05/4/13 医道審議会医師分科会医師臨床研修部会          医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会議事録          (臨床研修にかかる修了基準等について:第1回)                     日時 平成17年2月10日(木)                        14:00〜16:00                     場所「経済産業省別館1014号会議室」 ○医師臨床研修推進室長  ただいまから「医道審議会 医師分科会 医師臨床研修部会」を開催させていただき ます。本日は先生方におかれましては年度末の大変お忙しいところご出席いただきまし て、誠にありがとうございます。  今後、当部会において臨床研修の修了基準を検討していただくに当たり、今回新たに お2人の委員の方に参加していただくことになりました。ご存じかとは思いますが改め てご紹介させていただきます。まず医道審議会委員から矢崎委員です。新たに当部会の 臨時委員として篠崎委員に参加していただいています。本日の出欠ですが、北島委員、 山口委員が欠席となっています。  本来部会の開会に当たりまして、ここで医政局長のご挨拶があるところですが、大臣 との打ち合わせが長引いているということですので、局長の到着したところで挨拶とさ せていただきたいと思います。議事の進行に入らせていただきます。齋藤部会長よろし くお願いいたします。 ○齋藤部会長  初めに本日の議事について事務局から説明をお願いします。 ○臨床研修指導官  お手元の資料の確認と議事次第について説明します。座席表、議事次第を表紙に1セ ット資料があります。議事次第の議題にありますように、本日は医師臨床研修の修了基 準についてご意見をいただきたいと思います。資料として、1.臨床研修における修了 基準等の検討について。2.研修医評価の手順。3.他制度における評価事例。4.そ の他参考資料ということで5つ用意しています。以上です。 ○齋藤部会長  いまの説明につきまして、何かご意見ご質問ありますか。もしなければ早速議事に入 りたいと思います。議題にありますように、医師臨床研修の修了基準について、ご意見 をいただきたいと思います。本日はフリートーキングということで考えていますが、最 初に資料の説明をお願いします。 ○臨床研修指導官  資料1については、「臨床研修における修了基準等の検討について」ということで、 1「背景」として、本日議論をしていただきます趣旨をまとめています。新制度におい ては臨床研修の到達目標が定められているものの、研修修了の判定をどのような評価方 法を用いて、どのような基準に基づいて行うのかなどについては、まだ決められていな い。研修修了基準の作成は喫緊の課題となっています。  2「研修医評価の流れ」として、現行制度における評価体制がどのようになっている のかを簡単にまとめています。3「検討事項(案)」として、大きく3つのテーマに沿 って議論を進めていただければと考えています。(1)修了の評価認定方法。(2)修 了の評価認定基準。(3)修了と認定できない場合の取扱い。  このようなテーマを4「そのスケジュール(案)」として、本日を第1回目として、 6月までに5回程度開催の予定をしています。6月最終案を作成し、9月までに通知と して発出したいと考えています。  資料2については、資料1の研修医評価の流れが、省令や施行通知にどのように規定 されているのかを抜き出してまとめたものです。 ○臨床研修審査官  資料3について説明いたします。参考までに米国のシステム及び司法修習のシステム について説明いたします。まず米国のシステムですが、米国の医科大学は、大学院レベ ルで、卒業時の年齢が26歳と、我々の卒後臨床研修修了時の年齢とほぼ一致していま す。1番目、卒前研修ですが、非常に実践的な内容が多くて、我が国の必修化された2 年間の臨床研修の内容とほぼ同等のものです。  2番目、USMLE、これは米国医師国家試験ですが、StepI;基礎、StepII;臨床、 StepIIIが実地の臨床になります。しかしながら医科大学の教育課程とUSMLEは基 本的に独立したものだと考えられます。通常、学生はStepI、IIを在学中に受けて StepIIIは卒後に受けることになっています。そして、すべてのStepに合格しますと、 州に免許を申請して、免許を得ることになります。  3番目、卒業の認定ですが、かなりの部分が医科大学の裁量に任されています。た だ、最近の傾向として、臨床能力試験(SP/OSCE)を総括的評価、または合格を 卒業要件としている所があります。  4番目、卒後の臨床研修ですが、この臨床研修は専門科レベルの研修です。これが日 本と違うところです。この研修修了をもって専門科資格試験の受験資格を獲得し、合格 すると専門医となります。さらに上のsubspecialtyの研修もあります。以上が米国のシ ステムです。  次に司法修習のシステムについて簡単に説明します。情報はホームページから取得し ました。司法修習は全部の過程が1年6か月です。司法研修所で前期司法研修3か月 間、それが修了すると全国50か所の裁判所、検察庁、弁護士会に散りまして、ここで実 務研修、これ臨床研修とも呼ばれますが、これを1年間やります。その後まとめとして 後期修習を3か月やります。  司法修習生は、裁判官、検察官、弁護士のいずれの道を進むにしても、将来専門とす る分野にかかわらず、同じ内容の研修を受けることになっています。修習の最後に、司 法修習生考試と呼ばれる試験がありまして、これについては修習中の成績と考試の結果 によって合格、不合格が決定するとのことです。以上です。 ○齋藤部会長  資料を手短に説明していただきました。どのような角度から議論を進めてもいいと思 うのですが、いかがでしょうか。必修化の制度設計に当たられた矢崎委員、篠崎委員に 口火を切っていただければと思います。 ○矢崎委員  実は評価については、きっちりした議論をしていません。ただ、漠とした目標として は臨床研修の到達目標を目指してやっていただく。行動目標と経験目標と2つあります が、行動目標に関しては評価が難しいかもしれないので、これは直接の指導医や研修 医、そばにいる方にやっていただいて、経験目標はある程度数値化できるので、そうい うことを考えていました。ですから篠崎委員が話されると思いますが、この到達目標が 一応、評価のいちばんのベースになる基準である。具体的にこれをどう評価するかは議 論の入口までで、実際にどうするかということについては後で議論されるということだ ったように記憶しています。 ○篠崎委員  いま矢崎委員が言われたことだと思いますが、もともと臨床研修病院の指定を厚生大 臣がするときに、この行動目標や到達目標に合うという前提で認定、指定しているわけ ですから、まずそのとおりやってもらったら最後まで到達するはずだというのが1つあ ります。もう1つは認定というのは結局もう1回医籍に登録することで、最終的な認定 ということになるのだと思うのです。今回の制度は医師国家試験を通って1回医籍に登 録をして、そして臨床研修必修課程が終わるともう1回登録するわけです。その場合、 到達していなければ登録しないこともあり得るわけですから、その直前の全体の基準だ と思うのです。  そうしますと、2頁の検討事項という(案)にいまはなっていますが、ここに沿って 検討をされることになると思いますが、具体的な技術的な評価をやるのか、それともベ ーシックに医籍登録できない基準を決めるのかだと思います。きっと2年間の中で、い ま矢崎委員が言われたように、医師としての技術的なものを評価していくことがいちば ん大事なのですが、それ以外に途中で病気になっていかなかった場合とか、もう少しベ ーシックな話。まだスタートしたばかりなのでそれの基準もないと思います。そこのと ころをきちっとしておかないと。2度目の医籍を登録するに当たっての、スタンダード だと思います。 ○齋藤部会長  ちなみに臨床研修の到達目標は別添としていちばん最後に付いている、行動目標と経 験目標のきちんとしたものが出来ていますね。ほかにいかがでしょうか。評価とか認定 の責任者というのは、各臨床研修病院の病院管理者なのですね。 ○篠崎委員  研修管理委員会。 ○齋藤部会長  最終的には管理者が修了認定をする。資料1の最初の頁の図、研修評価の流れを見る と、いちばん下に臨床研修医がいて、それぞれの指導医が指導をして評価するわけです ね。そのときにどうするのか。 ○矢崎委員  2つ問題があって、1つは医師国家試験と同じように、一種の資格試験ですから、成 績が良い悪いではなくて、あるレベルまで達したら認める。あるレベルに達さないと認 めませんよと。そのファクターは、最終的には到達目標の達成度ですが、先ほど篠崎委 員が言われたように、病気をしてしまって、その間駄目であるとかいうケースもある。 そういうのは1つ考えないといけない。  もう1つは、こういう到達目標というのはあるのですが、各施設で判断のバラつきが あっては公平性を保てませんので、各施設での評価の均整といいますか全国レベルでき っちりしたものでないと、病院の研修管理委員会でまちまちな、大学の医学部の卒業試 験みたいにまちまちなレベルになると、またこれは問題があるのです。2つの問題があ るのかなという感じがします。 ○齋藤部会長  ここで医政局長からお話を一言いただきます。 ○医政局長  もう既に話が進んでいるかと思いますが、研修は順調に1年目が動いていると思って います。2年修了時どのように考えていくかということですが、目前と言いますか、も うすぐ先に迫っていますので、先生方に有益なご議論をいただければありがたいと思い ます。 ○齋藤部会長  ありがとうございました。研修施設の規模の違いとか、あるいは機能の違いもあるで しょう。しかしながら、全国共通のミニマム・リクワイアメントみたいなものを作らな ければいけない、という矢崎委員のお話だと思うのです。大学の卒業試験はバラバラだ というお話ですが、吉田委員何かご意見がありますか。 ○吉田委員  いまお伺いしていて感じたまず1点は、知識あるいは経験等をどういうふうに評価す るかも1つですね。きちんと出席をして、きちんと研修をしているということに重きを 置くのか。それとも実際に到達目標に達しているということに重きを置くのか、これち ょっと違うと思うのです。後者だといま言われたようにバラつきがずいぶんあります し、それを評価しようと思うとかなり大変なことではないかという気がします。ですか ら、両者をそれぞれ満足するような評価方法を、考え出さなければならないのではない かという気がします。 ○齋藤部会長  そうですね。後のほうで修了と認定できない場合の取扱いというのは議論すると思う のですが、そもそも、これ指導医のレベルというのもまちまちだと思うのです。非常に 経験のある指導医もいれば、比較的若い方もおられるでしょう。したがって評価者自体 のレベルがいろいろだと、なかなか難しいでしょうか。 ○橋本委員  臨床研修修了の評価認定ということで、平成7、8年ごろ、厚労省の研究班で報告書 を作らせていただいたことがあります。当時、臨床研修がたぶん必修化されるであろ う、ということを予測したからでしょうが、立派な到達目標はなかったわけですが、そ の当時はいくつかの学会、特に医学教育学会などが臨床研修目標を出していました。そ れを評価するということで、そのモデルを作ったことがあります。それが生きるかどう かは別にしても、どのように評価したらいいかという評価項目がありますので、参考に なればということが1つです。  もう1つは、先生方ご存じのように、国立大学病院でEPOCがかなりやられていま す。これがいまどのぐらい普及しているのか。EPOCをここで参考にするのかしない のか、全く別に考えるのか。その辺りはいかがでしょうか。 ○齋藤部会長  ここは事務局からお願いします。 ○医師臨床研修推進室長  いまの橋本委員のお話の最初の修了認定の研究、それは報告書がありますので、次回 にでも出させていただきます。それからEPOCにつきましては、次回にEPOCに詳 しい先生をお呼びして、ヒアリングできたらなと思っています。 ○齋藤部会長  もうやっているところがあると聞いています。どういう意味か説明をしてください。 ○医師臨床研修推進室長  Evaluation System of Postgraduate Clinical Trainingということで、日本語訳 ではオンライン臨床研修評価システムというふうに訳されているそうなのですが、もと もと国立大学のほうで開発したと伺っています。オンラインを使って研修医の到達度な り何なりを入力して、最終的な評価の参考にするというか、そういったツールだと理解 しているのです。EPOC登録の研修医、いまのところ大体5,000人ぐらいで、1学年 いま7,500人ぐらいいますので、3分の2ぐらいがEPOCを使用しているということ のようです。 ○橋本委員  そうしますと、この検討会、研修部会では、このタイムスケジュールでいきますと、 2年目研修がこれに則って修了認定をすることになるわけですね。 ○齋藤部会長  そういうことになると思います。 ○橋本委員  とすると、いまEPOCを使っている人たちに対しては、どう対応するかということ はいかがですか。 ○医師臨床研修推進室長  この会での検討の結果がどうなるかによると思うのですが、現在すでに研修している 方々について、それほど影響のないような基準であれば、そのまま適用ということにな るでしょうし、あるいはかなり影響が出るようなものであれば、場合によってはその経 過措置ということもあり得るのかなと思います。いずれにしてもこちらでの議論の行方 次第だと思います。 ○橋本委員  指導医養成のためのワークショップをあちこち伺いますと、EPOCの話がかなり出 てまいりまして、自分たちは使っていると言いますが、本当にこれでいくのかどうか は、誰もわからないわけです。自分たちは使っているということをかなりの人が言うも のですから、そこで混乱がこないように配慮していただけたらと思います。 ○医師臨床研修推進室長  先ほど申しましたように、EPOCそれ自体が基準というよりは、まさに評価のため に利用するツールという感じなので、私としてはそれほど大きな影響はないのではない かなというふうに、いまのところは思っています。 ○長尾委員  精神科はこの4月から始まるので、まだ現実には研修医は来ていませんが、他の内科 疾患とかについてはもう1年済んでいるわけで、その評価を実際にこれに当てはめてど うするのかという問題は確かに残ってくると思います。ただ、初めにちょっと出ていま したように、あまり細かい評価基準を決めてしまうと、難しいのではないかということ がありますので、ある程度のレベルに達していればそれでよしとする。それとベーシッ クなもの、行動基準とかいう部分については、その趣旨とかそういったものが、本当に 問題な場合には、やはりそれを評価してどうするかと、その辺の部分で決めるほうが、 あまり細かい評価尺度を決めてしまうと、かえって混乱を招くのではないかなというふ うに私は思いますので、その辺りをどうするのか。 ○齋藤部会長  いずれにしてもあまり細かいものを決めても、実行できないですよね。実際的には各 臨床研修病院で指導医が評価をして、それを指導医がプログラム責任者に報告して、研 修管理委員会で評価をする、流れとしてはそういう流れです。そのときの基準をいまま でいろいろなお話が出たと思うのですが、まずこれは、絶対評価というか、矢崎委員が 言われたみたいに、合格か不合格なので、20人いたときに1人上がらないとかそういう 話ではないのですね。極端に言うと全員いいかもしれないし、全員駄目かもしれない。 ○矢崎委員  それは到達目標から見た切り口なのですが、先ほど篠崎委員が言われたように、厚生 労働省が認めた研修コースをきちんと指導医がフォローしてやっていれば、本当は合格 だというふうに思うのです。それは室長が一生懸命にやられた結果ではないかと思いま す。ただ、単にプログラムだけですと研修のプロセスが見えてこない。先ほどEPOC の話が出ましたが、これはUMINという国立大学の、国立病院で言えばホスプネット みたいなもので、情報をそこに登録してということなので、プロセスとしてチェックす るシステムとしてそういうものはないと野放図になってしまう。  だけど、国家試験みたいに点数でやっていると70点だから合格、69点だから不合格と いうものであるかどうかということは、議論をしていく必要があるのですが、大きな流 れとしては、やはり研修プログラムが大事であって、指導体制が大事であって、そして そのプロセスをきっちり評価していくということだと思います。ですからその到達目 標、これを目指してプログラムをチェックしていただきたい。これで点数を付けて何点 以上なら大丈夫だとか、そういうことになるかどうかということを、もう少し議論を詰 めていったほうがいいのではないかと思います。 ○齋藤部会長  基本的には他の例として司法修習生とか出てきましたが、司法修習生の場合は試験を やっているのですね。しかし、この場合は試験をするかしないかは決まっているわけで すか。 ○篠崎委員  試験をやるかどうかは別に、それも含めて検討をすればいいのかもしれませんが、実 際はここに書いてあるように、研修管理委員会で決めることになっています。いまの場 合だったら研修管理委員会が1,000弱ぐらいあるのです。ですからその1,000ぐらいの研 修管理委員会は、委員長以下いろいろ関係者が入って、指導医が入って、その研修管理 委員会が合否の判定をするということになっていますから、その合否のときにその研修 管理委員会が試験をやるかどうかまでは決めていないのです。  いまここで議論をするのは、1,000弱ある研修管理委員会が1つのスタンダードを持 って判断しやすい基準を作ろうではないかというのが、今回の目的ではないかと思うの です。資料1の1頁にあるように、黒枠で「修了証交付」「中断証交付」「未修了理由 書交付」と3つありますが、まさにこれが大事なのです。「修了証交付」というものの 基準が原則は研修管理会でのスタンダードになるのではないかと思います。もう1つの 「中断証交付」と「未修了理由書交付」、これはもう少し事務的な基準理由ではないで しょうか。病気で来られなくなったとか、何か不都合なことがあったとか、これはまた 別な形ですから、案外決めやすいかもしれませんが。  もう1つ、指導医がそれぞれ1対1で指導をしていって、その指導医の評価というの は研修管理委員会に上がってくると思うのです。