05/04/12 中医協の在り方に関する有識者会議平成17年4月12日議事録 平成17年4月12日 中医協の在り方に関する有識者会議            第3回議事録 (1)日時    平成17年4月12日(火)17:25〜18:59 (2)場所    霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 (3)出席者   大森政輔氏 奥島孝康氏 奥野正寛氏 金平輝子氏 岸本忠三氏         宮内義彦規制改革・民間開放推進会議議長         鈴木良男規制改革・民間開放推進会議議長代理         尾辻厚生労働大臣         <事務局>         水田保険局長 中島審議官 麦谷保険局医療課長 石原保険局調査課長         堀江保険医療企画調査室長 (4)議題    ○規制改革・民間開放推進会議議長からの意見聴取         ○座長選出         ○検討に沿った議論          (1)「診療報酬改定に関する企画・立案の在り方との関係を含めた            中医協の機能・役割の在り方について」 (5)議事内容 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、定刻前でございますが、先生方おそろいでございますので、少しでも時間 をと考えます。始めさせていただいてよろしゅうございましょうか。  それでは、始めさせていただきます。第3回の中医協の在り方に関する有識者会議で ございます。本日の途中まで座長代理を務めさせていただきますので、よろしくお願い を申し上げます。  本日は、規制改革・民間開放推進会議の宮内義彦議長と、それから鈴木良男議長代 理、お二人にお越しをいただいております。  そこで、まず、宮内議長より15分お話を賜り、その後15分、そのお話に対する質 疑をさせていただきまして、今日は全体1時間半を予定しておりますので、残り1時間 のところで早速に御議論をいただきたい、こういうふうに考えております。  それではまず、宮内議長、よろしくお願いを申し上げます。 ○宮内議長  ありがとうございます。御紹介いただきました宮内でございます。まず、本日はこの 場で発言の機会をいただきまして、有識者会議の皆様方、また尾辻厚生労働大臣に対し まして感謝申し上げたいと思います。  さて、規制改革・民間開放推進会議におきまして、これまで中医協の在り方を巡る検 討を行ってまいりました。本日は、それにつきまして簡単に御紹介させていただき、今 後の皆様方の御検討にもしお役に立てれば大変幸いだというふうに思っております。  資料を作らせていただきました。横長の「中医協の在り方の見直しについて」という 資料を1枚めくっていただきまして2ページをごらんいただきたいと思います。ここは もう言うまでもないことでございますが、国民医療費が約31兆円で、国民所得の 8.5%という莫大な額となっております。高齢化の影響もございまして、今後とも増 加傾向になると考えられます。国民医療費のうち52.6%、約16兆円が国民の負担 による保険料でございます。また、32.4%、約10兆円の公費が投入されており、 国民経済、国家財政へ非常に大きな影響を持つに至っております。  また、我が国の医療費のほぼ100%が公的医療保険であるということから、公的医 療費の公定価格とでも言います診療報酬、これにつきましては、医療機関の診療行動な どを方向づけ、規定するまでに至っていると、このような指摘もあろうかと思います。  次のページをごらんいただきたいと思います。ただいま申し上げましたことをイメー ジいたしましたのがこの図でございまして、本来、診療報酬の決定は医療政策に沿った 形で定められるものと考えられますが、現在は、診療報酬点数というものが医療機関の 行動形式を規定し、結果といたしまして医療政策を方向づけるという、言うならば逆転 が起こっているのではないかという指摘もございます。こうした診療報酬による政策誘 導化の原因といたしましては、現在、医療政策、我が国の向かうべき医療の在り方が必 ずしも明確になっていないこと、あるいは公的保険が医療の大宗を占めるに至った歴史 的背景もあると思われます。  診療報酬が政策に沿ったものであれば結果として許されるかもしれません。とはい え、まず、その政策ありきの診療報酬点数等の決定であるべきであり、医療政策の明確 化とそれに従った点数決定というのが本来あるべき姿ではないかと考えます。  なお、医療政策のよって立つべき基本的な姿といたしましては、国民皆保険の維持と いった国民のだれもが身近に受けたい医療を受けられるようにすると、こういうことは 当然であると思いますが、それとともに、我が国の医療の質や技術の向上に寄与するよ うな評価の在り方が必要ではないかと思われます。もしこうした視点を欠くということ になりますと、利害関係者間の調整によって診療報酬価格の方向という医療政策の根幹 が左右される、先ほど申し上げました主客転倒というような形のものになってしまうと 思われます。  次のページをごらんいただきたいと思います。以上のような観点から、私どもの会議 といたしましては、中医協改革につきまして、大きく分けまして2つの点を最重要課題 として考えております。  1つ目は、中医協の権能・役割の明確化と限定でございます。医療政策の決定主体 と、それを実現するためのプロセスにおける中医協の位置づけ、これを原点に戻って見 直す。いわば機能論といいますか、中医協の機能は何であるかということでございま す。  2つ目は、中医協内部の改革についてでございまして、いわば組織論とも言えるかと 思います。  まず、我が国の医療の在り方などの医療政策と国民負担に関係する改定率などについ ては、利害調整の場である中医協ではなく、政府が決定すべきではないか、政府の主導 性を明確にすべきではないかということでございます。すなわち、中医協の権能を明確 にし、機能を限定すべきではないかと考えるわけでございます。医療政策は、それは単 独ではなく、国の在り方から社会保障の在り方、そして医療の在り方といった大きな枠 組みの中で考えるべきであることは言うまでもございません。そうしたさまざまな分野 との関係において、国民全体の利益という広い観点から政府が医療政策を決定すべきで あり、利害調整の場である中医協で実態的に医療政策が方向づけられることには問題が あるのではないかと考えます。  なお、医療政策は、与党や社会保障審議会等で議論されているということは承知して おりますが、これは政府において決定し、より明確に政府の主導する姿をつくるという ことが必要であると考えております。  中医協は、厚生労働大臣の諮問機関であり、決定機関ではないということは明らかで ございますが、実際はあらゆる場面に中医協の関与がなされているように見受けられま す。いかなる観点でいかなる権能でそうした関与がなされるのか、ある意味では不明、 不透明なことが多くあり、医療に関しては中医協は何でも関与してもよいといった風潮 になってしまったのではないかと懸念しております。  したがいまして、中医協が保険点数価格等の決定における厚生労働大臣の諮問機関に すぎないことを明確化し、その権限を明確化、限定すべきではないかと考えます。  2つ目でございますが、中医協が診療報酬価格などを客観的、科学的にデータに基づ いて公正、中立に審議できるような中医協内部の改革が必要ではないかと考えます。せ っかく政府が決定した医療政策でも、中医協での審議の過程で政策のねらいからそれて しまってはどうしようもありません。また、価格等の決定にかかわる審議が恣意性に左 右されてはなりません。政府においてさまざまな観点を踏まえ決定された政策が、忠実 に価格等に反映されることが重要でございます。  政策と価格のミスマッチの一例といたしまして、例えば病院と診療所の病診格差の問 題が挙げられると思います。同じ診療を受けても病院で受診した方が診療所より安くな るということでございます。これにお気づきの方なら、フリーアクセスで病院だろうと 診療所だろうとどこでも受診できるということでございますから、安く受けられる病院 に行きます。しかし、現在の医療における政策、方針では、病院に集中する患者さんの うち診療所で対応できる患者さんは診療所で受診を促すような方針がとられているはず でございます。この診療所に手厚い配点は、病院に患者さんを促す原因ともなりかね ず、診療所へ患者さんを促そうとする政策とは逆行してしまいます。こうした点にも政 策と診療報酬価格決定との間のひずみがあらわれているのではないかと思います。  また、高度先進医療への配点が相対に低いなどのひずみにつきましても、例えば東大 病院などの大学病院から指摘されているところでございます。  