05/03/29 がん医療水準均てん化の推進に関する検討会第5回議事録           がん医療水準均てん化の推進に関する検討会                  第5回議事録              日時  平成17年3月29日(火)                  11:00〜11:55              場所  厚生労働省(18F)専用第22会議室                          ┌――――――――――――┐                          │(照会先)       │                          │ 厚生労働省健康局総務課│                          │    生活習慣病対策室│                          │       村重、友永│                          │(内線)2397,2339    │                          └――――――――――――┘           がん医療水準均てん化の推進に関する検討会                  第5回議事録              日時  平成17年3月29日(火)                  11:00〜11:55              場所  厚生労働省(18F)専用第22会議室 〇大臣官房参事官  おはようございます。定刻になりましたので、第5回「がん医療水準均てん化の推進 に関する検討会」を開会させていただきます。  これまで4回の会議及び起草委員会を何回か開かせていただきまして、大変貴重な御 意見をいただきました。また、それに基づいた報告書(案)につきましては、既に先生 方からそれぞれ御意見をいただいており、それを集約いたしております。本日は、時間 もございますので、報告書(案)について主に概要版をもって改めてご紹介させていた だきたいと考えておりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。  しばらくの間、議事の進行を務めさせていただきますので、よろしくお願いいたしま す。  尾辻厚生労働大臣でございますが、本日、残念ながら国会用務のため、欠席させてい ただいております。併せて、医政局長も国会用務のため遅参してまいりますことを、あ らかじめご報告申し上げます。  本日の出席状況につきましては、北島正樹様、山口直人様のお2方は、それぞれ御都 合により御欠席との連絡を受けております。御意見は既に頂戴しております。  申し訳ございませんが、カメラ撮りはこのあたりで終了とさせていただきたいと存じ ます。ご協力のほど、よろしくお願いいたします。  それでは、以後の進行につきましては、垣添座長にお願い申し上げます。どうぞよろ しくお願い申し上げます。 〇垣添座長  皆さん、おはようございます。本日は早朝からお集まりいただきましてありがとうご ざいます。私は花粉症で苦しんでおりまして、鼻声でお聞き苦しい点があるかもしれま せんが、お許しください。  昨年の9月から4回、そして本日の5回目で報告書が取りまとめられれば大変ありが たいと思っておりますが、どうぞよろしくお願いします。  それでは、まず事務局から本日の資料の確認をお願い申し上げます。 〇大臣官房参事官  資料1は2枚紙でございますが、「がん医療水準均てん化の推進に関する検討会」報 告書についてのポンチ絵でございます。  資料2は、報告書(案)の概要でございます。  資料3は、報告書(案)そのもの、及びその参考資料となっております。  参考資料別刷りで大きな参考資料となっておりますが、それ以外に「参考人からの意 見聴取」という参考資料が用意されております。3月7日に起草委員会のメンバーがが ん患者団体からの意見聴取をさせていただいたときの資料でございます。  以上です。 〇垣添座長  ありがとうございました。過不足はございませんでしょうか。  それでは早速、議事に入りたいと存じます。最初に、1番の「がん医療水準均てん化 の推進に関する検討会」報告書(案)についてということで、報告書の起草までの経緯 について、事務局から説明をお願いいたします。 〇健康局生活習慣病対策室長補佐  それでは、事務局から説明をさせていただきます。資料の説明に先立ちまして、報告 書(案)の作成前に、起草委員の皆様から患者団体の代表の方の意見聴取が3月7日に 行われました。その点について幾つか御報告いたします。関連資料は、参考資料「起草 委員メンバーによる参考人からの意見聴取」というタイトルのものをごらんください。  意見聴取の際に御発言がありました主な点を御紹介いたしますと、まず、がん医療に 関する情報は多いということですが、がん患者の方がたが最も求めているのは良質な情 報であるということから、どこの病院でどんな治療がされているのか、どんな成績を出 しているのかといった、医師に関する情報、病院に関する情報を最も知りたがってい る、という意見が出されております。  