05/04/21 アレルギー対策検討会第2回議事録            第2回「アレルギー対策検討会」議事録                      平成17年4月21日(木)9:59〜11:49                      於:厚生労働省専用第17会議室(16階) ○事務局  それでは、時間前ではございますけれども、ただいまから第2回アレルギー対策検討 会を開会いたします。委員の皆様方には、本日はお忙しいところお集まりいただきまし て、まことにありがとうございます。  本日の会議の出席状況でございますけれども、岡谷恵子委員、下川寛子委員、橋本信 也委員、丸井英二委員、山本美代子委員の5名が御都合により欠席されていることか ら、8名の委員に御出席をいただいていることを御報告申し上げます。以降の進行は秋 山座長にお願いいたします。 ○秋山座長  おはようございます。本日もよろしくお願いいたします。まずこの会を始めるに当た りまして、事務局より配付資料の御説明をお願いいたします。 ○事務局  それでは資料の確認をいたします。まず座席表、議事次第、委員名簿、配付資料一覧 がございまして、資料1、アレルギー対策論点整理(案)、こちらが5枚。参考1、平 成15年保健福祉動向調査アレルギー様症状が1枚。参考2、アレルギー疾患に関する正 しい情報の普及が2枚。参考3、リウマチ・アレルギー相談員養成状況が1枚。参考 4、各都道府県におけるアレルギー施策について、こちらが3枚ついております。参考 5、リウマチ・アレルギー対策研究及び医療の現状と問題点、こちらはページ番号が入 っていないのですが、最後に横の表が4枚ついております。次に古江委員提出資料、こ ちらが3枚。岡本委員提出資料、こちらが2枚。山中委員提出資料、こちらが5枚。机 上に配布しておりますけれども、横田委員提出資料、こちらが3枚でございます。  皆様に配布した資料に漏れ等はございませんでしょうか。ないようでしたら、以上で 資料の確認を終了いたします。 ○秋山座長  どうもありがとうございました。それではこれから議事に入りたいと思います。まず 議事のところで、「アレルギー対策論点整理について」とありますけれども、まず前回 の議論の概要を含めまして事務局から御説明をお願いいたします。 ○事務局  事務局より御説明申し上げます。前回、主な論点ということで、アレルギー対策論点 整理(案)の紙の左側に記載されていて、右側の対応案を委員の先生方にお話しいただ いたところでございますけれども、そのときに委員の先生方から御発言、御提案があっ た事項に関して右側に書き記してあるところでございます。  2ページ目の、小児アレルギーと成人アレルギーの病態に関する異同の解析、胎内に おけるアレルギー予防と出生後におけるアレルギー予防、アレルギー疾患有病率及び長 期予後調査等を実施するための総合的な疫学調査方法の検討。  3ページ目でございますけれども、気管支喘息重積発作等に対する医療体制づくりを どのようにとるべきか、地域医療における病院(救急病院)と診療所の連携。人材育成 のところで、かかりつけ医におけるアレルギー疾患治療管理の向上、アレルギー総合専 門医の育成。  患者QOLの向上等のところで、患者及び患者家族に対する救急対応等に関する教 育、乳幼児健診及び保健指導等の活用。  情報提供・相談体制のところで、身近な地域(市町村等)における情報提供・相談体 制の整備、リウマチ・アレルギー相談員養成研修会で養成された相談員の活用。以上で ございます。  前回と違うところが、第一、第四、第五、第六の基本的方向性、医療提供体制の整 備、患者QOLの向上等、情報提供・相談体制のところが濃い色で塗られておりますけ れども、ここのところを中心に御議論いただくというふうに認識しております。以上で ございます。 ○秋山座長  どうもありがとうございました。本日の議論というのは、前回が第1回目でありまし たので、第2回目ということで前回の議論の継続になると思いますけれども、この論点 整理にありますように、本日特に第一の基本的方向性についてというのと第四番目の医 療提供体制の整備について、それから第五、患者QOLの向上について、第六、情報提 供・相談体制についてを中心に御議論いただくことになると思います。  まず議論に先立ちまして、本日は、先ほど提出資料の御説明がありましたけれども、 4名の委員の方から提出資料につきまして御説明をいただきまして、その後に議論に入 っていきたいというふうに考えております。まず古江委員から、皮膚科医の立場から、 「アレルギー診療において、世界水準レベルに達していない分野は具体的に何であるか ?」ということについての御説明をお願いいたします。 ○古江委員  それではお手元の資料を見ていただきたいと思います。「アレルギー診療において、 世界水準レベルに達していない分野は具体的に何であるか?」という御質問をいただき ました。これを考えますと非常に深い意味があるわけですが、日常のアレルギー診療つ まり喘息・鼻炎・皮膚炎・食物アレルギー・蕁麻疹などですけれども、これにおける検 査、治療薬、治療手技などの面から考えると、個々の診療の場では多少のばらつきはあ るかもしれないですが、我が国のアレルギー診療というのは十分に世界水準レベルの診 療を行っているというふうに考えています。保険制度・医療情報の収集・治療薬の質的 量的分配・医療過疎地対策のいずれを見ても、他国の水準と比較して遅れているとは、 私自身は考えがたいというふうに思います。ただし、このような、ある意味では医師側 から見た医療の水準は高いわけですけれども、しかしながら医療を受ける国民の側から 見た医療のあり方は極めて国民性を反映しております。各国間で大きな格差があるとい うふうに考えています。例えばアレルギー疾患がどのような病気であるかという問いに 対する一般の国民の答えというのは、各国ごとに極めて格差があるというふうに考えて います。  すべての疾患に通ずることですが、医療の質は、医療を受ける患者が判断すべきもの であるという観点から考えますと、患者のみならず一般国民がその疾患の概念や治療法 を正しく理解できるように、具体的な普及活動というのを積極的に展開すべきであると 考えます。理解という考え方の進歩は現状把握と将来認識を具現化させるために、必ず 医療の質を向上させるというふうに考えています。乳児期から成人期まで幅広い年齢層 で多くの患者が罹患しているアレルギー疾患では、特にこの「国民の正しい理解を深め る」という活動が極めて重要であるというふうに考えています。  そういう点から見ますと、いただきました質問は変える必要があるということで、議 案1といたしましては「アレルギー疾患は、患者ならびに家族・一般国民に正しく理解 されているか?」ということが一番大事な点ではないかと。議案2といたしましては 「アレルギー疾患の新しい対処法、治療薬開発のための道筋」というふうに、分けて話 をしていきたいと思います。議案1ですけれども、これは至急にやらなければいけない ことですので、短・中期的な考え方で対処する必要がありますが、議案2は中期的、長 期といいましても、後で述べますように、非常に治療薬の開発が進んできておりますの で、ここ3〜4年には十分達成できる目的ではないかというふうに考えます。  さて、議案1ですけれども、「アレルギー疾患は患者ならびに家族・一般国民に正し く理解されているか?」というこの質問に関しまして、それに対する私の考え方です が、正しい理解が普及してるとは言いがたいと思います。さらなる正しい情報の提供と 相談体制の充実がぜひとも必要です。現在、リウマチ・アレルギー情報サイト、これは 厚生労働省のホームページですけれども、それから日本アレルギー学会のホームペー ジ、アレルギー協会のホームページ、皮膚科学会、鼻アレルギーの情報センター、その 次はアトピー性皮膚炎のEBMというように、いろいろな学会や厚労省のホームページ による普及活動によって、疾患の病態や治療を一般国民に広く正しく理解してもらおう という活動は年々強まっています。しかしまだ十分とは言えません。  患者や家族、一般国民の、特にこの家族というところが私はすごく大事だと思うので すが、患者や家族、一般国民の理解度が低い事項については今後重点的な普及活動が早 期に必要であろうというふうに考えます。特定のアレルゲンによって発症する食物アレ ルギーや花粉症と同様に、喘息やアトピー性皮膚炎でもアレルゲンが直接的に関与する と、いまだに誤解されています。食物アレルギーは喘息・鼻炎・皮膚炎とは全く異なる アレルギー疾患の一つの重要な疾患概念であるというこの認識がもう一つ大事だと思い ます。にもかかわらず、食物アレルギーが喘息やアトピー性皮膚炎の原因であるという 誤解というのはまだまだ広く信じられています。食物アレルギーと喘息、食物アレルギ ーとアトピー性皮膚炎、食物アレルギーと鼻炎はあくまでも合併しているととらえるべ きものであるという、こういう考え方というものをしっかりと広めていく必要があると 考えております。局所性ステロイドと全身性ステロイドの治療法・副作用に関する誤解 というものも非常に多いというふうに思います。治療法の有効性に関する基本的な情報 については、有効性の方は軽んじられ、副作用は必要以上に強調される。そういう傾向 が続いています。同じ疾患であっても、重症度に応じて治療法・治療期間・治療効果が 異なるという認識、これは一般に非常に希薄です。それから、不適切な治療や、いわゆ る民間療法による被害の状況、これはほとんど一般に公開されておりません。こういう 情報公開というものがすごく大事であるというふうに思います。  こういう普及活動にはインターネットやパンフレットを駆使し、できるだけ互いをリ ンクさせて伝播させる必要があります。あわせて、都道府県市町村の保健衛生課や保健 所職員との連携が必要で、共通認識を培うという場を広めるということがすごく大事で あります。それから、国民のための相談システムの構築を地域単位で発展させるという ことが不可欠です。これは後で山中委員の方からも御意見があるのかもしれませんが、 さらに重要なことは、昨年度新しく制度化されたものの、いまだにほとんど活用されて いない学校専門医制度、これを充実させるという意味では文部科学省との共同作業が極 めて大事だというふうに思います。これは従来の学校医の制度を補完し、アレルギー疾 患全体の教育や対処法の教育を学校の場で広めていくという意味では、この学校専門医 制度を厚労省としても文部科学省と一緒になって進めていくということがすごく大事で はないかと思います。