参考資料

第33回コーデックス委員会食品表示部会(CCFL)の概要

 2005年5月9日〜13日にかけて、コーデックス委員会食品表示部会が開催された。その主な議題と概要は以下のとおり。

1. 遺伝子組換え食品の表示に関するガイドライン案
(これまでの経緯)
 1993年に新たに遺伝子組換え食品表示のガイドラインの策定に向けた検討が開始されたが、各国の義務表示に対する基本的考え方の隔たりが大きく、特に米国とEUの対立が顕著であり、依然としてステップ3のまま議論は進展していない。(定義のみステップ7にある。)
(我が国の基準との関係)
 2001年4月から、食品衛生法及びJAS法に基づき、遺伝子組換え食品の表示が義務づけられている。

(会議結果のポイント)
 ・  義務表示の対象について、以下の点が主要な論点となった。
(1) 栄養素などが著しく変化した場合に限るべきという意見(米国、アルゼンチン、メキシコ、フィリピン、タイ)
(2) 栄養素等が著しく変化していなくとも、遺伝子組換え技術で作られた農産物やそれを原材料として製造した食品も含めるべきという意見(EC諸国、途上国、我が国等)
 ・  EC、カナダから、(2) をオプションとする対案(カナダの提案は、事業者によるボランタリーな表示)が示されたものの、コンセンサスが得られなかったため、カナダ主宰の電子メールによるWGを作ってテキストの修正案を作成することとなり、ステップ3のまま留め置かれた。

2. 原材料の量に関する表示(QUID)
(これまでの経緯)
 1985年に制定された「包装食品の表示に関する一般規格」の中で、「特色のある原材料を特別に強調する場合は、使用した当該原材料の重量割合を表示しなければならない」旨規定されている。この規定を拡大する必要があるとして、2001年から改正のための検討が開始され、現在ステップ3にある。
(我が国の基準との関係)
 JAS法の加工食品品質表示基準第5条(特色ある原材料等の表示)により、コーデックス規格におおむね準拠した制度となっている。(なお、この適用範囲については、第22回共同会議の場で審議いただき、より具体的な範囲を後日改めて検討いただく予定である。)

(会議結果のポイント)
 ・  本会議に先立ち、事前にWGが開催され、詳細な議論が行われた。
 ・  本会議でも逐条ごとの検討が行われ、テキストの修正が行われた上で、ステップ5に上げることになった。(別紙参照)

3. 原産国表示
(これまでの経緯)
 1985年に制定された「包装食品の表示に関する一般規格」の中で、「原産国が表示されないと消費者に誤認を与えるおそれがある場合には表示しなければならない」旨規定されている。この規定の改正作業を始める必要があるかどうか、2001年から議論が開始され、2004年には改正作業は不要との結論が出たものの、委員会において改正を求める声があったため、今回の会議において「現行規定で十分であるか」「現行規定の解釈に困難はあるか」について議論することとなった。
(我が国の基準との関係)
 JAS法の生鮮食品品質表示基準により、すべての生鮮食品の原産地表示が義務づけられている。加工食品についても、加工食品品質表示基準により、輸入品については原産国表示が義務づけられている。また、国内で製造した加工食品であっても、これまで個別に漬物など4品目に表示が義務づけられてきたのに加え、生鮮食品に近い20食品群について、来年10月から主な原料の原産地表示が義務づけられる。

(会議結果のポイント)
 ・  EC諸国とスイス、ノルウェー、韓国が改正を求めたものの、途上国をはじめその他の多くの国が、現行規定で十分であり改正不要との立場を示した。我が国からは、現行規定には各国の解釈に委ねている部分があり、各国の取組みには差異があることを具体的に紹介した上で、各国の解釈が妨げられないのであれば、現行規定のままでも問題は生じない旨発言した。
 ・  検討の結果、原産国規定の改正作業は中止されることとなった。

