資料3
生活保護制度の現状等について
− 目次 −

I  生活保護制度の概要
 1  生活保護制度の目的
 2  生活保護基準の内容
 3  生活扶助基準の例
 4  生活保護の手続
 5  保護の実施機関と費用負担
 6  生活扶助基準額算出方法
 7  最低生活費の計算と収入認定の仕組み
 8  生活保護基準における級地制度について

II  生活保護制度の現状
 1  生活保護の動向(1)
 2  生活保護の動向(2)
 3  世帯類型別被保護世帯数の推移
 4  生活保護費の内訳
 5  生活保護費の内訳の推移
 6  地域別保護率の比較

III  生活保護制度の見直し
 1  生活保護制度の見直しの概要
 2  自立支援プログラムについて
(1)  現状と見直しの方向性
(2)  自立支援プログラムの基本方針
(3)  生活保護受給者等就労支援事業(ハローワークとの連携)
(4)  生活保護受給者等就労支援事業のイメージ
 3  生活保護基準の見直し
 老齢加算の段階的廃止について


I  生活保護制度の概要
 生活保護制度の目的
 ○ 最低生活の保障
資産、能力等すべてを活用してもなお生活に困窮する者に対し、困窮の程度に応じた保護を実施
 ○ 自立の助長
最低生活の保障
  (1) 資産、能力等をすべて活用することが保護の前提
不動産、自動車、預貯金等の資産
稼働能力の活用
扶養義務者からの扶養
年金、手当等の社会保障給付 等
→
保護の開始時に調査
(預貯金、扶養義務者の状況及び扶養能力、年金、手当 等の額、傷病の状況等を踏まえた就労の可否等)
保護適用後にも届出を義務付け
  (2) 支給される保護費の額
厚生労働大臣が定める基準で計算される最低生活費から収入を差し引いた差額を保護費として支給
図
 収入としては、就労による収入、年金等社会保障の給付、親族による援助等を認定。
 預貯金、保険の払戻し金、不動産等の資産の売却収入等も認定するため、これらを使い尽くした後に初めて保護適用となる。

自立の助長
  ・ 世帯の実態に応じて、年数回の訪問調査
  ・ 就労の可能性のある者への就労指導


 生活保護基準の内容

 生活保護基準は、要保護者の年齢別、性別、世帯構成別、所在地域別その他保護の種類に応じて必要な事情を考慮した最低限度の生活の需要を満たすに十分なものであつて、且つ、これをこえないものでなければならない。(生活保護法第8条第2項)
生活を営む上で生じる費用 対応する
扶助の種類
支給内容
日常生活に必要な費用
(食費・被服費・光熱水費等)
生活扶助 基準額は、
(1) 食費等の個人的費用(年齢別に算定)と
(2) 光熱水費等の世帯共通的費用(世帯人員別に算定)を合算して算出。
なお、特定の世帯については加算が上乗せされる。
→ 老齢加算、母子加算、障害者加算等
アパート等の家賃 住宅扶助 定められた範囲内で実費を支給
義務教育を受けるために必要な学用品費 教育扶助 定められた基準額を支給
医療サービスの費用 医療扶助 費用は直接医療機関へ支払(本人負担なし)
介護サービスの費用 介護扶助 費用は直接介護事業者へ支払(本人負担なし)
出産費用 出産扶助 定められた範囲内で実費を支給
就労に必要な技能の修得等にかかる費用 生業扶助
葬祭費用 葬祭扶助


 生活扶助基準の例 (平成17年度)
  東京都区部等 地方郡部等
標準3人世帯(33歳、29歳、4歳)※ 167,170円 130,680円
高齢者単身世帯(68歳) 80,820円 62,640円
高齢者夫婦世帯(68歳、65歳) 121,940円 94,500円
母子世帯(30歳、4歳、2歳)※ 177,900円 142,300円
※母子加算、児童養育加算含む。


