05/04/27 第2回脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会議事録 第2回 脱法ドラッグ対策のあり方に関する検討会                     平成17年4月27日(水)                     厚生労働省5階 共用第7会議室  佐藤座長 定刻より少し早いのですが、ただいまから「第2回脱法ドラッグ対策のあ り方に関する検討会」を開催いたします。  皆様にはお忙しい中、お集まりいただきましてありがとうございます。  まず事務局より、本日の出席者と、4月1日の人事異動に伴う新しい担当者の変更に ついて紹介していただきたいと思います。  事務局 まず最初に、前回検討会に欠席されました委員を紹介させていただきます。 上智大学の町野委員でございます。  町野委員 町野でございます。よろしくお願いいたします。  事務局 次に、厚生労働省から今回初めての出席者を紹介いたします。黒川大臣官房 審議官でございます。  黒川審議官 黒川でございます。よろしくお願いいたします。  事務局 医薬食品局の本田総務課長でございます。  本田課長 本田でございます。よろしくお願いいたします。  事務局 次に、4月1日付の人事異動で事務局の担当者が交代しておりますので、紹 介させていただきます。監視指導麻薬対策課の麻薬担当の山本補佐が交代いたしまして、 後任の富永補佐でございます。  富永補佐 富永です。よろしくお願いします。  事務局 本日は、海外調査に御協力いただきました国立医薬品食品衛生研究所の花尻 先生室長に御出席いただいておりますので、紹介させていただきます。  花尻室長 花尻でございます。よろしくお願いいたします。  佐藤座長 それでは、議事に入ります。  まず、本日の資料の確認を事務局にお願いします。  事務局 本日の資料の確認をいたします。  資料1 脱法ドラッグ通知、事務連絡、関連資料  資料2 記者発表資料  資料3 薬物3条約の概要  資料4 国際条約と国内法規との関係  資料5 違法薬物の生涯経験率の国際比較  資料6 脱法ドラッグに関する国連麻薬委員会決議について  資料7 欧米諸国における薬物規制  資料8 東京都薬物の濫用防止に関する条例の概要  資料9 構造類似物質の薬理作用  資料10 主な論点(案)  参考資料1 薬事法と麻薬及び向精神薬取締法との比較  資料は以上ですが、欠落等がございましたら事務局までお申し出ください。  佐藤座長 それでは、事務局から議題1の「脱法ドラッグの取締り状況」について説 明をお願いします。  事務局 脱法ドラッグの取締り状況につきましては資料1と資料2に基づいて御説明 申し上げます。  まず資料1の6ページ、7ページですが、前回の検討会で脱法ドラッグの種類と広告 事例として紹介させていただいたものです。  資料1は、脱法ドラッグのこうした指導・取締りの強化について、2月25日に私ども から各都道府県あてに、薬事法に基づく現行の監視指導の強化をしていただきますよう お願いをしている通知です。  通知の内容ですが、使用目的に係る標榜ぶりいかんにかかわらず、人体への摂取を目 的として販売されている場合には、薬事法上の無承認無許可医薬品とに該当するので取 締りの対象になると考えられます。したがって、薬事法に基づく監視指導の強化をして いただくよう各都道府県にお願いしているものです。  当該製品が薬事法第2条第1項第3号中の「人の身体の構造又は機能に影響を及ぼす こと」を目的にしているかどうかについては、当該製品の成分本質、形状、広告、製品 名、使用方法等の表示、販売場所、販売方法等から総合的に判断することが可能です。 当該製品が「人の身体の構造又は機能に影響を及ぼすこと」を目的とすると判断される 事例について、2ページ以降の事務連絡でその例示をお示ししています。  2ページからの通知において、例示として、「合法ドラッグ」と称しての製造・販売」、 「○○ドラッグ」と称して製造、販売することは、「人の身体の構造又は機能に影響を 及ぼす」ことを目的とした製造、販売に該当するとしています。  いわゆる脱法ドラッグのブランドとして一般的に広く流通している名称(例えば「R ush」等)を標榜している場合。  4ページの真ん中ほどですが、摂取してはならない旨の注意書きをしていても、服用 時に生ずる現象を説明し、効能効果を暗示している場合。  当該製品に麻薬指定が予定されている成分が含有されていることをほのめかし、一般 人を対象にして、顧客を誘引していると認められる場合。このような場合等を事例とし て紹介しています。  資料2は「脱法ドラッグ販売者に対する立入検査等について」という記者発表資料で す。5-MeO-DIPTとAMTの2物質については、平成17年4月17日から麻薬として規制さ れることとなっており、その規制前に、いわゆる「駆け込み乱用」が生じるおそれがあ ったため、監視指導を強化していたところ、オーバートリップという販売者が薬事法に 違反して脱法ドラッグを販売している疑いが強まりました。このため、4月13日、私ど もと横浜市と共同で立入検査を実施し、違反製品である57製品について収去するととも に、脱法ドラッグの販売、陳列、広告の中止を指導したというものです。以上です。  佐藤座長 ただいまの事務局の説明について御質問等がありましたらお願いします。  倉若委員 私は神奈川県ですので、13日に厚生労働省のお手伝いという形で同行させ てもらいました。オーバートリップという店については、従来から神奈川県では試買検 査という中でこの店で購入したという経緯があります。検査の結果、5-MeO-DIPTという 物質が出ていますので、我々の監視上、こういった事例の中では立ち入りやすかったと いう店です。全国にこういう店があるんですが、立ち入りやすい店と立ち入りにくい店 があるということを御承知いただければと思います。  この店に関しては、チェーン展開している中の1店舗ということで、商品の支給元と いうのがあって、そこから各店舗に配送されています。その元についても情報提供をさ せてもらっているというのが現状です。  新聞等で取り上げてもらいまして、今回は立ち入りやすかったということもあります が、全国で薬事監視員が立ち入るに当たっては、このとおり入れるのかなということに なると、なかなか難しい面があるというのが実態かなと思っています。  南野課長 オーバートリップという店は、5-MeO-DIPTという4月17日から麻薬として 規制される物質をインターネット等で麻薬に指定される前の「駆け込み販売セール」と いうことを大きくうたいながら販売している相当悪質な業者であったということがあり ます。私どももインターネットを監視する中でこの店を見つけて、神奈川県と横浜市と 御相談させてもらいながら立ち入って、57製品を収去したんですが、そのうち10製品に ついて合田先生の国立衛研で検査をしていただきましたところ、9製品から5-MeO-DIPT という、まさに数日後に麻薬に指定される物質が検出されたということです。  全部で3,700個ほどあったんですが、すべて所有権を放棄させて廃棄するということに 至ったわけです。  佐藤座長 駆け込みの乱用を適切に対処していただいたわけですが、合田先生、何か ございますか。  合田委員 3ページの収去製品の7番を見ていただきますと2つの化合物が出ていま すが、同じ商品名でも、タイミングをはかりながら物が変わっていくというのを継続的 に検査していると我々はいつも経験しています。麻薬になるものは、最初はそれしか入 ってなかったのが、そうでないものに変わる。ラインが同じなので、そのものが残った まま売られているとか、そういう状態をいつも観察しています。  町野委員 収去というのはどういう手続きなんですか。  事務局 薬事法の69条に基づいて、製品の成分検査等に必要な最低限の量だけ取って 持ち帰るということです。  