05/03/28 第7回「医療計画の見直し等に関する検討会」議事録           第7回 医療計画の見直し等に関する検討会                        日時 平成17年3月28日(月)                           10:00〜                        場所 厚生労働省専用第15会議室 ○谷口指導課長  ただいまから第7回「医療計画の見直し等に関する検討会」を開催いたします。委員 の皆様には、本日はお忙しい中をご出席賜りまして、誠にありがとうございます。本日 は、検討会委員の伊能委員、鮫島委員、福島委員、ワーキンググループの松田委員から ご欠席という通知をいただいております。なお、黒川座長をはじめ、いく人かの委員が 遅れていらっしゃるようですが、定刻ですので田中座長代理、よろしくお願いいたしま す。 ○田中座長代理  黒川座長より何かあったときには代理をと言われていますので、よろしくお願いいた します。では、議事に入らせていただきます。まず事務局より提出されている資料につ いて確認をお願いします。 ○針田医療計画推進指導官  本日の資料は、1〜7まで、1〜49頁までの1セットだけです。欠落等がありました らご連絡いただければと思います。 ○田中座長代理  では、議題に入ります。本日の議題は、前回もご議論いただいた「平成18年の医療制 度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性」についてです。本日用意している資 料は、前回の検討会において用意した資料に、さらに周産期医療、災害医療、へき地医 療等が追加されているそうです。資料の分量が多いので、これを大きく2つに分けて議 論をしていただくことになります。初めに資料の40頁までの「平成18年の医療制度改革 を念頭においた医療計画の見直しの方向性」から、「主要な疾病ごとの国と都道府県の 役割分担」まで、事務局から説明をしてください。 ○針田医療計画推進指導官  資料の説明をいたします。前半ですが、資料の目次が1〜7番まであるのですが、そ のうちの5番までを一括して説明します。1頁が表題、2頁は「安心して日常生活を過 ごすために必要な患者本位の医療サービスの基盤づくり」で、これは前回出したペーパ ーと同じものです。(1)住民・患者に分かりやすい保健医療提供体制を実現するこ と、(2)質が高く効率的で検証可能な保健医療提供体制の構築を目指すこと、(3) 都道府県が自主性・裁量性を発揮することによる地域に適した保健医療提供体制の確立 をすることとして、主な疾病事業ごとに、どのような対策が講じられているか、住民・ 患者に分かりやすいものを医療機関は明示し、医療サービス提供者・住民・患者双方が 客観的に評価できるような方法を検討し、あわせて診療ネットワークが構築できるよう に改革したいということで、これからの資料については各事業ごと、疾病ごとの表等を 入れています。  3頁は、本日初めて出したペーパーですが、「平成18年の医療制度改革を念頭におい た医療計画の見直しの方向性」で、見直しのねらいを書いています。まず、自分が住ん でいる地域の医療機関が、現在どのような医療を行っており、自分が病気になったとき にどのような治療が受けられ、どのように日常生活に復帰できるのか。また、地域の保 健医療提供体制の現在の姿はどうなっていて、将来どう変わっていくのか。また変わる ためにはどのような改善策が必要なのかといったものを、都道府県が作成する医療計画 において、住民・患者の視点に立って分かりやすく示すことをねらいとしています。  盛り込むべき内容は、主要疾患や事業ごとの診療ネットワークのこと、また医療機関 相互の連携が大切であるということ。急性期、回復期、在宅医療に至るまでの適切なサ ービスが切れ目なく提供されること。期待される保健医療提供体制の水準の数値目標の ようなもの、また達成するための具体的な方策が明らかにされることを目指すというこ とになっています。また、国は県に対して所与の支援を行うということが書いてありま す。  4頁は「医療計画を通じた国と都道府県の役割の見直し」という2つ目の項目になり ます。5頁は前回お示しした資料と同じ形のもので、国は全国規模の医療機能調査を行 い、それを用いて疾病ごとの指標などを作り上げ、国としてのビジョンを策定する。が んであれば研究、予防、医療、及び医療の総合的な推進を図って、罹患率や死亡率を激 減させる。例えば脳卒中であれば、健康増進、予防、入院治療から在宅復帰までの医療 を日常医療圏というもので構築していく。小児救急を含む小児医療であれば、適切にい つでも医療を受けられるような体制を作っていきたいというようなこと。これはサンプ ルとして挙げていますが、このようなことを示していく。  6頁ですが、都道府県はこれを受けて、都道府県自らも調査を行うとともに、疾病事 業ごとに診療ネットワークを構築していくように明記する。そして具体的な目標を作 り、○○県ではがんの死亡率を○○%改善しようということとか、脳卒中であれば、在 宅復帰率を○○%増加させるというもの、また小児医療であれば、24時間いつでも診療 が受けられる体制を作っていきたい、ということを定めたスキームになっています。  7頁は、全体像を示したもので、いま話しましたものを1枚紙にしています。これは 前回もお示ししていますので省略いたします。8頁は、都道府県の役割と県の役割を書 いたものです。国が基本方針を示しながら構築していくというもので、前回もお示しし たので省略いたします。  9頁は「国が行う全国規模の医療機能調査」で、10頁に概要を付けています。これは 今回初めて付けたもので、全国規模の調査をどのようにやるのかという概要を書いたも のです。まず、既存の調査などを用いて、どのような調査をすべきかというものを研究 します。次の年は、もっと細かい話をしていき、平成19年以降、本格的にその調査を用 いて、将来あるべき姿を想定しながら、どのような調査をすべきかを確定し、その調査 を元に指標づくりや施策の運営をしていこうと考えています。  11頁は交付金、補助金のスキームの話です。12頁にその全体像を示しています。「保 健医療提供体制交付金(仮称)と保健医療提供体制推進事業補助金(仮称)の流れ(ス キーム)」ということで、県が事業計画を作り、国が検討し、都道府県が実施、政策評 価のようなものをやっていくというもので、これも前回お示ししたので省略いたしま す。  13頁は主要な疾患ごとのイメージというものです。14頁に「がん」のモデルを出して います。下のほうに、国が考えるビジョンを示し、いくつかの指標を用います。検診、 平均在院日数、死亡率、連携の状況といったものを示していきたいと思っています。い ちばん上に都道府県が目指す目的を書くという形の表で、前回と若干違うのは、リハビ リのところで「在宅での看取り率」というものを入れています。全体の流れとして、ど のような方向性に持っていくかということで微調整をしたものですが、叩き台ですの で、皆さん方からご意見をいただきたいと思っています。  15頁も前回お示ししたものですが、イメージ図として、住民が求める役割、医療機関 に求められる役割、国が示す役割といったものが書かれています。16頁は、例えば、が んに関する都道府県別のグラフを作ったらこんな感じになりましたということで、死亡 率で作ってみました。17頁は「脳卒中」についても同じような形で作っています。ほと んど前回と変わっていません。国がビジョンを示し、それに合わせて指標をいくつか出 しています。そして、都道府県が求める数値目標の例を示した形になっています。  18頁も同じくそれぞれの位置づけ、19頁が都道府県別のサンプルで、これは高血圧疾 患の患者率で出していますが、このようなものを作りました。20頁は「急性心筋梗塞」 で、これも前回お示ししたものです。21、22頁が急性心筋梗塞に関するものです。23頁 は「糖尿病」で、これも前回お示ししたとおりのものです。24、25頁も一連のもので す。  26頁は「小児救急を含む小児医療」で、前回お示ししたものですので省略いたしま す。27、28頁も一連のものです。前回は、事業のものに関してはここまでしか出してい ませんでしたが、今回新たに周産期等を載せています。周産期もネットワークを作って いくのがビジョンになるだろうということで、これもイメージですが、いくつか国が目 指すべきものをビジョンとして明示し、国の役割として、予防、妊娠・出産、育児支援 ・母子保健、周産期医療提供体制などを書いています。まだ他の疾患系のもの、事業の ものは共通しますが、これで必ずいくというわけではなく、叩き台としてご理解いただ きたいと思います。例えば、妊娠中の健康管理の推進とか、ハイリスク妊娠に関する総 合周産期母子医療センターの整備、NICUなどを指標として掲げてはどうかという形 になっています。  30頁は、同じように住民・患者が求めるもの、医療機関が求められるもの、国がなす べきものを書いています。31頁は同じく「周産期医療」に関する都道府県別の表、サン プルとして周産期死亡率の都道府県格差が分かる表を入れています。  32頁は「救急医療」についてです。これも今回初めて出したものですが、国がビジョ ンを示し、指標を作り、都道府県が数値目標を定めていくというものです。これもネッ トワーク等でやっています。例えば、100万人当たりの救命センターの数、メディカル コントロールの充実度、これは救急救命士への指示に関するところですが、そういった もの。また、事故現場等にいて、救助救援する一般の方々(バイスタンダー)による蘇 生率の実施状況などを載せています。33頁は横表になっています。34頁は100万人当た りの救命センターの数で、都道府県別のものを作ってみました。  35頁は「災害医療」です。これも国のビジョンを示し、いくつかの指標を出していま す。都道府県が目指すものも書いています。DMATや、いくつか防災訓練などを書い ています。36、37頁も関連するものです。  最後になりますが、「へき地」についても、国が目指すべきビジョンを明示し、指標 としてはへき地の診療所の数や拠点病院の数、また計画性のようなものを表にして、都 道府県がどのようにするかという数値目標を目指していただきたいというものです。 39、40頁がそれに関する一連のものになっています。以上が、見直しの方向性から主要 な疾患事業ごとの役割分担のイメージの説明です。 ○田中座長代理  医療機能調査など、新しいことが含まれている報告でした。ただいまの1「平成18年 の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性」から、最後の5「主要な疾 病ごとの国と都道府県の役割分担(イメージ)」までについて、ご質問、ご意見をお願 いします。ここで座長が見えましたので、座長にお渡ししたいと思います。 ○黒川座長  遅れまして申しわけありませんでした。前半はよろしくお願いします。 ○田中座長代理  では、前半は私が司会をさせていただくことにします。ワーキングの委員の方もご遠 慮なくどうぞ。 ○豊田委員  ほかの部会などでも議論されている救急について意見を述べたいと思います。