地域における医師の確保等の推進について(提言)
平成17年3月
国立大学医学部長会議 常置委員会
国立大学附属病院長会議 常置委員会
目次
はじめに
はじめに
近年、地域医療についてはいろいろな課題が取り上げられているが、特に医師の地域間格差や分野別偏在は大きな問題であり、その対策が喫緊の課題となっている。
この問題の背景を見てみると、様々な医療政策的課題や現在の地域医療の実態に起因する点が絡んでおり、総合的な取組みが必要である。
国においては、厚生労働省、総務省、文部科学省による「地域医療に関する関係省庁連絡会議」が『へき地を含む地域における医師の確保等の推進について』をとりまとめ、都道府県に対し「医療対策協議会」の設置等について積極的に取り組むよう要請している。
このような状況を十分に把握した上で、国立大学法人の医学部や附属病院が、
(1) |
地域医療が抱える問題に対して何が出来るか、何をなすべきか |
(2) |
地域医療における政策や制度等について、新たな取り組みや改善として何が必要なのか |
等について、国立大学医学部長会議及び同附属病院長会議として取り組む必要があるとの認識のもと、両会議の小委員会が(1)解決すべき課題とその責任の所在、(2)解決すべき課題の重要性と短期または中・長期的時系列を勘案しながら鋭意検討を進めてきた。
国立大学医学部長会議と同附属病院長会議との合同でこれらの検討結果を提言の形でまとめたものである。
本提言における「地域における医師不足の解消に向けての提案」は、現状の分析に基づく様々な課題に対して考えられる解決方策を列挙したものである。各国立大学医学部及び附属病院におかれては、この提言を参考にしつつ、それぞれの地域や大学の実情に応じた積極的な取り組みをお願いするとともに、この課題解決のためには国、地方公共団体等の関係方面の深い理解と支援が不可欠であることから、関係機関におかれても、本提言の趣旨をご理解いただき施策等の検討にご活用賜れば幸甚である。
(1) |
医学教育機関における医師の育成状況について |
(1) |
国立大学医学部、医科大学総数42校と公立・私立大学医学部、医科大学を合わせると、各都道府県には少なくとも1つ以上の大学医学部・医科大学が存在し、一般入試・推薦入試・社会人特別選抜等すべてを含めたこれらの大学医学部・医科大学における入学定員は、7,660名である。 |
(2) |
国立大学は平成16年4月より国立大学法人に衣替えし、地域に存在する大学医学部及び附属病院は、その存在意義を確立するために以前にも増して、(1)国民あるいは地域住民の負託に応えるべく、質の高い医師の育成と(2)地域における医師の確保に努力している状況にある。 |
(3) |
平成16年度から新医師臨床研修制度(2年間義務化)が導入され、全国マッチングシステムによって研修病院が決定され、大学病院以外でも臨床研修指定の認定を受けた医療機関では、独自に医師の育成・研修が出来る仕組みが拡大導入され運用されている。 |
(4) |
大学病院、研修指定病院における研修のマッチング率は数%から100%まで幅があり、しかも各大学病院における自大学卒業生の割合は、各校とも上記数値よりもさらに低値を示している。 |
(5) |
新医師臨床研修制度の開始に伴って都市部の大病院で研修を希望する卒業生が増え、地元に戻らない者が多くなっている。その要因としては、高額な報酬が支払われること、2年程度は大学病院以外の研修病院での研修を経験したいこと、大学病院は特殊な症例が多いため、一般的な疾病の研修が困難な面等が考えられる。 |
(6) |
臨床研修終了後の医療機関の選択にあたっては、大学病院を含めた医療機関の間で激しい競争の発生することが予想され、各大学病院は優秀で意欲のある医師を確保するために、魅力あるカリキュラム作りに努力しているところである。 |
(7) |
各大学医学部及び同附属病院は、臨床研修終了後にその特徴を打ち出すために、臨床系大学院の組織、カリキュラム、定員見直し等や専門医制度との連携について、解決策を提案することが喫緊の課題となっている。 |
(1) |
医療施設に従事している医師数は、「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)によると、平成14年は249,574人で、この4年間で約1万3千人増加している。 |
(2) |
診療科別医師数の変動については、同調査によると、平成14年度までの4年間で最も増加したのは、内科で、以下、整形外科、精神科となっている。一方、最も減少したのは、外科で、以下、産婦人科、神経科となっている。 |
(3) |
医療施設数については、「医療施設動態調査」(厚生労働省)によると、病院は全国総数で平成9年9,413施設、平成14年9,187施設と著明に減少している。一方、一般診療所は、平成9年89,292施設、平成14年94,819施設と著しい増加がみられる。 |
