05/03/29 治験のあり方に関する検討会第1回議事録            第1回治験のあり方に関する検討会議事録                         厚生労働省医薬食品局審査管理課                              平成17年3月29日(火)                                  16:00〜18:00                            於:明治記念館 曙1の間 ○事務局  それでは、定刻になりましたので、ただいまより治験のあり方に関する検討会を開催 させていただきます。まだ藤原委員がお見えでございませんが、少し遅れてお見えにな るということでございますので、開催させていただきます。  本日、事務局を務めさせていただきます医薬食品局審査管理課長の川原でございま す。どうぞよろしくお願いいたします。  まず、開催に当たりまして、阿曽沼医薬食品局長よりごあいさつを申し上げます。 ○阿曽沼医薬食品局長  医薬食品局長の阿曽沼でございます。先生方におかれましては、日ごろより厚生労働 行政に大変御高配を賜っておりまして、まず心からお礼を申し上げたいと思います。  このたび、治験の問題を取り上げました検討会の委員をお引き受けいただきまして、 まず心からお礼を申し上げたいと思います。この検討会は何をやるかということです が、お手元に参考資料0というのがございまして、0ですからスタートラインというこ とだと思いますが、「医薬品開発推進の取組」という標題の紙を御覧ください。厚生労 働省も平成9年の新GCP施行以降、治験活性化3カ年計画とか、あるいは医師主導治 験導入とか、いろいろな形で治験の推進に努めてきたわけでありますが、まだまだ治験 の実施上にいろいろな問題があるということが言われておりまして、わが国の治験をめ ぐる環境も必ずしもまだ十分ではないのではないかとの指摘もあります。そのために、 行政側としてやることもあるでしょうし、あるいは医療機関の方でやれることもあるで しょうし、あるいは企業の方でやることもあると思いますが、みんなが協力してやらな ければならない。そのためにはどういうふうにするかということを御議論いただきたい と思います。  昨年の年末に混合診療の議論がございましたときに、海外で承認されているけれど も、日本で承認されていない薬をどうするかという問題になりました。なぜ海外で承認 が早くされているのに、日本で承認が遅れているのかということを考えていきますと、 いろいろな要因があろうかと思いますが、その一つの要因は、日本でなかなか治験が進 まないというのがあるのではないかというような指摘もございまして、そんな反省もご ざいまして、今回治験のあり方の検討会というものをお願いしているわけです。  最近は国立病院も独立行政法人になりましたし、国立大学も独立行政法人に移行する ということで、病院、医療機関のサイドからは治験に対する認識がかなり変わってきて いるというか、深まっているように思いますが、私も一国民でありますけれども、国民 の皆さんに臨床治験というものがどういうものであって、日本でも臨床治験に積極的に 患者さんが参画していただいた方がいいということに対して、どういうふうに理解をし ていただくかということもまだ課題であろうかと思います。やはり日本発の薬、あるい は薬だけではなくて医療機器もございますし、やはり新製品といいますか、新しい薬、 医療機器の開発のためにも不可欠なステップ、そういう意味での臨床治験というものに ついて、国民の皆様にぜひ認識を持っていただきたいという願いを込めまして、こうい う検討会をつくったらどうかということで考えた次第でございます。  特に、特定のテーマについて絞って検討をお願いをするということではございません で、治験をめぐるいろいろな問題があろうかと思いますので、当面すぐできること、あ るいは中期的にできること、あるいは長期的に解決しなければならないこと、いろいろ あろうかと思いますが、どんなことでも結構でございますので、忌憚のない御意見をい ただきまして、いろいろな形での御指導、御鞭撻を賜れば幸いだと思います。これから 建設的な論議が積極的に展開されることを祈念いたしまして、簡単でございますけれど も、会議の冒頭のごあいさつに代えさえていただきます。よろしくお願いいたします。 ○事務局  ありがとうございました。続きまして、本検討会の委員の先生方を御紹介させていた だきます。名簿が、本日配付してございます資料2にございますので、ごらんいただけ ればと思います。50音順に御紹介させていただきます。  最初に、池田委員でございます。  続きまして、生駒委員でございます。  続きまして、今井委員でございます。  続きまして、景山委員でございます。  続きまして、加藤委員でございます。  続きまして、北田委員でございます。  次に右側に参りまして、木村委員でございます。  次の桐野委員は本日御欠席でございます。  続きまして、寺岡会員でございます。  続きまして、長尾委員でございます。  隣の席の藤原委員は、本日少し遅れて到着ということでございます。  続きまして、望月委員でございます。  それから、吉村委員でございます。  次に、行政側の出席者を紹介させていただきます。  あいさつをいたしました阿曽沼局長の隣が、大臣官房審議官医薬担当の黒川でござい ます。  それから、医薬食品局総務課長の本田でございます。  私の左隣、医薬食品局安全対策課長の平山でございます。  右側に参りますが、医政局から2名課長が出席しておりまして、医政局経済課長の二 川でございます。  医政局研究開発振興課長の安達でございます。  以上で出席者の紹介とさせていただきます。  それでは、座長の選出に進めさせていただきます。お手元に資料1「「治験のあり方 に関する検討会」開催要綱」というものを配付しております。これにつきましては後ほ どまた御説明させていただきますが、その要綱の3.委員構成の2つ目の○のところに、 「検討会は、委員のうち1人を座長として選出する」ということにしております。事務 局といたしましては、医薬品の開発から市販後安全対策にわたって造詣が深い池田委員 に、本検討会の座長をお願いしたいと考えておりますが、各先生方、いかがでございま しょうか。                  (異議なし)  ありがとうございます。それでは、座長は池田先生にお願いいたしたいと思います。 池田先生、座長席への移動をお願いいたします。  それでは、池田先生、以降の議事進行をお願いいたします。 ○池田座長  ただいま、この非常に重要な、治験のあり方に関する検討会の座長に御指名いただき ました。先ほど局長からお話がありましたように、日本の医療における非常に重要な事 項を検討する会だという認識を持っております。患者さんを中心に考えて、よりよい治 験のあり方を議論していただこうということでございますので、委員の先生方、よろし くお願いいたします。大変浅学非才でございますが、先生方によろしくお願いしたいと 思います。それでは、座って失礼させていただきます。  それでは早速事務局の方から、配付資料の確認をお願いしたいと思います。 ○事務局  それでは、事務局から配付資料の確認をさせていただきます。本日机の上にお配りし た資料でございますが、まず一番上に本検討会の議事次第、次のページが配付資料一 覧、次のページが座席表でございます。座席表の一部、望月委員が脱落しておりまし て、おわび申し上げます。その後からが資料ということになりますが、2枚目の配付資 料一覧をごらんいただきたいと思います。  資料1が開催要綱、資料2が検討会の委員名簿、資料3が治験計画の届出状況となっ ておりまして、資料7までございます。参考資料といたしまして、参考資料0〜参考資 料7までございます。それぞれ御確認いただきますと幸いです。 ○池田座長  資料について何か不足のものがございましたら、お申し出いただきたいと思います が、よろしいですか。先生方、資料はおそろいでしょうか。  それでは、議題3にございますが、「治験のあり方に関する検討会」の趣旨等につい て、本日の会合の趣旨その他を、まず事務局から説明をいただきたいと思います。よろ しくお願いします。 ○事務局  それでは、資料1の本検討会の開催要綱をごらんください。  治験は新医薬品の開発に必要不可欠なものでありますことから、先ほど局長からのあ いさつにもございましたが、これまで「治験活性化3カ年計画」の策定、それから薬事 法改正による医師主導治験の制度化等によりまして、その円滑な実施を推進してきてお りますが、一方で、治験実施環境の改善や治験実施に係る関係者における実務上の負担 軽減といった課題が指摘されておるところでございます。  また、これも先ほどのあいさつにございましたが、国内未承認薬の使用につきまし て、治験制度を活用することにより、保険診療と保険外診療との併用が可能な体制を確 立するというようなことになっておりますが、そのためには薬事法上の治験実施を確実 に行うための環境を整備することも必須という状況になってきております。  そこでこの検討会では、1番目の目的にございますように、治験に関するこれらの課 題の解決に資するために、治験の信頼性を確保しつつ、したがいまして患者さんの安全 も確保してということになりますが、円滑に治験を実施するために必要な方策について 検討を行うことを目的に、治験及びその周辺分野を含め、関係する課題を整理して、必 要な措置等の提言をまとめていただきたいと考えております。  そこで、この目的に沿いまして、2番目の検討事項で挙げたような点を御議論いただ きたいと考えております。検討事項は、治験を円滑に実施するために必要な環境整備に ついて、治験実施に係る関係者における実務上の負担軽減について等、となっておりま す。  3番目の検討会の委員の構成でございますが、委員は医薬品開発に関係する各分野の 有識者で構成するとされておりまして、先生方にお願いをしたという次第でございま す。  4番目の運営でございますが、検討会は月1回を目処に開催するということにさせて いただきたいと思います。今のところ特に考えておりませんが、場合によりましては随 時開催ということもお願いしたいと考えております。それから、検討会につきまして は、本日も公開で開催させていただいておりますが、知的財産権等にかかる事項がもし 出ましたときには、また別途御相談させていただきます。そういう事項を除きまして、 原則公開ということにさせていただきたいと思います。また、議事録も作成・公表する ということにいたしております。それから、検討会につきましては、必要に応じて、個 別検討事項にかかる専門家からなる専門作業班を招集する、すなわちワーキンググルー プを招集することもできるというふうにしたいと考えております。  また、最後の庶務でございますが、検討会の庶務は医薬食品局審査管理課が務めます けれども、医政局が協力するという形をとらせていただきたいと考えております。  なお、検討会のスケジュールでございますが、今回は議題4として、わが国の医薬品 開発の現状及び課題を挙げております。この点に関しまして、先生方から御意見をいた だきまして、次回以降議論を進めるべき項目の整理ができればと考えております。  事務局からは以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。事務局の方から、この検討会の目的、あるいはどういうふ うに進めていくかということについて御説明をいただいたのですが、委員の先生方か ら、ただいま事務局から説明があったようなことについて、何か御質問、コメントはご ざいますでしょうか。