05/04/15 医業経営の非営利性等に関する検討会第7回議事録           第7回 医業経営の非営利性等に関する検討会 日時    平成17年4月15日(金)10時00分から12時00分 場所    厚生労働省専用第22会議室 出席委員  石井孝宜、品川芳宣、武田隆男、田中 滋、豊田 堯、西澤寛俊、       松原由美、真野俊樹、三上裕司、山崎 學                              (五十音順、敬称略) 議事内容 ○田中座長  ただいまから第7回医業経営の非営利性等に関する検討会を開催いたします。委員の 皆様方には、ご多忙中のところご出席いただき、まことにありがとうございます。今回 も皆様方の積極的なご意見を賜ればと存じます。本日は、川原委員よりご欠席との連絡 を受けております。  議事に入る前にご質問をしたいという方が何人かいらっしゃったので、この後ご発言 があろうかと思います。前回の検討会においては「論点整理」、「剰余金の使途の明確 化」、「公益性の確立」、「効率性の向上」及び「いわゆる出資額限度法人と課税関係 」についてご議論いただきました。今回は引き続き資料に沿って「透明性の確保」、 「安定した医業経営の実現」、「新たな医療法人制度の方向性」について順次議論して いただきたいと思います。  事務局から資料の確認をいただいた後で、ご質問を先生方からお願いいたします。 ○山下指導課長補佐  資料の確認です。議事次第、委員名簿、座席表、資料の目次とそれぞれ1枚ございま す。資料1−1、1−2、1−3。また資料2−1、2−2、2−3これは横の1枚 紙。2−4、2−5、これが資料2です。資料3−1と3−2、そして参考資料という ことで、先般平成17年3月25日に閣議決定された規制改革・民間解放推進3か年計画 (改定)というものがお手元にあるかと思います。もしなければ、ご指摘いただければ と思います。 ○田中座長  それでは豊田委員どうぞ。 ○豊田委員  今日の議題は継続していると思うのですが、前回までの、ここにおける検討の中で、 我々が承知している以外のことが、実は4月8日のこのメディファックスに載っており ます。厚生労働省の考え方、厚生労働省内で、出資持分ありの医療法人社団をすべて出 資額限度法人に移行させる案が、厚生労働省内で浮上してきたということです。内容が 極めて具体的に書かれていて、剰余金の配当禁止を求める医療法54条を改正し、すべて の持分ありの医療法人社団が、出資額限度になるように改める。まずこの点について、 私どもは承知しておりませんので、いままでの議論では、そういうことにはなっていな かったはずなので、これは一体どういうことかということが1つです。  それから、その出資額限度法人というものが、従来、昨年度もここで検討されて、一 応の整理がなされた出資額限度法人ではなくて、途中退社する社員に対しては、出資額 限度であると。そして解散時には、法人の自由に任せるということが書いてあります。 つまり簡単に言えば、そこの法人で退社時には持分に応じて配分してよろしいという形 で定款を定めればそれでいいということで、これは一体何の話なのか。なぜ「出資額限 度法人」というのかということからすると、意図は我々も、多分そういうことであろう ということで読み取れるわけですが、これは、出資額限度法人といえるのかどうか。  こういった、非常に大変な大きな問題と、そしてその中で、具体的に語られているこ とが、書かれていることが、非常に矛盾に満ちている。なぜこういう問題が起きている かというと、いわゆる剰余金を途中の退社、あるいは解散時に分けて、持分に応じて配 分したのでは、これは後払いの配当であろうというのが、株式会社参入論者の議論であ ったわけです。それを踏まえると、途中は禁止だけれども、解散時ではいいのだという 考え方は、一体どこから出てくるのかということです。私どもは、50年余の歴史のある この医療法人制度に、ここで一気にそういう法規制をかけた場合に、いろいろな問題が 起こってくる。税制の問題だけでなく、財産権に関する法律上の問題も生じます。  そういったことで、これはもう現実こうなっている状態を、各医療法人の自治に基づ いて、緩やかに正常化の方向へもっていくシステムをつくるべきだということを、私ど もがここで主張してきたわけですが、厚生労働省が非常に断定的な発言をされたのかさ れないのかわかりませんが、私ども信頼できる報道機関の内容ですので、この辺につい てご説明をいただきたいと思います。 ○山崎委員  いま豊田委員が触れられたように、解散時の残余財産について、定款の定める方法で 配分してよいということになると、非営利の根本が崩れてしまいます。非営利というの は、柱が2本あって、1本は配当ができないということと、もう1本は解散時に配当行 為とみなされる配分は行わないというのが、2本立てで座っているわけですが、その1 本の柱を根本から切ってしまう話になりますと、医療法人は、本当に非営利法人なのか という、疑問が生じてしまうと思います。 ○田中座長  解散時どうするかという話と、手続としてこれをいつ決めたのかということですね。 ○武田委員  私も全く同意見で、私も慌てて持ってきたのですが。どうぞよろしく。 ○谷口指導課長  まず記事について、この記事は、全く私どもの真意を伝えていないものだというふう にご理解いただきたいと思います。出資額限度法人の扱いについては、もう何十年でし ょうか、議論を重ねていただいております。その間、こういう議論が出てきたことも事 実であります。それは我々も認めざるを得ません。中でもいろいろな方々から意見を聞 いて、こういう意見もあるなという形で、1つの考え方として理解してきたことは事実 です。ですが、はっきり申しますが、これを我々としても組織決定したということは一 切ございませんので、そこのところはまずご了解いただきたいと思います。 ○山下指導課長補佐  それと、ご指摘のありました解散時についての払戻しが配当に当たるというようなこ と。当然そこについては我々も危惧しており、特に規制改革会議のほうから、配当禁止 というふうに医療法に書いてあるにもかかわらず、退社時持分を出資持分に応じて払い 戻しているではないか。それをまた、解散時であっても、そういうような形で自動的に やっているのはおかしいと。我々としても、解散時にどう分配するのか、そしてそれが 自動的に出資者の持分に応じて残余財産が分配されるということであっては、やはり医 療法人の配当禁止という形に当たるだろうと考えています。  しかし、それではどのような形で解散時について分配するのかについては、私どもも 非常に悩んでおり、例えば、法律で限定して、ここにしか残余財産は帰属しないという ことが、本来すべての医療法人について、非営利を徹底させるために限定すべきなのか どうなのか。そこについては、逆に今回資料3のほうで、少し悩んでいるところをまた ご提示させていただいて、委員の皆様方のご意見を賜ればと思っております。くれぐれ も、これを決めたとか、これで必ず行くのだというようなことではありません。当然こ こで議論をしていただいた上で、我々としては、方向を固めていく手続きをとりたいと 思っていますし、そのつもりで我々もやっていきたいと思っております。 ○田中座長  これはまだ機関決定したものではない。そういうことが考えられているプランの1つ としてあったかもしれないという課長のご説明でしたが、よろしゅうございますか。 ○山崎委員  もう1つ追加質問です。こういう厚生労働省内に設けられる検討会の位置づけはどう いうことなのかというのは、その検討会が進行中に事務局のほうで、コメントをマスコ ミに発表するなら、検討会の議論は必要ないわけです。勝手にやりなさいというような ことです。ですから、やはり検討会をつくって、委員の先生方の意見を聞くということ なら、こういうリークは、今後一切してほしくないと思います。 ○谷口指導課長  私どもの情報管理の面で先生方に大変ご迷惑をかけたと言いますか、申しわけないこ とをしたことにつきましては、陳謝申し上げたいと思います。ただ、先ほど申しました ように、この議論というのは昔から出てきた議論で、いくつかのところからの取材も来 まして、従来の議論について、こういう議論もあったのだよとか紹介をしていくとき に、そういう話はどうしても出てくることも事実で、それを我々も、言葉足らずなとこ ろが確かにあったかもしれませんが、断定的な捉え方で取られたということであれば、 確かにガードが甘かったのかなと思います。こういうふうに断定的に書かれることにつ いては、我々も断固として抗議して、これはおかしいということをはっきりと申し上げ ているところですので、その点はご了解いただきたいと思います。  検討会の位置づけについては、当然これは私どもとして正式なご意見を有識者の先生 方から聴取する場というふうに理解しておりますので、それをないがしろにするつもり は一切ございませんので、その辺はよろしくご支援ご指導を賜りたいと思っておりま す。よろしくお願いいたします。 ○品川委員  私も、そのペーパーを見せていただいたのですが、私自身、いま厚生労働省の方がい ろいろと釈明されているような立場にいて、こういう役所にある資料がいろいろなルー トで外に出たり、あるいは曲解していろいろな報道をするというのは、よくあることな のですね。この検討会自身が、いまあるように、公開で行われているわけですから、い ろいろな憶測記事が書かれることは、それはそれでやむを得ない面もあると思いますの で、そんなに神経質にならないで、こちらはこちらで淡々と検討していけばよろしいの ではないでしょうか。 ○田中座長  議論することによって、世間の理解もだいぶ広がるかと思いますので。それでは議題 (1)「透明性の確保」について説明をお願いいたします。 ○山下指導課長補佐  資料1−1の「医療法人の透明性の確保」について、前回ご説明させていただいたと おり、「公益法人制度改革に関する有識者会議」の報告書です。公益法人を、非営利の 法人と、その中でも公益性の高い法人と分けてやろうということについて書かれた報告 書の中で、非営利法人の透明性について、どのように書かれているのかということを抜 粋しました。一般的な非営利法人制度について、財務状況の一般的な開示等について法 定してはどうかとあります。またその中でも大規模な法人については、会計監査人によ る監査を義務付ける方向で検討してはどうかとあります。さらに、公益性を有する非営 利法人制度については、適正運営確保のあり方として、プライバシー保護に留意しつ つ、インターネットの活用も含め、国民一般に対して情報を開示する。また開示事項は 業務・財務等に係る事項、公益性判断要件に係る事項、役員報酬や管理費の水準等社会 監視に付すべき事項とあります。また、事後チェック、監督として、事業報告書の定期 的提出、勧告・命令、公益性の判断の取消し等を行うことにより、より明確なルールに 基づき適切に行う。さらに、公益性を有する法人の活動実績を踏まえ、一定期間ごとに 公益性の有無を確認する仕組みを導入するというようなことが書かれております。