以上の2つの最重要課題につきまして具体的に実行すべき改革事項を次のページで申 し上げたいと思います。5ページでございます。  まず1つ目の事項、中医協の権能・役割の明確化と限定について詳細な点を御説明さ せていただきます。四角く囲った枠内の1つ目をごらんいただきたいと思います。少し テクニカルな点になりますが、診療報酬改定の際に、中医協は「診療報酬改定の基本方 針」を決定いたしますが、これはどこに重点的に配点するか、どういった加点の検討を するかといったことについての基本方針、いわば医療政策の個別方針といった性格のも のであると考えております。現在これは中医協で検討され、中医協で決定されておりま す。この基本方針の決定に際しては、社会保障審議会や与党の大綱などの指摘を参酌さ れていると承知しておりますが、実態といたしましては、厚生労働大臣から白紙委任さ れているのではないかというふうにも考えられます。こうした基本方針については、政 府が医療政策の実施方針を明確にし、保険適用範囲の大枠等を策定した上で中医協に諮 問するべきであると考えます。中医協はこうした大枠、方針の中で答申をするのがある べき姿ではないでしょうか。あくまでも政策、保険適用範囲の大枠は政府が決定すべき であり、中医協はその範囲内で決定すべきであると考えます。  2つ目にありますが、診療報酬の改定時以外にも昨年議論がありました「混合診療」 あるいは特定療養費制度、包括支払制度等の診療報酬体系など、医療政策の根幹にかか わるような議事については、利害調整の場である中医協がその是非を了承・決定するべ きではなく、国の政策の在り方として政府が導入の有無を決定するべきだと考えます。  また、国費が投入されているということから、税負担を含む国民負担の決定という重 要事項であり、予算に絡む改定率につきましても、政府が決定するのが当然だと考えま す。なお、改定率の決定に関しましては改定の根拠となるデータ、決定過程を国民に明 らかにするなどの一層の透明化を行い、国民に説明責任を果たすこと、また、改定にお ける明確なルールの設定は不可欠であると考えております。  次のページをごらんいただきたいと思います。次に、診療報酬点数等を明確なルール に従って中立・公正・透明に審議するために、中医協の内部改革案につきまして取りま とめました。まず、委員の構成の見直しといたしまして、1、公益委員を全体の過半数 に増員すること、2、推薦枠、すなわち関係者団体への推薦依頼を廃止するという2点 でございます。  現在、診療側委員に関して、特に日本医師会が8名中5名を独占するなど特定団体へ の偏りが目立っております。さまざまな分野の方に直接に参加していただき、広く公正 に審議していただくためには、現在における医療への貢献から考えても、病院団体の方 などに直接参加していただくなどが重要ではないかと考えます。現在医師会枠で病院団 体の委員が参加されており、十分に意見が出されているのではないかという指摘もござ いますが、しかし、過去医師会の意向に反した医師会推薦枠の日本病院協会副会長が中 医協委員の辞任を要求された事件というものもございます。自由な立場での発言ができ ますように、他人枠内の参加ではない直接参加が絶対必要なのではないかと考えており ます。  また、委員数決定に関しても、特定団体に偏らず、恣意性や力関係で人数が決まらな いような何らかの客観的基準が必要ではないかと考えております。支払側委員に関しま しても、現在の保険者の在り方を踏まえ、より被保険者の声が審議の場に届くような委 員構成を検討されてはどうでしょうか。  また、事後評価も重要であるというふうに考えております。診療報酬決定が政策に沿 った決定になっているのか、また、価格改定や決定の影響などについて、レセプトなど の客観的データに基づいて事後評価し、これを次の決定に活かすことも重要だと考えま す。こうした事後評価は、公益委員が果たすことを期待するとともに、中医協外部の第 三者が外からさまざまな視点から評価していくことも必要と考えます。  なお、委員の任期につきましては、2期4年を上限として、特定の人物がイニシアチ ブをとるというようなことがなく審議が行われるようにすべきではないでしょうか。  最後のページでございますが、これまでお話ししてまいりました医療政策と診療報酬 の決定方法についての見解を簡単な図に示させていただきました。御参考にしていただ ければと存じます。現在中医協に集中している機能を見直し、適切なチェック・アンド ・バランスが働くような役割分担、これを明確にすることが最も重要なポイントである というふうに考えるわけでございます。  以上、規制改革・民間開放推進会議の考えております中医協の在り方につきまして、 大枠でございますけれども、お話しさせていただきました。ありがとうございました。 ○尾辻厚生労働大臣  どうもありがとうございました。  それでは、ただいまの御発言について御質問等ございましたら、どうぞ御自由にお出 しをいただきたいと存じます。 ○岸本氏  まず一番最初の国民医療費31兆円、対国民所得8.5%というのは、宮内議長、こ れは高いと思われますか、安いと思われますか、いろいろ、その立場立場によるのです けれども、どういうふうにお考えですか。 ○宮内議長  先進諸国の中では決して高い方ではないのではないかというふうに思っております。 それからもう1つは、国民の医療というかもう少し広い健康に対する関心ですね、そう いうものは非常に高まってきておりますから、国民の立場からいえば、そういう健康維 持という意味で、例えばもう少し支出するということについては、ある意味では賛同が ある社会になったのかなという感じがいたしますけれども、おっしゃるとおり、31兆 円は膨大な金額でございますけれども、これで8.5%でどうしてもとめないといけな いというレベルとは言い切れないと私は思います。 ○尾辻厚生労働大臣  いかがでございましょうか。先生方、どうぞ。 ○大森氏  この4ページに「医療政策の基本的な考え方や方向性を政府が公正、中立、透明な手 続きを経て決定すべき。」という記載がございますが、この政府が決定すべきだという のは、具体的にはどこの組織でどういう構成主体で決定すべきだというお考えでござい ますか。 ○宮内議長  当会議で議論した意見ではございませんので、私個人の意見を申させていただきます と、いろいろな段階があるのではないかと思うのです。例えば、国民負担率をどのあた りでとどめるべきかというようなことは、もうまさに国の政策として一番重要なことで あって、そこから、例えば社会保険料の総枠、そして医療保険の総枠というようなとこ ろへおりていって、そして例えば医療保険でございますと、その中で例えば高度先進医 療にどの程度持っていくか、あるいは小児医療にどの程度持っていくかというようなこ とで、恐らく、本当に政府のトップの内閣で決める部分と厚生労働省の御担当のセクシ ョンで決める部分と、いろいろな段階で分けていくと。その仕分けをきっちりとして、 そして、その段階段階において透明な議論、そして国民を説得し、納得していただく と、そういう作業が必要なのではないかと思います。 ○奥野氏  大変興味深いといいますか、筋が通った御意見だというふうに思うのですけれども、 ただ、我々が議論していく上で、ちょっとよくわからないといいますか、抽象的な意味 ではよくわかるのですけれども、多分ここでは具体的なことをある程度話をしなければ いけないのではないかと思うので、ちょっと教えていただきたいのは、要するに、基本 的方針は政府でやって、具体的なことを中医協でという御趣旨だと思うのですけれど も、その具体的なことの範囲といいますか、改定率というのはどうも政府らしいのです けれども、例えば一つの我々が事務局から御説明を伺った中では、中医協で今まで議論 しているものは、価格表の部分と品目表の部分がありますというような話があって、そ ういうことも含めて全体の改定率、それから品目表、価格表、あるいはもっと細かく、 どこら辺までを中医協で議論すべきだというふうにお考えになっていらっしゃるのか、 お教えいただければと思います。 ○宮内議長  中医協というのは、医療保険料をどのように配分すれば最適であるかということを議 論する場であります。何に基づいて最適かということにつきましては、先ほど申し上げ ましたように、国としての政策、医療政策ということがきっちりと明確になった段階 で、その政策に沿う、その政策が最大に生かされるように配分していくということが、 私は中医協の仕事であるべきだと思います。  