。5番目の、薬事法及び指針における幹細胞 の取り扱いについてということで、これについても今まで、細胞を安全に処理するには どうしたらいいかということで、前回の指針案にも盛り込まれていますが、まだ少し議 論が足りないところがあろうかと思いますが、主な検討課題というところにありますよ うに、薬事法及び指針における幹細胞の取り扱いについては、次のページにありますよ うな形で議論が必要ではないかということになっています。それについてきょうは御議 論いただきたいと思います。 ○事務局  事務局の方から先に資料の御説明をさせていただきます。安全性に関する議論という ことでお示ししている論点でございまして、これまでの指針案の議論においては、医療 機関の中で幹細胞の処理や加工が行われる場合は薬事法の範疇から外れて、院内製剤と いう扱いになる。また、幹細胞の加工・処理が臨床研究を実施する医療機関の外部で実 施される場合には、これを実施する者を製造者として指針の中で位置づけて、製造者が 遵守するべき安全・品質基準を指針で規定するということで議論いただいております。 また、臨床研究を実施する医療機関が外部から幹細胞を調達する場合には、これを製品 というふうに位置づけまして、この製品が満たすべき安全・品質基準について定めてい るというところまで、これまで整理いただいております。しかしながら、薬事法と指針 との関係ということについて再度整理したのが6ページでございまして、(1)として、 医療機関の内部で幹細胞の加工や調製が行われるような場合、(2)として、幹細胞の加 工・調製が臨床研究を実施する医療機関の外部で行われる場合というふうに分けて考え 方をお示ししております。それぞれの場合について、申請、届け出、許認可等の規制手 続面での取り扱い、次に組織利用医薬品等に関する指針が規定している基本的な安全・ 品質基準に関する取り扱い、最後に基本的な基準では規定されていない幹細胞特有の安 全・品質基準に関する取り扱いについて、薬事法とこちらの指針での取り扱いについて 整理を記載しております。  (1)のように医療機関の内部で幹細胞の加工が行われるような場合は薬事法の対象外 となりまして、治験等の手続は不要になります。しかしながら、基本的な安全基準につ いては現行の薬事法の指針に準ずることを求めるという形にしまして、細かな内容を改 めて指針の中で規定する必要はないのではないか。また、幹細胞固有の基準について も、薬事法の指針の中で既にあるものについてはこれを準用しまして、そこで欠けてい る部分についてはこの指針で補うような形にすればよいのではないかということでござ います。  一方、(2)のように臨床研究を実施する医療機関に対して外部から細胞が供給される 場合、例えば企業ですとか研究所、あるいは別の医療機関から提供を受けた場合という のも相当しますが、この場合は基本的にすべて薬事法の対象になるということになって おります。そのため、臨床研究を実施する医療機関が外部から幹細胞の提供を受ける場 合、その提供もとはもともと薬事法に基づくことになりますので、その細胞の作成とい う部分について、この指針で改めて規定されるようなケースではない。また、臨床研究 を実施する医療機関が幹細胞を他の医療機関へ提供するという場合、この研究実施機関 は薬事法に縛られることになりますので、細胞の作製・提供段階についてこの指針が規 定されるようなケースではないと考えられます。  こういったことを踏まえまして、この指針の中で扱う幹細胞の安全・品質基準につい て整理していくことが必要ではないかと考えております。具体的な考え方としまして は、指針案の中の第6章以降に、細胞の品質等に関する基準がございます。12ページ以 降になりますが、こういった基準については、骨格的な部分は指針には残すものの、細 かい基準については、この指針に沿って出される施行通知やその細則といったような形 で規定する方が適当ではないかという趣旨でございます。以上でございます。 ○中畑委員長  どうもありがとうございました。これについて御議論いただきたいと思いますが、ま ず(1)番の医療機関内で行われる場合、その場合は薬事法の適用外であるけれども、基 本的な安全・品質基準については薬事法の指針に準ずることが求められるということに なって、その場合、細かいところまで指針の中に書き込む必要があるか内科ということ で御議論いただきたいと思います。