 生活保護の手続

事前の相談
────────→
保護の申請
───────────→
保護費の支給
生活保護制度の説明
生活福祉資金、障害者施策等
各種の社会保障施策活用の
可否の検討
預貯金、保険、不動産等の資産調査
扶養義務者による扶養の可否の調査
年金等の社会保障給付、就労収入等
の調査
就労の可能性の調査
最低生活費から収入を引いた額を支給
世帯の実態に応じて、年数回の訪問調査
収入・資産等の届出を義務付け、定期的に
課税台帳との照合を実施
就労の可能性のある者への就労指導


 保護の実施機関と費用負担

 ○ 都道府県(町村部)・市(市部)が実施。
 ○ 都道府県・市は、福祉事務所を設置し、被保護世帯に対して担当のケースワーカーを設定。
 ○ 保護費については、国が3/4、地方自治体が1/4を負担。


 生活扶助基準額算出方法
 −東京都区部等に在住する母子世帯(母30歳、子2人〔4歳、2歳〕)の場合−
  【生活扶助基準額=(1)+(2)+(3)】
(1)生活扶助基準(第1類費)
(2)生活扶助基準(第2類費)
(3)加算額
生活扶助基準額
第1類費: 食費・被服費等個人単位に係る経費
年齢階層別・級地別に基準額を設定

第2類費: 光熱費・家具什器等の世帯単位の経費
冬季(11月〜翌年3月)には地区別に冬季加算が別途計上
この世帯の場合、
40,270円(30歳)+26,350円(4歳)+20,900円(2歳)=87,520円
この世帯の場合、3人世帯であるため、
53,290円
この世帯の場合、母子加算+児童養育加算
=25,100円(児童2人)+5,000円×2(4歳、2歳)=35,100円
175,910円
(単位:円)
年齢 1級地 2級地 3級地
1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
0〜2 20,900 19,960 19,020 18,080 17,140 16,200
3〜5 26,350 25,160 23,980 22,790 21,610 20,420
6〜11 34,070 32,540 31,000 29,470 27,940 26,400
12〜19 42,080 40,190 38,290 36,400 34,510 32,610
20〜40 40,270 38,460 36,650 34,830 33,020 31,210
41〜59 38,180 36,460 34,740 33,030 31,310 29,590
60〜69 36,100 34,480 32,850 31,230 29,600 27,980
70〜 32,340 31,120 29,430 28,300 26,520 25,510
世帯構成員の数が、
4人の世帯の場合:第1類費の個人別の額を合算した額×0.98
5人以上の世帯の場合:第1類費の個人別の額を合算した額×0.96
(単位:円)
人員 1級地 2級地 3級地
1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
1人 43,430 41,480 39,520 37,570 35,610 33,660
2人 48,070 45,910 43,740 41,580 39,420 37,250
3人 53,290 50,890 48,490 46,100 43,700 41,300
4人 55,160 52,680 50,200 47,710 45,230 42,750
5人以上
1人を増す
ごとに加算
する額
440 440 400 400 360 360
(1) 級地別に入院患者等を除いたすべての世帯員を合計
(2) 冬季(11月〜翌年3月)には地区別に冬季加算が別途計上
(単位:円)
加算できる対象 加算額
1級地 2級地 3級地
老人 70歳以上の者 3,760 3,420 3,080
障害者 身体障害者障害程度等級表の1・2級に該当する者等 26,850 24,970 23,100
身体障害者障害程度等級表の3級に該当する者等 17,890 16,650 15,400
ひとり親世帯 児童1人の場合 23,260 21,640 20,020
児童2人の場合 25,100 23,360 21,630
3人以上の児童1人につき加える額 940 870 800
(単位:円)
児童養育加算 第1子及び第2子 小学校第3学年修了前の児童 5,000
第3子以降 小学校第3学年修了前の児童 10,000
(1) 該当者がいるときだけその分を加算
(2) 入院患者、施設入所者は別の基準
(3) このほか、「妊婦・産婦」などがいる場合は、別途、妊婦加算等あり