町野委員 拒んでも、強制的に持って帰ることができるということですね。  事務局 そうです。  倉若委員 資料1ですが、2月25日の通知をいただいております。事務連絡の中に実 例が載ってるんですが、これでアダルトショップ等々へ入っていけるかというと、現場 を抱えている地方の薬事監視員としては、もう少し法的に裏付けられるような強いもの がないと、薬事監視員だけでは立ち入りというのは難しい。警察と一緒に立ち入っても らわなければいけないんですが、警察としては検挙ということになりますので、法違反 という確実な根拠があり、なおかつ過去の積み重ねがないとだめではないかと思います。  新聞等で健康食品を無承認無許可医薬品として警察等々で生活経済関係の方々が告発 なり摘発をされてると思うんですが、それも過去の積み重ねがあって摘発に乗り出すと いうか、そういう経緯があると思います。この通知は一歩進んだ通知かなと思いますけ ど、これをもって立ち入るとなると、二の足を踏むところもあるので、もっと強い法的 根拠があれば我々も動けますし、警察も一緒に動いていただけるのかなと思っています。  三輪委員 薬事法69条の「必要に応じて立ち入り」というのではだめなんですか。  倉若委員 薬事監視員は摘発はできませんよね。告発になるんですけど、それには警 察の力を借りないと、どうにもならないということです。  三輪委員 告発の後ということですか。  倉若委員 行政がやるとなると告発しかないと思うんです。それは相当時間がかかり ますので、その間にいなくなるとか、いろいろとあります。  南野課長 この検討会で脱法ドラッグ対策のあり方について全般的に御議論いただい て、それを政策に反映させていくということはもちろんなんですが、10月に報告書をま とめていただいて、その後ということになりますと、その間、脱法ドラッグをほってお くのかという議論も別に出てくるわけでして、現行法の枠内でやれることはやってもら う、脱法ドラックの取締りをやっていこう、そういう趣旨も込めて、薬事法に基づく無 承認無許可医薬品としての脱法ドラッグの取締りについて各都道府県にお願いしたとい うことです。  植村室長 薬事法の第69条第3項の規定ですが、厚生労働大臣、都道府県知事、保健 所設置市の市長ができることとして、必要に応じて立ち入り、あるいは検査に必要な最 少量を収去ということで提供を受けるということです。法律上書いてありますのが、薬 局開設者から始まりまして、医薬品の製造業者、輸入販売業者、その他医薬品等を業務 上取り扱う者という規定になっています。  そうなりますと、そもそもこういうものが医薬品なのかどうか、医薬品とは認識して なかったという方に対して、これを業務上取り扱っていたてしょうということを特定す る段階がその前段階として必要になるということから、こういうものが医薬品に該当す るものですということを示したわけです。かつ、それを業務上取り扱って販売をしてい たということがあって、はじめて薬事法上の立入りをし、検査に必要な最小限の量を検 査するために収去することに至れる。麻薬に指定されていても、この成分を持っていれ ば、ただちに法的な違法性を問えるという仕組みと大きく違うということです。  三輪委員 現状ではそうかもしれませんが、前回も申し上げたように、厚生労働省が 中心になって、これこれのものは薬事法の3号医薬品に該当するんだ、人体に使えば、 その目的は構造・機能をうたってるんだということを繰り返しインターネットでやる。 目ぼしい業者に対しては直に通知でやるという前段階があれば、かなりいけるんじゃな いかと想像するんですが、いかがなものでしょうか。  植村室長 そういうことも含めて脱法ドラッグ対策としてできることは、この検討会 で議論をしながらも取り組んでいこうということで、資料1でお示ししました通知を2 月に都道府県と行政部局に対して発出し、行政庁の間での事務連絡というのを出させて いただきました。この内容に該当するケースは、まず医薬品に該当する。承認許可を取 っていなければ無承認無許可医薬品に該当する事例ということですので、今日の検討会 の資料にして、傍聴者も含めてオープンにさせていただいております。こういうものを 情報提供することによって、私どもとしては啓発、予防効果が期待できるだろうという 点もあります。  こういうものを例示として示しますと、この形にならないようなものにして隠れてい ってしまう。イタチごっこといわれておりますが、何か事例を示すと、それでない事例 に移っていってしまうという問題点もはらんでおりますので、そうした点も含めて御議 論いただき、どういう対策が効果的かという議論をしていただければと存じます。  町野委員 「必要に応じて」というのは、どういう要件の時に立ち入るということで すか。疑いがある時に立ち入ると書いてあるわけではないんですよね。  三輪委員 私は長いこと薬科大学で薬事法の講義をしておりまして、私の見解として 講義したということで、国の公的見解とは考えないでいただきたいんですが、「必要に 応じて」というのは非常に開かれた概念ですよね。開かれた構成要件というか。ですか ら、いろんな場合が考えられる。その他の監督の規定はかなりコンクリートに決めてる。 それと対比すると、69条の立入りとか収去というのは「必要に応じて」ということで、 疑い、おそれのあるところなども含めて、かなり弾力的な運用の可能なものであるとい うふうに教えておりました。  植村室長 まさに弾力的に行政庁として「必要に応じて」ということだと思いますが、 薬事法に基づきますので、薬事法の目的性からしますと、最終的には保健衛生の向上を 図るということから、保健衛生上の必要性に鑑みて薬事法上の必要な判断をするという 観点になろうかと思います。  町野委員 先ほど倉若委員がおっしゃったのは、それでは警察はついてきてくれない ということですか。  倉若委員 実績の積み重ねがないわけです。こういう通知をいただきまして、今まで 何も動かなかったのが、これをもらったおかげで動こうとする行動はできます。無承認 無許可医薬品といわれている健康食品を新聞等で取り上げていますが、麻薬のほうは実 績がまだないので取り上げてくれない。薬事監視員がお願いしますといってもなかなか 動いてくれないという部分があるということです。  佐藤座長 それでは、他に御質問がないようですので、議題2の「海外の状況等」に ついて事務局から説明をお願いします。  事務局 資料3から7を用いて海外の状況等を説明いたします。  資料3をご覧ください。麻薬、大麻、あへん、覚せい剤、向精神薬といった薬物の規 制は国際的な規制の枠組みが条約で決まっています。これを批准した各国が批准国の義 務として実施しているという構図になっています。  まず最初の条約は1961年の「麻薬に関する単一条約」です。これは61年以前にいくつ かあった麻薬関連の条約をまとめたもので、あへん、あへん系麻薬、ヘロイン、コカイ ンといった古典的な麻薬の規制を行っています。麻薬の使用を医療上、学術上の目的の みに制限するというものです。全部で118の物質が規制対象として掲げられています。  2ページですが、2つ目は1971年の「向精神薬に関する条約」です。古典的な麻薬に 加えて、LSDをはじめとする幻覚剤、医療用途のある睡眠薬などの薬物の乱用が問題 になり、そういった薬物にも規制の網を広げようという動きがありまして、その結果で きたのがこの条約です。  合成された麻薬、覚せい剤、医療用の睡眠薬などの危険性に鑑み、121物質を付表I〜 IVの4段階に分けて、それぞれに応じた厳しさの規制をしています。  3ページですが、3つ目は1998年の「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国 際連合条約」です。