参考 までに、有識者報告書の関係部分を抜粋しております。  3頁です。医療法人について、その透明性についてどのようなことを確保していくの か。公益法人制度改革の提言を踏まえると、透明性の確保については、3つあるのでは ないか。(1)経営情報の信頼性、(2)情報公開の推進による国民の理解の深まり、(3)不 特定多数者からの寄附や労務の提供の享受、こういった3つが重要なポイントではない かと考えられます。  そこで、医業経営について、どう考えるのかということです。(1)医業経営の基本原 則として、例えば社会福祉法にあるのですが、社会福祉法人の場合、経営の原則として 第24条で、「社会福祉法人は、社会福祉事業の主たる担い手としてふさわしい事業を確 実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の強化を図るとともに、その提 供する福祉サービスの質の向上及び事業経営の透明性の確保を図らなければならない」 という、いわゆる理念について書かれています。  そこで、例えば医業経営の理念として、次のような形で医療法に明示することを考え てはどうかとしています。例を申し上げますと、「医療法人は、医療提供の主たる担い 手としてふさわしい事業を確実、効果的かつ適正に行うため、自主的にその経営基盤の 強化を図るとともに、その提供するサービスの質の向上及び経営の透明性の確保を図ら なければならない」ということです。  また2番目に、経営情報の信頼性の考え方について、2つ提示しております。1つ は、医業経営における「事業」の透明性の確保で、その事業の透明性の確保の手段とし て、事業報告、この事業報告については、医療法人が医療サービスを受ける者に対して 提供する医療サービスについて、医療法人の事業内容を提供するものと捉えて、その事 業活動の透明性と、信頼性の確保の基盤として、その在り方はどうあるべきか、また医 療法人の運営状況や規模等を考慮して、例えば検討すべきではないかと考えておりま す。  また、もう1つの経営情報の信頼性の考え方の中に、医業経営における「会計」の透 明性の確保をどう考えるのか。会計については、提供する医療サービスの基盤である経 営情報として、より一層の適正な運営に資するものというふうに、我々も考えておりま す。このときに、それでは会計の透明性、それとその信頼性の確保の基盤として、その 在り方についてどうすべきかということを検討していただきたい。また、そのときに、 医療法人の運営状況や、さまざまな規模がありますので、やはりそういったことを考慮 して検討すべきではないかと考えております。  (3)として、情報公開の推進の考え方についてですが、「情報開示」による透明性の 確保を図るということで、例えば、非営利法人の類型として、公益法人や社会福祉法 人、また学校法人について、経営情報の積極的開示の要請が求められている中、例えば 医業経営の近代化・効率化に資するため、医療法人における経営情報の開示について、 透明性と信頼性の確保の基盤として、情報開示の在り方をどうすべきかということを、 またご議論いただきたい。さらに医療法人の運営状況や規模を考慮して検討すべきでは ないかと考えております。  続いて資料1−2です。医療法人の中でも公益性の高いものというふうに位置づけて 論点として出させていただいている、認定医療法人についての資産要件をどうするかと いうところについて、昨年12月、我々のほうから出させていただいた主な論点の整理で は、認定医療法人については財務状況が広く公開されること、公認会計士等の財務監査 を受けているなど、住民に対し透明性のある経営を行っていることから、行政において 自己資本比率の規制を行う必要性について検討してはどうかということを提示しており ます。  いま現在、各種の非営利法人制度において、資産要件がどうなっているのかというこ とが、別紙2頁以降に参考として書かれております。端折って説明しますが、医療法人 については、医療法上「医療法人は、その業務を行うに必要な資産を有しなければなら ない」としており、それを医療法施行規則、これはいわゆる省令ですが、「病院又は介 護老人保健施設を開設する医療法人は、その資産の総額の20%に相当する額以上の自己 資本を有しなければならない」と規定しています。また、特別医療法人については30% と規定しております。  一方で、「厚生労働大臣の定める基準に適合する場合はこの限りでない」として、そ の基準としては、「すべての病院及び介護老人保健施設について、これらの用に供され る土地又は建物のいずれかを所有している場合については、自己資本についての規制は 適用しない」としております。また、いわゆる一人医師医療法人の資産要件については 医療法では自己資本比率は適用されないので留意されたいこととしております。  3頁の公益法人の資産については、基本的に別紙1の指導監督基準上、社団法人につ いては設立目的の達成に必要な事業活動を遂行するための会費収入及び財産の運用収入 等があること、また、財団法人については、設立目的の達成に必要な事業活動を遂行す るための設立当初の寄附財産の運用収入及び恒常的な賛助金収入等があること、という ことが書かれております。  4頁では、いま現在公益法人についても改革の動きがあって、その有識者会議の報告 書を見ると、社団法人については設立時には、一定の財産を保有することは要しないと いうことが書かれています。また、財団については、設立時及び存続中の最低保有財産 規制として、300万円以上の純資産を保有しなければならないとあります。  また、公益性の高い法人の判断要件としては、内部留保が一事業年度における事業 費、管理費等の合計額の30%程度以下という、いま現在そういう規制があるのですが、 それについてはやはり、適正な法人活動を制約するおそれがあるとの指摘も踏まえ、見 直すことが適当とあります。  財産的基盤の確保については、例えば財務書類の開示を求めるなど、国民一般に対す る情報開示を通じた社会監視の対象とすることが適当とある。公益性を有する財団形態 の法人が保有すべき純資産の額については、多様な形態の公益的活動を促進する観点か ら、一般的な財団形態の法人に求められる最低額、これについては先ほど300万円とあ りましたが、それ以上の純資産を求めることはしないことが望ましいのではないかとい うことが書かれております。  次に6頁、社会福祉法に基づく社会福祉法人ですが、これも、社会福祉法上、「社会 福祉法人は社会福祉事業を行うに必要な資産を備えなければならない」と規定してお り、それについては通知上、「社会福祉施設を経営する法人にあっては、すべての施設 についてその施設の用に供する不動産は基本財産としなければならない」と書かれてお ります。  8頁、学校法人です。私立学校法に学校法人は規定されておりまして、やはり25条 で、「学校法人は、その設置する私立学校に必要な施設及び設備又はこれらに要する資 金並びにその設置する私立学校の経営に必要な財産を有しなければならない」とされて おり、「基本財産は原則として負担保附き、又は借用のものでないこと」ということが 書かれております。さらに10頁では、参考までに株式会社の自己資本比率について、ど のような規制があるのか調べたものです。法律上どのような規制があるのかと調べたと ころ、商法上、資本の額は1,000万円を下ることを得ずというようなことがあって、確 かにこれも最低資本金は少し下げる方向ではないかということで議論されていると思っ ています。  また、個別の、例えばガスとか鉄道とか電気とか、それぞれ業法がありますが、そう いった業法上であっても、いわゆる自己資本比率のような規制は見当たりませんでし た。参考までに、最後の11頁で、ではいま現在の営利法人、いわゆる株式会社をはじめ とした営利法人の自己資本比率については、全く規制はないものの、どのようなことに なっているかというと、自己資本比率について何も規制はないのですが、産業全体でみ ると、20%を超えている。また製造業にあっては、30%を超えて、40%に近づいてい る。また、非製造業であっても、20%を超えるような形で推移していることが、我々の 調べではわかったということです。  続いて資料1−3ですが、これは、社会福祉法人の話と学校法人の話です。これにつ いては、参考資料として位置づけていただいて、医療法人の透明性、認定医療法人の資 産要件についての説明は以上でございます。 ○田中座長  透明性の確保、それから認定医療法人については、規制緩和を行っていいのではない かという、たたき台のようなことは出ています。会計に関することは、後で石井委員か ら是非コメントを頂戴したいと思います。ただいまのご説明について、ご意見ありまし たらお願いいたします。 ○山崎委員  透明性について、国公立病院の透明性というのは、現在どういう形で情報公開、ある いは何の担保をされているか、実態を教えていただきたいと思います。 ○山下指導課長補佐  国立病院、国立大学病院については調べてまたご報告させていただきたいのですが、 とりあえず公立病院、自治体立病院については、すべての病院、個々の病院ごと、イン ターネットで財務状況とか収支とか患者の数とか、そういった経営上有益な情報が公表 されております。総務省のホームページから見ることができます。いまは持ってきてお りませんが、また次回に参考までにこういうことになっているということをご報告した いと思っております。 ○石井委員  独立行政法人国立病院機構に限定して申し上げると、独立行政法人それぞれに伴う法 律の取扱いで、昨年4月1日にできたばかりですが、原則としては財務情報開示が義務 づけられています。かつ、独立行政法人国立病院機構に関しては、事業拠点ごとという のでしょうか、病院単位のようなイメージで、154ほどありますが、拠点ごとでも損益 計算書を開示することになっています。法人全体と拠点ごとということです。独立行政 法人会計基準は、キャッシュ・フロー計算書も損益計算書も、バランスシートも。もう 1つは行政サービスのコストに関する計算書も、義務づけされておりますから、開示の レベルは極めて高いと理解しております。 ○田中座長  平成16年のデータが、今後出てくると思いますね。 ○石井委員  夏頃ではないかと思います。 ○田中座長  最初のデータだけを。 ○石井委員  ということでございます。 ○品川委員  医療法施行規則の30条の34の20%基準については、「有しなければならない」となっ ていて、「厚生労働大臣が定める基準に適合する場合、この限りではない」と。それ で、20%未満になったら、省令の規定ですから、罰則はないのでしょうけれども、何ら かの規制があるのかどうか。あるいは、現実にこのように20%未満の会社があるのかど うか。厚生労働大臣が定める基準で、尻抜けになるケースというのはたくさんあるのか どうか。基準自体、どういうものか。その辺についてご説明いただけませんでしょう か。 ○山下指導課長補佐  この医療法人の資産としては、法律上は、「必要な資産を有しなければならない」と いうことが書かれております。その必要な資産を有しない場合はもちろんですが、それ では必要な資産というのはどうなのかということを明示するために、医療法施行規則 で、このような形で書かれております。もちろん、それではこの20%について、全部の 法人が守られているのかと言われると、そうでない法人も残念ながらあるにはありま す。それについては、我々法人の指導というものを行っています。そして、我々の担当 というのは、医療法人については都道府県をまたがる事業を行うものです。  基本的には都道府県の認可で医療法人は設立されますので、都道府県のほうでも、法 人のいわゆる監査をしております。その際に当然、法人の経営がちゃんとあるべきもの の判断基準として、この省令があるわけですから、それを守ってほしいという指導を毎 年その医療法人の監査の中で指摘して、そこに向けて努力していただいていると理解し ております。 ○品川委員  それでは実際20%に満たない医療法人がどれだけあるかということについては、把握 はしていないのですね。 ○山下指導課長補佐  国所管はわかるのですが、すべての都道府県所管については、これは申しわけありま せんが、自治事務ということもあり、都道府県のほうで責任をもってやっていただくと いうことですので。 ○品川委員  国は何割くらい、パーセンテージでこういう基準を満たさなければいけないのです か。 ○山下指導課長補佐  いま手元にないもので、すぐにはお答えできないのですが、またこれも次回。 ○品川委員  あと、免除する基準というのは、どういう基準を満たせばいいのですか。 ○山下指導課長補佐  免除ですか。 ○品川委員  厚生労働大臣の定める基準に適合する場合は、20%でなくてもいいわけですね。「こ の限りでない」と書いてあるから。 ○山下指導課長補佐  ええ、そうです。「基準に適合しない場合にはその限りでない」、これが資料1−2 の2頁の基準で規定しているところです。真ん中に、「医療法人制度の改正及び都道府 県医療審議会について」ということで、昭和61年の通知がありますが、これがその基準 です。 ○品川委員  わかりました。 ○田中座長  透明性及び資産、2つのことについて、ご意見はいかがでしょうか。 ○三上委員  いつも透明性のところで、財務内容まで一般国民に、住民や開示しなければならない という論点が、あちこちに出てくるわけですが、そういう事例は、いわゆる税とか公的 資金が注入されているもの以外で、そういう事例というのはあるのでしょうか。 ○山下指導課長補佐  いま現在のところ、いわゆる公的資金が注入されていない、税の優遇がないような非 営利法人については、中間法人というものがございます。そこについては、そういった 規定はありません。  一方で、いま現在、その中間法人と公益法人についての民法の規定と、一緒にして改 正しようとしている議論の中で、一般的な非営利法人、いまでいう中間法人も含めて、 その財務状況の改善について検討しようということを議論しています。そこで我々が懸 念するのは、一般的な非営利法人について、そのような議論をしている中で、医療法人 は例外ということにして検討もしないということは、やはりないだろうと。こうしない といけないというつもりはないのですが、やはり議論をした上で、医療法人を、非営 利、営利を目的としない法人として、あるべき姿というのは議論すべきではないかと思 って、我々はそういった関連情報を提示している次第です。 ○三上委員  いま現在はないということですね。 ○山下指導課長補佐  いま現在はありません。 ○三上委員  それから、いわゆる経営の開示は、債権者にのみというのが、株式会社も含め、公益 法人も含め、そういうことですね。 ○品川委員  商法では、株式会社に対しては、計算書類の公告を義務づけていて、それに反すると 100万円の罰金を課することになっているのですね。しかし実際は、上場会社は、かつ ては日刊紙とか官報に公告することになっていたのですが、実際やっているのは、上場 会社程度で、あとの中小法人は、ほとんどこれを無視して、それが平成14年の商法改正 で、日刊紙に公告するのは、いかにも現実性がないということで、ホームページで公告 してもよいことにはなっているのですね。  ただ、100万円の罰金については、確かこれは、みんなで渡れば怖くないで、商法の 規定を無視している。しかし、できるだけそういう透明化を図ろうという趣旨自体につ いては、別に公益法人だろうが株式会社であろうが、それはいろいろな利害関係者の利 害を調整する上においては、必要であることは認められてはいるのです。 ○三上委員  品川委員にお伺いしたいのですが、この4頁に書いてある医療法の51条52条と、施行 規則33条これには報告義務があって、私はこれで十分透明性があるのではないかとは思 うのですが、これで足りない部分というのは、何かあるのでしょうか。 ○品川委員  これは、現実にはどこで公表するのですか。 ○三上委員  自治体に届けるということになっています。 ○品川委員  届け出る。 ○三上委員  債権者は開示を求めることができるということでしょう。閲覧できる。 ○品川委員  それは程度の問題でしょうから、結局ここで考えられている公表というのは、病院を 公のものと認めるために、誰でも見られるようにすべきだという議論が片方にあるので はないかと思うのですが、その是非は、またいろいろ問題のあるところかもしれません ね。ただ、片方で公開することによって、いろいろな義務を免れるというか、あるい は、いろいろなメリットを得ることもできるということですかね。  ただ、あまり財務状態がよくないと、逆効果です。そこはいろいろと、利害が相対立 する場合があるでしょうし、そこはいろいろと検討する必要があると思います。株式会 社は、資本の塊りだということで、第三者が資金提供するだろうから、それらに対して きちんと情報開示せよということなのでしょうか。それをもっと徹底しているのが、証 券取引法であるはずですから。 ○豊田委員  認定医療法人については、まだ議論があまり進んでいないわけですが、当然この検討 会で、認定医療法人について、いろいろこれから議論されると思うのですが、私ども は、認定医療法人というものは、いま厚生労働省がいろいろ検討課題を出しておられま すが、私どもが主張しているいちばん上の、公益性の高い医療法人として期待している のですが、その内容は、やはりそこに書かれているように、第一種の社会福祉事業を新 たに加えるために、そういったものも行えるようにする。それから、公的な仕事も、そ れを担わせるとか、従来にない新しいことが盛り込まれています。  さらに税制面でも、きちんと裏付けをするという形で、ようやく医療法人制度が、制 度と税制が、そういった面で一体になるということで、期待はしています。是非そうい った形の医療法人制度をつくっていただきたいという立場です。  そうしますと、やはりその部分について、社会福祉法人と同じような公益性を期待さ れているとすれば、その財務内容の開示なり公開なりということも、社会福祉法人並の ことでなければ、税制の優遇を期待しますと言っても、これは現実の問題としては通ら ないと思います。ですから私は、認定医療法人に限っていえば、社会福祉法人並の透明 性を担保して、社会福祉法人並の税制を担保していただきたい。そういう方向で検討を 進めていただきたいと思います。 ○田中座長  医療法人一般と認定医療法人とは違うということですね。認定医療法人については議 題3のところで、また丁寧に扱いますので、進めさせていただきます。次は資料2−1 から2−5「安定した医業経営の実現」についてまで討議いたします。それでは事務局 から説明をお願いします。 ○山下指導課長補佐  資料2−1、「証券取引法における債券の発行手続」についてです。認定医療法人に ついては、公募債の発行を認めてはどうかということで、論点で提示しております。債 券の実際の発行手続、具体的にいうと社債の手続はどうなのかという資料でございま す。  次頁「新規発行有価証券の届出義務のフローチャート」というものです。どうしてこ ういう届出義務というようなものがあるのかということで、これは証券取引法上、一応 法律があって、第1条を読ませていただきますと、「この法律は国民経済の適切な運営 及び投資者の保護に資するため、有価証券の発行及び売買、その他の取引を公正ならし め、かつ有価証券の流通を円滑ならしめることを目的とする」ということで、まずは国 民経済の適切な運営もありますが、投資者の保護、その保護をするためにどうすべき か、どのような形で、発行者に対してディスクローズを求めるのか。それで公正な取引 をしていただくためにどうするべきかということで、投資者の保護を第一義においた法 律の目的です。  そのために、この上のフローチャートにあるとおり、その対象者がどの程度なのか。 またそれが素人なのかプロなのかということで、届出する内容が変わります。50名以上 の場合については、その額によって、1億円以上であれば有価証券届出書であったり、 1億円未満であれば有価証券通知書だったりする。また、50名未満であっても、株券で 1億円以上の場合は有価証券通知書だったりする。また、いわゆる機関投資家の場合に は不要だというような形で、整理してあるものです。  続いて資料2−2、これも横表ですが、医療保健業は税法上、収益事業として位置づ けられていますが、この医療保健業を行う非営利法人についての税制一覧表です。中 に、参考ということで、営利目的の株式会社についても、比較をするために、税制につ いて整理しています。横は、それぞれ左から、株式会社、医療法人、特別医療法人、租 税特別措置法上の特定医療法人、公益法人、社会福祉法人、学校法人ということで、株 式会社を除いて、非営利法人について整理して並べております。  縦については、国税と地方税とあって、その国税の税項目に、所得税が2つあり、上 の所得税は、個人が法人に、いわゆる病院や診療所を経営するために拠出した場合に、 個人に対して、どのような所得税がかかるのかということ。次のその下の所得税は、で は、個人がそういった病院や診療所を経営している法人に対して寄附をした場合に、そ の寄附をした人である個人が、どのような形で所得控除できるかどうなのか。  また、次の法人税は、今度は企業がそういった医療保健業を行う法人に対して、寄附 をした場合に、その損金として位置づけられるかどうなのかというもの。さらに、その 下の法人税、これはまさしく医療保健業を行う法人の法人税です。医療保健業の場合は 何パーセントで、収益事業の場合は何パーセントかというものです。  次に地方税として、法人事業税があります。これは社会保険診療に係る法人事業税 と、それ以外の収益事業に係るものとを整理しております。また、不動産取得税、固定 資産税、道府県民税、市町村民税について、それぞれごとに各法人が、税法上どのよう な形になっているかを、我々のほうで調べたものです。