32、33 頁になりますが、いま全国的に小児救急を含め、救急が非常に大きな問題として取り上 げられています。ほかの部会では長期的な議論がされていますが、この医療部会では、 要するに救急体制は要員が足りない、医者が足りない、だから医者を養成すればいいと いった10年、20年先の議論をしてもしようがないと思うのです。実際に今、救急の現場 でどういうことが起こっているか。例えば病院に患者が殺到するということで、病院の 当直の先生方は非常に疲れてしまっている。中には、もう大変なので退職したいという ほどの激務にさらされている。一方で診療所は、かつてのように自宅で診療するという 形よりも、むしろ若い人たちは診療所だけをつくって、自宅は別にということで、時間 外はほとんど診られなくなってきている。  その中でどうするか。例えば、小児救急を取り上げると、医者が足りないわけです。 しかしながら、これから養成するとか何とか言ってもこれは間に合わない話で、現状を どうするかと言えば、やはり現在その地域における要員でそこを診なければいけない。 だとすれば、これはみんなで一緒にやるしかない。ただその場合、輪番だとか当番制だ とか、そういう形は従来からありますが、これは救急としては非常に不完全で、何かあ ったとき、あそこの場所に行けば大丈夫である、という安心感を与える体制を構築すべ きである。  具体的に提案させていただきますが、やはり病院というのは救急の場合には、病院機 能をまず第一に考えるべきで、外来機能は病院に要員が多ければその病院の要員も入り ますが、主に当該の科を標榜する地域の先生方が、順番にそこの病院の外来で救急に当 たる。病院に要員が少なければ、病院の要員は病院だけ。そういった形で、つまり診療 所だけではなく中小の病院も含めての話ですが、地域の中で病診連携を軸にした拠点病 院づくりをすべきです。輪番というのは良さそうで良くない。下手をすると患者のタラ イ回しにもなりますし、やはり拠点病院をきちんと確保すべきです。それが住民にとっ ては分かりやすい。日が暮れると心配になって病院の外来を訪れる、ということを防ぐ ことにもなりますし、まず安心感が与えられる。  ここでは全部の問題について医療計画の方向が示されていますが、この救急の問題に ついては国が大いに強く関わって、リーダーシップを発揮していくべきであると思って います。これから5年、10年の間は、要員を増やすなどということは不可能ですので、 拠点病院構想を国が強く推し進めていただきたいと考えます。 ○田中座長代理  資源はそう増えるものではないから、差し当たり既存の資源を使う。そのときには、 黒川座長がいつも言っておられるように、輪番制だと患者はどこに行ったらいいか分か らなくて困るので、拠点病院に開業医も含めてドクターが集まって、いつでも同じ場所 で診療を受けられるようにする。それは国の責務であるというご主張でした。ほかにい かがですか。 ○池澤委員  ただいまの豊田委員のお考えと重なる面があるのですが、日本病院会でもこれについ ては委員会の中で検討したことがあります。今日のこの表を見ると、疾患が8つほど並 べて書いてありますが、その数字に非常にバラつきが多い。それは疾患の特徴として当 たり前のことなのですが、例えば悪性新生物の場合、最低の所は170、最高は330と、数 の上では倍ほど違いますが、絶対的な数では大したことがない。高血圧疾患の場合は、 8,500人ぐらいから4,000人弱となっていて、かなり各都道府県で患者の数の違いがあ る。同じように見て心筋梗塞の場合はどうかというと、最低の27、28から最高の60弱。 次の糖尿病の場合は、2,800人弱から1,000人ちょっとというバラつき、いろいろあるわ けです。  小児救急の体制の問題もありますが、こういった体制の問題ではなく、患者のバラつ きの度合いがこれだけいろいろ疾患によって違いがある。ところが、方法論は全部同じ 形で展開されている。それでいいのかどうか。豊田委員がおっしゃったように、5年間 でこの目的に近づいていくとすれば、これは相当急ピッチでやっていかなければならな い。ところが、現状はどうであるかということが残念なことにこの段階ではまだ触れら れていない。  各都道府県ごとに、どうやっていくかというのは都道府県ごとに計画を立てなければ ならないかもしれませんが、しかし国としては、全体として、どこがどのように問題な のかという特徴的なところを挙げて、その問題点をどう改善していけば、この5年間に この方向に行けるかということを考えないといけないのではないか。全体としては、私 はこの考え方そのものについては反対ではないのですが、現実にそれに達していくため には、相当に努力しなければならない問題と、相当に努力しなければならない県とがあ ると思うのです。  それには医者の数の不足の問題をはじめとして、いろいろな問題がある。現に、日本 病院会でもいろいろ調査したところ、相当に医者が足りない。病院の医者が足りないと いう問題で言えば、北海道や東北のほうで医者が足りない。しかし、一定の行政地域の 中で、全体の医者の数から言えば最も医者が足りないのは埼玉県や千葉県である。そう いういろいろな意味でのバラつき、これを最終的にどう集約していけばいいのか、とい うような方向性を語れないままに、こういった同一のスキームで方向性を出していくだ けでは、現実から出発してどう方向づけていくかという問題が出てこない。その点が非 常に残念だと思います。 ○田中座長代理  これは事務局、何かお答えになりますか。バラつきがある、これをどう把握していく か。 ○谷口指導課長  いまの池澤委員のご指摘ですが、確かに現状、日本全国の疾病ごとにどうなっている かというところは、事務局としてはまだ具体的に提示はいたしておりません。この問題 については、5頁辺りをご覧いただきたいのですが、医療計画というのはツールで、都 道府県ごとに考えていただきたいということで今ご議論いただいているわけですが、当 然のことながら国として、全体としてどう考えるかというビジョンは示さなければいけ ないということは、ワーキングからもご指摘いただいています。したがって、具体的な ビジョンにはまだなってはいないのですが、ビジョンを示さなければいけないという姿 勢だけは、5頁のいちばん上、がんについては例えばこんなこと、脳卒中についてはこ んなこと、というのを今後やらなければいけないということで書いているわけです。現 時点では、まだそこまでは出来てはいないのですが、これは近い将来、必ずやらなけれ ばいけないと我々も認識しているところです。 ○長谷川(友)委員  ここに示されている表は、年齢調整は全くされていないもので、例えば若い方の多い 都道府県の死亡率や有病率は低くなるし、逆も然りということで、どちらをとるかは目 的によります。医療のニーズ、医療需要がどれだけで、医者がどれだけ要るというのを 勘定するときは、むしろ年齢調整はしないほうがよろしいし、都道府県の健康水準の比 較をするときには年齢調整をしたほうがいいということで、その差がむしろ顕著に出て いる。調整していないので、そうした印象を持たれたかもしれないと思います。  ワーキングの考え方としては、やはりある種共通の方法論はあるであろう。ただ、タ ーゲットになる疾患を定めるに当たって、日本全国やはり共通して重要な疾患というも のは、あるグループとして存在するであろうし、それ以外にやはり都道府県として重点 を置きたいという疾患を定める。これは、都道府県の判断として、むしろおやりになっ たほうが、その地域に見合った形になるのではないかということはワーキングとして は、我々の中ではコンセンサスを持っております。必ずしもここに挙がった病気だけで はないし、その重点の置き方は都道府県の判断によるということを補足させていただき たいと思います。  あと、医療提供体制のいくつかの考え方について、事務局に確認したいのですが、医 療法に基づく制度的な支援ということで、(3)都道府県が認定する医療法人(民間)を 中心とした保健医療福祉の提供グループの構築というのが、それぞれの病気、疾患につ いてあるのですが、これはいま議論されている認定医療法人をお考えなのかどうか。ワ ーキングの考えとしてもあったと思うのですが、医療機関というのは、そのやっている 医療機能に応じて評価すべきであって、開設主体でどうのこうのというのは、おそらく 本来的なところではないであろう。ですから、一定の医療機能があると。非常によくお やりになっている所について、何らかの支援を差し上げるというのは、これは大賛成で す。その辺り、例えば国公立、あるいは公的である、あるいはいま議論されている認定 医療法人とかがあるわけですが、この辺りの相互の関係を考えて書いた話なのか、ある いは1つの例として挙げられたのか、ちょっとその辺りをお教えいただきたいと思いま す。 ○田中座長代理  指導課長お願いします。 ○谷口指導課長  私どもは、認定医療法人をすべてこの医療計画の中での最終的な受け皿というつもり でいるわけでは決してありません。田中先生に座長になっていただいて、非営利の検討 会というのをやっていますが、これからの安定的な医業経営のあり方や、地域における さらに広域的な医療のあり方、そういう意味も含めて今後の法人といいますか、医業経 営のあり方を検討していただいているわけです。新しい類型としての認定医療法人が、 医政局におけるこの検討会の結論の医療をすべて担う、という意味では決してありませ ん。認定法人以外にも、まだ類型が当然あるわけですから、そういった所がそれぞれに 応じた役割を、医政局の中で担っていただくということになるのではないかと考えてい るところです。 ○田中座長代理  医療機能の話と、医療法人のガバナンスの話を両方含めて言っているので、機能とし ては別に限らないという答えだったと思うのですが、私もそう思います。信友委員どう ぞ。 ○信友委員  今回の医療計画の見直しの大きな視点の転換というのは、住民・患者に分かりやすい ということですね。この人たちがどういうことを気にしているかというと、例えば救急 医療のことが話題になりましたが、都道府県ごとに救急搬送したが断られた件数、ある いはその例と、福岡であれば100救急搬送したけれど、5件断られている。それに比べ て東京はいくらなんだと、そういうことが患者にとって気になることですね。救急施設 が何施設あるかというのは、次の話だと思うのです。  もう1つは、小児科医が足りないということですが、10万人当たりの小児科医の数 は、日本はアメリカよりも多いわけですから、医療施設に分散しすぎているということ なのです。したがって、長崎市では、たぶんこの4月からは、小児の入院医療をしてい る基幹病院の院長と長崎市の医師会長が協議をして、入院医療はすべて長崎市民病院に 集中させる。原爆病院等々、入院医療をしていた所は全部手離して、外来医療にだけ専 念する。そうすると、既存の小児科医の数で十分足りるのです。  医療計画を作るのではなくて、医療計画を作った後、誰が展開するのだというとき に、基幹病院長と医師会長が一緒になるとか、そういうドライビングフォースもこの中 に書き込む。国が行う調査の中に、これだけの絨毯爆撃のような調査もありますが、小 児医療に関しては、長崎のようなやり方でちゃんと展開できている。