麻薬や向精神薬の取引や操作に着目して、麻薬によって得た不正な 収益の没収、マネー・ローンダリング処罰などをして初めて麻薬や向精神薬の取締りが 効果的に行われるということが各国の共通した認識になったためにできた条約です。  加えて、原料物質の規制として、麻薬本体のみならず原料の段階から規制する必要が あるということが明らかとなって、これも条約の中に取り込まれています。  資料3については以上です。  次に、資料4は「国際条約と国内法規との関係」ですが、3条約に対する批准国とし ての義務が日本の5つの関係法でどのように実施されているかを示したものです。  「麻薬に関する単一条約」で規制されているあへん、大麻、麻薬等については、国内 法としては、あへん法、大麻取締法、そして麻薬及び向精神薬取締法の中の麻薬に指定 して規制されています。  「向精神薬に関する条約」の付表Iの幻覚剤を中心とする合成麻薬については、日本 においては「麻薬及び向精神薬取締法」(麻向法)の麻薬として規制しています。付表 II、III、IVの物質については、覚せい剤を除き、「麻向法」の向精神薬の部分で第一種 から第三種に分類して、段階的な規制を国内でかけています。付表IIの覚せい剤につい ては「覚せい剤取締法」という厳しい規制をかけています。  「麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約」ですが、麻薬、向精神 薬、大麻、あへん、覚せい剤に係る不正取引、不法収益については、麻向法、大麻取締 法、あへん法、覚せい剤取締法で対応していますが、これらで規制できない部分につい ては「麻薬特例法」という法律を作って規制しています。付表Iの覚せい剤原料につい ては「覚せい剤取締法」、その他の麻薬等の原料については「麻向法」によってカバー しています。  以上のように、3つの国際条約の義務を日本は5つの国内法で実施しています。  続きまして、資料5の説明を申し上げます。海外の種々の薬物規制について考える際 のバックグラウンドとして、違法薬物の生涯経験率というものを示しています。生涯の うちに違法薬物をどのくらいのパーセントの方が経験したかというデータです。  ここにあげています大麻からMDMA等の薬物のうち、いずれか1つでも生涯のうち に経験したパーセントは日本は0.8%です。その上のアメリカでは大麻のみについても4 0%以上の人が1度は経験しており、ヨーロッパ諸国でも日本とはだいぶ違う数字が並ん でいることがわかるかと思います。これが違法薬物の生涯経験率に関する統計的なデー タです。  続きまして、資料6は「脱法ドラッグに関する国連麻薬委員会決議」です。  国連麻薬委員会というのは国連の経済社会理事会の下部組織で、毎年1回、3月にウ ィーンで開催されます。先ほど申しました3条約や薬物規制に関して国際的な方針を定 める機能をもった委員会です。日本は1961年以来、ずっと委員となっています。  今年3月7日〜11日に開催された麻薬委員会において我が国が脱法ドラッグ対策に関 する決議案を提案し、それが採択されました。  決議の趣旨は、国際条約の規制対象となっていない新しい薬物の乱用に関して日本が 音頭をとって規制をしていこうという態度を示したものですが、その内容は以下の4項 目に要約されます。  1.近年、国際条約で規制対象となっていない新しい薬物が乱用され、それによる公 衆衛生上の危険が問題となっている。  2.加盟国が、これらの薬物について、緊密な連携のもと、有効な対策を迅速に講じ ていくためには、関連情報の共有が必要である。  3.加盟国は、これらの薬物の乱用状況、有害性等に関する情報を適宜、国連薬物犯 罪事務局(UNODC)に情報提供するとともに、既存の情報システムを活用して、2 国間、地域間、国際間の情報共有に努める。  4.UNODCは、加盟国から関連情報を収集し、加盟国に情報提供する役割を果た す。  これが各国の賛同を得て採択され、これに基づいて各国は努力を続けていくというこ とになったわけです。  続きまして資料7です。国際的な規制の枠組みについて説明しましたが、世界の各国 はその条約等の義務をどのように履行しているかについて調査した結果を御報告します。  まず米国ですが、米国では物質規制法という法律一本で薬物一般を規制しています。 単一条約や向精神薬条約に沿って、付表のIからVまで細かく薬物を分類して規制して います。付表Iにはヘロイン、大麻、MDMAなど医療用途のない薬物、付表IIにはモ ルヒネ、コカインなど医療用途のある薬物、付表IIIには向精神薬、付表IVにはバルビタ ール、睡眠薬等が区分されています。付表Vはコデインなど軽い麻薬の分類になってい ます。このように付表に分けて、それぞれ重さをつけた厳しさなり罰則なりという構造 になっています。これは各国でほぼ共通で、日本も基本的にはこのような形になってい ます。  左端の上から3つ目の「指定手順」のところですが、規制対象にする際には、保健当 局に依存性や精神毒性など公衆衛生上の危害等の評価を受けて、その結果に基づいて、 この物質は付表Iに置くのが適当であるといった勧告を受けた上で、この法律を所管し ている省庁が付表に加えていく。こういう手続きです。  その下の欄ですが、規制されていない新規の物質、つまり脱法ドラッグを早く規制下 に置くためにアメリカは「暫定指定」という仕組みを採用しています。ある物質につい て乱用目的等の密売が発見され、公衆の安全に対する差し迫った危険が生じたと判断さ れた段階で、1年を期限として、その物質を一番厳しい付表Iの麻薬に指定して規制で きる。その1年の間にその物質の公衆衛生上の作用を調べ、保健当局との協議等の手続 きを踏んで、正規に付表に指定する。こういう制度です。  次にドイツですが、ドイツでも付表に分け、危険度と医療上の有用性に沿って段階的 に分類して指定するという仕組みです。指定手順についても、保健当局の評価を必要と するという点でも同じです。やはり暫定指定の制度を持っています。  次にスウェーデンです。スウェーデンも上から3つ目までの箱については米国とほぼ 同じですが、健康有害物質禁止法という2つ目の法律を用いて規制しています。脱法ド ラッグはこの法律によって規制され、その後、薬物取締法の指定物質に移るものもある ことがわかりました。この2つの法律の規制対象物質の指定については、保健当局との 協議とか物質ごとに指定するとか、そういう点では両法とも同じです。この国には暫定 指定、一括指定の規定はありません。  最後に英国です。英国では薬物乱用法という一本の法律で、クラス分け等についても すべてほかと同じですので、説明は省略いたします。  脱法ドラッグの対策として英国では一括指定という方法をとっています。一番下の箱 ですが、トリプタミンまたはヒドロキシ・トリプタミンの側鎖の窒素原子に1つ以上の アルキル基(その他の置換基を除く)が結合した構造を持つすべての物質をクラスAに 指定する。中心の化学構造(母核)が規制物質と同じであれば、そこからどういう枝が 出ていても、まとめて規制物質とする。そういう考え方で広く物質を規制するという制 度をとっています。  次に2ページですが、EU加盟国及び候補国の一括指定、暫定指定に対する考え方で す。2002年から3年にかけてヨーロッパ委員会が各国の態度を調査した結果がこの表で す。  イギリスが採用している一括指定については、4か国が採用していますが、否定的な 意見を持っている国が大勢を占めています。憲法に違反するおそれがある、法の基本原 則に違反するおそれがあるといった重い理由をあげている国もあります。  暫定指定についても、導入している国はいくつかありますが、法律に違反する、法的 紛争を招くおそれがあるというという理由から導入していない国が多くあります。  3ページはEUにおける新たな幻覚物質に対する対策です。  