05/03/31 第3回未承認薬使用問題検討会議速記録             第3回 未承認薬使用問題検討会議                    速記録                       日時  平成17年3月31日(木)                           14:00〜16:15                       場所  東海大学校友会館 阿蘇の間                              (霞が関ビル33階)  事務局  それでは定刻になりましたので、ただいまより第3回未承認薬使用問題検討会議を開 催させていただきたいと思います。議事に入ります前に本日の先生方の出席状況につい て御報告させていただきたいと思います。事前に確認させていただきましたところ、本 日は全先生御出席いただけるということでございますが、寺岡先生と後藤先生におかれ ましては少し遅れていらっしゃるということでございます。それから、有吉先生がまだ 見えていないようですが、特に御連絡はいただいておりません。  それでは黒川先生、以降の議事進行をお願いいたします。  黒川座長  久しぶりでございますが、またよろしくお願いいたします。この間はイメージとして の名づけが悪いとかいろんな問題もあったと思いますが、その後事務方もいろいろなこ とについて調査していまして、きょう御検討いただきたいことがありますので、よろし くお願いいたします。  まず本日の配付資料ということで、お願いいたします。  事務局  配付資料を確認させていただきたいと思います。シールの貼っていない方の封筒に資 料が入ってございます。未承認薬使用問題検討会議の議事次第から、配付資料一覧、資 料1〜12までと、参考資料1〜4までございます。そのほかに座席表が入っておりま す。もし欠けているものがありましたらお知らせいただきたいと思います。もう1つの 封筒の方ですけれども、第2回未承認薬使用問題検討会議の速記録在中というシールが 貼ってあります。前回の速記録と資料のコピーを同封させていただいておりますので、 後でごらんいただきまして何かございましたら、1週間以内に事務局まで御連絡いただ くということで御確認をお願いいたします。よろしくお願いいたします。  黒川座長  ありがとうございました。議事に入りますがよろしいでしょうか。きょうの議事につ いては、1.未承認薬の治療実施までの手順等について、2.検討する必要のある未承 認薬について、3.その他、でございます。  前回の検討会議では、いわゆる申請承認のための治験というのを例にして、大枠とし て、欧米4カ国で平成17年4月以降新たに承認される医薬品の、治験実施までの手順の 大枠について了承していただいたわけでございます。さらに、なぜそうなのかという分 析の根拠として、過去5年間に学会・患者団体から要請のあった未承認薬を報告して、 今後これらの未承認薬及び欧米4カ国で平成17年4月以降新たに承認されるであろう新 たな薬品等について、治験制度を活用した切れ目のない対応の必要性についてワーキン ググループを設置しましょうということを同意していただいたわけですが、そうなると どうなのかという話で、きょうまた資料が出ますので、それについていろいろ御議論い ただければと思います。  事務局  ありがとうございます。議事に入っていただきます前に、前回以降何点か進捗がござ いましたので、それについて御報告させていただきたいと思います。  まず参考資料1をごらんいただきたいと思います。抗がん剤併用療法検討会が2月7 日にひとまず終了したわけですけれども、そこで御検討いただいて作成していただいた 報告書、ここにございますように、平成16年11月、平成17年2月に約半分が承認に至っ ているということでございます。  それから、第1回の本検討会議で御検討いただきました抗がん剤、オキサリプラチン というのがございましたけれども、これは2月の末に安全性確認試験の治験届が私ども の方に出されまして、安全性確認試験が始まっております。それとは別に、3月18日に 薬事法に基づく承認が与えられております。そのときに一緒に御議論いただきましたペ メトレクスド、悪性胸膜中皮腫の抗がん剤でございますけれども、前回御報告しました とおり、2月9日に治験届が提出されて治験が開始されております。  それからもう1つ、前回、学会・患者団体から早期保険適用の要望が出されておりま す未承認薬のリストをお示ししております。本日の資料では資料11でございますけれど も、この中のボセンタン水和物とボリコナゾールという2つの薬につきましては、3月 17日の薬事食品衛生審議会の審議が終わりまして、4月には承認の予定でございます。 これはまた後で改めて御紹介させていただきます。  それからもう1つ、本検討会議でも治験の実施環境の改善、あるいは治験の実施に係 る実務上の負担軽減等の課題を御指摘いただいているところでございますけれども、3 月29日に第1回治験のあり方に関する検討会というものを開催させていただきまして、 治験の信頼性を確保しつつ、円滑に治験を実施していくための方策について、この会議 と並行するような形で検討を開始させていただいたところでございますので、御報告さ せていただきます。  赤川保険局医療課薬剤管理官  続きまして保険局の方からも措置事項がございますので、御報告させていただきま す。昨年12月15日に混合診療問題につきまして、国内未承認薬については確実な治験の 実施につなげ、制度的に切れ目なく保険診療との併用が可能な体制を確立することとす る。確実な治験の実施ということで本検討会議が設置され、あわせて医師主導治験の支 援体制の整備ということも措置事項の中に含まれておりまして、参考資料3をごらんい ただきたいんですけれども、治験に係る特定療養費制度について、1つ目の○、医師主 導治験の枠組みの中で患者に未承認薬の使用機会が提供されるに際し、治験医師、医療 機関の経済的負担を軽減し、治験が円滑に実施されるようにするため、医師主導治験に ついて保険給付を拡大し、現行では保険給付の範囲から検査、画像診断が除かれていた んですけれども、これも保険給付の対象とする。これについては中央社会保険医療協議 会において御議論の上、答申が得られましたので、告示の改正をするということでござ います。  2つ目の○でございますけれども、医師主導治験において、治験医師が患者に薬剤料 等の費用負担を求めること、これはもともと禁止されているわけではないんですけれど も、このことを明確化する。あわせて、医師主導治験において患者に薬剤料等の費用負 担を求めるに当たっては、料金が不当に高くならないように患者に対して徴収額を文書 で提示するなどの措置を講ずるということ、これは運用の通知の一部改正ということを させていただくということで、これらについては本年4月1日より実施するということ でございます。  保険局からは以上でございます。  黒川座長  この間の進捗状況についてフォローしていただいたということです。抗がん剤につい ては参考資料1のように、患者さんも使ってほしいし、十分なエビデンスもあるし、実 績もあるものが、今の保険診療制度では認められないと。22品目承認しましたが、その うち保険適用になったのがここに書いてあるということで、かなり早く進んでいること は進んでいます。  よろしいでしょうか。また何かありましたら伺うとして、議題1に入ります。未承認 薬の治験実施までの手順等についてということです。よろしくお願いします。  事務局  事務局から説明させていただきます。前回、未承認薬に係る承認申請のための主たる 治験を例にとって、処理の手順の御確認をいただきました。今回はそれに加えまして、 追加的治験、安全性確認試験を含め、3種類の治験全体の手順の確認を再度お願いした いと思っております。追加的治験、安全性確認試験の実施までの流れは資料3にお示し してございます。1ページが承認申請のための治験ですけれども、2ページが追加的治 験、3ページが安全性確認試験ということでございます。3種類とも同じようなフロー をたどって治験届に至るんですけれども、一番違うのは網かけの部分でございます。承 認申請のための治験の場合は、治験実施主体候補、欧米における承認取得企業の日本法 人等にどういう会社があるのかということを検索して、そこにお願いするということで ございます。それが追加的治験の場合は、企業の方にまずお願いして、対応が困難な場 合には医師主導治験ということになる。安全性確認試験の場合は、企業に原則お願いす るということで整理させていただいております。  次に資料4でございますけれども、治験の対象とする未承認薬の選定のクライテリア でございます。前回の御指摘を踏まえまして、考え方という枠の中の下線を引いてある ところを改めております。ただ、医療上特に必要性が高いと認められるものを対象にす るという基本的なところは変わってございません。  次に資料5でございますけれども、未承認薬の欧米における承認状況の把握について ということでございます。欧米4カ国における承認状況の把握は、財団法人日本医薬情 報センターに依託し、情報収集する体制を整えてございます。前回、堀内構成員から御 指摘のございました作用機序、副作用等の情報も調査項目の範囲の中に含めまして、そ ういう情報も集めることとしたいと考えております。  次に資料6でございますが、ワーキンググループに関するものでございます。前回、 ワーキンググループを設置するというところまでは御了解いただいたかと思うんですけ れども、それの考え方を整理したものでございます。ワーキンググループは、がん、小 児、循環器の3領域の専門家で構成し、その他の領域、例えば精神・神経だとか、臓器 移植の薬などは品目に応じて随時専門家を選定していただくということです。ワーキン ググループの専門家は、各領域における医薬品の研究開発及び治験制度に精通した方々 を黒川先生に指名していただくこととしまして、それを検討会議の方に御報告いただき たいということです。  このワーキンググループですけれども、3カ月以内にどんどん処理していかなきゃい けないということで、迅速な処理が求められること、企業の開発に係る情報を取り扱っ ていただきますので守秘義務がかかりますので、そういったことも考慮いたしまして、 多くても4〜5人程度の先生方にお願いして、迅速な処理ができる体制にしていただき たいと思っております。また、メンバーは検討品目に関して関与または特別な利害関係 を有する場合、治験責任医師になっていらっしゃったとか、そういうケースの場合には 座長に申し出ていただきまして、当該品目については発言は控えていただきたいという ことでございます。この最後の点は、この検討会議の先生方についても同じことでござ いまして、事前に黒川先生から御指摘があった点なんですけれども、もし黒川先生が関 与されている場合が出てきたときのことも考えまして、座長代理も決めておいていただ く必要があろうかと思っております。事務局としては座長代理は座長の御指名をいただ くことでいかがかと考えておりますので、この点は後で御議論いただきたいと思いま す。  個別の医薬品については議題2の方で御検討いただきますけれども、それについては 資料3に、今後はワーキンググループで御検討いただきまして、その結果を本検討会議 の方に報告いただくということと、その報告のときに必要に応じて、要望を出された学 会・患者団体、薬剤の開発をされている企業の方からもヒアリングをする機会を設けた いと考えております。3カ月以内にこの検討会議で治験をする、あるいはしないという 方針決定をしていただいて、するとなった場合は実施主体候補となる企業あるいは医師 に依頼して、そこで治験の準備をしていただいて、治験届の提出とつなげていくという ことを考えております。  もう1つ、治験をやるということが決まりましたら、どういった薬剤についてどこが 治験をやっているのかという情報を一般の方々、あるいは治験に参加したいという先生 方にも提供していかなきゃいけないということがございますので、情報提供の方法につ いては私どもと日本製薬工業協会にも御協力をお願いして、具体的な方法について詰め ているところでございます。説明は以上です。よろしくお願いします。  黒川座長  ありがとうございました。というようなことなんですが、これについて御議論いただ ければと思っております。