05/03/25 補装具等の見直しに関する検討委員会第2回議事録             補装具等の見直しに関する検討委員会                  第2回議事録            厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部         第2回補装具等の見直しに関する検討委員会議事次第           日時:平成17年3月25日(金)10:00 〜12:00           場所:経済産業省別館846会議室 1.開会 2.議事  (1)補装具・日常生活用具の範囲の見直しについて  (2)その他 3.閉会 ○伊藤座長  それでは、皆さんお集まりですので、始めたいと思います。  では、第2回「補装具等の見直しに関する検討委員会」を始めさせていただきます。  まず初めに事務局より、出席の確認、資料の説明をお願いします。 ○金子専門官  着席のまま失礼させていただきます。  本日、6名の委員の先生方全員御出席をいただいております。  本日の資料でございますけれども、確認させていただきます。  まず、表紙に式次第が1枚紙、座席表が1枚紙、委員名簿が1枚でございます。  その後、資料の1といたしまして「第1回検討委員会での意見概要」という6枚もの のペーパーを用意させていただいております。  続きまして、資料の2といたしまして「補装具の定義案」という1枚もののペーパー を用意させていただいています。  それから、委員の先生方には、前回第1回の議事録を配付させていただいておりま す。先生方には、一度お目通しをいただいておりますけれども、再度間違い等ございま したら、恐縮でございますが、来週の月曜日、28日までに事務局の方に御連絡いただき たいと思います。  最終的にご確認いただいた上、厚生労働省のホームページで公表させていただきたい と思います。  それから、委員の先生方の机には、紙ファイルで、第1回目の資料をお配りさせてい ただいています。これにつきましては、次回の第3回目の検討会のときには、1回目と 2回目の資料を用意させていただくというようなことで考えていますので、よろしくお 願いいたします。  なお、その中で大変お恥ずかしい点でございますが、ファイルしてございます1回目 の資料の資料8の16ページ、付箋が貼ってあるペーパーでございますが、日常生活用具 給付等事業の品目の一覧でございますが、前回お配りしたときには、補装具の品目が出 ておりました。大変失礼いたしました。おわびの上訂正させていただきます。  配付資料は以上でございます。よろしくお願いいたします。 ○伊藤座長  よろしいですか。それでは、本日の会議は内容を2つに分けたいと思います。12時ま でということですが、前半を補装具の概念整理ということで、補装具の定義につきまし て、前回の議論を踏まえて、事務局の方で案をつくってございますので、これについて 御討議いただくと。  それから後半は、前回議論を十分尽くせなかった日常生活用具についての概念整理を したいというふうに思っています。そういうことで進めさせていただきますが、よろし いですか。  ただ、これはあくまでも概念の整理でして、補装具という中に、今、補装具の給付が なされているわけですけれども、その中に入っている品目を補装具給付制度の外に出す か出さないかという問題は、我々の委員会としてできる話ではございませんので、そう いう問題とは切り離して概念だけの整理をさせていただきたいと思います。  一応、品目については念頭に置いて考えていただいて構いませんが、それを制度の外 に出す、出さないの問題は別問題でございますから、そのことを十分御承知の上でお願 いいたします。  それでは、補装具の定義案ということで、事務局から御説明ください。 ○江波戸室長  資料2でございます。その前に誠に恐縮ではございますが、資料1につきまして簡単 に触れさせていただきます。  資料1に「第1回検討委員会での意見概要」ということでまとめさせていただいてお りますが、これは先ほど金子専門官の方から話がありましたように、まだ議事録に関す る御了承を得る前ではありますけれども、便宜、私どもの方でまとめさせてもらったも のであります。  そして、これに基づきまして、資料2の定義案が作成されていると御理解を賜わりた いと思います。  前回の意見、補装具に関しまして、大きく分けますと、1にございます前回報告書で 整理されました「身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代償するもの」を基に御 議論をいただきました。  2つ目にまとめさせていただいておりますように、前回報告書の「身体に装着(装用 )して常用するもの又は作業用に使用するもの」を基に御議論をいただいたところでご ざいます。  2ページ目でございますけれども、やはり前回報告書で整理されました給付等に際し て医師の意見書、身体障害者更生相談所に来所の場合は判定書を必要とするもの。これ を基に御議論をいただいたところでございます。  3ページ目の4として整理してございますけれども、これは私どもの方が作成をいた しました補装具給付事業と日常生活用具給付事業のイメージ、社会保障審議会障害者部 会に提出した資料を基に御議論をいただいたところでございます。その意見がまとめて ございます。  最後に5ページをお開きいただければと思いますが、日常生活用具に関しまして、や はり前回報告書で整理されました「日常生活を便利又は容易ならしめるもの」「家庭復 帰を促進し、家庭生活を営み得るようにするもの」を基に日常生活用具につきまして、 御議論をいただき、その意見をまとめさせていただいているものでございます。  これが資料1でございまして、これを基に資料2をごらんいただければと思います。  「補装具の定義案」とさせていただきましたけれども、これはあくまでも前回の議事 を踏まえまして、事務局が論議のたたき台として作成をさせていただいたものでござい ます。  資料の1をベースに、まず「定義」といたしまして「次の3つの要件を満たすものを 補装具という」とまとめさせていただいております。  (1)で「身体の欠損又は損なわれた身体機能を補完、代替するもので、障害に対応し た改造や特別設計がなされたもの」ということでございます。  (2)で「身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一のも のを継続して使用するもの」とさせていただいております。  (3)で「給付や利用等に際して専門的な知見(医師の判定書又は意見書)が求められ るもの」というふうにまとめさせていただいております。  説明といいますか、先般の座長のお話では、運用というところになると思いますが、 この資料では説明というふうにまとめさせていただいておりますけれども、3つの要件 を更に個別具体に少しかみ砕いた方が現場の皆さんなどにもわかりやすい、障害者の方 々にもわかりやすいというところがございますので、ここを少しふくらませていく必要 があると思いますが、現段階ではこのように書かせていただいております。  まず(1)につきましては「障害に対応した改造や特別設計がなされたもの」とは、障 害の状況に応じた設計等や個別的な選定・適合・調整を必要とするものというふうにし ております。  これは、補装具というのは、いわゆる既製品と申しますか、そういうものではないと いうものを表わすということでございます。  (2)でございますが、身体に装着(装用)の「装用」とは、必ずしも身体に密着させ るということではない。いわば装置使用という意味であり、障害種別に応じた多様な使 用方法を含むということで、例えば先般の議論では、視覚障害者の方々の杖の場合の携 行というようなものも装用に含むということではないか。障害によっては多様な方法が あるということでございましたので、装用とは多様な使用方法を含むというふうに考え たらどうかということでございます。  日常生活または就学・就労とまとめさせていただきました。その日常生活でございま すが、常時24時間体に付けるという意味ではなくて、それに限るものではなくて、日常 的に使用するという意味を含むということでございます。  ただ、日常生活は非常に幅が広うございますので、これは今までの考えでもございま すが、文化・レクリエーション・スポーツ用に使用するものなどは含まないと。例えば スポーツ用の車いすでございますとか、スポーツ用のチェアスキーなどは補装具として はいかがかというものでございます。  それから「同一のものを継続して使用するもの」とございますが、これは当該製品を 一定期間使用するものでありまして、少なくとも消耗品は含まないということでござい ます。  (3)については特にございませんが、これは専門的な知見が求められるということで、 言い尽くしておるということで、現在、ここに特段の説明はしておりません。  今、たたき台として、御意見を踏まえましてこの3つに作成しておりますので、これ をベースに御議論をいただければと考えております。  以上でございます。 ○伊藤座長  ありがとうございました。これについて少し議論をしたいと思いますが、どなたか御 意見はございますでしょうか。  前回は、代償するものとなっていたのですけれども、これを代替に変えたのは? ○江波戸室長  実は、現在、提出しております障害者自立支援法案で、補完、代替という言葉で言っ ております。そして、代償の「償」の字が償うというところもございますので、それは 償うという意味よりは、単に代替するということで法律案の用語に合わせてあるという ことでございます。 ○伊藤座長  元は代償になっていたのですね。 ○江波戸室長  元は代償でございました。 ○伊藤座長  自立支援法との関係ですね。 ○江波戸室長  そうでございます。 ○伊藤座長  それから、新たに加えたのが「障害に対応した改造や特別設計がなされたもの」とい うことで説明が加えられておりますけれども、このことは必ずしも既製品がいけないと いう話ではないのだと思うのですけれども、既製品でぴったり合ってしまう人もいない ことはないわけですから、ただ、それを改変したり、改良したり、特別設計すると、そ のために義肢装具士というような国家資格を持っている人たちもいらっしゃいますし、 更生相談所を中心とした給付の仕組みをきちんと担保すると、こういうことがあるがゆ えに担保するわけですので、そこのところはそういうことをむしろ加えてきちんとした 方がいいだろうという判断だと思いますが、いかがでしょうか。 ○黒田委員  全体ですが。 ○伊藤座長  全体でもいいですよ。とりあえず1番の、要するにこれは補装具というものの特性み たいなものを示したものだと思うのですけれども、補装具とは何ぞやということで、こ れについて何かございましたらどうぞ。 ○黒田委員  一応、定義された文言の確認なのですが、これまで補装具はよく処方というのが言葉 としては出てきたんです。  今回、ここでは特別設計、多分これが処方に当たるのか、それとも障害に対応した改 造や特別設計がなされたというアンダーラインを引かれたところが、従来我々が持って いる処方という概念とイコールなのか、またもう少し普遍的にもっと幅を持たせるの か。これは通常処方というのはよく使われておりますので、そこら辺りにずれが起こっ てくる。起こることはいいというふうにして進めるのか、そこらの混乱をできるだけな くしておかないと、やはり実際の給付事業の展開で相当ギャップが出てしまわないかな という感じがするのです。いい悪いではなくて、確認手続として、そこのところを処方 というような言葉が選ばれなかったところは、どの辺りにあるのか。それは全く意識せ ず、新しいものとしてすっとお考えになったのか、その辺を伺わせていただきたいと思 います。 ○伊藤座長  過去の定義の中で処方という言葉は実際には使われていないですね。我々が日常的に 使っているわけですね。  