1997年、Joint Action on New Synthetic Drugs というものを設置して、国際条約の 規制対象とならない新たな薬物が出現した際に、EMCDDA(ヨーロッパの薬物乱用 モニタリングセンター)を中心として情報交換をし、リスクアセスメントをし、各国が 早く規制できるようにするということです。  下の箱で説明いたします。Member Statesが乱用や不正取引等を見つけると、モニタリ ングセンターや警察機構に報告し、ヨーロッパ委員会等を経由して、EMCDDAの科 学的な評価委員会、EMEA(医薬品審査を行う役所)からの専門家による評価も得て リスクアセスメントを行い、EUの議会の議決を経て、各国の規制ということになりま す。  EU全体でやろうという決議が出てから、各国がどのように国内法に取り入れて国内 で規制するかについては各国の制度に依存します。先ほど申しましたように各国の制度 に関する考え方がまちまちであるので、欧州全体で一律に規制されることにはなってお りません。物質についての評価はEU全域でやろうというイニシアティブです。  4ページですが、先ほど言葉で説明しました英国の一括指定でどのように化合物が指 定されているかを簡単に説明したいと思います。3つの例をあげています。  1つ目は先ほど読み上げたトリプタミンの例です。トリプタミンというのは六角形と 五角形がくっついたインドール環と右のCが2つとHが4つとN、この部分を共通の骨 格として持っていまして、RとかOHという枝が出ています。枝はR1、R2は特に指定 せず、こういう構造式を持つものはすべて規制対象にする。カメノコについているOH は水酸基ですが、どこについていてもいい。そのようなことで広く網をかけるものです。  2番目は睡眠薬のバルビツール酸の置換体です。R1、R2が5番という場所について いますが、ここにいろいろな構造が入ることによって睡眠薬として強さや作用時間が変 わるため、何種類かの物質が向精神薬条約等で規制されています。日本の法律でもそう です。そこに何がついても規制対象にするという考え方です。  3番は置換フェネチチルアミンです。六角形があって、右にCH2、CH、Nとあって、 NからR1とR2という枝が出、CHからR3という枝が出ています。これが覚せい剤と MDMAをはじめとするある種の幻覚剤の基本骨格です。それを根拠に、Nからの枝、 CHからの枝、そして六角形のところに何がいくつついてもいい。そのように広い形で の規制をかけているわけです。絵にすると一括という意味がわかりやすいのではないか と思いまして説明させていただきました。私からは以上です。  事務局 続きまして資料8、東京都薬物の濫用防止に関する条例について御説明申し 上げます。東京都と私どもは連絡会を設けまして常に情報交換を行っておりますが、3 月末に東京都が薬物濫用防止に関する条例を公布しまして、一部のものについて4月1 日から施行されましたので、簡単に概要を紹介させていただきたいと思います。  構成としては、第1条で目的、第2条で定義、第3条で都の責務、第4条で都民の責 務、5条から11条までは薬物の濫用防止に関する基本的な施策となっています。  第12条は、興奮、幻覚、陶酔、そのほかこれらに類する作用を人の精神に及ぼすもの で、それを濫用することにより人の健康に被害が生じると認められるもののうち、知事 は、都内において現に濫用され、又は濫用されるおそれがあると認めるものを知事指定 薬物として指定するとありまして、知事指定薬物について規制ができる形になっていま す。  第14条では、指定されたものについては、製造、栽培、販売、授与、広告、使用、使 用する目的で所持すること、多数の人が集まって知事指定薬物を使用することを知って、 その場所の提供やあっせん等が禁止されています。  第15条は立入検査の条文、製造・販売等の禁止行為に関するものについて製造・販売 中止等の警告を行う16条、警告に従わない者に対し、製造、販売、広告の中止を命令す る17条の規定が設けられています。  第18条では、知事指定薬物の指定前であっても、健康被害があった場合と緊急時の対 応として、製造、販売中止等を勧告することができることになっています。  第21条では、製造、販売、広告について行政命令に従わない場合は2年以下の懲役又 は100万円の罰金に処するとしています。以上です。  佐藤座長 ただいまの事務局の説明について御質問等がありましたらお願いします。  合田委員 英国の薬物規制法のところで、物質の一括規制の例で3つあげられてるん ですが、N−置換(ピドロキシ)トリプタミンの場合、それを含む植物についてはどの ように扱っているかわかりますか。化合物で規制している場合、植物まで含まれるんで すか。  事務局 含まれるのではないかと思いますが、調査が必要です。  和田委員 資料4で、国際条約のほうでは付表IVの向精神薬に属するものが、国内法 では麻薬ないしは第三種向精神薬となっていますが、ここでいう麻薬というのは具体的 には何が該当するんでしょうか。  事務局 GHB、4ヒドロキシ酪酸です。  佐藤座長 よろしいでしょうか。他に御質問がないようですので、議題3の「主な論 点の整理」に入ります。  事務局で「主な論点(案)」を作成していただいておりますので、まず事務局から説 明してください。  南野課長 資料10ですが、私から説明させていただきます。今後この検討会で御議論 いただきたい主な論点について案として事務局で整理したものです。7つの項目を立て ておりまして、それぞれの論点の中で特に御議論いただきたいポイントを○印で列挙し ています。  1.本検討会で検討対象とする脱法ドラッグの範囲をどうするか。この点については 前回の第1回検討会で御了承いただいたと理解しておりますが、この検討会で検討対象 とする脱法ドラックは、(1)麻薬、向精神薬には指定されておらず、(2)麻薬、向精神薬と 類似の有害性を有することが疑われる物であって、(3)専ら人に乱用させることを目的と して製造、販売等がされるものということです。  2.どの程度の有害性がある場合に規制対象とするのかという点です。  ○麻薬、向精神薬と類似の有害性をどのようにとらえるか、「精神毒性かつ依存性」 とするか「精神毒性」のみでも規制対象とするか。  この点については前回御議論いただきましたが、参考資料1をご覧いただきたいと思 います。参考資料1は薬事法と麻薬及び向精神薬取締法を比較したものです。  上から4つ目に「規制対象とする判断基準」という欄がありますが、麻向法のところ をご覧いただきますと、麻薬や向精神薬に指定する場合には、既に指定されている麻薬 又は向精神薬と同種の乱用のおそれがあり、かつ、同種の有害作用のあるものという要 件があります。依存性と精神毒性の2つがあって麻薬ないしは向精神薬として指定され ることになっているわけですが、脱法ドラッグを規制するに当たってもこの両者を要件 とするのか、精神毒性のみでも規制対象としていくのか。  この点については前回かなり御議論いただきましたが、その際の議論では、依存性ま ではなくても規制の対象と考えていくべきではないかという御意見が多かったように理 解しております。  資料10に戻りまして、2の2つ目の○ですが、麻薬、向精神薬より有害性の程度が低 い場合も規制の対象と考えてよいか。  ○有害性の「疑い」、「おそれ」の段階で規制することはどうか。  有害性について科学的なエビデンスが必ずしも明確ではない段階でも何らかの規制を かけていくべきなのかどうかという点についても御議論いただければと思います。  3.次々に出現する脱法ドラッグについて、どうすれば迅速な規制ができるか。  ○法令で個別物質ごとに指定するか、「人体の構造・機能に影響を及ぼす目的」等の 目的性によって包括的に規制をかけていくか。前者は麻向法方式、後者は薬事法方式で すが、現行法ではこの2つの方式があるわけです。この点についても若干復習になろう かと思いますが、のちほど御議論いただくことになると思いますので、具体的に説明さ せていただきたいと思います。  