それから、抗がん剤の専門医が不足しているといった御主張の中で、本当に受けたい 治療が受けられていない。どこに専門医がいるのかということも含めて、先ほどの点と 同様な意見です。  それから、情報センターというものの設置を検討してほしいということで、良質な情 報をどこで得るのかという点でございます。  よい医療にはコストがかかることを理解したうえで、本当によい医療を提供する医療 機関には診療報酬をつけてもいいのではないかという御意見でございます。  拠点病院につきましては、大学病院が入っていないという御指摘がございました。そ ういった現状についての御意見でございます。  今後につきましては、患者会の声が届けられるようにしてほしいという意見もいただ いております。  活発な御議論をいただいた中で、起草委員メンバーとの意見交換が行われました。そ の後、起草委員会におきまして、患者団体の代表の方がたの御意見を踏まえて報告書 (案)の検討が行われたことを御報告いたします。  以上です。 〇垣添座長  ありがとうございました。もともとこの「がん医療水準均てん化の推進に関する検討 会」というのは、患者さんの強い要望もあって、あるいは国に対する働きかけなどが背 景にあって出発したところです。過去4回の検討会で、いろいろな方からヒアリングを させていただきましたが、その中で患者団体からのヒアリングを本当はすべきだったか もしれないということを考えましたが、気がついたときはちょっと遅かった。そこでな んとか患者さんの声を直接お聞きしたいということでいろいろ考えた結果、起草委員会 のワーキンググループのほうに4人の代表の方においでいただいて発言いただいた。い ま、事務局から御説明いただきましたような幾つかのポイント、いずれも重要なポイン トだと思いますが、御指摘いただきました。この中身をできるだけ報告書の中に取り込 んで、本日、皆さんに御議論いただく運びといたしました。  それでは、報告書の案について事務局から説明をお願いいたします。 〇健康局生活習慣病対策室長補佐  では、資料1、資料2を使いまして事務局より御説明いたします。なお、本日の報告 書(案)及びその概要等は、事前に配付いたしました資料について御意見をいただき、 そうした御意見を反映させて加筆修正をすませたものでございますので、先日送付いた しました資料とは若干異なっている点に御留意ください。  まず、資料1が全体をポンチ絵としてまとめたものでございます。検討の背景は、厚 生労働大臣の懇談会として16年9月に設置され、検討項目を四つほど提示いたしており ますが、専門医等の育成、医療機関の役割分担を踏まえた人材交流、地域における専門 医等の確保、地域がん診療拠点病院制度のあり方等でございます。  検討状況でございますが、今まで検討会自体は4回、本日が5回でございますが、4 回と5回の間に、図に示してございますように意見聴取、それから起草委員会における 検討を経ております。  次は、検討会の提言骨子でございます。大きく四つほどございます。  一つ目が、がんの専門医等の育成でございます。一つ目の・で、がん診療全般を横断 的にみることができる化学療法及び放射線療法などを専門とする講座設置の検討。二つ 目の・は、下記に示してございます拠点病院のネットワークを踏まえ、国立がんセンタ ー等における研修体制の拡充でございます。  (2)は、ネットワークの構築ということで5点ほど指摘いたしております。  一つ目が、拠点病院の整備の促進。二つ目が、拠点病院の階層化と役割分担の明確 化。こうしたことを踏まえた拠点病院制度のあり方の見直しを含むものでございます。  それから、都道府県の中心となる都道府県がん診療拠点病院(仮称)の指定、特定機 能病院の地域がん診療拠点病院への位置づけ。最後が、拠点病院間及び一般医療機関と の間の病病連携、病診連携等のネットワークの構築と医療計画への明記でございます。  (3)ががん登録でございますが、二つほどございます。標準様式に基づく院内がん登 録の促進と、こうして得られた院内がん登録のデータを地域がん登録事業へ活用する、 という点でございます。  (4)が情報の提供、普及に関してでございます。診療拠点病院の標榜制度導入の検討、 医療相談室の機能強化、それと拠点病院と国立がんセンターのネットワークを活用した うえで情報収集・提供体制の整備ということで、がん情報センター(仮称)の設置を検 討する、という内容になっております。  達成目標でございますが、ここにおける「均てん化」を「どこでもだれでも質の高い 医療を受けることができる」と定義しまして、そうした均てん化を達成する。