05/04/15 第3回今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会議事録 第3回 今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会 議事録 日時:2005年4月15日(金) 13:00〜16:00 場所:経済産業省別館1012号会議室(10階) 出席者:  委員   山縣座長、井上委員、岩佐委員、上廣委員、江成委員、小野委員、後藤委員、   小林委員、佐藤委員、菅野委員、関根委員、高橋委員、濱田委員  厚生労働省   伍藤雇用均等・児童家庭局長、高井総務課長、長田総務課長補佐、川鍋総務課長補 佐 議事:  1. 開会  2. 事務局説明  3. 討議  4. 閉会 配布資料:  資料1 第2回研究会における主な議論の概要  資料2 「今後の児童家庭相談体制のあり方に関する研究会」質問票に対する回答  資料3 前回の研究会での議論を踏まえた論点事項(案)および関連資料  資料4 児童相談所と関係機関との連携に関する先進事例集 ○山縣座長  それでは、ほぼ定刻になりましたので、開始をしたいと思います。岩佐委員が若干遅 れておられるようですが、追って出席だと思いますので、第3回の「今後の児童家庭相 談のあり方に関する研究会」を始めさせていただきたいと思います。  まず最初に、委員の出席状況等を事務局からお願いいたします。 ○長田総務課長補佐  本日、川崎委員と前橋委員からご欠席の連絡をいただいております。先ほど座長から ありましたように、岩佐委員はちょっと遅れておられるようですが、ご出席という返事 をいただいておりますので、出席委員13名の予定ということでございます。 ○山縣座長  ありがとうございます。お見えになりました。  それでは、本題に入っていきたいと思いますが、まず、今回の議題の確認をしたいと 思います。お手元に示しておりますように、大きく2点ということでございます。1点 はもともと予定していたものですが、1点は、前回、私の進行ミスで、一部案件が残り ましたので、それを先にご意見をいただいて、それから当初の予定通りの「関係機関と の連携について」という方向に進めていきたいと思います。  前回、非常に多様なご意見をいただきまして、それにつきまして事務局の方で若干整 理をいただいていることと、各委員から一部データの提出とか資料がもしあればという ことがございましたので、そこら辺につきまして、まず事務局から説明をお願いしたい と思います。 ○長田総務課長補佐  今ほど座長からございましたように、前回の研究会でお示しをさせていただきました 進め方の案では、今回、第3回につきましては、「児童相談所から見た児童家庭相談体 制及び連携上の課題」の2回目ということで、主に市町村を除く関係機関との連携、次 回については市町村との連携を中心にご議論いただくということで予定をしておりまし た。前回は、児童相談所本体における児童家庭相談体制の課題を中心にご議論いただい たわけですけれども、若干議論の積み残しがあるということで、まずそちらの方からお 願いをしたいと思っております。  資料の関係でございますけれども、配布資料として4点、参考資料として3点ご用意 をさせていただいております。  まず、資料1といたしまして、前回ご指摘をいただきました主な議事概要でございま す。  資料2につきましては、前回配布したものと基本的に同様でございます。既に各先生 方からいただいた質問票に対する回答を改めてお配りをさせていただいております。  それから、後ほど説明をさせていただきますが、前回の研究会での積み残し事項みた いなことを少し頭の整理をしたものと、関連資料集ということで資料3。  それから、今日のもともとの本体議題でございます関係機関との連携の関係で、少し 参考として、児相と関係機関との連携に関する幾つか先進的な取り組みがございます。 必ずしもこれは網羅的に集めたものではありませんけれども、資料4という形でご用意 をさせていただいております。  あと、参考資料ということで、小林委員から、大変貴重な児相と医療の関係の連携に 関する各種論文について資料のご提供をいただきましたので、あわせてお配りをさせて いただいております。こちらは後ほどまた先生の方からコメントをいただければ幸いと 思っております。  それでは、資料の説明に入らせていただきます。恐縮ですが、資料1と資料3を並べ るような形で見ていただければと思っております。  それから、1点お断りですが、資料1につきましては、主な議論の概要(未定稿)と いうふうに書かせていただきました。各先生からご指摘をいただいた内容を、いわゆる 議事録起こしをしたものを見ながら、ポイント整理をこちらで勝手にさせていただいた ものということで、少し文言を整理させていただいたり補足をさせていただいているの で、あるいはちょっと趣旨を損なっている部分があるかもしれません。その場合には、 ここはそういう意味ではないのだと、また後ほどご指摘をいただければということで、 その点ご容赦をいただきたいと思います。  資料3でございますけれども、前回の議論を踏まえた論点事項(案)および関連資料 ということで、(1)から(7)まで挙げておりますが、これは資料2のアンケートで示 した児相の体制の関係で7項目ほど質問させていただいて、その項目に対応しておるも のでございます。それを並べたものですが、それぞれご議論いただいた内容に濃淡がご ざいますので、今回特に引き続きご議論いただく必要のあるものと、ある程度集約をさ れたものがあると思っておりまして、より踏み込んでいただく必要があるかなと思うも のを、それぞれ、(1)(2)の後に丸で項目を掲げております。そういったものでござい ます。  まず、1の児童相談所の機能強化(集約化・支所機能強化)ということですが、前回 のご議論では、資料1を見ていただきますと、1ページの一つ目の丸のところですが、 児相の体制については、どこかに集中した人材がいた方がいいのではないかというご指 摘。ただし、今の児相、例えば5ヵ所とか6ヵ所あるものを1ヵ所、2ヵ所にするとい う意味ではなくて、その5ヵ所、6ヵ所については人材を集中していくというようなご 趣旨かと思っています。  また、三つ目の丸のところでは、三重県さんでは支所的な部分を持ったけれども、な かなか専門性が高められないとか、あるいは職員のストレスが大きいとかいったような 課題があるということで、一定の集中化が必要ではないかと、そのようなご指摘。  それから2ページ目のところにいきまして、一つ目のところで、児相の支所というこ とを考えた場合には、市町村の役割強化との関係を整理する必要があるだろうといった ようなご指摘。  それから2ページの一番下の丸の1段落のところですが、児相の困難事例の対応とい う必要性を考えると、一定の人的体制がないとなかなか難しいのではないかと、そのよ うなご指摘でございます。というようなことで、やはり集中的な対応が必要ではないか というような指摘を幾つかいただいております。  他方、2ページの二つ目の丸のところでは、市町村の側から見た場合に、緊急対応で それなりの児層の対応をしていただくためには、児相から1時間以上かかるような地域 では、どうしても支所的なものが要るのではないかといったようなご指摘。  また、2ページの一番下の丸の2段落目のところですけれども、児相の集約化という ことを考えると、市町村との関係ということにおいては難しい面があるのではないかと、 そのようなご指摘。  さらには、3ページの一つ目の丸のところでございますけれども、利用者から見たメ リット、利用者から見た視点ということもしっかり持つ必要があるであろうと、そのよ うなご指摘をいただいております。  さらにもう一つ、議論を整理すべきということでは、支所というもののイメージが必 ずしも統一されていなかったのではないかというご指摘をいただきまして、こちらの方 の不備もあったわけですけれども、そこの決定権があるかどうかというのが一つのメル クマールではないかと、そのようなご示唆もいただきました。  その関係では、1ページに戻っていただきますけれども、二つ目の丸のところで、管 轄人口だけでなく距離的なものも必要ではないかというようなご指摘。  それから、2ページ目の四つ目の丸のところですけれども、さらに関連してというこ とですが、ある程度の人数とある程度の地理的な範囲も含めた人口30万人に1ヵ所程 度の基準ということで、支所ではなく、決定権を持つ児童相談所が増えてほしいという ようなご指摘がございました。  さらに、3ページ目の二つ目の丸のところでございますけれども、そもそも現在、182 ヵ所児童相談所があるわけですが、この182ヵ所を出発点として議論するのかどうかと いうご指摘をいただきました。これは後ほど説明しますが、児童相談所の運営指針の中 に、大体人口50万人に1ヵ所程度というおおむねの目安を示しておるのですけれども、 今の日本の人口を考えると、50万で割り戻すと250〜260ヵ所要る。それに対して今182 ヵ所であるということとの関係で、どう議論をするのかということがございました。  そういったことを考えますと、資料3の一つ目の丸のところで、支所かどうかという こともあるのですが、その前段階として、適正なあるべき児童相談所の設置数について どう考えるのかということの交通整理を少ししていただいた方がいいのかなということ が1点。  それから、(5)で県(郡部)の家庭児童相談室(福祉事務所)のあり方ということを 書かせていただきましたが、これについては、前回ほとんど議論がなされておりません けれども、特に児童相談所の支所機能だとか、あるいは家児相を児童相談所化していく というようなことの可否であるとか適否であるということを、(1)の論点と一体として 少しご議論をちょうだいできるといいのではないかと、そんなふうに思っております。  ちなみに、家児相については、特に資料の説明は省略しますが、資料2で事前にいた だいたご回答では、家児相の人材ということに関しては、都道府県の児相に集約をする とか、あるいは市町村に持って行くような工夫ができないかと、そのようなご指摘など もいただいております。  それで、(1)に関連するものとして、資料3の2ページ以降、幾つか資料を用意させ ていただいておりますのでご説明をさせていただきますと、2ページですが、先ほど言 いましたように、児童相談所の運営指針の中には、人口50万人に最低1ヵ所程度とい う標準を指し示しております。ただし、地理的条件とか利用者の利便とか特殊事情等に 対応して設置されることが適当というふうに言っております。  それから、ご案内の通り、注のところでございますけれども、現在、児童福祉法上、 都道府県と政令指定都市は、児童相談所を設置しなければならないということになって おりますが、さきの児童福祉法改正の中で、政令で個別に指定する市については、児童 相談所を設置することができるというふうに今回の法改正で制度改正をしております。 「政令で個別に指定する市」という言い方を法律上はしておるのですけれども、実際は 中核市程度の人口規模、すなわち人口30万人程度の市を念頭に置いておるということ でございます。  ちなみに参考までに申し上げますと、中核市における児童相談所の設置については、 これを義務化すべきという意見も一部に審議会などの議論ではあったのですけれども、 措置権を含めた児童相談所をつくっていくとなると、今の虐待などの非常に困難な事象 に対応していくためには、危険性も伴うのではないかということで、中核市の中でも意 欲と体制の整ったところからやっていこうということで、当面は、義務化ということで はなくて、任意設置というような形で制度を整理させていただいたということでござい ます。  実際に児童相談所の設置数がどうなっているのかということが、3ページに整理をい たしております。見ていただいた通り、全国で全部で182ヵ所ありまして、一番下の合 計欄を見ていただきますと、これを人口で割り戻すと、児童相談所1ヵ所当たりの管轄 人口が69万7,359人ということで、約70万ということですので、先ほど申し上げまし た50万よりはかなりオーバーをしているという実態になっております。  ただ、都道府県と政令市に分けてみますと、少し特徴がございまして、中ほどに都道 府県小計という欄があるのですけれども、都道府県小計で見ますと、児童相談所1ヵ所 当たりの人口が64万人ということに対しまして、政令市の小計になりますと128万 9,000人ということで、かなり児童相談所1ヵ所当たりの管轄人口が大きいということ になります。  ただ、もう一つ、実は面積割りという数字を今回初めて出してみたのですけれども、 当然政令市については人口は多いわけですけれども、前回指摘いただいたような、地理 的にどの時間の範囲で行けるかということがありますので、そういった切り口で見ます と、都道府県小計の児童相談所1ヵ所当たりの面積は2,203k平方メートルということに対しまし て、指定都市小計では371k平方メートルということになっていますので、面積との関係でいえば、 政令市が数が少ないというのは、そこの中で人材を集約して1ヵ所で対応するというこ とも一つの考え方としてはあるのかなということで、先般ご指摘をいただきましたよう に、人口と管轄区域という両方のバランスを見ていく必要があるのかなということを示 唆するような数字になっております。  それから、また資料3の1ページに戻っていただきまして、児童相談所の職員体制に ついてということでございます。これにつきましては、前回のご議論では、資料1の4 ページから7ページあたりのところでございますけれども、例えば4ページの一番下の 丸のところで、虐待の事例を見ていると、子どもを本当に精神的、身体的に評価するこ とが大事で、医師がきちんとアセスメントする流れをつくらなければならないといった ようなご指摘でございますとか、5ページの一番下の丸のところですけれども、医師、 弁護士は不可欠であると。とりわけ緊急保護の判断については、今、医学的な裏づけが 十分でない中で、非常に不安がある。やはり立入調査に医師とか弁護士の立ち会いが切 実な願いとしてあるといったようなご指摘。  また、6ページの二つ目の丸のところですが、傷とかあざというものの持っている意 味合いは、児相のケースワーカーなり心理判定員は、職員としては医療の専門家ではな いという意味において、あざなり傷がどういう意味を持っているのかということを医学 的に、ドクターがこう言っているということで、権威ある説明というものがあれば、親 にもしっかりと対峙ができるというようなご指摘。  また、二つ次のところで、これからの問題として、虐待の誤診というようなご指摘な どもいただいております。  そういったもろもろのご指摘で、集約すると、医師、弁護士という専門職の必要性と いうことについては、極めて共通的なご認識ということかなというふうに理解をさせて いただいております。  さらに、その他の専門職に関してでございますが、同じく6ページの三つ目の丸のと ころに、児相に医療機関との橋渡しをする医療職が貴重であるということで、ドクター が理想なのだけれども、ドクターが難しい場合でも、保健師を活用するというのも一つ のあり方ではないかということでございますとか、ほぼ同じご意見かと思いますが、6 ページの下から二つ目の丸のところで、医療機関の窓口になると。今回、保健師さんが 児童福祉司の任用資格に入ってきましたが、児童福祉司として児相にいるということで はなくて、保健師という職種においてその専門性を生かしていただくという方向性があ るのではないかと、そのようなご指摘をいただいております。  あと、心理職に関してでございますが、1ページ戻っていただきまして5ページの3 行目以下のところですけれども、児相の心理判定員の使われ方が県によってまちまちな 状況があるということで、虐待に関して特化していけという議論があったわけですが、 特化といってもどういう形でチームをつくって特化していくべきかということがあるの ではないかと。  