参考資料1をご覧ください。先ほどと同じ「規制対象とする判断基準」の欄ですが、 麻向法のほうをご覧いただきますと、麻薬又は向精神薬に指定する場合には、法律又は 政令で個別に物質を指定する方式をとっています。  具体的に申しますと、法律の別表で物質を個別に列挙していまして、一番最後のとこ ろに、前各法に掲げるものと同種の乱用のおそれがあり、かつ、同種の有害性がある物 質であって、政令で定めるものという規定があります。新たに麻薬又は向精神薬に指定 する場合には、この規定に従って、政令を改正して追加していくという方式をとってい るわけです。  その上の「規制対象」の欄ですが、薬事法の場合は医薬品の定義が法の第2条第1項 で定められています。「医薬品」とは、次の各号に掲げるものをいうとありまして、第 3号に、人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているもの であって、機械器具ではないものという定義があります。  人の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされているものについては正規 の医薬品として、本来は品目ごとの国の承認を受け、なおかつそれを製造したり販売し たりする場合には製造販売業の許可を得なければならないという仕組みになっています。 こうした承認とか許可を受けないでこういったものを製造ないし販売した場合には無承 認無許可医薬品の製造、販売ということで薬事法の規制対象になるということです。  何が無承認無許可医薬品に該当するかという判断については行政通知で示していると ころです。具体的に申しますと、無承認無許可医薬品の指導、取締りについてという医 薬食品局長の通知がありまして、その中に医薬品の範囲に関する基準が示されています。 医薬品の範囲に関する基準そのものは、主として人が経口摂取するものについて、それ が医薬品な相当するのか食品に相当するのかという観点からの判断基準を示したもので、 食薬区分通知といわれているものです。  何が無承認無許可医薬品に相当するのかということを通知でお示ししていますが、そ の判断基準としては「判断基準」の欄にあるように2つあります。  1つは、専ら医薬品として使用されている成分を含有するかどうかという点で、専ら 医薬品として使用される成分を含有するものは原則として医薬品とみなしています。具 体的には通知で約330製品を例示しています。  2つ目は、医薬品的な効能効果を標榜しているかどうか、用法、用量、形状等が医薬 品的かどうかを総合的に判断して決める。  通常、人がそのものを医薬品と誤認するおそれがあるかどうかが1つの判断基準で、 誤認するおそれがある場合は無承認無許可医薬品として薬事法の規制対象になるという ことです。  資料10に戻りまして、3の2つ目の○です。類似の化学構造を持つ一群の物質を一括 して麻薬等に指定することはどうか。英国が取り入れているような一括指定の方式を我 が国に導入することについてはどう考えたらいいかということです。  ○期限・条件付きで麻薬等に指定することはどうか。米国やドイツが取り入れている 暫定指定方式を導入することについてはどうかということです。  4.脱法ドラッグの規制の仕組みをどのように考えるか。  ○産業目的、研究目的等の「正当目的の利用」をどのように扱うか。正当な理由によ る利用を構成要件から抜くという扱いがされている法律がけっこうありますので、そう いう扱い方をするのか。  ○対象とする物質に係る行為を一律に禁止し、免許・許可制等により禁止を解除する 仕組みはどうか。  これは麻向法方式でして、参考資料1を見ていただきますと、「規制の態様」の欄の 右側にありますように、麻薬については一切の行為を禁止し、医療、研究等正規の目的 の利用については免許・許可制により禁止を解除するとしています。かなり大がかりな 仕組みですが、こういうものを導入するのかどうか。  ○「乱用目的」等の目的性で規制することはどうか。乱用目的で製造、販売した場合 は規制をかけるという手法も考えられないことはないということです。シンナーは毒物 劇物取締法で規制されていますが、みだりに摂取又は吸入することを知って販売、授与 した場合は罰則の対象になるという規制のかけ方をしています。  5.脱法ドラッグの取締りを実効あるものとするにはどのような規制、罰則をかける べきかという点です。  ○主に売る側の規制(販売、広告等の規制)を行うのか、買う側の規制(所持、使用 等の規制)まで行うのか。前者は薬事法的な規制、後者は麻薬に類する規制です。  ○販売目的の輸入や個人による輸入を規制すべきか。  ○インターネットによる販売、広告等についてどのような規制ができるか。  ○「乱用目的」「人体の構造・機能に影響を及ぼす目的」等の目的性を立証する方法 をどうするか。  ○どの程度の罰則が適当か。例えば、薬事法では無承認無許可医薬品の販売は3年以 下の懲役又は300万円以下の罰金が上限になります。  6.効果的な啓発活動を行うにはどのようにしたらよいか。  ○青少年に対してどのように啓発を行えばよいか。  7.その他の脱法ドラッグ対策をどのように講じていくか。  ○「脱法ドラッグ」という呼称を見直すべきではないか。脱法という言葉は法の規制 がかからないという印象を与えかねないところがあります。先ほど申しましたように通 知等も出していますが、多くの場合、薬事法違反に相当すると考えていまして、そうい う意味で脱法ドラッグという呼称を見直すべきではないかということです。  ○規制の根拠となる科学的データとその収集方法をどうすべきか。  ○乱用実態の把握をどのように行うか。販売実態については調査等でわかってきまし たが、乱用の実態についてはまだ把握できておりません。  ○取締り、啓発以外にはどのような対策が考えられるか。  以上の点について事務局の案として整理をさせていただきました。  佐藤座長 ただいま事務局から本検討会で討議すべき「主な論点(案)」について説 明がありましたが、追加すべき論点等があれば御意見をお願いします。  御意見がないようですので、資料10に従って各論点ごとに議論を進めていきたいと思 います。  1の「本検討会で検討対象とする脱法ドラッグの範囲をどうするか」については前回 の検討会で議論しておりますので、2の「どの程度の有害性がある場合に規制対象とす るのか」について御議論をお願いします。  合田委員 ○が3つありますが、上から順番に議論していくよりも、一番下をどうす るかという議論を最初にしたほうがいいのではないかと思います。脱法ドラッグで一番 問題なのは、化合物の構造の類似体に1つ規制をかけると次々と出てくるということで、 精神毒性のレベルであろうとどのレベルであろうと明らかな薬理作用がわからない状態 のものが次々と売られていく。そういう場合は「疑い」とか「おそれ」の段階で取り締 まらないと有用な取締りにならないのではないかと私は日ごろ考えています。  「疑い」とか「おそれ」の段階でも、そのもの自身にほかの有用な目的がなければ取 り締まることは問題ないのではないかという議論が前回あったと思うんですが、ここを どうするかというのが決まってから、上の○に入ったほうが議論がしやすいのではない かと思います。  佐藤座長 前回、三輪先生から御意見がありましたが、いかがでしょうか。  三輪委員 3の最初の○は麻向法方式か薬事法方式かということだと思うんですが、 麻向法方式というのがこの論点提示の中心的な流れとして感じとれます。しかしそれは 時間的にいろいろ問題があるということで、前回、麻向法方式の規制はハードルが高い けど、薬事法方式は、やる気ならすぐできるというふうに私は理解しました。  今日の説明を聞いておりますと、薬事法方式の一つの限界というのは、売り手には規 制がかけられるけど、買い手、すなわち使う側にはかけられない。