資料4
母子家庭自立支援策の現状等について


I  母子家庭の自立支援策の概要
 1  母子家庭の自立支援策の概要
 2  母子寡婦福祉法等の改正の概要と対策の実施時期一覧
 3  児童扶養手当制度の概要

II  児童扶養手当・就業支援策の実施状況
 1  児童扶養手当給付費と受給者数の推移
 2  母子家庭の就業支援関係事業の実施状況等
 3  母子家庭の現状

III  平成17年度の取組状況
 1  平成17年度母子寡婦福祉対策関係予算の概要
 2  母子家庭に対する就業支援施策
 3  母子自立支援プログラムについて
 4  福祉事務所とハローワークの連携による児童扶養手当受給者の就労支援



I  母子家庭の自立支援策の概要
 母子家庭の自立支援策の概要
 ○ 平成14年度に母子及び寡婦福祉法、児童扶養手当法等を改正し、「児童扶養手当中心の支援」から「就業・自立に向けた総合的な支援」へと転換したところ。
自立・就業支援に主眼を置いた総合的な母子家庭等対策の推進
児童扶養手当法第2条(児童扶養手当の趣旨)
児童扶養手当の支給を受けた母は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活の安定と向上に努めなければならない。
母子及び寡婦福祉法第4条(自立への努力)
母子家庭の母及び寡婦は、自ら進んでその自立を図り、家庭生活及び職業生活の安定と向上に努めなければならない。
↓ ↓ ↓ ↓
子育てと生活支援

保育所の優先入所の法定化
ヘルパーの派遣などによる子育て、生活支援策の実施
サテライト型施設の設置など母子生活支援施設の機能の拡充
就業支援

母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
母子家庭の能力開発等のための給付金の支給
母子家庭の母の公共的施設における雇い入れの促進
養育費の確保

養育費支払い努力義務の法定化
法律相談事業の実施
養育費の額の目安となる算定表を含む「養育費の手引」の作成
民事執行制度の改正による履行確保の促進
経済的支援

自立を支援する観点から母子寡婦福祉貸付の充実
児童扶養手当の支給
母子自立支援員の設置  相談に応じ自立に必要な指導、職業能力の向上及び求職活動に関する支援を実施(都道府県、市等)(平成16年度 1,373人)


 母子寡婦福祉法等の改正の概要と対策の実施時期一覧

平成14年度実施
(平成14年度予算に基づき実施)

児童扶養手当制度(8月実施)
所得額と手当額の関係や所得の範囲の見直し
図
就労等収入
母子寡婦福祉貸付金
技能習得資金の一時貸付の充実
特例児童扶養資金の創設(児童扶養手当制度の改正に伴う貸付金)
図


 児童扶養手当制度の概要
1. 目的
 父と生計を同じくしていない児童が育成される家庭の生活の安定と自立の促進に寄与するため、当該児童について手当を支給し、児童の福祉の増進を図る。
2. 支給対象者
 18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にある児童(障害児の場合は20歳未満)で、父母が婚姻を解消したり、母が婚姻によらないで懐胎した児童等を監護し、養育している母又は養育者。
3. 予算額
 17年度予算  3,252.4億円
4. 手当額(月額)
児童1人の場合
 全部支給  41,880円   一部支給 41,870円から9,880円まで
児童2人以上の加算額
 2人目  5,000円   3人目以降1人につき  3,000円
5. 所得制限限度額(収入ベース)
本人 全部支給(2人世帯)  130.0万円  一部支給(2人世帯)  365.0万円
扶養義務者(6人世帯)  610.0万円
6. 平成16年3月末受給者数(社会福祉行政業務報告)
総数 生別母子世帯 死別
母子世帯
未婚の
母子世帯
障害者
世帯
遺棄世帯 その他の
世帯
離婚 その他
871,161 768,580 1,448 9,462 64,219 2,808 5,975 18,669
児童扶養手当の手続

事前の相談
────────→
手当の申請
────────→
手当の支給
児童扶養手当制度の説明
母子家庭施策活用の検討
所得、年金等の確認
生計を同じくする扶養
義務者の所得確認
所得額に応じて手当を支給
毎年1回(8月)現況届を
提出させ支給要件及び所得
を確認

児童扶養手当の実施機関と費用負担

 ○ 都道府県(町村部)・市(市部)が実施。
 ○ 児童扶養手当については、国が3/4、地方自治体が1/4を負担。



II  児童扶養手当・就業支援策の実施状況
   児童扶養手当給付費と受給者数の推移
児童扶養手当給付費と受給者数の推移のグラフ
昭和37年度と平成15年度の比較
  昭和37年度 平成15年度 倍率
人数(人) 154,387 871,161 5.643
給付費(千円) 1,410,276 396,601,077 281.222
昭和60年度と平成15年度の比較
  昭和60年度 平成15年度 倍率
人数(人) 647,606 871,161 1.345
給付費(千円) 261,638,916 396,601,077 1.516