350いくつかある 二次医療圏の中で、こういう方式でやっているという事例を出すことによって、明日か らでもすぐに展開できることがあるので、その2つを新しい視点として、あるいはみん なが情報を共有していけば、医療計画を作り展開していくのに、速さが出てくるのでは ないかと思っています。 ○田中座長代理  いま言われたのは、事例のようなものを書き込んでいくと役に立つのではないかとい うご指摘です。 ○土屋委員  先ほど長谷川委員が、認定医療法人を想定しているのであろうとおっしゃった点です が、交付金、補助金等の財政的な支援は、やはりこういうものに移行する現在の医療法 人にそういうインセンティブを働かせようということで、こういう書き方をしているの だと思うのですが、唐突に(3)が体制の中で出てきている。これだけがやるわけでもな いのにこれが出てきたのは、ちょっと不思議だという気がしないでもないのです。それ はそれとして、「〜を中心とした保健医療福祉の提供グループ」というのは、どう考え ても具体的にどういうことを言うのか思い当たらないので、どういうものを想定してい るのか説明していただけませんか。 ○針田医療計画推進指導官  グループと書いてあったり、ネットワークといったり、いろいろな表現を使っていま すが、そういったイメージです。特段、固定したものではなくて、それぞれの主観によ っても違うでしょうし、ネットワークを構成する個々の組織といいますか、病院、施 設、そういうものが集まったグループという意味です。サンプルというか、あくまでも イメージとして出しているので、こうでなければいけないという話ではありません。こ ういったものもあるのではないかといった感じです。先ほど話にありましたが、要は公 的病院だけで何かをするというのではなく、公も民もいろいろ協力して、ネットワーク グループを作りながらというイメージです。 ○土屋委員  (2)の検診・治療・診療・介護ネットワークというのは、保健医療福祉提供のネット ワークで、要するにこれは同じ意味のことを言っているわけですか。 ○針田医療計画推進指導官 いろいろな切り口でものを書いていますが、基本的にそう いうことです。 ○尾形委員  「平成18年の医療制度改革を念頭においた医療計画の見直しの方向性」という新しい 資料をお出しいただいているわけですが、今回の見直しも非常に大事であり、結構だと 思いますが、1点ちょっと気になるのは、18年の医療制度改革ということになると、当 然、医療提供体制の改革と並んで、医療保険制度の改革というのがもう1つの大きな柱 だろうと思います。基本方針の中では、少なくとも市町村国保、あるいは政管健保を都 道府県単位で再編成するということまで書かれているわけで、その辺をどう踏まえるの かという視点が落ちているのではないかという気がいたします。3頁でいうと「国が行 う支援」というところの最後のところで、「交付金・補助金・政策融資など」と書いて ありますが、これだけで本当にいいのか。要するに、診療報酬という、いちばん大きな ところが抜けているように思うのですが。もちろん、この辺は医政局の所管ではないと 言えばそうなのでしょうが、ちょっとカバーしている領域が狭いような気がするので、 その辺はいかがかということです。 ○田中座長代理  医政局の担当でないというのは承知の上で、全体の医療改革の中での視点はどうかと いうことですが、何かお答えになりますか。 ○谷口指導課長  確かにご指摘のとおりかと事務局としても思っております。ただ、この段階でこのペ ーパーに書き込むということについては、正直辛いものがあるというのが本音です。決 して保険改革のことを我々として視野に入れていないわけではなく、当然のことながら 国保を中心に、都道府県レベルでの保険の話というのは今後進んでまいりますので、そ れを視野に入れた上で、医療計画のあり方を考えなくてはいけないという議論は、事務 局としてもしているわけですが、最終像というのがまだ正直言って我々に見えていない というところがあり、先生方にお示しをする段階ではまだないということで出していな い、ということをご理解いただければと思います。 ○濃沼委員  12頁の保健医療提供体制事業計画の作成について伺いたい。地方計画には「医療計画 」「健康増進計画」「地域保健計画」「老人保健福祉計画」などがあります。医療計画 とこれらの計画との関係についてイメージ図を是非作っていただきたい。地域ごとに作 成する計画の相互の関係がどうなるのか、新しい医療計画の位置づけを明確にする必要 があるのではないか。どの計画も評価が重視され、それぞれが指標を作ったり、作る作 業をすることになります。主眼が違いますがすり合せは必要です。都道府県はどうした らいいのか、現実に分からないと困ることになるのではないかと思います。  例えば、がんで言いますと、14頁の国の役割の中に「検診」というのが出てきます。 これは健康増進計画では、予防ということになる。医療計画の議論では二次医療も大事 ですが、一次医療を一生懸命やるような方向になっていますので、この医療計画の中で も、検診は予防という形にして、一次予防の禁煙対策などを盛り込む必要があると思い ます。そうすると、別の計画で出されたものとのすり合せをどこでどのようにやるの か、ということが話題になります。それが1点目です。  もう1つは、指標の整理についてです。例えば17頁のリハビリ在宅療養には、たくさ んの指標が出されています。いずれ最終案では絞り込まれるのかもしれませんが、指標 が多すぎるように思います。絞り込んで、本当にコアになるものを掲げることが、進捗 状況をチェックしていく上でも重要なことだと思います。1つを見れば全体が分かるよ うな指標を掲げる必要があります。少なくとも国のレベルで掲げるものは、絞ったほう がよい。指標は、インプット、プロセス、アウトカムの何を見るものなのか分けた方が わかりやすい。目標達成のための指標は、この3つが補うものと1つしか測れないもの などさまざまですが、個々の指標の性格を明示する方が住民に分かりやすいと思いま す。インプットとしての医療提供体制の整備なのか、その機能をみるプロセスなのか、 それで得られた死亡率などのアウトカムなのかという区分を示すとよいと思います。 ○田中座長代理  1つ目は質問、2つ目は方向を教えていただいたのだと思います。12頁にある計画間 の関係はどうか、計画はいつどういうスケジュールで作るか。計画間のすり合わせを誰 がどうするのか、イメージでいいと思うのですが、もし分かれば教えてほしいというご 質問でしたね。指標については、研究者としての視点から教えていただいたものと理解 しますが、いかがでしょうか。 ○針田医療計画推進指導官  12頁の交付金、補助金の関係ですが、今までも補助金等はあり、やっていたのです が、今後このような形で持っていくということをお示ししたもので、それ自体を抜本的 に変えるというものではありません。各計画との関係ですが、今後、保健と医療を連携 した形で、医療計画や健康増進計画等々があります。地域保健計画は、いま検討中と聞 いていますが、そういうものも含めて総合的に考えて、都道府県はこの事業計画のよう なものを出してほしいということが書いてあります。決してこの事業計画は、医療計画 の上位の計画というわけではなく、むしろ医療計画の一部、健康増進計画の一部のよう な形になっていくかと思います。現在これは詰めているところですが、そんなに壮大な 計画ではなく、交付金や補助金をこのように執行するというものをイメージしたもの で、今後お示しできる時期がくるかと思っています。  指標が多すぎるのではないかというコメントがありましたが、できるだけ多くの指標 を提示して、ご議論いただこうと思ったので多めに出しています。今後の議論の中で、 もしくは中身を検討する中で、本当に必要なものにしていきたいと思います。またプロ セス、アウトプットの指標が混在しているのではないかというご指摘がありましたが、 実際にそのように認識しています。今後、どの指標を積極的に用いていくかというのは 検討していきたいと思っていますので、ご指導いただければと思います。 ○信友委員  もう1つの国の役割というか流れとして、道州制を意識してやってはどうか。対馬は 行政上は長崎県、でも生活はもう福岡なのです。佐賀にはへき地がないから、自治医大 出身の諸君が活躍の場がない。医療提供体制は福岡、佐賀、長崎、北部九州で一緒に考 える。自治医大出身のドクターも、そこで融通をもって展開する。つまり道州制を意識 して、都道府県を越えた医療提供体制を考える。マンパワーの有効活用を考えるという ことも国が尻を叩いてやるようなことを、この医療見直しの中に入れるといいと思って います。 ○田中座長代理  裁量でそういう方向に進むと大変いいと思いますが。山本委員、どうぞ。 ○山本委員  3頁の、新しく今日ご提示いただいた資料では、18年度の改革を目指して全体的な方 向性を示しています。国は、均一のといいましょうか、全国的な視野に立った指標を示 し、それを都道府県が具体的に実行に移していくという理解でおりまして、そのために 診療あるいは疾病別の具体的な目標が書かれていると理解しています。現在の医療提供 体制を考える上で、安全あるいは医療安全の視点というのが当然考慮されるべきだろう ということで、医療部会のほうでも議論がされていますが、現在、薬に係る事故が4割 あるということです。新たな医療計画に盛り込む内容の中では、当然在宅までも含めた 視点で具体的な方策を立てろということが示されていると思うのです。急性期、回復期 については、おそらく医療機関そのものが問題になるのでしょうが、地域医療を考える と、当然医薬品の提供体制はどこが担うかということが頭に浮かぶわけです。  言葉の問題で恐縮ですが、新たな医療計画に盛り込む内容の二重線を引かれたとこ ろ、「医療機関相互の連携の下」というと、具体的に都道府県に下ろしたときに、医療 機関だけになってしまうおそれがあります。病院、診療所だけが対象になるというので はなく、もう少し周辺部分が盛り込まれるような記載の工夫をお願いできないでしょう か。具体的には、薬局と書いていただければありがたいのですが、医療機関だけでなく 何か他の施設も入るということが明確に見えるようにしませんと、在宅医療あるいは、 その他のところでも医薬品の提供が落ちてしまうのではないかという懸念があります。 是非よろしくお願いいたします。 ○田中座長代理  地域の医療安全のために、医療機関周辺の要素も読み取れるようにしてほしいという ご要望でした。ほかにいかがでしょうか。 ○古橋委員  主要な疾患に関する医療提供体制の構築というのを、それぞれで見ていきますと、す べてにおいて日常医療圏ごとに核となる、あるいは拠点となる医療機関を指定する方策 の検討というのがあります。これは、今までにも構想があって立ち上がっている医療の 拠点病院ということにつながると思うのですが、こうした構想なりデザインというの は、本当に国民が利用できるように作り上げられていきませんと、いつまで経っても人 々は「どこへ行ったらいいの」と不安になる。従前、交通事故が起きたときに対応がど うなるか分からなくて、非常にその領域で混乱があったのですが、今は交通事故という のは保険制度が非常に安定してきて、対処の流れが分かるようになったら、人々は多少 のことはあるにしても、対応ということに対して1つの道筋が読めるようになってい る。  