1) |
国立大学における医師の紹介については、これまでは多くの大学で診療科単位で行われてきた。
昨今の地域の医師不足の社会問題化を契機として透明性や公平性を確保するため、新たな取り組みも行われてきているが、診療科単位での医師紹介は、長年慣習的に行われてきたため、人事等で不具合が生じている点もある。
また、評価の高い研修病院においては、研修終了後も研修医が残る可能性が高く、このような病院では医師の充足は図れるが、それ以外の病院では医師不足に拍車がかかることも考えられる。
|
2) |
このような状況の中で、地域医療機関からは、国立大学医学部及び附属病院に対して多くの医師紹介要請があるが、その対応について医師紹介窓口を診療科単位から大学主導に、また、他大学と連携しての紹介などの要望がある。更に、年齢の若い医師の紹介や数年単位の勤務、地域の医療機関への勤務も組み込んだローテーション作り、地域での勤務に対して学内で評価するシステム作り等の要望がある。
|
3) |
一方、国立大学においては、次のような状況にある。
(1) |
これまで国立大学は、「国立」の使命として医師の紹介要請に積極的に対処してきたところであり、この基本姿勢は今後も変わるものではないが、以下に述べるように国立大学を取り巻く環境は大きく変わりつつあり、医師紹介要請に対して、必ずしもこれまでと同様の対応が出来なくなってきている。 |
(2) |
国立大学は、法人化により、これまで以上に自立的な運営と経営の効率化が求められており、国立大学病院が、地域における中核病院として医療の質を確保するとともに高度医療の提供を行っていくためには、診療体制の充実が不可欠である。 |
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医師の専門分野については、本人の自由意志により選択されており、需要と供給のバランスを考慮した専門分野の調整は行われておらず、この結果、現状では、小児科、産婦人科、麻酔科、救急部等において医師が不足してきている。このことについては、地域における個々の医療機関の役割が明確でなく、それぞれの病院での機能分担も明らかになっていない。また、医療圏ごとに必要とされる専門医数が明確でなく、医師の適正配置が行われておらず、各専門分野の学会が専門医の偏在に対して関与できていないことも一因と考えられる。また、地域の総合診療の専門家として幅広く総合的に診療を行う医師の育成が十分でないことも問題である。 |
1) |
女性の社会進出の促進に伴い、女性医師は年々増加傾向にあり、「医師・歯科医師・薬剤師調査」(厚生労働省)によると、平成14年度においては医師全体の約15%を占める状況にある。また、女性医師の占める割合は若い年代ほど高く、今後その比率は更に高まるものと予想される。
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2) |
これからも女性医師は、重要な労働力として期待されるが、一方で結婚や出産による中断もあり、安定的労働力として捉えるのが難しい状況にある。
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3) |
このような状況を踏まえ、一部の国立大学病院では、出産後職務に復帰できる女性医師については、関連病院にパートタイムや隔日勤務で紹介を行ったり、関連病院の女性医師が産前・産後休暇や育児休業を取得する場合には、代理医師を紹介すること等も行っている。 |
1) |
各都道府県においては、厚生労働省、総務省、文部科学省通知「地域における医療対策協議会の開催について」(平成16年3月31日付け)を受け、医療対策協議会の設置が進められており、国立大学医学部及び附属病院としても同協議会に参画するなど地域における医師不足問題に積極的に対応しているところである。
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2) |
一部の国立大学病院では、既に学内に地域医療に関する委員会等を組織し、地域医療への貢献の在り方について検討しているところもある。また、委員会等の活動に対して、学外委員による評価を実施する等の取り組みも行われている。
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3) |
また、一部の県においては、県が市町村と共同で医師養成を目的とした基金を創設し、医学生を対象に基金から修学資金を貸し付け、卒業後に県内の公立病院に一定期間の勤務を義務付け、医師免許取得後は、県立や市町村立病院などに交付期間と同じ年数を勤務すれば返済が免除される等の独自の取り組みを行っているところもある。さらに、大型病院と中小病院で交互に働いて経験を積む「専門医養成プログラム」を開始し、全国から募集した医師を県内各病院に配置し、2〜3年毎に中小病院や診療所と大病院に交互に配属させる等の取り組みをすでに始めているところもある。 |