準ずるという形でもいいのか。はい、どうぞ。 ○西川委員  厚生労働省としては難しいのかもしれないですけど、割と明瞭に、例えば医師主導で ある場合に、同一医療機関というものをどういう定義にするかとか、そういうことを明 確にしていただくことが一番大事で、例えば連携していけば日本全国どこでもどうもな いのか、例えばほんとにつながってなきゃだめなのか、実際に必要なのは細胞がどのよ うにつくられて、どのように運ばれるかということがディスクローズされているかどう かなんです。ですから、そこの原則についてわかるようにしてあれば、同一医療機関内 と言ってしまうといろんなやり方をしてしまうので、後でそういう禍根を残さないよう に明瞭にしていただきたい。(1)、(2)の仕分けについては、項目が明瞭であればこのと おりでいいと思います。 ○岡野委員  私は大筋では西川委員に賛成であります。例えばある施設でかなりクルードな条件で ふやしても、それは同一施設内だから薬事法の適用にならない、だからいいんだと。逆 に、神戸先端医療財団でもし細胞を採取して、非常に厳密なインフォームドコンセント のもと採取して、GMPレベルでふやしたと。どこにでも送れる体制をつくっておりま す。しかしながら薬事法の適用となりますと。ちょっとこれは問題ではないかと。例え ば、神戸先端医療財団と共同研究している神戸大学病院がもしその細胞を使う場合は、 薬事法というよりは本指針の適用とすべきじゃないかと私は思うんですけどね。その細 胞の基準自身は薬事法に準ずるというのをつければ、どういうようなルートで運ばれる か、そこら辺を明記するということが大事で、薬事法に縛られてしまうこと自体がいろ んな面で支障が出るのではないかと思います。 ○中畑委員長  医療施設外部で行われる場合も当然この指針には縛られるわけですけども、細胞の取 り扱いとしては、第三者機関に、例えば神戸先端医療財団でつくった細胞を全国に送る という場合には、今薬事法で規定されているような厳密な処理の仕方をした細胞じゃな ければ送れないということはいいと思うんですけれども、最初の、施設内で行われる場 合というのは、薬事法に準ずるという形で、その間のレベルの差がどの程度あるのかと いう問題になると思うんですけれども、ほぼ同じようなレベルでつくった細胞を投与す べきだということをこの指針ではうたうということになると思います。 ○岡野委員  文章的なところはわからないんですけど、「薬事法に準ずる」で全部こうやるのか、 それとも薬事法の適用になってしまうのか、それがいま一つ理解できなかったところな んです。 ○事務局  事務局の方での整理ということでは、西川先生から御指摘のあった、審査する際の細 かな項目ということですけど、もちろん研究計画を見る段階では、実際に細胞の作製が どういった内容で行われるかといった情報も出していただくことになると思います。そ の上で、薬事法の中で規定されている基準と照らし合わせながら、そういった作製が適 正であるかどうかというところを見ていただくことになると思います。今のは医療機関 の中で行われている場合のケースです。  もう1点が、先ほどありました神戸先端医療財団のようなところが外部の機関へ提供 していくという場合ですけれども、これは医薬の担当部局とも相談しましたが、線引き は確かに難しいということはあるんですけれども、少なくとも業として他機関への細胞 の提供を反復継続して行うということになってきますと、やはりこれは薬事法の中で見 ていくしかないのではないかと。この指針はあくまでも指針であって、向こうは法律で ございますので、どちらが強くかかってくるかといえばやはり薬事法に従うしかないと いうところが事務局の理解でございます。 ○岡野委員  それはわかりました。この指針として薬事法の適用となるものを除く云々のことを最 初にかなりディスカッションしたと思うんですけれども、再生医療に特化したことです ので、薬事法の適用となっても、そういった場合は神戸先端医療財団でつくって、神戸 大学でつくった場合も、この指針に従ってもらうというのはルールとして考えなきゃい けないんじゃないかと思うんですけどね。いかがですか。 ○中畑委員長  (2)番目のケースであっても、少なくともこの指針に縛られるということは当然のこ とですね。神戸先端医療財団であちこちに細胞を送ったというような臨床試験について も、それはこの指針に縛られるということは当然なんですが、その細胞をつくる過程と か、そういったことは既に法律が規定しているので、第三者機関に送るという業に近い ような形でそれを行うという形になりますので、それについては薬事法という法律が規 定しているので、それにも当然縛られていると、私はそういう理解ですけども。 ○岡野委員  この第3というやつなんですよ。私は法律に詳しくなくて申しわけないんですが、第 1章の第3、「ただし薬事法及び既に既成の指針に規制されているものは除く」として いるのは、これは少し問題なんじゃないかと思ったんですけどね。今の議論だと、そこ は少しリバイスが要るんじゃないかと思うんですけど、これは位田先生あたりに御意見 をいただきたいなと思うんですけど。 ○中畑委員長  それについて事務局で何か御意見ございますか。 ○疾病対策課長  この指針自体は、1年以上前から評価を加えていないものでありますので、したがっ て、この6ページの仕組みの中で整理しようじゃないかということでありますならば、 これに従ってもう一度全体を見渡しながら整理させていただいて、早いうちにこの審議 会の中で御議論いただくということになると思います。逐一挙げれば、きょう御検討い ただいた合意状況等々についてそごがあるものもございますので、先生が御指摘のよう なところも多々あると思いますので、きょうはこれを土台に議論されない方がよろしい かと思います。 ○中畑委員長  よろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○位田委員  岡野委員のおっしゃりたいことは、薬事法と研究指針と両方かぶって非常に厳しくな るというのは不適当だという話ですか。 ○岡野委員  いや、違います。薬事法が適用していたとしても、本指針が及ぶ場合もあるのではな いかと。 ○位田委員  ああ、そういう意味ですか。それで、この(1)、(2)で書かれているところで、例えば (1)の規制・手続については薬事法の適用対象外だけども、研究指針だけがかかる。そ れは当然なんですね。(2)のところで規制・手続は薬事法の対象であって、薬事法しか かからないと。そうなると、医療機関内の場合と外の場合とで基準が変わることになり ますよね。それで研究がやりにくくならないかという問題があると思うんですよ。それ と同じことは、幹細胞固有の安全・品質基準のうちの、薬事法の指針が存在しない領域 について(1)のケースと(2)のケースでは中身が変わるので、当然、内と外とで基準が変 わってくる。そういう意味では非常にやりにくい問題になってきて、薬事法と研究指針 と両方かかるというのだったら話はよくわかるんですけれども、こっちは薬事法だけ、 こっちは研究指針だけ、基準が少し違うと。どちらが厳しいのかよくわかりませんけ ど、それは研究をするとき、物があっちからこっちへ動くときにやりにくくなるんじゃ ないかという気はします。整理としてはこうなんでしょうけど、全体をどういうふうに まとめるかというのは、この整理だけでいくかなという気はしてるんです。 ○疾病対策課長  ルールの水準としては薬事法と同じ水準で医療機関内も整理するのかどうかと。そう いう安全性の観点でどの程度確保すればいいのかということになりますので、ここは薬 事法に準じて、そのレベルを確保してはどうだろうかということであります。 ○位田委員  どっちが厳しいんですか。 ○町野委員  薬事法は法律ですから、これをこの場で動かすことはできない。しかし、これは倫理 指針で法律ではありませんから、強制力はない。薬事法に「上乗せ」したきつい指針を 作ってもその限りでは問題ではない。しかし、その適切さの議論はあります。どっちが きついか弱いかという問題じゃない。他方では薬事法の規制していない領域に「横に出 す」のは問題ではありません。上に乗せることよりは問題はもっと少ないと思います。 しかし、これからも十分議論すべき問題です。 ○西川委員  中畑先生のような専門家の方が、いろんなケースレポートを考えていただく。例えば 薬事法対象にしたとしても、どういう治験をやったらいいのか難しいですね。