05/04/22 平成17年4月22日医療技術評価分科会議事録 05/4/22    診療報酬調査専門組織            平成17年度第1回医療技術評価分科会 (1)日時  平成17年4月22日(金)10:00〜12:00 (2)場所  霞ヶ関東京會舘「ゴールドスタールーム」 (3)出席者 吉田英機分科会長 石原謙委員 大江和彦委員 河原和夫委員 熊本一朗委員       須田英明委員 田所昌夫委員 茅野眞男委員 手島邦和委員 中村丁次委員       野首孝祠委員 野末聖香委員 安川林良委員 山口俊晴委員 渡邊清明委員       松原謙二中医協委員 石田暉氏 伊東春樹氏 小林弘祐氏 高橋進氏       土器屋卓志氏       <事務局>       麦谷医療課長 福田企画官 太田医療課課長補佐 他 (4)議題  ○平成16年度調査の結果報告       ○制限回数を超える医療行為について       ○その他(医療技術評価・再評価希望書について) (5)議事内容 ○吉田分科会長  定刻になりましたので、ただいまから、平成17年度第1回診療報酬調査専門組織・医 療技術分科会を開催いたします。  本日は、福原委員、吉澤委員からご欠席との連絡をいただいております。また、日本 医師会からは松原委員に参加していただいております。  本日は平成16年度の調査報告をしていただく予定にしておりますので、報告者として 石田先生、伊東先生、小林先生、高橋先生、土器屋先生にご出席いただいております。  4月1日付で厚生労働省において人事異動がありましたので、事務局より紹介をお願 いします。 ○事務局(福田企画官)  4月1日付で保険局企画官を拝命いたしました福田と申します。どうぞよろしくお願 いいたします。 ○吉田分科会長  それでは、まず、資料の確認を事務局からお願いします。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  資料を確認させていただきます。  最初に議事次第、委員の名簿がありまして、次に診調組 技−1として「平成16年実 施予定の医療技術に評価等ついて」という中医協に提出した資料がございます。  その次が診調組 技−2−1として「医療技術に関する調査について」というもの で、この目次に従って、内科系外来技術の技術から始まりまして歯科まで10本ございま す。  その次が診調組 技−3として、いわゆる「混合診療」問題に係る基本的合意(抄) というものです。その次が診調組−4として「制限回数を超える医療行為について(論 点整理)」というものです。最後に診調組 技−5として「医療技術の評価・再評価に 係る希望書提出について」となっております。  資料は以上ですが、欠落等がありましたら事務局までお申し出ください。 ○吉田分科会長  それでは議事に入ります。最初の議題「平成16年度調査の結果報告」ですが、まず資 料1について事務局から説明をお願いします。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  診調組 技−1について説明させていただきます。「平成16年度実施予定の医療技術 評価等について」ですが、中医協に提出した資料です。  2番の今年度評価実施予定の医療技術に関する調査のところですが、今年度は、学会 等が実施する以下の調査について評価を行うことを予定しているとありまして、1から 10までの調査が列挙されています。簡単ですが以上です。 ○吉田分科会長  ただいまの事務局からの説明に対して、質問等はございますか。よろしいですか。  それでは、昨年度調査について報告をお願いしたいと思います。調査報告を5分程度 でいただき、その後に質疑応答を行う形で進めたいと思いますので、よろしくお願いい たします。  まず、「内科系外来技術の難易度及び時間に係る調査」について、茅野先生からよろ しくお願いします。 ○茅野委員  診調組 技2−2「内科系外来技術の難易度及び時間に係る調査」の速報版概要につ いて説明させていただきます。  今年の1月下旬、参加医師数560人で、主に200床以上の大病院で調査をしました。患 者さんの個票は約12,000件を集めております。  結論として、現在、診療報酬は初診、再診の2区分しかなくて、時間が全然考慮され てないのはおかしいのではないかということになっています。  2ページの図1は診察に要した時間ですが、かなりばらついています。外来の大変さ というのは診察時間だけではなく、難易度も重要な要素になっています。  この調査では難しさを4段階で表しています。図2では、初診で紹介があった人、初 診で紹介がなかった人、再診で診断がまだついてない人、再診で診断が既についている 人、この4段階に分けてあります。  この図の見方ですが、15分以下が明るい縞、15〜30分が格子縞、30分以上が塗りつぶ した縞となっています。我々のいう難しさと時間はよく相関しています。これから言え ることは、時間が考慮されてないことは問題なんですが、時間だけで決められても困 る。「初診紹介有」の15分と「再診で診断の確定した」15分は同じ診察時間でも難しさ は違うという観点から、この分類をしています。  次に、速報値報告書のポイントだけ説明させていただきます。8ページに調査票の見 本がありますが、このようなものを医師に書いていただきました。これが12,000枚集ま ったということです。  12ページの図3は初診・再診の別ですが、初診、再診の割合はこのようになっていま す。  13ページの図6は機能別分類です。患者さんを診察した先生が、大病院における専門 的機能を必要とすると思うか、あるいは一般診療所機能にふさわしいと思うかを書いて もらったものです。この調査は大病院の10,000人の患者さんを対象になされています が、大病院における専門的機能を必要としたのが44%という結果になっています。  14ページの図7は調査に参加した標榜可能専門医数の分布です。560人しかいないの に合計が790になっているのは、1人でいくつも持っている人がいるということで、調 査に参加していただいた先生はほとんど標榜可能専門医資格をお持ちであるということ です。  5月中旬には確定版を出しますが、かなり大きなデータですので、データが分析しき れないために、データベース化して内保連経由で厚生労働科学研究でさらに分析を続け ていきたいと考えています。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの茅野先生の報告について、ご意見がありました らお願いします。 ○事務局(麦谷医療課長)  膨大な調査をやっていただきましてありがとうございました。コンサルテーションフ ィーのユニットというのは5分とか10分とか書いてありますが、仮に診療報酬点数上、 コンサルテーションフィーのユニットは2時間とセットしたら、これは全部関係なくな りますよね。セットの仕方が1時間がいいのか30分がいいのかという議論はどこでされ るんですか。 ○茅野委員  これは実態調査ですから、再診では15分以下がほとんどを占めております。インフォ ームドコンセントというのは私は狭くとらえてるんですが、初診・再診を全部、幅広く 調査したつもりなんですが。 ○事務局(麦谷医療課長)  この報告書を見ると、初診料は15分でいくら、30分でいくらみたいなイメージになっ てしまうんですが、そういうことではなくて、実態を見て、点数づけはまた別だという 理解でよろしいですか。 ○茅野委員  この調査をもとにご議論いただければと思うんですが。 ○吉田分科会長  中医協でも内保連の時間の割り振りはだいぶ注目を受けてまして、できるのかといわ れてましたので、きちんとしたデータを出していただきたいと思います。  そのほかになければ、次に進みます。続きまして、「手術等の難易度及び時間に係る 調査」について、外保連の山口先生にお願いします。 ○山口委員  外保連の調査は2つありまして、資料2−3と2−4に分かれています。  2−3は「手術等の難易度及び時間に係る調査」ですが、どういう調査かと申します と、外保連では前から外保連試案というデータを持っておりまして、これは一種のエク スパートパネルで決めたようなもので、こういう手術はこのくらい時間がかかって、何 人でやる、難易度はどうというものでしたが、ディスカッションする中で、実態とかな り乖離しているものがあるのではないかということで、それを精緻化したいというのが 目標です。  調査対象施設は外科学会の教育施設、関連施設を中心に、外保連に参加している諸学 会からこういう施設も追加して調査してほしいということで依頼を出しまして、回答施 設は723施設、そのうち外科学会関連施設603、その他の学会関連120で、合計22万件の データが集まっています。  2ページの棒グラフは、グレーは外科学会関連で、200床以上の病院が中心で、大規 模病院です。ほかの学会は専門病院がありますので、ベッド数の少ない病院が多いとい うことです。  いまデータクリーニングをやっておりまして、大江先生のご協力を得て解析の進めて いるところです。このデータを使いますと、施設間の手術時間のばらつきとか、何人で やっているかとか、どの程度の分布があるのかとか、いろんなことがわかりますので、 詳細に解析したいと思います。  2−4のほうは「手術件数とアウトカムの関係に係わる調査」です。施設の施術件数 とアウトカムが相関するという過程から、現在いくつかの手術について症例数による施 設基準が定められています。