そのとき指導医がそれぞれの研修生を どう評価するかというのは、実は指導医のガイドラインみたいなのがないと、どう判断 していいかわからないわけです。それを国立保健医療科学院が事務局になって、いま作 っているのです。既に精神科とか救急とか、保健所の指導医の方については、関係者に お集まりいただいて出来つつあるのです。内科や外科はこれからなのです。 ○西澤委員  いまここで検討しているのは、臨床研修病院、大学附属病院の研修管理委員会に示す ものということですね。そうすると、それぞれの臨床研修病院でもというのは、やはり レベル差があると思うのですが、その辺りの調整はどうするのかという問題が残るので はないか。先ほど言いましたように、医師の国家試験は全国一律でやりますからわかり ますが、各大学のレベルの違う卒業試験で合格者を認めるということになると、その辺 りも問題があるかなという気がします。 ○齋藤部会長  当然それは専門もあれば多様性があると思います。 ○医師臨床研修推進室長  そのレベルの差につきましては、先ほど篠崎委員が言われた指導医レベルではガイド ラインを作成して、全国1つのそういった指針を基にやっていただく。現在はそのほか 指導医の講習会を各地でやっていただいています。  この指導医の講習会については、昨年の3月にその講習会の基準みたいなものを通知 で出していて、それを基に全国ほぼ一律の形で出来ていると思います。更に今年度は指 導医の上にある、資料1の図であれば、プログラム責任者がありますが、このプログラ ム責任者講習会も行っていますし、更に来年度は保健医療科学院で、研修管理委員会の 委員長研修を行う予定にしています。そういった研修を通じて、各施設でバラバラにな らないように、なるべく水準が均一になるようにしようとしているところです。 ○齋藤部会長  指導医のガイドラインは大体いつごろ、事務局の準備状況はいかがですか。 ○オブザーバー いまのところ、来年の初めにはたたき台となるものをお配りし、それ を試行期間の形で使っていただきまして、現場からのフィードバックをいただいて、最 終的に作り込んでいく予定で、現在お配りしているものを今年度末に作成して、配るの は来年度の始めです。 ○篠崎委員  4月以降ですか。 ○オブザーバー はい。 ○齋藤部会長  もう1つ資料3−1の2枚目に、日米の比較というのがあるのですが、米国の場合 は、結局は卒後の臨床研修の部分は専門医の受験資格を得るかどうかですね。これは所 定の研修を終わったということで受験資格を認定するということで、ここの部分はおそ らく学会というか、国ではなくて学会の協会みたいなところがやっていると思うので す。その辺、何か補足できますか。 ○臨床研修審査官  専門医の資格につきましては、ABMSという所が全米の専門医認定委員会の集まり でして、そこが大体統合され標準化された規格を作っていって、修了したと同時にここ が認定した基準に準拠した試験を受ける。受かれば一応専門医として標榜できるという システムになっています。 ○吉田委員  この図ですが、後期卒後臨床研修と書いていると、いかにも日本においても専門医研 修の制度がきちんとできているように見えますが、こんなのは何もないのでね。 ○齋藤部会長  この後期卒後臨床研修の部分ですか。 ○吉田委員  日米を対比して図に書いていますが、日本では専門医研修制度は何も出来ていないと いえます。 ○篠崎委員  これはいま吉田委員が言われたとおりで、矢崎委員がいちばん気にされているところ ですが、2年間が初めて義務化されてきちんと出来ましたよね。そうしたら、これがき ちんとできたが故に、卒前の問題とか、研修後の問題がクローズアップされてきて、そ こに関心が高まってきたということで非常に良いことだと思うのです。専門医云々とい うのは、いままで何回も議論があるけれども、なかなかうまくいかないのです。ですか ら「後期卒後臨床研修」という言葉も本邦初公開ではないですか。 ○吉田委員  そうです。 ○篠崎委員  2年間の次ということですからね。 ○橋本委員  いまこの網掛けしてある「後期卒後臨床研修」、この用語が不適当だと思います。こ れはいろいろ議論を醸し出しますから消してください。 ○篠崎委員  ただ、非常に大事なことですね。 ○橋本委員  そうですね。 ○橋本委員  初期と書いてありますが、卒後臨床研修後どうするか、これは大きな問題で、それが 果たして後期臨床研修と言うのか言わないのか、この辺り、別問題だと思います。いま 吉田委員が言われたように、専門医の問題、これも今後議論をしなければいけないとこ ろです、専門医研修なんて言うと、本当にあるみたいですから。 ○吉田委員  話を元に戻してください。 ○長尾委員  先ほどいろいろな形で、標準化とか平準化みたいなことを考えられているのですが、 私はある程度のレベルの差があって当たりまえだと思うのです。それを完全に平準化し てしまう必要はないので、ある程度ベーシックな基礎的な部分を研修できていればいい と、そのプラスアルファーの部分がある程度、どこにあるかということは別問題だと思 うのです。だからそれをあまり平準化して、すべてがここまでなければいけないという 話ではなくて、基礎の部分がどこまできちんと到達できているかという話で、私はいい のではないかと思います。  いま七者懇でいろいろな検討をやっているわけですが、それともう1つは先ほど出て いましたプログラムの検証をもう一度きちんとやる必要があると思うのです。例えばこ れはまだ出てはきていませんが、精神科でも大学病院などでも1か月の精神科の研修を 最低はやるということで、そのうちの2週間は大学でやって、あと2週間を民間病院に 出して研修をさせるとか、そういうのが実際問題としてきちんとした研修体制がとれる のかどうかといういろいろなことが出てきているわけです。ですからそういうことも含 めてもう一度、1、2年した場合のプログラムの検証をしながらベーシックなものをど こまで求めるのかということは、きちんと到達目標をもう一度見直していくことが必要 だと思います。 ○齋藤部会長  いまのお話は研修医の評価ではなくて、プログラム自体の評価となると、研修病院で はできないですね、当事者ですよね。 ○冨永委員  先ほどからいろいろご意見を伺っていますと、臨床研修病院は厚生労働省に認定をい ただいているわけですし、研修医も国家試験を通っているのですから、2年間をいかに 有効に過ごすかということだと考えます。それには、指導体制を整えることが必要で す。指導する医師は指導医養成講習会を是非受講して欲しいし、厚生労働省も「屋根瓦 方式」と言われていますので、多くの先輩医師の指導を受けながらプライマリ・ケアを 身に付けるということですから、あまりシビアに60点以下は駄目ですよというようなこ とではなくて、大まかに到達目標に達していれば、修了証を交付するのが基本と思いま す。  病気の場合は別として「未修了理由」という場合の未修了には、どういう場合に交付 するのかをむしろきめ細かく規定することが大切でしょう。例えば指導医と研修医があ まり性格的に合わないということで落としたのではどうにもならないので、原則持ち上 げるということでやっていくほうがいいのではないか。良い研修をするには、病院全体 の指導方針、あるいは評価基準をつくり、指導医だけの評価ではなくて、コメディカル の方の評価も加えることが必要だと考えます。担当指導医の評価は低くても、コメディ カルの指導者とか、あるいは少し先輩の医師からの評価が高いということもありますの で、みんなで指導をして持ち上げるという方向でやっていって、あまり落とす落とさぬ と神経質になる必要はないのではないかと私は思います。折角良い制度が出来たわけで すから、病院はしっかり研修をしてもらうよう努力することが必要だと思います。 ○吉田委員  話が横道に逸れて恐縮ですが、いま指導医の話と、屋根瓦方式という話が出ています が、確かに我々屋根瓦方式でやるのがいいということにもなっていますが、実は研修を 実際にやっていますと、屋根瓦方式が非常にやりにくいカリキュラムになっているので す。ずうっとローテイトしていますから1級上の先輩が教えるというチャンスが少ない のです。つまり1年違う人たちや研修医たちが一緒に研修をするというチャンスがほと んどない。どうやって屋根瓦にするか。  先ほど審査官とも話をしていたのですが、現場に行ってみるとそこは大変苦労しま す。上が一緒に教えるチャンスがないのだもの。だって、2年目もローテイトするわけ でしょう。普通、屋根瓦で教えるのだったら、そこで一緒になって、「君、こうこうだ よ」というふうな教え方をどこでもやっているわけですが、そのチャンスがいまのカリ キュラムには一切ないわけです。 ○冨永委員  一般病院であれば1年目だけではなくて、卒後3年目、4年目、5年目もいるわけで すから、「屋根瓦方式」の指導は可能と考えます。 ○吉田委員  それは指導医に近いのだけど、現実の問題としては同じ場で1年あるいは2年上の人 が同じ研修をしているときに手を取り足を取って、こうなんだよというふうな教え方と いうのがもっとも効果的なのであって、レジデントの制度をいままでやっている日本の 病院でもフォローアップして調査していると、やはり屋根瓦方式で1年、2年上の人に 教えてもらっているのが、もっとも効果があるという数字が出ているわけです。これ医 学教育学会での発表もあるし、私もそうだと思う。  