労働時間制度に関する指摘



2005年版経営労働政策委員会報告(抄)

2004年12月14日
(社)日本経済団体連合会


第2部  経営と労働の課題
 6. 労働法・労働行政への対応
 (1)  労働法分野における規制改革の推進
 特に、仕事の成果が必ずしも労働時間に比例しない働き方が増大している現在では、労働時間法制の抜本的改正が望まれる。すなわち、現行の裁量労働制は規制緩和の方向で大幅に見直すべきであるし、労働時間管理になじまない自律的な働き方が増えていることに対応するべく、ホワイトカラーについて、一定の限られた労働者以外については原則として労働時間規制の適用除外とする制度(ホワイトカラー・エグゼンプション制)を導入すべきである。ホワイトカラーが高い生産性を実現するためには、こうした新しい発想にもとづく労働時間管理の緩和された枠組みを積極的に導入していくべきである。



優先政策事項(抄)

2004年11月24日
2005年2月7日改定
(社)日本経済団体連合会

7.  個人の多様な力を活かす雇用・就労の促進

 円滑な労働移動と雇用機会の創出に向けて、労働市場・労働基準に関わる規制を改革するとともに、女性や高齢者を含め、個人の多様な価値観を反映した雇用・就労形態を整備する。また、少子化対策を推進する。

 この一環として、ホワイトカラーイグゼンプション制度の導入など、従来の労働時間規制の枠を超えて、勤務形態の柔軟性を高めるとともに、労働生産性の向上を図る。また、規制緩和により、民間委託による職業紹介・相談や能力開発の対象範囲の大幅な拡大を図り、労働市場を活性化させる。同時に、労働時間・労働契約などに関する規制緩和を進める。若年者雇用の促進にあたっては、整合性のとれた各省庁の政策遂行を促す。雇用保険三事業および労災保険労働福祉事業については、廃止・縮小に向けて、整理・合理化する。さらに企業の実態に即した障害者雇用政策に取り組む。あわせて専門的・技術的分野や供給不足になる分野を中心に、外国人を積極的に受け入れるための体制を整備する。



2004年度日本経団連規制改革要望(抄)

2004年11月16日
(社)日本経済団体連合会

雇用・労働分野
17.  企画業務型裁量労働制に関する要件・規制のさらなる緩和
(1) 対象業務の大幅拡充もしくは対象業務の制限を原則撤廃し、対象者の範囲を拡大すべきである。営業職を含め、ホワイトカラー労働者の業務全般に広く適用すべきである。
(2) 労使委員会を設置せずに労使協定での導入を可能とするなど、制度導入にあたっての手続きを簡素化すべきである。
(3) 労基署へ届出ることが義務付けられている「企画業務型裁量労働制に関する報告書」の届出頻度を現行の半年に一度から一年に一度に緩和すべきである。
(4) 対象者の労働時間規制の除外を行うべきである。
(5) 全社的に同一内容・同一形態の業務であれば、事業場毎ではなく全社一括の労使委員会の決議でも制度を導入できるようにすべきである。

19.  ホワイトカラーイグゼンプション制度の導入
 管理監督者に限らず、裁量性の高い労働者や一定水準以上の収入がある労働者などについても労働時間規制の適用除外とすべく、米国における「ホワイトカラーイグゼンプション制度」についての具体的検討を行い、早期に結論を得て、わが国に導入すべきである。

20.  労働時間等に関する規定の適用除外者の範囲の拡大
 管理監督者について、現在の企業の実態に適合するようにその対象範囲を拡大すべきである。

21.  労働時間等に関する規定の適用除外者に対する割増賃金支払義務の見直し
 管理監督者に対して深夜就業の割増賃金を支払わなければならないという規定を撤廃すべきである。



第56回中小企業団体全国大会決議(抄)