この現行の症例数に重みをおいた施設基準の妥当性を検証 することが目的です。  2ページから4ページまでは110項目の手術の一覧表ですが、アウトカムとは何か と言うことを術式毎に定義した後、施設間を比較して症例数が多いほどアウトカムが良 いといえるのか検討しました。その結果、かなりの術式では年間全国で300しか行わ れていないなど、極めて症例数が少ないためその成績を症例数毎に比較することは不可 能でした。その中である程度症例数があり、調査できるものを一覧にしたわけです。現 在、その中で5つほどの調査の報告が上がってきてます。  右端に「提出状況」という欄がありますが、4月中には出したいといっていただいて る学会もあります。しかし調査の性格上、なかなか進捗しないのが実情です。  2−4の5ページ以降がその結果です。各学会からサマリーのほかに具体的なデータ をファイルしていただいていますが、そのファイルを公開することに関して各学会の了 解を得ておりませんので、許される範囲で公開したいということで、サマリーを載せて あります。  5ページは日本耳鼻咽喉科学会の調査報告で、鼓室形成に関するものですが、症例数 と成績は相関がなさそうだというレポートです。  6ページは日本産婦人科学会の報告ですが、いくつかの術式について症例数と相関は なさそうだという結論です。  7ページは脳神経外科学会の報告ですが、これも今のところなさそうだという結論で す。  8ページは日本胸部外科学会の報告ですが、論文形式で来ています。内容については 議論のあるところかもしれませんが、相関はないという結論です。  日本インターベンションラジオロジー学会からデータが出ていますが、はっきりとし た結論が記載されていませんでしたので、今回は出しておりません。  12ページから細かい表がありますが、これは調査が難しいという報告の一例でし て、日本小児外科学会が自分たちの教育施設、指定施設を調査した結果です。  細かいので詳しくは申しませんが、左から6つ目に「施設基準をクリアできたか」と いう欄があって、12ページでは全部○がついています。これは現在の施設基準をクリ アできた施設ですが、次のページでは6つしか○がありませんで、100施設のうち27施 設しかクリアできていないということです。クリアしていない病院もいずれも重要な病 院ばかりで、ここで小児外科のトレーニングが行われ小児外科医が育てられています。 その様な施設でさえクリアできない状況にあるということです。  内容をみますと、右側は小児の心臓手術、左側は小児腹部外科ですが、両方を合算し ますので、どちらかしか無い施設は不利になります。腹部小児外科を十分にやっていて も、心臓外科がなければ不利な立場になります。小児外科の先生はもともと採算性の悪 い部門なので、それでなくても圧迫を受けているのに、このような不合理な制度のため に施設基準をクリアできないと、益々つらい立場に追いやられることになります。  アウトカムと症例数との関係については、こういう報告が4月にだいぶ上がってくる と思いますので、出ている分について順次小冊子にまとめ、データと共に批判に耐える ような形で資料として提出したいと考えております。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの報告について、ご意見がありましたらお願いし ます。これは中間報告ですので、5月中旬までには詳しいものが出ると思います。  それでは次に進ませていただきます。「リハビリテーション・消炎鎮痛等処置に係る 調査」について、石田先生からお願いいたします。 ○石田氏  あとで整形から追加がありましたので、資料が2つに分かれています。リハビリテー ションは多面性がありますので、今回、4つの領域、一般リハビリ、整形、心臓、呼吸 器の関係から先生方を募りまして、委員会を構成しました。  今回の目的は、リハビリの普及度、人的資源の投入、診療報酬上どのくらい資源が投 入されているかという調査を行い、質が高く効率のよいリハビリがどのように展開され ているか、診療報酬のあり方についての基礎資料を作成するという目的で行いました。  調査方法として、1つは施設の属性を調査するための施設調査票A票というものを作 りました。A1は施設共通票、A2は心臓リハビリ施設票、A3はリハビリ施設票で す。もう1つは各治療技術別の診療時間、関与人数などを調査するための患者に対する リハビリ調査票B票で、B1は一般リハビリ調査票、B2は体幹、四肢運動療法患者 票、B3は呼吸リハビリ患者票ですが、各施設から10ないし20例の症例を出していただ きました。  今回の調査の特徴はレセプトを添付することを要望しましたが、前回の時にご指摘が あったように個人情報に関係するということですので、十分に配慮して行いました。  全体で調査対象施設820のうち371施設(45%)から回答がありました。  A1:施設共通票の回収率は30%です。なるべく広いところからということで分母を 増やした関係で心臓と呼吸は回収率が低いのですが、実数としてはかなり多い数字で す。個人票に関しても整形、リハビリ関係でも40%台で、予想以上の回収率と思ってい ます。  調査の解析は単純解析と、施設票と患者票のクロス解析で行いました。以下、4つの 領域それぞれの内容を簡単に説明いたします。  まず一般リハビリです。  リハビリ医療は歴史が浅く、日本中どこでも均一的なリハビリが受けられないような 状態で、今後リハビリが広がる時に質が低下して、広く浅いリハビリが浸透することが 危虞されます。この調査を通じてゴールドスタンダードを作っていく必要があると考え ました。調査施設のほとんどは比較的優良な施設からのデータで、そうでない施設から のデータは集まっておりませんので、そのへんが今後比較する上で問題になるかもしれ ません。  質の高い医療のアウトカムとして最終的には「患者の満足度」が考慮されるべきです が、今回は「ADLの改善度(率)が良い」「在院日数が短い」「在宅復帰率が高い」 を主にしました。  レセプトに関してはまだ解析途中で、今回のデータには入っておりません。次回の5 月下旬の報告書には入ってくると思います。  結果について簡単に申し上げます。  (1)リハビリの場としては、急性期病院ではベッドサイドリハビリがかなり広がって いますが、早期にベッドサイドから始めたほうが治療実施日数は短くなる。遅く始めた 場合は在院日数が長くなったり在宅復帰率が悪くなるということで、早期にベッドサイ ドから始めることに何らかのインセンティブを与える必要がある。現在の診療報酬では 2週間が早期加算ということになっていますが、1週間ぐらいに上げたほうがいいので はないかと思われます。  (2)疾患とリハビリについては、今回の対象は脳卒中、脊髄損傷、大腿骨頚部骨折で、 ほとんど高齢者ですから、平均4つぐらいの合併症をもっています。合併症が多くなり 重症度が増すと在院数が長くなるということで、重症度と治療期間、在宅復帰率には密 接な関係があることがわかりました。  しかし疾患名だけでは治療期間は想定できません。脳卒中でも軽いのと重いのとでは 違うわけで、DPCとかDRGといったdiagnosisではリハビリの期間は想定できない。 疾患および重症度を加味した治療期間の予測をする必要があるということです。  (3)リハビリの質に関しては、優良な病院では「リハビリ処方箋」というものを有効 に利用して、それを頻繁に書き換えることによってアウトカムがいいということが出て います  (4)リハビリ専従の医師の関与があるほど結果がいい。リハビリの専門医のいる施設 においては、先ほど申しましたいくつかのアウトカムのデータがよくなっています。  (5)療法士以外のリハビリへの関与。リハビリの量が足りない場合は看護師が補った りボランティアが行ったり家族がサポートしますが、看護師が行った場合はアウトカム にポジティブな効果がある。しかしボランティアや家族だけではポジティブな効果はな い。何らかの医療技術を持ってる人がサポートすればアウトカムに影響するということ です。  (6)治療者側の満足度に関しては、PT、OT、STが比較的多く勤務する私立の大 学病院や医療法人では満足度が高く、国公立の大学病院等では医療スタッフが少なくて 満足度が低いという結果でした。  今回は優良な施設で調査したのですが、優良な施設といえども基本的なデータが必ず しも整っていないことがわかったため、今後の調査においては評価項目の標準化が緊急 の課題となっています。また、質の高いリハビリを供給するためには、ある程度の枠組 み(施設認定、職員の数、医師の専門性と数など)とそれを促進するための情報の公開 が必要と思われます。  以上がリハビリです。  今日は藤野先生がご欠席ですので、あとから出ました整形外科領域という資料の要点 だけ申し上げます。  整形外科の場合は対象となる疾患が広いため、物理療法、運動療法を組み合わせて行 われおり、現在の診療報酬の個別療法、集団療法、消炎鎮痛療法処置という枠組みでは 評価が難しいのが現状です。今回は膝関節疾患、腰痛疾患、大腿骨頚部骨折に限定して 調査を行い、1961件という多数の症例が集まりました。  結果は、平均年齢71歳で高齢者が圧倒的に多く、そのうち75%が保存療法のみで加療 されており手術後の症例は21%にすぎない。82%は外来通院で行われており、入院での 体幹・四肢運動療法は少ない。