そしてさらに、7ページの一つ目の上から2行目あたりのところですけれども、児童 相談所の心理職が虐待のことについてどういう役割を担っていくのかということを、枠 組みからきっちりと位置づけてほしいと、そのようなご指摘などもございました。  それで、資料3の(2)のところを見ていただきますと、医師、弁護士等については おおむね議論をいただいたかなということでございますけれども、いわば最もコアであ る児童福祉司については、前回ほとんどご議論をいただけておりませんので、この児童 福祉司について少しくご議論をいただければということと、それから心理職につきまし ては、先ほどのご指摘にもありましたように、どういう役割を担っていくかというその 枠組み設定の問題であるとか、あとアンケートの回答などでは、心理判定員の適正な数 といったことについてもご指摘をいただいておりますので、そういったあたりについて も少しご議論をちょうだいできればと思っております。  これに関連しましては、資料3の6ページ以下に少し資料を用意させていただいてお ります。児童福祉司でございますけれども、6ページの一番下の合計のところですが、 現在全国で、地区担当の児童福祉司が1,813名ということになっております。それで1 人当たりの管轄人口がようやく7万人というラインまで来ました。この管轄人口につき ましては、前回の研究会の最後でもご紹介をさせていただきましたけれども、先般、児 童福祉法の施行令を改正いたしまして、この4月1日以降、おおむね人口5万から8万 までを標準とするというような基準に改善をさせていただいております。  それから、7ページでございますが、心理職についてでございます。従前、児童相談 所の心理職は「心理判定員」ということで名前がついておりました。これは実は法律上 は「心理判定員」という名前は出てきませんで、法律上は「判定を司る職員」というよ うな言い方をたしかしていまして、児童福祉司は法律上の言葉ですけれども、児童相談 所の運営指針の中で「心理判定員」という名称が使われておりました。この心理判定員 につきましては、従来、例えば障害などの発達関係の判定を中心に担っていただいてい たところですが、子どもの心のケアとか、そういった部分にかなり中心的な役割が出て きましたので、今回、心理判定員という言葉が必ずしも実態に合わなくなってきている のではないかというような問題意識がございまして、有識の関係の皆さんであるとか、 あるいは児童相談所長会の方からいろいろご意見をいただきまして、今回、ここにあり ますように、「児童心理司」という言葉に運営指針上、名称を変更させていただいており ます。  それで、この指針の中では、心理診断とともに、(2)にございますけれども、子ども、 保護者、関係者等に心理療法、カウンセリング、助言指導等の指導を行うことという役 割が明記をされておるところでございます。ただ、実態で見ますと、心理診断指導とい う(1)の件数がやはりかなり多く占めていまして、心理療法、カウンセリングという のは約3分の1強というのが現状の状況ということでございます。  それから、心理職員の実際の数の関係でございますけれども、次の8ページでござい ます。専任、兼務とか嘱託とかいろいろ形があるのですが、全体をひっくるめると、心 理判定員は、8ページの一番下の合計欄でございますけれども、904名ということで、 このうち専任が607名で、兼務が130名、嘱託が167名ということになっております。 全体をひっくるめたベースで考えますと、児童福祉司は約1,800名ですから、児童福祉 司の約半数ということになりますし、専任ということで切れば、児童福祉司の3分の1 ぐらいの配置が現状ということでございます。  また、参考までに、9ページ、10ページは基本的に同じものですが、一時保護所に置 かれている心理の職員もおられますので、そういったものの再掲を細かくしたものが9 ページ、10ページでございます。説明は省略をさせていただきたいと思います。  それから12ページに飛んでいただければと思いますが、児童相談所職員の採用区分 ということで、これは前回、専門職採用についての状況のお尋ねがございましたので、 用意したものでございます。児童相談所の所長さんについては、全国182名のうち、福 祉等の専門職でつかれている方が118名という状況でございます。  それから児童福祉司につきましては、一般職825名、福祉等専門職986名ということ で、いわゆる専門職が半数を若干超えているというような状況でございます。  それから、もともとお尋ねがあったのが心理職の関係でございますが、都道府県から データが取り切れなかった部分がありまして、今回間に合わなくて恐縮ですが、大体私 どもが見ました概数でいいますと、約1割ぐらいが専門職外ということで、9割は専門 職による対応がなされているということで、さすがに心理の関係につきましては、おお むね専門職で対応されているという実態になっているところでございます。  以上が児童相談所の職員体制という論点にかかわる部分でございます。  また資料3の1ページに戻っていただきますが、児童相談所職員の専門性確保・向上 対策という部分でございます。ここにつきましては、一応研修だとか採用人事というよ うなことが関連してまいりますけれども、ほとんどご議論をいただけておりませんので、 特に説明する資料はございませんけれども、ここもご議論をいただければと思います。  それから、(4)の児童虐待や少年非行対応のための専属組織ということに関してでご ざいますが、これにつきましては、資料1の3ページから4ページのあたりでございま す。中ほどの専属組織についてという括弧書きのあとの一つ目の丸の中ほどですが、や はり虐待対応については非常に難しいので、専任化せざるを得ないということです。  それから、二つ目の丸のところでは、特化ということはある程度必要だとしても、た だし、それをすることによって、担当者の臨床的な幅を狭めてしまう可能性といったこ とには注意をしなければいけないというようなご指摘。  それから、次の4ページにまいりまして、一つ目の丸のところですが、専門分化は必 要ではないかということで、ここでは職員の経験の幅という問題はあるものの、現下の 状況を考えると、ある程度専任化といった方向を目指さざるを得ないのではないかとい ったようなご指摘であったかと思います。ここは方向性としてはおおむねそんなところ であろうかなということでございますので、特に(4)のところは丸はつけてございま せん。  (5)は先ほど説明した通りでございます。  次に、(6)の一時保護所、一時保護委託の活用という論点の関係でございます。こち らにつきましては、資料1の8ページでございますが、一つ目の丸のところでございま す。4行目あたり、市町村が一時保護の間にどんなふうな役割をかかわっていくという ところでは、やはり市町村の役割は重要ということで、これはもともと、一時保護の情 報が児相から流れてこなくて、というようなことがご指摘にあったかと思います。ただ、 一時保護は、いずれまた家庭復帰だとか周辺支援をしていかなければいけないというこ とにおいては、児相の権限と市町村との関係をうまく、これはむしろ連携上の課題みた いな話になってくるかもしれませんけれども、そういったようなご指摘。  それから、二つ目の丸のところでは、少年法の改正の議論の中で、少年非行への対応 というのが一つ論点としてあると。少年非行というものに対して、この一時保護機能の 充実でもってきちんと対応をしていかないと、児相の非行に対する機能を弱体させると いうようなことにつながるのではないか。あるいは、虐待でも問題行動化が著しくなる と児相は手を引かざるを得ないということで、児相の弱体化につながるのではないかと、 そのような視点からも、この一時保護所の問題を論じるべきであるといったご指摘をい ただいたのかなと思っております。  あと、ここの部分に関しては、一時保護委託の状況についてもお尋ねがありましたの で、資料を用意させていただいております。  資料3の14ページでございます。中ほどに、一時保護所における一時保護件数、そ れから一時保護委託の件数が書かれております。15年度非常に特徴的なのが、一時保護 所における一時保護件数は、実は14年から15年は減っているのですが、一時保護委託 の件数に関しましては1,767件から2,730件と、非常に大きく件数が増えております。  その内訳を見ますと、もちろん、児童養護施設であるとか乳児院というのは当然多い のは多いのですけれども、下から3つ目のところで警察署というのが211件ということ で、かなり大きく伸びているのが一つと、それからその下ですが、里親さんが229件と いうことで、これも相当伸びているといったようなことが、かなり特徴的な状況として 見られているということでございます。  それから、16ページでございますが、これも前回、一時保護委託の費用についてのお 尋ねがありましたので、資料を用意させていただきました。一時保護費用については、 事務費、事業費に分かれているわけですが、事業費については、日額1,560円というこ とになっておりまして、例えば施設で一時保護の委託を受けていただく場合には、この 一般生活費分、すなわち日額1,560円部分が払われているという状況でございます。  それから、ご指摘のありました少年法改正の内容についてでございます。資料3の17 ページでございますが、この少年法の改正案につきましては、本年の3月1日に法案が 閣議決定をされまして、国会に提出をされております。所管の委員会が法務委員会とい うところになりますので、いずれ国会で審議がなされるものと思われますけれども、法 務省関係の法律がかなりいろいろかかっているということで、しばらくはこの法案審議 の順番が回ってこないと聞いておりますけれども、主なポイントが幾つかございます。  一つは、触法少年及びぐ犯少年に係る事件の調査ということでございます。一応念の ため、触法少年・ぐ犯少年の言葉を説明させていただきますと、注(1)にありますように、 触法少年というのは、刑罰法令に触れる行為はしているのだけれども、いわゆる刑事罰 を問えない14歳未満の少年。これを「触法少年」という言い方をしております。それ から、ぐ犯少年でございますが、これは特に刑罰に触れるような行為をしているわけで はないのですけれども、例えば深夜徘徊を繰り返しているとか、あるいは、例えば暴力 団の事務所に出入りをしているだとか、そういうようなことでもって、近い将来、犯罪 を犯す可能性というかそういうおそれのある少年。これは「ぐ犯少年」と呼んでおりま して、警察が補導したりするのは、こういうぐ犯少年の補導というようなことかと思い ますが、この触法少年なりぐ犯少年について、従来から警察は、一定の任意の調査的な ことはやっておったわけですけれども、今回、少年法の中で、この警察の調査権を明確 にするということが規定をされております。  それから、ちょっとここに書いておりませんけれども、先般、岩佐先生からご指摘を いただいた点は、ここから警察が調査をして、その調査の結果を踏まえて、こういった 触法少年事案、ぐ犯少年で一定の対応が必要な少年については、児童相談所長に送致を しなければならないということで、今回の少年法改正案ではそのような規定になってお るのですけれども、少年法部会の議論の中では、そもそも、今、特に重大な少年事件に ついては、児童相談所は警察からケースを送られても、ほとんど判断することなしに、 直接すぐに家裁に送ってしまっているではないかと。何もできてないぐらいであれば、 かつ、警察自身がきちんと調査をしたいという意味も含めて、警察から直接家裁に送る、 児童相談所を経由しなくていいではないかというようなご指摘があり、その一方で、や はりそこは児童福祉の観点からきちんとしたかかわりを児童相談所は持たなければなら ないといったような議論の中で、児相長に送致をするという枠組みは基本的に維持をし ましょうということで今回の結論に至ったわけでありますが、その場合に、警察サイド からは、例えば一時保護のときに、児童相談所がきちんと一定の期間一時保護をして、 警察が必要な調査をするための協力なり、そういうことをしてもらわないと困るといっ たような指摘があって、そういった文脈から、先般、岩佐先生からのご指摘が出ている ということでございます。  あと、重大な触法事件の原則家裁送致ということで、重大な事件とは何かというと、 注(3)にありますように、殺人とか傷害致死とか放火とか強盗とかいうことで、これは量 刑の重さで一定範囲が決まっておるのですが、そういった重大事件を起こした14歳未 満の少年については、基本的に、家裁に送って家裁の判断を仰ぎなさいということにな っております。ただし、調査の結果、必要がないと認めるときはこの限りではないとい うことで、児童相談所長のみで判断をする権限は一応は留保されているということ。例 えば、小学校低学年ぐらいの子どもが、ほんの遊び心で放火をしてしまった。結果は重 大なのですけれども、非行の深刻さというようなことを考えた場合に、審判にかけるの はかえって小さい子どもに負担をかけるのではないかというようなことがありますので、 それについては児相長が判断をするということでございます。  大きな2点目としましては、14歳未満の少年の保護処分の見直しということで、現在 は少年院の入所年齢の下限が14歳以上ということになっております。ですので、ここ1、 2年、社会を騒がした小学生とか中学生による殺人事件に関しましては、少年院に送致 をするという選択肢がないという中で、児童自立支援施設という、昔、教護院と呼ばれ ていた児童福祉関係の施設に送致をされるということであったわけですけれども、今後、 家裁が特に必要と認める場合には、少年院という送致の選択もできますよ、というよう なことに改正をするということでございます。  以上のようなことも踏まえていただきながら、一時保護所について、非行少年の一時 保護対応であるとか一時保護委託といったようなことについて、もう少しご議論をいた だければと思っております。  あと、IT化につきましては、基本的に当然必要だということでほぼ共通認識であった かと思いますので、ここは特段、説明を省略させていただきます。  いろいろあちこち飛んで大変恐縮でしたが、とりあえず事務局からの説明とさせてい ただきます。 ○山縣座長  ただいまの説明につきましての質問は、以下の議論の中で、必要がある場合にしてい ただくという形で対応させていただきたいと思います。  前回、資料3の1ページ目に基づくようなところをもっと丁寧にやっておくべきだっ たのですが、時間の関係で一部残ってしまったということで、今からおおむね2時半ぐ らいまで、このところの議論をさせていただきたいと思います。  大きく四つぐらいのパートでいこうかと思います。(1)の最初の丸は、もう既に幾つ か意見はいただいております。今、長田さんの説明にもありましたように、事務局も含 めて委員の間でも、「支所」という意味を多様に使っているので、そこを共通の認識をし たいと思います。それから、(1)の二つ目の丸は、(5)のところにくっつけてやります。 (2)(3)セットで、職員の体制と質という形でやらせてください。(5)(6)は独立。 そういう形で2時半ぐらいまでを過ごさせていただきたいと思います。よろしいでしょ うか。  追加資料が小林委員の方からあるようでございますので、これは並行して配っていた だけますでしょうか。ありがとうございます。  まず、(1)の支所の話ですが、また同じ意見をいただいてもと思いまして、私の方が 今まで聞いていたイメージ、私自身の誤解も含めて、聞いていたイメージで整理すると、 きっとこういう方向で皆さん方は議論をしようとしておられるのではないかと思ってい ます。ちょっと披露させていただいて、それについての意見をいただくというふうにし ようかと思います。  