進め方、あるいは目的ですね。信頼性の高い臨床試験をスムーズ にやるというのが一番でございますので、その方向に向かって検討することでよろしい でしょうか。特に進め方その他について、先生方の御意見あるいはコメントはございま すか。はい、どうぞ、寺岡委員。 ○寺岡委員  今、説明の中で、信頼性すなわち安全性という言葉をおっしゃいました。安全性とい う言葉を入れておくべきではないかと私は思います。「信頼性並びに」でも。確かに信 頼性というのは全てのものを包括しているわけではあるのですが、この際必要なことで はないかと私は思いますが。 ○事務局  GCP等で、今、寺岡先生から御指摘いただいたとおり、信頼性のほかに安全性も確 保する仕組みにはなっておるわけでございますが、そこは確かに誤解を招かないよう に、念のためにきちんと書いておいた方がいいという御指摘だと思いますので、そのよ うに修正させていただきたいと思います。 ○池田座長  寺岡先生、よろしいですか。ありがとうございました。  それでは、議題4に議論を移していきたいと思いますが、この議題4のわが国の治験 の現状及び課題について、まず事務局から資料に基づいて御説明いただいて、それから また先生方と御議論をしたいと思います。よろしくお願いします。 ○事務局  それでは資料3〜6、それから先ほどリストで確認いただきました参考資料を用い て、説明をさせていただきます。参考資料の方は、先ほど局長の冒頭あいさつにもござ いましたように、こういう1枚の絵のものが参考資料0にございます。この絵の上の方 から参りますと「研究開発」、それから「治験」に行きまして「審査・承認」、それか ら「市販後安全対策」という形で、左上から右下の方に流れるような大きなラインがご ざいます。この中で治験の関係につきましては、国際的なガイドラインの整備でござい ますとか、国内的にもガイドラインの整備等を行っております。それから、GCPの関 係では平成9年以降、平成12年には治験の円滑化のための検討会、平成15年には治験活 性化3カ年計画、それから医師主導治験も導入ということでやってきておるということ でございます。この参考資料0といいますのが、全体を模式化した形でございます。  それでは、資料3をごらんください。「新薬の承認状況」の推移のグラフでございま す。新有効成分ベースで記載してございます。左側に軸がございますが、平成11年、12 年ごろに40成分近くございましたけれども、現状では年間16〜17成分の承認という状況 になっております。  1枚めくっていただきますと、「治験計画の届出状況」のグラフがございます。薬事 法に基づきまして、厚生労働大臣あてに届出のあった治験数ということでございまし て、左側の目盛りのものが棒グラフでございますが、新有効成分の初回届出数というこ とになっています。これは非臨床試験、いわゆる動物実験等を終えまして、初めて臨床 開発の段階にいった成分数ということで、日本で初めてその成分がヒトに投与される際 の届出数を示しているということでございます。平成5年ごろは、新規の成分として 160成分程度が臨床開発の方に入ってきていました。それが、現在では60前後という状 況になっているということでございます。  折れ線グラフの方は右側のスケールでございますが、n回届出の数ということでござ います。n回届出といいますのは、初回以外の治験届出が対象になっております。した がいまして、フェーズ1〜フェーズ2に移行する、フェーズ1の中でも2つの臨床試験 をやる場合には、2つ目の治験はn回届出になります。そのほかには、効能効果を追加 するとか、投与系を追加するといったようなものもフェーズII、フェーズIIIから走り ますが、そういう治験届出がn回届出ということになります。このn回届出といいます のは、ある意味では日本の医療の現場で実施されている治験のプロトコール数というふ うに言いかえてもよいかと思います。したがいまして、毎年大体届出の数で、治験の期 間がそのプロトコールによって違いますが、大体現在は400前後の治験が走っていると いうふうに考えていただければと思います。  次に資料4に参ります。資料4は既に先生方は御存じかと思いますが、「治験につい て」の説明でございます。治験の実施に当たりましては、先ほどちょっと御指摘もいた だきましたけれども、被験者の人権、安全及び福祉の保護のもとに、科学的な質と成績 の信頼性の確保が必要ということでございます。薬事法上では、承認申請のための臨床 試験成績の収集を目的とした試験を治験というふうに定義しておりまして、治験依頼 者、つまり製薬企業等ということになりますが、治験の依頼者に対する規定を設けてお るということでございます。  それから、ここに記載もございますが、平成14年7月の薬事法改正によりまして、企 業が主体となって行う治験以外での未承認薬の医師への提供、それから医師から企業へ の治験薬の製造依頼が可能となる医師・医療機関が主体となって行う医師主導治験とい う治験制度が盛り込まれまして、これが平成15年7月、2年弱前から実施されていると いう状況でございます。  この資料4の2ページ目は、薬物によってかなり違う場合がございますが、臨床試験 の各相の意味と流れということで、フェーズI〜フェーズIII、そのほか長期投与試験、 一般臨床試験といったようなものまでございますが、代表的な、典型的な例を示してお ります。薬効群や患者さんの数によりまして、もちろんこの辺は大きく変わってまいり ます。  次に3ページ目でございますが、「企業依頼治験における治験実施体制」でございま す。治験依頼者は医学等の専門家に相談をしつつ、プロトコール、省令上は日本語で治 験実施計画書と呼ばれておりますが、これを作成いたしまして、治験を実施するため医 療機関と契約を結ぶという形になります。そして右側でございますが、治験を実施しま す医療機関の中では、治験審査委員会、IRB(Institutional Review Board)という ことで、治験の科学的妥当性、施設として引き受けるかどうかを審査するということで ございます。もちろん、この治験実施医療機関の左側の方に治験チームということで、 治験を実施する医師とその協力者はいるわけでございますが、その医療機関の中でこう いう第三者も入りました治験審査委員会というものを設置いたしまして、その人たちに チェックを受けるという仕組みを、制度上つくっているということでございます。その ほか、ここの中ですけれども、治験チームの先生方はもちろんIRB、治験審査委員会 での審査も受けますが、また被験者に対しましては、一番下の方にございますけれど も、インフォームド・コンセントを書面でいただくことが義務づけられているという形 になっています。もちろん、その後実際に薬の投与などが行われまして、いろいろな観 察といいますか、診察が行われて、データが収集されるということでございます。それ で、記録の保管や治験薬の管理等も必要になります。それから、事務的なものもいろい ろ生じてまいりますので、治験事務局がこの治験の実施をサポートする形になっており まして、最終的に治験依頼者が総括報告書を作成するという形になっております。  4ページ目は先ほど御説明いたしました、平成15年7月から施行された「医師主導治 験における治験実施体制」ということでございます。企業が依頼する代わりに、医師自 らが治験を実施するという形になっております。ただし、薬物の提供等については、製 薬企業等から受けることも可能という形になっております。この場合は先ほどと異なり まして、医師自らがプロトコールを作成するということになります。そして治験審査委 員会の審査、こういったものは先ほどと体制的に同じでございますが、これを経て、医 療機関の長から治験実施の承認を受けるということでございます。それから、モニタリ ングや監査といったようなものがございますが、先ほどは製薬企業の方から治験チーム が受けていたわけでございますけれども、これにつきましては病院内の別部門や開発業 務受託機関(CRO)が実施するということでございます。医師主導治験の場合、製薬 企業は治験薬提供者としては役割を担いますが、治験薬概要書等の作成に必要な情報の 提供なども一部行ったりいたしますけれども、いろいろな事務的な届出とか、この治験 をマネージするためのいろいろな責任というのは、治験責任医師が持つということで、 総括報告書の作成も治験責任医師が行うという形になっております。  続きまして、資料5をごらんください。資料5は冒頭のあいさつでも言及がございま したが、欧米で承認されているにもかかわらず、日本で承認されていない医薬品につい て、承認までに時間がかかり、全額自己負担でないと使えないといった御指摘があった ということで、この問題につきましては、この本会議と別の、未承認薬使用問題検討会 議というものを1月から開催しておりまして、この会議を通じまして、確実な治験実施 に繋げ、制度的に切れ目なく保険診療との併用が可能な体制を確立するための検討をし ておるということでございます。  このカラーのものの2ページ目をごらんいただきますと、検討会におきまして、臨床 上のニーズと使用の妥当性について科学的に評価を実施いたしまして、承認申請のため の治験に加えて、追加的治験や安全性確認試験といったようなものを実施することによ りまして、被験者の安全性を確保しつつ、未承認薬の使用機会を提供するということ で、未承認薬使用問題検討会議を現在開催しておるということでございます。  資料6、7はこの後の発表の関係でございますのでちょっと飛ばせていただきまし て、次に参考資料をごらんください。参考資料は、冒頭申し上げました参考資料0とい いますのが「医薬品開発推進の取組」として、「研究開発」「治験」「審査・承認」 「市販後安全対策」における取組を図にしたものでございます。  参考資料1につきましては、これまでの国内治験の活性化に向けた取組を紹介してい るということで、「全国治験活性化3カ年計画」、先ほど御説明しましたように平成15 年からの3カ年計画ということで、それの概要と本文がございます。  参考資料2は、これも国内治験の活性化に向けた取組ということでございますが、 「治験を円滑に推進するための検討会」ということで、平成10年〜11年を主に検討をい ただきまして、平成12年にまとめられた「治験を円滑に推進するための検討会」の報告 書の概要等、メンバー表も入っております。  参考資料3は薬事法の関連部分の抜粋、参考資料4は医薬品の臨床試験の実施の基 準、GCPについてまとめたものでございます。いわゆる行政指導時代からのGCPの 経緯につきまして、現在法律で施行しております平成10年4月からのGCPのこと等を 書いてございます。それに、平成15年7月には医師主導治験が加わったということでご ざいます。参考資料4はそういうことでGCP関連の資料でございます。  参考資料5でございますが、これは治験に関連する資料で、「厚生労働省における医 学研究に関する指針等の概要」ということでございます。医学研究に関しまして、厚生 労働省で策定しております指針の概要ということで、ヒトゲノムの解析、遺伝子治療の 臨床研究、疫学研究、臨床研究に関する指針があるということで、1枚の紙にまとめて ございます。  参考資料6、7は、承認・審査の資料に関係してまいりますが、研究開発等にも関係 してまいります。参考資料6は、「日米EU医薬品規制調和国際会議(ICH)につい て」ということでございます。