高齢者は変性疾患が多いため罹病期間は6カ月以上が80 %を占めています。  レセプトでは個別療法、集団療法とも1単位20分での請求が大多数を占めています が、実態調査では運動療法・物理療法を組み合わせて行われているため、1患者に対す る所要時間は約50分で、レセプト請求との間に大きな乖離がみられます。平均実施回数 は週3.1回、月平均12回であった。  患者への聞き取り調査による治療への満足度はADL評価、QOL評価とも30〜45% に改善を認め、現状維持は10〜20%、悪化例は1%未満であり、高齢者の加齢変化を考 えれば体幹・四肢運動療法、消炎鎮痛処置ともに非常に有効な治療手段であるといえま す。  以上、代読いたしました。続きまして、心臓リハビリについて伊東先生にお願いいた します。 ○伊東氏  心研の伊東でございます。心臓リハビリは技−2−5−1の10ページからになりま す。  調査の対象は、過去、学会等の調査で心臓リハビリテーションを実施している施設を 中心に行いました。それ以外に他のリハビリと整形関係で循環器科または心臓血管外科 を標榜している大病院も併せて行いました。  今までの調査では、心筋梗塞になると高く見積っても12%ぐらいの人しか入院中のリ ハビリが受けられず非常に普及度が低いことがわかっています。  結果にまいります。  1)実施率ですが、あらかじめ施設認定をもっている、ないしは実際にやっているこ とがわかった施設を中心に解析しても、実際にリハビリをやっているのは26%程度にす ぎないという数字でした。  その理由として、500床以上の総合病院や循環器学会の研修指定病院でも「施設認定 の問題があってできない」というのが約50%、「施設認定を取ったとしても採算が合わ ない」が10%、「スタッフ不足」が21〜35%で、施設認定基準や診療報酬の見直しとマ ンパワーの育成が急務と考えられます。  2)心臓リハビリテーション実施施設における状況です。  心臓リハビリテーションは大きく分けて3つの時期に分かれます。心臓リハビリテー ションを行っている53施設のみを対象に解析した結果、第I相(早期離床)については 実施率が35%程度、第II相(社会復帰まで)はさらに低くなり、第III相(社会復帰後) に至っては5%にすぎず、本邦の心臓リハビリテーションの貧弱さが露呈されました。  現在、心臓リハビリテーションが保険で認められているのは急性心筋梗塞、開心術 後、狭心症ですが、それ以外にも効果が認められている疾患がいくつかあります。現在 心不全、閉塞性動脈硬化症、大血管の術後は診療報酬を算定できないんですが、多いも のでは30%程度、少いものでも10%程度実施されていました。  心臓リハビリテーションの場合は安全性を確保することが重要で、そのためには運動 処方が必要不可欠です。運動負荷試験をして、その患者さんに合った運動強度を設定し て行いますが、これがどのくらい行われているかというと、約半分にしか行われていな い。その理由として、マンパワーの不足、運動処方に対する診療報酬がないことなどが 回答として返ってきました。  心臓リハビリテーションは運動療法だけでなく、禁煙指導、生活指導、栄養指導など 包括的な指導が行われないと効果は十分でないことがわかっています。しかし現在、診 療報酬上は運動の側面だけが取り上げられており、点数がない「指導」に関しては実施 率が低いという状況がうかがえました。  以上を簡単にまとめますと、1つは施設認定基準、運動処方・運動負荷試験・生活指 導管理などに関する診療報酬の改定など、質の低下を伴わないよう普及させる政策、も う1点は知識と技術を持ったコメディカルスタッフの養成などのマンパワーの確保、こ の2点が急務と考えられます。以上です。 ○小林氏  北里大学の小林でございます。11ページからになりますが、呼吸リハビリについて説 明させていただきます。  呼吸リハビリというのは肺機能訓練として昨年度から理学療法の所定点数により算定 することになりまして、保険上、始まったばかりのリハビリテーションです。普及率な ど、現状の実態調査を主眼としました。  (1)普及度については、11ページの下に表がありますが、上段が件数、下段がパーセ ントです。左の「COPD症例に対しての呼吸リハビリ実施」では324件のうち32.2% が「実施している」ということで、意外に普及され始めたような印象があります。右側 の「開胸術後症例」についても「実施している」施設が24.1%で、呼吸リハはそろそろ 普及し始めてきたような印象がありました。  12ページの(2)呼吸リハビリを実施していない施設について、その要因を調査しまし た。その結果のサマリーが13ページの表に表されています。COPD症例に対して呼吸 リハビリを実施していない最大の理由は「対象となるCOPD症例がないから」が43.4 %となっています。別の調査でCOPD推定患者数が全国で約530万人もいるにもかか わらず、一般診療分野でのCOPDに対する認識がまだないのかなという印象を受けま した。  次に多いのが「呼吸リハビリを実施するスタッフがいないから」が17.8%もありまし て、「必要性を感じないから」は12.4%で、それほど多くありません。呼吸リハビリを 実施するスタッフがいないということは、専門医制度が呼吸リハについてはない、認知 度が少ない、呼吸リハの実地トレーニングの機会が十分ないなどが要因ではないかと考 えました。  下の表の「開胸術後症例についての呼吸リハビリを実施していない最大の理由」とし ては、「術後症例がないから」を除いても、「スタッフがいないから」が9.0%で、上 段と同様の傾向がみられました。「必要を感じないから」が4.9%というのは意外に少 なくて、開胸術後の呼吸リハビリの必要性は感じられているというのが実態です。  (3)患者プロファイルですが、調査票でCOPD患者については調査方法やエビデン スが確立していますので、これについて調査しました。回収目標100件に対して実際の 回収数は59件と少なかったので有効な分析ができませんでしたが、限られたデータから 患者のプロファイルを検討すると、慢性安定期の患者が76.9%、急性増悪からの回復期 の患者が23.1%でした。呼吸リハビリ開始時点の病期でみると、軽症、中等症、重症、 最重症の順で多くなり、COPDの急性増悪からの回復期と安定期の重症および最重症 が呼吸リハの大部分を占めていました。  病期のどの時点から呼吸リハが有効であるかという検討が今後の重要課題だと思われ ます。病期のどこまでが各種スコアを改善させ、呼吸リハの対象患者として適当である かは今回の調査目的ではありませんでしたが、今後の重要課題です。また、今後、レセ プトデータなどのクロス解析を行う予定です。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまのリハビリ関係についてご意見がありましたらお 願いします。  中医協でも重点項目として取り上げていますが、膨大な資料をありがとうございまし た。5月までには集約したものが出ると思いますが、医師会ではリハビリに関してはい かがですか。 ○松原委員  実際にどの程度やっておられるかという認識が十分でなかったんですが、COPDの 方にとっては非常に大事な点だと思いますので、ぜひ進めていただければと思っており ます。 ○事務局(麦谷医療課長)  石田先生に伺いたいんですが、最初のご発表の中で疾患と重症度を組み合わさなけれ ばいけないといわれました。今日のデータでは1つの疾患の重症度が書いてあります が、各疾患ごとの重症度というのは学会のガイドラインが出てるんでしょうか。それと も何か適当にやられたんですか。 ○石田氏  重症度を決めるのは非常に難しいことで、学会の中でガイドライン委員会というのを 立ち上げまして、疾患ごとにやり始めたところです。欧米では少しありますが、我が国 ではほとんどできていません。diagnosisだけではだめで、リハビリが規定できないの で、いくつに分けるか。脳卒中だったら10ぐらいに分けるか5つに分けるか、いろいろ 議論がありますが、やり始めたところです。 ○事務局(麦谷医療課長)  点数にする時に、うちのほうでケースミックスにするわけにはいきませんので、学会 のガイドラインがあって、A、B、Cとか重いとか軽いとか、それをそのまま使えるほ うが私どもは点数化しやすいので、早く作ってください。 ○石田氏  軽症、中症、重症ということで、3つから5つぐらいに分けると予測しやすいという ところまできておりますので、間に合うようにしたいと思います。 ○事務局(麦谷医療課長)  心臓リハビリで施設基準が問題だという指摘があるんですが、実態にそぐわないの か、それとも厳しすぎるのか、どっちですか。 ○伊東氏  両方だと思います。 ○事務局(麦谷医療課長)  心臓リハビリテーション学会から、一番適当な施設基準はこうだというのを示してい ただけますか。 ○伊東氏  はい。 ○事務局(麦谷医療課長)  よろしくお願いします。 ○松原委員  リハビリの施設基準について私どもは議論しているところですが、施設基準はあった ほうがよろしいんでしょうか。 ○伊東氏  あったほうがいいと思います。質をきちんと担保しませんと、運動療法というのはも ろ刃の剣ですので危険なことがあります。 ○吉田分科会長  そのへんの基準は5月ぐらいまでに間に合いますか。 ○伊東氏  はい。 ○吉田分科会長  大変でしょうが、よろしくお願いします。  時間の関係で次に進みます。