 保護費支給額の算定

 ○ 保護費支給額
保護費支給額
最低生活費
収入認定額

 ○最低生活費 ※各扶助は、世帯の実状に応じ、必要がある場合に算定
最低生活費
生活扶助
住宅扶助
教育扶助
医療扶助
   
介護扶助
出産扶助
生業扶助
葬祭扶助

 ○収入認定額
 
収入認定額
勤労収入
その他収入
扶養義務者からの扶養
  ・超過勤務手当、通勤手当等含む(勤労控除後※) ・児童扶養手当、年金等の社会保障給付
 
※ 勤労収入がある場合の収入認定額の算定方法
 
勤労収入
勤労控除額
実費控除額
       
  ・社会保険料や通勤費等
   (勤労収入がある世帯の平均額)
 
65,830円
22,445円 4,863円 38,522円    
            平成16年 被保護者全国一斉調査
 
勤労控除の趣旨
 (1) 勤労に伴う必要経費を補填
 勤労収入を得るためには、勤労に伴って被服費や知識・教養の向上等のための経費が必要となることから、勤労収入のうちの一定額を控除する。控除額は収入額により異なる(収入額8,340円までは全額控除)。
 (2)  勤労意欲の増進・自立助長


 生活保護基準における級地制度について

 ○ 目的
地域における生活様式や物価差による生活水準の差の生活保護基準への反映

 ○ 内容
全国の市(区)町村を、6区分(3級地6区分)に分類し、それぞれに基準額を設定。
各区分の基準の間に4.5%の格差を設定。


級地別市町村数(H17.4.1現在)
総数 1級地-1 1級地-2 2級地-1 2級地-2 3級地-1 3級地-2
市町村の例 東京都23区
横浜市
大阪市
札幌市
千葉市
福岡市
金沢市
静岡市
高知市
長岡市
三島市
佐世保市
弘前市
福知山市
今治市
結城市
篠山市
宇和島市
2,418 80 50 123 82 654 1,429
 ※1級地-1には東京都特別区を含む。



II  生活保護制度の現状
 生活保護の動向(1)
 ○  生活保護の被保護者は平成17年1月現在で144万4千人。保護率は人口千人あたり11.3人(11.3‰)。
 ○  生活保護の被保護世帯は平成17年1月現在で101万3千世帯。
 ○  被保護者数は昭和60年以降減少傾向にあったが、高齢化の進展や景気後退の影響等を受けて、平成7年以降増加傾向。
被保護世帯、被保護人員、保護率の年次推移のグラフ 資料:福祉行政報告例


 生活保護の動向(2)
  被保護世帯 被保護人員 保護率
  世帯
昭和27年 702,450 2,042,550 23.8
30 661,036 1,929,408 21.6
35 611,456 1,627,509 17.4
40 643,905 1,598,821 16.3
45 658,277 1,344,306 13.0
50 707,514 1,349,230 12.1
55 746,997 1,426,984 12.2
60 780,507 1,431,117 11.8
平成2年 623,755 1,014,842 8.2
7 601,925 882,229 7.0
12 751,303 1,072,241 8.4
13 805,169 1,148,088 9.0
14 870,931 1,242,723 9.8
15 941,270 1,344,327 10.5
資料:福祉行政報告例、総務省人口推計


 世帯類型別被保護世帯数の推移

平成15年度の総世帯数は94万世帯であり、
 構成割合でみると、約半数(46.4%)が高齢者世帯である。
 過去8年間の伸びをみると、高齢化の影響を受け高齢者世帯が増加し、また、不況の影響から、母子・その他(50歳代単身者等)世帯も増加している。

  平成7年度 構成割合(%) 平成15年度 構成割合(%) 増加率
総数 600,980 100.0 939,733 100.0 156.4%
高齢者世帯 254,292 42.3 435,804 46.4 171.4%
  うち単身世帯 224,104 37.3 381,640 40.6 170.3%
母子世帯 52,373 8.7 82,216 8.7 157.0%
傷病者・障害者世帯 252,688 42.0 336,772 35.8 133.3%
その他世帯 41,627 6.9 84,941 9.0 204.1%

