社保審―医療保険部会 | 資料2 |
第15回 (H17.5.25) |
1. | 医療保険制度体系に関する改革の基本的考え方 |
(1) | 安定的で持続可能かつ給付と負担が公平でわかりやすい制度 人口構成、就業構造等の構造変化に柔軟に対応し、経済・財政とも均衡のとれた安定的で持続可能な医療保険制度を構築し、将来にわたり国民皆保険制度を堅持する。また、給付と負担が公平でわかりやすく、かつ、医療費適正化の取組や高齢者医療制度の運営に対して関係者が関与できるなど、関係者の負担への理解や納得が得られやすい制度とする。 |
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(2) | 国民の生活の質(QOL)の向上を通じた医療費の適正化 生活習慣病の予防や質の高い効率的な医療サービスの提供により、国民の生活の質(QOL)の向上を図ることを通じて医療費の適正化を推進する。具体的には、次のような取組を推進する。
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(3) | 都道府県単位を軸とした制度運営 保険者については、保険財政の運営を適正な規模で行うこと及び保険料水準をそれぞれの地域の医療費水準に見合ったものとすることを基本として、都道府県単位での再編・統合を推進する。 また、都道府県を軸として、地域の関係者(保険者、医療機関、地方公共団体等)が連携して、医療の地域特性を踏まえた質の高い効率的な医療を提供できるような取組を推進する。 |
2. | 現行高齢者医療制度の現状 |
(1) | 老人保健制度の現状
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資料1
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(2) | 退職者医療制度の現状
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資料2
制度運営について、費用を負担している被用者保険の保険者が給付に関与できない仕組みとなっている。 |