その点はいかがですか。 ○江波戸室長  恥ずかしい話でありますけれども、基本的な考え方の中に処方というのは、私ども持 っておりまして、それは義肢装具にしろ、車いすにしろ、必ず必要なものだと。これか らも事務的には、または要領をつくる際には処方という言葉が必ず出てくると思います が、この説明の(1)をつくる際に、設計等や選定・適合・調整としてしまったところで、あ る意味ここに含むというか、そういうきちんとした整理はせずにおきましたので、先生 の御指摘はどこかできちんと整理をさせていただく必要があるのかなと、今、思ったと ころであります。 ○黒田委員  私は、この表現は比較的なじむなと思っているのですけれども、当然事務取扱いの中 で、今、おっしゃったような処方というのはものすごい大きな流れで、頭の中に皆さん おありになるので、こことの間をうまく進めると、今後のシステムを考えていくときに は行くだろうけれども、何かちょっと肌が合わないと逆に混乱が起こるのではないか と、そういう懸念が1つあったものですから。 ○伊藤座長  運営要領とか、そういうこともあるのだろうと思いますけれども、説明の中で少し入 れたらいかがでしょうか。  先ほど私が申し上げたように、義肢装具士の話は別かもしれませんが、更生相談所を 軸とした給付の仕組み、こういうものをきちんと担保するとか、それからその中に処方 という言葉が出てくるのだと思いますが、そういうことがきちんと行われることが担保 されないと、例えば対象が幾ら少ないからといって、そこのところをきちんと担保して いかなければいけないのだと、これは憲法で保障されているところの基本的な生活保障 という立場でこれをきちんと国としては保障しますというようなことが、ここでは必要 なのだと思うのです。  それは、なぜかというと、障害に対応した改造や特別設計が必要なものですから、当 然そのことのが保障されなければいけないと、そういうことだと思うので、そんな説明 が少し入った方がいいように思いますけれども。 ○坂本委員  障害に対応した特別設計というのは、多分WHOのICFの福祉用具の概念規定の中 で出てきている分なのだろうと思うのですけれども、一般的に黒田先生がおっしゃって いる処方というのはすごく大きな流れがあるのだろうと思いますけれども、ある意味で 視覚障害者の立場なんかに立ってしまうと、処方というのは医学的な意味での処方とい う言葉にすごく限定されている側面があって、むしろ我々みたいに医学的な領域ではな いところでいうと、選定という言葉を都合よく使ってしまうのです。処方は医学的な診 断に基づいてやられるのだろうと。  しかし、ある程度経験的、臨床的なデータに基づいている場合には選定というような 言葉を使って整理する場合があるのですけれども、私自身は、ここで言おうとしている のは、障害に対応したものを、勿論提供していくのだという基本的なスタンスが補装具 の中にあるというふうに思っているのですけれども、そういう理解でよろしいのでしょ うか。 ○黒田委員  私も同じと思っていますけれども。 ○伊藤座長  処方という言葉は、そういうことを意味するのだということをここに入れればいいわ けですね。何も競合する話ではございませんからね。  いかがですか。どうぞ。 ○樫本委員  処方という言葉は、私も非常によろしいと思います。更生相談所が判定する場合は処 方、仮合わせ、適合判定という流れがあるわけです。更生相談所が関与せずに医師の意 見書を基に市町村が判断する、そして給付する場合では余り処方という言葉は馴染まな いかもしれませんけれども、やはりそれも一つの処方というような形でとらえた方が、 出されたものに対しての責任を担保するというような意味合いが出てくるのではないか と思います。処方というと薬の処方とか、どうしても医学的なイメージが出てきますけ れども、やはり補装具の給付というのも1つの処方であるととらえる見方もいいのかな と思います。 ○伊藤座長  それは併記でもよろしいのではないですか。何も処方だけに限定することはないと思 いますが、その点に関して、何か御意見はございますか。 ○太田委員  私どもいわゆる一般の行政事務屋からすると、障害に対応した改造や特別設計は、勿 論補装具はその方その方にフィッティングのために、必要だと思うのですが、この文章 の後段の部分だけを読むと、いわゆる基準外交付だとか、オーダーメードのみで、特殊 なものだけが該当するというせばめられたような印象を与えるかなと。  まさに、更生相談所が専門的な知見から判定をする、それが補装具の給付の前提にな るということは当然のことなのですが、その部分がもう少しわかりやすくされると、随 分今までの補装具からもっと領域がせばめられたような印象を持ってしまいます。 ○伊藤座長  栗原委員どうですか。 ○栗原委員  (1)の部分では、今おっしゃられたように、イメージでしかないのですけれども、やはり かなり狭義にとらえられてしまうというか、先生方はそれぞれの御専門という形での御 意見がおありなのだろうと思うのですけれども、我々事務屋ですとか、ユーザーの人た ちがこういったものを見たときに、イメージというのが、今でも実は補装具や日常装具 の品名一つとっても何を言っているのかわからないと、文言を見てすぐ品物がイメージ できるというような格好になっていないですね。そこら辺をもう少しわかりやすくして いくというお話が前回も出ていたかと思うのですけれども、そこら辺と比べると、せば まってしまうようなイメージが出てくる心配はあるのですけれども。 ○伊藤座長  今回は、具体的な概念整理で出しているわけですけれども、補装具という制度の枠の 中に入っている品目を具体的にイメージして、それを出すか出さないかという話になっ てしまうと、ちょっと別問題なのです。  ただ、いろんな意味で、それはさておいて、具体的な概念整理として、補装具として 我々が考えていかなければならないものの定義というものを、こうやってある意味で実 態に合わせてせばめていくという部分があるのかもしれないと思います。  それをきちんとしておかないと、日常生活用具との間が非常にグレーでわからなくな ってしまうのです。何か具体的な品目の問題が念頭にあっての話ですか。 ○栗原委員  前回示された(1)、(2)、(3)の中で、例えば資料1の方ですと3ページの4に前回示 された補装具としての基本的な考え方の(注)で(1)(2)(3)とありましたね。ここら辺 がこういう形で変わってくるとのかなと思っているのですが、例えば(2)の極めて重度 という言葉云々はこの間議論がありましたけれども、コミュニケーション確保や何かで 必要だというようなものの中に、意思伝達装置や何か、そういうものをイメージします と、まさにそこら辺では障害に対応した改造や特別設計がなされたものなんていうのが すんなり入っていくというイメージにはなるのですけれども、現在、補装具と指定され ているようなものが、逆に改造や特別設計がなされたもの以外は全部だめというよう な、そんなイメージにつながっていく心配が少しあるということなのです。 ○伊藤座長  いかがですか。 ○坂本委員  もしくは、私は一般的に販売されていないというところが多分引っかかってくるのだ ろうと思います。  例えば、今、ユニバーサル・デザインみたいなところで、要するにある特殊な人が使 うということより、むしろ普遍化してものをつくっていこうという共用品の時代に入っ てきたときに、そういったものを含めていくのかどうかというのは、補装具の概念に規 定するときには、かなり考えないといけないのだろうと。  むしろ、補装具というのは、障害者仕様みたいなところでやっていかないと、膨大な 品目が入っていくのだろうという考えを持っているのです。 ○伊藤座長  私たちが実際上更生相談所を軸として給付しなければならないと、本当に思えるもの というのは、体にフィッティングさせていくという技術がそこに入るからなのであっ て、これまでも補装具の概念の中で、専門的な知見として医師の意見書だとかを必要と するものと言ってきたのは、そこを保障したいということなのです。  このことをきちんと保障するために、そのための仕組みも必要ですよと、それを担保 しなければいけませんよという話であって、どんどん便利になってしまって、体にフィ ットする、今、ユニバーサルタイプと言いましたけれども、そういうようなものが出て きて、それでもってフィッティングだとか、そういう技術を必要としなくなってしまっ たならば、問題はそのものをどう保障するかだけの話ですね。つまり、逆に言えば更生 相談所だとか、そういうものを必要としなくなるわけですね。  例えば、それを税金でもって給付するとすれば、そういう経済的な保障をどうするか というだけの話になってしまうわけです。私は経済的な保障の問題はさておいて、技術 的な意味できちんと仕組みをつくっておかなければならないということを保障すること を念頭に置いて考えると、ある一定程度、そこのところが適合のために改造したいとい うようなことは確かに重要な要件だろうとは思うのです。 ○樫本委員  特別設計という言葉のイメージが、やはり誤解を招きやすいといいますか、余りイメ ージがよくないかなという感じがいたします。  説明の中に適合・調整という言葉がありますが、例えば障害に対応した改造や工夫と か、適合という言葉がここに入ってもいいのかなと思います。障害に対応して適合する よう改造・工夫・設計がなされたもの。 ○伊藤座長  特別というのがどうもいけないと。 ○樫本委員  ええ、そんな感じがします。 ○坂本委員  今、栗原委員がおっしゃったのは、多分市町村の職員スタッフの方がこれを見たとき に、ちょっとイメージが、かなりスペシャルに改造されているものでないと認められな いようなイメージが出てくるので、むしろそれだったら、先ほど黒田先生がおっしゃっ たような処方という言葉をここに持たせて、もう少し幅広く取るというのは一点あるの だろうかなと。 ○伊藤座長  だけど事務局も既製品ではいけないというつもりはないのだろうと思うのです。た だ、そういう専門家が入ることを適合チェックするということを担保するために、少し こういうことを入れたのだろうと思うのですけれども、もともと代替するものというこ とでストップしておいてもそれは問題ないように思います。一方で(3)で出ているわけ ですから、それはそちらで入っているといえば入っているわけなので、ほかに意見はご ざいませんか。  これは、どうしても入れた方がいいという考え方と、少し狭くなってしまって市町村 が逆に門前払いしてしまう可能性があるということで、危険だからやめた方がいいとい う考え方ですね。 ○黒田委員  そうですね。このままでは、確かに門前払いしますね。従来の形からすると、間違い なくやると思います。経験的に言ってもしますね。今もそういう事例をいっぱい聞いて いますから、ですから、確かに非常に言葉の持っている力の強さというのはありありと あるのですが、でもこれからの時代、そこにきちんとこういう意味を持つものという常 時解釈についての情報なり教育なり啓発なりを重ねていくことで、少しはこの背景の広 がりをもって機能してもらえるような市町村担当者というのを期待したいと思うのです けれども、言葉としてはこうだけれども、ある程度このぐらいの枠は判断の裁量として 持ってほしいし、持つべきだと、それは背景につくっておいて、こういうマニュアルの ような形で質疑応答集とか、それで代替できないかなと。  ただ、確かに代替するものというところには、それに合わせなければなりませんか ら、ですから改造や特別設計という意味合いは十分含まれてはいるのですけれども、た だ確かにものわかりしにくいので、はっきりとこうしておいた方が補装具というイメー ジは確実に出てくるのですけれども、現実に給付の現場にいると、この言葉の方でばん と切ってしまうと。 ○伊藤座長  ただ、会議の冒頭に申し上げましたように、補装具給付制度の中にどういう品目を入 れるかという問題は別問題ですね。