「支所」という言葉と、管轄エリアを小さくして児童相談所をつくるのだけども、小 さい児童相談所をつくるという、そのことをきっと同じ言葉で一部の委員が使っていた。 全体の議論は、今、長田さんが言われたように、要は児童福祉法に基づく児童相談所は あくまでも数が多く必要なのだ。それは支所とは呼ばない。運営指針に基づくところの、 どのレベルかは別にして、あくまでも児童福祉法に基づく機能を備えたものは今の数で は足りないのではないかという認識に立っている。  加えて、それぞれの地域事情に応じて、支所的なもの、あるいはもっと言うと、分室 とか出張相談とか、そういうことかもしれませんが、それは一般論で議論しているわけ ではなくて、地域の特殊性といいますか、それぞれの地域の中での議論で、ひょっとし たら、ここで我々は支所の細かい話までやるよりも、本体のところの議論をまず押さえ た方がいいのではないか。  その辺の認識はいかがでしょうか。大きな間違いがございますでしょうか。もしそれ でよければ、その前提で小規模な児童相談所も含め、どれぐらいの数が必要なのか。面 積という基準と人口という基準で今データをつくっていただきましたけれども、その辺 について、もし追加の意見がございましたらいただけたらなと思いますが、いかがでし ょうか。  青森県の場合、児童相談所としての機能を備えたものを小さくつくっていったという お話でしたよね。そういうことも含めて、一定の成果が出ていると。 ○佐藤委員  そういう形で進めてまいりました。ですから、支所ができたときも、その支所の中で ほぼ問題が整理できる、解決できると、そういう仕組みを目指してつくったものでござ います。 ○山縣座長  ですから、それは今の私の整理だと、「支所」とは必ずしも呼ばない方がいいというこ と、あくまで児童相談所であるという考え方ですね。 ○佐藤委員  当時は「支所」という名前で呼んでおりましたけれども、実態はまさに児相と同じよう な内容です。 ○山縣座長  青森のようなやり方を一つイメージし、それの適正数がどれぐらいかというところは、 今のところちょっとわからないのですけども。  いかがでしょうか。この辺は、数的なものはもう少しあとでということでよろしいで すか。  1番目のところは、かなり前回、前々回と議論をしておりますので、それぐらいにさ せていただいて、職員の体制とか質、専門性の確保につきまして、前回は医師とか弁護 士とか、そういう関連領域についてはかなりのご意見をいただきました。今回、小林委 員から、特に医療に特化した部分で膨大な貴重な資料をいただいておりますが、一番核 になるソーシャルワーカーたる児童福祉司についての議論もあまりやっておりませんの で、そこら辺に集中したご意見がいただけたらと思います。  たくさんの資料をいただきましたので、小林委員から、最初にまず、あまり長くなら ない程度でこの説明をいただいて、医療問題についてはそれくらいでと思っているので すが。 ○小林委員  初めから入れさせていただきました資料が、児童相談所体制の中のことで、あとで配 らせていただいたのは、あとの児相と関係機関というところでの関連資料です。  初めから入れさせていただいたのは、児童相談所の中の精神科医がご自分たちで精神 科医の役割の実態と今後の方向性について、厚生科学研究で出されたものを見つけまし たので、お配りさせていただきました。  いろいろなことが書かれていますので、あとで見ていただきたいのですが、一言で申 し上げますと、今、180の児相で常勤医は18人だそうです。「健やか親子21」では、す べての児相に1人ずつ置くということになっていますけれども、今その数である。あと はみんな非常勤であって、非常勤の中には、児童精神とは限らずに、大人の精神科医も かなりおられるということで、それでも来ていただける医者がいないというのが実態で あって、これをどういうふうに充実していくのかということは、とても難題であるとい うふうに言っておられます。  ただ、児童相談所が児童精神科医を持っているところは、各国比べてもあまりないそ うで、日本のように、地域の児童精神医療、児童精神保健の専門医が地域全体に医療機 関や保健センターでいないという実態からすると、むしろ児童相談所がこういう機能を 充実することが大事なのではないかというふうに考えておられる報告書です。またごら んいただけたらと思います。 ○山縣座長  一番ポイントのところを幾つか整理をしていただきました。何かそのことに関して、 皆さん方、追加の意見とか質問とかございますでしょうか。よろしいでしょうか。  では、できましたら、児童福祉司あたり、あるいは児童心理司につきましても、前回、 どうなのだという話も幾つか残っていましたので、そこらあたりでご意見をいただけま したら……。専門職採用のあたりのデータもいただいております。これはまず、上廣委 員に三重の話で、どんな問題なり、あるいは三重県だけの問題ではなくて、児童相談所 でいろいろな話をされているときに、人の確保とか……。 ○上廣委員  児童福祉司は、ご多分に漏れず他県ともそうなんでしょうけれども、一般職が児童相 談所に来てその仕事をする。かつては、全然関係のない部局から来ておったのですが、 最近は福祉の経験者とか生活保護の経験者が児童相談所に児童福祉司として配置される ことが多くなったのですが、いかんせん、生活保護のケースワーカーと児童福祉司とは 質的に違うのではないかという形で、児童相談所に来たときには、その辺の頭の切りか えをちゃんとしてくれよという話をしております。  研修につきましても、かなり児童相談所側で、新任研修につきましては10日間ぐら いかけて、カリキュラムを組んでやっておるのですが、なかなかそれが十分ではないと いうような状況です。  それから、三重県の場合は、4年ぐらい前から、学校の教師とのいわゆる人事交流が ございまして、今10名ほどの学校の先生に来ていただいておるのですけれども、それ も2年か3年で学校現場へ帰さなくてはならないということで、やっと一人前になった かなと思うと、学校現場へ帰ってしまうというような状況であります。  私は児童福祉司というのは大事な仕事だと思っていますものですから、診断を十分に ちゃんと書けるようになるまでに1年、また2年かかるわけですけれども、なかなか大 変な仕事なものですから、転勤の希望が常に出てくるのが現状でございます。  それから、私たちの考え方の一つとして、例えば家庭裁判所の調査官と私どもの児童 福祉司と比較してよく考えるのですが、いわゆる非行の場合、14歳を境にして家庭裁判 所に行ったり児相へ来るわけですが、その場合に扱う調査官と児童相談所に配置された 児童福祉司の質を見比べると、ずいぶん差があるなというような感じでいます。そうい う意味では、児童福祉司もやはり調査官に劣らないような、ある意味では質を保持する 必要があるのではないかというような形で、その辺の研修について県でも取り組んでい るところでございます。 ○菅野委員  菅野です。今話題になっている児童福祉司から児童心理司にこの4月1日異動になり まして、両方の話をしなければいけないのかなと思うのですが、児童福祉司のセクショ ンに僕は虐待の関係で3年間籍を置かせていただいて、ワーカーさんたちと一緒に活動 したのですけれども、今、滋賀県の場合は特に、福祉を必ず経験していないと児童福祉 司にはなれませんし、社会福祉司の資格を仕事をし始めてから取っている人間たちが多 いです。一生懸命、福祉のことを子どもを中心に考えたり親を中心に考えたりしてやっ ているのですけれども、いかんせん、時間的に余裕がないというのがあって、勉強もし たいけれども、職務で疲れ果てているというところがあります。  滋賀県の場合、なるべく研修をしようというふうにして、今回、人事異動なんかで新 任のケースワーカーさんが、滋賀県内で両方の児相で7人ぐらいいて、新任研修をしよ うということで、今まだ研修中です。でも、それは本当に概論みたいなもので、その合 い間に、4月に異動してきて、いきなり非行のケースで親と会わなければならないとい うような状況に置かれるのが、児童福祉司さんの現状かなと思います。  だから、すごくやる気があって、熱意があって――滋賀県の場合には数年前までは、 内部の人事異動の希望で、児童相談所の児童福祉司、虐待、DV担当の福祉司をやりた い人は手を挙げてくださいというのがあったんです。それで、何人かの方が児童福祉司 にはなっておられますが、その後、なり手がないということで、希望をとることはなく なったみたいです。  それと、うちの所長とか児童福祉司の先輩たちが言うのは、とにかく10年ぐらいや ってくれと、来た人にみんなに言っておられます。10年ぐらいやってくれたら、いろん なことがわかって楽にやれるようになると言われるのです。私は3年しか――3年しか やっていないのは、内部の人の異動の関係で、心理の人間が動いて、福祉司の対象の人 ばかりがやってきたので、僕は自動的に内部で心理の方に戻ったという感じですけれど も。  だから、数の問題と、それからやはりどれだけやる気をサポートしてあげられるか。 それから、方法なんですね。例えば有効な方法を、親と出会うときに、子どもと出会う ときに、こういうふうな方法があるとかいう、技術の問題になるかもしれませんが、気 持ちをサポートする技術の部分ですね。面接の技術であったり、ケースの見立てであっ たり、そういうふうなことを、どちらかというと、学ぶというよりも体験しながら工夫 をしていくという、職人かたぎみたいなところが児童福祉司さんの現場の中にはあるの ではないかなと思います。  だから、その辺をもう少しいろんな意味で、いろんなところからサポートができたら いいのかなと思います。よく夜残業しながら、ワーカーさん同士がしゃべっているよう なところでサポートし合うのが現状です。もう少しシステマチックに何かサポートして いただけるようなものがあれば、現場は助かるかなというのが思いです。 ○岩佐委員  私は外からの意見なのでちょっと厳しい意見になるのかもしれませんが、少なくとも、 採用が専門的にされて、かつ、今の菅野さんのお話にも出ましたが、10年ぐらいは動か ないというようなことは最低条件で、この条件なしで議論しろといわれると、議論がで きないんです。要するに、専門的でない人が2、3年ごとに一般職とかと動くかもしれ ませんとか、児相に2年いるかもしれませんけど、そのあと施設に行って、本庁へ行っ て出世して、そのままどこかへ行ってしまうかもしれませんということを前提に、どう やって専門性を高めたらいいですかということを議論しろといわれても、議論できない んですね。もちろん、私もそうですが、どこかに研修に行って一生懸命しゃべったり、 人事交流をして、こうやったらどうだとか、いろんなことを考えますけれども、人事交 流をして、戻って、そのまま児童相談所でなくて本庁に行きましたといわれたら、これ は何のために人事交流しているかわからない。ですから、議論としては、ともかくそれ が極めて最低の条件なのですけれども、その条件が満たされないままに考えないといけ ないつらさというか、そういう問題がやはり別にあるとは思うのです。  私も年齢を重ねてきたからぼやきが増えているという側面もあるかもしれませんが、 外から弁護士としていろいろ虐待の困難ケースなどをやっている感じからすると、本当 に児童相談所の中で蓄積されていっているのだろうかという疑念がわくわけです。毎年 同じことをしているとか、場合によっては職員が異動することによってかえって前より 悪くなっているのではないかとか、全体としてはいろいろ取り組もうということで状況 はすごく変わっているとは思うのですけれども、そういうような部分もあるので、やは りそこの最低条件について、もちろんそれは都道府県で決めることだと言ってしまえば それまでですけれども、どうやって確保できるのかというところの条件なしに議論する のは、しんどいなというのが率直な感想です。  あともう一つは、これも私、たくさん見ているわけではないのでわからないのですが、 もちろん、研修とかも効果があるといえばあるとは思うのですけれども、人事的に、ど こか取り組みの進んだ児童相談所で半年とか1年とか仕事をして、また戻っていくとか、 要するに実際に仕事をしてそこのやり方を見て、そしてまた戻っていくようなやり方の 方が、効果という意味では効果があるのかなというふうに印象的には思っています。 ○関根委員  前回欠席してしまいまして、ちょっとかみ合わないことが出るかもしれませんが、私 ども埼玉の場合は、この表で見ると、1人当たり5万8,550ということで、かなり数字 の上ではいいのですけれども、実際には、いわゆるスーパーバイザー、係長、補佐クラ スの職員で児童福祉司を発令されている職員もいますので、純然たる地区担当職員とい うと、これよりちょっと上がります。ただ、ここ数年大分増やしていますので、改善さ れていることは事実です。  それと、ここ数年の職員は全部福祉職採用ということで、一応最低の専門性を確保で きてはいるのですけれども、それでも研修システムを考えていく必要があるかなと。今 私どもでは年間20回ぐらいいろんな専門の研修をやっているのですが、同じような研 修もあるのですけれども、必ずしも出たいときに出れるという状況にないものですから、 一応研修の場を設定しておいて、出れるところから出れる職員が出ていくというそんな システムでやっております。  それと、岩佐先生から先ほど、10年異動しないのは当たり前だという話がありました。 私もそう思います。ただ、今の児童福祉司は非常に虐待相談に追われているという状況 で、疲労とストレスがぎりぎりのところまで来ている職員がたくさんいます。実は私も、 人事異動で何年か児相から離して、また児相へ戻ってきてもらうというようなことを、 昨年、今年というふうにやってみたのですけれども、人材がいないんですね。児相に入 ってこれる人がいないものだから、児相から外へ出せないという現状が今の現場にある と思います。ですから、確かに一つの仕事を最低10年ぐらいやれば、本当に一人前に なると思うのですが、その中で、ちょっと離れて考えてみるといった期間も設ける必要 があるのではないかなと思います。 ○山縣座長  非常に具体的な話になりますが、事務局的な感想で言うと、配置の標準を5万から8 万にしましたと。このデータを見ると、1割以上、8万を超えているところは60のうち 8か所しかないのです。それはかなり有効に増やす方向に働くのか、8割以上の自治体 はほぼ標準を満たしているから、影響ないということなのか、実際に都道府県なり指定 都市の動きがどうなるかという様子は、ちょっとぐらいは入ってきていますか。都道府 県に聞く方が正確なのかもしれませんが、どういう影響がそのことによってあるのか。 単に実態をほぼ追認しただけと、批判的に見ればそう見ることができますよね、この数 字は。その辺の感触はどうですか。 ○長田総務課長補佐  ご案内の通り、従来、この改正前は、人口10万人から13万人という標準になってお りました。さすがに、10から13のところにある自治体はごくわずかだったのですが、 実態としては、いわゆる地方交付税措置というものの中で、1人当たり人口6万8,000 人ぐらいの感じにはなっていまして、ただ、人口6万8,000人を下回っている自治体が かなり多いというのが実態としてはありました。  実はこれは私どもが調査をしたものではなくて、ある記者さんからいただいた状況で すけれども、恐らくこの改正を踏まえてというか、あるいは改正を見越してということ なのだろうと思いますけれども、児童福祉司の増員予定だとかいうことで、かなり具体 的に想定をした人員は、全国合計ですけれども、100人以上増員ということを想定して いるというような情報も入ってきておりますので、この改正の効果はかなり効いている。 特に、とりあえず人口10万人に1人で開き直れていた自治体は、少なくともかなり増 員をしないといけないのではないかということで、動いているのではないかと思います。 