第23回「食品の表示に関する共同会議」の議事概要
(平成17年5月25日(水))

1.委員の出欠
 長野委員が欠席。

2.概要
(1) 生鮮食品の表示方法について

事務局より資料1について説明。

委員
(1)p3「表示基準の対象範囲」に関して、表示という手段よりも、消費者への情報伝達という目的が達成されることが重要であり、店主に聞けば答えてもらえるのであればそれでよいと思う。ただし、このように考え方を変更することについて、どのように国民の納得を得られるか、また、情報提供が確実になされているかをどのように監視するかが課題ではないか。
(2)農産物については、都道府県名を表示することが義務づけられているが、消費者は果たしてどこまで知りたいか。農業生産サイドとしても、これまで各県が産地ブランドを形成し産地間競争をしてきており、平成8年に農産物のうち先行5品目の原産地表示を義務付けた際、農業団体として都道府県表示を要望した経緯がある。しかし、10年を経過し、県境を超えた市町村の編入があるような状況において、都道府県までの表示義務が本当に必要か。国産と輸入が判別できればよいのではないか。販売実態に合わせた検討をお願いしたい。

委員
(1)p9の「すき身、挽肉、切り落としなどに原産地を正確に記載するのは困難」とあるように、例えば魚のあら(カマ、目玉、ホホ肉等)にまで本当に産地、養殖、解凍の有無を表示する必要があるか。
(2)p3小規模小売店について、産地表示が消費者の選択に資するという本来目的から考えれば、規模や業態で表示義務を区切るのはいかがか。産地表示が必要かどうかまでさかのぼって議論するならわかるが。

委員
(1)魚のあらについて養殖解凍表示は不要との意見があったが、一消費者として、ブリ大根を作るのにも生の、天然もののブリを探してしまうように、食べる側からは天然、養殖の表示があるとありがたい。
(2)小規模店の件について、夫婦二人で仕入れから販売までしている町の魚屋が、表示を厳格に徹底するのは到底無理で、店じまいしなければいけなくなる、との話を聞いたことがある。現行の義務表示では罰則がないとのことだし、自助努力に任せるところがあってもよいのではないか。書ける範囲で一生懸命経木に書いている、それでよいのではないか。
(3)野菜については、原産地表示のおかげで中国産ねぎは生鮮売り場の店頭で見かけなくなっている。消費者は表示を安全・安心のツールとして頼りにしている。新たな食料・農業・農村基本計画においても、自給率向上や地産地消を進める上で、表示は消費者のみならず国民全体に大きな役割を果たしている。

事務局JAS法にも罰則はあるが、表示違反でも一時的な過失によるものや表示の欠落には、指導を行うこととなる。一方、偽装表示を行った場合などには、指示、公表を行う。その後、命令を行い、それでも改善の見られない企業には最大1億円の罰金が課されることとなる。

委員規模によって例外を認めるのは反対である。例外を作ると、必ずそれを逆手に取って利用する人が出てくる。同様に、魚のあらだから、見切り品だからという理由で例外扱いをするのは反対。極端な話、見切り品ばかりを扱っている店は全部表示が不要ということにもなりかねない。例外を考えるより、全体としてどのような方向に持っていくのかを議論すべき。

委員小規模店舗の問題は、まず規模の違いによる問題の所在を確認した上で、それをルールで解決しなければならないのか、できない店には具体的支援策を講じていくのか、といった点を考慮に入れ、関係者が協力し合って実現可能な方向としていくべき。

委員
(1)小規模店舗の問題について、何らかの形で情報は出すべきであり、消費者にも産地表示に期待する声は大きい。「聞いて答えられるのであれば」「作業が大変」というが、実際にどのような点がどの程度困難なのか、本当に現場の対応の問題なのか確認しないと判断しかねる。
(2)p2、食料品消費モニターは一般の消費者と違うという説明があったが、消費者から公募しているのは事実であり、どう違うのか。