ここにございますように、平成2年4月から日米EU三 極でいろいろな医薬品規制の調和の活動をやっておりまして、そこにおきまして品質、 安全性、有効性に関するグローバルなガイドラインの作成をしております。その合意内 容を国内規制に取り入れるということをしておりまして、これまで51のガイドラインが 最終合意に達しておりまして、国内にも適用されているということでございます。51の ガイドラインにつきましては、この参考資料6の3枚目にございます。ちょっと細かい 字でございますが、Quality、品質の部分、Safety、安全性の部分、Efficacy、有効性 の部分、Multidisciplinary、その他ということになりますけれども、こういうガイド ラインができているということでございまして、現在Step4以下は検討中のものという ことでございます。  参考資料7でございますが、「臨床評価ガイドラインについて」ということでござい ます。臨床開発をやりますときの、主に手続的なところを定めましたのがGCPという ことになろうかと思いますが、方法論を中心といたしまして、こういう形で評価のガイ ドラインを示しております。これらのガイドラインに沿いまして、いろいろな臨床試験 のデザインなどを構築いたしまして、承認・申請資料として使用される治験のデータを 集めるという形で、現在活用されているということでございます。  承認や治験の現状、治験の体制及び最近の未承認薬に対する取組、それから参考資料 では背景的な資料としまして、これまでの治験活性化の取組、承認・申請に当たって参 照すべきガイドラインが日本で現在どの程度整理されているか、といったものを御説明 いたしまして、ごらんをいただいたということでございます。  説明は以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。今厚生労働省の方から、治験を活性化するために今までど んなことをやってきたか、あるいは現在整備されているガイドライン、法律、指針等を 御説明いただいたのですが、本日は景山委員と生駒委員にそれぞれ医師主導治験と企業 依頼治験に関するプレゼンテーションをお願いしておりますので、順次お願いして、そ の後に先生方からまた御意見を伺いたいと思います。  最初に、景山委員からお願いできますでしょうか。 ○景山委員  慈恵医大の景山でございます。それでは、「医師主導治験について」、その現状と問 題点ということで少しお話をさせていただきます。  まず、「「医師主導の治験」の背景」ですが、これはそこに書いてございますよう に、海外では既に承認されている、あるいは既に標準薬として確立されている薬物で、 わが国の臨床現場でも必要性はあるが、承認されていない薬物がある、こういう背景が あるわけです。しかし、採算性等の理由により製薬企業が治験を行わないという薬があ るわけです。そこで、医師自らが治験を実施することを制度上可能にしたというわけで す。先ほど川原課長からも御説明があったとおりです。  「治験に関する環境整備」ですが、これも重複いたしますけれども、平成14年7月の 薬事法改正によって、「自ら治験を実施する者」に関する規定が初めて設けられまし た。そして翌平成15年6月、GCP(Good Clinical Practice)の改正によって、医師 主導の治験の実施が制度上は可能になったということです。制度上は可能になったとい うことは、現実にはなかなか難しい面があるということを暗に記載しているつもりで す。それから、平成15および16年度の厚生労働科学研究費は、日本医師会治験促進セン ターを介して、医師主導の治験を支援するということになっております。  「医師主導治験の届け出」の現状でありますが、平成15年度といいますからもう昨年 度ですね。今年度もほぼ終わりですので。昨年度の日本医師会治験促進センターを介す る支援事業としては、ここに掲げました3領域、がんと小児と循環器というものが挙が っております。がんはメシル酸イマチニブで、本日委員として御出席のはずなのです が、まだおいででないですが、藤原先生が中心となっておやりになっているもので、ま れな肉腫に対する効能を追加しようというもので、国立がんセンターが中心です。それ から、小児領域ではクエン酸フェンタニルで、小児に対する全身麻酔の補助としての効 能を追加したいということです。これは成育医療センターを中心に行われているという ことです。それから3番目の循環器、アルガトロバンですが、これはヘパリン起因性血 小板減少症(heparin-induced thrombocytopenia)、通常HITと言われているようで すけれども、これは国立循環器病センターを中心に行われるということです。いずれも ナショナルセンターで行われる治験3つが、これは2月ぐらいの情報ですが、このあた りは既に届けが出ているということです。  平成16年度の治験推進研究事業としては、ここに掲げました5項目です。これはがん ではなくて小児ですけれども、フェノバルビタールですね、これはミスプリントです。 新生児のけいれんに対する効能追加です。これは香川大学で行われるということです。 それから、小児がんで塩酸イリノテカン、これは難治性の小児悪性固形腫瘍に対して行 うもので、国立がんセンターです。それから、循環器領域では塩酸ベプリジル、これは 持続性心房細動に、それから呼吸器のタクロリムスですが、これを難治性間質性肺炎に 対して使いたいということです。神経の方では酢酸リュープロレリン、現在前立腺癌、 あるいは乳癌に使われておりますが、これを球脊髄性筋萎縮症に使うという効能追加を 目的にしておりますけれども、これはまだ届け出が出ていないようですね。  それから、日本医師会の治験促進センターを介さない研究事業としては、アレムツズ マプ、これは虎の門病院を中心に行われ、造血幹細胞移植の際に用いたいということで す。それから、これらとは大分違いますが、補助金による研究事業以外のもので非環式 レチノイド、これを肝がんに対して用いたいということで、大阪の開業医から出ている ということであります。これが私の把握している範囲内での届け出の現状ということに なります。  さて、「治験の目的」と申しますか、Clinical Question、Study Questionというこ とですが、医師主導の治験というのは、製薬企業が採算性などの理由で興味を示さない けれども、臨床の現場では必要性の高い医薬品について治験を行うということでありま すから、目的は非常に明確化されております。ただ何となくやってみようかということ は決してない、これは明らかなことだと思います。  それから「治験実施計画書」、いわゆるプロトコールであります。これは従来、企業 主導の治験では、企業の開発部門の方が作成してきたわけですが、医師主導の治験では 「自ら治験を実施する者」、すなわち医師自らが治験計画書を作成するということにな ります。医薬品の製造・販売承認を目的としない自主研究であればGCPの制約があり ませんので、プロトコールもあまり細部に囚われずに済むわけですが、治験となります とGCPはもとより、症例報告書との整合性等、この辺はかなりテクニカルに、熟練を 要するものがあります。そういった細かな注意を必要とするので、なかなか大変だろう と思います。それから、治験実施計画書、プロトコールの骨子は、従来自らプロトコー ルを作成して自主研究を行った経験があれば、医師であっても問題なくできるのです が、先ほどちょっと申し上げましたように、細部の詰めとなりますとこれは相当の努力 を要するだろうと思います。個人的な経験を申しましても、私は治験ではありません が、比較的規模の大きな試験のパイロットスタディーを現在やっておりますけれども、 プロトコールはせいぜい20ページか20数ページですが、それでも細かなところの詰めと いうのは相当大変ですね。それが治験の実施計画書となりますと、かなりの労力を必要 とする、時間もまた必要とするだろうと思います。  次に「治験薬概要書」でありますけれども、概要書をつくるためには、当該薬物の非 臨床試験および臨床試験の成績を必要とします。したがって、これらの情報を有さない 「自ら治験を実施する医師」がこれを作成するということはできないだろうと思いま す。そこで、これに関しては、治験薬を提供する企業に全面的に依存せざるを得ません し、提供していただいたらよろしいのではないかと思います。  次に「治験届けの手順」です。医師主導の治験では、治験計画書等の必要書類が作成 されましたら、自ら治験を実施する医師が治験を医療機関の長に届け出て、治験審査委 員会の承認が得られた後に、治験届けを行うという順序になりますが、ちょっと図でお 示ししたいと思います。  従来の企業主導の治験ですと、申し上げるまでもありませんが、製薬企業がプロトコ ールその他を作成します。そして治験届けを行うわけです。それで、初回届けをして30 日待って、特別問題点がなければそれを医療機関に依頼する。そして医療機関は治験審 査委員会に審査を依頼し、そこで承認されると治験の実施ということになるわけです。 そして治験が実施されますと、製薬企業側はモニタリング・監査を行う。CROを介す ることもあるでしょうけれども、モニタリングを行う。また、製薬企業の別部門が監査 をするということになります。そして、治験の成績を回収してデータマネジメント、そ して総括報告書を作成して申請、というのが従来の手順であります。  それに対して医師主導の治験ですと、別にこれは問題点とかそういうことではなく て、手順をお示ししているだけですが、プロトコールその他を医師自らが作成して、ま ず医療機関の長に提出するわけです。そしてそこのIRBで審査を受けて、承認された 後に届け出、当然の手順だと思います。そして届け出た後に30日待って、治験の実施を するということですが、実施を始めますとモニタリングあるいは監査が必要になりま す。この辺も先ほど川原課長から説明がございましたけれども、若干の問題点があるの ですが、恐らくCROに委託するのだろうと思います。それから、補償・賠償、あるい は標準業務手順書、これは後ほど触れたいと思いますが、我々の全く不得手とするとこ ろで、これに関しては治験促進センターがいろいろお手伝いをしてくださるということ です。それからデータマネジメント、これもどこが行うのかよくわかりませんが、相当 大変だと思います。やはりCROかどこかに依頼しないと、果たしてできるのかなとい う気がいたします。それから総括報告書、申請書類の作成ということになるわけです。  さて、「標準業務手順書」でありますが、医師が日常の診療および研究で、標準業務 手順書を作成して、何か物事を行うということはまずあり得ないことですね。医療機関 でも、治験を行う際にはある程度業務手順書は必要ですが、恐らく治験事務局の標準業 務手順書、あるいは治験審査委員会事務局の標準業務手順書、あるいはモニタリング・ 監査の受け入れに関する程度の、恐らく数本の業務手順書ではないかと思います。しか し、治験を実施するためには、大変多岐にわたる標準業務手順書を作成しなければなり ません。聞くところによりますと、製薬企業は40本から50本必要だというふうに言って おられるようです。医師はこれらの作業には不慣れであるため、日本医師会治験促進セ ンターでは各種標準業務手順書の雛形を提供してくれています。  例えばホームページから見ますと、治験に関わる標準規程、治験審査委員会の標準業 務手順、実施計画書及び症例報告書の様式等作成に関する手順、治験薬概要書作成に関 する手順、説明文書作成に関する手順。