05/03/30 中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会平成17年3月30日議事録 05/3/30 中央社会保険医療協議会         第57回診療報酬基本問題小委員会議事録 (1)日時  平成17年3月30日(水)9:59〜10:40 (2)場所  霞が関東京會舘「ゴールドスタールーム」 (3)出席者 星野進保会長 土田武史委員 対馬忠明委員 小島茂委員(代 花井)       宗岡広太郎委員(代 松井) 松浦稔明委員       櫻井秀也委員 松原謙二委員 黒ア紀正委員 漆畑稔委員       岡谷恵子専門委員       <事務局>       水田保険局長 麦谷医療課長 二川医政局経済課長 他 (4)議題  ○在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加について (5)議事内容 ○星野小委員長  おはようございます。  ただいまより、第57回中央社会保険医療協議会診療報酬基本問題小委員会を開催い たします。  まず、委員の出欠状況について報告します。  本日は、村田委員が御欠席であり、宗岡委員の代理として松井さんが、小島委員の代 理として花井さんがお見えです。  なお、本日、中島審議官は、公務のため欠席させていただく旨の連絡を受けておりま す。  それでは、議事に入らさせていただきます。  「在宅自己注射指導管理料の対象薬剤の追加」について、議題としたいと思います。 2月16日の小委員会における議論を踏まえ、事務局より資料が提出されておりますの で、説明を願います。 ○事務局(中村企画官)  中医協の資料、診−1−1をごらんいただきたいと思います。「在宅自己注射指導管 理料の対象薬剤の追加」について御説明をいたします。この件につきましては、2月1 6日の基本小委において、事務局より、医療技術評価分科会において、保険適用に係る 問題として早急に検討してはどうかという御提案をさせていただいたところでございま す。その際、在宅自己注射の安全性に係る問題点、また、医師法違反の懸念については 基本小委で検討してはどうかという御指摘をいただき、本日資料を用意させていただい たところでございます。  まず、在宅自己注射の現状について御説明をいたします。  在宅医療につきましては、平成15年3月の閣議決定により、「医師の指導管理の 下、患者の特性などに応じて、在宅医療推進していくこと」となっております。在宅自 己注射の対象薬剤及び対象疾患につきましては、在宅自己注射指導管理料の算定要件に おいて定められております。これらは、長期にわたり頻回の注射が必要なものでありま すが、学会等からの要望を受け、患者の利便性の向上という利点と、病状の急変や副作 用への対応の遅れという問題点等を個々の薬剤ごとに総合的に勘案して認められてきて いるものでございます。  現在の対象薬剤は、欠乏している生体物質の補充療法や、生体物質の追加による抗ホ ルモン作用・免疫機能の賦活化を目的としており、注射で投与しなければならないもの でございます。頻回の投与または発作時に緊急の投与が必要なもので、通院での継続投 与は困難と考えられるものが認められております。  2ページ目をお願いいたします。現在対象となっている薬剤について、記載のとおり でございます。  3ページ目をお願いいたします。対象薬剤の追加でございます。2月16日に御説明 したインターフェロンアルファ製剤及びエタネルセプト製剤についても、これまでの対 象薬剤と同様の特徴を有していると考えられることから、対象薬剤として追加をしては どうかというものでございます。いずれも生物製剤で、インターフェロン製剤は、抗ウ イルス作用、免疫賦活作用等により、肝癌の発症を抑制し、エタネルセプト製剤は、可 溶性TNFα、いわゆる腫瘍壊死因子の拮抗作用により、関節炎の進行を抑制するもの でございます。また、この2剤につきましては、専門家の意見も踏まえ、少なくとも2 週間に1回は外来を受診することを算定要件としてはどうかと考えております。  4ページ目をお願いいたします。前回の御議論におきまして、安全性の問題点を御指 摘いただきましたが、在宅自己注射についての医師の適切な指導管理を徹底させるた め、周知すべき項目を整理いたしました。1つ目は、その実施に当たっては、日常対象 疾患の患者を診療し、十分な経験を持つ医師が指導管理を行うこと。2つ目は、その導 入前に1月以上の教育期間をとり、十分な指導をすること。3つ目は、仮に、かかりつ けでない医師が指導する場合には、かかりつけ医と連携を適切にとることというもので ございます。