05/03/31 第10回最低賃金のあり方に関する研究会議事録          第10回最低賃金制度のあり方に関する研究会議事録                        日時 平成17年3月31日(木)                           10:00〜11:00                        場所 厚生労働省専用第21会議室 ○樋口座長  ただ今から、第10回最低賃金制度のあり方に関する研究会を開催いたします。本日は お忙しい中をお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。本日は奥田先生が 欠席との連絡を受けております。  本日は報告書(案)について検討していただき、その後ご議論いただきたいと思いま す。まず事務局から資料の説明をお願いいたします。 ○前田賃金時間課長  資料1は、これまでの研究会で整理された論点です。資料2は、これまでの議論を踏 まえた報告書(案)です。目次は第9回のときに資料としてお出しして、そういう形で まとめていくということでお決めいただきました。  まず2頁の「序」です。ここでは今回この研究会において、最低賃金制度について検 討を行った経過を簡単に整理しております。3つ目のパラグラフですが、産業別最低賃 金は従来から中央最低賃金審議会の報告でも、制度のあり方を含めて検討を行うべきと されており、「規制改革・民間開放推進3か年計画」においても、制度の見直しについ ての指摘を受けたところです。さらに最低賃金制度を取り巻く状況については、産業構 造の変化や就業形態の多様化の中で、より一層適切に最低賃金制度がセーフティネット として機能することが求められている、という状況の中で、昨年9月以降、検討を行い ました。  次が「総論」です。最低賃金制度の意義・役割については、前回の総論部分に対応す る所で、これまでの議論を整理したものと大体同じです。まず最低賃金法第1条の目的 についていっております。「賃金の低廉な労働者について、事業若しくは職業の種類又 は地域に応じ、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もって、 労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するととも に、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする」となっております。  この第一義的な目的は、低賃金労働者に賃金の最低額を保障し、その労働条件の改善 を図ることです。第二義的な目的は、生活の安定、質的向上、事業の公正な競争の確保 です。それらを基に、究極的に国民経済の健全な発展に寄与しようというものです。こ の第一義的な目的である賃金の最低額を保障し、その労働条件の改善を図ることについ ては、労働経済的にも需要曲線と供給曲線が共に右下がりであるところで、さらに供給 曲線の傾きが需要曲線の傾きより緩やかな場合、賃金の際限のない下落が生じるおそれ があるということで、それを防止するために一定限度の賃金規制を加えるということで す。  3頁の(2)は、ILOの最低賃金制度についての一般的な役割の整理です。これは 前回の総論的な部分と同じです。  4頁の2は「最低賃金制度の変遷」です。今回の案の中で、これまでの最低賃金制度 の歴史的な経過を簡単に整理しております。まず昭和34年に最低賃金法が制定され、当 初は業者間協定を中心に拡大を図っていきました。当初の役割としては、ILOのスタ ールの整理でいった場合、弱い立場にある集団の保護として、非常に劣悪で賃金の低い 産業に設定するという役割と、一般的に賃金構造の底辺を設定するという役割、さらに 業者間協定という性格から、公正な賃金決定、あるいは公正競争の確保という役割を有 していたということで、当初は様々な役割があったのではないかということです。  その後は(2)にありますように、昭和43年に最低賃金法が改正され、業者間協定が 廃止されました。一方、審議会方式の最低賃金の決定要件が緩和され、さらに関係労使 の申出の手続という規定が追加されました。この昭和43年の改正以後、最低賃金をすべ ての労働者に何らかの形で適用させようということで、産業別、職業別、地域別といっ たいろいろな形で最低賃金を設定し、できる限り適用拡大を図っていきました。したが って、この段階では産業別最低賃金も、一般的最低賃金としての役割が最も重視されて いて、何らかの形で最低賃金の適用を図っていこうということでした。  (3)にありますように、その後は地域別最低賃金の設定が進んでいき、昭和51年に 全都道府県に地域別最低賃金が設定されました。その段階で地域別最低賃金がすべての 労働者に適用されるセーフティネットとして、一般的最低賃金としての役割を果たすこ とになりました。  5頁の(4)ですが、一方、昭和50年に労働4団体あるいは野党の働きかけの中で、 全国一律最低賃金制度という問題が提起され、それについての整理が必要ということに なりました。昭和52年の中央最低賃金審議会の答申で、地域別最低賃金と産業別最低賃 金の性格、機能分担などについて、考え方を整理するということと、最低賃金額の改定 について、できるだけ全国的に整合性ある決定が行えるように、中央最低賃金審議会が 目安を作成し、地方最低賃金審議会に提示することになり、それを受けて昭和53年度か ら毎年目安が示されております。  (5)ですが、一方、産業別最低賃金の再編については、特に役割の整理ということ で、昭和56年に中央最低賃金審議会の答申で、それまで産業別最低賃金が大くくりで、 最低賃金の適用を効率的に拡大していくという役割だったのを、関係労使が労働条件の 向上又は事業の公正競争の確保という観点から、地域別最低賃金より高い最低賃金を設 定する必要があるものに限定して設定することになりました。さらに昭和57年の答申で は、産業を小分類あるいは細分類という小くくりにして、関係労使の申出を契機に、労 働協約ケースと公正競争ケースという2つの申出の要件が整理されました。さらに昭和 61年の答申においては、従来の産業別最低賃金の転換等の一定の措置が設けられまし た。これに基づいて新産業別最低賃金への転換が進められて、今日に至っているという ことです。  6頁の3は、意義・役割に照らして、現在の最低賃金制度にはどういう問題があるか ということです。今、最低賃金制度としては、地域別最低賃金と産業別最低賃金、さら に最低賃金法第11条による労働協約の拡張適用による最低賃金という3つがあります。  まず産業別最低賃金については、先ほどの経過の中で、公正な賃金決定あるいは公正 競争の確保という役割を目指して、小くくりの産業で基幹的労働者を対象にするという ことで整理されました。  現状をみますと、現在249件が設定されており、適用労働者は410万人ということで、 地域別最低賃金の適用労働者の約12分の1です。水準は全国加重平均額が758円という ことで、地域別最低賃金より14%高い水準です。申出要件については従来の中央最低賃 金審議会の報告などで、労働協約ケースへの移行が謳われており、徐々にそれが進めら れておりますが、現時点で労働協約ケースは89件ということで、約3分の1ぐらいとな っております。  7頁です。基幹的労働者を対象としますが、基幹的労働者の決め方は、大体の産業別 最低賃金において、まず年齢が18歳未満又は65歳以上の者を除外します。雇入れ後、6 月未満で技能習得中の者、さらに清掃、片付け等の軽易な業務に従事する者を除くとい う形で、ネガティブリストで基幹的労働者を定義しております。これらのことから現状 をみますと、基幹的労働者がネガティブリストで定義されて、実態としては当該産業の 基幹的な業務に従事しているとはいえないような、低賃金層の者を対象にしています。 水準も地域別最低賃金と比べると、14%程度上回っているにとどまっており、比較的高 い賃金水準の労働者の賃金の不当な切下げによる競争の防止という本来の機能は果たし ておらず、役割的に地域別最低賃金と重複している面が多いわけです。また、産業別最 低賃金は、そもそも労使のイニシアティブで設定するものですが、今の国の関与がそれ にかなうものになっているかどうかという観点からの問題もあります。  (2)の「労働協約の拡張適用による最低賃金」については、一定の地域内の同種の 労働者及びその使用者の大部分ということで、おおむね3分の2以上とされておりま す。それに賃金の最低額に関する労働協約が適用されている場合に、一定の手続の下に それをアウトサイダーにも拡張適用するもので、最低賃金法第11条で規定されておりま す。この労働協約の拡張適用による最低賃金についても、役割としては公正な賃金決定 であると考えられますが、現在の実情からしますと、全国で2件設定されているのみ で、適用労働者数も約500人と、我が国の労使関係の実情からみて、実効がなかなか上 がっていません。公正な賃金決定ということで、労働協約をベースにそれを広げていく という意味では、産業別最低賃金の労働協約ケースと役割的に重複しています。  「地域別最低賃金」については、現在全都道府県で5,000万人ということで、すべて の労働者に適用されており、加重平均で665円という水準です。  8頁です。まず地域別最低賃金については、昭和53年から中央最低賃金審議会が目安 を提示し、それを参考として地方最低賃金審議会において金額を改定してきたわけで す。しかし目安が、小規模企業における賃金改定率を重要な指標として行われてきたこ ともあり、一般的な賃金水準と比較した最低賃金の比率とか、低賃金労働者の賃金水準 と比較した最低賃金の比率が、地域的にみて不均衡があるということで、一般的最低賃 金として適切に機能しているかという観点から問題があります。さらに前回の議論で は、影響率等の議論もあったのでそれも加えております。影響率については、引上げ幅 や賃金分布の形状からも影響を受けるわけですが、近年は低下傾向にあるということ と、影響率も未満率も地域的にみて不均衡があるということです。都市部が一般的に低 く、地方の方で高くなっています。  最低賃金と生活保護との関係において、最低生計費という観点から考えますと、最低 賃金の水準が生活保護の水準より低い場合は問題であると。さらに就労に対するインセ ンティブが働かず、モラル・ハザードの観点からも問題があります。ここまでが「意義 ・役割に照らした問題点」です。  4では、最低賃金制度を取り巻く社会経済的な環境変化に伴う問題点が生じていると いうことが書いてあります。1つは産業構造の変化です。