色が濃いものは、税法上非課税 となっております。また、ちょっと薄いものについては、何らかの軽減税率、または少 し優遇があるという形で位置づけられているものです。  続いて資料2−3、租税特別措置法に規定される特定医療法人、実際は「特定の医療 法人」と書かれているのですが、それについて、どのような要件があるのかを整理した ものです。定義は、「医療法人のうち、その事業が医療の普及及び向上、社会福祉への 貢献その他公益の増進に著しく寄与し、かつ、公的に運用されていることについて国税 庁長官の承認を受けたもの」となっています。また法人形態としては、「財団たる医療 法人又は社団たる医療法人で持分の定めがないもの」。役員の構成は、理事は6名以 上、監事は2名以上、評議員は理事の数の2倍以上。また同族要件として、出資比率 は、これは持分の定めのないものとしておりますので、出資比率はありません。また社 員比率については、同族については3分の1。役員比率は、役員のうち親族について占 める割合がいずれも3分の1以下であること。また、特別利益供与の禁止がある。さら に、残余財産の帰属先として、国、地方公共団体又は他の医療法人に限っています。そ の他の医療法人も、財団たる医療法人または社団たる医療法人で、持分の定めがないも のに限るとしています。  法令違反については、当たり前の話なので飛ばしますが、役職員の給与制限として、 役職員1人につき、年間の給与総額が3,600万円を超えないこと。次に医療に係る収入 要件として、社会保険診療に係る収入が全収入金額の8割を超えること。これについて は、先般の税制改正要望で、社会保険に係る収入の中でも、健康診査、これは、原則社 会保険の診療には入らないのですが、これについて、税制改正要望で認められて、健康 診査に係る収入については、この80%の要件の中に入れるということになっておりま す。  自費患者に対する請求額については、たとえ自費の自由診療であっても、この請求す る金額は社会保険診療の報酬と同一の基準によること。また、医療に係る経費について は、直接、医療診療収入は、医師の給与、また患者のために直接必要な経費の額に1.5 を掛けた額の範囲内であること。また、差額ベッドについては、30%以下であること。  次に、医療施設の要件は、まず病院に係る要件については、40人以上の患者を入院さ せるための施設を有するか、救急告示病院であるかということ。また診療所に係る要件 は、救急告示診療所であって、15人以上の患者を入院させるための施設であることとい うことが、主な要件です。  続いて資料2−4、いま現在医療法上、収益事業が行える法人として、特別医療法人 があります。その特別医療法人が行える収益業務は、日本標準産業分類ということで、 産業を分類していますが、その中で、農業、林業、魚業、製造業、情報通信業、運輸 業、卸売・小売業、不動産業、飲食店・宿泊業、医療・福祉、教育・学習支援業、複合 サービス事業、そしてサービス業が収益業務として行えるということが現状になってい ます。  一方で、その下のほうで、認めないというものがありますが、鉱業とか建設業、また 電気・ガス・熱供給・水道業、金融・保険業、不動産業、この中でも、建物売買業、土 地売買業、こういったことについては、実際に取扱うことになるとやはり非常に額が大 きい。また、こちらに占める割合が必ず大きくなるだろうというような観点から、特別 医療法人であっても、そこは認めないということになっています。  また、最後の3頁で、現在特別医療法人を担っていただいている方々の中で、そうい った収益業務を行って、それがどのように医療提供に影響があるのか。好影響があるの かということを整理したものについて、4点ございます。これは、例えば糖尿病などの 方に対する配食サービスで、実際にその治療の効果を高めるようなこともある。また、 優れた管理手法について、マニュアルを作成し、それを出版業として広く他の方々に知 らせるというようなことも、全体の医療の質の向上にも当たるようなこともあるという ことです。また、医療関連の物品ということで、リハビリを支援するような義肢や、補 聴器や尿取りパットについての医療関連の物品販売を通して、患者のQOLの向上に役 立っている例があったり、また患者ごとの適切で最適な治療計画を立てることができた りということで、さまざまな患者のための質の高いサービスが、このような形でとられ ているという例も、我々は把握しているところでございます。  資料2−5になります。「認定医療法人の資産管理について(考え方)」とあります が、12月の段階で、私どものほうで、認定医療法人が保有する現金について、経営上必 要なものについて、適正に管理され、かつ処分がみだりに行われないことであれば、預 け入れ先について、現金については国公債や確実な有価証券ということを我々が事前に 規制しておりますが、そういったことについては、緩和してはどうかというふうに提示 しております。  これは、参考資料として、医療法人、社会福祉法人、学校法人、すべて同じようなこ とが書かれていて医療法人であれば「現金は、日本郵政公社、銀行、信託会社に預け入 れ若しくは信託し、又は国公債若しくは確実な有価証券に換え、保管するものとするこ と」と規定しています。  3頁目に、社会福祉法人も同じように「資産のうち現金は、確実な金融機関に預け入 れ、確実な信託会社に信託し、または確実な有価証券に変えて保管することとし、その 旨を定款に明記すること」と書かれています。  4頁になりますが、学校法人は「基本財産及び運用財産中の積立金は、確実な有価証 券を購入し、又は確実な信託銀行に信託し、又は確実な銀行に定期預金とし、若しくは 定額郵便貯金として理事長が保管する」と規定しているというものです。以上です。 ○田中座長  1から4までは事実の報告で、5だけが前回提起された考え方、叩き台のところで す。どうぞご質問ご意見をお願いします。 ○山崎委員  病院の債券の発行というところは、昨年病院債を発行するということで、一連のガイ ドラインができたわけですが、あれと今回提案されているこの債券の話とは、別の話な のですか。 ○山下指導課長補佐  確か前回の、非営利検討会の前の検討会で、医療機関債、病院債について、私募債で 発行を認めてはどうかというご提言をいただいて、それを踏まえて我々のほうで昨年、 医療機関債についての発行ガイドラインを通知して認めたところでございます。これに ついては、広く証券会社とか、広く発行して募集を募るという形ではなくて、医療法人 自らが関係者に購入してもらうというもの。一方で、今回提示させていただいているも のは、そういった、財務状況について、公開とかすることになるので、認定医療法人に ついては、いわゆる証券取引法に基づく公募債という形で債券の発行を認めてはどうか ということで、その程度についてちょっと違いがある。取扱う会社が決まっているとい うことです。 ○山崎委員  数カ月前に山下課長補佐が、ある団体の検討会で、力のある医療法人が経営の安定し ていない医療法人を買収していくという手法もあり得るという趣旨の発言をしていたと いうことが、メディファックスに報道されています。そうすると、この債券発行という ことになると、いまの一部のIT企業と同じように、力のある認定医療法人が、株式市 場で資金を調達してどんどん病院を買ってくるという可能性もあるということと、いま すでに一部では、力のあるグループ化された病院が、日本国内に数グループあるわけで すが、そういう病院の系列化が進んでいってしまうのではないかという感じがするので すが、いかがでしょうか。 ○山下指導課長補佐  いまの山崎委員からのご指摘ですが、私の発言が、ちょっと誤まった形で報道されて いるのは、非常に辛いのですが、我々がこの認定医療法人を検討するに至った原点に立 ち返ってご説明させていただきたいのですが、もともと、これは規制改革会議のほうか ら、医療に株式会社を参入させるのだということを言われた。医療法人と株式会社を比 べると、さまざまなところが違うという中の1つとして、資金調達が、いわゆる医療法 人は間接金融に過ぎない。それであれば、株式会社のほうが断然直接金融でもって資金 調達ができて、そちらのほうがいいだろうという形で提言されて、我々としても非常に 責められていたわけです。株式会社のほうがメリットは高いのだという形で言われた。  一方で、我々は、今回認定医療法人とか医療法人の改革について提言した際には、株 式会社に限って、直接金融ができるというものではないのではないかと考えています。 法人であれば、債券を発行して、直接資金を調達することができる。それは別に、他の 医療機関を買収するためという形をもってやるということではなくて、当然、直接資金 を調達して、地域の医療のために、患者のために質のよいサービスを自らがどう提供す るのか。そのために、株式会社と違う形で、医療法人であってもそういった、いわゆる 経営の自由度を皆様方にもっていただくということを考えてはどうか。これが議論の出 発点で、すべての医療法人を買収するとか、決してそういう世の中をつくりたいという わけではございません。 ○山崎委員  真意はわかるのですが、昨年作られた病院債のガイドラインは、私募債に応募してき た人が、病院の経営について口を挟まないとか、あるいは、特定の恩典を受けないとい う条件付きで発行するというようなガイドラインだったと思うのですが、これが、株式 の債権という話になると、その辺の株主の発言力というのは、当然その病院の経営につ いても影響してくる話だと思いますがいかがでしょうか。 ○山下指導課長補佐  そこは、我々も危惧しております。ですから、株式会社という形ではなく、直接の資 金調達を認定医療法人に認めながら、債権者に対しては経営上の口出しとか、経営の介 入をストップさせる。それが、株式ではなくて債権の発行だということ。直接金融を認 めながら、経営については介入しない。それは分けるという形で考えたのが債権の発行 というものです。そこについては、いまでも金融機関からお金を借りることについて、 金融機関と医療機関の医療法人との関係と何ら変わるものではないと考えております。 ○真野委員  コメントというか追加ですけれども、まさに山下さんが言われたとおりで、株式と債 券の大きな違いは、経営に対しての介入権だと思います。それはテレビでと言われまし たが、いま市場を賑わしているような話には、いまの公募債だとなる可能性は少ないと 思います。  ただ、山下さんと微妙に意見が違うのは、それで調達したお金の使い道というのは、 良い悪いは別にして、調達した資金に対して、必ずしも地域医療のみではなくて、病院 の再編というかM&Aのほうに使われる可能性は絶対にないかというと否定しにくいで す。経営に対しての介入は極めて少ない確率だと思いますが、M&Aに関しては、それ に比べると可能性は高いかもしれません。これは、パーセントの問題です。 ○田中座長  債券購入者の経営への関与は倒産時を除き法律上もできない、むしろ銀行より関与が 少ないという理解で考えております。