4. その他の議題
 有機食品、トランス脂肪酸、栄養表示における広告の定義、個別食品の規格の見直しなどに関する検討が行われた。



(別紙) 原材料の量に関する表示 一般規格の修正案 テキスト新旧対照表(仮訳)

  下線部(  )が33回表示部会による修正点
  33回テキスト原案(ALINORM 04/27/22 APPENDIX VII)(ステップ3)   33回会議後修正テキスト(ALINORM 05/28/22 APPENDIX II)(ステップ5)
5.1 原材料の量に関する表示 5.1 原材料の量に関する表示
5.1.1 混合物又は組み合わせて販売されるすべての食品には、以下の原材料(複合原材料の原材料を含む)について、重量による使用割合を明記しなければならない。 5.1.1 混合物又は組み合わせて販売されるすべての食品には、以下の原材料(複合原材料の原材料や原材料のカテゴリー1)を含む)について、重量又は必要に応じ容量により、食品製造時における使用割合を明記しなければならない。
(a) 用語や写真、絵によってラベル上で強調されているもの;又は (a) 用語、写真、絵又は図柄によってラベル上に存在し、強調されているもの;又は
(b) [食品の特徴付けにとって必須なもの;又は (b) 食品の特徴付けにとって必須であって、混乱を招くおそれのある他の食品と区別するために必須なもの;又は
(c) 混乱を招くおそれのある他の食品と区別するために必須なもの;又は] (c) 食品の名称に含まれているもの/強調されているもの(国の機関によって不必要とされたものを除く)];又は
(d) 食品の一般名称又は貿易上の名称に含まれているもの;又は
(e) [消費者の健康の増進や誤認を防ぐために国の機関が明記することが必要であるとみなすもの] (d) [消費者の健康の増進や誤認を防ぐために国の機関が明記することが必要であるとみなすもの]
(f) [果実、野菜、穀物又は添加された糖類について明示又は暗示するもの] (e) [果実、野菜、穀物又は添加された糖類について明示又は暗示するもの]
ただし、以下の場合は明記する必要はない。 ただし、以下の場合は明記する必要はない。
(g) [最終製品に重量で占める割合が2%以下の原材料であり、香り付け用として使用される場合;又は] (f) 最終製品に重量で占める割合が[2%/5%]以下の原材料であり、香り付け用として使用される場合;又は
(h) 最終製品に重量で占める割合が[2%]以下の原材料であり、原材料の量と栄養上又は健康上の効果を消費者が合理的に関連付けて考えるおそれがない場合;又は
(i) コーデックスにおける特定の食品規格が、上記要件に一致しない場合 (g) コーデックスにおける特定の食品規格が、上記要件に一致しない場合
5.1.2 5.1.1で求められる情報は、[最も近接するパーセント単位をもって、]製品のラベルに明記しなければならない。 5.1.2 5.1.1で求められる情報は、パーセント単位をもって、製品のラベルに明記しなければならない。
 原材料の重量に占める使用割合は、[特定の原材料を強調している用語又はイメージに近接した場所、食品の一般的な名称又は分類名の隣、又は原材料リストに記載されている原材料に付随して、ラベルに表示することができる。]  原材料の重量又は必要に応じ容量に占める使用割合は、特定の原材料を強調している用語、写真、絵又は図柄に近接した場所、食品の名称の隣、又は原材料リストに記載されている原材料に付随して、パーセンテージの概数でラベルに表示しなければならない。
(a) [原材料の多さを強調する場合は、最低パーセンテージ;又は
(b) 原材料の少なさを強調する場合は、最大パーセンテージ;又は]
(c) 他の場合は、パーセンテージの概数
又は
 加熱又は加工後に水分が失われた食品については、その量は最終製品に関連して使用した原材料の量に相当するものとする。また、その量はパーセンテージで記載しなければならない。しかし、記載されている原材料の合計量が100%を超える場合には、そのパーセンテージは最終製品100gに用いられた原材料の重量に置き換えなければならない。  加熱又は加工後に水分が失われた食品については、その量は最終製品に関連して使用した原材料の量に相当するものとする。また、その量はパーセンテージで記載しなければならない。しかし、記載されている原材料の合計量が100%を超える場合には、そのパーセンテージは最終製品100gに用いられた原材料の重量に置き換えなければならない。
 