次は「在宅療法の普及及び技術評価に係る調査」につい て、高橋先生にお願いします。 ○高橋氏  技−2−6について説明させていただきます。在宅療法にはハイテク、いわゆるハイ タッチ、ターミナルと3つありますが、今回の調査ではいわゆるハイテク在宅療法を対 象にしています。  5ページにありますように、CAPD、在宅血液透析、HOT、人工呼吸、成分栄養 輸液、中心静脈、この6つのハイテク装置を使って行う在宅療法について、特にチーム 医療の立場から施設、患者、企業、レセプトの点で調査いたしました。今回は施設、患 者、企業の調査を中心に話させていただきます。  6ページにありますように、ハイテクの中でもHPN以外は80%以上が社会復帰の状 況にあります。仕事の有無を尋ねましたが、この療法は高齢者が多い関係上、仕事を持 ってない人においても自立、自己管理をしている人が非常に多いことがわかりました。 10年以上CAPDでやっている患者数は3割以上おりました。  満足度はどうかというと、8ページにありますように、現在受けている療法に対する 患者の評価は総じて高い。特にHHDでは患者の88.0%が「とても満足」「やや満足」 と回答しています。  指導時間については、9ページにありますように、在宅血液透析は59.3時間、HPN は30時間、CAPDは24.3時間で、在宅に移行する教育に時間をかけていることがわか りました。  患者教育について、医師、看護師、技師のかかわりに関してはこれから分析し、5月 末までに説明できるように資料を仕上げる予定です。  16ページは企業にヒアリングをした時のデータですが、CAPD、HHD、HOTに ついては保守管理の状況、メンテナンスの状況が出ています。企業がメンテナンスにコ ールセンター等で努力していることがうかがえました。  デリバリーについては在宅の治療法によっていろいろ違いがあり、メーカーが負担し ているものもありますし、患者が負担しているものもありますし、初めは薬局が負担し ていたが、それは値引きに該当するので患者負担にせよという東京都の指導を受けて患 者負担にしたものもあります(HEN)。  19ページにまとめと今後の課題を書いています。  CAPDの技術料は入院では1日330点で、かつカテーテル留置術が加算だというこ とで、包括化の場合はCAPDは1000点以下の処置のため全く点数が取れない。入 院時のCAPD処置は、カテーテル留置を含めて2700点余りのところですべてやれとい われても困るという意見が多くみられました。  15ページにエビデンスを出していますが、カテーテルの留置は、すべての施設は手術 室で複数の医師と麻酔医も参加して行っています。中央値で60分、最大値は120分、短 くても30分かかっています。これはJコードですが、Kコードに変更するように見直し をお願いしたいという意見が多くみられますし、私もそのように考えています。  HHDについては、日本では108名の在宅血液透析の患者がおりますが、これまで1 名を除いて社会復帰しています。HHDの普及促進のためには、在宅血液透析の施設要 件、C102-2の(4)に記載されている「ア病床 イ専用透析室普及および人工人腎臓装置 」条項の見直しが必要ではないかと思います。  HENについては、薬剤の長期処方が認められていることから、在宅移行後の通院回 数が3カ月に1度の患者もいます。このため、受診月にのみポンプ加算が認められてる 現行のポンプ管理指導料のあり方に工夫が必要だと思います。  さらに、本来は使い捨てであるべき回路を患者の大半が再使用している実態も明らか になりました。これは回路費用が栄養管セット加算として2000点の定額払いであるた め、医療施設から患者に渡すセット数に上限があるためと考えられます。このため、患 者の健康上の観点からも、再使用を防ぐような診療報酬上の配慮が必要であると思いま す。  今回は資料として出しておりませんが、患者の受診回数や訪問看護の回数についても 調査しておりますので、これらについては最終報告の時に詳細に出させていただきたい と思います。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの報告についてご意見はございますか。よろしけ れば次に進ませていただきます。  次は「放射線治療に係る難易度及び時間の調査」について、土器屋先生にお願いしま す。 ○土器屋氏  放射線治療につきましては学会において隔年に行動調査をやっておりますので、その 中から年間新患者数100例以上の493施設を対象に調査を行いました。  4ページですが、回収率は約70%です。  図表2に回収した症例数を示しています。予想外だったのは全身照射の症例が非常に 多かったということで、骨髄照射が多く行われているということがわかりましたが、1 時間以上かかりますので、問題になっていきそうです。前立腺癌永久挿入療法が1カ月 間で95例になっています。  施設の実態把握ですが、放射線治療管理料は9割以上の施設が取っていまして、今回 の調査では放射線治療の専門医がいる施設が9割でしたので、今回の分析内容は標準的 な結果を示していると解釈します。  5ページ、6ページは体外照射です。図表5の照射技術別治療計画時間・検証時間を 見ていただきますと、照射する時間は平均16分と出ました。治療計画を立てるわけです が、それに1時間以上を要している。コンピュータどおりの線量が行くだろうかという のを検証するわけですが、それに30分以上かかっているということで、患者さんのいな い場所での負担が大きいというのがデータとしてはっきり出ました。この部分の手当て を今後お願いすることになると思います。  体外照射は25〜30回やりますが、骨髄など重要臓器への過剰照射を避けるため、照射 方向を変更する場合があります。変更した場合の手当てがないんですが、変更された症 例が1割ありまして、同じような負担がかかっているというデータが得られました。  7ページは強度変調放射線治療(IMRT)という新しい技術について書いていま す。これが今から世界の主流になっていくんですが、大変時間がかかるものですから、 マンパワーと時間の余裕のある施設でないとできません。  16施設から22症例が集まりましたが、図表8にあるように、難しいといわれる高エネ ルギー放射線治療の4門照射より4倍ぐらいの時間をかけてIMRTをやっている。理 想的な放射線治療に近いものですので、今後これを推進しなくてはならないだろうと思 います。  ガンマナイフと直線加速器については現在は同じ63,000点ですが、ガンマナイフより 直線加速器のほうが相当な負担がかかりますので、同じ値段設定というのは考え直す時 期ではなかろうかと思います。  9ページ、全身照射は血液内科と小児腫瘍の方々と一緒にやっていますが、治療室を 1時間以上も占領してるものですから、この間、ほかの患者さんが全然できないという ことで、相当な負担をかかえながらやっています。この負担に対する現在の点数は低い だろうと考えています。  10ページ、密封小線源治療(前立腺永久挿入療法)が日本でもようやく始まりまし て、社会的な関心を集めていますが、泌尿器科、放射線治療のそれぞれの専門医がかな りの時間をかけてやっているという実態が出ました。  この場合は医療材料をたくさん使うんですが、放射線治療医療に係る医療材料料が全 く請求できないという実態がありますので、これを考えていく時期にきたと思っていま す。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの放射線治療に関して、ご意見、ご質問はござい ますか。放射線治療に関しては40数年、見直しをしてないということがありまして、中 医協でも実態調査をしろということで、大変ご苦労いただいております。よろしいでし ょうか。では次に進みます。  次は「院内製剤における薬剤師の技術評価に係る調査」、「薬剤の情報提供等におけ るチーム医療としての評価に係る調査」について、手島先生にお願いします。 ○手島委員  資料は技−2−8と2−9がありますが、最初に2−8のほうから説明いたします。  1ページの対象施設ですが、250床以上の一般病院約750施設を対象としました。  細かい内容についてはタイムスタディをやりましたので、タイムスタディの調査施設 は2ページにありますが、この15施設で行いました。  3ページ、院内製剤はいろんな定義がありますが、この調査では、市販の医薬品には ないが医療上必要とされ、薬剤師が医師の求めに応じ、自ら院内において調製する製剤 として、この定義に当てはまるものを調査の対象としました。  回答の回収率は55%です。  院内製剤の実施状況については、図1のグラフは病床数を100床刻みで分けています が、病床数にかかわらず実施されています。病床数の多いところでは実施率が高くなっ ています。  4ページは院内製剤の品目数ですが、全体で約1,500品目ありました。  図2は院内製剤品目数を棒グラフで示していますが、外用液剤、軟膏クリームが多 く、この2つで5割を占めています。  図3は滅菌・非滅菌製剤の割合を示していますが、滅菌製剤が全体の約3割です。  5ページの図4は品目別滅菌製剤の割合ですが、注射剤は100%ですし、そのほかに も点眼剤、点耳点鼻剤などが滅菌の比率が高いことが示されています。  院内製剤に要する時間ですが、剤形によって差があります。注射剤が最長で約4時 間、坐剤が約2時間、そのほか図5にあるとおりです。  院内製剤を初めて調製する場合は準備が必要です。