具体的に、通常の算定要件に係る通知とは別建てで、在宅自己注射の実施 に係る留意事項として課長通知としてお示しできればと思っております。  次に、中医協資料、診−1−2をごらんいただきたいと思います。「医事法制におけ る自己注射に係る取扱い」について御説明をいたします。  まず、医行為につきましては、医師法17条に、「医師でなければ、医業をなしては ならない。」と規定されております。したがいまして、看護師などの有資格者が一定の 範囲で行う場合を除き、これを原則として認めておりません。この一定の範囲につきま しては、保健師助産師看護師法の31条、37条に規定があるところでございます。  おめくりいただきまして、3ページ目をごらんいただきたいと思います。自己注射に 係る取扱いについて、患者自身が行う場合につきまして、形式的には、医師法第17条 違反の構成要件に該当しますが、公衆衛生上の危害の防止を目的とする医師法の趣旨に 照らして、違法性が阻却されると考えます。また、家族が行う場合も、医師法違反の構 成要件に該当しますが、(1)目的が正当であること、(2)手段が相当であること、(3)法 益侵害よりも得られる利益が大きいこと、(4)法益侵害の相対的軽微性、(5)必要性・緊 急性、これらが満たされていれば、違法性が阻却されると考えます。したがいまして、 医師の適切な指導管理の下に患者や家族が在宅自己注射を行うことは、医師法には違反 しないものと解されております。  以上、安全性の問題についての対応と、医師法違反の懸念について御説明をさせてい ただきました。  2月16日は、医療技術評価分科会で早急に検討してはどうかと提案をさせていただ きましたが、基本小委でおまとめいただけるかどうかもあわせて、本日、御検討いただ ければと思います。  以上でございます。 ○星野小委員長  どうもありがとうございました。  ただいまの説明につきまして何か御質問、御意見等がありましたら、どうぞ。 ○櫻井委員  前回だか前々回だったか忘れましたけれども、このことの提案があって、すでに意見 を申し上げたと思うのです。それはこの2つの注射というよりも自己注射全般について 意見を言ったつもりなのです。資料にも書いてあるように、注射というのは医行為とし て医師または看護師等が行うのが原則であって、例を挙げれば、入院している患者さん に、自己注射でやってくださいということは考えられないことだと思います。というこ とは、本来注射という行為が、患者さんがやった方がいいのだと、それがベストだとい うことではなくて、在宅の患者さんで、いろいろな事情があって医師または看護師等が できないときに、次善の策というか、やむを得ず自己注射を選ぶのであるということが やはり基本で、それがまず前提になければいけない。  したがって、本当に患者さんのため、利便性という言い方が、ちょっと私は利便だけ ではないと思っているのですが、本当に患者さんのためを思えば、何とかして医師また は看護師がやる注射をするような手段を講じるということがまず第一になければいけな い。と思います。在宅であっても医師または看護師が注射できるような手段を、遠くの 病院へ通うのが無理なら近くの医師に依頼をするとか、どうしても動けなければ、それ こそ医師なり看護師が訪問する訪問診療なり訪問看護の中でやるべきだということが原 則だということ、それを忘れてはいけないのではないかということが第1点です。  それから、薬が薬事法上で認められるときに、このリウマチの薬は自己注射可能なこ とが添付文書に入ったのは、これは初めてという気もするのですが、大変すばらしい評 価だと思います。新薬を申請するときに、治験の段階できちっと自己注射であっても危 険性がないということが調べられたということは、これはいいことだと思うのです。  それからもう1点は、ここにも書いてありますけれども、さっき言いました本来的で ない自己注射、場合によっては、自己注射と言いながら、実は家族がやっている事実が あるのではないかということも指摘させてもらったのですが、そのことの違法性の阻却 についてもきちっとした資料というかが出されました。薬事法上の問題、保険への適用 の問題、医師法に対する違法性の阻却の問題、それらが一応今日の資料の説明で納得が いくように思いますので、導入に賛成してもいいと、そういうふうに考えます。  以上です。 ○星野小委員長  ありがとうございました。  1号側は何かございますか。 ○対馬委員  今2号側の方からお話がありましたので、私どもとしても基本的にはこれでいいのか なというふうに思います。