05/04/22 第8回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第8回 医療計画の見直し等に関する検討会                        日時 平成17年4月22日(金)                           10:00〜                        場所 厚生労働省専用第22会議室 ○谷口指導課長  ただいまから、第8回「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。委 員の皆様方には、本日はお忙しい中をご出席賜りまして誠にありがとうございます。本 日は、検討会委員の中で人事異動がありました関係で、新しい委員がご就任されておら れますのでご紹介いたします。大阪府健康福祉部長の納谷敦夫委員です。 ○納谷委員  納谷です。よろしくお願いいたします。 ○谷口指導課長  検討会委員の鮫島委員と古橋委員、ワーキンググループの河原委員と松田委員は欠席 です。それから、局長は国会用務のため欠席させていただいております。以後の進行は 黒川座長にお願いいたします。 ○黒川座長  議事に入ります。平成18年の医療制度改革について、この間からいろいろな意見をい ただいて少しいい方向が見えてきているのかという気がいたします。本日も、事務局か ら資料の説明をしていただき、皆さんにいろいろご議論いただきたいと思います。 ○針田医療計画推進指導官  本日お配りしております資料は、資料1、資料2、参考資料として3つの府県の医療 計画から抜粋したもの、それに加えて各委員からいただいた意見書等々を付けておりま す。 ○黒川座長  本日の議題は、前回からの引き続き「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計 画の見直しの方向性」ということで、指標についての考え方についてのご議論。それか ら、事前に事務局からお話があったのかもしれませんが、各委員から医療計画に関する 検討についていろいろご意見を伺えるかと思っておりますので、そのように進めさせて いただきます。 ○針田医療計画推進指導官  資料1で指標の考え方です。国が提示する全国共通した主要な疾病・事業の「指標」 についての考え方をまとめたものです。資料の中で疾患ごととか疾病ごとに出しており ましたが、その全体のイメージの形を出しております。  最初は住民・患者中心の視点で指標を設定してはどうか。  2つ目は、質の向上の実現に対応した視点ということで、これまで量的な整備目標に 重点が置かれていたようなところがありましたが、そうではなくて医療提供体制の質的 な観点を重視し、国民に対して良質かつ適切な医療を効率的に提供できる体制の構築に 向けた指標を設定してはどうか。  3つ目は、1つの視点で判断するのではなく、いくつかの視点をもって総合的に質の 高い効率的な医療提供体制の構築を検証する「指標」を設定してはどうかということを 挙げております。これは、国が公表しているものに基づき、都道府県においても住民に 対して「数値目標」を、同様の視点で検討していただいてはどうかをまとめてみまし た。  指標の考え方(疾病関係)ですが、これはいままでもお示ししていた内容とほぼ同一 のものであります。4つのカテゴリーに分け、例えば「予防・検診」であれば検診の受 診率、精密検査の受診率、保健指導実施率。例えば、高血圧や耐糖能異常の異常率みた いなものも指標には考えられるのではないか。り患率も書いてあります。  「リハビリ・在宅医療・ターミナル」のところでは、リハビリテーションの実施率、 要介護認定者率、往診実施率、訪問看護実施率、年齢調整死亡率、在宅復帰率、在宅看 取り率みたいなものが考えられるのではないか。  下線を引いたのは、既存の統計等で調べることができるものもありますが、将来的に は取ったほうがいい指標もあるのではないか。今は取れないけれども、将来は取ったほ うがいい指標があるのではないか、という視点でそういうものを用いております。すべ て率ということで申しておりますが、その分母となるのは対象の住民とか、対象の患者 を分母にしたもので考えてはどうか。  3つ目の「治療・診療」に関しては受療率、これは入院と外来があると思います。ま た、平均在院日数、合併症り患率、疾病の治療継続率というのは取るのがなかなか難し いですけれども、自己中断というのも実際あるやに聞いておりますし、そういう治療継 続率も1つの大切な指標ではないか。今は取れませんが、そういうものも大事ではない かと考えております。  疾病登録率では、例えばがん登録みたいなものも、部分的には可能な地域もあります が、まだオールジャパンでは厳しい状態にありますので、こういうのは将来的には取る 必要があるのではないかということで、指標の例として挙げております。  「医療提供体制」に関しては、診療可能な医師率、専門医率についても分母を考えれ ば、率という表現がいいのかということで、数ではなくて率という形で書いておりま す。  分野というのは、特定の分野とか機能によってその対象となる方々も変わってくると 思いますので、このような形に変えております。病床についても同じように、分野や機 能によって変わるであろう。施設率というのは、施設の数についても分野、例えば周産 期の数や小児の数、それも分野や機能によって変わると思いますので、そういうものも 検討できるのか。  往診可能医師率というのも、医師数ではなくて分母で割ったので率にしております。 「かかりつけ医」については、どれだけの地域の人たちがかかりつけ医をもっているの か、ということも大切な指標なのかと思っています。また、連携をとっている率も非常 に大切ではないかということです。基本的に、こういうものを各県で取っていただくと いうことは非常に意義のあることではないか、ということでまとめております。  次の頁は文献から取ったものです。よく、アウトカム評価というものが最近は評価さ れております。医療の質を評価するに当たり、構造、過程、アウトカムと3つの視点が あるのではないか。いままで、構造の視点、施設基準みたいなものもありますけれど も、こういうものを評価の題材にしておりますが、過程やアウトカムの視点も大切では ないかということで文献から取ってきております。  「過程」では、どのような医療を提供してきたのか、というものを1つの指標として 用いています。過程の中の何かを指標に持っていくことは重要ではないか。「アウトカ ム」についてはその結果、患者はどうなったのかという視点ですが、この辺から指標を 取ることは意義があるのかと思っております。  「構造」の話では、地域特性、利用者特性、利用施設の特性、専門家の特性などがよ くいわれます。「過程」のところでは、入院日数、対象患者数、施設の件数、有床利用 率が過程の例として挙げられております。  「アウトカム」については、一般には死亡率がよく言われていますけれども、改善率 みたいなものもあるだろうし、患者・利用者の満足度みたいなものもあるのかと考えら れております。それを一覧表にまとめたのがこの資料です。  4頁も文献からですが、メリーランド病院協会で、急性期病院のClinical Indicator を、院内感染症発生率、ICUにおけるデバイスの使用率を医療機関においてやられて いるというのもあるやに聞いております。この辺は、後ほど長谷川委員から説明してい ただけるかと思っておりますが、こういうClinical Indicatorも最近検討されておりま すので、ご紹介させていただきました。 ○黒川座長  詳細な説明が資料1、いろいろな参考から取ってきたイグザンプル、例などについて 説明していただきました。資料2は長谷川委員が用意してくださいましたので、長谷川 委員からこれについてプレゼンテーションをしていただいて、それから議論をしたいと 思います。 ○長谷川(友)委員  本日の議論が建設的に行われるように、臨床指標やライフコースアプローチなど、あ まり耳なれない言葉が結構出てきているので、どんなものかを簡単にイメージできるよ うな話をしてもらえないか、というのが事務局からの依頼です。  臨床指標とか指標と出ています。これはどういうものかというと、ある状況とか概念 です。利益だとか、車を何台造ったかというのはすぐ見えるのですが、なかなか見にく い概念があります。それを何らかの指標で表すことができないだろうか。したがって、 その指標というのは概念を反映したものである。この設定の仕方が結構難しいというの が実際の状況です。  我々が議論しようとしたのは、医療の質、安全、行政の責任といった話なので非常に 見にくいものです。だから、その指標を設定しなければいけない。そうすると、概念と して良い検診を考える。それでは、良いというのは一体何を意味するのだろうかという と、例えばハイリスクの住民がカバーされる、技術的に安いとか、痛みが少ない。ある いは、感度、特異度というのは外れが少ないという意味ですが、こういうものが良い。  検診で見つけたけれども、患者が助からなければ意味がないので、やはり早期の患者 が見つかる。そうすると、最終的な予後が良くなる。こういうものを良いと。良いとい うのは、結局ブレイクダウンするとこうなると考えると、それぞれの指標というのは、 その良いものを何かと考えたかによって、指標の設定は当然変わってくるわけです。  例えば、仕事を持っている方、主婦の方、リタイアされた方々それぞれがサブグルー プですから、それぞれの受診率、技術評価、テクノロジーアセスメント、診断時に早期 の人がちゃんと見つかっているかどうか、長期のフォローアップの結果でもって結果を ちゃんと追跡しているか、というものが指標になってくると思います。  その指標の設定というのは、結構あちこちの国で苦労しております。設定に当たって の条件は何か、測りたいものをちゃんと反映していないといけない。全然違ったものを 測っていてもしようがないわけです。データ入手にあまりに金がかかるとか、手間暇が かかるとどうしようもない話なので、実現可能性がない。  ただ、ITが入るとかなり変わります。20世紀型は紙ですから、時間的なディレーが ある。しかも、サンプリングがどうしても必要である。ところが、ITになると瞬時に できる。しかも、電子化されていますから加工が容易である。全数が可能なので、21世 紀型のデータの収集というのは大きく変わる。統計学の教科書の書き直しも必要ではな いかと一部では言われています。あとは、測定したい状況が変わった場合には、それが 反映されないといけない。