ちょっと自治体名は申し上げませんが、一番配置の薄かった某県では、昨年度の秋に2 人ほど増員をされて、さらにこの4月からも2人増員をされるというふうにも聞いてお りますので、確かに効果は見られているのかなと思っています。  正式には、毎年6月に、私ども全国児童相談所長会議というのを開催させていただい ておりまして、それに合わせる形で各都道府県さんからデータを毎年いただくことにな っておりますので、その時点で正確な17年度現在の数字をお示しできるかなとは思っ ております。 ○山縣座長  前々回だったか、どなたかがおっしゃっていたのですけれども、いわゆる一般人口を ベースにした規模が適正なのか、都道府県で少子高齢化率が変わってきて児童人口がす ごくバランスが崩れていますよね。18歳未満人口ぐらいで計算したら、この配置が、見 かけ上多いけど、実は高齢者が多くて、子どもでいうとそんなに突出していないのだと か、そういう弁明もあろうかと思うのです。だから、ちょっと一回、計算的には難しく ないと思うので、試算してみてもらえませんか。  いかがでしょうか。少し効果はありそうだというお話ですが。 ○小林委員  先ほどから、児童福祉司さんの経験年数のことがあるのですが、医療現場で私もよく 虐待のことで児童相談所の現場の担当の方とお会いするのですけれども、医者の中から 時々よそから聞こえてくるのが、児童相談所は、虐待を通告すれば虐待と判断し、専門 的判断で専門的な対応をする機関と聞いている。ですけれども、来られる方を見ると、 「あれ、本当に専門ですか」という厳しいことを私自体がよく聞かれるんですよ。「その 判断をそのまま受けていていいんですか」というふうに私に確認をされるということが ありますので、やはり児童福祉が子ども特有の、大人とは違う部分があるというだけで はなくて、虐待というのは本当に大変な状況判断をしていくことなので、専門性が高く ないとやはり関係機関の連携がとても難しくなるだろうという気がしています。  私がお会いする中で、感覚的にですが、5年ぐらいたたれると、まあまあ理解して話 ができるなと。10年たっておられると、こちらが安心して話が聞ける。非常に申しわけ ないのですが、医療の側からはそんな感じです。そうでないと、一からこちらが説明し なければいけなかったりということがありまして、やはり虐待というのは、ほかの機関 が通告した場合も、本当に不安を持ちながら児相の方とお会いしますので、ほかの機関 が、この方が言っていることは確かだというふうに思えるところのものを持つためには、 やはり1、2年とか2、3年ではとんでもない世界だろうと思います。  そしてもう一つは、2点目ですが、私がアンケートに書かせていただいたのが6ペー ジの一番上の丸のところで、児童福祉司さんの数についてですが、少なくとも今の、少 なくともというのは、今、次のステップに行くのに、今の倍増ぐらいが必要であろう。 これも全く感覚的です。先ほどからの統計が出ていますけれども、その基準を満たすだ けではやはり足らない。今、児童相談所の方と接するときに、児童相談所の児童福祉司 さんが虐待にかかわっているのは、本当に初期対応だけでこれだけの忙しさだと思うの です。ですけれども、虐待の子どもを分離したあと、あるいは在宅の方針を決めたあと、 在宅は在宅で再発しない、死なないというためには、本当にそこからあとシビアな判断 をしながらの地域ネットワークについての方針、指導が要るわけですし、それから児童 養護施設等に入られた場合も、やはり子ども自体の回復、あるいは親への指導がなく再 統合というのは、今、再統合までの間に何がケアされているかとなると、本当にし切れ ない。できていないというと失礼になりますけれども、でも、する余裕がないのだろう ということが実感としてわかるんですね。そうしますと、虐待自体を初期対応から再統 合まで、あるいは子どもの自立までかかわっていくということで考えて、それ全体を見 ていくのが児童福祉司さんの仕事だと思いますので、そこまで入れると、今は本当に初 期対応だけでこの人数というふうに思っていいのではないかなという気がしています。 ○山縣座長  もう1点聞いていいですか。表をいただいた資料3の12ページのところで、福祉等 専門職というくくりになっていますよね。例えば児童福祉司で福祉等専門職の「等」と いうのは、あるいはこの枠は、行政が採用されたときに、行政職と福祉職か、例えばそ ういう福祉職と呼んでいる者の数、それとも福祉を背景に勉強してきたという人の数、 感覚的にはけっこう我々が意識しているよりも、半分以上が福祉等専門職かとちょっと びっくりしているんです、正直。だから一体これは何なのだろうと。 ○川鍋総務課長補佐  この区分は、あくまで自治体が職員を採用するときの職種表、どういう俸給表を適用 するかということで、一般行政職なのか、そうではなくて専門職かという、そういった 区分がほとんどです。 ○山縣座長  採用枠かどうかではなくて、ということですか。 ○川鍋総務課長補佐  職種をどういうふうに考えているかというところで、ほとんど多くが、例えば一般事 務職という採用をするのか、あるいはそうではなく、例えば福祉職という形で、専門職 という形で採用するのか。専門職といったときに、福祉職というのがあるのと、それか ら医療職というものもありますので、そういった分け方でこれは一応区分されています。 ○山縣座長  例えば三重県だったら、半分以上が福祉職採用というこの事実はこれでいいのですか。 ○上廣委員  心理判定員で採用したり、例えば児童指導員とか生活指導員で採用された人は、多分、 専門職採用になります。 ○山縣座長  施設職員として採用された者も入っていると考えるのですか。 ○上廣委員  そうです。一般職はいわゆる一般行政職で採用します。 ○山縣座長  その採用のあたりについては、何かご意見ございますでしょうか。今回の改正で、児 童福祉司の幅が少なくとも広がった。採用というよりも配置の際の基準というふうに考 えた方がいいかもしれませんが、児童福祉司の任用要件としての幅がぐっと広がった。 その範囲で、今後は制度上は福祉職となります。呼んでいくことになるわけですけれど も、ここら辺について何かご意見ございましたら。 ○菅野委員  採用というのは多分、今いろいろ資格が、社会福祉司を持っている人というのはある と思うのですが、現場にいると、資格を持ってとか、一定の学問を修めてきてくれても、 やはり現場でいかにトレーニングをしていくのか、現場で実際のケースに当たりながら どうしていくのか、現任の訓練がすごく大事になると思います。  それと、滋賀県の場合に、一般職15、専門職3になっているのですが、この3のうち の1は多分、私が心理判定員に入っているからそうなのだと思うのですが、ただ、施設 の職員さんで福祉事務所も経験していて、それで児童相談のことでということで、施設 の指導員さんをしていた人たちがワーカーさんとして来てくれると、けっこう3年とい うようなローテーションではなくなるのです。5年とか10年という形でいてくれますし、 そういう意味でいうと、福祉の子どもを扱うところの現場にいてくれる人たちが児童福 祉司として動いてくれる分には、それなりに子どもの感じ方とかかかわり方みたいなこ とを体験的に知っている人がいます。  だから、その辺の人事交流も必要ですし、先ほどお話がありましたように、うちにも、 ちょっと疲れたということで、学校の事務か何かに、行政で採用された人ですごくやる 気のあるワーカーさんだったのですが、ちょっと消耗してしまったと、1年間事務に出 て、1年後にまた相談所に戻ってきて、今年から僕のかわりに虐待対応をしていますけ れども、そういう形で、少し外の空気を吸ったりしてくること。  その人に言わせると、児童相談所の仕事はおかしいと言うんですね。児童相談所の仕 事は、やった仕事の倍ぐらい、あとで記録とかいろんな情報処理の仕事があると。普通 の、例えば事務の仕事は、計画をして、終わったらそれで終わりだ。児童相談所の仕事 は、面接をしたら、そのあと、すごくたくさんの仕事がある。これは何とかできないの かという話をしていますし、仕事の仕方自体も変えていく必要もあるのかな、というふ うにも思います。  だから、採用の時点でもちろんいい人材に来ていただくことは大事ですけれども、そ のあと、きちっとそれがフォローできること。現場にいますと、そこが一番大きいのか なと。私なんかずっと20数年児童相談所の中にいますので、いろんな時代を見てきて いますけれども、今ほどケースワーカーさんたちが消耗してしまう時代はないなと思い ます。だからとにかく、みんなが集まってしゃべったりとか、難しいケースを、本当な ら1人が担当なのだけれども、役割分担をして、2名体制、3名体制でやろうかという ふうな柔軟な形で、やはり人数ということがあるのですけれども、少ない人数だったら 少ない人数なりに、有効な動きができるようにサポートしてあげる工夫、現場はこの何 年か先に2倍、3倍になるよりも、思いとしては「今」という感じがします。だから、 もちろん将来的なことも含め、プラス、今現場で働いている人たちに何か、即効薬みた いなものはないかもしれませんが、そういうものも何かご意見などをいただけたら、現 場は喜ぶのではないかなと思います。 ○山縣座長  どなたかおっしゃっていましたが、内部、外部のスーパービジョン、サポート体制と いう、内部だけでなくて、外部からも必要なのではないかというところかと思いますし、 公務員に非常に厳しい時代ですから、あり得ないのでしょうが、大学なんかだったら、 すぐここでサバティカルなんていう優雅な話が出てくるのですけれども、公務員ではそ んなことはもはやあり得ない状況かと思います。本当はそういうことが必要なのでしょ うね。外から自分をもう一回見詰め直して、きっちり取り組める体制というのが。  いろいろご意見をいただきましてありがとうございました。ちょっと話を進めさせて いただいて、5番目ですが、県の家児相、郡部家児相についてのご意見は調査の方から 幾つかいただいているのですが、どうも多くが、そんなに積極的に充実というよりも、 市町村の強化と県の児童相談所の改革の中である程度整理が可能なのではないか。何と なくそういう意見が半数以上あるような感じで今受けとめています。ここら辺につきま して、当初聞いた青森と三重はどちらも、県家児相は児童相談所改革の中で吸収したと。 廃止という言い方をしてなくて、吸収して拡充していったという話だったと思うのです が、何か県の家児相のあり方について、ご意見等ございますでしょうか。市の家児相そ のものは次回以降やりますので、県レベル。  小野さんは福岡県水巻町でしたね。町レベルから見られて、今、県の家児相との関係 はどういうふうになっているのか。県の家児相が今の改革の中でもし仮に縮小していく と、町にとっては非常に大きな問題が起こるのかどうか、そこら辺は何かイメージされ ているところはありますか。 ○小野委員  水巻町には県の家児相があるのです。担当者が2名ほどいるのですけれども、これは 私どもの相談センターの充実との関係があるのかなと思っているのです。意見として出 させていただいたのは、児童相談所よりは身近にある施設なものですから、後方支援と か専門的な支援については、どちらかといえば家児相などとの関係の方が密度が濃いの かなと思っていたのですけれども、実際、センターが13年度から活動してきていて、5 年目を迎えたのですけれども、ほとんど家児相との連携はなかったんです。というのは、 私どものセンターの方の担当で、日常的な生活の支援、サービスの情報の提供、具体的 な心理的な相談というふうなことをほとんどやってきていたものですから、実際にケー スについては直接サービス提供機関の方に行ったりするということで、私どもから家児 相に何か情報の提供とか指導を仰ぐということはなかったです。  そういうふうな経験からして、それと家児相自身のスタッフが、2年に1回ほど、嘱 託職員なものですから、例えば退職した職員が再雇用のような形で採用されるものです から、2年ぐらいでかわるんですね。それでなかなか、専門的な支援とか意見を求める にしても、今年も既にかわっているのですけれども、どうも対応ができないということ で、何だか自然と関係が薄くなってきたなという感じです。  そういうことから、今後の相談体制ということの議論なものですから、市町村の方で そういうふうな力がついてくれば、あまり必要ないのかなというふうな気が今していま す。 ○山縣座長  今日いただいたデータなどをベースに見ますと、県の児相が160幾つですよね。県の 家児相が250ほどですから、我々の意見が多数になりつつある児相の拡充ということを やれば、そこの数は非常に近づいてくるということですね。児相のエリアとあまり変わ らなくなってくるのではないか。ただ、市の問題がありますから、単純には言えません が、数的にはある程度似通ってくる。  機能として、恐らく、家児相と児相の問題の違いというのは、私の感覚で言うと、一 つは生活保護部門ですね。児童相談でも、経済問題を抱えた方々は非常にたくさんいら っしゃる。そういうときに、家児相があることのよさは、福祉事務所にくっついていま すから、生活保護部門と非常に近い位置にある仕事をしている。それから母子部門も児 相よりも福祉事務所の方が多く抱えていますので、そこら辺の関係がうまくつくと、多 くの方が言っておられるような県の家児相の話はある程度解決をするのではないか。  もう一つ、私の感覚よりはかなり違っていたのですが、県の場合には、常勤の家庭相 談員はわずか5人しかいなかった。ほとんどが非常勤だったということで、身分問題も 県にとってはめちゃくちゃ大問題にはならない。非常勤の方々の身分保証をどうするか というのは残りますけれども、この辺を、町村の相談の強化のサポートとか、あるいは 県の拡充のところでの非常勤配置とか、そういうことを考えていくと、イメージとして は、言葉としての県の家児相というのはなくなっていくけれども、そこでやっていた仕 事そのものがなくなるわけではない。いろんな形で、もっと地域密着型で展開する可能 性もあるというふうなことも、絵としてはイメージできるかなとか思いながら、今お話 を聞いていたのですが。ちょっと誘導的過ぎるかもしれませんけれども、2時半ぐらい までもう一ついかないといけないということもあって。 ○菅野委員  話を戻していいですか。心理職の話を全然していないので。心理職へ戻ってみて、3 年間離れていただけですが、児童福祉司をやっているときに、外から眺めていて、児相 の心理職というのは、例えば心理検査を使ったり、いろんな臨床観察などで細かいこと をいっぱい見ていくわけですね。子どもたちのしぐさからいろんなことを見ていき、そ れをまとめて一つの形にはしていくわけですけれども、そこから一歩先が足りないとい うふうに、僕は離れていて見ていたんですね。要するに、子どもがこういう状態だから、 何らかの変化を起こすためには周りがどんな働きかけをしたらいいのかというヒントを 出してくれるのが心理職の仕事だし、そのヒントを出して、一緒に子どもの治療なり親 の治療をしてくれるのが心理の仕事だろうと思っているのですが、現実、3年ぶりに戻 ってみますと、例えば、不適応の子どもたちの場合のいろんな診断が今ありますよね。 そういう診断のためのチェックリストがあったりとか、問診票があったりとか、検査が いっぱいあったりとか、お医者さんに回してみたりとか、すごく細かい仕事が多くて、 ケース全体を見るという視点でなかなか動き切れないようなところがあるなと思います。  僕なんかは、どちらかというと心理職をやっているころから、家族療法とかいろんな ものをトレーニングを受けて、家族全体を見ようというふうにしてやってきた人間だか ら、少しワーカーみたいな仕事もできたのかなとは思いますが、現状として、求められ ているもの、例えばいろんな発達障害を、何なんだこの子は、ということを、診断とい う言い方はおかしいですね、見立てて、それを、例えば学校現場に帰したり家庭に帰し たりという細かい作業をしていかなければいけないというのに、ちょっと驚いてしまい ました。