それか ら、第3次対がん10か年総合戦略における罹患率と死亡率の激減、健康フロンティアに おけるがんの5年生存率を改善する、という目標に向けて対策を進めていくということ かと思います。  次に資料2は、先日配付いたしました「報告書(案)の概要」となっております。  初めに全体の構成でございますが、格差をどうとらえるかということと、地域格差の 要因と課題を分析したうえで、最後に提言をとりまとめるといった構成になっておりま す。  Iの「はじめに」のところで、本検討会の位置づけとして、がん医療における地域格 差の要因の検討を行い、その是正に向けた具体的方策を提言することを目的とする、と いうことでございます。  IIで、「地域格差の考え方」をお示ししております。がん診療にあたりましては、医 療機関が近隣に存在することが望ましいという考え方のもとに、いわゆる二次医療圏で 診療レベルに応じた役割分担と連携に基づく効率的な提供体制の確立が重要ではないか ということで、二次医療圏における格差ということと、あと、本文の中でも考察を加え ておりますが、都道府県間の格差や施設間格差についても併せて検討いたしました。  IIIの「格差のデータ」についてですが、例えば5年生存率や罹患率のデータという のを今回、委員の皆様からも御提示いただいたところでございますが、現状、限られた 府県市のデータに基づいて評価せざるを得ないという状況もございますので、こうした データを総合的にみたうえで、がんの診断・治療の格差が存在するようなデータがあ る、そういったデータを幾つかお示しいたしました。  IVの「地域格差を生み出す要因と課題」ですが、先ほどのポンチ絵とここがつながっ てくるわけでございます。一つ目に「がんの専門医等の育成について」ということで、 今回の場合、中心的に議論されましたのは化学療法及び放射線療法の重要性ということ であろうと思います。  欄外に、この報告書の中における「均てん化」という言葉の定義をお示ししておりま す。「全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、医療技術等の格差の是 正をはかること」ということでございます。この均てん化の言葉自体、非常に難しいと いう御指摘も受けておりますので、1ページの欄外に明示いたしました。  2ページの2は「がんの早期発見に係る体制等の充実」ということで、検診を受けら れる体制を整えると同時に、検診後の精密検査に確実につなげるような医療機関との連 携も重要である、という指摘をいただきました。  3は「医療機関の役割分担とネットワークの構築について」ですが、現在の医療をみ ますと、高度の専門性を必要とするといった状況に加えまして、医療機関の診療レベル に応じた役割分担と連携が重要である、そういった指摘をいただいたところです。  (1)「 地域における医療機関連携」でございますが、地域がん診療拠点病院の整備 計画と連携方策を医療計画の中に盛り込むことが必要であるということでございます。  (1)「診療拠点病院の整備」として、現在、135施設が指定されておりますが、まだ指 定数がゼロの府県も存在しますので、今後、二次医療圏に1か所程度を目安に整備を行 っていくということであります。  (2)の「地域がん診療拠点病院の連携」の中では、適切な紹介・逆紹介を介して地域 の実情に応じたがん医療の適切な病病連携及び病診連携を行う必要がある、ということ でございます。  (2)の「全国的な医療機関連携」においては、現在、三つのネットワークが主に存 在するという指摘がありますが、これらの間の連携は、現時点、必ずしもまだ十分では ないという指摘でございます。  4の「がん登録制度」でございますが、現在、34府県1市において地域がん登録が行 われており、この中で罹患率まで推計値が出されておりますのは11府県1市となってお ります。こうしたがん登録においてもさらなる精度の向上が必要である、という指摘を いただいております。  5の「情報の提供・普及」については、まず標準様式に基づく院内がん登録の整備が 十分なされている医療機関はまだ少ないといった前提の中で、今後、比較可能な治療成 績のデータを得ていくことと、一般国民の方、医療関係者にそれぞれ情報提供を充実さ せていくことが必要であろうと思います。  Vが提言となっておりまして、今回の報告書の核になるところでございます。大きく 分けまして、拠点病院制度をその機能に応じて階層化する、役割分担を明確にすること と、診療連携、教育研修のネットワークを構築すること、もう一つは人材育成にかかわ る課題、医療機関のネットワーク化を通じて具体的方策を提言する、という内容になっ ております。  4ページ以降は、先ほど見ていただきました図と共通しております。  1番の「がんの専門医等の育成」については、大学講座の設置、専門医の認定基準、 育成方策。  (3)の育成方策については、本検討会でもいろいろ議論されたところでございます が、国立がんセンターを中心とした効果的、効率的な研修を行うというのが一つ、大事 なポイントであろうと思います。それと同時に、拠点病院に対する指導体制も併せて充 実させていくということも指摘されております。  (4)がコメディカルスタッフの育成方策ということで、学会とか職能集団の連携と か、専門研修を提供するということが重要であろうと思います。  2が早期発見に係る体制等の充実で、これはハードとソフトの両面にわたる整備が必 要であるという指摘をいただいております。それと同時に、一般医に対して研修の機会 を積極的に提供していくことであろうと思います。  5ページの3.ネットワークの構築の中で、(1)が医療機関連携ということでアか らオまで五つほど視点をお出しいたしております。例えば数値の明確化、特定機能病院 を指定の対象に含めるとか、医療相談室の機能の強化、緩和医療の充実、医療相談室の 充実、治療成績の公表ということで、患者さんに資する体制の確保という観点から、診 療報酬等のインセンティブが働くような適切な仕組みを検討する、という点でございま す。  (2)地域におけるネットワークの構築。地域における機能としては、診療、研修、が ん登録、情報、臨床研究にかかわるさまざまなものがあろうかと思いますが、こうした 点に加えて、病理診断や画像診断に係る診療支援機能も重要であるという指摘でござい ます。  それと、病病連携、病診連携については、患者の身近にいますかかりつけ医で治療が 継続されるような連携体制を整えることも重要になってくると思います。  6ページ、(2)全国的な医療機関の連携の中で、既存のネットワークと整合性をも って位置づけるということと、そうしたネットワークの核になる連携協議会を設けて対 応することが大事であると思います。  4は「がん登録制度」でございます。全国的に治療成績が比較可能なデータを蓄積し ていくために、がん登録制度の法的な位置づけも含めて検討し、またその利用の面から は、がん登録事業に対する支援や登録方式の標準化を推進する必要があろうと思いま す。  5は「情報提供、普及」でございます。(1)は一般国民に対する正しい情報の提供 ということで、わかりやすい情報を提供することと、がん患者さんが医療機関を受診す る際の参考となるような情報を提供していく中で、家族の不安や疑問に適切に対応でき るようなことが重要であると思います。それから医療関係者に対しても、地域がん診療 拠点病院などの情報ネットワークをうまく活用していくということになろうと思いま す。  7ページ、「おわりに」ということで、専門医等の育成のための研修機会の拡充につ いては、短期的に取り組むべき課題、研修コースの設置などと同時に、大学の講座設置 のように中長期的に取り組むべき課題がある、ということになろうと思います。着手で きるものからすみやかに検討していくということでございます。  それと、がんの専門医の点について、この検討会でも非常に詳しく検討されましたの で、資料3の報告書をご参照いただきたいのですが、16ページの提言の1「がん専門医 等の育成」の中で、(1)大学講座の設置とか(2)専門医の認定基準、専門医の育成方 策ということで、講座については化学療法、放射線療法の専門医を卒前教育の中で横断 的にみることができるような講座の設置を検討することと、専門医の認定基準について は、医師の専門家でつくる関連する学会で協力して、専門医の資質を一定以上に保つよ う、共通の基準づくりをする必要がある、という点でございます。  専門医の育成方策については16ページの下のほうから記載がございますが、まず、化 学療法については、抗がん剤の標準的治療を正しく実施することができ、副作用に適切 に対処できる能力をもった医師を育成することと、そうした医師の配置、それと将来的 に臨床試験の実施を含めて化学療法に通じた専門医を育成する、ということでございま す。  放射線療法についても、少なくとも放射線治療計画を適切に立てることができ、その 副作用を予測できる能力をもった医師を育成して、こうした医師については治療装置を 十分に備えた病院に集中的に配置することが重要である、ということであろうかと思い ます。  17ページに、(1)、(2)、(3)ということで、研修コースの設置、より機能の優れた都 道府県拠点病院においては、指導者の研修コース(仮称)を新設する必要があろうとい う点でございます。  17ページの下の(1)、(2)で、その育成された専門医を配置する方策についても提言い たしております。都道府県診療拠点病院等に、例えば専門修練医コースの修了者を配置 するという点等でございます  18ページに、コメディカルスタッフの育成方策ということで、例えば診療放射線技師 とか看護師さんとかがん登録実務者等に対して研修コースを拡充することとか、国立が んセンターなど、国は専門の薬剤師を育成すること、それから、こうしたコメディカル スタッフに対して短期研修コースの新設ということも併せて提言いたしております。