特に在宅医療の推進というのは、やはりここ何年も、私ども と2号側を含めて推進してきたことでありますし、そこが医療的・技術的にも、危険性 の問題とか、いろいろな問題が担保されるということであれば、今回対象を増やすとい うことでよろしいのかなというふうに思います。  また、ちょっとここは事務局に確認なのですけれども、前回の資料の説明の中では、 いろいろ技術的に確認すべきこともあるので、分科会の方に投げて、そこで議論しても らってはどうかと、こういうことでしたけれども、確かに前回の議論では、そういった 分科会というよりは、むしろこの場で議論してはどうかといったこともあったのですけ れども、特に技術的にこの問題については分科会でもって議論した方がいいということ は必ずしもないという今現在での判断というふうに承ってよろしいのかどうかというこ とです。 ○事務局(麦谷医療課長)  前回の議論を受けまして、製薬各社、例えばエタネルセプト製剤をつくっている会社 も呼びまして、添付文書それから実際の注射手技、それから薬剤の管理方法等、私ども で、実はヒアリングを行いました。それから一方、この件につきましては、両製剤につ いて実際に実施される専門家の先生方にもお聞きしまして、私どもで技術的な、本来技 術評価分科会でかけようと思っていたことをすべて事務局で処理しましたので、私ども は改めてかける必要はないという理解をしております。 ○松原委員  私ども、国民、つまり患者さんにこの注射をしたときに大きな問題が起こらないこと をまず第一に考えております。前回私が申し上げましたポイントなのですが、今まで注 射しているものにつきましては、ホルモンの補充を中心としたものでございまして、純 粋な形のホルモン剤でございます。本来体の中にあるものでございますので、アレルギ ー反応を起こして、アナフィラキシーショックを起こすことは、死に至ることは非常に 少ないということで現在使っているわけでございます。こういった薬剤については、ア ナフィラキシーショックがあり得ることではないかと思いますが、いろいろと検討を事 務局の方でされた結果、安全に使えるのではないかという大前提に基づいて、これを自 宅注射もやむを得ない。ただ、副作用の出現率は今からきちっと見ていかねばならない ものでございますので、ぜひ病診連携、また在宅医療を重視して、かかりつけ医が見て いく形で国民の安全を守っていきたいと思っております。  さらに、感染性廃棄物の問題でございますが、やはり国民が安心して暮らせるために は、厚生労働省の内部で御検討いただいて、決してこれが問題を起こすことのないよう に御配慮をいただきたいと思いますので、何とぞ厚生労働省の方々、よろしくお願い申 し上げます。 ○小島委員(代理花井)  今回の御提案につきまして、賛成する方向でさらに幾つか質問と、確認をお願いした いと思っております。  1つ目が、4ページのところに「留意事項の周知」というのがございますが、これに つきましては、今まで行なわれていた自己注射についてはこういうことが行われていな くて、今回新たに全部の自己注射に対してこの3点を留意事項として周知するという意 味なのでしょうかという確認が1つ。  それから、3ページのところの一番下の「2週に1回は外来を受診することを算定要 件」というふうにございますが、「2週に1回」という、その科学的根拠というのが明 らかになっているのかどうかということを確認したいと思います。  それから、今出されましたように、安全性の問題との関係で、2ページのところに、 既に自己注射が行われている中に、血液凝固の関係で、多分これはエイズにかかわる薬 剤ではないかと思うのですが、現在これらの自己注射で問題が起こっていないのかどう なのか。このホルモン剤については、そんなに大きな副作用はないのではないかと今松 原委員がおっしゃいましたが、この血液に関するものの危険性というのはどの程度で、 これについては「2週間に1回は外来を受信する」というものが必要がないのかどうな のか、その辺を教えていただきたいと思います。 ○事務局(麦谷医療課長)  御質問の順番とお答えの順番がちょっと順番どおりいかないかもしれませんが、ま ず、凝固因子の補充療法での事故でございますが、今のところこれで感染事故が起きた という事例はございません。  それから、次のことと関連しますが、3ページ目の下の丸にございます「2週に1回 は外来」というのは、今まではこういうような算定要件の取り決めはございませんで、 したがいまして、凝固因子製剤に関しましても、2週間に1回ということの算定要件の 義務づけはございません。