2−4 閉じこもり予防について

閉じこもり予防プログラムに関する主な評価・意見等は、次のとおり。
対象者の事業参加への誘導が課題であり、個別対応や訪問も必要である。
SF−36による効果測定の際の聞き取りが難しい。
効果として、要介護度の改善や社会的行動の広がりがあったケース、外出意欲が高まったかどうかは疑問なケースがあった。
送迎の確保や通所事業所でのサービス提供が求められる。
事業終了後の継続的なフォローや閉じこもりがちの人が身近に出かけていくような場所の確保、訪問して話し相手になってくれるボランティアの育成が課題である。

(1)対象者について

要介護1、2の人には高齢の方が多く、通院だけで精一杯でそれ以上の参加は困難。(岩手県宮古市)
家族が必要性を感じなかったり、本人が外に出たがらない。(宮城県米山町)
閉じこもり傾向のある人は参加勧奨も拒否し、介護保険の認定すら拒否する傾向にあり、対象者の把握が困難。(富山県上市町)
要介護度1・2で、かつ、認知症高齢者の自立度IIまでを対象としたが、参加者のレベルを合わせた方がより効果が上がるのではないか。(愛知県師勝町)
閉じこもり予防については、対象者の事業への誘導対策の検討が必要。(京都府加茂町)
介護度だけではなく、うつ、認知症等のスクリーニングを考慮し、プログラムの目的や対象者のニーズに対応し、選定する必要がある。(兵庫県篠山市)
閉じこもり予防の場合、対象者を参加させるためには、時間と個別対応が必要である。(兵庫県篠山市)
要介護認定審査会の選定の際の項目に、「IADLの評価」に加え、「本人の希望」、「環境因子」を含める必要がある。(兵庫県篠山市)
対象者に対して訪問調査において参加を働きかけたが、参加に対する動機付けや参加意欲を高めること等に労力を費やした。(和歌山県御坊市)
家から出たくない人や、現在の介護サービスを利用してきつい思いをする事業には参加したくないという人がおり、参加意欲を沸かせる工夫が必要である。(大分県臼杵市)


(2)プログラムの内容について

サービスの実施に立っては、担当の介護支援専門員や担当主治医の意見が必要であり、常に連携が図ることが必要である。(和歌山県御坊市)
楽しく継続して参加できるようなプログラムを組むことが大切である。(愛媛県四国中央市)


(3)効果測定の方法について

SF−36の聞き取りが難しい。(富山県上市町)
SF−36の聞き取りが難しい。(富山県小杉町)
閉じこもり要因質問票の外出頻度を的確に測ることのできるものに変更することが必要。SF−36は評価しづらい。(愛知県師勝町)
SF−36については、閉じこもりの高齢者には使用しても無駄。閉じこもり要因質問票については、日常生活における外出度合いを測定する方が使いやすい。(京都府加茂町)


(4)効果について

3ヶ月間での変化は大きく見られなかったが、要支援者が終了時に非該当に改善した。(岩手県宮古市)
回想法は認知機能の活性化や社会的活動の広がりにより、介護予防に有効と考える。(愛知県師勝町)
送迎があったために参加したが、本人の外出意欲が高まったかどうかは疑問である。(和歌山県御坊市)


(5)モデル事業の一般化について

(1) スタッフの確保、研修等について
専門スタッフを確保して進めていくべき事業。(宮城県米山町)
専門スタッフをどのように確保するか。地域の社会資源をいかに有効活用できるかが課題。(長野県茅野市)
今回のモデル事業は通常以上のスタッフで実施できたが、今後これだけのスタッフは確保できない。(兵庫県篠山市)

(2) 送迎について
送迎手段の確保(富山県上市町)
移動手段の確保(富山県小杉町)
送迎サービスをあわせて検討すべき。(京都府加茂町)
送迎は、利用者の継続性を持たせるためには不可欠である。(兵庫県篠山市)

(3) その他
3ヶ月でポイントを押さえたプランを作るのは難しい。(岩手県宮古市)
集団指導する際のスタッフ数が利用者数に対して多く、事業としてペイできないのではないか。また、栄養、口腔ケア等をあわせたマネジメントが必要。(山形県白鷹町)
個別プログラムを重視したデイサービス機能の多機能化が求められる。(富山県小杉町)
プログラムの実施については、送迎や事業の継続性を考えると、現行の通所系サービスの中で実施していくことが望ましい。(兵庫県篠山市)
プログラムの開始時期を3ヶ月ごととせず、利用者がどの時点からもプログラムを利用できることが必要である。(兵庫県篠山市)


(6)プログラム終了後の取組みについて

地域で継続開催する予定。(岩手県宮古市)
インフォーマルな高齢者対象の交流事業の中で事業展開する予定。(山形県白鷹町)
規模を縮小したかたちでの実施などについて検討中。(長野県茅野市)
誰がどこでどのような形でフォローしていくのか、インフォーマルサービスとどう連携していくのかを検討する必要がある。ケアマネジャーやヘルパーなどの別のサービス提供者との連携が、継続的なフォローの重要な鍵となる。(兵庫県篠山市)
閉じこもりがちな方が身近に出かけていけるような場所の確保や、それらの方々の居宅に訪問し、話し相手になるボランティアの育成が課題である。(愛媛県四国中央市)


(7)中断のケースについて
 (※中断したケースのうち中断の事情が記載されたものを整理した。)

2名中断。理由は、(1)体調を崩し入院、(2)不明。(岩手県宮古市)
2名中断。理由は、(1)家の中で転倒骨折し、入院、(2)本人の希望(集団で学習したり、自宅に訪問されて聞かれたりすることが嫌いな方)(宮城県米山町)
5名中断。理由は、(1)もともとデイサービスなど集団の中に入ることが苦手なこと、(2)人と関わることをあまり好まない。また体調があまりよくないこと、(3)社会的地位高い。介護予防の教室は「子供じみてやっていられない」と話す。(4)軽度認知症あり。「雰囲気が合わない」と話す。(5)突発性難聴あり。騒がしい集団の中にいるのがつらいため。(富山県上市町)
5名中断。理由は、(1)利用者の思い(もっとリハビリ・運動がしたい)がプログラム内容があわなかった、(2)うつの状態が不安定で、夫と一緒に参加するなどがしたが、出かけることが精神的負担となった、(3)認知症が進行し、5分前のことを忘れてしまうため参加継続が困難となった、(4)自宅で脳梗塞を起こし入院となったこと、(5)家族が非協力的であったため、参加できなかった。(兵庫県篠山市)
7名中断。理由は、(1)住まいを県外に移した、(2)体調が悪い・疲れ、(3)疲れ・風邪・不安、(4)入院(圧迫骨折)、(5)夫の介護、(6)体調が悪い、(7)入院(手術)、である。(和歌山県御坊市)
4名中断。理由は、(1)認知症が進行し、家族が毎日のデイサービスの利用を希望した、(2)腰痛、膝関節痛が思いの外ひどかった、(3)夫婦で参加していたが、プログラムが理解できなかった(2名)。(愛媛県四国中央市)
1名中断。理由は、長年築いてきた自分の生活リズムを、教室に参加することで崩したくないという本人からの申し出があり、身体的にも自立に状態であると判断したため。(大分県臼杵市)

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