こ うした指導体制の強化をはかっていくなかで、研修を受ける側と研修を指導する側、ス ーパーバイズする側の両方の強化が非常に重要になってくると考えられます。  最後に、資料2の8ページに、専門医療機関の役割分担のイメージ図をお出ししてお ります。今後、診療所、一般病院、検診機関などと連携をとる形で二次医療圏におかれ た地域がん診療拠点病院と地域がん診療拠点病院が連携をしていく中で、それぞれの役 割を下に例示としてお出ししております。  例えば地域がん診療拠点病院でありますと、我が国に多いがんの早期診断・治療で、 都道府県の拠点病院においては進行期の標準的治療であるとか、より機能の優れた病院 においては、まれながんや高度先進医療の提供に重点を置くということで、この中に臨 床試験の実施の点とか、院内がん登録の実施についても強化していくということがあろ うと思います。  以上、資料の説明を終わります。 〇垣添座長  どうもありがとうございました。今、資料1と資料2に沿って御説明いただきました が、この内容に関して御意見あるいは御質問等がありましたらお受けしたいと思います が、いかがでしょうか。 〇西條委員  簡単に述べさせていただきます。  まず、「化学療法」という言葉なのですが、「化学療法」は細胞障害性の抗悪性腫瘍 薬を用いた治療ですがそれ以外に分子標的治療薬を用いた分子標的治療、およびホルモ ン療法等を含みます。したがって、この文章全体を書き替えるのが困難であれば、化学 療法とはこういうものを含む、というようなことを注釈として入れていただくと、誤解 が生じないのではないかという気がいたします。  それから、化学療法及び放射線治療の専門医について非常に詳細に書かれてありまし て、我々としてはありがたいのでありますが、放射線治療につきましては放射線学とい うものの中に放射線診断、放射線治療というのがあります。一方、内科学の中には臨床 腫瘍学あるいは腫瘍内科学というのがありません。したがって、この文章の中に書くこ とは非常に難しいと思いますが、この場の共通認識として、腫瘍内科学あるいは臨床腫 瘍学が内科学のジャンルの一つとして必要であるということをご認識いただきたいと思 います。  医療連携のことでありますが、今、最後に説明されましたこの表だと、臨床試験のこ とが非常に強調されている。これは、研究者、あるいは一生懸命がんの診療・研究をや ろうという人にとってはありがたいのでありますが、インフラストラクチャーの整備が できないことが問題であって、それを整備するべく努力する必要がある、そういう文章 があればいいのではないか、そういう気がいたしました。  以上です。 〇垣添座長  ありがとうございました。最初の化学療法の定義というのは、資料2の一番下に「均 てん化」の定義が書いてありますように、どこかの部分で加えることは可能だと思いま すが、それはよろしゅうございますか。一般的な見方をしますと、抗生物質の化学療法 との誤解などを避けるという意味でも、ちょっとつけ加えておくことは可能かと思いま す。  それから、連携の話と腫瘍内科ですね。たしかに御指摘のように文章の中に入れるの は難しいかもしれませんが、内科学の中のサブスペシャリティとして臨床腫瘍学という ものあるのだということをぜひ訴えておきたいという御発言だと思います。  臨床試験のインフラストラクチャーについては、我が国でこれまで新しい薬ができて きても、その評価に非常に時間がかかったのは、インフラストラクチャーが十分でなか ったということがありましたから、基礎研究の成果として新しい薬などができてきたと きに、それをきちんと評価する体制として臨床試験の基盤整備が非常に重要である。こ れは特に反対がなければ、文章のどこかに加えることにしたいと思います。  ほかに御発言はありましょうか。 〇丸木委員  いろいろ盛りだくさんなお話があって、私個人としては、これが実現になれば何もい うことはない、非常にいいことが書いてあるもので、ぜひ実現に向けての努力をしてい ただきたいというのが総論です。  個別に、地域がん診療拠点病院の見直しというのが目玉の一つであろうかと思うので す。やはり格差があるというのがこの検討会で十分いわれたことでもありますし、それ を改善するという意味において幾つかいい点が書いてあるのですが、「地域見直しの中 の指定要件をできる限り数値を含めて明確化する」という文章があります。ここは非常 にいいことだと思うのですが、この明確化する数値はいったいなんなのか。例えば手術 件数とかそういうことまでも含まれているのかというのが質問で、それをぜひ含めてほ しいということと、それをぜひ患者の側にも見せるような形で公開を入れていただきた い。  さらに、指定要件の中に更新制であるとか、いったん拠点病院と指定されればずうっ とそうだというのではなくて、それを見直すような制度を入れていただきたい。