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地域医療における国立大学の役割を鑑みるとき、国立大学は地域における医師不足の解消に向けて主体的に取り組むことが必要であるが、その解決のためには国や地方公共団体等の取組みが不可欠であると考える。
以下は、医師不足解消に向けた方策としての提案であり、各事項の文末の括弧書きは関連機関等を表記したものである。 |
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医師紹介システムについては、次のような取り組みが考えられる。 |
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
診療科単位で行っている医師紹介の窓口を一本化し、各病院あるいは各地区単位に拡大して紹介を行う等透明性・公平性を確保し、社会への説明責任を果たしうる方策を早期に検討する。(大学医学部及び附属病院) |
イ) |
都道府県が医師会、地域医療機関及び大学等の協力を得て医療対策協議会を早期に設置し、医師紹介についてのシステムを確立する。(地方公共団体) |
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(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
近隣の大学と協同して医師紹介が可能となるシステムを構築する。(大学医学部及び附属病院) |
イ) |
地域の中核病院に医師を集中配置し、中核病院から周辺病院等に医師を紹介する方式を確立する。(地方公共団体) |
ウ) |
地域の医療機関で一定年限勤務することに対して、給与面での優遇や経歴としての評価等インセンティブが働くシステムを構築する。(地方公共団体、大学医学部及び附属病院) |
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医師がどの専門分野に進むのかは個人の自由意志により決定されているが、不足する分野の専門医の供給につながるような調整・誘導システムがないのが現状である。
しかし、このまま推移すれば特定の専門分野の医師不足は更に拍車がかかることが予想されるため、次のような対策をとることが考えられる。 |
1) |
専門医の養成
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
各学会が専門医不足の解消を図るため適正な専門医数を提案する等、具体的な方策を検討する。(学会) |
イ) |
医師不足の顕著な専門分野について、診療加算や専門医の待遇改善を図る。
(国、地方公共団体) |
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(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
第三者機関による専門医認定制度を創設する。(国、学会) |
イ) |
へき地医療を理解させるために「へき地医療の専門履修コース」を設定するなど、専門研修体制を整備する。(大学医学部及び附属病院) |
ウ) |
地域で総合的に診療を行う医師の育成体制を確保する。(大学と医療機関 の連携) |
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2) |
同一医療圏内における専門医の適正配置
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
都道府県は、大学、地域医療機関等の協力を得ながら地域の人口と面積等を考慮した専門医の配置について検討する。(地方公共団体、大学医学部) |
イ) |
自治体病院の医師採用条件に、原則として、へき地診療所等での勤務経験を設定すること等を検討する。(地方公共団体) |
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(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
国及び学会が地域ごとの専門医数を把握し、配置すべき地域の標準専門医数を策定するとともに、都道府県は大学、地域医療機関等の協力を得ながら専門医の配置標準の達成に努めるルールを確立することを検討していく。(国、学会、地方公共団体) |
イ) |
各専門分野ごとに地域に中核センターを作り、地域内のネットワーク化を進める。(地方公共団体) |