図6は準備に要する時間ですが、 安定性試験に5時間半、文献調査に3時間半、試作に3時間など、準備にかなりの時間 を要するという内容になっています。  図7は調製に要する時間ですが、攪拌混合、滅菌など、それぞれの工程によって時間 の長短があるということです。  6ページの下に結果とあります。すべての医薬品が製薬企業から供給されれば院内で 作る必要はないのですが、個々のドクターの要請に応じて、薬剤師がそういう技術を持 っていますので、今後ともこういう傾向は続くだろうと考えられます。  剤形によって作業が異なりますので、一律に評価することは難しいかと思いますが、 こういうところを評価していただいて、医療費の点数表にも反映されればいいのではな いかと考えます。  次に技−2−9ですが、薬剤師がチーム医療の中にどのように参画しているかという 調査です。調査施設は全国の200床以上の一般病院約200施設です。  回収率は書いてありませんが、2ページに院内感染対策委員会の薬剤師人数が166施 設とありますので、8割以上の回収率ということになろうと思います。  調査の内容は5つありまして、1つは院内感染対策です。各施設では院内感染対策防 止委員会がありますが、この委員会には薬剤師がほとんど参画しています。  2ページの下のところに設問2から11まであります。図1は横軸が設問番号、縦軸が 実施率ですが、各設問について実施率を示しています。  3ページは2番目の医療安全管理です。医療安全の中身はたくさんありますが、医薬 品に関連した業務についての医療安全ということで、いくつかの分野に分けて調査をし ています。  表1は医療安全対策委員会の薬剤師数と委員数ですが、「分類」の欄に1、2、3、 4とあります。表の下にありますように、患者に対する薬剤師の割合として、30以下が 1、30〜50が2、50以上が3、4は療養・精神病棟という区分けをしていまして、それ を示しています。  3ページの下に与薬業務とあります。調剤をして、薬剤師が患者さんに薬を渡す時の 業務として、どういう内容で、実施率がどうかということです。  4ページの図2は与薬業務の実施状況ですが、設問2から8まで、それぞれの実施率 を示しています。設問2は、薬剤師が薬剤管理指導記録に基づいて処方せん監査等をし ているかということですが、この実施率は84.3%になっています。  設問7は、薬を自己管理できない患者に、その都度与薬している。これは実施率が 11.4%と低くなっています。  持参薬の管理ですが、4ページの図3は持参薬の管理実施状況です。先ほどの患者対 薬剤師の率で1、2、3、4に分けて、実施率、頻度、延べ時間をみていますが、どこ においてもこのような業務がやられています。  注射薬の混合調製ですが、注射薬の混合による医療事故等がありますので、これにつ いての関与を調べました。  6ページの図4に棒グラフがありますが、1はすべての注射剤を薬剤師が調製する。 これは4.2%と低い実施率ですが、必要なものについては90.4%の施設がやっているとい う結果でした。  図5は医師・看護師への情報提供の実施率を示しています。「混合調製したすべて」 というのは低いですが、「必要な場合は提供する」というのは実施率が高くなっていま す。  7ページは3番、じょくそう対策です。図6にあるような実施率で、現状ではあまり 高くはありません。防止対策のほうに重点が置かれていまして、薬剤師は起きたものに 対する薬剤の処理ということで、こういう状況であろうということです。  8ページは4番、疾患別薬物療法及び指導です。  9ページの図7は、がん薬物療法です。これも患者対薬剤師の率で棒グラフが作られ ていますが、がんについては実施率は高くなっています。薬剤師の比率が多いところが 実施率が多いという結果になっています。  10ページの図8は糖尿病の薬物療法の実施率ですが、薬剤師は非常に高い関与をして いるという結果が出ています。  図9は精神科の薬物療法の実施率です。これは全体ですので低い割合になっています が、精神科のところだけ見ますと高いわけです。  11ページの図10は栄養管理ですが、これも薬剤師の関与がかなりあるという結果にな っています。  12ページはまとめです。チーム医療の中で薬剤師の関係のありそうな業務を調査し て、それぞれの関与度合いがわかりました。低いからといって業務が必要ではないとい うことではなくて、人員の配置が足りないために、やりたくてもできないということも あると思いますので、今後このあたりを精査していきたいと思います。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの報告に対して、ご意見はございますか。時間が ありませんので次にいきます。  次は「WOC看護技術の有効性に関する調査」について、野末委員にお願いします。 ○野末委員  WOC看護技術の有効性に関する調査(概要)ですが、まず1ページをご覧くださ い。  1.調査の目的は、WOC看護技術が患者アウトカムに与える影響を明らかにするこ とにより、その影響がどのようなものだったかということを2つの柱で調べています。  1つがじょくそうの治癒経過と処置にかかる費用、2つ目がストーマ造設術後の在院 日数、ストーマ周囲の皮膚トラブルの状態及び治癒経過、退院後QOLです。  2.調査対象は200床以上の外科を有する小児病院を除く医療機関1,358施設で、この うち211施設が介入群、1,147施設が対照群となっています。それぞれの対象者の条件は ここに記しているとおりです。  3.調査方法は前向きの調査方法をとりまして、調査票の内容は以前にお示ししたよ うな内容になっています。  4.結果に移ります。調査対象施設のうち655施設から有効回答を得て、有効回答率 は48.2%です。じょくそう患者については2群間の年齢調整を行い、がんの悪液質をも つ患者を除外した結果、分析対象とした患者の入院施設数は486施設となりました。  まず(1)じょくそう患者調査です。  ア 対象患者の属性については今回お示しした数値が間違っていましたので、この次 に正しいものをお示ししますので、ここは飛ばさせていただきます。  イ じょくそうの治癒経過です。8ページに表4、表5、9ページに図1が載ってい ます。じょくそうの状況ですが、調査開始時の得点は介入群が13.5、対照群が12.1で、 介入群のほうがじょくそうの重症度が高かったんですが、3週間後の得点は介入群が 10.9、対照群が10.7で、じょくそうの改善は介入群のほうが効果が高かったという結果 が出ています。  ウ WOC看護技術の有効性については、12ページに表11があります。じょくそうの 得点変化に関連のあるWOC看護師の有無など、ここにあります要素をパラメータとし て重回帰分析を行った経過ですが、2週間後、3週間後でWOC看護師の影響が大きか ったという結果が出ています。  (2)2つ目の柱のストーマ患者調査です。  ア 対象患者の属性については13ページの表12-1、14ページの表12-2に書いてありま す。患者属性としては2群間で特に差はみられませんでしたが、術後在院日数では介入 群で有意に日数が短いという結果が出ています。  イ ストーマケアの内容については、15ページの表13にストーマケアの実施状況を示 しています。術後のケアにおいて、どのようなケアがなされていたかということです が、介入群のケアの特性としては、患者の心理面について、サポート組織の利用等にま で配慮したケアが実施されているという結果が出ています。  ケアに要した時間は全体としては介入群のほうが短い傾向にあった。便漏れ・尿漏 れ、皮膚トラブルの発生については2群間の差はみられませんでした。これについては 表14、表15に載っています。  ウ WOC看護師の看護技術の有効性ですが、16ページの図16をご覧ください。  退院後のQOLについては調査期間が短くて十分なデータが得られませんでした。  術後の在院日数に関連のあった項目であるストーマの合併症、術後合併症、年齢の調 整をして多変量解析をした結果、合併症や放射線治療が在院日数の長期化と有意に関連 しており、WOC看護師の就業が在院日数短縮と有意に関連していました。  以上のことから、WOC看護技術がじょくそうの治癒過程を促進すること、ストーマ 造設患者の在院日数に関連することが検証されました。  調査の目的の一つとして、処置に伴う関連費用がどのくらい縮小される可能性がある のかという点も見たかったので、データを得てるんですが、これについては分析中です ので、次回にお示しできると思います。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの報告について、ご質問等はございますか。  それでは最後に「歯科固有の技術に係る調査」について、須田先生と野首先生にお願 いします。 ○須田委員  歯科のほうからは、日本歯科医学会が調査主体となって行いましたアンケート調査結 果4件の概要を報告させていただきます。  まず1ページの「治療指針」(診療ガイドライン)です。歯科のほうでは1ページの 中央に記載してあります(1)から(6)まで6本のガイドラインが主に使われていますが、 その有用性に関する検証です。  調査対象は全国の歯科診療所300施設としました。回収率は63.3%です。  まとめですが、1ページの下に5つの◆で示しています。  ◆「治療指針」に記載のあるいくつかの治療方法、技術、材料等が既に過去のものに なっているので、迅速な改定を求めるべきであるとしています。  ◆ガイドラインの中に科学的根拠を明示すべきであるという意見が多く提示されまし た。  ◆歯周病のガイドラインが該当しますが、治療の流れを細かく示していますので、現 場としては使いづらいということで、現場の声も反映するためのフィードバックの仕組 みを作ることが必要であるという声が多く出されました。  ◆「顎関節症」「睡眠時無呼吸症候群の治療のための口腔内装置」に関するガイドラ インを作るべきであるという意見が多く出されました。  ◆歯科医師が使うガイドラインだけでなく、患者さんに説明する説明用の文書も作っ てはどうかという意見が多く出されました。  2ページは歯科診療行為(外来)のタイムスタディ調査です。これについては、この あと野首委員から説明をお願いします。  3ページは歯科診療における患者満足度調査(概要)です。  臨床の現場において初診の患者さんに対して適切な説明指導あるいは文書提供が行わ れているかどうかを調査したものです。調査対象は医療機関と患者さんの両者としまし た。  4ページの最後にまとめが書かれています。現在の歯科医療において患者さんに対す る情報提供はおおむね適切に実施されており、患者さんの満足度は高いと評価されまし たが、文書の提供に関しては不十分な点が見受けられました。  医療機関では文書を提供しているのですが、患者さんとしては受け取っているという 認識がないようですので、これについては今後検討する必要があるように思われまし た。  5ページは4番目の「睡眠時無呼吸症候群に対する口腔内装置治療」に関する調査 (概要)です。睡眠中の下顎の位置を変更することによって症状を改善する装置です が、対象および方法のところにありますように、年間10症例以上の実績を有する62施設 を対象に往復郵送方式でアンケート調査を行いました。回収率は72.5%でした。  その内容はタイムスタディと使用材料および技工料金の調査です。  調査結果は6ページの「総括および提言」に書かれています。  (1)この治療を実際に行っている医療機関は都会中心でした。  (2)タイムスタディ調査の結果、要する時間にばらつきが大きく、これは症例の難易 度に関係していることが判明しました。  (3)装置の材料については医療機関によって選択が異なっていまして、歯や歯周組織 の状況に応じて適切な材料を選択する必要があるということが出されました。  (4)口腔内装置は永久的なものではなく長期間においては再製作が必要になりますが、 再製作に至る期間は口腔内の変化や装置の材質に依存するとまとめられました。  (5)口腔内装置治療の精度を高めるためにはガイドラインを作成して、それに沿った 治療を確立すべきであるという意見が多く出されました。  (6)この治療は医科と歯科の連携が求められますので、より密接な連携が望ましいと まとめられました。  2件目の報告について野首委員にお願いします。 ○野首委員  歯科診療行為(外来)のタイムスタディ調査の概要について報告します。  本調査は、国民のための歯科医療改革に資する目的の一環として、現在、普遍的にな されている我が国の歯科医療の診療実態を明らかにして、今後の施策を考える資料とす るためになされたものです。今回は歯科外来の診療行為における各種の診療項目に要す る診療時間を実測し、タイムスタディ調査報告書として9.664症例の調査記録をもとに まとめたものです。  調査員は全国各地に在住し、診療所を構えている開業歯科医師で臨床経験5年以上の 者228名として、各診療項目に対する所要時間の計測は平成16年11月の1カ月間としま した。  指定した診療項目は、日常的に行われている診療行為のうち、社会保険歯科診療報酬 請求件数リストから上位100位までの診療行為ならびにそれに付随する項目としました。 診療項目の合計は293項目です。  その結果の概略を以下に示します。  1.診療項目と所要時間を領域別にみると、歯冠修復系の修復、クラウンブリッジお よび入院施設のない無床診療所の口腔外科では所要時間の短い診療項目が多く、咬合、 咀嚼を再生する欠損補綴系の義歯では所要時間の長い診療項目が多く、歯周治療系の歯 周、歯内では、その中間を示しました。  2.診療項目の所要時間と技術度との関係では、診療項目を診察検査、指導、治療の 3領域に分けて検討した結果、いずれの領域においても所要時間と技術度は依存した関 係にあり、所要時間の長いものは技術度が高く設定されていることが確認されました。  3.診療項目の所要時間と社会保険歯科診療報酬との関係をみるために、所要時間1 分あたりの保険点数を算出しました。このデータから各診療項目の評価、点数に対する 技術度の反映程度、あるいは、これらの診療項目が組み合わされて完結する症例治療と しての評価、考察も合わせて行いました。後日配付する報告書の中ではその考察をさら に行っていきたいと考えています。以上です。 ○吉田分科会長  ありがとうございました。ただいまの報告に対して、ご意見、ご質問はございます か。  以上で平成16年度調査についてすべてご報告いただきましたが、時間の制約上、今回 だけでは十分な検討は困難だと思います。まだデータ分析中の調査もありますので、次 回の分科会において再度ご検討いただき、その上で報告書をセットしたいと思いますの で、よろしくお願いします。 ○松原委員  手術件数とアウトカムの関係に係る調査は非常に注目しております。今回の中間のデ ータを見ますと、あまり相関性がないという結果のように思われるのですが、最終的な 報告ではどのような形になると思われますか。 ○山口委員  110のうち10か20はきちっとしたデータがでるかもしれません。調査に非常に 時間がかかりますので、全ての結果を待たず、ある程度の結果が出たら小冊子にして皆 さんに配布したいと思っております。 ○松原委員  保険点数を決める上で、前回の時にこういったことを加味するということになったわ けですが、それが適切な科学的裏付けがなかったのではないかと私どもは主張している わけです。どのように思われますか。 ○山口委員  術式一つ一つでアウトカムが異なったものであるというところが非常に難しくて、そ このディスカッションが大変難しかったんです。調査し始めるとこれが適切かどうかわ かってくると思いますので、より精緻なものになると思います。 ○石原委員  昨年も質問させていただいたんですが、韓国が日本の保険診療をお手本にして大変い いものを作っていると聞きます。韓国は手術などの症例数が少ない地域ほど1件当たり の保険点数を高くしているという事実があるそうですが、それについてのご見解を聞か せていただきたいと思います。 ○吉田分科会長  事務局で韓国のデータをお持ちですか。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  その際の議論を確認する必要があると思います。必要があるということであれば、で きる限り調査したいと思いますが、困難ではないかという印象をもっています。 ○石原委員  地域の医療を守ろうと頑張っておられる臨床医たちは、困難なところでも良い医療を しようと頑張ってるわけで、そういう意味においては韓国の形もリーズナブルに思える んですね。一方、施設基準という集約的な、施設の整ったところほど良いアウトカムが 出るだろうという推定もよくわかるんですね。実際のデータをもって日本の制度をどの ように落とし込んでいくかということが、山口先生のおっしゃったように、まだまだエ ビデンスが足りないように思います。  施設基準について、もう一つ追加で発言させていただきます。伊東先生に伺いたいん ですが、心臓リハビリの施設基準は、先生は日本全国にすばらしい心臓リハを普及させ たいという思いからのご発言だと思います。実際の問題として呼気ガス分析器がありエ ルゴメータがありトレッドミルがあり、水中ウオーキングの施設があり、そして専門医 が2人も3人もいてテラピストがいてという理想的なものはあるかもしれませんが、地 域に行くとそういうものはとても望めない。しかし知識と経験のある循環器の専門医が いらっしゃったら、そこでリハビリテーションが立派にできると思うんですね。  私が申し上げたいのは、施設基準のあるべき姿を先生が描いて、よかれと思って設定 されても、現場ではハードウェアとしての施設基準を満たさないと地域では患者もドク ターも報われないという現実が外科の例でも出ています。私も循環器内科の専門医でも ありますので、そこのところは同じようなピットホールがあるのかなと感じましたの で、コメントさせていただきました。 ○吉田分科会長  それでは、議題2「制限回数を超える医療行為」に移りたいと思います。まず、事務 局から資料3、4について説明をお願いします。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  診調組 技−3について説明させていただきます。いわゆる「混合診療」問題に係る 基本的合意(抄)ですが、厚生労働大臣、内閣府特命担当大臣の合意ということになっ ています。  制限回数を超える医療行為については、適切なルールのもとに保険診療との併用を認 める。ただし、医学的な根拠が明確なものについては、保険導入を検討するという形で 合意がなされています。  2ページは制限回数を超える医療行為ですが、「もう1回検査等をしてほしいが、全 額自己負担でないと、制限回数以上は受けられない」という要望があります。  