こういったことは重症のアレルギー児を持つ両親の、恐らく切実 な願いではないかというふうに考えています。  議案の2ですが、「アレルギー疾患の新しい対処法、治療薬開発のための道筋」です けれども、総論的には、研究体制の強化と治療薬や対処法の開発は重要な課題であると いうふうに思います。従来の治療薬には、抗ヒスタミン薬・抗アレルギー薬、気管支拡 張剤、吸入・点鼻・点眼・外用ステロイド薬、タクロリムス外用薬、内服ステロイド薬 というものがあるわけですが、アレルギー性炎症に対して現時点で最も有効な治療薬は ステロイドやタクロリムスなどの免疫抑制薬であります。新しい免疫抑制薬の開発はバ イオロジックス、またTNFalfa抗体療法や、受容体の抗体療法、抗IgE抗体療法などの開 発とともに、今後の重要な研究分野であるというふうに思います。こういった免疫抑制 薬以外に、幸いなことに我が国では、厚労省の研究班の玉置班、西岡班、玉井班の研究 成果として皮膚炎局所を抑えるという、そういう新しい新規の薬というものが登場して おります。NF-κBデコイ、keratinocyte response modifierといった2つの薬ですけれ ども、この2つの薬は我が国から発した薬でありまして、しかも厚労省の研究班の一つ の成果であります。keratinocyte response modifierの方は第I相試験が終わりまして、 第II相に突入しようとしておりますし、NF-κBデコイの方も第I相試験が始まろうとし ております。こういった我が国発のものがあるということも、もう少し宣伝していった 方がいいのではないかというふうに思います。また、痒み抑制薬の開発というのも重要 です。これらの薬物の開発で、ここが私は大事だと思うのですが、薬物の評価も大事な んですが、標準化されつつあるQOLの評価というもの、幸いに厚労省とか文部科学省 の研究体制でアレルギーのQOLの評価というものは鼻アレルギーの方でも、アトピー 性皮膚炎でも、恐らく喘息の方でも、共通で使用できるQOLの評価といったものが固 まりつつあるというふうに思いますので、こういったQOLの評価法を活用して、患者 さんの満足度の向上というのを目的とした臨床試験というものを、積極的に展開するべ きであるというふうに思います。  従来の治療法についてですが、新規の開発だけではなくて、従来の治療法の組み合わ せや用法・用量に関する臨床研究を推進させることも大切です。例えば、今認められて いるお薬でも、1日3カプセルのお薬を9カプセルとか、そういうふうに増量できるも のも中にはあるというふうに思います。そういったものがどうかというような、そうい った研究をもう少し推進させる必要があるのではないかというふうに思います。そうす ることによって既存の治療法の効能、これはわかっているわけですけれども、効果もあ る程度わかっておりますが、効率と効用、それを増加させるということを目的とした取 り組みというのをさらに進める必要があるというふうに思います。一番最後に、大事な 点なんですが、得られた有用な情報というのは速やかに公表普及するという、そういう システムをつくることが大事であるというふうに考えております。以上です。 ○秋山座長  古江委員、どうもありがとうございました。非常にわかりやすいお話をいただきまし た。まずは4名の先生たちから御説明をいただいて、最後に討論ということにしたいと 思いますので、続きまして岡本委員から、耳鼻科の立場から、「アレルギー性鼻炎診療 の欧米との違い」を御説明いただきたいと思います。 ○岡本委員  岡本です。アレルギー性鼻炎診療について日本と欧米とでどのような違いがあるかと いったことについて解説するようにとの御指示でしたので簡単にまとめてみました。  アレルギー性鼻炎診療の欧米との違いを検討するに際には背景に大きな違いがあるこ との認識がまず必要です。と申しますのは、現在も猛威をふるっておりますが、我が国 特有ともいえますスギ花粉症の存在です。スギの植生面積が日本では極端に広く、欧米 ではブタクサなど草本による花粉症が中心ですが、植生面積は大きく異なり、スギ花粉 飛散量は桁違いに多くみられます。さらにスギ花粉の飛散距離は数十km、あるいは100km を超え、容易に東京や大阪といった大都市にも飛散し、多数の人々に大量の花粉暴露を 引き起こしていることです。ブタクサなど草本の花粉飛散量は数十mから数百mといわ れています。また、スギだけでなく、スギ花粉に引き続いてみられるヒノキ花粉飛散 は、類似の抗原を持つためスギ花粉症の患者さんの多くにヒノキ花粉症も引き起こして います。日本のアレルギー性鼻炎の特徴は、スギ・ヒノキ花粉症が大きなウェートを占 め、その飛散花粉量、飛散距離は欧米での花粉症とは大きく異なるということです。  次に診療体制の違いですが、日本でのアレルギー性鼻炎の診療の中心は耳鼻咽喉科医 が担当していますが、欧米では通常はgeneral physician(GP)が行っており、減感 作療法など特殊な専門治療となると、アレルギー科の医師が担当しています。耳鼻咽喉 科医が診療することは多くありません。さらに、医師の診療を受けないでOTC剤の仕 様が多いことも欧米の特徴であると考えられます。  診療内容に関してですが、日本では独自で作られた鼻アレルギー診療ガイドラインに 準拠した診療が推奨されています。欧米ではプリントにも記載しましたが、ARIAと いうガイドラインがあり、Allergic Rhinitis Impact on Asthmaの略ですが、各国での ガイドラインの作成の参考、スタンダードになるようにWHOが推薦する形で作られた ものです。このARIAの大きな目的の一つはアレルギー性鼻炎に関する情報を一般の GPに提供することです。この背景には前途しましたように欧米ではGPの方がアレル ギー性鼻炎の診療にあたっているといったことがあります。GPの方はアレルギー性鼻 炎も含め鼻疾患に詳しいわけではないので情報を提供し、かつ喘息との関連に重点を置 くことでより関心を持っていただく必要があります。ARIAではその他、EBM、 randomized controlled studyを重視した記載、患者のQOLの重視の必要性、費用便 益の考慮といったことが特徴として挙げられます。  このARIAには日本の診療ガイドラインと異なるところがありますが、その背景に はやはり欧米ではみられない大量の花粉暴露、かつその飛散距離が非常に長いといった スギ花粉症の存在があります。前途しましたように、多数の重症患者が長期にわたり多 数の重症例が引き起こされてしまいます。また、日本の鼻アレルギー診療ガイドライン は耳鼻咽喉科医を対象の中心としていることもあり、重症度分類も細かく、一方ARI Aではかなり大ざっぱなになっています。ただ、EBMや患者のQOLの重視、費用便 益の考慮などは従来の日本のガイドラインでは不足していたのも事実であり、改訂版で は取り入れが進んでいます。さらにQOL調査については日本の文化、風土に合わせた 独自のQOL調査も作成されています。  日本でのアレルギー性鼻炎の診療の問題点ですが、一つはこの診療ガイドラインの浸 透がいまひとつであることです。実際に治療を受けたアレルギー性鼻炎の患者さんを対 象に行った診療に対する満足度調査では満足度が決して高くありません。この改善には ガイドラインの浸透を耳鼻咽喉科医、さらには内科、小児科の先生方にももっと図って いく必要があると思います。  また、治療法として決して望ましくない頻回なステロイド注射や漫然としたステロイ ド内服投与が行われているのも事実です。全体の詳細は明らかではありませんが、代表 的なステロイド内服薬としてベタメタゾンと抗ヒスタミン薬であるクロルフェニラミン との合剤がありますが、年間7億円以上使用されています。実際にはジェネリック製品 がいくつかありますので使用量はずっと多いと推察されます。また、ステロイド注射に ついても、代表的な水濁液のデュポ製剤の今年の1〜3月のスギ花粉シーズンの使用量 は、去年の同期より4倍以上といったことも報告がありましたが、やはりジェネリック 製品を入れますとさらに多いと危惧されます。このようなステロイド治療は日本のガイ ドラインやARIAでももちろん推奨されていませんが、実際の臨床の現場ではよくみ られているのが現状です。耳鼻咽喉科によるこのような治療は少なく、むしろ内科、整 形外科医などアレルギー性鼻炎の治療の情報が少ない医師により行われており、投与 法、インフォームドコンセント、効果の評価にも大きな問題を含んでいます。副作用の 調査も行われておりません。  ただ、全体としてみますと日本のアレルギー性鼻炎の診療レベルは欧米と比較して決 して低いことはないと思われます。ただ、日本でのスギやヒノキ花粉症の存在は欧米に は無い特異なものであり、この花粉症の存在が診療の内容に大きな違いを引き起こして いると考えられます。  以上です。 ○秋山座長  岡本先生、どうもありがとうございました。アレルギー性鼻炎に関しての、特に海外 との違いについてお話いただいたわけであります。続きまして横田委員によりまして、 小児科医の立場から、アレルギー診療において、世界水準レベルに達していない分野は 具体的に何であるかということについての御説明をいただきたいと思います。横田委 員、お願いいたします。 ○横田委員  それでは資料を参考にしていただきながら話を進めたいと思います。私の今回の問題 に対しての回答は、子供中心のアレルギーの医療が行われているかどうかという形でま とめてみました。小児の気管支喘息を例にとって、研究的側面、小児医療の現場の面か らということ、それから私どもが日常接しております病児とか家族の声、そういう3点 に分けてまとめてみました。  実は、私は今、小児科学会で研修システムの改善に取り組んでおります。もう一つ は、小児のリウマチの全国調査をしつつ、小児のリウマチ専門医がなんと全国で30人し かおりませんので、そういう診療についての問題点を洗い出しているところです。今 回、このアレルギーの問題で、今の研修制度、それから小児リウマチの問題、共通のも のが実はあらわれているということを感じます。まず第1は、先ほど申しました子供中 心の医療が行われているかどうかという問題で、さらにそれがどうすればよいかという ところにまで話が及んでいないというところで、それに対しての啓蒙活動、あるいは普 及活動が必要であるということは先ほどの委員のお話と全く同じなんですが、もう一 つ、小児医療に特有の問題として、システムの問題があるかなというふうに思います。 