これは確かだと思う んですね。ただ、売り手に規制がかかれらるなら、これは大きな進歩で、まずそこをや る。やりながら、ハードルの高いところをやっていく。それには合田先生がおっしゃっ た2の下のほうから攻めていくということが実際的なのではないかと思います。  町野委員 麻向法方式でやるということは、その中に、はめ込まれなくてはだめとい うことではないということですね。この場合、3つ目の○の有害性の「おそれ」の段階 でやるべきだとすると、麻向法の条文には衝突しますよね。「有害性のある場合」と書 いてますから。そうなってくると法律を変えるということなんでしょうか。  南野課長 実際に規制をやっていくに当たっては法律改正をしないでやるという方法 もありますが、関連する法律としては麻向法と薬事法があるということですので、どち らかの体系の中で法律改正をして、しっかりとした規制をかけていく。第3の方法とし ては新しい法律を作るというのがあるんですが、類似の法律が2つあるわけですから、 まず既存の法律の体系の中で規制をかけていくことができないかどうか、その点を追求 していくべきではないかと考えています。  町野委員 御趣旨はわかるんですが、「疑い」で足りるということにすべきだという ことになると、これは現在の法律の中に入らないということですよね。ですから、どこ まで規制する必要があるかという議論が先行しなくてはいけない。どういう対応でやる かということはあると思いますが、別の法律を作るというのは合理性がないと思います から、こちらにはめ込んでやるので、法律を変えるかというところまで考えた上で議論 をしないと、出口が見えちゃうと思うんですね。別表の中に入れるかどうかという議論 にするか、薬事法でやるかということしか残らないわけですから。  南野課長 第1回の時に私どもの局長からお話し申し上げたとおり、法改正も視野に 入れて御検討いただく。それがこの検討会の趣旨ですので、そういうことで御議論いた だければと思います。  和田委員 資料4に国際条約と国内法規との関係が出ていますが、脱法ドラッグには どんなものがあるかを想定して、あるいは今後、側鎖をいじくることによって新しく出 るであろうものを想定した時に、それが国内規制の中で麻薬に分類されるのか向精神薬 に分類されるのかという想定をする必要があると思うんですよ。私がここで気になるの は、どんどん麻薬指定になっていく可能性です。麻薬に指定されるものは極力少ないほ うがいいというのが私の考え方です。私は薬物を使ってる人間を見ている立場ですが、 薬物同士に心理的な垣根が欲しいんですね。この薬物がこの程度ならあの薬物もこんな もんだろうとか、心理的な垣根がなくなると一気に乱用が広がっていく危険性を日常的 に感じるわけです。日本人にとって麻薬は怖いものだという印象を残したいというのが 私の気持ちです。  今後、ここで議論している薬物がどんどん麻薬指定されていくと、変な言い方ですが 麻薬の格が落ちる、そのあたりも想定して議論していただければと思います。  合田委員 現行の薬事法の基本的な考え方の範囲の中で、第3項に「目的とされてい る」という言葉が入ってますね。目的であれば、疑い、おそれの段階で規制することが できるのかどうか、そこを確認したかったんですが。  三輪委員 薬事法ならできる、麻向法は難しいということです。資料4もそうなんで すが、麻向法のことしか書いてありませんので、そちらに議論がいくんですが、麻向法 でいくためには準備のために時間がかかることは間違いないと思うんですね。急を要す るということを考えると、できるところからまずいく。それは薬事法ではなかろうかと いうのが私の考えです。まず薬事法でできることをやって、その間に麻向法で準備を整 えていく。東京都条例は既に施行されてるんですから、一番先行しているわけですね。 そのあたりを横ににらみながら、議論もさることながら、いま何ができるかということ が大きいのではないかと思います。  倉若委員 条例でできるという東京都さんが例を示していますが、地方としては、法 律はどうなってくるのか、早く法を改正施行して、条例を作らなくてもすむような対策 を願っているわけです。麻向法でできれば一番いいのかもしれませんが、現行法では麻 向法は1年から1年半かかる。薬事法をもう少し強化すれば、入り口の段階では少しは 早く対応できるのかなと思います。  合田委員 東京都の委員会に出ている関係で追加させていただきますと、東京都の条 例は基本的には薬事法の上に追加して作ってあるというふうに説明されています。専ら 医薬品であるということが前提で、薬事法の取締りの中にあるもので、さらに脱法ドラ ッグ的な販売等がされるものについては、一定の手続きのもとにプラスアルファの取締 りを行うという考え方です。  第2条の定義の第6項で、どういうものを取り扱えるかというと、「興奮、幻覚、陶 酔その他これらに類する作用を人の精神に及ぼすもので、それを濫用することにより人 の健康に被害が生じると認められるもの」と具体的になってますので、ここの条文です と「おそれ」云々ということが読み込めない形になっています。明確なものについて、 専ら医薬品に既になっているものについて、この条例で積極的に取締まるという考え方 です。  今井委員 東京都条例の2条6号は「濫用することにより人の健康に被害が生じると 認められるもの」ということで、他方、資料10の論点(案)に出ている有害性の「疑い」、 「おそれ」と比べると、かなり広いんですね。広い上に、12条で指定をかけた上で、罰 則としては薬事法より軽めのものになっている。範囲が広くて軽いというのだったらわ かるんですが、国法レベルでそれでいいかというと、ちょっと違うのではないか。  今日の論点(案)で出ておりますように、本当は麻向法によりたいんですが、機動性 という意味で薬事法的にしたいという時に、薬事法の2条1項3号の目的の解釈を明確 にして、ここに有害性の「疑い」「おそれ」というのが入るということを法定解釈とし て初めて、現行の3年以下の懲役又は300万円以下の罰金というのが制度化されるのかな と思うんですね。  そういう意味では都条例は参考になるんですが、薬事法の規制よりは緩やかですので、 国レベルで薬事法的な制度を守るのなら、もう一段の解釈の確定が必要かと思います。  町野委員 事務局の方に伺いたいんですが、このようなタイプの条例を各地で作って いくことについては問題はないんでしょうか。行政法的にいうと、これは法律と条例の 抵触問題をはらんでいる部分があるように見受けられるんですね。これがOKというこ とであればいいんですが、そのへんの認識はどのようになってるんでしょうか。  南野課長 各自治体には条例制定権というのがありますので、どういう条例を作るか というのは各自治体の判断によることになるわけです。ただ、東京都の条例を見ますと、 薬事法とかなりダブる部分が出てくるのではないかという感じがします。法律と条例と 重なった時に、どちらが優先するかというと、一般論としては法律が優先すると思いま す。ほかの自治体が東京都と同じような条例を作るかどうかというのは各自治体の判断 ということになろうかと思うんですが、国が脱法ドラッグの規制をできるような法改正 なりをすれば、各自治体はその法律にのっとった形で取締りを行っていくということは 言えるのではないかと思います。  町野委員 これは好ましいことなんですか。これからの日本の薬事行政とかこういう 問題について。  南野課長 好ましいかどうかというのは言いづらい面はありますが、東京都の当初の 条例案に対しては、私ども薬事法、麻向法を所管する立場から、かなりの意見は言わせ ていただいたという経緯はございます。  町野委員 いろんな条例が先に作られて、あとを法律が追いかける時に、法律が条例 のやり方を否定するというのはいくつかのところで行われてるわけです。