05/04/28 厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会第13回議事録                   第13回           厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会                    議事録          日時:  平成17年4月28日(木) 16:00〜18:08          場所:  新霞ケ関ビル1F 全社協・灘尾ホール          出席者: 井村 伸正 委員  上原 明  委員               大山 永昭 委員  鎌田伊佐緒 委員               神田 敏子 委員  吉川 肇子 委員               児玉 孝  委員  高橋 孝雄 委員               田島 知行 委員  堀井 秀之 委員               増山ゆかり 委員  松本 恒雄 委員               溝口 秀昭 委員  三村優美子 委員               宗像 守  委員  望月 眞弓 委員               森  由子 委員  安田 博  委員          議題:  1.医薬品販売に従事する者の資質と責務について               2.医薬品販売における情報通信技術の活用等について  井村部会長  定刻になりましたので、お見えになるはずの2〜3の先生がまだ御到着ではないので ございますが、始めさせていただきたいと存じます。  第13回の厚生科学審議会医薬品販売制度改正検討部会でございます。お忙しい中を、 また、きょうは大変暑いようでございますが、御出席を賜りまして、ありがとうござい ます。  それでは、議事に入ります前に、本日の委員の出欠状況を確認させていただきたいと 思います。よろしくお願いいたします。  事務局  事務局より、本日の委員の出欠状況でございますが、現在、委員20名のうち、15名の 御出席をいただいております。厚生科学審議会令の規定によりまして定則数に達してお りますので、会議が成立いたしますことを御報告いたします。  なお、大山委員からは少しおくれて御出席との連絡をいただいております。また、青 井委員、谷川原委員からは御欠席との連絡をいただいております。  また、本日は、オブザーバーとしまして、専門委員会から、埜中委員長初め安部専門 委員、荻原専門委員にも御出席をいただいておるところでございます。  それから、医薬食品局長、総務課長、安全対策課長は、所用のため少しおくれますこ とをおわび申し上げます。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。本日の議事の内容でございますが、前回の部会で検討項目 3の「医薬品販売に従事する者の資質とその確保」、検討項目4の「医薬品販売に関す る責任について」というものにつきまして検討していただいたのでございますが、本日 もまたそのあたりから検討を開始させていただきまして、残った時間で、資料2の検討 項目5の「消費者への周知等」、あるいは検討項目6の「情報通信技術の活用」まで行 ければその辺まで行きたいなと考えておりますけれど、なかなか難しいかなとも思いま す。  それでは、まず、事務局から、本日の配付資料の確認をお願いいたします。  事務局  それでは、資料を確認させていただきます。  お手元にお配りしております本日の資料でございますが、1枚目に議事次第を配付さ せていただいております。次に、資料1−1といたしまして、検討項目3「医薬品販売 に従事する者の資質とその確保」及び検討項目4「医薬品販売に関する責任」について でございます。  資料1−2といたしまして、検討項目2、検討項目3及び検討項目4に関する第12回 部会での意見の整理。資料2といたしまして、検討項目5「消費者への周知等」、検討 項目6「情報通信技術の活用」及び検討項目8「その他(インターネット販売、特例販 売業等のあり方)」についてでございます。  また、本日は、鎌田委員、安田委員及び増山委員より文書にて御意見を提出いただい ておりますので、部会委員提出資料としてお配りしております。  さらに、参考資料といたしまして、前々回、前回でもお配りしておりますものと同じ ですが、医薬品販売制度改正検討部会委員名簿、医薬品販売制度改正に関する論点の整 理、今後の医薬品販売制度改正検討部会の論点審議予定をお配りしております。  さらにその後ろに、パンフレットとパンフレットのコピーもあわせてお配りさせてい ただいております。  以上でございますが、資料に落丁などございましたら事務局までお申し出ください。  また、これより議事に入りますので、カメラ撮りはこの時点までとさせていただきた いと思います。  それから、この会場のマイクの関係ですが、委員の皆様におかれましては、御発言の 際にはマイクのスイッチを入れる必要がございますので、申しわけございませんが、挙 手をお願いいたしたいと思います。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。いかがでございましょうか、資料は行き渡っておりますで しょうか。よろしゅうございますか。  それでは、早速、審議に入りたいと思いますが、先ほども申し上げましたように、今 回はまず、前回一応議論はしましたけれども、恐らくまだ御意見が十分にいただけてい ないという感じがいたしますので、前回も議論していただきました論点につきまして検 討をさせていただきたいと思います。  前回は、検討項目3につきまして、論点14、16、18というところまで議論をしていた だきましたが、駆け足で走り抜けたという感じがいたしますので、その辺から御検討い ただきたいと思います。  資料1−1の最初のページを開いていただければと思います。この間と同じように、 論点14、16、18、この偶数番号の論点につきまして、これはいずれも医薬品の販売に従 事する者の資質、役割、そして責任というものに関連した論点でございます。一括して 御意見をいただきたいと思います。  資料1−2には、皆様方からその際にいただきました御意見が羅列してございます。 この辺で議論を開始させていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。皆 様から御意見をいただけますでしょうか。  鎌田委員  薬種販売業としまして店頭に立って、毎日、消費者の方々、生活者の方々と対応して おりますが、この役割と責任ですけれども、まず、(1)情報提供です。私どもは、情報 提供に当たりまして、メーカーさん等の添付文書に基づきまして、それの説明に入って いる。そういうことをもとにしまして、その枠をはみ出さない範囲内できちんと情報提 供していく。ただし、我々だけの情報提供だけではなく、消費者、生活者の方々からも 情報収集する必要性があるということは前回にも申し上げたとおりであります。特に私 ども薬種販売業としましては、地域に密着した店頭ということで、私どもは生涯学習研 修会等を通じまして資質の向上を図っているとともに、できるだけ最新の情報を得て、 それを消費者の方に伝えていくという努力はいたしております。  ただ、この結果の報告は、私ども薬種販売業は、現行の法律に定められておるとお り、個人の資格ではございません。私どもは、いわゆる職業として店頭で販売するに当 たりまして、やはり情報提供、情報収集の重要性は十分考えておるものであります。そ れゆえに、私どもも情報提供を踏まえた相談者の方々の相談内容をまとめてお出しす る、そういう制度と報告書はつくり上げております。ただ、それが努力義務であって、 我々の報告書がなかなか行政の方へは伝わっていない。それは我々があいまいな立場で 薬種販売業という業としての許可であって、人が試験を受けたものを資格を与えずに営 業許可の一環としてとらえているということに、私ども薬種商としましては非常に残念 に思っております。  これは制度改正のときにぜひ薬種商の資質と我々の勉強している実態を把握していた だきまして、人に試験を受けさせているのに資格としての証明も出さないというのは、 他の事例にはほとんどないのではないかと考えています。よって、現在、情報提供につ きましては私どもは管理者としてそういう努力をしております。  ただ、受診勧奨というのはかなり微妙な問題でありまして、受診勧奨して相談者が見 えて、じゃあ、あなたはお医者さんへ行きなさいというところで、仮に打ち切ってしま ったら、それはそれで消費者・生活者の方々の購入する権利とか相談に来た原点、医薬 品を買うために来た相談ということとのかねあいですね。あるいは、逆に言うと、医療 行為に踏み込む危険もありますので、その辺は私どもはかなり難しい立場にあるのでは ないかなと思っています。  販売後の副作用発生時等は、先ほど言いましたように、私どももメーカー等へ速やか に連絡をとる体制をとっているということであります。  それから、医薬品の管理につきましては、現行、ほとんどの医薬品には有効期限とい うものがついております。それを私どもは月に1回、店舗内の商品を精査しまして、期 限切れ半年前までのものをきちんと入れかえをしていくという努力をしております。  構造設備の管理ということでありますが、これも私どもも月1回、構造設備の点検等 を行いまして、きちんと表でもって点検をしております。けれど、構造設備の管理とい うのは、現行の制度からいけば合致しているのでしょうけれど、本当にそれが必要かど うかということは別の問題ではないかと考えております。  従業員の監督とかその他の業務は、管理者としまして、あるいは開設者としまして、 いわゆる専門家として努力をしてきているということを申し上げておきます。  以上です。ありがとうございました。  井村部会長  ありがとうございました。ただいまの鎌田委員の御発言の内容というのは、きょう御 提出いただいているこの文書の中身をごらんいただければということですね。  ほかにございませんでしょうか。  宗像委員  この論議についてでありますが、2〜3、まず前提条件をお話ししておきたいと思い ます。  この話し合いの中で、望むべき、あるいは理想的な形はどうあるべきなのかという話 と、ミニマムスタンダードといいますか、制度的にどうあるべきかという、これは常に どの業界でも、どの法律でも、そこにはある一定の乖離があると思います。その望むべ き姿と、こうでなければいけないという制度的あるいは法的な部分ということになりま すと、法的な部分というのは言ってみれば罰則規定なり、もっと転じて言えば刑事責任 もしくは民事責任を負うことになります。  望むべき姿というのは、販売業者のところでは、差別化策であるとか、自分たちの経 営努力であるとかといった形になるかと思います。したがって、望むべきベターな、あ るいはベストな形であるという部分については、客の持つ選択の自由というものがベー スになるかと思いますし、それから、制度的なマストという部分についていえば、これ は客あるいは生活者の保護・担保ということになろうかと思います。このことがどうも 非常に混在されて話し合われていて、もちろん話はそれでいいのでしょうけれど、どこ かで区分けをする必要があるだろうと思います。  それから、もう一つ前提条件としてお話しすれば、お話の内容が、時には一般販売業 の話をしながら、運用の中身は薬局の話をするというようになっていると思われるとと ころがあると思います。その成分についても商品についてもそうであります。薬局は販 売業とは異なりますから、販売業ではなくて、医療機関の一部であり、調剤や製剤の場 所ということになります。これに対して、販売業というのは、販売業4業態という形 で、一般販売業、薬種商、配置薬、そして特例販売業、この4つになるというのは説明 があったとおりですが、でも、話の中身が、薬事法そのものが薬局のものを転じて、あ るいは準じて載っておりますので、きょう配付された資料にも、ほとんど「薬局」とな っておりまして、一般販売業あるいは販売業としての法律はほとんど未整備のままとい う状況にあると思います。それが今回の実態とのずれを生じさせているわけでありま す。  