したがいまして、先ほどから申し上げましたように、この医療政策ということをきっ ちり議論して、できるだけしっかりした枠を与えて、この範囲内でこういう政策にのっ とって点数配分、今年は例えば予算から見てこうだと、どれだけ持っていくのかとか、 例えば老人医療に持っていった方がいいか、小児医療に持っていった方がいいかとか、 もっと個別具体的には新しい技術に対してそれをどう評価していくかというようなこと を政策に沿ってやるべきであって、中の委員の、言うならば調整能力というものに頼る べきではないというのが私どもの考えでございます。 ○鈴木議長代理  今の御質問ですけれども、逆に言いますと、現在の中医協の運営はどうなのかという と、これはさっき白紙委任と大臣に対して失礼なことを申しましたけれども、実際はそ ういうことなのです。そういたしますと、31兆円という総予算があったと、それを利 害関係者の間で言ってみたら取り合いをすると、こういうことにもなるわけです。その 取り合いをした結果、それには一つの理屈が要りますから、理屈をつけるのに、そこに 政策というのが顔を出してくるというのは、これがさっき宮内が言った逆転現象だとい うことになるのではないかと思います。  ですから、さっきも事例がありましたけれども、診療所と病院と、普通に聞いたら、 やはりホームドクターというのがおって、そのホームドクターを活かす制度にしていこ うと厚生労働省さんも考えておられる、それは私も正しい方向ではないかと思う。そう なったら、そちらの方が入りやすいようにするのが当たり前なのに、しかし、診療所経 営ということをおもんばかるあまり、診療所の初診料の方が高い、病院の方が安いと、 こう奇妙な話になってしまうわけです。そうすると必然的にどうなってくるかという と、政策は何かと振り返って戻っていくと、要するに、発想としては政策から個別に来 るべきなのに、結果から政策に行くものだから、やはり診療所経営ということになっ て、肝心な国民のフリーアクセスという方針はどこへ行ってしまったのだと、こういう 姿があまりにも見られますものですから、そういう点をぜひ是正しなければいけない。 だから、要するに、今の問題でございましたら、例えば、診療報酬を改定するに当たっ ては、何を視座に、視点に置くのか、経営を視点に置くのか、それともフリーアクセス というのか、患者の便宜というものを視点に置くのか、ここら辺がポリシーだと私は思 います。そのポリシーをはっきりしませんと、「最初に取り合いありき」ということに なったら、今のような結果が出てきて、全然政策になっていないではないかという話に なってくる、こういうところにあらわれているかと思います。 ○金平氏  この内部の改革の中の第1に、公益委員を全体の過半数に、こういうふうにございま すが、この公益委員の在り方というか、これは量の問題、数を増やすということだけで はなくて、やはり公益委員の役割、何かそういうふうなものもこの改革会議としてはお 考えになっていらっしゃるのでしょうか、そこら辺のところをちょっとお聞かせいただ ければと思います。この欄の一番下に、例えば事後評価というふうな問題がございます ので、多分、この事後評価というのは中医協の今内部的にもお考えになっていらっしゃ るようですけれども、ここら辺のところは、まさに現在の中医協の公益委員にはまだ課 されていない役割かと思いますけれども、そこら辺のところをもう少しお願いいたしま す。 ○宮内議長  最後の7ページの図は、今の中医協というのは、政策決定も、配分も、言うならばチ ェックも一体としてやっているという形になってしまっている。そういう意味では、組 織が有効に機能するには、チェック・アンド・バランスという意味で、別組織にする か、内部にするかということは別にいたしまして、やはりこのチェックをする機能は強 くないといけない。そうすると、やはりそれは公益委員というところに多くを期待する と、内部で公益という立場で議論される方々、それからもう1つは、公益委員だけに任 せておいていいかということになりますと、これはやはり、中医協の持つ影響力の大き さというようなことから考えますと、プラス第三者的な組織というようなものを十分考 慮するだけの重要性があるのではないかという考え方もあるわけでございまして、そう いう意味では、公益委員のお一人お一人にどういう知見が必要かというところまで、実 は内部では議論しておりませんけれども、公益委員の現在の形は、少しというか、極め てと言ってもいいと思いますが、弱々しい立場でございますね。だから、それをやはり 過半、公益委員というのは中立ということでなく、私は医療の受け手である国民という ことだと思います。ユーザーという意味で、国民あるいは患者、これを代表するという のが公益委員であり、そしてやはり公益委員だけでは立場がありますから、全く別の第 三者によるチェックというものもあった方が恐らくいいのだろうというふうに思ってお ります。 ○奥島氏  今の点に関連してですけれども、実は、中医協の権能と公益委員の在り方についての 今宮内議長からの御提言は、矛盾しているのかしていないのか、ちょっと私、そこのと ころをお尋ねしたいのですけども。というのは、この中医協というものが徹底した諮問 機関であるということになりますと、医療政策は政府が決定することです。そうする と、要するに中医協の運営の方においては、むしろ労使みたいに支払側と医療側とが徹 底してその利害関係をぶつけ合って、それで問題を明らかにしていくという機能を果た した方が、政府がその裁定をするときに、この医療政策というものを明快に打ち出すこ とができるのではないか。なぜならば、例えば国民皆保険に近いドイツの場合であると かフランスの場合は、御存じのように、診療側と支払側によって構成されているわけで すね、この問題は。というのは、そこで両者がそれぞれの意見をぶつけ合い、あるいは どうしても意見がまとまらない場合には、また別の裁定の方法があるようでありますけ れども、そういうふうにして問題点を明らかにし、その明らかになった問題点を踏まえ た上で政府が要するに医療政策というのを明らかにしていく。これはある意味の労使交 渉みたいなネゴシエーションの方式の持つ、あるいは別の言い方をしますと、マーケッ ト的な考え方にのっとったこの問題の解決方法に近いのではないか。とすると、そこに おける公益委員の在り方というのは一体どういうことになるか、これは私は自分自身の 疑問として思っているわけですけれども、ドイツ、フランスのように、むしろ公益委員 がない方がいいのか、あるのだったらこれはかなりの人数が要るのではないか、という ところでもって決しかねているようなところがありますので、その点について御意見を お伺いしたいと思います。 ○宮内議長  これは私見でございますけれども、まず、今奥島先生のおっしゃいましたのは、理想 形のところから考えての御質問かと思うのですけれども、現在の中医協ということを考 えますと、言うならば、診療側が非常に力が強くて支払側は極めて弱い、そして公益側 が完全なマイノリティーというような形で、結局、診療側の意見が非常に強く反映され ているというのが現実ではないかというふうに思います。先ほど申し上げましたよう に、しかもそれが医療政策にまで及んでいってしまう、下から上へ上がっていって、医 療政策が何となくつくられたと、これが医療政策かなというような結果が医療政策であ るというふうになってしまう懸念もあるし、現実はひょっとしたらそうなっているのか もしれないわけでありまして、それを私の図で逆転すべきだということを申し上げまし た。けれども、そこへ行くまでに、まず、今の姿をやはり変えないといけないというこ とになりますと、良識のある労使が交渉し、そこで妥協点を見出すということを考える よりも、やはり公益委員の力を強くして、いわゆる受け手である国民の意見はこうだと いうことを強く言って、労使に当たります診療側と支払側との意見調整に大きく関与し た方がいいのではないか。そうでないと、恐らく、下手をすると、さらにここで公益委 員のプレゼンスを小さくいたしますと、ぶつかり合ってしまって、中医協でひょっとし て意見がどうにもまとまらなかったということになってしまうというようなこともあり 得るのではないかというふうに思いますが、そういう意味では、理想形より今ははるか に違う方向へ行っているという現実から、やはり公益委員のここの役割ということを重 視したいというのが私どもの今の考えでございます。 ○鈴木議長代理  全く同意見なのですけれども、先生がおっしゃったのは、一つの問題解決としてうま くファンクションすればよかったわけですけれども、それと、その今の問題、そういう ようなやりとりでどこかの機能不全があった、例えば公益委員なら公益委員の力がそれ だけの機能不全があったという問題と、あまりにも長い任期という問題が重なって、そ れが今回の不祥事の原因になってしまったわけですね。ですから、現在の中医協におい ては、今おっしゃられたような理想形のものがファンクションしていない、だからつく り直していただきたいと申し上げたい。