資料3
近年の被用者保険と市町村国保との異動状況を見ると、異動数は増加傾向にあり、特に被用者保険から市町村国保への異動が急増している。平成14年度では被用者保険から市町村国保に約500万人、市町村国保から被用者保険に約310万人が異動するなど被用者保険加入者と市町村国保加入者との境目は流動的となっている。 |
(単位:万人)
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資料4
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● | 前期高齢者の加入医療保険制度・市町村国保における前期高齢者の世帯主の就業状態構成割合(一般) (平成14年度) |
(単位:千人)
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(参考)
(平成16年度)
(単位:万人)
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出典: | 「労働力調査」(総務省統計局) |
3. | 基本方針に示されている改革の基本的方向 |
(1) | 個人の自立を基本とした社会連帯による相互扶助の仕組みである社会保険方式を維持する。 |
(2) | 65歳以上の者を対象とし、75歳以上の後期高齢者と65歳以上75歳未満の前期高齢者のそれぞれの特性に応じた新たな制度とする。 |
(3) | 老人保健制度及び退職者医療制度は廃止し、医療保険給付全体における公費の割合を維持しつつ、世代間・保険者間の保険料負担の公平化及び制度運営に責任を有する主体の明確化を図る。 |
(4) | 現役世代の負担が加重なものとならないよう、増大する高齢者の医療費の適正化を図る。 |
4. | 基本方針に示されている改革の具体的な方向とそれに対応する主要な論点案 |
(1) | 後期高齢者医療制度
(論点)
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資料5
(平成19年度推計)
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(単位:万人)
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(注1) | 65〜74歳の者のうち、約100万人は老人保健制度の対象者(寝たきり)である。 |
(注2) | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
資料6
(平成12年の所得)
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資料7
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高齢者の心身の特性(疾病特性等)(2)
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高齢者の心身の特性(疾病特性等)(3)
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資料8
平成14年改正において老人保健法の対象年齢を70歳から75歳に引き上げた理由は、高齢化の進展の状況、高齢者の心身の特性等で見ると、老人保健法制定時(昭和57年)の70歳以上の者は、現在(改正時)では75歳以上の者に相当するというもの。 |
(昭和57年) | (平成12年) | |||
70歳以上人口 | 6.1% | → | 75歳以上人口 | 7.1% |
平均寿命 | 男 74.22歳 | → | 77.64歳 | +3.42歳 |
女 79.66歳 | → | 84.62歳 | +4.96歳 | |
老齢年金受給権者平均年金月額 | ||||
厚生年金 | 113,040円 | → | (65歳以上) | 178,696円 |
(全受給権者) | (75歳以上) | 172,647円 | ||
国民年金 | 25,621円 | → | (65歳以上) | 51,370円 |
(全受給権者) | (75歳以上) | 39,137円 |
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資料9
介護保険においては、給付費について、その5割を公費で負担し、残りの5割を高齢者(65歳以上の者)と若年者(40歳以上65歳未満の者)の数に応じて負担する仕組みとなっている。 |
(介護保険における老若の負担関係)
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資料10
(平成19年度推計)
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老人給付費 | 11.1兆円 | (100.0%) | ||
公費 | 5.1兆円 | (46.5%) | ||
老健拠出金 | 5.9兆円 | (53.5%) | ||
うち公費 | 1.4兆円 | (12.7%) | ||
保険料 | 4.5兆円 | (40.8%) | ||
うち75歳未満の者の負担分 | 3.7兆円 | (33.5%) | ||
うち75歳以上の者の負担分 | 0.8兆円 | (7.3%) |
(注) | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
資料11
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平成19年 | 平成27年 | 平成37年 | |
(1)全人口に占める75歳以上人口の比率 | 9.7% | 12.5% | 16.7% |
上記の比率の2分の1 | 4.9% | 6.2% | 8.4% |
(2)全人口に占める65歳以上人口の比率 | 21.1% | 26.0% | 28.7% |
上記の比率の2分の1 | 10.6% | 13.0% | 14.3% |
(3)20歳以上人口に占める75歳以上人口の比率 | 11.9% | 15.1% | 19.9% |
上記の比率の2分の1 | 6.0% | 7.6% | 10.0% |
(4)20歳以上人口に占める65歳以上人口の比率 | 25.9% | 31.5% | 34.2% |
上記の比率の2分の1 | 13.0% | 15.7% | 17.1% |
(5)0〜64歳人口と75歳以上人口の比率 | 11.0% | 14.4% | 19.0% |
上記の比率の2分の1 | 5.5% | 7.2% | 9.5% |
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資料12
(平成19年度推計)
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75歳未満の加入者数 | (構成割合) | ||
全制度計 | 11,500万人 | (100.0%) | |
被用者保険計 | 7,300万人 | (64.0%) | |
政管健保 | 3,500万人 | (30.3%) | |
健保組合 | 2,900万人 | (25.7%) | |
共済組合 | 900万人 | (7.9%) | |
市町村国保 | 3,700万人 | (32.6%) |
(注1) | 65〜74歳の者のうち、老人保健制度の対象となっている者を除いている。 |
(注2) | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
資料13
老人保健制度では、老健拠出金が保険者の自立的財政運営に与える影響を考慮して、拠出金負担を調整する仕組みがある。 |
○ | 老人医療費拠出金の持出し額が、法定給付費や老人医療費拠出金等各保険者の義務的な支出に比して著しく過大となる保険者の老人医療費拠出金のうち、その著しく過大となる部分について、拠出金額に応じ全保険者で公平に再按分する措置が設けられている。 |
○ | 具体的には、老人医療費拠出金の持出し額が義務的支出の原則25%を超える場合に、超過額を全保険者で再按分している。 |
※ | 負担調整の基準率が原則25%であることは、
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(論点)
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資料14
(平成19年度推計)
現行制度において、後期高齢者は、国保と被用者保険を通じた平均では、平成19年度で6.3万円(年間)の保険料を負担すると推計される。 |
(年間)
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(注)1. | 「健康保険被保険者実態調査」「国民健康保険実態調査」等により保険局調査課において推計。 |
2. | 必要保険料額(給付費等から公費負担を控除し保険料負担が必要な額)ベースである。 |
3. | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
資料15
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● | 国保制度における保険料賦課の仕組み |
1. | 保険料 国民健康保険の保険料は、所得等被保険者の負担能力に応じた負担となる応能部分と、被保険者1人当たりの一定額等となる応益部分によって構成されている。応能部分と応益部分の構成比率は、応能:応益=50:50を標準として定めているが、市町村が実情に応じて運用することとしている。 |
2. | 徴収 世帯主から保険料を個別に徴収(普通徴収)する。 |