一定の感度を有しないといけない。こういうことが条件で す。  特徴としては、指標として受診率あるいは在院日数でも何でもいいのですが、これは 全国共通なのでいいのですが、それが良いことを意味しているのか、悪いことを意味し ているのかというのは地域地域によって違いますので、評価はローカルに、地域特性を 考慮して人がやらないといけない。  短期的な状況は測りやすいが、長期的な状況を測るには手間暇がかかって難しい。し かも、その中に短期的な状況が良ければ長期も良いという一定の仮定、例えば手術死亡 率が低い病院は、5年生存率、10年生存率も良いとか、全然証明されていないことがし ばしば仮定されてしまうので、その辺りは注意して見ないといけない。  死んだとか、感染を起こしたという悪い結果は出しやすいのです。本当にこの病院を 受けて満足したとか、行政のサービスに満足しているというものはなかなか出しにく い。これは、別の形で患者満足度調査でカバーしなければいけない。あくまで臨床指標 というのは1つの切り口にすぎません。  あとはデータ量の限界です。大きな病院でも、患者の数は高々知れていて1万人ぐら いです。そうすると1人、2人亡くなると結果はすごく悪くなってしまいます。でも、 病院の立地条件や機能からいうと、その結果の悪いことが予見されていても取らざるを 得ないという状況があります。こういうものを、ちゃんと斟酌できるような配慮が必要 だという問題があります。  ワーキンググループのほうで提案させていただいたのが、ライフコースアプローチで す。これを復習すると、各年齢で大きな脅威となる疾患を考える。ただ単に全部の年齢 を通しでやると、有病率というのは大体壮年から老年にかけてグッと上がりますので、 年寄りに多い病気が優先順位が高くなってしまいます。これだけでは、むしろ成人保健 や老人保健のアプローチ、あるいは生活習慣病のアプローチだけにすぎないので、これ では偏ってしまいます。  それぞれの年齢ということを考えると、周産期があるし、幼児期・学童期、青年期、 壮年期・老年期がある。したがって、それぞれの年齢で大きなリスクになるもの、とい う考え方をします。その疾病の選択というのは、日本全国共通のものもあれば、地域の 状況に応じて選ばれるものも当然あるであろう。例えば、外国人が多いと、それ特有の 病気もあるだろうし、高齢者が多い場合には高齢者の病気に重みを付けるといったこと が当然必要になってきます。  しかも、1個の医療機関だけの臨床指標での評価は既にかなりやられていますがそう ではない。地域でもって継続的にやる。継続的にといった場合に2つ意味があります。 あるいはネットワークとお考えいただいてもいいのですが、時間的な連続性と空間的な 連続性があります。ある病院ではどこの病院、あるいはどんな施設と連携しているかと いうのは空間的なつながりがある。1個の患者から見ると、それは時間的な連続性で す。この2つを含めて、継続的なケアの確保です。  しかも、情報整備と結果の効果というのは行政の責任です。行政は住民に対してある ことを約束するし、一定の評価を住民から受けていただきたい。そのキーワードになる のはITです。いま現在この情報を集めることができるとかできないからという形で判 断していただくのは、不適切であって、むしろ将来にわたってこれを目標にやりましょ うとお考えいただいたほうがいいと思います。  そこで提示させていただいたのが乳がんの患者です。いろいろなケアを受けるという ことで、だんだん経過が長くなって、最後は不幸な転機で亡くなってしまうということ で、シナリオはどうしても暗くなるという結果があります。  乳がんの治療をいくつかのステージに分けることができます。最初の検診ということ で、概念として一定以上の年齢の住民は主要ながんについてがん検診を受けることがで きる。これが望ましい状況です。そうすると、そこから自ずと指標は出てくるであろ う。指標にも、クロスセクションで、時間的にある一瞬だけを見るとがん検診受診率で す。さらにもう少し細かく見ると、サブグループ別なのです。ここまでは、それぞれの ステージごとにフラグメントとして取れる情報ですので、そこは比較的易しいです。  本当は長期になって、ある個人のステージごとに、個人の生活歴ごとに、例えばこの 人は2年に1回受けるべきだとなると、その個人がちゃんと受けているかどうかがつな がるような、時間的連続性というのは、おそらくその次に目指すべきものです。順番と しては、受診率、サブグループ別受診率、個人履歴という形の3段階です。それぞれの 望ましい概念を書くと大体こんなことになると思います。例えば、手術を受けるに当た って、大事な話ですからセカンドオピニオンを聞けるかどうか、あるいは病院選択可能 な情報整備があるかどうかというものが出てくると思います。そこに書いたとおりであ るし、ひょっとしたらもっと出てくるかもしれません。  これは繰り返しですが、各段階でそれぞれのあるステージ毎での指標がある。それの 情報を出せることが大事であるし、情報を出せたからには、比較と状況に応じての改善 が必要である。それは、情報を出して還元することにより、ある種の競争環境をつくっ て改善を図るといった考え方をしています。なおかつ長期的には、個人履歴の中に落と し込んで、発生ベースでの情報のリンケージという横の線でつなぐわけですが、これを 考えています。  こういう試みは、これまで施設に限られていたものから、地域・社会へだんだん広が りを持っているわけです。施設内での評価ができると、いちばん古いのは看護系と医療 系で争いがあるかもしれませんが、看護系の主張では、たぶん19世紀のNightingale、 医療系では1910年代のCodmanという外科医の評価。メリーランドの紹介がありました が、1985年からやっています。それ以外にも、指標を使ったベンチマーク事業というこ とで、オーストラリアですとAustralian Counsel for Health care Standard、日本で は全日本病院協会と東京都病院協会がやっている診療アウトカム評価事業、ハワイのH HIC、ICUの評価ではNational ICU Everetion Projectというオランダの事業など は代表的なものです。  そこからさらに拡張して地域まで行くと、アメリカにHMOといって保健組織が700 ぐらいあります。それの評価指標として、NCQA(National Committee for Quality Assurance)でやっているHEDISといった評価指標もあります。  これは病院の例ですが、多くの病院が一定の指標に基づいてデータを出す。しかも、 そのデータは公開されると、医療の現況がどんなものか社会がわかるし、病院は自分の 位置づけがわかるから改善のインセンティブができる。患者にもその情報を出して、イ ンフォームドコンセントを取ることができる。  これは、メリーランド病院協会の組織図です。メリーランド病院協会は、Center for Performance scienceという会社を持っていて、各種の病院団体に病院が申込みをする。 そうすると、病院団体で、何とか病院という名前を外して非匿化してCPSへデータを 送り、そのデータを還元するといった形になっています。  これは地域(HEDIS)の話です。HEDISには大体数百項目の評価指標があり ます。それでHMOにデータを出すことを求めて認定を行うという形になっています。 そのデータのカテゴリーは、ケアの効率性、アクセス、満足度、利用度、費用、情報提 供と選択、あとは記述的な概要といった形になっています。  これは、ケアの効率性の部分だけを抜き出したものですが、予防注射をやっています か、検診をやっていますか、妊娠初期のケアをやっていますか、禁煙指導をやっていま すかという形で出しています。  もう1つ、ここの会でも非常に大きなキーワードになる言葉が「IT」です。1999年 に出た有名なレポートに「To err is human」医療事故が非常に重要だということです。 IOMというのは、アメリカで最有力の医療系のシンクタンクですが、ここが書きたか ったことは何かというとCrossing Quality Chasmにあるように、アメリカのしかるべき 医療の質と、実際に受けている医療とは全然質が違う、でっかい断層Chasmになってい る。それを解決しましょうということです。  地域ごとに大事な病気を決めて、それに対して計画を立てましょう、これは実際には 医療計画です。あとは、電子化が決定的に重要であるし、お金と絡ませないとなかなか 質のインセンティブはできない。これは、アメリカ的かもしれませんがそう言っていま す。だから、Payment for performanceもそこでも出ています。2003年のMedicare近代 化法では、主要な疾患について治療成績を出した病院にはボーナスを実際に払っていま す。  あと、アメリカには、20以上の同じようなパイロット・プロジェクトがいま進行型 で、どのようなお金の支払い方がいちばん質向上につながるのかを、トライアルでやっ ています。昨年1月に、ブッシュ大統領が、アメリカの医療の大きな問題というのはI T化で解決するのだと。全米のどこでアメリカ人が医療を受けたとしても、自分のかか りつけの病院や医療機関のサーバーからデータを抜き出して、これを利用可能であると いう形に10年以内にすると発表しています。大統領委員会が、昨年6月にそういう報告 書も出しています。  それを受けて、1,000億円規模の非常に大きなIT投資の計画がどんどん発表されて いるのが現状です。例えば、カイザーパーマネントだと3,000億円ぐらいのIT投資を 発表しています。しかも、それは医療界だけではないのです。社会全体の共同が必要と いうことで、1個だけ挙げますと、これはLeapfrog Groupでロゴがカエルです。大企業 の福利厚生部が集まり、従業員たちに対して何をやろう、どんな医療を提供できるのだ ろうかということを考えています。  病院に対してアンケートを取ります。少なくとも効果が明らかに実証されているのは 3つあるだろう。コンピューターを使ったオーダーエントリーシステム、いくつかの代 表的な病気については症例数が多くて成績の良い病院を紹介しましょう、というのが Evidence-Based Hospital Referralです。ICUは、ちゃんと専門家が診たほうが生存 率は高いからちゃんといますか、という3つです。昨年からは、もう少し複雑なものも 使うようになってきました。  