第13回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
平成17年4月28日
委員 鎌田伊佐緒

医薬品販売に従事する者の資質とその確保 (論点14,16,18,)
(2)医薬品販売に従事する者の役割・責任と資質との関係

(1)情報提供 消費者が求める情報について多岐に亘るものもあり店頭にて即座に回答できるような体制を取らなくてはいけない。又、消費者が購入しようとする医薬品が症状等に合わないと判断する場合は、症状にあった適切な医薬品を販売するために積極的な説明をして正しい使用をしていただくようにしなければならない。当然、店頭の医薬品では効果がないと判断したときは医療機関への受診勧奨となる。 ここまでの判断を責任を持って消費者に対して実行できることが求められている資質でありそのためには、ある程度以上の知識と経験が求められるのは必然である。薬種商においてはより一層の求めに対応できるよう生涯学習研修会を実施している。

(2)販売後の副作用発生時等への対応 副作用に対する正しい知識がなければ対応することは不可能である。常に最新の情報を管理し、副作用の発生時は迅速な対応が求められる。

(3)医薬品の管理 管理する医薬品の正しい知識がなければ期限や保管方法について適切な対処ができない。これについても知識と経験が求められてくる。また、医薬品と医薬品以外の陳列の方法も場所を明確に区別するべきであり、販売をする場所も区別するべきである。
 以上3点については直接消費者に対して関わる問題であり、一般用医薬品販売業としての許可である薬種商においても個人の能力を高め,店頭において直接消費者に対応しているのが現状である。しかし、従業員の対応の時は薬剤師、薬種商の監督の下におこなわれている。この場合も従業員の知識などは各店舗の対応に任せられているのが現状である。店舗間の格差について現状では統一化されていない。この場合であってもいかに資格者が監督者であっても一定の知識と経験が必要である。
 以上のことから,全日本薬種商協会においては、販売に従事する者の責任と資質を確保する意味からも「一般用医薬品の販売従事者資格創設(案)について」(第3回検討部会提出資料)を提案しております。
 アンケート結果からは、消費者は品揃えが多く、価格が安く、便利な場所にある「利便性」を求める一方、情報提供のできる人的要素「知識性」も求めていることがわかります。副作用や相互作用などの情報に対して非常に関心が高く、初めて服用するものや家族に対するもの、妊娠授乳期時などの医薬品の選択には相談する機会を求めていることがわかります。相談、指導のできる販売体制が求められております。この為、直接消費者に接する、対面での販売方法が守られるべきです。また、直接販売する者の知識と能力を担保する意味で有資格者「医薬品販売師(仮称)」が販売に当たり、従業員等の監督と販売業務についての管理等については、「薬剤師」「医薬品販売管理師(仮称)」が行うことを提案しております。したがって医薬品の無資格者販売は許されるべきではない。

(4)医薬品販売の許可を受ける者の資質
一般用医薬品について、消費者のアンケート結果では薬局と薬店の区別がはっきりとつけられていない結果が出ています。この現状を見るとき、薬局以外の医薬品販売業について一般販売業と薬種商販売業が同一視されているといえます。従って生活者にとって高い信頼性を受けている薬種商におきましては、昭和35年の薬事法施行以来半世紀近くの長きに亘り、軽医療の一翼を担って参りました。地方によっては薬種商販売業だけが開設されている地域もあります。国民の健康と安全な生活のため寄与してきた努力は評価されております。薬種商は一般用医薬品販売業に対する許可となっておりその資質の担保として薬種商認定試験が実施されているといえます。試験合格者については、一定の資質が確保されたといえます。現状では薬種商販売業の許可を受ける者は試験合格者か薬学士となっており、法人のときにその法人の役員であることが求められています。この点が薬局と一般販売業の開設者との違いとなります。医薬品販売の許可を受ける者については薬局と一般販売業については開設者が薬剤師以外の時に管理薬剤師を置くことになっています。この場合は開設者の専門的な知識は問われておりません。
 一般用医薬品については、一般販売業と薬種商では消費者のアンケートでも区別があまりつけられていない結果が出ています。一般用医薬品の販売については、薬局以外の販売形態は「医薬品販売業」として一本化していくべきで、「薬局」は医療用医薬品と一般用医薬品の販売、「医薬品販売業」は一般用医薬品の販売とすることを提案しています。
 「医薬品販売業」における一般用医薬品については販売品による分類はせずに、専門知識と経験による有資格者の販売として一本化していき、スイッチOTCとして許可されたものであっても医療用医薬品に当たると判断されるものは除外すべきですし、一般用医薬品については垣根のない形で指定していくべきです。また、指定医薬品制度については医薬品を「医療用医薬品」と「一般用医薬品」に二分類にすることによって消費者の利便性が確保されるので制度の見直しをするべきである。