ですから、そういうことを考えないで、これを切っ てしまうからもう補装具ではないという話にはここではならないわけで、ただ補装具と いうことをどういうふうにイメージするか、どういうものをそのために担保しなければ ならないか、ここのところをきちんとするためには、そういう技術的なことが入るのだ という意味で、障害に対応した改造や処方がなされたものとして、何かそういうような ことが入ってもいいのかなとは思います。 ○樫本委員  例えば既製品の車いすとか、そういうのも補装具とするわけですけれども、そういう ものも特別設計だというふうに意味を持たせてここに入っていると。 ○伊藤座長  既製品のということですか。 ○樫本委員  既製品のそういうものも補装具に入っているわけですね。車いすというのは特別設計 なのかと。 ○伊藤座長  基本的には出来合いものではないですね。型取りしてはいポンとつくってしまうわけ ではないから、組み合わせですから、そういう意味では特別設計をしていることになる わけで、それは処方していることを意味します。  例えば、バックレスト、アームレスト、それぞれの部品を組み合わせていくわけです ね。 ○樫本委員  それであれば、特別設計というのは、やはり私は障害個人個人に対して設計されたも のという意味で、例えば個別に設計とか、個人個人の障害状況に応じて、個別に設計、 適合がなされたものという形の言葉の方がふさわしいかなと思います。 ○太田委員  「説明」のところに書いてくださっている(1)の個別的な選定・適合・調整の部分を うまく入れれば、もう少しソフトな感じで樫本先生の意味が入るのかなと。 ○伊藤座長  選定とか、これは処方という言葉でもいいのかもしれませんが、選定とか適合とか調 整が必要なのだということが強調されたい部分ではあるのです。その方がすっきりと定 義としてはわかりやすいですね。 ○坂本委員  特別設計というのがICFの背景の中には、多分ものを改造していくというか、個別 障害に対応していくという側面もあるのですけれども、もう一つは技術的なシステムの 議論が、先ほどの処方の問題もそうなのだと思うのです。そういう障害者のために対応 したシステムづくりも含めて特別仕様という、そういう意味でのものだけではないとい うのがICFの福祉用具の中には入り込んでいるので、多分そういう意味では特別設計 という言葉が出てきたのだろうと。  ですから、ここで言うと、むしろ処方みたいなところで、そういう障害者に対応した 補装具を提供するのですよという意味で、処方みたいにすっと流した方が補装具の体系 からするとわかりやすいのかなという印象を持つのです。 ○伊藤座長  ICFは国際的な話ですから、我が国は一応更生相談所を軸とした仕組みがつくられ ていますから、個別的という方がいいですかね。それこそ個別的な選定・適合・調整が なされたものという方がよろしいという意見もあるのですが、処方という言葉にこだわ りますか、いいですか。 ○黒田委員  今おっしゃったプロセスを処方というふうにとらえられますから、別にいいです。 ○伊藤座長  だから、もっと簡単に処方という言葉を使っていただいて、説明でこういうふうに言 っても構わないかもしれないですね。とりあえず、そんな議論でよろしいですか、後で もう一回戻しますけれども。  2番目の「身体に装着(装用)して日常生活又は就学・就労に用いるもので、同一の ものを継続して使用するもの」というような文言でございますが、これは前回黒田委員 の方から常用と作業用と残した方がいいのではないかと、現場は混乱しないよという話 もありました。ですから、常用という言葉を残すのだったら、括弧付けで日常生活用と か、作業用というのは、就学・就労を意味するのだとか、そんなふうに入れてもいいか なという気はします。  いずれにしても、常用、作業用という言葉が専門家とか、関係者の間ではみんな理解 して、むしろその方がわかりやすいのですが、一般的には余り理解されていないという 意味で、ここに掲げている文言の方が、私は今の印象ですが、一般的な理解はいいかな という感じはするので、それはどうなのか、ちょっと御意見をいただきたいなと思いま す。  樫本委員、いかがですか。 ○樫本委員  「日常生活又は就学・就労に用いるもの」というところは非常によくまとめられたの かなと思います。後半の部分もよろしいですか。 ○伊藤座長  はい。 ○樫本委員  「同一のものを継続して使用するもの」と、恐らく補装具というのは長期に使用する ものという概念があることも含めて、こういう形で入ったのだと思うのですが、同一の もの、例えば替え義足だとか、いろいろな使い分けをしている人もいますけれども、そ れも同じものを使い分けているということで問題はないかと思います。 ○伊藤座長  要するに、消耗品的なものではないということですね。いかがでしょうか。これは事 務的にいかがですか。 ○太田委員  一番先ほどのスポーツ用車いすだとか、チェアスキー、そこら辺は社会参加の意味か ら、補装具を2個給付というときに、いろいろ現場では、少なくとも屋内用、屋外用と か、そういう意味で日常生活または就学・就労に用いるというところで、特別な違和感 はないかなというふうに思います。 ○伊藤座長  基本的に生活を保障するという意味で言えば、日常生活、セルフケアのレベルです ね。それともう一つは、教育あるいは働くことの権利を保障するということだろうと思 いますが、さまざまなアクションに対する保障というのはさまざまですから、そのうち の文化・レクリエーション・スポーツということにだけ限定する必要は必ずしもないか もしれませんので、ここは今までも抜けているのですが、基本的には日常生活というの はセルフケアのレベルだと思います。また、就学・就労を保障するということは絶対条 件だと思います。同一のものを継続して使用するということは必須の条件だと思います が、そのために耐用年数というのがつくられているわけです。  したがって、耐用年数がこれに当たってくるのだと思うのです。耐用年数というの は、不適合が起こってしまったり、あるいは破損があればその限りではないわけですけ れども、一定の耐用年数があるという説明をきちんとここですれば、それはそれで継続 して使用するというのは、意味が明らかになりますね。  ただ、文言の語呂が余りよくないですね。同一品をというのですかね、品目ですから 同一のものを同一品にした方が却っていいかもしれませんね。  栗原委員、いかがでしょうか。 ○栗原委員  前段の部分は非常にわかりやすいと思うのですけれども、私も最後に引っかかってい るのは、継続の期間でございまして、耐用年数という考え方は当然だと思いますから、 それはよく理解できるのですけれども、実は定義のところではなく、説明の一番最後の ところ、どうしても事務屋なものですから、品物とリンクしてきて、前回もちょっと議 論させていただきましたけれども、少なくとも消耗品は含まないと書き込んでしまうこ とが、ストーマ用装具に影響が出るというふうに私は考えてしまうのですけれども、こ の辺をどうするのかなというのが少し気になります。 ○伊藤座長  耐用年数はすべての補装具の品目に入っていますね。ただ、そういう消耗品類には入 っていないだけで、それは言ってみれば数を限っているだけですけれども、普通は皆さ ん入れているわけですね。過去の概念ではそういうものはきちんと入れてきたわけで す。一定期間使用するというのは、そこに耐用年数という概念を、耐用年数という条件 をここにきちんと書き込んだ方がいいと思うのです。何も含まないとか、そういうもの は消して、使用するものということでとどめる方がいいだろうということですね。  一定期間というのは、耐用年数を表わしているのだということをきちんとした方がい いと思います。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  ただし、耐用年数に関しては、うるさいようですけれども、不適合が起こったときと か、破損があったときにはその限りではないのだということもきちんと入れておいてく ださい。 ○黒田委員  日常生活の文化・レクリエーション・スポーツ用に使用するものは含まないというの は、これは一応案で、将来どこかのところにこういうものが浮かび上がってくるのでし ょうか。 ○伊藤座長  これも否定の文章なのですね。 ○黒田委員  確かに、チェアスキーのようなのは補装具かということになると、確かになかなか実 際にやってきたものとしてもとらえにくいわけです。極めて限られた時間に、限られた 領域で使うものである。  逆に車いすで、よくスポーツ用車いすを出してくださいということで来るのですけれ ども、車いすをもらってスポーツ用に使うものは勝手なわけですね。 ○江波戸室長  はい、そうでございます。 ○黒田委員  スポーツ用と言うからだめであって、一生懸命考えたらたまたまスポーツに使えるも のができてしまったというのは、それは別にセーフなわけですね。私は、補装具の給付 の世界でもめているのは、利用したい人が初めから自分で概念を決めてきてしまって、 ちょっとオフレコにするか、そこは押さえておいて車いすをいただいたと、ただその中 でお互いに相談しながらだんだんしていったら、なんかスポーツにも使えるものになっ ていったと、それはよろしいではないかと、先ほど伊藤先生がおっしゃったように、シ ステムの中で了解されれば、それは別にスポーツに使おうが、スキーに使おうが、ちょ っとスキーは余分かもしれませんが、それは構わないわけですね。補装具という概念の 中で処方されていて、各それぞれの専門家なり、行政の方の給付にOKと出ればそれは 構わないわけです。  ただ、一番初めのところで、障害に対応した改造、特別設計というのがぽんと出てし まうと、スポーツ用とか、名前を先に出してしまうと、それは当然ネグレクトされてい くわけです。  ここらは、定義をつくっていくときに、微妙な出し方になっていきまして、さっきも おっしゃられたように、イメージが先行してしまうと、レッテルで処理をしてしまう と。  ここの日常生活にこういうものがかかってくると、文化に使うならいいかということ で、どうしても何に使うのですか、どんなふうに使いますかというと、そこに使用のわ かりやすい言葉をつくろうとすると、やはりスポーツに使いたいというのは出てきてし まうのです。ちょっとこの辺の処理は慎重にしませんと。 ○伊藤座長  私もそれは同感で、こういうのは否定の文章なので、実は給付された車いすをレクリ エーションに使ってはいけないのかという話になってしまうわけですね。これは、いわ ゆるレクリエーション用には出しませんよというだけの話ですから、それをレクリエー ション用に使用するものなどは含まないと言ってしまうといけないのかなと、そういう 気持ちはあります。だからレクリエーションのためには出しませんよと。  では、スポーツ選手がそれをなりわいとするものにとっては、それは作業用じゃない ですかと、それはそうだと思うのです。ですから、そういう問題はありますので、やは りこれをどう使うかは別問題ですから、レクリエーション用の車いすがあるわけでは必 ずしもないので、こういう否定文は説明としては余り適当ではないのではないですか ね。そこは現場で、やはりユーザーの方の希望や生活や実際のお仕事や、そういうこと を考慮に入れて現場判断ができるようにしておかないといけないと思いますので、概念 の中の説明で、これは入れない方が現場の幅が広がりますので、その方がよろしい、こ れはQ&Aみたいなものできちんと示していけばよろしいことだと思います。  ほかにございますでしょうか、坂本委員ございますか。 ○坂本委員  (2)はすごくすっきりして、確かに語呂が悪いところがある。ただ1つだけ、これは確認 という意味もあるのですけれども、就学という概念は別に学歴に限定するという話では ないという理解でよろしいのですか。 ○伊藤座長  いや、国が保障するのは学歴の問題ですね。 ○坂本委員  というのは、中途の視覚障害者とか、結構技療のライセンスを取るとか、これも就学 に多分含まれるのだろうと。 ○伊藤座長  それは就労へ向けての話ですね。 ○坂本委員  そうです。 ○伊藤座長  授産所に行っているようなものじゃないですか。それはそれで就労のための道具とし て考えれば、よろしいかと思います。 ○坂本委員  基本的に、ここで言っている就学というのは、ある程度学歴を前提にして使われてい る言葉というふうに考えると。 ○伊藤座長  私なんかはそう読みたくなりますね。 ○黒田委員  就学の年齢というのは、義務教育の年齢、それと通園施設なんかで早期療養に取り組 む、3歳とか2歳とかから児童の通園施設なんかに通ってトレーニングしますね。ここ と就学との間はどう考えるのでしょうか。もし、就学というのを6歳というような、ま さに義務教育養護学校というようなことを考えると、そこから下は、でも児童福祉では 入っていますから。 ○伊藤座長  児童福祉の方ではいいのでしょう。問題ないのじゃないですか。 ○黒田委員  とらえられないことはないですね。保育園もそういう意味では、就学という言い方は 限定し過ぎですかね。一般的にはわかりやすいかと思うのですが。 ○黒田委員  就学とは余り出てこなかったのでね、職業上必要と認めるものという話が非常に強烈 なもので、学校に行っている子どもたちの福祉用具に関しては、余りこういう形が出な かったので、これはかえって明らかになっていいかなということはするのですけれど も、そうすると低年齢の子たちが、さっきのイメージではないけれども、余り積極的に くみ上げられにくくなると。そういう子どもたちをお持ちの御父兄なり、サポーターの 方々にとっては、少し理解しにくいところが出てくると。 ○伊藤座長  基本的な保障という点で言えば、教育の保障、その中に入るという意味での就学なの だろうと思いますが、保育園、療育の段階ですね、それをどうするか。 ○坂本委員  補装具の概念規定からすると、やはりいわゆる早期療育をやられているのもあるので しょうし、とにかく早期に療育相談をして、かなり早目からアプローチされているわけ ですから、入れてもいいのかなと。 ○伊藤座長  実際上、我々は現場では入れていますね。療育の現場で使うものというのは入れてい ます。 ○坂本委員  むしろ、そういう考え方だというところだけはっきりしておけばいいので、別に学歴 に限定していないよと。 ○伊藤座長  そういう説明で、むしろ入れた方がいいと。 ○坂本委員  ええ。 ○伊藤座長  現場は実際上は入れていますので。 ○坂本委員  では、現場に合わせて、結構幅広に就学という概念規定をしているのですよと。 ○伊藤座長  子どもたちの本当の問題はそうですね。就労という問題もそうだと思うのです。少し 幅広に考えないといけないと思います。  どうぞ。 ○栗原委員  ここで、就学、就労等と、いわゆる等というのを入れると、あとで等とは何かという ので相当議論が出るのでしょうかね。例えば、就学とは何ぞやといったときに、要は3 歳、4歳の通園の場合だとか、あるいは義務教育を終わって、養護学校高等部の部分だ とかというようなことも含めるという意味合いで等を入れてしまったときに、就学、就 労等で何でもOKという話になってしまっても困るという思いはあるのですけれども。 ○伊藤座長  概念としては、ばっと広がってしまいますので。 ○坂本委員  レクリエーションとかスポーツも等を入れてしまうと入ってしまうと思うのです。そ うすると何でもありの世界になっていく可能性が強いのではないかと思うのですけれど も。 ○樫本委員  日常生活という中で、社会参加ですね、そういうものも含めているのでしょうか。実 際に座位保持装置なんかで作業所に通うときに使うとか、あるいは作業所に置きっぱな しでそこに行ったときに使う方もいるかと思うのです。そういう目的は、社会参加とい いますか、ある意味で文化とかレクリエーションという意味も入るかもしれませんし、 実際にそういう目的で給付されているわけです。そういう場合も、これはその方にとっ ては日常生活であると、そういうふうにとらえてよろしいのでしょうか。 ○伊藤座長  私は、作業所の中にはいろんな種類があって、就労と考えられる作業所もあれば、日 常生活と考えられる作業所もあると、どちらかの場所ですね。 ○樫本委員  重心の方のデイサービス利用とか、就労とは言えないような場合もあるわけですね。 ○伊藤座長  昼間の時間帯をどこで過ごすかの問題ですので、やはり日常生活の場として使ってい らっしゃるのだろうと思うのですね。  だから、これは前に黒田委員が言ったように、常用、作業用を残しておいて、括弧づ けでそういうふうにしてもよろしいかと思うのです。日常生活用とか、就学・就労用と いうふうに考えても構わないかなと思うのですけれども、何か括弧づけがいろいろ入っ ているのは、余り格好よくないなというだけの話です。  だから、説明できちんと就学の意味とか、就労の意味とか、少し幅広に説明文を入れ ておけば、それはそれでいいのかなという気はしますけれども。 ○黒田委員  日常生活という中に就労と就学という、特定の状況が組み込まれている、それをそこ だけ抜き出して文章化して、私はこれを見ていて私なりの理解はそうなのですけれど も、ずっと日常生活全体の中で、特に就学に必要、就労に必要、補装具というのは日常 生活に使うのです。それが前提です。  とりわけ、例えば両耳補聴器が要る難聴の子たち、これは就学上どうしても要るだろ う、発達保障上要るだろうし、特に仕事上要る。それが例えば作業用であったり、常 用、作業用の使い方であったりというふうにしていくと、これまで取り組んできた中で は、比較的落ち着いた表現かなと、むしろ上よりはこちらの方が使い勝手がいいなと。 上は、先ほど指摘いただいて、私らはもし上が出たら確かに切りますね。やはり特別じ ゃないということでやる可能性が出てきますので、相殺じゃないのですけれども、定義 の幅をうまく重なり合うようにするには、(1)と(2)の表現というのは、ある意味で拮抗 していてよろしいと思うのです。 ○伊藤座長  こちらの方が幅広く取っていますね。ある意味で、上は物の規定なのです。それに対 して、これは使い方とか、目的を規定しているのだと思うのです。そういう意味では、 非常に幅広く取れるような、今、黒田委員が言ったように、日常生活なのだと、その中 でも作業というのは特別な場所でやるから、そういう意味で就労や就学の場というのが 限定された環境の中でやるから、それに合わせて特別につくる必要があるというような 考え方もあるということです。 ○太田委員  私もそういうふうに日常生活というのは広いもので、その中で日常生活には特別支障 がないけれども、就学・就労の場に特別な目的のために必要とする場合は給付が可能だ というふうな読み方をいたしましたけれども。 ○伊藤座長  そうすると「又は」というのはちょっとまずいですかね。 ○太田委員  「又は」の方がいいのだと思います。かつということになるとまた。 ○黒田委員  等に等しくなる。 ○伊藤座長  そうですね。では、常用とか作業用という言葉から、こういう言葉に取り替えていく という方向でよろしいですかね。  説明は、就学というのは何も義務教育に限らないよというところですね。就労という のも賃金をもらうということが前提では必ずしもないということ。  あと、同一品を継続して使用するというのは耐用年数のことなのであって、説明文の 文化・レクリエーション・スポーツ用とか、少なくとも消耗品には含まないという話 は、いろんな意味で将来的な誤解を招きますので、削るということでよろしいでしょう か。  では、3番目に入りたいと思います。「給付や利用等に際して専門的な知見(医師の 判定書又は意見書)が求められるもの」。これは前回出された定義の3番目、給付の仕 方です。給付事務の過程の話をしているわけです。  前回とちょっと違うのは「医師の」というのが具体的に入っていたのですが、今回は そうではなくて「専門的な知見」と、これは前回出ましたように、PTの人たちの義肢 装具に詳しい方々とか、補装具に詳しい方々、そういう方々もいらっしゃる、そういう 人たちの意見、技術を集約して、チームでもってアプローチするというのが理想だとす れば、そういう知見という言い方をして、ただ判定書と意見書は医師が書くのだと、こ れを担保するという意味なのだろうと思いますが、いかがでしょうか。  前回は、給付等に際して医師の意見書を必要とするものというのがあったのです。 ○黒田委員  (1)(2)(3)を含めて専門的知見が求められる、これはどこでこの知見が発生するかと いうのは、身体障害者福祉法と自立支援法と重ねていくと、従来ある補装具の給付のシ ステムというのは、当然前提として考えると理解してよろしいのですか。  例えば、更生相談所のような機能は今後考えないのだと。全く新しい仕組みを考えて いくのだということに展開していくのですか。それとも今ある仕組みをうまく活用して いくことで新たな時代に対応していくと考えるのか、この定義によっては、先ほど伊藤 先生がおっしゃったシステムづくりというものが非常に大きな流れになってくる。  それで、第1回目のときのお話には、金銭給付ということを念頭に置いていくと。金 銭給付ということに処理が慣れていないし、勿論そうなるかまだ確実にとらえているわ けではないのですけれども、その方向に向かっているとおっしゃるわけです。  それが、補装具交付の従来の仕組みの中でどのぐらいなじむのかということ。つま り、3番目のところの専門的知見が、例えば中心に更生相談所があるとするならば、で は次に出てくる金銭給付というようなものの処理と、補装具のつくり方との間の整合性 なり、進め方もしっかり見ておきませんと、ここの定義が出てきたということは、逆に 言うと、補装具の給付事務というのは、従来のものをうまく活用していくのだという前 提、そうとらえてよろしいのですか。 ○伊藤座長  厚生労働省の立場で、今、改革のグランドデザインを出されて、自立支援法案を出さ れているわけですが、その中でも更生相談所は従来どおりきちんと機能させるのだとい う立場ですね。 ○江波戸室長  はい、そういうふうに考えておりまして、今回の自立支援法案におきましても、先般 の資料で法の抜粋を出させていただきましたけれども、市町村は補装具費の支給に当た って必要があると認めたときは、厚生労働省令で定める機関の意見を聞くことができる と。  これは、従来の身障法にもきちんと書いていなかったのですけれども、ここを明確に 書き、厚生労働省令で定める機関とは、更生相談所なり、子どもさんの方では指定育成 医療機関なりが挙げられるというふうに思います。  そして、確かに金銭給付ということになりまして、ただその際に、例えば事業者さん と障害者の方の契約が先にある前に、補装具の支給が適当かどうかという給付の申請を していただくというところから、まずは出発をさせたいと考えておりまして、それ以降 は従来の仕組みとしてありました更生相談所に来所をする者でありますとか、医師の意 見書を基に更生相談所が判断するとか、それから医師の意見書を基に市町村が判断する とか、市町村が独自に判断するというところは、従来の仕組みをそのまま残しつつ、新 しい補装具費の支給の仕組みを考えたいというふうに考えております。  したがって、今、黒田先生からお話がありましたように、私どもの頭の中に更生相談 所が中心にあることは間違いないところでございます。 ○伊藤座長  むしろ、その機能をもっと充実させなければならない部分があるわけですので、それ を大前提として考えていただくと。 ○黒田委員  充実しなければならないものが出てきたので、ちょっと頑張ってほしいなと。今まで 何十回充実しなければならない話を聞いてきて、一回も充実したことが、それはちょっ と言い過ぎで、我々も努力させていただいて実らなかったのは我々の責任でもあるので すけれども、非常に新しい考え方と、現実に合うようにという非常に難しい作業をしつ つあるわけですね。  