それは研究的側面から見ても、小児医療全体の面から見ても、あるいは御家族の声を解 析してみても、同じようなことを感じます。  まず研究的側面ですが、小児医療における基礎的な研究の分野では、非常に僕は国際 的なレベルに達していると思いますし、そういうことに邁進している先生方を、特に大 学関係で多く見受けます。この部分は大変いいのですが、丸ポツで3つ目に書いてござ います実際の病児の病態についての疫学的見地や臨床的知見を基礎にした本来の臨床研 究が、非常に底が浅いのではないかと思っています。それは学会等で、あるいは研究会 等で報告されることを聞いておりますと、あるいは私たちが研究していることもそうな んですが、個々の事象に興味のある臨床医の個人的な努力によってそういう研究がなさ れていることが多い、すなわち研究自体が地域限定的で、同じ問題が全国的な傾向とし てどうかというようなことを把握できるようにはなっていない。それから、そういう研 究者が数年、研究を続けた後、その問題を放棄されてしまいまして、それが継続的な、 経年的な研究になっていないという点があると思います。この点は前回の会議で秋山委 員長が御指摘された、アレルギー疾患の有病率とか、長期予後調査などを実施するため の総合的な疫学調査が日本ではなかなか立ち上がらないんだというお話があったと思い ますが、それに通ずるものだろうと思います。すなわち、慢性炎症性疾患である小児期 の気管支喘息を全国レベルで、また経時的かつ長期間にわたりモニターしていくシステ ムが欠如しているために、そもそもの治療法の確立であるとか、あるいは疾患の増悪因 子・予後因子の解析を行うきっかけがなかなか出てこないというところにあると思いま す。  欧米ではこういう小児のアレルギー、リウマチの医療というのは多く拠点化されてい て、小児病院を中心に患者さんの管理等が長期間にわたって行われていて、その中から 問題点を抽出してきて、その問題を解決するというような方向に行っておりますし、昨 今は韓国とかシンガポールが欧米の小児医療システムを取り入れている中で、そういう 部分が発達してきております。あるいは香港も入れてもいいかもしれません。そういう 意味では、現場から問題点を拾ってくるという方法論がなかなか日本ではできてこない というところが大きな問題だろうと思います。したがって、我が国ではアレルギー疾患 の子供さんを管理、あるいは診察できる長期的な場所として拠点化するという意味で、 そういう部分を立ち上げていくことと、拠点化したものを今度はネットワーク化してい くということが必要であろうと思います。  2番目の小児医療の面から見ても、そのことは全く同じことが言えます。小児の気管 支喘息は急性発作への対処と同時に慢性疾患としての長期管理を必要とする疾患であり ます。そして医療体制も両者に対応できるものでなくてはならないというふうに思いま すが、皆さん御存じのように、小児救急医療体制が今、破綻のふちに立っております が、気管支喘息についても、急性発作の受け入れ態勢は、実はその場しのぎになってい ます。その場しのぎという意味は、喘息発作あるいは重積発作の子供さんを診ている場 所がどこかというと、多くは夜間休日センターであるとか、地域の基幹病院の先生方が 眠い目をこすりながら診ているという実情で、夜間休日センターはお医者さんが日がわ りです。また、地域基幹病院も大学のローテーションに乗っかって、大体2年、3年で どんどん変わっていってしまうということで、発作の対応のみで、それを長期管理へつ なげていく体制にはなっていないというところが最大の弱点であろうと思っています。 最近の治療の進歩が非常に著しいことは先ほどの報告にありましたけれども、治療薬の 発達だけでなくて、日常の規則的な治療管理は夜間の急性発作の減少をもたらすという ことさえわかっているのです。それは前回の会議で申し上げたとおりです。したがっ て、発作あるいは急性増悪をどうやって長期の管理へつなげていくかというところは、 今、それをすべき時期に来ているだろうと思います。  もう一つ現場の問題としては、日本小児アレルギー学会で「喘息死ゼロ」という運動 を始めていて、そのことは学童とか中高生の死亡例の減少につながっております。確実 に減少してきております。しかし今、喘息もしくは喘息様気管支炎ということで入院す る乳児の喘息が非常に増加傾向にあります。その病態すらわからず、かつ実数の把握す らできていません。原因も対応法もその場、その場での手探り状態にあるという事情に あります。小児気管支喘息全体から見れば、今、乳幼児の喘息が緊急対策の主眼目とな ってきております。これも小さいお子さんですから、対応が非常に緊急を要することも 多くて、やはり全国的な拠点整備とネットワーク化が求められているだろうというふう に思います。  御家族の声を3番目に挙げますと、先ほど申し上げましたように、発作が起こった ら、さあどうするということで、夜間休日救急センターにその場しのぎに出かけられ る。そして先ほどの、啓蒙活動が不十分であるという点もあって、吸入等でいったんよ くなればやれやれということで終わってしまっている。しかし大事なことは日常の規則 的管理なんだということを伝えるシステムがなかなかない。ここをどうしていくかとい うことも、御家族の声を聞いてやはり思うことです。  また最近、小児の慢性特定疾患の法的見直しが行われまして、小児気管支喘息に対し ても、ある意味で手厚い保護が加えられるようになったのですが、ただ、その場合の患 者さんの選択基準が非常に厳しくて、超重症例の対応ということにどうしても限られて しまう傾向にあると思います。しかし、御家族は何とか軽症化したいということを考え ておられるわけで、そうすると日常的な規則的管理に病院へ通わなくてはいけない。そ うすると時間的にも、経済的にも負担が多くなる。こういう部分がどうしても出てきま す。国と地方自治体の共同での支援ができれば大変ありがたいなというふうに思いま す。また、そこにアトピー性皮膚炎と食物アレルギー、あるいは結膜炎・鼻炎も取り上 げましたが、気管支喘息をプロトタイプとしてお考えいただければ、その両者も同様の 問題点に突き当たります。  対策として最後に3つ挙げさせていただきました。1つは、今のような考察を経ます と、結局、急性発作、重積発作を慢性疾患として長期の管理に移行させるというシステ ムをつくっていくのに、どうしても現在対応している休日センターであるとか、地域の 拠点病院では医者がどんどん変わってしまうという弱点があるために、何とか拠点病院 の設置をして、それを全国的なネットワークにつくり上げるということが必要だと思い ます。そこで登場するのが、全国で今26カ所、小児の病院、こども病院がございます が、この多くは県立もしくは県立民営という形で運営されていて、国の関与がないので す。そして、せっかくこれだけの専門病院、特にその中ではアレルギーの専門医が確実 にいるところですし、そこを県に任せるだけではなくて、全国ネットという意味で国が かかわっていただくことが必要な時期に来ているのではないかという気がいたします。 また、どこのこども病院も赤字に悩んでいます。  そして欧米では実際、大学に小児科なんかないんですね。アメリカではこども病院が 小児の入院機関として中核になっております。そこのこども病院が経済的にどうやって 補助を受けているかというと、もちろん国や市町村、県、ステイトですが、その援助を 受けつつ、ドネーションということが行われています。それは企業とか個人の篤志家か らの寄付を受けつけて、それに対して税を無税にするというような、それぞれにメリッ トのある、それから小児病院に寄付をしたということは、その人たちにとって、あるい はその企業にとって一つのステータスになるんですね。どこの小児病院に行っても、玄 関にはたくさん、ドネーションした会社とか、個人の名札が張ってあります。そういう ことで特にアメリカの小児医療は成り立っているわけですが、小児は働いてお金を稼ぐ 立場にないわけですから、お金がどんどん医療に関して使われていくというのは当たり 前のことなので、それを赤字、赤字ということで医療が削られていくということは大変 忍びないことですし、現在、少子化の中でそれを解決することは求められていると思い ますが、そのときにドネーションということを一つ頭に置いてはどうかというふうに考 えます。  2番目に、ホームドクターを中心とする日常診療と長期慢性の疾患としての小児喘 息、もしくはアレルギー性疾患の対応ということでの高次医療システム、これをつなぐ と同時に、それぞれの役割分担をもう少しはっきりさせるようなガイドラインが必要に なってくるだろうと思っています。日本小児アレルギー学会も既に治療ガイドラインを 作成して、その改訂にまで踏み込んでおりますが、全国の小児科医がすべて使えるガイ ドラインというのは実際上はあり得ないので、日常診療に使われる部分と、ここから先 は高次専門医療で行えというような役割分担が必要だろうということ。  それから3番目に研究システムの整備の中で、特に当初申し上げましたように、疫学 統計、臨床的解析から生じる問題点を研究化する部門、いわゆるトランスレーショナル リサーチということになりますが、こういうもの、それから食物アレルギー、あるいは アレルギー性結膜炎、鼻炎、そういうことを考えると、必ずしも医療の部分だけではな くて、農林水産の部門との連携も必要になってくる。共同研究を推進する必要が出てく ると。そんなことも考えています。以上、ありがとうございました。 ○秋山座長  横田先生、ありがとうございました。横田先生には小児アレルギーの研究の面及び診 療、あるいは診療体制等につきましていろいろ貴重な御提言、あるいは問題点の提供を していただきました。それでは最後に山中委員によりまして、都道府県の立場から、 「アレルギー対策における本県の現状と課題」ということで、青森県の状況等につきま して御説明いただきたいと思います。山中委員、お願いいたします。 ○山中委員  それでは資料に基づきまして御説明したいと思います。地方公共団体において、こう いったアレルギーの相談体制、あるいは医療提供体制がどうなっているのか、それに対 してどんな課題があるのかというふうなことをまず先にお話しさせていただきたいと思 います。