参考資料2

前回までの主な委員意見(案)

1.  現状について

 患者の視点では、医師は不足していると感じる。
 現場の繁忙感は強い。医師は過剰になるという認識は正しいのか疑問。
 診療科別格差が大きい。
 県別格差が大きい。
 各都道府県の中においても都道府県内における地域格差が大きい。
 夜間等、時間帯による医師の不足がある。そういった時間帯には医師数の不足のみならず、医師の質の面でも不足しているのではないか。
 地方では大学病院でも医師が不足しており、派遣余力がない。

2.  医師需給に大きな影響を与える要因について

 大学・医局と学会が全体を見据えずに医師を手元に集めることが需給バランスを乱している。
 労働基準法適用強化の影響が大きい。
 患者-医師との関係の変容により、インフォームド・コンセントを含む患者一人当たりの診療時間が非常に多くなってきている
 産婦人科・小児科は新規参入医師が少ない。
 都道府県別の人口当たりの医学部定員が偏在している。
 女性医師の増加が需給に影響している。
 最近医師不足が大きく取り上げられるようになった背景には、インフォームド・コンセントの徹底、研修医指導による指導医の負担、労働基準法適用の影響、大学において若い医師を大学院に入学させていること等、いろいろなことが総合的に影響している。
 地域医療を守っている多くの医師が引退年齢にある。
 医師の気質が変わり、過疎地域に行きたがらなくなっている。
 関東地方は、医学部の定員は多いが、私立大学の割合が相対的に高い。関東地方在住の国立大学に進学を希望する学生が、東北地方に進学している。そのため、東北地方の学生が医学部に入学しにくい状況にある。

3.  検討すべき課題について

(1) 地域偏在の解消等について
 医師不足地域への医師誘導策について外国事例を参考としてはどうか。
 医療施設集約や医療提供体制の効率化を図るべき。
 医師の分布に関して国が規制等関与すべき。

(2) 診療科偏在の解消等について
 分野別医師数について学会が役割を果たすべき。
 専門医認定機構で適正な専門医数について検討しており、これを念頭に置きながら議論する必要がある。
 専門医を地域別に均衡に配置することも併せて考えるべき。

(3) 良質な医師の養成・確保について
 問題医師排除の市場原理が欠如している。医師の評価が重要。
 日本では免許があれば制約がないが、諸外国では、専門的医療行為には資格や経験が必須要件となっている。参考とすべき。

(4) 医師の勤務体制について
 高度な医療機関等においては、医師の交代勤務が行われないと、患者の安全が確保されないのではないか。
 重症の患者の診療にあたる場合、医師が交代勤務を行うと、治療の一貫性が損なわれることがあるのではないか。
 チーム医療が進まなければ、患者から主治医制がかわることは受け入れられないのではないか。

(5) 医師と他職種との役割分担について
 医師とその他の職種との役割分担をもう一度考えなおす必要があるのではないか。

(6) 幅広い診療能力を持つ医師の養成について
 欧米は家庭医の養成や資格が制度化されている。日本でも検討すべき。
 へき地や離島などでは、診療所において一人で診療を行わなければならず、ジェネラリストでないと対応できない。国としてジェネラリストを整備していかなくてはならないのではないか。

4.  その他

 医師が過剰となると質に問題が生じるのか、医師過剰国の事例を検討すべき。
 医師過剰の弊害としては、3つ考えられる。(1)不必要な需要を生む可能性(2)医師の失業の問題(3)数が増えることによる質の低下、である。
 時間帯による不足の実態も把握する必要がある。
 数字の比較はそれぞれの国の医療制度、勤務実態を斟酌したうえで解釈する必要がある。
 医療法の人員配置基準が医療の実態に合っていないということが、医師の需給についての考え方を混乱させている。
 一律に議論するのは難しく、いくつかのタイプの医療機関別に、医療内容、医療現場でのそれぞれの対応等の客観的データを基に検討する必要がある。
 過去の医師需給の検討が行われた時の社会的背景、医療を取り巻く背景が大きく変わってきている。
 医師の働き方の個人差が大きい。勤務医の勤務実態や女性の勤務実態を踏まえた、医師需給推計が必要。
 卒後3年目以降の研修のあり方が医師需給を考える上で重要。
 医師の需給は、数だけの問題ではなく、医師の質の問題、地域・診療科偏在の問題、他職種との関係の在り方の問題等、総合的に考える必要がある。

トップへ