05/04/22 補装具等の見直しに関する検討委員会第3回議事録               補装具等の見直しに関する                検討委員会第3回議事録            厚生労働省 社会・援護局障害保健福祉部         第3回補装具等の見直しに関する検討委員会 議事次第           日時:平成17年4月22日(金) 10:00〜11:40           場所:厚生労働省専用第17会議室 1.開会 2.議事  (1)補装具・日常生活用具の範囲の見直しについて  (2)その他 3.閉会 ○伊藤座長  それでは、ちょっと定刻よりも早いようですけれども、出席予定されている委員の皆 さんお集まりですので始めたいと思います。  第3回の「補装具等の見直しに関する検討委員会」を開催させていただきます。  それでは、初めに、事務局から委員の出欠状況と資料の確認をお願いします。 ○高木専門官  着席のまま失礼させていただきます。前任の金子から引き継ぎまして、今回より事務 局を務めさせていただきます高木と申します。どうぞよろしくお願い申し上げます。  本日、坂本委員が御都合により欠席されておりますので、5名の委員の先生方に御出 席いただいております。  続きまして、資料の確認をいたしたいと思います。まず、表紙に会議次第が1枚、次 に、座席表が1枚、その次に、委員名簿が1枚ございまして、その後ろに資料1といた しまして、「第2回検討委員会での意見概要」という7枚のペーパーを用意させていた だいております。  更にその次に、資料2といたしまして、「補装具及び日常生活用具の定義案」という 3枚物のペーパーを用意させていただいております。  それと、委員の先生方には、前回、第2回の議事録を配布させていただいておりま す。先生方には一度お目通しをいただいておりますけれども、再度間違いないか御確認 いただき、もし何かございましたら、恐縮ではございますが、来週の月曜日、25日まで に事務局の方まで御連絡いただきたいと思います。最終的に御確認いただいた上、厚生 労働省のホームページにて公開させていただきたいと思います。  あと、委員の先生方の机には、前回同様ファイルを御用意させていただいておりま す。中身は、第1回及び第2回の際の資料となっておりますので、よろしくお願い申し 上げます。  配布資料は以上でございます。 ○伊藤座長  ありがとうございました。今日の議論は、「補装具及び日常生活用具の定義案」の資 料2が用意されておりますので、これを基に最終的な詰めの議論をしたいと思います。 今日の議論を踏まえて最終的な報告書をつくりますので、それが次回、確認ということ になりますので、今回は、要するに、本質的な議論は今日でおしまいということにした いと思います。では、資料2をごらんいただきたいと思います。  それでは、資料2の説明をお願いします。 ○江波戸室長  それでは、資料2の説明をさせていただきます。「補装具及び日常生活用具の定義案 」とございまして、これは、資料1に第2回目での検討委員会での意見概要をまとめさ せていただいておりますが、基本的には、この前回出ました御意見をこの定義案に落と しているものでございます。したがいまして、これを読み上げさせていただきたいと思 います。  まず、「補装具」でございます。 [定義]  次の3つの要件を満たすもの   1 身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害個別に対応     して設計・加工されたもの   2 身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一製品を     継続して使用するもの   3 給付に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)を要するもの  [定義に関する説明]   1)「障害個別に対応して設計・加工されたもの」とは、身体機能の補完、代替を     適切に行うための処方、選定に基づくものであり、またその使用に際しては、     適合や調整を必要とするものをいう。   2)身体に装着(装用)の「装用」とは、必ずしも身体に密着させるということで     はない。いわば装置使用という意味であり、障害種別に応じた多様な使用方法     を含む。   3)「日常生活に用いる」とは、人間として生活するために行う基本的な、各人と     もに共通に毎日のように繰り返される活動に用いるものをいう。   4)「就学」とは義務教育に限るものではなく、療育等も含めた広範な教育形態を     意味し、また「就労」も企業への一般雇用に限るものではなく、多様な働き方     を意味する。   5)「同一製品を継続して使用」とは、原則的には品目に応じた耐用年数の期間、     使用することをいう。  [付帯事項]   1)日常生活の諸活動の中から、特に「就学・就労」の分野を特記したのは、教育     と勤労の権利の保障に鑑みてのものである。   2)耐用年数以内に、不適合や破損などがあった場合は期間内であっても再交付で     きるものとする。   3)更生相談所については、定義の明確化に併せて(これは補装具の定義でござい     ます) 専門機関としてその機能の充実に取り組む必要がある。   4)補装具の適合判定には、医師のみならず、理学療法士、作業療法士、義肢装具     士等といった専門職が関わっており、このことにより、個別の障害に応じた一     定水準の補装具が提供されている。このような仕組みを、今後とも維持する必     要がある。   5)また、原則的に現物給付から補装具費給付に変更されることとなるが、これま     でと同様、完成した補装具が適切なものであるかどうか、最後まで保障するシ     ステムが必要である。   6)現行種目は歴史的経緯もあって給付されているところであり、今回の定義をも     って、それに当てはまらない種目を軽々に補装具の対象外としてしまうことは     避けるべきである。仮に補装具以外の制度で対応するとしても、次のような点     を十分に配慮する必要がある。       (1) 補装具以外の制度での対応となったものについても、種目として計          上するなどし、製品の開発、改良等に支障がでないよう配慮する必          要がある。       (2) ストマ用装具は、消耗品ではあるが生活必需品である。使用者に不          安を与えることなく提供できるように努めるとともに、経済的な負          担の軽減を図るための方策が必要である。       (3) 新たな品目を補装具給付種目とするかどうかは、その是非を判断す          る委員会を設置する等の対策が必要である。」   続きまして日常生活用具の方も説明させていただきます。 「日常生活用具」  [定義]  次の3つの要件を満たすもの   1 安全かつ容易に使用できるもので、実用性が認められるもの   2 日常生活上の困難を改善し、自立を支援し社会参加を促進するもの   3 製作や改良、開発にあたって障害に関する専門的な知識や技術を要するもの     で、日常生活品として一般的に普及していないもの  [定義に関する説明]   1)「安全かつ容易に使用できるもの」とは、選定や使用にあたって、障害者自身     や市町村職員等で判断ができるものをいう。   2)「日常生活上の困難」とは、補装具定義説明でいう日常生活上の困難をいう。   3)「日常生活品として一般的に普及していないもの」とは、一般市場では入手が     困難であり、当該障害を有する者が主に使うものをいう。  [付帯事項]   1)現行制度における対象者は、在宅の重度障害者とされているが、日常性の自立     ということに鑑みれば施設入所者であっても、自立支援等のために必要なもの     は、給付できるよう検討することが必要である。     また、障害程度につても制限を設けず、ケアマネジメントの活用などにより、     必要な者には給付できるよう検討することが必要である。   2)実用性のあるものを給付するためには、一定期間使用してもらい、その上で給     付の可否を決定できるようなシステムの検討も必要である。   3)現行種目及び価格に、その役割や市場価格にそぐわないものがあることから、     的確な見直しが必要である。     また、的確な見直しが行えるシステムを確立する必要がある。」 ということでありまして、前回、最後に座長の方から定義、それからその定義に関しま す説明、そして、広く今回補装具並びに日常生活用具につきまして、今後、十分に踏ま えるべき点ということで御意見が出ておりますので、それを現在付帯事項と称してまと めさせていただいたものでございます。これが次の報告の骨子になろうかということで まとめさせていただきました。  以上でございます。 ○伊藤座長  ありがとうございました。  それでは、まず補装具の定義案から確認をしていただきたいと思うのですけれども、 大体、前回、討議したことで出尽くしてはいるとは思いますが、一応、定義の3つの要 件について御発言願いたいと思います。