まず座長代理ですが、私はこういうことはないと思います し、常任部会とかそういうのもやっていませんし、あまり治験にもかかわっていないん ですが、万一ということで、堀田先生にお願いしてみようと思いますが、よろしいでし ょうか。内科だし、私も話しやすいので。よろしいでしょうか。ではそういうことでお 願いします。  そのほかにいかがでしょうか。どうぞ。  有吉構成員  今の御説明の、資料3の追加的治験ということの中で、資料7も未承認薬にかかわる 治験についてということで同じような資料がございます。資料7のところで2つ質問さ せていただきたいのは、追加的治験というのをもう少し明確に理解したいのでお願いす るんですが、2ページで、企業に対して実施上の可否の検討を依頼するものとするが、 実施困難な場合ということは、企業は断ることができるという意味ですか。  事務局  ここで想定しておりますのは、例えば対象薬剤がオーファンドラッグのようなもの で、企業としても余りにも症例が少なくて治験になかなか踏み出せないというケースが 出てきた場合には、そういう事情を御確認いただいた上で、医師主導治験という選択肢 を御検討いただくということでございます。  有吉構成員  そうすると、医師主導治験による対応ということなんですが、この場合、医師主導治 験というのは大学とか特定のものなんでしょうか。あるいは学会とか団体とか、そうい うものをお考えでしょうか。その場合の諸費用というのは税金で受け持つんでしょう か。  川原医薬食品局審査管理課長  資料7につきましてはこの後御議論いただく時間をお願いしておりますけれども、今 お尋ねの部分は、企業に対して一義的にはお願いするということでございますけれど も、先ほど林から話がありましたようなケースの場合には医師主導治験による対応もお 願いするということで、その場合の費用負担については……  黒川座長  これはもうちょっと後で話した方がいいかもしれない。今は手続のことをやっている ので、後にしましょう。  資料3の流れですけれども、実際は参考資料1にある抗がん剤併用療法、これはプロ セスの話をしているわけで、そうじゃないときに、参考資料1は今まで治験はやってい たのと、一部必要な条件がついたりしたけど、こういうのを想定したらどうかというの で、少し枠組みは違いますけどね、これについて有吉先生どうですか。特にオンコロジ ーの専門家ということで。  有吉構成員  結局、私はいつも思うんですが、日本で治験がうまくいってないというのはインフラ の整備ができていないということが多うございまして、併用療法とか未承認薬の会議を 持たざるを得ない。持たなければ患者さんに非常に大きな影響が出るということでこう いう会議が持たれるわけですが、これと並行して、例えば医師主導治験と一言で言って も、医師はどういう団体なんだとか、どういうグループでやるんだというようなこと、 ここで話題になる薬剤は割と小規模の患者さんの数である程度結果が出ると思うんです が、大規模試験になってきますと今度は医師主導といってもそう簡単ではない。その辺 のインフラ整備を並行してやっていただく。そういう意味では、この間立ち上げられた 会議の中でそれは検討していただけるものと思いますが、一番の問題点はその辺にある と思います。  黒川座長  その問題点の問題はどこにあると思いますか。医師主導じゃなくて、日本では臨床試 験を同時にやるにはいろんなバリアがあるというのは、どこに問題がありますかね。  有吉構成員  欧米に比べて組織ができていない。特にオンコロジーですとアメリカ、ヨーロッパに は大きな試験組織がございますので、日本ですと各大学が個々にやっておりましても、 結局20〜30例を何年もかかってやって、結果として残らない臨床試験が数多くある。そ ういう状況を払拭するためには、少しグループをつくってやるというような欧米のよう な組織をぜひ公的な支援のもとに展開していくことが必要だと思います。  黒川座長  ただ、公的な支援でやった場合、出したらそれができるようになるかということです ね。僕が言ってるのは、大学でできないというのは、じゃあ大学の先生のどこに問題が あるんですか。  有吉構成員  臨床試験に対する気持ちを十分に持っていない。例えば医師主導治験という話が出て きたときに、多くの大学の先生方が製薬メーカーに無理難題を押しつけた話を多々聞い ておりますが、そういう認識ではだめなので、臨床試験というのは、いい薬を早く患者 さんのもとに届けるためにどうすればいいかという観点でやらなければいけない、極め て重要な臨床試験だと思うんですが、その認識が欠けていると思います。  黒川座長  それはなぜでしょう。  有吉構成員  日本の医学教育の問題になってくると思います。  黒川座長  それはどうしてでしょう。  有吉構成員  医学教育の中で臨床試験というものをきちっと教えないからだと思います。  黒川座長  それは教えればやるようになるんでしょうか。  有吉構成員  私はそう思います。  黒川座長  そうですか。じゃあ教育すればいいわけですか。それにはどうしたらいいでしょう か。大学の先生はどういう反応をすると思いますか。文部科学省にいって、そういうの が大事だから講座つくれって言いますよ。講座をつくればそういう人ができるんです か。そんなことはないですね。  有吉構成員  それはそうかもしれませんけど……  黒川座長  できないと思いますよ。できると思いますか。  有吉構成員  私はそう思いますけどね。  黒川座長  医の倫理が大事だという話になると、必ず大学では医の倫理を国家試験に出すなんて 言うけど、そんなの役に立ちますか。医の倫理の講義を何時間してますかというと、10 時間とかみんな言いますよ。それが役に立っていると思いますか。  有吉構成員  じゃあ先生は日本ではできないとおっしゃる。  黒川座長  違います。そうじゃなくて、それは上にいる先生が実際にベッドサイドでやっている ことを見て学生が習っていくわけですから、講義だけでやるのではなくて、教えている 先生自身がどのくらいそれをふだんやっているのか。患者さんとの会話のやり方を教え るなんていうけど、現実に見せてますか。やってる先生もいるけど、ほかに対するエフ ェクトをやっているかしら、大学の先生たちは。  篠山構成員  確かに治験を日本でどうするかというのは大変大きな問題であります。私が黒川さん に最初にお目にかかったのも、たしか日本循環器学会のパネルディスカッションで、日 本の治験を考えようというときに厚生労働省の意見を聞かせて頂きました。それまでは レジストレーション・パーパスでやってた治験を、サイエンティフィック・パーパスに やらなきゃいけないということは、もう10年以上前からずっと問題になっているのです が、いくら意識を持っても、重要なことは、心筋梗塞の発生率というのはエイジマッチ との欧米人に比べて日本人は6分の1ですので、まず患者が集まりにくいという問題が あります。もう1つは、かつて日本の医師というのは患者に対して非常に大きなパター ナリズムで接してきたんですね。それに対する反応として、患者自身が医師に対して率 直にインフォームドコンセントを納得してくれない。絶えず何かされるんじゃないかと いう疑惑を持っている。今なくなりましたけど、製薬会社の方にも、治験の段階でマー ケティングのことを考えている、医師の立場、マスコミを含めた医師に対する印象、患 者の立場、すべてが一緒になって対応しなければならないんじゃないかという印象を持 っているわけです。  黒川座長  そういうことは皆さんわかっているんだけど、個別の問題よりは、日本の人はみんな 組織人間なんじゃないですか。根本的な問題はメディカルエシックスなんですよ。国家 試験の問題に入れましょうなんていうと2つか3つ入れるだけの話で、入れましたとい うだけの話になるわけです。大学でやってますかというと、やってますと言うけど、や ったからエシックスの教育ができてるかというとそんなことはないでしょう。じゃあど うしたらいいかというと、ふだんからのいろんな話で先生が見せていない限りそんなこ とはできるわけない。そういうことをやってますかという話なんだけど、今までの権威 のある人はなかなか難しいんだけど、患者さんから見ると、若いお医者さんが教授の前 で怒られているのを見ると、やっぱりパターナリズムかななんて、演技してるのかなな んて思っちゃうかもしれませんからね。そんな話で、別に個別に言っているわけじゃな いんだけど、そういう話です。すみません。  川原課長  事務局の方からも少しコメントさせていただきますと、有吉先生の方からお話がござ いましたけれども、冒頭で参考資料2で、治験のあり方に関する検討会というものを設 置して議論を開始させていただいております。この検討会ですけれども、いろいろな方 をお呼びして、場合によってはプレゼンテーションもお願いしたいと思っておりますの で、この検討会議の先生方にもお声をおかけすることもあるかもしれませんので、その 際には御協力をよろしくお願いしたいと思います。  黒川座長  治験のあり方だって、10年前からやってる。結局うまくいくようになったわけ? そ んなことない。コストが高いから外でやりますなんて言って、ブリッジングなんていう ことを言って、じゃあ同時にやればいいじゃないかというと、できませんと。これは現 場の人たちにも結構問題があるということを私は言っているだけのことで、大学の中で プロモーションさせたりそんなことやってたら、何かペーパーがないとか言われるから やってるだけの話かなというのもある。それは大学の人たちなり、お医者さんたちの意 識とか価値観を変えていかないと根本的にはなかなか難しいんじゃないかなと思ってい るので、それは僕らがやらなきゃいけないこともかなりあるということです。  篠山構成員  医者の意識は重要なんですけど、一番重要なのは患者の意識じゃないかと思います。 さっきお話しした日本循環器学会のパネルディスカッションで、FDAのジェフリー・ボ ーラーさんという方が示されたデータで、心不全の大きなトライアルに参加した患者の 中で、どういう理由で参加したかというアンケートの結果がありました。30%が、もし 自分が社会の役に立つならというので参加したというんですね。残りの25%は、もしそ ういういい薬があるならぜひ自分も恩恵に浴したいという気持ちで参加しています。こ れは、医学に対する信用だと思うんですよ。ボランティア精神と同時に、医学に対する 信頼といったような、患者の意識をまず変えることが一番大事じゃないかと私は思って るんです。  黒川座長  それもあるけど、大学にもそういう発信をしろと言ってるんだけど、子供の教育が悪 いとか、最近の学生は勉強しないというけど、先生の授業を聞いてみんながインスパイ アされて活気が出るかという話もあるんじゃないか。子供は社会を映す鏡だし、生徒は 先生を映す鏡だしと言われたら、自分で胸に手を当てて考えてみれば、それだけの教育 をやっているかという話は結構大事だと思うんですけどね。じゃあそれをだれが言うの かというと、役所とかメディアだとまたそれも問題があるかもしれないし、そうなると 大学の先生たちがコミュニティに行って、小学校とか中学校の先生たちも自分たちが応 援しましょうというボランティアも大事だけど、そういう話も大事かなという話をやっ てる。そういう話で日本とカナダの若い女性の科学者の交換というので1週間ずつ来て もらうんだけど、そこでセミナーするのは普通だけど、必ず地元の中学、高校に行って 授業をやってくださいと。現場の若い人たちがそういうところに行って話すというの は、僕らのコミュニティの社会的責任だと思います。それもやっていこうと思ってます けど。まあそんなことです。すみません。  堀田構成員  先ほど有吉先生がコメントされたことに関係するんですが、このスキームに乗る未承 認薬はほとんどがオーファンドラッグに相当します。すなわち、患者数が少ない、しか も切実感が高いものということになりますと、企業なり医師主導なり、手を挙げない場 合にどのようにしたらいいかということも考えておかないといけないと思うんですね。 そのことはどのように想定されていますか。それはこれから出てくるんですか。  川原課長  個別のものの中にはそういうものもございますので。  堀田構成員  この一覧の中に挙がっている未承認薬の中に、患者さんの希望が殺到することが予想 されるものと、それ程でもないものとがありますよね。