平成16年11月11日
全国中小企業団体中央会

9. 中小企業に配慮した労働政策、教育政策の展開

 また、労働基準法制の見直しに当たっては、中小企業の規制強化にならないよう、中小企業の実態を十分踏まえて検討を行うこと。

【具体的な要望事項】
2. 労働基準法制の見直し
(3)  裁量労働制のさらなる拡大等
 企画業務型裁量労働制(みなし労働時間制)については、導入時・運営面の手続き・制約の大幅な緩和対象業務の追加・対象労働者の緩和など一段の規制緩和を行うこと。
 さらに、裁量性の高い業務については、米国のホワイトカラー・エグゼンプション制度を参考に、適用除外方式の導入も検討すること。



労働政策に関する要望(抄)

平成16年7月8日
東京商工会議所

3. 今後の労働関連法規について(抄)
(1)  裁量労働制の更なる規制緩和
 業務の遂行を大幅に労働者の裁量に委ねる裁量労働制に関心が高まっているが依然導入は進んでおらず、特にホワイトカラー層の能力を有効に引き出す制度として期待される企画業務型裁量労働制の普及率が伸びていない。企画業務型裁量労働制は今般の法改正により、「本社等」に限定されていた対象事業所の制限が撤廃され規制緩和が図られたが、アンケートによれば、「今後とも導入の予定なし」の企業が50.8%を占めた。これは現行の業務制限では対象者の特定がしにくく、労使委員会の立上げや労働基準監督署への諸届など導入時の手間や制約が多いことなどが理由に挙げられる。使用者が個人の裁量に委ねることが可能と判断する業務に関しては対象に加え、導入時における諸手続きにおいては更なる簡素化を図るなど、より一層の規制緩和が望まれる。
 なお、裁量労働制の効果を最大限に発揮するには、将来的に労働時間規制を管理監督者と同様、適用除外とすべきである。



2004〜2005年度(2003年7月〜2005年6月)
政策・制度要求と提言(抄)

2003年6月26日
連合第40回中央委員会確認

パート2  2004〜2005年度の政策課題
 2  雇用と公正労働条件の確保

12. 労働時間法制の遵守と労働時間管理の徹底の取り組みを強化し、労働時間の短縮により仕事と家庭の両立・豊かさを実感できる生活を実現する。

(1)  年間総労働時間1,800時間の達成に向けた総合時短計画を策定し、その実効性確保に向けた法整備を行う。
(2)  不払い残業を撲滅するため、不払い残業防止に向けた「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について(厚生労働省通達」の周知徹底と相談)窓口の充実等を通じて、基準が確実に履行されるよう取り組みを一層強める。
 労働時間法制違反に対しては摘発と是正指導を強力に行う。そのために労働基準監督官を増員して、臨検監督実施率を高める。
(3)  男女がともに仕事と家族的責任を担えるよう、社会インフラの整備と労働者の健康確保の観点から時間外労働・休日労働の削減に向けた以下の取り組みをすすめる。
(1)  時間外労働について上限規制「360時間」以内の徹底と、1,800時間達成を視野に上限規制「150時間」とする法制化に向けた検討をすすめることとし、当面は、三六協定と同特別条項の基準を明確にし、時間外労働の適正化に向けた周知と上限規制の実効性確保等監督・指導の徹底をはかる。
(2)  三六協定限度基準適用除外職種、業種、業務については見直しをはかるとともに、対象者の労働時間改善基準(労働省告示)では遵守徹底がはかられていない実態を踏まえ、違反業者に対する罰則の適用などその実効性確保をはかる。
(3)  公務における超過勤務について、その実態を把握するとともに、実効ある超過勤務規制をはかる。とりわけ、公務に適用されている時間外労働の規定(労働基準法第33条3項「公務のために臨時に必要がある場合」など関係法令)については、その厳格な運用を確保する。
(4)  「時間外・休日労働および深夜労働」の法定割増率を引き上げるとともに、休日労働の制限に関するガイドラインの実効性確保の取り組みをはかる。また深夜労働については、業種別ガイドライン策定を踏まえて全体的な「深夜労働・総合ガイドライン」策定に着手する。
(5)  法定年次有給休暇について、最高付与日数を25日に引き上げるなど付与日数の拡充を行うとともに病気・看護休暇、配偶者出産休暇(最低5日)の新設など各種休暇の拡大をはかる。
(6)  年次有給休暇の取得促進に繋がる具体的施策の展開や、長期連続休暇の取得、年間休日確保に向けた施策の整備とその推進をはかる。
(4)  常時10人未満の労働者を使用する商業・サービス等の事業場においては、労働時間の特例扱い(労働基準法第40条)とされているが、労働基準法の二重基準をなくすため早期にこの特例を廃止する。
(5)  国民のゆとり確保の観点から、国民生活等に欠かせない分野を除き、正月3ヵ日休業の制度化をはかる。特に「元日」については、特別な日として事業者団体等に対して、営業自粛を指導する。
(6)  5月1日を国民の祝日とし、4月29日の「みどりの日」から5月5日の「こどもの日」までを連休とする「太陽と緑の週」を制定する。