第13回厚生科学審議会
医薬品販売制度改正検討部会
平成17年4月28日
委員 安田 博

検討項目5「消費者への周知等」

(論点19)医薬品の効能効果、副作用の情報等について、消費者(国民)にどのように普及啓発していくか。
(論点23)消費者の適正使用を促すためのその他の方策について、どう考えられるか。

(1) 医薬品は生命関連商品であり、期待される効能・効果を得るには、消費 者に対して適切な情報提供を行い、適正に使用してもらうことが最も重要である。 なかでも、効能・効果とともに、副作用を併せ持つ医薬品の特性や服薬方法、服薬時の注意事項などの正しい使用方法について、広く普及啓発していく必要があると考える。

(2) このため、
(1)各医薬品販売業者が個々の医薬品の販売時における情報提供に努めるとともに、
(2)医薬品の特性等について、行政と各業界団体との密接な連携による広報、普及啓発活動を推進するほか、
(3)教育の場においても、たばこやアルコールなどが及ぼす健康影響やセルフメディケーションに関する健康教育と併せて行うことが効果的であると考える。

(3) また、配置販売業では、毎年実施されている「薬と健康の週間」等において、地域毎に各種の取り組みを行っているが、中でも、
行政と連携した街頭キャンペーンや
配置薬に関する相談等
を展開するなど、医薬品に関する知識の普及・啓発に努めている。

(4) 配置販売業は、配置先の各家庭(消費者)を直接訪問することから、口頭やパンフレット等による普及啓発が直接的に行えるメリットがあり、医薬品製造販売業者や行政からの情報伝達に適したシステムとなっており、今後とも、国や各都道府県等と連携した医薬品の正しい知識の普及に努めていく必要があると考えている。

(5) なお、前回部会の論点13でも議論になっていたが、使用期限の遵守も適正使用のためには重要であると考えている。配置薬販売業においては、訪問時に「配置期限」が近づいているものは、事前に回収しており、使用期限を超えた医薬品が服用されることはないようにしている。
 さらに、家庭における医薬品の保管についても、定期的な訪問の際に、適切な保管がなされているか、保管状況や保管場所の環境等を実際に確認しており、適正使用のためにも、今後とも継続して実施していく必要があると考える。

(論点20)消費者への情報提供を行う専門家と他の従業員との識別方法について、どう考えるか。

(1) 消費者(国民)に対し医薬品に関する情報を提供する際には、実際に情報提供する者の身分や氏名等を明示することは、消費者に対し安心感を付与するばかりでなく、情報提供側の責任の明確化に資するとも考える。

(2) 配置販売業では、(論点16)において述べたとおり、
(1)配置置従事者は、配置先の家庭(消費者)を訪問する際に身分証明書を携帯(薬事法第33条規定)しているほか、
(2)配置団体の自主的な取り組みとしては、配置従事者の資質向上を目的とした資格認定試験を創設して、合格者には認定証を交付するとともに、配置の際には配置従事者全員に着用させ、責任の一層の明確化に努めている。
(※ 認定証は、氏名・顔写真等が入った名札仕様となっている。)

(論点21)情報提供の内容が消費者に十分理解されるための外箱等への表示や文書の活用について、どう考えるか。

(1) 医薬品の外箱や直接の容器等における表示は、
(1)消費者者が、購入前に手軽に一定の内容を知ることができる重要な情報提供手段の一つとなっているが、
(2)表示スペースに限りがあること等から、
(3)個々の医薬品に関する重要な事項(使用上の注意や副作用等)については、添付文書等に明記され、消費者による服薬や保管等が一層適切に取り扱われるよう考慮される必要があると考える。

(2) 配置販売業では、
(1)個々の医薬品の外箱や添付文書等の記載事項に従い、直接、配置先の家庭(消費者)において、対面による正確な説明に努めているが、
(2)今後は、医薬品の一般的な服用方法や服薬注意事項等に関する消費者向けのパンフレット等の作成・提供についても検討していく必要があると考えている。

(論点22)消費者への情報提供が行われたかどうか、また、情報提供の内容を消費者が理解しているかどうかを確認することについて、どう考えるか。

(1) 消費者による医薬品の適正使用には、消費者が理解しやすく、かつ、懇切丁寧な説明が重要であることから、消費者にとって分かり易く、いかに適切な情報提供を行うかが大切であり、消費者との対話を通じて理解の状況が確認できるとすれば、購入者から確認書への署名を求めること等までは、必ずしも必要ではないと考える。