 資料:福祉行政報告例


 生活保護費の内訳

 生活保護費は平成15年度で約2兆3千881億円。51.8%は医療扶助費、34.3%は生活扶助費。

生活保護費内訳(平成15年度)
生活保護費内訳のグラフ
 被保護者は国民健康保険に加入できず、医療費については全額を医療扶助費で対応している。
  生活保護費 構成割合
  (億円) (%)
生活保護費総額 23,881 100.0
医療扶助 12,361 51.8
生活扶助 8,182 34.3
住宅扶助 2,823 11.8
その他の扶助 515 2.2
資料:生活保護費事業実績報告(平成15年度)


 生活保護費の内訳の推移
(単位:億円)
年度 保護費総額 生活扶助 住宅扶助 医療扶助 その他の扶助
昭和45年 2,713 (100.0%) 884 (32.6%) 105 (3.9%) 1,673 (61.7%) 52 (1.9%)
50年 6,764 (100.0%) 2,325 (34.4%) 246 (3.6%) 4,092 (60.5%) 101 (1.5%)
55年 11,553 (100.0%) 4,020 (34.8%) 601 (5.2%) 6,759 (58.5%) 173 (1.5%)
60年 15,027 (100.0%) 5,376 (35.8%) 993 (6.6%) 8,464 (56.3%) 194 (1.3%)
平成2年 12,928 (100.0%) 4,400 (34.0%) 1,026 (7.9%) 7,379 (57.1%) 123 (1.0%)
6年 13,839 (100.0%) 4,585 (33.1%) 1,207 (8.7%) 7,946 (57.4%) 102 (0.7%)
7年 14,849 (100.0%) 4,656 (31.4%) 1,275 (8.6%) 8,819 (59.4%) 99 (0.7%)
8年 15,137 (100.0%) 4,888 (32.3%) 1,376 (9.1%) 8,773 (58.0%) 100 (0.7%)
9年 16,043 (100.0%) 5,213 (32.5%) 1,496 (9.3%) 9,230 (57.5%) 103 (0.6%)
10年 16,961 (100.0%) 5,579 (32.9%) 1,615 (9.5%) 9,659 (56.9%) 108 (0.6%)
11年 18,269 (100.0%) 5,936 (32.5%) 1,802 (9.9%) 10,416 (57.0%) 114 (0.6%)
12年 19,393 (100.0%) 6,410 (33.1%) 2,007 (10.3%) 10,711 (55.2%) 265 (1.4%)
13年 20,772 (100.0%) 6,951 (33.5%) 2,240 (10.8%) 11,229 (54.1%) 352 (1.7%)
14年 22,181 (100.0%) 7,602 (34.3%) 2,521 (11.4%) 11,622 (52.4%) 436 (2.0%)
15年 23,881 (100.0%) 8,182 (34.3%) 2,823 (11.8%) 12,361 (51.8%) 515 (2.2%)
(注) 事業費ベース。金額は億円未満を四捨五入、施設事務費負担金を除いている。
資料: 生活保護費負担金事業実績報告