ところがこの辺はもっとこれから現状を調査する必要があるけれども、いまのこの制 度でいくと、ずっとローテイトしているから、屋根瓦でやろうと意識的にその場を作る ことをやっている病院もあります。 ○齋藤部会長  そうですね。例えば救急医療の部分とか、当直の部分とか重なるようにはなっていま すが、吉田委員が言われるように、全部重なっているわけではないですね、すぐ上の学 年はね。 ○吉田委員  そうですね。この問題も評価とも多少関連があるので、指導医に全部任せてしまって いるということではなくて、冨永委員が言われたように、実際に教えている人たちもア ドバイスをするならば、指導医だけに任せてよいということではない。屋根瓦は大事だ と、しかし、屋根瓦はこのカリキュラムでは、大変やりにくいようなシステムであると いうことだけ指摘をしておきたいと思います。 ○矢崎委員  その論理には少し意見があるのです。屋根瓦というのは1つのシステムみたいなもの があって、本質は研修医を身をもって教えてあげるというのが屋根瓦だったのです。そ の人は1年先輩だろうが4年先輩だろうが、冨永委員が言われたように、それも屋根瓦 だと思うのです。このマッチングで7対3が6対4と初回はなりましたよね。2回目が 一般臨床研修病院では大学の先生方から見ると指導医がいないのではないか。大学はス タッフがいるから屋根瓦式で教えることができる。けれども一般病院では4、5年経っ た人が教えるので、実際にできるのかどうかというのは、大きな議論だったのです。  そのときに、私は、本当にそうであったら、6対4がまた7対3に戻るか、下手をす ると8対2になるのではないか。そうしたら、2回目は5対5というのは、やはり屋根 瓦方式の精神ですね。一緒にベッドサイドで教えるというのが意外と一般研修病院では 行われたために、研修希望者が一般病院に増えたのではないかという感じがします。で すから必ずしも1年、2年というきっちりした屋根瓦という構造的なものではなくて、 ベッドサイドで身をもって教えてあげる人がいるかどうか。しかもある程度経験をもっ た人がいるかどうかが大きな課題です。  アメリカみたいなシステムでインターンから。いまインターンというのは卒前に中に 入っていますが、上級生が下級生を教えるというそのシステムがきっちりあるところは いいのですが、日本での屋根瓦というのは、とりあえずベッドサイドできっちり教えて あげるというのを、そういうふうに言ってもいいのではないかという気はするのです。 ○吉田委員  私は50%は賛成だけれども、50%はアグリーできない。2年間だけでローテートし て、2年間の研修というところにそもそも屋根瓦なんてないです。それは先生の言われ るとおりですよ。1年上なんていうことを私は言っているのではないのです。そこにい る人間みんなが参加するべきなのだけれども、しかし、プライマリ・ケアというかジェ ネラルというか、総合的な臨床を教える場というものは、この制度では屋根瓦は難しい ですね。「屋根瓦」ということを確かに私たちも言ってきました。屋根瓦でいけばいい のだということを思っていたけれども、現実の問題としては内科なら内科で独立型でや っている所は、みんな専門医です。研修病院で非常に熱心にやっている所は、それをす るためにわざわざそのカリキュラムを考えて、先輩と一緒になるようなことで教えてい ます。アメリカと同じような屋根瓦をここで意味したら、それはこの2年ではとてもで きないということです。評価する場合に多少関係すると思います。 ○齋藤部会長  そうしますと、先ほどからの流れとしては、きちんとプログラムどおりにやっている 人は、基本的には修了証交付のほうにいくわけですが、あと中断証とか、未修了理由の 場合をきちんと決めておくということになると思いますが、これは物理的に病気で休ん で受けられなかったとかいうことになるかと思うのですが、何割駄目だったら駄目かと か難しいですね。その辺はいかがでしょうか。 ○吉田委員  救急とか麻酔とかいう所を回るのに3か月を予定していたけれども、1か月休んだ と、そして2か月だけでは駄目だと、そこまで言うのかどうか。ある程度そういう基準 も具体的には出しておかなければいけないのですね。 ○篠崎委員  例えば休んで来ないとかいうのはどのぐらいありますか。1年終わっていませんけれ ども、そういうのは聞いていませんか。休んだとか医療事故を起こしたとか、何か事件 を起こしたとか、物理的に駄目だというのがありますか。 ○臨床研修審査官  そのような事例がすでに地方厚生局に上がってきていまして、それぞれの事例につい て、個別に考えてお答えしているのです。基本的なスタンスとして到達目標が2年間で おそらく駄目、全部到達できなくなるような可能性のある者については、なるべく必修 科目、基本科目の所は欠けないようにして、なるべく選択科目の所で調整するようにと いう指導を行っています。 ○篠崎委員  残りがまだあるからね。 ○臨床研修審査官  はい。 ○冨永委員  例えば中断した場合に、補習としてある期間研修を受けて、認めるというシステムは 可能なのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長  中断というか、いまのように休んでしまった時に、審査官から言ったように、最終的 に到達目標がクリアできるかということなので、例えば土日を使って足りない分を補う とか、その辺は柔軟に対応できるのではないかと思っていますが、現在のところ厚生労 働省としては土日何時間使ってやりなさいとか、そういうことは特に申し上げていませ ん。 ○冨永委員  2年間の間で何か月間か休んだ場合に、土日でなくてもその期間を次の年に繰り越し て研修することによって、認められて登録されるという形があるのか、その辺はどうで しょうか。 ○医師臨床研修推進室長  この研修期間は2年以上となっているので、そういう場合もあり得るかなとは思って います。ただ、つまり2年以上やる方がいるということは、その4月以降残るというこ とですが、また新しく4月に入って来ているわけです。指導医1人当たりの研修医の数 だとか、その病院全体で患者の症例数の話とか、そちらのほうに跳ねてきますので、そ ちらも十分考慮されてきちんと体制を確保してできるということであれば、可能だとは 思います。 ○吉田委員  いまの話の端的な例はたしか議論があったように記憶しているのです。出産を控えて いるような場合で、半年間は出産があって受けられなくて1年半だけで半年間足りなか った。それを実際にどう扱うかということは問題としては、矢崎委員、たしか出ました ね。 ○矢崎委員  出ましたね。 ○吉田委員  出たけれどもはっきり決めてなかったですね。 ○矢崎委員  暗黙の内に、これは2年で試験をして終わるというものではないのです。プログラム でやるのであって、プログラムの足りないときは、先ほど言われたようないろいろな隘 路はありますが、足りなかった分をやっていただければいいのです。ですから2年で終 わる方も、そういう場合には2年半で終わる方もあります。医師免許証を持って医療行 為はずっとできるわけですから、これを区切ったためにその方の生活が脅かされるとか いうことはありません。そのときはあまりシビアな議論にはならなくて、先ほど言われ たことがなければ半年後に交付してもいいのではないか。皆さんそのように考えておら れたと思います。 ○吉田委員  これもある程度の基準を示しておく必要があるのではないでしょうか。 ○冨永委員  いまのことに関してですが、高校とか中学は1年の内何日欠席をしても進級できると 決まっているようですが、最近の大学でも出席を取るというところもたくさんあるらし いのですが、大学は単位を取ったら、即ち試験に通ったらいいというのが原則と思いま す。2年間の内の大体1年半ないし1年7、8か月で基本研修科目、必修科目の研修が 終わって、あとは選択研修。厚生労働省の前の委員会でもお話がありましたように、自 分で足りないと思う所、行きたい所に再度研修に行くということだったと思うので、そ の間をどう判断するかということだと思うのです。  カリキュラムの基本研修、必修科目で、到達目標に達していたらいいというのか、2 年以上というのだからその期間を限定するのか。期間を限定してしまうと、土日にでも 出て来て時間外でやらなくてはいけないということになります。その場合、労働基準法 との関係がどうなのかわかりませんが、問題も出てくるでしょう。1週間、1か月休ん だからその分だけ全部、土日にまわしてくださいというのも、いかがなものかと思いま すので、その辺、少し基準を決めていただいたらよいと考えます。少なくとも基本研 修、必修科目については到達目標を必ず達することとか。およそ2年間のうちに達する ためには、これぐらいの期間は必要だろう、これぐらいは出ておくべきだという大まか な基準があれば、施設側も修了証を交付しやすい。あるいはいろいろな所から非難され ないですむということがあると思います。 ○齋藤部会長  ほかにいかがでしょうか。これはおそらく、具体的にはプログラムを審査したときで も例えばお産が非常に減っているので、十分経験できないのではないか。1か月ではな くて2か月やりなさいとかということをやりましたよね。それでも結局十分な数を経験 していないときは、良心的にその病院が考えればまた延ばすとかいうことをやると思う のですが、その辺は各研修病院の裁量でしょうか。