2−2 栄養改善について

栄養改善プログラムに関する主な評価・意見等は、次のとおり。
低栄養状態の参加者の体重増、身体機能向上、意欲の向上などの効果が見られた。
プログラムの実施が必要と思われる対象者を呼び込む方法や、記憶能力の低下した参加者の食生活の記録の付け方などが、課題として挙げられた。

(1)対象者について

対象とする血清アルブミン値の基準値が高い。(神奈川県川崎市)
集団でグループワークというと応募するのは意欲的で元気な人になってしまう。低栄養の人を呼び込むのは難しい。(京都府綾部市)
利用者の栄養に関する情報の把握が困難であり、対象者と見込んだ人が実際には血清アルブミン値が低くないということがあった。(高知県須崎市)
対象者選定の測定が個別に行わなければならず、労力を費やした。(高知県須崎市)


(2)プログラムの内容について

低栄養の改善をしていくためには、多様な介入が必要である。(高知県須崎市)
利用者の記憶能力が乏しい場合、利用者の食生活を把握することが困難である。(高知県須崎市)


(3)効果測定の方法について

記録票の記録期間を短くすることを検討してもいいのではないか。(埼玉県和光市)
アルブミン値測定のための採血が参加者にとって負担。採血があるということで参加をやめた方もいた。(埼玉県和光市)


(4)効果について

栄養改善の対象者は全員体重が増え、歩行速度も速くなった。要介護度・IADLについても半数以上の方に改善が見られた。特に栄養改善と筋力トレーニングを同時に行った方については、歩行についての改善度が高く、生活活動範囲が拡大した。(埼玉県和光市)
対象者の半分が、食生活の記録を出来なかったが、記録を継続できた者は、MMSE(認知症スケール)の上昇があり、日常生活に対する意欲も見られた。(高知県須崎市)


(5)モデル事業の一般化について

送迎手段の確保が必要。(京都府綾部市)
チェックシートの記入から実際の献立の確認、励ましまで担当者が全て行うのは負担が大きい。(埼玉県和光市)
筋力向上、栄養改善、口腔ケア、フットケア等に対して、市町村の整理能力が問われる。予防医療、老人保健事業、介護予防の範囲整理が必要。介護と医療との連携強化、というレベルの話では現場は機能しない。(埼玉県和光市)
栄養改善については、生活習慣病予防という意識が参加者に根強いなど、指導の難しさがある。指導スタッフの力量が求められる。(大阪府羽曳野市)


(6)プログラム終了後の取組みについて

自主グループの運営管理のお手伝い、在宅に出張できるボランティアが必要。(埼玉県和光市)


(7)中断のケースについて
 (※中断したケースのうち中断の事情が記載されたものを整理した。)

2名が中断。(1)食事内容を考える意欲がなく、家族関係もあまりよくなかったため支援継続が困難だった方、(2)担当者や栄養士から指導を受けることに負担を感じ継続できなかった方。(埼玉県和光市)

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