一般用医薬品についていえば、平成14年でしたかに行われました一般用医薬品承認 審査合理化等検討会の報告の中にもありましたように、「生活者がみずから判断し、み ずから服用する」という項目が入っておりますが、こういうものであり、そして厚生労 働省さんが出されております承認審査基準の中にも、「生活者がみずから判断し、みず からの選択をし、服用して効果性とともに安全性が担保された基準で承認審査をする」 ということが裏づけとしてあるわけであります。  したがって、そういったところから考えますと、基準となるのは、許認可の責任、製 造物責任、自己責任、この3つの責任の中で制度が担保されるというのが私は本来ある べき姿だと思っておりまして、それをどれだけより効果的に出せるかというのは販売店 の役割であって、例えば受診勧奨をしなければいけない、あるいは目の色を見て薬を売 るとか売らないとか、どの薬にするか決めるとか、口臭のにおいをかいで、顔色を見て と、これは本当に医師法に抵触しないのでしょうか。あるいは、薬事法の中における薬 剤師の常駐という中で、この薬剤師の常駐というのは情報提供のためということであれ ば、薬事法77条3の4で書いてありますように、開設者に定められている義務でありま す。そして、それが努力義務として行われているわけであります。ですから、罰則規定 はなしということであります。  そういう現行法の法律の中で、この内容は一部はちょろちょろは出てきていますが、 そういったことがテーブルにのらないで、あるべき姿と法的な部分とがごちゃまぜに今 まで話されてきたのではないかという気がします。  あわせて、販売業の部分も全部一つの資格がすべてを賄うのだということになれば、 今度は逆に、これが制度化されると、刑事責任及び民事責任は全部、言ったか言わない か、そういう義務があるとすれば、言わなかったことに対しての責任も問われてくるか と思います。本来は、情報提供のあり方とは、PL法のだれもが同じ条件を手に入れら れるというのは、基本的には添付文書だろうと思います。添付文書を整備する必要があ りますし、その情報を活用するためのインフラが必要かと思われます。  そして、もし添付文書に必要な情報が漏れていたりしていた場合、それを誰がいつチ ェックし、改訂していくかも含めて検討する必要があるかと思います。見本に出される 添付文書はどれも最優良企業のものばかりで素晴らしい内容になっていると思われます が、すべての文書がそうなっているとはいえないという話はよく聞くところでございま す。それは、他の業界はみんなそうやって、PL法に対処したわけです。  だから、添付文書に不備があったり、見えにくかったりしたら、それを改善していく ということをしっかり押さえないと、本当の安全性をみんな均一に、電話でいいか、あ るいはだれかが伝えるかということを制度にするより、添付文書をしっかり仕上げてい く。こういうことにきちっとした論議をし、そして、もう一つはあるべき姿というこ と、あるいはありたい姿というものも分けて論じていただきたいと思います。  井村部会長  ありがとうございました。ほかに御意見はございませんでしょうか。  安田委員  お手元の資料を見ていただきたいと思います。検討項目5と6について概略を申し上 げます。  論点19と23についてですけれども、医薬品は生命関連商品でありますので、期待され る効能効果を得るためには、適切な情報提供を行って、適正に使用していただくことが 最も重要であると考えて、私どもは営業の中でそのように進めております。  また、副作用をあわせて持つ医薬品の特性や服薬方法、注意事項等、正しい使用方法 についても広く啓発をしていく必要がありますし、現在もそれに向けてとり行っており ます。  また、医薬品の販売時における情報提供にも努めておりまして、特に教育の場におい ても、たばこやアルコールなどが及ぼす健康影響やセルフメディケーションに関する健 康教育とあわせて行うことが効果的であると考えております。  また、私どもの配置の方では、配置先の家庭を直接訪問することから、口頭で、ま た、パンフレットを用いて普及啓発を直接行えるメリットがありますので、その方向で 努力をしておるところであります。  なお、前回も、論点13でも議論になっておりましたが、使用期限の厳守、また適正使 用のために重要であると考えている配置薬の販売においては、訪問時に配置の期限とい うものが入っております。また、使用期限というものも商品によっては入っております が、それも服用されることについては事前に次に訪問するまでに期限の確かなものを配 置することを厳守して伝えているところでございます。  また、論点20につきましては、配置販売では、前回、論点16にも……。  井村部会長  済みません、論点20は後のところで出てまいりますので。  安田委員  そうですか。それでは、概略こんなことで。  井村部会長  今議論する点に関しましては、もう終わったと思ってよろしゅうございますね。  安田委員  では、こんなことでよろしいです。  井村部会長  その論議に至りましたら、またどうぞ御意見を言っていただきたいと思います。  安田委員  はい、わかりました。  増山委員  1ページの(1)に該当するのかと思うのですが、積極的な情報提供、あるいは消費者 の求めに応じた情報提供というところに、これはできればお願いというか、例えば医薬 品そのもののリスクについて提供するということだけではなく、消費者側からすると、 この薬の有効性とか安全性は今どうなっているのだろうと、そういう不安もあるんです ね。例えば、一般用医薬品ではないのですが、イレッサとか、何か社会問題になってい るような医薬品などについては、できれば各販売する側からの見解というか、そういう ようなものも含めて情報提供があればいいなと思います。  それと、私はよくわからないので気になったので、続けて次の質問をしたいのですけ れど、先ほど鎌田委員と宗像委員から受診勧告のことについて話がありましたが、私自 身の理解では、病気を診断するというのではなくて、セルフメディケーションではな く、医者の診断を必要とするかどうかという判断をするということであって、病名を診 断するわけではないので、それは医療行為ではないんじゃないかなという理解なのです けれど、さっきお話に出ていた医療行為になるのではないかというのは、どういう点に ついてでしょうか。  井村部会長  お答えになりますか。  宗像委員  今おっしゃったとおりだと思います。私も全くそう思います。真っ白い顔をして、 今、お薬を勧めた方がいいか、お医者さんへ行くことを勧めた方がいいか、これが医療 行為なのかということだろうと思います。これはもうそのとおりだと思います。ただ、 私は今ここで論じてほしいのは、それを言わないで事故が起こったときに、刑事責任は とれませんよということです。だから、そういうふうにすべきことであるということで あるということは私もそう思いますし、それ以上進んでいくと、例えば「体温をちょっ とはかってあげましょう」とか、最近はなくなりましたけれど、ついこの間までは、 「血が出たので、ちょっとバンドエイドを張ってくれる?」と言われて張ってあげた ら、それは医療行為だと指されたこともあるんです。ですから、ちょっと憶病になって いることもあるんですけれど、そういうことはお店の中で当然必要だろうと思います。  増山委員  今のことで、御意見は了解しました。ただ、私は個人的に今聞いて思ったのは、じゃ あ、逆に販売をする人がどこまで関与するかということをもう少し明確にすればいいの ではないかと思います。  宗像委員  それが言いたかったことです。  井村部会長  ありがとうございます。その辺について何か御意見はございますでしょうか。  鎌田委員  私の説明の中で、受診勧奨がいわゆるお医者さんの範囲に入る場合があるんじゃない かという根拠は、私どもは、義務的にやらなければいけない、あるいは親切心で消費者 のために行う行為と、いろいろあるわけです。私の言った意見の趣旨は、添付文書を超 えた範囲で私どもが受診勧奨をするというのはいかがなものかと考えます。  ですから、その時点で、「お医者さんへ行ってくださいよ」ということではなくて、 まずその場合には、先ほどから言っているように、消費者の情報提供を受けて判断する ということが一つの方法であるとするならば、それは果たして許されることかどうかと いうことが、先ほど宗像委員がおっしゃったように、親切心の行為ということで、私ど もも、例えばバンドエイドを張るとか、そういう要望はたくさんありますが、それらも 含めて販売制度の新しい基準というものを設けていただける、あるいは店頭におけるそ ういう初期的な処置はいいのであるとか、そういうことを今後検討していただきたいな というのが、私の意見です。  井村部会長  ありがとうございました。事務局は、その辺についてははっきりした御意見があるの ではないかと思いますが、いかがですか。関野さん、どうぞ。  事務局(関野)  お答えします。今御議論いただいている情報提供の範囲ということにもなるのかもし れませんが、それに関しましては、今も委員の先生方の御意見を伺っていますと、個々 の販売をする側の見解も情報提供の中に含めてしてほしいという声もあれば、それぞれ 情報提供するお立場からは、どこまでがノルマで、どこからがプラスアルファーかとい うところが難しいがゆえの責任の部分もあるという、非常にデリケートな御議論をされ ているのではないかと理解しております。  この点に関しましては、今回、一般用医薬品というものをリスクに応じて分類して、 それぞれに見合った形での情報提供のメリハリをきかせるという中で、情報提供という のは一つの大事な大きな項目になってございますので、先生方が、ここまでは確実に情 報提供してほしい、あるいはするべきだと、それぞれのお立場から思う範囲はどういっ たものがあるかというところを整理していただくとともに、それに加えて、こういった 範疇でもある意味では情報提供の範囲に含めて可能ではないかといったところの、少し 議論にもメリハリをつけていただいた上でそれぞれの御意見をいただければ、またそれ を全部整理した上で、我々の方もいろいろな形でそれを取り扱っていきたいとは思って おりますが。事務局としてはそういう形で御議論いただければと思っております。  井村部会長  そうですか。はい、ありがとうございました。ほかに何か御意見はございませんでし ょうか。  児玉委員  今お話がいろいろあったのですけれど、宗像意見の発言で確認しておかなければいけ ないなと思ったのですが、まず1点は、この検討部会でずっと議論をしているわけであ りますが、そのあるべき姿をまず議論しようと、私は最初に局長からお話を聞いている 範囲ではそうだと思っているんです。今の実態を見つつ、しかし、国民のためにどうい う医薬品の安全性を担保した供給体制があるべきか、それをまずやってくださいと。そ の中で議論がされた中で、今の法律とあわせてどうなのかと。そういう順序だと思いま すので、今の議論の仕方でいいのではないかと思います。これがまず1点です。  2点目は、薬局が医薬品販売業ではないとおっしゃったのですが、ちょっとその辺が 理解がしにくいなと。  3点目は、受診勧告において、これは医療行為ではありません、先ほど増山委員がお っしゃったとおりでありまして、我々が診断するわけではなくて、疑問に思ったことを 医師と連携をとってやろうというわけでありますから、それはそのとおりであろうと。  それから、先ほどPL法のお話をされましたが、PL法はあくまでも製造物責任であ りますから。また、添付文書がというお話もありましたけれども、私は今回の検討部会 での一つのポイントは、ここはまさに従事する者の資質を確保でありますから、医薬品 を供給する者として、当然、そういうリスクを伴うものを提供する者としての責任と責 務があるわけですよね。それをきちっと確認をしなければいけない。ですから、PL法 というのは製造業者の話であって、それを今度は供給する側の責任は明確にあるはずな んですね。それは当然あってしかるべきだし、それに対しての我々の責任が問われる。 それは当然じゃないでしょうか。それを逃げたのでは、この議論はならないのではない かなと思うわけです。  したがって、私ども薬剤師の立場からいえば、そのために国家資格を持っていると申 し上げたわけですし、そのために我々は責任を負うために、薬剤師賠償責任保険という ものもきちんと整備していますし、そういう担保をとりながら提供するわけですね。そ の辺のところはきちんと整理をされた方がいいのかなと思います。