資料の1ページ目を見ていただきますと、まず市町村におきましては、例えば 乳幼児健診、あるいはそれに伴う栄養指導等でアレルギー疾患を持つお子さんたちの把 握が可能なわけなんですけれども、ただ、健診において、スクリーニングというのが導 入されておりませんけれども、例えばアトピー性皮膚炎とかに使った場合には医療機関 の受診を進めるとか、そういったことで市町村の健診は活用されております。ただ、そ ういった健診会場での把握はある程度可能ではありますけれども、健診という短い時間 での相談には時間的にも、あるいはマンパワー的にも不足している状況がございます。 また、市町村はニーズを把握しやすい立場にはありますけれども、そういった健診以外 に、例えば相談窓口を持つとか、随時、アレルギー疾患に対しての相談に対応するとい うふうなことはしておりませんで、そういったことの対応が求められるのではないかと いうふうに考えております。  市町村ではこういった状況把握はするのですが、県、保健所等に情報が十分行ってい るかというと、実際には、以前は県が母子保健法に基づいて乳幼児健診をしておりまし たけれども、平成9年の地域保健法以降は県がそういったことをしておりませんので、 なかなか市町村から県の方に現場ではこんな状況になっているという、そういう状況が なかなか伝わってこないし、県の方でも積極的に市町村でのアレルギーの状況がどうな っているのかというふうな情報の収集に努めていないというのが現状でございます。  県の対策についてですが、まず、県の出先であります保健所においては相談事業とし て平成16年から花粉症とシックハウス症候群等の相談窓口を設置しております。ただ し、これについても十分に住民の方々のいろいろなニーズに対応できているかというよ うなことの評価がまだまだ十分できておりません。というのは、まだ相談がそんなにた くさん来ないということ。公報とかでこういう相談窓口をつくりましたというときには ワーッと来るのですが、持続的にそういう相談がなかなか続いてきていないというふう な問題があります。それから、実際に病院を紹介してくださいというような、そういう 御要望に対しても、特にシックハウスについては、どういった医療機関がこういうこと に対応できるかということの情報がなかなか県の方にも来ておりませんで、実際には医 師会の方にお願いをいたしまして、アレルギー御専門の先生、あるいはこういったシッ クハウスに対応できますという病院を手挙げ方式で見つけていただくと。そういったこ とをして病院を紹介するというふうな、そういう対応をしております。  なかなか、全県的な医療機関の診療情報ネットワークというのは、ホームページ上で つくっておりますけれども、アレルギー科というのを標榜している科が少ないこと、先 ほど一番先にお話された古江委員のお話にもありましたように、住民の方々がアレルギ ー疾患に対して十分な正しい知識をお持ちでないので、アレルギー科というのは何をし てくれるところなんだろうと、そこからわかりませんので、そういったところのいろい ろな説明や情報提供がまだまだ不十分なんだろうなというふうに思っておりますし、ア レルギー科でなくても、耳鼻科でも十分診療してくださる先生もたくさんいますので、 実際にはどういったところで必要な治療をしていただけるか、あるいは診断していただ けるかということの情報がまだまだ的確に把握しきれていないというのが現状です。  小児慢性特定疾患治療研究事業、横田委員のお話からもございましたけれども、この 事業において医療費の公費負担とか、あるいは相談、家庭訪問しておりますけれども、 そういった中で、例えば子供さんであれば特に学校とのいろいろな問題が浮き彫りにな っております。例えば喘息をお持ちの子供さんが修学旅行に行くとか、そういった場合 に、主治医の先生が許可を出されても学校側がなかなか許可してくれないとか、そうい った問題もありまして、そういったことを個々に、県の方から学校にいろいろ対応して 調整していくというふうなことが十分になされているのかというと、まだまだ十分では ない点、あるいは学校サイドへの教育といいますか、正しい知識を知っていただくため の研修だとか、そういう場も不十分であるというふうな認識を持っております。  情報提供でありますけれども、これは県、あるいは保健所レベルで、ホームページを 作成いたしまして、疾患の予防、特に花粉症は今年度は国の方でも随分いろいろなホー ムページ、厚くされましたけれども、それに伴いまして県でもホームページ等でいろい ろな情報を提供させていただいておりますが、先ほど申し上げましたように、医療機関 の情報についてはなかなか把握しきれていないという状況がございます。県本庁におい てはアレルギーに限らずいろいろな医療提供体制について、保健医療計画ということで その対策の推進方策について検討し、それを今後、こういった計画で進めていきますと いうことで、計画として策定するわけなんですけれども、現実的には、保健医療計画に アレルギー対策を載せている県が5カ所ほどしかなく、本県も載せてはおりませんし、 このアレルギー対策を県としてどうしていくかという議論をする場も現在ございません ので、こういったところを手厚くしていく必要があるというふうに考えております。特 に、先ほど申し上げましたように、なかなか市町村から県にいろいろな地域でのアレル ギーの状況が提供されていないということからすると、アレルギーの状況について、い ろいろな調査だとかをする必要があるのですが、国では患者調査だとか治療動向調査と いうことで疾患の調査をしております。ただ、この調査については今年度、例えば患者 調査、治療動向調査については10月とか、秋のある一時期の調査になっておりますの で、アレルギー疾患、特に花粉症のようにある一定の時期に集中的に起きるような疾患 については十分な把握が難しいというふうに考えております。  医療提供体制についても、アレルギー疾患がかなり広範囲、乳幼児から成人、老人に まで見られておりまして、また、疾患の種類も多く、受診する医療機関も多岐にわたる こと、それから必ずしもアレルギーの専門にされている先生方が地域の中核病院にいる というふうには限らないわけで、例えば診療所を開設されている先生方もおります。そ のために病院と診療所の機能分担が非常に図りにくいというふうな問題もございます。  人材の育成につきましては、専門医ということがございますけれども、非常に専門医 が少のうございます。アレルギー学会が御本人の了承を得て公表しておりますけれど も、本県においては10人も満たないというような状況で、これは地域格差も大変ありま して、全国的にこういった専門医を確保する必要性を感じております。また、アレルギ ーの相談員につきましては、国で平成13年から養成されているということですが、トー タル二百数十名の方々が養成されているということですけれども、2日間の養成という ことなので、その2日間の養成で十分相談員として活躍できるのかという問題、その後 のフォローアップをしていく必要があるのではないかということ、計画的に県で相談員 を養成して、なおかつ相談員さんを活用しているのかというと、現実的には計画的な相 談員の養成というふうな状況には至っておりませんし、前回もお話し申し上げましたよ うに、どのような形で活用するのか、その方針だとか、実際どういった形で活用されて いるのかが現実は見えていないというふうな状況がございます。  そのほか、家族会等もございますけれども、家族会についても、県あるいは市町村で も、どういった地域にどんな家族会があってどういう活動をしているのかということの 把握が十分できていないというふうなこともございます。医療機関におきましては、先 ほど申しましたように、アレルギー専門医と一般の医療機関との連携が十分に行ってい るのかどうかの検証が十分なされていないこと、救急体制につきましても、先ほど横田 先生からお話ありましたが、小児救急医療体制が、二次医療圏ごとに24時間いつでも小 児科医が診られる体制というのは、私どもの県ではまず6つの医療圏がございますけれ ども、すべての医療圏で十分対応ができていないというふうな、そういう問題もありま す。  そういった課題を解決するために提案として2ページ目から、こういった体制ではど うかという提案という形でお示ししております。まず1点目は、都道府県、県としてア レルギー対策をしっかりと、これは地域において大変重要な課題であるというふうなこ とを認識して、医療計画に盛り込むということが重要だというふうに考えております し、こういったことを議論する、例えば本県では地域保健医療対策協議会というのが、 県全体では一番大きな会議ではございますけれども、そういったところで疾患の現状を 把握して、対策の推進を検討し、ちゃんとした医療計画に位置づける必要があると思っ ております。  2点目は、今までの委員の先生方からのお話にもありましたように、広域的な医療ネ ットワークをつくることが重要だというふうに考えております。1つには全国的なアレ ルギー疾患の拠点病院間のネットワークの構築とその強化でございます。これは例示と して3ページ目から載せておりますけれども、全国レベルでは小児レベル、それからそ の他の大人を含めたレベルのネットワークというふうなことが必要なんだと思いますけ れども、これは例示としてですけれども、例えば国立病院機構を中心とした全国的なア レルギー拠点施設のネットワークとか、先ほど横田先生からありましたように、民間も 含めた小児病院のネットワークですとか、そういったものの強化をお願いする必要があ るというふうに考えております。  また、県レベルにおきましては、先ほど申しましたように、どこでアレルギー疾患を 治していただけるかということがなかなかはっきりしていないということで、アレルギ ーの拠点病院をまず県レベルで1つつくれないかということです。そういった拠点病院 においては、治療困難、あるいは診断が困難な疾患の確定診断や、高度な治療、あるい は地域の病院、あるいはアレルギー相談員等の教育研修、そういったところの役割を担 っていただく。二次医療圏レベルにおいては、ここは点線にしておりますが、アレルギ ー拠点病院的なもの、そういった二次医療圏にアレルギー拠点病院があれば、拠点病院 としてもいいのですが、そこではある程度、脱感作療法等の特殊な医療とか、患者・家 族会の支援を行政とともにするようなイメージで考えております。  ただ、こういった拠点病院がない場合は、専門医のいる診療所が専門医の診療所群と してそういう拠点病院的な役割を担っていただいて、一般の診療所をサポートしていた だく、あるいは患者・家族会の支援をしていただくというふうなイメージで考えており ます。