何か一つ事をするのにも、全て手順書がなけれ ばいけないわけですね。通常我々はしたことのないことです。それから、被験者の健康 被害補償方策に関する手順、治験薬の管理に関する手順、モニタリングに関する手順、 安全性情報の取扱いに関する手順、監査に関する手順、治験調整医師又は治験調整委員 会への業務の委嘱の手順。この辺はお手元の資料にないのかもしれません。効果安全性 評価委員会の審議の手順、記録の保存に関する手順、直接閲覧を伴うモニタリングの受 け入れに関する標準手順、監査の受け入れに関する標準手順、といったことで、医師会 の治験促進センターから雛形が提供されていると思います。  さて、「モニタリングと監査」でありますが、これは治験の科学的質とデータの信頼 性の確保を目的としているわけですけれども、企業主導の従来の治験ですと、モニタリ ングと監査を実施するのは治験を実施している医療機関ではなくて、依頼者の製薬企業 が行うので、第三者性は担保されているということが言えると思います。しかし、医師 主導の治験では、自ら治験を実施する者と同一の医療機関の者がモニタリングと監査を 行う場合、同一医療機関内のどの部署の者であればよろしいのかという議論がありま す。あるいは当該医療機関以外の者が行うべきなのかもしれませんが、果たして現実に そういうことをやってくれるかどうかというのは難しい問題で、恐らくCROに外部委 託するというふうに聞いております。  次に、「有害事象報告」でありますが、現在の治験における有害事象報告は膨大な件 数に上っております。医師主導の治験では、既に発売されている薬物の効能拡大を目的 としていることがほとんどですので、治験中の有害事象のみならず、海外における日常 診療、あるいはわが国の現行の適応症の下の日常診療で観察された有害事象を含みま す。ところが、海外の日常診療下での有害事象報告というのは、御存じの方も多いかと 思いますが、内容が空疎であることがほとんどです。しかし、件数だけは多いというこ とで、このために報告件数は膨大な数に上ることが予想されます。また有害事象の収 集、これは製薬企業に依存せざるを得ないだろうと思います。そこで、自ら治験を実施 する者がこれに果たして対応し得るかどうか、解決すべき問題があるように思います。 本当は藤原先生が今いてくださるといいのですが、残念ながらまだお着きでないようで すので。  「補償と賠償」ですが、これは被験者に健康被害を生じた場合の補償のため、自ら治 験を実施する者も保険その他の必要な措置を講じておくことが義務付けられておりま す。そこで、日本医師会治験促進センターは、医師主導の治験において利用できる賠償 ・補償保険を損保会社と共同開発したということでありますが、ホームページを拝見し ますと、この医師会治験促進センターを介する事業に関してはこれが使えるということ で、保険契約者が医師会のようですね。となると、医師会を介さない場合はどうなるの かという点を、やはり解決しなければいけないだろうと思います。  これは私見でありますが、では一体どんな人ならば自ら治験を実施することができる だろうかということでありまして、3点にまとめてみました。1番目は、当該専門分野 における造詣と豊富な経験、端的に言えば専門医ですね。さらにできれば、すぐれた専 門医と言った方がいいのかもしれません。こういう方はたくさんおられるわけです。し かし、その中で臨床研究、とりわけ介入試験に対する理解と経験があるということで、 この理解と経験というのはやや抽象的に記載しておりますが、頼まれた治験の経験があ るという程度では恐らく無理だろうと思います。自らプロトコールを作成して、小規模 であれそういったことをしていないとやはり難しい。となると、例えば具体的な数はわ かりませんが、専門医はたくさんおられます。仮に1,000人だとしましょう。しかし、こ の段階で恐らく、分野によっても相当違うと思いますが、1〜数%ぐらいに減ってしま うのではないかなという気がします。そして3番目は、2番ができる方は大体3番にも ある程度精通していることが多いですけれども、臨床試験に関係する法制度、あるいは 支援組織といったもろもろの知識と理解がないと、現実には難しいであろうと思いま す。  次は、「医師主導治験に関する懸念と疑問」ということですが、私の杞憂であれば結 構なのですが、果たして臨床試験は現在申請している一つだけで可能なのだろうかとい うことです。臨床試験というのはやはり試験ですから、やってみないと結果はわかりま せん。そこで、現在届け出ている治験で期待した成績が得られなかったときはどうする のかということで、これは自ら治験を実施する者、すなわち医師の負担が相当大きいで すね。藤原先生は今おられませんが、非常にファイトのある能力が非常に高い先生です が、それでも一つ届け出て終わった治験で承認が得られないような結果だったら、次に またできるかなという気がするんですね。これは私の取り越し苦労かもしれません。そ れから予算をどうするのか。いい線までいって、もうちょっと何かやらなければいけな いというときに、これは面倒を見ていただけるのかどうかということです。  それから、先ほども触れましたが有害事象報告です。海外では標準薬として確立して いるのであれば、先ほど非常に膨大であると申し上げたわけですが、治験薬概要書ある いは添付文書の改訂ぐらいでもいいのではないか。海外で標準薬として確立していると いうことは、有効性、安全性を含めて確立しているわけですから、もうそこで日常診療 下での内容空疎なCIOMS Formを一々持ってこられても、というのが私の個人的な意見で す。それから、有害事象報告に関するGCPの運用、こういうところを検討してもいい のではないかと個人的には思います。  3番目ですが、有害事象と関連しますが、先ほどつくったばかりですので、お手元の 資料にはないだろうと思います。paper work、これは有害事象報告に限らないですね。 自ら治験を実施する者が用意、保管すべき必須文書の表を見ますと、ザッと数えても100 種類ぐらいあります。これだけの事務処理能力を、医療機関の治験管理部門が果たして 持っているのか。持たなければいけないわけですが、相当大変だろうと思います。そこ で、やはりCROなりSMOへの外注、外部委託ということを考えた方がいいのではな いかなという気がいたします。それから書類の簡素化、これはやはり本当に必須なもの は何なのか。これは医師主導治験全てに当てはまるわけではないかもしれませんが、特 に海外で有効性、安全性が確立している場合には、ある程度従来の治験とは違ったGC Pの運用法も考えられるのではないかという気がいたします。  4番目でありますが、医師主導治験というのは全て医師が行わなければいけないとい うふうに言っていますが、「自ら治験を実施する者」というような表現、文言がある と、例えば私自身もそうですが、これを仮にやるとすれば、全部自分でやらなければい けないという気がするのですが、これは私は恐らく誤解であろうと思います。治験の主 導がどこであっても、それが企業であれ医師であれ、治験というのは患者、医療機関、 製薬企業、治験支援組織(CRO・SMO)、こういった治験に関わる全ての関係者の 協力によって初めて可能となるわけですので、何でもかんでも自ら治験を実施する者が 抱え込んでしまうという考え方は、少し是正した方がいいのではないか。無理があると 思います。  最後になりますが、医師主導の治験では経済的利益は極めて限定的です。ほとんどな いといった方がいいでしょうね。やはりこれに関係する全ての者が、これは社会貢献で あると。社会貢献を通り越してもう奉仕だろうと思います。やはりそういう認識でやっ ていただかないと難しいわけです。では、従来の治験はどうなのかと。最近は民間の病 院、あるいは私立大学はもとより、独立行政法人化に伴いまして、国立病院、国立大学 も非常に興味を示しておりますが、興味を示しているのはやはり収益事業という意味で 興味を示している部分が大きいと思います。しかし、この医師主導治験というのはそう いうことは全くないわけでして、本当に社会貢献そのもの、奉仕そのものですので、ぜ ひそういう認識が必要だと思います。そして、そこに対しては政府の財政的支援、具体 的には厚生労働省の研究費、どういう形にせよ支援が強く望まれるということです。  それからもう一つ、これは提言ですが、治験に関わる多くの組織団体との共同作業が 可能になるような条件作り、すなわち医師自ら、治験を自ら実施する者といいまして も、自らだけでできるわけではない。そこで、GCPの運用改善としては、いわゆる over quality、これは是正していいのではないかと思います。どの部分がover quality かとなりますと、いろいろ議論があろうかとは思いますが、幾つか挙げられると思いま す。あえて個々のものは記載はしませんでした。  これは藤原先生がいないとほとんどしゃれにもならないのですが、これはオーケスト ラ、要するに治験は医師自らがやるといっても1人でできないということですね。これ は彼は指揮者であると。これはがんセンターであるとか、あるいは製薬企業、あるいは 治験促進センター、あるいはCRO・SMOと。こういうもの全てがあって、あくまで 藤原先生は指揮者であって、別に全てをやるということではないというふうに思いま す。  以上でございます。 ○池田座長  どうもありがとうございました。医師主導治験の現状と問題点、そして先生の御経験 に基づいたいろいろな懸念、あるいは疑問を御提示いただきまして、非常にクリアに御 説明いただいたと思います。質疑もあると思いますが、質疑はまた後ほどにさせていた だいて、続きまして生駒委員に「企業依頼治験について」お話をお願いしたいと思いま す。 ○生駒委員  日本製薬工業協会医薬品評価委員会の生駒と申します。よろしくお願いいたします。 それでは私の方から、「わが国の治験の現状及び課題について」−企業依頼治験につい て−説明させていただきます。  宿題を幾つかいただいておりまして、順番に、1)国際比較にみる日本の製薬企業の 現状、2)経営母体別医療機関毎治験の現状、3)治験の現状・課題と望まれる施策と いう流れで説明をさせていただきたいと思います。  この図は、「世界の医薬品市場と地域別シェアの推移」について、1993年から2003年 の中での比較を示しております。医薬品市場が1993年に2361億ドルであったものが、 2003年になりますと4917億ドルになっております。この中で米国がこのような非常に著 しい伸びを示しておりまして、約3倍の市場の拡大を示しております。米国が3倍、欧 州が2倍、日本が1.2倍で横並びという状況でございます。  次に、1996年から2001年に上市された新薬の、2003年度の地域別売上高のシェアでご ざいます。医薬品売上高の45%が現在米国がシェアを占めているということがございま すが、この期間の中で上市された新薬におきますと、米国が70%、非常に高いシェアを 示しております。残念ながら日本はその中では4%、非常に低いシェアを示していると いうことになります。  さらに、これは1993年から2003年にかけまして、市場全体の動きと、それからブロッ クバスターの売上高と品目数ということで図示したものでございます。売上高がこのよ うな急激な伸びを示している中で、ブロックバスターの数が1993年には8個しかなかっ たものが、2003年には71個ということで、非常に増えていることがわかります。それと 同時に、このブロックバスターのみの売上高というのをピンクで示してございますが、 このように伸びてきています。