15. 雇用労働環境の変化等に対応するワークルールの整備、確立をはかる。

(7)  企画業務型裁量労働制及び専門型裁量労働制の実施状況を調査し見直し改善を行う。



「新しい労働時間政策の確立に向けて」(中間報告)

平成15年7月3日
電機連合第51回定期大会

II−1
(5) 「企画業務型裁量労働制の今後のあり方」
 引き続き、下記の観点からの検討が必要です。
 業務の具体的遂行にあたり労働者本人の裁量に委ねる必要があるという視点からみて、専門業務型と企画業務型の区分する積極的理由はなく、専門業務型裁量労働制と同一の要件で企画業務型裁量労働制の導入を認めてよい。
 手続きにおいても、裁量制適用にふさわしい業務について個々の労使の自主的判断・協定で適用できるよう認められるべきである。従って、専門業務型と同様、企画業務型裁量労働においても、労使の自主的な協定で導入が出来るよう改めるべきである。



労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成15年6月4日
衆議院厚生労働委員会


 労働契約の終了が雇用労働者の生活に著しい影響を与えること等を踏まえ、政府は、本法の施行に当たり、次の事項について適切な措置及び特段の配慮を行うべきである。
 本法における解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではないとの立法者の意思及び本法の精神の周知徹底に努めること。
 労働契約期間の上限の延長に当たっては、常用雇用の代替を加速化させないように配慮するとともに、有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。
 有期五年の対象労働者の範囲については、弁護士、公認会計士など専門的な知識、技術及び経験を有しており、自らの労働条件を決めるにあたり、交渉上、劣位に立つことのない労働者を当該専門的な知識、技術及び経験を必要とする業務に従事させる場合に限定すること。
 有期五年の退職の自由、有期雇用の反復更新問題、「期間の定めのない」契約とするみなし規定の制定、有期雇用とするべき理由の明示の義務化、正社員との均等待遇など、有期労働契約の在り方について、期間の上限を延長した場合におけるトラブルの発生についての状況を調査するとともに、雇用形態の在り方が就業構造全体に及ぼす影響を考慮しつつ、早急に検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
 労働条件の変更、出向、転籍など、労働契約について包括的な法律を策定するため、専門的な調査研究を行う場を設けて積極的に検討を進め、その結果に基づき、法令上の措置を含め必要な措置を講ずること。
 今回の裁量労働制の適用事業場の拡大、手続緩和が、サービス残業隠しに悪用されることのないよう、適用対象事業場についての基準を設けるとともに、対象業務については当該事業場全体の運営に影響を及ぼすものとすること。
 労働基準監督署への届出が簡素化されること等の今回の裁量労働制見直しを踏まえ、裁量労働制を導入した事業場に対して、指導・監督を徹底するとともに、過労死を防止するための必要な措置を講ずること。
 企画業務型裁量労働制の導入に当たっては、労使委員会が重要な役割を担っていることにかんがみ、特に未組織労働者が多い中小企業においても、労使委員会が適正に設置、運営されるよう十分な配慮を行うこと。専門業務型裁量労働制の本人同意については、引き続き検討すること。
 改正の趣旨、内容等について、関係団体のほか、広く国民に十分周知するよう努めること。
 本法における解雇ルールは、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したものであることから、本法による改正後の第十八条の二の施行に当たっては、裁判所は、その趣旨を踏まえて適正かつ迅速な裁判の実現に努められるよう期待する。