特に業種転換、あるいはそれ に至らないまでも、様々な新規事業への進出などが行われて、産業のボーダレス化が進 展している中で、現在の産業別最低賃金が小さなくくりで、しかも地域別に設定されて いるということで、本来対象とすべき労働者層のウエイトが減少したり、本来対象とす べき労働者が対象から外れてしまうといった問題から、公正競争の確保や公正な賃金決 定という観点からしても、存在意義が低下しているのではないかということです。  9頁の(2)です。派遣や請負といった就業形態が増加しているわけですが、今、産 業別最低賃金が、小くくりの産業で設定しているので、同一の産業内で同じような仕事 に従事しているにもかかわらず、就業形態が異なることによって、最低賃金の適用が区 々になるという事態が生じて、従事する職務に応じた公正な賃金の決定が困難になって いる面があります。また派遣労働者自体が増加しているので、地域別最低賃金について も、派遣先の事業場の地域の最低賃金が適用されないということが、労働者数の増加に よってさらに問題が顕在化しています。そういった観点からも見直しが不可欠です。  賃金格差の拡大については、時間当たり賃金の雇用者分布、あるいは年収階級別の雇 用者分布をみても、分散が拡大しています。特に低賃金労働者層のセーフティネットと して、最低賃金制度がその真価を発揮すべき時期にきているということです。さらに賃 金制度については、仕事給の導入や職務に応じた処遇が拡大して、重要な要素になって きている中で、最低賃金の中でそういった要素をどう考慮するかということも課題にな っております。  10頁です。組織率が低下して、団体交渉において賃金が決定されないような労働者が 増加しています。特にパートタイム労働者などは非常に組織率が低く、セーフティネッ トとして最低賃金制度の果たす役割が、ますます重要になっています。  5です。以上のことから、最低賃金制度に求められる役割というのは、まず第一義的 に、すべての労働者を不当に低い賃金から保護する安全網としての「一般的最低賃金」 としての役割です。その役割は先ほどみたような経済社会の変化の中で、さらに重要性 を増しております。一方、公正な賃金決定という役割については、これを最低賃金制度 に担わせるとしても、あくまでも二義的、副次的なものであると考えられます。そうい った観点から、地域別最低賃金については安全網としての役割を一層強化することが課 題であり、産業別最低賃金についてはその役割との関係を含め、抜本的な見直しが課題 となっています。  次は「各論」です。まず「最低賃金の体系のあり方」です。現行の最低賃金法第16条 は、事業、職業又は地域についてということで、産業別、職業別、地域別という3つの 最低賃金の設定の仕方を前提としております。そして必要があると認めるときに決定す ることができるという規定になっております。今、実態としてはすべての都道府県で、 地域別最低賃金が設定されているわけですが、先ほどの最低賃金制度の第一義的目的 が、すべての労働者を不当に低い賃金から保護する安全網としての役割ということです と、法律上も国内の各地域ごとに、すべての労働者に地域別最低賃金を決定しなければ ならないということを、明確にすべきというのが1つです。  11頁です。それとの関係で、一般的最低賃金としては地域別の他に、産業別や職業別 を設定することを前提としないことを明確にすべきだろうということです。(2)が、 産業別最低賃金のあり方です。ここについては前回もかなりご議論をいただきました。 まず先ほどみたような現状の産業別最低賃金についての問題点を踏まえ、公正競争ケー スについては廃止せざるを得ない。労働協約ケースについては、労働協約として賃金の 最低額に関する定めが具体化されておりますので、それを尊重して定めるということで す。労使交渉、労使自治の補完、促進という積極的意義もあるので、最低賃金法の制度 として存続させ、より有効に機能するように見直しを行うべきであるというご意見があ りました。  さらに、労働協約ケースを存続させる場合には、産業構造の変化や就業形態の多様 化、あるいは職務に応じた処遇ということを踏まえるならば、今のような小分類や細分 類といった産業分類ではなく、もう少し大きなくくりである中分類の産業で設定する。 基幹的労働者についても、現在のようなネガティブリストではなく、その産業を代表す るような職務に就く労働者を対象に限定するような形に改めて、職業別の最低賃金を目 指すべきであるというご意見がありました。  一方、これに対して、最低賃金制度の第一義的役割というのは一般的最低賃金であ り、地域別最低賃金があれば十分ではないかと。また、産業別最低賃金の役割とされる 労使自治や団体交渉の補完、促進については、本来自主的に労使が取り組めばよい問題 であって、そこに最低賃金制度として関与する必要があるのかどうか。さらに、特定の 産業についてのみ高い最低賃金を設定する理由が分かりにくいという観点でのご意見が ありました。前回の議論の中で、地域別最低賃金の水準の問題との関連があるというこ とでしたので、地域別最低賃金を一般的最低賃金として適切に機能するように見直しを 図れば、産業別最低賃金は廃止すべきであるというご意見がありました。  