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軽減基準所得(注1) | 軽減割合(注2) | 軽減基準所得に該当する年間給与収入
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33万円 | 7割 軽減(6割軽減) | 98万円 (168万円) |
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33万円+(24.5万円× 世帯主以外の被保険者数) |
5割 軽減(4割軽減) | [2人世帯の場合] 122万5千円 (212万5千円) |
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33万円+(35万円× 世帯に属する被保険者数) |
2割 軽減(注3) | [2人世帯の場合] 171万7千円 (258万円) |
(注1) | 所得とは、地方税法第314条の2第1項に規定する総所得金額等(基礎控除前)である。(65歳以上の年金受給者については15万円の特別控除を適用) |
(注2) | 保険料収入に占める応益保険料の割合(応益割合)が45〜55%の場合。なお、括弧内はそれ以外の場合の時。 |
(注3) | 2割軽減は、市町村長が当該者の前年からの所得の著しい変化等により、軽減を行うことが適当でないと認めるときは行わない。 |
● | 市町村国保における後期高齢者の保険料の負担状況(平成14年度) |
(年間)
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資料16
介護保険制度と老人保健制度では、いずれも住民税非課税世帯を基礎とした低所得者対策を講じている。 |
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資料17
老健拠出金と退職者医療拠出金は、いずれも、保険者が負担する根拠は「社会連帯」と「受益者負担」の考え方を基本としている。 |
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資料18
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(論点)
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資料19
(平成19年度推計)
現行老人保健制度では、一定以上所得者(現役並みの所得がある者)に係る給付費を除き、給付費に対し5割の公費負担がなされている。 |
老人給付費 | 11.1兆円 | (100%) | ||
公費 | 5.1兆円 | (46.5%) | ||
老健拠出金 | 5.9兆円 | (53.5%) | ||
うち公費 | 1.4兆円 | (12.7%) | ||
うち保険料 | 4.5兆円 | (40.8%) |
(注) | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
資料20
国保の財政調整交付金は、市町村の医療費水準と所得水準に応じて財政調整を行う仕組みとなっている。 |

資料21
国保加入者のうち老人医療受給対象者について、都道府県別に所得水準を比較すると、最高は東京都の約115.6万円、最低は秋田県の約34.2万円、全国平均は約66.5万円であり、最高と最低とで約3.4倍の格差がある。 |
(単位:万円) | ||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
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注: | 国民健康保険実態調査(平成14年度)よる市町村国保の旧ただし書き課税標準額(平成13年)である。 |
資料22
国保加入者の75歳以上の者に占める85歳以上の者の割合について、都道府県別に比較すると、最高は沖縄県の約30.6%、最低は埼玉県の約22.5%、全国平均は約24.1%であり、最高と最低との格差は約1.4倍である。 |
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(論点)
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資料23
(平成19年度推計)
75歳以上の者のうち被用者保険の本人として雇用されている者の割合は、2.1%に過ぎず、大半が地域を基盤とした生活実態がある。 |
(単位:万人)
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(注1) | 65〜74歳の者のうち、約100万人は老人保健制度の対象者(寝たきり)である。 |
(注2) | 平成14年12月「厚生労働省試案」に基づく推計値である。 |
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資料24
保険者機能は、被保険者の把握(適用・徴収)、保健医療サービスの提供(保険給付・保健事業)及び安定的な保険運営の確保(保険料率決定・審査支払)に大別される。 |
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資料25
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(中期財政運営)
12年度 | 13年度 | 14年度 | 15年度 | 16年度 | 17年度 | 18年度 | 19年度 | 20年度 |
事業運営期間 | ||||||||
事業運営期間 | ||||||||
事業運営期間 |
(財政安定化基金の仕組み)

※1 | 調整交付金の交付割合によって、各市町村における第1号被保険者の負担割合も変動する。 | ||||
※2 |
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(年金からの特別徴収(天引き)の概要)
概要
対象者数(平成14年4月時点)
介護保険料の収納率
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資料26
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(保険基盤安定制度)

(高額医療費共同事業)
○ | 高額医療費(70万円以上)の発生による国保財政の急激な影響の緩和を図るため、各市町村国保からの拠出金(国及び都道府県がそれぞれ1/4を負担)を財源として、都道府県単位で費用負担を調整。 |

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資料27
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(注) | 申請済みベースでの合併状況(出典:平成17年4月14日付け総務省報道資料「合併特例法(旧法)による合併の状況」) |
(2) | 前期高齢者医療制度 (基本方針)
(論点)
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(3) | その他の論点
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