こういうデータをアンケートで集めて従業員に見せる。従業員に対しても教育する。 こういうデータがあるし、それに基づいて受診しなさい。あとは会社の懐具合で、それ に対して少しインセンティブを付けるという形になっています。  これは、ボストン辺りの病院を抜き出したものです。良い病院が多いので大体埋まっ て満月ぐらいになっているのですけれども、悪い病院だとそれが新月ぐらいになったり します。これの欠陥は何かというと、回答するしないは病院の自由なのです。ただ、社 会全体が、こういう形である種の良い医療を育てるのは社会全体の役割だ、という認識 の下に、もちろん経済的にいろいろなプレッシャーもあるわけですが動いています。こ ういう状況が非常に重要だと思います。  カエルさんは、アメリカ人がたまたま集まって作ったロゴですが、日本では何になる か知りませんけれども、たぶん将来は何らかの形で大きな取組み、特にITとお金と、 あとは行政の役割という形で展開するのではないかと思います。 ○黒川座長  2つのプレゼンテーションがありましたので、これを基にしてご意見をいただければ と思います。確かに、指標というのはなかなか難しいです。 ○信友委員  いままでの臨床指標は、良い医療はこうだということなのですけれども、患者の視点 からすると、こういうことはしてほしくないということです。だから、今回は悪い、い やな臨床指標を作ったときに、初めて患者の視点からの質の指標ができるのではないか と思います。  前回お話したように、救急で搬送されていくのを断られた率は福岡で何パーセントと か、こういうことを患者は知りたいと思っています。あるいは、その病院に行けば抗生 物質を使うときのフローチャートがあって、監視化に置かれているかどうか。いやなこ とはされたくない、リスクは負いたくない、そのための指標を示してほしいということ があります。いままでと違った発想の指標を作るかどうかが検討課題だろうと思いま す。 ○黒川座長  どのようにやるか工夫が要りますね。 ○尾形委員  資料1の2頁の指標の考え方、イメージというのは先ほどお話がありましたように、 ストラクチャー、プロセス、アウトカムという3段階について、かなり網羅的に示して いただいていると思うのです。イメージですから、あまりゴチャゴチャ言う必要はない のかもしれませんが2、3気づいたことを申し上げます。  1つは、長谷川委員のプレゼンテーションにもありましたが、NCQAのHEDIS の中でも、コストというのが重要な要素だと思うのです。ある結果を出すのに、どれだ けのコストがかかっているか。そういう意味では、医療費関連のデータみたいなもの も、当然指標として必要になってくるのではないかと思います。医療費だけではなく、 補助金などでどういう投資をしているかという、そのコストをどれだけかけているのか というところが1つです。  今回の医療計画の話、医療提供体制全体の見直しで、患者の視点を非常に強く打ち出 していることからすると、情報提供とか、本当に選択が効いているのかどうか。指標化 するのはなかなか難しいですけれども、そういう視点は必要だろうと思います。  それと関連して、いまの信友委員の話にも関連しますが事故、あるいは安全性といっ た観点からの指標も工夫していく必要があるのではないか。具体的な指標を作っていく のはなかなか難しい面がありますけれども、その辺は配慮する必要があると思います。 ○河口委員  指標についてでありますが、指標を公表するときはケースミックスインデックスのよ うなイコールフィッティングをして公表しないと、非常に重症度が高い所、あるいは地 域特性が反映されないままに、ある特定の地域のみ非常に成績が悪いとか、ある特定の 地域は非常に成績が良いということになりますので、こういう指標を考えるときに、ど こまでイコールフィッティングをするか。これを完全にやるのは難しいと思っておりま す。  例えばイギリスの例を言いますと、大まかに地域であれば、年齢と性別のみのケース ミックスで公表いたします、というのをはっきり言った上で指標を出していく。この辺 についても非常に大変なことでありますが、配慮したほうがいいのではないかと思いま す。 ○池澤委員  2頁の指標の考え方で、いまの話の続きです。これについては、日本病院会でいろい ろ検討しました。既に取れる指標としては、日常医療圏での救急患者比率ですが、これ は難しい面があります。救急患者とは何をいうかという問題があります。3日前から腰 が痛かったけれども、比較的すいている時間だと思うから夜来たとか、休みの日に来 た、というのは果たして救急患者か。それから、夜間や時間外に来て、薬だけ欲しいと う患者もいるわけです。こういうものをできるだけ除いた意味で、正確な救急患者比率 を作るのが1つです。  患者紹介率は既にできます。がん、脳卒中、心筋梗塞の死亡率も、重症度を十分平均 化した上での死亡率の取り方をしなければならない。脳卒中のADL改善率。それか ら、治療・診療のところにありますけれども、糖尿病合併症の発生率、糖尿病予防対策 の水準、小児救急の普及率については当面逼迫した、やらなければならない問題だろう と思います。もともとある平均寿命、医療コストの問題、検診普及率、検診の制度、追 跡調査の体制といった、これまでここに述べられていることを日本病院会でもいろいろ 検討してやりました。  特に、そのほかに地域特性ということを考えたわけです。それは、医療機関の分布 と、医師の分布の状況、人口密度、交通の状況。このごろはいろいろな交通機関が出て きて、思わぬ所から患者が集まってくるということが起こっています。これは、都内で も起きていまして、いままでは練馬区から東京医大への患者はそう簡単には来ませんで したが、いまは地下鉄一本でスッと来てしまうということでかなり増えています。地域 によって、交通機関のいろいろな問題があります。気象状況ということも考えなければ いけないのではないか。  特にお願いしたいのは、在宅医療の普及率です。ドクターが関係しているものとして は病院も関係していますけれども、在宅医療の普及率については是非とも指標として取 るべきではないか。  将来取るべき普及率としては、救急患者の比率によっての評価をどうするかというこ とです。これは、地域によって自己完結型の病院には、交通機関として救急車等を利用 せずに来てしまうということがあります。これは、昼間でも夜でも来る場合に、救急の 患者の比率に対してどのように評価して組み入れるべきであるかという問題。それか ら、脳卒中、心筋梗塞患者のQOLというものについても指標が必要だということで す。  真に必要とする専門医、例えば肝臓病やPTCAといったことのできるドクターの、 地域における必要人数はどの程度なのかということ。それに関連して、地域疾患登録か ら見たり患率、その他の統計が必要です。地域連携のパスの作成率、導入率も指標とし て入れるべきだろう。  ガイドラインの普及率、地域医療ネットワークへの、各種医療機関の参加率と関与状 況も、現実の問題としては必要なのではないかということを考えてもらいたいと思いま す。 ○長谷川(敏)委員  2頁の指標の考え方のところでコメントをします。ワーキンググループのペーパーの 中には書いてありましたが、こういう指標、評価を考える場合に、理念系の課題と技術 系の課題がある。理念系では、この指標を使って何を測るのかということですが、基本 的には3つのKである効果、効率、公平さを測るのがいちばん古典的であります。  今回の提案に関しては、基本的には効果を中心に書いてありますが、地域の医療計画 を考える場合に、やはり住民への公平さの課題や、先ほど尾形委員からご指摘がありま した効率の課題があるかと思います。ここには、効率の課題はほとんど入っていません し、局が違うようですので、医政局としてはお金の話をしにくいと理解しております。 実は、医政局内部でも議論できる課題があります。端的にはマンパワーとの関係です。  私も、病院の生産性の分析をいたしましたが、地域への看護師、医師の数の投入と診 ている患者。それも、きちんと患者の住所等を調整して分析いたしますと、そこの地域 全体の医療システムの効率性が測れます。単体の病院だけではなくて、地域全体という 試みをやってみましたが不可能でありました。  したがって、この指標の考え方は、もともと理念で地域医療計画は何を目指すのか、 効率を目指すのかという場合に、お金を用いてもいいのでしょうけれども、そこまで行 かないというのであれば、マンパワーの投入と生産というのは可能であります。  技術系の課題としては、既に河口委員からご指摘がありましたリスク調整ということ があります。重症度等のリスク調整が必要なのでしょうけれども、サンプル数が少ない とブレますので、かなりボリュームのあるものしか扱えないということがあります。い ちばん重要なことは、変化の可能性だと思います。前回の委員会で、がんの死亡率等の 結果が示されましたが、がんの発生率等、あるいは死亡率についてはほかのファクター もある以外に、変化には随分時間がかかりますので少し無理なのかと思います。  逆に、ここではほとんど構造的な指標は書かれていませんが、構造的な指標は比較的 変化が得られやすいものですから、そういうものを入れてみることが重要ではないでし ょうか。  3番目に、これらの理念系、技術系の課題以外に、具体的に政策もしくは活動系の課 題があって、つまり、これらの結果をどうフィードバックして、どういうインセンティ ブと結び付けるか。例えば、情報公開して、住民に知らせて選択してもらうというアプ ローチ。2番目には、補助金等を用いて、お金でその構造を変えるというアプローチ、 場合によっては診療報酬につなげる。理念系の課題と、技術系の課題と、そして政策系 の課題が挙げられると思います。 ○黒川座長  これは、いろいろな指標があって、何をどうするかという話と、コストなどいろいろ な見方があります。医療計画と臨床指標というところでちょっと包括的かということが 1つと、アプローチをどうするかです。おっしゃるように、政策的に何かするのか、あ る程度インディペンデンスというようないろいろな研究があって、それをどのように反 映させるか。新たに研究を始めるというわけでもないのかもしれないし、いろいろなア プローチがあると思います。  いま長谷川委員がおっしゃったように、ここのところでは予算が取れないなどという のは省の中の話だから、そのようなことは理由にならないという気がしないでもない。 しかし、縦割り行政の理屈というのは常にあるわけだからなかなか難しいのかもしれま せん。 ○信友委員  患者の視点からの指標化は難しいというのは、いままでやっていなかったから、ある いは測れそうもなかったからということなので置いておくことにしても、2頁にある指 標をも患者の視点から、住民が関心を持つためにはこの指標では無理だと思います。こ れは、提供側の話であればこの変動率です。検診受診率が、この3年間で隣の町と比べ てどれだけ上がったのか下がったのか変わらないのか、そのことによって提供がどれだ け意気込んでいるのかがわかると思います。変動率で示したほうがいいと思います。  もっとわかりやすい臨床指標で、ある地域でやっていたのは、糖尿病性の失明の発生 頻度が全国平均の3倍ではないかと。あるいは、動脈が閉塞して壊疽になって脚を落と すのが我が方は3倍ではないか、というのは住民にもドクターにもピンと来ます。ソワ ソワするような臨床指標というものをこの中から選べば、あるいはちょっと加工するこ とによっても出てくると思います。  最新の医療をやっているかどうか、例えば抗がん剤でも、降圧薬でも、この薬の伸び 率、あるいは患者を分母にとって云々という相対化するようなことをやっていても、最 新の医療に取り組んでいるドクター、病院がある地域なのかどうかがわかると思いま す。拠点病院などについては、行政でよくやるわけですけれども、例えば脳卒中拠点病 院が、二次医療圏で発生する脳卒中患者の何パーセントを収容しているのか。その数字 を持たないものだから、拠点病院があるから安心だと思い込んでしまっています。数値 化して、住民がおかしいではないかと。拠点病院なのに拠点病院として動いていないで はないか、税金を何に使っているのだ、というように住民がソワソワしてくるような指 標の工夫を、この2頁にあるものからもうちょっとすれば、すぐにも患者の視点からの 医療計画という新しい世界が広がってくるということで期待が出てくるのではないかと 思っています。 ○黒川座長  この議論全体でしている第5次医療計画と、いわゆるいままでの二次医療圏と日常医 療圏のコンセプトというのは双方前進していると思うのです。そういうフレームで、医 療計画と指標をどのようにしていったらいいかという議論に今回はフォーカスしている わけですか。 ○谷口指導課長  委員からいろいろご意見をいただきましたけれども、我々事務局といたしましては、 ワーキンググループのご提案も踏まえながら、基本的に医療計画の中において、今後は ベッド規制だけのような量的な面、それはそれで大事なのですけれども、それ以外に質 的な面で、本当に地域において何らかの良い方向性での医療提供体制がどういう形でや っていけるのか。最終的には、そういう質の面での数値目標というか、目標値を設定す ればいいのではないかと考えています。  その数値目標を立てるときに、例えばここにズラズラと書いております指標が、場合 によっては1つで数値目標になり得るものも当然あるかもしれませんが、いくつかの数 値目標を考え合わせながら、この地域においては自分たちは独自で、複数の指標からよ り高次の目標を立てようという考え方もできるかもしれません。そういう意味で、参考 になる指標を自治体にお示しすればいかがかという視点で、我々はこれまで考えてまい りました。そのためのお考えを、先生方にいただければとワーキンググループの先生方 にもお願いし、今回プレゼンテーションしていただいているようなところもあります。  少なくとも指標は、そういう形で地域において自治体では例がありませんけれども、 住民の方々と一緒になって、最終的には限りある資源の医療機関、検診機関それぞれを 含めた医療提供体制が一緒になった診療ネットワーク、連携を組んでいただいた上で、 みんなでどういう目標をそのグループでちゃんと提供できるのかというために指標を立 て、最終的な目標を作っていけないだろうか。そのための指標であるという位置づけを 我々はしているところです。 ○田中委員  いま課長が言われた、地域単位の指標という視点はとても大切です。個別の医療機関 の機能評価ではないわけです。個別の医療機関の評価になればいくらでも指標は作れま す。むしろ地域ごとに、こういう考え方で作りなさいという意味では、長谷川委員がH EDISの例を挙げられましたが、こういう考え方で指標を作れと言ってあげないとい けない。一個一個の指標の例を挙げていくと、病気ごとに無限にできてしまいかねない し、患者のニーズでいえば自分の病気にしか興味がないとすれば、自分の病気の指標が ないのはけしからんということになりかねません。  そうではなくて、これは地域単位の評価で、そこが地域包括ケア体制に向かってどう 努力しているかが大切ですから、指標は別に網羅的である必要はなくて、地域を表せる ように網羅的な指標がうまく組み込まれていればいいわけです。  作っていくプロセスでは、最初はいろいろな例があると言って100出して、100作っ て、その中からこの20があればほかの80はこの20で代表できる、というように絞ってい かないと、これもないあれもないという考え方をしていると、指標作り自体の効率性が すごく悪くなってしまうので、指標作りの資源投入の効率性が必要です。したがって地 域に示すべきは、こういう指標を作りなさいという個別の事例をあまり挙げてしまうと 混乱するので、コンセプトを提示するというプレゼンテーションは大変よかったです。 そちらが大切であると言っておかなければいけません。  介護分野で、情報開示の標準化の取組みを2年間やってきましたけれども、最初は皆 さんの意見を拾うとものすごい量の開示指標の候補が出ます。あとは議論していくと、 これはこちらで代表できるということで落としていけます。そのプロセスも組み込んで いく必要があります。 ○土屋委員  これは、医療計画の記載事項の中にきちんと盛り込むということなのか、あるいは指 針の中にこういうものを入れていって都道府県に示すということですか。 ○谷口指導課長  医療計画の中に、細かい指標を一つひとつ例示するのは無理だろうと思っています。 田中委員がおっしゃいましたように、考え方ぐらいですと、計画の中のどこかに書き込 めると思うのです。その考え方に基づいて、各自治体が地域で、さまざまな医療機関と 相談していただきながら、こういう指標を作っていただくという形に持っていける、そ ういうものを医療計画の考え方として書くのかと思います。確かに、モデル的な医療計 画という形で、こういうのが少しぐらいは例示としてありますという意味で指標を出し てもいいのかと思いますが、そんなにズラズラ書くようなものではないのだろうと思っ ております。 ○黒川座長  なかなか難しいのですけれども、長谷川委員はどう思いますか。資料1にいろいろな 事例があるのだけれども、そういう事例をやるにはそれの基になる研究成果というのが もともとあるわけではないのですか。それをやってみるとどうですか、という基本のデ ータがあるのかという話をしないと、例示をして出ても、それがどういう役に立つの か、もともとどこかで検証されたものがあって、だからポリシーに反映させるかという 話がないと、やって予算を使ったのだけれども、それでどうしたという話になりはしな いですか。 ○長谷川(友)委員  エビデンス・ベスト・ヘルス・ポリシーです。 ○黒川座長  そうなのですけれども、ステップがね。 ○長谷川(友)委員  田中委員がおっしゃったように、指標は全く網羅的である必要はないです。それがゆ えに、ワーキンググループとしては代表的な疾患について、その代表的な疾患の根拠は ライフコースアプローチの各年齢層における主要なリスクである。それについて記述を すれば、あとは推し量ることができるだろうと。ここは全然証明されていないのです が、そういう考え方をとっています。  少なくとも、実際に我々が遭遇する病気というのは、上位の20か30で、大体全患者の 5割です。それを考えると、上位の6なり10を記述することができれば、非常に大きな 波及効果があるわけです。当然ある病気に対応する能力というのは、施設ベースでも地 域ベースでも、ほかの病気への対応能力をある程度反映すると考えれば、たぶん選択の 妙といいますか、その辺りの感覚が非常に重要になってくると思います。  実際にこれは誰が作るのかという話になると、例えば標準的なものをいくつかプロト タイプを作る。あとは、地域に応じてそれにプラスアルファで、あるいはいろいろな形 の改変や付加をしていただければ、最初はそれがいちばん実際的ではないかと思いま す。 ○黒川座長  いままでの、公募型の研究みたいなものをある地域でやっていて、だからどうしたと いう話の予測されるような研究というのはされているのですか。ちょっとあることはあ ると思うのですけれども、そういうベースがなくてここで議論していても、あれこもこ れもと言ってくるとね。基になるようなものが全然なくてやる、そこで行政としては、 それをやることによって何をしようと思っているのですか。そこに予算を付けてやれば しますというのか、予算を付けるからやってくれというのか、それは何かあるのです か。 ○谷口指導課長  基本的に医療計画の策定と、それを実現するための施策というのは都道府県の責任で すので、基本的には一事務としてそういう位置づけをしています。それをサポートする ために、国は今後は交付金とか、統合補助金という形での財政的支援とか、知恵を出す という意味での技術的支援というのは、当然国としてやるというふうに我々は考えてお ります。 ○黒川座長  いま長谷川委員が言われたように、いままでの厚生科学研究などでそういうことがい ろいろやられていて、これはこういうので実施に移すのに、二次医療圏でこういうのを やったらどうかという話が、いくつかのイグザンプルでやって、これはこうだったから こうだ、という話のように政策がだんだん変わっていくという話をしていかないと、い つまで経っても何かやったのだけれども、それが全体に活かされるようなことにはさっ ぱりならない。  例えばIT化というのもよかったのだけれども、ITのツールなどはどんどん変わっ てきます。前にカルテのIT化とかやりましたが、あれはどうなったのですか。その反 省や分析、なぜうまくいったのか、うまくいかなかったのか。相当なお金を使ったわけ ですけれども、その反省をどうやって生かすかという工夫はどこかにあるのですか。た ぶんないのではないかと思います。またやろう、ということで予算を付けてきて、うま くいかないのではないかという気がしています。 ○谷口指導課長  基本的にこれまでの研究ベースもありますが、完全にはヒットしていないために、た ぶん1、2年かけて厚生科学研究と、その定期的な研究者の方にお願いし、これからの 考え方に基づいた研究もやっていただこうと思います。