これらを一律に論ずるのはどう かなと思います。追加的治験や安全性確認試験の必要度というのは結局は患者さんのニ ーズということになるんでしょうかね。  黒川座長  それは個別の方でやらないと、あまりジェネラルのところで例外をどんどん入れてい くと大きくなっちゃって難しいかもしれない。各論の前にそのところを議論しておい て、出てくる問題がまたそのときにやれるようにしておくのが大事かなと思いますけど ね。  堀田構成員  流れとしてはこれまで検討してきた内容でよろしいかと思っています。  黒川座長  もちろん両方がシェアすることでもいい。基本的なところは出しましょうと。企業も マッチングを出してきてくださいという話で。リスクは全部企業負担じゃないんだけ ど、両方でやりましょうという話はあり得る。非常に数が少ないのと、明らかに殺到す るというのであれば、明らかに殺到するぐらいだから企業もやりやすいんじゃないの。 それが殺到しない理由は何なのか。  川原課長  そこは個別のもので御審議いただくときに御議論いただいた方がわかりやすいかなと 思います。  黒川座長  わかりました。どうぞ。  吉田構成員  有吉構成員の指摘された点で、座長の方から金だけじゃないだろうという話がありま したけど、片一方で大規模臨床試験のグループに関してかなりお金を出して治験を推進 しろということがあります。実際に、例えば早期臨床試験にしたとしても、CRFをつく ったり、管理したり、データのチェックをしたりということは必ずお金がかかるんです が、そのお金の面に関して全くコメントがないんですが、治験のあり方検討会でもって こうした方がいいとか、ああした方がいいというふうにして、ここで決めるものではな いという意味でしょうか。経費に関して国は何もしない、持ち出しでやれということな んですか。  川原課長  未承認薬使用問題検討会議におきましては、基本的には昨年末の混合診療問題のこと から発した関係で、保険と保険外の併用診療が切れ目のない治験で可能になるようにと いうことで、確実な治験につなげるということで、そこの場合に企業に大多数の場合は まずお願いすると。医師主導治験という場合に、企業の場合も、もちろん企業にも負担 をお願いするということにはなると思いますけれども、医師主導治験のときに、先ほど 保険局の方で、保険の給付範囲の見直しということでの手当等もしておりますけれど も、恐らく吉田先生の御指摘は、そういう手当だけでは治験全体を走らせていくには資 金的に難しいという御指摘だと思います。そこらの議論になりますと、研究費とかいろ んな話に絡んでくると思いますけれども、ここでは議論の整理としてはそこまではスコ ープに入れておりません。  黒川座長  吉田先生の言うのはもっともで、僕はお金が要らないと言ってるわけじゃないんです よ。この間新聞に取り出されたんだけど、第一次、第二次の10年間にわたる41兆円とい う国費を投入して、科学技術基本法でやりましたよね。その評価を学術会議でやったん だ。評価をしなければ第三次の計画ができるわけないじゃないですか。確かに欧米とか もいいけども、同じ量の国費をインプットしたときに、日本は確かに論文はふえてきま した。だけど、アメリカのアウトプットは、引用される数はどうかというと、淡々と科 学技術白書には書いてあるんです、解釈は現場の研究者たちが責任を持たなきゃいけな いわけでしょ。そうすると、論文の数は日本は2番目ですよ。だけど、一度でも引用さ れたことがある論文かというと、44%は一度も引用されたことないんです。アメリカで もそんな論文はいくらでもあります。31%です。そういうことは出てるんだけど、なぜ かなんていうことは役所の白書には書けませんよ。だから学術会議が出しているだけの 話で、そのうち日本で一度も引用されていないのは44%なんだけど、じゃあ56%は一度 でも引用されたのは、だれによって引用されるかなんていうのはわかっていて、自分た ちで引用しているというのがかなり多いんですよ。よそに引用されているのがどのくら いあるのかという話は、それも出てるんだけど、その解釈は白書はできませんよ。それ は役所がつくってるからですけどね。そういうことがあるから学術会議ではふえたんだ けども、これは全部のデータの解釈としては、まだイギリスとかドイツに比べてもまだ 引用度はまだ低いなという話を出したら、途端にメディアが何とかかんとかって出すか ら、僕らが出してるのは、研究費をふやしてもらったらどういうことやるのという話を 自分たちで考えてやりなさいというメッセージを出しているわけで、もちろんお金は必 要ですよ。出さなくちゃいけませんよ。そのときに全体としてパイを膨らますのか、自 分たちでできることは何なのかということを両方でやっていかない限りうまくアウトプ ットできないんじゃないかという意味で、お金が要らないという意味じゃなくて、使う 責任が僕らの方にもあって、なぜできないかという話は十分に知ってるんじゃないかな という話をしてるだけなんです。なるべくいいアウトプットが出るようにすれば一番い いと思います。お金出るんですかというと、これは財務省との勝負だから難しいんだよ ね。その辺はまたやりましょう。  阿曽沼医薬食品局長  このスキームは、欧米4カ国で承認されているという前提があるので、承認されてい るということは、ある企業がどこかで売ろうとしているわけですから、必ず母体の企業 がどこかにあるわけです。ただ、日本でその企業が売りたいと思うかどうかというのは 判断があると思うので、基本的にはこのスキームは企業治験を前提にして考えていっ て、早く治験をやってもらうという前提なんだけど、日本の市場に魅力がないとか、マ ーケットが狭いといった場合には、別の形での医師主導治験という方法を考えなきゃな らないこともあるだろうと。その場合には医師主導治験をどういう形で根づかせていく かについては、医政局の方でも頑張ってはいるんだけども、なかなか決定打がない。し たがって、保険の方の整理も考えなきゃいけないし、公費の延長ということをどう考え るかも必要だし、具体的な事務処理のコストも軽減する道がないかとか、そんなことも 考えなきゃいけないし、いろんな意味で医師主導治験を普及定着させるための方策につ いては、厚生労働省だけじゃなくて文部科学省もあるでしょうし、医学会とも相談しな ければいけないでしょうし、医師会とも相談しなければいけないでしょうし、関係者が 相談して、進むような方向の手立てを考えるべきだと思っています。その1つの受け皿 が、治験のあり方に関する検討会というのを立ち上げたという契機の1つでもありまし て、公的支援の問題を視野に入れていないわけではありません。ただ、具体的にどの部 分をどう支援していくかというのは、これからいろいろ議論していく必要があるだろう ということだと思います。  黒川座長  出発の状況が英米独仏における承認状況の把握からというところが枠組みになってい ることで議論しましょうという話です。  堀田構成員  その治験のあり方検討会の情報を知りたいんですが、これは医師主導治験に関しての みではなくて、一般の企業治験についてもという意味ですよね。それについて、私も責 任医師を幾つかやらせていただいているんですが、極めて煩雑で、こんな細かいことを 何でとりにくるんだというようなデータを毎日のようにとりにくるんですね。そういう ことも含めて検討していただけるというふうに期待しているんですが、どこがポイント で、どこが簡素化できるかということは今後詰めていただきたいと思っています。それ が医師主導治験をうまく軌道に乗せる1つのルートでもあると思いますし、もう1つ は、サイト側から言いますと、医師が日常の診療の中で、あれだけの資料をつくるとい うのは現実に困難ですので、そのような業務に対するプロフェッショナルが絶対必要だ と思います。それはCRCであったり、データマネージャーだったりするんですが、そう いった職種に対して研究費で人件費を出すことが困難な状況、それを解消しなければい けないと思います。ぜひ御検討いただきたい。  阿曽沼局長  検討します。  川原課長  この検討会につきましては公開で開催させていただいておりますし、議事録、配付資 料、前回も2名の委員の方にプレゼンテーションをいただきましたけれども、そういう プレゼンテーション資料についてもウェブサイトの方に掲載させていただくことを考え ております。  吉田構成員  資料3にスキームが幾つか書いてありますけれども、これの最大の眼目はスピードで すよね。要するに既に外国で承認されていて日本で未承認で、それをいかに早く、しか も合理的に、しかも科学的に評価できるかというところにかかっていると思うんです ね。ですから、全体のスキームとして例えば追加的治験とか安全性確認試験というのを 同時に走らせるというのは、スピードという面でいいことだと思います。ただ、資料を 読んでいると、1つの疾患に関して意識した形になっているようなニュアンスがとれる んですけれども、分子標的のようなものがありますとがん種を超えていろいろと見てい くという作業も必要になる可能性が高いと思うんです。そうすると、違うがん種で追加 的治験をやるということもあり得るとは思うんですけれども、その点はどういうふうな 処理になっているんでしょうか。  川原課長  要望があったものについて検討するということから、欧米承認薬につきましては欧米 での承認効能の範囲というのが原則的なところになるかと思いますけれども、確かに先 生がおっしゃるようにケース・バイ・ケースのものもあり得るかもしれません。それは 個別の品目の検討のときに御議論いただければと思います。  堀内構成員  特に安全性確認試験は、実際に計画をしている段階で発売になってしまうのではない かと危惧します。この位置づけは、欧米で発売している医薬品については、既に安全性 確認試験を実施する予定であるので、プロトコール等を作成するということを前提にし ないと実際上動かないだろうと思います。この会議で決めて、それからプロトコールを つくって、治験届を出して、それから実際に開始するということですと、時間が大変か かってしまうと思いますが、そういう指導をしていくということを意味するのでしょう か。  川原課長  これもケース・バイ・ケースになるかとは思いますけれども、恐らく企業の方として は、仮に外国のデータがかなりあると。日本でもそこそこ治験が走っているという状況 のときに、日本のデータが十分集められているかということも関係しますし、患者さん の要望がどういう状況かというのもございますし、今後の議論の中で要望が出てくれ ば、できるだけ早目に申請をやってもらう必要があるということになれば、安全性確認 試験を計画してもらって申請するとか、いろんなパターンでの企業側からのオファーみ たいなもの、我々が要望を受けて、この薬について要望があったということで企業側と コンタクトしますと、企業側からそういう形での申請はどうかとか、今後の開発みたい なものは認められないのかどうかとか、ここで検討していただけないかということでの オファーは出てくるだろうと考えます。  黒川座長  英米独仏4カ国で承認状況の把握というのは、もし承認されていて日本がビハインド であるとか、その会社は何で日本でやらないのかということについては、今向こうにあ るデータをみんな見せてもらうわけじゃないですか。その上で検討するわけでしょ。  阿曽沼局長  承認申請のための治験と追加的治験と安全性確認試験なんですけど、要は英米独仏の どこかで承認されたという時点があると。そのときに反射的にその時点で日本の状況が どこにあるかということで決まってくるわけです。日本の状況は承認申請のための治験 に全然入っていないというものについては、この検討会でやるべきだとなればすぐ承認 申請のための治験に走ると。既に承認申請のための治験は閉めちゃっていると、機構の 方に申請がいっているという場合には安全性確認試験を走らせると。そういうことなの で、逆に言えば、日本の状態におけるポイントごとに対応していって、基本的にはどこ かで承認された薬は、そういう対応する治験を走らせることによって、切れ目がない対 応をすることによって、実質的な混合診療を実現しようというのがターゲットです。