そうするとこの流れの中で未修了と か中断というのは、かなりこれは例外的な場合になりますね。 ○橋本委員  その中断ということで、先日女性医師懇談会という女医の会から要望書が出ました。 女性医師の妊娠・出産にはこの中断は特別な配慮をしてほしいということでした。本 日、その書類は持ってこなかったのですが、そのことを明記してほしい、という要望が 日本医師会長宛に来ていました。それは、植松会長からこちらへ連絡があると思いま す。女性医師の場合には、中断というのがやむを得ない理由に入ると思いますが、考慮 してあげることが必要かと思います。いま、中断の話が出ましたので申し上げます。 ○齋藤部会長  中断証と未修了理由書の交付の違いについて、事務局から説明してください。 ○医師臨床研修推進室長  資料4−3の24頁の16の(1)に、「臨床研修の中断」があります。研修期間の途中 で研修を中止することをいう。研修管理委員会は、医師としての適性を欠く場合等研修 医が臨床研修を継続することが困難であると認める場合には、当該研修医は、それまで に受けた臨床研修に係る当該研修医の評価を行い、単独型それぞれの病院の管理者に対 し、中断することを勧告することができるとなっております。  ウのほうで、病院の管理者は、この勧告を受けた場合又は場合によっては研修医のほ うが中断したいということもあるということで、こういう場合には中断するとなってお ります。  中断すると決めたときには、それ以後はエに書いてあるように、中断書を交付する。 中断の場合、25頁の16の(2)のように、「臨床研修の再開」があり得ます。中断し て、また再開を希望する場合には、中断証を添えて病院に再開を申し込むことができる ことになっています。  それに対して未修了というのは、修了とは認められないということです。25頁の17の (3)のところで、病院の管理者は(1)の評価に基づき、研修医が臨床研修を修了し ていないと認めるときは、速やかに、その研修医に対して、理由を付して、その旨を文 書で通知しなければならないとされております。 ○齋藤部会長  中断でも未修了でも、修了しようと思うと再開しなければいけないという点では一緒 ですね。 ○医師臨床研修推進室長  未修了の場合、再開については書いてないのです。 ○橋本委員  中断について、24頁に「医師としての適性を欠く場合」と謳ってあります。ところ が、資料4−2の11頁の枠の中の「臨床研修の中断及び再開」の第16条では、「研修医 が臨床研修を継続することが困難である」と書かれています。「継続することが困難」 という場合には、病気、妊娠・出産はこちらに入ります。「適性を欠く」というのは、 あくまでも研修医の品行の問題が入ってきます。この違いはどうなのでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長  妊娠・出産でも、どのぐらい休むかという期間にもよると思います。こちらに書いて ある中断というのは、きちんと中断証を交付して、どちらかというと同じ病院で再開す るというよりは、病院を変わって再開するという前提にあると思います。単に、出産の 間数か月休んで、また同じ病院で再開するという場合には、必ずしもこの中断には当て はまらないのではないかと思います。 ○橋本委員  中断と呼ばなくてもいいのですか。 ○医師臨床研修推進室長  そうではないかと思いますが、ただ1年休んでしまって、病院を変わりたいというこ とであればまた別だと思うのです。先ほど申しましたように、中断の理由として、本人 の申し出で中断できることになっているので、病院を変わりたいから、ここで中断証を 出して、ということも場合によってはあるのかと思います。 ○橋本委員  我々が迷うぐらいですから、女性研修医のためにはっきりしてあげたほうがいいかも しれません。 ○冨永委員  女性研修医が、いま定められている産前6週、産後8週ということであればいいので すけれども、例えば育児休業を取って1年間休んだときに、それも未修了ではなくて研 修修了として認めてくださいというのはいかがなものかと思います。女性だけ14週間認 めて、男性は駄目なのかという話になります。 ○齋藤部会長  いま、男性は産休は取れないけれども、育児休暇は法律的に取れると思います。 ○冨永委員  奥さんのために取るのは別として、男性には休暇が認められないというのはおかしい ので、ある程度の期間は許容範囲だと考えます。これは、到達目標に達していればとい う条件が付きます。その中に、産前・産後も入れるということでどうだろうかと思いま す。認められる期間はどれぐらいか、という妥当な期間を決めて頂ければと考えます。 ○長尾委員  女性医師に限らずというか、産前・産後ということだけにとらわれなくていいと思う のです。産前・産後、育児休暇等を含めて病気の場合もあるわけです。そういうものを 含めて、ちゃんとした理由があればそれなりのものということ。  それから、中断のときにほかの病院へ変わることを前提としたものになっているの と、その病院でずっと研修をやる場合に、途中があいたのは中断でなくてもいいという 話をきちんとする必要がある。初めは、そこの病院でやるつもりだったけれども、途中 から行くわという話になるようなこともあるでしょう。休む場合の期間をある程度きち んと決めて、それは中断である。中断しても、そこの病院で研修を継続してもいいし、 ほかへ行ってもいいしということで、トータルとして研修目標にきちんと到達して登録 される、ということが保障される形をつくっておかないといけないのではないかと思い ます。  その辺はある程度はっきりさせておかないと、どこかで起こる度にどうしましょう か、こうしましょうということで個別に対応しなければいけないという大変な作業にな ってくると思います。医師としては、その研修をしなくてもいいわけですけれども、あ との管理者になる、ならないという話は登録によってあるわけですから、そういうこと も含めてある程度基準を定めたほうがいいだろうと思います。 ○齋藤部会長  いまの中断や未修了に関係して、「修了した由を医籍に登録される」と書いてありま すが、これは年に1回ずつそういうことをされる予定なのか、いつでもするわけです か。例えば、6月に修了するというようなことになると面倒くさいですよね。 ○医師臨床研修推進室長  基本的には、皆さん3月に終わって申請していただき、そのときにだと思います。 ○齋藤部会長  中断や未修了でも、1年ずれるだけで、継続したときには揃ってくるわけですね。 ○医師臨床研修推進室長  基本的にはそういうことだと思います。ただ、時期がずれたからといって拒否をする ようなことはないと思います。 ○篠崎委員  数が多くなかったら、その場で医籍登録できるのでしょう。 ○医師臨床研修推進室長  単なる手続ですので、それは大丈夫だと思います。普通は、修了したら早く登録した いと思うでしょうから。 ○篠崎委員  時期がずれたような場合に、年に一遍しかしませんということであると、必ず次の年 までずれてしまうわけです。 ○医師臨床研修推進室長  そういう硬直的なことはしないようにしたいと思います。 ○篠崎委員  そんなに数が多いわけでもなさそうですね。 ○医師臨床研修推進室長  はい。 ○吉田委員  中断の話ではっきりさせておかなければいけないのは、例えば女性医師の場合の出産 で、産前・産後の期間は後で補足したらそれを評価して認めるというのか、到達目標に 達していたならば、その時点をみんなと同じ時点で修了証書を出すのかをはっきりして おかないと。 ○齋藤部会長  中断に対する要望書の趣旨ですね。 ○吉田委員  出産の場合寛大に考えたらどうかということなのか、それをはっきり決めておかない と、議論がはっきりしていないような気がします。 ○矢崎委員  こだわるようですが、プログラムに従って研修するということですので、中がルーズ になってきて危惧するのは、大学病院でなし崩し的に、初心に返らずに旧来の研修制度 に戻っていく可能性があります。私としては、合否の評価が何点ということではなく て、プログラムのコースに沿ってできなかったら、もう一度やってもらうということで 修了は少し柔軟に考えていただく。1か月、2か月単位ではなくて、研修管理委員会で 6か月ごとにチェックしていただき、20人いるうち、あの人とあの人は遅れているとい うことで、指導医にフィードバックする。2年後にドッと出てきて、それでディスカッ ションするというのは難しいです。  先ほど申しましたように、プログラムがあって、そのプロセスをどこかでチェックす る。2年後に修了証を渡しますが、2年後に大慌てで2年間を評価するのではなくて、 積み上げでやっていく。そのときに、出産で半年休んだら、プログラムを半年欠いたと ころをやっていただく。中断証交付というのはそういうものでなくて、特別あるとき急 に外国へ留学することになったとか、あるいは結婚した片方の方がアメリカへ行ったの で付いていきたいとか、そういうケースであって、いちいち公文書で中断証明書という のではない。 ○齋藤部会長  プログラミングで、延長とか何かそういう意味ですよね。到達経験目標を達せないか ら、それを違う所で経験するわけですね。 ○矢崎委員  半年間きっちりやってくれ、というようにしないと病院ごとにレベルが違ってくると まずいので、その辺はやっていただかないと。 ○齋藤部会長  矢崎委員が言われたような場合は、未修了ということになるのではないですか。例え ば、2年間で半年外国へ行っていて、経験目標に達していないときは、未修了という解 釈ではないですか。 ○吉田委員  この図の2つは要らなくて、1つだけでいいですね。 ○齋藤部会長  はい。未修了というのは、あまり名誉なことではないですね。 ○矢崎委員  未修了の理由ではなくて、延ばせばいいのではないですか。 ○齋藤部会長  延ばせばいいですね、言葉を変えないといけないですよね。 ○冨永委員  中断という言葉が当たるかどうか、先ほど事務局から話が出ましたように、病院を変 える場合に、例えば基本研修科目については経験目標に達しました。だけれども、ここ から先はまだですよ、ということで次の病院へ行きたいという人の場合は、中断という 言葉ではなくて、「途中修了」といいますか、そこまでは達しているから、次の病院で はここから先をやってください、という証明書が要るのではないかと思います。それが 中断証に当たるかどうかわかりませんけれども、ここまで到達しましたという証明書が 要るのではないでしょうか。 ○医師臨床研修推進室長  資料4−3の25頁の16の(1)のカ「臨床研修を中断した時までの臨床研修の内容及 び研修医の評価」ということで書いてもらうことになっております。ただ、病院を変わ るといっても、この研修病院が気に入らないのですぐ変わる、というのは望ましいとは 思っていません。基本的には、最初のプログラムでそのままやっていただきたいけれど も、どうしてもそこで続けられない場合、極めて例外的にそういう中断を認めるという 整理にはさせていただきたいと思っております。そうでないと、マッチングをした意義 がなくなってしまいます。 ○長尾委員  先ほどから言っていますように、結婚して北海道へ行った、という場合もあると思い ます。 ○橋本委員  矢崎委員がおっしゃったことに大賛成です。評価というのは、目標に達したかどうか を評価する。今回は別添にありますように、「到達目標」とはっきり明記したものがあ りますし、「必修項目」という枠で囲ってあるところを見ますと「経験することはちゃ んと経験すること」とちゃんと明記されているわけですから、これを実際に経験したか どうか、ということをしっかりしたチェック項目で評価していく。そうすれば、これを クリアすれば修了認定が可能ではないかと思います。  プロセスで評価するというのは、形成的評価という方法ですから、その都度適切な時 期に評価していく。そうすれば、ここまではちゃんと修了しているということがわかる のではないでしょうか。 ○齋藤部会長  したがって、修了認定評価のチェック項目と申しますか、評価表をちゃんと作ること により、このプログラムをちゃんと履修したかどうかがわかるのではないでしょうか。 したがって、履修しなかった場合は未修了になりますね。これは、2年経ったところで 判定することになっていますよね。 ○矢崎委員  あなたは落第ですよと言うのではなくて、研修医が、自分はまだ足りなかったのでは ないかということで、もう一回このコースをやりたいということもあると思うのです。 ○齋藤部会長  そこに、自己評価表も入れてあげれば、自分でも評価できるのではないでしょうか。  問題は、自己評価と指導員の評価が非常に乖離している場合です。後で出るかと思う のですけれども、評価への不服に対してはどうするか、ということも考えておかなけれ ばいけないです。自己評価としては十分修了していると思っても、周囲の人がそうでな いときに、不満があるときにはどのように処理するのですか。そういう場合はそんなに ないと思うのですが、修了証を貰えないときですよね。  研修病院としても、そういうことをやると次のマッチングに差し支えるのであまりや らないと思うのですが、それもちょっと困るかもしれません。 ○長尾委員  確認したいのですが、このプログラムは基本的に初めの病院群なり病院管理型できち んと行う。それは、2年以上かかってもそこで行うことを基本とすることでいいのです ね。中断証というのは、そこで何らかの理由があってほかへかわるときに、その部分は まだありませんよ、という形の中断証として出して、その部分をほかでやってもらう、 という話として解釈してよろしいですか。 ○医師臨床研修推進室長  どうしても引越しをしなければならないこともあると思いますが、資料4−3の通知 では「医師としての適性を欠く場合」というのも入っております。想像するに、たぶん 2年間も研修できないのではないかというケース、病気で長期休暇が必要という場合も あり得るのかという気はいたします。 ○矢崎委員  中断というのはいいのですけれども、未修了というのは要らないのではないですか。 修了認定が遅れるといつまで経っても認定をあげないと。 ○吉田委員  中断のほうがいいですか。 ○矢崎委員  中断だけでいいのではないでしょうか。落第ではなくて、病院管理者が、まだ足りな いよ、あと半年頑張りなさいとか、もう1年頑張りなさいとか、全然駄目だから2年頑 張りなさいというのが未修了というサインだと思うのです。だけれども、文章で出す必 要はないのではないかと思います。 ○齋藤部会長  大学でも留年するわけですけれども、非卒業というのは出さないわけです。 ○吉田委員  「医師としての適性を欠く場合等」という言葉がここに入ってくると、16の(1)の アのところで、中断について「途中で中止することをいうものである」と定義している わけです。次にすぐ、「医師としての適性を欠く云々」と出てきています。私は、これ は少し引っかかります。 ○橋本委員  通知というのか何というのか知りませんけれども、医政局長の知事宛のものは変える ことはできないのですか。 ○吉田委員  変えることはできないです。 ○矢崎委員  それに対してクレームがないから、みんなこれなりに。 ○篠崎委員  これは、国民が期待しているのです。こういう臨床医は辞めたほうがいい、という人 がいるのかもしれません。その人は医籍に登録しないというのが今回の目的なのです。 いままでの、医学部卒業だけの医師国家試験ではなかなか見つけられませんでしたが、 今度は5人に1人の指導医が2年間付き合って見るわけです。そういう人に限って、先 ほど言いました経験目標である技術的なことや、知識をうまくクリアしているかもしれ ません。  ベーシックに、患者・医師関係が絶対にうまくいかないとか、安全管理がうまくいか ないというのは2年間見ていて、この人はこのまま臨床研修したら危ない人という意味 なのです。最もネガティブなのです。 ○吉田委員  わかりましたが、随分評価は厳しくなりますね。 ○橋本委員  それを、中断とするわけですか。 ○吉田委員  これは、中断なのです。 ○橋本委員  そうすると、折角のポリシーがずれてきてしまうような気がします。折角「適性を欠 く」ということをチェックできたのに、ずっと中断しておくかどうかです。結局また敗 者復活。 ○篠崎委員  タイミングで2年目になるか、その途中になるかは状況によって違うでしょう。 ○矢崎委員  大学も卒業して、免許証も取った人ですよね。適格でない人には認定をあげなければ いいわけです。そういう理解で。 ○吉田委員  それならわかるんです、だからこれは中断なのです。 ○齋藤部会長  極端に言えば、医師としての適性があるかどうかというのは、国家試験というか、国 として医師免許を出しているわけですから、ちょっと矛盾しますね。 ○篠崎委員  医師免許証を持っていて、患者を診る以外の分野もありますので、そちらはいいので す。 ○矢崎委員  それが、中断証とはちょっと違うような気がします。何か不適格証というような。 ○橋本委員  この文言を入れたのはいいと思うのです。そうすると、中断ではないのではないか。 もっとしっかりした評価をしなければいけないのではないか。 ○吉田委員  そうなんですよ。それは、非常に厳しいです。 ○橋本委員  中断だと、また敗者復活で、一旦適性を欠いている人が研修再開ということが出てき てしまいます。 ○篠崎委員  一生駄目ということはないんでしょう。生涯教育みたいなことをやって戻れる人もい る ○橋本委員  それはいいのですけれども、適性を欠いて一旦中断して、次に再開するときに誰が再 開していいと認めるかという問題になってきます。適性を欠いているのに、国民はそれ を納得しないのではないですか。 ○篠崎委員  欠いているというのは、ずうっと欠きっぱなしというわけではないです。この2年間 指導医が見た感じでは欠いていると。ただ、その後の教育などで欠如している部分が満 たされることもあり得るわけです。 ○矢崎委員  中断というのは、結局修了認定をあげないということです。そういう場合でも、適性 でない限り修了証をあげませんよ、ということでいいような気がします。 ○橋本委員  ところが、次の頁に「再開」というのがあります。中断した者はまた再開できる。 ○矢崎委員  そういうことは、篠崎委員が言われたようにあり得ます。禅寺にこもって修行して、 目覚めてということもあります。そのときは、管理委員会が、またプログラムに戻って もいいですよという判定でやるのであって、証明書を出すというのはどうなのでしょう か。 ○齋藤部会長  普通の場合は、2年間見ていて1つの病院が出すわけです。