医療はまだそういう点では、「一体どこへかかったらいいの」「行ったら診てもらえ るの」というような不安が人々の中にあります。受ける側の国民的、社会的不安が大き いと思うのです。そういう点では、先ほど2人の委員からもありましたように、きちん と拠点病院が分かりやすいように日常医療圏の中で示されることが大事だと思うので す。今まで、こうした拠点病院という形で立ち上げたものがうまくいっているのかどう か、十分に日常医療圏的な範囲内で人々に分かりやすくなっているのか。デザインされ たような医療の水準で行われているのかといった辺りを、1回検証してみる必要がある と思うのです。  厚労省としては、新たにこうした核となる、あるいは拠点となる医療機関を日常医療 圏ごとに指定する方策ということで、何かもくろみとか、今までのことを振り返ってう まくいかなかった点を評価して、どういう方策があるかというのは、お考えがあるかど うか伺いたいと思います。  もう1つは、こうした医療サービスに対する広報活動は、大変重要だと思っていま す。前回、医療部会でも出ましたが、小児救急電話相談事業が今年度から立ち上がって いるのですが、人々はこうしたサービス事業を本当に知っているかどうかとなると、知 っている人は知るけれど、あまねく知られていない。そういう点では、こうした提供体 制を、どう分かりやすく広報していくかということも、重要なテーマになるのではない かと思っています。まず、拠点病院の今まで立ち上がったものについてのアウトカム、 成果はどのように評価しておられるか。今後に向けて、そういうことに対して何かアイ ディアが厚労省の立場でおありかどうか、教えていただきたいと思います。 ○谷口指導課長  拠点病院をいくつか都道府県レベルで定めていただいていますが、非常に漠とした言 い方で申しますと、その地域、地域でそれなりに機能しているのではないかと私どもは 考えています。ただ、例えば小児救急など一部のものについては、ドクターがなかなか 確保できないとかいうことにより、そもそもそういった拠点病院的なシステムが、地方 においてはそれぞれデコボコがあって、うまくいっていない所があるということを認識 しています。そういうことも踏まえて、今後の医療計画の中で、まさに県ごとに医療機 能調査を実施していただき、従来の拠点病院的なシステムがその県においてうまくいっ ているかどうか、ということをまず検証していただければよろしいのではないかと考え ております。  この後の話にもつながってきますが、従来ですと拠点病院というのは、一部を除いて 総合百貨店的なイメージが確かにあったと思うのですが、それだけでは多分うまくいっ ていない所もあるのではないか。診療事業、疾病別それぞれの分野における核となる病 院が必要ではなかろうかという視点も大事だろうということで、医療機能調査に基づい て都道府県ごとにそういう判断がなされれば、是非そういうこともやっていただきたい という考えは持っているわけです。ただ、地域によって違いますから、従来の総合病院 的なものがうまくいっている地域については、あえてそれをすべて否定するつもりはあ りません。それぞれ地域、地域によりその辺を考えていただくために、今後医療機能調 査をして、従来の拠点病院的なこれまでのシステムを評価していただいて、新しい診療 科ごと、疾病ごとのシステムが望ましいのか、総合病院的な従来のシステムが望ましい のか、そこの判断をやっていただくことが望ましいのではないかと考えているところで す。 ○田中座長代理  黒川座長から質問があるそうです。 ○黒川座長  建設的な意見がたくさん出てきて、この委員会は第5次から良かったのではないかと いうように総合的には思っているのですが、まだまだ改善する余地はいろいろある。一 次データもたくさんあって、例えば16頁で悪性新生物による死亡の対10万比などがあり ますが、しかしこれはどうやって出てきたのかというと、死亡診断書なのかもしれな い。では、なぜこうなっているのかというと、これだけ出すと人によって全然イメージ が違って、解釈は勝手にしてくれという話になり、次の施策に入ってくるわけです。秋 田県を見て、「秋田県はがんの特別なセンターがないからだ」などと言って、がんセン ターをつくろうなどという箱物行政になり、そういう予算の付け方になっていく。  解釈はいろいろあり得るわけです。そうなると、もともとのデータベースにアクセス してもらって、例えば信友委員など研究者に、どんどんいろいろなインスピレーション を出していくと、もう少しスペシフィックな、それではどういうことをしようかという 話が出てくるわけです。高血圧などを出していると、山形、青森、宮城、岩手、福島 と、東北6県は上のほうにくるに決まっている。それはなぜかというと、食塩の量が多 いというのは分かっているのですが、これを高圧薬の使い方を見てみる。これは卸がみ んな持っているので見ればすぐに分かる。そういう話と関係があるのかどうか。なぜか という分析が大事なわけで、心筋梗塞についても、これを黙って見ていると、大分は救 急が必要なのだとか、循環器の医者が足らないのだとか、勝手なことを言って予算を付 けてくれと陳情されると、役所のほうもだまされてしまって付いてしまった、という話 になりかねない。  糖尿病の罹患率もそうで、何で沖縄はこうで島根はこうなのか。診断基準が甘いとか いうのもあるかもしれないし、その一次データをどうやって訳すか。つまり、いろいろ な材料を役所は持っているのですが、提示の仕方はイタリアンスパゲティが出てくるの か、中華料理が出てくるのか、もう役所に任せてしまっていて、同じ材料でうちだった らこんなものが出せるというメニューの出ようがないわけです。これが今までの政策の いちばんの問題だった。一次データをもう少し研究の対象として使うべきだと思うので す。  28頁では、「小児救急医療圏における二次小児救急医療体制整備」とあって、「えっ 」と思って見ると、右の下のほうでは「何とかしてくれ」と陳情するだけの話で、また 箱物をつくってくれという話になるわけで、実に発想が乏しい。31頁を見ると、周産期 の死亡率が出ていて、「そうか」ということで、だから陳情を始めたりして、全く別の 問題のアプローチが起こり得る話が極めてあるわけです。34頁は救命救急センターを 「だからつくってちょうだい」という陳情書だけの話になっている。ソフトの連携や、 オープンシステムでやったらどうなるかといったことを考えることをしていない。  例えば、ホテルの数を都道府県で見たらどうなると思いますか。ホテルを使うかどう かはクライアントの問題なのだから、そうなると拠点病院も、国が指定しろなどと言う から、また国のお墨付きをもらいたいということになってくるわけです。実績がある所 である要件を満たせば、各都道府県が認めればそれでいいではないかという話です。先 ほど豊田委員がおっしゃったように、オープンシステムで周りの人が実際に動いている ということがありますという話をもっと言えば、例えばこんなことを考えてみたらどう ですかという話を出すほうが、大事ではないかと思うのです。  先生方も私たちもワーキンググループもそうですが、37頁の「災害拠点病院における 耐震化率」というのも、またこれで土建屋さんが儲かると思っているだけの話でしょ。 こういう話もあるわけですから、データがこうなっている理由は何かという話を、もう ちょっと多面的に分析されたほうが、行政としては非常にやりやすいわけです。それを 各都道府県に出すことによって、化学的にある程度こうではないかという説もあるけれ ど、検討してみませんかというハイポゼシスが常に出てこないと、よりいい解決など、 出てくるはずがないだろうと思います。それが1つです。ですから一次データなどの解 釈の仕方が、どうしても政策誘導になりかねないところがあります。先生たちが一生懸 命普段から勉強して、いろいろやりたいと思っていることが、全く活かされないという のは、実にもったいないと思います。  都道府県も拠点病院をどうするかというと、国が何とかだと。岩尾局長は多分、それ が嫌なのです。そんなことは言わないで「自分たちでやってよ」と言う。地域によって 医師会や先生たちの構成、拠点病院がどこかというのは、いろいろ歴史的な背景もある から、3つの都道府県がやたら取っている。しかし自治体や地域の住民とのコミュニケ ーションをどうやっていくかというのが大事なのです。  例えば「拠点病院を指定してください」と言うと、みんなまたいろいろ陳情するけれ ど、中央官庁としては名前がわからないから、その数だけ揃えれば認定しましょうとい う話になって、考えていることが全然活かされないのです。むしろ指定するのではなく て、後で追認でも何でもいいのですが、それが1つになって国が「指定された」と言う とどうなりますか。みんな安心して大体やらなくなるのが普通です。郵便でも何でもそ うです。ですから民間でも国のお金でも、そこでオープンシステムにやって2つか3つ あればいい。  指定病院というのは箱ものではなくて、機能をもっと評価できるようにすればいい。 何でも甘えてしまって、「もっとサービスしろ」などと言われても困るのですが、「み んながオープンシステムを考えたらどうですか、地域でどうでしょうか」と言って、住 民のニーズがどういうようにサティスファイされているかという辺りを、やはり考えた ほうがいいのではないかと思います。別にいくつかがこうやって競争するわけではない けれど、その辺にイノベートなアイディアを是非入れておくといいのではないかと思い ます。 ○田中座長代理  では前半の最後の質問になります。長谷川委員からお願いします。 ○長谷川(敏)委員  質問というよりコメントです。大変素晴らしいアイディアだと感じています。21世 紀になって、2005年に初めて医療が患者や国民に奉還されるその第一歩であるという感 じがいたします。しかし、もうすでにここまできますと技術の話です。黒川座長がおっ しゃったように、具体的にどういう対象を設定し、どういう指標を作るかという技術論 のほうです。例えばここに示されている疾患は、プレバレンスで見たほうがいいのかイ ンシデンスで見たほうがいいのか。プレバレンスとそのカバレージ、治療の割合なのか が全部一緒くたで、現在アウトカム、死亡率しかありませんので、その辺がグチャグチ ャになっています。その辺を技術的にやっていく必要があるのではないかと思います。  しかしそれをする前に、この新しいシステム設計の目標と役割分担みたいなことを明 確にしておかないと、つい踏み込みすぎてしまいます。厚生労働省は昔から、「ああせ い、こうせい、厚生省」と言われていましたから、無理矢理中央政府が地方に踏み込む ことがないような形で、役割分担を明確にする必要があるのではないかと感じます。3 頁に一部国の側の支援ということが書かれていますし、2頁に都道府県が自主的に才能 を発揮するというようになっていますが、このシステムづくりの目標を明確にしてい く。安全性を確保するのか、公平性を確保するのか、効率性を確保するのか、その部分 について国はどういう役割をして、地方政府はどういう役割をして、医療界はどういう 役割をするのかということを一遍整理しておかないと、医療機関からすればつい甘えの 構造になったり、厚生労働省側からすれば踏み込みすぎたりしてしまいます。