1) 「原材料のカテゴリー」の解説:原材料の量に関する表示の目的において、「原材料のカテゴリー(category of ingredients)」とは、原材料の分類名(class name)に関連した包括的名称及び/又は食品の名称として用いられる同様の一般的用語全般を意味する。



(参考)FAO/WHO合同食品規格委員会(コーデックス委員会)について

 コーデックス委員会は、消費者の健康の保護、食品の公正な貿易の確保等を目的として、1962年にFAO及びWHOにより設置された国際的な政府間機関であり、国際食品規格(コーデックス規格)の作成等を行っている(我が国は1966年より参加)。
 コーデックス委員会の下には、計29部会(休会中の部会も含む)が設けられている。部会は、参加国の中から選ばれたホスト国が運営しており、会議は通常ホスト国で開催される。(別紙参照)
 メンバー国:171カ国
 メンバー機関:欧州共同体(EC)
 事務局:FAO本部(ローマ)
   *) 2003年6月の第26回総会で、メンバー機関として、はじめて欧州共同体(EC)が承認された。


コーデックス規格作成の手続き

Step1   総会が執行委員会による作業評価結果を考慮して規格作成を決定する。
Step2 事務局が規格原案の手配をする。
Step3 提案原案について各国のコメントを求める。
Step4 部会が規格原案を検討する。
Step5 規格原案について各国のコメントを求める。そのコメントと執行委員会による作業評価結果に基づき、総会が規格原案の採択を検討する。
Step6 規格案について各国のコメントを求める。
Step7 部会が規格案を検討する。
Step8 規格原案について各国のコメントを求める。そのコメントと執行委員会による作業評価結果に基づき、総会が規格案を検討し、コーデックス規格として採択する。



(別紙)

図
一般原則(フランス)
食品添加物及び汚染物質(オランダ)
食品衛生(米国)
食品表示(カナダ)
分析及びサンプリング方法(ハンガリー)
残留農薬部会(オランダ)
食品残留動物用医薬品(米国)
食品輸出入検査証明制度(豪州)
栄養特殊用途食品(ドイツ)
乳及び乳製品(ニュージーランド)
ココア製品チョコレート(スイス)
加工果実野菜(米国)
食肉衛生(ニュージーランド)
魚類・水産製品(ノルウェー))
生鮮果実及び野菜(メキシコ)
油脂(英国)
糖類(英国)
穀物・豆類(米国)
植物タンパク質(カナダ)
ナチュラル・ミネラル・ウォーター(スイス)
果実・野菜ジュース(ブラジル)
バイオテクノロジー応用食品(日本)
アジア
アフリカ
ヨーロッパ
ラテンアメリカ・カリブ海
近東
北アメリカ・南西太平洋


注) 1. ●印の部会は、休会中。
2. ( )内の国は、主催国名。
3. 執行委員会は、議長、3副議長及び7地域代表(アフリカ、アジア、ラテンアメリカ・カリブ、欧州、近東、北米、南西太平洋)で構成。
4. 果実・野菜ジュース特別部会は、2004年10月で終了。2005年7月の総会で解散が承認される予定。
また、2004年7月に新バイオテクノロジー応用食品特別部会の設置が承認された。ホスト国は日本。



Procedural Manual (14th edition)

CODEX COMMITTEE ON FOOD LABELLING
Host Government: Canada

Terms of reference:

(a) to draft provisions on labelling applicable to all foods;

(b) to consider, amend if necessary, and endorse draft specific provisions on labeling prepared by the Codex Committees drafting standards, codes of practice and guidelines;

(c) to study specific labelling problems assigned to it by the Commission;

(d) to study problems associated with the advertisement of food with particular reference to claims and misleading descriptions.