御意見ございませんか。  皆さん、あらかじめごらんになっておりますね。よろしいですか。 ○樫本委員  2番の定義のところですが、日常生活というところですけれども、定義に関する説明 の2ページの「3)」で「日常生活に用いる」ということの定義の説明があるわけです が、ここの、「各人とも共通にほぼ毎日繰り返される活動」というところが、やはり市 町村の担当者の方がこの定義を見たときに、ちょっと迷う場合があるのではないかと思 います。「ほぼ毎日」というのも少しあいまいな感じがいたします。  それから、「各人とも共通に」というのも、少し混乱を招くような印象があります。 私、ここを「通常繰り返される活動」くらいにした方が簡単ではないかといいますか、 わかりやすいのではないかというふうに考えさせていただきました。この中には、今ま での議論でもありましたけれども、日常生活の中に社会参加も含むということでした ね。そうすると「ほぼ毎日」というのもやはり週に1回の社会参加という方も当然多い でしょうし、そういうときにだけ使う補装具というのも存在しますので、少し広い意味 の定義にかえさせていただいた方がいいのかなという、こういうふうに限定しない方が いいのかなと思います、いかがでしょうか。 ○伊藤座長  ADLとかIADLのレベルの話ですと、そういう意味で言えば、特殊なことではな いよという意味だと思うんですね。だから、もう少し簡単にすることは構わないかと思 います。  例えば、「各人ともに共通に」なんというのは取ってしまってもいいかもしれません ね。「人間として生活するために行う基本的な毎日のように繰り返される活動に用いる 」とかですね、そういうのでもよろしいと思うのですけれども。  要するに、今、先生がおっしゃったのは、障害のある方の側に視点を当てて、そこに 着目しているものですから、1週間に一遍しか外出しない人というような話ですね。だ けど、私たち普通の健常な生活をしている人たちは、毎日のように出るのが当たり前な わけです。社会参加というのはある意味で、共同体で生活している中で言えば、毎日出 ることが基本なんですね。だから、そういう意味では毎日のように繰り返されるという ことの中に入るんだろうと思います。つまり、ノーマライゼーションの考え方で言え ば、障害があっても毎日のように社会参加できるのが当然の権利ですし、当たり前のこ とですから…。もし、「各人ともに共通に」というのが気になるようであれば、説明文 のところを取っても意味は通じると思います。いかがでしょうか。ただいまの件に関し まして他に御意見はございませんか。「毎日のように」が気になりますか。 ○樫本委員  私はそういう意見ですけれども。  その前の部分もちょっと引っかかるのですけれども、前というのは「3)」の中で す。「人間として生活するために行う基本的な」というところですが、「人間として」 というのはいろいろなところでよく出てくる表現ですけれども、当たり前のといいます か、人間らしい生活というようなことで、ただ、これは当たり前のことで、ここに人間 としてというのをわざわざ入れる必要があるのかなと思います。 ○伊藤座長  それはWHOが提唱した考え方で、ICIDHが出されたときに、ディスアビリティ ーの説明で、人間固有の活動というような説明の仕方をしているんですね。そのことだ と思うんです、このベースになるのは。生物レベルの話ではないよということだと思い ます。「人間として」というのは当たり前だから取っちゃってもいいよということであ れば、取ってもわかればそれでよろしいかと思います。  「人間として」を取ってもそれは当たり前のことだから、それはわかりますね。 「『日常生活に用いる』とは、生活するために行う基本的な、通常」、樫本先生は「通 常」と言うんですけれども、ここは「毎日のように繰り返される活動に用いるものをい う」と、それでもわかるかなという感じがします。 ○樫本委員  そうすると、「人間として」というのを取りますと、そのあと、「生活するために行 う」というのがちょっとわかりにくくなるんですね。それで、そこのところを、「基本 的な生活」という言葉に置き換えさせていただくと、「基本的な」という言葉を前に持 ってきまして、「『日常生活に用いる』とは、基本的な生活、しかも通常繰り返される 活動に用いるものをいう」というふうに考えさせていただいたのですけれども、いかが でしょうか。 ○伊藤座長  あいまいになりすぎませんか。  樫本委員がこだわっているんですが、いかがですか。 ○黒田委員  新しい定義ですので、かえって説明がくどい方が私はいいかなと思っているんですけ れども。そして、多分、このままで何十年か行けるということでもないでしょうから、 説明として今の疑問が出てきた段階で少しこの辺りの解釈の幅を修正していくという、 ちょっとその点を担保しておけば、幾つかの、例えば、「人間として」というのは、確 かにちょっと聞いていて何か表現上の違和感を感じますけれども。 ○伊藤座長  定義の方の言葉ではなく、説明をどうするかなんですけれども。では、この辺でどう でしょう。「『日常生活に用いる』とは、日常生活のために行う基本的な、毎日のよう に繰り返される活動に用いるものをいう」、「人間として」を取っちゃう。  「ほぼ毎日」というのをやめたんですね。「毎日のように繰り返される」、今日の資 料を見ていただきますとそうなっております。「各人ともに共通に」というのは必ずし も必要ないと思いますから、それは削除してもいいと思うんですが、「人間として」も 違和感があるという御意見もありますし、樫本委員のこだわりもありますから、「日常 生活のために行う基本的な」ではどうですか。そして、「各人ともに共通に」を取っち ゃって、「毎日のように繰り返される活動に用いるものをいう」。ここでは、要する に、特殊なことをやっている人がいますね。そういう特殊な者のために必要だというこ とまでは保障できないよ、という意味なんだろうと思うんですね。その特殊なことが時 代とともに特殊でなくなればまた別問題ですから。  そんなことでよろしいですか。樫本委員、いいですか、こだわりは。「日常生活のた めに行う基本的な、毎日のように繰り返される」と。「人間として」も「各人ともに共 通」も取りました。 ○樫本委員  もともと補装具というのは「日常生活に用いる」、「常用」という定義が以前からあ るわけですけれども、最近、現場で判定に関わっていますと非常に迷うことがあるんで すね。今回、この委員会に出てから、この定義にのっとりながら、改めて考えると、本 当に該当するのかなということを考えさせる事例があるんですね。  例えば、最近、三輪の電動車いすを給付してほしいと、その方は、毎日使うわけでは ないんですね。通院だとか趣味でパッチワークとかパソコン教室に通っている、そこに 行くときにどうしても必要だと。両下肢の著しい障害の方で、屋内は何とか伝え歩きが できるんですけれども外が歩けない。そういう方が移動の手段として四輪の車、電動で はなくて、三輪の電動車いすが欲しいと、そういう希望がありまして、こういう定義に 改めてのっとりますと、通院というのは恒常的なものかどうかわからないんですね。腰 痛のために通院している、それから、パソコン教室とかパッチワークというのは趣味活 動ではないかと、そういう趣味のために使うものというようなことを考えちゃいます と、しかも毎日使うものでもないと、果たして該当するものかというふうに考えさせま すけれども。 ○伊藤座長  私だったら絶対出しませんよ。 ○樫本委員  そうですか。 ○伊藤座長  不適合ですよ。下肢だけですよね。それに電動車いすの必要性はないと言っているわ けですね。それに、社会参加の問題にしても、就学・就労ではないわけですね。だとす れば、常用として電動を出す条件はないと思うんですけれども。日常的にやっている業 務の中では、それはノーと言います。 ○樫本委員  どう判断していいか私も迷っているんですけれども。 ○伊藤座長  いかがですか。先生だったらどうなさいますか。 ○黒田委員  定義から伊藤先生がおっしゃった結論を引き出せますが、次の段階で、もう少し丁寧 に給付の適否の対象というのを当然一部取り扱いのところで出てくると思うんですね。 だから、電動車いすの給付対象、各補装具の給付対象の枠組みというのは、当然、例え ば、内部障害の人に補聴器の適用をするかどうかという、ちょっと極端な例にしておい た方がわかりやすいのでしますが、そういうような領域でまた検討せざるを得ぬところ に入ってくると思うんですね。  設例からいうと、もともと電動車いすの適用対象というのは、一応通知の中で出され ていて、実は、三輪の電動車いすの取り扱いは、あれは交付基準にもないので、かつて 厚生省に質疑応答で出したことがあるんです。四輪の電動車いすの対象になるんだけれ ども、どうしても三輪の方が便利で、なおかつ有効性がある場合にはOKかという質疑 応答があるんです。