すなわち、この医薬品市場の伸びというものは、このブ ロックバスターの市場の伸びに比例しているということが言えるかと思います。  続きまして、「研究開発費と研究開発費率」でございます。これは1社あたりの研究 開発費を示しておりますが、ここでブルーと緑と赤で示しております。このブルーが海 外の大手、実際には2003年で120億ドル以上の売上高を示す会社が8社ございまして、 これが海外大手を示しております。それから海外の準大手、これは売上高が25〜120億 ドル未満の企業で、これが5社あります。さらに日本の企業は25億ドル以上のメーカー が7社ございますが、それの平均でございます。ごらんになるとわかりますように、海 外の大手は研究開発費が非常に増えてきております。それから、海外準大手、日本と、 順番に3倍、それから2倍、日本は大体2倍ですが、このような大きな売上高の伸びは 恐らくM&Aにより規模が非常に拡大したことによって、このようなR&D費の投資が できるようになったということが類推されるわけですが、実際の売上高に見る研究開発 費の比率でいいますと、海外の大手、準大手、日本はほとんど変わらないという図式に なっております。  これは、「1993〜2003年における研究開発費と成果(1社あたり)」でありますが、 このブルーの枠が研究開発費、ブルーの丸が新薬数、赤のダイヤモンドマークがブロッ クバスター数です。実際にフェーズII以降のパイプライン、いわゆる開発品目数を海外 大手、海外準大手、日本ということで調べますと、海外大手の平均が38.4品目、海外 準大手が15.8品目、日本が約8品目ということになっております。これに従って、研 究開発費も同様に比例しているということが言えるかと思います。この研究開発費に比 例して、さらに新薬数、ブロックバスター数も同様にこのような傾向が見られるという ことでございまして、やはりパイプラインの数を多く持って、さらにそれに伴って研究 開発費をかなりかけないと、新薬数も出なければブロックバスター数も出てこないとい う図式になっております。  それでは、日本の研究開発費が本当に向上していないのかどうかということでござい ますが、1997年のときには、日本オリジンの、いわゆる5億ドル以上の品目がどれぐら いあるかということで見ますと、5品目だけでございました。これが2003年になります と、17品目と非常に増加しております。この中でブロックバスターと言われます約10億 ドル以上の品目は、1997年には3品目だったものが、2003年で11品目出てきているとい うことでございます。このブロックバスターの中で、最初に上市された国というところ で見てみますと、日本というよりは海外で先に上市されて、大きな売り上げにつながっ たと、いわゆるブロックバスターにつながっているというようなことが類推されます。  これは何度かよく見られる図かと思いますが、国内のメーカーの開発状況でございま す。この黄色の部分が海外先行、あるいは海外のみの開発を行っている品目ということ で、一番下の薄い黄色が国内先行、あるいは国内のみというものでございますが、この 図で明らかなように、海外先行、あるいは海外のみというものが1993年には18.3%、 これが2000年には43.2%ということで、やはり海外先行にシフトしているということ が言えるかと思います。  これは先ほど資料の中にもございましたが、治験届の数がこのように減っているとい うことで、国内の治験の低迷が続いているということかと思います。  続きまして、製薬協の臨床評価部会で、「依頼者から見た治験の実態と施設選定の方 向性」ということでアンケート調査をしております。実際には平成14年4月から平成15 年3月の1年間に終了した治験について、86社にアンケート調査をいたしました。治験 数が35プロトコール、延医療機関数が650機関、総実施症例数4367症例ということでご ざいます。  まず、治験期間の比較については国公立大学病院、私立大学病院、それからクリニッ ク、最後に全体のまとめというような図でお示ししてございますが、治験期間の比較で ございます。このブルーのところから治験依頼をスタートして、治験薬の交付が済んだ ところということで、この緑のところでやっとエントリーが開始できるようになったと いうことになるわけですが、この緑は治験薬が交付された後、データ、患者のエントリ ーが済んで、CRFのクリーンアップが全部終了した時点であります。クリニックは依 頼から交付までが49日に対し、一番長いのが国公立大学の106日ということで、ここで 既に2カ月ほどの違いが出ております。さらに実施状況ということでこのように緑で示 してございますが、実際には最終的に治験の依頼からCRFのクリーンアップというと ころまで、クリニックとほかの病院との違いが200日ぐらいあります。これは単発の治 験において200日ということになりますので、これがフェーズIからフェーズII、IIIと いうことで、3ステップが間に入ることを考えますと、単純計算して例えばクリニック だけでやりますと600日、ほかの施設を選定した場合と違いが出てくるということで、 スピードが2年ぐらい違ってきます。実際にはクリニックでは入院患者の治験はでき ず、ほとんど外来でございますし、そういう意味では、対象疾患によってはクリニック が参加しにくい治験もございますが、もしクリニックだけでやったとすれば、かなりの 治験期間の短縮が図れるということになります。  それから、各医療機関別の症例の実施率でございますが、クリニックが85.9%に対 しまして、軒並みほかの医療機関においては大体70%でありました。  それから、幾ら症例が上がっても、最終的に症例が採用できるかどうかというのは非 常に大きい問題になるわけですが、症例の脱落率で見ますと、やはりここにおいてもS MOあるいはCROが徹底してやられておりますので、クリニックが4.9%、非常に 脱落率が低いということが言えるかと思います。逆に公立病院、私立病院では10例に1 例ぐらいは脱落というような、ひどい状況でありました。  医療機関別の症例毎の単価、及びSMOあるいはCRCの関与別の症例単価というこ とでございますが、今までずっとクリニックがスピードもあって、症例もエントリーし て、脱落も低いという非常に優等生であったわけですが、ここに来て1例の治験単価が 非常に高いという問題があります。要するに、ここにお金をかけてスピードを上げると いうやり方もありますが、SMOの関与ありとSMOの関与なし、ここで倍ぐらいの差 がございます。SMO関与ありあるいはCRCの関与ありということになりますと、や はり治験の1例の単価がこんなに膨らんでくるということになります。これが、わが国 における研究費の高騰につながっている理由のひとつと思われます。  続きまして、「治験の現状と課題」ということでございますが、幾つか挙げさせてい ただいております。まず、治験におきましては、先ほど海外での開発を先行させる企業 が増加していると、これは図のとおりでございます。また、治験届数の低下ということ からもわかりますように、治験は依然として低迷しているということが言えるかと思い ます。それから、先ほどクリニックでかなり優秀な成績を上げているような話もしてお りますが、やはりSMO・CRC等の充実という中で、従来はクリニックではなかなか 治験ができなかったものが、かなりクリニックでも十分治験ができるようになってきた という意味では、大規模医療機関から小規模医療機関へのシフトが起きているというこ とが言えるかと思います。それから、治験参加医師の治験への参加意欲が低いというこ とは、従来よく言われていることでございます。わが国においては、患者さんのエント リーが非常に遅いということが、治験の期間が長いということにつながっております。 その一つの理由としては、治験参加医師の治験への参加意欲が低いということが挙げら れております。それから、データの質の向上については、もっと追求すべきであります が、ややオーバークオリティになっていないかなというところで、一つ挙げさせていた だいております。また治験費用の著しい高騰については、先ほどお示ししてございます が、諸外国に比べても日本の治験費用は高いということになっているようでございま す。それから、治験相談の遅れ、これにつきましては最近改革案が出されております が、相と相の間に治験相談をかけることになりますけれども、ここはやはり待ち時間が 非常に長くなりますと、治験全体のスピードが低下してまいりますので、何とか対応を お願いしたいと考えております。  そこで、望まれる施策をまた幾つか挙げさせていただいております。1つは、国民に 対する治験の意義等に関する普及・啓発でございますが、これについては製薬協でも既 にアンケート調査をしておりまして、従来と比べますとかなり治験に対する意義といい ますか、その辺の理解が進んでいるという結果になっております。継続してこちらの普 及・啓発についてはよろしくお願いしたいと思っております。また、被験者へのインセ ンティブということでは治験外来の設置、既にこれは国立病院を中心に幾つかやってい ただいているようでございますが、やはり待ち時間なしで治験が、治療が受けられると いうメリットがございますので、さらなる普及をお願いしたいと考えております。ま た、大体交通費に近いようなものが協力費としてございますが、こちらの方の見直しに ついても考慮いただきたい。  それから、治験の計画・推進のできる拠点医療機関の育成については、近年、地域に おきまして、治験ネットワークというものが幾つか立ち上がっているようでございま す。やはり治験の質あるいはスピードというものを考えますと、そこの治験スタッフあ るいは治験実施センターの充実というものが、どうしてもソフトとハードの面で必要だ ということになりますので、その辺に対する補助なり育成なりをぜひとも考えていただ きたい。  それから、医療機関の治験関係者へのインセンティブ向上についてですが、先ほど治 験参加医師の意欲が低いという話もあり、治験をやりますと、施設の方に研究費を払う わけですが、ほとんど施設に入ってしまい、いわゆる治験参加ドクターの方にはほんの 微々たるものしか入らない。診療でいろいろ忙しい中、治験をやっていただくわけです が、ドクターにすればあまりメリットがないということになります。そういう意味で は、報酬面での効率化というものをもっと図っていただきたい。さらに、研究実績と同 様な評価ということでございますが、治験に対するドクターの学問的な評価がどうして も低く、これは学会レベルで治験の管理者という意味での評価といいますか、そういう ものの見直しを何とか考えていただきたい。  次に、ドクターのGCPに対する理解が不足しているとよく言われておりますが、医 薬品開発学、臨床統計学、データ管理学など臨床研究に係る講座の設置と教育の実施、 このような施策をぜひともお願いしたいと考えております。  それから、治験コーディネーターの継続的な養成という点については、これも既に治 験活性化3カ年計画の中に盛り込まれている施策でございまして、既に1,500名以上の 養成ができているようでございますが、何とか5,000名、さらにはそれ以上の継続的な 養成をお願いしたい。  さらに、治験経費の見直しということでございますが、一つはやはり出来高払い、同 様にポイント制から原価重視、すなわち実費+オーバーヘッドというようなことで見直 しをお願いしたい。