FOOD LABELLING COMPLETE TEXTS (revised 2001)

Codex General Standard for the Labelling of Prepackaged Foods (CODEX STAN 1-1985 (Rev. 1-1991))

Codex General Standard for the Labelling of Food Additives when sold as such (CODEX STAN 107-1981)

General Standard for the Labelling of and Claims for Prepackaged Foods for Special Dietary Uses (CODEX STAN 146-1985)

Codex General Guidelines on Claims (CAC/GL 1-1979 (Rev. 1-1991))

Codex Guidelines on Nutrition Labelling (CAC/GL 2-1985 (Rev. 1-1993))

Guidelines for Use of Nutrition Claims (CAC/GL 23-1997)

General Guidelines for Use of the Term “HALAL” (CAC/GL 24-1997)


CODEX GENERAL STANDARD FOR THE LABELLING OF PREPACKAGED FOODS CODEX STAN 1-1985 (Rev. 1-1991)1

1. SCOPE
This standard applies to the labelling of all prepackaged foods to be offered as such to the consumer or for catering purposes and to certain aspects relating to the presentation thereof.

2. DEFINITION OF TERMS
For the purpose of this standard:
“Prepackaged” means packaged or made up in advance in a container, ready for offer to the consumer, or for catering purposes.
“Foods for Catering Purposes” means those foods for use in restaurants, canteens, schools, hospitals and similar
institutions where food is offered for immediate consumption.

4. MANDATORY LABELLING OF PREPACKAGED FOODS

4.5 COUNTRY OF ORIGIN


4.5.1 The country of origin of the food shall be declared if its omission would mislead or deceive the consumer.

4.5.2 When a food undergoes processing in a second country which changes its nature, the country in which the processing is performed shall be considered to be the country of origin for the purposes of labelling.


5. ADDITIONAL MANDATORY REQUIREMENTS

5.1 QUANTITATIVE LABELLING OF INGREDIENTS


5.1.1 Where the labelling of a food places special emphasis on the presence of one or more valuable and/or
characterizing ingredients, or where the description of the food has the same effect, the ingoing percentage of the ingredient (m/m) at the time of manufacture shall be declared.

5.1.2 Similarly, where the labelling of a food places special emphasis on the low content of one or more ingredients, the percentage of the ingredient (m/m) in the final product shall be declared.

5.1.3 A reference in the name of a food to a particular ingredient shall not of itself constitute the placing of special emphasis. A reference in the labelling of a food to an ingredient used in a small quantity and only as a flavouring shall not of itself constitute the placing of special emphasis.


第55回執行委員会(2005年2月)議事録(抄)

CRITICAL REVIEW OF PROPOSALS FOR NEW WORK AND MONITORING PROGRESS OF STANDARDS DEVELOPMENT (Agenda Item 3)


36. Several Members pointed out that the Committee on Food Labelling had been discussing the
labelling of foods derived from biotechnology for many sessions without any progress and recommended that the CCFL consider suspending discussion for a period of time or discontinuing work if it could not solve the issue.

41. The Executive Committee agreed to give a general recommendation to Codex Committees to make all efforts to achieve progress on controversial issues, and, if progress was slow or consensus was unlikely to be reached, to consider the following options: redefining or narrowing the scope of the text, concentrating on the areas where consensus could be reached; suspending consideration of the issue for a period of time; or discontinuing the work.


第43回執行委員会(1996年6月)議事録(抄)

Codex Committee on Food Labelling


27. The Executive Committee did not accept the view that standards directed to ensuring fair practices in the food trade in areas other than the protection of consumers' health were excluded from the Commission's mandate, although all work should be guided by the four Statements of Principle.

29. the Executive Committee stressed that the Four Statements of Principle should be closely adhered to. It noted the opinion claiming that while consumers may claim the right to know whether or not foods had been prepared by such means, it also noted that the claimed right to know was ill-defined and variable and in this respect could not be used by Codex as the primary basis of decision-making on appropriate labelling.

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