その中でOKなので、伊藤先生おっしゃったように、電動車いすの 対象であることを前提にして取り扱うと、だから、日常生活上の職業とか社会参加とい う前に、本来、使う対象かどうかという、そういうとらえ方がもともとありますね。だ から、新定義に対して、また、適応の範囲の詳細は検討されていくことだろうと思いま す。 ○伊藤座長  それは具体的に考えなければいけないですね。 ○江波戸室長  そうですね。 ○伊藤座長  前の、これまでの議論を踏襲しながらも、定義と合わなければ、それは調整しなけれ ばいけない、基本的には、今までの決まりの中では、それは多分イエスではないんだろ うと思います。  では別のことを。 ○黒田委員  これも多分定義に対する説明要件の方に入るのか、定義の修正になるのか、ちょっと 私も判断しかねるんですけれども、2番の「同一製品を継続して」というときに、今ま で、例えば、大腿吸着骨格構造義足を使っていたけれども、状況的に違うものに変えな きゃならない。意外と同一製品にこだわっていると、継続しては使いたいのだけれど も、大元から処方が違ってくるときに、先ほど樫本先生がおっしゃるように、現場とし て判断が同一ではないじゃないかと。 ○伊藤座長  でも、それは処方が変わるわけですね。 ○黒田委員  その処方の取り扱いの受け止め方をどこかで指示しておかないと、同じものでない限 りは出し続けられないというふうにとらえられないかなという懸念なんですね。私の受 け止めですから、いや、これで十分かわり得るということであればいいんですが。 ○伊藤座長  それは先生、付帯事項の2番の耐用年数以内に不適合や破損などがあった場合はその 限りではないんだという、不適合があるから処方が変わるんですよね。 ○黒田委員  はい。 ○伊藤座長  だから、不適合や破損などがあった場合は期間内であっても再考するんだよと。 ○黒田委員  なるほど、そういうしかけで。 ○伊藤座長  これは今までもそうでしたよね。 ○黒田委員  やり方としてはそうですね。 ○伊藤座長  ですから、一応耐用年数が決まっていますが、これは1つの目安ですので、その耐用 年数を超えてでも、新品同様によく手入れされて、使えればそれは使っていただく、使 えなくなればそれはそれで交換なんですが、その場合に、耐用年数以内でも、不適合が 起こったと、あるいは新たな技術の進歩でいいものが出てきたと、その方がずっとその 人にとってはいいということであれば、我々は新規に処方しますね。そういう範疇だろ うと思いますけれども。 ○黒田委員  それから、もう一つよろしいですか。  定義の説明の4番の「就学」ですね。「療育も含めた広範な教育形態を意味する」と いう、これも一応付帯事項とあるのですが、特に子どもさんの発達保障ということが出 てきておりますが、児童の場合の補装具というのは、今後とも大人と同じ次元でとらえ られるかどうかというところなんですね。例えば、難聴児童などは、むしろ今現在の身 体障害者の基準よりも少し低いデシベル辺りでトレーニングした方がはるかに失調状況 も改善されるし、言語習得も、知的発達も保障があるというのは、これは相当幅広く言 われていることですから、逆に身体障害者の領域になってしまって、補聴器を出しても かえって就学効果というか発達保障上の効果が少ないのではないかという御意見もある んです。そうすると、大人と子どもとの補装具の適用のときに、定義としてはこれでい くとしても、やはりこの付帯状況の中のここまで出しちゃいますと、もう一つ次の段階 なんですけれども、適用解釈のところで、そこら辺りがきちっと説明できるような構え をしておかないといけないし、逆に、そういうところまで広げられるのかどうかとい う、これは障害の範囲の問題になって、つまり、障害者福祉サービスの範囲を身体障害 者手帳のレベルを越えて考えなければならない時代に来ているのではないかと、特に子 どもの場合は、発達保障上というのを入れるとすると、ちょっとその辺覚悟をしておか ないと、本来、こちらの方が効果があるのに、ここで出しちゃって、意外と効果ないで すよと。  それから、同じく、特にこれは事例がわかりやすいので、難聴の場合に、普通我々耳 が不自由は、片方で聞くより両方で聞く方がはるかに効果がある。そういう場合には、 むしろ積極的にもともと両方で聞いているんだから、初めから2つ用意する、その方が はるかにお年寄りでも使いやすい。片方で、1個で保障するかという、その補装具の適 用上の問題、定義から次に応用につながっていってしまうんですけれども、これを見て いると、そういう幅も含めたところでとらえておかないと、逆に言うと、ものすごく今 より以上にシビアになっちゃって、支援ということで広げたいと、利用者が自由に選択 できるというイメージもあるんですけれども、かえって狭くなりはしないかという、そ ういう懸念を持つんですね。  それから、特に児童の場合は、就学保障なり、発達保障という領域になってくると、 従来の障害のレベルでは、切れないところにまで補装具の適用が及ぶかどうかという、 その辺をこれを見ながら感じたんですけれども、それはどう。 ○伊藤座長  ただ、定義は、これまでのものを束縛するものではないんですね。そういうのは実際 上の通知の中で、いろいろと条件付けはされておりますけれども、児童福祉法で出して いる内容はかなり幅広く取っているというのが実態ですね、現場ではそうですね。  原則的には、現在障害があるということが大前提で、その障害が今後の発達の中でど う変わっていくのかと、そのときによりよい発達を促すためには、少々オーバー目につ くった方がいいというところは、現場では私たちは認めています。  ですので、本来ならば、この程度でいいものなんだけれども、正しい発達を促してい くためには、もう少しプラスアルファして、きちっと支えるところは支えておこうと か、例えば、座位保持装置などではそのような形でつくっていますから、そういうのは 現場の判断でせざるを得ないんだろうと思うし、やるべきだと思うんですね。それは、 この定義でもって束縛しているわけではありませんから、どういうふうにそれを解釈し ていくのか、解釈の問題だというふうに思いますけれども。自立支援法との関係で言え ば、そういうことについてはより積極的な姿勢を持つべきだろうというふうに思います ね。 ○江波戸室長  今、黒田先生から、最終的には多分障害認定、障害の基準の方のお話でございます が、今回の障害者自立支援法案につきましては、障害の部分はそのままに持ってくると いうことでございまして、確かに、難聴者の方々からもう少し軽いところでの補聴器と いったような要望も私ども聞いておることは事実でございます。  更に、別に現在難病の方々をどうするかという考え方などございまして、その部分 は、今回の自立支援法案が出たときに書いておりませんけれども、また次の課題という ことで私ども受け止めさせてもらっております。 ○伊藤座長  ただ、これは子どもさんとちょっと違うと思うんですよ。子どもさんは現場の実態と して常に発達促進ということを念頭に置いて皆さん処方されているというふうに思いま す。どこも、多分先生のところもそうなんだと思うんですね。ただ、聴覚障害などの場 合に今の考え方で言えば治療的側面があるわけです、ある意味で。ですから、固定とい う側面ではなくて、それは耳そのものの聞こえからすれば固定かもしれないけれども、 脳の方の反応との関係で言えば、治療的側面があるわけです。  ですから、そういう意味で言えば、これは本当は医療保険の対象であるということだ って考えられるわけですね。そこのところはどういうふうに棲み分けるのか、今後の課 題だろうと思いますけれども。少なくとも今までの枠組みは変えないわけですね、この 定義でもって。ですから、それはそのままだと、それで、先生が言うのは、更に一歩進 めろと、そういうことですね。 ○黒田委員  そういうことです。 ○伊藤座長  そういう展望を、せめて自立支援法というならば、そういう名称にするのだったら、 もう少し積極的に出なさいよ、という意見だろうと思いますけれども。私もそれはその とおりだと思いますよ。お金をどうするかの問題はさておいて、いずれにしてもそうい うものが選択できるような、そういう方向性は追及すべきではないでしょうかね。 ○黒田委員  大人の場合の、これは非常にわかりやすいのでたまたま難聴を取り上げているわけで すが、特に肢体障害はそれほど障害認定上ずれは少ないのですが、目の障害とか耳の障 害に関しては、お年寄りの難聴などというのは極端に言うとすごくいいかげんというあ れですね。いくらでもおしゃべりできるのに、2級が出てきたりとか、これは判定に耳 鼻科の先生方のとらえ方の問題もある。  そうすると、そこはもうちょっときちっと整理をする。逆に、子どもさんの方は、確 かに医療の部分も考えられるんですけれども、自立支援ということの枠組みから考えれ ば、今後の発達保障、将来の、まさに社会参加をより促進するという意味では、そうい う枠組みの流動性をある程度含ませておいた方が、逆に現場の人たちがかえってそこの ところで対応しやすくなる。