何を申し上げたいか といいますと、安全性を担保したということは、そういうリスクを伴うものを扱う以上 は、その供給者の責任はちゃんとあるのだと。それは明確にすべきではないかなと。ま た、その覚悟をしてやるべきではないかなと。そういうことを申し上げるわけです。  井村部会長  ありがとうございました。ほかに御意見をどうぞ。  宗像委員  先ほどの薬局の販売業というのはどういう意味かといいますと、薬局の場合、販売業 申請というのは通常とっていないんですね。そして、便宜的に販売業の商品も販売でき る。もちろん、調剤をやれる力を持っているところですから、一般用販売商品を売れる ということになっていると思います。  ですから、販売業としての申請というのを、例えば大きなお店で薬局部分だけ閉局し たいという場合に、今の法律ですと、薬局の部分ですと店頭のシャッターをおろさない と閉局になりません。ですから、その部分だけ閉局させる場合には販売業の申請で、こ っちはこっちでまた別申請でとっているんです。ですから、薬局申請と販売業申請とい う2つの申請で、そうなれば薬局部だけ閉局できるという形になります。そういう意味 で使ったんです。ですから、児玉委員のところではそうやって2つとっているというこ とであれば、それで結構なんですけれど。  もう一点は、私もこれまで何度となく厚生省さんに足を運んで、薬剤師及び店舗でい う薬事法77条3の4の分野でいうところの情報提供というのは、添付文書を超えた情報 提供はできるのですかという話をしましたら、「できません」と。「基本的には添付文 書の中の解説及び説明、この範囲になります」という指導を私は何度も受けておりま す。そういうところから、今までの話になったわけであります。  それと、新しい話ですけれど、一つだけお話ししておきたいのは、販売業というの は、先ほど言ったように4業態があると。一般販売業、薬種商、配置、特例販売業、こ れが実は薬事法の中で運用はされていますが、それぞれルールが違っているんですね。 これが開設にしても、販売業にしても、情報提供にしても、販売についても、非常に分 かりにくくしている点だと思います。  井村部会長  ありがとうございます。今の話について事務局から何かございますか。  事務局  薬事法の条文の上での話を少し差し上げますけれども、薬事法24条で医薬品の販売業 の許可について規定がございますが、薬局開設者または医薬品の販売業の許可を受けた 者でなければ業として医薬品を販売し、授与し、又は販売若しくは授与の目的で貯蔵 し、若しくは陳列してはならない」となっておりまして、薬局開設者について医薬品を 販売・授与云々ができるという規定がございます。  医薬品の販売業の許可として4つあるという規定が、これまた25条というところに、 一般販売業、薬種商販売業、配置販売業、それから特例販売業という形で規定がござい ます。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございます。ほかにいかがでしょうか。  鎌田委員  これは事務局にお尋ねしますけれど、(1) (1)〜(6)まで、情報提供云々ということに なっております。一度確認をさせていただきますが、一般用医薬品の承認基準というも のを御説明をいただけないと、医療用とどうも混同する場合がありますので、一般用と 医療用は明確に違うと。一般用医薬品はこの基準で製造承認しているとか、そういう基 準がありましたら、お知らせいただきたいと思っております。  井村部会長  簡単に御説明いただけますか。  事務局  まず、一般用と医療用につきましては、申請区分で分けられております。したがいま して、製造販売業者の意図ということで分かれておりまして、その医療用というのが 「医師若しくは歯科医師によって使用され、又はこれらのものの処方箋若しくは指示に よって使用されることを目的として供給される医薬品をいう」と。そして、それ以外が 一般用ということが申請区分における定義なわけですが、この「それ以外」というもの を突き詰めた定義という形で、前回御紹介しました一般用の審査合理化等検討会におい て定義された「一般の人が薬剤師等から提供された適切な情報に基づき、自らの判断で 購入し、自らの責任で使用する医薬品であって、軽度な疾病に伴う症状の改善、生活習 慣病等の疾病に伴う症状発現の予防、生活の質の改善・向上、健康状態の自己審査、健 康の維持・増進、その他保健性を目的とするもの」ということで定義されるわけであり まして、これをもとに一般用としてなじむということであれば承認がおりるわけでござ いまして、そうでなければ、一般用として不適切ということであれば承認がなされない と。このような具体的な制度になっているということでございます。  井村部会長  ありがとうございました。わかりやすい話だと思います。  溝口委員  今御説明の中の「薬剤師等」と書いてある、この「等」には何が含まれるのですか。  事務局  今の我が国における一般用医薬品の販売制度というのは、薬局や一般販売業以外に、 薬種商販売業、配置販売業というものがあるわけでございますから、そういった業態も 含むということになるわけでございます。  溝口委員  そうすると、それ以外の人は、「等」には入らないということですね。  事務局  そういった一定の資質を有する者からの情報提供がない中では販売が認められていな いわけですから、この定義には該当しないということになるわけです。  井村部会長  ありがとうございました。ほかにもっと違う意見がございますか。  高橋委員  違った意見といいますか、議論の進め方なんですけれど、論点14の1ページの最初の 部分に、「医薬品のリスクの程度に応じ」ということと、「実効性のある」という言葉 が入っておりますが、私はこの点は非常に重要だと思いまして、リスクに応じていろい ろな情報提供の仕方がございますし、それに当たる専門家の求められる資質も変わって くると思いますので、その点を少し意識しながら議論を進めることが必要かなという気 がいたします。  それから、「実効性のある」というのも非常に重要なことでございまして、理想論だ けではだめだというお話も出ましたけれど、その一方で、理想を現実のものにするため に私どもは集まっているという認識もございますので、その「実効性を担保する」とい うのは非常に重要なポイントになると思います。  今、添付文書の整備が非常に重要だというお話がございましたけれども、例えば私ど もは医師として仕事をしておりましても、教科書に書いてあるからそれは簡単に伝えら れるかというと、とてもそういうことではございませんで、基本的な知識とか経験に基 づいてわかりやすく患者さんに説明するという、そこが一番難しくなるわけですね。し たがって、添付文書を単純に整備しただけでは、それが自動的に消費者の方に伝わると は思えないので、そういったところも、「実効性の壁」という意味でポイントになって くるかなという気もいたします。  もう一つは、どこでしたか忘れましたが、アンケート結果で、例えばお薬を買いに行 ったときに、「その場でいつも説明をしてもらえる」と答えた人は、 100%のうち多分 1けたでございましたね。逆に、販売に携わる方のアンケートを聞きますと、40%以上 の方が「常にちゃんと説明しています」というお答えをしている。ということは、指導 会を受けたりとか、常に資質の向上に努められている一方で、半分近くの方が説明した と思っているのだけれど、買う側からすると10人に1人もそうは思っていないという、 これもやはり実効性の問題があると思うのです。  それは細かくなり過ぎでもいけないと思いますが、具体的な点についていろいろ御意 見をいただけるとありがたいと感じました。  溝口委員  この後の資料に、薬剤師の6年制の教育の話が出ていますけれど、4年と6年とどこ が違うのかといろいろ考えますと、服薬指導が一番大きいのだと思いますが、そうしま すと何が新しい教育内容かというと、一つは病気の勉強で、病気をテーマにした問題解 決のテーマが非常に大きな教育内容だと思いますし、もう一つは人との接し方、接遇だ と思います。そのときに、今、高橋委員がおっしゃったような、相手にどうやって情報 を伝えるかとか、こちらは理解しているつもりでも相手はわからないといったことをな くすにはどうしたらいいかと、そういう教育を2年間で恐らく受けられるのではない か。  そうなりますと、薬剤師の質が、情報伝達その他についてかなり上がってくるのでは ないか。そうなるとどうしたらいいかということですが、私は、「薬剤師等」の中の薬 剤師がかなり大事な情報伝達の役割を担うべきだという考えなのですが、ますますそれ が重要になってくるのではないか。特に薬剤のハイリスクのものに、一般用医薬品の中 で幾つかある中で高いものは必ずその必要があるのではないかと考えています。  そうなると、薬剤師に何か権利をプラスする必要があるかどうか。医師でいえばドク ターズチャージが今のところないのですが、海外ではあるわけで、ファーマシストチャ ージ的なものがあるのかどうかということがあるわけです。もしくは逆に、それ以外の 「等」の人たちとの差別化をもっと強くするかどうか。そこはちょっと議論のあるとこ ろだと思いますが、そういう考え方が一つの論点ではないかなという気がします。  望月委員  先ほどから何度も出ていますが、ここできちんと私も確認の意見を言っておきたいの ですが、今回、現行の法律がどうであれ、消費者の方々にとって一般用医薬品を効果的 で安全に使ってもらうための販売のあり方がどうあるべきで、それを追求した結果、現 行の法律を変えなければいけないかもしれないということを私はここで議論させていた だいていると思っています。  井村部会長  そのとおりですね。  望月委員  それで、先ほどの御発言で、添付文書の範囲内ですべて情報提供をしなければならな いという指導があったということですが、私が添付文書をつらつら読むに、現行の添付 文書の範囲内で情報提供ができる形になっていると思います。と申しますのは、医師、 薬剤師等に相談すること等の記述で、きちんと患者様が何か出来事があったとき、ある いは飲む前に自分自身が禁忌に該当しないかどうかを相談したいとき、すべて添付文書 の中の範囲で対応できるような記述に今の現行の添付文書はなっているのではないかと 思いますので、十分リスクを回避していただけるような情報提供は逸脱しない範囲内で できるのではないかと思っています。  それから、役割・責任の問題と資質の問題とがちょっと難しいのは、先ほどお話に出 ていました薬局開設者というお立場と、販売業の許可をとっていらっしゃるというお立 場と、薬剤師等のそういった資格の問題とがごちゃごちゃになっていまして、そこが非 常に議論がしにくいところではないかと思います。  宗像委員の御説明を聞いていても、薬局がシャッターをおろして、片方で何を売ると か、非常に複雑な販売の制度に今はなっているのかなと思いまして、いずれかの機会 に、販売の業態がもう少しわかりやすい形に整理されるということも考えなければいけ ないのかなと、今のお話を聞いていて思いました。  もう一点は、具体的な話になりますが、そういうわけで、役割・責任が今のところだ れがというのを明確に申し上げられないということがあります。薬局開設者にそういう 責任があるのか、販売業の許可をとっている方にあるのかというのは、今の時点では申 し上げられないのですが、少なくとも1ページ目の(1)の(1)〜(6)を行っていく際 に、どのような資質が必要かという、(2)に関連するところに関して私の意見を申し 上げますと、まず、(1)の受診勧奨、(2)の販売後の副作用発生時等への対応、これに関 しましては、先ほど溝口委員がおっしゃられていました、かなり臨床的な高度な知識を 持っていないとできない、そういう資質が必要になる情報提供の部分になるだろうと私 は思います。  それから、(3)ですが、これは前回の議論で出てまいりまして、谷川原委員もおっし ゃっていましたが、表示どおりに保管管理を行っていた場合は問題ないけれども、薬局 や薬店の店頭というのは表示どおりの環境が確保されない場合があって、その場合に何 か変化があったときに、それを使ってよいかどうかという判断をするためには、恐らく 化学的な知識が必要になるのだと思います。  この(1)と(2)にかけて、役割・責任というのを現時点ではだれがということを はっきり申し上げられないのですが、資質としては、今申し上げた点に関してはきちん と確保された方々が必要になるだろうと思います。  