ただ、研究成果が出てから動く のではなくて、その研究もやりながら進めていきたいという発想です。  前回の会議でもお示ししましたが、今年度、来年度辺りは厚生科学研究等で研究して いただいて、本格実施は平成19年からやるとしても、そういう研究も続ける。ただ、そ れを待っているのではなくて、走りながら、できるところからやっていきます。取れる 指標で評価するとか、新しい指標が出てきたらそれを加えていくということです。  参考資料1、参考資料2、参考資料3を付けさせていただいております。いろいろな 県がいろいろ試行錯誤しながら、いろいろな医療計画を作っておりますので、その医療 機能調査ということでやっております。新潟県は参考資料1ですけれども、これは平成1 3年3月です。いろいろな疾患ごと、地域の状況などを挙げております。先駆的に頑張っ ております。疾患ごとのものもやっています。  参考資料2は静岡県ですが、これは随時更新されています。医療計画は5年に1回で すけれども、そうではなくもう少しきめ細かくデータを公表していくべきではないかと いうことで、最近できたものをインターネットに公表しながら住民に情報提供していま す。参考資料3は大阪府ですが、疾患ごとにかなり細かく出ていますが、ホームページ で住民に提供されております。  自治体もこのように努力しておりますし、国も成果を取り入れながら考えていきたい と思っております。 ○長谷川(敏)委員  座長の御下問ですけれども、予防分野では膨大な研究がされております。県単位、二 次医療圏単位で死亡率と、がんの受診率等でどうなっていたかの評価、あまり影響なか ったとか言いながら、結論みたいですけれども。ただ、医療サービスに関してはほとん どこれまでやられておりません。英語でヘルス・サービス・リサーチというのですけれ ども、諸外国では公衆衛生の主流ですが、日本の公衆衛生ではそういうことがやられず に大変遅れている事実があります。  私どもで若干やり始めた結果を見ますと、意外とデータがあります。既に集まってい る官庁統計を使うと、かなり医療の質等が測れます。例えば、各地域における有集積 性、例えば、がんの診療行為がどの施設にどのぐらい集まっているかという類のことは 分析できます。いままで出たのを斜めに透かしてみると結構できますので、ご心配の向 きはあまりないのではないかと思います。  ただ何度も申し上げますけれども、理念系と技術系は何のためにするのかということ と、できるのかということを往復するような作業が大変重要であります。むしろそのデ ータを見ながら、あるいは、もともと行政の目的に振り換えながらという作業になるの ではないかと思います。 ○池澤委員  先ほどからの議論を聞いていて、1つ本当に抜けているのではないかと思うのは、例 えば3、4年前のデータと、去年あるいは今年にかけてのデータとでは大きくくるって くるのではないかという気がするのです。基本的には、医療提供体制の側のシステムが うんと変わってしまって、簡単に言えばドクターの標欠の病院がだんだん出てきている ということです。大学病院ですら、教授がいなくなってしまう。そうすると、麻酔科が バラバラになってしまって、30〜40年前に戻って、各科で麻酔をかけるというような状 況にまでなっている可能性もあるわけです。  私が申し上げたいのは、焦眉の急としてやらなければならないことは、現在の医療提 供体制がどうなっているのか、というデータを医政局はしっかりつかんだ上で方針を立 てて、計画を立てていただかないと、これまで何年間かの平均在院日数だ何だかんだで 単純にやっても、実際にはそこでのスタッフが減ってしまっているということです。 ○黒川座長  そこでこの計画も言っているのだけれども、来年か再来年というと、それぞれのステ イクホルダーがあるから、うちはこうだ、ああだこうだとなるから、5年先がどうなる か、10年先はどうなるかというビジョンがないからこういう話になって、毎年毎年同じ 議論を繰り返して、なんとなくそちらを毎日集まって話をしているからそれで終わって しまうという話になるのかという気がします。そこで、まず池澤委員に10分間お願いし ます。 ○池澤委員  「医療計画に関する今後の検討課題」についてというプリントをご覧ください。初め に、どのような地域包括的医療提供体制が組めるのかということです。地域完結型の医 療計画の目指すところというのは、地域における病院、診療所、福祉施設のみならず、 いろいろな医療関係機関の職種的な、有機的連携というようなもの、つまり継ぎ目のな い地域医療ネットワークの構築ということだろうと思います。  そのためには、先ほどもちょっと申しましたが、現行の各病院で設置している、地域 医療連携室というのが、まだまだ個々の医療機関内の活動にとどまっているというのが 実情であります。これは、行政もしくは営利法人、非営利法人による広域の医療連携セ ンターというものの設置が必要だということが1つです。  それと同時に、それぞれの地域における医療機関の現状把握ということを徹底して行 政がやる必要があるだろうという点があります。その上で医療圏ごとの資源、それは施 設、機器、人員の目標を設定するということをしなければ絵に描いた餅です。そのほか ここに7つほど書いてありますけれども、こういうことについての管理を広域医療連携 センターがしっかり把握するということが1つです。  その次は、まず医療機関別に、実質的に現在提供できる医療内容はどのようなものか を認識する必要がある。在宅診療で提供できる医療内容は何か、診療所の提供できる医 療内容は何か、小規模病院で提供できる医療の内容は何か、大規模病院では何か、急性 期診療を扱う病院ではどういう内容を提供できるかということです。  そこで、日常医療圏で求められている医療の内容は、ここにある2つの問題が主な問 題であります。1つは予防医学的な医療ということで3つほど書いています。潜在する 疾病の発見、生活習慣病予備群の模索と予防、生活習慣病患者の生活指導と生活習慣病 の調節。  それから、要治療患者に対する医療としては、救急診療体制、一次、二次、三次の救 急体制の再編成ということがあります。さほど緊急性のない時間外診療に相当する患者 への診療体制はどうするのか、というのは先ほど申しました例ですが、そのようなこと があります。  もう1つは、症状のある患者の診断・治療、治療に要する疾病をもつ患者の治療とい うことについて、きちんとした体制を組んで、チーム医療と医療連携をやっていくこと が必要だろうということです。  そもそも、これらは医師が充実している地域で可能となる体制であって、まずは地域 の医師不足の解消に向けて打開策を実行すべきではないのかということが前提です。殊 に、夜間救急の際の医療スタッフ不足は、早急に対策を講じなければならないというこ とがあります。さらに考えられる対応策は次のとおりです。1つは、各医療分野におけ る専門的医師の増員、各分野診療の標準化と体系化による質の確保、包括的あるいは全 人的医療という観点からは、個々の患者に対するチーム、あるいは連携診療の推進と診 療を調整する仕組みの構築、あるいは主治医的医師の育成ということをやってきていま す。  4番目としては、直近の現場に起こっている問題です。休日・夜間に小児救急患者 が、二次救急医療機関に来診している問題です。前回辺りか、その前に出しましたが、 これは数字で言うと緊急で入院が必要なのは5%程度なのです。多くは一次救急で対応 可能なのに、直接と二次あるいは三次救急に来るという事態が起こっています。その結 果、二次救急医療機関の医師が疲弊しており、開業医志向が強くなって、現在小児科の 開業医はかなりの数が増えています。これはみんな30代から40代の前半であるという、 いちばん働き盛りが開業してしまうという特徴があります。  このごろの診療所は夜間は診療をしていない傾向があるので、これについては病院は 勤務医不足の悪循環があるので、地域住民は近くの診療にかかるよう行政が教育する一 方、患者も近くの診療所に行くように心がける必要があるのではないだろうか。こうし なければ、どうしても病院は小児科がますます悪循環を起こして、小児科医が足りなく なるということが起こるのではないか。これは地方・地域に応じて病診連携をとるか、 協力体制をとるか、輪番制にするかなどの完結できる方策をとるべきである。  5番目として、地域によっては医療機関完結型で十分な医療が提供されている所が数 多くある。そこでの問題点が今後の構築に役立つと思われます。  次は前回から資料に出していました「がん・脳卒中・急性心筋梗塞・糖尿病などのネ ットワークの在り方」です。これについては拠点病院から患者の流れという図式が考え られていますが、現行の医療機関が、これらの疾患に関して何ができるかを上げて、ネ ットワークを作っていく必要があるのではないか。生活習慣病に対しては一次予防が基 本で、次が二次予防、三次予防というように効率的に地域完結型の医療ネットワークの 構築がいちばんいいのではないかと思います。また、患者の多様な要求、やはり自宅 で、或いは自宅近くの医療機関にかかりたいという申し出に対して、専門医によって巡 回診療を行うなどのネットワークに、補助的な仕組みの導入が望まれる。拠点となる病 院の体制をどう考えているのか、これをしっかり反省して総括していく必要があるので はないか。つまり地域医療拠点病院です。その現状把握ができているのかという問題も あります。  民間病院がこのネットワークに参加していくという場合には、将来かなり生じるかも しれない不利益、つまりドクターの交替などによって、診療体制の維持ができなくなる ということや、そういうことを含めての不利益を十分に考慮していただきたいというこ とがあります。さらに、これまで挙げられた周産期医療やへき地医療といったもののほ かに、心臓手術、不整脈、特に心房細動対策、大腸疾患対策、肝臓疾患対策、呼吸不全 対策などを加えてくれるように望みたいと思います。  そういったことで、日常医療圏ごとに発生するがん、脳卒中、急性心筋梗塞、糖尿病 などの治療成績の評価体制は全国的に共有化していく必要があるのではないかと思いま す。大体そういったことが、私が当局に提案したい点です。以上です。 ○黒川座長  ありがとうございました。時間もありますので、ずっと伺って、まとめの議論をよろ しくお願いします。それでは佐々委員よろしくお願いします。 ○佐々委員  これは医政局のほうからこういう問題をどう考えるかという宿題をいただき、その項 目についての意見です。ですから、先ほどの池澤委員のお話になった項目と、大体同じ です。前回の3月28日の検討会に参考意見として出されたもので、今日の資料を見ます と、資料1の2頁に、かなり我々の考え方が入ってきているような気がします。それで は資料を読ませていただきます。1.地域にとって意義のある地域包括的医療提供体制 の構築に関する提言。1)必要な医療提供の構築には、ワーキンググループが提案した ように主要疾患を中心に、一定の地域における正確な疾病調査が不可欠である。この疾 病調査に基づいた提供体制の確立を考えなければならない。一定の地域とは、現在の二 次医療圏ではなく交通網の検討も含めた日常の生活圏を反映させたものが適切である。 救急医療の観点からは1時間以内に当該施設に救急搬送できる範囲とすることが適当で あろうと考えています。  正確な疾病調査を行うためには、診療所も含めた全国一律の基準に従った主病名登録 の制度化が必要である。当面、ICD10による分類が適当と考えられます。今回の医療 計画の見直しを契機に、日本の正確な疾病統計を作るという行政の強い意思決定が必要 であり、その実行のためには診療報酬や情報基盤整備等の積極的な施策が必要である。 この行政の強い意思決定というのを、特にお願いしたいと考えています。  2)医療機関の機能分化が進められていますが、一定地域内の各施設の機能は、自由 競争の中で各々が医療の状況と将来展望の中で決定したもので、地域で必要な提供体制 との整合性は必ずしも図られていないと考えています。各施設の機能の公表は現行の内 容では大雑把すぎて、他施設・利用者には利用が困難です。現実には小都市、町村以外 では十分な機能分化を意識した病病・病診連携は点や線レベルのもので、一定地域の面 での包括的な連携はなされていないと考えています。  各施設ごとに専門とする主要疾患、科目別常勤・非常勤医師数、看護単位のみならず 実働看護師数、病院全体の在院日数、救急対応、連携のための担当者の配置、訪問診 療、訪問看護等の在宅対応に関して行政が調査し、機能分化の実態把握を行う必要があ ると思います。この結果は種々の媒体を通し、各医療施設及び市民に公表されるべきで あります。  3)医療提供体制構築においては、公が民を不必要に圧迫しないように最大の注意を 払うべきであります。国公立施設は近隣に担当する医療施設がない場合を除き、国が定 めた独立行政法人化の理念に従い政策医療を主体に行うこととし、民間施設が中心とな る医療提供体制の確立を行うべきであると考えます。この場合にも、政策医療は、医療 内容を基準として、その範囲を明確に定義することが必須である。従って、政策医療は 施設単位ではなく提供する医療の内容に応じて評価しなければならない。  2.主要疾患におけるネットワークのあり方。主要疾患については各年代ごとの疾病 負担を考慮して決定すべきであります。全年齢を対象とした場合には、いわゆる生活習 慣病のみが選択されることになり、乳幼児、小児期、若年層に多い疾患への対応がおろ そかになる危険があることに留意すべきであります。具体的には3大死因、3大生活習 慣病、寝たきりにつながる疾患としての骨粗しょう症・認知症、小児・周産期医療、救 急医療などが挙げられます。ネットワークの構築にあたっては、移動距離などを考慮し た地域での展開、疾患ごとのケアの継続性の双方を考慮すべきであります。また、複数 の疾患を有する患者への対応について考慮する必要があります。検討会の示した模式図 では、ネットワークの横軸(距離)、縦軸(時間軸、疾患のステージに応じた継続的ケ ア)、複数疾患への対応について、不明瞭な部分があると思います。がん治療について は外科的治療・化学療法・放射線治療、緩和ケアが一体あるいは一定地域に集約できる 体制の構築を原則としますが、緩和ケアについては地方市町村などでは必要に応じ診療 所の利用も考慮すべきであると考えます。脳卒中については外科・リハビリ・長期療養 ・介護が一定地域において密接に連携することが必要ですが、現状では施設に温度差が あるということがあり、一施設におけるケアの提供も考慮すべきかと思います。施設介 護については、地方市町村においては診療の利用も考慮すべきかと思います。  急性心筋梗塞については外科・血管内治療の可能な循環器・リハビリが一体あるいは 一定地域に集約できる体制とすべきです。4番目に高血圧、糖尿病、高脂血症、骨粗し ょう症、認知症などの疾患を対象にして、ネットワークとチーム医療の観点から、医療 従事者の生涯教育体制を整備し、その充実を図るべきである。  3頁の3.地域医療の評価について活用すべき指標。(1)指標は地域の健康水準に 関する指標、(2)疾患の各ステージにおいて、適切なケアが提供できているかを明ら かにするための指標に大別される。また、これらの指標に基づいてデータが得られる体 制整備がなされているか否かもあわせて評価されるべきです。以下にその代表的なもの を列挙します。  出生時よりの健康管理及び診療内容などの個人の健康状態、受診歴を登録するシステ ムの確立。健康管理のための啓蒙教育(栄養・運動等)について、その実施回数・参加 者数。EBMに沿って作成された検診内容とその受診率、脳・心臓・食道・胃・大腸・ 肺・乳房・子宮・前立腺・骨量等。主要疾患新規登録患者数、疾病罹患率、死亡率、治 療目標値の設定と達成率。主要疾患の診療に関する調査により、急性期・亜急性期・長 期療養に関する標準的入院期間・入所期間の設定と達成率。提供体制構築の目標値の設 定と改善計画。全国平均との差違のある機能については改善計画の策定と実施時期の明 示。健康管理、医療介護に関する費用対効果の判断基準の明示と住民満足度の調査の実 施等が挙げられると思います。  4.医療計画の策定と実施に関連する医療・介護施設のIT化。いままで述べてきた ように、正確な疾病統計の把握をはじめ医療の実態を適時・的確に掌握し、国民に信頼 される医療政策を行うためには、質の高い情報を効率的に収集することが必要でありま す。そのためには医療の標準化を推進するとともに、標準的な医療情報システムの構築 が急務です。標準化および基盤整備は国の責任において行うべき事業であると考えてい ます。先ほど長谷川(友)委員のレクチャーにありましたが、IT化については医療・ 介護提供の効率化と資質向上につながると共に、財源の有効な配分にも利用でき、ひい てはIT関連事業の振興にもつながってくる。さらに、世界で最も安く最も高度な提供 を行っている日本の医療・介護に関して、これらのIT化されたシステムとともに、発 展途上国の制度作りに提供すれば、国際協調にも大きく寄与するものと考えます。IT 化に当たっての国のリーダーシップ、国の予算を用いてのIT化事業は種々の角度から 見た費用対効果の点からも早急に押しすすめるべきと考えます。以上です。 ○黒川座長  ありがとうございました。ここに書いてあるとおりかと思います。次に豊田委員から お願いします。 ○豊田委員  これまでの検討会でいろいろ意見が交わされた件について、私から意見を述べたいと 思います。1、医療計画の見直しの方向性、1つの理念ですが、この見直しにあたっ て、住民・患者の視点に重点をおいて、特に都道府県に自主性・裁量性を発揮させると いう方針が、随所にあり、地域格差の問題も考えれば各都道府県の特性を踏まえた医療 計画が行われるこの方向は、非常に評価に値すると思います。  また、主な疾病ごとの保健医療提供体制の整備ですが、これは国と都道府県が役割を 分担しながら、主要な疾病ごとに数値目標を掲げて実施するという構想は、住民・患者 にとって非常にわかりやすいもので高く評価されます。従来こういった計画が出ても、 なかなか一般の人にはわかりにくい、関係者の間だけに流れていた形からすれば、こう いう例をとりますと住民にとって非常に関心を持って地域を見直せるという意味では、 画期的なことであると評価します。  都道府県が構築する診療ネットワークが提案されていますが、この構想も患者を中心 に医療機能を重視した診療ネットワークということで、新しい発想です。このネットワ ークが実際に機能するためには、核となるのは「かかりつけ医」機能の整備と、ネット ワークに参加する医療機関とが相互の医療の機能について十分に共有することが欠くこ とのできない条件になります。「かかりつけ医」とは一般に「気軽に相談できる身近な 医師」をイメージすればいいと考えられますが、地域によって違います。全国的にみる と、やはり全国津々浦々に展開している診療所の先生方がまず第一に考えられますし、 近隣の日常生活圏内の中小の病院にいつもおられる先生ということが考えられるわけで す。そういったかかりつけ医と期待される先生方が、実際に住民から相談を受けた場 合、根拠を持ってそれなりの正確な情報を提供しなければなりません。そういったこと で、非常に相談には気軽に応じてくれるけれども、自分の専門以外のことに情報が少な いという先生もおられるわけなので、こういうネットワークを動かすためには、かかり つけ医の機能を強化する。そのためには都道府県は医療機関ごとの医療機能を正確に把 握して、かかりつけ医やネットワークを構成する医療機関に、いつでも情報を開示でき る情報面での支援体制、例えばデータバンクのようなものを整備しておくことが欠くこ とのできない条件だと思います。  また、ネットワークを円滑に動かすためには、かかりつけ医機能が非常に大事である と同時に、主要な疾患を想定してネットワークを構築するというからには、やはり核と なる医療機関がその中に存在しなければ、有効に機能しないと思います。  次に医師の偏在の問題です。地域格差の非常に大きな問題です。我が国の医療提供体 制における地域格差は、この点では全く未解決です。医師の問題を取り上げますが、医 師に限ったことではありません。医師、薬剤師、医療従事者全般に言われますが、とり わけ医師をはじめとするこの要員の問題は大変に深刻で、この検討会が医療計画で5年 ごとに開かれる。そうすると、将来の遠い先のことを議論しても、実際的ではない。5 年、10年の期間でものを考えなければいけない。こういった場合に、実際に日常毎日そ ういう状態が起こっているわけですから、そういうスパンで考えますと、これから医師 の養成数を増やすのだということを、ここでみんなでそうだと賛成してみたところで、 実効性がない話です。実際に現在の不足の状態を踏まえてどうするかということになる と、そこには国と地方の役割があると思います。