し たがって、堀内先生のおっしゃっていることも、安全性確認試験を走らせたはいいけど も、すぐ承認されちゃったとか、今回のオキサリプラチンなんかまさにそういう例なん ですけど、そういう例も出てくることはあり得ると思うんですが、できるだけ短い期間 でもプロトコールをつくって、承認までの短い期間かもしれないけども、安全性確認試 験を走らせることによって、その間は混合診療でつなげて、承認されたら保険適用につ ながると。そういう仕組みを目指したいと。ほんとはこういうことが共同治験でやれ ば、共同申請で共同審査みたいなのができて、ヨーイドンで審査できれば一番なくなる わけで、今の時点では過渡的にこういう形で補正していかないといけないということな ので、そのための応急的なやり方だというふうに御理解いただきたいと思います。  川西構成員  今まで未承認薬の話の1つの理解としては、未承認薬を使いたい患者さんにどういう 形で使う機会をつくるかということで、今の議論で、なるべく早く承認するというもう 1つの問題があるんですが、これはいろんなイメージが混乱しているんですが、機構の 審査と、今のスキームとのすり合わせというのはどういうふうになるのか。これもケー ス・バイ・ケースなんだろうと思いますけれども、その辺は事務局のイメージはどうな のかというのがわからなくなってきたんですけど。  川原課長  この次のところでそこの御議論もいただこうと思っております。  有吉構成員  この流れの中で、患者さんにもきちっと協力していただくということが重要だという お話があったんですが、私もそれはそう思うんですが、何分にも日本の従来の治験とい うのは、全然公表されていないわけです。欧米などではインターネットで調べればある 程度患者さんの方で情報が入手できるということが当たり前になっているわけですの で、この際このスキームの中で根づくことが全体に広がるといいと思うんですが、これ をかなりの程度制度化するような、要するに公表するということを制度化することが、 こういう試験がスムーズにいく1つのファクターになり得るだろうと思いますので、ぜ ひきちっとやっていただきたいと思います。  黒川大臣官房審議官(医薬担当)  御指摘ありがとうございます。望まれる患者さんに欧米4カ国で承認された医薬品に ついて、制度的に切れ目なく使っていただくための、この会議における検討の性格、そ れが説明があり、治験のあり方についての並行して走っている部分のお話があった中 で、有吉先生がおっしゃったような問題とか、篠山先生の御指摘の問題等については、 まさしくあり方検討会の格好の議題としてどんどん取り上げていって整理すると。川西 先生のお話につきましても、治験のあり方検討会の方でこちらの御議論を反射いただき まして、それがアンブレラ的な薬効評価、何をもって薬効評価のデータとするか、ある いは何をもって尊しとするかというものさしの策定というものまで議論をして、それを 科学的な審査を行う医薬品機構が実行するという形で反映していくことになりますの で、もって両輪回っていくものかと思っております。したがいまして、ここでは英米独 仏で承認になっていて、しかし日本ではまだ走っていないものについて、どう切れ目な く使っていただくのかということをこのメカニズムでやっていきたいと、ここに集中し てやっていただければということです。  大澤構成員  1つだけ確認させていただきたいと思うんですけれども、薬を承認するかどうかとい うことは、その目的は安全性を確認して国民の健康を守ることが目的なわけですよね。  黒川座長  いや、効かなきゃしょうがないけど。  大澤構成員  もちろん効かなければ意味がないですけども、欧米4カ国で承認された薬剤が効くと いうことがわかっている状況でそれを確認するということは、要は人種差の問題を解決 するということですよね。企業の競争の問題もあるのかもしれないんですけど、将来的 には「共同のプロトコール」といいますか、「これとこれをやりなさいと。そしてこう やったらうまくいくよ」というものをある程度お示しになって、すべての企業が簡単に 治験を進めることができるような方向性をお考えということでよろしいんでしょうか。  黒川座長  企業に聞いてみると、ICHの後でヨーロッパとアメリカと日本で3つ同じスタンダー ドでやりましょうという話は随分やったわけです。そうすると、なぜ日本ではできない のかと。それは行政の問題もあるかもしれないけど、実際治験をやる側のお医者さんの 問題もあるし、患者さんの意識もあるかもしれないけど、それはふだんから患者さんと のコミュニケーションとか信頼がどうのこうのというのはお医者さんの問題もあるんじ ゃないかという話で、僕らは僕らで何をやったらそれができるようになるかということ をふだんから考えて、できるインフラを次から次にやっていくなり、患者さんとコミュ ニケーションするとか、そういうような話も自分たちでやるべしというのであれば、や れることはやっているかという話も大事なんじゃないかということを言っているんで す。そうすればメーカーがやりましょうというときに、日本も参加しませんかといった ら、それなりに同時に参加できるんじゃないかと。できないファクターは何かという話 と、一体何が違うからできないのかということをお互いに十分認識しないとうまくいか ないんじゃないかなと思うので、それを建設的にやることによってうまくいくんじゃな いかと思いますけどね。  この後の議論で各論も出てきますので、進んでフィードバックさせるのがいいと思い ます。先ほど吉田先生がおっしゃったように、今までの承認のやり方というのは、治験 をやったと。やった症例で承認していくというプロセスだったから、たった10年前で GCSFが承認されたときに何があったか御存じですよね。つまり、GCSFを使うのは化学療 法だからやるわけでしょ。白血球減少が起こるわけでしょ。感染症予防のためにやるわ けです。10年前までは承認されなかったから、たくさんのいい化学療法があるんだけ ど、敗血症で死ぬ人がすごく多いわけです。化学療法をやれば必ず高熱が出るんだか ら。それがぐっと少なくなったんだけど、そうするとGCSFの治験をやったときにどうい う患者さんが多いかという話で、承認するときには、やったがん種の名前が適応症とし て書いてあるんですよ。これに効能があるということで治験申請をするという話だった んだから。それは、そんなのおかしいというのは治験にかかっているお医者さん同士が ふだんから言ってなくちゃいけない。これは悪性腫瘍に対する化学療法による白血球減 少症を適用しなきゃいけない。それを言わなくちゃいけないのに、ふだんからそういう 会話をしていることの方がよほど大事でね。今はそうなってませんよね。悪性腫瘍の化 学療法のそういうことというふうに言えばいくらでも変えてくれるわけだけど、今まで はそうだったことが、なぜそれで通っているかという話は、お医者さん側にも責任があ る話だし、メーカーの方も責任があるという話をしているだけの話で、できることはた くさんあると思うけど。このがんもそうですよ。それでどんどん変わって、化学療法の コンビネーションが変わってるから、参考資料1のやつでは、ほかに治療がなくて、こ れがスタンダードになってるんだけど、申請したときはそのがん種でやってるから支払 い基金で払ってくれないという話をやって、そのかわりレビューのプロセスはかなりき ちんと学術的な信憑性がどのくらいあるかということを調べたということです。  有吉構成員  先生は今非常に重要なことをおっしゃったんですけど、GCSFの問題のときの状況は決 してまだ払拭されていないことがございますので、もしそういうことがこの会で払拭す ることができれば、私はものすごく大きなことだと思います。  黒川座長  この会じゃなくて、ふだんから現場の先生がそれを言っていないといけないわけで す。お互いの社会での役割が違うんだから。お互いのコミュニケーションをよくするこ とが一番大事だと思います。  それでは次にいきましょう。よろしくお願いします。  事務局  資料7以降について説明させていただきたいと思います。資料7は前回お配りしたも のと同じでございまして、この資料で未承認薬に係る3つの治験について御説明したと ころでございます。今回は資料8で、追加的治験と安全性確認試験について、さらに本 日御議論をお願いしたいと思っております。  資料8の1枚目ですけれども、追加的治験は未承認薬の有効性、安全性を追加的に確 認するとともに、希望する患者に使用機会を提供することを目的とした試験ということ で位置づけさせていただいているところです。ただ、未承認薬使用の要望が出てまいり ましたら、それは通常、承認申請のための治験の中でできるだけカバーしていただくも のではないか。承認申請のための治験の中でも、特にその一環として実施されます長期 投与した場合の安全性評価のための試験、長期投与試験というのがございまして、その 規定を、後から希望する患者さんが出てきても参加できるような規定に最初からしてお いていただくことによって、そこでできるだけカバーしていくべきだと。  2番目、追加的治験というものは、今申し上げた長期投与試験等によってもカバーで きないケースがある場合に、そこに対して限定的に実施されるものではないかと考えて おります。  3番目、追加的治験の対象患者の範囲ですけれども、安全性の観点から特に厳重な管 理が必要な、例えば抗がん剤のようなものについては、結果としては承認申請のための 治験のクライテリアとほぼ同じになるのではなかろうかと考えております。  2枚目でございますが、安全性確認試験の方ですけれども、承認後の使用実態を想定 して、臨床使用成績を把握することにより、承認時に一層の適正使用を図るために実施 される試験と位置づけさせていただいておりますけれども、これをもう少し具体的にど ういうケースなのかということを事務局の方で整理させていただきまして、2番目、こ れまでに市販後臨床試験、承認された後に適正使用のための仮説を検証する等の目的 で、市販後臨床試験が求められるようなケースがありますけれども、そういったケース において市販後臨床試験を前倒しで実施していただくようなイメージでおります。こう いう趣旨の試験は海外でもフェーズIIIbとして求められてきておりまして、国際調和の 観点からもこういう試験を今後やっていくことは必要ではなかろうかと考えておりま す。  次に承認審査における取り扱い、追加的治験と安全性確認試験の結果を承認審査にお いてどういうふうに取り扱うのかということですけれども、特に安全性に関して承認申 請のための治験というのは症例数が限られてまいりますので、限られた症例数を補足す るものとして、審査の際には評価の対象とせざるを得ないだろうと考えております。ま た、治験である以上はGCPも適用されるということでございます。ただし、GCPの運用に ついてはできるだけ負担軽減を図れないかという方向で考えているところです。  3枚目ですけれども、今言葉で申し上げたことを図にしてお示ししたものでございま す。承認申請のための治験が走っておりまして、その後要望が出てまいりましたら長期 投与試験等というところ、長期投与試験と一般臨床試験と両方を含みますけれども、そ ういったところにできるだけ参加していただくと。長期投与試験等でもカバーし切れな いケースが出てきた場合には追加的治験に参加していただく。その後は安全性確認試験 ということになります。安全性確認試験は本来、市販後臨床試験が実施されるようなも のを承認前から実施していただく。安全性確認試験の間も長期投与試験は走っておりま して、できるだけそちらの方に参加していただくということでございます。  次に資料9でございますけれども、これは追加的治験の実施までの流れをお示しした ものでございます。この検討会議でこれから御検討いただいた結果、追加的治験を実施 することとされましたら、それを受けて私ども厚生労働省の方で関係企業あるいは医師 に速やかに治験実施を依頼する。企業あるいは医師の方から同意が得られれば、その情 報をインターネットに掲載する。掲載の方法については日本製薬工業協会と協議してい るところでございまして、その情報を見て患者さんが参加希望される場合は、企業ある いは医師に問い合わせをしていただく。あるいは、承認申請のための治験にこれまで参 加しておられたお医者さんが、たまたま自分のところにそういう患者がいるということ であれば、そのお医者さんから開発企業あるいは医師の方に問い合わせしていただく。 