ほかにないようでしたら、本日のメインでありま す、資料3の今後の医療法人制度改革のたたき台について説明をお願いいたします。 ○山下指導課長補佐  資料3−1と資料3−2がありますが、平成16年12月に出させていただいたものと、 今回とを対比したものが資料3−2です。これでご説明したほうが、いままでの議論を 踏まえて、我々がどう考えて提示させていただいているのかわかりやすくていいと思い ますので、資料3−2に基づいてご説明いたします。  将来の一般的な医療法人の姿として、医療法人の財政基盤としての剰余金の使途につ いては、(1)剰余金の使途に関する理念規定、(2)剰余金に不適切な費用負担の禁止規定 を明確にすることにより、医療法人の非営利性をより鮮明にするとともに、剰余金はす べて医療に再投資することにより地域に還元することとし、特定の個人や団体に帰属さ せるものではないことを明らかにするものとする。なお、剰余金の使途に関する理念を 定めるに当たっては、従来からの効率的な医療法人の経営を硬直的なものにしないよう に配慮する。  また、医療法人の剰余金については、医療法人に帰属するものであることを、医療法 や医療法に基づく関係法令上明確に位置づけて、社員の退社時に出資額に比例して剰余 金が分配されるということがないようにする、ということを今回明確にする。  医療法人の非営利性を維持しつつ、その活動の原資となる資金の円滑な調達は必要な ことですので、それで医療法人の財産的基礎の維持を図るために、公益法人改革にもあ りましたが、定款の定めるところによって拠出金制度を選択できるようにする。  なお、この拠出金の返還に当たっては、拠出額の限度に限られ、利息を付することは できない。また、清算時における弁済の順序については、他の一般債権に劣後すること とする。  2頁で、医療法人が解散する場合の残余財産の帰属先は、一般的な医療法人であって も、前回では他の医療法人、国又は地方公共団体であることを原則としてはどうかとあ りましたが、いままでの議論を踏まえ、また公益法人の改革についてよく読みますと、 一般的な非営利法人である医療法人が解散する場合の残余財産の帰属先については、定 款又は寄附行為の定めによるとありますので、これにならうものとする。  一方で、冒頭にご質問、ご意見があったとおり、出資者であることで、自動的に残余 財産が分配されるようなことがある。つまり、我々はこれを特定の個人と考えておりま すが、そういう個人や団体に帰属させるものではないのだと考えています。このため、 定款で誰に帰属するのかをちゃんと書いていただき、それで残余財産の帰属先を決める こととすることを考えています。  次の○は、医療法人の非営利性をより鮮明にするため、例えば医療法人の役員等が、 株式会社など営利を目的とする法人の役員と同じ役員が兼任しているという場合であっ て、さらにそういう営利法人から当該医療法人に対して資金の支援がなされている。こ れは、直接規制することはできませんけれども、当該医療法人について、そういう関連 する営利法人の名称等を開示するものとする。  また、株式会社など営利を目的とする法人が、医療法人の社員になるというようなこ とがないように、医療法人の社員の資格要件、また非営利法人における社員の割合につ いて、医療法関係法令上明確にする。  効率性の向上については、医療法人がその理念に基づき、自らの医療機関の機能や役 割を明確化し、経営管理機能の強化を図って、合理的かつ効率的な取組ができるよう、 経営管理を担う人材養成の方策を別途検討する。  また、医療法人の理事会の役割を強化し、理事会の権限を明確にする。これは、左側 では経営管理機能の強化や、医療法人の内部組織についてどうだと我々は言いました が、これは行政機関として皆様方の医療法人の経営の組織構成にまで口を出すのは自制 したほうがいいだろうということで、経営管理を担う人材養成を通じて、効率性の向上 を我々として応援することができないかということを提示しているものです。  3頁では、医療法人の経営を実質的に担う役員について、それぞれの役割を明確にす る。また、医療法人の利益が役員の私益な行動によって害されることを防ぐため、これ は公益法人の改革を例にしながら、社団医療法人の社員による役員に対する代表訴訟制 度を検討しよう。また、そういう場合には濫訴防止が重要ですので、代表訴訟の制限に 関する規定についても、当然同様に検討する。  左側を見てほしいのですが、前回は一般的な医療法人の理事について同一の親族につ いて支配することのないようということで、すべての医療法人について同族規制要件を かけるとしましたが、一般的な医療法人についてそういうものは省いてあります。ま た、財団医療法人については、いま現在は理事会しかありませんが、設立者の意思を尊 重しつつ、自律的な経営を確保するため、公益法人の改革を例にしながら評議員会を設 けることとする。  透明性の確保では、医業経営の情報については、一般的な医療法人についての医業経 営の情報については都道府県知事に届け出ることとし、都道府県知事は当該情報のデー タ整備に努め、医療法人に対しての信頼を高めようということとする。  医療法人の財務状況や、財務状況に関する情報については報告できる整理となるよう 求めるものとする。  以降は色をかえておりますが、これは公益性の高い新たな医療法人のことです。いま は特別医療法人という公益性の高い医療法人制度がありますが、そういうことの抜本的 な改革を通じて、仮称ですが「認定医療法人」を創設するものとする。我々は12月か ら、区別するために認定医療法人という言葉を作ってお示ししていますが、その名称に ついては皆様方に今後議論していただき、別途検討するものとします。  非営利性の徹底として、認定医療法人が解散する場合についての残余財産の帰属先に ついては、一般的な医療法人と違って、他の認定医療法人、国又は地方公共団体でなけ ればならないことを医療法上規定する。  認定医療法人の経営を実質的に担う役員の報酬については、認定医療法人の資産や収 入の状況から見て、あまりに多額になった場合には、認定医療法人が行う公益性の高い 事業に支障が生じる可能性があることから、認定医療法人が定める役員に対する報酬等 の支給規定について、例えば評議員会などから求められれば情報開示をする、といった ことを検討する。  5頁で、公益性の確立です。前回、公益性についてご議論いただいたとおり、公益性 の高い医療については、「通常提供される医療と比較して、継続的な医療の提供に困難 を伴うものであるにもかかわらず、住民にとってなくてはならない医療」このような言 葉で定義し、その具体的な内容については医療法ほか関係法令上明確に定めることとす る。あわせて、県が作成する医療計画において、公益性の高い医療とそれを実施する認 定医療法人を記載する。なお、医療計画については、5年ごとの定期的な見直しがあり ますので、定期的に見直すものとする。  公益性の高い法人として認定医療法人を位置づけた場合に、現在ある医療法に定める 公的医療機関、又は医療法第7条の2で、社会保険や共済が主体となった開設者につい ても、都道府県が作成する医療計画において、公益性の高い医療を担っていただきたい ということをちゃんと明示し、これらの医療機関が公益性の高い医療を実施しているか どうか第三者からの目で、評価されるような形にしてはどうかとする。  効率性が向上し、透明性が確保された民間の非営利組織である認定医療法人について は、既存の自治体病院をはじめとした公的医療機関の担う、公益性の高い医療と何ら違 いはないので、認定医療法人について公的医療機関の経営を積極的に担うことができる ように、もし支障があるのであればそういう取扱いを明確にしようというものです。  6頁では、認定医療法人については公益性の高い法人ということですので、認定医療 法人の設立者、役員、社員又は評議員に対して施設の利用、金銭の貸付け、資産の譲 渡、給与の支給、役員等の選任その他財産の運用及び事業の運営に関して特別の利益を 与えないことを、医療法上明確に規定する。  効率性の向上については、認定医療法人については、理事長が経営実態をより把握で きるよう、その会計の取扱いを明らかにするものとする。その際、法人の財務について は法人のグループ全体の状況を表すものとする。  住民が望む公益性が高い医療を担う認定医療法人に関しては、医師又は歯科医師以外 の者であっても、理事長として就任できるよう医療法を見直すものとする。また、認定 医療法人の役員又は社員については、同一の親族等が認定医療法人を実質的に支配する ことのないよう、同一の親族が占める割合を一定程度に制限するものとする。  認定医療法人については、評議員会を設置できるものとする。なお、財団形態の認定 医療法人については、一般的な非営利法人と同様必須だとする。  7頁では、評議員会を構成する評議員については、同一の親族等が評議員会を実質的 に支配することのないよう、理事会と同様に親族要件についての一定程度の制限が必要 ではないか。評議員会は、理事の定数の2倍を超える数の評議員をもって組織する。  透明性の確保では、認定医療法人に関しては社会福祉法人の例にならって、当該認定 医療法人の提供する医療サービスに係る事業計画書や事業報告書について、利害関係人 から請求があった場合には、閲覧に供するものとする。ただし、そういう請求が不当な 理由に基づく場合については、法人側では開示する必要はないということを明記する。  認定医療法人に関しては、同様財務書類についても、利害関係人から請求があった場 合には閲覧に供するものとする。ただし、同じように請求が不当な場合については開示 する必要はない。  認定医療法人については、財務状況が公開されることや、公認会計士等の財務監査を 受けていることなど、透明性の高い経営を行っていることから、自己資本比率の規制は 行わない。  8頁では、安定した医業経営の実現として、認定医療法人の行う事業については、利 益を医療サービスの充実に充てることを目的とした収益事業、又は児童福祉事業、障害 者福祉事業、もしくは介護福祉事業を行えることにすることで、地域によって保健、医 療、福祉これら多様な事業展開が一貫して認定医療法人ができるようにして、住民サー ビスの向上につなげる。福祉事業については、別途の規制がありますので、これについ てはそういう運営に係る会計は特別のものとして別に経理する。  ※がありますが、これは我々の勉強不足で大変申し訳ないのですが、特別養護老人ホ ーム、これは介護福祉事業の中に第一種社会福祉事業として入っていますが、老人福祉 法上、県、市町村、地方独立行政法人、及び社会福祉法人に限定されておりますので、 こういう介護福祉事業には特別養護老人ホームは含まれない。  一方で、有料老人ホーム、軽費老人ホーム、養護老人ホームのような第一種社会福祉 事業はこういう規制がありませんのでできるようにしたい。  認定医療法人については、地域で安定的な医業経営を実現するために、公認会計士の 財務監査を受けなければいけない。