症例の実施率が100%いかないという中で、症例見合いの研究費の 支払い、あるいは原価重視すなわち、本当に必要なものだけ払うというようなところで の見直しをお願いしたい。  それから、希少疾患、難病、高度先進医療、EBM等への国費の増額ということでご ざいますが、このような社会的に非常に意義のある臨床研究につきましては、国費の投 入あるいは増額というものをぜひとも図っていただきたいと考えております。大学、国 立病院というような大きな医療機関におきましては、国費研究への比重を増やしていた だきたい。  また、治験前段階から承認までの一貫した指導・審査体制構築ということでございま すが、FDAの場合、治験の開始許可の段階から途中の相談、あるいは最終的な審査ま で、ある審査官の一定のチームができておりまして、治験か医師から承認まで同じメン バーで相談なり審査を受けられます。このような継続性が一つの開発の効率化、あるい は迅速化というものにつながると思いますので、何とかこのような体制構築を考えてい ただきたいと思っております。ただ、総合機構はFDAのような審査官が1,000名以上 というような組織ではありませんので、なかなか大変かと思いますが、順次この辺の体 制構築に向けての整備をお願いを申し上げます。  そのほか、今後国際化、高度先端医療に対応するためのGCPの見直しということ で、ICH、GCP等わが国のGCPはそれぞれ整合すべきところがあり、見直しをお 願いしたい。  最後の資料でございますが、治験における企業負担の軽減について、実際に治験の事 務手続が非常に煩雑であるために、モニターはほとんどへとへとになって、通常本当に やらないといけないモニタリングがなかなかできていない。現在施設間で事務書類の様 式がバラバラでございますので、何とか様式の統一化、あるいは電子で入手できるよう なやり方、あるいは患者さんの安全性を十分配慮した上での簡素化というものが、何と か図られないだろうかということでございます。  それから、信頼性調査でございますが、オーバークオリティ部分の簡素化というもの は、ぜひとも考えていただきたいと思っております。  それから、先ほど同じような説明をしておりますが、国際的対応の遅れについて、日 本のドクターの、あるいは医療機関の国際共同治験への参加が困難になっているという ものに対しましては、GCPの見直しを含めて、海外の規制当局との連携、調整という ものをぜひとも進めていただきたい。 私の方からは以上でございます。 ○池田座長  ありがとうございました。ただいま景山委員からは医師主導治験、そして生駒委員か らは企業依頼治験についてお話をいただきました。当初、事務局から現在の治験の状況 等も含めて御説明をいただいたわけですが、残りちょうど35分ぐらいございますので、 ここでそれぞれのプレゼンテーション、あるいは説明に対する御質問、コメント並びに 質のいい治験をなるべくスムーズに始めるような提言、あるいは今後の方向性みたいな ものの御意見もあわせて伺いたいと思います。今日は第1回ということで、先生方の忌 憚のない御意見を伺わせていただけたらと思いますので、どうぞ御意見、あるいはコメ ントをお願いします。吉村委員、どうぞ。 ○吉村委員  吉村です。質問がそれぞれあって、一つずつお聞きしたいと思います。まず景山委員 ですが、治験というからには、結果として効能追加にしろ何にしろ承認を受けることに なると思うのですが、その承認を受けるのは一体誰で、しかもその受けた後で、市販後 調査その他などをやるのは一体誰がやるのかということを、できれば現状として教えて いただきたい。もう一つ、生駒委員にお尋ねしたいのはオーバークオリティというこ と、これは景山先生の方からも出てきましたが、具体的にはどういう内容のことをオー バークオリティとおっしゃっているのか、教えていただければと思います。 ○池田座長  景山先生からお願いします。 ○景山委員  これは私より厚労省の方にお答えいただいた方がいいだろうと思いますが。総括報告 書をつくるのは自ら治験を実施する者ですけれども、承認の申請は製薬企業からです ね。では承認された後の使用成績調査ですか、これはどこがやるんでしょうね。やはり 治験を実施した者がやらなければいけないのでしょうか。ちょっと私はそこは十分理解 しておりませんが。 ○池田座長  川原課長、どうですか。 ○事務局  それは今度の改正薬事法で製造販売承認制度が導入されましたが、そこが市場に対し て責任を持つという形になりますので、企業がやると。主体は企業で市販後調査はやる ということになります。 ○池田座長  吉村委員、よろしいですか。それでは生駒委員、お願いします。 ○生駒委員  オーバークオリティということでございますが、具体的には例えば信頼性調査という ことになりますから、いわゆるデータの質、あるいはGCPに準じてちゃんとやってい るかどうかということが中心になろうかと思います。実態的には例えば治験の計画に関 わるような指摘があったり、それから有害事象についてのまとめ方について別なまとめ 方をせよといった指摘とか、いわゆる審査の段階で受けるような指摘があったりいたし まして、それがどの辺の基準で指摘されているのかというあたりを挙げさせていただい たのですが。 ○池田座長  吉村委員、おわかりになりましたか。 ○吉村委員  いや。あまりよくわからないんですけれども、実際に僕なんかどちらかというとデー タの質に関しては要求がきつい方だと思うので、こういう場合はちょっと幾ら何でも多 いのではないかというような、かなり具体的なといいますか、もしお話が聞けたらと思 ったのですが。 ○生駒委員  なかなかつらいところがありますが、例えば一つ挙げますと、ある治験先、医療機関 の講師でしたドクターが、半年後に助教授になっていたのがわかったというようなこと があったわけですが、それは通常ちゃんとモニタリングをやっていれば当然わかってい ないといけない、確かにそうなんですが、そういうことすらわからないのが問題だとい うことで、始末書を書かれたメーカーさんもあったりしまして、1例を挙げればそうい うこともあったわけでございます。 ○吉村委員  はい、わかりました。 ○池田座長  そのほかに。どうぞ、木村委員。 ○木村委員  生駒委員にお聞きしたいと思います。先ほどクリニックの治験が早い、実施率も高 い、脱落も低いということで、200日という大きな違いがあるということですが、IR Bはどういうふうにしているかということと、それから国公立あるいは大病院と比べて どこが短いのかということを教えていただきたいのですが。 ○生駒委員  一つは、現在のわが国のGCPですと、IRBは各施設につくらなければいけないと いうことになりますので、そのクリニックの中に全部つくられることになります。 ○木村委員  個人のクリニックでもIRBを持つのですか。共同でIRBをやっているとか、そう いうことではなくて。 ○生駒委員  海外の場合ですとセントラルIRBとか、別なところに委託してというのはあるわけ ですが、日本においては大体施設においてつくるということになっておりますので。 ○木村委員  個人のクリニックはあまり入っていないのですか。 ○生駒委員  開業医です。 ○木村委員  その中にIRBを置いているのですか。 ○生駒委員  はい。 ○池田座長  これは寺岡先生、医師会はこの点については関与はされていないでしょうか。IRB というか倫理審査委員会ですね。 ○寺岡委員  医療機関におけるIRBということの医師会としての考え方ですが、まだ具体的に各 医療機関でIRBをどのようにつくるというようなことは、実例は少ないのですが、た だ日本医師会としてその指針を出しておりますので、それの指針に従って各医療機関で IRBをつくっていただくということはできると思います。ただ、ちょっと私も不思議 に思いますのは、個人のクリニックでIRBをつくるということが、実際に可能なのか なという気は今しております。 ○池田座長  どうぞ、川原課長。 ○事務局  実際にはかなり外に、外注というんですかね、そういう形は今規定上は可能なんです よね。 ○池田座長  その辺、SMOなんかがある程度。 ○事務局  ちょっともしあれば。クリニックなどでは結構外に、外注しているというか、そうい うケースも。全部をというわけではないと思いますが、最終的にはそこの医師が判断す るのだと思いますが。 ○事務局  治験審査委員会ですが、基本的には実施医療機関ごとに設置するということになって はいるんですけれども、ただ、ただし書きがございまして、その実施医療機関が小規模 であること、その他の事由により当該実施医療機関に治験審査委員会を設置することが できないときは、当該治験審査委員会を以下に掲げる治験審査委員会に代えることがで きるということで、必ずしもその実施施設に置かないといけないということには、GC P上なっておりません。具体的には、どういうものが代えることができるものに相当す るかということでございますが、実施医療機関の長が他の医療機関の長と共同で設置し た治験審査委員会、民法第34条の規定によって設立された法人が設置した治験審査委員 会、医療関係者により構成された学術団体が設置した治験審査委員会、他の医療機関の 長が設置した治験審査委員会、このようなものが実施施設に置けないときにあっては、 これに代えることができるというものでございます。 ○池田座長  ということは、個人の開業の先生がどこかの病院のIRBにお願いして審査をしても らってもいいと、そういうことですね。あるいはSMOが世話をするということもあり 得ると、そういうことですよね、実際には。 ○事務局  それはその施設の中に何らかの事由によって設置できないということであれば、ほか に代えることができます。 ○池田座長  木村委員、どうぞ。 ○木村委員  そういうことですと、なぜこの200日というふうに短いかというところです。一番短 くなっている部分ですね。国公立大学、私立大学病院と比べて短いところはどこなので しょうか。例えば大学病院等で審査をしているとすると、やはりそこでは同じように時 間がかかってしまうと思うんですね。そうすると、あとはどこが一番短くなっているか ということですね。 ○生駒委員  実際には患者さんのエントリーのところですね。SMOあるいは開業医自身が患者さ んのパネルを持っておりまして、いわゆる患者さんの一覧表のようなものを大体持って おりまして、その中でプロトコールに合致するような患者さんの選定が非常にたやすい といいますか。例えば患者履歴で併用禁止薬はどういうものを使っているかとか、全部 わかりますので、そういう意味ではエントリーもかなり早いというふうに聞いておりま す。 ○木村委員  エントリーの部分が違うということですか。それでこれだけ違うのですか。  生駒委員 そのほかには、最初に図例でお示しいたしましたが、申請に対する治験の 依頼から治験薬の交付というところが、実際に49日対106日だったかと思いますけれど も、そのところで既に2カ月ぐらいの差が生じているというようなこともございまし て、これはSMOがかなりやってくれている結果であります。 ○木村委員  そうすると、そこら辺はCRC、コーディネーターの力ということで、コーディネー ターの関わる力がやはりクリニックの方が効率よくできるというような感じなのでしょ うか。 ○生駒委員  かなり大きいと思います。ただ、最近では大学、大病院もかなりCRCや治験事務セ ンターがしっかりしてきておりますので、この差はいずれ縮まるものとは思いますが。 ○木村委員  ありがとうございます。 ○池田座長  よろしいですか。そのほかいかがでしょうか。  