先ほどの話のように、東 京から北海道へ行った場合は何か要ります。しかし、何かほかの名前を付けてあげない と、それを中断と一緒にしては気の毒です。 ○矢崎委員  修了認定だけでいいのではないですか。適格だったらこれをあげますよと。ただ、移 る場合には理由書を付けて、あるいはいままでの成績も付けて持っていくのは当然で す。 ○臨床研修指導官  資料4−3の28頁の次のところの中断証の様式を見ますと、中断した理由、それまで に受けた研修内容、当該研修の評価という形で、それまで受けていた研修病院からこう いう形で出していただきます。これを、中断した研修医が交付を受けて、自ら希望する 研修病院に申し込むことができる制度になっています。 ○吉田委員  制度的なものですね。これは、次に移るときの、いままでの経験の証しですから、悪 い意味で取っているのではないのです。 ○齋藤部会長  これ自体はいいのだけれども、こちらで例として挙げている文章がよくないのです。 ○矢崎委員  中断証というのを、常にマイナスのイメージで捉えないで、ほかの病院に移るときに いままでの経歴をちゃんと出すと。 ○吉田委員  中断証と書いてあれば、どうしてもマイナスイメージに取ってしまいます。 ○矢崎委員  だから、中断証ではなくてちょっと変えて。 ○医師臨床研修推進室長  要は、中断して次の病院に変わるときに、2つ目の病院がこの理由を見る。その理由 のところにネガティブな理由が書いてあるか、本当にやむを得ない理由が書いてある か、という判断になると思うのです。「医師としての適性を欠く」という話も可逆的な ものなのか不可逆的なものなのかというところで、もし不可逆だと判断すれば、たとえ 中断と書いてあったとしても、当然二度と受け入れる病院はないでしょう。ですから、 実質的には修了することはできないことになると思います。その辺で、中断という言い 方と、駄目だという言い方と本当に書き分けてしまったほうがいいのか、そこはどうか なと思うのです。 ○矢崎委員  中断証というのが悪い意味でなければいいのだけれども。それと修了認定だけにする か。 ○齋藤部会長  その次の次の頁に、未修了理由書の様式があります。「研修を修了していないとする 理由が分かる資料を添付すること」と書いてあります。したがって、中断証と未修了理 由書というのは、出す時期の違いだけではないですか。2年終わったときに出すのがこ っちで、途中で出すのが中断証ではないですか。 ○医師臨床研修推進室長  そうとも考えられます。 ○吉田委員  そのような説明を聞くと、これでいいのかなという気がします。でも、途中でいろい ろな誤解を生じる可能性があるかもしれません。 ○冨永委員  臨床研修未修了理由書を示さないと、研修医が納得しないという意味で作られたので すか。これがないと納得しないというのだったら書かなければならないし、研修医が自 分は2年間の評価から見て当然未修了だと思うのなら、矢崎委員がおっしゃるように、 修了証書を発行しないというだけでもいいですけれども、厚生労働省あるいは研修医か ら、理由書もないのに修了証を発行しないのは何事かという話になるのであれば理由書 が必要かもしれません。 ○医師臨床研修推進室長  不服が出たときに、文書としてきちんと理由が示されていたか否かということで、そ れはきちんと示すべきだということではないかと思います。 ○齋藤部会長  もう1つ未修了理由書で難しいことになるのは、これを出すのは2年目の終わりで す。先ほどの話で、後期研修と呼ぶかどうかわかりませんけれども、次の仕事場はもう ちょっと前の年末とか1月ごろには決まるわけです。その関係で、どこかの病院へ行く ことが決まっていても、こんなのを出されたら行けなくなるということで、これはなか なか難しいです。 ○医師臨床研修推進室長  それについては、国家試験も一緒だと思います。卒業見込書は、国家試験を通る見込 みといっていながら落ちてしまう人はいるわけです。 ○吉田委員  これを、再開のための理由書というふうにポジティブに取ればこれでいいですね。あ るいは、こういう理由だから継続させるようにという理由書に取ればいいですね。 ○冨永委員  あと何科目が到達目標に達していないので、研修を続けて下さい、という理由が必要 でしょう。 ○吉田委員  そうです。未修了のときに、単にこうですから駄目ですよということではなくて。 ○齋藤部会長  例えば、こういう未修了の人が大学の医局へ帰ったときには、これに沿った研修を補 充するようなことを大学としてされるわけですか。 ○吉田委員  帰れないでしょう。 ○齋藤部会長  帰れないのですか。 ○吉田委員  いわゆる後期には移れないでしょう。 ○齋藤部会長  帰れないことになるわけですか。 ○吉田委員  だって、修了証がないですから。 ○冨永委員  研修医としてだったら帰れるわけです。 ○吉田委員  それは、研修医として帰るか帰らないか。 ○冨永委員  中断して。 ○吉田委員  中断再開か、あるいは継続かわかりませんけれども、それをしなければ修了証は出せ ないでしょう。 ○冨永委員  その未修了というのは、2年間もう一回やりなさいということではないのですね。あ る部分が到達目標に達していないということだから、この部分についてあと6か月とか 3か月間研修することが必要ですよ、という理由になるのですか。駄目だというと、2 年間初めからやってくださいということなのですか、そういうことにはならないですよ ね。 ○医師臨床研修推進室長  この中断証と未修了理由書を見比べますと、委員がいまおっしゃいましたような、こ こまではできているけれども、こっちが足りないというのは、むしろ中断証のほうだと 思います。できている部分を認めた上で、足りない部分をもう少しやってくださいと。  未修了というのは、どちらかというと、もう一度よそで一からやりたいのであれば一 からやり直してくれという感じになっているのではないかという気がするのです。 ○冨永委員  2年間研修をさせたあと未修了となると、未修了として再度2年間は研修しなさいと いうのはかわいそうな気がします。これはガイドラインをしっかりしていただいて、臨 床医としての適性がないというのであれば早いうちにしないと、2年間何をしていたの だという話になります。これは、病院としてはかなり厳しい受止め方をしなければなり ません。国家試験は通っているわけです。医師としての適性がなければ、本来国家試験 は通すべきではないという理屈になります。  臨床医として適性があるかどうか、ということを篠崎委員がおっしゃいましたけれど も、ここには「医師として」と書いてあります。24頁に「医師としての適性を欠く」と いう場合ですね。 ○冨永委員  それだったら、なぜ国家試験を通すのという話になります。  国家試験を通った人を、病院としては医師としての適性に欠けると判断しなければな らないわけでしょう。これは、臨床研修管理委員会としてはかなり重い判断ですね。 ○橋本委員  医師国家試験は、知識だけの評価をいまやっていますから、なかなか態度評価はわか らないです。そこは、いま目をつぶっているわけです。 ○冨永委員  ですけれども、医師として適性を欠くといっても、国家試験を通っているのですから 医師として診療をする権利はあるわけでしょう。 ○橋本委員  それはそうです。 ○冨永委員  だから、別に臨床研修を未修了であっても、どこかで雇ってくれるところがあれば診 療できるわけでしょう。 ○篠崎委員  やってはいけないのです、それは駄目です。 ○橋本委員  いや、できるでしょう。 ○篠崎委員  できるけれども、その罰則はないけれども、してはいけないということが書いてあり ます。これを受けなければいけないんです。 ○冨永委員  診療はできるわけでしょう、病院、診療所の管理者にはなれませんが。 ○冨永委員  雇われ医師としては。 ○篠崎委員  でも、ねばならないでしょう。 ○橋本委員  できちゃいます。 ○冨永委員  管理者にはなれないけれども、医師としては働けるでしょう。 ○冨永委員  病院の院長とか、診療所は開設できないけれども、病院、診療所で医師として雇われ ることはできるでしょう。国家試験を通っていれば、医療行為はできるわけです。 ○冨永委員  例えば申し送りをして、あの人は医師として適性を欠きますということになったら、 その人は就職できないということになりますし、その人の権利の侵害にもなりかねませ ん。 ○長尾委員  それは、最終的に保険医に登録できるかどうかという話になれば完全にできますから ね。 ○冨永委員  だから、病院としては非常に重い判断ですね。 ○橋本委員  それはそうですけれども、未修了理由書は最後に出すんですか。 ○臨床研修指導官  そうです。 ○橋本委員  ということは、ちょっといろいろ問題が出てきますね。 ○臨床研修指導官  基本的には、プログラムを修了した時点で、様式の12又は13のどちらかが出るのでは ないかと思います。 ○橋本委員  様式が出るんですね。 ○臨床研修指導官  修了と認められる人は。 ○橋本委員  12を貰えない人は、13を貰ってしまうわけですね。 ○臨床研修指導官  そうです。その病院で引き続きやるのか、病院を変わる場合には11が出ます。 ○橋本委員  そうすると、もう一回1からやり直す可能性が高くなるわけですか。 ○臨床研修指導官  1からというよりは。 ○橋本委員  中断ならば。 ○臨床研修指導官  再開をさせる場合に、それまでの評価なり研修内容を十分考慮した上で再開すること になりますから。 ○橋本委員  未修了がですか。中断はそうですけれども。 ○吉田委員  2つ出るの。 ○橋本委員  そんなこと書いてない。 ○吉田委員  いまの1からやり直すというのは穏やかではないですね。 ○臨床研修指導官  それはないです。 ○吉田委員  それはいかんです。 ○橋本委員  中断は再開のところからでいいけれども、未修了はどうなのですか、いつから再開す るのですか。 ○長尾委員  2年といわれて、2年の修了時だったけれども、プログラムの修了時ということにな るのと、その2年という期間を設定するのとでは大きく違うわけです。2年半あって も、3年経っても、4年行ってもこのプログラムをきちんと修了すればいいという話が 先ほどありました。その話と2年というところで区切るのとでは随分話が違うので、そ の辺をはっきりしておかないと駄目なような気がします。 ○齋藤部会長  実際このような具体的なところは、制度設計のところでは、なかなかすべてを想定し ては作られていないので、どういうふうに。 ○篠崎委員  一つひとつ内科なら内科、こういうものが終わった度にそれぞれの病院で1回やるわ けでしょう。その中で中断があったり、再開があるかは知りませんが、結局2年経って も、よほどレアなケースなのでしょうけれども、そこで駄目な場合にこういう未修了が あり得るということなのではないですか。普通はないですよね。中断の時点で何か指導 するのでしょうけれども。  それからもう1つ、これは今回義務化になったけれども、努力義務での2年間という のがありましたから、そういうときにこれに当たるケースが事例的にあるのではないか と思うのです。そういう事例を集めて、こういう場合に中断だ、こういう場合にはやむ を得ず未修了だというレアでも修了証を出せないのだというのがきっとあると思うので す。そういうので具体例が出ればわかりやすいのではないでしょうか。 ○齋藤部会長  そうですね。 ○篠崎委員  努力義務ではなくて、義務化されたわけですから、臨床医になる者はこれを受けなけ ればならないことになっています。ならなくてもできるのでしょう、というのはそれは そうですけれども、そういうことは前提にしていないのです。受けることが前提になっ ています。  いままでで個別例のネガティブなものがあれば、もう少し理解しやすいのではないで しょうか。 ○矢崎委員  未修了証というのは、プログラムをきっちり作ってやったら病院の責任でもあるわけ です。そういうことをきっちりいけば、指導体制のほうの。ただ、先ほど言われたよう に、医師としての不適格で、どうしても駄目だとか、やはり臨床医に向かないのではな いかという判定、あるいは特別な理由で病院を変わるというときには何か出す必要があ るのですが、そうではない場合の未修了というのは、研修医だけの努力ではなくて、指 導医も、病院のプログラムもあるから、あなたは未修了ですと個人に出すのは。 ○齋藤部会長  病院は、容易には出せないです。 ○矢崎委員  病院としては、全員を卒業させないといけないです。医学部に入学した人は、何年か かっても教育して卒業させるというあれがありますよね。 ○医師臨床研修推進室長  先ほど篠崎委員がおっしゃったように、国民としては不適格な医師はというのはある ので。 ○矢崎委員  不適格な医師はいいのですが、そうではなくて到達目標に達せないから未修了証を出 して、あなたは駄目ですよということになるかどうかです。 ○医師臨床研修推進室長  そこの部分で、例えば不適格証などというのは出せないと思うのです。 ○矢崎委員  それは、出せないです。 ○医師臨床研修推進室長  そうではなくて、未修了証にするということなのかもしれません。あるいは、先ほど 矢崎委員がおっしゃったように、未修了ではなくて、あくまで中断ということで押し通 すというのは、それはそれでそういう一つの手もあるかもしれません。いずれにして も、免許を取れば、何でもかんでも全部合格にするという発想ではないと思うのです。 ○矢崎委員  修了認定をあげないということです。 ○橋本委員  修了証をあげないということだけでは駄目でしょうか。つまり、未修了理由書が2年 後に出る、というところに問題があると思うのです。 ○医師臨床研修推進室長  そこが、例えば自分ではちゃんと修了したつもりなのに、なぜ修了認定をくれないの だといったときに、文書できちんと、これこれこういう理由であなたは修了できません よと、それがこの未修了証になるのではないかと思うのです。未修了証というよりも、 未修了理由書ですね。 ○橋本委員  評価表をしっかりつければいいと思いますけれども。 ○医師臨床研修推進室長  それは書いてあります。 ○橋本委員  評価表をしっかりつけて、研修医が自分はこの点未修了である理由を納得できるなら ばいいかもしれません。評価表が大事になってくるのでしょうね。 ○医師臨床研修推進室長  この様式13にはそう書いてあります。 ○冨永委員  私は整形外科ですけれども、大学で評価者と研修医と評価しますと、どちらかという と指導者のほうが甘いです。受けるほうが厳しい自己評価をしています。それはおっし ゃるように、評価者や、あるいは評価項目が研修医にも十分認知されていて、お互いに 共通認識がないと、片方の評価は高くて、片方の評価は低いことになりますので、それ でトラブルが生じることになりかねません。十分お互いが認識して、評価項目につい て、評価基準について納得していることが大前提ですので、その辺はしっかりしておか なければいけないと思います。 ○西澤委員  いまの未修了ですが、これはあくまでも研修期間の修了に際しですから、2年間終わ ったときの話であって、いまの議論でいくと、不適切であればもっと早めに対応してい るはずですので、おそらくこれが現場で出されることはないのではないか。この前に中 断証ということで済んでいるのがほとんどだ、と考えていいのではないかと思います。 あくまでも、これは形式的にあるものだということで、実際は出されないという捉え方 のほうがいいような気がしています。 ○医師臨床研修推進室長  いま、いろいろいただいたご意見を基に、こちらでも整理させていただいて、次回に でも改めて整理したものを出させていただきます。 ○矢崎委員  プロセスをザックリ半年で評価するのは難しくて、一つひとつチェックするのは、E POCはプロセスで一つひとつやっているので、その辺を参考にして、そういうプロセ スを毎日毎日どのように研修医を評価していくかというシステムを作っておかないと、 施設によって判定のバラつきが多くなります。やはり、基本的な評価システムというの を、一方では作る必要があるのではないでしょうか。それが、EPOC方式にするの か、また別に篠崎委員のやられている方式と検討していただいてですね。 ○齋藤部会長  本日の段階では、フリートーキングで貴重なご意見をいただきました。大きな流れと しては、臨床研修必修化の精神を生かして、各施設で到達目標を達するように指導して いただくということで、そのプロセスを具体的に測定するような指針を作るというこ と。  もう1つは例外なのでしょうけれども、中断や未修了の場合をどのように取り扱う か。それから、最初のころに橋本委員からありましたように、女医さんからの要望を次 回に聞いて、具体的に詰めるということでしょうか。全般を通じてほかにご意見はござ いますか。 ○矢崎委員  先ほど吉田委員が指摘された、初期臨床と、後期は、こういうものはいまはないけれ ども、こういうのを作らないといけないということで入っているのだと思うのです。だ から、これは抹消ではなくて、こういうことを将来考えないといけないということでよ ろしいですか。 ○吉田委員  抹消なんて言わない。そこは日米と比較してそういうふうに書いてしまって誤解して いただいては困りますし、橋本委員がいま一生懸命やっておられますよね。それはその とおりです。この機会に是非ともここは真剣にやらなければいけないと思うから主張し ているところです。先ほど、篠崎委員がおっしゃったとおりです。この機会を逃がした ら、この辺を議論するのはずっと先になってしまいます。 ○齋藤部会長  ほかになければ、事務局から連絡事項お願いいたします。 ○医師臨床研修推進室長  本日は、長時間どうもありがとうございました。次回は、3月16日(水)の10時から 12時まで予定しております。場所は、決まり次第ご連絡いたします。  次回は、本日の議論を踏まえ、論点を整理させていただき、それを基にご議論いただ ければと思います。先ほどお話がありましたけれども、EPOCの評価システムについ て、関係者のヒアリングを予定しておりますのでよろしくお願いいたします。 ○齋藤部会長  本日はこれで終わります。ありがとうございました。               ┌―――――――――――――――――――――――┐               |(照会先)                  |               |厚生労働省医政局医事課            |               |  医師臨床研修推進室            |               |(代)03−5253−1111(内線4123)|               └―――――――――――――――――――――――┘