労働基準法の一部を改正する法律案に対する附帯決議

平成15年6月26日
参議院厚生労働委員会


 政府は、次の事項について適切な措置を講ずるべきである。
 本法における解雇ルールの策定については、最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理とこれに基づく民事裁判実務の通例に則して作成されたものであることを踏まえ、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を変更するものではないとの立法者の意思及び本法の精神の周知徹底に努めること。また、使用者に対し、東洋酸素事件(東京高裁昭和54年10月29日判決)等整理解雇4要件に関するものを含む裁判例の内容の周知を図ること。
 労働契約期間の上限の延長に当たっては、常用雇用の代替化を加速させないように配慮するとともに、有期雇用の無限定な拡大につながらないよう十分な配慮を行うこと。
 有期上限5年の対象労働者の範囲については、弁護士、公認会計士など専門的な知識、技術及び経験を有しており、自らの労働条件を決めるに当たり、交渉上、劣位に立つことのない労働者を当該専門的な知識、技術及び経験を必要とする業務に従事させる場合に限定すること。
 有期上限5年の対象労働者の退職の自由、雇止め予告の在り方を含めた有期雇用の反復更新問題、「期間の定めのない」契約とするみなし規定の制定、有期雇用とするべき理由の明示の義務化、正社員との均等待遇、育児・介護休業の適用など、有期労働契約の在り方について、期間の上限を延長した場合におけるトラブルの発生についての状況を調査するとともに、雇用形態の在り方が就業構造全体に及ぼす影響を考慮しつつ、早急に検討を行い、その結果に基づき必要な措置を講ずること。
 就業規則への解雇事由の記載や退職理由の明示について、モデル就業規則や退職証明書の文例を作成し、普及に努めること。特に、労働基準監督署による相談の際、改正の趣旨を踏まえ、就業規則のチェック等の指導を徹底すること。併せて個別労使紛争解決制度との連携に努めること。
 労働条件の変更、出向、転籍など、労働契約について包括的な法律を策定するため、専門的な調査研究を行う場を設けて積極的に検討を進め、その結果に基づき、法令上の措置を含め必要な措置を講ずること。
 裁量労働制を導入した事業場に対する労働基準監督官による臨検指導を徹底し、過労死を防止するための措置を講ずること。
 今回の裁量労働制の適用事業場の拡大、手続緩和が、サービス残業隠しに悪用されることのないよう、適用対象事業場についての基準を設けるとともに、対象業務については当該事業場全体の運営に影響を及ぼすものとすること。また、この基準等の周知徹底を図ること。
 企画業務型裁量労働制の導入に当たっては、労使委員会が重要な役割を担っていることにかんがみ、特に未組織労働者が多い中小企業においても、労使委員会が適正に設置、運営されるよう十分な配慮を行うこと。専門業務型裁量労働制の本人同意については、引き続き検討すること。
10  労働基準監督署への届出が簡素化されること等に伴い、裁量労働制を導入した事業場に対する労働基準監督官の監督指導を徹底するなど制度の適正な運用確保に努めること。
11  改正の趣旨、内容等について、関係団体のほか、広く国民に十分周知するよう努めること。
 本法における解雇ルールは、解雇権濫用の評価の前提となる事実のうち圧倒的に多くのものについて使用者側に主張立証責任を負わせている現在の裁判上の実務を何ら変更することなく最高裁判所判決で確立した解雇権濫用法理を法律上明定したものであることから、本法による改正後の第18条の2の施行に当たっては、裁判所は、その趣旨を踏まえて適正かつ迅速な裁判の実現に努められるよう期待する。
 右決議する。



労働時間制度に係る建議


 労働政策審議会建議「今後の労働条件に係る制度の在り方について」(抄)(平成14年12月26日)