基準の 見直しも含めてそれを含めた形でやっていただきたい。  第2点が、「医療相談室の機能の強化」と漠然とあるのですが、先ほどの患者会の意 見にもありましたように、要するに患者にとってセカンドオピニオンを聞きたいとか、 自分がこういう治療を受けたときに、はたしてこの治療が正しいのかどうかというのを 聞きたいというときのセカンドオピニオン、それがとれる病院がどこなのだというのが 一番の切実な願いだと思うのです。全般的ながん情報をがんセンターでとるのは非常に いいことなのですが、いざ個別のことについてはなかなかそこからは得ることができな い。そうした場合に、医療相談室の機能の強化の中に「セカンドオピニオンがとれる」 とかそういう表現が入ったほうがいいのかなと、もしくは、そういうのを含めた形での 強化をぜひ要望したいと思います。  第3点は、特定機能病院が入ったのは非常にいいことだと思うのです。特定機能病院 で心配なのは、講座が変わればその中身が変わるのではないか。仮にもそういう指定を 受けた場合にはその質の担保ができるようにしていただきたい。  以上です。 〇垣添座長  ありがとうございました。地域がん診療拠点病院の指定要件を見直すということ、し かもなるべくそれを具体的な数値目標を掲げてということで、手術件数まで含めるかど うかというのはなかなか難しいところはあるかと思いますが、できるだけ情報公開をし て、患者さんや御家族が、その情報に基づいてどこを受診すべきかとか、あるいは自分 が受診しているところがよろしいかということを判断できるというのは、御指摘のとお りだと思うのです。ただ、そこに手術件数まですぐいけるかどうかというのは、もう少 し検討を要するような感じがします。  それから、一度指定されたらずうっと続くということではないということは、私も指 定の委員会の座長を務めて常々感じておりますので、こうこうこういうことを実現しま すという約束で指定されたけれど、例えば何年か後に見直してそれがちゃんと達成され なかった場合には、最悪の場合には取り消すとかいうことも含めて、かなり質の維持の ためには努力していただくことが求められるのではないか。ですから、あえて地域がん 診療拠点病院に指定されるということに対して、何らかの診療報酬上のインセンティブ が働くようなことも、ずうっとこの会で私が発言してまいりましたのはそういう意味で す。  あと、医療相談室の強化というのは患者会からも強く要望がありましたし、これは医 師や看護師からの説明をまた翻訳するコーディネーターのような人が必要だという話も ありました。  それから、セカンドオピニオンがとれることを明示する、これも大事なことですの で、言葉として含めることはたぶん問題ではないのではないかという感じがいたしま す。  特定機能病院に関しては、これも地域がん診療拠点病院に条件が叶う病院は含めてい くということで、この検討会でも大体合意をいただいておりますが、大学の場合には、 体制が変わるとがんに対する連続性が保てないおそれがあるという議論がありましたの で、臨床腫瘍学の講座がある大学とか特定機能病院とか、あるいは大学内にがんセンタ ー、学内がんセンターといった組織をもつことによって、がん診療の連続性が保てると いうような何らかの条件を、たぶん実際に特定機能病院を新たに取り込んでいく場合に は検討する必要があるのではないかという感じをもっております。  今、いただきました意見の幾つかは、ぜひ取り入れさせていただきたいと思います。  ほかにいかがでしょうか。 〇津熊委員  資料1の中で、検討会の提言骨子という形でまとめられております。この中でがん登 録制度については2点挙げられておりますが、この検討会の提言の重要なものとして は、がん登録制度については法律上の位置づけを今後検討していくことと、国による地 域がん登録事業に対する支援を強化する、このポイントは入れていただかないと、本 来、情報インフラをきちっとするという意味でのがん登録でございますので、また、例 えばがん患者の生存率20%アップということをモニタリングしようということでありま すから、そこまで考えないと実現が困難ではないかと私は思いますので、ぜひ提言骨子 の中にも入れていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。 〇垣添座長  これは、概要の6ページに、「がん登録制度の法律上の位置づけのあり方も検討する とともに」ということが入っておりますから、よろしいのではないでしょうか。 〇山田委員  放射線治療医の育成については広範に盛り込んでいただき、ありがとうございまし た。  特定機能病院についてなのですが、資料3の最後のページに役割分担があるのです が、特定機能病院が仮に指定されたとすると、より機能の優れた病院の点線の役割を担 うという意味なのでしょうか。