ウ) |
地域の医療機関のニーズに応じた機能の重点化を行い、設備面、待遇面の充実を図る。(地方公共団体) |
エ) |
地方公共団体において、専門医が地域内の医療機関に対してコンサルテーションできる制度を構築する。(地方公共団体、大学医学部) |
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近年、全体の医師数に占める女性医師の割合は年々高まっており、その労働力を確保することは重要であり、このため結婚、出産等で一時医療現場から離れた女性医師の復帰のための環境整備が求められており、女性医師が育児しながら勤務できる労働環境(託児所、保育所)や職場復帰を支援するシステムの整備のほか、ワークシェアリングにも取り組む必要がある。
また、男性医師の女性医師受け入れに対する意識改革を図るとともに、女性医師についても一層の職業人としての意識改革が必要である。 |
1) |
これまでの自治体病院については、多くの場合市町村の行政単位で独自に整備を進めてきたため、同様の機能を有する病院が近隣に開設されている状況が見受けられる。さらに、自治体病院以外にも民間病院が存在し、これらが多くの診療科を開設し病床を有することから、必然的に一定数の医師が必要となる。
このため、同一医療圏において機能の重複を生じ、地域における医師不足の一因ともなっている。従って、隣接する市町村が連携し、それぞれの病院の機能を見直し、機能分担することが必要と考える。
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2) |
自治体病院の機能の見直しに関して、中・長期的に取り組む必要のある事項としては、基幹病院においては、中核的な医療機能を持たせ、その他の病院・診療所においては、日常的な医療確保を行う等機能の再編を行う。また、病院相互、病院・診療所の連携を密にし、患者搬送システムの整備等全体的なネットワーク化が必要である。
その再編やネットワーク化の計画策定にあたっては、都道府県が主導的役割を果たすことが重要である。
さらに、病院の開設者である関係市町村においても、自らの問題として主体性をもって取り組む必要があり、地域住民の充分な理解を得るための情報提供や説明など、住民との関係において積極的な役割を果たすことが期待される。 |
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地域における医師不足は、その地域のみの問題ではなく、国レベルで対策を講じていく必要があり、次のような事項について財政的支援も含めて医療制度面での見直しや改善等が望まれる。 |
1) |
医療制度面から
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
地域における病院の医師配置基準、特に外来患者数による医師配置基準等の緩和を図り、現状の医療にマッチした医師配置数とする。(国、地方公共団体) |
イ) |
地域の病院に対し、開業医も支援する体制を構築する。(地方公共団体、医師会等関係団体) |
ウ) |
専門医による医療行為に対する診療加算や地域性を考慮した診療報酬制度を導入する。(国) |
エ) |
退職医師の登録制度を作り、希望とマッチングした地域医療機関に派遣するバンクシステムを構築する。(地方公共団体) |
オ) |
地域の医療機関において一人で勤務する場合、地域全体で支援するシステムを構築する。(地方公共団体、大学医学部及び附属病院) |
|
(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
地域における必要医療機関数を定めるとともに、病床数の基準の見直しを行う。(国、地方公共団体) |
イ) |
地域間において医療求人状況等の情報(医師不足数、求人条件、地域の高齢開業医の継承希望、生活環境等)が共有されるシステムを全国的に立ち上げる。(国、地方公共団体) |
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2) |
財政面から
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
国立大学病院の地域医療への支援体制の強化等を図るために、地方財政再建促進特別措置法の改正も含め、地方自治体による国立大学病院への公的支援の促進策を検討する。(国、大学医学部) |
イ) |
地域医療に従事している医師に対し、奨学金、税制、住宅、教育、職場環境の整備等の面で行政的優遇措置を図る。(国、地方公共団体) |
|
(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