井村部会長  今の(3)は、(4)とも重なりますよね。  望月委員  はい。  井村部会長  ありがとうございました。大変うまく整理してお話しいただきました。  上原委員  今いろいろとお話を伺っていて、大変重要なポイントが幾つもあると思いますが、添 付文書の中だけの情報の提供というのは、ある意味からすると、個人の症状であるとか 状況はわからないわけですね。もし添付文書の中だけでやるのですと、インターネット で販売するのと何ら変わらないことになる。ということは、結局、薬局、薬店の店頭で 薬剤師の方々とお会いすることによって行う、それは法的な責任ではなくて、アドバイ スかもしれませんが、そこに出てくることは、今、高橋委員からもお話のあったリスク の程度に応じて実効性のある情報、これを会話によっていろいろと御提供申し上げる、 そういうことが初めて対面販売でできる内容ではないかなと思って、お話を拝聴してお りました。  したがって、それがどこまで責任があるかということとはちょっと違いますが、生活 者が店頭で求められておられるのは、一般論はわかったけれど、それで済む問題と、こ の問題についてのアドバイスは、診断のアドバイスではなくて、服薬のアドバイスとい うのをいただいてこそ、本当に役に立つ服用になるのではないかなと思いました。  井村部会長  ありがとうございました。今のお話は望月委員のお話とちょっとずれてしまっている ようですので、どうぞもう一回簡単に御説明いただければと思いますが。  望月委員  私が添付文書の範囲内で対応できるということを申し上げたのは、添付文書の情報を そのまま伝える、そこに書いてあることしか伝えないという意味ではなくて、添付文書 の中には、「医師・薬剤師等にこういうことがあったら相談すること」という記述がそ こに書いてありまして、それを相談するという形でいろいろな情報提供ができるとい う、そういうお話を申し上げました。  例えば、添付文書に書いていない効能効果を説明するとか、用法・用量を説明すると か、そういうことはできないと私も思いますが、適正使用のための情報を提供するに当 たって、今の添付文書で十分情報提供できる機会は担保されているという意味で申し上 げました。  荻原専門委員  前回は休みまして、申しわけございませんでした。非常に単純なことなのですが、 今、添付文書の問題が出てきて、我々は添付文書の内容をいろいろ検討しているところ でありますけれども、これからの時代はセルフメディケーション時代、自己責任の時代 であるということは明らかでありますから、添付文書の中に書いてあることをきちっと やっていれば問題ない。けれど、現実問題として、添付文書を各ユーザーがきちっと自 分のこととしてかみ砕いて理解して読むかどうかというのは、また別問題です。  そして、読まない方が悪いのだといえばそれだけのことでありますが、例えば、同じ 風邪薬にしても、飲んだ場合に成分的に眠くなるのと眠くならないものがある。そし て、今、ユーザーも、例えばそれで生活を成り立たせているタクシードライバーとかト ラックドライバーの方は、眠くなることはわかっていても飲まざるを得ないという環境 にあるわけです。一方、普通のおばさんとかそういう方々は眠くなればそこで一休みし ていればいいという、要するに、同じユーザーでも全然環境が違うということです。  そういうときに、原則として、薬に対するきちっとした知識を持った人間が対面販売 で、「あなたはそういう環境にあるから、こちらの眠くならないような薬を飲んだ方が いいですよ」という程度のことは、やはり指導してやるべきだと私は思っています。私 ももう既に50年近く薬学部で薬剤師の教育等をやってきましたが、これからの時代は、 特に6年制になった場合には、患者の心のわかる薬剤師の教育ということが一つの看板 になっていますから、そういうことも含めて、単なる商品として医薬品を売るのではな くて、対面販売で、薬の知識を持った薬剤師、あるいは薬剤所その他の知識を持った方 が少なくとも売っていただきたいと私は思っております。  井村部会長  ありがとうございました。薬剤師の6年制という言葉が方々から出てきたようでござ いますが、予定しておりました時間をかなり過ぎてしまっておりますので、この辺で次 の論点に移らせていただきたいと存じます。  資料1−1の6ページをお開きいただきますと、そこに論点15がございます。その論 点15は、ごらんのとおり、薬学教育6年制の導入についてということでございますが、 これについては一応前回説明がありましたけれど、大分時間がたってしまいましたの で、もう一回ごく簡単に御説明いただけますか。  事務局  事務局より、論点15のところを簡単に御説明させていただきます。  「薬学教育6年制の導入による薬剤師の専門性の向上も踏まえ、一般用医薬品の販売 に関する薬剤師の今後の役割・責務について、どう考えるか」ということで、括弧を2 つ使いまして、まず、(1)薬剤師はどんな専門性が上がるのか、(2)今後の役割・ 責務というものを専門性の向上も踏まえてどう考えるか、こういうことをここで御議論 いただければと思っております。  資料としまして、今とりまとめられております「薬学教育モデル・コアカリキュラム 」の内容を2ページにわたっておつけしております。さらに、薬学教育制度の6年制の 導入に当たってどういう見直しのポイントがあるのかという資料、そして、薬剤師養成 のための薬学教育の改善・充実はどういう形になるのかということを視覚的にわかりや すく書いたもの、そして必要性についての資料を1枚、こういった形でつけさせていた だいております。  井村部会長  ありがとうございました。このモデル・コアカリキュラムの中身はちょっと不足して いるような気もいたしますが、一応今のような御説明のとおりでございます。そこで、 このポイントでございますが、(1)と(2)とありますが、(2)の一般用医薬品販 売に関する今後の薬剤師の役割・責務というところをポイントとしてとらえていただけ れば、(1)の方も当然入ってくるだろうと思いますので、それでは(2)の一般用医 薬品販売に関する今後の薬剤師の役割・責務という点につきまして御意見を賜りたいと 思いますが、いかがでございましょうか。  三村委員  先ほどの話と若干絡んでいるのですが、薬剤師の方が高い専門能力をおつけになると いうことは、社会的に見ると大変いいことだと思います。  もう一つ、その話からいきますと、先ほどの議論とちょっと関係しますが、「薬剤師 の方に相談しなさい」と望月委員がおっしゃった、あの言葉が恐らく相当に効いてくる だろうと。薬剤師の方にちゃんと相談していろいろなことを教えていただくということ の意味が見えてくると思います。  消費者が、この方に聞くとここまで教えてもらえるはずだとか、この方にはこういう ことを問い合わせすればいいのだということが、ある意味では明確に見える形になれば いいのではないかということです。  それから、先ほどの宗像委員のお話とも関連しますが、何か薬局・薬店・一般販売業 のあり方が結構ごちゃごちゃして見えるところがありまして、この店はどこまでそうい うことをきちんと教えていただけるのかということが見えていれば、消費者はそういう 意味での買い方もできるし、商品入手の仕方もできる。また、薬種商も配置販売業も専 門的教育をやっていらっしゃるということでありますので、それはどういう資格で、ど ういう勉強をされたのかということがもっと社会的に目に見える形にされていればいい のではないかということです。  宗像委員  基本的には今の意見は私も全くそう思います。そこで、現在の学校の教育、あるいは 卒後の教育の中でも、一般用医薬品の商品について知る機会というのは、あるいは勉強 する機会というのは、かなり少ないというのが現実なわけであります。特に複合剤であ りますから、いろいろな成分の商品が入ってきているものをしっかり勉強して、きちっ と情報を持っている人というのは、かなり少ないだろうと思います。  そういう意味では、医薬品の情報というのは、一番ミニマムかもしれませんけれど も、一番スタンダードな形で、先ほど望月委員がおっしゃった内容が基本的には網羅さ れているのが添付文書だろうと。  それから、この6年制の薬剤師の教育については、医療人としての資質がかなり高ま ってくるだろうと。今までの各大学のカリキュラムを見ると、多くの時間が、創薬−− 薬を使う化学者の育成というカリキュラムが多かったわけですけれど、このカリキュラ ムを見ますと、人体や病気、薬理作用、臨床も含めて、こういった力がつく。一方で は、皆さんも御存じのように、今、6億万枚という医薬分業が進んできておりまして、 これが将来的には8億万枚ぐらいまでいくという形になります。  アメリカもそうであったのですが、5年制もしくは6年制の薬学教育になった時点 で、インターンの時代に医師と薬剤師が同じ現場でインターンをするということを経る という形から、薬剤師が医療の現場で本当の意味で患者さんを目の前にして医と薬が協 力し合ってやるという姿に変わってきたわけです。今、40代以降の人たちはそういう状 況であります。ですから、医療の最先端のところで、コメディカルの中で薬剤師の活躍 が期待されるところであります。  そこで、私自身、2つほど心配事があるのは、6年制の薬剤師が一般用医薬品の方に 就職をしてくるということがどの程度見込まれるのかということが1つあります。2つ 目としては、1つ目と同じようなことですけれど、需給のバランスを厚生省さんとして はどう考えておられるのか。前回、厚生省さんの方で出された、あるいは日本薬剤師研 修センターがまとめられた数字は、圧倒的に現状を反映していない数字を出しておりま して、この部分については前厚労大臣にも指摘したところでありますが、需給のバラン スと合格者の人数計画、こういったことをしっかりかんがみて、優秀な人たちが一般用 につくということであれば、そういった人材の確保もあわせてお願いしたいものであり ます。  特に6年制大学になったときにどのくらいの人が出るのか、その需給のバランスにつ いては何かありますでしょうか。  井村部会長  今、1つ、私の方から申し上げておきますが、需給に関して日本薬剤師研修センター がまとめたとおっしゃいましたが、そういう事実は全くないと思います。何かの間違い だと思います。  宗像委員  前に出しました。  井村部会長  いや……。事務局から何かありますか。  事務局  需給につきましては、薬剤師問題検討会という場で需給の見込みというものを御報告 させていただいたということがございます。それから、6年制後における需給のバラン スというものはどうなるのかという御指摘でございますが、今まさに定員の動向とか、 6年制というものの制度改革が行われたばかりで、この需給を見極めるのは非常に難し い状況でございまして、直ちに出るというものではございませんが、今後ともこの動向 というものに注目してまいりたいと考えておるところです。  井村部会長  ほかに御意見はいかがでございましょうか。  松本委員  前の情報提供の話とも若干絡みますが、6年制になってまさに専門的な能力を高めら れて、医師とほぼ対等に近い立場で国民・患者等に対応してもらえるというのは大変い いことなのですが、では、その能力の発揮に対してどのようにして金銭的にこたえるの かという、その対価の方が今回は問題になっていて、医師は医療行為を行うというその ことに対して対価を、自由診療なり保険なりでもらっているわけです。  ところが、今回、ここで議論しております医薬品の販売というところに限りますと、 たとえ薬剤師であっても、その収入源は医薬品の仕入価格と販売価格との差額というと ころに固定されてくるわけで、しかも、医薬品は現在再販売価格維持は認められていな いはずですよね。したがって、自由競争という中で価格を引き下げることによって販売 しようという圧力も当然働く中で、十分な一番理想的な形でのきちんとした相談を受け て情報提供する、それはすばらしいけれども、それを経済的に支えるだけの仕組みにも しなっていないのだとすると、全く理想論と現実が乖離してしまうことになるのではな いかなと思います。  手軽に相談できればいいけれど、無料で幾らでも相談というのは恐らく経済的に成り 立たないのだと思います。