事務局対象が消費者であることには変わりはないが、関心を持って自ら応募してきた方たちの回答であり、無作為に消費者にアンケートを送るような形態の調査とは異なるもの。

委員
(1)小規模店舗については、渡邊委員と同じ考えで、課題が何か明らかにすべき。ばら売りや対面販売については、それが販売の本来の姿であったはず。どんどん表示が乖離していく気がしてならない。
消費者として、本当に全て書くのを望んでいるか。食育の面からも、小さな店舗まで全て決められたルールの中でやらなければいけないのか。
(2)第21回資料1のp15、水産物の3枚おろしと2枚おろしで原産国が異なるという点が理解できない。
(3)養殖と天然の別については、栄養成分表上も区分されており、表示は必要。

座長原則はどうあるべきか、ばら売りや対面販売が本来の姿であって、こうしたものが実現可能なルールになるにはどうしていくかなど、さまざまな御意見をいただいた。もう一度問題を整理し、本来どうあるべきか、次回以降もう少しきちんと考えていきたい。

全国漁業協同組合連合会 漁政部 高浜部長代理より資料2について説明。

委員資料2ページ4.魚介類の名称の中で、白焼きにするアナゴと夏に湯引きにするハモは同じものか。東北のマーケットでは穴子といわれるハモと本物のハモがあり混乱するのではないか。

説明者北海道や東北地方では、標準和名でいう「マアナゴ」のことを「ハモ」と呼んでおり、市場でも「ハモ」という名称で流通している。通常、市場でも「ハモ」と呼んでいるのは標準和名の「マアナゴ」のことである。北海道、東北地方では標準和名の「ハモ」は漁が無かったので特に不都合は感じていないようだ。

委員
(1)養殖する際の餌は国内のものか輸入ものか。
(2)2ページの養殖業の生産量は横ばいであるが、養殖生産を推進していることはないのか。

説明者
(1)餌は国内で生産するものと輸入されるものと両方ある。
(2)養殖は、できる地域が限られており、またマーケットも限られている面があるので、生産量の変化は少ないのではないでしょうか。

座長次に養殖業について説明をお願いしたい。

香川県水産課:濱本課長補佐及び嶋野香川県かん水養殖漁業協同組合長より資料3について説明

座長香川県のハマチ養殖の例をご紹介いただいた。九州で生産された種苗を導入し、香川県で養殖をするパターンになっているとのことですが、いくつかご質問があれば伺いたい。

委員
(1)養殖業について見えてきた。養殖のタイは天然に比べて色が見劣りがするため餌に色素を入れる。人間でいうと白髪染めのようなものであり、これだけ色揚げに力を入れる必要はあるのか。
(2)養殖のカンパチとヒラマサとハマチは餌が同じなので、食したときも同じ味がすると聞いたことがあるが、味についてどう考えているか。

座長色と味についてご説明頂きたい。

説明者
(1)タイについては、市場では、色鮮やかな方が好まれるため、様々な工夫をして消費者のニーズに応えようと努力している。
(2)味については、それぞれ違うと考えている。関東はカンパチを好み、関西では、ハマチを好むと聞いており、消費者の好みにより様々であろうと考える。

座長養殖水産物についてはこれから検討していく必要があると考えている。続きまして、事務局から水産物の表示の現状について説明願いたい。

事務局より資料4について説明。

座長有り難うございました。養殖水産物については、多様な実態があるようである。畜産物でも、最も長く飼育したところを原産地と表示することになっているが、そのルールを機械的にあてはめると、水産物では必ずしも消費者が原産地と考えるものと一致しない例もあるようである。本日は水産物について専門の方から事例を紹介して頂いたが、それを踏まえ、問題点をどのように整理していったらよいか、次回以降検討して参りたい。 次にその他として、マレーシアで開催された第33回のコーデックス委員会食品表示部会について小川国際室長よりご報告をお願いする。

事務局より参考資料に基づき説明。

座長ありがとうございました。ご質問等が無いようでしたら、本日は閉会する。

(事務局から次回の第24回は7月28日(木)10:00〜の予定で開催したい旨、連絡。)

以上

トップへ