プロトコールにきちんと合うことを確認していただいた上で追加的治験に参加していた だくというイメージでございます。  最後に資料7のところで、先ほど堀内先生からお話がございましたけれども、安全性 確認試験の手続のところで6ページ、前回、検討会議に先立ち試験計画を策定し、検討 会議の意見を聞いて企業で実施の検討を行うということとか、要望が出てきた時点で企 業は要望者と協議を開始するというようなことで御説明申し上げましたけれども、先ほ どの御指摘もございましたし、ほかにもいろいろとコメントをいただいておりまして、 この手続がどういうふうにすれば一番いいかとか、より実際に即したものになるのかと か、事務局において細部を検討させていただいているところでございます。  治験の手続の説明は以上でございます。よろしくお願いします。  黒川座長  資料8のしょっぱなにある追加的治験と安全性確認試験、1の未承認薬というのは、 大前提の4カ国で承認されているところから入っているわけですね。  事務局  そうでございます。  堀田構成員  長期投与試験というのは、今までそういう名称で出てなかったですよね。追加的治験 と安全性確認試験の両方を網羅するような形で長期投与試験というものが、申請のため の治験と途中から並行して動くと、これが基本の流れなのか、あるいは、長期投与試験 によってできるだけカバーすると書いてありますよね。これはどういう関係ですか。  川原課長  今回、昨年末からの一連の混合診療関係のスキームとして新しく設けましたのは、安 全性確認試験と追加的治験ということですけれども、これまでも承認申請のための治験 が終了して、企業として承認申請を上げた後も、その治験薬で患者さんがコントロール されているとか、その薬剤以外には、例えば特殊な耐性菌への薬剤ですとか、そういう ようなものの場合で治療法がないといったような場合に、長期投与試験とか一般臨床試 験の追加が、あまり大々的に企業としてやっているということはないと思いますけれど も、そういうものが走っていることがございまして、それはこれまでも認められていた ところでございます。したがいまして、承認申請のための治験と長期投与試験等、これ は既存の枠組みということでございます。したがいまして、企業側としますと、特に長 期投与試験等という既存の枠組みもございますので、その枠も活用したいと。それと新 しくスキームとして出てきた追加的治験とか安全性確認試験というものも組み合わせ て、切れ目のない対応ということを考えたいということもございまして、私どもの中で 議論して、こういう形で整理させていただいてはどうかなと。これは標準的なイメージ ということでお考えいただければいいと思います。恐らく個別の品目によっていろんな ケースが出てこようかとは思っております。  堀田構成員  従来、メーカーの方の倫理的な配慮で、せっかく効いてる人が治験期間が終了すると これで供給なしというのは患者さんの要望にこたえてないんじゃないかということで、 再投与試験とか継続投与試験とか、あるいは長期投与試験という形で、同じ申請のため の治験に乗った方に限ってそういう対応がございましたね。これを長期投与試験と言っ ているのでしょうか。そうしますと、このスキームとしては承認申請のための治験にそ のままつながっているというふうに考えてしまうわけで、今回のはむしろ承認申請のた めの治験の流れにそのまま乗っているのは、追加的治験と安全性確認試験のようにこの 図から見えるので、その関係はどうかなと思ったわけです。  川原課長  そこはいずれにもいけるということでございます。ただ、堀田先生が御指摘のよう に、長期投与試験は承認申請のための治験と基本的にはオーバーラップしている部分が 時間的には必ずあるという形で今まで運用されてきておりますので、そういう意味では 長期投与試験等の部分だけが少し出っ張った形になっているということでございます が、基本的には全部がつながるような形になっていますし、それぞれ補い合うことも可 能な形になっております。  堀田構成員  そうしますと、長期投与試験は申請のための治験とほぼ同じような対象患者、あるい は適格基準でやっていくことになりますね。そうすると、そこから外れた方とか、要望 はあるけど試験では外れているというようなものもどこかでカバーできるんですかね。 追加的治験や安全性確認試験は、適格基準から外れた患者さんも念頭に置いているので しょうか。抗がん剤ではできるだけ同じ対象にするという説明がございましたのでお尋 ねします。  事務局  そこは今おっしゃったようなことで考えておりまして、長期投与試験は恐らく承認申 請のための治験と同じような選択基準、除外基準で実施されると思います。そこでどう しても合わないような方が出てきたときに追加的治験を考える。ただ、そうはいって も、どういう患者さんが入ってこられるかというのは、患者さんの安全性確保などもご ざいますので、医学的な判断ということがどうしても入ってくると思いますから、主治 医の先生が御判断して、この患者さんは要望はあるかもしれないけどちょっと合わない なということもあるかもしれません。そこはあくまでも医学的な判断ということか思っ ております。  堀田構成員  現状で患者さんの要望が大変強い抗がん剤の治験などでは、それは企業の申請のため の治験ということになるんですが、要望がある方で適格基準を満たす人は半分もおりま せん。したがって治験に漏れちゃう人はたくさんいます。だけどそういう人に本当に治 験をやっていいかというのは逆に問題があるように思います。ただ、そういう方でも市 販後には多分使われるだろうと想定されます。市販後を想定するとなると、対象をかな り広げないと患者さんのニーズに応えられないというところは、現場で悩ましいところ であろうと思います。  黒川座長  みんな自分のやる分野でかなり違うと思うんですね。例えば循環器疾患だと、そのま ま大体はずっとやっているというわけでしょ。そうするとこれはどういうふうになるか という話と、資料8の追加的治験、例えば抗がん薬というのはこういうのがないと困る と、安全性確認試験を今やってますけど閉めちゃったからだめよというときに、同じよ うな患者さんが入ってくればやってもいいかなという話があるし、もう1つは、抗がん 剤は短期で2カ月ぐらいで反応を見るかというのもあるのかもしれないけど、耐性菌に 何とかの抗生物質なんていうと、閉めちゃって、使った人が一旦おりちゃってるんだけ ど、また再発したときにどうするかという話の枠組みもあるわけだし、ずっと続けてな くちゃいけないのもある。ただ、申請のためになると、最近心筋梗塞を起こした人はだ めとか、年齢がだめとか言うじゃない。だけど、そういう人はいろんな状況が出てくれ ば、なるべくリスクを均一にしようと思っているから、だけど承認されてからは、実は 最近がんの化学療法やりましたとか、そういう循環器の人だっているわけだし、もうち ょっと年とってる人とか、心筋梗塞を起こしたのもやっていて、それはお医者さんが使 うんだろうけど、メジャーな副作用がない人とか、がんの治療をやっている人なんてい うのは循環器疾患で大体入れないようになっているんだけど、もしやったときに、抗が ん剤とのインターアクションはどうなのなんていう話はいくらでもあり得るわけじゃな い。そこまで想定してここで書くよりは、それはある程度お医者さんの裁量の問題にな ってくるんじゃないかなと。できるだけ広く入れているということは事務局が考えてい ることなんですね。  後藤構成員  イメージを具体的につかみたいんですが、追加的治験ですけれども、長期投与試験等 によってもカバーできないケースに対して実施するということで、具体的にどういうケ ースを想定しておられるか、具体的なイメージを教えていただきたいと思います。  事務局  先ほど堀田先生からお話のあったような、本来の承認申請のための治験というのは、 あくまでもその医薬品の有効性、安全性を見るということが主眼になりますので、かな り選択基準とか除外基準も厳密に決められていると思います。そこで照らし合わせる と、要望されている患者さんが必ずしも合わないというときに、年齢は多少外れていて も大丈夫だろうとか、あるいは前治療歴で多少外れていても大丈夫だろうとか、そうい うことを医学的に御判断いただいて、入れるようにできるケースもあるのではないか と。そういうときには追加的治験という形で、そういう患者さんも対象に入っていただ くということを考えております。  栗山構成員  承認申請のための治験というのは、かなり限られた実施施設でやられていますよね。 この場合の追加的治験とか安全性確認試験は、その限られた施設での話ですか。そうじ ゃなくて、もっと実施施設を広げるということなんですか。  事務局  そこはケース・バイ・ケースでいろいろあろうかと思います。ただ、薬によっては使 い方に習熟している先生方に投与していただく必要があろうということもありますの で、結果として本来の承認申請のための治験をやっていらっしゃるような医療機関で、 要望する方々も投与を受けていただくということが多いのではないかと思います。  有吉構成員  非常に多くの方がこの追加的治験のイメージについて御質問が出ているんですが、も う一度だけ確認させていただきたいのは、追加的治験にしても安全性確認試験にして も、この2つの治験は、あくまでもこの会議が行われている未承認薬使用問題検討会議 の判定があってのみやられることであって、ほかの治験には関係ないということだけ断 言できるんですね。  川原課長  はい。この後に個別の品目の話が出てまいりますので、具体的なイメージもおつかみ いただけるかと思います。基本的には要望が出てまいりまして、その時点で日本がどう いうステージにあるかということも確認した上で、そこで患者さん方、企業の意向、そ ういったものを調整して、追加的治験だとかそういうものが求められることもある。た だし、企業が治験を走らせているという部分は、それは企業の責任でやっている話でご ざいまして、私どもの方から働きかけるということはございません。そういう意味で は、追加的治験とか安全性確認試験というのは、要望に基づいて、その状況に応じてこ ちらの方から要請して決まるということで、有吉先生がおっしゃった趣旨がそういうこ とであればそのとおりでございます。  有吉構成員  そうすると、ここに出てくる薬剤は恐らく多くの患者さん、多くの医師ないし学会が 欲しいということは、それだけ効果のあるものでございますので、このプロセスは順調 に進むと思うんですが、1つ危惧するのは、追加的治験とか安全性確認試験、これらは すべて薬事法の規制下に入るわけですので、それらはデータとして、企業がやるとした ら、きちっとそのデータもまとめて申請しなきゃいけないわけですね。特に追加的治験 は申請前ですから。そうすると、それの承認の審査とか何かで、本来なら早く持ってい きたいのがおくれるという、そういう自己矛盾に遭遇することはございませんでしょう か。  川原課長  その部分はあり得ると思います。特に追加的治験の場合はそれがあり得ると思います が、ただ、承認申請のための治験が終了して、そのデータがまとめられていれば、申請 は一応認めると。追加的治験のデータの部分については審査中にでも追加で報告を求め る。これは長期投与試験等についても、その副作用等で問題が発生すれば審査中にも追 加で出していただいているような取り扱いをしておりますので、そういう取り扱いが基 本になるのではないかと思いますけれども、追加的治験の規模とかいろんなもので、企 業のデータのとりまとめのタイミングとかそういうものによりましては、企業側の承認 申請とか、それは企業側が仮に治験を追加でやるとしますと、企業も研究開発部門のリ ソースが限定されていると思いますので、そういう意味では、そのリソースをどういう ふうに使うかということの関係で影響が出るということはあり得ると思います。  有吉構成員  そうすると、追加的治験のいろんなデータは後でもいいとおっしゃっていただいたこ とは、その点は明確になったんですが、むしろこういう薬剤というのは、もし承認申請 のための治験が終わっていたら、これらはすべて迅速審査に回すというようなことをす れば、むしろ患者さんの大きなメリットになると思いますけれども、そういうカテゴリ ーにすっと自動的に入るというわけにはいかんのでしょうか。  川原課長  自動的にということにはなかなか、どういう成績が出てくるかにもよりますので、自 動的にというわけにはいかないかと思います。