製品を販売する業者として、その製品についての使い方とか 注意事項を与えなさいというのは、医薬品に限らずすべての製品について販売する人は 一定の説明義務があるのだということになると思いますが、薬事法上の情報提供義務は 通常の製品の販売業者に課されているその種の義務よりももっと重い、法律が規定して いる義務であって、しかも、特定の資格のある者に限定する形で義務づけているという ところですから、一般商品の販売業者としての義務以上のものだろうと思います。  医薬品だから国民の生命・身体にかかわるので、そういうことは国民サイドから見れ ば望ましいとしても、なお経営としてやっていくに当たって可能なのかというところを 考えないと、空論に終わってしまうのではないかという気がいたしております。  井村部会長  ありがとうございました。別の切り口からの御意見でございまして、貴重な御意見だ と思います。  松本委員  もう1点、蛇足かもしれませんが、処方箋を持っていって薬局でお薬をいただきます と、今は随分懇切丁寧に説明していただいて、紙に印刷したものをいただいた上で説明 をもらえるのですが、以前はなかったことです。これはどうも保険の点数でそういうこ とに対してきちんと評価するようになったからだということを聞いています。  では、それ以前は、つまり、処方箋を持っていって、「はい」ともらうだけの時代 は、薬についての説明を薬局の薬剤師はしなくてよかったのですか。事務局に聞きたい のですが。それは処方箋を切る医師が説明をしているから薬剤師は説明しなくてよかっ たという構造だったのが、法律が変わったのか、それとも昔からやるべきだったのだけ れど、報酬制度がはっきりしたから目に見える形で必ず行われるようになったのか、い ずれでしょうか。  井村部会長  事務局にお願いしていいですか。  事務局  薬剤師は、法律上も、後からですけれども、情報提供の義務というものも位置づけさ せていただいた経緯もございます。ただ、その法律上の位置づけがある前からも、薬剤 師の役割として、薬の販売とともに情報提供というものがセットで行われているという ことがまず先行している中で、それを法律上明文化したと、そういう経緯だと私は理解 しております。  それから、保険上の取り扱いにつきましても、実際、薬剤師が情報提供を行っていく 中で、それに見合う必要な対価ということで保険上の評価が後からなされ、それが具体 的に今の点数になっているという理解をしてございます。  松本委員  そうしますと、保険は保険、薬事法は薬事法と、完全に別なものであると、薬事法上 は一般医薬品であれ、医療用医薬品であれ、薬局・薬剤師の情報提供についての義務に ついて軽重の差はないと理解してよろしいですか。  事務局  まず、薬剤師法につきましては、調剤の際の情報提供の義務ということでございまし て、これを先ほど申し上げましたとおり保険で一定の評価をしているという状況なわけ でございます。一方で、一般販売の方につきましては、先ほどから議論になっています7 7条の幾つかで情報提供の努力義務という規定がなされているわけですが、もちろんこう いった法律の規定にかかわらず、そもそも薬剤師法の任務として医薬品の供給という規 定があるわけでございまして、その中で、適正使用のための情報提供が薬剤師の任務で あるという、これについては変わらないところだと理解しております。  松本委員  それは薬剤師法の義務であって、薬事法の義務ではないわけですか。  事務局  薬事法につきましては、情報提供の部分につきましては努力義務という形で、開設者 あるいは販売業者に対して努力義務という規定をかけて、その中で一定の資質を有する 者を活用して、その店舗の中で情報提供していただくということが努力義務となってい るわけでして、薬剤師法そのものについては、薬剤師そのものに調剤したときの情報提 供というものが義務として課せられているという、このような法律のつくりとなってお るわけです。  井村部会長  よろしゅうございますか。  松本委員  はい。  児玉委員  今のお話は今お答えがあったとおりでありまして、我々は顧客指導は前からやってい たわけでありますが、それに後でそういった報酬がついたということであります。  それで、先ほどのお話の中で2点ほどですが、1点は、需給の問題が出ておりますけ れど、確かに以前出たデータではそういう数字がありました。ただ、あのころと今は、 薬学部の学生の定員数が大変ふえておりまして、御承知のとおり、あのころは多分定員 数が 8,500ぐらいだったと思いますが、現在は定員数が既に1万 1,600ですから、相当 な数がふえております。加えて、来年度も新薬学部の予定が5〜6校ありますから、ま だまだふえていくということでありますので、この需給という問題は今後随分変わって くるのかなという気はいたします。  もう1点は、今度のこの6年制の中で、特に一般用医薬品に関してどうなのかという お話がありました。これにはモデル・コアカリキュラムとありますから、通常の6年制 のカリキュラムの基本がここに書かれておりますが、御承知のとおり、今回はこれにプ ラス、実務実習モデル・コアカリキュラムというものが別にあるんです。したがって、 医師の場合は病院等で実習をするわけでありますが、薬剤師の場合は附属病院がござい ませんので、従って、病院 2.5カ月、薬局 2.5カ月、合計5カ月の実務実習、外でやる 実習が義務づけられました。したがいまして、そこは今後随分変わってくるのかなと。  そして、その 2.5カ月の薬局実務実習の中で学ぶべきこととして4本柱があります。  1つ目は、まさに一般用医薬品を含んだすべての医薬品をオーバー・ザ・カウンター で供給する。これをまず学ぶというのが基本になっています。  2つ目が、保険調剤を学ぶ。  3つ目が、薬剤師の視点からの生活用品の供給を学ぶ。  4つ目が、地域の医療・保健・福祉とのかかわりを教える。  こういうことでありますから、その点は随分変わってくるのかなという気はいたしま す。それから、実務実習を受ける前に、医師・歯科医師と同じように教養試験を受けま す。教養試験の内容は2点で、1つはコンピュータ試験と、もう1つはいわゆる模擬患 者を使った試験があるんです。それに通らないと実習にいけなくなるんです。したがっ て、先ほどお話ししましたように、消費者、患者さんとの対話ができる人材を育成して いくシステムに今度はなるということをお知りおき願いたいと思います。その辺がおわ かりになれば、一般用医薬品に対する知識はよりふえるのかなと。  ついででありますが、現在、大学で一般用医薬品を教える講座が大変ふえておりまし て、私の方で調べただけでも19校あります。これがどんどんふえているんです。薬局管 理学とか一般用医薬品学とかがありまして、これはもうそういう時代になっていくのか と。これはこの前の外国調査を見てもわかりますように、オーストラリアでもドイツで も、開局薬剤師に6年制の薬剤師がみんな行っているわけでありますから、そのような 流れはあるのかなという気がいたします。  井村部会長  ありがとうございました。このモデル・コアカリキュラムにちょっと欠けているとこ ろがあるんじゃないかと私は申し上げましたが、今の児玉委員のお話の中の実務実習の 部分が抜けているということで、これはCまでしか書いてありませんが、Dというのが 実務実習のカリキュラムになっております。余計なことを申し上げましたけれども。  ほかに御意見はございませんか。  鎌田委員  意見を述べる前に、もう一度事務局の方に確認させていただきます。一般用医薬品の 承認基準というのは先ほどわかりました。リスクは全く配慮せずに承認基準として出し ておられるかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。  事務局  医薬品なわけですから、リスクとベネフィットというものがあって、その両方のバラ ンスを勘案して、一般用医薬品であり、医療用医薬品であり、ベネフィットとリスクと いうものを勘案して承認審査がなされていると、このようになっております。  鎌田委員  ありがとうございました。6年制の薬剤師さんは非常に大変な資質の向上ということ で、私どもは心から応援をしていきたいという前提で私の方の意見を述べさせていただ きたいと思っています。  まず、この件と、(4)の医薬品販売の許可を受ける者の資質というところと関連し てくると私は考えております。現行の薬事法を改正していくという過程の中で、いろい ろな意見あるいは調査等が行われてまいりました。私どもの薬種商販売業につきまして は、先ほど三村委員の方からも質問がありましたように、どの程度の内容で、どういう 知識を持って例えば試験を受けてやっておられるかと、そういう内容ではなかったかな と考えておりますが、まず、私どもは、現行法で説明させていただきますと、医薬品小 売現場で3年間以上の実務経験ありきと。そして、薬種商販売業の試験資格ができる と。もちろん高卒以上であります。  そして、その試験は何かといいますと、私どもは販売業ではありますが、試験は医薬 品を扱うというところで、今、事務局から答えられました一般用医薬品のリスクという ところから考えまして、化学構造式を含めまして、例えばの話、モルという問題も出て きます。かなり高度な試験を私どもは受けているわけです。当然、知識と経験というも のが物を言います。ただ、薬種商は年間どれくらいかといいますと、今のところ 300名 程度が全国的にふえているというのが現状であります。ただし、やめる人もおりますか ら、プラス・マイナス、余りふえてはおりません。  そこで、私どもは、今言いました6年制の大学を出た方々が、今の現況の小売販売で せっかくの知識がそれだけでとどまることはないと考えております。そして、6年制に なればなるほど、薬剤師さんの職能、スペシャリストとしての資質が生かされる場面 が、今後、医療用という感じになってくるのではないかと私どもは考えておりますけれ ど、それはまた別の意見があるかもわかりません。ただ、私どもはそのような希望を持 っております。同じ薬業界としましては、ある程度のすみ分けが必要ではないかなと。 ですから、業として、医療機関、販売業という明確な区分のもとにこれは論じるべきで はないかなと思っております。  それから、この間のアンケートの結果、薬局、一般販売業、薬種商販売業という見分 けが消費者はついていないと。これがとりようによっては薬種商販売業の認知度が低い というとり方もありますが、逆にいけば、昭和35年以来、薬種商販売業がずっと連綿と 続いてきて、消費者から見れば、町の薬屋さんという見方で、余り区別感はないと、ア ンケートの結果を私はそのようにとらえております。  私どもはそういう難しい試験を受けてやっておりますが、現行の薬事法で今後この改 正の部会で御検討いただきたいと思いますのは、先ほど言いましたように、試験を受け ても個人に資格は出ない、営業許可の要件である、人は試験を受けたけれど資格は出さ ない、合格したからその人に店の営業許可をしようと。そうですと、人材の活用からい きますと非常にもったいない話で、お店をやめた人が今度は自分の店を持たないとまた 開けない。そして、試験を受ける前にまず店舗を用意しなさいと。ですから、もう少し 薬種商を含めまして、販売業として新しい資格をつくっていただいて、薬剤師さんの職 能、業としての我々の務めというものを明確に区分して、持ち場、持ち場でそれぞれの 能力を発揮して、消費者・生活者のために薬業界がうまくいくようになればいいのでは ないかなと私は考えております。  児玉委員  今の話ですが、薬学教育6年制については申し上げたとおりでありまして、それはす べての医薬品を供給できるように、それだけの能力を持とうということでやっているわ けですね。したがって、前にも申し上げたとおり、消費者、生活者の立場から見れば、 医療用も一般用もサプリメントもわからないわけですよね。それはそうですよね。です から、私どもは、そのすべての知識を十分持った人間がそれを扱う資質を高めるために やっているわけでありますから、何も6年制だから医療用だけというのは全くおかしな 議論でありまして、それは私にとっては考えられないということであります。したがっ て、その辺は十分に御認識を逆にお願いしたいなということです。  井村部会長  ありがとうございます。まだいろいろと御意見はあると思いますが、それとも関係が ありますので、この辺で論点17に進ませていただきたいと思います。  11ページをお開きいただきますと、2.