そういうものに対応するため、適切なルールのもとに、保険診療との併用を認めると いうことで検討をいただくということです。  現行は、2回目の検査に関しては全額自己負担という形で、入院基本料、処置等につ いても自己負担になる。見直し後は、その部分については保険で給付される。2回目の 検査実費のみ負担という形になるということです。  3ページですが、詳細について書かれています。具体的な要望としては「ピロリ菌の 除菌」「腫瘍マーカー検査」「追加的リハビリテーション」などがあげられています。  4ページは、制限回数を超える医療行為について(案)ですが、その後、中医協で議 論されて、このような形になっています。  制限回数を超える医療行為については、まずは、診療報酬調査専門組織の医療技術評 価分科会において、保険給付との併用を認めるものと認めないものとの区分けや、認め る場合の必要な条件等について検討し、基本問題小委員会に報告するという形になり、 基本問題小委員会からこの分科会に付託されたということです。  5ページは、算定回数制限のある項目の例ですが、このような例があがっているとい うことです。この例については診調組 技−4に詳細に書いてありますので、引き続き 説明させていただきます。  制限回数を超える医療行為について論点を整理しています。  1.制限回数を超える医療行為について、患者の選択・同意といった観点からどうい った医療が適切か。  3ページの参考資料1に制限回数が設定されている診療報酬項目一覧を示していま す。基本診療料である指導管理等、5ページから在宅、8ページから検査、16ページか ら画像診断、17ページに投薬、注射、リハビリテーション、18ページに精神科専門療 法、19ページに処置、20ページに手術、23ページに麻酔、放射線療法、24ページに特定 保険医療材料となっています。以上、約360項目について制限回数が設けられています。  これについて事務局で考え方を整理したものが26ページからの参考資料2ですが、診 療項目の設定の趣旨から、制限回数を超える医療について、保険給付との併用を認める ことが不適切と考えられる項目を掲げています。  1.複数回の実施を一連の医療行為として評価している項目を26ページから掲げてい ます。  代表的なものを説明しますと、上から4つ目のD102細胞診検査。同一または近接し た部位より同時に数検体を採取して検査を行った場合であっても、1回として算定す る。  D200 スパイルグラフィー等検査。負荷を行った場合、負荷の種類、回数にかかわら ずその前後についてそれぞれ1回のみ算定する。  D231 人工腎臓。2日以上にわたり連続して実施した場合においても、一連として1 回の算定とする。  一連という考えのものが続いていますが、わかりやすい例としては、27ページの下か ら2番目のK653 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ、粘膜切除術。短期間または同一入院 期間中、回数にかかわらず、1回に限り算定する。  28ページから2.判断料、診断に関する項目です。これは検体検査判断料、画像診 断、病理検査等々がありますが、基本的には医師の診断または判断を評価した点数で、 1カ月単位の包括された点数になっています。検査回数とは関係なく、1カ月当たりの 点数になっているので、制限回数を超えることはありえないのではないかということで す。  29ページからは3.医療機器に要する費用を評価した加算点数です。  代表的な例としては、C101 血糖自己加算ですが、血糖自己測定をするにあたっての テストテープ、バイオセンサーを給付することについての加算で、医療機器代に対する 費用になっていますので、月1回で、2回給付することはありえないということです。  そういった例が掲げられていまして、酸素ボンベ、人工呼吸器等があります。  31ページですが、4.一定期間の管理を評価した項目です。A001 再診料・継続管理 加算ですが、治療計画に基づき継続して再診を行った場合は、継続管理加算として月1 回に限り、所定点数に5点を加算する。こういうものは管理ですので、2回取るという ことはありえないのではないかということです。  5.標準回数以上については、診療報酬明細書に理由を記載することを求めている項 目で、PTCAの関係です。PTCA用カテーテルについて標準本数が定められてい て、それを超える場合はレセプトに詳記すれば、医学的に必要性が認められる場合は認 められているので、それ以上取ることはないのではないかということです。  6.検査、画像診断が包括されている項目です。透析の外来医学管理料、検査、画像 診断は包括されていますので、こういうものも制限回数を超えることはないのではない かということです。  32ページは7.その他です。HIV抗体陽性患者の観血的手術加算は手術ごとに1回 となっていますので、こういうものも算定概数を超えることはないのではないかという ことです。  以上、約100項目については、見かけ上は制限回数が定められていますが、それを超 えることは想定されづらいというものを参考資料2にまとめてあります。  33ページは参考資料3ですが、患者選択の観点よりも医療上の必要性から制限回数を 超える医療行為が実施される可能性があると考えられる項目です。  1.処置に係る項目です。  代表的な例としては、J039 血漿交換療法ですが、それぞれ疾患に合わせて限度数が 定められています。おおむね10回とか月7回を限度とすると定められています。  34ページですが、2.手術に係る項目として、(1)自動吻合器、自動縫合器等に係る 加算点数があります。  K529食道悪性腫瘍手術の場合、自動吻合器の加算が3個を限度として使用個数を乗 じて加算すると定められています。  35ページは(2)その他です。  K131 椎弓切除術(椎間加算)の場合、1椎間を増すごとに100分の50に相当する点 数を加算する。ただし、100分の200を限度として算定すると定めています。  K654 内視鏡的消化管止血術は1日1回、週3回を限度として算定するとしていま す。  このようなものが約60項目あります。  37ページ、参考資料4ですが、患者のニーズが少ないと考えられる項目です。  1.指導管理を評価した項目ですが、特定疾患指導管理料、小児療養指導料、心臓ペ ースメーカー指導管理料、生活習慣病指導管理料など様々な指導管理料がありますが、 これらは月1回ということで、患者さんからさらにというニーズはあまりないのではな いかと考えられるものです。  39ページ、2.共同指導料です。  B002 開放型病院共同指導料。当該開放型病院に主治医が赴いて、当該患者に対して 療養上必要な指導を行った場合、患者1人1日につき1回算定する。それ以上は患者さ んからニーズはないと考えられます。  3.退院指導料等です。退院時の指導、退院時のリハビリテーション指導を評価した 点数ですが、退院時ですので1回限りで、それ以上のニーズは少ないと考えられます。  4.診療情報提供料ですが、紹介先保険医療機関ごとに、患者1人につき月1回に限 り算定する。  40ページ、5.訪問看護指示料、6.医療行為の特性から制限回数を超えることが考 えづらい項目、こういったものについても患者さんからのニーズは少ないのではないか と考えています。  42ページ、参考資料5ですが、参考資料1から参考資料2、3及び4を除いた項目で す。検査に関する項目が相当部分を占めていまして、49ページまで検査が続いていま す。  49ページから在宅ですが、在宅患者訪問診療料などがあります。次がリハビリテーシ ョンですが、患者1人につき1日合計4単位に限り算定するとなっていますので、それ を超える場合があるのではないかと考えられます。  50ページは精神科専門療法ですが、入院精神療法は週3回を限度として算定するとい うことですので、それを超えるものがあるのではないかと考えられます。  麻酔については、トリガーポイント注射、神経ブロック等があげられています。  最初のページに戻ります。  2.設定内容から、制限回数を超えることが考えづらい項目があるのではないかとい うことでしたが、約110項目あったということです。  3.手術、処置は、患者の選択という観点よりも、医療上の必要性から制限回数を超 える医療行為が実施される場合があるのではないかということですが、約60項目あった ということです。  4.患者のニーズがあるとは考えづらい項目については、約80項目あったということ です。  残ったのが参考資料5に示した項目で、約110項目あるということです。  5ですが、参考資料2.診療報酬項目の設定趣旨から、制限回数を超えることが考え づらいもの、参考資料4.患者ニーズが少ないと考えられる項目を除外した上で、参考 資料3と参考資料5について個々に詳細に検討していただく必要があるのではないかと いうことで論点としてあげています。  6.このようにまとめても予想外の患者さんのニーズがあることもあると思いますの で、毎年フォローアップして、そういうニーズがあれば、その都度検討してはどうかと いうことで論点としてあげています。以上です。 ○吉田分科会長  膨大な資料を時間をかけてまとめていただきました。個々に検討する時間はありませ んので、参考資料3と参考資料5について検討していただきたいということですが、い かがでしょうか。