ですか ら、そのバランスをもう一度考える必要があるのではないかと思います。そこでの重要 なポイントは、やはりインセンティブだと思います。いわゆる認定をする、お金を払 う、その辺の制度設計が大変重要ではないかと感じました。 ○田中座長代理  素晴らしいコメントをありがとうございました。議論を伺っていると、黒川座長の言 われたこともそうですし、信友委員、尾形委員、またワーキングの方々もそうですが、 役所がつくるシステム設計の部分は別だけれど、分析部分については研究の視点も、こ れからまだまだ協力しなければいけないということを痛感いたしました。では前半はこ こまでで終わります。 ○黒川座長  ありがとうございました。いろいろ建設的な意見が出ました。確かに医療の大政奉還 というのは、いいキャッチフレーズかもしれないですね。地域の医療提供のサービスも 十分ではないという意見も出ましたが、それはまず地域の人たちがやるべきだし、医療 者そのものがやるべきで、国のお墨付きがあったからやるという発想そのものが、変わ ってきているのではないかと思います。こんなサービスをしていますという広報活動 も、地域でやったほうがうまくいくわけです。  21頁の心筋梗塞による死亡率は、東京がいちばん低くて大分がいちばん多く、3対1 ぐらいの差があっておかしいと言うけれど、それにはいろいろな理由があると思うので す。救命救急センターがないという話もそうかもしれないし、大分は葉たばこの産出量 が多いからという話もあるかもしれないし、東京都はいろいろな区で、路上でたばこを 吸ってはいけないと言っているせいかもしれないし、いろいろな理由があるわけですの で、そんな話もしたほうがいいのではないかと思います。  昔、JTたばこの専売病院というのがいくつもあったでしょう。あそこの院長室に行 くと、ごく最近まで毎日新しいたばこが置いてあったのです。お前は何を考えているん だという気もしますよね。JTたばこの役員と会合をして、飯でも食いに行くかなどと いう話になると、みんなスパスパたばこを吸っているのです。あれは会社人間として非 常に気の毒だと思います。何とか自分たちでも消費しなければならないというロールモ デルをやっているという情けない状況でしたが、そろそろ変わってくるのではないかと いう気もします。  また、いつも言っているように、たばこの自動販売機がどこにでも置いてあって、 「健康日本21」などと書いてある。「ふざけるな」と言わなくてはいけない。しかも 世界でいちばん安い。そのようにいろいろなことがあるので、是非知恵を絞ってやって いただければと思います。それでネットワークではないけれど、役所とパートナーシッ プを築いていくことが大事ではないかと思います。大政奉還へいま一歩進むことになる のではないかと思います。それでは41頁から今まで言ってきた議論を、さらにぐっと考 えていきましょう。皆さんはほかに仕事があるのですが、役所でやる人はこれが仕事 で、毎日毎日頭を突き合わせてやっていますから、どうしても陰謀的なことが起きるの です。やるのは難しいのですが、一生懸命やっているのです。そういうことで説明をお 願いします。 ○針田医療計画推進指導官  前半の中でも若干出ておりましたが、後半はネットワークについて説明させていただ きます。42頁ですが、いままでも一次、二次、三次という三角形のイメージが強いので はないかというご批判も中にはありました。おそらくこれからは地域という平面と言い ますか、あるいは球なのかもしれませんが、そういったものに対して患者を中心に取り 囲んでいくような医療提供体制ができるだろう、つくらなければいけないだろうという イメージを考えて、いくつかの図を作りました。42頁の図は、住民・患者が立体的に上 がっています。下の平面と言いますか、医療に関していろいろな相談を受ける立場とし て、かかりつけ医がまずいらっしゃって、とりあえずいくつかサンプルを掲げたもの が、この図になっております。このようにいろいろな病院等に調整しながら、住民・患 者を支えていく必要があるのではないか、その中で診療ネットワークなどの役割が出て くるのではないかという図になっています。  43頁も形は違いますが、全く同じ図です。これまでは医療機関完結型の医療が行われ てきたのではないかというご指摘がありましたが、そうではなくて、これからは住民・ 患者が病気のときや病気でないときに、いろいろな医療機関、あるいは医療機関でない 所も含めて、こういった所が連携し合いながら支えていく、相談に乗っていくという形 を作った図になっております。そのときにコンサルトをするのは、やはりかかりつけ医 がいちばん多いのではないかということで、いちばん太い線で結んでいます。また患者 は各医療機関とのパイプを持っていると思いますが、ドクター間、医療機関間も連携を 持っていると思いますので、そういったものを分かりやすく書いたつもりです。住民・ 患者は日常的な疾患であれば、近くの病院に行くだろうということで、まず日常医療圏 というのがあって、それよりももっと大きな範囲のもの、またそれを超えたもの、特殊 なものはもっと超えるだろうということで、真ん中に楕円形の図を作っております。  44頁ですが、前回この頁だけお示ししたところ、いろいろ誤解を受けたものですか ら、いくつか同じような図を描いております。これも全く同じことを意図しているとこ ろです。今までずっとファジーな感じで、医療機関からの連携があったところ、住民に 分かりやすくすべきではないかということで、分かりやすく描いてみました。何か分断 されているように見えますが、そうではなくて、重層的と言いますか、住民・患者の目 から見て分かりやすいシステムづくりの図を作ったのがこれです。がんであればこうい う所へ行けばいい、脳卒中であればこういう所へ行けばいい、小児であればこういう所 というのを描いたのがこの図です。あくまでも医療のネットワークを構築することが大 切で、そのために核となる医療機関の調整をする所も必要ではないか、ということをイ メージした図になっております。  45頁も同じもので、すべてイメージ図です。住民・患者を取り巻く医療機関等がよく 分からない、どの病院がどうなのかがよく分からないので、それらを調整する機関が必 要ではないかということで、調整する機関を用いて住民に分かりやすい体制をつくって いくということです。あくまでもネットワークをつくることが主目的で、その調整をす るのが核となる医療機関ではないかというイメージ図です。  続いて46頁です。今までできなくて、これからやらなければいけないということを考 えますと、何らかの調整機能が必要ではないかと考えて、核となる医療機関というもの を想定した場合、それは多分住民・患者から見れば、医療の状況がよく分かるようなこ とに寄与しなければならないだろうと思いますし、地域の医療機関から見ますと、医療 機関同士の連携が取れることに役立つことをしてもらわなければいけないだろうと思い ます。また核となる医療機関自身から考えれば、おそらく地域の医療機関の連携のため には、研修などの人材養成もやらなければいけないのではないかということで、そうい ったものを描かせていただきました。これもイメージで描いております。  47頁は若干雰囲気が変わります。そうは言っても、日常医療圏の中で提供する医療を 越えたものもあるのではないかというご指摘もありました。多分そのような場合は、日 常医療圏を越えた調整機能も必要になってくるのではないかということで、例えば課題 1として、日常医療圏域を越えた高度専門的な医療の確保をするためには、どうしたら いいかということを、いくつか書いております。  課題1、課題2、課題3と書いてあって、48頁がそのイメージ図です。それぞれのネ ットワークを支援する高度な医療機関というのがあって、こういった形でそれぞれのネ ットワークを支援する形を講ずるべきではないかということです。先ほどのお話にもあ りましたが、都道府県域を越える場合があってもいいのではないか、実際にあるのでは ないかというところで、点線で入っております。これは日常医療圏を越える場合のネッ トワークの関係について描いたイメージ図です。  49頁からまた雰囲気が変わって、個々の疾患ごとのイメージ図を漠と描いておりま す。細かくご指摘されると、いろいろ不備な点はあるのですが、わかりやすくするため には、ある程度簡潔化して描かなければいけないことがありますので、漠と描いてみま した。50頁の「がん」ですと、まず住民の方が家にいて病気になって、検診等で発見さ れることもあろうかと思いますが、かかりつけ医などと相談しながら、専門的な病院へ 行ったり、長期になれば緩和ケアという話にもなっていくのではないかということで描 いております。  51頁は「脳卒中」の場合のイメージ図です。みんながみんな救急病院に行くわけでは ないのですが、まず急性発症みたいなものがあれば、救急病院に行く可能性が高いので はないかということで、疾病が起こったときにこういうようになって、ある程度症状が 落ち着いてリハに入って、長くなってしまえば療養病床、介護福祉施設、ケアハウス等 に行かれる方もいらっしゃるのではないかという流れ図を描いております。実際に長期 になってくると、自分がどういう機能のある医療機関に行ったらいいか、わからない場 合もあると思いますので、そこら辺の調整をかかりつけ医にやっていただくことになる のではないか、というイメージ図になっております。  52頁の「急性心筋梗塞」の場合も、急性発症をすれば救急病院に入ることがあると思 いますが、後ほどいろいろな所を回るのではなく、大きな場合はそのままリハビリをや って退院という感じになるのではないかというイメージ図です。  53頁ですが、「糖尿病」の場合は、おそらくかかりつけ医が大きな役割を果たされる ことになってくると思います。保健事業のことも出てきますし、合併症の関係が多くな ってくる疾患であると認識しておりますので、眼科、透析、神経疾患も出てきます。そ れ以外にもいろいろあるのですが、それらは除いて漠としたイメージで、こんな感じで 描かせていただきました。つまりいろいろな疾患によって、それぞれ違ってくるという ことを言いたいわけです。  54頁はまた雰囲気が違って、「終末期ケアを含む在宅医療」の図を付けました。在宅 の場合も急性増悪などがあると、病院等に入る場合もあるだろうし、平時であればかか りつけ医、もしくはかかりつけ医を医療的に支援する病院も必要ではないかと思ってお ります。もし本当の終末期の場合なら、多分24時間365日、かかりつけ医が1人でやるこ とは不可能だろうということで、地域のドクター間の協力なども必要になってきます。 本当に最後を含めますと、そういうことも大事なので、いろいろな医療機関、ドクター が協力し合いながら、在宅を支援していくという図になっております。  55頁は救急医療、小児医療のことです。いちばん多いのは、病気だということでかか りつけ医に連絡することが多いということです。いきなり高次な病院に行くこともある のですが、おそらくかかりつけ医や、休日・夜間であれば救患センターのほうに行く場 合も多いということです。