(2) 配置販売業は、
(1)小包装単位の製剤のみを扱っていることから、薬の飲み過ぎ、使い過ぎが起こりにくい形態となっているが、
(2)配置先の家庭(消費者)を反復・継続して訪問し、直接、対面で情報提供を行っており、
(3)配置先の各家庭と良好な人間関係が構築されていることから、健康相談等を通じ必要に応じて、受診勧奨を行うなど、医薬品の適正使用に努めているほか、
(4)説明(情報提供)に際しては、正確性に留意することはもとより、
(5)理解を得るために医薬品の適応(効能・効果)から副作用や保管上の注意等に至るまで、極力、平易な表現を用いて説明するように心がけている。

(3) 仮に、個々の消費者に対する情報提供に関し文書等での確認が必要であるとすれば、顧客台帳(「懸場帳」)の中に、消費者への説明や情報提供に関する「チェック欄」を設けるなどして、消費者の理解の確認を行うことも配置販売業では、可能であると考える。


検討項目6「情報通信技術の活用」

(論点24)消費者への情報提供及び流通段階や販売店における医薬品の管理等に情報通信技術を活用することについて、どう考えるか。

(1) 情報通信技術(インターネット、携帯電話、電子メール、FAX等)を活用した消費者との双方向の情報提供は、
(1)コストの縮減ばかりでなく伝達時間の短縮等の観点からも、販売側・消費者側の双方において非常に有益であるとともに、
(2)副作用等のリスク発生時には、早期の情報提供・対応が求められること等から、情報通信技術の多方面での活用促進について検討していく必要がある一方、
(3)医薬品は生命関連商品であることから、責任の所在が明確になった情報提供が必要であると考える。

(2) 配置販売業は、家庭(消費者)へ直接訪問する販売形態であり、
(1)対面(Face to Face)による消費者への確実な情報提供が行われること。
(2)反復・継続して配置先の家庭を訪問し、定期的な情報提供が可能なこと。
(3)配置箱に配置販売業者の連絡先を明示し、責任の所在が明確化されており、副作用や相談への対応が行えること。
(4)顧客台帳(「懸場帳」)によって各家庭に配置した医薬品の品目、数量等を把握し、電話やFAXにより副作用発生時等への確実な対応が可能であること。
(5)一般消費者からの配置薬に関する相談や情報提供についても、電話やFAXにより応じる体制(「おきぐすり相談窓口」)が各県で整備されていること。
等から、インターネットやテレビ電話等の情報通信技術を活用するまでもなく、消費者との双方向の情報のやりとりが可能なシステムとなっていると考えている。


検討項目8「その他」

(論点25)インターネット販売、カタログ販売及び個人輸入の形をとった販売形態について、専門家による情報提供の観点から、どう考えるか。

(配置販売業の業態と異なるためコメントせず。)

(論点26)専門家の関与がない特例販売業について、どう考えるか。

(配置販売業の業態と異なるためコメントせず。)



第13回厚生科学審議会
医薬品販売改正検討部会
平成17年4月28日
委員 増山ゆかり

今後の議事進行について


 今後の議事進行について、以下の事項について意見を述べさせていただきます。 お聞き届けいただけますようお願い申し上げます。

 従前の議論において、個々の医薬品のリスクに応じた情報提供のあり方や、医薬品販売に従事する専門家の情報提供の内容等を議論してきました。
 医薬品のリスクの程度の評価と情報提供の内容等に関する専門委員会に、医薬品のリスクに応じて医薬品を区分する作業は委ねられました。
 現在、検討会の議論は論点整理に及んでいますが、時間を有効に使うために専門委員会の最終結果を待たずに進められています。しかし、今後は一般用医薬品販売においてリスク区分の結果を公表し、リスク区分の種類を絞り込み、該当する種類に分類されるべく医薬品の種類を特定するなどして、それらの薬をそれぞれどのような方法で販売することを適当とするか、という具体的イメージを構築しつつ議論を実施すべきだと考えます。
 以下の項目を明確にしたのちに、今後は議論していただきたく思います。
(1) リスク区分の基準
(2) 各区分された種類に該当する代表的な医薬品
(3)各区分に応じた医薬品販売に従事する者の資格と資質等

 このような意見を述べるに至ったのは、以下のような不都合があると考えるからです。
 具体的に医薬品は誰の手によって、どの医薬品がどのように分類され売られるのかが明確にならないと、実際にどの医薬品どのような販売方法が適当と考えるのかといった点については、結果と現時点における委員各自の認識とは必ずしも一致しない可能性があるからです。個々の医薬品をどこに分類するかを微細に行うことは議論の矮小化を招く危険もありますが、少なくとも市販されている代表的な医薬品についての分類はある程度は絞り込み、認識を一致させる必要があるように思います。

以上

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