資料4の未承認薬を治験対象とする場合 の考え方というところで、医療上特に必要性が高いと認められるものということで、い ろいろ考え方をまとめてございますけれども、この考え方の基本は、優先審査とか、治 験相談を優先的に行うものの考え方と基本的に同じでございますので、よほど新たな安 全性の問題などがない限りは、有吉先生がおっしゃったような形には結果的になると思 います。  阿曽沼局長  ちょっと補足しますと、このスキームで言う追加的治験とか安全性確認試験というの は、ここで議論した対象薬剤しかないわけです。一般的にずっとあるものではない。極 めて例外的なものだということがまず1つです。今までの審査の仕組みを基本的に変え るものではない、審査は審査で粛々とやるわけであって、これは審査中であるとか、通 常の承認申請のための治験をやっているときであるとか、その前であるとか、国で承認 してないものですから、その薬が日本で使えないと。使えない状態を何とか使える状態 にしてもらえないだろうかというのが患者さんの要望ですから、患者さんに対する使用 機会の提供と、一方で安全性確保の問題もあるので、安全性の確保と使用機会の提供と いう2つの命題を両立させるためには、苦し紛れだけれども、治験という枠組みが一番 いいんじゃないかと。そうなると、治験という枠組みをいろんな知恵を出してつくらな きゃいけないんじゃないかと。そこで追加的治験とか安全性確認試験をつくったという ことでありまして、実際にはどういう形で追加的治験を、患者さんの要望と、主治医の 判断と、安全性の確保というところを、どういうプロトコールを制度上反映させるかと いうのは大変難しい問題ではあると思っているんですけれども、最終的には個別の品目 で判断しなきゃいけないとは思いますけれども、基本原則は2つの要望にどうこたえる かということで暫定的なスキームを組んでいるということです。  後藤構成員  もう一度確認したいんですけれども、資料8の3ページ、追加的治験というのは、こ れを見ると申請時には終了しているわけですね。これはこの形でいかれるんですか。そ れとも追加的治験というのは長期投与試験と重なるものであって、申請の後ろまで延び るのかどうか、確認をお願いします。  川原課長  これもケース・バイ・ケースだと思いますが、ものによっては御指摘のようなケース もあり得ると思います。  黒川座長  そこで一番下に長期投与試験等というのがあるわけ。  川原課長  患者さんによっては治験中に非常によくコントロールされて、治験薬の投与の継続を 希望されると。  黒川座長  そういうのはずっと継続しなきゃいけないんだけど、1カ月だけ効果があって、しば らく休んでるんだけど、3カ月したら、さっきの耐性菌みたいなやつはどこかという話 も入るわけ。  川原課長  そこも入ります。長期投与試験等となっておりますけれども、これは耐性菌のような ケースも出てまいりまして、場合によっては再発とか、新規の患者さんが入ってくる場 合もあり得ないわけではございません。  黒川座長  それはケースによって追加的治験としてやるのか、それは申請前だから、申請してい る最中になると長期投与試験等というカテゴリーで2週間か3週間で効果が見えちゃう というのもあるわけだし、ケース・バイ・ケースというのはそういう意味だと思います よ。患者さんの状況もあるけど、薬効の使い方によってかなり違うんじゃないかなとい う気がするんです。それはまた各論で出たときになるほどなという話で、なるべく網羅 的にやっちゃうのか、だれの裁量権を認めるのかという話になってくるのかもしれない ね。  阿曽沼局長  もう1点だけ確認のために申し上げますと、このスキームというのは原則は4月1日 以降に欧米4カ国のどこかで承認された薬があって、それに対して日本で承認されてい ないという現実があると。そういうものが出た場合にここで議論いただいて決めるとい うことですから、今まで欧米で承認されてるけど日本で承認されてない薬を、これは経 過的な取り扱いでございまして、原理原則というのは今から始まるということですか ら、その点はぜひ御理解いただきたいと思います。  黒川座長  はい、次にいってみましょう。事務局はそういう意味では前向きにしているつもりな んだと思うので、それはサポートしなきゃいけない。違う場合もあるので、そこで実際 の未承認薬というカテゴリーにかかわる3つの治験の処理手順についていってみます。 検討する必要のある未承認薬についてという議題の2に移ろうと思います。よろしくお 願いします。  川原課長  それでは資料10をごらんいただきたいと思います。前回、対象医薬品を3つの類型に 分類したものということで資料10をお配りいたしました。局長からも説明がございまし たけれども、類型Iというのが17年4月以降に欧米4カ国のうち1カ国ででも承認され たものについてのものでございまして、4カ国について調べるということで、資料5に フォーマット的なものをお示ししています。3カ月分ぐらいを考えておりまして、それ について英米独仏で新たに承認という情報が入りましたら、このフォーマットにのっと って整理していただき、それを7月に御審議をいただいてはどうかというふうに考えて おります。  類型IIでございます。資料11でございますけれども、過去5年間に学会・患者団体か ら要望があり、かつ平成17年3月以前に欧米4カ国で承認されたもの、これも4カ国の うちいずれかで承認されたものということでございます。過去5年間というのは審議の 段階での過去5年間でございますので、今後も要望があればこれに追加されていくとい うことでございます。  類型IIIにつきましては、学会・患者団体から要望がないけれども、過去2年間に欧 米4カ国のいずれかで承認されて、かつ医療上の有用性が高いと考えられるもの。これ は過去2年ぐらいはさかのぼって、ワーキンググループ等で検討してもらって、ここで 検討してもらえればどうかといったようなものについて上げてもらってはどうかという ことでございます。  類型Iは明日以降情報把握をしてフォーマット化して、1回目の検討は7月ぐらいに 考えております。類型IIの方ですけれども、資料11の方をごらんいただきたいと思いま す。個別に御説明させていただきます。1番目が国内治験前の未承認薬ということで、 サリドマイド、これは前回御報告しましたように、治験開始を準備中ということで、特 に変わりはございません。なお、本品につきましては米国ではハンセン病の効能という ことで、ヨーロッパではモノ自体が未承認でございます。したがって厳密には現時点で は対象品目ではございませんけれども、こういう要望があるということで、先ほどの吉 田先生のお話とも関係するような形ですけれども、ここに挙げさせていただいておりま す。ただ、この関連で関係方面に一部御迷惑をおかけしましたので、その点につきまし てお詫びを申し上げたいと思います。  2番目のペメトレクスドでございますが、これは2月9日付で悪性胸膜中皮腫につい ての治験届が提出されて治験が開始されております。  3番目がラロニダーゼということで、ライソゾーム病の一種のムコ多糖症の薬でござ いますけれども、小児科領域の薬ということで、これについては未承認薬としての使用 要望について詳細を確認中ということでございます。  このリストはもともとは、学会・患者団体から早期承認、早期保険適用の要望がござ いましたものについてリストアップしておりました。前回までは学会・患者団体に対し て切れ目のない治験での対応まで要望するのかどうか、追加的治験とか安全性確認試験 という治験を新たに追加してまでの対応を要望されるのかということを本日までに確認 しておりますけれども、そこの関係では、このラロニダーゼについてはまだ詳細が不明 でございます。希望されるようなお話もございますけれども、詳細確認中という状況で ございます。  4番目のジアゾキサイド、これは今月に入って小児内分泌学会から要望が出てまいり まして、小児の低血糖の薬剤ということで、これについても詳細確認中でございます。 ラロニダーゼとジアゾキサイドについてはこの検討会議で御検討いただく可能性がある ということで御理解いただければと思います。  2ページ目、一酸化窒素、エノキサパリン、これは治験中から申請準備中の未承認薬 のリストですが、エベロリムス、フォンダパリヌクス、これらについては要望の学会等 を確認しましたけれども、切れ目のない治験という形での使用要望はないということ で、早期承認、早期保険適用の要望ということでございます。  5番目のボルテゾミブでございますけれども、これは抗がん剤でございまして、多発 性骨髄腫の効能で米国で承認を受けているということでございます。後ほど米国の承認 薬リストの方でも出てまいりますが、日本では治験中ということでございますけれど も、患者さん団体からは追加的治験ないし安全性確認試験での使用要望があるというこ とで確認がとれています。これについてはこの会議での御検討をいただく必要があろう かと考えております。  6番目、ナタリズマブでございます。これについては劇的な話がございまして、2月 に要望がまいりました。多発性硬化症の薬剤でございますけれども、当初追加的治験と かそういう形での使用要望もあるということでございましたけれども、インターフェロ ンベータ-1aというものとこれが併用で、多発性硬化症に米国等でよく使われていたよ うでございますけれども、3月に入ってから米国で非常に重篤な副作用が報告されまし て、企業が販売を中止していまして、これについては製品の販売が中止されているとい う状況になりますので、これについては検討するにも検討ができないという状況になっ ております。  それから、国内審査中の未承認薬でございます。1番目のアリピプラゾールですが、 これについては切れ目のない治験での使用要望はないということでございます。イヌリ ンについても同様でございます。  3番目のオキサリプラチンは冒頭御報告させていただきましたが、安全性確認試験に ついても2月末日で治験届が提出されておりますけれども、薬事の承認審査の方も進み まして、3月18日付で承認ということで、来週には保険適用ということも聞いておりま す。これについては1回目で御検討いただいたものでございます。  4ページにまいりますが、クロザピンでございますけれども、これについても確認し ましたところ、追加的治験とか安全性確認試験での切れ目のない治験での使用要望はな いということでございます。硫酸クロピドグレル、抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリ ン、塩酸セトロレリクス、これも同様でございます。  8番目のボセンタン水和物、これも冒頭で御報告しましたけれども、3月17日の薬事 分科会で審議されまして、4月には承認予定ということになっております。現時点で切 れ目のない治験での使用要望はないということでございます。  5ページにまいりまして、9番目のボリコナゾール、これも冒頭で御説明させていた だきましたように、審査が進みまして4月承認予定ということになっております。現時 点で切れ目のない治験での使用要望はないということでございます。  10番目、塩酸レミフェンタニル、これも切れ目のない治験での使用要望はないという ことでございます。11番目のロテプレドノールもそういう要望はございませんでした。  12番目のインターフェロンベータ-1aというのがその後追加で要望が出てきたもので ございまして、これについては販売が中止されましたナタリズマブとの併用で重篤な副 作用が2例報告されておりますけれども、これについては未承認薬として切れ目のない 治験での使用要望があるということで、本会議で検討いただく必要があろうと考えてお ります。  したがいまして、詳細確認中も含めますと、ラロニダーゼ、ジアゾキサイド、ボルテ ゾミブ、インターフェロンベータ-1a、この4品目についてはこの会議で御検討いただ く必要が出てくる可能性があるということでございます。まだ確定という段階ではござ いませんが、そういうことでございます。以上が類型IIの関係のものでございます。  類型IIIについてですが、資料12をごらんいただければと思います。4カ国分そろえ て検討する必要があるわけでございますけれども、このひと月の間に米国で承認された 新有効成分の含有医薬品ということで、2年分をリストアップさせていただいておりま す。