中にはいきなり行く方もいらっしゃるし、生命にかかわる場 合は救命センターが必要になってくるという図式になっています。  56頁は「周産期医療」です。周産期の場合は通常の分娩であれば、かかりつけ医のみ の対応もあろうかと思いますが、リスク等の関係でオープンシステム、それを専門とし ている医療機関などとの協力を得ながら、連携を取りながらやっていくのが適切ではな いかという図になっております。  57頁は「救急医療」です。これは交通事故を想定しておりますが、歩いて行けるほど で重篤感がなければ、そのままかかりつけ医や身近な医療機関で終わってしまう場合も あるかと思います。症状が重ければ二次の医療機関、もしくは生命にかかわる場合は救 命センターに行く場合もあろうかという図式です。  58頁は「災害」です。災害の場合はまたガラッと雰囲気が違います。被災地と被災地 外という連携が必要になってきます。広域的な協力関係が非常に重要になってきますの で、そういったものの連携の図式を描いております。  最後に、59頁は「へき地」です。へき地も当該地域とそれ以外の地域との連携が必要 になってきます。いくつかの図を描いておりますのは、テーマによって図式も変わって くるだろうし、地域によっても違うだろうということで、それぞれ適した形のものをど んどんつくっていきたいというイメージ図を列挙させていただきました。 ○黒川座長  先生方のいろいろなご議論やサジェスチョンで、やはりイメージがだいぶ変わってき たのではないかという気もします。ワーキンググループの先生方もそうですし、これに ついて、またご議論いただければと思います。よろしくお願いします。 ○土屋委員  57頁の「救急医療」のイメージ図です。いま救急医療のことを申し上げようと思って いるわけではないのですが、この図では軽症、重症度によって分けてあって、かかりつ け医、二次救急医療機関とありますね。ネットワークをつくる、あるいは拠点病院なる ものをそこに指定するというのは結構ですが、その大前提として、その地域における医 療資源を最大限利用すべきだということは、いままでも申し上げたことがあると思うの です。  実際にそうです。現場の救急はこういう形で、何もかかりつけ医から突然救命救急セ ンターへ行くという話ではありません。むしろ救命救急センターを指定して、それが間 違った格好で住民なり国民なりに知らしめた場合は、何かあった場合はあそこに直に行 けばいいということで、初期救急からここに押し寄せてしまうことになります。しかし 現実はどういうことか。救命救急センターのない所は、やはりかかりつけ医の所へ行っ てみる、それで駄目だったら一般の地域における中小病院というのが、大きな役割を果 たしているのです。ですから、そのさらに後方の高次の救命救急センターなるものは、 ほんの一部のことを扱っているわけです。  ここでは二次救急医療機関というのが、きちんと明記されていますが、どうもその他 の所が抜けているのではないかと思います。例えば小児の救急というのは、何も高次の 指定された救命救急センターに行かなくても、かかりつけ医から始まっています。もっ と言いますと、電話相談的な0.5次救急ぐらいのものです。分けるならばそれが一次で あれ、二次であれ、三次であれ、とりあえず入院させてきちんと経過を追って見ること ができるのは、地域における病院なのです。いわゆる一般病院というのが今、こういう 上でもどうも粗末な扱いを受けているような印象を受けるのです。どの図を見てもそれ が抜けています。  50頁のがんの場合もそうです。大雑把なことを示したのだから、細かいことを言うな とおっしゃるけれど、これはやはりちょっと言っておかなければいけないかなと思いま す。脳卒中もそうです。かかりつけ医だ、こういう流れだと。療養病床を有する病院と いうのは、相当長期化した話なのでしょうけれど、いまは何もそんなに専門的な所に行 かなくても、脳卒中になったらどの程度のことをやればいいのかというのは、地域にお ける医療機関でもきちんと診ることができます。  ではがんのような専門的なものをとらえて言うと、どうか。いまがん治療の均てん化 の検討会もありますが、実態はがん医療の専門家がいないのです。いろいろな専門家が ありますが、今それがいちばん払底しているのは、必要だ、必要だ、こういうものを置 かなければいけないと言いながら、例えば放射線の専門ドクター、あるいは抗がん剤を 使うことのできるドクターがいないのです。もっと言うと、手術でも何でもそうです が、ナショナルセンター的な所ですら、いま十分にこなしていないのです。1,000何百 人の待ちが出てしまっているという状況です。  では、その人たちの実態はそこでなければできないのかというと、そうではないので す。その程度のことはできます。しかし放射線治療が必要かどうかということを、きち んと見極めて治療できる施設がないのです。必要になれば、そこで放射線治療だけをや って帰っていただければいいではないかという考えがあって、専門家のドクターほど、 そういうことを申されます。ではその他の医療はどこでやっているかというと、地域に おける医療機関なのです。42頁の図も、どうもそれが欠落していると言わざるを得ませ ん。  42頁の「主要疾病ごとに診療ネットワークの内容や、地域的な広がりが変化していく 」というのはそうだとしても、かかりつけ医から療養病床を有する医療機関。療養病床 と一般病床しかないから、一般病床を持っている医療機関、救急の専門でもなければ、 専門的な医療機関でもない、リハビリも専門領域です。しかし、どこがそういうものを 扱っているかというと、ほとんどがいわゆる一般病院と言いますか、一般病床を持っ た、おそらく専門的という指定も受けないような、多くの医療機関が地域の患者を入院 させて担って、そこで判定して、これは専門的な医療が必要だということになれば、そ こへ送るのです。ヘリコプターで送るというのは、年に何回かしかないような話です。 このような肝心な大きな役割を果たしている医療機関が、かかりつけ医という格好だけ で抜けてしまっているのです。これはその他のイメージ図でも、みんな言えると思いま す。これはやはりきちんと入れておいていただかないと、地域のネットワークを構築す る上において誤解を招きます。  ここにも病院会の代表や、いろいろな先生方がいらっしゃっていますが、この先生方 の病院が全部専門的なものを持っているわけではありません。しかしその地域にあって は、なくてはならない医療機関として、いろいろな意味での役割を担っています。どう してもこのイメージ図の中では、全部抜けてしまっています。唯一57頁の図だけは、こ れでいいかなと思います。これには二次医療機関というのが入っていますが、これは忘 れたのですか。何か深い考えがあるなら聞かせていただこうかと思います。 ○針田医療計画推進指導官  深い考えというわけではないのですが、できるだけイメージとして分かりやすくとい うことです。例えば50頁のがんのペーパーですと、がんと診断されてしまった場合は、 がんの治療をやるのだろうと。多分、専門的な所には本当の専門的なものから、そんな に超高度ではなくてもがんのネットワークですから、がんの診療があると。そうではな くて緩和ケアということになれば、緩和ケアは別枠でつくらざるを得ないだろうという ことです。  また難しいところですが、かかりつけ医の所で「診療所等」と書いております。しか し病院とはいえ、本当に身近なところではかかりつけ医の場合もあるのではないかとい う部分です。ほかのところもそうですが、要はそこだけを特出しして何かするわけでは なく、まず象徴的な囲みでいくつかつくった部分なのです。多分、ここは抜けているだ ろうというものはいっぱいあろうかと思いますが、特段何か除くという意味で作ったわ けではなく、本当に分かりやすいところだけ、ポンポンと書き入れた図になっておりま す。 ○土屋委員  それが抜けていることが分かりにくいのです。どうしてもこれは入れておいていただ かないと。この会でも、一般病床は急性期のものだけを診る、急性期病床に特化すると いう話が、チラッと出たことがあるのです。その考えの延長線にあるなら必要ないの か。違うのです、急性期もやっています。その他の医療機関が大きな役割を果たしてい るという医療の現場を、もう少しきちんと把握してもらうことが必要ではないかと思い ます。 ○濃沼委員  2つほど申し上げます。43頁の「日常医療圏」という言葉は、従来の二次医療圏に近 いものであるとの説明でした。二次医療圏という言葉がわかりにくいので、住民に立つ という意味では、わかりやすい。しかし、概念の整理をする必要があろうかと思いま す。従来の一次、二次という階層が横糸で、それに対して日常、非日常が縦糸的な要素 を持つと思います。その人にとって日常的かどうかということです。入院が要らなけれ ば一次医療で完結するし、人によっては三次の医療が必要かもしれない。人によって日 常的であったり非日常であったりする。  新しい言葉をつくるのに二次医療圏は専門用語で、日常医療圏は一般的な言葉という だけでは、もったいないし、混乱しかねない。なぜかというと、人によっては一次医療 の中で完結するものもありますが、圏域を越えて、あるいは都道府県を越えて医療機関 にかかることが結構あるからです。がんですと新幹線や飛行機を使って、東北地方から 東京に通う人もいます。  医療計画が必要とされてから10数年経って、住民の行動範囲が広がってきていますの で、二次医療圏で医療が完結するということ自体、だんだん現実離れしてきています。 通信や交通の手段が発達することによる医療圏の広域化への対応も考えなくてはいけな い。都道府県を越えるような医療をどのように位置づけるか、必要に応じて都道府県間 で調整の協議をすることなどを医療計画に盛り込む必要があります。都道府県すなわち 三次医療圏を越えて移動をしたときに医療計画でどういう扱いになるのか。今後も進む 医療圏の広域化に何らかの考え方を盛り込む必要があります。 ○津委員  43頁の図ですが、日常医療圏の定義が、初めてこういった形で現れたわけです。○の 2つ目に、「二次医療圏に近いが」というのがありますが、この意味が非常に大きいの ではないかというのが1つです。  もう1つ、42、43頁は一般的なネットワークのイメージ図ですね。各テーマは別とし て、全般的なイメージ図というのは、住民・患者に広報される部分だと思いますので、 この中でいちばん日常的な、地域の医療の中でのかかりつけ医と同じように、かかりつ け歯科医やかかりつけ薬局等、身近に感じる言葉も全体図の中に入れたほうがいいので はないかという感じがしております。この2つです。 ○豊田委員  私も43頁の図について、意見を言わせていただきます。43頁にありますとおり、診療 の連携が行われて、これが実際に機能しますと、住民は非常にハッピーだろうと思いま す。病気になりました、かかりつけ医の先生にかかりました、あとは全部お任せで、き ちんと期待どおりの健康を回復しましたということで、よくできているとは思うので す。ただ、これを機能させるためには大きな問題があります。1つは、かかりつけ医の ほかに、周辺にも医療機関があるわけですが、連携をするということの意味は、それぞ れの医療機関がどのような機能を持っているかが、まず明確でないといけませんし、総 合病院の集積ではいけませんので、それぞれの機能を明確にして、それをどこかがデー タバンク的にきちんと把握していると。