   母子家庭の就業支援関係事業の実施状況等
 (1) 母子家庭等就業・自立支援センター事業
 母子家庭の母等に対して、就業相談や就業支援講習会の実施、就業情報の提供など一貫した就業支援サービスや養育費の相談など生活支援サービスを提供する。
  都道府県 指定都市 中核市 合計
(47) (13) (35) (95)
平成15年度 39か所 8か所 11か所 58か所
(83.0%) (61.5%) (31.4%) (61.1%)
平成16年度 47か所 12か所 21か所 80か所
(100.0%) (92.3%) (60.0%) (84.2%)
平成17年度
(予定)
47か所 12か所 21か所 80か所
(100.0%) (92.3%) (60.0%) (84.2%)

 (2) 自立支援教育訓練給付金事業
 地方公共団体が指定する教育訓練講座を受講した母子家庭の母に対して、講座終了後に受講料の一部を支給する。
 受講料の4割相当額(上限20万円、下限8千円)
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
(47) (13) (35)    
平成15年度 35か所 1か所 6か所 116か所 158か所
(74.5%) (7.7%) (17.1%) (17.6%) (21.0%)
平成16年度 45か所 7か所 24か所 251か所 327か所
(95.7%) (53.8%) (68.6%) (36.0%) (41.2%)
平成17年度
(予定)
47か所 13か所 30か所 346か所 436か所
(100.0%) (100.0%) (85.7%) (35.5%) (53.6%)

 (3) 高等技能訓練促進費事業
 介護福祉士等の経済的自立に効果的な資格を取得するために2年以上養成機関等で修学する場合で、就業(育児)と修業の両立が困難な場合に、生活費の負担軽減のため、高等技能訓練促進費を支給する。
 修学期間の最後の1/3の期間(12ヶ月を限度)
 月額10万3千円
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
(47) (13) (35)    
平成15年度 29か所 1か所 6か所 91か所 127か所
(61.7%) (7.7%) (17.1%) (13.8%) (16.9%)
平成16年度 37か所 5か所 24か所 186か所 252か所
(78.7%) (38.5%) (68.6%) (26.6%) (31.8%)
平成17年度
(予定)
40か所 10か所 28か所 265か所 343か所
(85.1%) (76.9%) (80.0%) (36.9%) (42.1%)

 (4) 常用雇用転換奨励金事業
 母子家庭の母を新規にパートタイムとして雇用し、OJT実施後、常用雇用(一般)労働者に雇用転換した事業主に対して奨励金を支給する。
 1人あたり 30万円
  都道府県 指定都市 中核市 一般市等 合計
(47) (13) (35)    
平成15年度 19か所 1か所 2か所 56か所 78か所
(40.4%) (7.7%) (5.7%) (8.5%) (10.4%)
平成16年度 29か所 3か所 11か所 125か所 168か所
(61.7%) (23.1%) (31.4%) (17.9%) (21.2%)
平成17年度
(予定)
31か所 4か所 12か所 150か所 197か所
(66.0%) (30.8%) (34.3%) (20.9%) (24.2%)


   母子家庭の現状


1. 離婚の状況
(「平成15年 人口動態統計の年間推計」)

 ・ 離婚件数は長期的には大幅に増加しているが、平成15年は28万3,854件で、平成14年の28万9,836件より5,982件減少した。(平成16年速報値 26万7000件)
 ・ 離婚率(人口千対)は2.25で、平成14年の2.30を下回った。
(平成16年速報値 2.12)
離婚件数及び離婚率の年次推移のグラフ

2. 母子世帯数
(「平成15年度全国母子世帯等調査」)

 近年の離婚の増加に伴い、母子家庭も増加している。
 ・ 母子世帯数 約123万世帯(H10 95万世帯)

3. 就労、収入等の状況

<就労>  (「平成15年度全国母子世帯等調査」)
 ・ 母子家庭の約8割は、就労している。(H10 約8割)
就労母子家庭のうち、常用雇用は、約4割(H10 約5割)
パート等は、約5割(H10 約4割)
<収入>  (「平成15年度全国母子世帯等調査」)
 ・ 母子世帯の平均収入 212万円(H10 229万円)
 ・ 一般世帯の平均収入 589万円(「平成15年国民生活基礎調査」)

 ※ 母子世帯の母で不就業の者のうち、「就職したい」とする者が86.2%(H10 73.1%)おり、就業に対して意欲的であることがうかがえる。

4. 養育費の取得状況
(「平成15年度全国母子世帯等調査」)

 ・ 養育費について取り決めをしている割合
離婚母子世帯のうち約34%
 ・ 養育費を現在も受給している割合
離婚母子世帯のうち約18%

《まとめ》
 離婚等の増加により、母子家庭数も増加。5年前の調査と比較しても、就労している者の内の常用雇用の割合が減少し、また、平均収入も減少しており、母子家庭を取り巻く環境は、依然として厳しいものとなっている。