この2週間に1回は、今度新たに導入するインターフェロン アルファとエタネルセプト製剤に関してのみ通知を出す予定でございますが、これは一 つには、先ほど御指摘がありましたインターフェロンアルファ製剤が、C型肝炎患者に 対するものであるということを踏まえて、やはり有効性とか患者の状態、ウイルスの状 態、こういったものを把握するために、2週間に1回程度はやはり外来に来てほしいと いう専門家の方の御意見を私どもで取り入れました。もちろんこの専門家というのは一 人ではなくて、斯界の権威を集めて御協議をいただいております。それから、エタネル セプト製剤につきましても、これはリウマチの専門家を集めて御議論いただいて、もっ と頻繁にと言う方もいらっしゃったのですが、せっかく在宅で自己注射しておりますの で、少なくとも2週間に1回程度だという回答をいただきましたので、専門家の意見を 取り入れて、そのように決めさせていただきました。  それから、最初の質問でございまして、お答えとしては3点目でございますが、4ペ ージにございました対象薬全般にわたる留意事項でございますが、これは当然ですが、 これまでの自己注射製剤につきましてもこのようなことは取り決めておりました。た だ、詳しく通知を出しておりませんでしたので、このようなことは従前から行われてい たのですが、今回久しぶりに2つを追加いたしますので、さらにこの際改めて周知徹底 するという趣旨でここに書いてございます。したがいまして、従前からこのようなこと は注意の下に行われておりましたが、さらに周知徹底するという趣旨でございます。 ○小島委員(代理花井)  そういたしますと、今の4ページの「1ヶ月以上の教育期間」というのも行われてい たというふうに理解してよろしいのでしょうか。 ○事務局(麦谷医療課長)  これは、対象製剤はたくさんございますので、その一つ一つによって異なるのです が、例えばインシュリンの場合は、通常、1カ月とは限りませんが、数週間程度の教育 期間をとって教育をして、それで実施をしております。それは患者さん個々人によって も異なりますし、状態によっても異なりますので、必ずしも1カ月ということではござ いませんが、事前に教育期間はとっております。 ○小島委員(代理花井)  もしそういうことであれば、この「少なくとも1ヶ月以上の教育期間」という言葉が 適切なのかというのが少し疑問になってくるのですが、いかがでしょうか。 ○事務局(麦谷医療課長)  レトリックでございますので、「少なくとも」と書いてありますから、そこは少しフ レキシブルにということで、どちらかというと「十分な指導」に力点を置いたつもりで ございますが、言葉の変更はいくらでもいたしますので、趣旨はそういうことでござい ます。 ○小島委員(代理花井)  それから、先ほどの松原先生のお話とも関連するのですが、医療器具の廃棄物の問題 なのです。やはりそこは安全性の観点から非常に心配されるところですので、ちゃんと 回収のルートですとか、そういうことを明確にしていただきたいということと、それか ら、量の管理というのがきちんとされるかどうなのか。例えばそういうことを想定した くないのですが、途中で亡くなられた場合、残った薬剤をどうしていくのかとか、それ から注射針も含めてなのですが、その辺の量的な管理も、きちんとそういうルールをつ くってくださるよう、ぜひお願いしたいと思います。 ○漆畑委員  治療の途中、在宅で療養中の患者さんが不幸にも亡くなるということは、当然、今で もいろいろな病気でもございまして、特に残薬が問題になるとすると、多分麻薬なども あるわけで、一応特に法律事項ではないのですが、実態としては、そういうものについ ては、私ども薬局でも回収・廃棄をさせていただいておりますので、事実としては、多 分そういう体制は問題ないと思います。 ○星野小委員長  すみません。今のは、それぞれの患者さんが御自分でお使いになったら、薬局へ持っ ていけばちゃんと回収してくださるとか、そういう意味合いなのですか。 ○漆畑委員  おっしゃるとおりで、そういうこともできますし、そもそも提携しています医療機関 と連携させていただいて、そういうものの管理をさせていただいているということでご ざいます。 ○星野小委員長  それから、花井さんがおっしゃった数量についても、「あなた、とり過ぎだよ」と か、薬剤師さんが何となくアドバイスしてくれるのですか。本当はお医者さんが指示す るのでしょうね、そういうのは。 ○漆畑委員  それは医療機関と連携して、町の薬局だけではなくて病院の薬剤部もそうなのです が、そういう管理をさせていただいておりますので、間違いないと思います。 ○星野小委員長  大変重要な御指摘の御議論だと思いますので、厚労省の方でもよく管理してもらわな いと。 ○松原委員  薬剤量に関しましては、やはりこれは医師が適切に指導して行うべきだと思いますの で、そういったこともあって、管理料の設定もあるわけでございます。適切な量を使う ということについては医師の責任で、また、今御発言がありました薬局もお力添えをい ただくということで判断いただけたらと思います。  ただ、感染性廃棄物については、先ほど申しましたように、あくまでつくっている製 薬会社なり厚生労働省なりが管理して、国民に決して迷惑のかからないような体制をと るべきだと私は思っておりますので、よろしくお願いします。 ○小島委員(代理花井)  在宅で疼痛管理を行っており亡くられたのでモルヒネが残って、それをどうしたらい いのかという事例があるのですが、残ったものをどうしていくのかということがきちん と使っている人たちに周知されていないのではないかという心配と、それから、今松原 委員がおっしゃったこともそのとおりだと思いますので、ぜひともそのことをルール化 していただきたいというふうに思います。 ○松原委員  今回の薬剤というのは、残っていても、大きな法的な問題は残らないのですが、麻薬 はやはり残っておりますと大変な問題がございます。これにつきましては、麻薬を処方 するときの医師はまた別の免許が要るわけでございます。そういったことも含めて十分 に注意しながら行われていると思いますが、破棄することについても、やはり処方した 医師の責任の下に対応すべきだと思っておりますので、またそういったことも厚生労働 省と少し検討してまいりたいと思います。 ○星野小委員長  ありがとうございました。 ○櫻井委員  重複する部分があるのですが、在宅医療でいろいろな廃棄物が出るのですが、今のル ールでは、家庭で出るものは一般廃棄物ですから、いわゆる感染性廃棄物という定義で はないものに入ってしまうのです。医療機関から出たら当然感染性廃棄物になる。環境 省さんの管轄の範囲に入っているのだと思うのですが、家庭からで出るものは一般廃棄 物ですから、市町村に回収の義務があるというふうに思うのです。ぜひ厚労省も、ほか の省のことだからと思わないで、感染性廃棄物の処理問題については、今花井さんの御 発言もあるように、もう少し十分検討して、患者さんはもちろんですけれども、家族な り周りの人に迷惑がかからないようなことを考えてほしいと思いますので、これは要望 です。  それからもう1点よろしいでしょうか。 ○星野小委員長  どうぞ。 ○櫻井委員  許可になることを前提の意見なのですけれども、このリウマチの製剤は新薬としても この間認められたばかりなわけで、特にこれは、注射形態が、液体ではなくて粉末状で 入っているものの蓋をあけて溶かして、注射針を刺して注射器に液を入れて、それを注 射するという、ある程度手数がかかるような形の製剤なのです。自己注で一番普及して きたのは糖尿病のインシュリン注射だと思うのですが、これは非常にいろいろな注射形 態が、つまり自己注用の注射形態が進歩しまして、割と簡単に、ペン型とかいうような 形で、目盛りを合わせてチュッとやれば簡単に注射ができるような製剤というか、器具 というかが進んでいるのですけれども、ぜひこのリウマチ製剤についても、製品のいろ いろな管理とか何かの面でいろいろ難しい面もあるかもしれませんけれども、もし自己 注が許可になった上でも、製薬会社としては、より簡単に安全に患者さんが注射できる ような製品の開発を続けてほしいということを、これも要望なのですけれども、あるい は厚労省からも通じてそのことを製薬会社に伝えてほしいと思いますので、これはそう いうことをお願い申し上げます。 ○星野小委員長  どうもありがとうございました。 ○松浦委員  今お話にあった家庭から出る医療廃棄物の話ですが、これは、私は実はもう16年間 市長をやっているのですけれども、注射針がまじっておったとか、そういうようなこと を聞いたことがないのです。それで、私は今もちょっと大変大事な問題だと思っていた のですけれども、これは、今医療課の方で、例えばどうしなさいというようなルールは 全くないのですか。 ○事務局(麦谷医療課長)  特にルール化しているというような事実はございませんが、実際は、その医療機関あ るいは患者さんによっても異なるので一様ではないのです。基本的には、医療機関から の針を捨てるための容器が普通は渡されております。