まず国としては、医療法、診療報酬に おいて要求される医師の標準について、これは現在全国一律で行われていますが、地域 ごとの充足率を勘案した計算式、例えば基準病床数も地域に応じて、多少数が違ってく ることがあります。そういった地域ごとの充足率を勘案した計算式の法整備を考えるこ とも必要だと思われます。また、地方においては現在実際におられる要員で不足を補う システムを考えなければならない。増やすという話ができない以上、今いる人たちだけ で何とかしなければならない。特に救急医療における診療所医師と病院医師との協力体 制の構築、地域における医療機関の機能を明確にした上での連携が急がれることかと思 います。  5番目に、専門医の少ない診療科における救急体制です。昨今、小児救急がマスコミ などでいろいろとりざたされて社会的に問題になっていますが、何もこの問題は小児科 だけの問題ではありません。例えば内科、精神科などいろいろな科で夜間診療、救急診 療に対する病院医師の過労が、ここには「消耗」と書いてありますが、「疲弊」という ような言葉のほうが適当かもしれません。実際に夜間診療を行う救急診療で疲れきっ て、病院を辞めたいという医師が出ていることも、珍しいことではありません。こうい った現実があります。しかしながら、治療を要する患者が来院すれば、病院はそれに対 応する責務があります。しかし、医師不足による十分な対応ができないのであれば、地 域の医師の力を借りるしかありません。現在いる医師の力で対応するしかない。例えば そういう場合には、当該の病院で救急を扱っている病院での外来患者については、診療 所の医師が交替で対応し、病院の医師は救急患者や入院患者にあたるといったことも考 えられるのですが、これは行政の支援がなければできない話でもあります。これは真剣 に考えなければいけません。  6番に認知症患者の取扱いです。認知症は精神科領域の疾患です。患者は精神科病院 では厳格な法的手続の下で処遇されていますが、福祉関連の施設では法的規制はなく、 まさにこれは縦割り行政の結果で、同じ認知症の患者の人権が、行く場所によって別に なっているという、非常に奇妙な状態が我が国では起こっています。社会の高齢化が進 展する中で、地域における医療計画に認知症に係わる記載事項を設けるべきであると考 えます。  最後に交付金、補助金、政策融資、診療報酬です。今回地方の裁量権を重視して、地 域の特性に合った医療計画を作るということで、国が支援して交付金、補助金、政策融 資などが重要な役割を果たし、その自由度をできるだけ高くしてあげることが大事だろ うと思います。また、医療機関への補助金等は、公立、民間など開設主体にかかわら ず、地域における政策医療、必要な医療を提供している医療機関に対して出されるべき であると考えます。また、我が国の医療制度は、医療提供体制の整備と診療報酬が両輪 になって動いています。常に提供体制の整備をする場合には、診療報酬とのバランスを 考えながら制度を作らないと、ただ規制だけに陥ることになります。  1つだけ追加させていただきますが、今後、電子カルテをはじめ、地域の医療情報の 活用がこのITの進展によってどんどん進んでいくと思います。しかし、この整備のた めにはご承知のとおり、多額の費用が必要です。5年後の医療計画の検討会では、おそ らくITということが地域医療計画の中心的な議題に上がってくると思いますが、その 間の整備については、それが進むような補助金、あるいは診療報酬といった面での配慮 を希望します。以上で私の意見を終わります。 ○黒川座長  ありがとうございました。それでは次に高津委員お願いします。 ○津委員  私から2枚の資料が出ています。歯科に関しては医療計画の見直し等へのかかわり方 が非常に難しい問題が1つと、その中でどういうかかわり方が具体的にできるか、それ はかかりつけ歯科医の機能ということ。歯科医師過剰と言われる中で、まだまだへき地 というか、離島の医療にかかわる問題を抱えているという3つの問題を提案して、こう いった医療計画で、どういう考え方で参加できるかということを示したいと思います。  最初に医療計画見直しにおける歯科にかかわる課題1)として、先ほどから主要疾患 でも問題になっている患者本意の医療サービスの基盤作りの中で、特定されている主要 疾患、または事業としてのがん・脳卒中・心筋梗塞・糖尿病・小児救急を含む小児医療 ・周産期医療・あるいは救急医療・災害医療・へき地医療という中で、なかなか歯科が かかわれないので、明確に示されていないのではないかという感じがします。  例えば具体的には災害医療などは直近では中越地震等においては緊急性は次になるか もわかりませんが、歯科に関するチームが行き、それなりの効果を上げている。そうい うことも仕組みとしてできていないので、そういったところのかかわり方ができるか。 へき地医療に関してはまた後ほど事例として挙げさせていただき、少しお話したいと思 いますが、なかなかかかわり方がうまくいかないという課題があります。  そういう中で、地域の日常医療圏という中では、3)に日常医療圏の中で地域の歯科 だけでなく、医療機関の相互の連携にかかわる歯科医の機能評価というものを含めた機 能が、どういった機能を持っているかということの啓発がまだまだ組織としてはできて いない。ここのところが地域の中でのかかりつけ歯科医としての機能を充実させる、そ れが今いちばんやりかかっているのは病診の連携、歯科とのかかわりの多い内科、ある いは他科との診診連携というところの仕組みが少しずつはできています。これはきちん と協調してやっていかなければいけないかと思います。今日の資料の中で、2頁で指標 の考え方の中であるように、かかりつけ歯科医として、どのぐらい地域の人を持ってい るか、あるいは連携と称しながらどのくらい利用しているかという目標値は、かなり具 体的にできるかと考えています。いちばん地域医療計画の中で、参加できるのがかかり つけ歯科医としての機能、在宅医療も含めたそういった参加の仕方があるかと思いま す。  3番目の小さな課題になりますが、離島医療にかかわる問題として、具体例として長 崎県の事例から問題点を提言したいと思います。前回か前々回か忘れましたが、長崎 県、あるいは佐賀県、福岡県の沖のほうの離島の問題が縦割でなくて横の問題という課 題もありましたが、長崎県だけでも歯科にかかわる離島医療の問題に関して、少し課題 を述べさせてもらいたいと思います。1番目としては、へき地医療対策の補助事業にお いて、へき地医療の拠点病院等に歯科医師の派遣などの体制や環境整備ができていない ということです。2番目に、離島の中の無歯科医地区に対する支援体制がへき地支援機 構、あるいはへき地医療の拠点病院、へき地診療所などで考慮されていない。3番目に 長崎県における離島へき地医療支援体制で、歯科の問題を検討するような環境がほとん どないということです。  4番目に、長崎県で把握されている離島における無歯科医地区での歯科保健活動、特 に予防等を含めた活動、あるいは地域福祉などの活動体制が構築されていない。5番目 に遠隔医療システムとしてのTV会議、あるいは症例検討会などのシステムの整備が図 られようとしているが、歯科についての整備は検討されていない。第9次のへき地保健 医療計画の基本的な考え方の中で、へき地医療に関心を高めるような、いま問題になっ ている卒前、あるいは卒直後等の臨床教育が重要視されていますが、こういったものが 長崎県においては臨床実習を行う拠点がない。以上のような課題を踏まえ、下に結論と して離島医療に関する問題で、常時活動を行う離島・へき地医療支援センターに、歯科 関係者の配置の必要性があるのではないかということを提言したいと思います。  2番目に、離島の中核病院やへき地医療拠点病院に、歯科の整備の必要性がある。こ れは離島の中でも普通の診療所はありますが、二次医療を担う所、あるいは予防等をや る所の拠点がないということです。3番目に、へき地保健指導所などへの看護師と同様 に、歯科衛生士の派遣などが法整備の必要があるのではないかということを提言して、 医療計画の中に参加できればいいと思います。 ○黒川座長  ありがとうございました。では日本薬剤師会から山本委員お願いします。 ○山本委員  私からは地域医療提供体制における薬剤師、薬局の役割という点について意見を申し 述べたいと思います。お配りした資料は、これまでこちらで発言したものを整理したも ので、前2枚が文章になっており、3頁以降は事務局からご提示いただいた資料を借用 し、イメージ図を作らせていただきました。最後にデータを少し載せていますので、後 ほどご覧いただきたいと思います。まず、これまでの整理ですが、現在進められている 医療計画の見直しにあたっては、患者を中心とした診療ネットワークを日常医療圏で作 っていこう。特にかかりつけ医を中心とした新しい地域完結型の医療提供体制を目指す ということが示されていますので、そういった点から言いますと、現在地域の患者に対 して医薬分業率といえば4月時点の集計値で51%強、約半分の患者が医薬品を外来の患 者は地域の薬局から提供されています。特に医療の中で医薬品がいままでは物として考 えられていましたが、むしろ物の域を超えて医療手段の1つとなったといっても、言い 過ぎではないと思っています。そうしたものが地域の中で薬局を通して提供されている という現状を考えると、現在検討されている日常医療圏における診療ネットワークを考 えたときには、その中でも薬局、あるいはかかりつけ薬剤師が医療提供をする医療職 種、あるいは医療提供をする施設の1つとして位置づけられる必要があるだろうという ことで、3頁にあるようなイメージ図を考えてみました。  また、3月28日の検討会の中で、54頁の表ですが、終末ケアを含む在宅医療のイメー ジ図という中に示されてあったわけですが、その中の薬局を活用して、終末期における 患者へのケアを考えるということがありましたが、実際に終末期のケアを考えますと、 例えば緩和ケアでいえば、麻薬を使うケースがたくさん増えてくる。しかも、特に地域 医療体制の中での在宅医療についての充実を図っていますので、そうした場合における 家庭内での医薬品の管理であったり、あるいは適正使用といったことについては、専門 家としての薬剤師、あるいは薬局のかかわりが重要であろうと考えます。そうしたこと を考えると、現在、全国で3万1,000の薬局が実際に患者のお宅へ出向き、薬剤訪問管理 指導ができる状態です。