その中で、また、くしくも古いというか、障害をもって福祉用具にかかって、補装具 にかかった障害の方から見れば、また更生相談所かよということになってくるので、そ うすると、それが実はこういうふうにリニューアルして、非常に積極的に自立支援に関 わるんだという更生相談所のイメージなり、機能がもっときちんとした形で働かない と、下手をすると前のままの単に書類の通過機関であったり、何かたまたま出会った人 がそこの担当になって、専門家もだれもいないということになると、この3番目が全く 機能しないということになってくるので、これは定義と同時にシステムというのは、し っかり両面とらえてつくっていかないと、日常生活用具と補装具の関係性を改善すると いうのは、ものすごい大きな改革だと思うのです。  その中で、専門機関が専門機関として機能しないということになると、全然意味をな さなくなってくると。この定義のところの専門的知見に更生相談所があるのだというこ とになると、そこも含めて是非ピンからキリではなく、今度はピンでできるだけ全国そ ろえてもらえるような取組みをしていただきたいなと思うのです。 ○伊藤座長  私もそう思いますけれども、なかなか財政の問題もあってできない状況にあるようで すから。 ○黒田委員  一応、意見としては申し上げておきます。 ○伊藤座長  そのことが非常に大切なのだと思います。ですから、そういう意味で本当に基本的生 活を保障する上でも、そういう仕組みを担保するのだということは、この説明の中でき ちんとお書きいただきたいと思います。  それでは、定義のところの先ほどの(1)のところは、特別設計というような言い方を なしにして、障害に対応した処方とかあるいは改造とか設計とかというレベルの言葉に したいと思いますが、いわゆる選定・適合・調整というようなことを必要とするもの と、そういうものをされたものとか、そういう言葉にするということにして、いかがで しょうか。全体通して何かございますか。 ○坂本委員  基本的には、今、伊藤先生がおっしゃったことでいいのですが、1つだけ3番でちょ っと気になるところがあるのですけれども、3番の専門的な知見で一応判定書なり意見 書なりが出てきて市町村が決定されるのですけれども、一方、個人給付になっていく と、多分審査会にかけないといけないという話が出てきたときに、本当に審査会にかか ってしまうのかなというと、余りかからないのかなという感じがするのですけれども、 現実的には補装具給付システムの中に審査会というのがどういうふうに位置づけられる のかというのがちょっと見えないのですけれども。 ○江波戸室長  今の審査会というのは、給付の程度を示す審査会ということでよろしいでしょうか。 いわゆる、在宅のサービスを利用する、施設サービスを利用する際のサービスの量の審 査会という意味でございますか。 ○坂本委員  はい。 ○江波戸室長  補装具につきましては、審査会とは離したところで給付の仕組みを考えたいと思って おりまして、くくって言えば、在宅サービス、施設サービスのサービス量を決める審査 会とはまた別のところで給付するかどうかを決めていくというふうに考えております。 ○太田委員  審査会の対象になるのは、介護給付だけという理解でよろしいのですね。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  ほかにございますか。 ○坂本委員  多分、訓練等給付も審査の対象になっていくのだろうと思うのですけれども、介護給 付だけにはならないかもしれないと、その辺はまだ省令ができ上がっていないと。 ○伊藤座長  これはその対象外だと。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  さて、そうしますと、ちょっと補装具の定義としては、非常に限定したといいましょ うか、イメージアップのために、きちんとしたという面はあるのですけれども、先ほど 来、ちょっと懸念があります品目がそのためにはねられてしまうと、しかし、これは補 装具の制度の中で言えば、これまでの歴史的な経緯があって、この補装具制度の中にそ ういう品目が入ってきたという流れがあるわけです。  この概念をてこに、こういう定義だから外すのだというふうに短絡的に言ってしまう というのは、我々としては避けたいと思います。  この委員会が出すべき結論ではありませんので、そのことはちょっと押さえておきた いというふうに思いますので、もしそういう形でもって日常生活用具にこれが移されて いくのだとするならば、幾つかの要件が必要だと思いますし、そういうことをきちんと 我々としては保障してほしいと。委員会の報告としては、この保障問題は保障問題とし て書き込んでいただきたいというふうに思います。  例えば日常生活用具になった場合の問題として、義務的経費ではなくなりますから、 先ほど言った給付の仕組みの担保というのはなくなってしまう可能性があるわけです。  例えば、サングラスだとか、レディメイドの手押し型の車いすみたいなものは、一般 市場の中で今後も売られていくでしょうし、それほど心配はしていないのですけれど も、ちょっと一般市場で購入することはできないといいましょうか、購入し難い、余り 普及していないものというのが、前の用具の現状の中の一番右側の市町村の判断で決定 するものの中に入っているもので、例えば点字器にしても、人工喉頭にしても、これは 一般市場ではなかなか購入できないわけなので、そういう特殊な用具であることを、あ るいはそういうものは使う人たちが少ないですから、多分だれも製作だとか、改良だと か、開発だとかということに力を入れないとか、そうなっては困るわけで、このことに ついてきちんと保障していく公的な意味での製作、改良、開発、販売を保障する仕組み を担保するのだということをきちんとしていただきたいと思うのです。そういうこと を、まず1つの条件に掲げたいと思います。  もう一つは、例えばストーマ用装置の問題について言うと、確かに概念的には消耗品 かもしれませんけれども、前回の委員会で、黒田委員から出されましたように、これは ほかの日常生活用具なんかと違って必需品ですね。まさに私たちの生命を維持する上で の食と排泄の必需品ですから、こういうふうなものを使わざるを得ないといいましょう か、そういう方々のためには、きちんと特別に対応する必要があるのだろうと思いま す。  特に、一定の量を使いますので、その経済負担は大きいと思うのです。ですから、こ ういうことに対しては、経済的な負担の軽減を図るための方策が是非必要で、そういう ものを講じるのだということを大前提にしない限り、補装具という枠の中に入っている これらの品目を、この定義をもって、だから違いますよというふうに法制度の外に出し てしまうというのは、私としてはそれはまずいですよという意見を持っております。  もう一点加えるならば、新たな品目を補装具とするかどうかということについて、こ れは前回もお話しいたしましたけれども、その是非を判断する委員会みたいなものを設 けてきちんと議論をして、入れるものは入れるというような仕組みもつくっていかなけ ればいけないと。これまでそれがちょっと曖昧だったように思うのです。  ですので、この概念との関係できちんと入れるものは入れるということで、そういう 委員会を設置してほしい。それを報告書としては書いてほしいと思うのですけれども、 いかがでしょうか。  先ほど栗原委員が御心配なさっていた点です。こういう定義だから違いますよと。で もそれは法制度の外に出すことではない。出すのだとすれば、絶対それなりの保障が必 要だというふうに思いますので、現状の保障以下に下げるということは、これはそのた めに概念整理をしているわけではございませんので、そこのところきちんと押さえてい ただきたいと思います。 ○黒田委員  (1)(2)(3)と順番に行きますと、最後の専門的知見の背景、これは伊藤先生がおっし ゃったように、まとめにとして代表の医師が判定書を書くということ。  これまでは理学療法士、作業療法士、義肢装具士という国家資格をもって、それ相当 の仕事、福祉用具に関わる人たち。極端に言えば、陰であって、ほとんど専門的知見に 関わりながら活動としては評価されていない。やはり補装具をこれだけの背景を見てい くと、相当いろんな人が関わっているわけですので、今、専門的知見の背景に何かきち んと国家資格として、なおかつコメディカルスタッフという形が見てくるようにして、 こういう人たちがちゃんと仕事をするから特別設計であり、補装具として意味がある と。公的給付として非常にいいものをつくっているのだと。  やはりそういう形で物に対する保障をしませんと、かつてに我々はよく経験したので すが、税金でつくったから大したことないだろうと、相当しっかりと。 ○伊藤座長  言われたのですか。 ○黒田委員  ええ、言われたことがあるのです。だから、そんなんだったら要らぬわという話を何 度も経験しながらしてきているので、やはりこれだけの専門家が支えている制度である ので、中途半端なものではありませんと。当然そうなるから同一継続して使っても、場 合によっては保障もできますと、そういう説得性が出てくるので、やはり今の時代です から、そういう幾つかの高度な国家資格をお持ちの方々がもう少し表面に出てくる形を どこかに置いてほしいなと思うのです。  なんかどこかで集まって資格をつくって、それでその人たちが相談するというような 形のところに振り回されると、補装具というのはちょっと歪められるのではないかと、 私はそんな印象を持ちました。 ○伊藤座長  今までみたいに医師の意見書というふうに規定していませんから、そういう意味では 専門的な知見という中には、そういうものが入り得る条件というのがあるのだろうと思 うのです。  ですから、そういう意味で説明の中に、今、言われたようなことを入れると。専門的 知見というのは、そういう意味なのだということでよろしいですか。 ○黒田委員  はい。 ○伊藤座長  どうぞ。 ○坂本委員  今回の自立支援法案の中の補装具費の支給のところの第5項のところで、今度新しい 条文で、厚生労働大臣は必要な調査を行うことができるということができてきたので す。これは初めて入ってきたので、むしろ黒田先生がおっしゃるような、第5項を生か して、ある補装具の品目にこれを日常生活のものに入れるとか、そういうことを実は決 定するために調査をやって、そして委員会を開いて、しっかりそういう手続を踏むこと ができるようになるのではないかなと。いろいろな専門家の方の意見を聞いて、基準づ くりもやるということも可能性が出てきたのではないかなと思うので、是非第5項を生 かして補装具の品目とか、いろんな基準を考えていただければいいのじゃないかなとい うふうに思います。 ○伊藤座長  今、部品類についてはパーツは国立身障センター、リハセンターなんかできちんと試 験をして、それに耐え得るかどうか調べて、それで委員会で決めているわけです。  だけど、新しい品目を入れるかどうかというところは、そういう調査をしてきちんと 根拠を示して入れるべきだろうと思いますので、なるほどそういうことができる可能性 あるということですね。 ○坂本委員  そうですね、私はそういう意味で利用できるのかなという感じです。 ○伊藤座長  だそうですので、そこのところをきちんと入れましょうね。 ○江波戸室長  またよく考えさせていただきますが、今のところは費用の額をきちんと決めるために 必要な調査をやっていますので、いずれそういう意味では品目もその中に入るのかもし れません。 ○伊藤座長  太田委員、栗原委員、樫本委員、いかがですか。こういうことでよろしいですか。か なり限定したようで、しかしそれで門前払いにならないように1項加えて報告を出した いと思います。  あとは政治行政の判断ですから、我々の判断ではございませんので。 ○樫本委員  定義も大分整理されてきたと思うのですが、給付のシステムの中で、現場でこういう ことがまれにあるのですけれども、例えば自立支援法になって利用者と補装具業者さん が契約をするという形、それから専門的な知見を求めるという形になるかと思うのです が、専門的な知見を求める前に先に作ってしまう、義肢装具士さんの判断で作ってしま う例が、今でも実はうちの更生相談所であったのです。先に作ってしまって、これを身 障法の給付に認めてくれませんかと、そういうことが起こりかねないかなという懸念は あります。  というのは、作られる方たちは専門的な知見を自分たちは持っているという認識があ ると思うのです。その辺のシステムをしっかりしていかなければいけないかなというの を最後に付け加えたいと思います。 ○伊藤座長  よくある話ですね。つくってしまってから何とかしてくれと、それは今でもあるわけ ですから、ちゃんとしなければいけないので、しかし、それは国がちゃんとしなければ いけないかどうかはよくわからないのですけれども、現場かもしれませんけれども、た だそのことのために給付の事務が滞るといいましょうか、期間が長くなってしまうとい うようなことは避けたいと思いますので、余り細かくきちんとこうやらなければいけな い、ああやらなければいけないというような形でもって決めてしまいますと、今度はが んじがらめになりますから、あとは運用で現場がしっかりするのだと、そういうことが あったならば、それなりのペナルティーをかけるとか、それは現場ではいろいろとやり 方はあるのだろうと思います。  ほかにございますか。  どうぞ。 ○江波戸室長  今の樫本先生の御指摘は、今回の条文の中に第6項でくくり的な規定なのですけれど も、補装具費の支給に関して必要な事項は厚生労働省令で定めるとございまして、従 来、指針に頼んでいたところもございますので、特に骨っぽいところは、手続で大切な ところは省令にきちんと持ってきておくということも、今、考えているところでござい ます。そこは、座長がおっしゃいますように、ぎりぎりそれで縛るということにはなら ないように。 ○伊藤座長  早く出してあげることも非常に重要な要件ですから、それを縛ってはいけないと。  ただ、最近はどんどん情報が新しくなってきますので、テクノエイド協会等も頑張っ てくれて、そういう情報も提供してくれるようになりました。  ですから、そういう情報を早くユーザーに届けるということが必要で、そのことの通 訳が専門的な立場からなされる必要があるだろうと。  ですから、そこの話を聞かずに自分たちだけでやってしまって、結局失敗だったとい う話にならないようにしなければならないだろうと思います。 ○黒田委員  そうすると、また仕組みに関わるのですけれども、今、おっしゃられた福祉用具の情 報を、今、テクノエイド協会がやっているTAISですね。テクノエイド・インフォメ ーション・システム。あれを開発するのに、私がいたところと、テクノエイド協会で最 初の実験を3年間やったのです。それはベースに何があったかというと、テクノエイド 協会と現場の更生相談所でその当時はオンラインでデータのやりとりをしながら、全国 に展開するという、本来その形で、そこが持っているのを地域に、つまり補装具なり福 祉用具の展開。それで一応報告をして、将来それをやりますと言ってから、すとんと更 生相談所のラインがどこかへ飛んでしまったのです。  そうすると、どんどん新しい情報は出すけれども、補装具の仕掛けに対して、現場そ のものがものすごく疎くなってしまう。  テクノエイド協会そのものは、国の外郭としておつくりになっていて、それが別個に 流して逆に判定する機能が逼塞されるような状況の仕組みは避けるべきで、今度こうい う形を進めるならば、情報のネットワークそのものが更生相談所なり、市町村に新しい ものがすべてきちんと入る形をして、同時に照らし合わせるような、つまり給付を決定 する方も、求める方も同じものの土俵でやれるように。本来、TAISというのはその 目的を持って計画されたのですけれども、全然別のところに行ってしまっているわけで す。これは私は開発に関わったものですから、一番その辺のいきさつは知っているので すけれども、その後飛んでしまっているんです。  これは、ずっといろんなところでお話ししたのですが、いきなりその辺が戻らないも のですから、給付のシステムを従来の形を持ちながら新しい方へ行くとしたら、今出て いる福祉用具の新しい情報がどんどん審査なり判定なりする専門機関にきちんと入る形 をこの際つくり上げてもらいたい。それがピンからキリのピンの方に寄せていく一つの 方法かと思うのですけれども。 ○伊藤座長  これはそういう印象はあるのだろうと思うのですけれども、更生相談所側が情報を取 りに行けばいいわけです。だけれども取りに行っていない部分がありますから、むしろ 後れている更生相談所は取りに行っていないということが問題なわけで、是非ネットワ ークを充実させていただきたい。情報の提供というのは非常に大きいと思います。どん どん新しくなっておりますので、私自身ですらも現場にいながら、ちょっと別なことを やっていると、わからなくなってしまう部分がありますので、是非それがきちんと現場 に届くような仕組みづくりというのは重要だろうと思いますので、よろしくお願いしま す。  それでは、次の後段の話に移りたいと思いますけれども、このことについては補装具 の定義と、それから説明について事務局の方にまとめていただいて、また次回にお示し できると思います。  今日は、日常生活用具についての定義も前回に引き続いて議論をして、それをまた次 回にまとめて出していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。  これについては、たたき台はないですね。 ○江波戸室長  はい。 ○伊藤座長  自由な討議でございますので、皆さんお考えになってきたこと、あるいは現場でいろ いろとユーザーの方々からもお聞きになってきたこと、担当者からお聞きになってきた ことを含めて御意見をいただきたいと思います。 ○樫本委員  日常生活用具の定義ということですか。 ○伊藤座長  これも補装具と同じように、まず物の特性みたいなものを示して、その使い道といい ましょうか、目的を出して、それから普及のための条件設定みたいな、普及といいまし ょうか、それを給付するための条件設定というような仕組みで考えてもいいかなと私は 思っているのです。  給付事務の簡素化のところでいろいろと討議してきたことは、まず1つは既製品であ るということですね。既製品そのものの安全性みたいなものが担保されるというのが1 つの条件だと思います。  ただ、歩行器のところでいろいろと話題になったように、選定にある程度専門的な知 識、経験を生かさないと危険性を伴ってしまうというような話が前にありましたね。そ ういうことが少し絡んでくるかと思うのです。  ですから、そういう選定にいろんな経験や知識や技術が必要だというものは外さない とまずいかなというふうに思いますので、素人的にも自分で判断できるような、ユーザ ー自身が判断できる。それから市町村のレベルでも一般的に判断できるという品物にな るのかなというふうに思います。 ○太田委員  私も事務屋なものですから、更生相談所のこういったコメディカルな職員と、こうい うことについてちょっと意見を伺わせてほしいということでお話ししました。  この報告書に基づいて補装具給付事務の簡素化の具体的な品目一覧が出されて、16年 の3月で判定事務の委員会報告書が第1回目の資料の12ページにございますけれども、 これを受けて厚労省の方では8月に具体的な給付事務の取扱指針をお示しになっている と思うのですが、やはり利用者の方の安全性と利便性、それを考えれば、現在一番右に ございます交付申請書によって市町村の判断で決定しているものについては補装具とし ての品目そのものに関わることはあれですけれども、そういう概念から日常生活用具と しての給付で、その方が利用者にとっては望ましいのではないか。  ただ、それとは別途、先ほど伊藤先生がおっしゃられた、そのことによって製品の質 だとか、量の担保、それから利用者の方の費用負担、そういったものが著しく損われな いような担保は必要だけれどもというお話を私どもではさせていただきました。 ○伊藤座長  概念としては、市町村の判断で決定してよろしいものというのが、おおむねそれに当 たるのだろうとは思います。  ただ、この中でもある意味経済的な問題がありますから入れておいても勿論いいので すが、一般市場で売られているものは勿論あるわけで、サングラスだとか、色めがね、 それから手押し型レディメイドなんかはそういう状況にあるのだろうと思います。  前にも議論になったのは、歩行器なんていうのが非常に微妙でして、それで一応医師 の意見書を要するという中に入っているわけですけれども、これは選定が意外と難しい のです。  皆さん歩行器をほしがるのですけれども、非常に危険性が高いものですから、そうい うことはちょっと除いておきたいなというだけの話です。  安全で、かつ利便性という意味では容易に使用できるということです。そういう既製 品で、もう一つは実用性というものを少し入れたらどうかというのが私の意見です。そ ういう安全かつ容易に使用できる既製品で実用性が認められるものというような、実用 的でないものでは困るので、実用性が認められるものと。実用性という言葉は曖昧です けれども、ただ、それなりに使っていて皆さんが便利だよ、そして非常に役に立つとい うようなことがある程度担保されることが条件だと思います。 ○黒田委員  品目の中で、日常生活用具も当然身体障害者手帳を所持することが前提ですね。それ で、日常生活用具そのものの対象障害というのは手帳に一応全部対応しているのですけ れども、一番下のところにてんかんというのが出てきて、頭部保護帽だけが非常にくっ きりと、身体障害者手帳はてんかんは対象にならないですね。 ○伊藤座長  補装具に入っていますね。 ○黒田委員  補装具の方に頭部保護帽があって、これは同じものですかね、ダブっているのですか ね、それとも別のものなのですかね。てんかんの頭部保護帽と身体障害者福祉の補装具 の頭部保護帽というのは同じですか。 ○栗原委員  うちでもそれが話に出まして、身障の方では補装具として位置づけられていて、知的 の方では日常生活用具に位置づけられています。 ○黒田委員  これは、知的障害者を意識したてんかんなわけですか。 ○栗原委員  現場では同じにしてほしいという意見は出ていますね。 ○伊藤座長  後から知的障害のが入ってきていますから、だから日常生活用具でしか入れない、補 装具という概念がないから。 ○黒田委員  この日常生活用具のてんかんというのは、やはりてんかんとしておかないといけない のですかね。 ○伊藤座長  必ずしもてんかんである必要はないですね。限定した話ではないです。 ○黒田委員  言葉のイメージからするとてんかんだったら、てんかんだけになってしまいますでし ょう。 ○江波戸室長  多分、黒田先生御指摘のように、栗原委員からお話がありましたように、ちょっと整 理を要する点だと思います。  恥ずかしい話ですけれども、身障担当と知的障害者担当と縦割のところがありますの で。 ○黒田委員  頭部保護帽というのも結構いろんな人が使いたい、しかも幼少の人であったり、それ から中途障害でも年齢がいかれた人もときどき付けて頭を打たないようにしたいという のですけれども、余りクリアーにてんかんであるとかにしてしまいますと、何か実現し てあげにくい部分が出てくるので、たまたまこれは2つ重なっていたので、これは1つ うまいことそういう人たちに対応できるような給付の仕方を考えてあげた方が、より自 立支援にはつながるんではないかなと思います。 ○伊藤座長  障害の狭間に居る方はたくさんいらっしゃるので、非常にバランスの悪い歩行をして いる知的障害の方もいらっしゃるわけですから、てんかんに限らない方が確かにいいで すね。 ○栗原委員  特に、今、重度で対象者が限定されてしまっていますけれども、実は中軽度でも必要 な人はいるという状況が現場でありました。 ○伊藤座長  ほかにございますか。  どうぞ。 ○栗原委員  実は、私も現場といろいろと話をしてきたところなのですけれども、前回の議論の中 で、日常生活用具が家庭というところに余りに目が行っているので、例えば施設で暮ら している人は、給付の対象にならないみたいなところもあるので、個人とかというよう なのも考えて、本人の自立支援という意味合いからという概念をもう少し入れた方がい いというお話がありましたね。  実は、現場で非常に困るよという話が1つ、ちょっと御紹介したいと思うのですけれ ども、在宅ということで、今まで出てはいないのですが、実は介護保険施設に入ってい る人たちのほとんどの方が、実は身障手帳を持っているのだと。  例えば、施設の中でレディメイドの車いすなんかを必要とするのは、本来であれば施 設サイドで用意すべきものというふうに位置づけられているのですけれども、実は車い すを使う時間というのは、みんな同じ時間になってしまうのだというようなことを考え ますと、正直、介護保険施設に入って手帳を持っていて、欲しいと言ってくれば出す と、それを覚悟してもらうというような話が実は出まして、やむを得ないのかなと、た だ半分ぐらいは持っていますと、そんな状況が実はあるのだということもございまし て、確かに自立支援という意味では必要なのだと思うのですけれども、ちょっと難しい ところもあるのだと思います。 ○伊藤座長  その問題は、例えばずっと入っていらっしゃる人の場合は、基本的に施設で用意する のだという概念で通してもいいのですけれども、出入りしている人がいるわけです。そ うすると、家に帰ってきてもらって、それを持って施設に行くわけですから、現実には それは区別できませんね。 ○黒田委員  今の話はもう一つありまして、特別養護老人ホームに入ろうとする人が、全部身体障 害者で車いすが欲しいということが、ある時期かたまってあったのです。それは特養を つくるときには、特別養護老人ホーム設置において、車いすは備品の中に入っています ということなのです。それだったら、初めからそこに入る人は必要ないということです るのですけれども、ところが、入って使おうとすると、体に合わないという状況が出て くるので。 ○栗原委員  それは逆に言えば、補装具になる必要があるのですね。 ○黒田委員  そういうのと同じ話が、例えば養護施設でも、ただし養護施設そのものは、車いすを 備品として設置するという規定はないのです。  その交通整理として、施設に入る前に、つまり在宅の状況で必要として、施設の方の 人たちも、中で生活するときに、こういう内容を持ったものをつくってもらえると、我 々も取り組みやすいと。それは、いろんな人がそこに意見を出して、本当に使うものを 持って施設に入っていく。施設の備品代わりではなくて、本人の生活のためにというこ とで、電動車いすなんかも工夫してきた経緯がそれぞれの更生相談所はあると思うので す。  ただ、それが今回新しい概念で日常生活をしていくときに、そういう判定機関なり処 理機関の力が余りにも脆弱になってしまいますと、今のようなうまいこと整理ができず に、こっちはいいけれども、こっちが悪いというようなことが起こってしまうだろう と。  従来は、むしろその人に特化したものを利用するなら、それは施設利用であっても補 装具として関わっていくというのが一応マニュアル上でも通してきたことですね。 ○伊藤座長  ですから、補装具についてはおっしゃるとおり本人に合わせるということを今日も定 義としては決めたと。だとすれば、それは施設に入っていっても必要な場合はあるわけ ですね。  問題は、日生具ですね、これは既製品で考えると、今、言われた中で言うと、施設に 入る前ならいいと、入ってからはだめということぐらいしか言えないですね。 ○黒田委員  ただ、この中にも日常生活用具でコミュニケーション・エイドというのは実際に入っ て今度はトラブルが起こってきたときに、今の切り方をしてしまうと、本当にそこで生 活する上では言葉のやりとりが生活の根幹にあるのに、施設に入ったからコミュニケー ション・エイドはだめでということになると、何のために施設で生活をしようとするか ということを大元で絶ってしまうことにもなるのです。  ですから、そういうことの判断というのは、日常生活用具は既製品だからいいという ことでは済まなくなりつつある。そこにも何か一種の判断機能とかを持つ必要があるの かなと。それは更生相談所がやるということではなくて、こっちはいいけれども、こっ ちが悪いというのはやはり出てくるのでしょう。私は日常生活用具もそういうチェック はあっていいと思っているのですけれども。 ○伊藤座長  それが技術的な意味で必要なのでしょうか。ですから、どっちかというと、行政判断 でよろしいのかなという感じがしますけれども、ただ予算が決まっている、各市町村に よってそれぞれに予算があるのだろうと思いますが、その予算内で出していくとすれ ば、ある程度行政判断で考えていただく以外にはないのだろうと思うのです。  例えば、施設の場合には車いすのような問題になると思いますけれども、施設に一定 程度の車いすが用意されていれば、それは施設としては認可していいだろうと。  そこにそれをオーバーする車いす使用者が入っていて、それでどうしても一緒に使う ときにあぶれる人が出てしまうとか、そこは工夫だろうと思うのです。  そういう中で、御自分で持っているものがあれば、それを是非持ってきてくださいと いう話になりますね。それで、その人が例えば亡くなってしまったら、それはそのまま 寄付されていくとか、だんだんふくれ上がっていく部分もあるわけですから、それぞれ の施設で工夫していただくということで、入ってしまっている人たちに対しては、基本 的には出さないのが原則だろうと思いますけれども、しかし実態として困っていると、 施設の方も十分努力しているのに、その人との関係では困りますという話であれば、区 別はつかないと思いますから、それは市町村の判断で出せばいいんじゃないですかね。 ○栗原委員  現場の判断では非常に難しくなるところですけれどもね。 ○伊藤座長  そこまで規定を定義づけたところで、それでもってどうのこうのというふうにはなら ないと思いますね。  定義があっても、実際の品目に関しては、それぞれのところでプラスしたりするわけ ですね。それをどう出すかはそれぞれの市町村の判断だろうと思いますけれども。  市町村はマイナスということはないのでしょうね。プラスはすると思いますよ。 ○栗原委員  一定のガイドラインは国の方で示すのですね、品目や何かは。 ○江波戸室長  ええ、品目はまた。 ○黒田委員  単純化すれば、日常生活用具も必要があれば、別に施設内で給付しても差し支えない ということでよろしいですか。私はそうして行くべきだと思うのですけれども。  必要かどうかの判断についてどういう仕組みをつくるかというのは、また別の問題に なりますけれども。 ○伊藤座長  それは専門家のどうのこうのとか、そういう知識や技術の問題ではなさそうで、予算 上の問題だったり、それぞれ市町村の考え方の問題だったりするので、それは市町村の 方の判断だろうと思いますが。少なくとも定義づけて切らないと、そこは切りたくはな いですね。  あと、目的との関係は日常生活の困難を改善するということ。それから、自立を支援 する、または社会参加を促進するものというふうに私は考えたいんですけれども、いか がでしょうか。  日常生活の困難を改善し自立を支援するもの、または社会参加を促進するもの、そん なような文章を入れたらいかがかなと思ったのです。  前回の会議でも問題になりました自立支援という立場、社会参加という立場もここに は入れておきたいと思います。  坂本委員、何かありますか。 ○坂本委員  補装具と比較して、日常生活用具の概念規定は難しいなというのがあるのですけれど も、少なくとも今まで言っていた家庭復帰を促進するとか、そういう表現はやめた方が いいのかなという感じはずっと持っていたんですけれども、やはり基本的に補装具との 違いというのは、いわゆる生活を維持するということまで入り込むのだろうと思うので す。補装具に近い形のものもあるので、維持してそして生活を向上させるという維持の 部分も少し入り込まないといけないのかなと思っているんですけれども。 ○伊藤座長  日常生活の困難を改善するということで、機能の維持という意味ですか。生活の維持 ですか。 ○坂本委員  ええ、生活そのものの維持です。 ○伊藤座長  困難性を改善するということと、日常生活を維持するということと別な概念ですか。 ○坂本委員  多分、困難性を改善するというのはリハビリテーションの考え方であって、むしろ維 持するというのは、ケアサービスとか、そういったいわゆるケアシステムなのだろうと 思いますけれども。 ○伊藤座長  ほかにございますか。  どうぞ。 ○樫本委員  先ほどの話もあれなのですが、やはり日常生活用具は大前提として在宅で使用すると いう概念は守るべきところだと思います。  そして、介護保険施設で車いすなり、ほかのものが必要という場合についてですが、 これはやはり介護保険の貸与が在宅となっているというところを少し緩和して、介護保 険施設利用者も介護保険の貸与や給付が利用できるようにすべきだと思います。あるい は、日常生活用具の中で、コミュニケーション・エイド等を含めて、介護保険のレンタ ルの品目に加えていくような、そういう形にしていく必要もあるのかなと思うのです。  身障法関係というか、自立支援法の中での日常生活用具は、やはり在宅生活、自立の 支援を目的とするという概念ではないかと思います。 ○伊藤座長  施設のイメージが、いわゆる未来永劫ずっと施設にいると、そういうロングタームい る場合と、そうではなくてショートで使う場合もありますね。施設も今はいろんな種類 があるわけですから、同じ施設の中でもいろんな機能を果たしていて、中期的に使うと か、非常に短期間使うとか、長期に使うというのも分けているところもありますね。そ ういう意味では自立支援として、そういう施設を利用しながら自立を促進していく、社 会参加を促進していくという場として施設が機能する。これは理想的だと思うのです が、そういう意味では使ってもいいのだろうと思うのです。必ずしもそれを否定するも のではないのではないですかね。  ただ、ずっと昔のような施設に収容して、ずっと施設にいらっしゃる方、そういう人 たちをどうするかという意味で、今までは考えてきたように思うのです。でも、それは 家庭という場が施設にあるだけの話ではないですね。例えば養護性の問題で施設にお入 りになっているとか。 ○太田委員  私もやはり本人の自立支援というか、今回の自立支援法案の中で従来の入所施設の機 能が、いわゆるナイトケアの部分と日中活動の部分と、そういう形になってきているわ けで、本人に着目して自立を支援していくべきと。  本来、区市町村において、これは御本人に給付、貸与すべきものなのか、施設が施設 として備えなければいけないものもあり、それに個人か施設かによって判断されるべき もので、個人に着目した場合は施設を御利用になっていても在宅であろうと、それは給 付すべき品目であればと、そういう判断をすべきではないかなと思います。 ○黒田委員  施設におるからだめというのは、それは自立支援という、そこに生きている人、あな たは自立していないねということと同じことになってしまうので、障害を対象にする限 りどこで生活しようと、自立支援という大きな枠はかぶせていかない限り、ではその人 たちは別個なのかということになって、今までずっとそれをしてきたわけです。  同時に、施設におるからということで、ものすごく卑下したり、それだけでも縮こま ってしまったり、まさにそれは人権の問題に関わってきているわけです。  だから、私は日常生活用具を通して考えたときに、日常生活用具は施設であろうが、 何であろうが必要であれば対応していくというの本来の姿勢で、これは細かい操作をし ますと、養護施設は住所地じゃないのです。