私は医師会などが適当だと思うのですが、そう いったことで機能を明確にして、初めて連携の意味が出てくるのです。そのための調整 機関と言いますか、データバンク的な存在がどうしても必要になって、それがかかりつ け医にフィードバックされるという形で機能すると思います。それが1つです。  もう1つ、42頁以下のかかりつけ医の所の絵は、色濃く描かれていて、ほかよりクロ ーズアップされております。ただ現在はどなたもこうあるべきだと思っていますが、必 ずしもこれが機能しない理由の1つは、現在病院の外来が非常に混雑して、それを担当 する医師は午後になっても、なかなか入院患者が診られないような、そういう実態もあ るわけです。これを医療計画の中で議論すべき問題かどうかは分かりませんが、やはり 診療所の役割と病院の役割、つまり機能という件についても、絵を描いて分けるという 話ではありません。これには診療報酬という問題が深くかかわり合いますので、その裏 付けがないとできない話です。やはり外来は診療者を、病院は入院機能をというよう な、そういったことについてもこれから議論すべきだと思います。ただし条件を付けま す。それを議論するときは、診療報酬についての議論と並行しなければ混乱を生じま す。 ○山本委員  43頁辺りの図についてです。全体として日常医療圏という概念が出されて、その中で どういう仕組みができるかというのが、およそ想像ができて分かりやすい図であると思 います。しかし、いわゆる診療ネットワークをつくった結果、個々の具体事例が49頁以 降に場面を変えて載っているというように理解してよろしいとすれば、たまたま1つの 事例として「終末期ケアを含む在宅医療」で、薬局の名前が出てきていますが、それ以 外にも58頁の「災害」を考えてみますと、地域医療機関というだけでなく、そこでも薬 局が要るのだろうと思います。  これは事例ですので、個々に埋め込んでいくというのは、大変難しいと思うのです が、だとすれば43頁の大きな日常医療圏というものを考える概念図の中で、住民・患者 とかかりつけ医の先生方を中心にした医療提供体制ができて、その周辺を医療機関、保 健所、介護施設というものがもし回っているのであれば、当然その中に薬局等が含まれ て然るべきであろうと思います。45頁の日常医療圏をつくるための都道府県の協議会の 中に、「診療又は」に続く形で、調剤が入っておりますが、図の中に医薬品の提供体制 を確保するようなものがないと、その部分がすっぽり抜け落ちてしまう可能性がありま す。全体のイメージの中で、かかりつけ薬局もしくは周辺の医療提供施設として、薬局 が要るのではないかと思いますので、是非そこもご検討いただきたいと思います。 ○尾形委員  44頁に都道府県が構築する診療ネットワークのイメージ図が示されて、46頁に核とな る医療機関の役割が、案という形で示されております。この核となる医療機関の役割を 拝見すると、既存の制度の下でも、似たような機能を果たしているものがあるように思 うのです。例えば医療法上の制度だと、地域医療支援病院というものがありますし、診 療報酬ですと、急性期特定入院加算を算定している病院があるわけです。質問は、これ ら既存のものとの関係を、どういうように考えたらいいかというのが1点です。  もう1つは、こういった既存の制度のいちばんの問題は、実はあまり普及していない という実態があると思うのです。新しいネットワークの普及のための方策というのは、 特にお考えなのか。この2点です。 ○谷口指導課長  ご指摘の点はまさに大事な点だろうと、私も考えておりました。従来の地域医療支援 病院とか、もう1つ見方を変えれば、広域で見ていく場合ですと特定機能病院とか、さ まざまな役目のある病院があると思います。診療ネットワークの核となるという形を考 えますと、従来の病院そのものというよりも、機能に着目して、必要な機能にこういう 光を当てて、疾病ごと、事業ごとにそれぞれの機能が条件を満たすような所は、それぞ れの核となる病院という位置づけをしてもいいのかもしれないというぐらいに、我々は 考えております。その結果、場合によっては従来の既存の何々病院とか、何々医療機関 の見直しと言いますか、今後の改革にもつながっていくのではなかろうかという視点 は、我々も持っているところです。そこまでの議論はまだ十分できておりませんが、結 果としてそういうこともあり得るのではないかという感じはいたしております。 ○池澤委員  やはり43頁の図について申し上げたい。これが本当に実現できるのは、医師がかなり 充足している地域だと思います。医療機関というのがこれだけたくさん出ていますね。 やはり東京あるいは指定都市は可能かもしれないけれど、実際に各都道府県で見ます と、ブロックによっては例えば皮膚科が1つもないような所もあります。そういう所は 結局のところ、かかりつけ医がそこの中核病院で、それが全部吸収してやっているわけ です。したがっていくら頑張っても、救急患者を入れても、紹介率は20数パーセントし かいかないと言っていました。そういう状態なのです。  ですから、こういうイメージ図を作るのもいいけれど、これに行くには各地域ごとに どういう診療所、どういう病院が、どういう機能をしているか、それをどういうように 育成して、こういうネットワークにするというものがないと、あまり現実的ではないの ではないだろうかと思います。その意味で、拠点病院というのがやにわに出てくるわけ ですが、先ほどのお話にもありましたが、これは一体全体何を言っているのか。これま で中核病院と言ったり、地域医療支援病院と言ったり、あるいは研修病院を含むどうの こうのと言ったり、いろいろな形での中核の規定がありましたが、本当の意味で言え ば、昭和23年の医療法を定めたときに、もうすでに総合病院の中にこの機能を持たせて いたわけです。その総合病院をなくしておいて、こういう概念を新たにつくっていくと いうのは、非常に無駄手間な感じがするのです。  それはそれとして、もう済んでしまったことだからいいのですが、それぞれがんと か、脳卒中とか、小児救急というように分けることは、必ずしも可能ではないのです。 実際に地域によっては、こういった機能が1つの病院に集中する所は十分あり得るわけ です。それならば、その地域ではそういったものを中心に育成していかなければならな い。これは厚生労働省にお願いしたい点ですが、中央としては各地域における病院と診 療所ネットワークが実際に組めるような医師の充足、確保について、特に都道府県の当 局を指導していただきたいと思います。 ○信友委員  46頁になると思いますが、診療ネットワークの核として、医療機関を指定するという のは反対です。これをやってしまいますと地域完結型ではなくて、地域独占型になって しまって、コーディネーターがいる病院の言うことを聞かなければいけなくなってしま います。この失敗例はあちこちにありますので、こういうコーディネーターを置く所 は、先ほど豊田委員が言われたように、専門団体の中に置くか、あるいは地域医療連携 室を持っている病院が地域医療連携室のグループをつくって、その中に丸投げしていく と。医療施設にやってしまうと、私の言葉で言えば地域独占ですので、縁故ネットワー クになってしまうのです。ですから住民にとっては割を食ってしまいますから、医療機 関を指定してそれを担わせるということは、数十年の歴史から見て、やってはいけない ことだと思います。 ○長谷川(敏)委員  この第2部の部分から第1部の部分というのが、コアになる部分ではないかと思っ て、大変感動しながら聞いていたのです。特に42頁の図は非常にわかりやすく、これま での供給体制をどうするかという医療計画から、患者にどういう医療を提供するかとい う医療計画に変わるところが、すごくいいところだと思います。ここで改めて認識した のは、かかりつけ医というものの重要性です。コーディネーター、割振りということ で、先ほど住民への大政奉還と言いましたが、今は医療を高度医療機関からかかりつけ 医に移していくと。事実試算してみますと、多分外来患者の半分か3分の2ぐらいは、 診療所で診られると思うのです。ですから診療が大きく変わっていくのではないかと思 われます。  そこで大変重要なのは、やはり情報の整備だと思います。いわゆるネットワークと継 続の診療を支えるインフラ、ITをどうしていくか、その標準化等というのが、今回の 新しい医療計画が成功するかしないかの瀬戸際というか、最も重要な要素ではないかと 感じました。 ○長谷川(友)委員  それと関連して、私自身、このネットワーク構想は非常にいいと思っています。特に 46頁でお書きになった核となる医療機関の役割というのは、非常に新鮮な視点です。普 段、役所のやることはあまり褒めないのですが、非常に高く評価しています。  ネットワークを本当に機能させるための要件には、いくつかあります。1つは、お上 がこの病院が何々拠点病院ですよと指定しても、ほとんど動かないのです。ですから医 療機能をきちんとリアルタイムで出せるような仕組みがないといけないのです。それが あって初めてネットワークが機能する。認定やお墨付きというのは、むしろ後からくる ような形にしないといけない。しかも数字が出ることによって、患者やそこに紹介する 医療機関が、その数字を基にできます。選択が保障されないと、ネットワークとしては 動かないわけです。  いま現在、ネットワークの失敗事例というのは山ほどありますが、その数字がわから ないということです。ですから自分たちのクローズドのシステムの中にある医療機関で あれば、やり方がわかっているから信頼できるということで、実際にはそこでしか紹介 できないのです。しかも、もうちょっとたどりますと、数字を出すためには標準化が進 まなければいけないということで、標準化を目標にした数字の出し方です。この部分で 行政の役割というのは、非常に大きいと思うのです。それを保証するのは何かと言いま すと、やはりIT技術です。例えばアメリカとか、イギリスとか、カナダなどは、医療 におけるIT戦略を非常にはっきりした形で出していますので、ITについてはやはり 外せない部分だと思います。  3つ目がやはりお金の話です。PFP(Payment For Performance)という言葉があ ります。何らかの形で質とお金を付けるというのは、医政局マターなのか保険局マター なのかというのは、確かにいろいろあるかもしれませんが、これは誰が見ても納得がい く話ですので、是非ご検討いただきたいと思います。例えばメディケア近代化法という のが2003年にできて、きちんとした情報を出せる医療機関については、通常の診療報酬 とは別立てでボーナスを差し上げるというのが第1段階です。第2段階は、まだ確定で はないのですが、よい医療をやっている医療機関に対しては、やはりボーナスを差し上 げます。これは質とお金をリンクさせる非常にうまい方法だと思います。世界中にはこ ういった試みがいくつかありますので、そういったものも是非今後の検討課題にしてい ただければと思います。 ○佐々委員  今日、参考資料として全日本病院協会の意見が出ております。