もちろんその中に入るのは、中医協で議論した ときには三者構成堅持と、もう全員口をそろえて主張しておられますけれども、医療側 あるいは支払側、あるいは患者の側、そういう人たちが入っても、それは当然入ってい いと私は思います。ただ、そのときにある団体の推薦という形だと団体拘束を受けてし まうわけです。団体の利害の代弁者になってしまう。だから、そういう人たちができる だけ中立の公正の立場で物が言える、言ってみたら、全員がある意味では公益性を持っ た公益委員だというようなものに一回つくり直しをしないとこの問題は根が深くて、解 決しないと私は思っておりますので、理想形は、その後にまたそういう状態が醸成され てくるならばと私は思っています。一回は壊さないとだめではないかというのが私ども の問題認識でございます。 ○奥島氏  一言。要するに、こういうことですか、中医協の権能を諮問機関として純化させてい ったとしても、事実上はこの中医協の内部で医療側の力が、あるいは医療側の主張とい うものが政府の政策を実際には動かしてしまうという、その現実にある懸念がどうして も払拭できない。そのためには中間的な策をとるのであれば公益委員を増やせと、こう いう御意見だというふうに承りましたけれども、それでよろしゅうございましょうか。 ○宮内議長  そういうふうにお考えいただいても結構だと思います。いずれにいたしましても、現 在のような形から抜本的に変えないと、日本の医療というのは、せっかく立派な国民皆 保険制度をつくっても、さらなる進歩という方向性がなかなか出てこないということを 懸念しているわけでございます。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、先生方の御質問も一巡をいたしましたし、お願いいたしました時間ちょう どでございますので、質疑はこのあたりにさせていただきたいと存じます。  それでは、宮内議長、鈴木議長代理、どうもありがとうございました。              〔宮内議長・鈴木議長代理退席〕 ○尾辻厚生労働大臣  それでは次に、この会議の検討事項となっております6つの論点について御議論をい ただきたいと存じます。  まず、検討事項については一つ一つ御議論をいただきながら、一定の方向を出してい ただく形で進めていきたいと存じます。  それではまず、今後のスケジュールについて御説明を申し上げたいと存じます。  資料1をごらんいただけますでしょうか。資料1というものが差し上げてございま す。先日来のまず第1回、第2回の会議、そして本日の第3回の会議ということでお示 しをしてございます。この後の日程も日取りを入れさせていただいております。  そこでまず、本日は、最初の検討項目でございます「診療報酬改定に関する企画・立 案の在り方との関係を含めた中医協の機能・役割の在り方について」、早速御議論をい ただきたいと考えております。そして、この後、まず2回ほどで一回り議論をしていた だきたいと思いますので、6つの論点を3つずつに分けて御議論いただきたい、こうい うふうに考えてお示しをしたところでございます。  いかがでございましょうか、こういうまずスケジュールでよろしゅうございましょう か。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、このスケジュールで今後の御議論をいただきたいと思います。  それでは、前回お願いいたしましたように、ここで座長をお決めいただいて、今後の 議論はその新しい座長さんの下でお進めをいただきたいと思います。  座長さんを互選でお決めいただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。 ○奥島氏  御推薦申し上げたいと思いますが、こういう委員会とか、それから審議会とかいうよ うなものについて、運営の上では最もなれておられるというか、そういう面でのベテラ ンであられます大森先生にお願いしたいというふうに思いますが、いかがでしょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○尾辻厚生労働大臣  大森先生という御意見が出まして、早速にもう「異議なし」というお声も出ましたの で、それでは、ぜひ座長を大森先生にお願いをいたしたいと存じます。どうぞよろしく お願いをいたします。  まずは、座長としての御挨拶をお願い申し上げます。 ○大森座長  この種の会議、決してなれているわけではございません。しかも内容に即しますと、 非常に大役ではございますけれども、皆様方の協力を期待いたしまして、一生懸命務め させていただきたいと思います。よろしくお願いします。 ○尾辻厚生労働大臣  それでは、この後は座長さんのお席を少し考えたいと思いますが、今日はそれでは申 し訳ありませんが、その場で座長をお務めいただきますようにお願いを申し上げます。  それでは、この後どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○大森座長  議事進行の方法につきましては、ただいま大臣から発言がございまして、その方針で まいりたいと思います。  そこで、本日は第1議題でございますが、中医協に関する基本的な問題が含まれてい るように思いますが、それを分析しますと論点が多々あります。したがいまして、事務 方より前回説明がありましたような論点の分析に従いまして、本日はまだ方向性を出さ ないということのようでございますから、原則としてその順序に従い、しかし、それに とらわれず、フリートーキングのような形で本日は進めてはいかがと考えます。そし て、それを踏まえまして、次回に前半で議論をできるだけ取りまとめたいという方向で 進めることで、よろしいですか。 ○金平氏  結構でございますが、ちょっと確認させていただきたいことがあります。よろしゅう ございますか。 ○大森座長  はい、どうぞ。 ○金平氏  前回星野会長さんがおいでになりまして、中医協でのこの見直し、内部での見直しの お話がございました。そのときに、中医協の論議は、中医協というものの今後考えるの に、長期的なものと短期的なものとがある。長期的なものになると法律の改正とかそう いうものも含まれるので、内部的な論議としては短期なものに限ってやりました、こう いうお話でございました。  しかし、ここでの論議は、今後の在り方として、今の宮内さんの話もございますが、 基本的なところから考えなさいと。大臣も一番最初にそうおっしゃったかと思います。 そこら辺のところは、前回の星野会長のお話よりも少しはみ出しても構わないのかどう か。最初に確認させていただきたいと思います。 ○大森座長  このあたりは大臣から御説明いただいた方が適当であろうかと思います。 ○尾辻厚生労働大臣  この会議に私どもがお願いしましたことは、幅広い御議論をお願いしたい。決してと りあえずの話だとか、短期的な話だとか、そういう限定つきではありませんで、もっと 基本的なこと、幅広い御議論、中医協がいかにあるべきかということで答えを出してい ただきたいということでお願いをさせていただいたものでございます。 ○金平委員 ありがとうございました。 ○大森座長  法改正に及ぶような内容も含むということでよろしいですね。 ○尾辻厚生労働大臣  そういうものもあり得べしというふうに考えております。 ○大森座長  では、資料が用意されているようでございますので、まず、資料について説明がござ いましたら、よろしくお願いします。 ○事務局(中島審議官)  それでは、私の方から資料に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。  お手元の資料2−1につきましては、前回も提出させていただきました「論点(たた き台)」を若干修正したものでございまして、おおむね同様の内容でございます。した がいまして、後ほど少々触れさせていただきますが、主として参考資料の方を御説明さ せていただきたいというふうに思います。なお、資料2−2につきましても、図示した もので、前回お出ししたものでございます。  資料3をまずごらんをいただきたいと思いますが、参考資料のリストでございます。 1が所掌事務の関係、2が保険導入手続の明確化の関係、そして3が改定に当たっての 基本的な考え方の整理の問題、そして4が改定率についての問題、そして5がその他と いう内容でございます。  まず、資料3−1、所掌事務の関係から御説明をさせていただきたいと思います。中 医協の所掌事務につきましては、この上の四角に書いてございますように、診療報酬あ るいは療養担当規則を定めるときに、中央社会保険医療協議会に、厚生労働大臣が諮問 をするものとするという規定ぶりになってございまして、これは健康保険法82条でご ざいます。