それをだれが回収するかというル ールがないのですが、2週間に1度通院しますので、そのときに針を入れた容器を医療 機関に持っていくというのが一番多いのかなと思います。そうすると、それを医療機関 が回収して、医療機関で感染性廃棄物で処理するということです。したがって、いわゆ る家のごみにまじっていないというのは、まさにおっしゃるとおりです。  それから、これは、どちらがどれぐらい多いかわからないのですが、そういう患者さ ん個人が医療機関に針の容器を持っていくのと、あと製薬会社が容器を回収していると いうのもあります。したがって、ちょっとまちまちではありますが、基本的には家庭の ごみにまじっているということはございません。認識としてはないので、全くないかと 言われるとちょっと自信がありませんが、ルール化はしておりません。 ○櫻井委員  ちょっとよろしいですか。 ○星野小委員長  どうぞ。 ○櫻井委員  その辺をちょっと本当ははっきり申し上げたかったわけですけれども、今松浦委員が おっしゃったように、恐らく市町村長さんとしては注射針などは、入っていないと言う のですけれども、それは我々に言わせれば、医療機関が一生懸命努力をした結果そうな っている。つまり、回収作業は、本来なら市町村がやるべきものなのに、我々がかわっ てやらせられているというふうに理解しているわけで、そういうふうに発言したわけで す。松浦委員は注射針と言いましたが、注射針だけではなくて、今度の例えばリウマチ 製剤について言えば、バイアル瓶がありますし、これだって針を刺してますから、その まま家庭ごみでは捨てられない、注射筒も、当然感染性廃棄物の中に入れて捨てなけれ ばならないから、週2回とか3回やりますと、けっこう量的にはかさばってくるはずで す。針だけだったら小さな箱で済みますけれども。そういうような回収ルールをきちっ とすべきです。安全な箱みたいなものが確保されるのであれば、そこに入れて医療機関 に運ばなくても市町村が回収するのが本来ではないかと我々は思っているわけです。そ の辺はさっき申し上げたように、環境省マターで今議論が行われているようで、この自 己注だけの話ではなくて、腹膜灌流を自宅でやる問題だとか、いっぱい問題があるわけ です。  ここでこんなことを発言していいかどうか知りませんけれども、実際には、そんな医 療用の廃棄物でなくても、御家庭で出る普通のごみ、例えば鼻をかんだりたんを出した りしたゴミというのだって、感染性という意味では十分危険性があるのです。それか ら、出血したものの処理をしたゴミというようなもの、当然感染性廃棄物になるものが 実際には一般ごみの中にあるわけで、針が入っていないから大丈夫だという話ではない のです。市町村長さんもぜひ真剣に環境省との取り組んで、感染性廃棄物が一般ごみに 入っている可能性とか、それをどうやったら分けられるのか、分別ごみといって、一生 懸命鉄とアルミとを分けろとかやっていますが、我々とすれば一般家庭のごみの中で感 染性廃棄物を分けるのが最大の問題ではないかと思っているのです。なかなかそこがう まくいかないということを本当は申し上げたかったのです。 ○松浦委員  私、今、現場から上がってきた話の中で聞いたことがないと言っているわけで、「絶 対そんなことはありません。行政がぴしっと取り仕切っております」と言って、胸を張 っているわけではないのです。ですから、ここは非常に関心があるところですから、我 々もまた持ち帰って、これひとつ問題をよく調べてみたいと思っているわけです。それ でちょっと質問をさせていただきました。 ○漆畑委員  先ほど薬局でそういうものは回収させていただいているというお話をしたのですが、 法律事項でないというふうにちょっと申し上げたのですが、それは櫻井先生がおっしゃ ったことと全く同じでありまして、法的には、それは家庭内廃棄物ですので、特に私ど もとか医療機関が責任を負うものではないのですが、もともとそのきっかけは、やはり 家庭内ごみとして捨てられる実態があって、それは櫻井先生がまさしくおっしゃったと おり、注射針とかだけでなくて、在宅で療養されている患者さんの処置をした血液のつ いたガーゼとか、あるいは子供さんのものではない紙おむつのようなものもあるわけで すし、そういうものを実際に見て、医療課長はないはずだというふうにおっしゃってい ましたけれども、そういうものがあって、目にすることがあって、そういうことを始め させていただいています。業者と契約していますので、これも先生御存じのように、ポ ットで一定の単位でやりますから、多くても少なくても月に一定の料金は払っています ので、どうぞお持ちくださいということです。  