 地域別保護率の比較

  7年度 15年度 7−15
伸び
   
全国 7.0 10.5 3.5
北海道 15.4 22.0 6.6
青森県 11.0 14.5 3.5
岩手県 5.2 6.7 1.5
宮城県 4.1 6.8 2.7
秋田県 7.0 9.9 2.9
山形県 3.4 4.0 0.6
福島県 4.0 6.4 2.4
茨城県 3.1 4.8 1.7
栃木県 3.1 5.6 2.5
群馬県 2.6 4.0 1.4
埼玉県 3.1 6.3 3.2
千葉県 3.2 6.5 3.3
東京都 8.1 14.1 6.0
神奈川県 5.7 10.3 4.6
新潟県 3.2 4.9 1.7
富山県 2.0 2.1 0.1
石川県 2.7 4.1 1.4
福井県 2.1 2.6 0.5
山梨県 2.2 3.5 1.3
長野県 2.3 2.9 0.6
岐阜県 2.0 2.9 0.9
静岡県 2.2 3.7 1.5
愛知県 3.4 5.3 1.9
三重県 4.7 6.6 1.9
滋賀県 4.2 5.5 1.3
京都府 14.3 17.3 3.0
大阪府 11.4 21.5 10.1
兵庫県 7.9 13.0 5.1
奈良県 7.8 10.2 2.4
和歌山県 7.3 9.8 2.5
鳥取県 6.1 7.0 0.9
島根県 4.5 5.0 0.5
岡山県 6.9 9.3 2.4
広島県 6.3 10.4 4.1
山口県 7.8 10.2 2.4
徳島県 11.3 13.0 1.7
香川県 7.4 9.1 1.7
愛媛県 7.8 9.9 2.1
高知県 15.3 19.1 3.8
福岡県 16.4 17.6 1.2
佐賀県 5.8 6.5 0.7
長崎県 10.8 13.6 2.8
熊本県 7.5 8.2 0.7
大分県 9.4 12.1 2.7
宮崎県 8.5 10.6 2.1
鹿児島県 10.5 13.2 2.7
沖縄県 12.9 14.2 1.3
資料:福祉行政報告例
注: 指定都市・中核市は都道府県に含む
平成15年度
図
保護率の地域間格差は拡大傾向
平成15年度  最高 北海道22.0‰
 最低 富山県2.1‰


10.5倍
平成7年度  最高 福岡県16.4‰
 最低 岐阜県2.0‰
 最低 富山県2.0‰




 8.2倍



III  生活保護制度の見直し
 生活保護制度の見直しの概要

社会保障審議会福祉部会生活保護制度の在り方に関する専門委員会報告書(平成16年12月15日)を踏まえ、社会経済情勢、家族形態の変貌等に対応するため、生活保護基準や制度・運用の在り方と自立支援の見直しを実施

現在の生活保護の制度や運用の在り方で生活困 窮者を十分支えられているか
経済的な給付だけでは被保護世帯の抱える問題への対応に限界があるのではないか
担当職員個人の努力や経験等に依存しやすくなっている実施体制に困難があるのではないか
自立・就労を支援し、保護の長期化を防ぐための取組が十分であるか
→
生活保護基準の在り方の見直し
生活扶助基準の5年に一度の定期的検証
老齢加算の段階的廃止
母子加算の見直し
高校就学費用の給付 等
制度・運用の在り方と自立支援の見直し
自立支援プログラムの導入
実施体制の整備
資産、能力の活用等の在り方の見直し 等

  経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004(抄)
(平成16年6月4日閣議決定)
(生活保護の見直し)
社会経済情勢の変化等を踏まえ、加算等の扶助基準の見直し、保護の適正な実施に向けた地方公共団体の取組の推進な ど、制度、運営の両面にわたる見直しを行い、平成17年度から実施する。特に、雇用施策と連携しつつ、就労及び自立を促す。


 自立支援プログラムについて
(1)  現状と見直しの方向性
現状 問題点 見直しの方向性
∧被保護者∨
被保護世帯が抱える問題は多様
精神疾患等の傷病(社会的入院を含む)、DV、虐待、若年無業者(NEET)、多重債務、元ホームレス等
社会的きずなが希薄
 − 相談に乗ってくれる人がいない 38.3%(平成15年)
高齢者世帯(特に単身世帯)の増加
 − 平成7年度の世帯数を100とした割合 (平成15年度)
 高齢者世帯 171.4 高齢者単身世帯 170.3
保護受給期間が長期にわたる者が少なくない
 − 高齢者世帯・傷病障害者世帯を除く世帯の保護受給期間別の世帯割合 (平成15年度)
〜1年 1〜3年 3〜10年 10〜15年 15年〜
24.4% 30.8% 34.1% 5.5% 5.2%
 − 高齢者世帯・傷病障害者世帯を除く世帯の受給期間別保護廃止世帯率 (平成12年→14年)
12年時の受給期間 2年未満 2〜4年 4〜6年 6〜8年
2年間の廃止率 22.8% 20.3% 18.7% 15.5%
∧地方自治体の運用∨
実施体制上の問題
担当職員の配置数・その経験の不足
 − 生活保護担当職員の配置状況(平成16年度)
 全国 11,944人(1,198人不足)
(参考) 生活保護担当職員の不足数の年次推移
H12 H13 H14 H15 H16
354人 576人 858人 1,089人 1,198人
 − 指導監督担当職員のうち、担当職員経験がない者
 全国平均 23.8%(平成16年度)
図 図
↓
自立支援プログラム
の導入