現実問題として。  同じように、虐待の子どもたちにもいろんな特徴的な行動があるので、それをとらえ て、それが何なのか。それを変化させるためにはどうすればいいのかという視点で同じ ようにかかわっていけばいいのですが、現実に先ほどの職員の比率を見てもらったらわ かりますように、今回、滋賀県の場合には、地域にいた児童福祉司さんが児童相談所の 本部配置になって、全体として両方の児童相談所で5人の児童福祉司さんが増えたので す。心理職は全然増えていません。彦根の子ども家庭相談センター、児相の場合は、ず いぶん昔、障害児療育をやっているころは、判定員が嘱託を入れて3.5人ぐらい、ワー カーさんが4人だったんです。今どうなっているかというと、地域の担当を持つワーカ ーが7人と、虐待対応のワーカーが3人と、それからスーパーバイザーのワーカーが1 人です。今どうなっているかというと、心理職が3人と、ST(言語療法士)の人が1人。 だから、心理職の数は20数年前と増えてないんです。  小林先生が言われたように、やはり初期対応の部分ですごく労力がかかるので、ワー カーさんの数をすごく増やしていただいて、そこのところは動きやすくなってきたと思 います。僕自身は虐待対応の方に行って、保護者支援ということで、介入後の支援のと ころをやっていたのですけれども、実際にそれをやってみますと、心理職としての今ま での経験が役に立つなというふうに思いました。それと家庭に子どもを帰していくため の支援は、ものすごく手間暇がかかるというか、親御さんとのかかわり、週1回ずつの かかわりであったりとか、子どもさんの様子を聞きに行ったりとか、子どもさんの治療 の状況を施設と話をしたり、それからそれをまた親御さんに伝えたりということで、現 実問題、3ケースが交錯していた時期があるのですけれども、このころは何をやってい るかわからないぐらいになるんですね。  だから、そうやって家族が変化するということを支えていくためには、1人が面倒を 見られるケース数はすごく少なくなるので、この前、終わったあと小林先生に、ワーカ ーの3分の2ぐらいは心理職が欲しいんですという話をしていたら、「3分の2でいいん ですか。1・1以上いるのと違いますか」と言われて、それは心強い言葉だったのですけ れども、そういうふうに介入の部門とその子の支援の部門ということで、支援の中心に なるのは、ソーシャルワーカーさんと心理職がきちっとペアになってやれるようなチー ムづくり、それぐらいの体制がやはり要るのかなというのが実感です。 ○山縣座長  先を急いで申しわけないのですが、最後の一時保護所とか一時保護委託、こちらも貴 重なデータをつくっていただきました。本当にびっくりしたのは、一時保護委託がもの すごく増えている。一時保護所の方がむしろ減って、こんなに減ってしまっている。平 成16年はよくわかりませんが、何でこんな極端な動きがこの1年であったのかよくわ からないぐらい、すごく大きな変化ではないかなと思うのですが、これはどなたか。 ○上廣委員  これは、乳幼児の虐待がある場合は、一時保護所では預かれないものですから、例え ば乳児院とか里親に一時保護委託をするという関係で増えたのかなと私は見ているので すが、三重県におきましても、乳幼児の虐待が増えて、それの対応でこういう措置をと っているというのが実態でございます。 ○山縣座長  乳児院はもともと難しいのですが、里親さんというのがかなり一時保護委託先として このデータを見ると機能してきているという形になっていますが。 ○関根委員  もう一つ別の要素を申し上げますと、一時保護先がなくて、いわゆる保護所がいっぱ いで保護できなくて、施設にお願いしている。それで施設もなかなか受けられなくなっ てきまして、本当に夜おそくなって里親さんに電話をして、泣きついてお願いするとい うのも現場にはありますね。ですから、一時保護委託が増えたというのは、保護先がま だ十分でないという側面も、埼玉なんかですとあります。 ○山縣座長  一般には、一時保護所がいっぱいだというのは我々よく聞くのですが、14年から15 年の変化だけで見ると、1,500も減っていますよね。ということは、地域差がものすご く出てきたという理解をした方がいいということなんでしょうね。本当にいっぱいのと ころが集中していて、あいているところは逆にがらがらになってしまった。1,500も減 るというのはすごい数だと思うのですが。期間の問題ですか。 ○菅野委員  この数は、全国の実人員ですか。 ○山縣座長  日数の問題なのか、その辺もありますね。 ○菅野委員  これが1ケースというか、1人ずつということになると、長期化するともちろん件数 は落ちますし、どういう数字なのかということ。実人員ですね。 ○山縣座長  同じ人がずっと、占拠といったら変だけど、入り込んだものだから、次の人が入れな いという一保の事情なのか、その辺がちょっと……。 ○菅野委員  それと、警察の部分は、滋賀県の場合には契約をしてないのであれなんですけれども、 一時保護委託先として警察というふうな契約がある場合に、例えば一時保護所の中での バランスが悪い場合に、ここでもっと非行の子が入ってきたらまずいということになる と、警察の方に一時保護委託するということを多分とっているのだと思います。それで、 それぞれの一時保護所の事情とか中に入っている子どもたちの状況によって委託先を変 えたりしますし、現実問題、例えば一時保護所の状況は、非行の子どもたちがあまりに も何人も入るとバランスが崩れますので、うちなんかでしたら、だれかが出たら次の非 行の子を入れるみたいな工夫とかもあります。緊急に、例えば身柄つきで保護をしなけ ればならないということに対応できないときに、例えば一時的に警察署の方に、一日一 時保護委託をするということになったりすると思います。そういう件数が上がっている のではないかなと思います。 ○山縣座長  データ的なことはまた精査していただくことと、これがこのまま出ても、このとり方 についての事実は事実ですから、丁寧に説明をしないと、いかにも一時保護所がすごい 手抜きをしているように見えてしまうので、決してそうではないのではないか。声とし ては、一時保護所はしんどいという話の方がむしろ多いですから。 ○上廣委員  今回、北陸ブロックで一時保護所の職員の研修会があるのですが、そのときの報告で、 日本海側はずいぶん一時保護所があいておって、太平洋側はいっぱいだと、そういう報 告もありますものですから、地域差というのはやはりあるのかなと思っております。 ○山縣座長  地域差と期間と、その要素を少し組み込んで解釈をしていかないと。  今ここで意見をいただきたいのは、むしろそのデータの解釈というよりも、あり方の 問題として、一時保護所云々は別にして、むしろ積極的に一時保護委託、例えば里親さ んのような柔軟性があるところを強化していき、予算的にも、今の予算とは違う仕組み で、施設も含めて、強化、補充していくような方向がむしろ考えるべき方向なのか、あ るいはやはり一時保護所が本来の姿で、一時保護委託というのは例外的な措置で、並行 的な選択肢ではないということなのか。この辺の考え方、特に現場の方ですね。実際に 一時保護委託を、きっとこのデータでいうとたくさん受けておられる濱田委員、その辺 の一時保護委託について少し……。 ○濱田委員  現状のままのシステムだと、現場での一時保護をいきなりということは、基本的にや めてもらいたいというふうに感じています。やはりきちんとアセスメントをして、本人 の自立支援のことも、それから保護者のあらゆる診断、そういうものがちゃんとワーカ ーと共有できて支援していけるということであれば、今の山縣先生が言われた体制をつ くってそうするというのはいいと考えます。児童養護施設であれば、いろんな国家資格 を持ったスタッフ、たとえば社会福祉士、あるいは精神保健福祉士、臨床心理士などの 資格を持って働く人が増えていますし、社会福祉法人の役員の中には医師や弁護士など がいらして、専門家の応援を得ながら一時保護するようにしています。資料の一時保護 委託先として里親さんの委託率が大変高いようですが、いきなりこういうふうなことで 投げかけていったときに、言葉が悪いですが、丸投げになっていなければいいがなと感 じます。この数字を見て、本当に貧しい状況なのだなということを改めて感じました。 ○山縣座長  後藤委員、何かありますか。里親会の方ではそういうお話とか、一時保護委託が最近 云々なんていう議論はありますか。 ○後藤委員  うちに預かったこの前の黒いお化けの話は別にいたしまして、一時保護を依頼される のもいきなりだそうです。待ったなしで。私が聞いていて、それこそ「うわー」と言っ たのは、施設にいて、どうしても施設でこの子は手に負えないからとにかく頼むという ことで、里親さんの方に行きました。それは16歳になっている女の子で、里親さんが 今よれよれになってしまって、何ともしようがない状態です。  それから、ほとんど緊急で一時保護のような形ですけれども、例えば1ヵ月なら1ヵ 月、3ヵ月なら3ヵ月という条件つきで来ても、もうちょっと、もうちょっと、もう少 しということで引き延ばされるということは耳に入っています。最終的には、どうして も困ったら、児童相談所へ連れて行って置いてきたらというところまで、極端な言い方 ですが、そうしないと里親さんが壊れてしまいます。  それから、一時保護所のあり方は、専門の方がいろいろ考えておられると思いますけ れども、最近になって、里親という言葉が浸透してきているものですから、実は私がこ ういうところで、さあどこまで話をしていいか。それから、どうかすると、「あんた、に らまれるよ」というような、児童相談所からかなりにらまれますよということで、もう にらまれても蹴飛ばされても構いませんけれども、やはり実情は実情として話を聞いて もらいたいと思います。  それから、実際に毎日24時間生活している者の我々里親へのフォローということも 考慮に入れていただいて、預かった子どもがよりよく生きていけるように、ちゃんとし た生活ができるようにという思いだけで私たちは里親をしているものですから、できれ ばきちっと、先ほど言われましたように、アセスメントをちゃんとして、こうこうだか らという事情説明があればいいのですけれども、丸投げのような形で――この前、ちょ っと愚痴ったような言い方をしましたけれども、5ヵ月預かった子は、母親の虐待、ス パナか何かで叩かれてきた子だから、一時保護所に3週間いて、もうこれ以上無理だし、 行くところがないからとにかく頼むという形で、私は預かりましたけれども、子どもの 背景、それからどんな状態だったというケース記録は必ずあるはずです。それもうちへ 来て1ヵ月半ぐらいしてからやっと届いたのですが、もう小さいときからそういう症状 が出ていて、なぜ心理判定士がそこを見つけることができなかったか。一番悪い状況で した。その子は精神的にも肉体的にも完全に頭の配線が狂っていたものですから、多分 この前のこの会合ではなく、お医者さんの会合で杉山先生からお話があったかもしれま せんけれども、うちから急遽、5ヵ月後、入院措置ということで、その後、3ヵ月を限 度として、あとは正常な家庭にも行くところもないものですから、病気を治しながら、 情緒障害施設ですか、そこで暮らしています。  細かいことをもう一つだけ聞いていただきたいのは、やはり児童相談所からとにかく お願いしますということで受けた子どもが女の子で、高校をやめてしまって、そのこと は構いません、今、高校をやめる子は幾らでもありますから。里親宅に来て、夏休みが 終わってすぐだったのですが、あらまあ、お腹が大きくなったわ、もうポンポンに赤ち ゃんがいたんです。その始末はどうしようかといったときに、そこの児童相談所は、と にかくこれは処置しなきゃいけない。どうしたらいいか。とりあえず里親さんが負担し て、お金を払って処置してくださいと、そういう話も聞いています。  やるにはやったのですが、そのあとの決着は聞いていません。その里親会のある方が、 児童相談所に対して、「あなた方は里親に甘えているんじゃないか」と、声を荒げて言っ たらしいんです。そうしたら居直って、「そうですよ。甘えていますよ」と一言言われて、 それから言葉が出なかったという、これは本当、裏の方の話でお聞き苦しいかもしれま せんが、せっかくマイクを振っていただきましたので、申し上げます。 ○山縣座長  最後一言だけ、岩佐さん、このところのきっかけを前回つくっていただいたので、特 に非行問題、触法とかぐ犯と一時保護の話で何かご意見があれば。それでここのところ は終わりにしたいのですが。 ○岩佐委員  基本的には、前回申し上げたようなことで、これはぐ犯の件もそうですし、ほかもそ うですが、今お話が出たように、一時保護というと、どちらかというと、とりあえず分 離して、保護するというところに目が向きがちですが、当然ながらそれはアセスメント の期間でもあるので、自分のところで保護ができないということになると、アセスメン トが不十分になる。もちろん、児童養護施設に一時保護委託しても、そこに毎日のよう に市の方やワーカーの人が通われるのであれば、アセスメントというのは可能かもしれ ませんが、そのこと自体がすごく負担が出るわけですから、まずはアセスメントが難し くなるという問題と、あと虐待もそうですし、非行もそうだと思うのですけれども、自 分が思ったときに子どもの身柄をとる、という言い方は僕らの言葉でよくないのですが、 保護をするという手段がなくなるということは、やはり自分のメニューが減るというこ とだと思うのです。ですので、そういう意味でも、この一時保護施設が充実してないと いうのは、非行もそれ以外もメニューが減るということ。  あともう一つ、これは前回は申し上げなかったのですけれども、恐らく、一定の非行 児童を児童相談所自らが保護しにくい状況ということと、児童自立支援施設が非行対応 が弱くなってきて、どちらかというと情緒的に難しい子どもとか、いわゆる施設不適応 の子どもが中心になっている傾向もあるのではないかというような指摘とは関連するよ うな思いを私は持っていまして、児童相談所の手元から、要するに行動化をする厳しい 低年齢の子どもたちが離れていく。自分が保護できないわけですから。ですから、その 子どもたちが児童自立支援施設に行くというような流れも、またよりなくなっていく。 ですから、ここの一時保護のところで頑張れないというのは、児童自立支援施設が非行 対応から撤退していくということともすごく関連しているような気もしていますので、 そういう意味では、14歳未満、低年齢の非行の子どもに福祉がどう対応するのかという ことの、非常に重要なポイントのように私の方は思っておりまして、全国でいろいろ大 変な状況であるということはある程度理解しているつもりはあるのですけれども、だか ら仕方ないからほかに頼めばいいではないかというような議論を安易にするのは、最終 的には我々としては資源を減らすことになるのではないということを、私としては思っ ております。 ○小林委員  一時保護所について二つ。  一つは、虐待の子どもは在宅ケアが8割、9割になる。その在宅ケアをしていくとき に、危機に一時期、一時保護という機能が、今後重症化の予防とか死亡の予防でものす ごく大事だろうと思うのです。親を育児援助していくときも。そういうことで一時保護 できる機能みたいなところの枠をもっと広げてほしいなと。私は福祉ではないのでちょ っと違う角度から発言しているかもしれません。  実際に、泉大津市のあのネットワークの虐待の子どもは、そういう形で行きつけの一 時保護委託ができる施設がある。そこと親との関係及び子どもとの関係の中で、小学校 へ入るまで安全に行けた子どもがいまして、あれはすごくいいなと思っていまして、そ ういう子どもが施設とかに一時保護委託という形でしやすいのかなという気がします。  