認定医療法人については、ただいま議論がありまし たとおり、証券取引法に基づく有価証券として公募債を発行できるものとする。また、 認定医療法人については税制上の優遇措置を検討するものとする。認定医療法人につい ては、住民や地域企業から寄附を受けやすいように税制上措置することにより、住民や 地域企業が認定医療法人を資金面で支えることができるようにする。  地域で医療機能に応じた幅広い連携が円滑に推進できるよう、都道府県医療審議会の 議論を経て、認定医療法人が他の医療法人に対して運営面・資金面で支援できるように する。  認定医療法人が保有する現金については、適切に管理され、また、処分がみだりに行 われないということが条件としてあるのであれば、国公債とか確実な有価証券であるこ とというような、現金の預け入れ先について規制緩和しよう。  最後にその他として、これは医療法人に関して、ここで書ききれないようなことがあ るかもしれませんので、我々としては医療法人の設立認可等の事務について、都道府県 知事部局で行い、また設立認可について審査基準、また審査に要する期日、これが遅い とか、わからないというような批判があるので、あらかじめ明確にしておくものとす る。  また、厚生労働省は、今後とも医療法人の事務で、例えば合理的でないような規制が あるのであれば、早急に見直してそういった規制のあり方を見直そう。また、厚生労働 省は医療法人の経営が、今回で終わりではなくて、今後とも透明性が確保され、効率的 に推進されるよう医療法人の制度について不断の見直しを行うものとする、と書かせて いただきました。  これについては、今回是非ご議論いただきたいと思いますし、また次回も是非ご議論 いただきたいと思っております。そして、我々としては、こういうことについて、厚生 労働省のホームページにご意見募集というものがありますので、活用できないか。こう いうことを考えております、皆さんいかがでしょうかという意見を聞く手段があります ので、こういう所で意見をいただきながら、我々としても検討していきたいと思ってお ります。 ○田中座長  少しずつ、具体的な法人改革の姿が提示されております。議論を整理するために、初 めに1頁から4頁の最初の白いところまでが「一般医療法人の姿」で、これは最初にも 述べました出資額限度法人に係る考え方が主な変化だと思いますが、こちらについてご 意見やご質問がありましたらお願いいたします。事務局の説明に対する質問に限ること なく、委員の皆様方の考え方の提示でも結構です。  ここには、出資額限度法人について、退社時の話と、解散時の話は、最初の議事に入 る前の質問に出たところが2つの○で提示されていますが、何かご意見がありましたら お願いいたします。 ○西澤委員  いま座長がおっしゃったところですが、解散時のことが2頁の上の○に書いてありま すが、定款・寄附行為の定めるところで特定の個人や団体に帰属させるものではないと 書いてありますが、この辺りはもう少し具体的なことがほしいです。  4頁には、認定医療法人のことが書いてありまして、解散のときには医療法上に規定 する。そうでない一般の法人は医療法ではなくて定款・寄附行為だというということ で、この違いについて説明してください。 ○山下指導課長補佐  これは、我々が勝手に考えたわけではありません。いまの公益法人や、中間法人とし て整理されているものがあり、またそれについて有識者会議に報告し、検討しているも のを例として拝見しますと、公益性の高い法人については、税の優遇や補助金という形 で、一般的な国や地方公共団体、これはイコール国民や住民からの支援を受け、公的な 器としてあります。  そこが、公益事業の終了や社員の脱退で人がいなくなったことに伴い解散をする場合 には、当然これまで支援を受けながら行ってきたのであれば、ちゃんとそういう所に還 元するのが原則だと考えておりますし、そのような形で報告書もあるものですから、こ れはきちんと法律上どこに返るのかをちゃんと書こうということです。  一方で一般的な医療法人、これは皆さん方が財産を拠出して運営してやってきたもの について、例えばもう事業が終わったとか、もしくは社員がいなくなった形になった場 合に、法律上強制的に国や誰かに全部収用するということについて、これまで例えば税 制の優遇や補助金がないような所に対して、最後の最後だけ全部召し上げるということ を書くことは、財産権の侵害に当たるのではないかということで、そこは法律上あまり 厳しいことは書けないのではないかということで自制しました。  とはいえ何もなく、ルールもなく分配されるようなことがあってはならない。非営利 法人というのは配当してはならない、営利を目的としない法人ですから、そこは誰がル ールを決めるのかというと、法人をつくってこれまで運営してきた方々の憲法である定 款で定めるということで規律を求めてはどうかと整理をして書いたものです。 ○西澤委員  そうなると、この各法人の定款の書き方は勝手な定款ではいけないわけですね。これ については当然後で出すということですか。 ○山下指導課長補佐  定款は、医療法人であれば、都道府県が認可するものですので、定款変更に当たって は行政庁、一般的には都道府県知事の認可がありますので、そういう認可を通して変な 所に帰属させることについて、これはどうしてですかという形で話を伺いながら、認可 する、しないという形でやっていくのだろうと考えております。 ○西澤委員  それでは、最初に間違った報道をしたと思うのですが、ここだけ読むと定款に出資額 の持分に応じて残余財産を分けるということもありのように一見取られるのですけれど も、そういうことを定款に載せた場合は認可しないということですね。 ○山下指導課長補佐  それは当然です。 ○西澤委員  はい、わかりました。 ○豊田委員  まさに、これが全部出資額限度法人にしてしまう条文です。私どもは前から申し上げ ているとおり、全部の法人にこれをかけるというのは無理です。いまいろいろ言われて いる世の中の動きは50年前とは変わってきている。営利、非営利、公益性の問題がクロ ーズアップされてきている。そういう中で意識が少しずつ変わってきます。そういうこ とで、こういう理念的なことに対して反対はないと思います。  私も理念的には反対はしないのですけれども、しかしながら既に3万9,000を超える 一人医師医療法人を含めて医療法人があり、病院を経営する医療法人も6,000近くある わけです。過去50年間にわたり実際に経済活動を伴って動いてきた医療法人制度をこれ で一気に網を掛けてこういう形にしてしまうということは、先ほども言われましたけれ ども当然のことながらいろいろな問題を生じます。税制の問題も生じますし、法律的に 言えば財産権の問題が生じます。  現在でも、出資額限度法人という形を望んでいる人が多いのですが、なかなかそれに 踏み切れない。ましてや特定・特別に踏み切れないということで、それを目指しながら なかなかというのがいまの持分のある社団の中では現状です。それを一刀両断法律でバ ッサリやるのだというやり方は、民主主義国家のやることではないです。私は従来から 主張しておりましたとおり、認定医療法人というのは大変結構だと。持分のある社団が そこにある、それをどのように世の中の流れに沿った形で整理していくかという形で、 非営利のほうに持っていくかということで、そこで両者の間に出資額限度法人をつく り、その出資額限度法人、あるいは認定医療法人に移行しやすいようなシステムをまず 作るべきである。そして、第一義的には法人の自治によって移行すべきである。法律で 網を掛けて強制するという形は絶対に反対です。  したがって、三階建てで、認定医療法人、出資額限度法人、持分のある社団という形 でとりあえずは整理すべきで、それについて先ほど来出ている財務内容の開示であると か、いろいろな問題はその制度が3つあって議論されるのと、二階建てで議論されるの では全然違ってきます。私は、まず先に三階建てをきちんと整理した上でやるべきだと 思います。  私自身の認識としては、現在の持分のある社団が、すべて株式会社みたいなことをや っているなどという認識はありません。これは私が言わなくても、確かに個別例外的な ものがあり、それがいろいろと議論されることがあっても、大半の医療法人は、法人と してのあるべき姿で運営しているのが実情なわけです。こういう一気の網掛け方式は絶 対に反対いたします。 ○品川委員  いま豊田委員がおっしゃったことについて私も申し上げたいのですが、その前にこの ペーパーは最初の1頁の2番目の○では、退社時に出資額に比例して剰余金が分配され ないようにするというのは、豊田委員がおっしゃった、出資額限度法人に読めます。2 頁の最初の○は、医療法人が解散する場合の残余財産の帰属先については特定の個人や 団体に帰属させるものではないと。そうすると、この出資分も払い戻してはいけないよ うに読めてしまいます。  もちろん、この残余財産の定義と剰余金の定義によって解釈が異なるのかもわかりま せんが、一般的な法人が解散するときには、残っているのを残余財産というわけですか ら、これだと出資分も戻ってこないという問題があります。これらの文章の問題につい ては、後でおって説明していただきます。  私は、途中で退席させていただきますので話だけさせていただきます。私は、医療法 人の税制問題については長い間タッチしてきましたし、この3年間日本医師会で医療法 人側のいろいろな要望や実態を、ある意味では客観的にいろいろなご意見を拝聴してき ました。そして、いまこういう案に直面すると、先ほど豊田委員がおっしゃったよう に、相当な衝撃を与えてしまいます。これで医療行政がこれでもつのかどうか、そこを 非常に危惧するわけです。  少なくとも3万8,000の医療法人が出資額限度法人でなければ医療法人として成り立 たないということであれば、医療法人に財産を注ぎ込んで医師はこれからどうすればい いか、という問題に直面するわけです。医療法人をやめようかとなると、これは税制上 全部剰余金に対して所得税課税が生ずるわけですから、医療経営自体が成り立たなくな るのではないか。  ただ法律が変わっただけで、財産を税金として徴収されてしまう。解散しないと、今 度は自分が注ぎ込んだ財産を全部取り上げられるわけです。これは、憲法第29条の財産 権の侵害に当たるか当たらないかはいろいろ議論のあるところかもしれませんが、これ はかなり過酷な実態を突き付けることになるので、少なくとも税金の問題を考えるだけ でも大変だろうと思います。  その辺は、ただ株式会社が怖いからというだけで、ここまでドラスティックなことを 構える必要があるのかどうかということについては、いささかちょっと危惧していま す。もちろん、医療行政の政策的な手法としてはいろいろなやり方があって、そういう 政策判断について私自身は直接の専門ではありませんので、あまり価値判断的なこと申 し上げたくないのですが、税金の問題をいろいろ考えると、これは大変なことを提供す ることになるという危惧を持っております。