それは肢体障害の座位保持装置でも、混乱が起こったら、 そこらがきちっと説明が十分できないままに動いているので、勝手な解釈が失礼ですけ れども、動いてしまって、非常に有利に、例えば、家の中、自動車の中、それから学校 というのを平気でやっているところと、車の中は、そんなものは違いますよという、非 常に基準としてたくさんの判断基準ができてしまったと、それがどこかで今回整理をす る仕掛けは、種目を決めると同時に、その辺りの整理も当然平行してお願いしたいと思 いますが。 ○伊藤座長  では、いいですか、補装具の定義に関しまして、この説明と付帯事項まで含めて御確 認、内容的によろしいでしょうか。  それでは、続いて日常生活用具にまいりましょうか。定義に関しまして、御意見ござ いますでしょうか。 ○栗原委員  説明の方でもよろしいでしょうか。 ○伊藤座長  どうぞ。 ○栗原委員  説明のところの「2)」の「日常生活上の困難」についての説明のところなのです が、「補装具の定義説明でいうところの日常生活上の困難をいう」というふうにここで 定義しちゃっていまして、補装具の定義説明で日常生活上の困難とは何を差しているの かというのが実はございませんですから、ここは補装具の定義説明の「3)」の部分を 指しているのだというふうに思うのですけれども。 ○伊藤座長  そうですね、この場合。 ○栗原委員  そうですよね。ここでは、「日常生活上の困難」という言い方にはなっていないもの ですから、この困難をいうということではなくて、ここは別の言葉の方がよろしいのか なというふうに思ったんですけれども。 ○伊藤座長  これは日常生活のことを言っているんですね、きっと。 ○栗原委員  そうですよね。 ○伊藤座長  だから、日常生活の説明が、補装具定義説明にあるわけですよ。 ○栗原委員  そうですよね。 ○伊藤座長  日常生活活動ですね。 ○栗原委員  そうですよね。だから、困難と言いますか、先ほどの「毎日のように繰り返される基 本的な活動」のことを指すわけですね。 ○伊藤座長  それの困難をいう。 ○栗原委員  困難という意味ですよね。 ○伊藤座長  だから、補装具定義説明で言う日常生活活動をかぎ括弧にすればいいのかな。 ○栗原委員  そんな感じの方がいいような気がするんですけれども。 ○伊藤座長  「日常生活活動」と書きまして、「の困難をいう」と。ですから、「『日常生活上の 困難』とは、補装具定義説明でいう『日常生活活動』の困難をいう」。ちゃんと説明を してもいいんですけれども、同じ言葉で。「日常生活のために行う基本的な毎日のよう に繰り返される活動の困難をいう」と。 ○栗原委員  むしろそのぐらいの方がいいのかなと思うんですけれども。 ○江波戸室長  報告書の方にはそのように。 ○伊藤座長  そうですね。そのように。 ○栗原委員  あと付帯事項で、「1)」の「現行制度における対象者云々」と書いてありまして、 「施設入所者であっても、自立支援等のために必要なものは、給付できるよう検討する ことが必要である」と、「また」のところにも同じように「給付できるよう検討するこ とが必要である」と、前回の議事要旨などを見て、やはりそういう意見がそのまま入っ てくる形にはなるんですが、報告書の段階で、やはり今後の検討なんだという位置づけ でいくのか、あるいはもうちょっと一歩進む形で、必要なものは給付すべきであるみた いな表現にするのかということをちょっと思ったのですけれども。 ○伊藤座長  それは事務局としてはどういう意思ですか。 ○江波戸室長  ストレートに申し上げますれば、報告書でいただく際には、前回の議事にもございま したように、検討事項かなというふうにとらまえさせていただきまして、検討すること が必要という検討課題として。 ○伊藤座長  今後の検討。 ○江波戸室長  そのようにいただければというふうに考えましたが。そこをもう少し先生方それでは 甘いと。 ○伊藤座長  この委員会は、少なくとも在宅重度障害者というのは外そうというぐらいだったんだ から。 ○江波戸室長  議事録をずっと読ませていただきまして、2回御議論いただいた中で、確かに各先生 方、黒田先生から特に、垣根をつけるのはおかしいと、すべての先生からそのように出 ておりましたので、ここは私どもも、いずれこれは概算要求の段階でどのように処理を していくかというのは。 ○伊藤座長  いや、実態としては、すでにもう作られているのですから、そんなにお金の面で変わ らないと思いますよ。 ○太田委員  地域生活支援事業のルールも今回何らかの形で明確に。 ○江波戸室長  座長、ちょうど平成18年10月から日常生活用具が地域生活支援事業の中の市町村のあ る意味義務的な事業になりますので、その際、そこが御意見を踏まえて改正をしていく 時期かなというふうには考えられますけれども、今の栗原委員からございましたよう に、必要であるとするのか、それとももう少し前向きのところで出した方がいいという ことであれば、前向きのところで換えていただいて。 ○伊藤座長  これは「検討する」ではなくて、「給付できるようにすることが必要」でなければだ めなのです。 ○江波戸室長  よろしゅうございます。 ○伊藤座長  こう書いたってやらない市町村が出てくるわけですね。そういうところがあるかもし れないけれども、でも、基本的な指導としては、給付できるようにすることが必要であ ると。そして、障害者ケアマネジメントのことを言っているんですから、障害者ケアマ ネジメントで必要だというんだったら必要なんですよね。  皆さん、いかがですか、この「検討する」というのは取って(削除)しまうというこ とでよろしいですか。 ○黒田委員  もともと言い出したところとしては、当然だと思うんですけれども。発想の基が生活 をするということが前提であれば、施設も地域もという分け方で非常に、私らから見る と、施設生活者そのものの意識づけ、心理状況を悪くしているとらえ方をずっとしてき たわけですね。もっと言うと、うしろめたくて施設を使っている、そんなばかなことは ないので、社会福祉としてつくった施設を堂々と使えるようにするというのは、こうい うところからでも改めていかない限り、本来の、では、施設に住んでいる人は小さくな っていて、地域在宅で頑張っている人だけが自立しているのだというのは、私はそれは ばかなことだと思っていますので、どこで生活しても、やはり同じサービス、ただし、 それには専門家なり本人さんの意思を踏まえたサービスのありようというのがこれから の時代だろうと思いますので、ここの意見は、委員の先生方協同で、やはり書くとした ら必要であると言い切っていただきたいと思います。 ○伊藤座長  だから、2番はこういうシステムの検討も必要であるということはいいと思うんです ね。これはより積極的なところですから、(3)」だけ見直しは必要だと言っているん ですから、やはり1番も必要にしましょうよ。「給付できるようにすることが必要だ」 というような文言にしていただいて、いかがでしょうか。 ○太田委員  「定義に関する説明」の(3)」のところなのですけれども、例えば、「当該障害を 有する者が主に使うものをいう」という、「主に」というのは、例えば、介護者の利便 性という、それを包含しているというふうにとらえていいということですね。肢体不自 由の方についての支援にと。 ○江波戸室長  日常生活用具に介護のための用具も入っておりまして、その中には御家族の使うもの もありますからして、それは当然、そういうふうに考えても。 ○伊藤座長  これは当該障害を有する者がという、その主語は、その人のためにということだろう と思うんですね。そういう表現にしましょうか。「主に当該障害を有する者のために使 うものだ」と。要するに、ほかの人のために使ったり自分のために使うのではなくて、 当該障害を有する人、あるいはそれに関係する人が、その人のために使うものだという ことですね。いかがでしょうか。その方がわかりやすいんだったら、そのように。これ は付帯の説明ですので、定義の説明の「主に」というのを頭に持ってきまして、「当該 障害有する者のために」、この「者」というのは人のためになんだけれども、これは行 政の方は「者」でずっといくんですね。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  「者」というふうに書けば、ものじゃないからいいか。 ○江波戸室長  そこは先生、委員会の御報告でございますから、いわゆる役所用語でなくて結構です から、そこは。 ○伊藤座長  それなら「人のために」がいいですね。「当該障害を有する人のために使うものであ る」と。平仮名の「もの」と言葉になっちゃうと同じになっちゃうものですから、我々 は最近使わなくしているんですけれども、報告書を書くときに御配慮ください。 ○黒田委員  日常生活用具の一番最後「付帯事項」ですね、「3)」それから、その前に「2) 」、さっきの幅広い適用を実施すべきであるという、在宅施設にかかわりなくというと ころで、国の方の懸念は、どうしても財政上の問題とかということになるんですが、い ざ、日常生活用具に関して、ここに上げた的確な仕組みというのはもともとないわけで すね。