(2)  自立支援プログラムの基本方針
 自立支援プログラムの策定
(1)  管内の被保護世帯全体の状況を把握
(2)  被保護者の状況や自立阻害要因を類型化し、それぞれの類型ごとに対応する個別の支援プログラムを策定
 (例1)  稼働能力を有する者→就労に向けた具体的取組を支援し、就労を実現するプログラム
 (例2)  精神障害者→長期入院を防止・解消し、居宅生活の復帰・維持を目指すプログラム
 (例3)  高齢者→傷病や閉じこもりを防止し、健康的な自立生活を維持するプログラム
(3)  これに基づき個々の被保護者に必要な支援を組織的に実施

 実施体制の充実
 他法他施策や関係機関(保健所、ハローワーク、精神保健福祉センター等)の積極的活用
 民生委員、社会福祉協議会、社会福祉法人、民間事業者等への外部委託(アウトソーシング)の推進や非常勤職員の積極的活用
 セーフティネット支援対策事業費補助金や生業扶助の積極的活用

(3)  生活保護受給者等就労支援事業(ハローワークとの連携)
  → 「生活保護受給者等就労支援事業」活用プログラムとして全国で活用
ハローワークと福祉事務所の連携による被保護者の就労支援を実施
 ○  生活保護受給者のための就労支援コーディネーターをハローワークに新設(全国で100名)
 ○  生活保護受給者への個別支援を行う就職支援ナビゲーターの増員(全国で52名)
 ○  生活保護受給者に対する「準備講習付き職業訓練」の実施(全国で1,500人分)

(4)  生活保護受給者等就労支援事業のイメージ
生活保護受給者等就労支援事業のイメージ図

 平成17年度生活保護基準の見直しについて

 母子加算の見直し
 ○  平成17年度については、子どもの年齢要件の見直しを図る。
 (18歳以下→15歳以下へ引き下げ)
 これにより、16〜18歳の子どものみを養育するひとり親世帯については、母子加算の支給対象外となるが、生活水準が急激に低下することのないよう配慮し、3年かけて段階的に廃止。


1級地基準額
 23,260円(16年度)→ 15,510円(17年度)



 ○  なお、15歳以下の子どもを養育するひとり親世帯については、平成18年度以降、自立支援プログラムの定着度合等を見据えつつ、支給要件、支給金額等の見直しを検討。

 高校就学費用の給付
 ○  生活保護を受給する有子世帯の自立を支援する観点から、新たに高等学校への就学費用を給付。
 ○  学用品費、交通費、授業料等を給付。なお、給付水準については、公立高校における所要額を目安に設定。


公立高校 平均 13,000円程度
私立高校 平均 19,000円程度



 多人数世帯の基準適正化
 ○  生活扶助基準が多人数になるほど割高となっていることを是正。
第1類費 4人以上世帯に逓減率を導入(3年計画)
 [4人世帯:0.95 5人以上世帯:0.9]
第2類費 4人以上世帯の基準額を抑制
 [4人世帯:60,230円→57,410円(△2,820円)]

 若年層の1類費年齢区分の見直し
 ○  20歳未満の若年者について8区分に細分化されている1類基準について、乳幼児、幼児、小学生、中学生以上の4区分に簡素化。
図

 老齢加算の段階的廃止(2年目)
 ○  平成16年度からの3年間で段階的に廃止。


1級地基準額
 9,670円(16年度)→3,760円(17年度)



老齢加算の段階的廃止について

<年齢別基準額と老齢加算の関係>
図
注1) 1類基準額、2類基準額及び老齢加算は1級地−1の額。
 2) 2類費には冬季加算(VI区×5/12:1,290円)を含む。
新規に70歳になる者について
60歳代の水準を維持

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