一方、本当に危ないときに初めて一時保護した子どもについては、二つ目ですけれど も、やはり一時保護してからきちっとそこでアセスメントしないといけない。一時保護 の中で子どもの身体的、心理的、それから家族のことをアセスメントするという機能が 一時保護のところにはものすごくあるのではないかなと思いますので、その二つの側面、 機能をぜひつくってほしいなと思っています。 ○井上委員  手短に話します。何人か子どもさんと接してきた中では、児童養護施設に入ったけれ ども、その集団の中に慣れなくて、一時保護所に戻りたいなというふうに言ってきた子 どももいます。それから乳幼児もやはりいます。ある意味では、結論だけ言いますが、 どこが一手に引き受けるということではなくて、子どもはいろいろいますし、虐待の程 度も種類もいろいろあるので、多様な一時保護ができるところがやはり必要なのではな いか。  しかも、児童養護施設は児童養護施設なりにアセスメントの力をつけていく。それか ら一時保護所もアセスメントの力をつけていく。それから非行の方の施設もアセスメン トの力をつけていく。子どものことを思うと、多様な場を考えていけるといいなと思い ます。 ○山縣座長  今までの幾つかの議論がございましたけれども、一つは、今後次回以降考えていかな いといけないのは、市町村の相談体制強化の中で、恐らく、市町村から一時保護依頼と いいますか、そういう方向がきっと増えてくるだろう。そうすると、今の一時保護はも っと量的にもメニュー的にも増やしていく必要が出てくるのではないか。そこをどう考 えるか。今、県の方からしか考えていきませんでしたけれども、市町村の方から見たと きの変化がここに大きく出てくるのではないかということです。  それから、岩佐委員とか濱田委員がおっしゃっていましたが、一時保護委託をする場 合には、本来の一時保護の目的であるところの行動観察というアセスメント部分が、委 託によるとどうしても弱くなる。そこを単に分離をするための一時保護ではない、行動 観察をするのが目的なのだと考えたときに、そこが一時保護委託との関係ではどうなる のか。ここもきっと考えていかないといけないポイントではないかというお話に受けと めました。  それから3点目は、議論にはなっていなかったのですが、本来なら市町村が子育て短 期支援事業、いわゆるショートステイ事業、あるいはトワイライトステイ事業をつくっ ておけば、一時保護委託をしなくてよかったものが、結果として契約を結んでいないも のだから、県に持って行くと、制度的には一時保護委託しかない。ひょっとしたら繰り 返し利用されるパターン、どなたかおっしゃっていましたけれども、ああいうのは本当 は一時保護委託なのか、ショートステイ等の変形なのかと考えたら、ひょっとしたら後 者の方に近いのではないのか。市町村がこれから子育てに関するさまざまな事業をプラ ンの中で拡充していただけるというふうに聞いておりますので、そこの中で、一時保護 委託という部分も少し変化をするかもしれない。その辺も少し思いながら、ここで一旦 休憩をさせていただきたいと思います。 ○岩佐委員  法律の関係もありますので、2点だけ。  一つは、一時保護の中での自由拘束がどの程度できるのかという論点があって、特に 非行の子どもで逃げるような子どもについてどうなのかというような議論もあったので すけれども、とりあえず、今すぐどうできるんだという話になってくると、一時保護所 を明日から全部建てかえましょう、というわけにはいかないことも考えると、私として は、児童自立支援施設を保護委託先として活用するということも一つ考えないといけな いのかなとも思っているのですが。  それとの関係で、部屋に子どもさんを閉じ込めるとなると、これは法律上は別途家庭 裁判所の承認が要るのですけれども、建物のつくり方とか部屋のつくり方で、開放施設 なのだけれども、逃げにくい構造とか、そういうのはいろいろあると思うので、鍵をか けるとか、かけないとかということ以外のいろんな工夫の仕方で、逃がさないというこ と自体が子どもの保護につながるということであれば、それを工夫できる部分があるの かなというふうにちょっと思っているのが1点。  あともう1点、一時保護委託の関係では、いわゆる精神科の病院に一時保護委託でき るのか、できないのか、その辺がいわゆる措置入院の要件との関係でどうなるのかとい うようなことで、けっこう病院の方、もしくは児童相談所の側もやや取り扱いがまちま ちであったり、それが法律上問題であるのではないかというような議論が出ていたりし ていますので、その辺も法律的な意味での整理が要るのかなと思っています。 ○山縣座長  一旦ここで3時ぐらいまで少し休憩をさせていただいて、関係機関との連携という後 半の話に入りたいと思います。少し休憩をしたいと思います。 〔休憩〕 ○山縣座長  大体委員が帰ってこられましたので、ほぼ時間も3時になりましたし、再開をしたい と思います。  では、もう1件の案件の方に議論を進めていきたいと思います。とりあえず、導入と して事務局の方から少し様子を説明していただけたらと思います。よろしくお願いしま す。 ○川鍋総務課長補佐  資料の4の説明をさせていただきますが、その前に、先ほど一時保護の件数のデータ がありましたけれども、あのデータは虐待に限っての件数でございます。ですから母数 はもっと多いということです。すみません、資料がそういうところでちょっとわかりに くかったので、補足させていただきます。 ○山縣座長  虐待に限っての件数ということですね。 ○川鍋総務課長補佐  そうでございます。  それでは、資料の4でございますけれども、関係機関との連携に関する事例というこ とで説明させていただきます。  2ページをお開きになっていただくと、一つ目は医療機関との連携ということで、こ れは広島県で取り組んでいる事例でございます。広島県では、平成15年の4月に、子 ども虐待等の相談とか診療に関する協力基幹病院というものをつくりました。具体的に いいますと、ちょっと表を見ていただきたいのですけれども、4ページを見ていただく と、県内の病院名、部署・役職と書いてあります。それから電話番号があります。こう いった形で協力基幹病院というものをつくりました。これをすべて広報しております。  この位置づけですけれども、前に戻っていただいて3ページのところに、連携の絵姿 がついております。なぜこういうのをつくったかといいますと、開業医の場合には通告 者が特定されてしまうということで、非常に診断書が書きにくいとか、そういう実情が あるということで、例えば開業医が受けて、開業医から協力基幹病院に連絡をして、基 幹病院で病院長名で診断書をつくる。こういったシステムを入れましょうと。それから、 開業医において、例えば虐待ではないかという場合に、病院に入院する場合、協力基幹 病院で受け入れるといったような形で、こういうシステムをつくっております。  平成15年4月にこの基幹病院をつくったのですが、同じ年の10月に実は医師を対象 にしたアンケートの調査をやっております。アンケートの調査というのは何かといいま すと、実際に医療現場で医師が児童虐待の症例を経験したかどうか、あるいは、そのと きにどういう対応をしたか、また、児童虐待についての医師の考え方といったようなも のを、一応アンケートをしています。その中で6,300人の医師に郵送をして、2,300人 の人が回答していますが、やはり医師の中でもいろいろ悩みがありまして、現実に例え ば診断をして、これは虐待ではないかという事例について、通告した事例というのが約 47%、半分です。それから、そういう虐待症例を診察した医師の68%、約7割が、親 の、保護者ですけれども、例えば逆恨みとか、そういった配慮を非常に気にして対応が 難しいというふうに答えています。あと、半数の50%の医師が、情報が非常に少ないの で、虐待の判断がしにくいというような、こういった悩みを挙げております。  こういった形で協力基幹病院をつくって、児相との連携という3ページのようなネッ トワークをつくったのですが、今言ったような問題も含めて、実はもうすぐでき上がる と思いますけれども、医療機関用の虐待の対応マニュアルを今つくっております。この マニュアルをもとに、さらにネットワークがより機能するようにということで今考えて おられると聞いています。  それから、歯科医師会の方でも、いわゆるデンタル・ネグレクトという点で一つのマ ニュアルを、これはもう既にできていますが、歯科医師会の方でもこういった取り組み をされていると聞いております。  5ページですけれども、今回4月から児童福祉法の改正法が施行されていく関係があ って、市町村と県、いわゆる児童相談所の役割分担というものをどうするかというもの を整理した資料がついています。市町ではどういった点をやるのか、逆に児童相談所で は何をやるのかを整理した資料になっています。これも実は広報されているということ になっています。  それから、次の6ページですけれども、具体的にどこに相談なり通告をしたらいいの かということで、その一覧を、これは広島市も含めてですけれども、電話番号、所管課、 そういったものが全部わかるようになっています。こういった形で広報されています。 これは付属の資料ですけれども、こういうような形で今広島県では医療機関を中心に連 携をしていくというような取り組み、その充実に向けた取り組みと言った方がいいので しょうが、そういった形で今進められているということです。  それから、2つ目ですけれども、8ページです。大阪府で取り組んでいる取り組みで すが、大阪府では、弁護士さん、医師からなる子どもの権利擁護のためのチームという ものをつくっています。いわゆる「危機介入援助チーム」という形でつくられています が、今、弁護士さんが47名、医師が16名という形でチームをつくられています。この チームについて、今、大阪では7ヵ所児童相談所がありますけれども、それぞれここの 弁護士、医師の人たちは、各児童相談所の担当区域を所管区域という形で担当して連携 をとっているということです。例えば、弁護士さんをどう活用していくかといった場合 には、立ち入り調査なり一時保護、28条申し立てといったような法的な対応について、 随時相談をやっています。それから、児相に対して助言をする。こういった形でこのチ ームを活用されているというような取り組みをされています。これが大阪府さんの一つ の取り組みです。  それから、滋賀県になりますが、三つ目です。これは教育委員会との連携ということ で、滋賀県では16年度に県内のすべての小中学校に児童虐待対応教員というものを配 置したということになっています。児童相談所に通告にする場合は、基本的に子どもの 状況について文書で送付することを定めたということをしております。あわせて学校の 先生に対して、学校の先生以外もそうですけれども、やはり関係者の研修が必要という ことで、既に何回かやっておられます。12ページにいきますと、一番上ですけれども、 座長の山縣先生も参加された形で、こういう研修もあわせてやっておられるという取り 組みをされています。  12ページの3)の所で、「その他教育と福祉との連携」という形で、「(1)スパック会議」 と書いてあります。これは教育委員会の事業ということだそうですが、学校の中で特に 問題行動のあるお子さんについて、それぞれの学校の校長先生が児童相談所や福祉事務 所などの関係者を招集して行う会議を「スパック会議」と言っておるそうです。  この資料が19ページにありますけれども、パンフレットをつけさせてもらっていま す。一番下に「学校スパック会議について」と書いてあります。この会議はどういうこ とかというと、学校問題行動対策会議の略ですと書いてあります。どのようなときにだ れが開催するのかといった場合に、学校で問題行動が起こったときに、学校だけで対応 なりを考えるのではなくて、必要な、例えば先ほど申し上げたように、児童相談所をは じめとしたいろいろな機関を含めて、みんなが集まって会議をやって対応を決めましょ うと。主催は校長先生ということです。これはパンフレットの中にもこういうふうに書 かれております。こういう取り組みを滋賀県ではされています。  一方で福祉部局関係の事業では何かというと、いわゆる市町村の虐待防止ネットワー ク事業があります。こういった形で、相互に教育委員会の事業も一つ起こして、その中 には当然児童相談所が関与して取り組みをしましょう、というのが滋賀県の取り組みで す。  ただ、問題意識といいますか、一つの課題として、先ほど広島県の医師の悩みの例を 申し上げましたけれども、学校側も保護者との信頼関係を非常に気にするといいますか、 配慮をするために、なかなか通告をすることを躊躇してしまう。一方で、通告はするけ れども、あとは学校の役目は終わったのだというような意識になってしまう。そういう 課題があるでしょうということを考えておるようです。  もう一つは、学校にはスクールカウンセラーという形で配置されるものがありますけ れども、一方でソーシャルワーカーを置いてほしいという意見もあると聞いております。 これが滋賀県の取り組みです。  それから、四つ目で、20ページになりますが、愛知県の取り組みで、「子どもの虐待 防止ネットワークあいち」という、CAPNAと呼んでいますけれども、民間のNPO法人 との連携ということで取り組まれています。  具体的に何をやっているかと申しますと、いわゆる児童虐待防止にかかわるセミナー の開催を、このCAPNAというNPO法人に愛知県が委託をしてやっているということ です。実施方法としては、それぞれ医療保健関係者、教育・保育関係者、関係者の担当 者別に分けて15年度から実施をされていると聞いています。  この委託されている事業とは別に、弁護士のグループ、CAPNAの弁護団というのが ありまして、その弁護団に法律上の問題については委託をしている。委託に当たっては、 いろいろ協定書等を結んでやっていると聞いています。  この取り組みの中でも、一つの問題意識といいますか、課題としては、21ページの6 番のところに書いてありますけれども、弁護士さんやお医者さんの場合は、職業上守秘 義務というものが課せられているわけですが、一般の会員の方、弁護士や医者ではない 通常の市民が会員になってこういった取り組みを連携してやる場合に、やはり守秘義務 を担保する法的な規定が非常に必要なのだと、それが不可欠であるのだけれども、そこ がなかなか法律上はっきり担保されていないのではないか。一応、協定書で倫理綱領と いう形で縛りをつけているけれども、そういった問題があるのではないかと。そういう 法的整備をむしろやってほしいというような要望なり課題というものがありますという ことでございます。  それから、最後に、似ていますけれども、東京都の取り組みです。東京都では社会福 祉法人の子どもの虐待防止センターというのがございますが、そことの連携ということ で取り組まれている事業です。  事業としては、家族再統合のために援助をしてもらう。具体的には、この虐待防止セ ンターから、医師なり、看護師さんとか専門職の人を派遣してもらって、家族再統合に 向けたグループ心理療法というものに参加してやってもらっている。これが平成14年 の7月から始められて、現在まで40ケースを担当したと聞いています。それから、今 後の予定としては、16年度ではあと20ケースぐらいをやりたいというふうには聞いて おりますけれども、こういった取り組みをされています。  この取り組みの一つの課題としては、最終的に家庭に復帰するといった場合に、どう いったプランで、子どもと親御さんにいつ提示していくか。あるいは、そのときに周り の地域の支援というものをどのように組んでいったらいいかというのが一つ課題であろ うと。それから、相談者との信頼関係というものを考えたときに、この社会福祉法人の 虐待防止センターに児童相談所がどこまで情報を提供していったらいいかというのが、 今一つ問題意識といいますか、課題として考えておられるというふうに聞いております。  