それらは是非慎重に検討されたらよろしい のではないかと思います。  認定医療法人については時間があれば質問させていただきたいと思いますが、少なく とも出資額限度法人については、冒頭のガセネタの情報自体については先ほどそのよう に申し上げたのですけれども、実際これを実行するということになると、最低限相当な 経過措置が必要なのかどうかはともかくとして、これは非常に大変なことだと。ここは 豊田委員に同情するところですが、その辺はどこまでやる気なのかを事務局にお伺いし ます。 ○山下指導課長補佐  2点のご質問があったと思いますが、出資をした額についての話が、この規定だと出 資者に戻ってこないのではないかということですが、1頁のいちばん下の行ですが、 「出資」という言葉でずっと言っていたものですからあれですが、「拠出金」という言 葉に変えていただいて、拠出金については拠出者に返ってきます。拠出金の返還に当た っては、拠出額の限度に限られ、利息を付することはできない。ですから、清算時は、 拠出をした人に対して拠出金の返還をする。もちろん債権者や債務者の整理をした後 で、最後の最後に拠出者に対して拠出金を拠出額を限度として返します。その後のもの が残余財産ですという順番で書かれています。 ○品川委員  出資はどうなるのですか。 ○田中座長  出資という言葉は、いわば拠出なのだと。非営利法人なので、出資ではなくて拠出と 呼ぶとの見解のようです。 ○品川委員  出資という概念をなくすのですか。 ○山下指導課長補佐  そもそも医療法に出資という言葉はありませんし、非営利法人に出資という概念はな いのだろうと思っています。それは、拠出という言葉になります。 ○品川委員  拠出金だという言い方をするのですか。 ○山下指導課長補佐  もう1つは1頁の2番目の○ですが、今回「明確に位置づけ」と書かせていただいて おります。医療法関係法令上、剰余金は新しくこの改正で、新しく医療法人に剰余金が 帰属するということを私どもは言っているわけではなくて、これまでどおり医療法人の 剰余金は配当してはならないということにずっとしておりました。それは、配当しては ならないということはどういうことだったのかを明確にすると、実は剰余金は医療法人 に帰属するのだということだけであって、今回の法律で突然出資者の財産が法人に移っ たのだ、ということを法律に書くようなつもりはございません。  実態上そうでない場合があったと思うのですが、法制度上、法律上剰余金というの は、もともと医療法人は配当してはならないという規定があったものですから、それを ちゃんと書くと。 ○品川委員  現行法の第54条の規定は、そもそもそういう趣旨だということですか。 ○山下指導課長補佐  そうです。 ○品川委員  そうしますと、少なくとも、国税庁の通達は、それを出資として、出資に関する財産 評価基本通達の定めがあります。社会通念的には完全に出資だということになっていま す。そうすると、いままでの出資は医療法上は拠出金なのだと。国税庁の通達は、拠出 金に対して出資の評価をしているから、極めておかしなというか法律違反の通達という ことになりかねないですね。医療法に反する。 ○山下指導課長補佐  我々は、その取扱いが医療法に反すると言いたいわけではなくて、確かに実態上出資 という形で運用されていたのではないか、また、実際にそういうふうに払い戻しをされ ていたのではないか、と考えています。ですから、当然そういう実態があれば、私は税 に詳しくありませんが、税法上当然課税するのだろうと思います。それは、我々がきち んと医療法人についてこの剰余金取扱いを他に配当してはならないとしか書いてなく、 非営利法人とはなんぞやということが、医療法上明確になっていなかったということも あるので、今回はちゃんと、非営利とはなんぞやという議論を踏まえると、剰余金は配 当してはならないということなので、それは昭和25年の制度創設当時から、実は剰余金 は医療法人に帰属するということが趣旨としてはあったのを、今回改めて明確にしよう ということです。ですから「明確」と書いてあるのです。 ○品川委員  これは法律論でいうと、第54条にいう、利益や剰余金を配当してはならないという配 当の意味は、商法上の通常の利益配当のことを意味する配当だと、少なくともいままで は考えられていたから、税務上の通達で配当ができないからということで、類似業種比 準方式で配当比準を外していました。  税法が商法上というか、私法上の配当とは考えられない、実質的な剰余金の分配につ いては、必ず法律上配当とみなすという、みなし配当の規定を設けています。したがっ て、医療法の配当という解釈はともかくとして、他の法律では配当とはそもそも商法上 の配当をいうのだと。しかし、実質的に配当と考えられるものについては、みなし配当 という言葉をわざわざ法律に入れています。  そうなると、医療法第54条の配当というのは、法律の改正なくして、その配当という 言葉はみなし配当も全部含むのだということで取扱いを変更するというのは、法律論と してかなり乱暴ではないですか。 ○山下指導課長補佐  私どもも法令上、これは法律上といったほうがいいかもしれませんが、いまは「剰余 金は配当してはならない」と書いてありますけれども、それがいままでは解釈上あやふ やだったものですから、法律上ちゃんと「医療法人の剰余金は、医療法人に帰属するも のであって、配当してはならない」と書かないといけないのではと思っています。 ○品川委員  第54条にいまは1項しかないのに2項を設けて、所得税法や法人税法には書いてある ように、「次の取引は配当とみなす」というようなことを法律に書かないと、配当の概 念を非常に歪めてしまう。法解釈としては、法廷論争になってくると、なかなか裁判官 がそうだとは言ってくれないかもわからないです。だから、税法はわざわざみなし配当 規定を設けているのです。 ○山下指導課長補佐  みなし配当という税法上の規定は、そうは言っても医療法上どう書いても、実態上そ ういうことがあることはわかります。そういうことに対して税法上抜け道になるのはま ずいということもわかりますし、みなし配当という考え方があるのだと思います。いま までは、そのような考え方で、実態上課税があったのだろうと思います。私どもも、実 態に対して税法が対応してきた話なので、それを否定するつもりは毛頭ございません し、それについては我々から言えないのだろうと思います。  ですけれども、医療法の理念、昭和25年にどのように制度が創設されたのか。正直そ の国会の答弁などを拝見し、配当という言葉についてはこうだということで、私どもは 昭和25年に立ち返って、剰余金の位置づけを法令上明確にしてはどうかと思った次第で す。 ○豊田委員  課税の問題も絡むのですが、剰余金について私どもは出資額限度法人を議論する中で きちんと整理したつもりです。中には、例えば剰余金というのは医療で余ったお金、収 支差額だけという議論と、私どもはそういうことだけにとどまらず、拠出した土地が10 年、20年経てば何倍にもなっている所が多いですので、そういうのを含めて剰余金と考 える。  ですから、出資額限度法人というのは、あくまでも出資した当時の金額でいくのです よと、前にもそのように整理されました。そのような整理でいいのかどうかです。つま り、土地の値上がり分の扱いについていろいろな誤解をしている人がいますので明確に していただきたいということが1つです。  混乱といいますか、非常に曖昧の中で起こってきた事実があります。先ほども実態に 合わせてということなども含まれるのでしょうけれども、いままでも途中退社したり、 相続したりという医療法人はたくさんあるわけです。そうすると、持分のある社団の場 合には、その上から下まで剰余金を含めて、出資額を含めて、すべてに対して課税され ているわけです。  そうすると、剰余金というのは、医療法人のものであるという立場に立てば、なぜ医 療法人のものなのに、相続するときに、亡くなったとき、あるいは退社するときに、そ の部分についての課税をされるのか非常におかしな話になります。そういうことはご存 じで、触れなかったのだと思うのですが、50年間にはいろいろあったという中には、そ ういう実態もあったということを、いろいろ決定するときには、それを正すためにもし ていく。そのために一気にやるのか、順番でいくのかということの1つの大きな問題だ と思います。 ○山崎委員  この問題が混乱した原点というのは、昭和32年に茨城県からの疑義照会について、当 時の厚生省の総務課長が、社員が退社した場合、出資額に応じて返還してもいいという 回答を出したのが混乱の元です。  本来、医療法人制度の精神は、先ほどもお話があったように、剰余金は法人に帰属す るものであるという精神で法人制度が出来上がったわけですが、その当時の総務課長の 1通の通知によって、国税庁がその通知を逆に使ったという経緯があります。また、医 療法人の相続が発生した場合、直接その法人の経営に参画している社員と全く参画して いない社員の間で相続争いが起こり、その通知が逆に使われていたという経緯があるわ けです。  昨年、出資額限度法人の標準定款を作られたので、それについて日本精神科病院協会 から指導課長宛に剰余金の性格についてはどのようなものかという疑義照会を出して、 今年2月7日に指導課長から回答を頂戴しております。その回答では、剰余金は出資者 には帰属しないという、昭和32年の通知とは全く正反対とも解釈できるような回答でし た。今回ここの検討会で検討しているのと同じような、剰余金の性格というのは、医療 法人に帰属するものであるという回答を課長が出しております。  したがって、この検討会でいちばん検討しなければいけないのは、1頁にある剰余金 の性格は法人の健全な運営に資するということに焦点を合わせて規定すれば、退社云々 という話はその次の問題になるのではないかと思います。 ○三上委員  これは、昭和32年のボタンの掛け違いによって、その後非常に混乱した医療法人はた くさんあろうかと思います。この出資金は拠出金であると。本来の目的は拠出金であっ て、持分というのは本来ないのだということを言い続けてきた方もいるわけです。その 方が、2月の指導課長からの返事をいただいて解決した、かなり納得したというのは、 昭和32年の総務課長の返答とは逆のことが返事として来たと理解されたからだろうと思 っています。  昭和32年以降非常に苦労されて、相続税等を払って継承されている方、あるいはいま 現在税金を払っている方もいると思うのです。このボタンの掛け違えを元に戻すには、 ある程度の経過措置は必要ですけれども、このような形で医療法の中にもう一度明示し て確認しておく、という作業が必要ではないかと思います。  ここで問題なのは、一人医師医療法人の扱いをどうするかというのは、まだここでは 明確にされていないのですが、一人医師医療法人というのは本来医業継承というより は、節税のための簡易法人としてできたものですから別に考えていただいたほうがいい のではないかと思います。 ○品川委員  先ほどの自己資本の比率のところで、医療法施行規則第30条の34ですが、資料1−2 では「自己資本とは資本金及び剰余金の合計額をいう」となっています。そうすると、 先ほど医療法上は出資という概念がない、拠出金というか貸付金であればそもそも医療 法には資本という概念がないから「資本金及び剰余金の合計額をいう」という省令の規 定自体が極めて意味のないというか、それについて旧厚生省は逆に言うと出資だと認め ていて、今度は厚生労働省になったら違うという、二枚舌のように読み取れるので、そ の辺の整合性について注意したほうがよろしいのではないでしょうか。 ○山下指導課長補佐  今回の検討会の議論を経て、決めていただきたいと思っているのですが、それを踏ま えると、いままでの法人が法律上の考え方、それが省令にどう反映されていたのか。我 々が皆さんにご迷惑をおかけした通知にどう反映されたのか、一貫して考えてやるべき だと思っていますので、この検討会のご議論、この検討会を踏まえてちゃんとやりたい と思っています。確かに変になっていますので、今回すべてちゃんと見直していきたい と思います。 ○田中座長  皆様からのご指摘を元に進めてまいりますが、全部議論しきれるものではありません が、認定医療法人について何かございますか。 ○三上委員  7頁の透明性の確保のところで、「利害関係人にさまざまなものを閲覧に供しなけれ ばならない」という規定があります。3頁にある代表訴訟のところには「社員による」 と書いてあります。7頁にある「利害関係人」というのはどういう人を指すのかがよく わからないのです。 ○山下指導課長補佐  利害関係人の解釈というか考え方については、もし範囲を決める必要があるのであれ ば決めることはあるかもしれませんが、基本的に法人との利害がある人ということで、 社会福祉法でも書かれております。  明らかに、この人は利害関係人で、この人はそうではないということを、私どもで明 記することがいいのかどうかは少し考えたいということです。ギチギチと、この人しか 利害関係人ではないというようなことをすると、そうでない人が出てきた場合に混乱す るのではないかという心配もあります。言葉だけで恐縮なのですが、「法人と利害があ る人」という言葉以上に、こういう人、こういう人というふうに書く必要があるのかど うかは逆に教えていただければと思っています。解釈上我々が何か持っているというこ とではありません。 ○三上委員  一般的には、債権者という意味合いが多いのではないでしょうか。3頁の社員による 代表訴訟についても、株主代表訴訟と一緒のように、債権者による代表訴訟であると。 いろいろな書類の閲覧についても、そういう債権者については見る権利がある、という のが普通の考え方のように思うのです。  もし、これを患者や利用者すべてが利害関係人だという判断をすると、とんでもない ことになるのではないかと思います。この辺はっきりさせておいていただいたほうがい いと思います。 ○豊田委員  7頁の透明性の確保のところの最初の○の開示についてですが、「当該請求が不当な 理由に基づく場合にあっては開示する必要はないものとする」とあります。開示をする 場合にいちばん大事なのは、開示するということを決めても、どういう場合に開示する かということがはっきりしていないと、ただ条文に終わってしまう場合があります。こ こに書かれている「不当な理由」の範囲は、誰がどう判断するのでしょうか。 ○山下指導課長補佐  これも、利害関係人と同じように、「不当」という言葉については、我々の考え方も ありますし、もちろん皆様方の考え方もあるでしょうし、さまざまな考え方があるので はないか。逆に、不当というのはこれだけだとなると、それ以外のところであれば不当 ではないのかというふうになるおそれもあるので、あらかじめはっきりするようなこと はできないのではないでしょうか。 ○豊田委員  これは、不当な場合は開示しなくてもいいと決めれば、その法人が不当であると言え ばそれでよろしいという解釈でよろしいでしょうか。 ○山下指導課長補佐  決まった話ではないので、答えにくいものではあるのですけれども、そこはまさしく その程度が、何でもかんでも来た人に対して、この請求は不当だ不当だとするような法 人がもしあった場合には、ちょっとどうかなというのが一般的な思いではないかと思い ます。まさしくその「不当」という言葉のお尋ねに対してお答えするならば、そこは一 般的に見てそう思えるかどうなのかということではないかと思います。 ○山崎委員  6頁の最後○の最後のところに、「財団形態の認定医療法人について」という記述が あるのですが、認定医療法人については社団と財団と2つつくるということなのです か。 ○山下指導課長補佐  医療法人というのは、財団型と社団型と一般的にあります。例えば、財団型の医療法 人になって、それらの中で公益性が高いものはそのまま財団型の認定医療法人になりま すが、認定医療法人になった瞬間に変わるわけではありません。医療法人には、財団と 社団の種類があり、同じように認定医療法人にも財団と社団の種類があると考えており ます。  このままだと、財団型の場合は何もチェック機能がないことになりますので、評議員 会は、財団型と社団型と少し分けて考えるべきなのではないかということです。 ○松原委員  質問というより意見なのですが、私の知っている範囲では、先進国においては民間非 営利組織による病院で、課税されている国は日本ぐらいです。それは理由があって課税 されてきたわけですけれども。  今後非営利を徹底するのであれば、病院側に規律を課して公益的な役割を負ってもら う以上、公的支援がどこまでできるのかも具体的にセットで議論したほうがいいのでは ないかと思います。  もう1つは、証取法も適用される債券を、認定医療法人もできるようになるというこ とですので、直接金融の利用によって、病院評価の面でも従来より財務面が重視される と思われますが、医療は、何より質が重要ですので、質の面での評価も併せて行う必要 があると思います。 ○石井委員  先程、座長の田中先生から会計に関する議論は専門家である私に発言をお願いする旨 のコメントを頂きました。従いまして、本来、会計の話をすべきでありますが、本日の 討議の内容は医療法人制度の本質論や制度全体のあり方に関して行われておりますの で、そのような観点から一つだけ発言させていただきます。  本日の資料説明を確認し、議論を聞いていた中で、認定医療法人に関しては税制優遇 の必要性が何行か入っていることはわかりました。しかし、非営利性を徹底した新しい 医療法人制度に関しても、本来剰余金はもともと出資者に帰属するものではないのだ、 公益法人改革・有識者会議において規定している非営利性を遵守するのだという前提を とって整理していくとした場合、これからできる新しい医療法人についても株式会社等 と異なる何らかの税制的な措置が必要であるという一文を入れる必要があるのではない かと考えます。現在は、このことに関してまったく記載されていないので、いまある中 間法人と同じように整理するということでよろしいのかどうか。あくまでも、新しい医 療法人は有識者会議において規定している非営利の要件が明確にかぶっているはずです から、先程の税率比較でご覧頂きましたような株式会社と同じ税制上の取扱いではな く、非営利を前提とした税制的な整備のし直しという議論をしたほうがよいのではない かと感じます。  会計基準等の会計領域に関連する話につきましては、必要があれば次回させていただ きます。 ○武田委員  出資額限度法人の話ですが、税制の問題は検討していただきたいと思います。3頁の 3つ目の○にオーナーシップのことが書いてあります。これは、認定医療法人ではこれ は全くなくなってしまうわけでしょうか。財団と社団とに分けることになれば、この3 つ目のような感じのことも考えていただけないのか。また、認定医療法人というのは全 然性格が違うから、そういうことは全然考えられないのか。 ○山下指導課長補佐  ちょっと誤解があるのですけれども、認定医療法人も医療法人ですので、認定医療法 人の将来の姿の白抜きで書いてあるところも認定医療法人は土台としてあります。その 中での公益性の高いのはさらにということです。 ○武田委員  わかりました。一人医師医療法人は先ほども話が出たのですが、非営利の問題を検討 しているわけですので、診療所辺りも非営利ということを考えていかなくてはいけない のではないか。これは、医師会の先生とお話をしなければいけないのですが、一人医師 医療法人というものか、とにかく個人で開業している先生方の、法人への移行は全く考 えられないのか。あるいは、新しく開業する方たちにそういう法人を要求して、既得権 としてそのまま置いておくのか、その辺も検討していただくと、非営利ということにつ いても少し突っ込んだ話ができるのではないかと思います。 ○西澤委員  8頁で、介護福祉事業ができるということですが、その中に特養が入らないという解 釈です。今回、認定医療法人をつくるのであれば、その趣旨等々を考えると、これは認 定医療法人がするべき事業だと思いますので、老人福祉法の問題はあると思いますが、 そちらとの調整で是非認定医療法人にできるようにしていただければと思います。 ○田中座長  まだまだ議論が続きそうですが、時間がまいりましたので、このたたき台については 本日に限らず今後とも議論してまいりたいと存じます。次回は、本日お話しました法人 制度の方向性、透明性、安定した医業経営についてさらに議論していく予定です。次回 の日程と、今後の進め方について事務局から説明をお願いいたします。 ○谷口指導課長  本日は、大変熱心なご討議をありがとうございました。次回の日程については、6月1 0日(金)の10時から12時までを予定しております。場所については調整中ですので、決 まり次第ご連絡申し上げます。  議題としては、本日の部分は大変大きな問題ですので、引き続きご議論いただければ と考えております。いくつかの宿題をいただいておりますので、それについても次回ま でに用意させていただきます。  今回の資料3−1と資料3−2ですが、資料3−1というのは資料3−2を右側で書 いたものですけれども、それにつきましては冒頭に申し上げましたように、ご意見募集 ということでそれを受けながら、こちらの検討にフィードバックさせていただければと 考えておりますので、とりあえずご意見募集をさせていただきます。その結果を踏まえ たものを取りまとめた資料として出しますので、それを併せてご議論いただき、新たな 医療法人制度の方向性について認識を深めていただければと考えております。 ○田中座長  本日はこれで終了いたします。お忙しいところご出席いただき、活発なご議論をあり がとうございました。                                    (以上) 照会先 厚生労働省医政局指導課 医療法人指導官 大門 龍生(内線2560) 医療法人係長  伊藤 健一(内線2552) ダイヤルイン 3595-2194