特定機能病院が認定された場合に、どういった機能を担 うのかがこの中ではあまりはっきり述べられていなかったと思いますので。 〇垣添座長  これは、事務局から何かありますか。 〇健康局生活習慣病対策室長補佐  先生の御指摘の点は非常に重要でございまして、本文の資料3の26ページに特定機能 病院の役割ということで項目をまとめております。「地域がん診療拠点病院の積極的な 参加」という中で、拠点病院としての役割が期待されていることから、指導者研修コー スへの参加とか研修の実施、代診医等の補充への協力、院内がん登録の推進、医療相談 室の機能の強化、こうした役割が期待されていると聞いております。表の中の「より機 能の優れた」というところに入る予定です。 〇山田委員  やはりここに入るわけですね。そうしたら、例えば27ページの下のほうの、より優れ た診療拠点病院の文章の中に、例えば「特定機能病院など」と入れると、より明確にな るのかなという気がしたのですが。 〇健康局生活習慣病対策室長補佐  今後、検討させていただきます。 〇垣添座長  ほかにいかがでしょう。 〇丸木委員  今の感じでいくと、特定機能病院というのが都道府県のがん診療拠点病院にはならな いという理解なのですか。要するに都道府県で1か所、2か所指定される。そうではな いのか、そこだけ確認したいのですが。 〇健康局生活習慣病対策室長  今でも特定機能病院はいくつか指定されておりますが、基本的には特定機能病院とい ったものは都道府県に1か所を指定させていただく都道府県拠点病院になるであろう。 そしてその中でも、より機能の優れた病院として、より高度な役割を果たしていただく ことにはなるのだろうとは思っておりますが、ここについては基本的に各都道府県の実 情も踏まえて、まずは都道府県でご判断いただく。そしてそのうえで厚生労働省と相談 をさせていただいて、指定をしていくことになるということでございます。 〇垣添座長  ほかにいかがでしょうか。 〇千村委員  2点ございます。  1点目は非常に簡単な点なのですが、資料2の4ページでございますが、がん専門医 等の育成についての(4)コメディカルスタッフの育成方策、ここで私は、本体の「職 能集団」というのは「団体」という表現をしたほうがいいのではないでしょうか、とい うことを御指摘したのですが、本文は直っているようですが、概要版は本文と合わせて チェックをしていただけるとありがたいという点でございます。  もう1点は、先ほど丸木委員及び座長からの御指摘とも関連があるのですが、地域が ん診療拠点病院制度の見直しという中で、指定要件の明確化ということを含めてここに 書いてあることは私も賛成でございます。そのうえで、地域の具体的な指定要件の明確 化というときに、地域の実情も勘案していただきながらこの辺は検討していただきたい というお願いをしたいと思います。 〇垣添座長  それは、地域がん診療拠点病院のそもそもの性格から、都道府県の知事等からの申請 があって国が判断するという形ですから、当然、地域の事情を考えることになるかと思 います。  ほかにいかがでしょうか。 〇土屋委員  地域のがん診療拠点病院制度の見直しの中で、現在、指定されておる医療機関の中で いろいろみますと、はっきり言って中身的には相当いろいろですね。その中で、ちょっ と待ったとペンディングになっているような例があるやに伺っていますが、それは中身 をみますと、特定のがんに関してはその地域でまず中心的な役割を担っているのです ね。しかも、病院全体としてはその地域の基幹病院であるというようなところが、はた して今後、ではその他のがんについても同じようなことになるかどうかというのは、時 間を待たないとできないのかもしれない。  としますと、特定のがんについては、そこそこその県下でみてもひけをとらないよう なところについて、今、これは2段階に階層化していますが、もう一つサブ的な、今後 の問題でしょうけれども、そういうところには施設的にも人的にも相当専門家がいるみ たいなのですね。ですから、そのがんだけだけから、ほかの症例があまりないのでちょ っと待ってくれ、というような状況が一部にあるのですが、これは地域での事情を勘案 して、それなりにこれからも頑張っていただかなければいかんということを考えます と、この拠点病院制度の中で何か取り組んでいくようなことをどこかでにじませていた だけるとよろしいのではないかと思いますが。 〇大臣官房参事官  ただいま御指摘の点につきましては、かなり高度な意味での専門領域の話ではなかろ うかと思います。今回の均てん化の問題で話題としておりますのは、国民のがんの多く を占める五つのがん、それのがん医療における一般的な対応に関して全体的なレベルを 上げようという話でございまして、今、先生の御指摘いただいたのは、その余のがんに ついては、がん全体に関して上がっていくときに協力していただけるところとして、が んの専門医それぞれが、この地域にはA病院がある、B病院があって、極めて高度な医 療、専門医療をやっている。