日常的な生活指導は専門医のいる診療所、あるいは一般の診療所において広く住 民の方々にこういったサービスを提供していただく。そういったネットワークにおい て、全体的には切れ目のない医療提供が可能ではないかというふうに考えております し、救急の対応もこういったネットワークをつくっておくことでスムーズにできるので はないかということ、それから、拠点をつくることで専門医の育成が進むのではないか というふうに考えております。また住民にとっても、どこに行けばいいのかというふう な問題点も、こういったことで解消されるのではないかと。そういったメリットがある というふうに考えております。  相談体制の構築ですけれども、これは図の3、次のページの方にイメージとして書い ております。これだけ多くの方々がアレルギー疾患に苦しんでおり、また生活上のしづ らさも持っているということを考えますと、県レベルでのアレルギー相談員の設置とい うよりは、もっと住民の方に身近な市町村の方にこういったアレルギー相談員を設置し ていくというふうな方向で、ただ、市町村において独自で相談員の育成というよりは、 県がむしろ主体的にそういった相談員との人材の育成を行い、調整役をするという、そ ういう役割分担をしていくことが必要だというふうに考えております。そのために、ア レルギー相談員は市町村ごとに配置して、その育成は県が行う。  アレルギー相談員の研修につきましては県単位で行う。今は国単位ではありますけれ ども、やはり市町村の職員からすると、年に1回の遠隔地への出張で研修をするという よりは、身近なところで研修を受けて、その後のフォローアップもしていただけるとい う方が安心して相談員としての役割を担っていただけるというふうなことを考えると、 できるだけ身近な県単位での養成が望ましいというふうに考えております。ただし、そ の際には県ごとの格差が生じないように全国共通のプログラム等を作成していただい て、県レベルの拠点病院が中心になって研修会を開催するということが望ましいという ふうに思っております。  相談員については、拠点病院の連携のもとに住民の方々の相談以外に患者さん、ある いは家族会への助言とか支援も行っていくということで、もっともっと住民の方々の、 あるいは御家族の方々のニーズを相談員の方々が把握して、それを保健所に伝え、保健 所は県の方に伝えることでそれが施策の方に反映していくと、そういう流れになってい くものというふうに考えております。先ほどの相談員ですけれども、市町村に設置する といいましても、2日間の研修ですべてがそれでできるということではございませんの で、随時、フォローアップについては保健所で行って、保健所がその相談員と拠点病院 との調整を図って、必要な研修を継続してやっていくという、そういうシステムをつく っていく必要があるというふうに思っております。  そのほかいろいろな課題がございますけれども、保育所とか、学校、職域での患者さ んの支援のためには、管理者、これは学校でいえば校長先生ということになるんだと思 いますけれども、養護教諭ですとか、安全衛生管理者を対象とした研修会を多くつくっ ていく必要があると思いますし、患者さん、あるいは御家族の方にとっては、課題のと ころの最後の方にも書いておるんですけれども、非常に心理的なケアを必要とする方々 が大ございます。そういった方々に対しては患者・家族会の方々の御協力をお願いし て、例えばケアカウンセリングですとか、そういったことができるような場の設定とか も必要ではないかといふうに考えております。  以上、雑駁ではありますけれども、これまでいろいろ委員の先生方からお話がありま したように、行政としても全県的、あるいは国と一緒になった広域的な医療体制、ある いは全県的な相談体制、またその支援体制のシステムをつくっていくことでこういった 対策を強力に進めていく必要があるというふうに考えております。以上です。 ○秋山座長  どうもありがとうございました。4人の委員の方から非常に貴重な御提言、あるいは 問題点の提起がありまして、かなり共通と思われる部分と、それぞれ疾患特異性という ようなこともあったと思いますけれども、約55分、時間が残っておりますので、これ以 降に関しましては本日の論点整理ということで出ております、まず第一の基本的方向性 について、第四番目の医療提供体制の整備について、第五の患者QOLの向上等、第六 の情報提供・相談体制についてということを中心に御議論いただきたいと思います。ト ータルで5回の検討会の開催ということになっていて、前半の3回で議論、あとの2回 でまとめということではありますけれども、できるだけまとめのことを頭に入れながら 御議論願いたいというふうに思っています。  本日、この4つの点について御議論いただくことになっておりますが、最初の基本的 方向性というのは、なかなか最初は入りにくい面もあるかと思いますので、もしあれで したらその次にあります医療提供体制の整備についてというようなところについて、4 人の委員からのお話をもとにして御議論いただきたいと思います。  この論点整理の3ページ目にありますが、医療提供体制ということにつきましては、 アレルギー疾患別に適切な医療体制が確保されているのか。その際、地域においては医 療体制を体系立てて計画的に整理すること等によってその確保に努めるべきではないか という問題点。それから、気管支喘息、アトピー性皮膚炎、アレルギー性鼻炎・花粉 症、食物アレルギーそれぞれについて患者が疾患について自己管理できるようにするた めにはどのような医療体制等を具体的に確保すべきか。それから、気管支喘息重積発作 等に対する医療体制づくりをどのようにとるべきか。それから、同じ医療提供体制の整 備の中での人材育成という、先ほどの山中委員からもありましたが、患者が疾患を自己 管理するためにはどのような教育等の支援が必要か。適切な疾患管理が可能となるよ う、患者を取り巻く保育所・職場等ではどのような協力や支援等が必要となるのか。ま ずその辺のことにつきまして、先ほどの御議論を踏まえまして、委員の先生たちの御意 見を出していただければと思います。 ○岡本委員  医療体制ですが、横田先生のお話などを伺って、特に喘息のような慢性疾患での日常 診療は一般の診療所や病院の先生が通常行い、急性発作とか重積発作が生じた時に、喘 息専門医、救急専門医の居る二次病院、三次病院に紹介できるといった体制がきちんと とられればよいのではないかと思います。欧米との診療体制の違いとも関連してくると 思うのですが、欧米に比較して日本の方が一般医に疾患のことを気軽に相談しやすいシ ステムではないか、と思うのですがいかがでしょうか。逆に確かに救急体制といった面 では日本では依然問題があるのも事実だと思います。ただ、日本のように一般医への受 診が容易に行えるシステムがあるのなら、一般医での診療体制の充実を図っていくこと も重要と思います。救急体制については喘息のみならず多くの疾患に関連した問題でも あります。千葉県でも科によっては全く体制が作られていないものもあり、アレルギー 疾患に特徴的とは言えないと思います。このあたりはいかがなのでしょうか。 ○横田委員  特にアレルギー疾患の特徴というのは、慢性疾患でありながら、時折、急性発作を起 こして、その対処を誤ると死につながるというところだと思うんですね。先ほど申しま したように、救急体制の問題というのがベースにあると思うんですが、特に日本のこう いう急性転化を診る病院が、家庭医ではほとんど不可能です。夜はほとんどやっていま せんから。そうすると地域の基幹病院へ流れるわけですが、地域基幹病院が、大体小児 科医が1人勤務のところが多かったり、神奈川県でも平均2.7人の勤務なんです。そう すると1人当たり8日から10日間当直をしているというような体制の中で、翌日、通常 勤務ですから、勤務をしている病院で小児科医が疲弊しているというのが今の大きな問 題なんですね。喘息というのは季節性がある。そうするとさらに基幹病院の小児科医の 疲弊化が進行する。小児科医の日本のトータルの数は変わっていないのですが、現在、 着実に開業医の先生がふえていて、基幹病院の勤務医が非常に減ってきているという実 情がございます。それが小児救急の大きな問題点になっています。  それから、先ほど言いましたように、やはりどんどん人が変わるということと、先ほ ど青森県からの報告がございましたように、専門医がいないと。2.7人では専門医なん かとても置けないですよね。それからもう一つ、長期にわたって子供さんを診ていくと いうことのスタンスからすると、今、小児科学会では100万人に1つ、中核病院を置く という、そしてそこには小児科医が20人、30人いるようなところ、多くの疾患を診てい くというような形をとろうとしているのですが、つまり今ある地域の基幹病院、二次病 院というのは、ある意味で別な目的、例えば子育て支援に、地域にかかわっていくとい うようなことに変質していくべきだというふうに考えていて、こういう疾患を扱う病院 をもっと中核化していくのがいいだろうというふうに考えています。  つまり、頭の中では一次、二次、三次ということが頭で浮かびますけれども、二次と いうことがほとんど崩れ落ちているという事態の中で、今後どうしていくかということ で、参考までに、サンディエゴが人口320万で、私たちどもの横浜市が350万でほぼ同じ なんですが、サンディエゴの入院できる施設は、サンディエゴ小児病院1つだけなんで す。あとはホームドクターです。しかし、サンディエゴ小児病院は、小児外科も含めて ですが、なんと400人の小児科医がいるという実情です。ところが横浜の場合には、私 どもの大学が2人体制をとっていて12、12で24人しかおりません。そして地域の基幹病 院がなんと50もあるんですね。そこが2.7人の勤務。少人数で勤務しているという事情 にあって、夜間、救急車がどこに行っていいかわからないという事情になっているのが 現状で、特に大都市は恐らく似たり寄ったりだと思います。また地方は地方で、先ほど 言いましたように、小児科医自体がいませんので、大変プアな医療が行われている。そ うすると、やはり問題の核は医療の質をどういうふうに確保するかという問題で、先ほ ど古江委員が医療の質というのは患者さんが判断するものだと言われましたが、それは そのとおりだと思うんですが、それは小児科医の側から質をどうやって確保するかとい う考え方も当然持っていなくてはいけないだろうと思うんです。 ○秋山座長  どうもありがとうございました。先ほど横田先生が、小児喘息の視点から、いわゆる 喘息というのは急性期の医療と慢性期の医療があるということで、それは成人でも同じ だと思いますけれども、以前、喘息死の調査を学会のシンポジウム等で行ったときに、 救急施設で亡くなる方というのはかなりもちろんいらっしゃるわけですけれども、その 場合に、その場しのぎというのはちょっとあれですけれども、救急医療施設の立場上と いうことだと思いますけれども、やはり過去の患者さんの状況がわからないということ がありまして、最近は軽症の患者さんからも喘息死が出るというようなことが言われた ことがあるんですが、それは詳しく前のことを見てみると、決して軽症ではなかったと いうような状況があったりしまして、そういうことがありますので、確かに急性期の治 療に携わる医療と、日常の慢性期に携わる医療というのが何らかの形で連携をとらない と、いわゆる情報そのものもかなり間違ってくるという可能性もありますので、そうい うようなことでの先ほどの横田先生の提言というのは非常に重要だというふうに私自身 は考えたところでございます。  島崎先生、救急の側からということで、アレルギー疾患、例えば喘息等についてどう いうふうに考えられるかということを。 ○島崎委員  救命センターを含む三次医療機関に運ばれてくるのが主に気管支喘息と食物アレルギ ーによるアナフィラキシーショックで、食物アレルギーによるものというのはそう数は 多くないのですが、喘息の重積発作というのは結構たくさんあります。耳の痛い話なん ですけれども、やはりその場での一時しのぎのといいますか、もちろん救命的な処置を 行うのですが、その後のフォローということになると、それぞれの地域の病院にお返し するんですけれども、そこでどうなっているかとか、そういうフォローは全くなされて いなくて、逆に向こうの方も救命センターでどういう治療がなされたとか、しょっちゅ う行くとか、そういうのを全く把握されていないようなところがあるんですね。そうい うフォローも大切ですし、そもそも、重症化されたときに診る医師、かなり専門医が不 足して、疲弊しておりますので、大変だという現状があります。  先日、厚労省の方で医師の需給に関する検討会というのが7年振りに開かれたのです が、そこに主に、救急領域で、専門医が不足している専門医師の学会が呼ばれて、小児 科医と産婦人科医と我々救急と3つが呼ばれたんですね。かなり皆ひどい勤務体制をと っておられて、その現状で医師の数が余っているというのはとんでもない。救急領域で は実際問題として専門医が非常に不足しているという話を皆さん訴えられたんですけれ ども、やはり最近は、夜中も来て働くというので、救急の領域へ行く先生方が少なくな ってきていて、開業される先生が多くて、夜間になるとほとんどそういう救命センター なり、救急病院なり、あるいは二次救急医療機関の勤務医で救急しているところなりへ 運ばれるんですけれども、今言ったようなフィールドの先生方、非常に少ない。これは やはり卒業生が行きたがらないというのが非常に大きくて、最終的にその領域の専門医 が不足してしまうというようなことで、小児科医が少ないんだ、産婦人科医が少ないん だ、救急の専門医が少ないんだというんじゃなしに、共通項の救急そのものの底上げを 何らか考えないと、医療サイドで医師が好きなところに行きなさいという形でやってい るとなかなか、いつまでたってもこういう問題は解決していかないんじゃないかなとい う気がします。  そういう意味では、ほかの診療科と言ったらおかしいですが、何らかの差別化を図る ような行政的なことを考えてあげないと、夜中働く医師集団……。夜中働くというと、 みんな当直しているんですけども、領域によっては、話が非常に具体的になりますけ ど、寝てるだけというのと、当直したら全く翌日まで寝られない、不整脈が出てくると いうような医師集団と2つあって、どっちも当直していますという話ですが、全然勤務 の中身が違うんですね。そういうことをきっちり把握されて、これはもう厚労省なりで 行政的に何らかのことで差別化を図って考えるようなシステムをつくらないと、いつま でたってもこういうことは続くと思います。 ○秋山座長  ありがとうございました。喘息に関して言いますと、例えば喘息死の調査をします と、喘息死の一番の危険因子というのはいわゆる対応の遅れということが明らかです。 その対応の遅れというのは喘息以前に、その喘息死の調査をやったときに出ている結果 としましては、喘息に関しては決して三次救急、あるいは例えば脳血管障害とか、心筋 梗塞とかでやるような高度な三次救急は必要ないんだという言い方はちょっとあれです けど、それよりも身近の一次、二次といいますか、すぐに吸入治療をしてもらえる、あ るいはすぐに点滴をしてもらえる、そういうところが必要なんだということと、あとは 患者さんの側、あるいは御家族の側がいかに早く次の手を打つかということが重要であ るということが、これまでも広く知られていると思んですけど、そういう意味では医療 体制としての整備とともに、患者さんの側に対する教育というか、そういうようなこと で、逆に今の、もし医療体制というか、救急体制が、人が足りないとかというのであれ ば、そういうようなところでかなりカバーできるんじゃないかというふうな面もあると いうふうに私自身思っております。 ○疾病対策課長  先ほど、厚生労働というようなお話がございましたが、ここで疾患別で分けさせてい ただいたのは、アトピーとかアレルギー性鼻炎・花粉症、こういったものについて、高 次の病院というのについての必要性は、診断困難なものについての確定、あるいは重症 化に対する対応ということになると。ただ、気管支喘息については、QOLの改善とい う以前に、先ほど座長もおっしゃられたように、日常診療においていかにリスクを減ら して自己管理ができるような体制になっていくか、それによって救急の必要性を減少さ せていこうと。  実は岐阜県で大垣市民病院が既に取り組まれておりまして、座長がおっしゃられたよ うに、救急対応というのはそんなに大変な対応はどうもされておられない。おやりにな っているのも小児科医という限定はしていなくて、呼吸器科の先生方が中心となってや られているということだそうです。もしよろしければ、そういった現場で喘息死を、そ この市ではゼロにしてしまったという取り組みがありますので、もし検討会で日が合い ましたら、ここで取り組まれている先生をお呼びして、今、喘息死もまだ年間3,000人 から4,000人、お亡くなりになっているということでありますから、これは重要な問題 だと思っておりますので、もしお時間があればぜひそういった現場の医師の取り組みの 状況を伺ってみてはどうかと思っております。 ○秋山座長  ありがとうございます。ではぜひその方向で行っていただければと思います。栗山委 員、どうぞ。 ○栗山委員  今、秋山座長と対策課長さんのおっしゃったことと同じようなことなんですけど、結 局、私たちの患者の方にも、もちろんどういう病気であり、どう対処すれば重症化しな いという知識を持つ必要というのは本当に基本的に十分あると思います。ただ、もう一 言つけ足させていただければ、残念なことに、数少ない専門医や、学会で勉強されてい る方々は、古江先生のおっしゃったように、十分な知識と、世界的水準に達していると 思うんですけれども、それ以外の、いわゆる喘息かなと思った患者さんたちがまず行く ところの地域の病院とか、医院とかの先生方の知識の少なさ、古さに私たちは今、直面 しているところなんですね。患者会にいらっしゃる方たちというのは、十二分に満足し ている方は私たちのようなところにいらっしゃらない部分というのがありますので、そ こに集まっている話を聞く限りにおいては、もちろんだからそういうバイアスがかかる ということはあるんですけれども、今できているガイドラインを知っているとは思えな いような治療というのがなされているのが現状なので、本当に喘息ゼロを目指して、ガ イドラインもできていますし、どうしたらそれが実際に地域の先生方にまで知っていた だき、その治療をしていただけるかということが、皆さん御存じの部分だとは思うんで すけども、私たちにとって一番大きな課題だと思っております。 ○横田委員  先ほどの座長のお話と課長のお話に対して、2点だけお願いします。対応の遅れが喘 息死の問題であるという点で、身近な一、二次医療が必要である、いかに早く手を打つ かが問題である、これはそのとおりだと思うんですが、喘息発作を起こさないようにす るのが日常診療の重要性だろうと思うんですね。そのことをたぶん課長が言われたんだ と思うんですが、大垣市民病院ではそれがうまく達成できたと。そうすると、やはり大 垣市民という、非常に局地的な対応が大変よかったと。そのことは全国に普及すべきで ある、そう思うんですね。そうするとやはりあるレベルでの、先ほどの青森の報告と同 じように、全国的なネットワーク化というのがどうしても必要だろうと思うんですが、 そこにアレルギーの専門医がかかわっていくという、そういうスタンスがぜひとも必要 かなと思うんですが、いかがでしょうか。 ○秋山座長  ありがとうございます。確かに先生がおっしゃったように、これもちょっと例ですけ れども、我々の病院も30年前は北海道から、あるいは九州から通ってこられた患者さん がおられましたけれども、今はそういう方はほとんどおられません。結局、先ほどから お話が出ていますけれども、喘息あるいはアレルギー疾患のような慢性疾患というの は、年に1回行って何か手術をするなりというなら、そういう病院に行ってもいいんで しょうけれども、日常生活をいかにQOLを保った形でやるかということになると、や はり身近にちゃんとしたところがあるということが一番必要なわけですので、そういう 意味で、先生がおっしゃったように、あるいは山中委員がおっしゃったようなそういう 拠点、あるいはその地域の拠点、あるいはそこからのネットワークというのは非常に重 要だと思うんですが、ぜひその辺の点で何かいい御提言等、ありましたら。 ○疾病対策課長  整理しますと、調査研究事業についての治療法の有効性とか、疫学的なものについて のデータ収集は確かにネットワーク化が必要であろうということになります。