そして、中医協につきましては、社会保険医療協議会法の中で書いてござい まして、厚生労働大臣の諮問に応じて審議、答申するほか、自ら建議することができる ということになってございまして、その具体的な内容について、以下の二重線の中に書 いてございます。以下の2ページは、その根拠となる条文でございます。  次に、資料3−2ございますが、これは、保険導入手続きの明確化に関してどのよう なことを行っているかということでございます。中医協に、調査専門組織というものを 設けておりまして、その中で特に新しい技術の評価、導入を検討する際には、医療技術 評価分科会というものを設けておりまして、その概要を1ページ目に書いてございま す。  また2ページ目には、その母体となります調査専門組織について書いてございまし て、この調査専門組織は、先ほどの医療技術評価分科会のほか、DPCという包括評価 についての分科会、それから慢性期の包括評価についての調査分科会、また、コスト調 査分科会という、4つの評価分科会を持っておりまして、これらについても調査・分析 を行っているということでございます。  そして3ページ目でございますが、ただいまの調査専門組織のほかに、高度先進医療 という特定療養費の分野につきましては、別に高度先進医療専門家会議というものも設 けてございまして、ここで特定承認保険医療機関、高度先進医療技術等についての議論 も行っているという構造になってございます。  そして4ページ目、最後のページは、いわゆる「混合診療」問題への対応の考え方と いうことで、昨年末来、この問題の解決に向けまして新しい仕組みを今後導入していこ うという考え方でございます。  次に、資料3−3の関係でございます。診療報酬改定に当たっての基本的な考え方に ついてでございますが、これに関しましては、初めの数ページに、健康保険法の一部を 改正する、平成14年の際に設けられました附則に基づきまして、医療保険制度の改革 に向けての基本方針が15年3月に閣議決定されてございますが、その中で、診療報酬 にも言及されているということで御紹介をしております。この真ん中のページでいきま すと5ページをお開きいただきたいのですけれども、下の方に、「第3 診療報酬体系 」ということでございまして、記述がございます。今後の診療報酬体系に向けての基本 的な考え方、そして次のページには基本的な方向、ドクターフィー、ホスピタルフィー 的な要素を明確にしていくというようなこと等々が、基本的な方向あるいは方針という ことで書かれているということで御紹介をしてあるわけでございます。このような記述 が8ページまで続いてございます。  その次、右下のページで11ページでございますが、診療報酬改定をこれまでおおむ ね2年ごとに行ってきているわけですけれども、その際には、改定の前年の末に、改定 の基本方針というものを出してございます。11ページの資料は、16年度改定に向け ての基本方針を15年12月にまとめたものでございます。先ほどのお話にも若干言及 されておりましたけれども、中医協の中でそれまでの議論をまとめて、次の改定に向け てこういった方向でこういった内容の改定をしようということをやや具体的に取りまと めた文書ということでございます。これに基づいて、改定率が決まった後、年明け、具 体的な点数についての議論も進んでいくということになるわけでございます。  それから、次の資料は右下のページで17ページでございまして、「診療報酬体系の 在り方について 意見書」というものでございます。これも先ほど言及がございました が、医療保険福祉審議会制度企画部会というところで議論された診療報酬についての意 見でございまして、中医協の外で政策的なものについて御議論をいただいているという ことの例示ということでお示しをしてございます。なお、この内容は大部にわたります ので割愛させていただきますけれども、最後のページにこの部会の委員名簿がございま して、これは金平委員に部会長をお願いしてございまして、取りまとめをいただいたと いう経緯があるものでございます。  次、資料3−4でございますが、診療報酬改定におけます改定率の議論の問題でござ います。前回の御議論の中でも、改定率、改定率というのは一体どういう意味なのだと いう議論もございまして、それも含めてお示しをしているわけでございます。ごく簡単 に申し上げますと、資料3−4の1ページにございますように、診療報酬の総和といい ますのは、初めの式に書いてございますように、個々の行為あるいは値段の単価掛け る、それが何回行われたか、あるいはどれだけ使われたかという数量の総和として表さ れるわけでございまして、これが改定した場合に、新しい点数の下でどれだけの回数が 行われるかというものを総和をいたしまして、その比をとるということで改定率という ものを表しているということでございます。新しい点数でどれだけの行為が行われるか ということは、予測が難しいところもあるわけですが、そこは前回の数字を用いざるを 得ない。一部は予測によらざるを得ないというような制限はございます。しかしなが ら、改定率という概念はそのようなものとして取り扱っているということでございま す。  以下、その改定率に関する考え方及びその予算編成においてそれがどのように使われ ているかということについて解説をしてございます。これをもとに医療費の伸びなどを 想定いたしまして、予算編成における国の予算の算定をしているということでございま す。  それから、この改定におけます中医協の意見というものが取りまとめられるわけでご ざいますが、これは5ページからごらんいただきたいのですけれども、次の改定に向け てどの程度の改定をすべきかということについて、これまで、最近では、「中医協意見 とりまとめ」という形で意見をまとめてございます。この中には、改定率にまで言及を している場合、していない場合もございますし、さらにさかのぼりますと、諮問・答申 という形でこの意見を取りまとめている場合、あるいは建議という形でやった時代もあ ったということでございます。詳細につきましては省略をさせていただきます。  そして、資料の最後でございますが、3−5でございます。1ページ目は、診療報酬 の決定の方法につきまして書いてございますが、昭和初期の段階では、支払側と診療側 の契約によって決められていたということもございまして、人頭割請負方式というよう な方式であった場合もございます。その後、昭和19年に社会保険診療報酬算定協議会 というものが設置をされまして、昭和25年に現在の中医協という形で発足をしたとい うことでございます。  そして2ページ目でございますが、この新しい方式の下での告示という形で診療報酬 改定をお示しすることになっておるわけでございますが、この審議が必ずしも円滑に進 まなかったケースがございまして、昭和40年の段階で、支払側は審議を継続を主張さ れたのですけれども、診療側は即日答申を主張されまして、公益委員の報告書という形 での意見をもとに大臣が職権告示を行ったというケースでございます。この件につきま しては裁判になりまして、1審の東京地裁におきましては、職権告示の効力の停止を求 める旨の決定がなされたわけですけれども、2審の東京高裁におきましては、その決定 を取り消しまして、効力停止ということになったわけでございます。この間、訴訟その ものが取り下げられたということもございまして、職権告示につきまして最終的な司法 の判断は示されていないという状況がございますが、こういった経緯もあったというこ とで御紹介をさせていただいております。  以上が、背景となります事実関係資料でございまして、これをもとに資料2−1を再 度ごらんいただきたいのですけれども、本日御議論いただきたい点、診療報酬改定につ いての企画・立案の在り方と、それから中医協の機能・役割の在り方ということでござ います。これは繰り返しになりますので、ごく簡単にさせていただきますが、診療報酬 の性格としての品目表、価格表の問題、そして、大臣が中医協に諮問するということの 事実関係でございます。  そして、2ページ目でございますが、改定率につきましては、「政府の権限」という 表現をしてございますが、最終的にはそういった形で予算との関連で決まっていくとい うような事柄でございます。  論点でございますが、保険適用とする診療行為の範囲についての論点、これを中医協 の中で議論すべきか外で議論をすべきかという問題、あるいは改定の前提となります基 本方針について、これをどこで議論をすべきかというような論点、そして、3ページ目 でございますが、改定率の決定について中医協での議論の必要性の問題、そしてさらに 四角の最後でございますが、そもそも中医協の機能・役割の在り方、三者構成の問題も 含め、厚生労働大臣の権限と中医協の機能との関係というようなあたりが論点ではない かということでお示しをさせていただきました。  