前回の勤労者生活分科会開催(平成16年4月9日)以降の基本問題懇談会の開催状況



1 開催状況

(1)第3回(平成16年6月2日)
  (1) 今後の進め方について
  (2) 財形制度全般について
  (3) その他

(2)第4回(平成16年7月27日)
  (1) 財形貯蓄について
  (2) その他

(3)第5回(平成16年12月2日)
  (1) 座長の選任
  (2) 財形貯蓄について(2)
  (3) その他


2 主な意見の概要

(1)全般
  (1) 財形制度を創設した時の意義は、今に時代に当てはまらなくなっており、何を目的とした制度とするのか新たに明確化する必要があるのではないか。

  (2) 財形制度は、制度自身存続させるべきか、全く別にものに切り替えてしまうのか、なくしてしまった方がよいのか、いろいろな基本問題を踏まえつつ検討する必要があるのではないか。

  (3) 構造改革が進められていく中で、勤労者の自助努力を支援するという財形制度の役割はより一層強くなってきているのではないか。

  (4) 今はカード社会で、必要とする物を最初に手に入れて後でローンで返していくことができることから、若者を中心に貯蓄がはやらなくなっており、これは「後憂先楽」の思想であり、「自助努力」の「先憂後楽」の思想とは逆転しているのが現実ではないか

(2)企業の福利厚生との関係
  (1) 財形制度は、企業別に福利厚生の一貫として行われてきたが、福利厚生が縮小していく中で、企業を超えた国の支援制度として考えていくべきではないか。

  (2) 企業からの天引きが原則の1つになっているが、自動振込などによっても代替できるので、天引きを要件としているために制度を導入できない企業があるのであれば、それを原則とする必要はないのではないか、企業の関与を要件としないという原則に変えても良いのではないか。「三者協力の原則」ということを言い続けなくてもよいのではないか。

(3)社会保障制度全体の中での財形貯蓄の位置付け
  (1) 公的年金や企業年金の給付額が減少してきており、これに代替するくらいの大きな役割を財形制度に与えることが必要ではないか。

  (2) 社会保障制度全体の縮小が避けられない中で、自助努力への支援を充実させていくべきではないか。

  (3) 企業の福利厚生とは切り離した自助努力を主体とする制度として、米国のIRAのように、一定の所得以下の貯蓄を支援するような制度とすべきではないか。その場合には、一般、住宅、年金と3つに分かれている財形貯蓄を年金に1本化して、子育て、介護、自己啓発、教育、住宅等については適格払い出しを認める制度とすることも考えられるのではないか。

  (4) 財形制度のコンセプトは、「仕事」と「家庭」と「地域生活」の3つの中では、「家庭生活」を維持するための制度としていくべきではないか。「家庭生活」を補完する制度ニーズを支援していく制度とすべきではないか。

  (5) 財形制度を老後生活資金を積み立てる自助努力を支援する制度とする時には、確定拠出年金と統合するのか、財形年金を4階建てに位置付けるのかなど確定拠出年金との関係を整理することが必要ではないか。
 また、確定拠出年金の企業型はマッチング拠出が認められていないが、勤労者の自助努力への支援を行っていくというのであれば、本来は、企業型において勤労者のマッチング拠出ができる制度とすべきであると考えられ、そのような制度改正も視野に入れて、財形制度のあり方を考えることが必要ではないか。

(4)対象者
  (1) 制度の目的をどのように設定するのかによって、制度の対象者をどのような範囲の者とするのかが決まってくる。

  (2) 企業の福利厚生ではなく、国の制度として考えた場合、勤労者の中のどこをターゲットとするかを検討すべき。大企業の給与水準の高い者が最も利用率が高いという現行の制度のままでは存在意義はなく、非常に資産形成の困難な者にターゲットを絞るべきではないか。

(5)対象とする金融商品
  (1) 「貯蓄から投資へ」の流れに対応して、投資信託等のリスクマネーの運用ができるようにするなど金融商品の多様化が必要ではないか。
  (2) 「貯蓄から投資へ」の流れに対応するといっても、投資先がないのが現実ではないか。
  (3) 勤労者が、自己責任で金融機関を選び金融商品を選ぶことができる制度にしていくことが必要ではないか。

(6)雇用慣行の変化への対応
  (1) 雇用の流動化が進んでおり、転職した時に財形貯蓄を止めざるを得ない者もいるので、ポータビリティーの確保が必要ではないか。また、一定期間継続した貯蓄を要件とすることも緩和すべきではないか。
  (2) パートタイマー、派遣労働者、フリーター等の非典型労働者が増加してきており、これらの者も対象としていくことが必要ではないか。

(7)中小企業への普及促進
  (1) 大企業はいろいろな福利厚生の制度があるが、労働組合のない企業や50人以下の中小企業はほとんどやられていないので、このような企業にどのように制度を普及促進させていくのかが課題ではないか。

  (2) 中小企業に普及しない制度というのは財形だけではなく、中小企業は財形以外のことを大企業並にやっている訳でもないので、財形だけをみんなが利用できるようにするということはあまり意味のないことではないか。

  (3) 財形制度は、社会政策ではないとすれば、それほど普及させる必要はないのではないか。

(8)財形融資
  (1) 金融機関が個人向け融資に一生懸命になってきているので、財形融資は要らないのではいか。

  (2) 長期休暇取得者の生活費の融資制度はやる必要はないのではないか。

  (3) 企業が勤労者の持家支援を行い、大きなローンを抱え込ませることによって、勤労者を企業に縛り付けるようなことは止めるべきではないか。

  (4) 財形融資を行うに当たってどれくらいのオペレーション費用がかかっており、それだけの費用をかけてやる必要があるかどうか検討すべきではないか。

(9)政策評価
  (1) 行政による自己評価をした結果うまくいっていないということがあってはじめて、審議会で見直しの検討をスタートさせるというスタイルで政策評価をやらないと意味がないのではないか。

  (2) 政策評価は、キッチリとした目標があって、それに向けて活動を行い、目標を達成してはじめて評価されるというものであるべきなので、次の年度の政策評価をする際には、どのようなことを目標に、どのように活動していくこととするのか教えてほしい。

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