アメリカ では割とシンプルにプロトコールの問題もきちっと書いてあるんですけれども、多くの 細胞を使った治療をプロトコールなしでやろうとする人が必ず出てきます。クリーンル ームがあって自分がいいと思ってるんだからいいだろうという人がまた出てきます。そ ういういろんなケースが想定できると思うので、そこに関してわかりやすく見せていた だくということが、今まで使ってこなかったものに対して初めて治療の対象になってく る場合には、大至急やっていただけたらいいなというのが僕の気持ちです。 ○中畑委員長  あるいは、この薬事法に準ずるとか、薬事法の対象だというような形でこの指針の中 に入れるのではなくて、薬事法の対象になる部分を一部この指針の中に落とし込むよう な形で、この指針の中にそれも実際に書き込むということであれば割と混乱がないよう な気もするんですけど、その辺については事務局はどうなんでしょうか。 ○事務局  それは可能だと思います。本分にそういった細かい規程を置くべきか、あるいは細則 のような形で別途つくるべきかというのは十分に検討させていただきたいと思うんです が、薬事法に準ずるということだけではわかりづらいということであれば、可能な限り 具体的な部分については薬事法を延用して規定するということは可能だと思います。 ○岡野委員  私の理解では、薬事法は細胞を調製するところまで非常に綿密に決めていますが、そ の後の評価についてどうする云々については比較的定まっていないところが多いと私は 理解しているんですけれども、その部分をこの指針がカバーしなければならないと思う んです。神戸先端医療財団から供給されれば薬事法の適用だからこの指針は関係ないと いうことで臨床研究がふえたら、これは全く意味がないことですので、適用範囲のとこ ろは何らかの形で改正するべきだと、中畑委員長のおっしゃったとおり、ここは少し改 正して、上乗せというやつになるんじゃないかなと思うんですけど。御検討いただきた いと思います。 ○中畑委員長  わかりました。(2)番につきましても、今回つくっている指針はドナーから細胞をと るときのインフォームドコンセントを含めて、かなり詳細に臨床研究を行う過程での問 題点を落とし込んでいるわけですね。細胞の処理・加工というのはそのうちのごく一部 ということですので、処理・加工については一部薬事法との整合性が必要だということ で、少なくとも第三者機関に配る場合においても、この指針に縛られるということは当 然のことですね。そこで行われる臨床研究というのは、この指針に縛られる。その細胞 を処理・加工するところに関しては薬事法と一部整合性をとった指針にすると。それに ついては薬事法に準ずるという形だとわかりにくいので、一部薬事法の中の対象となる 部分は、この指針の中に落とし込んだらどうかという案なんですが。そういう形で少し 検討させていただくということでよろしいでしょうか。はい、どうぞ。 ○石井委員  (2)の場合は治験という形になる、(1)の場合はならない、たまたま中か外かで手続が 違ってしまうということになるんですか。 ○中畑委員長  そうではないと思います。治験というのは、正式に厚生労働省に届けてやるというも ので、治験と臨床研究というのは同一ではありませんので。企業などが薬剤の開発をす るような場合はすべて治験という形ですが、最近は医師主導治験というのもありますけ ども、これは治験という形ではなくて、治験も一部含まれるでしょうけど、臨床研究と いうのも含んでいると。臨床研究のレベルからの指針であると。その中には医師主導治 験というのも、より厳しいレベルの治験をやる場合も、この指針に縛られるわけです ね。 ○岡野委員  今後どうしても検討していただきたいこととしまして、きょう私はFDAのことでプ レゼンテーションをさせていただきましたが、フェーズ1、2、3的な臨床研究的な考 え方をどこまでここで盛り込むかというのを、この指針の中で考えるのか、細則的なと ころにするかということだけでも決めていただかないと、そこは現状で非常に危ういか なと思っているところです。何らかのチャンスがあったら御検討いただきたいと思いま す。 ○大野委員  私も治験に該当するのかなとずっと思ってたんですけど、もし治験に該当しないとい うことだったら、薬事法の対象外という道もあるんじゃないかなと思ったんですけど、 その辺ちょっと検討していただきたいと思います。 ○中畑委員長  治験ということになると、今、日本でやられている再生医療のほとんどは治験という 形でやられていないわけですね。だけども、そういったものもこの指針の中に規定し て、この指針に準じて臨床研究をやってくださいという形で今回指針をつくろうとして いますので、当然治験というのもこの指針に縛られるわけですけれども、その前段階の 臨床研究というのもこの指針に従っていただくということを考えて今までずっと議論を してきたわけですけれども、治験ということになると確かにフェーズ1、2、3という 形になりますが、それに限定したものだけを取り扱うということにはしたくないんです が。柴田委員、何かございますか。 ○柴田委員  さっきの続きをちょっと。委員長から、目標をいついつまでとは言えないというお答 えはちょっと残念だったんですけども、ただ、この指針を出すのにあと2回ということ を言われたので、その2回をぜひ目標にしていただきたいというのが1つ。  問題は、その後に死亡胎児の問題について、ほかの委員会にボールを投げかけるとい うのは、また一から全部議論するというのはまことに非効率なだけではなくて、事実上 何も決めないということと同意語になると思うんです。ここまでこれをやってきた我々 の責任として、出せるならこういうことだということでもきちっと出すべきだと思うん ですね。それがどのくらいの議論でできるかという目標は、例えば3カ月だとか6カ月 でそれを何とか出すということを決意すれば、逆に言えば前の方もちょっと待って、一 緒に含む指針にするか、あるいは段階をつけてもいいですけども、そういうような形の 手順をぜひ決めていただいて、とにかくかなり長くなっているわけですから。そうしま せんと、外国からのいろんな問題も出てくるわけですね。何もないという状態が必ず既 成事実の先行という形をとるに違いないわけですし、ここまで議論を深めた形でできる ことを、きちっとできる範囲でやるということじゃないかということだけ最後に言わせ ていただきたいと思います。 ○中畑委員長  わかりました。死亡胎児に関しては一応切り離して、残りの部分をできるだけ早く出 したいという形で御理解いただいて、死亡胎児については御指摘のように、この委員会 で引き続きやるか、あるいはいろんな意見がございましたので、そういうものを参考に して、今後どう議論を進めていくかということも含めて、委員長と事務局で御相談し て、先ほどから何人かの先生から出ていますように、できるだけ早急に結論を出すよう な形で検討させていただくということで御理解いただきたいと思います。  それではそういったことでよろしいでしょうか。どうぞ。 ○疾病対策課長  必ずしも安全性について幅広い議論が、過去を振り返ってみますとなかったんです ね。ただ、ヒアリング等々で安全性の問題について、諸外国の状況ということで法制度 について御説明いただいたときがございました。それもかなり総論的な話でございまし たので、FDAの状況についてもきょうお話しいただきましたが、諸外国がどういうふ うに制度上取り扱っているのか、詳しい情報がございましたら事務局までお寄せいただ いて、この議論についてはまた次回、そういった資料もあわせて議論を深めていただけ ればと思っておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。 ○岡野委員  クライテリアはきちっとあるんですよ。そこら辺の情報は出していって、そういった ことに準ずるかどうかの議論はしなきゃ、絶対怖いと思うんですね。 ○中畑委員長  FDAでもことし新しい指針が出ておりますので、その辺も参考にして、安全面につ いてはこの指針の中にできるだけ織り込むということでやっていきたいと思います。  それでは本日はこれで終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。                       ○照会先                        厚生労働省健康局疾病対策課                        TEL 03−5253−1111                        担当:野上(内線2353)