産業別最低賃金の賃金決定に及ぼす影響ですが、職種別の最低賃金を設けるという意 見について前回の議論の中では、労働市場の整備といいますか、一定の国の関与の下に そういうものを行う必要はあるとしても、それを最低賃金制度の中でやっていくかどう かという問題はあるというご意見がありました。いずれにしても現行の産業別最低賃金 は、最低賃金制度としては、一般的最低賃金としての地域別最低賃金と比べてその存在 意義が薄く、公正な賃金決定という本来の役割を果たし得なくなっているということ で、その廃止も含め、抜本的な見直しを行う必要があると考えられるというのが結論で す。  12頁の(3)です。1つは最低賃金法第11条の労働協約の拡張適用の最低賃金です。 これは公正な賃金決定の役割を担っているということですが、なかなか実効が上がらな いという問題があり、廃止しても差し支えないのではないかというご意見がありまし た。また、労働協約を基本とするような産業別最低賃金を、仮に最低賃金制度の中で活 かすとしても、その決定については労働組合法の体系と同じである必要はなく、むしろ 審議会でやっていく方が、労使交渉や労使自治の補完、促進という趣旨には沿うのでは ないかというご意見がありました。さらに労働協約を基本とする方式については、労使 イニシアティブに基づいて公正な賃金決定のための制度として機能させるとしても、罰 則をもってその履行を担保する必要はないと考えられると。  2は「安全網としての最低賃金のあり方」です。決定基準については最低賃金法第3 条に、「労働者の生計費、類似の労働者の賃金、通常の事業の賃金支払能力」という3 つが規定されております。これまでの目安制度の中では、類似の労働者の賃金の引上げ 率が重視されてきたわけですが、安全網としての機能を適切に果たすように、様々な要 素を今まで以上に勘案すべきというご意見でした。  13頁です。「類似の労働者の賃金」については、これまで賃金改定状況調査で小規模 企業の賃金改定率を重視してきましたが、安全網としての機能を重視し、さらに賃金格 差の是正といったことも考慮するならば、一般労働者の賃金水準も重視するということ が考えられるというご意見がありました。  「支払能力」の決定基準については、通常の事業の賃金支払能力という規定になって おりますので、個々の企業の支払能力のことではありません。雇用に影響を与えないと か、生産性を考慮するといったマクロ的な意味です。「支払能力」という表現が、個々 の企業の支払能力という誤解を招く面もあるので、生産性の水準や雇用の確保といった 趣旨が含まれることを明確化することが必要であるというご意見がありました。  (2)は水準の問題です。地域別最低賃金の水準については、安全網として適切な機 能を果たすにふさわしい水準にすることが必要であると考えられる。これまでの目安制 度では類似の労働者の賃金引上げ率を重視して、全国的に整合性を図りつつ、引上げが 行われてきたわけですが、そもそもの絶対的水準についての議論がされてこなかったの ではないかと。したがって安全網本来の役割を考えるならば、適切に機能するようにす るために、絶対的水準についても議論をすべきではないかというご意見があったという ことです。  14頁です。一方、賃金というのは一般的に団体交渉で引上げの交渉を行うので、最低 賃金も賃金の引上げ状況を踏まえながら、団体交渉を補完するものとして、労使を含む 審議会の審議を経て決定されるもので、従来の引上げという手法の枠内でも、一定の改 善は可能ではないかという意見もありました。いずれにしても絶対水準を具体的にどう 定めるかというのは、なかなか困難な面があるわけです。先ほどの問題点の中で、地域 的にみて一般的賃金水準とか、低賃金労働者の賃金水準との関係等に不均衡があるの で、地域的な整合性、あるいは経年的にある程度安定的に推移するようにするという見 直しが必要であるというのが1点です。  最低賃金と生活保護の関係ですが、賃金は労使で決定されるということで、労働市場 における賃金水準からの不当な切下げを防止するというのが、最低賃金であるというこ とから考えますと、最低賃金の水準そのものが、一方で、政策的に定められる生活保護 の水準に直接的にリンクして決定されることは必ずしも適当ではない。しかし最低生計 費あるいはモラル・ハザードの観点、さらに生活保護制度についても自立支援がより重 視される方向であるところからみると、単身者について、少なくとも実質的にみて生活 保護の水準を下回らないようにすることが必要であるということです。その比較に当た っては、設定単位を都道府県単位と市町村単位とか、あるいは住宅扶助をどうみるか、 税金の関係をどうみるかといった、さらに技術的な検討が必要であるという意見があり ました。  なお、生活保護と最低賃金制度の関係ですが、生活保護受給から就労への移行がなか なかスムーズに行われないという面もあります。安全網としての観点から、それぞれの 制度についてお互いに目配りを行いながら、生活保護については向こうの制度の問題で すが、より「自立しやすい制度へ」という方向での検討が必要であるというご意見があ りました。  (3)は減額措置及び適用除外です。諸外国においては生産性や雇用への影響を踏ま え、若年者等について一定の減額措置を採っている国が少なくありません。