医薬品販売に関する責任という項目がござい まして、そこの論点17ですが、「医薬品による副作用があった場合に、添付文書を作成 した医薬品の製造業者の責任、薬局・薬店の情報提供に関する責任及び消費者のリスク 認識等の関係について、どう考えるか」という論点でございます。  これにつきまして、事務局の方から御説明があればありがたいと思います。  事務局  それでは、事務局から、論点17について簡単に説明させていただきます。今、部会長 からもお話がありましたとおり、副作用が生じた場合に、それぞれ医薬品を販売する 者、製造する者、それから消費者についてどういった関係があるのかということをここ で御検討いただければと思っております。副作用というのは、消費者が適正に使用して も生じ得るものでございますが、その適正に使用するための責任・役割というものはど んなものかということで、プレーヤーごとに考えられるものを列挙してございます。  参考としまして、副作用報告についての条文、そして13ページに今の副作用に関する 報告の制度の概要を載せてございます。  以上でございます。  井村部会長  ありがとうございました。この13ページの図は前にも出てきたものでございます。こ の責任に関しまして御意見をぜひ賜りたいと思いますが、いかがでございましょうか。  溝口委員  前の話とも行ったり来たりして申しわけありませんが、宗像委員が、需給の問題、薬 剤師が多くなり過ぎるんじゃないかという話ですが……。  宗像委員  少な過ぎるという報告書が出たので……。  溝口委員  国民の側から言えば、専門的な知識を持って、接遇もいいすぐれた薬剤師が多くなる ことは非常にいいことだと思います。問題は、情報提供者の責任の問題もありますが、 ハイリスクの薬剤は薬剤師が情報を提供すべきだと思うのですが、多くの薬局と思われ るところに行きましても、どの方が薬剤師かどうかわからない。白衣は着ているけれ ど、店の名前もつけていらっしゃるけれど、薬剤師という名札はつけていないことが多 いということで、6年制の教育を受けたすぐれた薬剤師かふえてきて、そういうところ で、先ほど繰り返しお聞きしたのですが、情報提供者はやはり「薬剤師等」の範囲だと 思うので、それ以外の人がいるのではないかと私はちょっと疑っているわけですが、そ ういう方がすべて薬剤師に置きかわれば、国民は正しい情報が得られるようになるので はないかという気がします。  それから、責務の問題ですけれど、情報提供が「薬剤師等」であれば、その責務はあ ると思いますが、最初に申し上げたように、だれがその情報を提供したかわからないと いうことが問題で、きちっと紙に書いて情報提供した人のサインを持って情報提供すべ きだと思います。  最後に、添付文書の範囲の話を望月先生がおっしゃいましたが、確かに添付文書の範 囲だけで私はもう十分だと思うのですが、情報提供の内容としては、重みが大事だと思 います。例えば、この前申し上げたように、ここに書いてありますが、下の方に「5〜 6回服用しても症状がよくならない場合」というのが他の記載と同じように書いてあり ますけれど、そこをやはり重点的にすることとか、副作用のことを強く言うとか、ある いは自分が薬剤師であるという情報も非常に重要ですから、その3点をきちんと情報と して提供するということは大切で、その内容は添付文書の範囲で十分だと私は思いま す。  井村部会長  ありがとうございました。ほかに御意見をどうぞ。  宗像委員  店舗の責任の部分の中で、先ほど児玉委員がPL法でカバーできないという話をされ ましたが、PL法そのものは店舗の責任というのは大変重要な責任としてあって、店舗 でもしっかりとした情報提供、あるいは説明書以外の部分で問題が起こった場合には店 舗が刑事責任も民事責任も全部負うということになります。  ただ、話はちょっと戻りますが、先ほどお話があったことですごく重要なポイントに ついて私の意見をちょっと述べさせていただきたいのですが、医師もしくは薬剤師は、 技術及び情報提供量にきちっとした保険の担保あるいは価格の担保があるという状況が あります。これに対して、一般用医薬品については、いずれにしても売買差益の中から コストが払われていくということであります。いずれにしても、薬剤師さんというのは すべての医薬品の管理者であることは間違いありませんので、そのことをないがしろに して言っているわけではありませんが、薬剤師法における医薬品の情報提供というのは 薬剤師さんにはありますけれど、調剤における情報提供というものが義務づけられ、そ れに対して対価が払われるということ。そして、一般については先ほど説明があったと おりであります。  そこで一つつけ加えておきたいのが、一般用についての情報提供の努力義務というの は、開設者に行われています。ですから、薬剤師に限られたものではなく、開設者が情 報提供するということが薬事法上なっております。ですから、その開設者の中で、例え ばパッケージが破損をしていたり、あるいはお客さんが購入するのに防犯のタグが改ざ んされていたりと、そういうことをしてはならないというものも含めて、開設者に努力 義務としてあるということもつけ加えておきたいと思います。  井村部会長  ほかに御意見はございませんか。  増山委員  論点11のときにも似たような議論が出ましたが、論点11というのは、販売した医薬品 に関する研究の副作用情報があった場合の消費者への周知方法についてどう考えるかと いうところでも議論になって、そこで副作用との因果関係がどうかというときの関連性 を調べるような何らかのシステムが必要ではないかということが、そこでも出されてい ましたけれど、それに関連して、11ページの副作用報告に関する薬事法の条文の中に は、医療に携わる人からの副作用の報告は受けつけない形になっていますが、これまで のいろいろな議論を考えますと、消費者側からの因果関係が必ずしも明確でない場合で も、飲んで、こういう症状が出たとかといった、そういう情報も収集できるようにして いただければと思うのですが。そういうふうに考えますという意見です。  井村部会長  ありがとうございました。そういうふうになってきたんですよね。  増山委員  ええ。ただ、よく聞きますのは、患者さん側から、消費者の立場でいいますと、例え ば、「先生、この薬を飲んでこうだったんですけれど」と言って、添付文書にもない し、実際、機能性ぐらいの話で、でもやはり何年かすると実はそれが副作用として上が ってくるということはよくあって、特に病気の種類によっては、例えばHIVなどのす ごくきつい薬を使う場合などですと、人によっても症状が出てくるものも違いますし、 ただ最初の臨床試験のときにすべてが副作用がわかるという段階ではないと思いますの で、ぜひそういうトータルのデータで、例えば 100人のうち50人が頭痛を訴えれば、因 果関係はともかく、何らかの関連性があるのではないかということを予測しやすくなる ので、ぜひその辺は制度を整えていただけたらと思います。  井村部会長  システムとしてできるだけ確立した方がいいと、そういう御発言だと思ってよろしい ですね。  増山委員  はい。  井村部会長  ありがとうございました。  上原委員  ただいまの件ですけれど、そういう因果関係がはっきりしないものも、要するに一緒 に飲んだ薬として生活者の方がそういう自覚症状を訴えたものは、全部記録に残してお りまして、それと同時に、お医者様のコメントがとれる場合には、それも付加して記録 に残しております。そして、そのケースが2件、3件、4件とふえてくると、同じケー スが出てきたと。これについてもう一度考え直すべきではないかということも含めまし て、記録をもう一度全部過去のものを見直して、それを厚労省の御担当のところへ報告 しながらいろいろ御相談申し上げて、その検討結果によって添付文書を変えるとか、も ちろんその内容に応じて対応しているというのが現状でございます。  したがって、因果関係がわからないものは全部ネグレクトして闇に葬ると、そういう ことは一切やっておりません。今は、安全性の情報のコントロールの面でそれは禁じら れております。  井村部会長  今のお話は、メーカーの中でも非常にすぐれたメーカーはそういうシステムをちゃん と持っているということだろうと思います。  増山委員  そうです。あとは、そういうことに積極的にやってくださる人がやっているという状 態ではなく、それは全般的にやっていただけるような、ですから、そういう意思があっ てもなくてもやっていただけるような形にしてほしいということです。  井村部会長  そうですね。それから、今、メーカーはその情報を受け取るわけですけれど、その情 報をメーカーまで流す、その過程も非常に重要だということですよね。そういうシステ ムも必要だということです。  上原委員  つけ加えておきますと、改正薬事法でそれはやりませんと薬事法違反になるんです。 したがって、ある特定のメーカーだけがやっていることではございません。  井村部会長  いや、そうではなくて……。  上原委員  そのプロセスですね。それはわかりますけれども。  増山委員  ただ、私ができれば希望したいのは、国がきちんとそれを制度としてつくっていただ きたいということです。  井村部会長  伺いたいのですが、国としてはつくっていると思っていらっしゃると思うのですけれ ど、いかがでしょうか。  事務局  消費者からの直接の報告というお話だと思うのですけれど、消費者の方が何らかの副 作用等を認められた場合は、お医者さんにかかられた場合には、お医者さんから上がっ ていく制度というのが薬事法77条の4の2の方で上がってきますし、企業の方に相談さ れますと、企業の方から上がってくるという制度としましては、77条の4の2の第1項 ということで、自分からは直接報告するというのはないのですけれど、どちらかに相談 されれば必ず上がってきまして、その辺でこちらの方で必要な対応をとるということを とっておりますので、それで今までは必要な措置を講じていると考えているところでご ざいます。  井村部会長  平山課長、つけ加えられることはありますか。  事務局(平山)  ありません。  溝口委員  確かに改正薬事法でそうなったということで、大変いいことだと思いますし、薬局・ 薬店もこの前確認したら、薬師所等を含めて、薬剤師等を含めて、その責務があるとい うことをお聞きしたのですが、それ以外の人も勤めていることが多いんじゃないかと思 うのです。そういう方たちが情報提供して副作用の疑われる患者さんが来たときに、十 分にそれに対応し切れないということがあるので、何回も申し上げますが、情報提供し た人のその職務をきちっと相手に明らかにすることによって、今の関係がうまくいくの ではないかという気がします。  井村部会長  ありがとうございました。議論も尽きないと思いますが、時間がどんどんたっていき まして、私は最後になってまた不手際でございましてとお詫びするのは大変具合が悪い ので(笑)、この辺で先に進ませていただきたいと思います。  前回に引き続いて検討項目3と4について議論していただいたわけでありますが、次 の議題であります検討項目5は「消費者への周知等」、あるいは検討項目6は「情報通 信技術の活用」という形になっておりまして、そちらの方へ移らせていただきたいと思 います。  事務局から、資料2について御説明いただければと思います。  事務局  それでは、事務局より資料2について御説明させていただきます。  資料2の1ページをお開けください。「消費者への周知等」ということで、論点19と 論点23をあわせてまとめさせていただいておりますが、論点19は「医薬品の効能効果、 副作用の情報等について、消費者(国民)にどのように普及啓発していくか」、論点23 は「消費者の適正使用を促すためのその他の方策」ということで、国民・消費者の皆さ んにどのように普及啓発するかということについて、こちらは御検討いただければと思 います。内容としましては、(1)内容、(2)主体、(3)手段・方法という形で書 いてございます。  (1)内容としまして、医薬品の性質、正しい使用、正しい保管管理などを掲げさせ ていただきまして、(2)主体としまして、厚生労働省、製造販売業者の団体など、 (3)手段・方法としては、店頭での普及啓発、行政による広報を用いた普及啓発など をここで列挙させていただいていますが、こちらに掲げていますものが、3ページに実 施要綱を掲げてございます「くすりと健康の週間」の中身でございまして、10月に1週 間をとりまして、厚生労働省は今こんな取り組みをさせていただいているということ で、議論の材料として今取り組んでいる内容について掲げさせていただいたものでござ います。  