例えば甲状腺がんに関しては、自分たちのところよりもA 病院へいったほうがよいということで御紹介いただく。それが拠点病院の医師にも、ま た地域の医師にも情報として伝わっていることで十分なのではなかろうかと思います。  そうしたものをどんどん広げていって、何々がんの専門的病院何とかというのを全部 指定していきますと、国民はかえって、すべての症状でそういうところにみずからいく ことによって、逆に適切な医療機会を失ってしまうという悲劇をもたらす危険性があ る。極めて高度な専門医療だからこそ、最初の段階でしっかりしたドクターによる紹介 が必要な領域ではなかろうかと考えております。 〇垣添座長  ありがとうございました。ほかにいかがでしょうか。  それでは、時間もありますので、大変活発な御指摘をありがとうございました。ただ いま頂戴しました御意見の数々を報告書の中に取り込む作業は、座長の私に一任いただ くことにいたしまして、もしそれをご了解いただければ、「がん医療水準均てん化の推 進に関する検討会」報告書を承認していただけますでしょうか。  ありがとうございます。  そうしますと、報告書が完成いたしましたら、本検討会を代表いたしまして、後日、 私から尾辻厚生労働大臣に手渡しをさせていただきたいと思います。それに合わせまし て、同時に委員の皆さん方に最終の報告書をお手元にお届けさせていただきたいと思い ます。  そのほか、何かございましょうか……。  本日は、皆さんから貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。 時間がまいりましたので閉会にしたいと思いますが、これは最終回になりますので、座 長からひと言、発言させていただきたいと思います。  まず、がん医療とかがん研究というのはもともと患者さんがあって出発するものであ りますから、患者さんが第一である。そういう意味で、ワーキンググループで報告書起 草のためのワーキンググループで患者団体のいろいろな方から直接お話を聞くことがで きたのは大変よかったと、それをこの報告書の中にかなり盛り込んでおりますが、そう する機会をもてたのは大変よかったと私は思っております。  それから、数年以内にここに提言された内容が実現しなければ、我が国はがんの医療 の均てん化ということに関して、あるいはがん登録に関して、ここに盛られたさまざま なことで、私は最悪の場合は永久に機会を逸するのではないかというくらいの深刻な認 識をもっております。したがって、事務局に対してもずいぶんいろいろお願いをしまし た。そしてこのような形にとりまとめられたわけであります。例えば地域がん診療拠点 病院の見直しとか、それに対して一定の活動をする地域がん診療拠点病院に対しては診 療報酬上の加算をしていただくとか、そのことががん登録にも生かされて、がん登録を しましょうという言葉だけではなくて、実際問題として忙しい医療の現場の中からちゃ んと院内がん登録が集まり、それから地域がん登録にそれが生かされていく。さらに、 地域がん登録に情報が集まっていく際の情報の取り扱いなどに関してもこの文書の中に 盛り込まれていますので、これをいかに実現するか。先ほど、丸木委員からも御発言い ただきましたが、それが非常に重要な観点になろうかと思います。  それから、次年度以降もここであげられました幾つかのポイントに関して、引き続き 作業をしていかなけばいけないと思いますので、これは大切な第一歩を踏み出したと認 識しております。  委員の皆さん方には、大変お忙しい中をご協力いただきまして、まことにありがたい と思っております。  本日をもって、この検討会はとりあえず終わりということになりますが、本日ご出席 いただきました田中健康局長からひと言ごあいさつを賜りたいと思います。よろしくお 願いします。 〇健康局長  健康局長でございます。本日は、大変立派な報告書をおまとめいただきましてありが とうございました。半年にわたりまして垣添座長を初め委員の皆様方には、大変お忙し い中をいろいろご助言、ご指導いただきまして、感謝申し上げます。  対がん10か年戦略が平成16年度からスタートしたわけですが、それを具体的に推進し ていくために、がんの均てん化というのはその10か年戦略の中にも書いてあったのです が、それをさらに具体的に表現していただいたということで、この対がん10か年戦略が 実現できるようにしていく指針といいますか、具体的なよすがになるのではないかと思 っております。  大変ありがとうございました。 〇垣添座長  それでは、これをもちまして会を閉じさせていただきます。皆さん、本当にありがと うございました。                                     −了−