II  労働時間に係る制度の在り方

 裁量労働制の在り方
 労働時間を適切に管理する必要がある一方で、経済社会の変化に伴い、成果等が必ずしも労働時間の長短に比例しない性格の業務を行う労働者が増加するなど、働き方が変化している状況にある。
 このような状況を踏まえ、企画業務型裁量労働制については、その導入、運用等に係る手続及び要件について必要な見直しを行うとともに、裁量労働制が働き過ぎにつながることのないよう、健康・福祉確保措置及び苦情処理措置が適切かつ確実に実施されるようにすることが必要である。
(1)  企画業務型裁量労働制の導入、運用等の手続について
 企画業務型裁量労働制が、多様な働き方の選択肢の一つとして有効に機能するよう、その導入、運用等に係る手続については、制度の趣旨を損なわない範囲において簡素化することが求められることから、次のとおり措置することが必要である。
(1)  労使委員会が決議を行うための委員の合意について、委員の5分の4以上の多数による決議で足りることとすること。
(2)  労使委員会の委員のうち労働者代表委員について、労働者の過半数の信任を改めて得なければならない要件を廃止すること。
(3)  労使委員会の設置について行政官庁に届け出なければならないことを廃止すること。
(4)  健康・福祉確保措置の実施状況等の行政官庁への報告を簡素化すること。
(5)  労使委員会の決議の有効期間に係る暫定措置(有効期間の限度を1年とするもの)を緩和すること。
 また、企画業務型裁量労働制については、対象業務を労使委員会で決議する仕組みとなっていることから、その対象事業場を現在対象となっている「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」に限定しないこととすることが必要である。
 本項目については、労働者側委員から、「事業運営上の重要な決定が行われる事業場」に限定しないこととすることに伴い、企業において無原則な拡大につながるとの懸念がぬぐいきれないとの意見があった。
 なお、時間外及び休日の労働等について、現在、労使協定に代えて労使委員会の委員全員による合意による決議(協定代替決議)を行うことができることとされているが、この協定代替決議についても、委員の5分の4以上の多数による決議で足りることとすることが必要である。
 企画業務型裁量労働制については、今般の導入、運用等に係る手続の簡素化等に伴う影響を含め、その実施状況を把握し、当分科会に報告することとされたい。

(2)  健康・福祉確保措置等の充実
 専門業務型裁量労働制の適用を受けている労働者について、健康上の不安を感じている労働者が多い等の現状があることから、裁量労働制が働き過ぎにつながることのないよう、専門業務型裁量労働制についても、企画業務型裁量労働制と同様に、労使協定により健康・福祉確保措置及び苦情処理措置の導入を要することとすることが必要である。
 また、裁量労働制に係る健康・福祉確保措置の具体的な内容の一つとして、働き過ぎにより健康を損なうことのないよう、必要に応じて、使用者に産業医等による助言・指導を受けさせることとすることを加えることが適当である。

(3)  その他
 企画業務型裁量労働制の在り方に関連し、労使委員会の在り方について、今後検討していくことが適当である。

 適用除外について
 労働基準法第41条の適用除外の対象範囲については、上記1の裁量労働制の改正を行った場合の施行状況を把握するとともに、アメリカのホワイトカラー・イグゼンプション等についてさらに実態を調査した上で、今後検討することが適当である。

 時間外労働等について
 時間外労働の限度基準(労働基準法第36条第1項の協定で定める労働時間の延長の限度等に関する基準)においては、労使協定の定めるところにより、限度時間を超えて労働時間を延長しなければならない特別の事情が生じたときに限り、限度時間を超える一定の時間まで労働時間を延長することができることとされているが、働き過ぎの防止の観点から、この「特別の事情」とは臨時的なものに限ることを明確にすることが必要である。
 また、平成13年4月に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準」が発出されたところであるが、事業場において適正な労働時間管理が行われるよう、適切な監督指導に努め、一層の周知徹底を図ることが必要である。