全部で35成分ございます。ほかの国につきましても同様にやっていきたいと思って おります。  この表の見方でございますけれども、有効成分、会社名、どういう薬か、国名は全部 米国になっております。承認日は米国での承認日、約2年前から最近までということで リストアップされております。備考欄ですけれども、上から5番目にイレッサ錠250と いうのがございますが、日本で承認されているものについてはここに日本の承認年月 日、販売名等を記載させていただいております。上から6番目のボルテゾミブといいま すのは、要望があって類型IIにもなっているということで、そういったものも備考欄に 記載させていただいております。アメリカでの承認品目につきましても、適宜ワーキン ググループの先生方の御意見をいただきながら、本会議に上げられるものがないか検討 させていただきたいと思っております。以上でございます。  黒川座長  こういう例からいうと、類型I、II、IIIというふうに資料10があって、4カ国の少な くとも1つでというのは書いておいた方がいいね。  川原課長  そこは明確にしておきます。  黒川座長  そうするとすぐに検討しましょうということをやるわけだ。概要とか向こうの資料を 取り寄せて見るわけでしょ。  川原課長  詳細確認中の品目、過去2年間の中で特に医療上の必要性が高いということで、これ がだぶる場合ももちろんあり得ると思いますけれども、そういうものについてはワーキ ンググループの先生方の御協力もいただいて、できれば4月下旬に御検討いただければ と思っております。類型IIとかIIIのもので上げられるものについてはここに上げさせ ていただきたいと思います。それ以降は4、5、6月の分を7月にという形で、3カ月 おきに定期的に開催させていただければと思います。  黒川座長  そのプロセスですけど、こうですよという説明はだれがするんだということについて は、先ほど言ったようにそれぞれワーキンググループをつくって、そこがいろんなデー タとかそういう話もやって、先生方に、これはこうなんだけど、よろしかろうと思いま すがいかがでしょうかとかいう話になってくるわけね。  阿曽沼局長  資料3の流れにどう乗せるかということですから、原則はあくまでも類型Iのグループ についてコンスタントに3カ月ごとには必ずやるというのが原則で、今の時点で過去に たまっている部分もあるでしょうから、それについてはこの検討会で評価していただく 必要があるだろうというので、類型IIとIIIのうち本当に必要があるものを次回判断し ていただこう。判断するに当たってはワーキンググループに調査をお願いするという形 で、資料3のフローチャートに基づいてスタートしたいというのが事務局の意向だとい うことであります。  吉田構成員  具体的な名前が出た方がわかりやすいと思いますので、先ほどの質問を言いかえます と、例えば資料12の20番にありますアービタクス、これは転移性結腸直腸がんというこ とで既に治験は入っていると思うんですけれども、昨年、頭頸部がんで放射線療法にオ ンオフした第三相試験で、オンした方が圧倒的に長い生存を示したという成績が出ちゃ った。そうしたときに、今大腸がんで治験は走ってるんだけども、これを頭頸部がんも 追加的治験として走らせた方がいいと言ったときに、そういったことができるかどうか を聞きたいんです。  川原課長  これは米国の方の頭頸部がんのFDAの承認はまだ……  吉田構成員  ですからね、第三相試験でもう事実が出たということから、じゃあ米国が承認して、 それを待って日本が承認してという格好でずっと後追いでやるのか、ある程度の成績が 出たときにオンタイムで日本も反応していって追加的治験という形で次々と承認してい くという形を目指すのかということなんです。アメリカが承認しなくても、もう治験が 始まっているときにそういう成績が発表されたとか、そういうニュースが出たというと きにどのくらいの対応ができるか。4カ国のうちどこかが認めればそれでいいと。しか も、適用疾患が大腸がんじゃなくて頭頸部がんじゃだめだというふうに言うのか、それ を未承認薬と定義するのか知りませんけれども、大腸がんで認められれば、アメリカで は適用疾患はまた別の問題になりますので、この話と違うんですよ。日本の場合はがん 種で全部縛っていきますので、そうするといつまでたっても頭頸部がんは適用が出ない ということが危惧されるので、その辺を未承認薬の新しいものを国民に早く、有効性が 認められるものであれば提供できるような形の対応を考えていくということなんだろう かと僕は思ったものですから、そういったことが可能かどうかを検討していただきたい んです。  川原課長  アービタクスについては直腸がんの関係の治験は日本でも走っているということで、 そうしますと、企業が仮にアメリカでのデータのあれをもとに、日本で自主的に効能追 加の次の治験のプロトコールをつくって追加をやるという可能性はないのでしょうか。  吉田構成員  企業がそれができない、お金がかかって大変だといったときに、医師主導でもいいか らやるようにということを、例えばワーキンググループが提起して、それを我々が判断 してという手順は考えられるかどうかということを聞きたいんです。  黒川座長  この間の抗がん剤併用療法の拡大スキーム、これは生きてるの。  川原課長  それは、いわゆる2課長通知ですとかそういったものは生きております。ただ、それ は基本的にはものとしては承認されていて、適用拡大といった場合でございます。特に 大腸がんの系統はオキサリプラチンのときにも指摘されましたけれども、国内での化学 療法の薬剤がかなり欧米に比べて遅れているということで。  黒川座長  それは大腸がんでやって、この場合は相当患者さんも多いわけでしょ。今やってるわ けですね。吉田先生、いい、それは。  吉田構成員  わかるんですよ。要するに新しい薬がどんどんできていったときに、スピードがもの すごく上がっていて、それはどうして起こるかというと、実は審査の期間とか治験の期 間というのはアメリカも日本もほとんどかわらないんですよ。何が変わっているかとい うと、彼らは治験をやっている最中にどんどん新しいアイデアを募集して、新しいプロ トコールを提供したものに治験をお願いするという形で、適用拡大とかそういったもの に関しても積極的に動いているために、あらゆる成績が一気に出てくるようなショット ガン的に出てくるわけです。私が恐れるのは、日本がこれまでどおりやっていくと、例 えば先ほどの頭頸部がんのように非常に数が少ないがんなどに関しては永久に光が当た らないんじゃないかと。おっしゃりたいことはわかりますよ、規則でいえば大腸がんで 認められた後、適用拡大の治験をやるんだと、こうなるんですけど、それではもう間に 合わない状況になるんじゃないかということを申し上げたかったんです。ですから追加 的治験というのももう少し幅広く取り扱っていくと、1つの治験が走っている間に2 つ、3つのがん種の有効性とか安全性がわかってくるということになるので、大変いい んじゃないかなと僕は思ったものですから質問させていただきました。  黒川座長  向こうではガンガンやるというのはメーカーがやるわけでしょ。どうして日本はでき ないの。  吉田構成員  日本でもできないことはないと思います。日本でもできると僕は思って研究主導でや れと……  黒川座長  どうしてメーカーがやらないのかという意味です。向こうではやるのに。  吉田構成員  恐らく世界的戦略の問題で、日本ではその下にいますので、アメリカで開発して、こ ういう形で売れますよということを世界じゅうに適応疾患を広げていって、それぞれに おろしてるだけですから。  黒川座長  もう1つは、向こうは薬価は自由につけられるわけだから。  吉田構成員  それもあります。オキサリプラチンなんかはむちゃくちゃ高いですから。  黒川座長  そういうのであれば企業はやりますよ。  吉田構成員  そういうインセンティブが働いているとは思いますよ。  黒川座長  お金のインセンティブですか。  吉田構成員  そうですね。そういうことはあるんでしょうけど、日本の場合アメリカとは全く違う 薬価をつける場合もあるわけですから向こうのインセンティブは働かないかもしれない けども、少なくとも日本で薬メーカーのお金のインセンティブではなくて、医者側の治 したいというインセンティブを巧みに使って、そういった治験を展開していくという方 法は僕は悪くないと思ってるんですけど。  川原課長  厳密には未承認薬使用問題検討会議の範囲からは外れるかと思うんですが、私どもの 方で今の問題提起の部分につきましては企業側にも当たってはみたいと思います。  黒川座長  例えばさっき言った抗がん剤の場合は、そういうのが日本であって、適用が大腸がん でされた場合に、頭頸部がんという話はこのスキームには乗るわけでしょ。ただ、それ がどれだけのエビデンスかということはちゃんとワーキンググループの方でやりますよ という話をしているわけだ。という話は生きてるんだよね。  川原課長  はい。ただ、抗がん剤併用療法のスキームの場合は、モノ自体が承認された後でござ いますので。そういうことで、日本の場合は、ある効能の治験がきちんと確認された後 に次のがん種とかそういうふうにやっていくけども、アメリカの場合は同時並行的にだ ーっと走っていくというところでの違いが、最終的に患者さんへの治療の提供という点 で差が出てきてるんじゃないかという御指摘ではないかと思うんですが。  黒川座長  問題は、混合診療の話もそうなんだけど、患者さんが欲しいと言うけど、問題はだれ が払うのという話と、向こうのようにマーケットフォースで値段は勝手につけていいで すよと、保険はだれかというとみんなHMOだから、そこは払いますとか、払わないという のは、保険会社が決めちゃうわけだから。それでもいいのかという話になって、混合診 療をやたらとやると危ないんじゃないかというのが行政の立場で、なるべく前向きにス キームで入れようとして頑張っているわけですよ。それはどうするのかという話になっ てくるんじゃないかな。  吉田構成員  後半はよくわからなかったんですけど、私が申し上げたかったのは、未承認薬だとい うことと、1つの薬でもいっぱい未承認の部分があって、それを1つ片づけないと次の 方にいかないということだと、例えば頭頸部がんの患者さんが希望を出せば早くするの かとか、そういう話になって、いわゆる1対1でずっと語れない状況になってきている ので、未承認薬問題というのはもう少し手広くやらないと、多分追いついていかないん じゃないかなというふうに危惧しているんです。  黒川座長  抗がん剤の承認がされてるんだけど、適用の拡大という話をしているのか……  吉田構成員  適用拡大じゃなくて、承認したときに大腸がんも頭頸部がんも追加的治験が行われて いれば、1つの治験が動いているときに2つ承認できるでしょと。そういうことは考え ませんかということです。  黒川座長  だれがお金を払うのかという制度も違うところがあるから。  阿曽沼局長  基本的には、吉田先生のおっしゃっていることはよくわかるんですが、この検討会で 私ども事務局が考えているものは、基本的には後追いだということなんです。したがっ て、アメリカで承認された直腸がんについて、まずはアメリカに追いつくというのがあ ると。次にはショットガンみたいに同時に適用拡大するというのは理想だと思いますけ れども、日本の制度のスキームというのはまだそこまでいってないものですから、それ を同時にやるかどうかというのは別の形で検討しなきゃいけないと思うんですね。した がって、それはワーキンググループで議論していただいても結構なんですけど、それを やるとなると海外未承認の問題のみならない話に、全体の承認制度自体の話になっちゃ うものですから、そこは一回仕分けをして、慎重に考えた方がいいのではないかと思っ ています。  大澤構成員  実際に私自身のイメージの中で、類型IIに属すると思われるものでここには挙がって いない薬剤がたくさんあります。今挙げていただいているジアゾキサイドに関しまして も、小児科学会では10数年以上前から問題にしていて、何らかの働きかけはしているは ずなんですけど、学会の働きかけの仕方が悪くて、今年の3月に要望が出たようになっ ているんだと思います。