最近の例では ストーカー規制法が一つですし、そのようなものがありますから、そういうことを危虞 した質問なんですが。  佐藤座長 だいぶ御意見をいただきました。論点の2番目「どの程度の有害性がある 場合に規制対象とするか」については、ただいまの御意見を踏まえて、次のように整理 してみたいと思います。  (1)精神毒性が必須条件であり、依存性までは求めない。前回もそうでしたので、そう させていただきます。  (2)麻薬、向精神薬よりも有害性の低いものも含むという議論ではなかったか。  (3)有害性の疑い、おそれの段階でも何らかの形で規制する方向に向かうべきだという 御意見が多かったかと思います。疑い、おそれの段階でも規制することについては、薬 事法でできるところから始めてみてはどうか、それをやっているうちにエビデンスがそ ろえば、麻向法で対応してはどうかという御意見も出たかと思います。  法改正を視野に入れながらということですが、ただいまのような3点について事務局 で具体化していただければと思います。そのような整理でよろしいでしょうか。  三輪委員 2番の3つ目の○「有害性の疑い、おそれ」、これは麻向法をイメージし てますからこういうことになるんですが、薬事法の場合は「人体の構造・機能に影響を 及ぼす目的」ということですから、これとは関係なしにいけるということで、2番の1、 2、3はあくまでも麻向法サイドだけ、薬事法のことはここでは言ってないと私は理解 しています。それゆえに3番の最初の○については、薬事法方式で今すぐやれることを 検討していただけたらと申し上げたわけです。  和田委員 論点1の本検討会で検討対象とする脱法ドラッグの範囲ですが、(2)はこれ でいいのかという疑問を持っています。「類似の有害性」と規定する必要性があるのか。 類似の薬理作用だけでいいんであって、有害性は、いま議論している2番の話ではなか ろうか。人体に薬理作用を及ぼすということでいいのではないかと思うんですが、どう なんでしょうか。広くとったほうがいいのではないかという気がしますが。  今井委員 私も和田先生と同じようなイメージを持っています。これは論点案でして、 上から下にいくに従って麻向法から薬事法の方向に制度を移行させていって、かつ、薬 事法の解釈としてできるのはどこまでで、それでは無理なところはどこなのかというこ とで読めば、論点としては上から整理されているのかと思います。  2番の対象も麻向法のリジッドな対象から薬事法の対象としていけるところまで広げ ていって、その実質としてはこういうものだという、たたき台として出ているのかなと 理解して伺っていたところです。  佐藤座長 そういう理解でよろしいですか。  南野課長 はい、結構でございます。  佐藤座長 それでは次に移りたいと思います。3は「次々に出現する脱法ドラッグに ついて、どうすれば迅速な規制ができるか」について御議論をお願いします。この議題 に関連して、麻薬等の化学構造と有害性との関係について鈴木先生に説明をお願いした いと思います。  鈴木委員 資料9をご覧ください。脱法ドラッグの代表的なものを構造的に3つに分 類して、1、2、3とあげてあります。イギリスのように一括した場合は問題が出てく ると思うんですが、構造と薬理作用を考えた場合、こういうことがあるんだということ をお知らせしたいと思います。  1.フェネチルアミン系ですが、代表的なものは覚せい剤、脱法ドラッグから麻薬に 指定されたMDMAなどがあります。  メタンフェタミンの下に書いてあります(±)3,4-MDAというのは麻薬に指定され ているものです。  その下に(±)2,3-MDAというのがありますが、これは麻薬には指定されておりま せん。その右のDOMというのも麻薬で幻覚作用等を示しますが、この効果と、今申し ました2つの物質の感覚効果の類似性をみた実験があります。その結果、3,4-MDAの ほうはDOMと同じような感覚効果、すなわち幻覚等の作用を示すと考えられます。そ れに対して2,3-MDAではそういう感覚は得られない。ちょっとした構造の違いによっ てこういうことが起こってくる。  2.トリプタミン系ですが、この中で代表的なサイロシンがトリプタミンの下に書い てあります。その下に6,7-methoxy、5,6-dimethoxy、5,6-methylendioxyとありますが、 こういうものに置換されると幻覚作用が低下してくるという報告があります。その構造 を下に4つ並べています。  次のページにいきまして、3.ピペラジン系ですが、TMFPP、BZPは両方とも 麻薬に指定されています。TMFPPのほうはMDMAに類似した感覚効果を示します が、BZPのほうは覚せい剤に類似している。  このような構造の違いによって薬理作用に違いが生じてくるという薬理学的な報告が ありましたので、紹介させていただきました。  佐藤座長 ありがとうございました。ただいまの御説明は主な論点の3の2番目の○ の「類似の化学構造を持つ一群の物質を一括して麻薬等に指定することはどうか」とい う一括指定に関係のある御説明かと思います。  ただいまの御説明を踏まえながら、イギリスで取り入れられている方式を我が国に導 入していいかどうか、一括指定について御意見があれば伺いたいと思います。  資料7の2ページに「EU加盟国及び候補国の一括指定、暫定指定に対する考え方」 が整理されています。法律に違反するおそれがある、規則に違反するおそれがある、法 の基本原則に違反するおそれがある、導入には法改正が必要など、本質的な問題で採用 してない国がかなりあるわけですが、いかがでしょうか。  合田委員 この表の部分は麻薬に対する考え方なので、麻薬として指定するというこ とであれば一括指定というのは法律に違反するおそれがあるとか基本的な原則に違反す るとか、そういうことになるんだろうと思います。現段階では薬事法の考え方でいく場 合は今の表とは少し違う考え方になるかもしれません。  一括指定という形をとる場合に考えておかなければいけないのは、現行の薬事法では 化合物で物を指定した場合は、その化合物が含まれるものはすべて医薬品の範ちゅうに 入ってしまいますので、天然物のように中にいろんなものが入っているものも引っかか る可能性が高くなると思います。一括指定を考えると、濃度でどうだとか、そういう議 論にまで踏み込まないと難しくなるのではないかと思います。  今井委員 イギリスで一括指定を導入していて、資料7ですとクラスAの最も危険と される薬物についても一括指定があるということなんですが、ここに書いてあるのは、 一括指定して、罰則の対象としてかけてるということなんでしょうか。  イギリスの場合、日本でいう刑罰ではなくて行政罰のようなもので規制することも多 いので、一括規制をかけてるんだけど、機動的に行政処理で終わっている場合はないの かどいうのが2点目です。  3点目は、資料7の2ページに一括指定に対する批判があるんですが、イギリス国内 での批判というか、運用上困っている点がありましたら教えていただきたいと思います。  事務局 ただいまの御質問につきましては、残念ながら事務局としては答えがござい ません。どのような規制をされているか、行政罰か刑罰かという点につきましても法律 等を検討しなくてはならないと思っております。検討しなければならない状況で、デー タはございません。  南野課長 イギリスにも出かけていって調査をする予定だったんですが、先方の都合 が悪くて、実際には行けませんでしたので、必ずしも十分な調査ができておりません。 クラスAについては罰則がついてるということは間違いないのではないかと思われます が、後段の御質問については現段階では答えを用意していないというのが実態でござい ます。  和田委員 指定した場合、それに罰則が伴うかどうかというのは期限つきの暫定指定 にも言えることだと思うんですね。あるものが暫定的に1年間指定された時に、販売な いし製造、あるいは使った人間がいて、罰則規定に基づいて逮捕された。