その場合、 地域別最低賃金について、現行の水準のままで減額というのは適当でないということで すが、その水準の見直しを行いつつ、一定の年齢区分の者等を対象に、減額措置を採用 するということが考えられるというご意見がありました。ただ、その対象者等について は、さらに検討する必要があるということです。  15頁の(4)の履行確保のところですが、最低賃金法違反の罰則というのが、法制定 以来1万円となっています。しかし全体的にすべての罰金が、罰金等臨時措置法で最低 2万円になっているということで、現在2万円です。特に地域別最低賃金については、 安全網としての実効性確保という観点から考えますと、他の罰則等の均衡等の問題もあ り、最低賃金法第5条違反、地域別最低賃金に係る罰則については引き上げるべきであ る。  「その他」ですが、1つは最低賃金の設定単位についてです。現在、地域別も産業別 も、大部分が都道府県単位で設定されておりますが、労働市場というのは必ずしも都道 府県の境界どおりではない。また近隣とほとんど差がない地域もあるということで、地 域別最低賃金の設定単位について、より労働市場の実情等を反映した単位で設定する方 向で検討する必要があるというご意見がありました。  派遣労働者については派遣法制定のときから、派遣元の事業場に適用される最低賃金 を適用してきたわけですが、その後派遣の制度が改正されて、適用対象業務が自由化さ れたり、物の製造への派遣も解禁されたりという中で、まず産業別最低賃金については 派遣先が製造業であっても、派遣元である派遣業というのは、産業分類上サービス業で あるということで、派遣労働者に派遣先の産業別最低賃金が適用されないという問題が ある。さらに地域別最低賃金についても、派遣先の事業場がある地域と派遣元の事業場 がある地域が異なる場合に、派遣労働者が派遣先の他の労働者と同じ場所で働いている にもかかわらず、派遣先の事業場の地域の最低賃金が適用されないという問題がある。  派遣労働者が現に業務に従事しているのは派遣先であるので、賃金の決定については どこでどういう仕事をしているかを重視すべきであるということから考えますと、最低 賃金の適用については派遣先の地域別を、そして産業別最低賃金を存続するならば産業 別最低賃金もということで、派遣先の地域別最低賃金、あるいは産業別の最低賃金を適 用するということです。いずれにしても賃金を支払うのは派遣元ですので、責任は派遣 元にかかるわけですが、どの最低賃金を適用するかについては、派遣先を基準に考える ということです。  最後は前回の議論です。最低賃金の表示単位期間については現在、運用上時間額表示 が進んでいます。法律上は時間、日、週又は月というのがあって、日で設定する場合は 所定労働時間の特に短い者については、適用除外という形になっておりますが、特にパ ートタイム労働者なども増えている中で、最低賃金の適用上の公平の観点、就業形態の 多様化への観点、あるいは分かりやすさという観点からは、法律上も表示単位期間を時 間額に一本化するのが適当であるということです。資料2は以上です。  資料3は、これまでこの研究会で出した最低賃金制度の現状等に関する資料を、再度 取りまとめたものですが、説明は省略いたします。 ○樋口座長  ありがとうございました。皆様からいただいた意見に基づき、事務局と相談して、こ のようにまとめさせていただきました。何かありましたらご意見をいただければと思い ます。いかがでしょうか。 ○渡辺先生  前回の取りまとめのときに欠席した関係かもしれませんが、11頁の「産業を代表する ような職務」という概念の意味についてです。協約ケースを存続させる場合は、その者 に限定するように改めるべきであるというのがありますね。12頁の上から2行目に、産 業別最低賃金を廃止する場合であっても、賃金決定に及ぼしている影響力を考慮して、 産業を代表する職種という概念で公正な賃金決定制度をつくるとあります。この「産業 を代表するような職務」と、「産業を代表する職種」というのは、何か議論が行われた のでしょうか。 ○樋口座長  では今の所について、主張者の石田先生からご説明をお願いします。 ○石田先生  むしろ今野先生の方が強調された点だったと思いますが。私がザッと読んだときは、 いわゆる基幹的労働者というのを、ただこういうようにパラフレーズしたということ で、文章上特別な意味はないのではないかと思ったのです。前回の議論は、産業別最低 賃金のあり方については、中核的労働者についての賃金決定のあり様についても産業別 最低賃金の意義があるとしたら、それにはどういうことがあり得るのかという議論をし たので、そういうニュアンスも若干あるのかなという感じもしますが、この文章の限り では、基幹的労働者をパラフレーズしたのではないかと思います。 ○樋口座長  前回の議論では、これを最低賃金の役割とすべきかどうかという議論もあったのです が、日本でも職種別の労働市場を考えていく必要性があるのではないかという議論があ りました。その例として出されたのが、IT産業のプログラミングの仕事などで、かな り職種横断的な、企業横断的な市場が形成されていきますので、最低賃金の方もこうい ったものに少し対応する必要があるのではないかというご説明があったかと思います。 それを少しパラフレーズして、こういった文章になっていると思いますが、事務局から 何かありますか。 ○前田賃金時間課長  新産業別最低賃金について、もともと昭和56年の答申で、基幹的労働者については、 一般的に当該産業に特有の、または主要な業務に従事する労働者というようにいわれて おりますので、その意味合いをこういう形で表現したということです。 ○渡辺先生  もう最終のものですから結構ですが、パートタイム労働者というのは、もう決して間 に合わせの労働力ではなくて、いわば定着した1つの働き方の選択として、製造業も含 めて広く行われているわけです。ある産業部分でパートタイム労働者を使う、パートタ イム労働者がたくさんいる所もたくさんあります。この人たちを、パートタイム労働者 だからといって産業を代表する職務に従事しているのではないというように考えるの は、おかしいのではないかという感じが非常にしたのです。現在は18歳未満とか、障害 者とか、あるいは清掃や簡易な業務というネガティブリストにしていますが、パートタ イム労働者だから外すというのは今までもありません。ですからこの「産業を代表する ような職務」という概念を問われたときに、今1,000万人を超えてきているパートタイ ム労働者という雇用形態から、代表性の有無を論議するような方向に議論が行ってしま うことを、私は非常に恐れているのです。これはこのままで結構ですが、それは心して おくべきことではないかと思います。 ○樋口座長  前回はパートタイム労働者という具体例が出ていたのですが、そこは私もちょっと疑 義があります。例えば昨年のパート労働法の指針改正で、均衡処遇というのが明記され ていますから、同じ職務であれば時間に関係なしということをやはり念頭に置いて、 「パートタイマー」という言葉は外すことになったと思います。 ○前田賃金時間課長  7頁の現在の産業別最低賃金の実態としての問題の所ですが、基幹的労働者はネガテ ィブリストなので、前回までは基幹的な業務に従事しているとはいえないようなパート タイム労働者まで対象にしているというような表現だったのですが、そこはいろいろご 指摘をいただいたので、パートタイム労働者だからということで、それを除外するとい う意味ではないということで修正を。 ○渡辺先生  よく分かりました。 ○今野先生  就業形態の多様化の中で、「パートタイム労働者」という言葉がずっと出てきます が、本当は難しいですよね。パートタイム労働者ではない人もいますよね。代表選手だ からいいのかないう気もしますが。 ○渡辺先生  非典型雇用。 ○今野先生  「非典型雇用」といってしまうと、派遣などはまた別で議論をしているので、なかな か難しいのです。特に最近、小売りなどは契約社員がすごく増えていますから、パート タイム労働者の定義の問題なのです。大丈夫でしたら私の方はいいのですが。 ○樋口座長  具体的にこの中で出てくる就業形態の多様化というのは、パートタイム労働者と派遣 と、部分的に請負というのが出ているわけです。あと期間の定めについては、特段出て いない。 ○今野先生  ここでいうパートタイム労働者は、「パートタイム労働者」とはいっているけれど、 我々が念頭に置いているのは、本当はいわゆる非正社員ですよね。 ○渡辺先生  有期については労働基準法が改正されたばかりで、今までの1年以内の短期というの を、3年、5年にしたわけです。ですから有期雇用者が短期から中期にシフトする可能 性も出てきたわけで、これもまた仕事中心に考えるべきであって、代表職務からア・プ リオリに外すようなことは、やはり考えるべきではないと思います。 ○今野先生  渡辺さんがおっしゃったことは、文章では、「代表するような職務に就く労働者」と いうことで、「代表する労働者」とは書いていないので、あまり心配はないのではない かと私は思うのです。 ○渡辺先生  それはいいのですね。 ○樋口座長  そのために「職務」という言葉をかなり強調して入れたのです。就業形態の多様化と の対応であるべき姿というのは、15頁から16頁にかけて、派遣については明言している のですが、請負については、ここでは特段明記していないのです。請負について現行制 度ではどういう取扱いになっているのか、ご説明いただけますか。 ○前田賃金時間課長  最低賃金法第2条で、使用者とは労働基準法第10条に規定する使用者と規定していま すので、基本的に労働基準法の使用者が誰かということです。派遣の場合、雇用契約は 派遣元にありますが、労働基準法の責任について一部安全衛生などは、派遣先が使用者 になっていますから、そこが適用事業なので、派遣先が責任を負い、賃金については派 遣元が責任を負うことになるわけです。  請負の場合は雇用をしているのも請負会社ですし、指揮命令をするのも請負会社です ので、基本的に使用者は請負会社しかいません。その場合に、労働基準法の適用事業の 単位の問題になります。一般的にそこで場所的にある程度の指揮命令をしていれば、そ こが適用事業とみますので、ある工場のラインを請け負っていれば、そこは請負会社の 人が管理しているということになります。ですから場所的に独立していれば、そこが適 用事業になりますので、まさに請負で働いている地域や産業によって適用されるという ことで、解釈上整理できるのではないかと。  派遣の場合、少なくとも賃金については派遣元が適用事業ということでやっています ので、責任は派遣元のままでも、派遣先の地域別あるいは産業別の最低賃金を適用する という一定の整理が必要なので、派遣については現行法と違った整理ということで、改 めて整理をするということです。