ですから、この報告ではそれもつくりましょうと、では、どうやってつくるの か、では、更生相談所というものをまた使うのか使わないのか。例えば、地域支援セン ターのようなものを活用するのか、というようなところが出てくることによって、むし ろおのずと前提のケアマネジメントを含めまして、十分奥行きのあるものに私はなると 思うんですね。ただ、そういうものなしに、ほとんど担当者の自由裁量といったら言い 過ぎかもしれませんが、そういうことで日常生活用具が野放しになってきた経緯がある ものですから、装具の定義と日常生活用具の定義を明確にする、場合によっては将来的 に従来日常生活用具であったものも補装具化するような検討委員会というようなものを つくっていこうというこの中の発想である限りは、日常生活用具側にも、こういう見直 しのシステムというものをきちっと確立すれば、市長さんの御懸念というのがむしろ少 なくなるというか、払拭されるように私は思うんですね。是非、この見直しのシステム を、できれば私は従来ある仕掛けを更に発展するという意味で、更生相談所とか、それ から、補装具適合判定医であるとか、それから、国家資格の理学療法士、作業療法士、 義肢装具士という明確な形で福祉用具にかかわっている方々を、もう少し積極的に活用 していく、補聴器の場合でも、国立リハで十分そういう研修もやっておられますから、 そういうものもここで生かせるように配慮した仕掛けをすることの方が、むしろ自立支 援に非常に大きな貢献をするのではないかと思うんですね。だから、非常にコンサバテ ィブな従来のとらえ方の生かし方ではなくて、そういう人たちを積極的に生かすことに よって、むしろ自立支援にもっともっと貢献できると、私はそういう理解をしています ので、ここの見直しシステムというのは是非大きくとらえていただきたいと思っていま す。 ○伊藤座長  これはどうですか、「3)」のところは、種目及び価格なんですね。その言葉に全部 集約されていると考えれば良いのですが、補装具の方の「6)の(3)」に書いてある内 容を含んでいるわけですね、これは。 ○江波戸室長  はい、そうです。 ○伊藤座長  でも含んでいるように見えないんですよね。もうちょっと明確にした方が。私の方の 提案としては、日常生活用具のときに提案したと思うんですけれども。補装具の付帯事 項「6)の(3)」というのをこの日常生活用具の中にも同様に入れるという方向で。で すから、価格の見直しと新たな品目、その是非を判断するための委員会を設置する等の システムの確立が必要だと思いますので、これもここに入れませんか。どうせ入ってい るつもりで書いていらっしゃるのですから。 ○江波戸室長  はい、御指摘のような記述になろうかと思います。 ○伊藤座長  見直しというだけなものですから、価格の見直しはわかるんですけれども、それ以外 のことについては、見直しといえども新たな仕組みなものですから。そういうシステム をつくっていこうということでいかがでしょうか。  ほかにございますか。 ○樫本委員  また、ちょっと定義のところに戻るのですけれども、補装具の方はどんな方が使うと いいますか、身体の欠損とか、損われた身体機能という言葉が入っているんですけれど も、日常生活用具の方は、これは当たり前のことですけれども、障害者が使うというこ とですけれども、障害者という言葉が定義の中には入ってこないわけですね。それで、 付帯事項の「1)」のところで在宅の重度障害者と今までは対象がなっていましたが、 入所者というように少し広げていこうという、こういう中で、定義の中に、重度とかそ ういう言葉を入れないで、障害者という言葉を入れた方がいいのかなというふうに思い ます。そのときに、この2番の冒頭に、「障害者の日常生活上の困難を改善して」を入 れた方がいいのかなと、その場合、この「定義」の中身を見ますと、1番というのがど んなものか、2番というのが大体目的ですね。3番もこういう特殊なものであるという ような形からすると、この順番を2番を1番にして、最初に「障害者の」という言葉が 入ってきた方が、ここだけ見たときに、定義としてふさわしいかなというふうに思うの ですけれども、いかがでしょうか。順番も2番と1番取りかえるという。 ○伊藤座長  ただ、基本的にこれは補装具及び日常生活用具の定義なんですから、日常生活用具と いうのは、障害者が使う日常生活用具というのはどういうものですかという定義なんで すね。ですので、それは、まず道具としてどういうものなのか、そして、それがどうい う目的で使われるのか、それはどういうふうにして給付されるのか、補装具と同じよう な視点から定義するのが適当だと思いますがね。 ○樫本委員  そうですね。 ○伊藤座長  補装具の定義では、それがどのような目的を担うのか、そして、どのように給付され るのか、3つ次元の違う定義なんですよ、それと同じに日常生活用具の方もそろえてい るわけです。どういうものなのか、どういう目的で使うのか、どうやって給付するの か、そういう3つの条件で言えば、順序を変えなくてもいいのかなと思います。  それから、もう一つは、障害者というのは、大前提ですから、日常生活用具そのもの の定義ですので要らないのではないかと思うのですけれども。 ○樫本委員  そのときに、在宅の重度という言葉をあえて入れないで、障害者という言葉を付ける という意味があるのかなという、対象者を少し必要な方には出していこうという考え方 の中に。 ○伊藤座長  入れなくても出せるでしょう。いかがですか。 ○栗原委員  法律の77条の方の1項の第2号に、実は、今後市町村事業になります地域生活支援事 業の定義がされていまして、その中では、もともと聴覚言語機能云々と始まって、その 他の日常生活の営むのに支障がある障害者等につき、という前提で、例えば、手話通訳 の派遣事業ですとか、今回のこの日常生活上の便宜を図るための用具であって、厚生労 働大臣が定めるものの給付貸与、あるいは厚生労働省令で定める便宜供与事業というふ うに書いてありますので、その意味では、法律の方にそもそも障害者対象というふうに なっちゃいますから、ここではあえて入れなくてもよろしいのかなというふうに思って おりますけれども。もう当たり前のことという感じを持っているものですから。 ○伊藤座長  補装具にも入っていないんですね、障害者は。 ○江波戸室長  今の、障害者等の身体機能を補完し、または代替する、ここはダブっております。一 応定義はされております。条文上は出てまいります、補装具につきましては。 ○伊藤座長  条文上ね。ただ、この定義には入っていないわけですね。身体の欠損となっている。 ○江波戸室長  それは、身体機能補完代替は入っております。定義を読ませていただきますと、「こ の法律において補装具とは、障害等の身体機能を補完しまたは代替し、かつ長期間にわ たり継続して使用されるもの、その他の厚生労働省令で定める基準に該当するもの」と いうことでございまして、この厚生労働省令で定める基準をいただきました定義を基 に、つくっていくというようなことになろうかと思います。 ○伊藤座長  日常生活用具は。 ○江波戸室長  日常生活用具は、「日常生活上の便宜を図るための用具であって、厚生労働大臣が定 めるものの給付」、この定める者というのは多分、個別になるかくくりになるかその品 目というふうな御理解で、特に定義をここで決めていくというよりも品目を定めると。 ○伊藤座長  そうすると、この定義は、ここでは生きない、そことの関係で。 ○江波戸室長  いえ、ですから、省令なり何なりでは生きない形になります。 ○伊藤座長  何で生きるのですか、何のためにつくっているのですか。 ○江波戸室長  これから、厚生労働大臣が定めるものの給付がございますので、その際。 ○伊藤座長  品目を決めていくときにこれでいくという。 ○江波戸室長  そういうことでございます。 ○伊藤座長  その根拠ですね。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  どうでしょうか、障害というのは、それでも入れた方がよろしいですか。 ○黒田委員  確認なんですけれども、例えば、第5条第19項の障害者等なんですけれども、「等」 はどこまで入るのか。 ○江波戸室長  障害者等の「等」は。 ○黒田委員  さっき先生がおっしゃいました障害を持つことを前提にするということは、身体障害 者、知的障害者ですね。補装具の場合は身体障害ですね。その後の「等」は何で要るん ですか、補装具でしたら。補装具の物としての定義ですと、対象は基本的には個人です ね。「等」ということは、まだいろいろこの背後にあるということでしょうか。 ○江波戸室長  ここの第5条19項の障害者等につきましては、同じように第5条の定義の中に障害者 等の定義がございます。それで、これは付いていないと思いますけれども、基本的に は、身体障害者の方と、それから障害児の方と、このようにお考えをいただければと思 います。ただ、自由支援法ですから、少し幅広になっています。精神障害者の方も入っ ています。後ほど、ちょっと。 ○伊藤座長  者と児の問題ですか。 ○江波戸室長  というふうにここでは御理解いただければと思います。 ○伊藤座長  先ほどの日常生活用具の定義について、樫本委員の意見を入れると、例えば、定義の 「2」で、「障害者の」と入れちゃうと、先ほどの定義に関する説明の「3)」で問題 になった介助者というのは消えちゃうんですよ。  ですから、障害者の困難を改善するだけではなくて、ということでは、「障害者は日 常生活上の困難を改善し」は、あえて入れなくてもいいでしょう。どうですか皆さん。 この定義がどのように使われるのかと今話を聞いたら、それほど問題にはならないかも しれませんが、日本語として余り格好よくないですね。「障害者」を入れるとあまりす っきりしないですね。日常生活用具というものの定義をしているわけですから。障害者 のというふうにあえて入れるのは、そうしたら全部入れなくてはいけなくなりますの で、むしろ格好よくないのではないかなと思います。余りすっきりしないような気はし ます。  よろしいですか。  そうすると、この補装具の方は、法的な立場で言うと、厚生省令といいましょうか、 それが入ってくるわけですね。 ○江波戸室長  そうですね。その作業をさせていただく。 ○伊藤座長  そうですね。それで日常生活用具の定義については、品目を決めるための根拠という 話ですね。  よろしいですか。この日常生活用具の定義の「1」について言うと、何かすっきりし 過ぎちゃっているんですけれども、今、樫本委員がそういうことも少し念頭に置いての 御発言だったように思うんですが、法律の方で出ているような用語をここに入れるかど うかですね。2番で入っているからいいのかな。 ○江波戸室長  座長、申し訳ございません。これを報告書にする際には多少頭にもう少し文章などが 入りますので、その際に、1、2、3の定義の中に入れるのか、その前ではっきりさせ るのか、そこはまた少し形をごらんいただいて御判断していただければというふうに考 えます。 ○伊藤座長  何か大前提があって、障害者の生活を便宜にするためのものなんだと、そのものとし て安全かつ容易に使用できるもので、実用性がまず認められないとだめですよというこ とですね。だから、そういう中から安全かつ容易にしかも実用性のあるものを選びまし ょうという、そういう範疇で言えばこれはあっていいと思うんですけれども、少し前文 が入れば格好がつくかもしれませんね。  ほかに御意見ございませんか、よろしいですか、今日で最終ですので。あと、報告書 では確認はいたしますけれども。  それでは、この定義から外れてもいいですけれども、何かこの際だから言っておきた いということがございましたら、どうぞ。 ○太田委員  最後に、これは補装具の概念を検討する委員会ですが、行政の立場として、先ほど伊 藤先生もおっしゃった、こういった日常生活用具が市町村の地域生活支援事業になると いうことで、在宅、施設入所を問わず、障害者の自立を支援していくという法の趣旨を 踏まえて、市町村がそういったことを十分に行えるような財政的な支援を併せてという のを、これはこの検討会の趣旨とは異なりますが、是非、お願いしたいと思います。 ○江波戸室長  いわゆる市町村の自立支援事業は、これから審議入りするわけでございますが、ま た、国会の中でも議論をされると思います。そして、今の太田委員の御指摘のような話 が、今までも出ましたし、これからも出ると思います。私どもは、財政的な確保に努め るということは勿論でありますので、そのつもりで努力をするということであります。 ○伊藤座長  非常に財政事情が厳しい中での話なのでしょうけれども、大切なことは、私たちのこ こ委員会の役割は、こういう定義をきちっと決めて、そして、これが国民の目から見 て、当然であると、憲法で保障されている基本的な生活を保障するという意味で、障害 のある方々に対する基本的な生活の保障として、当然、こういうような定義に基づいて きちっと給付されているのであれば、これはいいだろうというような、そういう根拠を 明確にする、この透明性を高めていくことによって、国民の納得が得られれば、当然、 それに対しては税金を使ってやるにしても、ある一定程度の負担金を出すにしても、そ れは容認されていくわけです。そういうことをきちんと行われておかないと批判を浴び まして、つぶれてしまうと、そういうことにならないようにしたいというのが今回の趣 旨でございますので、そういう意味で言えば、きちっと定義をして、これに基づいてや っているんですよということ、これを明らかにしていきたいと思うんです。  問題は、その歴史的な経過の中で、この定義に合わないものもある、しかし、それに ついては、付帯事項を入れて報告書をつくりますので、それに基づいて、これは政治 的、行政的と言いましょうか、そういう中でどういうふうに保障していくかという問題 ですから、定義をきちっとするということとはまた別問題なんですね。これはそれなり に今度は障害者の団体や、そのほか関係する団体の方々とも十分行政の方で話し合って いただいて、その中でお金の問題等は決めていっていただかないとならないわけで、私 たちが決められる話ではないと思っています。  ただ、私たちがここで提案していきたいのは、そういう定義に基づいて、きちっと保 障するための仕組みだとか、そういうふうなものが定着していく必要があるわけで、そ のことは国だけではなくて、地方自治体の中でもきちんと定着していかなくてはいけな い。そのための指導はする必要があるし、自立支援法との関係で言えば、より積極的な 選択ができる、障害のある方々がそういうことを選択できる、そういう方向性で、むし ろ先ほど黒田委員からの意見ではありませんけれども、そういうものが発展的に今後期 待できる、そういうような仕掛けをこの際、ちょっとでも入れていきたい、一歩でも前 進させておきたいと思います。そういうことが、ここでの役割としてできることなんだ ろうというふうに思うんですけれども、そういう意味で意見があれば、どうぞ。 ○黒田委員  財政上の問題は、当然出てくるんですけれども、一方で、こういうアイデアもそれは 生きなかったんです、括弧にありまして、補装具の供給に関する技術中枢機関としての 更生相談所の在り方ということがずっと検討されてきて、本省主導でそれぞれの持って いる機能についてあからさまに出してくださいと、それをすべてリストになったんで す。しかもそれに勤務評定みたいな形で○×△というのが付きまして、つまり国が一応 定めた、それ以後定めはなくなったんですが、寸前に行われた、つまり、それぞれ要し なければならない更生相談所の機能が十分満されているところ、つまり、ここでは東京 都のようなところは○が付くと、兵庫県の場合は、仕事はしているのですけれども△だ ったわけです。いわゆる必要な人員がいない、そういう仕組みの上での評価といった経 験をしたことがあって、それは何も生きなかったんですが、実は何のためにしたかとい うと、福祉用具の供給について、それなりの能力を持った機関を認定することによっ て、それを怠っているところに対するある種の見せしめというと失礼ですけれども、努 力してくださいよと、やればそれだけ効率的に、なおかつその地域の障害の人たちにい いものが供給できる、ひいては喜んでもらえる、社会福祉の保障としての意味がちゃん とそこであるということでやろうとしたんですが、そこで止まっちゃったんですね。  今の財政上の問題もある意味では市町村に配っていくなら、ある程度ちゃんとした仕 組みでちゃんとした供給をするところには、それなりの財政上支援はいたしますが、そ うでないところはしませんよというようなぐらいの意思表明をしていただければ、でき るかどうかは別として、アイデアとしてですが、あってもいいのではないかと思うんで す。そうでない限り、こうあるべきだというべき論をやっても必ずやらない、結局、供 給システム、更生相談所の在り方検討などをしましても、結局は、ピンのところはどん どん行ってしまう、そして、いつまで経ってもやらないところはずっと長年、どことは 言いませんがたくさんある。その中で、こういうものが出ていっても、また同じことを 踏まえてしまう。そうすると、今度、この新しい自立支援法でたくさんの人が社会参加 できるようにしようとするためのサービスでありながら、逆に仕組みの方がそれを制約 してしまうという懸念がある。  では、努力するところにはそれなりの補助金なり、財政上やりますよというぐらいの ことを打ち出してもらうと、各府県でも努力はなさるでしょうし、市町村もその仕組み の使い方に積極的に動くかもしれない。そして、また、供給の周りで支えておられる業 界の方々も一体になって動けるだろうと、だから、余りにもばらつきが大きい、地域差 が大きいばかりで言うだけであって、では、それを解消するには、というアイデアも、 この次には出していかなければ、今のアイデアがいいかどうかわかりませんが、ただ、 かつて相談所の機能を高めるためには、○×△が付いて、やらないところは指導します とまでおっしゃった時期があったんです。証拠書類は残っておりますが、それは決して いいとは思いませんが、やはりそれなりに力を入れて、福祉用具の供給、自立支援に努 力をしようという、そういうプロセスはあった。