これを後でお読みいた だきたいと思いますが、いま長谷川委員がおっしゃったようなことが、ここにかなり盛 り込まれております。また先ほど豊田委員ほかから出た、医療機関同士での共有につい ても書いてあります。各施設ごとの医療機能を、国や都道府県といった行政が把握して 各医療機関のみならず、それらを市民にも公表すべきだろうと思っております。  もう1つは先ほど土屋委員がおっしゃった、一般病院が抜けているということです。 確かにこれは書き込んでいただきたいと思います。いまの現状では患者が直接一般病院 に行ってしまうことが多いので、それをかかりつけ医の所へという太い線で結ぶという お考えだと思います。しかし、これには診療報酬の問題もありますので、それはなかな か進みにくい。やはり直接病院に行ってしまうということがありますので、一般病院の 役割というのは何かというのを、やはり入れてほしいと思います。  それに関連して、50頁以下に診療ネットワークのイメージというのが、がんから始ま っていろいろありますが、ある一般誌に、左上の「専門的な診療を行う病院」というの が、国公立病院というように書いてあったのです。この前のほうを見ますと、「医療法 人(民間)」というようにずっと書いてあるのです。マスコミはそういう誤解をしてい るところもあるので、参考資料の2頁のいちばん上の3)に、医療提供体制構築におい ては公が民を不必要に圧迫しないよう、最大の注意を払うべきということを入れており ます。そういうことで、後でお読みいただければ幸いに思います。 ○古橋委員  43頁について、たくさんご意見が出ているのですが、日常医療圏に保健所があります ね。私も保健所のいろいろなサジェスチョンやサポートが、医療面でも機能を果たせる と思っておりますが、保健所のみならず、今は市町村合併もあり一層、市町村保健セン ターも機能できますので、細かいことですが、保健所に並べて市町村保健センターを並 記していただくことが要るのではないでしょうか。それに関連して、へき地の医療に関 する図です。いわゆる無医村等に対しては、市町村保健師が医師と連携を取りながら、 保健指導等の調整もしながら、住民の体調の悪さ、病むということについて、機能を発 揮している現実があります。そういう点では59頁のへき地診療所と在宅の間に、診療の 補助という形の行為も含めて、市町村保健師の地域住民への保健指導等の調整とか、そ ういうことも入れてもらえないかと思っているのですが、いかがでしょうか。  もう1つは、46頁についてです。先ほど信友委員がおっしゃった考え方は私も同じ で、場合によっては核になる機能がある医療機関に定められますと、すべてではないと しても、系列的医療機関の利益誘導になり得ることもあると思います。もちろん信頼性 の高い医療機関が、こういう核となるネットワーク機能を持つことは、非常に有効とは 思いますが、透明性や公平という点からは、公共性の高い組織にしておくことが、必要 ではないかと思っております。 ○黒川座長  いろいろな議論があると思いますので、これはまた続けていこうと思っております。 皆さんの議論はいろいろ建設的なご意見が多いのですが、全体の流れとしては、自分た ちでもっと考えようという叩き台です。ただ、いろいろご注文のあった50頁などの各論 になってしまうと、間が抜けてしまうということですが、考えるほうはどうしてもがん のかなりエクストリームなケースを、最初に書いてしまうのです。3分の1はがんで死 ぬわけですから、大部分、自然にがんになって死んでいく人も多いわけです。何かで死 ななくてはならない。うんと若くて20代、30代の人だったら、オンコロジストをどうす るかという話もありますが、85歳でがんになっても、痛みがないというのは大事なの で。  しかし、わりにそのときの議論のイメージで出てきますから、書かれればこれがな い、あれがないというのは当然出てきます。皆さんお互いに非常に苦労をしているとい うことは確かだろうと思います。しかし今日話題になった42頁、43頁、44頁のような基 本的なコンセプトは、すごく大事だと思います。各論的なことはあるとしても、それを みんな入れろと言えば、インポッシブルになるけれど、多分それはわかった上で頑張っ ていると思うので、いろいろなサジェスチョンをいただいたというのは、大変よかった と思います。  ただ42頁でもそうですが、基本的には図を描くと、ここには矢印が付いていないと か、いろいろ細かいことがありますが、それは結構です。下に書いてある基本的な診療 ネットワークの考え方というのは、患者を中心にしたというか、コミュニティを中心に した診療ネットワークを構想して、主な疾患ごとに柔軟なとか、機能を重視したという 話が新しいコンセプトなのです。いままでのような一次医療圏とか二次とか、極めて行 政的な取組みではなくて、日常では違うのではないかと言えば、行政的なものよりはこ ういうようにしたほうがいいわけです。  濃沼委員がおっしゃったことは当然です。県境でやって、うちは隣の県のほうが近い という人はいくらでもいるのです。埼玉県とか首都圏もそうです。そういう話はいくら でもあるので、その辺は日常医療圏という話になります。ここに書くと必ずジオグラフ ィックなイメージになってしまうので、必ずコメントが出ることはよくわかるのです が、ここではそういうこともご賢察いただいて、やはり機能を重視した柔軟な話をしな ければいけない。ただ、それについてはいろいろな条件があります。では医師の質とい うのは肩書きだけで大丈夫かという話もよくあるわけで、私は、旧帝国大学の教授の実 力がどんなものか知っているかというような話をよくします。そういう意味では極めて 自分たちで律する、透明性のあるプロセスで社会に情報を提供しようという話はやらな くてはいけません。  また外来と入院の機能は必ずしも同じでなくてもいいのではないか、という話がだん だん出てきますと、診療報酬のあり方にかかわる。いままでは社会のほうも、何でもい いから専門医のほうがいいと思っているような、信仰に近いような社会通念もありまし た。それがだんだん世の中が変わってきました。先ほど池澤委員もおっしゃったよう に、いろいろな制度ができたときの疾患の構造や医療の体系というのも、いまとは全然 違うわけです。そういう話もここへ入れているのです。確かに方法や条件をどうするの か、医師の分布についてもありましたね。  医師の分布については、40頁に無医村の話がありましたね。無医村対策というのは30 年も40年もあって、行政的な区分ですが、30年前に無医村は2,800だったのが、いまは 無医村というカテゴリー自身、多分全国で900ぐらいになったと思うのです。いまはみ んな都市化してしまって、75%は都会に住んでいるわけです。  それと同じ問題ですと、自治医大をつくったときの社会背景は全然違うのですが、み んな強制的にお金を出して学生を行かせて、随分お金を払っているのも無駄ではない か、委託学生でいいのではないかという話も、もっと柔軟に考えなくてはいけないわけ です。ただ自治省とこことは違うのではないかという話になってくるわけです。この辺 はいずれ問題があるだろうと思います。  そんなことで救急の医師も必要だとか、足りないと言うけれど、実情はもうたまらん と言って、辞めている人がどんどん増えています。また医学部の学生の35%が女性にな って、救急や当直があるのは嫌だということに、どんどんなってきます。  地方には医師がいないと言うけれど、私が『バンブー』の1月号にも書きましたよう に、国立が独法化されると授業料がああだこうだと言っても、自由に上げれられれば、 ブランド大学の授業料が1,000万円だって、苦しい学生はいくらでもいるかもしれませ ん。そうやってもいいのかということになれば、医師になるにはお金持しか行けなくな るということでも、国民は納得するのでしょうか。納得しないのであれば、どういうよ うにパブリックマネーを使うかということをよく考えてくれないと。  私は公立も私学も両方行ったから、病院の経営を見ていれば、どのぐらいの収支にな っているかすぐに分かります。そこで厚生労働省と話をしたのですが、そうであれば地 域の市町村立の病院や診療所からいろいろプールをして奨学金を出して、出したらそこ に2年ぐらいやってくださいとか、これからいろいろな話が構築できるのです。ですか ら今までの枠組みだけで考えているのではなくて、もっとダイナミックなことを考えて もいいのではないかと。本当になるかどうかは別として、厚生労働省も局長の下、かな り思い切った大政奉還に向けた機能を中心にした視点が、ガラッと変わってきていると いう予感がするので、是非そういう議論を続けていただければと思います。  しかし、それを一生懸命考えて図を作ると、マルがダブッていないとか、いろいろな ことがあるのはやむを得ないことなので、それはご勘弁いただきたいと思います。いろ いろなことを言っていただくのは大変よろしいのですが、すべてを満足する図をどうや って描くかというのは、また難しいところです。そうなるとマルの中に全部入ってしま って、何だか訳がわからなくなってしまいます。  そのほかに診療報酬のあり方です。PFPというのがありましたね。もともとBTB だったのですが、Business Businessではまずいので、今度BTBはなくなってしまっ て、いわゆるBack To Basicという意味です。基本に帰れというのがBTBです。そう いうことから言うと、情報などのいろいろな話も、完成の情報ではないということにな ると、例えばライブドアか何かに委託するというのも悪くないかもしれません。そうい う時代になっているのではないですか。やはり患者のチョイスも、こちらから出す情報 をくれないから行けないというのではなくて、自分たちで取りにいきましょうと。それ にはどういうサイトがいいかというと、ライブドアなどいいかもしれないよと。あそこ の広報担当は、なかなかの戦略家だということもありますので、是非そのようなこと で。  世界で最速の高齢社会ですので、そういう意味では新しい政策をどう立てるかという のが結構大事な問題ですから、是非皆さんのお知恵を拝借したいと思います。こちらの 部屋も課長以下、ものすごい勢いで頑張っておりますので、その辺の意図あるところも 十分に汲みながら、国民の医療をやろうかと思っております。後は課長のほうからよろ しくお願いします。 ○谷口指導課長  本日は大変有益なサジェスチョンを多くありがとうございました。次回は4月22日の 開催を予定しております。次回は今日ご議論いただいた見直しの方向性等について、関 係団体のほうからもご意見をいただきつつありますので、そういったことも踏まえて、 総括的なご検討をお願いすると共に、今後県のほうに示す指標についても、具体的なご 議論をしていただければと考えております。どうぞよろしくお願い申し上げます。 ○黒川座長  これはなるべく公開しているので、メディアなどの広報の人たちにお願いしておきた い。なるべくポジティブないい意見を、キーワードとして少し出していただければいい と思います。マイナスのことしか出ないのはまずいので、よろしくお願いいたします。 どうもありがとうございました。 照会先: 医政局指導課 担当者: 計画係、指導係 連絡先: 03-5253-1111(内線2557)