井村部会長  厚労省の宣伝もございましたが、そういう御説明でございます。論点19と23をまとめ て論議していただきたいと思います。(1)〜(3)のうちの(3)の普及啓発の手段 ・方法というところで議論していただければ、大体ほかの内容が含まれるかなと思いま すので、そういう形で御議論いただきたいと思います。  望月委員  これは特定の医薬品を販売するときとは別に、消費者に全般的な医薬品の使用につい ての普及啓発ということで理解してよろしいでしょうか。  事務局  はい、さようでございます。  望月委員  そうしますと、内容についても主体についてもここに書いてあるものは全て結構だと 思います。手段・方法もいろいろ工夫されておりますので、これらを実施することは意 味あることと思います。それとは別に、私が以前から思っておりましたのは、学校教育 の中に薬に関する教育を、保健体育とか何かそういう中に取り入れていただくような方 策がとれないかということです。厚生労働省なので、文部科学省ではないので難しいの かもしれませんけれど。実は薬剤師には学校薬剤師という資格を持っている人がいらし て、その方々は現在、全員ではないかもしれませんが、お薬に関する説明を小学校や中 学校で、正しい使い方というのはどういうものかとか、薬とはどういう本質を持ってい るものかとかというお話をしたり、あるいは最近は、ちょっとネガティブな情報になる かもしれませんが、薬物の乱用の問題が低年齢化しているということもありまして、そ ういったことについてもお話をして啓発活動をするということをされています。  ただ、それは別に教育科目として取り入れられているものではございませんので、任 意でやっているという形です。消費者がある程度適正に使っていただいて、それでも起 こってきた副作用をどうするかというのが先ほどの論点17だったと思います。適正に使 っていただくということが大前提になるので、そこに対する認識をもう低年齢のうちか ら仕組みの中に取り入れていただくということが大切かなと思います。  井村部会長  それに関しましては、学校薬剤師というのは学校教育法の中で位置づけられている仕 事でございますので、乱用ということを突破口にして、そういう薬についての小さな子 供たちへの啓発というのを試みているらしいのです。ですから、その辺を突破口にする ということで、厚労省の方から文部科学省の方へ働きかけをさらに強めていただくこと が必要かなと思っております。  ほかに御意見はございますでしょうか。  児玉委員  今のことについて少し申し上げますと、学校保健法で医師・歯科医師・薬剤師は必置 でありますから、必ずどの学校にも1人薬剤師がおります。私も学校薬剤師をしており ましたのでよくわかります。それで、医薬品のこういった適正使用の啓発活動というも のは小さいときからやるべきだというのは、おっしゃるとおりだと思います。したがっ て、現在、学校薬剤師は医師と協力しながら薬物乱用の教育を手伝っています。例え ば、保健の時間をいただいてお話をしたり、あるいはPTAにお話をしたりという活動 をしていますから、そういうことも必要かなと。  ですから、もし厚労省と文科省との連携の中でというなら、例えば学校にはいろいろ な副読本があるんです。以前にあったと思うのですが、そういう副読本で医薬品の正し い使い方についての本を用意していただいて学校で使うといったこともあるのかなとい う気がします。  溝口委員  一般用医薬品の情報公開の現状をよく知らないので教えていただきたいのですが、例 えば添付文書を全部集めたような本があるのかどうかとか、あるいはそれをインターネ ットにすべて載せたようなシステムがあるのかどうか。それをお聞きしたいと思いま す。  井村部会長  望月委員にぜひ答えていただければと思いますが。  望月委員  私が適当かどうかはわからないのですが、まず、各企業で、全社ではないかもしれま せんけれど、その企業が販売している一般用医薬品のリストで添付文書を集めたような カタログのような形のものは、個別企業ごとに出されているようです。  もう一つは、大衆薬工業協会というところの協会の会員になっていらっしゃる企業の 一般用医薬品に関しては、そちらのホームページから添付文書にアクセスができるよう になっています。個々の企業ごとに、その企業の一般用医薬品の添付文書がその企業の ホームページからアクセスできるサイトもお持ちの企業もおありになるのではないかと は思います。  溝口委員  医療用医薬品に関しましては海外では、フィジシャンズデスクレファレンス(PDR )がありますし、日本では日本医薬情報センター(JAPIC)の出している本があり ますね。この前、厚労省の方に見せていただいたら、アメリカでは一般用医薬品のPD Rがあるという話なのですが、日本ではどうでしょうか。  井村部会長  事務局、いかがでしょうか。  事務局  一般用医薬品に関しましては、今、望月先生から御紹介があったもの以外に、医療用 と同じ日本医薬情報センターが出しています本もございます。ただ、一般用医薬品はか なり数が多うございまして、その配合剤が主たるものだといたしますと、その組み合わ せで1万品目を超えるものすべてについて本にすることはなかなか難しい部分もござい まして、重立ったものがその本にまとめられているということで、これは広く使われて いるものかと思います。  井村部会長  ありがとうございました。上原委員、その辺はいかがでございますか。  上原委員  望月委員、そして今事務局からお答えになったとおりでございます。  溝口委員  ITという手段を使えば、そういうものはかなり簡単に一般の方々に公開できるので はないかなという気がします。ある年齢層以下はできると思います。  井村部会長  ほかに御意見はございますか。  吉川委員  ここに書かれてある内容とか主体とか方法については全然異論はなくて、先ほど望月 先生がおっしゃった教育も大事だということも確かにそうなのですが、教育をすると効 果が出るまでに、例えば何年かかかってしまいます。今いる大人のことを考えますと、 あるいは必ずしも教育がすぐ実行できないかもしれません。これは国民の側に立っての お願いということになると思いますが、薬のことだけ勉強するのはちょっと大変なの で、もちろん国民の立場としては勉強することも責務としてあるのかもしれませんが、 さりげなく薬のことを学べるとか、ふだん見るテレビ番組の中にさりげなくちょっとず つ情報が入っているといった形で、何かのときに薬の話もちょっと入っているとか、薬 局とのおつき合いの仕方でちょっと学ぶことができるとか、そういう仕組みもあわせて 御検討いただければありがたいかなと思っております。  井村部会長  ありがとうございます。なかなか難しそうですが。  神田委員  ここに書いてあることは私ももっともだなと思うのですが、要するに、普及啓発すべ き内容というのは、基礎的な知識という視点で考えていくとここに書いてあると思うの です。基礎的な知識というのは、正しい使用、正しい保管・管理ということが中心にな るかなと思うのですが、そういうことであれば、私は、店頭での普及啓発というところ を非常に重視していくべきで、そこが一番実際的には役に立つのではないかと思いま す。  正しい使用、用法・用量と保管・管理と、それからわからなかったら専門家に聞きま しょうということ、そこが徹底できれば基礎的なところはいけるんじゃないかなと思い まして、学校教育もあるかもしれませんが、現実的にはやはり売り場のところで充実さ せていくことがいいのではないかなと私は思います。  井村部会長  ありがとうございます。恐らく学校薬剤師の話をなさったのは、そういう点も長い目 で見れば極めて重要だということで出てきたのだと思いますが、おっしゃるとおりだと 思います。  その辺について、何か御意見はございますか。  高橋委員  水を差すわけではないのですが、例えば小児科学会の方ではたばこの害について啓発 をずっとやってきているわけです。ただ、あれほど害が認められて、だれでも知ってい るたばこに関してすら、それをやめましょうという教育はなかなかできないわけですよ ね。こちらで今議論になっている用法・用量を守りましょうとか、正しく保管しましょ うとか、よくならなければ医師に相談しましょうと、それは多分だれでも知っている言 葉だと思うのです。ただ、それを実際に使用する面で生かしていただくというのはなか なか難しいことではないかと思います。  したがって、ここでも実効性といいますか、実際にそれが本当に実効されて絵になる 結果を生むかどうかということがポイントになる。そういう意味では今の御意見は、販 売が行われるその場でリアルタイムに行われるのがいいのではないかとか、あるいは時 間がかかるにしても、学校教育の場というのは非常に有効ではないかということがある と思うのですが、私は一つ具体的に申し上げたかったのは、実効性を持たせるために は、その内容が具体的でわかりやすくて印象的でなければいけないのではないかと思い ます。  そういったことに一つアプローチする方法として、今回のこの部会の一つの目的であ る「リスク分類に応じた」ということがございますね。薬にはいろいろなリスクがあっ て、みんな薬は横並びで危ない、危ないというわけではなくて、いろいろな違う種類の いろいろなリスクがあるのだということを今回相談していくことになると思うのです が、そういったことを反映した啓発の仕方というのがあると思います。例えば、リスク の分類の委員会の方でも、リスクの種類を大きく3つに分けておられると思いますが、 副作用そのものと、相互作用と、患者さんの背景、こういう3つの種類について大まか なリスク分類がされると思います。  そういう薬のリスクの考え方というのは一般用の医薬品に関しては少なくとも今まで なかったような考え方だと思いますので、そういうリスク分類の情報というものをうま く提供していくと、非常に印象的で具体的でわかりやすい情報提供の仕方につながる可 能性があると思いまして、ちょっと御意見を述べさせていただきました。  井村部会長  ありがとうございます。論理的には全くそのとおりなのですが、もっと具体的に、本 当に具体的にどういうふうにやるのという話になりますと、またかなり議論をしなけれ ばならないことが多いのではないかという気がします。  松本委員  今の御意見とも関係してきますが、啓発すべき内容として、一番重要なのは適正使用 の話だと思います。適正に使ってもなお生ずる本来の意味の副作用、被害救済基金で補 償される副作用の方は、これは次のステップかなと思いますが、まず、製造業者として こういう使い方をしてください、それでやれば通常は効用の方が圧倒的に大きいはずで すよと、そういう使い方をきちんと守ってもらう。それにはほかの薬との飲み合わせな ども入ると思うのですが、その場合に、例えば「1日何錠」というだけだと少しインパ クトが弱いと思うのです。たくさん飲んだ方が効くんじゃないかと。僕も下痢している ときにはちょっとたくさん飲んだりするんですけれど、もしそれがだめならば正露丸を たくさん飲むとか(笑)。もし用量を守らないとどういう救済されない副作用が出るの かということを説明しないと、本当に危険だという感じなしに服用してしまうような場 合が多いのではないかと思います。  先ほど、製造物責任の話が何回か出ましたけれど、製造物責任の議論をしたときに、 その製品が持っている危険性等について、こういうことをしてはいけないということを 警告する必要があるのだと。しかし、単に「さわるな、危険」ではだめなのだというの が、特にアメリカなどでは強調されていることで、「さわると高圧電流が流れているか ら感電死する危険性があるのですよ」とか、その具体的な危険の機序まで少し踏み込ん で警告する必要があるのではないか。そして、もしそういうことになった場合にはどう 対応すればいいのかも、あわせて情報提供した方がいいということを言われていますの で、「薬を正しく使いましょう」というのは正しいのですけれど、それだけではちょっ とインパクトに欠けるかなと思いますので、もう少し工夫をしていただきたいなと思い ます。  増山委員  今、(1)のところで、ぜひどこかにその内容として、薬害についても載せていただ けたらと思います。