以上でございます。 ○大森座長  どうもありがとうございます。  では、残された30分程度、意見の交換をしたいと思いますが、御意見ございました ら、どうぞ。  本日のところはフリートーキングですから、この論点の順序にこだわらず、自分の関 心のあるところから御意見をお出しいただいたらいかがでしょうか。 ○奥野氏  強い意見とかを言うよりも、そういう座長の御発言なので、私自身の疑問をちょっと 述べてみたいのですけれども、前回の星野会長の御説明ですと、中医協というのは疑似 マーケットであるというお話であって、いわば診療側と支払側とが、こういった言い方 は悪いかもしれませんが、ある種の分捕り合戦をやるといいますか、高いお金をつけた い側と買いたたきたい側とがいわばマーケットでやりとりをする場だというふうに伺っ たのです。それで、私自身は必ずしもそういうふうには思っていなかったのですが、も しそれが本当に中医協の実態であって、会長さんもそういうふうにおっしゃるのだった らば、そういう部分と医療政策の基本方針を策定することというのが同じ場でやられる というのは、何か非常に違和感を感じているのです。いわば、本当にちょっと言葉は悪 いかもしれませんが、分捕り合いと国民にとっての大方針というものが、同じ場で、同 じ土俵で闘わされるということが望ましいことなのかどうかと、ちょっと私は疑問に思 っているので、もしほかの委員の方で御意見等がありましたら、ちょっと伺いたいなと いうふうに思います。今、感想です。 ○大森座長  今の点、いかがでしょうか。 ○金平氏  私もそう思います。先ほど宮内さんは、今後は健康という問題も大変大きく国民の関 心があるのではないかとおっしゃいましたけれども、私も21世紀のやはり国民の関心 というものは、医療・保健・健康というものに大きくシフトするだろうと思います。そ の中でやはり非常にあまねくこの医療保険がカバーする日本の制度というのは、私は大 変すばらしいと思ってこれを堅持しなくてはいけないという前提に立っておりますけれ ども、そうだとすると、やはりこれにどれぐらいのお金をかけていいのか、こういうふ うな問題も当然考えなくてはいけない。しかし、それは今までがなかったということで はなくて、国民に見えないところで何か決まっていたというふうなところ、ここら辺を やはりはっきりこの際した方がいいのではないかというふうに私は思っています。 ○岸本氏  先ほどの宮内議長のお話の一番最後のページですけれども、政策医療に関する政策決 定は政府が行い、それぞれ個々の点に関しては中医協に諮問して点数とか単価とかを決 めるという仕組みにした方がいいという意見なのですけれども、そうすると、政府とは 何かというと、日本の医療ということに責任を持つ政府というのは、厚労省、厚労大臣 であって、厚労大臣が諮問するところが中医協ということになると、政府が決めるとい うことは、ある程度中医協が決めるというふうな形、うまく機能すればそれが適当では ないかと僕は思います。  我々の研究の場で考えてみると、それぞれのいろいろな実験データの上に立って理論 が出てくる。理論物理学にしたって、今までの実験データから考えて、どこが合わない かとかいうところから理論が生み出されてくるわけであって、現場のデータがあって初 めて理論が出てくるわけで、小児科の医者が足りない、それはなぜなのかとか、家庭医 の問題がどうとか、あるいは非常に先進的な医療に対してのその医療費が適当なのかと か、そういうことはやはりやっている人が一番よく感じるわけです。診療側と支払う側 と、そして国民の代表と言うべき公益委員という三者機能でこれがうまく機能すれば、 そこが全体の国の医療政策を決める一つの一番基本的な場所として機能すればそれでい いと思います。  それが理想的に動いていないというところにいろいろ問題があって、単に払う方とも らう方とが取り合いということにもしなっているとしたら、僕には、実情は全然わから ないのですけれども、そうだとしたら、それは大所高所から決めることにはなかなかつ ながっていないのかもしません。しかしもう一つ別のところで何かをつくるかというの には、それは重複であり、屋上屋を重ねることになるのではないかと思います。いろい ろな専門家会議とかが置かれておりますが、そこが現場に即して考え、最後に中医協が 決めそれで厚労大臣に答申し、そして厚労大臣が決め、財源の問題に関しては財務大臣 と交渉しながら政府としての方向を決めるというのが、政府が決めるということになる のではないか。それが中医協の役割とすれば、別にそれを切り離してまた別のところに 別のものをつくってというのが重複にはならないのかというふうな感じ方もあります。 僕は具体的にはわからないのですが、うまく機能すれば、この前の会長の言われた、何 十年かにわたってやってきて、それ以外の方法はないし、三者構成というのが一番いい 方法だと思いますと当事者が言っておられたのですけれども、そこにうまく機能しない ところがどこなのかということを明らかにすることが重要だと思います。 ○大森座長  私も宮内議長の御意見を伺いながら同じ疑問を内心抱いたものですから、その一端を 若干質問させていただいたのです。座長を引き受けると自分の意見がなかなか言えなく なるから嫌だと、こう言ったのですけれども、この構成員は5人だからそのような制約 ないのだと、大いに言えばいいのだと、こういうことでした。  政策的なことは中医協以外で決めて、そして中医協はその政策の実行として技術的な 作業をすればいいのだという考えについては、私も必らずしもそう考える必然性はない と思います。この中医協の現状はいろいろ批判があることは承知しておりますし、私も 同感ですが、あるべき中医協の姿というのは、決してそういう医療費の分捕り合いの場 であったりするのは予定されていないのではないかと思います。  それとともに、医療費の決め方あるいは診療報酬体系についての説明とか読んだ資料 の中でも述べられていることは、あまりにも過去の歴史を引きずった契約論的な説明と いうのが強すぎるのではないかなという感じがしておりまして、この会の名称からし て、「協議会」という名称がついているわけですね。しかし、法律内容、所掌事務を読 んでみますと、諮問に基づいて審議して答申をする。また、諮問がなくても建議をす る。こういうことで、普通の審議会の規定ぶりと全く同じなわけです。  したがって、この中医協の理解についての契約論的構成というのからこの際脱却すべ きかなとすら思っておりまして、医療政策や医療報酬体系の基本を決めるのは、健康保 険法その他の実体法を踏まえますと、これは厚生労働大臣が決めると、こういうことが 予定されているわけです。それについて専門家の意見を聞きなさい、それが諮問機関の 役割で、したがって、決して中医協があのように基本方針を構想すること、あるいは改 定率について議論することもそれ自体は越権のさたでも何でもない、厚生労働省あるい は厚生労働大臣の政策決定権についての諮問機関としての役割を果たしているにすぎな いのだというふうに考えていくべきではなかろうかなというふうに考えております。た だ、実情があるべき姿であるかどうかはこれまた別問題で、そのあたりをあるべき姿に するには、組織及び審議手続き等について、どこをどう改めたらいいか、改めるべき点 は多々あるというのが基本的な私の意見でございます。 ○奥島氏  疑問は、どうも今座長のお話を聞いていると、公共料金の決定方式と同じような議論 をなさっているような感じがするのです。これは果たして公共料金の決定ということと 同じなのでしょうか、そのあたりについて、私はどうも疑問があるわけです。これは、 医療政策の中で最も大事な部分であって、そういうところでもって客観的・科学的なデ ータを出すという役割、つまり要するに、医療行為の上下の価値というものを決めてい く、あとは要するに、トータルのお金というのは「改定率」として国の予算で決まって いるわけですから、そういう意味でいくと、私はむしろ客観的・技術的なそういう医療 技術の評価ということをここでしっかりやっていくということが中心であって、決して 医療政策の問題を全般的に考えながらこの問題に取り組むところではない。そうでない と、公共料金の決定の方式というものと、どうもほとんど同じになってしまって、改定 率を前提とするこの問題の特色が消えてしまうのではないかという、私のこれは単なる 感想ですけれども、そういうことを思ったりします。 ○岸本氏  公共料金の決め方というのがどういうことか僕はわからないのですけれども、医療政 策、例えば先ほど言いましたように、先端的な医療がどうであるかとか、小児科がどう であるかとか、そういういろいろな問題は、実際にやっている人たちの意見が入ってこ なければわからないと思うのです。