ところが1年 過ぎてみたら、有害性が非常に低いという結論が出て、自分の刑をどうしてくれるんだ という事態が起きないとも限らないという難しさが出てくる可能性が十分あると思うん ですね。規制イコール罰則なのか、私は専門外でわかりませんが、そういう意味では暫 定指定の難しさも絡んでくるかなと思います。  合田委員 疑い、おそれの段階で規制するという考え方でいくと、個別指定をしてお くとスピーディにいくのではないかと思います。疑い、おそれということでない場合は 一括指定とか暫定指定という手続きをとらないと法律がうまく運用できない。そこと裏 表になろのではないかと思います。  三輪委員 イギリスのことはさておきまして、我が国のことを考えますと、一括指定 した場合の法律違反というのは、営業の自由を侵害するということなんでしょうかね。 一括指定まですると。もしそうであるとすれば、営業の自由はあるけど、公共の福祉の 制限があるわけで、公共の福祉というのは国民全体の健康その他ということですから、 仮に一括指定したとしても、そこで文句をいうのはヤミ業者だけじゃないんでしょうか ね。イギリスでどんな訴訟があるのかわかりませんが、あんまりそれを気にする必要は ないような気がするんですけどね。  南野課長 一括指定の問題点として一つあげられるのは、構造式が似ているからとい って、有害性とか薬理作用がかなり違う物質があるのではないか。そういうものを一括 して、規制をする以上は罰則をかけないと意味がないわけですから、罰則つきで規制を かけていくというのは法律上妥当なのかどうか。罪形法定主義という原則もありますの で、この点は今井先生に御説明いただいたほうがいいのではないかと思いますが、有害 性が同一でないものまで同じような形で罰則つきで規制をかけていくのが適当かどうか という問題点が一つあるのではないかと思います。  今井委員 私も化学は詳しくないので、資料9に基づく説明を聞いてよくわかったの ですが、基本が同じでも人体に対する有毒性というか、そういう薬理作用が違っている 時には、そういったものを広く売ってはいけないという営業規制をかける、行政規制を かけることは許容されると思います。そういうことをして処罰する時というのは薬物の 名前はともあれ、こういう種類の薬物を使った時に人体に共通の害悪が生じるというこ とでなければいけないと思うので、一括指定をして、化学式が似ていても、一つは有害 作用があって他方はそうでない場合が出てくるのであれば、すべてに網をかけて処罰の 対象とするというのは刑法理論ではきついかなと思います。  和田委員 脱法ドラッグ問題の本質は、イタチごっこが終わらないという言葉に象徴 されると思うんですが、基本骨格が同じでも側鎖をどんどん変えていけばどんどん新し いものが出てくる。個別のものに規制をかけると、また側鎖を変えて新しいものが出て くる。それを解決するためには一括指定しかないと考えます。現在の法体系および法を 尊重する考え方から難しいところがあることは十分わかるんですが、ガラリと発想を変 えて、安全性が証明できれば、その薬物についてはきちんと使っていただく。一括指定 しながらも、場合によってはこの側鎖のものは安全だよという申告をしていただいて、 証明できれぼ、どんどん使っていただく。正反対の考え方は法的には可能なんでしょう か。  今井委員 それは可能だと思います。薬として使っていいかどうかという許可の対象 として一括指定で薬物をあげて、その上で申請に基づいて、毒性がないものは落として いく。使ってはいけないという行政命令をかけた上で違反していたら処罰ということな ら可能かと思うんですが、ここで言われている一括指定というのは指定をして、それに 違反したら即、直罰ということではないかと思うので、それは日本の法体系では早すぎ る規制ではないかと思います。  合田委員 安全性を証明することができないので、薬は難しいと思います。人に対す る安全性というのは、結局、誰かが食べてみないとだめなんですね。  佐藤座長 まだ御議論いただいてないのは、個別物質ごとに指定する個別指定なのか、 あるいは薬事法でいう人体の構造・機能に影響を及ぼす目的という目的性で包括的に規 制するかということですが、個別性というよりも薬事法の目的性をもってというのが皆 様の共通の認識かと思います。それでよろしいでしょうか。  三輪委員 薬事法は目的で決まりますから、一括もへったくれもない、全部投網がか かるわけですね。私が申し上げたのは、薬事法規制なら少しテコ入れすれば今すぐにで もできる。少なくとも理論上は今すぐできる。それをやりながら、個別規制になるか一 括規制になるかは別として、ハードルの高い麻向法方式のものを並べて考えていくとい うことで、二者択一ではない、並行方式でやるということなんです。  合田委員 現場に近いサイドで仕事をしてますと、実際に踏み込む方とか県の方はど のように考えられるかというのをいつも考えるんですが、目的性で包括規制ができると いわれても、最前線の方は難しいと思うんですね。化合物にこれが入っていれば云々と いう状態になると取締りは楽になるんですね。名前が載ってるからこれが入ってるよと いう状態のほうが実効性が高いと思います。基本的には目的でいくけど、何らかの形で 具体的に名前もあがってたほうが実効性が高いと思います。  三輪委員 薬事法でいう人体の構造・機能への影響という目的は、物が決まらなくて もいいわけですよね。だけど物が決まれば、この物は人体の構造・機能を目的としてま すよということがもっとはっきりと言えるわけですよね。ですから決して除外する関係 ではないと思うんです。目的があれば、物がわからなくても薬事法では規制できる。わ けのわからない健康食品があるわけです。脱法ドラッグが入っていて売られていれば、 もっと明確に薬事法3号医薬品としての目的がはっきりするということだと思います。  今井委員 お二人の話を聞いていて、ほぼ同じような感想をもっておりますが、薬事 法の2条1項3号の目的でかけてしまって、うまく対応できるかというと、留保が必要 かと思います。2条1項3号というのは、まがいものの医薬品を売った時に、使ってみ てだまされたというだけで被害がないものもあれば、人体に被害が出るものもあれば、 いろんなものが入ってるわけです。そういったものを売るという川上の規制をしますの で、法定刑としても高くはない。3年、300万となってるわけです。  この目的の中に、いま対象としている麻向法に入れたいけど入らないものを入れてい くのは解釈として可能なんですが、法定解釈が必要です。行政の通知でも結構なんです が、ここにはこういうものが入ってるというのを明らかにして、その上で処罰対象とし ていかないと、ここに入ってますということだけでは不明確な取締りになってしまう危 険があるかなと思っています。  佐藤座長 私自身の考えを整理する意味でまとめさせてもらいますと、迅速に対応す るには、目的性による規制を基本にするべきだろう。物質指定による規定についても、 それに加味していく。包括指定、暫定指定というのは即処罰を伴うものですし、構造式 は同じでも有害性は様々だということですので、これを我が国へ導入するのは問題があ る。このようなことでよろしいでしょうか。  いろいろ建設的な御意見をいただきまして、主な論点の3つまで進めることができま した。予定の時間となりましたので、本日はここまでとして、続きは次回に議論したい と思います。本日出た意見については事務局で適宜整理をして次回提出していただくこ とにしたいと思います。  その他、事務局から何かありますか。  事務局 次回の検討会ですが、6月中旬をめどに開催させていただきたいと考えてお ります。  佐藤座長 それでは、これで本日の検討会を終了いたします。どうもありがとうござ いました。 (照会先) 厚生労働省医薬食品局監視指導・麻薬対策課 TEL:03(5253)1111(内線2761)