「医師不足地域」を他地域の医師が巡回して診療を行うシステムを構築し、財政支援する。(国、地方公共団体) |
イ) |
へき地で開業する場合、税制面で優遇する。(国、地方公共団体) |
ウ) |
地域医療専門医制度を創設し、財政面での支援を行う。(国、地方公共団体、学会) |
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|
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地域における医師の偏在を解決するために、大学医学部及び附属病院として次に示すような具体的な解決策に対して迅速かつ積極的に取り組む必要がある。 |
(1) |
短期に取り組む必要のある事項
ア) |
「地域特別推薦枠」などの学部入試方法の改革を行い、地域医療を担う優秀な医師の育成を図る。(大学医学部) |
イ) |
地域医療の意義と重要性を体験させるために、学部教育、卒後臨床研修カリキュラム等の見直し、改善を行う。(大学医学部及び附属病院)
また、医学部のカリキュラムに、一定期間へき地等の地域医療機関での実習等を含む「地域医療教育コース」を設けるなどにより、地域医療支援医師の育成を行う。(大学医学部) |
ウ) |
国民あるいは地域住民の付託に応える質の高い医師育成のために、標準評価試験である共用試験(CBT及び客観的臨床能力試験OSCE)を大学医学部自らの責任で、平成17年度から導入する。(大学医学部) |
エ) |
各地域全体として大学病院と地域医療機関(病院・診療所)・保健所等が連携した卒後臨床研修体制を整備し、医学部学生への積極的な情報提供を行い、地域での卒後臨床研修者数を増やすとともに、地域医療への定着化を図る。
このなかで、地域医療を一定期間(半年〜1年)経験する等のコースを設ける。(地方公共団体、大学医学部) |
オ) |
地方公共団体が、地域医療を担う医師の育成や確保のために、奨学金貸与や補助金制度の創設等の経済的支援を確立する。(地方公共団体) |
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(2) |
中・長期的に取り組む必要のある事項
ア) |
離島・へき地医療などの地域医療を担う医師を育成する教育システムを研究し、大学は教育する講座の設置(寄附講座の設置を含む)に取り組み、国及び地方公共団体は、その支援方策を検討する。(国、地方公共団体、大学医学部) |
イ) |
医学部入学者に対して、地元入学者への奨学金(一定期間、地元医療へ従事すれば返還免除)等の修学支援を行い、地域からの進学希望を増加し、優れた人材を確保する。(大学医学部) |
ウ) |
専門医、指導者等の育成を目指した後期臨床研修制度(仮称)や臨床系大学院の組織並びにカリキュラム改革等を行い、臨床研修終了後の医師が大都市地域から地域に存在する大学へ回帰できるような改善を行う。(国、大学医学部) |
エ) |
退職後医師を含めて、地域医療に関わることを希望する様々な年代の医師が総合的医療やへき地医療を学べるコースを大学院に設置し、国及び地方公共団体は財政的に支援する。(国、地方公共団体、大学医学部) |
オ) |
地域医療、特にへき地医療を担っている医師が、定期的に一定期間大学病院や地域中核病院または外国の医療機関において、医学・医療の進歩を学べるよう受け入れ側体制の整備や研修期間中の代替医の派遣制度の整備を図る。(国、地方公共団体、大学医学部及び附属病院) |
カ) |
日本の医療機関が先進諸国に比べ少ない医師数で過剰な勤務により医療を支えている現状に加え、今後女性医師の増加に伴うワークシェアリングの必要性が増加することなどにより、我が国の医師数の相対的な不足は依然続くと予想されるため、特に地域医療に貢献する医師養成の充実の観点から、医学部入学定員の在り方を検討する。また、専門医の不足解消について、各「講座」ごとに入学定員を設定すべきとの意見が一部で出されているが、このことは、多方面から慎重な検討が必要な課題である。(国、地方公共団体、大学医学部) |
キ) |
大学病院における研修登録医制度などを活用して、病院回診、症例検討、手術技法の修得、諸検査技法の修得などを通じ地域の医師の生涯研修システムを構築し、地域医療を担う医師に、その存在意義と重要性を認識、理解してもらう取り組みを行う。(大学病院) |
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1) |
地域における医師不足については、一昨年「卒後臨床研修の必修化等に備え、国立大学病院が地域の医療機関から医師を引き揚げている。」旨の報道がなされた。
このような報道がなされた背景としては、報道機関側において国立大学病院の実状が十分に理解されていないことも一因であると推量されるが、国立大学医学部及び附属病院もこれまで積極的な広報活動を怠り、社会に対して十分な説明責任を果たしていなかったことも事実である。