上からこうであって、だからこうせいといういき方 と、演繹と帰納的と、どちらかというと、そういう個々のデータの積み重ねの上に立っ て、医療政策として日本の医療はどういう方向にどれだけの金をかけてどうすべきかと いうことが決まっていく、やはりいろいろなデータの積み重ねの上からどうあるべきか ということが決まっていくのではないかと思います。そうすると、この中医協の中でや れないのか、医療費を決めるところでそういうことを議論できないのかどうかというこ となのですけれども、別に切り離してそういう医療政策を考える場をまたつくらなけれ ばならないかということはどうなのかなというふうに僕は思うのです。ここの場が正当 に理想とする形で機能したら、そこが決めるのが一番いいのではないかなという感じも しますけれども。 ○奥野氏  おっしゃることもある意味ではわかるのですけれども、医療政策の非常に大きなとこ ろに医療の専門家が入っていただくのは、それは当然だと思うのです。ただ、私が理解 している限り、中医協で決めておられることは非常に細かい診療報酬であるとか薬価報 酬であって、決めるものはすごい何か厚い本になっているぐらいだというふうにお伺い していて、いわば公共料金みたいな、そもそも普通の財であれば競争があるのですね、 競争でそもそも価格が大体決まっているわけですが、これはそうではなくて、疑似マー ケットと星野さんはおっしゃいましたけれども、まさにマーケットがないので、売り手 と買い手が疑似的なマーケットをつくってやっている。しかもそれがかなり専門的なも のなので、ちょっと外から見てもなかなかわからない。しかもそれが非常に大きな航空 運賃というぐらいの話ではなくて、物すごく細かい、この駅からこの駅までの料金をど う決めますかというぐらいのことまで全部決めるわけです。それをやるときには、やは り普通外から見てなかなかわかりにくい話になってしまうので、もちろんここには、そ の種の話と、もう少し非常に大きく、全体的に例えば病院とか医療費のどちらの方向に 患者を引っ張っていきましょうとか、どういう医療をこれから発展させましょうとか、 それは国民にとって非常に大事な話ですから、そこはもちろん国民も入るべきですし、 医療の専門家も入るべきでしょうけれども、先ほどから申し上げている非常に細かい、 しかもマーケットがない、競争もないような世界の話をするのが、中医協で今やってい ることのように思うので、そこの部分はちょっと切り離して議論をしないと、外から見 て何かよくわからない、非常に専門的な細かい議論がされている。しかも、国費にも財 政にもかかわるし、医療政策の今後の非常に大きな展開にもかかわるというようなこと になりかねないところの話を、そういう今のような中医協の形でやられると、ちょっと 国民としては非常に見にくい仕組みになるのではないか。少なくともそうなっている。 しかも、それがある意味で、現状が偶然そうなっているというよりは、そういう仕組み になっているがために、必然的にそうなっているように私には思えるのですけれども、 いかがでしょうか。 ○大森座長  先ほどの宮内議長の話では、いわゆる品目表ですね、新しい医療技術を保険診療の対 象にするかどうかということは中医協で決めるべきではなくて、まずどこかで、もっと 高度なところで決める、保険の対象にするとなれば、それの点数づけですか、何点にす るかということを中医協で決めればいい、中医協はそれをやっておればいいのですと、 こういうふうにどうも受け取ったのですけれども、本当にそうなのかというところが岸 本先生の疑問でもあろうかと思います。そういうことですかね。 ○岸本氏  今、細かい点数を決めるのと、全体の医療費を一緒のところではおかしいのではない かという意見だと思うのですけれども、僕は自然科学の実験研究者としては、細かいデ ータの積み重ねが大きな理論につながっていくわけで、大きな理論が先にあって、GD Pの何パーセントだと、だから、その中で細かいところを決めろというのでは、やはり ひずみが来るし、おかしいのではないか。やはり現場をわかっておって、これは大事だ とか、ここのところはどうだとかいう細かいことの積み重ねが全体をつくるのではない だろうかという考え方もあるのではないかなと。だから、現場のわかっている今の形 で、しかし、そんなにたくさん払ったらこちらは払えないですよという支払い側と、両 方の協議で全体が決まっていくという形、それが先ほど大森先生が言われたように、正 当にファンクションすれば非常にいい形なので、それが、どこかわからぬところで決ま っていくというところに問題があるので、それはどう変えればいいかというのではない かなと思うのですけれども、別にもう1つ大きなことを決めるところと、現場のことを 決めるところを離して、果たしてうまく機能するだろうかというのが意見なのですけれ ども。 ○金平氏  私も岸本委員がおっしゃったように、正当に機能すればという前提、ここを私たちが どう考えるかということだと思います。正当に機能するということはどういう状態にな るのか、私もよくわかりませんが、本当に機能すれば、あるいは公益委員というこの三 者構成というのは、一般的にはうまくいくはずだというふうに思いますが、やはり今ま ではそういかなかったという大方の意見があるというふうに思います。だからこそ今見 直しが図られている。そこのところをもう一回押さえ直さなくてはいけないのではない かと思います。  中身がもう一つわからないままに議論するから、私も言いにくいのですけれども、例 えば今回、ちょっと飛躍しますけれども、診療報酬を改正したその結果がどういうふう に国民の医療に役に立ったか、そういうふうなことを検証するということを今後は公益 委員の役割にしてはどうかというのがあります。例えばこれを一つ例にとってみます と、私は、大変検証そのものには賛成なのですけれども、これがいいと思ってお決めに なった方たちが検証できるのかしらと、中医協の公益委員が決めるではなくて、やはり 第三者委員が検証というものをやるべきではないかなというふうに私は思います。これ は一つの例ですけれども、やはり支払側と提供側と、ここら辺のところにはいろいろな 利害が反するものがあるわけでございますので、ここら辺の評価というふうなものにつ いては、ちょっと反対すべきところがどうしてもあります。 ○大森座長  平成16年10月の中医協自体による見直しの中では、「公益委員を中心として、診 療報酬改定の結果の検証のための新たな部会を設置する」、こうなっておりますね。し たがって、「公益委員を中心として」というところをどれだけ意味のあるものとして読 むかでしょうけれどもね。 ○金平氏  はい。公益委員がどうあるべきかということは、また次回のときにいろいろと話があ るのだと思うので、そのときにまたもう一回問題にしていただければというふうに思い ます。 ○大森座長  議論のたたき台に書かれている論点の第1論点は、保険適用とする診療行為の範囲の 決定を中医協にゆだねることがいいのか、それ以外の政府のどこかで決定することにす るのがいいのか、こういう論点整理がなされているのですが、この点はどういうふうに お考えですか。 ○奥野氏  岸本先生の御意見もよくわかるのですけれども、つまり、専門の方が非常によくわか っているわけだから、いろいろな料金決定にきちんと関与すべきである、これはもちろ ん当然だと思うのですが、今議論になっているのは、もう1つのやり方として、非常に 細かい個々の診療報酬とか料金は中医協でやって、ここにも専門家が入っていると、も う少し大きな全体としての方向づけみたいなものを別の政府のところでやったらどうか という話だと思うのです。これに関しても当然医療の専門家も入ってこられると思うの です。  そういうふうに2つに分けると、私の印象だと、国民にとってもう少し見やすい医療 政策、経済、財政、あるいは非常に大きな意味での国民にとっての医療の在り方みたい なものが非常に大きな土俵で議論されるので、国民にとってわかりやすく議論されて、 細かいこと、当然その中ではこういう医療が今後必要だというところに相対的には高い 価格がついて、当然そのかわりに枠がはめられているので、しようがないでしょうか ら、これはあまり重要ではないかもしれないところの価格が下がっていくという形で、 岸本先生がおっしゃっているような必要な医療に当然手厚いというようなことが、そう いう形での中医協、例えば私が考えているような中医協でもできるのでないかという気 がするのですが、それの方が、そういう意味では国民とってかえってわかりやすくなる ような気もするのですけれども、それではやはりまずいという御判断なのでしょうか。 ○岸本氏  いや、別に、そうすると、日本の医療ということの方向性を政府が決めるとなった場 合には、やはりこれも厚生労働大臣の仕事、そうすると、そこにまた2つのものがあっ て、それがお互いに切磋琢磨というか、そうすればいいかもしませんけれども、重複に ならないか、一つの組織の中にメンバーが自分のことばかりに身を入れるようなことの ないような形をうまくつくれれば、それで一つの中でファンクションするのではないだ ろうか、もう1つまた同じようなものをつくるとしても、やはり診療側なり医療の人も 必要なら、払う側の人も必要ならということになってくると、同じようなものが2つで きるということにならないだろうかということを僕は言っているのですけれども。 ○大森座長  先程、宮内議長に政府というのはどこを考えておられますかと聞きましたら、内閣府 だとでも言われるのかと思って聞いたのですけれども、どうも必ずしもそうではなさそ うなので、やはり広くは社会保障制度に関する基本的な企画・立案というのは、まさに 厚生労働省の第一の所掌事務であるわけですし、各種の健康保険に関することも所管し ているわけです。本来の在り方としては、新しい組織を設けるとしても、やはり厚生労 働省に設ける、これはおっしゃるとおりですし、その構成も、先ほど説明のありました 調査専門組織に加わっているような専門家がそこでも顔を合わすということになりまし て、屋上屋を重ねるだけのことではなかろうかなと私は思うものですから、中医協自体 をよくした上で、そこに保険診療の範囲をも決めるという機能を与え続ける方がいいか なと、現在そういう思いがしているわけですけれども、この点はいかがでございます か。 ○奥野氏  一つは、どのぐらい広く、もう1つの政府が決めるところが決めるかということだと 思うのです。医療政策のかなり細かい方向づけみたいなことだけをやるのだったらば、 ひょっとしたら屋上屋かなという感じもいたしますけれども、座長もおっしゃいました ように、医療というのは社会保障の一つですから、限られた国民のお金、国庫のお金も 含めてですけれども、そういうものを有効に使うためには、多分年金とか介護とか医療 とか、さまざまなものを考えながら、それから国民の健康の世代別にどうしますとか、 どういう種類の病気をどういうふうにしますとか、それからターミナルケアと病気とい うものをどういうふうに切り分けますかとか、そういうことにもかなり絡んでくると思 うのです。そういうことをきちんと少し大きな目で眺めるというような政策をどこかが やはり考えていく必要があるでしょうし、それと、先ほど申しましたけれども、非常に 細かい品目の料金表みたいなものを決める場所というのは、ちょっと何かそぐわないと いいますか、言いかえると、屋上屋を重ねないような切り分け方というのもあるのでは ないかなというふうに、個人的には思っているのですけれども。 ○事務局(水田保険局長)  座長が今お話しになった新しい技術の保険適用の範囲をどうするかという議論の中 で、ちょっと先ほどの説明の補足をしたいのですけれども、よろしゅうございましょう か。  保険適用の範囲を決めるのは品目表ということで値づけのところで決まるわけであり ますけれども、その前の特定療養費といいますか、新しい技術について、保険導入検討 医療と先ほど言いましたけれども、一時、負担は患者にしていただく、基礎的医療費は 保険から出すと、こういうスタイルをとることにしたわけであります。それを今まで高 度先進医療という格好で、いわば中医協の組織、組織的には中医協の中でやっていた と。それは大変時間がかかって、なかなか新技術が円滑に導入されなかったということ もあって、今回の新しい保険導入検討医療については、別途専門家会議を設けまして、 そこで、安全性、有効性、それから効率性という観点で判断をしていただいて、それを 基本的には厚生労働大臣の権限でその入り口までは入れるというふうに、若干改めたと ころでございます。もちろん最終的に保険適用をどうするかということは、これは中医 協の権限として今の制度ではあるわけでありますけれども、そういう決め方といいます か、プロセスを、今回の場合には新技術について何をどう入れるかというのを見える形 で決めたらどうだろうかということで工夫はさせていただいたつもりでありまして、ま さに透明性という点では若干変化があるということはちょっと一言補足させていただき ます。 ○大森座長  この高度先進医療専門家会議というのは、中医協の外の会議だと理解していいのです ね。 ○事務局(水田保険局長)  これは、中医協に対して報告をするという、中医協の関連づけられた組織であるわけ なのですけれども、新しく設けられます先進医療全般に関する専門家会議は、厚生労働 大臣が設置をするということで、新しい技術をいかに適切に入れていくか、それを何が 入って何が入らないかということを見える形でするという工夫はなされておりますの で、そういう違いがあります。 ○尾辻厚生労働大臣  よろしゅうございましょうか。今のお話は、例の「混合診療」の議論の中で出てきた 話でございまして、私と皆さんとの間でも随分議論をして、その結果といいますか、つ くられた一つの組織でございます。そのことは今御説明申し上げたので、私から重ねて 御説明申し上げることはございません。  ただ、発言させていただきましたのは、もうそろそろ時間になるなと思ったものです から、私からぜひお願いをまた改めてさせていただきたいと思うことがございまして、 発言をさせていただくところでございます。それこそ改めてでございますけれども、ぜ ひ先生方に、先ほども申し上げましたように、幅広く、そしてまたある意味では基本的 なところから御議論をいただければありがたい、こういうふうにお願いを申し上げてお ります。そして、今先生方の御議論は、中医協の機能とでも言いますか、そうしたよう なことでお話がございましたが、一番大事な部分でございます。ただ、私からいたしま すと、同時に、中医協の位置づけというのも大変気になるわけでございまして、それこ そ改めてでありますけれども、今厚生労働大臣の諮問機関として位置づけられておる、 ここのところも御議論をいただければというふうに最後にお願いして、次回の御議論を お願いしたいわけでございます。諮問機関でいいのかどうかというところから、やはり もう一回御議論をいただければと思います。諮問機関として外すのなら、では、どうい うことになるかという御議論もあろうかと思いますし、今までどおり諮問機関だという 位置づけでこの中医協の在り方というのを御検討いただくのであれば、諮問機関という のは一体どういうものなんだろうというようなことをまた御検討いただければ、大変あ りがたいと思うものですから、私の立場から、次回の御議論、その辺のところもよろし くお願いしますということを申し上げたところでございます。 ○大森座長  どうもありがとうございました。  では、大体予定の時間が参りましたので、本日はこのあたりにいたしまして、次回引 き続き検討を重ねた上、それの方向性まで出せるのかどうか、なかなか自信ございませ んけれども、そういう方向性を見出すことに向けて努力をいたしたいということでよろ しゅうございますか。 ○金平氏  今のは座長のおっしゃるとおりで結構でございます。ここで一つ提案がございます。 この有識者会議、我々の会に対して意見を言いたいとおっしゃる方たちがいらっしゃっ て、私にもそういう声を聞いてくれとおっしゃる方たちが何人もいらっしゃいます。で すけれども、私は個別には伺わないということで、あれば事務局の方にお出しいただき たいというふうに、すべて話しております。そういうのが事務局の方に来ているかどう かは知らないのですけれども、いかがでしょうか。もしも来ているとすれば、やはり5 人があくまで責任を持って決めるわけですけれども、国民の方たちでそういう御意見が あって出ているならば、この場に出していただくということを、皆さんが私と同じよう な意見だったら厚労省の方に申し上げたいと思うのですが、いかがでしょうか。 ○大森座長  どうですか。 ○事務局(水田保険局長)  今のところないようでございまして、ありますれば、今配付させます。 ○金平氏  わかりました。 ○大森座長  では、次回の日程を。 ○事務局(中島審議官)  次回につきましては、5月10日火曜日でございますが、6時半から8時ということ で開催をさせていただきたいと考えております。  なお、場所等の詳細につきましては、追って御連絡をさせていただきたいと思います ので、よろしくお願いいたします。 ○大森座長  では、これで第3回を終わりたいと思います。ありがとうございました。          【照会先】            厚生労働省保険局医療課企画法令第1係・企画法令第2係            代表 03−5253−1111(内線3288・3276)