そして、そういうものも新しい時代の こういう取り組みに、財政支援というだけであると、なかなか大元のところでは難しい でしょうけれども、こういう仕掛けでやるから、もっと市町村に対するとか、こういう ものに対する財政支援というものがあっていいのではないかという、そういうところも 御検討いただけると、手応えが違うのではないかと、今、ちょうどここに東京都、千葉 市、両自治体の方がおられますが、ここにお出ましの方のところでは、我々も東京都は 昔からずっと手本にしてきたし、伊藤先生のところも同じようにあんなやり方だったら とか、それから樫本先生のところは大先輩です。今田先生などが引っぱってこられたと いうのは、ほとんどお手本にしてきたようなところがある。  ところが、それをならってやってくだされば、恐らくこういう問題もそんなになかっ たと思うんですけれども、ほとんどやらないんですね。ですから、地域格差というのは むしろシステムの側にも大きな問題があるので、今回、ここに取り上げられたところ は、本当に真剣に仕組みのつくり方というのを考えていただきたい、長くなりました が、そういうところです。 ○伊藤座長  そうですね。今、国民の皆さんが、いろいろと怒っているのは、そういう意味で、い いかげんにお金が出ていることだと思うんですね。そういうものはこういう定義を含め てシステムを決めて、しっかりと見えるようにして、これならいいよというところにな れば、基本的にはクオリティーを高めるということに皆さん賛成なわけですから、利用 者の方もそうですから、そういう意味では、そこにお金をかけていくということにまで 反対ではないと思いますね。  そういう点で、より積極的な案を出したらお金がかかるからだめなんだということで はなくて、むしろきちっとした定義に基づいてきちっとした仕組みをつくって、それに 基づいて出すんだよと、だから、認めてくださいよという話でもって、新たにやはり提 案していっていただきたいなという気持ちは勿論ありますね。 ○樫本委員  補装具の給付の中で、日ごろ感じていることなんですけれども、こういうきちっと定 義をしてその定義にのっとって給付していくというのは明確な新しい定義ができること で利用者にとっていい部分がこれから増えていくと思いますけれども、問題は、交付さ れた補装具が、本当に適切なものかどうかというところが大きな問題でして、それをち ゃんと確認するシステムがあるかどうかということなんですね。一応、処方、仮合わ せ、適合判定という形になっていますけれども、適合判定を更生相談所では行っても、 実際、補装具というのは、使ってみないとわからないんですね。その使ってみないとと いうのは、2か月なり3か月なり、本当に現場で使ってみないと、やはりよかったかあ るいは合っていないかというのはわからないんですね。  ところが、今、宮城県でも現状は、そこまでは確認していないんですね。ある短い時 間の間に判定の会場で、合っているかどうかというのを確認している。それを適合判定 という形で称しているわけですけれども、私はこのシステムがやはりおかしいのではな いかと思うんですね。例えば、必ず使用状況を途中で確認しなければいけないと、そう いうようなことを国の方から指針として出してもらうぐらいのことをしていただけると ありがたいと思うんですね。  昨年、宮城県でアンケート調査を行っているんですね。平成15年度に、補装具交付し た方全員にすべての種目についてりのアンケート調査をしてもらった。そうすると、う ちでは、大体、肢体不自由の補装具に関してですけれども、直接判定をして、適合判定 もして、専門的な上で見て出しているつもりであったんですけれども、何らかの、ちょ っと合わないとか、少し不満があるという方が約4割もあったんですね。これはびっく りしまして、本当は1割もあってはいけないわけです。  本年度は、独自に使用期間中、数か月経ったところでどうかということを更生相談所 で確認することを始めようということで今計画中なんですけれども、これはやはり全体 として、国としてそういうことをすべきであるというような形で、システムの中に入れ ていただけるといいかと思うんですね。  それで、ある県では、100 %文書判定の県があるんです、肢体不自由の補装具に関し て。たまたま、その県で、病院に勤めていた者が、理学療法士の方なんですけれども、 今回、更生相談所に1名増員ということで宮城県に配属になったんです。それで、その 県では一体どういうふうにしているんだと聞きましたら、全部委託した病院で処方の判 定をしている。それで、更生相談職員はそのとき立ち合いに来るのかと言ったら、全く 来ないんですね。それで、病院からその書類を更生相談所に送って、そして更生相談所 は文書判定している、1回も事務方の方でさえ確認もしていないと、そして、仮合わ せ、それから在宅に戻ってからの使用状況は全くわからないんですよ。そういうこと に、その理学療法士の方も、どうなっているんだろうと、宮城に来て、宮城はこうやっ ているんだということで、改めてびっくりしていましたけれども、そんな形が、この定 義の付帯事項の中身も、「最後まで責任を持つシステム」、ここのところが非常に重要 ではないかというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。 ○伊藤座長  今の文書判定100 %というところですね。それは要するに、更生相談所の来所判定に なっている義肢、義手、義足、それから座位保持装置についてもそうだということです ね。 ○樫本委員  全部そうです。 ○伊藤座長  だから、意見書でよろしいよというのではなくて、来所判定になっているものまでも 全部100 %書類判定なんだと。 ○樫本委員  来所判定がないんですね。全部委託した病院に行ってくださいというふうに仕向け て、更生相談所では見ていないんです。 ○伊藤座長  要するに、それは嘱託医を雇っていないということなんですか。 ○樫本委員  その病院の医師が。 ○伊藤座長  でも、それは嘱託をかけているだけで、更生相談所の方に来てもらって、非常勤のお 金を払ってやっているということをしていないわけですね。 ○樫本委員  そういうことなんです。 ○伊藤座長  要するに、そのぐらいお金をかけていない。そういうところがあるのに、フォローま でやれなんと言っても無理でしょう。 ○樫本委員  無理なんですよ。 ○伊藤座長  実態がそうなんですよね。だから、できているところはフォローまでできていると思 うんですね。むしろ、医師の意見書でつくってもらっている方がその人をずうっと継続 的に診ているというか、主治医として診ている場合には、フォローしているのだと思う んですね。むしろ更生相談所が横断的に判定する方がフォローがない可能性があるわけ ですね。そういう意味では、主治医がきちんと診てもらえるならば、むしろ医師の意見 書の方がいいよということだってあるわけです。 ○樫本委員  そういうケースもある。 ○伊藤座長  そういう意味であれば、私はよろしいかと思いますけれども。  どちらにしても、最後まで見るということの最後というのは、出来上がりの完成を見 るということではなくて、その人がちゃんと使用しているかどうかを確認する必要があ るわけです。 ○樫本委員  そういうことです。 ○伊藤座長  ただ、先生、40%ぐらい不平不満を含めてあるというのは、それほど多くはないと思 いますよ。 ○樫本委員  そうなんですか。 ○伊藤座長  それは使っていないわけではないでしょう。使っていない人が40%いたらそれはだめ ですよ。使っているわけですよね。でも、ちょっと合わないとか、ちょっと不満がある とか、そういうようなのが3割ぐらいはいてもおかしくはないかなという感じはしま す。 ○樫本委員  そういう意見は、改めてアンケートをしたから上がってくるんですね。聞かなけれ ば、その程度のことは一々市町村にちょっと合わないんだけれどとか言うほどのことで はない。聞かれたから、考えてみれば、やっぱりもうちょっとこうしてほしかったと か、そういうのがあるわけです。でも、その意見がとても大事で、申請に来なければ相 手にしないではなくて、やはりこちらからどうですかというお伺いは立てるという形に していくべきだと思います。 ○伊藤座長  そういうような御意見ですが、よろしいでしょうか、そういうことは。確かに、その ように積極的にこっちがやるべきだと思いますが、最後まで責任を持つというのはそう いうことなんだと、そういう共通認識でいいですね。  ほかにございますか。 ○黒田委員  補装具費給付というのは、言葉としてここに挙がっているんですね。幾つかあるとこ ろの懸念として聞こえてくるのが、例えば、出来合いのものと言った方が、車いすなど でも規制品に類するもの、補聴器などは完成品に近い、それで判定するんですが、そう すると、本人が、費用を一応給付された形で供給の業者さんとやりとりすると、当然の こととして、プラスアルファ、例えば、交付がデジタル補聴器なりで、従来の格好で標 準型であっても、いや、もうそんなものは使えませんよと、いきなり何十万のものをや ってしまうという、そういう業界も既にあるんですね。