あれは在宅なのですよ。住民票を移したら いかぬと。操作的にたまたま施設におるだけで、もともとの家はちゃんとあるという格 好です。そうしたら在宅じゃないかという話になってくるわけです。これも一つの理屈 ですけれども。  そうしたら、もともとは施設にいようが何であろうが、本来出さなければいけなかっ たのですけれども、お金がない、つまり経済的なバックが少ないから何か操作的にやら なければいけないので、では在宅だけに切ろうかと。  我々は、過去からずっとやりとりしてきたものは、そういうことも一応経験してきた のです。ですけれども、今の時代の新しい自立支援という限りにおいては、障害をもっ て生活する限りは、すべて支援の対象として考えていくのが、これからの時代であろう と。  ただし、行政的な枠組みとか、財政的枠組みを大きく逸脱しないという、ちょっと日 常生活用具についてはかぶってくるだろうと。 ○伊藤座長  私もそこのところは、定義としては施設の在り方問題ですが、過去はそういう形でも って就業という言葉にまさに代表されるような施設のイメージというのはあったと思う のですけれども、これからそうであってはいけないし、そういう施設ではだんだんなく なってきていますね。  将来的なことを考えれば、施設は施設としてそういう備品類をそろえる必要があると いう規定があっていいと思うのです。けれども、日常生活用具をだから出さないという 話にはならないわけで、やはりそれは個人に着目してという太田委員の意見に私も賛成 で、そういう方向性は、この定義ではきちんと念頭に置いてやっておいた方がいいと思 います。  栗原委員、いいですか。 ○栗原委員  ええ、私もそう思います。 ○伊藤座長  あとは、給付の仕方の問題で私が考えていますのは、これは補装具ともちょっと似て いるのですが、日常生活品として一般的に普及していないということ。一般的に普及し ているものは、それは一般的に買えるわけですから、そのことはそのことで別な保障だ と思うのです。ですから、日常生活品として一般的に普及していなくて、製作や改良、 開発に当たって障害に関する専門的知識や技術を要するものというような考え方を少し 入れたらどうか。  すなわち、日生具に関しては、多分それほど市場で、俗な言葉で言えば、それを売っ てもうかるというほどのものではございませんから、量が出ませんので、そうすると、 製作や改良や開発が非常に後れてしまうという問題がありますので、そこをどういうふ うに保障するかという意味で、製作、改良、開発に当たって知識や技術を要するものと いう規定の仕方をするといいのではないかと思ったところです。  どうぞ。 ○栗原委員  これから、厚生労働省の方できっと品目や何か見直しをされていく、それから基準額 そのものの見直しもされていくのだろうと思うのですけれども、介護保険の方の福祉用 具の貸与や給付の品目がありますね。それから介護保険の方では上限10万の給付だとか いろいろあるのですけれども、そこら辺とこれから3年、6年経ったときに、恐らくま た統合なんていう話もにらまれながらも今回の自立支援法の制定なんていうようなこと を考えますと、品目や何かについては介護保険での福祉用具とある程度合わせるような 必要性があるのではないかということ。  あと、もう既に、例えば携帯電話はだれでも持っているじゃないかというようなとき に、貸与の福祉電話が必要なんだろうかとか、基準額もものすごく市販では安くなって いるんだけれども、基準額そのものがまだ高く設定されているものですから、実は変な 話ですけれども、業者さんのいいように高い金額でそれを買うような状況があったりと いうようなものがありますので、これも先ほどの補装具のときにお話が出ましたけれど も、ちょっと厚労省さん大変かもしれないんですけれども、毎年毎年基準額ですとか、 品目ですとか、そういうのをきちんと見直しをしていくというシステムか何かを入れま せんと、今まではそれぞれのユーザーの団体からの要望や何かを受けて、必要だなとい うのがわかると、それを品目に加えましょうなんていうような形でやってきていたんで すけれども、なくすべきものはなくし、それで新しく入れるものは入れるという仕組み をつくっていっていただきたいと思うのです。 ○伊藤座長  そのことは、私もそう思います。一定程度の仕組みが必要でしょうね。  どうですか。 ○坂本委員  さっきのところで、日生具も一緒にできるのか、でも補装具を決めるということはで きる可能性がある。 ○江波戸室長  そこは補装具外の規定になっていますけれども、いわゆる日常生活用具についても全 くその点に関する情報なしで作業はできませんので、実効上にはなりますけれども、し ていかなければいけないというふうに考えます。 ○伊藤座長  私が守りたいのは、一般に普及していってしまうようなものは、実際上は経済的な保 障を何らかの形でする必要がある場合もありますけれども、とにかく手に入るわけです ね。そうすると、混乱性を改善することはできるわけですけれども、とにかく手に入ら なくなってしまうことが一番問題なので、これをどうやってきちんと担保するかという ことだけは押さえておかないといけないと思います。  そういう点で、一般的に普及していないということが、この定義の中できちんとして おく必要があるのかなと思ったのですが。  日常生活用具はどういうものであるか、どういう目的で使うのか、そして給付の仕 方、これについて一応、今、ディスカッションしているところなのですが、ほかに御意 見はございますか。  あとは品目に入れるとか、入れないとか、お金の問題等々はきちんと検討していく仕 組みが必要ですというのが出ましたが、ほかにございませんでしょうか。  どうぞ。 ○黒田委員  もう一つ、対象障害の後ろに、例えばこれは2級であるとか、更に限定しています ね。聴覚障害の1級、例えば日常生活用具のこの品目については、ここには書いていな いんですけれども、あらかた出てくる、そういうことで相当給付対象、これもコントロ ールしてきたわけですが、日常生活用具という日常性の自立ということを考えますと、 必ずしもそういう等級だから必要で、そうでないから必要でないということでもなくな ってくるわけですね。  さっき栗原委員がおっしゃったように、中等障害、中軽度でも頭部保護帽が要るけれ ども、決めてしまうとはみ出してしまう。これも勿論日常生活用具給付事業の宿命で、 全体の予算枠がものすごく補装具とは違う苦しいところなのですが、時代性を考えて自 立支援ということになると、そういう等級なり障害、障害は多少対応しても致し方ない のですけれども、等級的に限定するというのは、いかがかなものかと。それも改めて検 討していってはいかがかと思いますが。 ○伊藤座長  私はむしろそんなものは外して、ケアマネジメントの中で必要だということであれ ば、出すという方がいいと思いますね。  ただだから何でももらおうというようなことは、ケアマネジメントの中で、その人の 本当の自立生活を促進するという立場から一緒になってリハビリテーションしていくん だと。ここは御当人、ユーザーと担当者とみんなで協力し合っていくという姿勢があれ ば、きちんとケアマネジメントできると思うのですけれども、そういう立場でもって出 せば、私はそんなに混乱することはないのだろうと思います。それを等級で決めると か、そういうことをしたら、それこそ門前払いもあって、理不尽なことが現場でも起こ ってしまうと。余り近代的とは言えないですね。ですから、そういうのはちょっと避け たいなと思います。  ほかにいいですか。太田委員いいですか。 ○太田委員  はい。 ○伊藤座長  樫本委員いいですか。 ○樫本委員  はい。 ○伊藤座長  栗原委員、ほかにございませんか。 ○栗原委員  行政の立場として出ていまして、非常に反省すべき話をしようかと思いますっていた のですけれども、実は数年前にスピーチオというものが出ましたね、とってもいい機械 だという話になっていますけれども、買ったって何が読めるんだと、それほど環境が整 備されていないだろうという話が実はありまして、それは勿論この場で議論するお話で はないんですけれども、例えばスピーチオひとつとってもそうですし、信号の時間延長 のための小型送信機、ああいうものも自分用の機械を持っていても環境が整っていなけ れば何の役にも立たないのだと言われまして、反省すべき点だと、そういう視点も必要 なんだろうと。機械があっても使えないということの方が実はずっと大きいという宿題 を課せられているところです。 ○伊藤座長  私もそのことを感じまして、先ほど言った実用性というのは、そこを入れたつもり で、実用性が認められるということは非常に重要だと思います。どの程度の実用性なの かは、その品目を入れるか、入れないかというときには、やはり調査する必要があるん です。それはむしろ使えるように促進するような方策も必要ですから、そういう点では 実用性の範囲はそのときどき考えなければならないかと思いますが、そういう視点が必 要だということは確かだと思います。  坂本委員、よろしいですか。 ○坂本委員  よく日常生活用具を使うときに、在宅で知覚障害者の方はトレーニングに行くのです けれども、実際に使ってみないとわからないというところがあるのです。  そうすると、一定期間貸し出していただいて、それでいいなというのを選別したいと いうのがユーザーの方にあって、そういう貸出期間みたいのを少し行政としてもってく れると、すごくユーザーも判断しやすいのかなという気がすごくしているのですけれど も、それで使い勝手が悪かったら違うものに替えるというのも出てくるでしょうから、 そういう制度をやらないと、本当に先ほどの実用性の議論とリンクすると、本当に使え るのですかといったときに、使えないものを実は申請して入ってきてしまったとする と、多分押し入れの中に入れてしまうのだろうという気がするので、そういう貸出制度 みたいなものを是非つくっていただきたいなというのが1つあるのです。 ○伊藤座長  ガイドラインにどう載せるかの問題だと思いますが、福祉機器展で見てきたという時 代から、もう貸し出して実際上使ってもらうと、1週間とか、2週間とか、そういうこ とをきちんとやってから給付するというような時代に入ってきているのだと思います。 レンタルと違いますから、給付するならそういう形が本当は理想的ですね。  それでも結局、ある程度の期間は使っても、その後は使わなくなってしまうという状 況もあるのだろうと思います。そういうことが起こってしまうのはしようがないです ね。せめて最初からだめだといって、押し入れに入れられてしまうと、これは避けたい ですね。工夫は必要だろうと思います。  そんなところで、よろしければ今日の討議は閉じたいと思いますが、よろしいです か。  次回は補装具に関します定義をもう一回きちんと出していただいて、説明文をお願い します。  それから、幾つか付いた附帯事項についてまとめていただいて、その次に日常生活用 具に関する定義と附帯事項をまとめていただくということで、それを確認するというこ とを条件にしたいと思います。よろしいですね。それは4月に入ってからですね。 ○江波戸室長  また中旬で各先生方の御都合を伺って御連絡をさせていただきたいと思います。 ○伊藤座長  では、これで本日の委員会は閉じたいと思います。  ありがとうございました。                (問い合わせ先)                 厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部                     企画課社会参加推進室 指導係 國松                 TEL 03−5253−1111(内3076)                 直通  03−3595−2097                 FAX 03−3503−1237