 年次有給休暇の取得について
 年次有給休暇の取得が進まない実態の中、計画的に年次有給休暇を付与させることが、年次有給休暇の取得促進に有効であることから、計画的年休付与・取得の普及促進策を実施することが適当である。


 労働政策審議会建議「今後の労働時間対策について」(抄)
(平成16年12月17日)

 その他
(2)  労働時間法制について
 労働時間に関する施策の在り方に関し、労働者委員からは、
(1)  労働基準法の週労働時間の特例措置(44時間労働制)について、同法の平等な適用等の観点から、40時間とする方向で検討すべきであること、
(2)  時間外労働の割増賃金率を引き上げる方向で検討すべきであること
という意見が示された。
 一方、使用者委員からは、現在、特例措置の見直しや割増賃金率の引上げについて議論できる経営環境には無く、むしろ高度な人材の活躍の場を拡げる等の観点から、労働時間規制の適用除外についての議論を急ぐべきであるという意見が示された。
 本分科会としては、労働時間に関する施策の在り方については、現在実施している諸外国のホワイトカラー労働者の労働時間法制に係る調査結果や、平成17年度実施予定の労働時間の実態調査結果等をみた上で、引き続き検討していく必要があると考える。



規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)について



平成17年3月25日
閣議決定



 規制改革・民間開放推進3か年計画(改定)を別紙のとおり定める。


 11  雇用・労働関係
 就労形態の多様化を可能とする規制改革
事項名 措置内容 当初計画等
との関係
実施予定時期
平成
16年度
平成
17年度
平成
18年度
(4) 裁量労働制の拡大等
(厚生労働省)
 企画業務型の裁量労働制については、労働基準法の改正(平成15年法律第104号)により、導入手続が簡素化され、適用対象事業場も本社等に限定されないこととなったところであるが、制度の広範な活用が可能となるようその周知徹底を図る。
計画・雇用イ(2)a 措置済  
 裁量労働制の導入手続に関しては、企画業務型についても専門業務型と同様に、労使協定による導入を認めるよう求める意見が労使の一部にあることに留意しつつ、その可能性について、速やかに検討する。
重点・雇用2(4)
〔計画・雇用イ(2)b〕
  検討  
 
 事業場における業務の実態については、当該事業場の労使が最も熟知していることから、裁量労働制の対象業務の範囲についても、これら事業場における労使の自治にゆだねる等の方向で見直しを図るべきであるとの考え方にも留意しつつ、制度の見直しに向けた検討を早急に行う。
重点・雇用2(4)   検討  
 大学教員の行う入試業務等の教育関連業務については、授業等の時間と合算した時間が1週の法定労働時間または所定労働時間のうち短いほうの時間の概ね5割程度に満たない場合には、専門業務型裁量労働制の対象業務となる(入試業務等に従事した日についても労働時間のみなしが可能である)ことの周知徹底を速やかに図る。
措置済    
 最も裁量性の高い職種と考えられる大学教員について、大臣告示の見直し(平成15年厚生労働省告示第354号)により「大学における教授研究の業務」が専門業務型裁量労働制の対象業務になったことについて、周知徹底を図る。
計画・雇用イ(2)c 措置済    


 新しい労働者像に応じた制度改革
事項名 措置内容 当初計画等
との関係
実施予定時期
平成
16年度
平成
17年度
平成
18年度
(1) 労働時間規制の適用除外の拡大等
(厚生労働省)
 2004年8月に改正規則が施行された米国のホワイトカラーエグゼンプション制度を参考にしつつ、現行裁量労働制の適用対象業務を含め、ホワイトカラーの従事する業務のうち裁量性の高いものについては、改正後の労働基準法の裁量労働制の施行状況を踏まえ、専門業務型裁量労働制の導入が新たに認められた大学教員を含め、労働者の健康に配慮する措置等を講ずる中で、労働時間規制の適用を除外することを検討する。また、その際、管理監督者等を対象とした現行の適用除外制度についても、新たに深夜業に関する規制の適用除外の当否も含め、併せて検討を行う。 重点・雇用3(1)
〔計画・雇用ウ(1)a〕
海外事例の調査 検討  

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