生駒委員が、日本でも日本オリジナルの薬が増えている、前と比べれば増えてはいま すよね。そういうような薬というのは非常に望まれる薬ですよね。そういう薬とそのほ かの薬とを比べたときに、患者のエンロールメントとか、それから承認までのプロセス について差はあるかどうか。薬別について。こういうトップ100に入るような薬ですね。 売上高の高い薬とそうではない薬と違うかどうかという、その辺のデータはございます か。 ○生駒委員  そういうデータは持ち合わせておりませんが、本当にそのメカニズムが新しくて、ど ういう適用にきくかどうかわからないような新しいものといいますと、その特徴を出せ るようなプロトコールがいかに組めるかどうかということになります。、治験の計画、 あるいは進捗、あるいはその有害事象も含めて、恐らくオリジンではない2番手、3番 手の薬よりはスピード的にはちょっと遅い可能性が高いと思います。やはり2番手、3 番手というのは、最初にオリジンで成功しているプロトコールからかなり情報が入手で きますので、どういうプロトコールでやっているかとか、どういうところをターゲット に置いてやっているかというのはある程度見えてきますので、それに準じていけばかな りスピードは速いというふうには考えられます。 ○池田座長  どうぞ。 ○吉村委員  吉村ですが、売上高ということの意味ですけれども、これは例えば日本というのは、 日本の国内市場でそういう消費があったという意味ですか。それとも、例えば米国の売 上高というのは、要するに米国の企業が世界中に売った金額という意味でしょうか。つ まり売上高という言葉は、そこの地域で売った額という意味なのか、それとも売った企 業がそこでもうけたというか、売り上げとして得た額という意味でしょうか。 ○生駒委員  これは地域ということでございますので、恐らくですが米国で売った売上高だと思い ます。 ○吉村委員  だとすると、日本の場合、非常に少ないというのは、日本人が薬をあまり買わなかっ たということを意味するのでしょうか。例えば売上高シェアが4%と書いてあります が、日本人はそんなに薬を買わない人種であるのか。米国が70%で日本が4%という と、要するに日本はほとんど薬を使わず、アメリカはせっせと薬を使っているという、 そういうことでしょうか。 ○生駒委員  これは新薬ですね。1996年から2001年に上市された新薬の数が少ないということも当 然あるかと思います。あと、ブロックバスター製品がやはり海外の大手メーカーと比べ ると少ないというあたりで、この70%対4%という数字があるかと思います。 ○池田座長  望月委員、よろしいですか。 ○望月委員  生駒委員にお聞きしたいのですが、お答えづらい点もあるかもしれませんが、数点御 質問させていただきます。まず一つは、「治験の現状と課題」の中で、海外での開発を 先行させる企業の増加というのがあったと思いますが、これは国産品の開発自体も海外 で先行させる企業が多いということでしょうか。もしそうだったとすれば、その理由と いうのがおわかりになれば教えていただきたいのですが。 ○生駒委員  国産オリジンの薬でも、海外で先行して開発をする会社が多くなってきたということ でございます。理由としては、新薬を創製するために非常に膨大な投資が必要になるわ けですが、やはりスピードを重視して、早く承認まで持っていって、早く売りにつなげ て、資金の早期回収を図るというのが当然必要だと思います。それについては、やはり 日本よりは海外の方が治験のスピードが速いということが理由のひとつにあげられま す。それと特許の問題で、スピードを図れば、それだけ承認されてから特許が切れるま での期間が長くなりますので、その結果回収といいますか、かなり大きなものが期待で きるということになります。そういう意味でもスピードは大きな理由と考えます。 ○望月委員  ありがとうございます。多分そういうものの背景の中に、今回お話しされた日本での 問題点が関わってきているのだと思いますが、もう一つ、治験の費用が著しく高騰とい うのも同じところに出てきまして、先ほど海外と比べて非常に高いというお話をされて いたのですが、具体的な例でどのぐらい違うものなのかというのはおわかりになります でしょうか。 ○生駒委員  これも製薬協の方でアンケート調査をしておりまして、正確な数字はちょっと覚えて いないのですが、1例当たりの単価として300万対200万ぐらい、大体3対2とか、その ぐらいの違いがあるようでございます。これはアンケート調査の結果でございますが。 ○望月委員  そうですか。それは例えばそこに関わる人件費が、国内と国外でかなり違うからなの か。あるいは医療機関に治験の費用として支払う部分が根本的に高いとか、そういう部 分なのでしょうか。 ○生駒委員  契約そのものが、日本の場合ですと最初に医療機関と契約して実施するわけですが、 海外の場合ですと治験参加医師と直接契約して行っておるわけです。ですから海外の場 合ですと、治験参加医師にその費用をお支払いして、そこから使用する医療機関の方に 2割なり3割なりの、在籍料じゃないんでしょうけれども、施設利用費とかそういうも のもお支払いしますし、あるいはCRCの人件費なども、その参加医師に納めたもの中 からお支払いするという形になります。日本の場合ですと医療機関に、施設にほとんど 入って、ドクターの方には配分が非常に少ないということになっておりますが、実際に 高騰化の理由としてはSMOとかCRCなどのアウトソーシングがやはり高騰化の一つ の原因になっているかと思っております。 ○望月委員  ありがとうございます。もう一つだけ教えていただきたいのですが、GCPの見直し が必要だということで、国際化を推進していくためにというようなことでお話しされて いたのですが、私も海外とどの程度GCPの基準に相当するものが違うのかよく存じな いのですが、具体的に言いますとどの辺が大きく違うのでしょうか。 ○生駒委員  非常に難しい御質問でもあるのですが、特に大きいのが、やはり先ほどの治験参加医 師と直接契約ができるという点。それからIRBも、参加施設にIRB設置ができなけ れば、ほかのところに委嘱することができますが、実際には海外ですとセントラルIR Bすなわち、外部の医療機関のIRBに頼むこともできるというようなことが堂々とう たわれているわけです。場合によっては、IRBの専門業者まであるようなことも聞い ておりますが、その辺が大きな違いと聞いております。 ○池田座長  はい、どうぞ、寺岡委員。 ○寺岡委員  日本医師会の寺岡でございます。この委員会は医師主導型であれ、あるいは企業主導 型であれ、共通の問題点もあるし、それぞれの違った問題点もありますから、それをこ こで出し合って今後の検討の課題にするという趣旨だろうと思いますから、特にあげつ らって言うつもりもないのですが、ちょっと今の生駒委員がお話になった海外での開発 費と日本での開発費が、1件について日本と米国では非常に違いがあるということをお っしゃった。私もその詳しいデータを持っていないので、アメリカの方が安くて日本の 方が高いんだというのは本当にそうでしょうか。それはもしそういうことであれば、ま た次回にでも、あるいは別の場面でもよろしゅうございますから、そういったデータを ぜひお示しいただきたいと思います。  それから、日本で高くかかっている理由の一つに、いろいろなこともございますでし ょうが、開発のときの研究費が医療機関にほとんど行ってしまって、個人の、つまり研 究者のところへ行かないというようなことも今言われたと思いますが、それはあるいは 局部的には現象的にはそういうこともあるかもしれませんが、研究費が高い安いのトー タルにはあまり影響ないことではないかと私は思うのですが、ちょっとそこは誤解を受 けると思いますので、御訂正いただかないといけないのではないかなと思います。 ○生駒委員  おっしゃるとおり、ドクターに配分が少ないというのは、治験費の高騰には関係ござ いませんでした。 ○池田座長  今、寺岡委員から御指摘の点は非常に大事で、もし別の機会にまたその資料がござい ましたら、お示しいただきたいと思います。 ○寺岡委員  それからよろしゅうございますか。景山委員からは医師主導型の治験のことについ て、ほとんど私どもが悩んでいることを全部言っていただいてどうもありがとうござい ました。しかし、とはいえ、医師主導型治験というものに意義を見出して、我々が取り 組んでいくというのは、それはどこにインセンティブがあるかというと、やはり医師と いうのは現場に密着して、患者さんの訴えを何とか取り上げて治したいという意欲があ ることが、日々の診療ということがすなわちそれにイコールなわけですから、それの延 長上にこの治験というものもあるんだと思いながら、恐らく担当する人たちは取り組ん でいっているのだろうと思います。でも、なおかつやはり非常に負担が大きいと。経済 的な裏づけも不安定であるところに問題があるということを御指摘いただいたと思って おります。かといって我々が意欲を持っていないということではございません。ぜひそ こら辺のところも、御指摘いただいた点を今後検討課題にしていただければと思ってお りますので、よろしくお願いいたします。 ○池田座長  そうですね。寺岡委員が言われたように、あるいは景山委員の御指摘のように医師の 主導ということで、医師がやらなければいけない仕事は山ほどあるということがあっ て、非常に大変な思いをしなければいけない。それをある程度覚悟しながら、この治験 をやっていくということになると、藤原先生がいらっしゃったので、藤原先生も医師主 導の治験をやられているのでちょっとお聞きしたいのですが、先生、医師の治験へのイ ンセンティブということがいつも問題になるんですけれども、今、寺岡委員がおっしゃ いましたが、例えば先生がやられていて、何が最も先生の意欲をかき立てて、この医師 主導の治験をやろうというふうに思われるか。あるいはこの医師主導の治験をもう少し 活発にやらせるためには、どういう基盤の整備をしたらいいのか。医師の資質だけに任 せていていいわけではないと思うので、基盤の整備も必要だと思いますが、その辺も含 めてちょっと先生の御意見をいただけますか。 ○藤原委員  はい。がんセンターの藤原でございます。医師主導治験のインセンティブでございま すが、私どもは今グリベックを肉腫というまれな疾患に対して使っておりますけれど も、私がそもそも医師主導治験を始めた経緯は、今の日本の制度では未承認薬とか適応 外使用というのを、臨床試験の環境下で大手を振って、保険診療を使いながら、日常診 療と兼ね合いながら行うことができないんですね。ですから、患者さんにとって非常に 科学的エビデンスが高くて、海外では非常に使用が渇望されているような薬も、遵法精 神にのっとった、アングラではない手段で患者さんに投与する方策はなかったのです。 それが医師主導治験ができたので、どうせ企業はペイしないような領域ですから、誰も 開発することもないような領域ですから、そういうところに非常に高い新薬を、私ども の新薬も非常に高いですし、1錠何千円もするようなものを、通常の患者さんが個人輸 入をして使うようなことはとてもできませんので、医師主導治験をあえて選んで、企業 さんに頼んで薬の提供はお願いしましたけれども、それ以外のところは自前でやって、 何とかそういう肉腫というまれな疾患に悩んでいる患者さん方に貢献したいというのが インセンティブです。ですから、企業に任せていても、営利の方ですからしようがない ので、そういう中ではない領域で薬をしっかり自分たちでとってきて、それを患者さん にきちっと投与したいというのがインセンティブです。 ○池田座長  まさに医師としての気持ちと患者さんに対する気持ちというのが、非常に前面に出て いると思うんですけれども、そうはいってもこの治験をやるに当たって、やはり医師の 負担というのは相当多いと思います。その負担を軽減しながら、なおかつその臨床治験 のクオリティを落とさない、そういうためにこの辺は負担を軽くしてもいいんじゃない かというような御意見、先ほど景山先生からも大事な問題として提起されたのですが、 その辺はいかがでしょうか。 ○藤原委員  私どもは抗がん剤の領域でやっていますので、今実際にやって一番困っているのは有 害事象報告というものでございまして、治験調整委員会は私ともう1名の医師が2人で やっているんですけれども、大一流企業に世界から入ってくる有害事象と同じ数の有害 事象が、私どものところに流れてくるんですね。毎日大体20件近くの有害事象報告が世 界から集まってきて、外来が終わる4時ぐらいにそのファクスが来ますので、それを全 部見て、1日のうちに処理して、参加されている各施設の治験責任医師の方々にその情 報をまいて、その意見をもらった上で厚生労働省に、例えば7日以内とか15日以内に報 告する義務があるという判断を毎日しています。企業も同じ報告を受けて同じように対 応していますので、ダブルスタンダードというか、全くの二度手間だと思います。半年 余りたちましたけれども、既にファイルが1.5〜2メートル近くになりまして、私ど もの治験は3年間続くので、3年間2人の医師が日常診療の片手間にその有害事象報告 の処理を延々にやり続けるかと思うと、かなりつらいところがあります。  先週EUに行ってきたのですが、EU Clinical Trial Directiveという、臨床試験 をめぐる非常に厳しい法律が2004年から施行されているんですけれども、彼らの有害事 象の報告を見てみると、自分がやっている臨床試験の中で発生した有害事象で未知・重 篤なものを規制当局に報告すればいいという、非常に現実的な対応をとっています。そ れでも大変だと彼らは言っていましたので、ぜひ日本でも当該治験だけの有害事象を報 告対象にして、それ以外の報告は通常、企業の方から報告されるような体制にしていた だくと、とりあえず今の苦しみはちょっと楽になるかなと。 ○池田座長  そうすると、その辺はこの検討会でも一つの大事な課題になると。景山委員もそのG CPの運用について、有害事象の報告を少し検討してもいいんじゃないかという問題を 提起されましたが、そんなことで今後よろしいでしょうかね。 ○藤原委員  はい。 ○池田座長  どうぞ、寺岡委員。 ○寺岡委員  その辺のところは、お願いをしている日本医師会の治験促進センターとしては、まだ 力不足のところでありますが、今基盤的に整備しておりますのは、有害事象も含めて事 例のデータを、ファクスサーバーという新しいサーバーを整備いたしまして、データベ ース化の充実を図っております。さらにそれをどのように分析していくかということに ついては、マンパワーも必要ですし、それからそのほかにいろいろさまざまなパワーが 必要なわけで、それはぜひ急いで整備しなければいけない課題であるという自覚もして おりますが、これもやはり自分たちだけでやろうとは思っておりませんで、ぜひいろい ろな仕組みを総合的に利用しながら構築していきたいと、このように考えております。 ○池田座長  ありがとうございました。今井委員にちょっとお伺いしたいのですが、国内未承認薬 というのがございますね。患者さんの立場からすると、国外で使われているのに、それ は自分にも使ってほしいと、こういうふうに患者さんは当然のことながら希望されるわ けですが、そういう希望と、これを承認に持っていくために治験に参加することとの意 味合いというのは、患者さんにとってみるとかなり違うのですか。あるいは同じなんで しょうか。今後仕組みを考えていくときに、やはり我々は患者さんのためにいい医療を つくろうと思っているわけですが、患者さんの側からするとその辺の意識というのはど うなのか、ちょっと御意見を聞かせていただけますか。 ○今井委員  私はこの間も治験の被験者になったのですが、患者さんにとってと言われてしまうと とても困りまして、患者さんの考え方は多分お医者さんの皆さん以上に多様だと思われ ます。ただ、未承認薬を使うことと治験の被験者になることが根本的にすごく違うなと 思うのは、未承認薬を輸入して使っていただくというのは、私が治療してもらうとい う、自分が主体なわけですよね。積極的な方はそうなさっていると思います。治験のと きは私はちょっと存じないのですが、抗がん剤の治験というのはプラセボはあるのでし ょうか。そういうのは置いていないのですか。 ○事務局  通常は日本ではアクティブコントロール、対象薬はアクティブなものだと思います。 ○今井委員  何かそれに代わるものとかを使うんですか。どちらにしても患者さんにしてみると、 自分に何が当たるかわからないというものですよね。ダブルブラインドのときは。そう すると、私の治療のためだけにやるというものではなくて、治験の最初に、「あなたの 治療、個人の治療を目的としたものではありません」と私は言われたのですが、やはり ちょっと意味合いが違うなとは思います。  もう一つ、この医師主導の治験についてお伺いしたかったのですが、エントリーして くる患者さんというのはどのような方法でリクルートするのでしょうか。例えばここで 国立がんセンターを中心に10施設と書いてありますよね。そうすると、たまたまその10 施設に来た方が対象になるのですか。それとも全国に広く公募というか、よく普通の製 薬会社の場合、折り込み広告が入っていたりするのですが、公募をするのでしょうか。 ○池田座長  藤原委員、どうぞ。 ○藤原委員  本当はマスコミさんにそういう広告でもすればいいんですけれども、何しろお金がな いので、今のところは例えば医師会の大規模治験ネットワークの方が、多分治験促進セ ンターのホームページに行ければそういう参加施設というのは公開されていますので、 そういうことは目にすることができると思います。今おっしゃるように、私どもの治験 については全国で実際は9施設なんですけれども、そこの病院にいらっしゃる方、ある いは肉腫の患者さんのクチコミというところで、積極的に例えばホームページ等を開設 して、この治験に参加してくださいという応募は、現在のところはしておりません。 ○池田座長  よろしいですか。先生方から活発な御議論をいただきまして、今回第1回ということ で、今後検討していかなければいけない方向も幾つか出たのではないかなと思います が、これまでの議論を踏まえて、今後の課題の取り扱いについて、事務局の方で何かお 考えはございますか。 ○事務局  本日はまだ十分意見交換ができていない、時間がちょっと足りなくなってしまったよ うな感じでございますが、GCPの運用改善といったようなところについては、かなり 御意見が出たのかなと思っております。したがいまして、次回につきましてはGCPの 運用のところでの問題点、それから改善について、もう少し議論を深めていただければ と思います。その他の課題につきましてもいろいろ御指摘がございましたが、それにつ きましては事務局の方でちょっと整理しまして、次回にでもGCPの運用改善以外のと ころについては、どういうプライオリティー、順位づけで議論をいただくかということ もちょっと整理させていただきたいと思います。 ○池田座長  ありがとうございます。今日は第1回ということで、先生方は初めて顔を合わせた方 もいらっしゃいますし、景山委員、生駒委員からプレゼンテーションもいただきました ので、それらを念頭に置きながら次回以降、GCPの運用改善を一つの課題にしながら も、もう少し幅広くこの治験を推進していくための施策を、先生方と御議論させていた だきたいと思います。進め方については、私も不慣れなものですからちょっと不手際が あったと思いますが、事務局と相談して少し問題を絞りながら、議論できるような格好 にさせていただきたいと思います。それでよろしいでしょうか。  それでは、後ほど私が事務局の方とまた相談をさせていただいて、議事の進行等も少 し工夫させていただきたいと思います。長時間にわたって先生方、本当にありがとうご ざいました。最後に事務局から、次回以降の予定をお願いできますでしょうか。 ○事務局  次回以降の日程につきましては、先生方の御都合をお伺いしておりまして、一部まだ 御返事いただいていない先生もいらっしゃるのですが、本日もちょっと議論が十分でき なかったということもございますので、次回につきましては4月20日の16時あたりが、 今いらっしゃっている先生方の中では一番よろしいかなと思いますので、次回は4月20 日の16時という形にさせていただければと思いますが。 ○寺岡委員  動かせないですか。4月20日ですね。 ○事務局  はい、4月20日でございます。 ○寺岡委員  委員会が密集していまして。 ○事務局  事務局で今の状況をもうちょっとこうさせていただきますので、座長の方で少し確認 をしていただければと思います。5月ですと26日の10時、午前中といったところが今一 番御都合のいい先生が多いという形でございますが、ちょっと座長の方で4月20日の16 時と5月26日の10時ということで、各先生方の御都合を。 ○池田座長  先生方、どうでしょうか。皆さんお忙しい方ばかりなので、事務局の方も非常に苦労 しているんですけれども、4月20日の16時〜18時と、5月26日の10時〜12時というの で、どうしても都合が悪いという方はいらっしゃいますか。4月の方はどうしても都合 が悪いという方はどなたか。 ○木村委員  すいません。私もちょっと。 ○池田座長  寺岡先生と木村先生ですか。 ○寺岡委員  25日は結構です。 ○池田座長  5月26日はよろしいですか。 ○寺岡委員  26日ですか? ○池田座長  ええ。5月は26日ですよね。 ○事務局  はい。5月は26日でございますが。 ○池田座長  木村先生もよろしいですか。 ○木村委員  これは私は大丈夫です。 ○事務局  26日の午前中、10時〜12時でございます。 ○景山委員  私は都合がつかないです。 ○池田座長  ああ、そうですか。恐らく皆さんが全部一堂に会されるというのは、今日はもう本当 に皆さんにいらしていただいたんですけれども、難しいかと思いますので、その議題に 合わせて、もし差し支えなかったら、先生方に事前に御意見も少し伺わせていただくと いうことで進めたいと思いますけれども、事務局はそれでいいですか。 ○事務局  はい。申し訳ございません。再調整ということも考えたいのですが、今いただいてい る御都合の表でございますと、4月中で一番御都合のいいところがそういう状況でござ いましたので、まことに申し訳ございません。 ○池田座長  わかりました。もう一度一応確認はしますけれども、もしそういうことであれば、出 席できない委員には非常に申し訳ないですが、そのように前もって先生方に御意見も少 し聞かせていただくということで、進めさせていただきたいと思うので、よろしくお願 いしたいと思います。  本日は私の不手際がありまして長くなってしまいましたけれども、これで本日の検討 会を閉めさせていただきたいと思います。今後ともよろしくお願いしたいと思います。 どうもありがとうございました。                                     <了> 照会先: 医薬食品局審査管理課 清水・近澤(内線2736、2737)