今回、先進事例というふうに五つの事例を申し上げ、資料でおつけしましたが、実は このほかにも例えば警察との連携ですとか、保健所・保健センターの連携ですとか、ほ かの取り組みもやっておりますので、これだけではありませんが、今日お示ししたのは 一応この五つの事例ということです。先進事例と書いてありますけれども、それぞれが 取り組みの中でいろいろ問題意識なり課題を持ちながら今取り組んでいるというのが実 情だと思いますので、それを踏まえてご議論を願えればと思います。 ○山縣座長  県レベルでの連携の話というところに絞ってこれから議論を進めていきたいと思うの ですが、まず、今の資料説明について、何か皆さん方ご質問等ございますでしょうか。 あるいは、もっとこんな事例があるよとか、あえて先進とつけるなら、もっといいもの もあるというのがありましたら。 ○井上委員  質問なのですが、資料5ページの広島の取り組みで、市町村と県の役割分担が広報さ れているとおっしゃいました。この広報先はどこなんですか。市民、県民、これだけ詳 しいものが一般市民に広報されているのか、それとも医療関係者、この連携の話の中で の広報なのか、教えてください。 ○川鍋総務課長補佐  幾つか媒体があると聞いています。例えば医師会の広報誌、それから、役割分担のと ころ、相談先のリストといいますか表がありますけれども、当然、こういったものは住 民に対して広報されていると聞いています。 ○山縣座長  ほかに何か質問以外でも、ご意見でもけっこうです。  広島のは、当然、今度の4月を見込んで、特に5ページに当たる部分はつくられたと 理解できますよね。 ○川鍋総務課長補佐  はい、その通りです。 ○山縣座長  そうなったとき、他の都道府県の方々、県と市の関係で、その辺はものすごく重要に なってくるのではないかと思うのですが、一定の指針とか話し合いはどんどん進んでい るのでしょうか。5ページのような市町村と県の関係は、こうこうこういうふうになり ますよと。広島の場合はさらに医療関係との関係も云々とあります。とりあえずは市町 村の関係が非常に重要だと思います。 ○関根委員  市町村の関係で申し上げますと、私どもでは、まだ役割分担という形で具体的にこう いう形ではできていません。ただ、この4月を目指して、昨年度、市町村の職員も入っ たチームで、市町村の対応の手引きのような指針を冊子にしたものをつくって、年度末 にかけて各児童相談所で市町村の職員と研修会を行いました。  それと、今でも続いているのは、受理会議、措置会議等の会議をオープンにしまして、 市町村の職員に参加をしてもらっています。  あとは、今年は年間計画を立てて、市町村の職員と一緒に研修をやっていこう、県全 体でそれをやっていこうと、そんなことで連携については取り組んでおります。 ○山縣座長  オープンにしておられるというのは、ケースの担当機関等だけでなくて、一般にケー ス以外の人も参加していいと。 ○関根委員  いえ、違います。市町村の担当職員です。 ○山縣座長  その個別ケースに関する職員ですか。 ○関根委員  そうです。 ○山縣座長  なるほど。  江成さん、どうですか。県の方からの何か働きかけはありますか、こういう関係につ いて。 ○江成委員  神奈川県では、昨年度中にガイドラインを作成しています。作成にあたっては、幾つ かの市町村の代表も加わっています。ガイドラインは、市町村に対して、相談に対する 考え方を示した内容になっていて、県が各市町村に配布しました。 ○山縣座長  それは、またいつか資料を提出いただけたらありがたいです。 ○江成委員  はい。 ○山縣座長  行政以外の機関でも結構です。医療、弁護士、教育、その辺の話が事例としては今出 ておりましたけれども。  小野さん、何かありますか。 ○小野委員  福岡県でも昨年から県の児童相談所が主催して、今の受理会議とかケース会議の実際 の現場を見学させていただく研修だとか、今年度は児童相談所の新任職員の研修が年間 プログラムであるようですけれども、そこに希望参加を求めたりということで、かなり オープンなことにはなっているようです。  その中のプログラムを見ていくと、そのことがどれほど市町村の相談業務に関連して くるのかというのは、そういうふうな体系づけというか、関連づけで研修をやっている というよりは、まだ今のところ、県の児童相談所の職員向けの研修を見学するというこ とだと思っております。今後はそのことを通して、市町村の職員の研修のあり方とか、 そういうふうなところに発展していくのかなとは思っていますけれども、私どもも、今 実際私どもがやっている相談業務との関係でどうなのかなということで、一緒に参加さ せていただきながら検討していこうと思っています。 ○山縣座長  個別機関になりますけど、保健センターとか児童家庭支援センター、この辺もきっと 県レベルに近いところで設置されている機関で、重要な役割を持っていると思います。  高橋さん、何かありますか。今どうなっているかということだけでなくて、どういう ふうなあり方、問題を感じているかとか。 ○高橋委員  横須賀市は、中核市で児童相談所を持つという形で準備を進めておりますので、神奈 川県の、今江成さんがおっしゃったガイドラインともちょっと外れて動いているという のが一つあります。  それから、横須賀市として、今まで虐待の専属のチームを持ってきておりましたので、 「YCAP」という、子ども虐待予防相談センターという専属のチームを持って、今まで 動いてきました。そこと児童相談所との関係の整理というのを、ちょうど今この広島県 の市と県との役割の整理の表のような形で整理したものを、関係機関に配ったりしてや ってきてはおります。  児童福祉法が変わって、市町村が一義的な相談を受けるということでこれから動いて いきますが、いろいろな相談窓口がたくさんできることは、市民にとってはとてもいい だろうと思ってはいます。直接児相というハードルの高さが少し下がるという意味では、 とてもいいかなと思うのですが、そのあと機関同士でどう整理していくかという問題が 残っています。私たちも今YCAPというのを立ち上げて3年経過し、虐待防止事業等を 開始して5年超たつのですが、その辺の、どこでどう整理をしていくかという課題が残 ってきて、これから市町村がいろいろな対応をしていくと、その辺をどう整理していく かという問題はあるかなと思いながら、この広島の事例を見せていただいています。例 えばこれでいくと、受理会議を市町村が持つし、県も持つ、児相も持つというようなと ころも、どう整理していくかというのが今私たちも課題で、整理をしていくところです。  それから、同じように、軽いという言い方は変ですが、一般的な相談は市町村、高度 なものは児相という形で仕切りをしたとしても、ケースが非常に動きますので、その辺 をどちらがイニシアチブを取るかという問題は、ずっと残るのかなと思っています。 ○山縣座長  支援センターの方はどうですか。 ○濱田委員  大分県の場合には、県の長期総合計画というのが今年度ずっと進められていまして、 委員として出ておりますが、まだ今のところ内容としては議論の最中ということです。 市の場合には、市と支援センターとの関係で、支援センターがかなり社会的擁護のとこ ろで頼りにされているというような現状があって、市の相談員の研修をも市からの依頼 で私どもの方で受け入れています。今まだ試行錯誤のような中で、模索しながら進めて いる状況です。 ○山縣座長  一般にどうなんですか。支援センターは今50幾つあって、今、濱田委員がおっしゃ ったように、市町村との関係の方がどんどん強くなっていっているのか、それとも、設 置レベルでいうと、県、指定都市レベルでつくっているわけですから、もともとは県レ ベルでの連携というか、そちらの方がやりやすい構造にはなっているはずですね。県レ ベルよりも、むしろ市町村とのつながりの方が他のセンターでも強くなりつつあります か。それはよくわかりませんか。 ○濱田委員  これはわかりませんが、家児相と一緒で、多分、地域によって現状はずいぶん違うの だろうと思います。私どもの方は、設置のときには、そういう相談体制の薄いところを 応援をというようなことでスタートしましたが、現実的には別府市の場合、社会的養護 のニーズがとても高い地域ですので、市との関係がとても大きくなっております。 ○山縣座長  確かに設置場所にもやるのでしょうね。 ○濱田委員  そう思います。 ○山縣座長   自由に発言をしていただければいいのですが、なければどんどん仕切ってしまいま す。  小林委員の方から…… ○菅野委員  すみません、人の話を取ってしまったみたいですけども、滋賀県の資料の補足だけし ておきます。ここに挙げられている子どもの虐待防止の早期発見のマニュアルは、14年 の8月につくったものです。このときに医療機関向け、それから民生委員向け、学校向 け、幼稚園・保育園向けという、これぐらいのページ数、もっと本体は分厚いのがある のですけども、それを抜粋したものを提供した資料がついていますので、中身的にはこ こよりももう少し進んでいたりというのもあります。  県の教育委員会の方もそのマニュアルをつくっていくメンバーの中に入っておられま して、ぜひとも虐待のケースについても学校スパック会議で扱わせてくれというふうに して、マニュアルの中に載っています。学齢の子どもたちの虐待のケースのカンファレ ンスをするのを、このスパック会議で扱わせてくれないかと。それは学校の先生たちの 意識を高めたいという意図があったようです。でも、実質的に要保護児童の関係で動い てきていますので、途中、福祉から学校に主催がシフトするというようなことは、現実 問題はもうなくなってきているのですけれども、この14年当時は、学校の先生たちの 意識づけをしたいということで、学齢の子どもたちの虐待に関してのカンファレンスは、 このスパック会議でやってほしいというような話で一時進んでいました。現在も学校主 催でそういう虐待ケースのネットワーク会議みたいなものがあるところもあります。そ れは地域によっていろいろですけれども、そういうふうな動きになっています。  滋賀県で市町村との関係は、明確なこういうふうな形で進んでいるというか、今、例 えば相談の窓口をどこにするかとか、一覧表にするとか、そういう情報の整理とかいろ いろなことがなされていますし、4月の頭ぐらいから、市町村の児童相談の担当窓口の 課長さんと担当者という、管理職の方と担当の人の研修会を県の方が企画をして、全体 研修とか、例えばアセスメントの方法についての演習とか、面接技術の演習とかという 実務的なところのフォローを少し始めています。半年後ぐらいにフォローアップ研修で、 もう少しカンファレンスみたいなことをしていこうかと。だから、実務面のところ、こ れは僕が知っている範囲ということになるのですけれども、市町村の人たちと一緒に、 これは児童相談所の職員も出れますし、県の福祉事務所の職員もその研修には出ていま すので、共通の研修を受けるという体験は通りあえず今年度は初めから取り組んでいま す。 ○山縣座長  スパック会議というのは、初期ほどの機能はしていないという受けとめ方をすると行 き過ぎですか。 ○菅野委員  行き過ぎです。虐待ケースに関してという意味です。スパック会議というのは学校問 題ですから、学校の中で起こっている問題を学校の中だけで考えるのではなくて……。 だから、実際に非行の子どものスパック会議があったり、この前も若干発達障害の子ど ものスパック会議ということで、警察とか少年センター、いろいろな関係機関が集まっ て、しかもその子どもがちょうど小学校から中学校に進んでいく時期でしたから、そこ で小学校と中学校の先生が話し合ったりとか……。一つのケースをとらえて、学校の中 だけではなくて、いろいろな人間が考えるということで、スパック会議自体は十分にい ろいろな意味で機能しています。 ○山縣座長  かなりの回数を開かれていると理解していいですか。 ○菅野委員  ケースによってですね。だから、定期的にあるというよりも、何か月に1回というの もありますし、かなり集中的にやる場合もありますし、もちろん、児童相談所が入って いないスパック会議もありますし、そのケースに応じて学校が主催されるという形です。 ○山縣座長  なかなかユニークな取り組みだと思います。  小林委員、さっき振りましたのは、もう1件追加で資料をいただいた分がネットワー ク的な、関係機関の連携のような要素があったので、それも含めてと思って振ろうとし たのですが。 ○小林委員  医療機関側から見た児童相談所との連携を進めるためにというふうな話になるかと思 いますが、追加資料で配らせていただきましたのは、できたてのほやほやの厚生労働科 学研究で、医療機関調査をしましたのと、児童相談所に医療機関の連携について調査を したものです。それはまたあとで読んでいただけるといいかと思いますが、こういう調 査をしていきましたのは、医療機関からの通告があまり増えていっていないということ で、医療機関がもっと虐待にどう取り組んだらいいのかということについて考えていく 必要があるだろうというところ。それは言いかえますと、医療と児相がどう組んだらい いのかということを考えるために行いました。  今、医療の現状からいきますと、通告義務があることは、多分ほとんどの医者が知っ ていると思うのです。ですけれども、虐待の話をすると、「また虐待の話か」というとこ ろで拒否反応が起きるというのが多くの現場だと聞いていますし、私もそうだなと周り を見ていて思います。そのままでは医療の取り組みは進んでいかないと思いますので、 違う動きをつくっていくためのものが要るのだろうと思っています。  広島のこれを見せていただくと、すごく考えられていると私も思いますけれども、多 分医療の役割は通告であるということをあまりに強調されているので、そうすると、自 分が診る患者には虐待はいないというふうなところになってしまって、それ以上が動か なくなる。あるいは、虐待だというときに、今度、通告とか、患者さんとの関係という とこら辺を危惧してしまうと動けなくなる。その二つのことで多分医療が動けなくなっ ているのだろうと思っています。  虐待は初期対応だけではなくて、予防治療の時代に動いていますので、予防治療に医 療がどういうふうな役割をとっていくのかということを位置づけていくときに、多分医 療はもっと早期発見ができ、関係機関との連携が進むのではないかと大きく基本的には 私は考えています。  もう少し細かく、医療が何を困惑しているのかという形で、この調査の中等にも見え ることは、やはり通告義務、守秘義務ということだけではなくて、患者さんがここを選 んで連れてきて、そしてお金を払って医療を受けられるわけですね。その医療契約に反 するというとこら辺に、医者の中である抵抗感というのがなかなか拭えないということ を思います。  もう一つは、医療機関は虐待の確定診断ができないという声が非常に多いんです。児 童相談所側は、医者は虐待と言ってくれないというふうに言われるのですけれども、医 療現場では、症状は見れるけれども、それは虐待かもしれないということはあっても、 社会的背景とか親子関係というとこら辺はなかなか見にくいので、それを全部合わせな いと虐待かどうかを判断できないというところで、言い切れないというようなところが あって、この辺も多分医療と児相が組んでいくときに、きちっと進めていかなければい けない。相互に動けなくなっているところの誤解やハードルを越えなければいけないの ではないかなと思っています。  それと、もう一つは、医療は保健との連携は今まで割合あるのですけど、福祉との連 携があまりないというところが現実で、そうすると、医療も福祉を知らないし、小児科 医でさえ「児童相談所は何するところ?」というところから虐待のことで議論が始まっ ているんですね。これは言いかえると、福祉も医療とあまり密接につながってこなかっ たということの中で、医療と福祉がお互いを理解して、しかもどう連携をつくっていく のかというところから要るのだろうと思っています。  