参考資料3について、どなたかご意見はございますか。 ○松原委員  参考資料3は、治療する必要があれば医療行為としてなされるべきものであって、患 者さんの選択で選ばれるものではないと思います。ただ、現実問題として保険の点数上 いろんな制限があります。そういう中での回数制限だと思いますから、これが果たして 適切なものかどうか。レセプトに詳記していただき、適切であれば審査委員会で認めて いただけるのに十分な医学的な根拠のあるものばかりだと思います。これ自体を検討し ていただく必要があると思いますが、規制改革会議が申されていた患者さんの選択にか かわるものではないと私どもは思っています。ただ、現実問題として、医療上の問題点 として洗い直す必要はあると思っています。 ○吉田分科会長  参考資料3の件ですが、こういう制限がありますので、支払基金ではすべて全国的に 守っています。これを超える場合は査定してますけど。 ○松原委員  レセプトに詳記して、それを審査委員会でご判断いただくという形が国民にとって一 番いいのではないかと私は思っております。 ○吉田分科会長  腎臓移植の後に拒絶反応があって、どうしても血漿交換療法を4、5回やらざるをえ ないというのがけっこうあるんですね。それについては詳記を重んじてやっております ので、そういう認識を中医協でもご指示いただければ、審査委員会としては全国に指令 が出せますので、お願いしたいと思います。 ○事務局(麦谷医療課長)  今までは支払基金で制限回数を超えたものについては査定されてたんですが、今度は 制限回数を超えたものは患者から費用を取っていいという新しい武器ができたんですか ら、そこをよく考えてください。そういう新しい武器ができたということを考えていた だかないと、単純に医療上必要だからいくらでもやってもいいということではなくて、 診療行為は制限されてませんので何回でもやっていただきたいんですが、保険では10回 まで、残りは患者さんから費用を取る、このように整理をしていただきたいと思いま す。 ○松原委員  全員について回数以上やれと申し上げてるわけではありません。100あれば1〜2例、 特殊な状態がまいります。この方がもう1回、透析あるいは血漿交換をすれば命が助か るのに、患者さんが個人的にお金を出してくださればもう1回できますよということは 医師としては言いづらいことだと思います。医学的に必要なものであれば、その方の個 人的な負担ではなくて、全体で対応するような保険のシステムでやっていただきたい。 この方に対して、あなたがお金を払ってもう1回お受けになれば大丈夫ですが、お金が なければだめですということは医師としては絶対に言えないことだと思いますので、そ のあたりは厚生労働省の方もよくご理解いただきたいと思います。 ○事務局(麦谷医療課長)  それは患者さんに言うんです。あと1回必要ですから3万円払ってくださいと言って ください。 ○山口委員  私は松原先生の意見に賛成です。手術で自動吻合器を10個使えば手術時間も短くて安 全にできるのに、5個までしか認められていません。あとの5個分については30万払い なさい、払えなかったら時間がかかってリスクがありますよ。これは本当の医療じゃな いと思いますし、医者としてはとても言えませんね。 ○松原委員  全く同感です。自動吻合器の数の制限は財政上しかたがないとしても、必要な方に対 してはきちっと説明文をつけて、ご理解いただくことを保険者の方々にも求めていきた いと思っています。 ○野末委員  今のご議論に私も賛成です。看護の観点から申し上げますと、49ページに在宅患者訪 問看護料、指導料等の提案がなされていて、C005-1で週3回を限度としてという規定 があります。訪問看護の現場の話を聞きますと、毎日行けば入院しなくても在宅でみて いけるような症例もあるけど、回数の制限の問題が大きいという意見を聞いたりするわ けです。施設入院から在宅への移行を考えていく必要があるのではないかという動きの 中で、それを促進できるように、在宅での支援の体制が手厚くなるような設定がなされ るといいのではないかと思います。1日おきのような設定がいいのかどうかというのは 一例ですけど、そういった視点の検討が必要ではないかと思います。 ○吉田分科会長  これについては分科会で検討して基本問題小委員会に回答を出せということですの で、時間をかけて検討したいと思います。  参考資料2と参考資料4を今回の検討から除外してよろしいですか。  参考資料3と5について時間をかけて細かく検討したいと思いますので、担当を決め たいと思います。「参考資料3と参考資料5の麻酔」について、山口先生に責任者とし てまとめていただきたいと思います。「参考資料5の検査」について、渡辺先生にまと めていただきたいと思います。 ○渡辺委員  いつまでに、どういう評価をするのか。これはいい、悪いだけでいいのか。もう少し 詳細な段階的な評価をするのか。そのへんをあらかじめご教授いただくと作業が効率的 になるかと思います。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  これにつきましては夏をめどにということになっております。この分科会のあと中医 協の基本問題小委員会でご検討いただくことになりますので、それほど時間をかけてと いうわけにはいかないのかなと思っております。今の予定では5月18日を考えておりま すが、その場において各先生から個々の項目について検討していただき、その結果につ いてご報告いただき、それをベースにこの分科会で議論していただいて、考え方を整理 して中医協に報告するという流れで考えています。  検討いただく中身につきましては、回数を超えることについては医学的に問題がある ということであれば、そういうのは適さないという評価になると思いますし、超えるこ とが妥当というのであれば、やっていただくということかなと思っています。  こういった条件下であれば制限回数を超えても認めても構わないというものがあれ ば、要件についても意見を出していただければと考えています。 ○渡辺委員  詳細については事務局と相談させていただきます。 ○吉田分科会長  責任者ということで、よろしくお願いします。  「参考資料5の在宅、精神、リハビリ」については茅野先生にお願いしたいと思いま す。3週間ぐらいしかありませんが、事務居も協力しますので、よろしくお願いしま す。  それでは本日の最後の議題「その他、医療技術評価・再評価希望書」に移りたいと思 います。まず、事務局から資料の説明をお願いします。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  診調組 技−5「医療技術の評価・再評価に係る希望書提出について」ですが、平成 17年1月25日、事務連絡として出しています。  学会から技術の評価・再評価について希望があればいただきたいということで、提出 期間は2月1日から6月30日までとしています。以上です。 ○吉田分科会長  外保連と内保連の進行状況はいかがですか。 ○山口委員  実務委員会のほうで順調に進んでいると思います。 ○茅野委員  4月末に個々の希望書を内保連に出していただいて、5月中に順位づけをして、6月 中にまとめてお出しする予定です。その後、希望書の評価をこの分科会ですると聞いて たんですが、どういう体制でおこないますか。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  診調組 技−1の3番のところですが、診療報酬における医療技術の適正な評価の観 点から、学会等から提出される医療技術評価希望書に基づき、新規医療技術の評価及び 既存医療技術の再評価を実施するということです。  どのくらいの数かわかりませんが、数百あるいは1,000というオーダーになるかもし れません。そういうものを個々に検討するのは困難だと思いますので、ワーキンググル ープを設置して、そこで検討していただいて、ある程度まとめたものをこの分科会に出 していただき、再度ご検討いただくという流れで考えています。次回、事務局案を出し て、それでご検討いただければと考えています。 ○吉田分科会長  きのう打合せまして、6月末で締切りですので、7月、8月は夏休みですが、東京近 辺の専門家に集まっていただいて、そこで個々に検討いただく。具体的にどうするかと いうことを今月いっぱいで決めます。専門家を集めて下地を作って、そのまとめたもの をこの分科会に上げて最終決定していただくという手順にしたいと思います。  これで本日予定していた議題はすべて終了しましたが、ほかに何かございますか。 ○須田委員  回数制限のある処置等について歯科関係の項目は出てこなかったんですが、これにつ いては私と野首先生で検討させていただいてよろしいでしょうか。 ○吉田分科会長  結構です。  それでは、次回の予定について事務局からお願いします。 ○事務局(太田医療課課長補佐)  次回の予定ですが、5月18日の水曜日の16時から18時を予定しております。場所につ きましては決まり次第、ご連絡するようにいたします。 ○吉田分科会長  それでは、以上をもちまして平成17年度第1回診療報酬調査専門組織・医療技術評価 分科会を終了いたします。どうもありがとうございました。                 【照会先】                 厚生労働省保険局医療課企画法令第2係                 代表 03−5253−1111(内線3276)