ですから、各先生方などは、仕 組みの問題、公的給付の仕組みの問題というのはそういうはっきり言ってしまえば、い いかげんな業者さんが入ってこないような、きちんとした参入されるような人たちの資 質というのか、そこの辺りもこれから見ていきませんと、極端な話、私が今日から車い すの供給業者なりますといって契約に行けばOKなわけですよ。  かつて非常にシビアだったのが骨格構造の義足がつくれると、もしくはそういうもの については工場の規格まで申請をしてチェックをするというのがこれまであったわけで すが、そのほかがないんですね。車いすなんというのは、やりますと言ったらそれで済 みますし、製作工房でも工房をやりますといったら、それで装具給付の製作業者さんと して一応何らかの目安はあるんですけれども、適正な供給についてやれるかどうか、こ れは非常に適性ということは難しいんですけれども、基本的に、例えば、それぞれの業 界さんの認定資格であるとか、義肢装具でしたら義肢装具のちゃんとした仕掛けをお持 ちであるとか、補聴器もそうですし、眼鏡もあるのかどうか、ちょっとその辺わかりま せんが、補装具にかかわるような場合、つまり、仕組みにつながっていく資格者の側の 倫理にかかわるような問題が、現物給付ですと意外と防げるんだろうと思うんですけれ ども、費用の給付になった場合に、わからないところで、これは適当だと言っているの に、別のところに持っていってしまって、逆に言ったらそれで本人は納得です。使えて も使えなくても、高いものを買ったからいいかと、あくまでその補装具の給付費用が、 自分の欲しいもののたしになってしまう。本来はそれが必要であるからという格好が、 単に必要なものに対する補助金みたいな格好に変わってしまうと、大前提としての制度 の根幹が変わってしまうわけです。  そういうことで、これは進めていく上で、業界なりの姿勢も当然この仕組みを動かす 上で問われるべきであるし、同時にまた、どんなふうにすればいわゆる働きやすい、し っかりやってこられた人が損をするような、そういう仕掛けにならないように、私は今 なりかかっていると思うんですよ。これは幾つかの業界、今、ちょっと挙げましたけれ ども、義肢装具とか補聴器の業界の方々に伺うと、悪貨が良貨を駆逐すると、真面目に やってきた業者さんがしっかりとやれなくて、いいかげんなところがすうっと横からい いかげんなことをする。それは公的制度である限りには認めるべきではないだろうと、 というふうなことを考えますので、では、どんなふうな資格というのがあるか、これは そこで働いておられる積極的な参加と意見をいただいて、まさに適正に活動していただ く。例えば、そういう人たちが本当に動くようになれば、意見書で指示をして、信頼で きるわけですから、また、それを損なうようであれば、資格を喪失するという、そこぐ らいのシビアさがあっても、もう今の時代いいのではないかと、開拓の時代はもう過ぎ たので、これからはしっかりと成熟の時代なので、それにかかわる人たちもそれぐらい の心がけで、しっかり取り組んでもらいたいなと、要望というか意見というか、そうい うところで、御理解いただきたいと思います。 ○伊藤座長  これは地方自治体の現場でどういう仕組みをつくっていくかという話になると、今の 黒田委員のお話などは非常に参考になると思うんです。ただ、国としてどういうふうに 仕組むかというのは、多分、非常に難しいです。ですけれども、大枠そういうことの指 摘をしておかないと、地方自治体としては、やりようがなくなりますので、そういう意 味では、やらなければならないのだという、それが当然なんだという指摘はしておきま しょうよというところなんだと思うのですね。具体的にがんじがらめにしたのでは、こ ういうような制度を発展させていく上では、かえってマイナスで、例えば、今の実態に 合せて、現物給付ではなくて、補装具費の給付にした。これは自治体に合わせている部 分がありますね。その方が、多分、よくわかっているユーザーにしてみると、よろしい というのがあるわけで、ますますそういう意味ではよりクオリティーの高いものを求め ていく人たちにも自由がきくわけです。  そこを保障するかわりに、初めて障害になった方々もいらっしゃるわけで、この業 界、肉屋や八百屋と違ってまだまだ知られていないわけです。ですから、その知らない 人たちにどう情報提供してそれを守っていくかという、ある意味でパターナリズムを発 揮しなければならない部分がある。この境目に今あるわけで、必ずしもどーんとユーザ ーにお任せすればいいという話ではないわけで、そこのところの仕組みなんだろうと思 うんですね。それは一定程度の枠組みとして、これはその地域によってはかなり厳しく 枠組みしなくてはいけなかったり、あるところでは、少しゆるくしてもよかったり、そ れぞれの特性で自由がきくようにしなくてはいけないのだろうと思うのですけれども、 やはり指摘はしておかないとまずかろうというのは、私もそういうふうに思います。  そういう意味で、最後まで保障するシステムが必要であるというふうに書いたわけで すが、今、そういう話を聞きながら気になってきたのは、「これまでと同様」にとい う、これまでと同様でいいのだというのは、これは削除したほうが良いという気がする んですね。むしろこれまでと同じではまずいよという、もっとよりよくしたらどうかい う感じで、「これまでと同様」にというのは、悪くするなよという意味で恐らく入れた のだろうと思うのですが、むしろ良くしろよというような積極的な意見を束縛すること になってしまいますから、そういう意味では、「これまでと同様」というのは削除して しまってもいいかなという気はします。  それで、むしろこのことについては、どういう仕組みが必要なのかという議論を少し したいと思います。今回の定義に関するディスカッションは、この次のときに確認をし ておしまいということなのですけれども、そのほかの課題もございますので、また更に それは検討しなくてはいけないと思っておりますから、その中でもう少しこの辺をイメ ージしていきたいというふうに思います。 ○江波戸室長  お願いをいたします。 ○伊藤座長  それはよろしいですよね。少しこういう中でディスカッションして、イメージして、 それで行政的にどう考えるかはお任せしますけれども。  ほかにはよろしいですか、栗原委員。 ○栗原委員  補装具の付帯事項の中で、6番にここまで書き込んでいただけて大変ありがたいと気 持ちで思っております。 ○伊藤座長  よろしいですか。  では、ほかに御意見がなければ、本日の議論は、これで一応終わりにして、次回は、 これらをまとめて、報告書という形でもって提案をする。それは、委員会の前に、前も ってお送りいただけますね。そこで皆さんにも検討していただいて、できれば、この次 の会議のこの場で確認したいんですね。そこでまた持ち帰りになりますと、座長一任と か、そんなふうにされても困りますので、前もって差し上げますので、文言まで含め て、修正意見がありましたらお考えいただいて、そして、この会議の場で最終確認をし たい。どうしてもできなかったら、それは持ち帰りという話にならざるを得ないかもし れませんが、できれば、そこでやりたいということです。そういうことでよろしいです ね。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  それで5月の末か6月の頭ぐらいのところで、できれば5月の末でやりたいと思いま すので、よろしくお願い申します。  それでは、事務局から。 ○江波戸室長  今、座長からお話がありましたように、提案につきましては、次でおまとめをいただ けるということで大変ありがたく思っております。  それから、さらに座長からお話がありましたように、ちょうど平成18年10月実施を目 指しまして、これからの補装具につきましても、黒田委員からの御指摘がありましたと ころなど等、これから少し一生懸命考えていかなければいけない事項も多々ございます ので、その点に関しまして、また、御意見、御検討をいただきたいと、かように考えて おりますので、しばらくまだ各委員の先生方には御支援を賜れればと思うところでござ います。どうかよろしくお願い申し上げます。 ○伊藤座長  それでは、以上で終わりたいと思います。どうもありがとうございました。                     (問い合わせ先)                      厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部                       企画課社会参加推進室 指導係 山口                        TEL 03−5253−1111                                 (内3076)                        直通  03−3595−2097                        FAX 03−3503−1237