実際にこのジアゾキサイドは現在個人輸入をして医者が患者さ んに使っていて、低血糖発作を防いで脳障害を防ぐという事が行われているわけですけ れども、ほかにもそういう類型IIに属すると思われるもので、現在ここには漏れている もの、海外で承認されて日本にはない薬剤は多数あります。それについてもう一度洗い 直しの期間というのを、先ほど4月末というお話がありましたけれども、そこまでにも う一回洗い直しで再度どこかに申請という形をさせていただいてもよろしいのでしょう か。  川原課長  この類型IIは要望があれば、このリストはアップデートしてまいりますので、学会と して要望を出していただければこれにリストアップさせていただきます。その中で追加 的治験とか安全性確認試験みたいな形での切れ目のない対応も要望するのかどうかもあ わせて意思表明していただければ、それを含めてワーキンググループで御検討いただい てこの会議に上げてくるという形になります。  黒川座長  類型IIは過去5年間にと書いてあるから、これからはもうだめなのかという話を聞い てる。  阿曽沼局長  それは結構です。一定の期間は切りたいと思いますけれども、各学会で判断していた だいて、4月中くらいにもう一回出していただければいいんじゃないんですか。  黒川座長  これは文章の書き方じゃないの。  川原課長  類型には過去5年間に学会・患者団体からの要望がありということで、これは過去5 年間ですから、例えばことしの10月になれば、それから過去5年間でございますので。  黒川座長  そういう意味じゃない。  阿曽沼局長  現時点で私どもがつかんでいる過去5年間に要望があったものを書いているわけなの で、今おっしゃったように、ずっと前に要望されたものは入ってないから、例えば4月 中ぐらいに時間を切って、学会からもう一回御意見を聞いたらいいんじゃないですか と。それは我々が躊躇するものではないので。ただ、考え方の原則は、類型Iがこの会 議のミッションで、類型IIというのは直近でも要望があったものにこたえるべきではな いかというので、行政としてもこたえていきたいという意味で書いているということで ございます。  大澤構成員  ただ、類型IIのもの、あるいはさらにさかのぼったものの方が外国での実績データも たくさんあるし、そういう意味ではより安全なのではないかという気がするのですが。  阿曽沼局長  一応1カ月ぐらいの猶予を考えていただいて、もし必要があればその間に出していた だくということじゃないでしょうか。ずっとこれを引きずっていきますと、たまってい る分だけで終わっちゃうということになっちゃいますので、それは無理だと思います。 基本的には、4カ国で承認されているけど日本で未承認なものに対してどうキャッチア ップしていくかというスキームですから。ただ、スタート時点で今あるものについても 整理はしたいということなので、そういう意味では4月中ぐらいにその辺を整理してい ただければいいと思っています。  黒川座長  だから文章の書き方を変えなきゃいけないんじゃない。過去5年間に出していない団 体はどうしてくれるのという話でしょ、今のは。そのモラトリアムを1カ月程度なんて いうのもまずいわけで、何か書き方変えられない? 20年前に承認されているんだけ ど、日本じゃだめだよなんていうことがあるかしら。それがスタンダードになってい て、学会は一度も出したことがないのかということになると5年じゃ困るから、10年前 に出したけど忘れてましたという話なのか、そんな話の例外的なことがあって、小児み たいなことってまた別にあるじゃないの。その小児がまた非常にセンシティブなところ があるのかもしれないし。小児アスピリンだって名前変えたもんね。アスピリン入って ないし。例えばこの間うちで政策出したけど、不妊治療にいくらぐらいかかるか知って ますか。患者さんの負担。まあ40万ぐらいです。イスラエルはどうしてるか知ってます か。63カ所ぐらい不妊治療のクリニックあるんですよ。全部国が持ちますよ。なぜかわ かりますか。子供を1人でも産んでくれることは国の財産だからです。そういうふうに なるかどうかの話だね。そうじゃないと、アラブ人が多いところにいてイスラエル人は どんどん減るぞというのがあるからね。予測からいくと30年先はまだイスラエル人の方 が多いんだという話で、やっぱり政策はしなくちゃいけないわけで、そういうことをす るかどうかという話で出してるんだけど。  じゃあ、今のはIIIのカテゴリーに入ってきているのもあわないか、そうすると。有 用性が高いと考えられる、だれが言うのこれは。  阿曽沼局長  IIIのカテゴリーは、過去2年間で承認されたやつですから、恐らく今大澤先生がお っしゃっているのは、ずっと前に承認されていてということですから、IIのカテゴリー のバリエーションになると思いますけれども、ずっと前に言い続けているんだけど、過 去5年間に要望がないということなので、そこは事務局でもう一回整理しまして、各学 会に御連絡をして1カ月ぐらいの猶予を持ってまた要望をいただくということにしたい と思います。  黒川座長  はい。例外的なことは教えていただくということは大変役に立つということでありま す。基本的には混合診療問題が出てるんだけど、患者さんが欲しくて向こうでは使って るんだけど、日本では使ってないということをなるべく減らしてくださいと言っている ときには、一旦OKだと言った途端に、患者さんがOKだと言えばクオリティはいいのねと いう話があって、例えば流産を誘発する薬がある。日本じゃ承認してないんだけど、だ けどインターネットで買えるわけですよ。それで流産するんだけど、その後すごい出血 しちゃったなんていって、別にお医者さんに相談しないで飲めるわけですから、そうい うことをやっていいのかということは行政として非常にコンサーンはあるんじゃないで す。ということで、なるべくその枠をきちんとやった格好でやりたいと。なるべく保険 の中に入れたいと言っているわけです。そういう話が出たときにお医者さんを通してや れるようにするって、この間何か出しました。そういうのがあればすぐするけど、とい う話はなるべく前向きにしようと言っているわけだけど、そうなると医療費はどうする んですかという話になるわけ。トータルの中で分け合おうとするからいけないので、そ れだったら、国民がそれをしたいと言うのであれば、国費をもっと使ったらどうなのと いうのはだれが言うんですか。高速道路をあと2000kmつくろうっていうんだから。内閣 府の調査では、国民が一番コンサーンなのは医療なんだから。そこに公費が使われない で高速道路に使われるのはなぜかと。政策をつくるプロセスは何かということを十分考 える必要があると思いますよ。今のままの枠組みでふやしていけば医療費はますます大 変になるのはわかっているわけでしょ。聞いてる人もどんどん周りに言ってくれる人が 必要なんじゃないかなと思います。それは選挙でそういう政治家を選ぶかどうかという のは国民だから、デモクラシーというのはそういうものだからしょうがない。お医者さ んもやりたいんだって、それはわかってる。公費をどこに使うかを決めるのはだれかと いえば国民です。それが民主主義の基本だから。情報をあげなくちゃいけない。だれが やるかというと、メディアが書くかとかいう話がだんだん出てくるんじゃないかなと思 うけど。NPOも出てきてるし。  有吉構成員  先ほど費用の問題、こちらで明確にできないことが多々あるとは思いますが、例えば 今日ここにたくさん挙げられた薬剤の中で、いろんな性格のものがあって、ほんとに患 者さんにはこれしかないんだというような、オーファンドラッグとして企業の利潤とか そういうことと無関係に絶対欲しいという薬もあるでしょうし、ここでいえば結腸直腸 がんのような症例がたくさんあって、きちっと治験が進めば、別にここに頼らなくても うまくいけるようなものも入っているわけで、いろいろ雑多になるわけですので、もう ちょっとどこがどういう形で負担するのかということをはっきりさせていただいた方 が、物事を考える上においては非常にいいと思いますので、国に金を出せと言っている とかそういうことじゃなくて、もうちょっと明確にしていただいた方が、多くの関係す る方々がはっきりしてくると思いますので、その辺の情報を少しお願いしたいと思いま す。  黒川座長  もう1つはね、もうからないからやらないというけど、プロフィットがあるところに やるというのは企業のイメージづくりとかブランディングには非常に大事なことです よ。そういうことをやる企業になっていくかどうかということで、できないんだったら マーケットからアウトになってもしょうがないという気もするし、もう1つは、例えば ホンダは1985年からアシモをつくり始めたわけです。ロボットが立つのに10年かかって るんです。ホンダの中でものすごい反対があったわけです。F-1レースなんて猛烈にお 金がかかるけどなぜやるかというと、それがブランドづくり、技術開発になっている。 今やホンダの売上は7割は海外ですよ。そういうふうになるのか、それは会社の戦略の 問題。そういう話もあるから、ソーシャルなコントリビューションをしているかという 話があって、例えばエイズの薬は4000万患者さんがいるんだけど、7割はアフリカです よ。ヨーロッパとアメリカでは少なくともふえていきませんよ、今のところ。エイズの いろんな高い薬をつくってるけど、それをターゲットにどうしていくのかというのが企 業のブランドになってきて、かなり安い値段でつくりましょうかとか、インドの会社で つくりましょうとか、いろんなこと考えてますよ。それは企業全体の社会的責任なんだ ということがグローバルのマーケットフォースは見てるからね。そういう話もある。戦 略の問題じゃないかなと思いますし、その辺でだんだん変わってくればいいのかなと思 います。  それから、抗がん剤のやったときに言われたんだけど、じゃあそれはだれが使うのか ということになりますよ。そうすると、それはがんの専門家しか使わないのは当然かも しれないけど、それはお医者さんの社会的責任ですよ。それを行政に書いてくれなんて 言う方がまたおかしいという気がするけど。自分たちはどういう人をスペシャリストだ と見て、一旦なってしまえばだれでも使いますと言っていいのかどうかというのは、お 医者さんの倫理的な問題じゃないの。それを一々書いてくださいとか承認してください なんて言ってること自体おかしいんじゃないのという話はかなりありましたけどね。そ れが長い間では透明性が高くなればなるほど、その人たちはどれだけ信用されているか という話がだんだん出てくるわけなんじゃないかな。今までは行政がみんな信じてたわ けですよ。だから何か変なことがあると行政の責任どうするんだと。じゃあ自分たちの 責任はどうしたのという話がだんだん出るようになってきたんじゃないですか。という ような世の中で、そうするとだれがお金払うんですかというのは、だれを信用するんで すかという話になってくるなと思っています。そういうプロセスがだんだん出てくれば いいんじゃないかなと思うんですけど。  メディカルオンコロジーとは、だれがスペシャリストなのかと。専門医で登録して何 年かしたらそうだって、ほんとかねと。それはお医者さんが自分の胸に手を当てて考え れば一番いいんじゃないの。うちの病院でやっていいかどうかなんていうことはわかる はずなんだから。それを行政に書いてくださいなんていうのは変な話かもしれないね。 ということだと思います。よろしいでしょうか。  川原課長  それで、もしよろしければ4月中にもう一度会議をと考えておりまして、ここでお決 めいただくことは難しいでしょうか。  黒川座長  いいけど欠席の委員いない?  川原課長  それは確認いたします。幾つか候補をいただければ。  黒川座長  じゃあ紙を配ってさっと……終わってからでもいいですよ。  川原課長  承知しました。じゃあ後日調整させていただきます。ちょっと紙を用意していないそ うですので、申し訳ございません。  黒川座長  じゃあそういうことでいいですね。実際に始めちゃうということが大事だから。じゃ あそういうことで、なるべく各学会にも協力していただくということで、よろしくお願 いします。ありがとうございました。                                     (了) 照会先 厚生労働省医薬食品局審査管理課 TEL 03−5253−1111