残念ながら麻薬小売業免許を有する薬局はまだ2万5,800、全体 の約50%にとどまっていますので、具体的に在宅医療を充実するという観点から医療提 供体制を構築するとすれば、日常医療圏単位でこうした在宅訪問薬剤管理指導、あるい は麻薬小売業といったものにかかる整備目標を明確に示して、それを全体的に、全国的 に整備していく必要があるのではないかと考えております。また、これはこちらの所管 とは少し離れてしまいますが、在宅医療が進みますと、医薬品を含めて、さまざまな医 療廃棄物が出てきますので、それをどうするか、医療廃棄物が発生することについての 視点も必要なのではないかと考えております。  また第6回の検討会では、医療計画への記載事項の案が示されたわけですが、その中 で、「医薬品、医療機器の提供体制」の一環として、「服薬状況の改善目標」を示すべ きだというようなご意見が出されました。現在治療上必要な薬について、少し古い調査 ですが、飲み残している患者の調査を、日本薬剤師会がしたものがあります。約63%の 患者に、医薬品の飲み残しがあります。特に高齢者になりますと、10%程度は飲んでい ないという実態がありますので、そうしたことについて、これまで十分に薬剤師は服薬 指導を通して、その服薬の必要性を説明したわけですが、今回の医療計画の中では疾病 ごとにそれぞれ目標を決めて、予防からその後のケアまでということを指摘されていま す。特に糖尿病等の生活習慣病については、なかなか自覚症状がないので、特に服薬が おろそかになりがちな患者が多く、入院中とは異なり、外来になるとこうした飲み忘れ が起こりやすくなります。したがって、指示どおりの服薬を守らせるというきめ細かな 服薬指導あるいは患者指導とともに、医薬品を飲まなかったことに伴って発生する合併 症等を予防する観点からも、こうした服薬指導は大変重要と考えています。したがっ て、これからはいままで以上に、個々の患者の療養状況に合わせた服薬指導をしてい く、あるいは服薬指導の結果を医師に連絡するという連携体制をとることが、日常医療 圏の診療ネットワークの中で、大変必要なことであろうと考えています。  また第7回に、「救急医療」あるいは「災害医療」のイメージ図が提示されました。 実際にはその中に薬局が位置づけられていないわけですが、一方で、夜間休日に関し て、全国的にその数字をみると36%の地域で、何らかの形で休日対応、夜間対応の医療 機関に対応した医薬品の整備体制をとっています。また、災害医療で考えてみれば、阪 神淡路以降、各地区、あるいは各都道府県でそれぞれ、かなり充実した防災における医 薬品の供給体制、あるいは薬剤師の役割や薬局の果たすべき役割が示されています。こ の先、この医療計画の中で具体的に救急医療、あるいは災害医療についての議論があり ますので、その中にも医薬品を供給する手段としての薬局、薬剤師について、明確に示 すことが必要ではないかと考えております。この後の議論の中で、当然さまざまな検討 がなされるわけですが、こうした点を踏まえて医療提供施設としての薬局の位置づけに ついて、明確な記載等をお願いしたいと思います。 ○黒川座長  ありがとうございました。これは前からいろいろな図についてもコメントをいただい たところですので、それをまとめていただいています。では今日の最後、福島委員か ら、健康保険組合連合会ということでお願いします。 ○福島委員  これまでの医療計画の見直しに関する全体の論議について、いろいろ私どもは日ごろ からワーキング組織内でも検討しているのですが、この際、とりまとめて報告させてい ただきます。現在検討されている医療計画の見直しの方向性については、すでにご案内 のとおりで、基本的かつ重要な考え方が明示されており、今後の医療計画のあり方とし て、特に我々としても異論があるわけではありません。ただ、見直しを実効性のあるも のとして、今後、特に強調しておきたいという点を2、3整理しましたので、ご報告申 し上げます。  1つは医療計画のあり方についてです。今後の医療計画のあり方としては、医療計画 の本来の目的である医療資源の効率的活用とともに、医療提供体制の改革を促すものと していただきたいということです。次に医療機能の分化と連携です。定着しつつあると された新たな病床区分の届出状況ですが、依然一般病床と療養病床の比率において、都 道府県ごとに見ると、かなり大きな格差が生じています。したがって、真に病床機能を 考慮した届出の見直しが早期に行われるべきではないかと考えています。  2つ目に、診療報酬上では急性期から亜急性期、慢性期ということで、医療機関の機 能に応じた評価が導入されていますが、医療機能の分化と連携を促進するためには、診 療報酬制度との関連を十分に考慮に入れた論議がさらに必要ではないかと考えておりま す。  現在県庁所在地や大都市において公的、あるいは私的医療機関が集中して立地してい ることにより、診療内容や高額医療機器の機能整備は言い過ぎですが、やや無意味と思 われるような競争で、医療資源の浪費が行われている現状があります。医療機関の統廃 合や建替え、あるいは移転整備にあたっては、医療機能の確保と連携の観点から、医療 機関の再編成が可能となるよう、その地域において十分な検討と調整が行われて決定さ れるべきではないかということです。  介護保険事業計画や障害者プランとの整合性のある連携を医療計画上、明確にすべき である。また、社会的入院等の解消に向けての対応策を講じる必要があるのではないか と思います。  次に住民・患者の視点に立ち、主要な疾病ごとの各医療機関の機能によって、柔軟に 対応する「診療ネットワーク」構想がここに提示されていましたが、ネットワークの核 となる「かかりつけ医」の定義がここでも論議になりましたが、明確になっていない部 分も相当あるということで、そのかかりつけ医の機能について、十分検討していく必要 があるのではないかと思います。  次に診療ネットワークを構築するにあたっては、日常医療圏ごとに都道府県が主催す る住民、診療に関する有識者、保健事業の実施者、市町村、医育機関や臨床研修病院の 代表などをもって構成されるという診療ネットワーク協議会(仮称)がありますが、こ の意見を基に検討する方向性が示されています。患者中心の医療の実現という観点か ら、この協議会の中には住民・患者、我々保険医療者も参画して、十分実態の意見が把 握されるようにすべきである。  3番目に、医療圏、基準病床数についてです。二次医療圏については主として一般病 床の整備を図るべく、圏域としての地理的条件や日常生活の需要の充足状況など、社会 的条件を考慮して設定するということになっていますが、現状では人口・面積規模で大 きな格差が各地域ごとに出ています。医療機関に関する圏域としての実感に乏しいとい う意見もあります。また、二次医療圏が一旦設定されますと、かなり長期間そのまま固 定されるという傾向にあるので、患者の受療状況に加えて、交通事情の変化、あるいは 市町村合併の動向、医療の進歩などを的確に把握して、二次医療圏を地域の実態に合う よう、的確に早急に見直すべきと、今後もそういうことだろうと思います。三次医療圏 については特殊な医療を提供する地域単位として、基本的には都道府県単位とされてい ますが、当該医療機能の整備にあたっては、特に大都市に隣接するようなケースについ ては、医療資源の効率的な活用の観点から、関係都道府県による密接な協議・調整の下 に、圏域を越えた柔軟な対応が必要ではないかと思います。いわゆる病床規制について は、医療費への影響への観点、救急医療やへき地医療など、不採算医療の確保、入院医 療の必要性を客観的に検証する仕組みが現在ではまだ未確立ということなので、引き続 き存続させる方向が示されていますが、ケースミックスの普及や医療の質の評価などの 環境整備がなされるまでは、現在の病床規制を撤廃することは不適切ではないかと思い ます。  最後に記載事項についてですが、第3次医療法の改正では、医療計画に記載を義務付 けられたいわゆる記載事項を実現するために、都道府県は医療提供体制のあるべき姿を 明確に提示するとともに、その責任、あるいはフォロー体制を具体的な仕組みとして構 築すべきであろうと思います。また、地域において優れて公共性の高い医療機関を医療 機能を発揮している民間病院などに対しても、施設整備等へのインセンティブが働く財 政支援のあり方等についても検討されるべきではないかと思います。 ○黒川座長  ありがとうございました。これで6人の委員の方々から意見を伺いまして、いままで の議論の基になって、かなり共通しているところ、特異なところ、書き方も似ていると ころなどいろいろあります。もう1つお手元に日本看護協会の古橋委員からのものもあ りますが、今日はご欠席なので次回に伺いたいと思っています。今日は時間もきてしま いましたので、私の不手際で申し訳なかったのですが、それぞれご都合もあるでしょう から、次回にまた続けさせていただきます。事務局で整理する材料にもなったと思いま すので、それを考えていただいて。古橋委員、鮫島委員からも精神科の問題などもあり ますので、そういうことを計画して、それをまた反映させて前向きなご意見を伺いた い。難しい問題であることは確かです。今日は評価の話もだいぶ出ていましたが、これ についてももう少し考える必要があると思います。それもワーキンググループがやった ところもありますので、それを是非活かせるようなことをしながら、田中委員の話もあ りますが、あれをすると全部出てきてしまい、何をするかというとほとんど実行不可能 になって意味のないことになってしまいますので、その点を踏まえて、事務局と相談さ せていただきながら、次回とさせていただきたいと思いますがよろしいでしょうか。  本日の議題は終了させていただくことにして、次回の日程その他について、事務局か らお願いいたします。 ○谷口指導課長  本日はご熱心なご討議をありがとうございました。次回は5月30日(月)15時です。 場所等についてはまたご案内をさせていただきます。内容については今日古橋委員から 出ている資料、またほかの委員から出していただければ、それを合わせてご意見の発表 を承りたいと思います。最初にご提示した指標の問題について、具体的に調査というこ とにもかかってきますので、その点についても考え方を事務局として示させていただき たいと思います。実務的になりますが、その辺もご議論いただければと考えております ので、よろしくお願いいたします。 ○黒川座長  それでは、今日の検討会を終わらせていただきます。どうも本当にご多用のところを ありがとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)