ただし、 実際にサービスを提供する医療体制というものについては、あるべき姿というのは必要 なんですが、ただ、東北地方と東京のように、ネットワーク化したくてもできない状況 もあるということなので、理想型はあるにしても、その地域、地域においての、若干な りともその地域に応じたネットワーク化ですか、そういうものを考えていく必要があろ うかということで、拠点病院も東京で考えている拠点病院と地方で考えている拠点病院 というのは違うというふうに考えていただいていた方が、その方が地方自治としてはや りやすいのであろうというふうに思っております。したがって、そのときに拠点病院と か二次医療機関においてどういうような要件を設定しておけば最低限度足り得るのかと か、最終的な三次圏における拠点病院的なものについてはどういう機能を要求しておけ ばいいのか、そういう機能的な要件を御提案していただいた中において、どういうふう に地域、地域の有効資源を活用していくかと。先ほどの、専門医も県内に10人しかいな いという県ですと、それに応じた対応、仕掛け方というのを考えていかなければいけな いので、身の丈に合ったような対応になるんだろうと思っております。 ○島崎委員  現場で、重症化する前に各医療機関なりでそれぞれの専門医が一時しのぎの治療で引 っかかってきた人たちを長期的な管理ができるようなシステムに持っていくというのが 一番大切だと思うんですよね。それがベースということになるんだと思います。やはり そこが、我々救命センターなんかで見ていますと、そういう専門家で診ておられても抜 けてくるんですね。患者自身が、これは国民の理解ということになるのでしょうが、だ んだんと治療がずさんに、受ける側のコンプライアンスが低くなってくるというのでし ょうか、そういう格好になってくるのです。そういう人たちがどんどん遅れて、まだ大 丈夫だ、まだ大丈夫だということで、ぎりぎりになって、救命センターへ運ばれてくる 途中で呼吸停止が起こるとかいうようなことがあるので、そういう意味では、そういう 教育をきっちりしてもらうということと、教育をやりながら、一方では、最終的な救命 センターへ運ばれるまでにそういう事態に陥ったときの緊急的な、エピネフリンの自己 注とか、そういうことを最後の手段として持てるようなシステムを、それもやはり国民 自身に理解してもらって、例えば喘息の御家族、子供さんを持っておられる人ならそう いうものを持ってもらうとか、そういうことが必要なんじゃないかなと思うんですけど ね。最終受入医療機関の立場からすると、そんな気がします。 ○秋山座長  今、教育ということで、医療提供体制の人材育成ということに入ってきたと思うんで すけれども、いわゆる患者さんの側、あるいは一般の方、家族の方の教育といいます か、それとともに、そういう一次医療の先生たちへの教育というようなことが今出てき たと思いますが、何かその辺のところで御提言、あるいは御意見ございますか。 ○古江委員  先ほどの山中委員の4ページ目のところに書いてあります相談体制の構築の3行目の ところですが、全国共通のプログラムというこの表現はすごく大事じゃないかなという ふうに感じたのです。4疾患アレルギー・リウマチ相談員講習会が年に1回開催されま して、そのときに資料を毎年作成して配布しています。その中の資料が果たして、栗山 委員がおっしゃいましたように、非常に大事なコアをすべて含んでいるかどうか。わか りやすい形で含んでいるかどうかというと、疑問に感じます。だから栗山委員がおっし ゃったのと、山中委員がおっしゃったのを合わせると、患者さんも相談員も医師も使え るような、そういう全国共通の、コアを含んだプログラムといったものがあれば、それ が何年かかって、浸透するかどうかはわかりませんけれども、そういうものがあれば、 ひどい誤解・誤診のケースというのはなくなるんじゃないかなというふうに考えるんで すけれども。 ○山中委員  先ほど、課長さんがおっしゃったことにちょっとつけ加えさせていただければ、私の 方から、全国的なネットワークをつくっていただきたいというお話をしましたけれど も、例えば本県のように、専門医が極端に少ないところでは、例えば県1カ所の拠点病 院ぐらいしかたぶん拠点病院はできないんだと思うんです。なおかつ拠点病院にすら専 門医は何人も配置できないと思いますので、そういった、まだまだ脆弱な都道府県の拠 点病院をサポートするネットワークができないかという、そういうイメージでお話をさ せていただきました。  点線で、二次医療圏ごとの拠点病院というのをつくったので、あれも本県ではたぶん 二次医療圏ごとに拠点病院ができないので点線というようなことにはしているんですけ ども、将来的には二次医療圏である程度のアレルギー疾患、慢性的なものとかも含め て、そういったものが完結できるような体制をつくるためにどうすればいいかというよ うなことを考えますと、いろいろな全国のネットワーク、あるいは県の1カ所の拠点病 院からの一般の診療所、あるいは専門医への教育だとか、そういったことがサイクルと して常々できるような、そういったシステムをつくっていくことだとかが必要なんじゃ ないかなというふうに思っております。  あと、県全体の拠点病院では何をするのかということについては、なかなか私ども行 政の中では、ここまでだというふうなことは申し上げられませんので、そこは御専門の 先生の間からそういった御提案をしていただければありがたいなというふうに思いま す。  それともう一点ですけれども、横田委員が、慢性の気管支喘息については日常管理が 大変大切だというふうなお話で、通院しながらも学校に通える体制を国行政でサポート できないかというお話がありましたけれども、現実的には今、例えば養護学校などでは そういったことが行われていると思うんですけども、そうしますと患者さん側からする と、養護学校という、特殊というか、そういったイメージを持たれて確かに通われにく い、そういったところが使われにくいというふうなことを考えますと、どういったとこ ろであれば可能なのかどうか、その辺をまたお話いただければありがたいと思います。 ○横田委員  次のQOLの問題とも関連すると思うんですが、例えば東北地方を考えた場合に、東 北地方にある小児病院は、最近、仙台に宮城県立こども病院ができました。私の考える 拠点病院というのは、その仙台のこども病院に専門家がいればいいんじゃないかと思う んです。東北地方は非常に広大ですけれども、その中の専門医が、例えば青森県の弘前 市立病院とか、青森県立病院とかございますが、そういうところに教育を施していくと いうような、そして診断困難な例とか、高度の医療を必要とするものはこども病院で扱 う。でも日常の専門医療ができるように育った先生たちがそれぞれの県の拠点病院で対 応すればいい。こんなことを考えていて、最終的な拠点病院というのは、こども病院を 例に挙げたわけですが、仙台のこども病院で診ればいいじゃないかと。全国の26のこど も病院の中で、成育医療センターが国立成育医療センターになっておりますから、そこ が全体的な統計処理とか、長期・慢性のデータ処理とか、そういうことをやっていけば いいだろうと、そういうイメージでいます。だから先ほどの課長の話と決してぶつかる ところじゃなくて、もっとブロックで考えた拠点病院で、地域の病院はそれを教育して いく、あるいは啓蒙していくというようなことで対応できるんだろうというふうに思い ます。 ○栗山委員  先ほどの山中委員のおっしゃった通院しながら学校に通えるというので、養護学校と いう選択肢を挙げられたんですけれども、私どもからの切な願いといたしましては、土 日の診療、あるいは学校から帰った後の通院というようなのが可能になるということが ある意味理想的だと思っているんですね。養護学校というのも選択肢の一つではあるん ですけれども、それより多くの方たちが、私たちも経験したことですけれども、ある曜 日のある時間に通わなければいけないと。中学生ぐらいになるとそこの単位が足りなく なるというようなことがあって、現実的に病院に通えなくなってきたりしてしまう。も ちろん、発作を起こさせないための治療というのがメインではありますけれども、それ でもやっぱり日常の状態を見るためには通院が必要だと思うので、そんな選択肢も考え ていただけたらと思います。 ○秋山座長  ありがとうございました。患者さんQOL向上等についてとか、あるいは情報提供・ 相談体制についてというのについても議論しなくてはいけないのですが、大体、それぞ れ分けて議論できるようなことではありませんので、これからは、今言いましたよう に、ここにあります、患者さんQOL向上についてということでの問題点としまして、 患者が疾患を自己管理するためにはどのような教育等の支援が必要か、あるいは適切な 疾患管理が可能となるよう患者を取り巻く保育所・職場ではどのような協力や支援等が 必要となるのか。情報提供に関しましては、現在、アレルギーに関する情報提供の内容 及び提供手法は適切か。適切でないとすればその理由は何か。正しい情報をどのように 提供していくべきか。住民に身近な市町村の役割は大きいと考えるが、市町村、都道府 県、国各々どのような役割分担で対応すべきかということとか、相談体制につきまして は、患者及びその家族がアレルギーについて相談できる窓口の設置は十分か。それか ら、窓口の設置はどのような体制が効果的か。都道府県に限らず市町村での対応は困難 か。また、どのような相談対応がよいか。アレルギーの予防等のためにはどのような相 談を実施すべきか。それから、先ほどから話題に出ています、アレルギー相談員はどの ように養成すべきかと。このようなことが問題点として出ているわけでありますが、そ ういうようなことを頭に入れた形でぜひ活発な御議論をまたお願いしたいと思います。 ○岡本委員  先ほども話が出ましたが医療体制、人材、そしてこのQOLと関連してアレルギー疾 患拠点病院の形成や専門医の充実も確かに必要だと思います。ただ同時に一般診療所や 一般病院のネットワーク形成も重要ではないでしょうか。客観的にみて、この10年、15 年で小児のアレルギーの専門医や救急専門医が大幅に増えることが容易には考えにくい と思います。拠点病院形成も重要ですが、同時に、現在すでに多数おられ、かつ今後も 増加するであろう一般診療所の医師ですが、この中にはアレルギーや救急を勉強してこ られた方も決して少なくないはずです。これらの先生を巻き込んだ一次診療ネットワー ク形成、さらにその二次救急体制作りの取り組みも必要ではないでしょうか。このよう な取り組みは小児科では行われている地域ははないのでしょうか。 ○横田委員  ホームドクター、いわば開業医といっていいと思うんですが、開業医での小児アレル ギーに興味をお持ちになる方、あるいは学会員というのは大変多くございます。しか し、そこのネットワーク化というのは恐らく地域のネットワーク化になりますから、だ れがそういうネットワークを形成する核になっていくか、どの病院が核になっていくか というところがネットワーク化に関しては大きな問題だろうと思うんですね。開業医の 先生がお一人でネットワークをつくるわけにはいきませんし、それでその中核病院とな るところが動かしていかざるを得ないだろうというのが一点です。  もう一点は、地域の開業医の先生たちの中に、御自分たちでそういうネットワークを つくろうとする動きもございます。特に日本外来小児科学会というのがございまして、 そこの先生方は積極的にそういうことを今やろうとしていますし、東京都辺りでは恐ら くできてきているんだと思うんですが、いかがでしょうか。先生が言われるとおりで、 長期的な管理が必要だということは、身近に先生がいないとだめなわけですよね。だか らそういう意味では、開業医の先生に期待するところは大変多いというところです。 ○秋山座長  人材の育成ということに関して言いますと、例えば日本アレルギー協会が年間約30回 ぐらいですか、特にそれはドクター向けですけれども、一般の開業の先生向けにアレル ギー疾患についての、特にガイドラインを中心としたものについての啓発と言います か、ということで、大体各箇所で2名の先生が約1時間ずつ、夜7時ぐらいから、喘息 と例えば花粉症とか、アトピー性皮膚炎と小児アレルギーとか、食物アレルギーとかと いうような形での、いわゆるアレルギーについての啓発をやっているわけです。そうい うように、アレルギー協会なり、アレルギー学会なりというようなところと、国が今、 年に1回の相談員というのは、我々が実際見ていても、確か3日だったと思いましたけ れども、あれで4疾患、しかもリウマチも含めた4疾患を頭に入れて、一体それはどう なるのかということもあるわけですけれども、そういう意味でいろいろなところがいろ いろな、やはりできるだけ習うよりなれろといいますか、できるだけたくさんのところ でそういう機会が必要だというふうに私自身は思いますけれども、そんなようなことに ついて、何かございますか。もちろんそれだけじゃなくて、情報、あるいは相談体制、 提供体制等についてでも結構です。 ○栗山委員  それぞれの立場でそれぞれの方が一生懸命やってくださっているのは、こういうとこ ろに来て皆さんのお話を伺ってわかるんですけれども、では実際の患者にとってどうな のかというと、本当に物すごく積極的に情報収集して、あっちやら、こっちやら、ネッ ト上で探すなり、電話をかけるなり、張り紙を見るなりする物すごい努力をしないとそ れが手に入らないという状況があるんですね。じゃあどうやったらいいのかというの は、ここでお話しするのがあれかどうか、幾つかの私たち患者の側から見てこうしてい ただけるとすごくありがたいというようなものがありますので、できればまとめてお示 しさせていただけたらありがたいなと思います。 ○秋山座長  ぜひ次回は栗山委員の方から、そういう患者さんの立場からのいろいろな問題点、あ るいは要望、あるいは御提言があればと思いますので、そういうふうに予定していただ ければと思います。  ほかにどなたかございませんでしょうか。司会の不手際でなかなかまとまった方向に は行かないんですが、最終的には論点整理の右側を埋めなきゃいけないということです ので、そういうつもりで。いろいろ飛び飛びではありますけれども、いろいろな御提言 が出ておりますので、事務局の方でまとめていただけると思いますので、よろしくお願 いいたします。まだもう少し時間がありますが、何か御意見、どうでしょうか。相談体 制、あるいは情報提供体制、あるいは患者さんのQOLの問題、医療提供体制等です が。池田先生、何かございますか。 ○池田委員  私の専門以外なので、少しピント外れかもしれませんけれども、この相談員の方とい うのは十分数が足りているんでしょうか。それとも足りなくて困っている感じなんでし ょうか。 ○秋山座長  まず地方自治体としてはいかがなんでしょうか。 ○山中委員  足りているか足りていないかという前に、青森県は3〜4人、養成されていることに なっているんですけれども、私自身も県にいながら、どこにどういった形でいて、どう いう活動をしているのかが十分把握されていない状況です。大変申しわけないのです が。 ○池田委員  私ども、シックハウス問題ですと、やはりシックハウスの相談とか、いわゆる化学物 質過敏症で悩んでいる患者さんのお話を聞くというのが非常に大事なことなんですが、 ただ、例えば北里の石川先生みたいな方も、1人の患者さんにすごい時間をかけてお話 を聞いていらっしゃるということを聞いているんです。ところが、考えてみれば石川先 生がそんな長いお話を聞かなくても、その前にどなたかがお話を聞いてあげる時間があ れば、患者さんももっと言いたいことがいっぱいあって、それを聞いてあげるという必 要があるかなと思って、そういう場合の相談員の方というのは何もそんな専門医じゃな くてもいいわけでというところもあって、そういう相談員の方をいっぱい配置すれば、 患者さんの方も言いたいことを十分言えて、聞いてもらったなという。聞いてもらうだ けでいいという相談者もいるらしいので、そういう意味での相談者をいっぱいふやすと いうことも大事なんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。 ○山中委員  研修を受けてはいませんけれども、私どもの県でも相談に対応はしております。保健 所の方にシックハウス症候群、あるいは花粉症の専用の相談窓口をつくっておりまし て、相談に乗っております。やっぱりシックハウスも、どちらかというと、体のことの 御心配で御相談にいらっしゃる方々については保健師等が集中的にお話を伺いますけれ ども、例えば建材だとか、いろいろな環境の方に御相談が及ぶ場合は環境の方の担当の 職員が別の課の方におりますので、両課でそういった御相談にできるだけ乗るような、 そういう体制はできております。ただ、本当に住民の方々のニーズを反映しているだけ の件数が保健所に来ているのかとか、その辺の評価はまだ十分なされていないと思って おります。 ○池田委員  なぜそんなことを言っているかというと、要するに相談員の方というのは、正規の職 員の方ですと職員の方はいろいろなお仕事を抱えている中、そういうのも大変負担だろ うと思うんです。できたら、相談を受けるだけの方というのは、ある意味で職員ではな くて、一種の民間のボランティアみたいな方になっていただいて、一次相談みたいな、 その方にお願いして、その中から本当に職員の方が出ていかなきゃいけないのを拾い出 すということも考えられるんじゃないかと思うんです。民間の方の中には、とてもそう いう、シックハウス問題ですと、シックハウス診断士という、民間のNPOみたいなと ころがやっているところに、まだ今まで2回しかやっていないんですけど、資格を与え るだけで1回1,700人の応募があって、みんななりたいと言っている人がいるというくら い、要するに民間でボランティア的にそういう相談員になりたいという人は結構いるわ けでして、そういった人たちの力を借りれば、ボランティアですからお金はかからない 話だと思うので、幾らでも多く、そういう困っている人たちの話を聞くチャンスをふや すことはできるんじゃないかと思うので、その辺の活用というのを考えられるというこ とがあるのかなと思ったのです。ちょっとピント外れかもしれませんが。 ○山中委員  そういった方々がいらっしゃって、ボランティアでお手伝いしていただけるというの であれば、大変私どもとしてもありがたいんですけれども、そういった方々がどういっ たところにいらっしゃるかというふうな、そういう情報がいただけるかどうか、そこが わかればお聞きしたいのですけれども。 ○池田委員  今の話は例えば広島の方でやっている話なんですけど、それを全国に広げようとして いるんです。広島にある団体がそういうシックハウス診断士の1級、2級というのをつ くって、2級というのは本当の簡単な基礎知識を知るぐらいの人たちの試験みたいなも のをやって、免許を与えようとしたら、最初は数百人ぐらいの応募かと思ったら、 1,000人を超える応募があって、だからやはりそういう民間の中で、そういう意味で自 分の力を発揮したいというふうに思っていらっしゃる潜在能力は結構あるみたいという ことがわかったということもあるので、その辺を、シックハウスじゃなくて、この場合 でしたらアレルギー相談員のボランティアの1級、2級というような資格で、1級は相 当高いレベルとして、2級は本当に簡単な相談に乗れて、よもやま話も聞いてあげるよ うなレベルのお話ができるような人というのをたくさん配備したら、その患者さんたち もいろいろな悩みを打ち明けることができるんじゃないかなと思ったんですけど。 ○秋山座長  ありがとうございました。そろそろ時間ですが、ちょうど次回、栗山委員が患者さん の立場、あるいはNPO等の立場から、それから先ほどの山中先生がおっしゃったよう に、そういう窓口はあるけれども、どこまで皆さんがわかっているのかという問題もた ぶんあると思いますので、そういう面から御提言等をしていただけるのではないかと思 います。  それでは時間になりましたので、これまでの審議を踏まえまして、事務局の方で再度 整理していただきまして、徐々にこの指針を策定していくということになると思いま す。では長時間にわたり、御審議いただきありがとうございました。ではこれから、事 務局から今後のスケジュールについてお話しいただきたいと思います。 ○事務局  どうも本日はお疲れ様でございました。またスケジュール、次回、第3回についてで ございますけれども、日程調整をいたしまして御連絡申し上げます。5月中に開催した いと考えております。 ○秋山座長  それでは、本日の検討会を終了させていただきたいと思います。どうも皆さん、御協 力ありがとうございました。                        ○照会先                         厚生労働省健康局疾病対策課                         tel 03−5253−1111                         担当:菊岡(内線2353)