もう一つ見逃せないだろうと思っているのが、この調査の中でも、親からの暴力、脅 迫、けっこう医療現場で体験しています。そういうのを体験しているのが、児童相談所 だけではなくて、医療現場も個別に点で経験してきている。そのことをどういうふうに、 そういうことが起きないように、起きたときにどうするのかということがないと、医療 のところがいろいろ次を動いていくのを渋るのではないかなということを危惧します。 これについては、イギリス等は大きな議論に今なっているんです。ということで、その ことも今の困惑のことで考えていかなければいけないことではないかなと思っています。  そういうことの全体からして、じゃあ何をしていったらいいのかということについて は、広島を見て本当によくつくられていると思いますけれども、まず、医療の中で虐待 のことを対応するための医療の地域システムが要る。というのは、調査の中でも、医療 機関はそれぞれ全部機能が違います。対象としているものが違います。そうすると、そ れぞれ機能の違う医療機関が、虐待についてそれぞれの機関がどういう役割を負える、 それがどうつながっていくというふうなシステム化がないと、それぞれの機関では、自 分のところだけでは扱えないということの中で動き切れていない部分もありますので、 地域の中での医療システムということ、医療の中のことですが、それが要るだろうと思 っています。  そのときに、最近の動きで、このデータの中からも浮かび上がりますけれども、地域 の中の広島の協力基幹病院に挙げられているような公立・公的病院がやはりとても大事 な役割を果たしてくる。10年前に地域ネットワークの中の医療というのは、各都道府県 に一つか二つの奇特な医者がいるところという感じだったと思いますが、今はむしろ公 的・公立病院がとても大事になってくる。この役割を調査で見ますと、小児科があって、 外科系があって、親の医療があって、精神科があって、救急医療をしていて、というこ とは虐待の子どもの初期の対応についても、絶対有利な役割を持っているんです。そこ の動きが今活発になりつつある。だから、地域の虐待ネットワークがつながる基幹病院 として、多分条件がそこがけっこう持っているのだろうと。だけどそこだけでやれるわ けではない。「かかりつけ医」と広島が書いてあるのが私はとても気に入っているのです が、虐待の子ども、あるいはハイリスクの子どもを、かかりつけ医的にケアをされてい る中で予防していく。そういうところのいわゆる開業医の先生たちの大事さ。しかも、 開業医の先生は通告者だとわかると関係が切れますので、そうすると、援助を続けられ なくなるので、この広島がとてもよくできているなと思うのは、かかりつけの医者が通 告しなくてもいいようになっている。基幹病院のところがその責任を負っていくという 流れをつくることで、多分かかりつけ医の役割を守っているのだろうと思います。  それから、私たちの調査の中ではもう一つ、でもそういう公立・公的病院が持ってい ない機能が、子どもの心のケアと、それから難しい虐待かなと思うのを、医学的に虐待 かどうかを診断していく、そして治療をするということが負い切れないという形で出て いるんです。それは多分、都道府県に一個ぐらい、小児病院や小児病院的な三次医療を しているところが虐待のことを扱う。そういう難しい虐待と心の医療ということを扱っ ていくという形の、そういう3段階の構造をつくった地域の医療システムということを つくっていくことが現実的なのではないかなと。というのは、医療システムは虐待のこ とだけでつくれるわけではなくて、従来のいろいろな医療についての医療システムの中 に虐待をどう乗せていくのかということで、多分スムーズに動いていくだろうというこ とから、合わせると今のような絵が描けるのかなという気がしていて、それは今度は地 域で医療システムをつくるという動きをつくっていかなければいけない。  そして、二つ目は、その基幹病院というふうなところや専門病院とかの場合は、活発 に動いているところはみんな院内システムをつくっているんです。個別の医者が個別に 親と対応したり他機関と連携しているのではなくて、医療機関の中で窓口と調整役と出 口のところをしていっている。そこでケースワーカーが非常によく役割をとっているこ とが浮かび上がってくるのですが、そういう医療機関の中で、開業医は別ですけれども、 一般病院にしても、小児病院にしても、すごい人数の中のチーム医療、そして、そこの 中にコ・メディカルも含めたかかわりが要るのが虐待です。そして、他機関連携という 今までにない医療・保健・福祉との連携がなってくるとなると、やはり院内システムを つくることがとても不可欠のことになっているというふうに見えます。  もう一つ医療の院内のことでとても課題になってくるのは、不採算性が大きな悩みで す。というのは、医療機関というのは患者さんからの収入だけでなっていまして、今、 医療機関がどこでも赤字になっていて、小児医療はもっと赤字で、むしろつぶされてい くというような時代ですので、この不採算性というのが、虐待のことを取り組めば取り 組むほど悩みになってくる。医療の中で取り組むための虐待は、本当に診療報酬に合わ ないことばかりになるんです。時間を取って、マンパワーを取るけれども、収入になら ないということですので、この辺を医療の中で取り組める条件整備というのが要るのだ ろうと思います。  広島は、市が1,000万、県が1,000万、医師会が1,000万出してしているみたいです が、こういうふうに公的な補助をしていくのか、あるいは診療保険制度の中で育児支援 的な部分にもっと保険をつけていくのかというとこら辺が、今後の検討していただきた いところだなと思っています。  そして、もう一つ医療が取り組んでいくためには、やはり今までの保健とのつながり も、もう一回虐待ということの中で、何をどういうふうに連絡し合ってするのかとか、 あるいは、今までうまくつなげていなかった児童相談所と医療がきっちりと取り組むた めの、それこそ地域の関係機関の連携システムみたいなものを、医療がどう動いたらい いのか、医療がまたスムーズに動けるという道をやはりつくっていく必要があるだろう なと思っています。  欧米の動きを見ていますと、医療と福祉の間に立つものでけっこう保健が動いている。 そして、保健が間で動くことによって、医療と福祉がつながる間であるだけではなくて、 母子保健と精神保健というような、親のケアと子どものケアとがつながっていくとか、 そういういろいろな親と子をつなげていくことも役割があるみたいで、そういうことも より一歩進めて考えていかなければいけないのだろうなと思っています。  四つ目としては、先ほど広島が医療機関マニュアルを今つくっておられるということ でしたけれども、やはり医療がどう動くのかというマニュアルが今絶対要る。そして、 数年前にできたいろいろな医療機関マニュアルというのは、虐待というのはどんなもの ですということの紹介が多かったのですが、今必要になっているのは、それだけではな くて、関係機関とどういうときにどうつながる、そのときに通告は具体的にどうする、 したあとはどうなるということまで、きっちりと書かれたようなマニュアルがやはり要 るというふうに痛切に思っています。  そしてもう一つ、今日、新幹線の中で児童相談所の運営指針を初めて見せていただい て、ちょっと私はショックを受けました。ショックを受けた理由は何かといいますと、 ああ、そうなんだ、児童相談所が医療に求めているのはこういうことなんだ、というふ うに思いまして、非常に書かれていることが少ない。今、医療は医療側のいろいろな動 きがありますし、医療が提供できるものも、うまく組めばもっともっとあると思うので す。でも、それを今度児相側からどう組み、施設側からどう組み、一時保護がどう組む ということについて、私は医療機関側のマニュアルがすごく要るなとは思ってきたので すが、そのときに医療機関マニュアルをつくるときには、児相と協議しながらでないと 決してつくれないと思っているんです。児相だけではない、児童福祉と、あるいは厚生 省とかもしれませんが。ですけど、今度、児童相談所の運営指針とかの中にも、医療と 連携するときの児相側が戸惑わない具体的なマニュアルの文章をもっと入れていただく といいなと思いました。 ○山縣座長  ありがとうございました。いろいろな医療に関するポイントを適切に整理をしていた だきました。  もう一つ聞いておきたいのが、弁護士さんのところなんです。大阪府の危機介入援助 チームでも、弁護士に関する相談が非常に増えてきている。それからCAPNAの例もあ りました。独自の組織をつくってやっておられる。弁護士と県レベルの虐待等を含む児 童相談との関係、この辺で何か岩佐委員、注文なりご意見なりありますか。 ○岩佐委員  現状は、先ほどの小林委員の児童相談所の中への医師の常勤の状況という最初のご報 告をお聞きして、あまりうちと変わらないかなと思いました。もっとお医者さんの方は ぴったり児童相談所の中にいられるのかなと思っていたのですけれども、そうでないか ら、我々弁護士が今かかわれている程度とちょうど似ているのかなという感じも持ちま した。要するに、全国の児童相談所の中で、データ的には日弁連もきっちり表にしたり しているのですけれども、大規模で一定数のところには、ある程度弁護士の援助もしく は弁護士との連携ができているところもあるとは思いますけれども、恐らくそれが緊密 に連携をとれるというふうに評価できるところは、もちろん半分はいかない、3分の1 もいかないとか、それぐらいのところではないかと思います。他のところで、例えば委 員という形で弁護士を入れていただいたりして、必ずしもケースの細部にわたって一緒 に考えるような状況になっていないけれども、一応委員にはなっているとか、そういう ようなところがある程度あって、それから、それ以外には委員とかを頼むというような ことも含めて、弁護士とまだ突っ込んだ連携ができていないという部分もあるという、 全国的には多分そういうような感じなのかなと思うのですけれども。  先ほどの医療と違って、弁護士は比較的、児童相談所等をどう援助するかというよう な関係がベースになりますので、何らかの形でうまくつかまえてもらえれば、連携でき る素地というのはきっとあって、比較的弁護士の中ではこういう問題について取り組ん でいかないといけないという意識が、もともと基幹部分というか、大都市とか幾つかの 部分では強かったのはもちろんなのですが、それが全国的な広がりを見せていることは 確かですので、あとは両側というか、弁護士会の側、日弁連の側も、十分でない地域に ついてどういうふうな働きかけをするかということと、他方で児童相談所の方からそう いうところを見つけていただいて、接点をとっていくということが要るのかなと思って います。  大阪の感じでいうと、ここに出ていますように、弁護士47人と書いていますけれど も、これはほぼ大阪府の場合ですと実働でありまして、基本的には府の場合は7ヵ所の 子ども家庭センターごとに2名の担当者を置いていまして、47人から2名を引いた人た ちというのがフリーの担当者ということで、何かあったらどこと言わずに手伝ってもら うというような体制をとっているのですけれども、それで何とかやっている。  今、県レベルというようなお話がありましたけれども、これは次回ということになる のかもしれませんけど、市町村レベルのきめ細かいところに、じゃあ大阪で対応できま すかといわれると、それは申しわけないけどできませんと。できませんというのは、も ちろん、一部の市町村には弁護士がかなり入り込んで、細かいケース会議に入っている ようなところも大阪府の中でもあるのですけれども、原則それをしろと言われると難し いので、あくまでも児童相談所とつながりながら、重篤な難しいケースを児童相談所を 通じて相談に乗る体制をどう充実していくかという、そんな感じかなと思っています。 ○山縣座長  もう時間がほぼいっぱいに来ているのですが、もう一方ぐらいもし何かあれば、この 県レベルの話でございましたらお聞きをします。  では、今日はいろいろなご意見をいただきまして、特に最後の部分は今日の本来のテ ーマだったわけですが、お話を聞いておりまして、やはり県レベルの関係、連携もしく はネットワークというものの意味が、市町村の相談体制の強化の中でどう変化していく のか。個別ケースの話でのつながりを強化する方向にはきっとなっていかないのではな いか。全体のシステムをフォローしたり、あるいは広島県の絵でも出ておりますけれど も、次回の課題になりますが、市町村での体制を動かすために県レベルで組織化されて おり、例えば医療関係なら医療関係のものが県レベルで合意をしておるといいますか、 代表者会議的な意味合いの機関連携、それが個別ケースで市町村のところで機能してい く。そういうものが組織として動いていますよということを全体で了解をしていく。そ ういう方向も一つ出てくるのかなという気がしています。  もう1点、今まで議論はほとんどなっていないのですが、私も小林委員も岩佐委員も、 実は大阪市の社会福祉委員会の児童相談所担当のところの委員で、過半数が出席をして おりまして、5人のうち3人がここに来ておりまして、今ものすごい状況になっている のですけれども、平成9年の改正でつくられたあそこのものも、どうこれから本当に意 味のあるものにしていくのか。形式的には全部でき上がっているはずなのですけれども、 実質としてはかなり差がある。そこらあたりの話もいずれ視野に入れておかないといけ ないのかな、なんていうことを感じながら、今日第3回目の会議はこれで終了させてい ただきたいと思います。  事務局が非常に有能ですので、今日の議論がきっと次回はまたきれいに整理されて、 ここが足りないとか、ここはもういいですという形で整理できてくると思いますけれど も、次回以降の予定を少し事務局の方から説明いただいたらと思います。 ○長田総務課長補佐  大変長時間ありがとうございました。  次回の日程の前に1点だけ補足をさせてください。資料4の21ページのところで、 CAPNAと愛知県の連携の話の事業課題の最後のところですが、17年4月1日施行の改 正児童福祉法では云々ということで、「児童相談センターとの協働については、守秘義務 の問題は依然として残されており、今後、法的整備が望まれる」というふうに書いてあ るのですが、本来、事前に愛知県さんと調整の上、資料をお出しさせていただければよ かったのですが、今回の児童福祉法改正においては、この要保護児童対策地域協議会と いうのを法定化しまして、基本的に、市町村の従来の虐待ネットワークというのはこれ に移行するということを想定はしているのですが、法律上はあくまで地方公共団体はこ の要保護児童地域対策協議会は設置することはできるということになっておりますので、 都道府県が都道府県レベルでこのような協議会というものを設けることも可能でありま す。したがいまして、例えば愛知県さんが愛知県の要保護児童対策協議会なるものをつ くっていただいて、その構成にCAPNAなり、その他関係機関を入れていただくという ような形でこの問題はクリアをできますので、ちょっと誤解のある部分ですが、補足を させていただきます。  それから、次回の日程につきましては、5月20日、金曜日、2時半からということで 予定をさせていただきたいと思います。また場所等を含めた詳細につきましては、正式 な案内文書をもってお知らせをさせていただきたいと思います。  それから、大変恐縮なのですが、その次の回の関係で、江成委員と小野委員と高橋委 員に、数分で結構ですので、残っていただけるとありがたいので、よろしくお願いいた します。 ○山縣座長  それでは、これで第3回の研究会を終わらせていただきます。どうもお疲れさまでし た。ありがとうございました。              (照会先)                雇用均等・児童家庭局総務課児童相談係(担当)森川 03−5253−1111(内線7829)