請負は今の解釈の中で対応できると思います。 ○樋口座長  他にありますか。 ○古郡先生  この報告書(案)に特に異議はないのですが、もう少しコンセンサスが得られたもの もあったのではないかという感想です。例えば12頁の労働協約拡張方式については、 「意見があった」ではなくて、大体皆さん同じような考え方でなかったかと思いますか ら、「廃止して差し支えないのではないかと考えられる」でもよろしいのではないでし ょうか。 ○樋口座長  「との意見があった」ではなくて、「ないかと考えられる」というように、表現をも っと強くしろということですね。皆さん、どうですか。 ○石田先生  意見というか、修正というのではなくて、自分が一市民として読んだときに分からな いのは、これは私の年来からの主張ですが、この報告書全体にとって水準論に対するス タンスが非常に重要で、それとの関係で産業別最低賃金のあり方も規定されてくるとい う文脈だと思うのです。  水準論について、この研究会はいかなる言及をしているのかとみたときにやや分かり にくいのは、例えば12頁のいちばん下の辺りに、「様々な要素を総合的に勘案する」と いうのがあります。文章としてはこれでいいと思います。あるいは水準論のところで、 13頁のいちばん下の行に、「賃金分布や雇用への影響など様々な考慮要素をこれまで以 上に勘案して改定審議を行うべき」というようになっています。やや違和感を感じるの は、14頁のいちばん最初のパラグラフです。「これに対して、従来の目安制度の枠内で も、一定の改善が可能ではないかという意見もあった」という所です。これは私自身の 個人的な意見ですが、従来の目安の手法の延長では、それは不可能だと思っておりま す。もちろんもっと突っ込んで、従来の目安の中でもそういう水準論、様々な考慮を要 するテクニックはあるということになれば話は別ですが、普通の理解では従来の目安の 仕組みの延長上に、どうして改善があり得るのだろうかと思うので、その点がちょっと 気になっている点です。  14頁から15頁の減額措置も、基本的に水準の見直しがあったことを前提に、ある種の 減額措置があり得ると。では水準の見直しというのは、この研究会ではどういう道筋を 提案しているのかといったときに、いろいろな要素をやれという意見もあるし、従来の 延長でもいいのではないかという意見もあって、実は議論は煮詰まっていないのです。 事実、煮詰まっていないのだったらしようがないのですが、私の個人的意見としては、 非常にわかりにくい報告書です。 ○樋口座長  今の点ですね。 ○石田先生  ここをあまり議論すると大変なので、研究会のステージとしては、こんなところかな ということでも、もちろん構いません。 ○樋口座長  14頁の従来の目安制度による引上げという手法について、今までと違うのは、第4表 まで含めての話ではないと思うのです。目安制度という制度で何を基準にするかという のは、変更があり得るという表現をさせてもらっていたのです。 ○石田先生  そういう幅を持たせてね。そういうように、かなり広くここを解釈すれば。 ○今野先生  石田さん、これといういい方法はないですか。 ○石田先生  私はこれだけの議論で大ごとだと思っているのです。今までも目安制度の改善をされ てきたわけですよね。つまり第4表をやるときに男女比率をどうみるか、パート比率を どうみるか、それを統計上どうやって消すか、あるいは時短の影響をどうみるかという ことをやっているのです。しかし、そういう第4表ありきの中での議論ではなくて、大 竹さんがおっしゃるように、もっと別の表で分布をみるような見方を必ず入れるとか、 今回研究会でいわれている一般労働者の賃金水準の格差という問題についても、ちゃん とした表が立つということであれば、今までの目安制度の審議はガラッと変わると思う のです。 ○樋口座長  あるいは中小企業だけではなくというところも、表現の中に取ってきて。 ○石田先生  または、単身者の生活保護の地域別の水準はどうかというのも入るという意味での目 安の審議の改善というのであれば、私はもうそれは目安の改善というより、制度の改定 だと思いますね。 ○樋口座長  そうですね。目安というよりも、対前年何パーセントという議論ですね。それをここ では「目安」という言葉で表現している。 ○石田先生  そこは座長がおっしゃるように、幅広く理解するということであれば、私は特に異議 はありません。 ○今野先生  目安制度の話と、今おっしゃった一般賃金との関係や生活保護との関係というのは、 別の所に書いてあるけれど、この報告書の流れからすると、後者の方が重要だ、重要だ とここでいうということは、前者の方で考えろといっているということですね。 ○石田先生  そうそう、この議論は最後は煮詰まらなくなっているのではないかと。つまり目安で 考えろと。 ○今野先生  いやいや、目安制度でやってもやらなくてもいいのです。もし結果的に目安制度が今 後もずっと残っていくとすると、そのときはこちらの要素を考えなさいといっているの ですね。 ○石田先生  そうですね。 ○大竹先生  それでは、その点をもう少し強く書けないですか。枠内で行う場合には大幅な仕組み の改善が不可欠であると。 ○石田先生  そこまでいけば私の気持は相当。 ○大竹先生  そういう形でないと。これだと従来の目安制度の中でも、そんなに変えなくてもいい というように取られかねないです。 ○樋口座長  この前の文章に、団体交渉の話があります。ここは最低賃金も賃金の引上げ状況等を 踏まえながらということで、賃金の引上げを「目安」といい換えているだけだと思うの です。何を基準に決めるかというのは、いろいろ議論があるでしょうと。ただ前の方で は水準を議論しろといっているわけですが、水準の議論と同時に引上げの議論でも対応 することは可能だろうといっているだけなのです。 ○石田先生  ところがね、難しいんですよ。目安制度は長い間、水準の議論をやってきたわけで す。しかし、いろいろな影響率や地域格差が克服できないのです。 ○樋口座長  そうすると、どういうように案を出した方が分かりやすいのでしょうか。 ○石田先生  今の大竹さんのような表現ですね。 ○樋口座長  もう一度言ってもらえますか。 ○石田先生  この1行ぐらいの表現だと思いますが。 ○前田賃金時間課長  前の方は絶対額を議論すべきという意見で、もう一方は引上げ率というか、賃金は団 交で引上げをやっているので。目安はどうかということですが、結局引上げという手法 でも、一定の対応は可能だということをいっているにすぎない所なのです。そういう2 つの意見を書いている所なのです。 ○樋口座長  では、これを取ってしまったらどうですか。「従来の目安制度による引上げ」と書か ないで、「従来の目安制度による」というのを取ってしまって、「引上げという手法の 枠内でも」とすれば誤解がない。 ○石田先生  それがいいですね。この「目安制度」というのが非常に引っかかって、従来のやり方 が強調されてしまうのです。 ○今野先生  しかし意見をいった人がそれでいいのか。 ○樋口座長  意見は石田先生からですよ。 ○石田先生  いや、渡辺先生の意見だと。 ○渡辺先生  私はそれでもいいのですが、労使を含む審議会の審議、つまり団体交渉の中で決定さ れるものであって、それを補完する形で目安制度というものがあるのです。目安制度と いうのは中央最低賃金審議会、地方最低賃金審議会で行われる、その審議会の中に労使 の利益を代表する人がいて審議をしているということが、団交の補完という意味である から、そういうシステムの中で引上げを検討するのがいいのではないかという意味で す。誤解があるとすれば、今、座長がおっしゃった形にしても、私はむしろ「労使を含 む」にストレスを置いていったわけですが、どうぞ直してください。 ○樋口座長  では、そのようにさせていただきます。他にはいかがでしょうか。どうもありがとう ございました。もし、その他にご意見がありませんでしたら、この報告書(案)につい ては、2カ所ほど修正を加えた上で提出したいと思います。報告書が修正された上での セットという形で、細かい文言については私にご一任いただければと思いますが、よろ しいでしょうか。                  (異議なし) ○樋口座長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。ご指摘いただいた点 を修正した上で、報告書をセットし、記者発表及びその際の資料についても、私にご一 任いただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。                  (異議なし) ○樋口座長  ありがとうございます。では、そのようにさせていただきます。それでは審議官から ご挨拶をお願いします。 ○橋審議官  本来、局長がご挨拶申し上げるべきところですが、冒頭にもありましたとおり、国会 の方の対応ということで、代わって私からご挨拶申し上げます。  当研究会は昨年9月から本日までの10回にわたり、皆様方に大変精力的にご議論いた だいた結果として、今、座長からおまとめいただいたとおり、報告書という形で取りま とめさせていただいたところです。まずもってこれまでの皆様方のご検討に対しまし て、改めて感謝を申し上げる次第です。  今回のこの報告書においても、我が国の最低賃金制度に求められる役割を、改めて今 日的な意義という立場からおまとめ、ご整理いただいたと同時に、産業別最低賃金を含 む最低賃金の体系のあり方、また地域別最低賃金の水準等を中心といたします安全網 (セーフティネット)としての最低賃金のあり方など、大変難しい論点について、一定 の方向性を取りまとめていただいたわけです。私ども、今後この報告書の内容につきま して、是非とも具体的な施策として実現できますよう、今後も鋭意努力をさせていただ きたいと考えております。  皆様方のこれまでの大変長い間のご協力に、改めて感謝とお礼を申し上げると共に、 今後とも最低賃金制度をはじめといたしまして、労働基準行政の運営の一層のご理解、 ご支援を賜りますことをお願い申し上げて、甚だ簡単ではございますが、最後に当たっ てのご挨拶に代えさせていただきたいと思います。本当にありがとうございました。 ○樋口座長  以上をもちまして、最低賃金制度のあり方に関する研究会を終了したいと思います。 お忙しい中、貴重なご意見をどうもありがとうございました。お疲れ様でした。 (照会先) 厚生労働省労働基準局賃金時間課政策係・最低賃金係(内線5529・5530)