|
2) |
広報活動の在り方については、国立大学医学部長会議及び同附属病院長会議の広報として同会議の内容の公表や、医学部及び附属病院が取り組む必要のある課題、国、地方公共団体、地域医療機関が取り組まなければならない課題等を社会に発信し、広く関係者の理解を得るように努める必要がある。
|
3) |
医師の地域別・分野別偏在の根本是正については、国家的レベルでの政策としての総合的議論が必要であり、国立大学医学部や附属病院が抱える諸問題を積極的に公表し、社会的な共通理解のもとに取り組むことが重要である。 |
国立大学医学部長会議常置委員会委員名簿及び地域医療・医療
人育成に関する小委員会委員名簿 |
◆ |
国立大学医学部長会議 常置委員会委員名簿
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小池 盛雄 |
|
東京医科歯科大学医学部長 |
|
廣川 信隆 |
|
東京大学医学部長 |
|
福田康一郎 |
|
千葉大学医学部長 |
|
菅村 和夫 |
|
東北大学医学部長 |
|
後藤 文夫 |
|
群馬大学医学部長 |
|
大橋 俊夫 |
|
信州大学医学部長 |
◎委員長 |
倉知 正佳 |
|
富山医科薬科大学医学部長 |
|
杉浦 康夫 |
|
名古屋大学医学部長 |
|
鎮西 康雄 |
|
三重大学医学部長 |
|
成宮 周 |
|
京都大学医学部長 |
|
井藤 久雄 |
|
鳥取大学医学部長 |
|
曽根 三郎 |
|
徳島大学医学部長 |
|
岡部 昭廷 |
|
香川大学医学部長 |
|
原田 実根 |
|
九州大学医学部長 |
|
兼松 隆之 |
|
長崎大学医学部長 |
|
◆ |
地域医療・医療人育成に関する小委員会委員名簿
|
菅村 和夫 |
|
東北大学医学部長 |
|
飯島 俊彦 |
|
秋田大学医学部長 |
|
福田康一郎 |
|
千葉大学医学部長 |
◎委員長 |
大橋 俊夫 |
|
信州大学医学部長 |
|
井藤 久雄 |
|
鳥取大学医学部長 |
|
河南 洋 |
|
宮崎大学医学部長 |
|
国立大学病院長会議常置委員会委員名簿、地域医療問題小委員会
委員名簿及び地域における医師の確保等に関する諸課題を検討す
るためのWG名簿 |
◆ |
国立大学病院長会議常置委員会委員名簿
|
杉原 平樹 |
|
北海道大学病院長 |
|
里見 進 |
|
東北大学病院長 |
◎委員長 |
藤澤 武彦 |
|
千葉大学医学部附属病院長 |
|
永井 良三 |
|
東京大学医学部附属病院長 |
|
坂本 徹 |
|
東京医科歯科大学医学部附属病院長 |
|
井口 昭久 |
|
名古屋大学医学部附属病院長 |
|
田中 紘一 |
|
京都大学医学部附属病院長 |
|
荻原 俊男 |
|
大阪大学医学部附属病院長 |
|
加藤 譲 |
|
島根大学医学部附属病院長 |
|
清水 信義 |
|
岡山大学医学部・歯学部附属病院長 |
|
水田 代 |
|
九州大学病院長 |
|
江藤 胤尚 |
|
宮崎大学医学部附属病院長 |
|
小泉 晶一 |
|
金沢大学医学部附属病院長 |
|
香川 征 |
|
徳島大学医学部・歯学部附属病院長 |
|
三池 輝久 |
|
熊本大学医学部附属病院長 |
|
◆ |
地域医療問題小委員会委員名簿
|
杉原 平樹 |
|
北海道大学病院長 |
|
藤澤 武彦 |
|
千葉大学医学部附属病院長 |
|
小泉 晶一 |
|
金沢大学医学部附属病院長 |
|
加藤 譲 |
|
島根大学医学部附属病院長 |
|
清水 信義 |
|
岡山大学医学部・歯学部附属病院長 |
|
香川 征 |
|
徳島大学医学部・歯学部附属病院長 |
◎委員長 |
水田 代 |
|
九州大学病院長 |
|
◆ |
地域における医師の確保等に関する諸課題を検討するためのWG名簿
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近藤 哲 |
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北海道大学大学院医学研究科教授 |
|
齋藤 康 |
|
千葉大学医学部附属病院副病院長・大学院医学研究院教授 |
|
山本 健 |
|
金沢大学大学院医学系研究科教授 |
|
鈴木 榮一 |
|
新潟大学医歯学総合病院教授 |
|
大平 明弘 |
|
島根大学医学部附属病院副病院長・医学部教授 |
|
清水 信義 |
|
岡山大学医学部・歯学部附属病院長 |
|
苛原 稔 |
|
徳島大学病院副病院長・大学院ヘルスバイオサイエンス研究部教授 |
◎座長 |
吉良 潤一 |
|
九州大学病院副病院長・大学院医学研究院教授 |
|