薬害は過去のものと、一般の人はそう思っていらっしゃる人が結構 多いんです。でも、今いろいろな国に行く時代でもありますし、医薬品というのは消費 者側はそれほど高度な知識を持っているわけではないので、不用意に、逆に安易に飲ん でしまうということもあるので、ぜひその薬の怖さを理解していただくということも必 要だと思います。  メーカーの方がいらっしゃるので言いづらいのですが、例えば三菱自動車の問題を例 に出しますと、その情報が集まってきたところが情報をきちんと正しく提供していなか ったりすると、処置がおくれてくるということがやはりあると思うのです。制度として はちゃんと報告義務があっても、それをきちんと本当に検証できるかどうかということ は難しいと思いますので、消費者に、薬そのものにも問題があって被害を受けることが あるという、そういう視点を見ていただくことも大切だと思いますし、過去に多くの犠 牲を出したということを理解していただくのも大事なので、さっき、コア・カリキュラ ムの中に薬害のことが触れられていなかったので、そこもちょっと気になって、もう時 間がないので、もし入っていなければぜひ入れてください、ということでよろしくお願 いいたします。  井村部会長  ありがとうございます。いろいろと御意見が出てまいりまして、いずれもごもっとも な御意見だと思います。これから先、もっと具体的に、では実際にはどうするかという 話が出てくるとありがたいなと思いますが、きょうはもう大分時間がたってしまいまし たが、増山委員から文書で御意見が出ておりまして、そのことにつきましてちょっと議 論をしていただきたいと思いますので、増山委員、どうぞ。  増山委員  「今後の議事進行について」という意見書を出させていただきました。内容を読んで いただくとそれほど難しい話ではないので、どういう考えかということをすぐ理解して いただけるのではないかと思いますので、簡単に趣旨だけ説明いたしますと、これまで 何回か論点整理を進めてきた中で、例えば医薬品のリスク区分を専門部会の中でしてい ただいて、けれど、それが何種類かに分けましょうという話までは出ているのですが、 例えばそれが3種類になるのか4種類になるのか、あるいはそれぞれ分けたリスク区分 の中に、ランクでいうとAとかBとかCとかと何段階かになるかと思います。これまで の話し合いの中では。  そうすると、Aの中には大体どの程度の薬が入るものなのかとか、Bは医薬品の名前 そのものでなくてもいいのですが、例えばせめて胃腸薬なのか、どういう医薬品になる のかという、ある程度代表的な、こういったものが入ってくるのだということをもう少 し明らかにしていただいて今後は議論を進めていただきたいということです。  これは私が消費者という立場ということもあるかとも思うのですが、販売員の資質は とか責務はといったときに、かなりそこにリンクしてくる話だと思うのです。結局、自 分が描いていたもの、あるいは現行の販売形態を頭に浮かべながら進めていった場合、 実際、最終的にこのような形にしたいといったものとイメージとのギャップが出てくる のではないかと考えて、このような意見を出しました。  以上です。  井村部会長  ありがとうございました。それに関しましては、専門委員会の方でその分類のルール はつくり終えたわけでございますが、実際にそれを使って非常に数多くの一般薬につい てまだランクづけをしていない段階でございますので、それについて事務局の方から、 関野補佐、お願いします。  事務局(関野)  それでは、私の方から、今後の全体の進行ということも含めて、今いただいた意見に 対して我々の考え方を述べたいと思います。  今から申し上げる中で言葉遣いを分けたいと思いますが、リスク評価という言葉とリ スク分類という言葉の2種類を使わせていただきます。リスク評価といいますのは、専 門委員会の中でA・B・CとかAを2つつけたりとか、そういうルールをつくった中で それぞれの成分に対して行う行為をリスク評価と言わせていただきます。それに対し て、増山委員のペーパーでいいますところのリスク区分と多分同義だと思うのですが、 リスク分類というのはその一つひとつをリスク評価した結果、最終的にそれが幾つのカ テゴリーに分かれてくるかという意味で、リスク分類という言葉とリスク区分は多分同 じではないかと思います。  増山委員  はい、そうです。  事務局(関野)  その2つの言葉をきめ細かく少し使い分けさせていただきますが、専門委員会では、 リスク評価の1つは基本的なルールをつくらさせていただきました。それにしたがっ て、今後、ワークシートで整理した成分というものを一つひとつ見て評価を行っていく という作業がこれから出てくるわけでありますが、その中でそれをどうやって幾つの区 分、あるいはリスク分類をしていくかということを考えた場合に、幾つかのパターンが 分かれてくると思うのですが、そのパターンというのはまさに販売をするときの形態で あり、あるいは情報提供の仕方、そういったところと非常に密接に絡んできて、その対 応の仕方が何通りに分かれるかによって恐らくその分類の数がまた決まってくるという ことではないかと思っています。  したがって、各論点ごとでこれまで御議論いただいてきた中で、情報提供の方法です とか内容、あるいは副作用発生時の対応、そういった項目について一度御議論いただい ていますので、そのあたりをもう一度振り返って御議論いただいた中で、区分が幾つに 分かれるか、販売方法が幾つの対応の方法に分かれてくるかというところをある程度明 らかにした上で、最終的に何通りの対応がそこから発生してきて、それが結果として何 区分に分かれるかというところにつながっていくと考えていますので、したがいまし て、具体的なイメージがわいた方が議論がしやすいのはもっともだと思っておりますの で、できるだけの努力はさせていただきたいと思いますが、一方で、今申し上げたよう に、これまで一つひとつの論点項目ごとに議論してきた内容を、次回、きょうの資料2 の部分の続きをやるかと思いますので、そこの段階で一巡する形になりますので、そこ で上がってきた意見というものをとりあえずまた整理させていただいた上で、すべての 論点整理項目についてもう一度なり議論いただくことも必要になってくると思っていま す。  それと連動する形で、個別具体的なイメージがつけやすい方法というものも、できる だけの努力をこちらもさせていただきたいと思っていますが、今のところどういう方法 がいいかというのは、まだ具体的に我々は考えを持っていないところです。  もう一つ悩ましいところは、個々の評価なり分類というものを行っていきますと、ど うしても途中途中の段階のものということになりますと、それが一つの製品に対する評 価といいましょうか、高リスクなのか低リスクなのかといったことにもなってきてしま う部分もありますので、そこは中途半端な評価ということに基づく分類ではなくて、し っかりした形でお示しするのも我々の使命ではないかなと思っておりますので、そうい った事情を踏まえた中でどういう工夫ができるかということは、ちょっと考えさせてい ただきたいと思っておりますが、我々の方の考え方は以上でございます。  増山委員  専門部会の検討というのがまだ終わっていないのではないかというのが実は私の認識 で、というのは、たしか話し合いのときに、とりあえずは価格的根拠に基づいてリスク の評価を行うということで、でも、最終的にはそれにプラスアルファーとして、科学的 に根拠を得づらいものといいますか、例えば誤飲とか誤報の問題、あるいは目的外使用 というか、いろいろなケースがありますけれど、そういった予想外のリスクであると か、医薬品の化学成分そのもののリスクではないもの、最終的にはそれをリスク区分に 加味して分析していくというようなお話も出ていたかと思います。  ですから、私は個人的にはもう少しイメージができた方が具体的な話をしやすいとい うのはあるのですが、そのあたりはほかの方はいかがでしょうか。  溝口委員  その意見を少しサポートするのですが、その一つは、この前、三村委員や青井委員と 議論した風邪薬のことなんですけれど、なぜあそこでお二人と私の意見がずれたかとい うことを後で考えたのですが、結局、風邪薬というのは、私はハイリスクの薬だという 認識で議論をしていたのですが、お二人は、風邪というのは3日で治れば風邪ですけれ ど、治らなければ重い病気で、白血病のこともあるわけで、風邪薬が本当に風邪に対す る薬だという認識で、合併症は余りない、副作用はないという認識をなさっているので はないか。風邪薬に関する認識のずれがあの議論を混乱させたのだということで、早目 にその薬のリスク分類を表に出された方が混乱がないかなと、あのときは後で思いまし た。  井村部会長  ありがとうございました。今の点に関して、ほかに御意見はございますか。  安田委員  意見というより、先ほど私は先トチりまして、項目別に提案しなければなりませんと ころを、急いで検討項目の方を先に申し上げましたことをおわびします。  私の出しました6ページにわたる資料を見ていただいて、また次に質問があればお答 えするということにさせていただきたいと思います。ありがとうございました。  井村部会長  ありがとうございます。今の点についてほかにいかがでございますか。重要な点だと 思いますが。事務局もそれをしないというわけではなくて、これから作業を同時に開始 して、両方並行した格好でやって、こういう手だてをすればこの薬は有効に使えるとい う形で、そういうランクづけをしていくということなのだろうと思うのですが。  増山委員  1と2のことについては御説明の内容が大体わかりましたが、3については、私の方 で申し上げているのは、医薬品販売に携わる人というのは専門家ですね。今まで上げら れた、そこに変更があるのかないのか。そういうこともはっきりさせてほしいと思って いて、どの時点でここは詰めていかれる点なのでしょうか。  事務局(関野)  3つ目の(3)の資格と資質の部分の御指摘だと思うのですが、これも具体的にどうい う対応をどういう品目に対してしていくかという中で、その対応の仕方に応じてどうい う資質が求められるか、そこはかなり連動してくるということでこれまでも申し上げて きましたので、基本的には、(1)〜(3)は、今後議論していく中で具体化する段階という ものは、それぞれが連動しているということで切り離せない問題ではないかと考えてい ます。  増山委員  わかりました。では、今後の予定をこの後聞かせてください。  井村部会長  ありがとうございました。それでは、時間も参りましたので、本日の審議は、やはり 最初にもくろんだとおりにはいかなかったのですが、ここまでにさせていただきまし て、次回につきましては、これまでと同様に、本日御審議いただいた事項についてもま た御検討いただくという形にさせていただきたいと思います。  それから、本日の審議を踏まえまして、きょう議論していただきました事項につきま して、もし必要だとお思いになる方がいらっしゃいましたら、必要に応じて文書で御提 出いただきたいということと、次回の検討項目に関する資料につきましては、やはりで きるだけ早く配付をいたしますので、それについても事務局あてに文書を出していただ ければ幸いでございます。  最後に、今後の予定について、増山委員も気にしておられますので、お願いします。  事務局  次は第14回の部会になりますが、委員の先生方は既に御案内のとおりですけれど、5 月20日・金曜日の10時から開催させていただきたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  井村部会長  きょう積み残したものも含めて、きょう議論したものもまたちょっと振り返って議論 させていただきますが、先に進んでということになると思います。  それでは、本日はこれをもちましてこの部会を閉じさせていただきます。どうもあり がとうございました。                                     −了−                        (照会先)                        厚生労働省医薬食品局総務課                          TEL:03-5253-1111(代表)                          担当:目黒(2710)、石井(2713)