III  平成17年度の取組状況

   平成17年度母子寡婦福祉対策関係予算の概要

 (平成16年度予算)   (平成17年度予算)
3,116億円   3,351億円

4,783百万円
 (1) 子育て・生活、就業支援等の推進

  (1) 母子家庭等対策総合支援事業の創設(統合補助金)
1,868百万円
 各自治体における母子家庭等の子育て・生活、就業支援等の一層の推進が図られるよう、従来の母子家庭等日常生活支援事業、母子家庭等就業・自立支援センター事業等を再編・整理し、補助基準の緩和等を図ることにより、自治体の主体的かつ弾力的な事業運営を可能とする統合補助金を創設する。

日常生活支援事業
ひとり親家庭生活支援事業
母子家庭等就業・自立支援センター事業の推進
母子家庭自立支援給付金事業
自立支援教育訓練給付
母子家庭高等技能訓練促進費
常用雇用転換奨励金
母子自立支援プログラム策定事業〈新規〉
 児童扶養手当受給者の自立・就業支援のために活用すべき自立支援プログラムを策定し、ハローワークとの連携のもと、これに基づいた支援を実施するためのモデル事業を実施する。

  (2) 子育て短期支援事業(次世代育成支援対策交付金に計上)

  (3) 母子家庭の母等に対する準備講習付き職業訓練の実施
(職業能力開発局に計上)〈新規〉 657百万円
 就労経験がない又は就労経験が乏しい母子家庭の母等に対し、準備講習付き職業訓練を実施し、職業能力開発の機会・効果を向上させ、母子家庭の母等の就業支援をより積極的に推進する。

準備講習付き職業訓練の実施
 母子家庭の母等の職業的自立を促すための方策として、新たに、就職の準備段階としての準備講習と実際の就職に必要な技能・知識を習得するための職業訓練を実施する。

 (2) 自立を促進するための経済的支援策
330,354百万円
  (1) 母子寡婦福祉貸付金の充実
5,110百万円
  (2) 児童扶養手当
325,244百万円


 母子家庭に対する就業支援施策
平成17年度新規事業
(1) 母子家庭の母に対する準備講習付き職業訓練の実施(657百万円)
 準備講習(4〜5日程度)
  ↓
 公共職業訓練(3〜6月程度)




母子家庭の母1,500人
  ※ 1,000人の受講者には訓練手当を支給(月額平均138,170円)
  ※ 生活保護受給者に対しても同じ事業(規模、予算)を実施
(2) 母子自立支援プログラム策定事業(118百万円)
 福祉事務所に母子自立支援プログラム策定員を配置(86人)
   ↓
  自立が見込まれる児童扶養手当受給者を対象に自立支援プログラムを策定
   ↓
  ハローワークとの連携のもと、プログラムに基づいた支援を実施
  ※ 実施地域は、東京都、大阪府、政令指定都市(静岡市を含む)
平成17年度見直し
 自立支援教育訓練給付金及び高等技能訓練促進費について、国が定める対象講座・対象資格以外に都道府県知事等が地域の実情に応じて対象講座や資格を追加指定する場合、国への事前協議を廃止
自立支援教育訓練給付金
 ・ 雇用保険等で定める教育訓練講座を受講した母子家庭の母を対象
 ・ 講座終了後に受講料の4割相当額(上限20万円、下限8千円)を支給
高等技能訓練促進費
 ・ 介護福祉士等の資格を取得するために2年以上養成機関等で修学する母子家庭の母を対象
 ・ 生活費として、最後の1/3の期間、月額103,000円を支給


 母子自立支援プログラムについて
 個々の児童扶養手当受給者の状況・ニーズに応じ、自立支援計画書を策定し、母子家庭等就業・自立支援センター事業や生活保護受給者等就労支援事業等を活用することにより、きめ細かな自立・就労支援を実施することを目的として、母子自立支援プログラム策定員を設置することとする。
策定員の選定と配置
 安定所OB、人事担当部局経験者など就業相談の知識・経験がある者等
 ※ 母子家庭等就業・自立支援センターへの配置可
↓
面接の実施
児童扶養手当受給者のうち自立・就労に対する意欲のある者等に対し個別に面接を実施
↓
計画書の策定
(1)  生活や子育て、健康、収入、就労の状況等、本人の現在の状況を理解するために必要な事項
(2)  本人の自立・就労を阻害している要因、課題
(3)  自立・就労阻害要因を克服するための支援方策の内容
(4)  自立目標
(5)  支援方策実施後の経過、自立・就労の進捗状況、支援内容等に対する評価
(6)  面接者の見解、面接者が本人に対して行った指導、助言、対応等の内容
関係機関等との連絡調整
→
就労支援事業への移行
 就職等支援方策を検討するため、生活保護受給者等就労支援事業へ移行することが望ましいと考えられる支援対象者については、福祉事務所総括コーディネーターと事前に相談・調整。
 策定員は、就労支援メニュー選定チームの構成員として、安定所担当者及び安定所担当コーディネーターとともに、支援対象者に対し面接を実施。
 面接修了後、支援対象者に最も適した支援メニューを選定。


 福祉事務所とハローワークの連携による児童扶養手当受給者の就労支援

福祉事務所とハローワークの連携による児童扶養手当受給者の就労支援の図

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