ただ、法律事項ではないものですから、私どもが回収をするというようなことを積極 的にアピールをして、自宅に行って回収するのは実はできないものですから、持ってき ていただくのを待つということになりまして、そういう意味で、先ほど花井委員がおっ しゃったように、患者さんに啓発する、何か宣伝といいますか、アピールすることがな かなかしにくいことでございますので、それは、何らかの行政がそういうことについて 御尽力いただければ、さらにそういうものが実態として有効になるかなと思います。在 宅で療養する患者さんが増えているわけですから、それはこれからの大変大きな問題と 思います。 ○松原委員  私もこれは聞いた話なので、自分のところの経験ではないのですが、やはり河原で在 宅の注射が落ちていて小さなお子さんがそれで刺して事故があったとか、あるいはごみ を集めていて針で刺したとかというのは、実際にあるそうでございます。したがいまし て、私が発言申し上げたのは、あくまでこういったものも厚生労働省で十分に御検討い ただいて、国民に不安を与えないようにしていただきたいということでございますの で、よろしくお願いします。 ○星野小委員長  全く重要な話だなと思います。 ○小島委員(代理花井)  ぜひともお願いしたいのですが、今の話のルール化ということと、それから例えば1 カ月以上の教育期間ですとか、これから在宅医療というのは非常に重要ですが、ただ し、そのことは安全性も同時に担保されなければいけない話だと思っております。そう いう意味で、少し諸外国の例がどうなのかとか、本当に在宅で自分で注射を打った場 合、事故が起こっていないのかどうなのかとか、それから今の廃棄物処理の問題とか、 せめて診療報酬改定時とか、何か定期的に検証していくようなことを少し検討していた だきたいというふうに思います。 ○星野小委員長  私は理解が不十分なのかもしれませんが、この問題は多分医療課の外に出てしまうと 思うのです。だから、医療課長にここで全部やってくれと言ったって、そんな範囲は所 掌は持っていない。恐らく医政局だとか、ほかと非常に関係があるところですから、む しろお願いするとすれば局長にお願いして、省を挙げて、こういう問題がこれから大変 重要になるだろうということについて、省議と言うと大げさですけれども、どこかで話 題にしていただいて、厚労省として全体で取り組んでいただける、あるいは環境省と連 携をとりながらやっていただくということを、局長に宿題に預けた方が今いいのではな いかと思うのです。向こうは実戦部隊なものですから、限られた範囲しかないから、こ っちから命令が来ると、そういう何か省としてやった仕組みができれば、そこから命令 が来れば、「ああ、あそこで注射針はどうだったか」と、こういうふうにやるようにな りますので、そんなことで今日は局長にお願いしまして、そのような方向で、何か機会 がありましたら、ぜひ省として取り組んでいただけるようなことをしていただいたらよ ろしいのではないかと。大変大きな問題だと思います。 ○水田保険局長  わかりました。普段、ただいまのこの場での議論をよく承りましたので、どこまでの 広がりになるかわかりませんけれども、受けとめさせていただきたいと思います。 ○星野小委員長  それでは、この件はそういうことで、何か局長にみんな振ってしまって申し訳ないの ですけれども、ぜひ、本当に重要な問題だと思いますので、よろしくお願いしたいと思 います。  他に御質問等もないようでしたら、この問題については、事務局より提出された案の とおり、当小委員会として了承するということでよろしゅうございましょうか。              〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕 ○星野小委員長  ありがとうございました。  それでは、他に御質問もないようでしたら、この問題については、引き続き、当小委 員会において検討することとしたいという、最初はこういうシナリオもありましたが、 ここで皆さんの御了解を得ましたので、それでは、そういうことで進めさせていただき たいと思います。  それでは、本日の小委員会はこのあたりで終了したいと思います。  次回の日程について事務局から何かありましたら、どうぞ。 ○事務局(麦谷医療課長)  次回の小委員会は、4月6日の午前中でございます。場所は厚生労働省内を予定して おります。 ○星野小委員長  それでは、本日の小委員会はこれにて閉会といたします。御協力ありがとうございま した。 【照会先】 厚生労働省保険局医療課企画法令第1係 代表 03−5253−1111(内線3288)